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8 介護関連施設の整備・運営について

(1)介護関連施設の整備について

     平成15年度(14年度追加協議を含む。)における介護関連施設の整備に係る国庫補助協議に当たっては、特に次の点に留意されたい。

ア 共通事項

 各都道府県・市町村の第2期介護保険事業(支援)計画、老人保健福祉計画に適合しているか、当該圏域における高齢者人口の状況、後期高齢者人口の状況などに照らして必要性が高いかといった点を十分に把握・分析し、あらかじめ所要の調整を行うこと。

 住民が生活している地域から離れた場所に孤立して建設されることなどがないよう、住宅地からの距離、都市計画の区域区分、交通網等の移動手段、今後の近隣の開発計画などに照らして、適切な立地条件であること。
 特にケアハウスについては、こうした立地条件及び利用者のニーズに関して審査を強化することとしていること。

 施設の開設・運営に関して地域住民の理解が得られるよう、事業者に対して自ら住民への説明を行うよう指導するとともに、必要に応じて行政からも住民への説明を行うこと。
 近年、地域住民への説明不足や、住民説明会を建設業者任せにしたことなどが建設反対運動にまでつながる事例が目立っていることから、あらかじめ事業者が自ら行った住民説明の状況について審査することとしていること。

 協議後に内容変更を要望をする事態に陥ることがないよう、事前の審査には慎重を期し、厳密に行うこと。
 本来、協議内容の変更は、執行段階での予期せぬ事由によるものを除いてあってはならないことであり、仮に事前の審査が不十分なために協議どおりの執行ができないといった事態が発生した場合には、補助の採択自体について、再検討の必要が生じる場合もあること。

イ 特別養護老人ホーム

    特別養護老人ホームは、常時の介護が必要であるが在宅ではこれを受けることが困難な要介護者のための施設であり、こうした入所者ができる限り在宅に近い生活を営むことができるようユニットケアを行う「小規模生活単位型」(「居住福祉型」の名称変更)での整備を基本とすることとしていること。

ウ 介護老人保健施設

     在宅への復帰の支援を担う施設であり、退所は可能であっても自宅への復帰が困難な利用者のために、ケアハウス、生活支援ハウス、痴呆性高齢者グループホーム等の整備も視野に入れることが重要であること。
 特に生活支援ハウスについては、平成12年度から新たに、介護老人保健施設に併設・隣接したものについても補助対象としていること。

エ 痴呆性高齢者グループホーム

     開設後のサービスの質の確保、当該地域の痴呆性高齢者のニーズに見合った整備という観点から、特に市町村の意見に十分留意すること。

オ ケアハウス

 ケアハウスについては、開設後一定年数を経過しているにもかかわらず入居状況の思わしくない施設が相当数存在しているとの会計検査院の指摘を受け、「ケアハウスの整備及び運営に対する審査・指導の強化について」(平成13年10月12日付老健局計画課長通知)を示しているところであり、
   住民が生活している地域から離れた場所に孤立して建設されるものではないこと
 商店街への買物など外出に不便な地域に建設されるものではないことなど
施設の立地条件が適切であることを裏付ける資料及び実地調査の結果等を協議資料として提出すること。

 ケアハウスを開設しようとしている事業者に対して、特に次の2点について指導されたいこと。
   当該地域及び県内のニーズ調査の結果など様々な情報を最大限に活用し、利用見込者のうちの単身世帯と夫婦世帯の割合、夫婦世帯のうち個室利用を希望する者の割合などを適切に予測すること。
 夫婦部屋は、可動式のパーテションを利用するなど、個室としての利用も阻害されないような構造とすること。

カ 木材の活用

    特別養護老人ホームや痴呆性高齢者グループホーム等では、木材の柔らかさや温かさを採り入れることにより、利用者に精神的なゆとりや安らぎをもたらすなどの効果が期待できることから、積極的に木材の活用を図ること。

(2)平成14年度補正予算(第1号)(案)及び平成15年度予算(案)について

     介護関連施設の整備については、平成14年度補正予算(第1号)と平成15年度当初予算を併せ、切れ目のない予算執行を行う方針であり、財政担当部局とも十分に協議の上、積極的な活用を図られたい。

ア 平成15年度予算(案)等における社会福祉施設関係の内容改善の概要

(ア)国庫補助額算定方法の簡素・合理化

     補助申請者等の事務負担を軽減するため、平成14年度に引き続き、養護老人ホーム及び軽費老人ホーム(A型)についても、平成15年度の整備分(14年度からの継続事業を除く。)から、国庫補助額の算定方法を簡素・合理化する。
(従前)
1平方メートル当たり基準単価×基準面積×定員」

 → 
(変更後)
定員1人当たり基準単価×定員」

  
(参考)簡素・合理化の対象施設
(現行)
  • 特別養護老人ホーム
  • 老人短期入所施設
  • ショートステイ用居室(特養併設)
  • 軽費老人ホーム(ケアハウス)
  • 老人デイサービスセンター
  • 生活支援ハウス(居住部門)
  • 在宅介護支援センター
  • 痴呆性高齢者グループホーム
  • 在宅複合型施設















 ┌
 |
 └
(追加)




  • 養護老人ホーム
  • ショートステイ用居室(養護併設)
  • 軽費老人ホーム(A型)

(イ) PFI−BTO方式で整備する在宅関係施設の地方自治体による買取費用に対する補助(※ 平成14年度補正予算(案)において対応)

      地方自治体がPFI制度を活用し、PFI事業者に貸与することを目的として居宅サービスを提供する施設の整備を行う場合の買取費用について、国庫補助の対象に追加する。
(現行)



ケアハウス


 → 
     (追加)
  • 老人デイサービスセンター(居住部門を含む)
  • 痴呆性高齢者グループホーム

  • 老人短期入所施設
  • 在宅複合型施設
(ウ) 構造改革特区においてPFI−BTO方式で整備する特別養護老人ホームの地方自治体による買取費用に対する補助

      構造改革特区内の特別養護老人ホーム不足区域において、地方自治体がPFI制度を活用し、PFI事業者に貸与することを目的として特別養護老人ホームの整備を行う場合の買取費用について、国庫補助の対象とする。

(エ)老人短期入所施設(小規模生活単位型)の整備費補助の創設

      ユニットケアを行う「小規模生活単位型」の老人短期入所施設に対する整備費補助を創設する。
 なお、平成14年度に創設した「小規模生活単位型の特別養護老人ホームに併設するショートステイ用居室」の場合と同様、今回創設する「小規模生活単位型の老人短期入所施設」においても、国庫補助単価には、共同生活室に係る部分が含まれていることに留意すること。また、この点について関係者に周知を図ること。

(オ)国庫補助対象事業の見直し

      次の国庫補助は、平成14年度(平成15年度への継続事業を含む。)をもって廃止する。
    グループケアユニット型特別養護老人ホーム(従来型の施設で、補助基準面積が38平方メートルタイプのもの)に対する施設整備費補助
 特別養護老人ホームに対する個室加算
 在宅介護支援センターに対する施設整備費補助

(カ)ショートステイ利用者のための送迎用車両の国庫補助単価の改正

    実態に見合うよう、国庫補助単価を次のとおり改正する。

(〜14年度)
6,798千円

 → 
(15年度〜)
4,500千円

イ 平成15年度予算(案)における保健衛生施設関係の内容改善の概要

(ア)介護老人保健施設の補助対象の拡大

a 既存の施設の買取費用に対する補助の創設

   複合ビルの一部を介護老人保健施設として買い取るなど、多様な形での整備を支援する観点から、既に社会福祉施設の国庫補助で認めている取扱いと同様、買取費用について国庫補助の対象とする。

b ユニットケア型加算の上限変更

   介護老人保健施設を新設する場合に、その全部又は一部を「ユニットケア型」とするときの加算対象ユニット数の上限を、次のとおり改正する。
 なお、既存施設の改修の場合の補助対象ユニット数についても同様の取扱いとする。

(〜14年度)
「3ユニット」

 → 
(15年度〜)
「ユニットの定員の合計が入所定員の概ね1/2を超えないユニット数まで」

(イ)国庫補助対象事業の見直し

    次の国庫補助は、平成14年度(平成15年度への継続事業を含む。)をもって廃止する。
    介護老人保健施設の痴呆専門棟加算
 在宅介護支援センターに対する施設整備費補助

ウ 平成14年度補正予算(第1号)(案)における介護予防等拠点整備事業について

    「介護予防等拠点整備事業」として150億円が計上されたところあり、特に次の点に留意の上、財政担当部局や管内市町村との事前調整など、2月中旬頃に予定している国庫補助協議に向けて準備されたい。

   (ア) 今回計上された事業は、平成13年度補正予算に計上された「介護予防拠点整備事業(300億円)」とは予算額が異なっているほか、内容に次の相違があること。

a 新たに次の事業を追加していること

 痴呆専用単独型デイサービスセンター等の整備
     痴呆性高齢者が在宅での生活をできる限り継続していくことができるようにするためには、住み慣れた地域に安心して通うことができる小規模な在宅サービスの拠点を整備することが重要であることから、NPO法人等による痴呆専用単独型デイサービスセンター等の整備に助成する市町村に対して補助を行うことにより、これを支援するもの。

 痴呆専用単独型デイサービスセンター等に併設する宿泊部門の整備
     通所介護を利用している痴呆性高齢者が、その心身の状況又は家族の事情により宿泊サービスを必要とする場合に、通所介護と併せてこれを提供する拠点を整備することは、痴呆性高齢者の在宅生活の継続を支える上で有効な施策であることから、痴呆専用単独型デイサービスセンター等への宿泊部門の併設整備に助成する市町村に対して補助を行うことにより、これを支援するもの。

 ケアマネジメントリーダーの活動拠点の整備
     「ケアマネジメントリーダー活動支援事業」を積極的に推進するためのケアマネジメントリーダーの活動拠点の整備や、ケアプランの点検・改善等ケアプランの質の向上を図るための活動拠点の整備

 平成15年度から施行される支援費制度の趣旨に従って適切な事業に取り組むなど、地域の実情に応じ、障害者が住みやすい魅力ある都市・活力ある地方の再生に向けて、障害者の自立と社会参加を促進する拠点の整備
    障害者の社会生活力を高めるための拠点整備
 障害者の授産活動を紹介するための拠点整備
 障害者訪問サービス活動の拠点整備

 対象事業の中から、高齢者の生きがい活動支援のための拠点整備を除外していること。

(3)施設整備業務の適正化について

ア 補助金の不正受給の未然防止について

 社会福祉法人が、補助事業を行うために締結した契約の相手方等から寄付金等の資金提供を受けることは、いわゆる水増し契約が行われてリベートなどとして不当に資金が還流しているのではないかとの社会的な疑惑を招く基になる。
 このため、既に「社会福祉施設等施設整備費及び社会福祉施設等設備整備費に係る契約の相手方等からの寄付金等の取扱いについて」(平成13年7月19日付4部局課長連名通知)により通知しているとおり、契約の相手方等から寄付金等の資金提供を受けることを禁止しているところである。

 しかしながら、本年度においても、本来の工事費を水増しした虚偽の契約書をもとに実績報告を行い、整備費補助金を不正な手段により過大に受給するなどの事件が散見される。
 こうした事件のほとんどは、平成9年度に施設整備業務改善方策を示す以前の整備であるものの、同様の事件の再発は厳に防止すべきであり、このため、管内市区町村及び社会福祉法人等に対し、引き続き各種関連通知の趣旨に沿った指導の徹底を図られたい。

 さらに、各種の全国会議等でも再三申し上げてきたところであるが、不正受給の事実が発覚した場合には、補助金を返還させることはもとより、不正に関与していた者について告発を行うなど、厳正な対処を行われたい。
 併せて、このような不適正な整備事業が採択された要因を分析し、再発防止に万全を期されたい。

イ 補助金の過大受給の防止について

 平成14年度の会計検査院の実地検査においても、特別養護老人ホーム等を設置する際のスプリンクラー設備等に係る補助に関して、設置者である社会福祉法人等が、補助の仕組みの理解不足により、誤って同一の補助対象経費を二重に算入したこと又は補助対象外経費を補助対象に含めていたことにより、結果として補助金を過大に受給している事例が、指摘されている。

 ついては、管内市区町村及び社会福祉法人等に対して、適切な補助の取扱いについて更なる周知の徹底を行うとともに、国庫補助協議時のみならず、交付申請時、実績報告時の書類審査をより厳格に行われたい。

(4)介護関連施設の運営について

ア 感染症対策の適正な実施について

    介護関連施設内における感染症対策については、従来から管内の施設を指導いただいているところであるが、特に次のことに留意のうえ、引き続き衛生主管部局との連携の下、各施設に対する指導をお願いしたい。

(ア) 今シーズンのインフルエンザの流行状況は、立ち上がりの時期が例年より早い傾向が見られ、今後さらに拡大することが予想される。インフルエンザは、高齢者に感染した場合、重篤な症状を来たすことがあり、今年に入ってから集団感染により多数の入所者が入院した事例も発生している。
 ついては、「今冬のインフルエンザ総合対策の推進について」(平成14年11月5日健感発第1105001号健康局結核感染症課長通知)を踏まえて、適切な予防対策の徹底を図ること。

(イ) レジオネラ症の発生防止については、「社会福祉施設等におけるレジオネラ症防止対策マニュアルについて」(平成13年9月11日社基発第33号社会・援護局福祉基盤課長等通知)等を踏まえ、循環式浴槽等の適切な管理を行うこと。

イ 老人福祉施設の適正な運営及び老人保護費の適正な執行

    老人福祉施設の適正な運営については、監査等を通じて指導いただいているところであるが、なお、不祥事が散見される現状にある。
 ついては、これまでの指導通知等を踏まえ、管内の施設に対し、適正な運営が確保されるよう強力に指導をお願いしたい。
 また、老人保護費の執行については、一部の市町村において、不適切な事務取扱いなどにより、精算時に国庫補助金が過大に交付されていたために、再確定等の処理を行うケースが増えている。特に、費用徴収事務については、これまで会計検査院の実地検査においても再三指摘され、厳正な執行が求められるところであるので、引き続き、市町村に対し、費用徴収額等の決定に当たって十分な審査を行うなど適切な事務処理が行われるよう指導願いたい。

(5)指定介護老人福祉施設への優先的な入所について

     指定介護老人福祉施設については、直ちには入所の必要がない高齢者もとりあえず入所の申込みを行っている実態があり、その結果、入所の必要性が高い者の入所が、直ちには入所の必要のない者より後になってしまうといった問題があったため、昨年8月7日に指定介護老人福祉施設の運営基準及びこれに係る解釈通知を改正し、介護の必要の程度及び家族等の状況を勘案し、サービスを受ける必要性が高いと認められる者の優先的な入所に努めるよう義務付けたところである。

 また、その運用に当たっては透明性及び公平性が求められるところであり、特に入所希望者が多い指定介護老人福祉施設については、こうした観点から、関係自治体と関係団体が協議し、入所に関する具体的な指針を共同で作成することが適当であることから、その留意事項について、併せて通知を発出したところである。

 各都道府県におかれては、こうした趣旨を十分に御了知の上、速やかな指針の作成について御配意願いたい。

(6)構造改革特区における特別養護老人ホームの取扱いについて

ア これまでの経緯

平成14年7月〜8月 第1次提案募集
    複数の自治体から、特別養護老人ホームへの株式会社の参入について提案あり

10月11日 「構造改革特区推進のためのプログラム」(構造改革特区推進本部決定)
    「特区において実施するもの」として「特別養護老人ホームの設置主体及び経 営主体として公設民営方式又はPFI方式により株式会社を容認」を盛り込む。

11月5日 「構造改革特別区域法案」を閣議決定。臨時国会提出。
    老人福祉法に係る規制の特例措置として、特区において「特別養護老人ホームの設置主体及び経営主体として公設民営方式又はPFI方式により株式会社を容認」を盛り込む。

12月11日 構造改革特別区域法成立
    平成15年4月1日より、個別の構造改革特区の認定開始。

イ 概要

(ア) 特別養護老人ホームの経営は第1種社会福祉事業であり、社会福祉法においては、社会福祉法人以外の主体が事業を行う場合には、都道府県知事等の許可を受けて認められるが、特別養護老人ホームは、常時の介護が必要で在宅ではこれを受けることが困難な高齢者のための入所施設であり、こうした利用者の保護を図るためには、長期間、安定した形でサービスを提供する必要があることなどから、老人福祉法において、その経営主体は自治体又は社会福祉法人に限定されている。

(イ) 今回、構造改革特区に関し自治体からの提案もあり、できる限りこのような要望に応えることが求められる状況であることから、特区において試行的に株式会社等が特別養護老人ホームの経営を行うことを認めることとしたものである。
 具体的な方式については、(ア)に記したような特別養護老人ホームの性格を踏まえて利用者の保護に配慮し、自治体が十分関与できる方式である公設民営方式又はPFI方式のいずれかとしている。

(ウ) 詳細な仕組みについては参考資料を参照されたいが、構造改革特別区域法に定められた老人福祉法の特例の概要は、次のとおりである。
 地方公共団体は、特別養護老人ホーム不足区域(特別養護老人ホームの入所定員総数が都道府県老人福祉計画に定める必要入所定員総数に達していない老人保健福祉圏域をいう。以下同じ。)を含む区域について、内閣総理大臣から、構造改革特区として認定を受けることができる。

 当該構造改革特区内の特別養護老人ホーム不足区域においては、以下の2つの方式により、特別養護老人ホームへの株式会社等の参入が認められる。

   ○ PFI方式
    民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律(PFI法)に基づく選定事業者である法人は、都道府県知事等の認可を受けて、特別養護老人ホームを設置することができる。

○ 公設民営方式
    地方公共団体は、その設置する特別養護老人ホームの設置の目的を効果的に達成するため必要があると認めるときは、条例で定めるところにより、基準に適合すると認められる法人にその管理を委託することができる。

 なお、構造改革特別区域法においては、PFI方式の場合の都道府県知事等による認可の基準、公設民営方式の場合の地方公共団体による委託先選定の基準がそれぞれ列挙されているが、これらはいずれも社会福祉法第62条第4項に掲げられているものと同内容である。

(エ) 平成15年度予算(案)において、構造改革特区内の特別養護老人ホーム不足区域において地方公共団体がPFI−BTO方式で特別養護老人ホームを整備する場合の買取費用を、新たに国庫補助の対象とすることを盛り込んでいる。
   (注) 公設民営方式の場合には、現行の国庫補助制度でも対象となっている。

ウ 今後の予定

    構造改革特別区域法においては、内閣は「基本方針」を定めることとされており、今月下旬の閣議決定が予定されているところであるが、地方公共団体の発意に基づく取組みを尊重する観点から、「基本方針」その他関係通知を含めて、同法に定める条件以上のものを示すことは予定していない。
   (注) なお、PFI方式の場合について規定している構造改革特別区域法第18条第1項の厚生労働省令においては、都道府県知事等の認可を受けようとする法人は、施設の名称及び所在地、入所定員や資産の状況等を記載した申請書等を、施設を設置しようとする地の都道府県知事等に提出しなければならないことを定める予定である。
 各都道府県におかれては、こうした点にも留意の上、本制度について管内の市区町村への周知をお願いしたい。

(参考1)

特区法の基本的枠組み

構造改革特別区域基本方針(閣議決定)
構造改革特別区域制度の推進の意義・目標
実施すべき施策に関する基本的な方針
政府が講ずべき措置についての計画(プログラム)
講ずることが可能な規制の特例措置について一覧性を確保

<地方公共団体>構造改革特別区域計画の作成・申請
≪民間も、地方公共団体に提案可能≫

(計画の内容)
構造改革特別区域の範囲
事業の内容、適用を受けようとする規制の特例措置
期待される地域活性化の効果  ↓  等
<内閣総理大臣>構造改革特別区域計画の認定
基本方針適合性や地域活性化効果等を見て判断。
規制の特例措置の内容について、関係行政機関の長は、この法律や基本方針に即して定められた政省令上の内容に適合する場合、これに同意するものとする。
規制の特例措置の適用
計画が認定された場合に、この法律や政省令で定められた規制の特例措置が適用される。

構造改革特別区域推進本部の設置(内閣総理大臣が本部長)
構造改革特別区域制度の集中的・一体的な推進、総合調整

(参考2)

構造改革特別区域における特別養護老人ホームへの株式会社の参入について

 自治体より、特区において、特別養護老人ホームの経営主体として株式会社の参入を容認すべきとの提案あり。
 現在、特別養護老人ホームの経営主体は、自治体・社会福祉法人に限られている。

 これに対し、下記のような仕組みで提案を受け入れ。
特別養護老人ホームのベッド数が計画を下回っている地域

特区を希望する自治体が申請
内閣総理大臣による特区の認定
自治体の関与の下で、株式会社の参入を容認

公設民営方式
特区法で定める基準を満たす法人に管理委託
  PFI方式
特区法で定める基準を満たすPFI事業者が運営

特区法で定める基準
  ・・・特別養護老人ホームの運営に必要な経済的基礎があること等

(参考3)

○ 構造改革特別区域法(平成十四年法律第百八十九号) 抄

 (老人福祉法の特例)
第十八条  地方公共団体が、その設定する構造改革特別区域の全部又は一部が属する特別養護老人ホーム不足区域(介護保険法(平成九年法律第百二十三号)第百十八条第二項第一号の規定により都道府県が定める区域であって、当該区域における特別養護老人ホーム(老人福祉法(昭和三十八年法律第百三十三号)第二十条の五に規定する特別養護老人ホームをいう。以下この条及び次条並びに別表第八号及び第九号において同じ。)の入所定員の総数が、同法第二十条の九第一項の規定により都道府県が定める都道府県老人福祉計画において定める当該区域の特別養護老人ホームの必要入所定員総数を下回る区域をいう。以下この条及び次条において同じ。)において特別養護老人ホームの設置を促進する必要があると認めて内閣総理大臣の認定を申請し、その認定を受けたときは、当該認定の日以後は、選定事業者(民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律(平成十一年法律第百十七号)第二条第五項に規定する選定事業者をいい、社会福祉法人(社会福祉法(昭和二十六年法律第四十五号)第二十二条に規定する社会福祉法人をいう。以下この条及び次条において同じ。)を除く。以下この条において同じ。)である法人は、老人福祉法第十五条第一項から第五項までの規定にかかわらず、当該構造改革特別区域内の特別養護老人ホーム不足区域(次条において「特定区域」という。)において、厚生労働省令で定めるところにより、都道府県知事(地方自治法第二百五十二条の十九第一項の指定都市(以下この項において「指定都市」という。)及び同法第二百五十二条の二十二第一項の中核市(以下この項において「中核市」という。)においては、当該指定都市又は中核市の長。以下この条において同じ。)の認可を受けて、特別養護老人ホームを設置することができる。
 都道府県知事は、前項の認可の申請があったときは、老人福祉法第十七条第一項の規定により厚生労働大臣が定める基準に適合するかどうかを審査するほか、次に掲げる基準によって、その申請を審査しなければならない。
   特別養護老人ホームを経営するために必要な経済的基礎があること。
 特別養護老人ホームの経営者が社会的信望を有すること。
 実務を担当する幹部職員が社会福祉事業に関する経験、熱意及び能力を有すること。
 特別養護老人ホームの経理が他の経理と分離できる等その性格が社会福祉法人に準ずるものであること。
 脱税その他不正の目的で特別養護老人ホームを経営しようとするものでないこと。
 都道府県知事は、前項に規定する審査の結果、その申請が、同項に規定する基準に適合していると認めるときは、第一項の認可を与えなければならない。
 都道府県知事は、前項の認可を与えるに当たって、特別養護老人ホームの適正な運営を確保するために必要と認める条件を付することができる。
 老人福祉法第十五条第六項、第十五条の二第二項、第十六条第三項及び第四項、第十九条並びに附則第七条の規定の適用については、選定事業者である法人を社会福祉法人とみなす。この場合において、同法第十五条第六項中「第四項の認可の」とあるのは「構造改革特別区域法(平成十四年法律第百八十九号)第十八条第一項の認可の」と、同項及び附則第七条第一項中「養護老人ホーム若しくは特別養護老人ホームの所在地」とあるのは「特別養護老人ホームの所在地」と、「養護老人ホーム若しくは特別養護老人ホームの入所定員」とあるのは「特別養護老人ホームの入所定員」と、同法第十五条第六項中「、第二十条の九第一項の規定により当該都道府県が定める都道府県老人福祉計画において定めるその区域の養護老人ホーム若しくは特別養護老人ホームの必要入所定員総数に既に達しているか、又は当該申請に係る養護老人ホーム若しくは特別養護老人ホームの設置によつてこれを超えることになると認めるとき、」とあるのは「当該申請に係る特別養護老人ホームの設置によつて第二十条の九第一項の規定により当該都道府県が定める都道府県老人福祉計画において定めるその区域の特別養護老人ホームの必要入所定員総数を超えることになると認めるとき」と、「第四項の認可を」とあるのは「構造改革特別区域法第十八条第一項の認可を」と、同法第十五条の二第二項中「前条第三項の規定による届出をし、又は同条第四項」とあるのは「構造改革特別区域法第十八条第一項」と、同法第十六条第四項中「前条第六項」とあるのは「構造改革特別区域法第十八条第五項の規定により読み替えて適用する第十五条第六項」と、同項、第十九条及び附則第七条中「養護老人ホーム又は特別養護老人ホーム」とあるのは「特別養護老人ホーム」と、同法第十九条第一項及び附則第七条第一項中「第十五条第四項」とあるのは「構造改革特別区域法第十八条第一項」と、同法第十九条第二項及び附則第七条第二項中「前項」とあるのは「構造改革特別区域法第十八条第五項の規定により読み替えて適用する前項」と、同法附則第七条第一項中「、第二十条の九第一項の規定により当該都道府県が定める都道府県老人福祉計画において定めるその区域の養護老人ホーム若しくは特別養護老人ホームの必要入所定員総数に既に達しているか、又は当該養護老人ホーム若しくは特別養護老人ホームの設置によつてこれを超えることになると認めるとき、」とあるのは「当該特別養護老人ホームの設置によつて第二十条の九第一項の規定により当該都道府県が定める都道府県老人福祉計画において定めるその区域の特別養護老人ホームの必要入所定員総数を超えることになると認めるとき」と読み替えるものとする。
第十九条  地方公共団体が、その設定する構造改革特別区域の全部又は一部が属する特別養護老人ホーム不足区域において特別養護老人ホームの設置を促進する必要があると認めて内閣総理大臣の認定を申請し、その認定を受けたときは、当該認定の日以後は、当該地方公共団体は、老人福祉法第十五条第一項から第五項までの規定にかかわらず、特定区域において、その設置する特別養護老人ホームの設置の目的を効果的に達成するため必要があると認めるときは、条例で定めるところにより、次に掲げる基準に適合すると認められる法人にその管理を委託することができる。
   特別養護老人ホームを管理するために必要な経済的基礎があること。
 特別養護老人ホームの管理者が社会的信望を有すること。
 実務を担当する幹部職員が社会福祉事業に関する経験、熱意及び能力を有すること。
 特別養護老人ホームの経理が他の経理と分離できる等その性格が社会福祉法人に準ずるものであること。
 脱税その他不正の目的で特別養護老人ホームを管理しようとするものでないこと。
 地方公共団体は、前項の規定により管理を委託するに当たって、特別養護老人ホームの適正な運営を確保するために必要と認める条件を付することができる。


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