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2023年4月28日 中央社会保険医療協議会費用対効果評価専門組織 第1回議事録

○日時

令和5年4月28日(金)13:00~

 

○場所

オンライン開催

○出席者

田倉 智之委員長 斎藤 信也委員長代理 池田 俊也委員 木﨑 孝委員
新谷 歩委員 新保 卓郎委員 中山 健夫委員 野口 晴子委員
花井 十伍委員 飛田 英祐委員 米盛 勧委員
樅山幸彦専門委員 船崎俊一専門委員 福田敬専門委員
国立保健医療科学院 保健医療経済評価研究センター 白岩上席主任研究官
<事務局>
中田医療技術評価推進室長 他
 

○議題

○Micra AVに係る総合的評価に対する企業からの不服意見聴取について

○議事

○費用対効果評価専門組織委員長
 では、Micra AVについて、企業から意見聴取をした後、御議論をいただきますので、まずは事務局から説明をお願いいたします。
(事務局・国立保健医療科学院より説明)
○費用対効果評価専門組織委員長
 ありがとうございました。
 それでは、議論に先立ちまして、まず、本製品に関わる総合的評価に対する不服意見の聴取を行いますので、事務局は企業を入室させてください。
(意見陳述者入室)
○事務局
 企業の方の準備が整いましたので、どうぞよろしくお願いいたします。
○費用対効果評価専門組織委員長
 私は費用対効果評価専門組織委員長です。
 早速ですが、10分以内でMicra AVの総合的評価に対する不服意見について、御説明をお願いいたします。続いて質疑応答をさせていただきます。
 では、始めてください。
○意見陳述者
 それでは、Micra AVの企業意見表明をいたします。どうぞよろしくお願いします。
 なお、スライド中、評価対象Micra AVをL-PM、比較対照の経静脈ペースメーカーをTV-PMと記載しておりますが、それぞれリードレス、経静脈と読み上げます。
 次の2ページを御覧ください。
 専門組織の御意見に対しまして、企業から4つの希望がございます。
 12か月以降の長期QOLの設定につきまして、①「企業案は根拠のある値を用いていない」につきましては、企業案を御説明の上、引き続き群間差分有りの分析を御検討いただきたく思います。
 ②、手術の傷は、6か月、1年経つと気にならなくなるにつきましては、手術の傷以外にも、様々な慢性期合併症・事象がございますので、御説明できればと思います。
 ③、Micra AV患者は、活動性が低い患者が多いにつきましては、必ずしもそうではないことを御説明したく思います。
 ④については、徐脈を有さない心不全患者のみの除外を希望します。
 以降のスライドで詳細を御説明します。
 スライドは飛んで、4ページ目を御覧ください。
 長期QOLの設定につきまして、①「企業案は根拠のある値を用いていない」との御意見に対し、まずは、4ページで企業分析モデルを御説明した上で、次の5ページで、御意見に対するQOLの設定方法を御説明します。
 本モデルでは、合併症及びQOLについて、イメージ図上段の赤い部分と、下段の青い丸の2つに分けて設定しています。
 赤い部分は、合併症発生の状態を特に区別はしておらず、合併症が発生した場合と発生していない場合、いずれも含んだ形でモデルを作成しています。これは、採用した直接比較試験のQOL設定方法に基づいています。
 一方、青い丸は、合併症発生した場合の設定となりますが、ここでの合併症とは、電池交換手術において発生する合併症に限定されます。
 赤い部分を補完する目的で青い丸を設定しましたが、ペースメーカーの電池寿命は10年以上あり、電池交換手術の発生率は非常に少なく、この青い丸の設定は、分析結果にほとんど影響を与えません。
 まとめますと、電池交換時以外に発生する合併症の影響は、赤い部分において総合的にモデルに含まれています。
 このため、公的分析の過程のように、12か月以降の群間QOL差分をゼロとした場合、電池交換に伴うQOL低下のみが含まれることになります。
 次の5ページを御覧ください。
 こちらのスライドでは、企業案のQOL設定方法を御説明します。
 特に12か月以降のQOL差分の推移は、分析結果へ大きく影響を与える非常に重要な設定となりますので、再度御検討をいただきたくと思います。
 こちらのグラフは、企業案、法的分析案のそれぞれのモデルで採用している群間QOL差分の推移となります。
 なお、リードレス患者のQOL推移ではなく、経静脈患者との差分との推移となりますことを御留意いただけますと幸いです。
 縦軸がリードレスと経静脈のQOL差分値、横軸が時間経過を月で表しています。
 01番の水色の線が当初の企業案で、植え込みから6か月まではCabanas試験のQOL値を設定し、6か月時点で値がピークになります。
 6か月以降も群間QOL差分は持続すると仮定しましたが、6か月時点のQOL差分がそのまま持続するのではなく、過大推計を避けるために、一定程度減少すると仮定しておりました。数値としては、6か月時点の値に4分の1を乗じておりました。
 一方、公的分析が採用した04番の紺色の線は、植え込み後6か月まではPalmisano試験のQOLを設定していました。
 その後、差分は縮小し、12か月時点で値はゼロになり、それ以降もゼロという仮定が置かれていました。
 しかし、既存の臨床エビデンスを加味すると、群間QOL差分が12か月以降ゼロになるという仮定は考え難く、差分は継続するという仮定のほうが、より科学的な確からしさがあると考えております。
 一方、先の専門組織での御指摘を踏まえ、01番の当初の企業案のように、同じ値がそのまま生涯継続する仮定には検討の余地があると考え、より保守的な推移としまして、03番の赤色の線のとおり、12か月以降の群間QOL差分が徐々に縮小していくシナリオを、可能性の1つとしてお示しします。
 この縮小率は、リードレスのQOLを評価した既存試験の中で最も評価期間が長いTjongらの研究に基づいて設定しています。
 スライドは飛んで、8ページを御覧ください。
 ②、専門組織の御指摘のとおり、経静脈植え込みに伴う傷は、多くの場合、時間とともに癒えますが、それ以外にも、リード断線、ポケット感染などの慢性期合併症、断線を防ぐための日々の行動制限、植え込みに伴う不安感などがあり、これらが植え込み後12か月以降も健康関連QOLへ影響を与えます。
 次の9ページを御覧ください。
 複数の大規模試験において、長期的なリードレスの合併症発症率の低減が示されております。
 今回新たにお示しする一番右の大規模試験では、5年の追跡期間において、慢性期合併症の非発症率に有意差が示されました。
 これらの試験では、QOLは評価しておらず、本分析モデルへ組み込んではいませんが、長期におけるリードレスの有意な合併症を発症率の低減は、長期において群間QOL差分が維持されることを支持すると考えております。
 スライドは飛んで、11ページを御覧ください。
 ③、Micra AV植え込み患者は活動性が低いとの御意見に対し、御説明をいたします。
 シングルチャンバーのリードレスペースメーカー、Micra VRは、臨床ガイドライン上、限定的に高度フレイルや寝たきり患者への使用について書かれていますが、システム上、リードレスのほうが適した徐脈のある慢性心房細動患者がClassⅠ適用となっております。
 一方、評価対象のMicra AVは、Micra VRとは異なり、ガイドライン上にMicra AVに特化した患者例の記載はなく、経静脈と同じ適用であることを関連学会で確認済みです。
 また、Micra AVは、一般的に房室同期により社会活動を目指すことを目的に植え込まれており、必ずしも活動性が低いとは言えないと考えております。
 次の12ページを御覧ください。
 こちらの表では、2つの直接比較試験の植え込み時のQOL値をまとめています。
 左が公的分析、右が企業分析で採用した臨床エビデンスとなります。
 経静脈と比較してリードレスが有意に低い評価項目はなく、リードレス患者が経静脈患者と比べて活動性が低いとは言えないと考えております。
 スライドは飛んで15ページを御覧ください。
 ④、植え込み時の入院費用について、法的分析のNDB解析にペースメーカーの適用ではない徐脈を有さない心不全患者が含まれていますので、そちらを除外した再分析を希望します。
 次の16ページを御覧ください。
 企業としては、①から④を再度御検討いただきたく思います。特に12か月以降のQOL推移は、分析結果に大きく影響を与える非常に重要な設定となりますので、再度、群間差分ありの分析を御検討いただきますと幸いです。
 最後に、○○大学医学部附属病院○○教授、○○先生よりコメントをいただけますと幸いです。
 先生、よろしくお願いします。
○意見陳述者(専門家)
 よろしくお願いします。○○大学の○○と申します。
 Micraに関してですけれども、今回、いろいろコメントをいただいたことに、私的には、植え込みも5年以上やっておりますし、植え込んだ100人超の患者さんをフォローさせていただいているのですけれども、印象としては、患者さんはQOLが1年過ぎてなくなるという御評価だったのですけれども、日常的に外来で患者さんを拝見している限りは、非常にQOLの差あるいは合併症の差というのは、長く維持されているという印象があります。
 理由としては、ペースメーカーが小さくなってきたというコメントもいただいたのですけれども、やはりポケットがないことの最大のメリットというのが、やはり患者さんには存在しています。
 患者さんが上肢を動かすときであるとか、あるいは運転する方ですと、安全ベルトであるとか、あとリュックですね。通常のペースメーカーですと、ストラップの当たるところを非常に気にされて、赤くなったらすぐ電話をかけてきたりとか、すごい心配をされて、中には、もちろんそれで感染してしまうような患者さんも、通常のペースメーカーでいらっしゃるのですけれども、そういうような制限は全く意識せずに、日常的に生活できるというのは非常に大きなメリットではないかと、患者さんとともに感じております。
 あとは、ペースメーカーは三尖弁輪をまたぐのが、通常の経静脈のペースメーカーなのですけれども、リードレスは単体ですので、三尖弁輪にかかりません。
 そのことで、患者さんでペースメーカーを入れていて、三尖弁の逆流が進んで、右心不全を起こしたりという方も、経静脈のペースメーカーでは多々いらっしゃるのですけれども、その割合もほとんどないということで、非常に患者さんにとってはいいという印象があります。
 何よりも私たちがリードレスを選択する最大のメリットというのは、やはり表面積が非常に小さくて、早期に上皮化されるということ。あとは非常に速い血流の右室の中に入っているので、菌血症になった場合に、細菌がつきにくいのです。ですから、透析の患者さんであるとか、あるいは何らかの肝がん患者さん、これから免疫を抑制していくような治療を受けている方あるいは受ける予定の方、あとは放射線療法を受けるような方、そういう方には非常に大きなメリットがあります。
 あとは、日本では、まだあまり多くされていませんけれども、先天的に静脈の閉塞があって、上肢からのアクセスが難しい患者さんは、足から植え込んで同じような徐脈の治療ができるということで、リードレスの大きなメリットだと思っています。
 あとは、御高齢の患者さんは痩せてきて、皮膚が菲薄化して、ジェネレーターが突出するということが、従来のものでしたらあるのですけれども、リードレスに関しては、そういう心配がないということでメリットがあります。
 今回の御評価を拝見して、個人的に感じた印象としては、私も関わってリードレスは期待しているのですけれども、決して、フレイルの患者さんが適用あるいは余命がない方が適用、ClassⅠインディケーションという意味ではなくて。
○事務局
 すみません。事務局でございますが、時間が大変オーバーしておりますので終わりにしてください。
○意見陳述者(専門家)
 はい、分かりました。
○費用対効果評価専門組織委員長
 ありがとうございました。
 では、時間になりましたので、質疑応答に入らせていただきますが、企業のほうから、さらに不服意見に関わり公的分析のほうに御質問とかはございますでしょうか。いかがでしょうか、よろしいですか。
○意見陳述者
 今の先生の御意見は、意見陳述者側からということで、よろしかったでしょうか。
○費用対効果評価専門組織委員長
 ええ、意見陳述者側から追加でさらに公的分析に対する何か質問とかがあればということであります。
 どうぞ。
○意見陳述者(専門家)
 このようにコメントをさせていただきます機会をいただきまして、ありがとうございます。
 私がハイライトを当てたかったのは、モデリングチャレンジといったものは、医療経済の分析におきまして、非常に一般的であると思われます。
 短期的なデータから長期的な臨床的なコスト効果といったものを外挿しなくてはいけないと、そういった必要性があると考えております。
 そして、このような場合には、データによりサポートされるようなシナリオを作成する必要性があると考えております。
 Palmisano、それからCabanas-GrandíoのTjongのほうからのエビデンスが出ておりますけれども、これは6か月のフォローアップ、追跡期間を通しまして、ベネフィットが増えているということを示しております。
 ○○のほうが説明をいたしました、スライド9のデータと併せて考えますと、スライドの5にございます幾つかのシナリオでございますが、こちらはデータによりサポートされていることが言えるかと思います。
 そして、データによってサポートされていない唯一の評価というのは、いわゆるゼロベネフィット、メリットがないという点だと思います。
 ありがとうございました。
○費用対効果評価専門組織委員長
 ありがとうございます。
○意見陳述者
 申し訳ございません。少しだけ御紹介をさせていただきたく思っております。
○費用対効果評価専門組織委員長
 どうぞ。
○意見陳述者
 今、発言をいただきました○○先生でございますが、今回のMicra AVの費用対効果分析のモデルを開発いただきましたため、同席いただいてございます。
 ○○先生でございますが、米国○○大学の○○でありまして、世界有数の医療革新技術プログラムであります○○の担当ディレクターをされております。
 このように逐語通訳にて御参加、発言されておりますことを御了承いただけますと幸いです。どうぞよろしくお願いします。ありがとうございます。
○費用対効果評価専門組織委員長
 では、今、企業側から御意見というものもございましたので、こちらについて、公的分析側から何かコメントとかがあれば、お願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○保健医療科学院
 科学院です。
 特にコメント等ございませんので、よろしくお願いします。
○費用対効果評価専門組織委員長
 よろしいですか。
 それでは、委員の方々いかがですか、御質問、御意見があれば、お願いします。
 ○○委員、お願いします。
○○○委員
 どうも御説明ありがとうございました。
 5ページのQOLの設定のところで少し質問がありまして、今、御説明の中では、ここで設定した群間差分というのは、データによってサポートされていると伺ったと思うのですが、多分そのデータというのは、アペンディクスのほうの21ページのものが、その根拠となるデータだと、私のほうは認識しました。
 ただ、この縦軸は、残念ながら、いわゆる効用値ではないと思うのですね。元の論文を見させていただいたのですが、SF-36の中の、しかもその一部分のQOLデータがこういう動きをしているのは確認できたので、多分、これを根拠に、今回のQALYを出すためのユーティリティーバリューの推移について推計するのは間違っていると思います。
 ですので、根拠となっているデータ、私の理解が間違っていれば御指摘いただきたいのですが、参考資料のアペンディクスのほうの21番を基に、このような長期的なQOLの推移を計算されたのであれば、それは通常、通常というか、少なくとも日本では受け入れられないと思います。私の理解が間違っていたら御指摘ください。
○意見陳述者
 ○○先生、御意見をいただき、ありがとうございます。
 いただいた御質問につきまして、まずは、私のほうから回答をさせていただき、その後、○○先生のほうから、補足などがございましたらコメントをいただければと思います。
 まず、私からの回答でございますが、先生がおっしゃられましたとおり、確かにアペンディクス21ページの臨床試験では、SF-36を評価してございます。
 しかし、今回この分析に使うに当たりまして、既存の公表エビデンスに基づきまして、SF-36の値をEQ-5Dに変換して使用してございます。
 ペースメーカー領域におけるエビデンスが非常に限られてございますことから、このように変換をして使用してございます。
 今回変換する式につきましては、企業分析の6か月時点までのQOL値でもそうですし、公的分析が採用された臨床エビデンスでも同様の計算でQOLの変換が行われているということですので、そちらは、何とぞ御了承いただきたく思ってございます。
 ○○先生のほうから、コメントはございますでしょうか。
○意見陳述者(専門家)
 コメントありがとうございます。
 データを見ていきますと、確かに理想的には、比較データを見ていくということがいいと思います。Palmisano、そして、Tjongのスタディのほうで、それは提供されております。
 そして、SF-36をEQ-5Dに変換するといったことは、受け入れられているやり方ではあります。その試験の中で、EQ-5Dのデータが収集されていないということであれば、そのように許容されるわけです。
 Chinitz 2023という1つのスタディがあります。Micra AVからの実際のEQ-5Dのデータを収集したスタディとなります。
 こちらのスタディでありますが、効用値がより高く上がったということを示しております。
 そして、先ほどのTjongスタディのスライドの21ページに関してでありますが、これは、ベースラインに対しての絶対的な効用値といったものを示しております。
 確かに累積の差の部分といったものを、そこから引き出すことはできないということは、真実だと思います。
 しかしながら、私どもは控えめな、保守的な想定として使っております。つまり、累積のQOLが徐々にフェードアウトするという意味合いで、そのように使っております。
 ありがとうございました。
○費用対効果評価専門組織委員長
 ○○委員、いかがでしょうか。
○○○委員
 すみません。確認ですが、そうしますと、アペンディクスのほうにある根拠となったと御主張されている植え込み時からのQOLの変化量という縦軸は、SF-36を変換した効用値として、こういう動きが見られたということですか。もし、そうだとしたら、どうやってそれを計算したのかというのは、このスライドのほうには示されていないので、そこは理解できませんでしたが、これは、効用値の変換したときのQOLの変化量ということで間違いないですか。
○意見陳述者(専門家)
 そのとおりです。SF-36をEQ-5Dのマッピングアルゴリズムに対して使っているという形になっております。2008年にAraらが発表したものです。そして、それは政府ないしはアカデミックな解析が、やはり使ったものと同じとなっております。
 ありがとうございました。
○○○委員
 ありがとうございました。
○費用対効果評価専門組織委員長
 その他の委員の方々からは、いかがでしょうか。
 では、新谷委員、お願いします。
○○○委員
 質問なのですけれども、企業の方の資料1のほうの12ページと13ページに、各研究においてリードレスペースメーカーと経静脈ペースメーカーでQOLまたは活動性のところに差がなかったというデータがあるのですけれども、リードレスペースメーカーの方というのは、今回の分析対象集団は、そもそも経静脈のペースメーカーの留置が困難な方ということで、分析対象集団は、そう定義されておりますので、スライド12と13に用いられたデータのリードレスペースメーカーのデータというのは、そのような患者様を対象としたデータになっておりますでしょうか。経静脈のペースメーカーの留置が可能な方も入っているのではないでしょうか。
 以上が質問になります。
○意見陳述者(専門家)
 Palmisano、それから、Cabanas-Grandíoのデータでありますが、こちらは、もちろんMicraリードレスペースメーカーのデータを提供しております。
 それから、比較対照としての経静脈ペースメーカーのほうも含まれております。それが、スライドの12ページに示されているわけです。
○○○委員
 すみません、質問の意図なのですけれども、リードレスペースメーカーを使われた方の中で、そもそも経静脈も可能である方が含まれていたのではないかということで、最終的にリードレスを使った方のデータであるのは理解可能なのですけれども、本当に経静脈の留置が困難な方なのか。
○意見陳述者(専門家)
 静脈から右室に入れるのですけれども、それぞれのスタディで入れる患者さんの対象というのは、本当にインプランター、私たち臨床の医師のデシジョンに委ねられているので、もちろん新谷先生がおっしゃるみたいに、入れようと思えば、静脈で入れられた患者さんはいらっしゃると思うのですけれども、例えば、その方が、先ほど私がお話しした理由、例えば、透析の患者さんであるとか、感染のリスクが高いと臨床家が判断した場合は、リードレスをチョイスしているものです。
 ですから、無理にリードレスを入れると決めた群ではなくて、通常の臨床どおりに植え込んだ集団ということになります。
○○○委員
 そうしましたら、リードレスを植え込まれる方というのは、やはり、経静脈が無理な方で、全ての国、日本以外の国でも限定されて利用されているので、このデータはミスリードされていないという判断でよろしいでしょうか。
○意見陳述者(専門家)
 はい。ただ、先生おっしゃるように、静脈からの植え込みが困難というよりは、やはり今までの5年のデータで、感染症のリスクが高い方というのに、私たちは日々よく使うように、世界中でなってきていますので、もちろん入れていない施設であれば、しようがない、少しリスクはあるけれどもという判断はあったかもしれないのですけれども、それぞれの臨床的な正しい判断で、リードレスと経静脈のペースメーカーの植え込みを選択しているものと考えています。
○○○委員
 そうしましたら、日本以外の国でも、例えば、経静脈が可能な患者さん、医学的には可能であっても、患者さん自体がリードレスを好まれて、それで経静脈ではなく、リードレスを入れられる場合もありますか。
○意見陳述者(専門家)
 場合もあります。患者さんが希望されてくるというのも、当院でも非常に多くて、ただその中で、あなたの場合は、本当はリードレスがほしいのだろうけれども、心房のペーシングができないから、今回は、今の段階では、経静脈にしましょうということを、外来でよくディスカッションをする場合もありますので、患者さんが希望されるのは結構多いです。
○○○委員
 そうしましたら、先生のところでは、そのようにきちんと説明されてお使いだけれども、世界的なデータというのは、いろいろなものが入ってくるので、もしかして、経静脈が医学的には可能でも、患者さんの選択によってリードレスが入っている方も混じっているデータであるということも、判断的には正しいと。
○意見陳述者(専門家)
 そうですね。ただ、なかなか判断は難しいかなと思うのですけれども、ただ、不整脈をやっている医師、例えばデバイスをやっている医師であれば、今の段階でのリードレス、ペースメーカーとしては、VVIあるいはVDDという形になるので、やはりインディケーション、適用にならない患者さんがいらっしゃるわけですね。それを推して入れる患者さんというのは、やはり透析の患者さんとか、しようがないけれども、これで何とか感染を回避して、それが使えるようになったら、それにしましょうというブリッジという考え方が、海外ではすごく浸透していて、そういう方も、もちろん、新谷先生が感じられているように混ざっているものと、私は思っています。
○○○委員
 分かりました。ありがとうございました。
○意見陳述者(専門家)
 ありがとうございます。
○費用対効果評価専門組織委員長
 その他の委員、いかがでしょうか。
 どうぞ。
○○○委員
 今のに関連して、13ページの患者背景から活動性の低い患者が多いとは言えないと書いてありますけれども、ここで気になるのは、やはり平均年齢が74歳という年齢ですね。日本人だと女性などは、平均年齢、寿命がもう90歳近いのですけれども、日本でも74歳前後の方にどんどん植え込んでいくと、例えば、○○先生にしても、企業の方は思われているのかなと、このデータをそのまま日本に当てはめていいのだろうかというのが質問なのですけれども、いかがでしょうか。
○意見陳述者(専門家)
 年齢に関しては、やはり日本人は長生きですので、海外と比べると年齢は少し高い傾向にあるのです。
 ただ、先生が思われている以上に、やはり透析中の患者さんであるとか、あるいは肝がん患者は、今、日本だと非常に増えていますので、先生が感じられている以上に、割にお若い患者さんもいらっしゃいます。
 先ほどから繰り返し、どうしてもクリアにしたいのは、どんどんリードレスを入れるというよりは、やはり将来のリスクを考えて、例えば、経静脈のペースメーカーを、これから抗がん剤の治療をする方あるいは透析をしている方に入れてしまうと、デバイス感染した後の抜去というのには、非常にお金がかかるのと、入れたばかりのデバイスを抜去して、一時ペースメーカーを入れて、本当に2週間、4週間と病院に入院されて、どれだけ医療費がかかるのだというので、本当に私たちは冷や冷やして、今まで患者さんを見てきていますので、それを回避できるというだけで、私は非常に今後、足りなくなる医療費をセーブする意味で重要なデバイスだと認識しています。
 今回のディスカッションは、先生方、クオリティ・オブ・ライフを執拗にディスカッションされているのですけれども、私は、あまり統計も強くないですし、QOLが重要だというのは分かるのですけれども、それ以上にデバイス感染のコストあるいは心不全によるコストというのを考えると、臨床家的には、コストベネフィットは、十分今のデバイスにあるものと信じております。
 以上です。ありがとうございます。
○○○委員
 透析の方であれば、確かにいいのかもしれないのですけれども、例えば、74歳の多くの方、どちらかというと、肝がんとか、寿命が10年もないぐらいの患者であるから入れたと思っておけばよろしいのでしょうかね。
○意見陳述者(専門家)
 74と言っても先生、74は、今、お若いですね、アクティビティがあって、それで、例えば経静脈に入れるデメリットというと、やはりその方が10年経ってバッテリー交換をすると、84あるいは少し病気になって、本当にバッテリー交換のときは、皮膚は薄いけれども切って大丈夫か、バッテリー交換は、今まではいろいろな病院で、バッテリーを換えるだけだから若い医者にやらせておけというのが、本当に4、5年前までのプラクティスだったのですけれども、新規植え込み以上に感染のリスクが非常に高いというのが分かってきていて、やはりバッテリー交換をしなくてはいけないというのは、70代の人というのは、それがあると、すごく心配です。
 ですから、今、日本で使えるタイプのリードレスが、いろいろ損なわずに、いい適用であれば、私たちはチョイスするようにして、心房がペーシングする必要がある患者さんで、無理やりリードレスを入れるというのは、先生がおっしゃったみたいに、透析の患者さんとか、本当に感染がハイリスク、そうではない方でも、リードレスの適用の方というのは、いらっしゃると御理解いただければと思います。
○○○委員
 では、もし10年後に電池を替えるときに、例えば、普通のDDDであれば電池を交換します。もし、リードレスであれば、もう一個入れる形になると思うのですけれども、どっちのほうが、電池交換というか、入替えのときにリスクが低いのでしょうか。
○意見陳述者(専門家)
 私は、両方入れている医者としては、リードレスが圧倒的に低いと思います。やはり、ポケットを開けることというのは、簡単に切って出せばいいでしょうと感じている方もいらっしゃると思うのですけれども、やはり皮膚を切って、静脈と外界に交通ができるというのは、本当に免疫が低下した方では、感染のリスクになりますし、私たちもバッテリー交換の時期が夏になったときは、なるべく引っ張って涼しい時期、あるいは患者さんの家にエアコンのない方などは、少し長めに病院に入院していただいて、汗をかかない、ばい菌が入らないという状態をつくっているので、かなり制約が出て、無駄な入院期間が増えてしまうことも、確かな情報として提供させていただきます。
 ありがとうございます。
○費用対効果評価専門組織委員長
 その他の委員の先生方、いかがでしょうか。
 では、先に○○先生、どうぞ。
○○○委員
 ありがとうございます。
 ○○先生のおっしゃっている論点というのは、循環器の専門医であれば、みんな誰もが納得しているところなので、それについて異論を言う気は全くありません。
 通常でいうと、MicraはVRが適応だろうと思われる90歳の寝たきりの施設から来る人たちに、Micra AVを寝たきりの方に入れているのです。ですから、論理的にというか、本来、僕もペースメーカーは、長く○○先生の下でずっとやってきているので、その論点に関しては、やはりおとしめないでほしいなと、ペースメーカーの価値を生かした使い方をしてほしいなとずっと思っていて、その現実と乖離しているところが、やはり現実にこれが世に使われ始めたところで、少数が使っていたところから拡大されていく中で、現実の問題が出てきていると。
 その中で、様々な、先生も先ほどおっしゃったようにコスメティックな問題と、感覚的な問題、フィーリングの問題、いろいろなことをメーカーの方たちが、最初は、コスメティックなところがとっても大事だという論点で言っていたのが、その次に来たときには、静脈のクラッシュ、ペースメーカーリードフラクチャーだとか、その感染だという話がすり替えられていってしまって、実際に、この10年間の中で、ペースメーカートラブルがどのくらい起きて、Micra AVのトラブル、死亡を含めて、通常ペースメーカーで死亡例が存在しているのか、この10年で調べてみてもほとんどありませんが、その中でMicraは、やはり、当初先生たちのような方たちが入れるだけではないので、現実、そういう増えている合併症があるというのも事実ですので、その辺がどうしても、コストの中に入れられなくて、終わった後、うまくいった後のいろいろなことの討論も重要ですし、そこを含めたところの考え方も重要で、そういう意味では、先生が述べられている内容というのは、まさにそうあるべきだということであって、それについて異論がないと、それを申し上げた上で、そこと違う議論をあえて含んでいる話なのだと、僕は理解しています。
○意見陳述者(専門家)
 ありがとうございます。
 いいですか、さっき先生がおっしゃっていた、確かに、例えば90歳の寝たきりで、Micra VRかAVか、例えば90の方で、うちでもよかれと思ってVVIを入れると、寝たきりなのですけれども心不全を起こして、残念ながら日本の施設ですと、心不全を起こすと、大学病院に戻ってくるということがあって、そのときに、最初、Micra VRだけしかないときは、心房を同期すれば、もしかすると、もう少し心不全の度合いが、少なくとも心房心室を同期するから避けられたかもしれないということで、あるといいなと思っていたのです。
 では、そういう方に全員入れるかというと、心房機能の悪い人に入れても、心房で同期することはできないのでやりませんけれども、やはり、年齢、寝たきりだけで、それは判断できないのかなというのが1点。
 あとは、先ほど○○先生がおっしゃった、AVは位置を選ぶということでしたけれども、両者とも入れる位置は一緒なのですね。入れて糸を切ってからしか心房をセンスしているかどうかというのが分からなくて、あとは入れて留置してから、プログラマーでどういうアクシスを取って感知しようかと、むしろ入れた後に調節をして、何とか心房の収縮を感知しましょうというものなので、先生が、恐らくレセプトで違和感を感じられたというのは、恐らくどうしても入れられなくて、それで経静脈にスイッチした、例えば、静脈と右室の角度が非常に急で入れられないとか、そういう患者さんだったのかなと感じました。そういうことに限ってのことではないかなと思うのですけれども。
○○○委員
 そうですね、ですから先生、僕たちが今議論しているのは、DDD型ペースメーカーとMicra AVの話なのですね。ですから、Micra AVを、VRを90歳でもペーシングが必要な人に入れてさしあげるという議論と、その方にMicra AV、DDDの代わりにAVを入れるのかと、そういう議論というよりも、Micra AVがDDD型と同等である、そして、そちらのほうが、有益性が高いということが、あまねくもし伝わるのであれば、皆さんに通用するのであれば、メドトロさんがずっと言ってきて、僕たちもそれを信じて入れてきた心房細動の予防のためのアルゴリズムはどうなのだとか、様々な機能をDDDは持っているわけで、そうであれば、その方たちにも、30代、40代の方にもDDDではなくてAVを入れてさしあげて、スポーツをやりましょうという話のわけですよ。
 でも、それを少なくとも僕の周りの人たちで選択している人はいないので、どうしても先生がおっしゃったように、肝がん患者さんであったり、いろいろな方たちには有益だねというのは、恐らく今日参加していらっしゃる先生たち、皆さん委員の方たちは御理解されているので、あくまでその機能が、DDDという搭載された機能が非常に高いものと、Micra AVというものの社会的な意義について、そしてDDDをしのぐものであるかどうか、しのぐとしたら機能なのか、クオリティなのか、QOLなのか、その辺の議論が今なされているわけですので、ですから先生のおっしゃっていることに異論がないというのは、その前提に立っています。
○意見陳述者(専門家)
 なるほど、ありがとうございます。
 基本的にDDDとMicra AVの大きな違いというのは、心房をペーシングできるかできないか、そこに尽きると思いますね。
 AVのDDDを超えるメリットというと、やはり御高齢の方あるいは何らかの理由で静脈が狭かったり、あるいは静脈に異常があって、どうしてもリードが入らないという場合にも、非常に心房をセンスして同期したペーシングができるので、大きなメリットだと理解しています。
 あとは、やはりポケットがないというのが最大のメリットで、感染は、やはりデバイス、○○先生もそうだと思うのですけれども、やっていて、本当に10年ぐらいで感染されると、抜くのも大変だし、レーザー抜去も非常にリスクが高いということで、そこが最大のメリットだと思います。
○○○委員
 そこは、完全にアグリーです。○○先生も、そこは完全にアグリーです。
○意見陳述者(専門家)
 ありがとうございます。
○費用対効果評価専門組織委員長
 ありがとうございました。
 その他の先生方、いかがでしょうか。今の御意見を踏まえつつ、如何でしょうか。
○意見陳述者
 申し訳ございません、今の議論に関しまして、もしMicra AVの機能について、補足などがございましたらと思いますが、よろしいでしょうか。
○○○委員
 機能の補足は要らないのではないでしょうかね。十分皆さん、お読みになっていらっしゃるので。
○意見陳述者
 失礼いたしました。
○費用対効果評価専門組織委員長
 では、これで意見聴取を終了したいと思います。企業の皆様方、ありがとうございました。
 それでは、御退席願います。
○意見陳述者
 ありがとうございました。
(意見陳述者 退室)
○事務局
 事務局でございます。
 企業の方が退席されましたので、御議論の御継続をお願いいたします。
○費用対効果評価専門組織委員長
 ありがとうございました。
 それでは、議論に先立ちまして、企業からの不服意見がございましたが、科学院から改めて追加で御意見などはございますでしょうか。
○保健医療科学院
 ありがとうございます。
 2点ほど、お伝えしたいことがあるのですけれども、1点目は、先ほど議論がありましたけれども、我々も適切な患者さんに使用された場合、Micra AVにおいても感染症等のリスクが減るのだということは理解しておりまして、そのことのQOLについても、企業側の設定どおり、新たに追加した分析を実施しているというところでありまして、それでも結果がほとんど変わらないのではないかというような結論が出ているという点は、御理解いただければと思います。
 それから、21ページ目ですけれども、企業が新たに提出してきたQOLの推計式ですけれども、正直申し上げまして、このTjongの研究というのは3か月と12か月と2時点しか取っていないデータでありまして、このデータの恐らく3か月と12か月のところの傾きを外挿することによって、QALYの値を推計しているのではないかと推察しているのですけれども、しかし、この3か月と12か月のときの傾きが、どこまで信頼性のあるものなのか、かなり偶然、バイチャンスによるものなので、これを少し引っ張ってQOLの予後を推計するのは、少し無理があるのではないかなと考えるところです。
 以上です。
○費用対効果評価専門組織委員長
 それでは、当該品目について御議論をお願いしたいと思います。なお、御議論に当たっては、企業からの不服意見を踏まえた企業からの提案と、公的分析の再分析結果のどちらがより科学的に、より確からしいかを相対的に評価することを踏まえて御議論を進めていただければと思います。
 臨床現場における使用方法、適用対象の話が随分ございましたので、まず、最初に○○先生と○○先生、追加でコメントをいただければと思いますが、いかがでしょうか。
○○○委員
 皆さん、ありがとうございました。
 追加で提出させていただいた今回の意見書の中でも書かせていただいたのですが、私ども社会保険のほうで調べられる範囲で、近年この10年ぐらいのペースメーカーにおけるリードのトラブルあるいはそれに基づく感染の発症率を確認させていただき、見させていただいたのですけれども、我々が使っておりましたペースメーカーは、現在、例えば、小学生とか体がとても小さい方たちに約8年ぐらいもつペースメーカーが、大人の親指のサイズよりも少し小さいサイズになっています。一番大きなペースメーカーでも、今、大体27グラムくらい、一円玉27個分の重さになっています。そういったペースメーカーで、寿命が大体10年を超えるものになっていると。
 今回の議論になっているのは、さっき○○さんにも話ししたように、Micra VRではなくて、VRであれば、それのバックアップ、ペーシングとして必要なものを、どうしてもそういう状態の患者さんに入れてさしあげるのは、もうやむを得ないし、その方たちのクオリティ、生活というのもある程度限定されているので、それがMicra AVとなったときに、DDDと同等の生活を維持できるかどうかということになるかと思っています。
 そうだとすると、DDD型のペースメーカーの機能のほうが圧倒的に優れている、これは○○さんも先ほどおっしゃったように、実際にそういう人が目の前に来れば、それを選ぶに決まっているわけなので、やはりかなり限定的に使われているのではないかと思っています。
 合併症の発生率も、この10年間で通常ペースメーカーでの手術死亡は、日本の中で1例もありません。
 一方で、Micraに関しては、10件とか、ベテラン、そしてエキスパートの先生が限定された施設で行っても、死亡が発生しているペースメーカーの手術ですので、安心ですよという言い方が可能なのかどうか。それをクリアしてしまえば、あなたは無事に、宇宙船が飛び立っていって、宇宙に出てしまえば安全ですねということなのだと思うのですけれども、その大気圏に飛び出すまでのリスクというのが、Micraには、残念ながらVRでもAVでも存在しています。それは同じことをするのだと○○も言っていましたので、ですから合併症という考え方で言うと、近年のペースメーカーの小型化ということと、ペースメーカーリードを挿入するときの方法が、ラプチャーしなくていいようなペースメーカーのリードの挿入方法になっています。これで、現実的に圧倒的にそれが減っているのですね。
 そうではないペースメーカーの手技を行っているところでは、やはりベテランでない人とかが、手技の方法が不適切で行う場合には、今でも存在しているのはあるかと思うのですが、それでも10年以内の発生というのは、あまり広告がないというのも、これはメーカー側のリードの報告がありますので、そう考えると、リードの問題を10年間毎日心配しないといけないというような言い方、感染がいつ起こるか分からないという言い方というのが、どうも歴史的なサンメンションしたようなパーセンテージで患者さんに説明すると何パーセントで、一方でMicraはほとんどありませんよという、それは今度、説明の方法が非常に不適切ではないかとも感じていますので、そういったことは明確にした上で比べないといけないのではないかなと。
 そういう立場に立つと、今の経静脈ペースメーカーの問題点があるにしても、それを著しくネガティブに評価するというのは、評価の在り方としては、適切ではないというのが臨床を行っている私としての立場であります。
 以上です。
○費用対効果評価専門組織委員長
 ありがとうございました。
 ○○先生、お願いします。
○○○委員
 今の○○先生の御意見に全て賛成ではありますし、それと、私が言いましたように、やはり74歳の方で、何かずっと感染だったり、入替えがすごく大変だと、何か○○先生の意見は、今のDDDを少し悪く言い過ぎている印象がどうしてもあってしょうがなくて、やはり74歳で10年して、また同じように異物を入れるかというのは、非常にためらって、もちろんMicra AVというのは、すごくいいデバイスであることは確かであって、それは分かるのですけれども、何かDDDを悪く言い過ぎているなという印象がどうしてもあります。
 ですから、特に何か今回の企業のいろいろなデータを見て、変えるかというような感じではなかったなという印象を持っております。
○費用対効果評価専門組織委員長
 ありがとうございます。
 皆様と議論を始めさせていただく前に、私のほうから2点ほど、お二人の先生に確認したいのですけれども、1つはDDD経静脈型ペースメーカーが植え込み可能かどうかということについて、○○先生のほうからも御意見があり透析患者さんなどのお話もございました。先生方御存じのとおり、透析導入の平均は、もう70歳を超えてしまっており、比較高齢者の集団というイメージなのですけれども、対象集団の活動性や年齢帯の整理について、念のために改めて確認させていただきます。あと、ブリッジユースという新しいキーワードが出てきたのですけれども、これも今回の議論で考慮すべきかどうか、この2点について、簡潔で結構なのですけれども、御意見をいただければと思いますが、○○先生、いかがでしょうか。
○○○委員
 ブリッジという考え方については、それが安全な考え方なのかどうかということは、まだ未確定なのではないかと思います。Micra AVが出てからの期間が非常に短いということもありますし、異物を年齢によっては複数入れていかざるを得ないという問題もありますので、これは、今、判断するのは時期尚早ではないかと思います。
 あと、DDD型ペースメーカーというのは、どうしても2本リードを入れないといけません。そして、入れる側というのが、右であったり左であったり、透析を行う患者さんでは、したがって、静脈の還流血の戻れる容積が小さくなりますので、ペースメーカーのリードが2本入る、その側で透析をするということは禁忌と考えています。
 したがって、ペースメーカーを透析患者さんあるいは透析を行う可能性が高い患者さんで使用する場合には、DDD型ペースメーカー選択する場合には、将来にわたって透析の血管、アプローチ側、アクセス側というのをどうするかということは、従来から大きな問題でありましたので、○○先生がおっしゃられたように、そういう患者さんでMicraを使うということには価値があると思っています。
○費用対効果評価専門組織委員長
 ○○先生、いかがでしょうか。
○○○委員
 今おっしゃったように、やはり限られた患者さんに対しては、すごくいいものであることは確かであるなとは思います。
○費用対効果評価専門組織委員長
 ありがとうございました。
 それでは、委員の先生方、いかがでしょうか。コメントがございましたらお願いいたします。
 ○○委員、お願いします。
○○○委員
 企業のほうにも、QOLの長期的な差についてどうやって算出したのかということの確認もいたしましたが、あと、その根拠になった論文のほうも、私も読んでみましたけれども、先ほど科学院のほうから御説明があったとおりで、このQOLの設定方法には、極めて課題がありますので、今回、企業が新たに提案した数値を使うということは、不適切と思います。
 以上です。
○費用対効果評価専門組織委員長
 ありがとうございました。
 QOLの取扱いが1つの論点でございましたが、今の御意見を踏まえつつ、この点に関して、先生方から御意見はございますでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 もう1つの論点の入院費用の算出方法についても、ある程度、先生方の御意見を伺うと整理はされているのかなと思いますが、いかがでしょうか。
 よろしいですか。
 どうぞ、○○先生、お願いします。
○○○委員
先ほどのQOLのところの話で、確認だけさせていただきたいのですけれども、今回、公的分析のほうで、企業が設定したパラメータを使って分析をして、結果がICERの数値としても、たかだか10万円程度/QALYしか変わらなかった、結果に与える影響がほとんどなかったという結論がされています。その分析の詳細に関する資料の共有が直前でしたので、確認までには至っていませんが、結局、企業分析では、長期的にQOLに差があるという前提でパラメータの設定はされているものの、なぜモデルに含めなかったのかという理由について、公的分析に聞いても、恐らく分からないと思うのですけれども、実際に企業分析側は、この問題点を理解されているのですか。
 結局、今回大きく分析結果が違っていたことは、入院費の問題もあると思うのですけれども、長期的なQOLの扱いによるところが大きいと考えられますが、これだけ食い違いがあることの原因について、本当にQOLの話だけなのか、モデルに含めていないだけなのか、他の要因もあるのか、企業側に本当は聞かなくてはいけないのだろうかとは思うのですけれども、何か分かることがあれば教えてください。
○保健医療科学院
 ○○先生、ありがとうございます。
 なかなか難しいところなのですけれども、分析期間がかなり長いので、長期のQOLの影響というのは、このICERに与える影響を見ると、かなり大きなもので、そういうところかなと認識していて、例えば、10年間0.05QALY高い状態を想定すると、QALYとして0.5ぐらい増えてきてしまうので、そうすると、かなり分母の値が大きくなってくるので、影響としては、かなり大きいのかなと認識しているところです。
 企業側が、なぜ入れてこなかったかというところについては、ちょっと分からないのですけれども、前回の質疑の様子などから見ると、海外でつくられたモデルを日本に移植したという形だと思いますので、十分に理解されていない部分もあったのかなと思っているところです。
○○○委員
 ありがとうございます。
 確かに分析期間が長期にわたる、生涯にわたる期間での結果なので、QOL値の多少の差も長期的に見れば、それなりの影響力があるということは理解しています。
 1つ疑問なのは、ここまでして不服申立てを企業もしてくるということは、やはり自分たちの分析結果にも、それなりに自信を持っているのかなという気はするのですが、結局この分析、科学院の公的分析のほうで、こういう問題点があるというところを見つけて、ここの影響は、ほとんど結果には影響していなかったよという、そういう何かフィードバックみたいなものは、企業にする予定はあるのかどうなのかというところは、いかがでしょうか。
○費用対効果評価専門組織委員長
 科学院さん、もし、お答えができるようであれば、まずお願いします。
○保健医療科学院
 うちの担当ではないかもしれないのですけれども、恐らく医療課のほうでフィードバックをするのではないかなと思いますので、もしよければ事務局のほうで、お答えいただければと。
○費用対効果評価専門組織委員長
 そうですね、これは、事務局さんのほうで、どのような形で返すかという話にも関わりますね。今までの内示書の中には、今のようなコメントの一部を資料としては出ているわけですが、事務局さん、何か追加でコメントございますでしょうか。お願いします。
○事務局
 事務局でございます。
 議論の内容としまして、ここで議論されたことをお伝えすることはできると思うのですけれども、少し確認したいことが、そういった意味でも何点かございまして、まず1つは、企業の先ほどの質疑応答の中で、SF-36をQOL値としてEQ-5Dに変換するという方法については、公的分析班で使っているのと同じであったと言っていたと思うのですが、これの事実関係と、それから、先ほどのお話ですと、公的分析班としては、2時点のみのQOL値だけで、長期的な低下というのは、説明が難しいのではないかということでしたが、そのQOLについて、どういった内容で企業の意見を却下するのかということだと思っています。
 それと、これは確認ですが、科学院さんの意見の中で、10万円しか差がなかったというのは、これはQOLではなくて、合併症を考慮したところと、我々は読み取っているのですが、そこは正しいでしょうか。
 そうであれば、そういった内容について、合併症について考慮したとしても、大きくなかったということは、企業には伝えられると思っています。
 それで、恐らく今の御議論というのは、伝わるのではないかと考えているところです。
○費用対効果評価専門組織委員長
 先に○○委員、コメントをお願いできますでしょうか。
○○○委員
 私の理解だと、企業とやり取りをしているQOLには2つのことがあって、1つはデータとしてきっちり存在している合併症発生に伴うQOL低下、これは、前回、企業のほうが勘違いをしていて、自分たちの分析にそれが入っている、入っていないというところが、間違った回答をしていたところですが、そこは科学院のほうで修正していただいて再計算したけれども、それについては、再計算しても結果に大きい影響がなかったということと理解しています。
 もう一つは、合併症に伴うQOLではなくて、SF-36ではかったそれ以外の様々な要素を勘案したQOLについては、ある意味データとして、そういうQOLの差があるのかもしれないけれども、少なくとも企業が示した文献からは、そういうものは読み取れないし、長期的な推移は、なおさら読み取れないので、企業の主張というのは、受け入れられるものではないと理解して、QOLに関しては、その2つのことが別個にあるのかなと思います。
 それで、不服意見に関する案では、それは基本的に、前者のことについては、きちんと書かれておりますので、それで十分企業に説明ができていると、私は理解したのですが、もし勘違いがありましたら、御指摘ください。
○○○委員
 今、○○先生がおっしゃられた不服意見に関する案という、今回の1-3の資料というのは、企業の方々にも提供されているものだと理解しておけばいいのでしょうか。
 それが企業の方々にも渡っている資料になっているのであれば、私の懸念は解決されると思うのですが。
○費用対効果評価専門組織委員長
 事務局さん、いかがでしょうか。念のための確認と思いますが。
○事務局
 事務局でございます。
 産情課の担当の者からお話をさせていただきます。
○事務局
 産情課でございます。
 御指摘いただいている費-1-3の資料につきましては、企業にはお渡ししていない内容になっております。
○○○委員
 なるほど。これを企業にお渡しするということは、なかなか難しい話なのでしょうか。
○事務局
 現状、従前では、こういった議論を基に内示が作成されまして、その内示書の内容として企業の方にお伝えすることは可能です。
○○○委員
 では、内示書の中に、この辺りの議論も含めていただければと思います。
○費用対効果評価専門組織委員長
 私の印象なのですけれども、この公的分析班さんのほうでおつくりになった回答の内容は、比較的によくまとまっていらっしゃいますので、これに沿った委員の意見もあったということで、これを少し簡潔にして内示書に入れていくと、企業側も何でこのような結果になっているかというのが分かりやすいのかなと思って、今、伺っていたところであります。そういうのを含めて、内示書のつくり方については、また改めて事務局さんと整理をしていくことになろうかと思っております。
 それに関して、もし御意見があったら、さらに事務局さんからコメントをいただきたいと思います。先ほどの議論の流れの中で、SF-36とか、2ポイントの分析の話とかがございましたが、科学院さんのほうから、この点に関して、技術的なところで何か御意見は追加でございますでしょうか。
○保健医療科学院
 ありがとうございます。
 我々、公的分析の見解としましては、SF-36をEQ-5Dにマッピングして効用値を推計するという点については、問題ないかなと思っているのですが、やはり2点のデータをもって、その傾きを外挿するというのは、少し問題があるのかなと考えているところです。
○費用対効果評価専門組織委員長
 ありがとうございます。
 事務局さん、先ほど3つの御質問があった点、1つは○○委員のほうからも意見がありましたし、今、他の2つについては、科学院さんのほうから話がございましたが、整理としていかがでしょうか。
○事務局
 事務局でございます。
 今の整理で十分対応可能と考えておりますので、引き続きよろしくお願いいたします。
○費用対効果評価専門組織委員長
 ありがとうございました。
 いずれにせよ、こういうデバイスについては、長期成績の評価は、なかなか難しいということでありますので、長期の成績がないからデバイスの価値みたいなものを否定してしまうというのも、また本末転倒でありますし、一方で、データがないと、きちんとした合理的な議論もできないというジレンマを抱えながら進めさせていただいているところであります。そこで、このような特性を背景とした議論の中で、多少なりともサポーティブな対応があるかどうかというところについて、事務局さんのほうから長期有効性に係る取扱いについて、何か補足で御説明があれば、お願いしたいと思います。
○事務局
 事務局でございます。
 先生のおっしゃるように、長期の有効性についてですが、現時点ではデータがないということでございますけれども、費用対効果評価制度の中では、評価終了後の再評価のプロセスというのが改めてH3というものがございます。例えば、その中で評価が終了したものについて、長期の有効性のデータが新たに出てきたと、新たな知見が出てきたというものにつきましては、一定程度ICERの基準等も変わる可能性がございますので、そういったものを用いて、再度対象品目として評価をするという仕組みがございますので、そういった仕組みを用いて評価することが可能だとは考えているところでございます。
 以上でございます。
○費用対効果評価専門組織委員長
 ありがとうございました。
 随分時間も経っておりますので、そろそろまとめていきたいと思いますが、全体を通して、委員の先生方から御意見、御質問はございますでしょうか。
 よろしいでしょうか。先生方の意見書及び今までの議論を踏まえますと、基本的には公的分析の内容を支持した形と理解させていただいておりますけれども、それでよろしいでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○費用対効果評価専門組織委員長
 ありがとうございます。
 それでは、議決に入らせていただきます。
 以上、先生方の御意見を参考に、Micra AVに関する費用対効果を総合的に評価いたしますと、Micra AVに係る総合的評価について、専門組織で決定された総合的評価のとおりとするということでよろしいでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○費用対効果評価専門組織委員長
 ありがとうございます。
 それでは、専門組織で決定された総合的評価を費用対効果評価案として、中央社会保険医療協議会に報告いたします。
 なお、企業に対する内示及び中央社会保険医療協議会に提出する資料に関しては、委員長に一任していただくということでよろしいでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○費用対効果評価専門組織委員長
 ありがとうございます。
 先ほど不服意見に対する回答について、公的分析班でまとめられた内容などについても、少し考慮をしながら事務局さんと提示をさせていただくことになろうかと思います。

 

(了)
<照会先>

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