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5.介護給付の適正化等について

(1)介護給付適正化の取組について

     要介護者の増加などに伴い介護サービス量の一層の増加が見込まれる中、制度の安定的な運営を確保するためには、各保険者等における介護費用や介護サービスの適正化に向けた取組みが、今後は重要な課題となると考えている。
 国としても、今般、14年度補正予算案及び15年度当初予算案において新規に給付適正化のための財政的支援を盛り込んだところであり、保険者の主体的な取組みを中心に積極的に支援を行っていくこととしている。
 また、厚生労働省としても、今般老健局内に「介護給付適正化対策本部」を設置し、全局的な取組体制の整備を行ったところであり、今後、給付適正化のための具体的な取組方策例を、検討し、提示していく考えである。

○ 介護費用適正化対策事業費(【H14補正】15.3億円)
 国民健康保険団体連合会において給付状況を多角的に分析するシステムを構築し、保険者の介護費用適正化のための取組みを支援する。

○ 介護費用適正化特別対策事業費(【H15】70億円)
 市町村等における介護給付の適正化に向けた取組みを支援するためのメニュー事業(内容は追って決定)などを実施

(2)事業者指導、市町村指導等について

ア 介護保険施設等の適正な運営の確保について

    平成12年4月の制度発足以来、介護保険施設等における介護サービスは概ね適切に提供されているところであるが、一部には不適切な介護サービスの提供、不正な介護給付費の請求など、極めて憂慮すべき不祥事が起こっている。全国で不正請求や指定基準違反などにより指定取消等となったものは、平成12年度は7事業所、13年度は30事業所、14年度は12月末までで69事業所と増加してきている。
これら、取消処分を行った都道府県数は23であり、未だ取消処分が行われていない県は24となっている。
 このような状況を踏まえ、特に次の点に留意して今後の指導・監査を実施されるようお願いしたい。

(ア)都道府県・保健所設置市等における指導の充実

1) 指導体制の確立及び指導の充実

    国が実施したこれまでの都道府県・保健所設置市等への指導・助言の結果、一部について介護保険施設等に対する指導体制、指導計画や指導状況が不十分であるところが認められた。最近の指定取消等悪質な事案の増加も踏まえ、指導体制の確立及び指導の充実を図ること。

2) 指導・監査部門の連携

    指導・監査の実施に関しては、関連する社会福祉法人、老人福祉施設、医療監視、医療保険の各指導・監査担当部門と連携の上、その円滑かつ効率的な実施を図ること。

(イ)適切な指導・監査の実施

1) 的確な事実の把握

    介護保険施設等の指導・監査に当たっては、関係書類の収集・分析及び開設者や従業者等からの事情聴取、さらには必要に応じ、利用者の協力も得ながら事実確認を的確に行うことが必要である。すなわち、把握された事実が介護保険法等の法令に照らして適正かどうかを検証する必要がある。また、指定取消という行政処分を視野においた場合には、指定の取消しを規定した介護保険法関係条文に該当しているかどうかを検証する必要がある。

2) 適切な是正改善指導と厳正な対応

    こうした事実を確認した上、事案の軽重等を勘案し、改善のための行政指導や、指定の取消事由に該当する場合には毅然とした行政処分による対応が必要である。
 なお、不正請求により指定取消処分を行ったものについては、保険者とも連携し、告訴又は告発を検討するなど厳正な対応を図っていただきたい。
 また、全国的に整合性のとれた指導・監査の実施を確保する観点から、指定取消等の介護保険法に基づく行政処分の必要性が考えられる場合には、速やかに介護保険指導室あて連絡をお願いしているところであるが、引き続きよろしくお願いしたい。

イ 市町村(保険者)指導について

    市町村(保険者)に対するこれまでの指導結果をみると、概ね適正な業務の運営が行われているが、一部には要介護認定の法定期限内処理が守られておらず、また、遅延通知も行われていない、委託した認定調査が適正に実施されていない、保険料や利用料の減免措置が適正でないなど、改善すべき点がみられた。
 このような状況を踏まえ、各都道府県におかれては、引き続き、すべての市町村(保険者)に対し、原則年1回の実地指導をお願いしたい。

ウ 国における指導について

    国と各都道府県・保健所設置市等との合同指導については、平成12年5月12日付の老人保健福祉局長通知において示した指導指針に基づき、引き続き本省及び地方厚生局において業務分担して実施することとしているので、それぞれの部署と十分な連携と協力をお願いしたい。


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