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1 平成14年度予算(案)の概要
(厚生労働省医政局)

平成14年度予定額 717億 1百万円
平成13年度予算額 746億1千9百万円
差引増△減額 △29億1千8百万円
対前年度伸率 96.1%

(注)上記計数には、「☆構造改革特別要求」7億5百万円を含み、「★厚生労働科学研究費補助金」134億7千1百万円(平成13年度 75億5千6百万円)は含まない。

主要施策

1.情報化による医療の質の向上と効率化の推進
2.安全な医療の提供
3.医療従事者の資質の向上
4.安心できる医療の確保
5.医薬品・医療機器産業の振興
6.その他


平成14年度予算(案)の主要施策

1.情報化による医療の質の向上と効率化の推進

979 百万円
 医療分野の情報化と科学的根拠に基づいた医療の推進を支援することにより、医療の効率化と質の向上を図るとともに、患者の選択を重視した医療の実現に向けた情報提供の取り組みを推進する。

(1)情報化による医療の質の向上と効率化
890 百万円

ア.地域医療機関連携のための電子カルテによる診療情報共有化モデル事業【☆構造改革特別要求】
530 百万円
 電子カルテ等の導入を図り、病歴等の診療情報の病院・診療所間での共有、効果的活用による地域連携診療体制の充実のためのネットワークを構築

イ.ITを用いた良質かつ効率的な医療の提供
360 百万円

・情報提供データベースの構築(★厚生労働科学研究費補助金)

268 百万円
 根拠に基づく医療(EBM)が実践できるよう、インターネット等を利用した質の高い情報を医療関係者等に提供するためのデータベースを整備

・ITを用いた診療支援策

21 百万円
 電子カルテとクリティカルパス連動システムの開発により、診療支援の質の向上と安全性の向上

(2)患者の選択を重視した医療の実現
89 百万円

ア.医療機関のインターネットを利用した情報提供の在り方の検討
3 百万円
 医療機関がインターネットを利用して提供する診療情報等の内容を検討

イ.診療情報提供の環境整備
86 百万円
 患者に対する診療情報の開示や医療機関に関する診療情報の適切な提供を図るための研修を実施

2.安全な医療の提供

239百万円
 医療の安全性の向上に向けて、中長期的かつ体系的な医療安全対策の全体構想の構築等総合的な医療安全対策を推進

(1)医療安全対策の総合的検討
35 百万円

ア.法制問題調査研究ワーキンググループの設置
6 百万円
 医療安全対策の中長期的な課題の検討等を行う医療安全対策検討会議の下に、医療安全対策に係る法制上の諸問題を調査研究するためのワーキンググループを設置

イ.改善方策調査検討ワーキンググループの設置
6 百万円
 インシデント事例の収集、分析等を行うヒューマンエラー部会の下に、個別事例毎に具体的な改善方策を調査検討するためのワーキンググループを設置

(2)啓発活動の充実
4 百万円

患者安全推進(PSA)事業の実施
4 百万円
 11月の「医療安全推進週間」を中心に、幅広い関係者の参画の下、患者の安全を守ることを旨として、パンフレットの配布、シンポジウムの開催等を行い、医療関係者の医療安全に対する意識向上、患者の医療への参加意識の啓発を図る。

(3)教育・研修の充実
20 百万円

看護基礎教育における医療安全への取組み
4 百万円
 看護基礎教育における安全教育推進のための看護教員に対する研修を実施

(4)調査研究の充実
180 百万円
 医療の質と医療安全体制確保に関する研究の推進(★厚生労働科学研究費補助金)

3.医療従事者の資質の向上

17,003百万円
 医療技術の進歩による医療の高度化、専門分化等に適切に対応できるよう医療従事者の資質の向上を図り、医療の向上に資するための施策を推進

(1)医療従事者の資質の向上
16,990 百万円

ア.医師、歯科医師の臨床研修の推進
5,454 百万円
 医師、歯科医師の臨床研修の必修化に向けて、モデル研修プログラムの改善、作成等を行うとともに、研修人員の増などを推進

イ.看護職員確保対策の推進
11,536 百万円

・看護職員通信学習システムの開発【☆構造改革特別要求】

107 百万円
 看護職員が個々の状況に応じ自由な時間に学習できる通信学習システムを開発するとともに、学習プログラムを作成し、質の高い看護職員の育成を推進

・看護職員の臨床技能の向上に関する調査検討

6 百万円
 看護技術能力の向上に向けた卒前教育、卒後研修についての調査、検討

・看護職員就労状況等に関する調査検討

12 百万円
 新たな「看護職員需給見通し」の達成に向けた確保策の充実や、「看護婦等の確保を促進するための措置に関する基本的な指針」の見直し等の検討に資するため、看護職員の勤務体制、福利厚生等就労状況の実態についての調査、検討

・看護婦等養成所の運営に関する自己評価指針の作成

3 百万円
 看護婦等養成所が自己の実施している教育活動について、どの水準にあるかを自己評価する指針を作成し、看護教育の充実・向上に自主的に取り組む体制を支援

・看護婦等養成所における統合カリキュラムの導入促進

9 百万円
 看護婦等養成所における統合カリキュラムの導入を促進し、保健婦・看護婦及び助産婦・看護婦の一貫した教育体制の普及

(2)国家試験の適正・効率化の促進
13 百万円

歯科医師国家試験の技術能力評価等に関する検討
4 百万円
 卒業直後の歯科医師の技術能力の格差是正を図るため、歯科医師国家試験の技術能力評価等の在り方を検討

4.安心できる医療の確保

41,121百万円

(1)救急医療対策の推進
15,204 百万円

ア.小児救急医療の重点的推進
1,260 百万円
 二次医療圏単位での小児救急医療体制の確保が困難な地域において、広域で小児救急医療の確保・提供、研修を行う「小児救急医療拠点病院」を新たに整備するとともに、在宅当番医制事業における小児初期救急医療対応のモデル的取組み(3年間)を推進

イ.ドクターヘリの導入促進
662 百万円
 早期治療の開始と迅速な搬送による救命率の向上を図るため、ドクターヘリ(医師が同乗する救急専用ヘリコプター)事業を推進

ウ.広域災害・救急医療情報システムの強化【☆構造改革特別要求】
68 百万円
 大規模災害に対する全国的な広域対応を迅速かつ効果的に行うため、患者の発生状況や医療機関の被災状況に関する情報交換が可能な「広域災害・救急医療情報システム」を充実強化

エ.救急医療従事者の養成・確保
18 百万円
 病院前救護体制の充実を図るため、救急救命士の行う救急処置を指示・検証する医師を養成するための研修及び化学災害や中毒事故に適切に対応するため、専門知識、技術を習得するための研修等を実施

(2)へき地保健医療対策の推進
2,630 百万円
 第9次へき地保健医療計画に沿って、引き続き、無医地区の医療の確保を推進

(3)医療施設等の整備
23,018 百万円
 PFI、院内情報システム、小児救急医療、ドクターヘリ関連等に適切に対処するための補助対象範囲を拡大

(4)医療機関の機能分化の促進
269 百万円
 医療機関の役割分担の明確化及び病診連携等の推進を図り、効率的な地域医療体制の構築を支援

5.医薬品・医療機器産業の振興

13,780 百万円

(1)適正な臨床研究・治験の推進
103 百万円

医療機関による治験の適正な推進
97 百万円
 国内の医療機関における治験を推進するため、医療機関の治験管理部門や医師を支援する治験コーディネーター(CRC)の養成を進めるとともに、地域の医療機関と診療所が連携して治験を行うモデル事業等を実施

(2)医薬品・医療機器研究開発の推進
13,674 百万円

ア.超微細技術(ナノテクノロジー)を活用した医療技術等の研究開発の推進【構造改革特別要求】
(★厚生労働科学研究費補助金)
1,384 百万円
 患者にとってより安全・安心な医療技術の実現を図るため、ナノテクノロジーの医学への応用による非侵襲・低侵襲を目指した医療機器等の研究開発を推進

イ.ゲノム科学を活用した創薬基盤技術の開発
〔トキシコゲノミクス〕
【構造改革特別要求】(★厚生労働科学研究費補助金)
1,456 百万円
 ゲノム情報・技術等を活用した医薬品開発のスクリーニング法、副作用の解明等の技術に関する研究開発を推進

ウ.保健医療分野における基礎研究の推進
10,084 百万円
 画期的な医薬品、医療用具の研究開発を振興するため、保健医療分野における基礎研究を推進

(3)医薬品製造業者等環境・リサイクル関連対策
3 百万円
 医薬品・医療機器関連業界におけるリサイクル義務履行の周知徹底

6.その他

(1)障害者に係る欠格事由の見直しに伴う環境整備
15 百万円

ア.国家試験の実施体制等の整備
6 百万円

・障害者に係る国家試験の円滑な実施

2 百万円
 身体機能等に障害のある場合の国家試験受験の円滑な実施

・障害者欠格事由評価委員会の設置

4 百万円
 身体機能等に障害のある場合の免許付与の原因となる事実の認定及び評価を行う委員会を設置

イ.障害者の受入体制の整備
9 百万円

・医療機関の障害者就労環境整備促進事業

 医療機関において免許を取得した障害者が就労するにあたって、有用な環境についての調査研究を支援

(2)終末期医療に関する調査検討
10 百万円
 終末期医療に関する国民、医療従事者等の意識の変化、医療施設、社会福祉施設の実態を調査し、終末期医療の在り方を検討

(3)8020運動の推進
784 百万円
 歯科保健医療の向上に向けて、8020運動を引き続き推進

(4)社会福祉・医療事業団の融資(社会・援護局一括計上)

【参考】

・貸付事業(医療貸付、福祉貸付)

貸付契約額 3,547億円
資金交付額 3,427億円
財政融資資金 2,888億円
自己資金等 539億円
(うち財投機関債) 50億円

・医療貸付に係る貸付条件の改善

(1)患者1人当たりの病床面積(4.3平方メートル → 6.4平方メートル)の引き上げに伴う病院に係る標準面積(52平方メートル → 60平方メートル)の改善

(2)メディカル・フロンティア戦略の推進を図るため、ポータブル超音波装置及びTCD(経頭蓋超音波モニター)等の機器を特定機械に追加

2 平成13年度 第二次補正予算の概要

1.少子高齢化に対応した医療提供体制の整備

医療施設近代化施設整備事業
11,957百万円
 「療養病床」への円滑な転換を重点的に促進するため、医療施設近代化施設整備における支援を実施

2.医療従事者の資質の向上

医師臨床研修病院研修医環境整備事業
608百万円
 医師の資質の向上に資するため、臨床研修医の研修環境の整備を実施

歯科医師臨床研修施設環境整備事業
192百万円
 歯科医師の資質の向上に資するため、臨床研修医の研修環境の整備を実施

歯科衛生士養成所施設整備事業
470百万円
 歯科衛生士が介護に必要な知識・技術を習得するため、歯科衛生士養成所の実習教育環境の整備を実施

看護職員研修環境整備事業
1,338百万円
 看護職員が自由な時間に看護に関する研修や自己学習等を行うための研修室を病院内に整備し、看護職員の研修環境を整備

3.医療分野のIT化の推進

電子カルテ導入施設整備事業
26,017百万円
 医療機関のIT化の促進を図るため、臨床研修病院等地域の中核的病院に対して、電子カルテを導入するための改修整備を実施

小規模な中核的病院を有する二次医療圏に対する医療機能補完整備事業
181百万円
 地域の中核的な役割を担う病院が中小病院である二次医療圏において、当該病院に情報システムの研修等を行う施設を整備

3 平成14年度税制改正の概要(医政局)

(1)医療機器関係

○ 救急医療用機器に係る固定資産税の軽減措置の適用期限の延長(2年間)
[固定資産税]
 ・一部機器を対象機器から除外し、適用期限を2年間延長。

(2)医療提供関係

○ 社会保険診療報酬に係る事業税の非課税措置の存続
[事業税]
 ・社会保険診療報酬に係る事業税の非課税措置を存続する。

○ 医療法人に係る事業税(社会保険診療報酬以外分)の軽減措置の存続
[事業税]
 ・医療法人に係る事業税の軽減措置を存続する。

○ 社会保険診療報酬における概算経費率制度の存続
[所得税、法人税]
 ・社会保険診療報酬における概算経費率制度を存続する。

(3)その他

○ バイオテクノロジー試験研究設備に係る固定資産税の軽減措置の適用期限の延長(2年間)
[固定資産税]
 ・課税標準の軽減割合を引き下げ(1/3→1/4)、適用期限を2年間延長。

○ 中小企業投資促進税制の延長・拡充(2年間)
[所得税、法人税]
 ・中小企業の取得する機械・装置や電子計算機等の器具・備品について、7%の税額控除又は30%の特別償却を認める本制度の適用期限を2年間延長。
 ・対象の機械・装置の取得価格230万円以上を160万円以上に引き下げ。(リースの場合:300万円以上→210万円以上)

○ 医療用機器等の特別償却制度の取得価額要件の引き上げ
[所得税、法人税]
 ・一般の医療用機器に係る取得価額要件を400万円以上から500万円以上に引き上げ。

○ 中小企業新技術体化投資促進税制(メカトロ税制)の廃止
[所得税、法人税]
 ・中小企業新技術体化投資促進税制を廃止する。


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