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(資料2)

子どもの心の健康づくり対策事業実施要綱の一部改正(案)
<乳幼児健診における育児支援強化事業の創設に伴う改正>

(案)
児発第610号
平成9年9月29日
[改正経過]
第1次改正
第2次改正
第3次改正
平成11年4月14日
平成12年4月 5日
平成13年4月 日
児発第365号
児発第413号
雇児発第 号

都道府県知事
各 政令市市長
特別区区長
殿
厚生労働省雇用均等・児童家庭局長


子どもの心の健康づくり対策事業について


 母子保健行政の推進については、かねてより特段のご配慮を煩わしているところであるが、今般、母親の育児不安の解消を図るとともに、特に、虐待・いじめ等の社会的な問題に的確に対応するため、別紙のとおり、「子どもの心の健康づくり対策事業実施要綱」を定め、平成9年10月1日から実施することとしたので、その適正かつ円滑な運営を図られたく通知する。


(別紙)
子どもの心の健康づくり対策事業実施要綱

第1 趣旨

 少子化、核家族化、社会連帯意識の希薄化による地域の養育機能の低下など、子どもや家庭を取り巻く環境が著しく変化する状況の中で、子どもが豊かな心を持ち、希望に満ちた有意義な人生を送ることができるよう、社会的機能を活性化することが求められている。このため、子ども、家庭及び地域社会の相互の連携により、地域社会の養育機能を充実・強化し、母親の育児不安等の解消を図るとともに、虐待・いじめ等の社会的問題に早期に対応するため、小児科医等による相談、乳幼児健康診査時における心理相談体制の充実及び虐待防止のための関係機関のネットワークを整備することにより、総合的な子どもの心の健康づくり対策を推進するものである。

第2 実施主体

 本事業の実施主体は、都道府県(第3の2から7を除く。)及び市町村(特別区を含む。以下同じ。)とする。

第3 事業内容等

 実施主体は、次に掲げる事業を地域の実情により選択して実施するものとする。

1 体制整備事業

 保健・医療・福祉の行政機関、教育委員会及び関係団体等をもって構成する「子どもの心の健康づくり普及推進委員会」を設置し、地域における連携体制の整備を図るとともに、地域の実情に応じ次に掲げる事項についてその全部又は一部を検討するほか、地域住民に対する普及啓発を行うものとする。

(1)虐待・いじめ防止に関すること
(2)育児不安への対応に関すること
(3)地域のグループリーダーの養成に関すること
(4)小児の健康手帳及びその有効な活用方法に関すること
(5)その他子どもの健康づくりに関すること

2 出産母子支援事業

(1)事業内容

ア 出産前後において身体面・精神面に問題のある妊産婦、育児不安を抱えている家庭及びその他相談を希望する者に対して、電話又は面接による相談及び指導を行うものとする。

イ 身体的理由又は生活環境等の理由により当該事業を行う場所に来所することができない妊産婦等に対して、助産婦が訪問して相談等を行うものとする。

ウ 相談等に応じる助産婦の技術の向上を図るための研修を行う。

(2)実施担当者

 助産婦とする。

(3)実施場所

 助産所等で行うものとする。

3 虐待・いじめ対策事業

(1)事業内容

ア 虐待・いじめ等に関する問題について電話又は面接による相談を行うものとする。

イ 虐待・いじめ防止に関する専門的な相談を行う者を育成するための研修を行うものとする。

(2)実施担当者

 小児科医、保健婦(士)等とする。

(3)実施場所

 9*市町村保健センター等で行うものとする。(医療機関を除く。)

4 乳幼児健診における育児支援強化事業

(1)事業内容

ア 市町村は、乳幼児健診における育児支援体制の強化を図るため、乳幼児健康診査において、次の(1)及び(2)を実施する。なお、市町村の実情に応じて、(1)又は(2)のどちらかの実施であっても差し支えない。
(1) 育児不安の軽減等を図るため、育児不安や悩みに関する個別相談指導

(2) 子どもの状態や親子関係を把握するためのグループワーク

イ 本事業における乳幼児健康診査とは、原則として1歳6か月児健康診査又は3歳児健康診査のことをいう。

(2)事業の担当者

 市町村は、(1)の個別相談指導を担当する者として、心理相談を行うために十分な技術及び知識、並びに経験を有する者を当てることとし、例えば、大学で心理学や教育学などを専攻した者、臨床心理士、母子保健や児童福祉に従事し十分な経験がある者などの中から、市町村が適当と判断する者を配置する。
 また、(2)のグループワークを担当する者として、保育士を配置する。

(3)事業の実施方法

ア (1)の個別相談指導は、育児の負担感や、育児の不安、悩み等を持つ保護者を対象として実施することとし、面接による相談指導を実施する。相談指導を行うに当たっては、保護者が不安や悩みに関する相談、訴え等を躊躇することなく行えるような雰囲気つくりに努める。

イ (2)のグループワークは、保護者と子どもを対象として実施することとし、保育士の指導のもとリクリエーション等に興じる中で、保護者と子どもの様子を観察し、子どもの状態や親子関係を把握する。

ウ ア及びイを実施するに当たっては、乳幼児健康診査の中で体系づけて実施するとともに、相互に連携して行うよう留意する。

5 児童虐待防止市町村ネットワーク事業

(1)事業内容

 市町村は、地域における児童虐待の防止と早期発見に努めるため、地域における保健・医療・福祉の行政機関、教育委員会、警察、弁護士、ボランティア団体等の関係機関・団体等(以下「関係機関等」という。)から構成する児童虐待防止協議会を設置し、次の事項について定期的に検討するとともに、具体的な虐待事例の検討を随時に行うものとする。

ア 児童虐待についての関係機関等相互の情報交換及び状況把握に関すること

イ 地域における児童虐待防止や早期発見を円滑に実施するため、関係機関等が行う事業等の効果的な連携に関すること

ウ 地域住民等に対する児童虐待に関する理解を深めるための啓発活動に関すること

エ その他の児童虐待防止策に関すること

(2)留意事項

(1) 虐待事例の検討を行う際には、事例に関わるプライバシー保護に十分留意する。

(2) 児童虐待防止協議会は、児童相談所や保健所等の都道府県の機関と連携を図る。

6 子育てグループリーダー育成・活動支援事業

(1)事業内容

ア 地域での母子保健活動を行う子育てグループリーダーに対する研修を実施するものとする。

イ 子育てグループリーダーが地域において子育てグループ活動を行うことに対して支援するものとする。

(2)対象者

 地域において、母子保健に関し相当の経験がある者とする。

7 健康情報の管理事業

(1)事業内容

 乳幼児期と学童期の健康情報の連続性を確保するため、小児期を通じた健康手帳を作成するものとする。

(2)実施方法

 手帳の作成にあたっては、乳幼児期の健康記録、予防接種に関しての記録及び小学校における健康診断等の記録ができる欄を設けること。

第4 実施上の留意事項

1 本事業の実施にあたっては、責任ある体制を確保し、職務上知り得た児童及び家庭に関する秘密保持について十分留意すること。

2 都道府県及び管下市町村が本事業を実施する場合には、あらかじめ、十分な調整を図ることとし、事業の効果的、効率的な実施に努めること。

第5 関係機関等との連携

 本事業の実施にあたっては、保健所、児童相談所、福祉事務所、教育委員会、医師会等関係機関、関係団体と十分に連携をとり、事業の実施について協力を求めるとともに、各種母子保健事業等との調整を図り効率的な実施に留意すること。

第6 その他

 保険医療機関における虐待及びいじめに関するカウンセリングについては、一部の疾患において保険給付の対象とされているので、事業の実施にあたっては、その点に留意し適正な実施に努めること。

第7 経費の補助

 本事業に要する経費については、国は予算の範囲内において別に定めるところにより補助するものとする。


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