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4.介護保険制度の運営について

(1)第2期介護保険事業運営期間の保険料設定について

ア 介護報酬の新単価設定と保険料設定

    介護報酬の改定については、2001年10月から社会保障審議会介護給付費分科会において審議されてきたところであるが、先般閣議決定された平成15年度予算案において、改定幅が全体で2.3%の引き下げ(在宅サービス分は平均0.1%の引き上げ、施設サービス分は平均4.0%の引き下げ)とされているところである。また、個々の報酬単価については、1月下旬に諮問し、答申を得た上で決定することとしている。
 今回の改定幅については、近年の賃金・物価の下落傾向や介護事業者の経営状況も考慮しながら保険料の上昇幅をできる限り抑制する見地から決められたものであることから、各市町村の次期介護保険料の設定においても、保険料水準に介護報酬の改定が適切に反映されるよう、各都道府県の助言をお願いする。

イ 給付と負担のバランスや住民への情報提供等を踏まえた保険料設定

    第2期事業運営期間に向けて、各保険者は、給付と負担のバランスを充分に踏まえるとともに、在宅重視の観点から地域における介護サービスのあり方を充分に検討しながら、最終的な保険料設定の作業に取り組んでいるものと考えている。
 また、平成15年度においては制度運営上、初めての保険料改定となることから、特に保険料水準の引上げとなる市町村においては、住民に対する充分なPRを行い、保険料が改定されることについて住民の理解を得ておくことが制度を円滑に実施する上で重要であるので、この旨を各保険者に助言されるようお願いする。

ウ その他

(ア)保険料の6段階設定について

    多くの市町村においては、次期保険料額が引き上がることが予想されるが、こうした市町村においては、低所得者の理解を得るため、政令でも明記されている6段階方式を導入することは有効な方策であると考えられる。
 平成14年10月時点での保険料6段階制導入に向けた全国の検討状況によると、次期保険料で6段階制導入方向の保険者は、既に実施済みの11保険者のほか、117保険者が導入する方向であり、505保険者が導入の可否も含めて検討中となっている。
 現在検討中の市町村においても、次期保険料における導入について積極的に検討いただくよう重ねてお願いしたい。

(参考)保険料6段階制の導入・検討状況(平成14年10月時点)
保険料6段階制の導入・検討状況 保険者数
現行保険料において既に導入済み 11(0.4%)
検討の上、次期保険料において導入の方向 117(4.2%)
次期保険料において導入するか否か検討中 505(18.1%)
まだ検討していないが、追って検討の予定 441(15.8%)
検討の上、次期保険料において導入しない方向 1,072(38.4%)
検討しておらず、その予定もない 644(23.1%)
合計 2,790(100.0%)

(イ)保険料の単独減免について

    保険料の単独減免については、従来申し上げてきたとおり、
 1) 保険料の全額免除
 2) 収入のみに着目した一律の減免
 3) 保険料減免分に対する一般財源の繰入れ
については適当ではないと考えており、引き続き、市町村において適切に対応されるようよろしく御配慮いただきたい。

(2)広域化の推進に向けた取組について

     介護費用が増大する中で、特に小規模な保険者が介護保険制度を安定的に運営するためには、保険財政の広域化が有効な方法と考えている。
 平成14年11月1日現在で、保険財政の広域化を実施したのは461市町村(64地域)であり、第2期事業運営期間開始後は、更に保険財政の広域化を実施する地域が増える見込みである。広域化を更に推進する見地から国としても、以下のような財政支援を行うこととしているので、各都道府県としても、保険者に対する広域化の働きかけをお願いしたい。

   
 介護保険広域化支援事業費(【H14補正】10億円【H15】5.5億円)
広域化を行う地域のシステム構築経費等への支援

 (新)広域化等保険者支援事業費(【H15】17.6億円)
小規模で保険料が高額となる市町村が広域化を図る場合等に財政支援

(3)低所得者に対する介護保険サービス利用者負担額の軽減措置について

ア 法施行時の訪問介護利用者に対する利用者負担軽減措置事業

    本事業は、介護保険法の施行時に低所得者であって既に訪問介護を利用していた高齢者について、利用者負担が応能負担から定率1割負担になったことにより利用料が急増することのないよう、激変緩和の観点から経過措置として講じているものである。
 この経過措置については、その導入時において、平成12年度から3年間は3%とし、その後段階的に引き上げ、平成17年度から本来の1割負担とすることとしていたところであり、この趣旨を踏まえ、平成15年7月から6%に引き上げることとしている。
 ついては、対象者への広報や減額認定証の発行に当たっての留意など、管内の市町村への周知徹底・指導をお願いしたい。

イ 社会福祉法人による生計困難者に対する介護保険サービス利用者負担軽減措置事業

    本事業は、当該市町村における第1号被保険者の中で最も生計が困難な者から10%程度の範囲内の者を対象としているところであるが、平成15年度からは、対象者の範囲を15%程度の範囲内に拡大するとともに、本事業の対象経費として、従来から対象としている訪問介護等の利用者負担のほかに、平成15年度から運営が開始される小規模生活単位型の特別養護老人ホームの居住費も対象とすることとしている。
 この点についても、管内の市町村への周知徹底をお願いしたい。

 減免措置対象者の拡大
     (現行)
 市町村内における第1号被保険者の中で
 最も生計が困難な者から10%程度
 → 
(変更後)

15%程度

 対象経費の拡大
     (現行)
訪問介護の利用者負担額
通所介護の利用者負担額
短期入所生活介護の利用者負担額
指定介護老人福祉施設の利用者負担額









 → 

     (追加)

小規模生活単位型の特別養護
老人ホームの居住費負担額

(4)要介護認定方法の改訂について

     要介護認定の改訂については、厚生労働省に、平成12年8月に「要介護認定調査検討会」を設置し検討してきたところ、平成13年2月〜6月に全国で実施した「高齢者介護実態調査」や、同年11月〜14年1月に全市町村で実施した「要介護認定に関する調査」の結果及び本検討会での議論を踏まえ、要介護認定ソフト(改訂版)を作成したところである。
 この改訂版ソフトを用いて、昨年、全市町村でモデル事業を実施していただいたところであるが、現在、その結果について取りまとめを行っており、本モデル事業の結果を踏まえ、本年4月以降の要介護認定方法についての周知を行うこととしている。
 具体的には、認定調査委員が行う認定調査や、介護認定審査会における審査判定の方法について詳細なテキストをお示しして周知を行うとともに、新しい要介護認定ソフトのテスト版を配布し、操作方法について習熟していただきたいと考えている。
 2月には、各都道府県の担当者と、円滑な移行についての意見交換会を開催する予定であり、積極的な御意見をいただきたいと考えている。
 3月には、新しい要介護認定ソフトを配布し、認定支援ネットワークでの送信等のシステムのテストをしていただく予定であり、これら一連の準備作業を通じて、4月以降の新しいソフトに基づく要介護認定への円滑な移行について御準備願いたい。
 新しい要介護認定ソフトは、要介護認定等基準時間の推計の精度が向上したことや痴呆の者の一次判定をより正確に判定することが可能となったこと、さらに、二次判定での判断の参考指標を充実させるなどの工夫を行っていることから、介護認定審査会において、一層、公平公正かつ効率的な審査判定が可能になるものと考えられる。
 さらに、平成15年度においては、要介護認定の適正な実施を一層推進する観点から、都道府県が実施する介護認定審査会長や市町村職員を対象とした研修を新規に補助対象とするとともに、要介護認定実態調査を実施し、その結果をもとに、要介護認定に係る手引き等を作成する予定なので、御協力願いたい。


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