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連絡事項

総務課


1.原爆被爆者対策等

 原爆被爆者対策については、被爆者の高齢化に伴う保健、医療、福祉にわたる総合的な施策を引き続き推進することとしている。
 平成15年度においては、特に以下の点に留意し、その円滑な実施に努められたい。

(1) 各種手当の支給額等について
 平成15年度の健康管理手当等の各種手当の支給額については、物価スライドの特例措置として平成14年の消費者物価の下落分(マイナス0.9%〜1.0%の見込み)の額の改定とする法律案を第156回通常国会に提出する予定である。
 なお、平成15年4月以降の介護手当の上限額については、平成14年度の人事院勧告(△2.03%)をもとに、重度 108,300円以内から106,100円以内に、中度 72,200円以内から 70,730円以内に額の改定を行うこととしている。
 
(2) 福祉事業の国庫補助の対象拡大について
 被爆者が、特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)等に入所する場合の費用負担分に対する助成事業等については、平成13年度から、費用負担1/2の国庫補助の対象を全国の都道府県に拡大したところであるので、未実施の都道府県においては、実施されるよう御努力願いたい。
(参考)
 ○平成14年12月末の事業実施自治体 : 44都道府県、広島市、長崎市

 
(3) 在外被爆者に対する支援について
 在外被爆者に対する支援については、平成14年度に引き続き、在外被爆者が被爆者健康手帳の交付を受けるための渡日支援等の事業を、対象者を増やしたうえで実施することとしている。
 また、昨年12月5日の大阪高等裁判所の「日本において被爆者健康手帳を取得し、健康管理手当の支給認定を受けた者が、後に出国しても、引き続き健康管理手当を受給できる」ことを内容とした判決に対して、被爆者援護法が「人道的目的の立法」であるとの側面を有することを踏まえ、上訴を行わなかった。この決定に伴い、@今後、日本国内において手帳を取得した者が、国内で手当の支給認定を受けた場合には、出国した後も手当の支給を行う、A過去に、いったん手当の支給認定を受けていて、国外に出国したことにより手当が支給されなくなった者については、公法上の時効( 5年)を考慮しつつ、支給認定期間の未支給期間分について、遡及して手当を支給することとしており、現在、所要の政省令の改正や通知の見直しを準備中である。詳細は後日お知らせするので対応方よろしくお願いいたしたい。
 
(4) 原爆被爆者追悼事業等の推進について
 原爆死没者追悼平和祈念館は、国が原爆死没者の尊い犠牲を銘記し、恒久の平和を祈念するため広島及び長崎に設置するものであり、広島の祈念館は平成14年 8月に開館し、長崎の祈念館は平成15年度の開館に向けて、現在、開設準備を進めているところである。
 この広島、長崎両祈念館においては、原爆死没者の氏名及び遺影(写真)を遺族の申し出に基づき収集・登録し、入館者の閲覧に供することとしている。
 収集数は、平成14年12月末現在、広島祈念館 6,895件、長崎祈念館 3,600件、両祈念館合わせて 10,495件となっている。
 各都道府県においては、原爆死没者の遺影収集に係る広報について、その遺族等に対して一層の周知を図っていただくよう御協力をお願いしたい。
 また、地域及び職域で行われる慰霊式典等に対する助成についても、引き続き行うこととしているので、これについても事業の実施に御協力をお願いする。
 
(5) 被爆二世健康診断の実施について
 被爆二世(以下「二世」という。)に対する健康診断については、各都道府県、広島市及び長崎市への委託事業として引き続き15年度においても実施する。年度の早い時期から実施できるよう準備願いたい。
 なお、被爆二世健康診断は、二世の健康不安解消を目的とするものであるので、各都道府県、広島市及び長崎市におかれては、引き続き当該健診の目的に沿った受診の周知に努めていただくようお願いしたい。
 
(6) 毒ガス障害対策
 第二次大戦中、広島県大久野島にあった旧陸軍造兵廠忠海製造所等、福岡県北九州市にあった同曾根製造所及び神奈川県寒川町にあった旧海軍相模海軍工廠において毒ガス製造に従事していた方の中には、毒ガスによる健康被害が多く見られたことから、厚生労働省は、国との雇用関係に基づかない動員学徒等の被害者(旧令共済組合等の組合員であった者については財務省)に対して広島県、福岡県及び神奈川県に委託して健康診断、医療費、各種手当の支給等の救済措置を講じているところであり、平成14年3月末現在における救済措置対象者数は、2,646人となっている。各都道府県においては、高齢者に対し、毒ガスによる健康被害を有する方々に対する事業の周知に努めていただくようお願いしたい。
 なお、平成15年度の各種手当の支給額については、平成14年の消費者物価の下落分(マイナス0.9%〜1.0%の見込み)の額の改定を行う。
 また、平成15年4月以降の介護手当の上限額については、原爆被爆者に対する手当と同様の額の改定を行うこととしている。


2.地域保健対策

(1) 地域保健の推進
 地域保健対策については、地域保健法及び同法に基づいて制定されている「地域保健対策の推進に関する基本的な指針」(以下「基本指針」という。)に基づき、進められているところであるが、平成12年3月には基本指針の一部改正が行われ、地域における健康危機管理体制の確保、介護保険制度の円滑な運用のための地域保健対策としての取組の強化、ノーマライゼーションの推進、21世紀における国民健康づくり運動の推進等を新たに定めたところである。
 各地方公共団体においては、引き続き、これらに基づき地域保健対策の一層の推進を図られたい。
 
(2) 地域における健康危機管理体制の推進
 近年、地域における健康危機事例が頻発し、地域における健康危機管理の在り方が問われている。このため、各地方公共団体においては、改正後の基本指針や「地域における健康危機管理について〜地域健康危機管理ガイドライン〜」(平成13年3月30日健総発第17号:健康局総務課長通知)を踏まえて、健康危機管理における保健衛生部門の役割分担の明確化や健康危機情報の収集・伝達体制の整備に努めるとともに、保健所と本庁、地方衛生研究所等の関係機関、関係団体との連携の強化等を一層推進していただきたい。
 また、イエメン沖やインドネシア・バリ島における爆発事件が発生するなど、再びテロへの不安が高まり、昨年10月に、各種テロ対策について改めて再点検するとともに、今後ともテロ情勢に的確に対応して、引き続き強化推進することが関係閣僚により確認された。これを受けて厚生労働省としても、「国内でのテロ事件発生に備えたテロ対策の再点検等について」(平成14年10月29日健発第1029006号:健康局長通知)を通知したところである。各地方公共団体におかれては、これらの通知の趣旨等を踏まえ、引き続き地域における健康危機管理体制の充実強化に努められたい。
 なお、健康危機管理に関する資質の向上のため、平成13年度より実施している「健康危機管理保健所長研修」について、未受講の保健所長においては、今後の研修において受講をお願いするとともに、平成15年度は地方衛生研究所長等にも対象を拡大して実施することとしているので御了知頂きたい。
 さらに、今年度には、地域における健康危機管理対応のための支援を行う「健康危機管理支援情報システム」を構築し、平成15年度以降も計画的に整備を図ることとしているので、本システムの有効な活用が図られるよう各地方公共団体におかれても特段の御配慮をお願いする。
 
(3) 保健師等の人材確保及び資質の向上

ア. 保健師の確保
 保健師の確保については、平成12年度までに市町村保健師及び都道府県保健師として約31,000人分の地方財政措置が講じられてきたところであるが、新たに介護予防事業・老人保健事業・児童虐待予防等の実施に必要な保健師を計画的に増員するため、平成13年度の地方財政計画において、平成13年度から平成16年度までにかけて、都道府県73人、市町村1,282人、総数1,355人の増員を行うものとされ、平成15年度においても計画に沿った増員が措置されることとなっている。
 また、健康づくりの推進(ヘルスアッププラン)として、平成14年度から地方公共団体における健康づくり・疾病予防対策の取り組みに対して、地方財政措置が講じられており、平成15年度も引き続き措置されることとなっているが、この事業例としては、地方健康増進計画の策定・推進、青壮年層を対象とした健康教育の充実、公民館等への健康相談コーナーの設置、健康スポーツの振興などが挙げられており、これらの事業を推進するための非常勤保健師等の雇い上げ経費が含まれている。
 都道府県、政令市、特別区においては、定員削減の方向にある中ではあるが、地域保健ニーズに対応した対策の推進のため、保健師の増員計画に沿った人材確保及びそのための管下市町村への助言方をよろしくお願いする。
イ. 小規模町村対策
 保健師の未設置町村及び1人設置町村は年々減少してきているが、平成13年3月31日現在の保健師の設置状況は、未設置町村が7、1人設置町村が137といまだ人材確保の困難な町村も存在している。
 都道府県においては、各都道府県の人材確保支援計画に基づき、今後ともこれら保健師等の人材確保が困難な町村と十分連携を図り、「特定町村人材確保対策事業」を活用して人材の確保及び資質の向上に努めていただきたい。
ウ. 地域保健関係職員等の資質の向上
 新たな健康課題に対応した地域保健対策の推進を図るためには、人材の確保ととともに人材の資質の向上が重要な課題である。このため、平成14年度に「地域保健従事者の資質の向上に関する検討会」を開催して、初任期の研修体制、少人数配置職員の現任教育体制、効果的・効率的な研修方法や研修体制について検討を行っているところである。この成果に基づき、平成15年度予算案において、新任時期の人材育成について、適切な現任教育プログラムを実践している事例の収集や分析を行うための検討会の開催について、新たに計上しているので御了知願いたい。
 都道府県、政令市、特別区においては、健康増進法に基づく健康づくり活動の推進や心の健康問題への対応、保健指導技術の向上、企画・調整機能の強化、虐待予防やC型肝炎に関する保健指導従事者研修等、「地域保健関係職員等研修事業」を活用して地域保健関係職員等の資質の向上のための事業の実施に特段の御配慮をお願いする。

(4) 地域・職域の保健活動の推進
 生活習慣病の予防のためには、個人の主体的な健康づくりへの取り組みが重要であり、そのためには、健康教育、健康相談、健康診査等の保健事業による生涯を通じた継続的な健康管理の支援が必要である。
 このため、平成13年度に「生活習慣病予防のための地域・職域連携保健活動検討会」を開催して健診情報の総合管理及び活用、効果的・効率的な地域・職域連携保健事業の推進等に関する検討を行ったところである。
 また、平成13年度から実施している地域職域健康管理総合化モデル事業については、平成15年度においてモデル事業の成果をまとめ、地域・職域の連携による継続的な健康管理を行う方法の普及に関して検討することとしている。
 さらに、地域保健・職域保健等の関係機関からなる協議会を設置し、健康教育等の保健事業を相互に活用したり共同で行う等の地域職域連携共同モデル事業を平成15年度においても継続的に実施することとしている。
 都道府県、政令市、特別区におかれても、当該モデル事業を参考として地域・職域の保健活動の連携の推進に努められたい。
 
(5) 市町村保健センターの整備
 市町村保健センターについては、国民の健康づくりに対する関心が年々高まる中、住民に密着した健康教育、健康相談、健康診査等の対人保健サービスを総合的に行う拠点として、また、地域住民の自主的な保健活動の場として、その役割が増大してきているところである。
 このため、市町村保健活動の重要な拠点となる市町村保健センターの適切かつ円滑な整備促進を図る観点から、平成15年度予算(案)においても必要な額を計上したところである。
 各都道府県におかれても、整備の促進について特段の御配慮をお願いする。
 
(6) 地方衛生研究所の機能強化について
 地方衛生研究所については、改正後の基本指針により、地域における科学的かつ技術的な中核となる機関として再編成し、その専門性を活用した地域保健に関する総合的な調査及び研究を行うとともに、当該地域の地域保健関係者に対する研修を実施することが規定されており、地域保健対策の推進において、大きな役割が期待されている。
 今後とも、基本指針、平成9年の「地方衛生研究所の機能強化について」(平成9年3月14日厚生省発健政第26号:事務次官通知)、平成13年3月の「地域健康危機管理ガイドライン」等を踏まえ、精度管理及びリファレンス活動の推進、健康危機管理の観点からの体制づくり、調査研究等の企画調整及び組織強化、情報関連機能の充実強化等を通じ、地方衛生研究所の機能強化につき、特段の御配慮をお願いする。



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