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[連絡事項]

(企画課)

1 障害者プランの推進について

(1)障害者プラン関係予算について

ア 平成7年12月に、障害者対策推進本部が策定した、「障害者プラン〜ノーマライゼーション7か年戦略」は、平成8年度を初年度とする7か年の計画であることから、平成14年度は、計画期間の最終年次となる。
 厚生労働省が所管する分野のうち、保健福祉分野については、在宅サービスや障害福祉施設の整備、相談支援事業などの各種保健福祉サービスの充実について、平成14年度の数値目標の達成に向け、積極的かつ着実なプランの推進に努めているところである。

イ 特に、平成15年度から、現在の措置制度に代わって導入される新たな利用契約制度(支援費制度)への円滑な移行のためにも、「障害者プラン」によるサービス提供基盤の整備が極めて重要である。

ウ このため、平成14年度予算案における障害者プラン関係予算(保健福祉分野)については、厳しい財政状況の中、約3,050億円(対前年度比5.9%増)が計上されたところであり、障害者プランの積極的な推進を図ることとしている。

エ また、障害者プランを推進していくためには、財政面における支援だけでなく、各自治体において、具体的な数値目標を設定した障害者計画が策定され、その達成に向けて施策を推進していくことも重要である。
 未だに数値目標を設定していない自治体については、「厚生省関係障害者プランの推進方策について」(平成8年11月15日障第219号厚生省大臣官房障害保健福祉部長通知)において示している具体的な数値目標の項目について、速やかに数値目標を設定するとともに、その目標の達成に努められたい。

(2)市町村障害者計画の策定推進について

ア 内閣府が行った地方障害者計画の策定状況調査によると、平成13年3月末現在の市町村障害者計画の策定率は74.9%であり、これを市区と町村に分けてみてみると、市区が95.5%であるのに対し、町村が69.4%となっており、そのうち数値目標が設定されている計画は、策定している市町村の37.8%にとどまっている状況にある。

イ 市町村障害者計画の策定は、障害者プランを推進していくうえで要となるものであることから、厚生労働省としても、広域圏域単位の事業推進を奨励していることも踏まえ、平成11年度から、「障害保健福祉圏域計画推進事業」を創設するなどして、広域的な計画策定の支援を行ってきているところである。

ウ しかしながら、未だに計画が策定されていない市町村を抱える都道府県については、該当市町村に対する積極的な指導をお願いする。
 なお、計画の策定にあたっては、必ず障害者の参画を得て的確なニーズ把握を行うとともに、地域の特性や実情に応じた内容となるよう留意願いたい。

(3)新たな「障害者基本計画」及び「障害者プラン」の策定について

 現在の「障害者対策に関する新長期計画」に続く新たな「障害者基本計画」については、障害者基本法において策定が義務づけられており、平成15年度からの10年間の計画に関する検討が内閣府を中心に行われることになる。
 また、「障害者基本計画」の重点施策実施計画としての「障害者プラン」についても、目標年度における現在のプランの達成状況も踏まえながら、新たな計画の策定について、内閣府を中心に検討していくこととしている。

2 HIV感染者に対する障害認定等におけるプライバシーの保護について

ア HIV感染者の身体障害認定については、平成10年4月1日に施行され、まもなく丸4年を迎えるところであるが、HIV感染者が安心して障害者に係るサービスを利用できるようにしていくためには、障害認定の窓口業務等に携わる者を始めとする多くの関係者が、HIV感染者への理解を深め、プライバシーに十分配慮した適切な対応を行うことが重要である。

イ このため、本年1月に、身体障害認定基準のガイドラインである「『ヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能の障害』身体障害認定の手引き」(H10.10発行)を改訂し、各都道府県等におけるプライバシー保護のための具体的な事例を追加するなどして、すべての都道府県、市町村の障害保健福祉部局に配布し、一層の周知徹底を図るようお願いしたところである。
 なお、こうしたプライバシーの保護に関する取り組みは、HIV感染者に限らず、他の障害を持つ方々に対しても十分に配慮されるべき問題であり、各種の申請書類の様式や取り扱い、身体障害者手帳のページ配置等に至るまで、様々な工夫の余地があることを再認識されたい。

ウ また、障害福祉部局の窓口以外の一般行政窓口での障害者に係るプライバシー保護についても、十分留意されるよう、関係部課・関係機関に対する助言方、お願いしたい。

3 障害者ケアマネジメント体制整備推進事業について

ア 障害者ケアマネジメントの普及については、平成9年度から「体制整備検討委員会」「ケアマネジメント従事者養成研修」「推進事業」の3本柱で構成される「障害者ケアマネジメント体制整備推進事業」を試行的に実施してきたところであり、試行事業としては平成14年度をもって終了する。

イ 平成15年度から、障害者ケアマネジメントを本格的に導入していくことを念頭に、厚生労働省においては平成12年度から新たに体制整備検討委員会を設置し、3障害全てを対象とした総合的なケアマネジメント体制の在り方を検討してきたところであるが、今年度は、昨年度の検討会での報告書に基づき、3障害共通の「障害者ケアガイドライン」の策定を進めているところである。

ウ このような状況の中で、平成14年度は、すべての都道府県・指定都市において、試行的事業を一層積極的に展開していただきたいと考えている。
 とりわけ、事業の実施に際しては、対象圏域で連絡調整会議を設置し、「障害者ケアガイドライン」に基づく総合的な障害者ケアマネジメントの実践的な試行事業が行われるよう、特段の御配慮をお願いしたい。

エ なお、平成15年度以降の予定については、以下のように考えている。


(企画課国立施設管理室)

国立更生援護施設等の運営について

 国立更生援護施設は、身体障害者のリハビリテーションに関する施策を推進するため、医療から職能訓練までの総合的なリハビリテーションを実施し、その成果を全国の関係施設等に普及させることを目的として設置・運営されている。
 各都道府県・指定都市・中核市におかれては、管内の障害者(児)のリハビリテーションの需要等に応えるため、これら国立施設の訓練内容、処遇技術、情報提供、人材育成等の機能を有効に活用されるようお願いする。
 また、平成12年6月の身体障害者福祉法の改正に伴い、平成15年4月から国立身体障害者更生援護施設への入所についても利用契約制度に移行することとなり、改正法において国立施設の入所に関する規定が新たに定められたところである。国立施設においては、支援費制度が適用されず、入所に当たっては他の身体障害者更生援護施設への入所とは異なった手続きが必要となることから、利用契約制度への円滑な移行に向け、入所に関する取扱い規定(厚生労働省告示)の整備や通知の改正を行うこととしている。

(1)国立身体障害者リハビリテーションセンター

 国立身体障害者リハビリテーションセンターにおいては、我が国の身体障害者の中核的リハビリテーション施設として、(1)総合的リハビリテーションの実施、(2)リハビリテーション技術の研究と開発、(3)リハビリテーション関係専門職員の養成・研修、(4)リハビリテーションに関する情報の収集と提供、(5)リハビリテーションに関する国際協力等を行っているところである。
 特に、平成14年度においては、次の事業について重点的に取り組むこととしているので、各都道府県・指定都市・中核市におかれては、当事業へのご理解とご協力方よろしくお願いしたい。

○ 高次脳機能障害支援モデル事業

 平成13年度からの3年計画のモデル事業として、国立身体障害者リハビリテーションセンターが中心となり、地方拠点病院等との連携のもと、高次脳機能障害(頭部外傷などの後遺症による記憶、判断、認知等の機能障害)の患者に対する標準的な「評価基準」及び「支援プログラム」の確立を図るため、「高次脳機能障害支援モデル事業」を実施しており、北海道、札幌市、宮城県、千葉県、埼玉県、神奈川県、名古屋市、三重県、大阪府、岐阜県、福岡県、北九州市の12道府県市の協力のもと、高次脳機能障害の症例の集積及び支援プログラムの作成に着手しているところである。平成14年度においては、第2年次目として、

(1) リハビリテーションサービス事業として、試行的実践を通じて標準的な「評価基準」及び「支援プログラム」を作成し、中間とりまとめ。

(2) 情報収集・提供事業として、国内外の高次脳機能障害者に係る統計資料等の収集及び情報提供。

(3) 研修事業として、具体的な研修カリキュラムの検討。
を実施することとしている。

(2)国立視力障害センター(国立光明寮)

 国立視力障害センターにおいては、視覚障害者の自立と社会参加を促進するため、(1)あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師を養成する理療教育、(2)中途失明者等に対して基礎的な日常生活動作等を修得させるための生活訓練を実施しているところである。
 ついては、これら各センターを各ブロックにおける視覚障害者のリハビリ施設として積極的に活用され、中途失明者等の視覚障害者の自立と社会参加への支援に努められたい。
 また、平成14年度より、各国立視力障害センター(国立函館視力障害センター、国立塩原視力障害センター、国立神戸視力障害センター、国立福岡視力障害センター)において、理療教育課程卒業生等の職業的自立の維持及び促進のため、高度かつ最新の臨床技術等の修得や施術所経営に関する経営技術等の修得を目的とした卒後特別研修会を実施することとしており、各都道府県・指定都市・中核市におかれては、これら研修事業への参加について、管下市町村、関係施設等に対する助言方お願いする。

(3)国立重度障害者センター(国立保養所)

 国立重度障害者センターにおいては、重度身体障害者の自立と社会参加を促進するため、医学的管理の下に各種リハビリテーションを実施しているところである。
 また、重度身体障害者更生援護施設のモデル施設として、特に脊髄(頸髄)損傷者を中心とした医学的リハビリテーション及び職能訓練等に重点的に取り組むほか、これら重度障害者の居宅生活を支援するための住宅改造に関する支援や専門職員等に対する実習・研修施設として重点的に機能しているところである。
 ついては、これら機能を積極的に活用されるよう管下市町村、関係施設等に対する助言方お願いする。

(4)国立知的障害児施設(国立秩父学園)

 国立知的障害児施設においては、唯一の国立知的障害児施設として、(1)知的障害の程度の著しい児童又は視覚等に障害のある知的障害児を入所させ、その保護・指導、(2)自閉症等の特有の発達障害を有する在宅の児童に対する「外来診療」及び「通園療育指導事業」、(3)知的障害児の保護指導業務に従事する専門職員の養成・研修を実施している。
 平成14年度においては、自閉症等対策への対応として、

(1) 自閉症等の特有な発達障害を有する障害児(者)及び家族等に対する専門的な相談指導、療育サービス等を行う拠点として、全国の知的障害児施設等に附置される「自閉症・発達障害支援センター」(仮称)(40頁参照)の職員に対する実践的療育技術に関する研修事業

(2) 保護者を対象に療育援助に関する情報の普及と障害への理解を目的とした「自閉症子育て支援セミナー」及び施設職員や教師等を対象に、実践を通じた援助技術の修得を目的とする「自閉症トレーニングセミナー」
など、自閉症等の特有の発達障害を有する児童等に対する療育支援の取り組みを強化することとしている。
 また、平成12年6月に知的障害者福祉法が改正され、平成15年4月から知的障害福祉に関する事務について市町村への委譲が行われることにより、知的障害者更生相談所の業務として、新たに市町村の更生援護の実施に関し、市町村相互間の連絡調整、市町村に対する情報の提供その他必要とする援助等を行うことが加わり、従来にも増して専門的知識が必要とされることとなった。このため、平成13年度より国立秩父学園において、知的障害者更生相談所の専門職員に対する研修会を実施しているところである。
 ついては、当該研修事業への参加について、管下市町村、関係機関等に対する助言方お願いする。

(5)全国身体障害者総合福祉センター(戸山サンライズ)

 全国身体障害者総合福祉センター(戸山サンライズ)は、昭和55年8月に、「国際障害者年の記念事業」として閣議決定され、国が設置した身体障害者福祉センターであり、身体障害者の自立更生と福祉の増進を図ることを目的として、各種の生活相談、障害者施策等に関わる職員の養成・研修、情報提供・啓発事業等を行っている。
 相談事業は、

ア 身体障害者にかかる生活、就職、法律、補装具等に関する相談
イ 国立身体障害者リハビリテーションセンターの入所相談
ウ 障害年金受給者等に対する年金相談

であり、来所による相談をはじめ、電話、文書、電子メール等による相談にも対応しているところである。
 また、研修事業は、全国の身体障害者福祉センター職員等を対象として、職務上必要な知識、技術等を習得させることを目的として次の研修を実施している。

ア 身体障害者福祉センター職員等の研修
イ 障害者福祉レクレーション指導者研修

 各都道府県・指定都市・中核市におかれては、管内の障害者福祉の推進、身体障害者福祉センター職員の資質向上等を図るため、これらの事業を有効に活用されるよう管下市町村、関係施設・団体等への助言方お願いする。

【連絡先】
全国身体障害者総合福祉センター(戸山サンライズ)
 〒162-0052 東京都新宿区戸山1-22-1
 TEL 03-3204-3611 FAX 03-3232-3621
 E-mail toyama@mub.biglobe.ne.jp
 URL http://www.normanet.ne.jp/~ww100006/index.htm


(企画課社会参加推進室)

1 障害者の社会参加促進事業について

 障害者の社会参加促進事業の実施については、従来よりその推進にご尽力いただいているところであるが、平成14年度においては、以下の方針により実施することとしているので、各事業の積極的な取り組みによって障害者の社会参加が一層促進されるよう努められたい。

(1)障害者生活訓練・コミュニケーション支援等事業

 情報通信技術(IT)の活用の推進については、政府が一体となって取り組んでいるところであるが、障害者施策においても、情報通信技術の利用機会や活用能力の格差(デジタル・ディバイド)是正の観点から、障害者の情報バリアフリーを推進しているところである。このため、平成13年度より、在宅の重度視覚障害者等が情報機器を使用する際に、障害あるが故に必要となる周辺機器及びソフト等を購入する場合、それに要する費用の一部を助成する「障害者情報バリアフリー化支援事業」を実施しているところである。
 平成14年度においては、(1)地域において、パソコンや周辺機器等の使用方法についての支援を行うパソコンボランティアを養成し、個々の障害者の求めに応じてこれを派遣する「パソコンボランティア養成・派遣事業」、(2)企業等から譲り受けたパソコンをリサイクルし、希望する障害者に無償で斡旋する「パソコンリサイクル事業」を新たに実施する予定であるので、「障害者情報バリアフリー化支援事業」と併せ、障害者の情報バリアフリーの総合的な推進が図られるよう、積極的な取り組みをお願いしたい。
 また、上記事業のほか、平成14年度においては、盲導犬の新規育成頭数の増を図るとともに、「盲ろう者向け通訳・介助員派遣試行事業」についても実施か所数の増を図る予定である。

(2)「障害者の明るいくらし」促進事業

 本事業については、都道府県障害者社会参加推進センター設置事業等の必須事業を始め、情報支援、スポーツ振興支援、啓発広報等、在宅の障害者が地域において共に暮らし、また、生活の質的向上を図るために重要な事業であることから、今後とも引き続き、事業の一層の推進に努められたい。また、事業の実施に当たっては、管下の障害者社会参加推進センターと緊密な連絡・調整を図り、身体、知的、精神の各障害分野の需要を踏まえつつ、均衡のとれた事業が実施できるよう配意願いたい。
 また、障害者の芸術・文化活動への参加を通じて、自立と社会参加の促進に寄与することを目的として、平成13年度に「障害者芸術・文化祭開催事業」を創設したところである。本事業については、都道府県持ち回り式で開催することとしており、平成13年度は大阪府において開催したところであるが、各都道府県におかれては、平成14年度以降の開催について、積極的な取組みをお願いしたい。

(3)市町村障害者社会参加促進事業

 本事業は、障害者の最も身近な市町村において障害者の自立と社会参加を促進するために行うものであり、障害者プランに基づき、概ね人口5万人規模を単位として実施することを目標として推進している。プラン最終年の平成14年度に おいても、引き続き事業の着実な推進を図るため、新たに70か所増の合計510か所で実施を予定している。
 なお、人口規模が小さいこと等により、市町村が単独で実施することが困難である場合には、障害保健福祉圏域内における複数市町村による共同事業として実施するなど、広域的な取り組みが必要である。したがって、今後ともこうした形での事業実施が必要な地域に対する指導及び調整に努められ、事業の一層の推進を図るようご尽力願いたい。
 また、人口5万人以上の市においても、未だ取り組みが行われていない市もあるので、平成14年度の実施に向けて特に重点的な指導をお願いしたい。

(4)市町村障害者生活支援事業

 本事業は、(1)在宅福祉サービス等の利用援助、(2)社会資源の活用や障害者自身の社会生活力を高めるための支援、(3)当事者相談等を総合的に実施することで障害者の地域生活を支援するものであり、また、平成15年4月より施行される支援費制度のもとでは、利用者に対する相談支援の中核的な役割を担うことが期待されている。障害者プランにおいては、障害保健福祉圏域(概ね人口30万人)に概ね2か所を目途に行うこととしている。
 しかしながら、本事業については全体に取り組みが低調であり、特に人口規模の小さい市町村において、その傾向が顕著である。小規模市町村にあっては、この事業がその全部又は一部を身体障害者療護施設等を運営している社会福祉法人等に委託することも可能であることから、障害保健福祉圏域内の複数市町村による共同実施について指導及び調整に努められ、事業の一層の推進を図られたい。
 なお、平成14年度においても、単独実施が可能な概ね人口15万人以上の市について、特に本事業の実施が促進されるよう重点的かつ積極的な指導をお願いしたい。また、広域実施の場合の核として期待される人口10万人以上の市についても、周辺町村を含めた共同実施について検討するとともに、その調整に時間を要する場合には先行的に単独で開始することも含め積極的な指導をお願いしたい。なお、事業の実施に当たっては、利用者の利便性に配慮した公共施設の有効活用や手話通訳者の配置など、障害者の円滑な利用に資する環境づくりにも十分配意願いたい。

2 障害者スポーツの推進について

(1)障害者スポーツの推進

 近年、障害者スポーツは、地域の中で確実に普及し、パラリンピックに代表される様々な競技大会により、広く国民の関心を集めるものとなってきている。このような状況の下、これからの障害者スポーツについては、スポーツが生活をより豊かにするという視点に立ち、生活の中で楽しむことができるスポーツ、さらに競技性を加味したスポーツとして意義づけ、障害者全体のスポーツの振興を図っていく必要がある。
 また、一昨年改正された身体障害者福祉法(第21条の4)において、地方公共団体は障害者のスポーツ活動への参加を促進する事業の実施をするよう明確に位置づけられたことから、平成13年11月21日障発第529号厚生労働省障害保健福祉部長通知「障害者スポーツの振興について」により、事業実施に当たっての留意事項を示すとともに、障害者スポーツの中核組織である財団法人日本障害者スポーツ協会の役割を明確にしたところである。
 各都道府県・指定都市におかれては、これらを踏まえ、日本障害者スポーツ協会をはじめ管下障害者スポーツ関係団体等との十分な連携を図り、障害者スポーツの一層の振興に努められたい。
 なお、今年度より障害者全体のスポーツの振興を図る観点から身体障害者と知的障害者のスポーツ大会を統合して開催した「全国障害者スポーツ大会」について、その大会開催規程を定めた厚生労働大臣告示を昨年12月18日に行ったところであるので了知されたい。

(2)障害者スポーツ大会の開催

ア 全国障害者スポーツ大会

 平成14年度における標記大会が次のとおり開催される予定であるので、各都道府県・指定都市におかれては、選手団の派遣等についてご配意願いたい。

第2回全国障害者スポーツ大会(「よさこいピック高知」)
会期:平成14年11月9日(土)〜11日(月)
主催:厚生労働省、高知県、(財)日本障害者スポーツ協会他
開催地:高知市、南国市、土佐市他

イ 国際大会

 以下の国際大会が次のとおり開催される予定である。ついては、各都道府県・指定都市におかれては選手の育成、強化並びに派遣に係わる便宜の提供等について格段の配慮を願いたい。

名称:2002年国際知的障害者スポーツ連盟(INAS-FID)サッカー世界選手権大会
会期:平成14年8月8日(木)〜25日(日)
開催地:東京都、神奈川県及び横浜市
主催:国際知的障害者スポーツ連盟
アイナスエフアイディサッカー世界選手権大会日本組織委員会

名称:2002年世界車椅子バスケットボール選手権大会・北九州
会期:平成14年8月23日(金)〜9月1日(日)
開催地:福岡県 北九州市
主催:国際車椅子バスケットボール連盟
日本車椅子バスケットボール連盟
北九州市

名称:第8回釜山フェスピック競技大会
会期:平成14年10月26日(土)〜11月1日(金)
開催地:大韓民国 釜山
主催:釜山フェスピック競技大会組織委員会

名称:第15回世界ろう者冬季競技大会
会期:平成15年2月27日(木)〜3月9日(日)
開催地:スウェーデン サンスバル
主催:国際ろう者スポーツ委員会

3 「アジア太平洋障害者の十年」最終年記念フォーラムについて

 平成14(2002)年は、「アジア太平洋障害者の十年」(1993年〜2002年)の最終年にあたり、これを記念する事業として、障害者関係団体が主唱し、「アジア太平洋障害者の十年」最終年記念フォーラムの開催が予定されている。
 このフォーラムにおける主要な事業として、3つの国際会議を開催するとともに、都道府県指定都市の障害者社会参加推進センターを中核として市町村障害者計画策定や欠格条項総点検についての国内推進キャンペーンを行うことが計画されているので、ご了知の上、必要な協力についてご配慮願いたい。

○ 最終年記念国際会議

(1) 第6回DPI世界会議札幌大会
  ・開催期日 平成14年10月15日(火)〜18日(金)
  ・開催地 北海道札幌市
(2) 第12回RIアジア太平洋地域会議
  ・開催期日 平成14年10月21日(月)〜23日(水)
  ・開催地 大阪府堺市
(3)「アジア太平洋障害者の十年」推進キャンペーン大阪会議
  ・開催期日 平成14年10月21日(月)〜23日(水)
  ・開催地 大阪府堺市


(企画課監査指導室)

平成14年度における障害保健福祉行政事務指導監査の実施について

 障害福祉施設等に対する指導監査については、かねてから格段のご協力を煩わしているところであるが、平成14年度における障害保健福祉行政事務指導監査については、近年における行政の動向、当省、各都道府県、政令指定都市及び中核市の指導監査結果並びに障害福祉施設等における不祥事案等に鑑み、それぞれの関係法令・通達に基づく適正かつ厳正な執行を確保する観点から、特段のご配意を煩わしたい。

(1)障害福祉施設等の指導監査関係

 障害福祉施設等に対する指導監査については、「障害福祉施設等に係る指導監査について」(平成12年6月26日 障第496号)により実施されているところであるが、施設運営の基本は入所者に対する適切な処遇を確保することにあるので、各種の障害を有する入所者個々の人権を尊重した適切な入所者処遇が確保されているかどうかに重点を置いた指導監査を実施するとともに、職員の資質の向上のための研修及び福利厚生等の志気高揚策の充実に努め、有用な人材の確保及びその定着化により、入所者処遇の向上が図られるよう引き続き厳正な指導監査をお願いする。

(2)特別児童扶養手当及び特別障害者手当等支給事務に対する指導監査について

 指導監査は、制度の適正な執行・運営を確保するため、次の事項((4)、(8)は特別児童扶養手当を除く)に主眼をおいて原則として2年に1回以上実施されたい。

(1) 実施体制
(2) 請求書受理事務
(3) 支給要件審査
(4) 障害程度認定
(5) 所得審査
(6) 現況(所得状況)届の審査
(7) 受給資格喪失時点の確認
(8) 手当支払事務

(3)精神保健福祉法に関する行政事務指導監査について

 精神保健福祉法に関する当省が行う行政事務指導監査については、別途、重点事項を定め実施することとしているのでご了知願いたい。
 また、当該行政事務指導監査については、平成14年度においても、公衆衛生関係行政事務指導監査と併せて実施することとしているが、引き続き都道府県・指定都市が行う精神病院に対する実地指導の検証のため、精神病院を対象として行うので、関係部局との連携を密にし、指導監査が円滑に行えるよう特段の配慮を願いたい。


(障害福祉課)

1 ホームヘルプサービスの充実について

(1)障害者に対するサービス提供体制の確保及び充実について

 訪問介護員(ホームヘルパー)については、障害者プランにおいて45,300人(身体障害者、障害児、知的障害者及び難病分)を平成14年度までに計画的に上乗せすることとしており、平成14年度予算(案)では、目標どおり、3,600人増の45,300人分を計上している。
 ホームヘルプサービスは、障害者の地域生活を支援する基本的なサービスとして、より一層の充実を図っていく必要があることから、関係市町村に対し、プライバシーに十分配慮の上、対象者の実態把握を的確に行い、地域の障害者のニーズ等を十分反映したサービスが提供できるよう、サービス提供体制の充実についての助言指導を徹底願いたい。

(2)障害児ホームヘルプサービス事業の運用について

 本事業は、重度の障害のため日常生活を営むのに著しく困難な障害児のいる家庭にホームヘルパーを派遣して、適切な家事、介護等の日常生活を営むのに必要なサービスを提供するものであり、本事業の対象は、重度の障害児の属する家庭であって、障害児又はその家族が障害児の入浴等の介護、家事等の便宜を必要とする場合となっている。
 しかしながら、市町村によっては、家族の同居を理由に入浴等の介護や住居の掃除等の家事援助を提供しないなど、サービス内容を極めて限定して実施しているところが見受けられる。本事業において提供される便宜は、家族が同居しているといないとにかかわらず、利用者のニーズに応じて提供すべきものであるので、関係市町村に対し本事業の趣旨の一層の徹底及び助言を行い、本事業が適切に運用されるよう努められたい。

(3)ホームヘルパー養成研修事業について

 本事業は、障害者に対するホームヘルパーの養成及び確保を推進し、サービスの質の向上を図る観点から実施しているところであり、障害の特性や多様な要望に的確に対応することができるよう、本事業の積極的な実施に努められたい。
 なお、重度の視覚障害者及び脳性まひ者等全身性障害者の社会参加を促進するに当たっては、ガイドヘルパーが重要な役割を果たしているので、この養成及び確保についても特段の配慮をお願いする。

2 身体障害者の地域生活の支援について

(1)身体障害者デイサービス事業について

 本事業については、平成12年度から、これまでの1ヶ所当たりの単価による運営費補助方式から、利用人員1人当たりの単価による事業費補助方式に移行したところであるが、経過的に現行の運営費補助方式の選択も認めることとしていたところである。
 この経過措置については、平成14年度も引き続き適用する予定であるが、支援費制度開始までにはすべての事業が事業費補助方式へ移行する必要があるので、できるだけ早期に事業費補助方式への移行が図られるよう、関係市町村に対し助言指導願いたい。

(2)短期入所(ショートステイ)事業について

 本事業については、平成14年度予算(案)において、常時の医学的管理を必要とする遷延性意識障害者(児)等のショートステイに対応するため、医療機関において受け入れる場合の単価を新たに設定することにより、医療機関における遷延性意識障害者(児)等の受入を促進し、遷延性意識障害者(児)等の福祉の増進を図ることとしているので、本取扱いの積極的な実施について、各市町村に対し助言指導願いたい。

○遷延性意識障害者(児)等単価
 ・生活保護世帯(社会的理由の場合)16,460円
 ・その他 14,910円

(参考)
 本事業の対象者である「遷延性意識障害者(児)等」とは、脳卒中や交通事故による頭部外傷等により、意識の障害が長期化(およそ3ヶ月以上)している状態(いわゆる植物状態)にある障害者(児)の他、筋萎縮性側索硬化症(ALS)等運動ニューロン疾患による障害者(児)を想定している。

(3)日常生活用具給付等事業について

 本事業の補助基準単価については、各品目ごとに導入時の市場価格等を参考にして設定してきているところであるが、市場価格は流通状況や物価動向等により年々変動していることから、平成14年度においても市場の実態等が反映されるよう基準単価の見直しを行い、補助金の適正化及び効率化を図ることとしているので、留意願いたい。

3 障害児・知的障害者の相談支援体制等の整備について

(1)障害児(者)地域療育等支援事業について

 本事業は、障害児・知的障害者の地域生活を支援するサービス提供システムを構築していく上で、不可欠の事業であることから、概ね人口30万人に2か所程度実施施設を指定して、在宅の障害児(者)に対し療育等の相談、指導、各種サービスの利用の援助等が受けられるよう障害者プランに基づき、計画的な実施を推進しているところである。
 なお、本事業のうち地域生活支援事業は、一昨年の児童福祉法及び知的障害者福祉法の一部改正により、それぞれ、障害児相談支援事業、知的障害者相談支援事業として社会福祉事業に位置づけられ、地域における障害児・知的障害者の相談支援体制を整備する上で、重要な役割を果たすこととなる。
 また、本事業の積極的な活用を促進するため、平成12年5月には「障害児(者)地域療育等支援事業実施要綱」を改正し、療育等支援施設事業の一部再委託の明示、地域生活支援事業のコーディネーターの活動の拠点の弾力化、登録人員の弾力化などを図ったところである。さらに、施設整備においても、異種施設間の相互利用等に係る環境改善整備として、本事業実施施設における障害種別の異なる障害児(者)への対応に必要な環境改善及びコーディネーターの業務、活動に必要なスペース等の確保が可能となるよう措置しているところである。
 しかしながら、その取り組みが低調な地域も見受けられることから、本事業の重要性を十分認識し、積極的な実施に努められたい。

(2)市町村知的障害者福祉等担当職員特別研修事業について

 一昨年の児童福祉法、知的障害者福祉法の一部改正により、平成15年度から知的障害者については、知的障害者の実情把握、相談及び指導、知的障害者更生施設等への入所に係る事務、職親の委託事務、短期入所事業に係る事務、知的障害者地域生活援助事業に係る事務が、障害児については、短期入所事業に係る事務がそれぞれ市町村に委譲されることとなった。
 本事業は、都道府県から市町村に円滑に事務を委譲し、住民に最も身近な市町村において福祉サービスが適切に提供されるよう支援するため、都道府県に対する補助事業として、市町村の担当職員に対し、平成15年度以降新たに実施する事務について指導・研修を実施するものである。
 平成14年度が最終年であることから、各都道府県におかれては、当該事業の趣旨をご理解の上、事業の実施について特段の配慮をお願いしたい。

(参考) 障害児・知的障害者における各種福祉サービスの事務の実施主体

区分 障害児関係 知的障害者関係
施設サービス 都道府県、指定都市 都道府県、指定都市
中核市、市及び福祉
事務所設置町村
在宅サービス    
・日帰り介護(デイサービス)事業 市町村 市町村
・訪問介護(ホームヘルプサービス)事業 市町村 市町村
・短期入所(ショートステイ)事業 都道府県、指定都市 都道府県、指定都市
中核市
・知的障害者地域生活援助事業
(グループホーム)
- 都道府県、指定都市
中核市、市及び福祉
事務所設置町村
・日常生活用具給付等事業 市町村 市町村
(注)下線部分が平成15年4月に市町村に委譲される。

4 知的障害者の地域生活の支援について

(1) 知的障害者地域生活援助(グループホーム)事業について

 知的障害者が地域生活を送ることができるようにするため、知的障害者地域生活援助(グループホーム)事業の拡充に努めてきたところである。
 平成14年度予算(案)においては、これまでの実施状況等を踏まえ、障害者プランの目標値(10,800人分(2,700か所))を超えて 11,436人分( 2,859か所)を計上したところであり、知的障害者の地域生活支援の観点から、引き続き都道府県等における積極的な実施をお願いしたい。
 なお、グループホームの入居要件については、平成12年度に就労要件を撤廃し、貯蓄等の資産を活用することにより、日常生活を維持することができると認められる場合には、日常生活を維持するに足りる収入とみなして入居できることとなっているので、従来より実施しているグループホームの重度加算制度を活用するなどにより、重度・高齢の知的障害者であっても、地域生活を希望する場合には、グループホームにおいて生活することができるよう、特段の配慮をお願いしたい。 さらに、本事業の実施に当たっては、公営住宅が積極的に活用されるよう、建設部局との十分な連携をお願いしたい。

(2) 知的障害者生活支援事業(生活支援ワーカー)について

 地域で生活する知的障害者の相談に応じ助言等を与えるなど、地域生活に必要な支援を行う知的障害者生活支援事業(生活支援ワーカー)については、各障害保健福祉圏域に1名づつ配置することを目標に、その拡充を図ってきているところである。
 ついては、未だ実施していない県等にあっては、本事業に積極的に取り組まれるようお願いしたい。

(3) 在宅知的障害者日帰り介護(デイサービス)事業について

 在宅の知的障害者の日中活動の場を確保することが重要なことから、在宅知的障害者日帰り介護(デイサービス)事業については、障害者プランに基づき計画的に拡大を図ってきたところである。
 平成14年度予算(案)においては、対前年度56か所増の232か所に対し運営費補助を実施することとしている。
 なお、平成12年度より知的障害者デイサービスセンター以外の公民館及び空き教室等でも事業が実施できるよう要件を緩和したところであり、重度の障害者の日中の活動の場として、身近なところでの利用が望まれることから、管内市町村に対し積極的な実施について助言指導をお願いしたい。

5 自閉症・発達障害支援センター(仮称)の創設について

 自閉症等への対応については、社会的な関心も高く、積極的な取り組みに対する要請も高まってきている。
 自閉症児(者)については、自閉症に特有の人間関係の障害のための生活不適応から生ずる困難さや、家族等の負担感の軽減等への対応等、自閉症児(者)等の特徴を踏まえたきめ細かな施策が必要とされている。
 こうしたことから、平成14年度予算案において、自閉症等の特有な発達障害を有する障害児(者)に対し、専門的な相談支援、療育サービス等を行う拠点として、新たに「自閉症・発達障害支援センター(仮称)」を創設したところである。
 自閉症・発達障害支援センター(仮称)においては、

(1)自閉症児(者)等及びその家族に対する相談支援
(2)自閉症児(者)等に対する療育及び就労支援
(3)自閉症児(者)等の関係機関・関係施設職員に対する研修
(4)自閉症児(者)等の関係機関・関係施設との連絡調整
を総合的に実施することとしており、平成14年度は、全国8か所で実施できるよう所要の予算の確保を図ったところである。
 自閉症・発達障害支援センター(仮称)は、自閉症等施策を推進させる上で、地域における自閉症等に対する取り組みの中核的な拠点機能を担うことが期待されているので、都道府県等においては、実施施設の適切な選定等について特段の配慮をお願いしたい。
 なお、本事業に係る詳細については、別途お知らせする予定である。

(参考)自閉症・発達障害支援センター(仮称)の概要

(1)実施主体

都道府県、指定都市
(自閉症児施設等を運営する社会福祉法人等に委託可)

(2)事業の対象

 在宅の自閉症等の特有な発達障害を有する障害児(者)
(自閉症、高機能自閉症、アスペルガー症候群、レット症候群などの自閉症及びその周辺領域にある発達障害を対象)

(3)事業の内容

 自閉症児施設、知的障害児(者)施設に同センターを附置し、以下の事業を実施。

(1) 自閉症児(者)等及びその家族、並びに関係機関等からの相談への対応及び助言指導、並びに情報提供

(2) 自閉症児(者)に対する適切な療育及び就労支援

(3) 自閉症児(者)等の関係施設・関係機関の職員に対する情報提供及び研修 (4) 自閉症児(者)関係施設・関係機関との連絡調整

(4)職員の配置

(1) 心理療法等を担当する職員 2名
(2) 相談支援を担当する職員  1名
(3) 就労支援を担当する職員  1名

(5)1か所当り補助単価

25,328 千円
(初年度のみ初度調弁費400千円を加算)

(6)補助率1/2(負担割合 国1/2都道府県・指定都市1/2)

(7)施設・設備整備費

施設整備費 1か所当り国庫補助基準面積 84.4平方メートル
設備整備費 1か所当り国庫補助基準額 835,000円

6 障害児の療育支援について

(1)障害児通園(デイサービス)事業について

 本事業は、在宅の障害児(者)に対し、通園の方法により、日常生活の基本動作の訓練や集団生活への適応の訓練を行うものであり、ホームヘルプサービス事業やショートステイ事業とともに、重要な事業であることから、未だ実施していない市町村に対し、本事業の実施について助言指導願いたい。

(2)重症心身障害児(者)通園事業について

 本事業は、在宅の重度の知的障害及び重度の肢体不自由が重複する重症心身障害児(者)に対し、通園の方法により日常生活の基本動作、機能訓練等必要な療育を行うことにより、運動機能等の発達を促し、併せて保護者等の家庭における療育技術の習得を図る事業である。
 本事業の実施施設は、A型が重症心身障害児施設、肢体不自由児施設及び肢体不自由児通園施設、B型が障害児(者)施設等となっているが、国庫補助に当たり、重症心身障害児(者)の受け入れ体制に支障がない場合は、弾力的な取扱いをしているところであるので、本事業を積極的に実施されるようお願いする。

(3)難聴幼児通園施設の運営について

 難聴幼児通園施設は、現在、全国で26か所となっている。この施設は、強度の難聴の幼児を保護者の下から通わせて指導訓練を行う施設であるが、中には、その機能が充分に活用されていないところも見受けられる。
 平成12年に「新生児聴覚検査事業実施要綱」が示され、今後、益々難聴幼児に対する早期療育が重要となることから、同施設未設置の道府県、指定都市にあっては、積極的な難聴幼児通園施設の設置について検討されたい。また、施設設置が困難な場合には、障害児通園(デイサービス)事業の活用など難聴幼児の早期療育が実施できる体制の整備に努められたい。

7 福祉施策と雇用施策の一体的推進について

(1)障害者就業・生活支援センター(仮称)事業について

 平成11年度から労働行政と福祉行政の連携事業としてモデル的に実施してきた「障害者就業・生活総合支援事業」の成果を踏まえ、身近な地域で雇用、保健福祉教育等の関係機関のネットワークを形成し、障害者の就業支援及び生活支援が一体的に行われるよう、「障害者就業・生活支援センター(仮称)事業」を創設するものである。

○事業内容

 「障害者就業・生活支援センター」(仮称)は、離職した障害者、在職障害者等を対象に、就業支援及び生活支援を行うため、次の取り組みを行うことと している。

(1) 離職した障害者等に対する就業に関する相談及びこれに伴う日常生活上の相談

(2) 公共職業安定所、事業主との調整等、障害者の求職活動についての支援

(3) 障害者に対する職業準備訓練のあっせん、職場実習先との調整

(4) 就職後の障害者に対する必要な助言、事業主に対する障害者の就職後の雇用管理に係る助言

(5) 養護学校等を卒業して就職した障害者に対するフォローアップ

(6) 障害者雇用支援者に関する情報の収集・提供、障害者雇用支援者に対する研修

○1か所当たりの経費(全国47か所で実施予定)

・労働保険特別会計雇用勘定(委託費) 890万円、支援担当者2人
・一般会計(児童保護費等補助金) 540万円、支援担当者1人
(国1/2、都道府県・指定都市・中核市1/2)

 なお、本事業にかかる詳細については、別途お知らせする予定である。

障害者就業・生活支援センター(仮称)イメージ図

イメージ図

(2)施設外授産の活用による就職促進モデル事業について

 授産施設は、障害者で雇用されることの困難な者を入所させて、自活に必要な訓練を行うとともに、職業を与えて自活させることを目的とする通過型の施設であるが、入所した障害者の就職が進まず、施設入所期間が長期化しており、待機者の新規受け入れが、なかなか進まない状況にある。
 そのため、労働行政との連携施策として、障害者授産施設の入所者が企業等の事業所において授産活動を行うとともに、当該障害者に対して、公共職業安定所が職業相談、個別求人開拓、職場定着の支援等を行うことにより、授産施設入所者の就職を促進するモデル事業を平成13年度より実施しているところである。
 平成14年度の予算(案)においては、16か所の都道府県での実施を予定している。
 本事業の実施要綱は、平成13年11月7日障発第485号障害保健福祉部長通知によりお示ししたところであるが、本事業のポイントは以下のとおりであるので、積極的な取り組みをお願いしたい。

○ 事業のポイント(別添参照)

(1) 事業を実施する都道府県(障害福祉部局、労働部局)は、都道府県労働局地域障害者職業センター、授産施設、受入れ企業等を構成員とする事業推進委員会を設置する。

(2) 事業を実施する都道府県は、県内の授産施設を運営する社会福祉法人等(身体障害、知的障害、精神障害別各1か所=合計3か所)に、企業等の事業所で施設外授産を指導する「施設外授産指導員」を配置する。

(3) 施設外授産終了後の障害者に対して、公共職業安定所において職業相談・個別求人開拓・職場定着支援等を行う。

(別添)

施設外授産の活用による就職促進モデル事業の流れ図
流れ図

8 授産活動の支援について

(1)小規模通所授産施設の活動支援について

 小規模作業所の運営の安定化を図り、身近な地域における障害者の授産活動を支援する観点から、先般の社会福祉事業法等の一部改正により小規模通所授産施設を法定化し、平成13年度から運営費及び施設・設備整備費に対する補助を行っている。
 平成14年度予算案においては、身体障害、知的障害、精神障害の3障害合わせて120か所増(120か所→240か所)を図ったところであるので、都道府県等においては、引き続き小規模作業所からの法定施設への移行について、社会福祉法人化への指導など特段のご配慮をお願いするとともに、本事業の積極的な活用をお願いしたい。
 なお、小規模作業所に対する国庫補助については、前年度同額の予算を確保したところであり、引き続き適切な助成を実施していくこととしている。

(2)授産活動活性化特別対策事業について

 平成12年度から授産活動の活性化のための事業を実施しているところであるが、平成14年度予算(案)においては、11ヶ所増の27ヶ所での実施を予定している。
 ついては、未実施の都道府県においては、平成14年度からの積極的な事業実施について検討願いたい。
 また、平成13年度より事業を実施している都道府県においては、引き続き、効果的な事業実施を行っていただくとともに、平成13年度に事業が終了する都道府県においては、今後とも、将来にわたって本事業の効果が継続するような体制整備に努められたい。

9 障害者施設の整備方針等について

(1)平成14年度障害者施設の整備方針について

 障害者施設の整備については、障害者プランに基づき、平成14年度末の整備目標に向けて計画的に整備していくこととしている。
 施設整備の協議に当たっては、平成8年11月15日付障企第219号障害保健福祉部長通知「厚生省関係障害者プランの推進方策について」に示されている障害者計画、障害保健福祉圏域の設定状況等を十分考慮の上、整備計画を立てるとともに、施設整備費の適切な執行を図る観点から、国庫補助協議対象施設の精査に努められたい。

(1) 障害者計画、障害保健福祉圏域の設定状況等を踏まえ、施設整備の必要性を総合的に検討し、真に緊急性の高い施設の整備を優先させるようお願いする。
 整備計画に当たっては、整備する圏域内の市町村障害者計画が策定されていることが必要と考えており、その内容を把握したうえでの整備計画であること。
 なお、広域的な観点から複数の市町村の連携による施設整備の促進にも留意されたい。
 また、指定都市、中核市の所在する道府県においては、当該市との調整を十分に行っていただきたい。

(2) 施設整備に当たっては、単に入所待機者が多いことのみで判断せず、待機者の生活状況、特にホームヘルプサービス、デイサービス及びショートステイ等の在宅福祉サービスの活用状況などについて点検し、できる限り地域生活を支援する関係サービスの整備を優先した上で、入所の必要性の判断を行われたい。

(3) 障害者施設の整備に際しては、施設サービスにとどまらず、その専門的機能を活用した障害者の地域生活の支援拠点としての機能も重要であるので、設置主体である社会福祉法人等に対して、障害者の地域生活を支援する関係サービスを積極的に実施するよう指導されたい。
 そのため、昨年度に引き続き、障害者プラン関連施設の整備については、デイサービス、ショートステイ、通所授産施設等の整備を重点的に行うこととしている。

(4) 例年、国庫補助内示後に事業を取りやめる事例が見受けられるが、その内容をみると必ずしも都道府県(市)における審査が適正に行われているとは認め難いものもあるので、法人審査、施設選定には万全を期されたい。

(5) 近年、障害者施設の施設整備において、近隣住民から反対が生じるケースが増加しており、その中には、近隣住民に対する説明や対応が不十分なものも見受けられる。
 障害者の地域生活支援を進めていくためには、地域の方々の理解や協力が必要であるので、施設の整備においても、できるだけ早い段階で、正確でわかりやすい情報を近隣住民に伝え、説明するとともに、設置主体である社会福祉法人等に任せきりにするのではなく、各都道府県、指定都市、中核市併せて地元市町村も協同で対応するようお願いする。

(6) 平成14年度より、次の内容が図られることとなるので、整備計画において十分に検討されたい。

○ 自閉症・発達障害支援センター(仮称)に対する補助制度の創設

 自閉症等の特有な発達障害を有する障害児(者)に対し、専門的な相談支援、療育等の支援を行う「自閉症・発達障害支援センター(仮称)」を自閉症児施設、知的障害児・者施設に附置するための整備を行う。

・設置主体 都道府県・指定都市・中核市・市町村・社会福祉法人
・施設整備費 国庫補助基準面積 1施設 84.4平方メートル
・設備整備費 国庫補助基準額 835,000円

(2)障害者・児施設のサービス共通評価基準の活用について

 障害者・児施設のサービス共通評価基準は、障害者・児施設において実施されているサービスを検証するためのものであると同時に、社会福祉法第78条(福祉サービス向上のための措置)の趣旨を踏まえ、「利用者にとって質の高いサービスとはいかなるものか」といったことを示すものである。
 同基準については、昨年度と同様に、関係障害者施設においてサービスの自己評価として活用していただくよう通知し、その結果について、各都道府県等を通じて平成13年12月21日までに実施報告をお願いしたところであり、年度末までには全国の実施結果についてお知らせする予定である。
 また、今年度の実施結果報告に基づき、評価基準の必要な見直しを行い、来年度の第1四半期に評価基準の修正版をお示しする予定であり、これをもって一応の最終版とすることとしている。
 今後、各都道府県等において、障害者・児施設のサービスの質の向上に向けた取り組みを行うに当たって、本評価基準を活用していただくようお願いする。

10 障害者福祉施設等における不祥事の発生防止及びその対応について

 施設整備費の不正受給や人権侵害の防止等については、機会あるごとに要請してきているところであるが、依然としてこれら不祥事が発生していることは、誠に遺憾である。
 ついては、以下のような事項に留意の上、平成9年3月28日社援企第68号障害保健福祉部長、社会・援護局長、老人保健福祉局長、児童家庭局長連名通知「社会福祉法人の認可等の適正化並びに社会福祉法人及び社会福祉施設に対する指導監督の徹底について」に基づき、管下社会福祉法人・社会福祉施設に対する指導監督に万全を期されたい。

(1)施設整備に係る不正の防止について

 社会福祉施設整備費に係る不正受給等の防止については、かねてから指導監督の徹底をお願いしているところであるが、依然として、こうした不正な事例が生じており、引き続き、施設整備業務の再点検の強化と未然防止策の検討を行い、再発防止に努められたい。

(2)人権侵害の防止について

 障害者の福祉の向上を図ることを目的としている社会福祉施設において、体罰等の人権侵害事例が見られることは、社会福祉事業の信頼を損い、また、適切な施設運営に真摯に取り組んでいる他の同種施設までが社会の不信感を被ることとなり、看過し難い問題である。
 このような不祥事が発生した場合は、その背景、事実関係の究明、法人及び関係者の責任の明確化、再発防止への取り組み、社会福祉法の規定に基づき講じた措置等一連の顛末を整理することにより、今後の不祥事の未然防止を図るとともに類似例が発生した場合の迅速な対応が行えるよう情報の集約を図られたい。
 また、指導監査等の実効性を高めるためにも、福祉事務所にあっては、措置権者として、援護の委託をした知的障害者に対する処遇状況を適宜把握し、都道府県等が法人・施設の指導監査を行う際には、予め関係福祉事務所から入所者の処遇状況に関する情報を徴した上で、指導監査に努められたい。

(3)不正・不明瞭な経理処理の防止について

 社会福祉施設の経理処理に当たっては、社会福祉法及び関係通知等に基づき、適正な記録と透明性の確保を図ることが重要であるが、依然として、経理処理に関する不正・不明瞭な事例が生じ、社会問題化するケースが見受けられる。
 都道府県等においては、こうした事例が今後生じないよう、一層の指導監督の徹底に努められたい。


(精神保健福祉課)

1 精神障害者居宅生活支援事業の実施について

 平成11年の精神保健福祉法の一部改正により、精神障害者居宅介護等事業及び精神障害者短期入所事業並びに都道府県・指定都市において実施している精神障害者地域生活援助事業を、精神障害者居宅生活支援事業として法定化したが、これらの事業は、平成14年度から、住民に最も身近な行政機関である市町村において一体的に実施することとしている。
 各事業の主な内容は以下のとおりである。

(1)精神障害者居宅介護等事業(ホームヘルプサービス)

 日常生活を営むのに支障がある精神障害者に対し、当該精神障害者の居宅において、介護等のサービスを提供することにより、精神障害者が住み慣れた家庭や地域社会で日常生活を支援する事業。

(2)精神障害者短期入所事業(ショートステイ)

 介護等を行う者の疾病等により、居宅において介護等を受けることが一時的に困難となった精神障害者に対し、精神障害者生活訓練施設等において介護等のサービスを提供する事業。

(3)精神障害者地域生活援助事業(グループホーム)

 地域において共同生活を営むのに支障のない精神障害者に対し、共同生活を営むべき住居において、食事の提供・相談等の生活援助を行う事業。
 本事業は、いずれも、適切な事業実施が可能な社会福祉法人等が都道府県知事に所要の事項を届け出るとともに、市町村長から運営主体としての指定を受けて、サービスを提供することとなる。また、具体的な手続き等については、先般、都道府県・指定都市の担当者を対象に説明会を開催し、運営要綱案をお示ししたところである。
 なお、現行の身体障害者及び知的障害者に対する在宅福祉施策は、法律上、市町村又は援護の実施者がサービス提供を行うことが明記されているため、事業者が委託を受けてサービスを提供する形態が主体となっているが、精神障害者居宅生活支援事業については、法律上、補助による事業実施が明記されていることから、事業を行う者に対しては「補助」を原則としているが、民間事業者等、「補助」になじまない者に対しては、市町村長が委託できることとしている点に留意されたい。
 本事業の円滑な実施に向け、各市町村における準備に遺漏のないよう、特段の御配慮をお願いしたい。

2 司法精神医療に係る専門医等の養成研修について

 我が国においては、触法行為をした精神障害者の処遇及び治療等に関する専門家が非常に少なく、それらの精神障害者の医療等に適切に対応するためには、欧米先進国において既に実施されている司法精神医療を含めた最先端の精神科医療を修得した専門家の養成が急務である。
 このため、平成14年度予算案において、海外の司法精神医療施設への派遣研修に要する経費を計上している。
 具体的には、国立医療機関等の精神科医、精神保健福祉士、看護婦(士)であって、相当程度の経験を有する者を対象として8名程度、米国、イギリス等に派遣し、当該国の司法制度、精神保健医療福祉制度の基本的理解及び司法精神医学の理論と臨床に関する研修を6か月程度実施することとしているところであり、詳細は今年度内に検討することとしている。

3 精神科救急情報センターにおける相談体制の整備について

 これまで、都道府県等が地域の実情に応じて、精神障害者の緊急時における適切な医療及び保護の機会を確保するための体制整備を行う事業として、精神科救急医療システムの運営に関する国庫補助事業を実施してきたところであり、その中で精神保健福祉法に基づく移送を適正・円滑に実施するための精神科救急情報センターを盛り込むなど、同事業の充実に努めてきたところである。
 しかしながら、現行の精神科救急情報センターは、移送に関する連絡調整機能に重点を置いたものであり、在宅の精神障害者の症状悪化等に対応できるものとは言い難い状況である。このため、平成14年度より、現行の精神科救急情報センター機能の充実・強化を図るため、24時間対応可能な医療相談体制を整備するための国庫補助を創設し、在宅の精神障害者の疾患の重篤化を軽減することとしたものである。
 本事業の具体的な採択範囲及び単価等については、本年度中に詳細を決定することとしているが、各都道府県・指定都市においても積極的に同事業を活用し、精神科救急医療システムの充実・強化を図られたい。

4 精神病院に対する指導監督等の徹底について

(1)精神保健福祉施策の推進については、かねてより人権に配慮した適切な医療・保護の確保に努めていただいているところであるが、厚生労働省としても、近年の精神病院における人権侵害事案の発生等にかんがみ、より適正な入院患者の医療・保護の確保を図ることを目的として都道府県知事等が精神病院に対して実施した実地指導等を検証する「精神病院実地検証」を実施している。
 これまでの精神病院実地検証においては、全病院について、都道府県・指定都市が指摘した事項以外にも問題点が見られるところである。
 特に、措置入院患者の入院期間は、約半数の者が5年を超えるなど、長期化していることから、各都道府県及び指定都市におかれては、措置入院患者の措置の必要性について評価を行うとともに、管下医療機関に対する一層の指導の強化を図るようお願いしたい。

(2)さらに、一部の精神病院において、不当な身体拘束や開放処遇の制限などの事例が未だに発生している。
 精神病院入院患者の処遇の確保等については、精神病院に対する実地指導後の措置について、平成11年の法改正により、改善計画書の提出、改善計画書の変更及びこれらの命令に従わない場合の医療の提供の全部又は一部の制限ができることとされたことにより、都道府県知事等の権限が強化されているところである。
 各都道府県・指定都市においては、管下医療機関に対し実地指導等を実施する際には、精神保健福祉法及び平成10年3月3日障第113号・健政発第232号・医薬発第176号・社援第491号厚生省大臣官房障害保健福祉部長、健康政策局長、医薬安全局長、社会・援護局長通知「精神病院の指導監督等の徹底について」等各種通知の趣旨を踏まえ、管下医療機関に対する一層の指導の強化を図るようお願いしたい。

(3)また、昨年10月に実施した精神医療審査会の申請処理状況の結果を見ると、退院請求・処遇改善請求等の処理に要する平均的な日数が1か月を越える自治体等が多数見受けられたことから、平成13年10月30日障精発第56号厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部精神保健福祉課長通知「精神医療審査会の申請処理状況調査結果について」により、その適正な運営に努めるようお願いしたところであるが、精神医療審査会は在院患者の人権確保の観点から極めて重要な役割を果たすものであることから、その適正な運営を図るよう徹底されたい。

(4)さらに、会計検査院、各都道府県・指定都市が実施した精神障害者社会復帰施設に対する指導監査等において、不適切な経理事務が行われていたことから国庫補助の返還を要する事例が報告されている。各都道府県・指定都市においては、平成12年3月31日障第248号厚生省大臣官房障害保健福祉部長通知「精神障害者社会復帰施設に係る指導監査の実施について」により、管下施設に対する指導の一層の強化を図るようお願いしたい。

5 移送制度の円滑な実施について

 平成11年の精神保健福祉法の改正により、医療保護入院及び応急入院に関して都道府県知事等が患者を移送することができることとされ、また、措置入院に関する移送について、法文上明確化されたところであるが、未だ体制が十分整備されているとはいえない状況にある。
 昨年10月末現在で当省が実施した調査によると、医療保護入院の移送体制が整備されている都道府県・指定都市は31であったが、夜間休日にも整備されているものは31内の4つであった。また、措置入院については移送のための車両や要員の確保ができていない都道府県・指定都市が12あった。
 体制の整備のための人員確保や警察・病院等関係機関との調整など、各都道府県・指定都市においても御尽力いただいていることは十分承知しているが、移送が精神障害者の適正な医療及び保護の一環であることにかんがみ、今後も更なる御努力をお願いしたい。
 なお、車両の確保については、保健衛生施設等設備整備費補助金の活用を図られたい。

6 心の健康づくり対策について

(1)思春期児童等の心の健康づくり対策の推進

 近年、いわゆるひきこもりなど、思春期児童等の心の問題への対応が求められており、当省においては、昨年5月、研究班による「社会的ひきこもり」対応ガイドラインの作成と「ひきこもり」の相談状況についての調査結果を公表・通知したところである。
 また、思春期児童等の心の問題に対する相談について、精神保健福祉センター、保健所、児童相談所等において実施しているところであるが、思春期精神保健に関する専門家が少なく、各機関における相談体制が十分ではないことから、平成13年度から、精神保健福祉センター、児童相談所、保健所、病院等に勤務している医師、看護士、精神保健福祉士、児童指導員等を対象として、思春期精神保健に関する専門家の養成研修を実施しており、平成14年度も引き続き実施することとしている。
 また、思春期児童などの心の問題については、その原因が多様であり対応も多様であることから、平成13年度から、精神保健福祉センター、児童相談所、教育機関、警察等の関係機関が連携をとりつつ、専門家チーム等を編成し、発見、相談から、指導、解決まで総合的な対応を行う思春期精神保健ケースマネジメントモデル事業を実施しており、平成14年度も引き続き実施することとしている。

(2)PTSD(心的外傷後ストレス障害)対策の推進

 大規模な災害や犯罪等により被害を受けた者に対する心のケアの充実強化を図るため、平成13年度から、精神保健福祉センター、保健所、病院などに勤務している医師、看護士、精神保健福祉士等を対象に、PTSD(心的外傷後ストレス障害)に関する専門的な養成研修を実施しており、平成14年度も引き続き実施することとしている。

(3)自殺防止対策の推進

 我が国における自殺者は、厚生労働省の人口動態統計によると平成10年以降、毎年3万人を超えている。自殺は、家族や周囲の人々に大きな悲しみや困難をもたらすだけでなく、社会全体にとっても大きな損失であり、効果的な予防対策を実施することは緊急の課題となっている。
 自殺の原因は、健康問題、経済問題、家庭問題など多様であり、日常生活の基盤である人生観・価値観や地域・職場のあり方などの社会的要因も影響していることから、自殺予防対策を推進するに当たっては、うつ病対策などの精神医学的観点のみならず、心理学的観点、社会文化学的観点などからの多角的な検討が必要不可欠である。
 当省においては、本年2月上旬、「自殺防止対策有識者懇談会」を開催し、地域のあり方、職域のあり方や働き方の見直し、精神的・肉体的に健康であることの重要性や相談機関等のあり方など、幅広い観点から検討を行い、自殺予防についての基本的な考え方の提言をまとめていただくこととしている。
 また、「いのちの電話」を中心に、関係機関等による自殺防止ネットワークを構築し、相談体制の充実強化を図るとともに、昨年から12月1日を「いのちの日」として位置づけ、その後1週間、「いのちの電話」によるフリーダイヤル電話相談を実施したところであり、平成14年度も引き続き実施することとしている。
 労働者の自殺防止対策に関しては、自殺の前兆、危険要因、適切な対応方法等の普及啓発を行うため、自殺防止マニュアルの作成や労働者のこころの健康づくりの相談を行う民間組織の活用を検討しているところである。
 さらに、平成13年度から厚生科学研究などにおいて、自殺の原因のひとつであるうつ病対策に関する研究、自殺防止対策の実態に関する研究、自殺による経済的影響に関する研究などが実施されているところであり、引き続き、これらの調査研究を推進することとしている。

7 精神障害者の社会復帰と雇用対策の一体的推進について

 精神障害者の保健福祉施策と雇用就業施策を一体的に実施することにより、精神障害者の自立の促進を図ってきたところであるが、平成14年度予算案においては、以下のとおりである。

(1)障害者就業・生活支援センター(仮称)について

 平成11年度から、雇用・福祉・医療の各施策が緊密な連携を図ることにより、障害者に対し就労面や生活面の一体的支援を行う事業を試行的に実施してきたところであるが、平成14年度からは一般施策へ移行し、地域における保健福祉及び雇用関係機関の連携の拠点として「障害者就業・生活支援センター(仮称)」を設置することとしている。(43頁参照)

(2)グループ就労を活用した精神障害者の雇用促進モデル事業について

 精神障害者については、例えば、臨機応変な判断や新しい環境への適応が苦手である、疲れやすい、緊張しやすい、精神症状の変動により作業効率に波がみられることがある等の特徴があることが指摘されており、事業主から見ると安心して雇用することが難しいとの声もある。
 このような問題に対して、一般の事業所の中に数人の障害者で構成されるグループをつくり、指導員による一定の指導・援助を一緒に受けながら就労するという援助付き雇用の一形態(エンクレイブ・モデル)が精神障害者の就労促進に効果的であるといわれている。
 そこで、精神障害者の雇用促進に熱心な社会復帰施設(精神障害者地域生活支援センター)が、事業所と請負契約を締結し、指導員が付いて数人の精神障害者のグループを就労させるモデル事業を平成13年度から実施しており、平成14年度も引き続き実施することとしている。

(3)施設外授産の活用による就職促進モデル事業について

 障害者の中には、相当程度の作業能力を有するものの、雇用されることが困難な者がいることから、当該障害者について、企業等に就職することを容易にするため、授産施設において訓練、指導を受けているところであるが、入所した障害者においても就職することが困難な状況にある。
 このため、平成13年度から、障害者が企業等の事業所において授産活動を行い、授産活動終了後において当該企業等への就職を促進するための「施設外授産の活用による就職促進モデル事業」を実施しているが、平成14年度も引き続き実施することとしている(事業の詳細は46頁参照)。

 各都道府県、指定都市におかれては、上記事業の積極的な実施について特段の御配慮をお願いしたい。


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