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表1.エストロゲン受容体遺伝子欠損マウスにみられる形質発現

生物発現 受容体 形質発現の状態
個体の生死 αER 影響なし
βER  〃
生殖能 αERKO 両性で不毛
βERKO 雌で減弱、雄は生殖能あり
生殖器官 αERKO 子宮はE2、DES、タモキシフェンに無反応性EGFによるmitosisの中止アンドロゲンによる分裂能の存続卵巣は正常分化を示し、成熟期排卵障害と出血卵胞、無黄体30〜40%の卵巣腫瘍発生(18ヶ月)
βERKO 軽度の排卵障害
乳腺 αERKO 思春期、成熟期でのE2反応性増殖の欠如Wnt-1プロト・オシュジ−ンベへの反応による腺管増殖と腺癌の発生、但し、増殖率の遅延
βERKO 乳腺分化、増殖はほぼ正常通り行われる
雄の生殖腺 αERKO 精細管の萎縮と精子数の減少、生殖能力の減退、精巣の萎縮、副精巣の萎縮
βERKO 正常の精子形成
雌の神経・内分泌系 αERKO 正常体:α-GTH、LH-β、FSH-βの転写活性の上昇、血中E2、T,LHの上昇、Prg、TSHは正常、PRL遺伝子の欠如、血中PRL値の低下
βERKO 血中E2値に変動なし
雄の神経・内分泌系 αERKO 下垂体はほぼ正常、但し、LHβ、FSH-βの上昇、血中E2、T, LHの上昇、PRL遺伝子の不活性化
βERKO 正常血中E2値
行動 雌 ΑERKO E2やPrGによる性反応の欠如、攻撃性の上昇
ΒERKO 影響なし
   雄 αβERKO 顕著な変化なし
(Endocrine Review 20: 358-417, 1999より引用)


表2.エストロゲンで誘導される遺伝子群

種類 遺伝子 誘導のみられる臓器あるいは細胞
核内因子 c-fos 子宮
c-jun 子宮
c-myc 子宮、ヒト乳癌細胞株
RARa1 ヒト乳癌細胞株
プロゲステロンレセプタ-(PR) 子宮、乳腺
増殖因子 TNFα 子宮
IGF−1 子宮、骨組織
EGF 子宮内膜
VGEF 子宮、血管内皮細胞
HB-EGF 子宮
EGFレセプタ− 子宮
HGF 卵巣
TGF-β3 骨組織
雌性タンパク質 ビテロゲニン アフリカツメガエル肝臓
オブアルブミン ニワトリ輸卵管
下垂体ホルモン プロラクチン 下垂体
オキシトシン 下垂体
ミルクタンパク質 ラクトフェリン 子宮、膣
細胞周期関連因子 サイクリンD1,D3 ヒト乳癌細胞株、子宮
癌抑制因子 BRCA1 ヒト乳癌細胞株
pS2 ヒト乳癌細胞株
アポタンパク質 Apo-VLDLII ニワトリ肝臓
細胞外基質 αI(1)procollagen ヒト骨芽細胞
酵素 Cyclooxygenase-1(cox-1) 胎児肺動脈由来血管内皮細胞
脳型creatine kinase 子宮
カテプシンD ヒト乳癌細胞株
内皮型nitric oxide合成酵素 血管内皮、子宮上皮細胞
その他 ウテログロビン 子宮内膜
Efp 子宮、ヒト乳癌細胞
EB9 ヒト乳癌細胞

(実験医学12,1998 核内レセプタ−と疾患特集より引用)


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