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まとめ
 酸素欠乏症等災害の特徴は、被災者の死亡率が非常に高いことに加え、二次災害による死亡率も高いことである。酸素欠乏症等災害の発生は、測定未実施、換気未実施、空気呼吸器等未使用等、酸素欠乏症等予防規則に定められた基本的対策が講じられていないため発生していることが多く、これら適切な対策を講じることにより容易に防ぐことができる災害である。このため、関係事業者に対して、特に次の点の徹底を指導していく必要がある。
(1) 酸素欠乏症等の発生場所の殆どは、労働安全衛生法施行令別表第6に規定される酸素欠乏危険場所であることから、酸素欠乏症等の危険場所、酸素欠乏症等の発生原因、的確な防止措置について、労働衛生教育を行うこと。
(2)  過去10年間の災害原因を見ると、測定の未実施(65%)、換気の未実施(59%)が上位を占めており、未だ酸素欠乏症等を防止するための基本的な対策である「測定」及び「換気」が適切に行われていない状況が認められることから、(1)その日の作業を開始する前の空気中の酸素濃度、硫化水素濃度の測定の実施、(2)作業を行う場所の空気中の酸素濃度を18%以上、硫化水素濃度を10ppm以下に保つよう継続的な換気を実施すること。
(3)  平成14年に発生した硫化水素中毒の災害については、一度に複数の死亡者を出す災害が半数以上を占めた。これら災害の殆どは、空気呼吸器等を使用せずに被災者の救助に入った結果、二次災害を発生させ被害を拡大させたものであり、(1)空気呼吸器等の避難用具の備付け、(2)救出時の空気呼吸器等の使用などにより、このような二次災害を防止すること。


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