目次  前ページ  次ページ

(指導課)

1 救急・災害医療対策について

(1)救急医療体制の充実

 救急医療対策は、昭和52年度から初期、二次、三次救急医療施設及び救急医療情報センターからなる体系的整備を実施しているが、社会環境の変化、人口構造の高齢化に伴う疾病構造の変化等に対応した質的な充実を図ることが重要である。
 こうした状況において、平成14年度においては、今年度に引き続き、小児救急医療体制の全国的な整備を促進するとともに、メディカル・フロンティア戦略の一環として心筋梗塞・脳卒中の救急医療体制の充実・強化を図ることとしている。

(1) 救命救急センターへの心臓病・脳卒中専門医の配置、CCU、SCUの整備、メディカルコントロール体制の構築等、救急医療体制の充実・強化を図るための取り組みを引き続きお願いする。
 なお、ドクターヘリ導入促進事業の平成14年度予算(案)については、財政事情が厳しいなか、か所数は今年度と同数(6か所)を確保したところであり、各都道府県におかれても引き続きご協力をお願いしたい。

(2) 救急救命士制度について、メディカルコントロール体制の充実に向けた取組を推進しているなか、一部の地域において、気管内挿管などの違法行為が行われていたことは誠に遺憾である。
 先般、「救急救命士の業務の適正化について(平成13年12月4日医政局指導課長・医事課長連名通知)」を発出したところであるが、各都道府県においては、衛生部局と消防部局との連携を強化し、関係市町村、医療機関等関係者に対する指導を徹底されるようお願いする。

(2)災害医療対策について

(1) 平成8年5月10日健政発第451号「災害時における初期救急医療体制の充実強化について」に基づき、災害拠点病院の整備や広域災害・救急医療情報システムの整備などの災害医療対策の一層の推進に努められるようお願いする。
(2) 災害拠点病院については、施設・設備の整備に加え、災害時に地域の災害医療の拠点として十分に機能するよう、防災マニュアルを作成し、地域の医療機関・行政機関等との連携を深めるとともに、運用面の充実に努め、各関係機関に対する一層の指導をお願いしたい。
 また、広域災害・救急医療情報システムの未導入府県にあっては早急な整備をお願いする。


2 医療施設等施設・設備整備事業について

(1)医療施設等施設整備費については、平成14年度予算案において約194億円、対前年度約26億円の減となっているが、補正予算の活用を含め、平成14年度に予定されている補助事業の前倒しを図ること等により、来年度に必要な事業には支障は生じないものと考えている。
 また、設備整備費については、平成13年度と同額の約36億円を確保したところである。

(2)平成14年度予算案においては、従来の事業に加え、小児医療拠点病院整備事業、環境調整室(シックハウス対策)整備事業のメニュー追加を行っているところである。
 また、医療機関における情報化の推進を図るため、医療施設近代化施設整備事業(原則全面建替整備に限る。)と併せて院内における情報システム(電子カルテ情報システム)を整備するための工事及び当該工事と一体的に整備を行う場合の設備の購入経費に対する加算制度を創設するとともに、医療施設等施設整備費のメニュー事業について、地方公共団体がPFI法(民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律)に基づいて実施する医療施設PFI事業についても国庫補助の対象とすることとしている。

(3)平成13年度2次補正予算については、療養病床への転換整備を重点的に推進するために医療施設近代化整備事業の補助率嵩上げ(1/3→1/2)や、臨床研修指定病院等における電子カルテの導入のための整備等を実施することとしている。
 各都道府県においては、事業内容について早期に周知徹底を図るなど、補助事業の円滑な執行について格段の御配慮をお願いする。


3 医療法人制度について

(1)医業経営の近代化・効率化について

 経済財政諮問会議の基本方針等を踏まえ、医療法人制度をはじめとする医業経営の近代化・効率化のための方策について検討するため、平成13年10月に医政局長の私的検討会として「これからの医業経営の在り方に関する検討会」を設置したところである。
 検討会においては、医療法人制度の在り方をはじめ、民間病院の近代化・効率化方策について検討していただいているところであるが、特に、医療法人の理事長要件の緩和、経営情報の開示促進策など取り組みが急がれる課題については、本年度中に中間とりまとめを行い、必要な措置を実施することとしているので、御承知おき願いたい。

(2)医療法人の指導監督について

 医療法人の指導監督については、その制度の趣旨を踏まえ、関連部局と連絡を密にして、十分な指導監督をお願いする。特に、法人運営に第三者が関与、あるいは法人が主体的に運営を行っていない等の疑いが生じた場合には、法人への立入調査を実施するなど積極的な指導をお願いする。
 また、決算書は、適正な法人運営がなされているか判断する上で重要なものであることから、届出もれのないよう適切な対応をお願いする。
 医療法人の認可取り消しについては、医療法において医療法人が病院等をすべて休止又は廃止した後、正当な理由なく引き続き1年以上病院等を開設しないときは、設立認可を取り消すことができることとされている。休眠医療法人の整理については、医療法人格の売買などを未然に防ぐ上で重要なものであり、実情に即して設立認可の取り消しを検討するなど厳正な対処をお願いしたい。


4 医療機能評価について

(1)財団法人日本医療機能評価機構においては、病院の機能について、学術的な観点から中立的な立場で評価を行い、その改善を支援することを目的として、病院機能評価事業を実施している。

(2)平成13年12月現在、577病院が認定されており、病院全体の6.2%を占めている。

(3)病院機能評価事業にかかる情報公開については、評価機構より評価項目及び評価認定病院名等をインターネットにより公表しており、また、広告規制の緩和の一環として、病院機能評価の評価結果について、病院が広告できる事項に追加されたところである。

(4)近年、問題となっている患者の安全確保について、医療機関の安全管理体制等が評価に反映されるよう、評価の項目や手法の見直しを評価機構において進めてきており、審査手順の見直し等とあわせ、新評価項目を設定し、来年度から施行する予定となっている。

(5)また、昨年12月26日、病院機能評価の普及目標を設定したところであり、平成18年度末に2,000病院の受審を目標として定めたところである。厚生労働省としても、サーベイヤー養成事業への補助など、評価機構に対する様々な支援を行うことを通じて、この目標の達成を図ってまいりたい。

(6)なお、総合規制改革会議から平成14年度中に措置すべき事項として、「国公立病院、特定機能病院、臨床研修病院等について積極的な受審を促進するとともに、これらの医療機関に対しては、評価結果、評価内容の公開をするように措置するべきである。」との見解(「規制改革の推進に関する第1次答申(平成13年12月11日)」)が示されていることから、各都道府県におかれても、公立病院の受審促進等について御協力願いたい。


5 PFIについて

(1)PFI(Private Finance Initiativeの略。)は、公共事業等に民間企業の資金とノウハウを活用し、公共サービスの提供を民間主導で行うことで、効率的かつ効果的な公共サービスの提供を図ることに意義がある。

(2)PFIに関しては、PFI法(民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律)の一部を改正する法律案が平成13年12月5日に可決成立し、行政財産である土地について、PFI事業者が当該事業と合わせて別事業を行う場合であっても貸し付けることができることとされ、事業活動の幅が拡充されたところである。また、公立病院におけるPFI事業を医療施設整備費補助金等の交付対象とするために補助金交付要綱の改正を予定しているところである。

(3)医療PFI事業については、建物等の設計、建築、維持管理並びに医療関連の周辺サービスについて一括委託すること等により、経費及びリスク管理の効率化が可能と考えられることを踏まえ、医療の非営利性等との関連に留意しつつ、公立病院への積極的導入について検討願いたい。


トップへ
前ページ  次ページ