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2022年8月26日 中央社会保険医療協議会費用対効果評価専門組織 第5回議事録

○日時

令和4年8月26日(金)13:00~

 

○場所

オンライン開催

○出席者

田倉 智之委員長 斎藤 信也委員長代理 池田 俊也委員 木﨑 孝委員
新谷 歩委員 新保 卓郎委員 中山 健夫委員 野口 晴子委員
花井 十伍委員 飛田 英祐委員 米盛 勧委員
樅山幸彦専門委員 船崎俊一専門委員 福田 敬専門委員
国立保健医療科学院 保健医療経済評価研究センター 白岩上席主任研究官
<事務局>
中田医療技術評価推進室長 他
 

○議題

○Micra AVに係る企業分析報告について

○議事

○費用対効果評価専門組織委員長
 続きまして、Micra AVに係る企業分析報告について御議論いただきたいと思います。
 対象品目について、企業分析が提出されておりますので、企業からの意見聴取を行った上で、企業分析の内容について先生方に御議論いただきたいと思います。
 まずは事務局から説明をお願いいたします。
(事務局より説明)
○費用対効果評価専門組織委員長
 ありがとうございました。
 それでは、議論に先立ちまして、まず本製品に係る企業分析に対する企業意見の聴取を行いますので、事務局は企業を入室させてください。
(意見陳述者入室)
○事務局
 事務局でございます。
 企業の方の準備が整いましたので、どうぞよろしくお願いいたします。
○費用対効果評価専門組織委員長
 私は、費用対効果評価専門組織委員長です。
 早速ですが、10分以内で、Micra AVに係る企業分析についての企業意見の御説明をお願いいたします。続いて、質疑応答をさせていただきます。
 では、始めてください。
○意見陳述者
 ありがとうございます。それでは、弊社医療機器のMicra AVの企業提出レポートを御紹介いたします。
 2ページ目に移りまして、Micra AVの概要を紹介いたします。
 Micra AVは、リード一体型ペースメーカー初のVDD機能を実現できる製品として、Micra VRと比較して10%加算を取得いたしました。
 スライド上部の3種類のペースメーカーを御覧ください。ペースメーカーはもともと経静脈型ペースメーカーしか存在していませんでした。2017年に弊社よりMicra VRと呼ばれるリード一体型ペースメーカーが登場し、合併症リスクが低いことを理由に現状評価されました。その後、2021年に弊社よりMicra AVが登場しました。Micra VRとMicra AVの共通点は、合併症リスクが経静脈型ペースメーカーと比較して低いことです。一方で、Micra AVがMicra VRと比較して10%加算を取得することができたのは、心房センシング機能が追加されたためです。
 スライド内で「モード」と記載されている箇所を御覧ください。ペースメーカーは、その機能によって大きく3タイプに分けることができます。経静脈型ペースメーカーは全てのモードが開発されたのに対し、リード一体型ペースメーカーにおいてはMicra VRはVVI機能しか有しておりませんでした。Micra AVはVVIよりさらに進んだVDDというモードを実現できる初のリード一体型ペースメーカーとなります。このように、Micra VRで既に確立された合併症リスク低下という特徴そのままに心房センシング機能が追加されたのがMicra AVです。
 続きまして、3ページ目において対象集団と比較対照を御紹介します。
 まずは対象集団です。先ほど御紹介いたしましたモードが臨床に与える影響は、病態に合わせた使い分けとなります。
 表の中のグレーの箇所を御覧ください。VVIモードが使用される患者をVVI適応患者とすると、心房細動を合併している房室ブロック患者、VDD適応患者は心房細動を合併していない房室ブロック患者、DDD適応患者は洞不全症候群患者となります。房室ブロックと洞不全症候群はペースメーカーの治療疾患である徐脈の種類です。
 スライド右のイラストを御覧ください。心臓の動きは電気刺激が上から下に、心房、心室の順で流れます。心房ブロックは心房と心室の間の電気刺激が阻害されていることによる徐脈で、心室に電気刺激を加える。つまり、ペーシングすれば徐脈は解消されます。一方で、洞不全症候群は電気刺激が発生する大本での障害となるため、心室だけではなく、心房に対してもペーシングが必要です。
 そのため、スライド左に記載しましたように、心房ペーシングを行えないVVIとVDDは房室ブロックに使用されます。VVIとVDDで行われる心室ペーシングの際に、心房の自然な動きに合わせることでより生理的なページングとなるため、VDDのように心房の動きも捉える心房センシング機能がついていることが望ましいとされています。
 しかし、心房細動を合併している患者などは、心房センシングを行いましても生理的なペーシングはできませんので、VVI機能で十分です。Micra AVはVDD機能を有しておりますので、VDD適応患者である、心房細動を合併していない房室ブロック患者が本分析の対象です。
 続きまして、比較対照です。スライド上の表にお戻りください。
 VDD適応患者は、Micra AV登場以前はDDD経静脈型ペースメーカーを使用していました。理由としては、VDD経静脈型ペースメーカーが現在、臨床使用されていないためです。そのため、Micra AVは置き換わり元であるDDD経静脈型ペースメーカーと比較します。
 ただし、DDD経静脈型ペースメーカーは体内で実質的にVDD作動しています。そのため、スライド下部にまとめたように、本分析の対象疾患は心房細動を合併していない房室ブロック、比較対照はDDD経静脈型となります。
 4ページ目が最終的な決定案です。
 文言は精緻化されておりますが、対象集団は心房細動を合併していない房室ブロック患者、比較対照はDDD経静脈型です。
 5ページ目で、追加的有用性の紹介です。
 システマチックレビューの結果、Micra AVと合併症プロファイルが同一のMicra VRにおいてはDDD経静脈型ペースメーカーと比較したデータが存在しました。リード一体型ペースメーカーはより安全性が高いということで、本分析においては追加的有用性があると判断しました。
 システマチックレビューでは、リード一体型ペースメーカー及び経静脈型ペースメーカーを比較した報告を幅広く確認しました。Micra AVとDDD経静脈型ペースメーカーにおいてはRCTを含む比較試験は存在しませんでした。
 ただし、合併症プロファイルが同一のMicra VRと経静脈型ペースメーカーの比較は幾つか存在しました。代表的なものは、安全性を比較したMicra VRと経静脈型ペースメーカーの比較です。
 スライド右上、図表1に示したように、植え込み後、どの期間におきましても、Micra VRの合併症発生率、紺やグレーの線は経静脈型ペースメーカーの黄色と比較して低いことが示されていました。最終的には63%の合併症リスク低減とされています。
 有効性については報告はなし、QOLについては安全性の高さからリード一体型ペースメーカーでよりQOLが高いという報告がされていました。
 図表2において、植え込み後1か月と6か月の経静脈型とリード一体型の比較がありますが、いずれもリード一体型ペースメーカーにおいてより高いQOLが報告されていました。
 6ページ目ではモデルの紹介です。
 モデルはスライド左にまとめました。モデルの起点は、Micra VRと同じく、84歳において初回のペースメーカー植え込みを行う患者と想定いたしました。分析期間は生涯、効果はQALY、健康状態は主に3つの状態を想定しました。ペースメーカーの植え込み後、合併症プロファイルが異なることによる、治療費用の差、死亡率、植え込み後のQOLが異なるモデルとしています。
 7ページ目では、パラメーターを紹介いたします。
 まず、安全性に関しましては、前述のとおり、Micra VRと経静脈型ペースメーカーの比較した研究はございましたので、こちらのデータで代替しております。QOLは文献を基にリード一体型ペースメーカーがより高いとし、合併症や電池交換の際にさらに差がつくようにしております。費用はレセプトデータ解析を行い、設定いたしました。その他のパラメーターといたしまして、生存曲線は一般人口の死亡率にペースメーカー患者のハザードレシオを乗じ、電池寿命は遠隔モニタリングシステムを用いて仮定いたしました。有効性についての差は仮定しておりません。
 8ページ目において、結果をお示しします。
 基本分析のICERは236万円となりました。一次元感度分析においてもほとんどで「500万円以下」、確率感度分析等からもICERが500万円を切る可能性は70%以上とされました。
 本分析においては、Micra AVがDDD経静脈型ペースメーカーと比較して追加的有用性が存在することは明らかであり、費用対効果分析を行ったことは適切と考えられます。また、パラメーターにおいても、前述のとおり、最も妥当なデータソースを選択しております。さらに、基本分析は「500万円以下」であったこと及び感度分析からも妥当性が証明されましたことから、Micra AVをDDD経静脈型ペースメーカーと比較した場合のICERが所属する確率が最も高い区間は「500万円以下」であると考えられます。
 最後の9ページ目がまとめです。
 本分析はMicra AVのDDD経静脈型ペースメーカーと比較した費用対効果分析です。Micra AVは安全性という点でDDD経静脈型ペースメーカーと比較して追加的有用性が存在したため、費用対効果分析を実施いたしました。
 モデルにおいては、初回ペースメーカー植え込み入院を起点とし、合併症プロファイルが異なることによる、治療費用、死亡率、植え込み後のQOLが異なることを考慮いたしました。
 結果として、基本分析の結果は236万円、ICERの所属する確率が最も高い区間は「500万円以下」ということが示されました。
 こちらにて企業の意見表明は終了でございます。
○費用対効果評価専門組織委員長
 委員の方から御質問はございますでしょうか。
 いかがでしょうか。
 では、私から、先ほどのQOLに関してなのですけれども、QOLの分析精度の議論は多分、重要かと思います。それで、先ほどSF-36のデータを基におつくりになったということですが、1か月、6か月の有意差があまりなさそうですけれども、これを基に今回はこのQALYを出して費用対効果を分析されたという理解でよろしいでしょうか。
○意見陳述者
 御質問ありがとうございます。
 スライド7ページ目にお示ししております図表2の分析結果を基にQALYを設定いたしました。確かに全てのサブ項目において有意差がついているわけではございませんが、有意差がついている項目もありましたので、こちらの値を用いて差分といたしました。
○費用対効果評価専門組織委員長
 感度を上げるとか、何か精度を上げるための工夫を今回、モデル分析の中に取り入れていらっしゃいますでしょうか。確率感度分析をやっていらっしゃるのは理解しておりますが、その他、何か工夫された点があればいただけますでしょうか。
○意見陳述者
 御質問ありがとうございます。
 こちらに関しましては、今、お話しいただきましたように、確率的感度分析での対応とさせていただいております。それ以外は行っておりません。
○費用対効果評価専門組織委員長
 分かりました。
 その他の委員、いかがでしょうか。
○○○委員
 すみません。○○でございます。
○費用対効果評価専門組織委員長
 ○○委員、お願いします。
○○○委員
 今、委員長からも確認があったところなのですが、SF-36からQALYを算出しているのは、具体的に例えばどの国のどういう換算式を使ったのかとかを教えていただけますか。
○意見陳述者
 換算式に用いましたのは、既に公表文献されているものになります。
 申し訳ございません。その換算式が設定された国は現在、把握はしておりませんが、海外のものです。
○○○委員
 海外のQOLをそのまま使って大丈夫なのですか。
○意見陳述者
 御質問ありがとうございます。
 今回、QOLに関しては国内でデータが見つかりませんでした。ただし、安全性のプロファイルに差があるということで、そこから基づいてQOLの差があることは実臨床上、妥当であると考えましたので、それらを反映するために最も妥当なデータで探したところ、こちらの海外のデータとなりました。
○○○委員
 多分、いろいろな国のガイドラインを見ると、自分の国で開発された換算式を使いなさいとか、結構、ヨーロッパでもそうなっているような気がするのですが、こちらを日本の値にうまく置き換えるとか当てはめる方法は何かほかにありそうですか。
○意見陳述者
 御質問ありがとうございます。
 確かに今、御指摘いただきましたように、換算式に関しましてはもしかしたら日本のものを用いることは検討していいかもしれません。ただし、元のデータといたしましては現在、国内にはない状況でございます。
○○○委員
 新たに何かこういうものを収集することは可能なのですか。
○意見陳述者
 御質問ありがとうございます。
 もし新たに研究を行えば収集は可能かもしれませんが、現在、比較試験を行う予定などがございませんので、そちらは行えていない状況です。
○○○委員
 イベントに伴う効用値低下が仮定値となっていますが、この仮定値はどうやって決めたのですか。
○意見陳述者
 御質問ありがとうございます。
 こちらは先行して報告されていました、ほかの手技で似たような手技の研究で使用されていた仮定値を基に設定しております。
 具体的に申し上げますと、今回、Micra AVというものがカテーテルで心腔内に医療機器を留置する手技となりますので、それに似たものといたしまして大動脈弁置換術のカテーテル手術の研究を参考にいたしました。その中での手術期間と、あと、今回のMicra AVであったりですとか、それ以外のペースメーカーの入院期間などを考慮いたしまして反映させました。
○○○委員
 何かすごく小さい値、0.001とか0.004という、とても小さい値で、では、ほとんどQOLは下がらないということなのですね。
○意見陳述者
 やはり死亡などに比べるとインパクトは非常に限られてくるかとは思います。
○○○委員
 死亡は1~0で、最高でも1下がるのだけれども、合併症治療で0.004という、それはほぼ0だと思うのですが、そういう理解でよろしいですか。「仮定値」とあるので、これは仮定したのだとしたらよほど仮定が、根拠なく仮定したのであれば相当、これは現実と離れているのではないかと思ったのです。
○意見陳述者
 御指摘ありがとうございます。
 今回の仮定値は、先ほどお話ししましたように、先行する研究での値を基に設定させていただきました。
○○○委員
 やり方について分かりました。
○費用対効果評価専門組織委員長
 その他の委員、いかがでしょうか。
○○○専門委員
 ○○です。
 1つお聞きしたいことがありますけれども、今回、このICERとか大きな影響を与えているのはやはり合併症がかなりMicra AVでは低いということかとは思うのですが、ただ、今、経静脈型ペースメーカーは小さな施設でもかなりいろいろなところでやられていると思うのですけれども、それに対してMicra AVはまだかなり大学病院等で行われていると思うのです。そういった経静脈型ペースメーカーを埋め込んでいる施設と、それから、Micra AVを埋め込んでいる施設で、そういうベッド数なり施設の違いは同じようなものでしょうか。それとも、かなり違うのでしょうか。
○意見陳述者
 御質問ありがとうございます。
 こちらに関しましては、○○の○○より回答させていただければと思います。
 今回、明確なデータに基づいての御回答というよりかは、マーケティングでの現状把握に基づいた回答となることをお許しください。
○意見陳述者
 ○○でございます。御質問ありがとうございます。
 現状、国内でも○○施設近くの御施設でMicraからの植え込みを実施いただいております。導入当初から学会様とも協議の上、実施基準を設けまして、その基準に合致した施設が実施できるような形を取っております。
○○○委員
 まだかなり植え込みましたと言って報告されることが多いかなと最近思いますので、大学病院でもかなり気をつけてやりましたなどという報告をよく聞くものですので、まだその辺が差があるのかなと認識しております。
○費用対効果評価専門組織委員長
 ○○委員、お待たせしました。どうぞ。
○○○委員
 こちらの合併症を見た研究はヒストリカルコントロールの比較というふうに書かれておりまして、先ほどのコメント同様、背景の違いは問題になるのではないかと考えております。
 それで、比較された比較群間の背景の違いですとか、あとは時代背景の違い。やはり新商品が最近のデータになるということで、時間軸のずれ等もあると思いますし、先ほど御指摘のように、施設の違い等、様々な違いがあると思いますので、ヒストリカルデータとの比較はかなり慎重に見ていく必要があると思いますけれども、そちらについて、コメント、御意見をお聞かせいただけますでしょうか。
○意見陳述者
 御指摘ありがとうございます。
 確かにヒストリカルデータは少し前のデータを用いているということで、時代的な背景もあると思いますし、そもそも別試験のものになるということで、RCTなどと比較すると完全に患者背景もそろったものではないと理解しております。
 ただし、医療機器の審査であったりですとか、こういった比較におきましてよく使用されており、こちらも既に学術文献に投稿されているもので、一定程度、妥当性があるものと考えております。
○○○委員
 もしよろしければ、背景情報もヒストリカルコントロールのデータも踏まえて、より詳細なデータを提出いただければありがたいと思います。
 もう一つですけれども、SF-36を見られた研究は特にRCT等は記載がないのですが、文献を検索してみましたが、そちらの文献にもRCTという、検索されたかどうかの記載がなく、どうなのかなというところと、あと、症例数が104人ぐらいの研究で患者背景は統計的に差がなかったと書いてあるのですが、患者背景自体は症例数の少ない研究で統計的有意差のみに依存して判断することは基本的にはよいとされておりませんので、実際にどれぐらいの差があったのかというところと、やはり無作為化試験ではないところで残差交絡等も存在すると思いますので、そちらについてもより詳細なデータを出していただければと思います。
 以上です。
○意見陳述者
 御指摘ありがとうございました。
○費用対効果評価専門組織委員長
 では、○○先生、どうぞ。お願いします。
○○○委員
 ありがとうございます。
 Micra AVに関しては非常に画期的なデバイスだと思っております。その上で、このデバイスの持っている大きな弱点を考えると、先ほど御説明いただいた内容は少し過度にデバイスを評価し過ぎているのではないかと思っています。
 最大のポイントは、この機器の適応患者がどうしても安静になっている患者さんで、体動を起こす、活動してしまうとMicra AVの有用性が下がる。つまり、安静にしているときにのみ先ほど御提示いただいたような機能が発揮されて、運動したり日常生活に入ってしまうと、今年発表されたHeart Rhythmの研究報告にあるように、実際にはAV、シークエンシャル機能が発揮されない症例が多数出てくる弱点があると思っています。
 だとすると、先ほどお話ししていただいた内容は、確かにリードがあるペースメーカーでは正しいのだと思うのですが、リードがないペースメーカーでは説明としては絵に描いた餅になってしまっている部分が大きいので、それを同等として扱うことがやはり問題ではないかと思っています。
 以上です。
○意見陳述者
 御指摘ありがとうございます。
 その点に関しましては、体動するというお言葉がありましたが、その際にセンシング機能が一部、経静脈型ペースメーカーと同様には動かないことは弊社も理解しております。
 ただし、そちらを踏まえました上で今回、VDD型の経静脈型ペースメーカーでのデータは代替しておりません。今回は、特にQOLに関しましても既に導入されているリード一体型ペースメーカーのものを用いております。そういった意味で、経静脈型ペースメーカーを完全に再現したものではないという御指摘は理解しておりますが、そちらは既に分析の中で反映されているかと存じます。
○○○委員
 分析の対象がDDDだとすると、様々なコストを考えたときにはDDDの本体機能が持っている有効性、例えば遠隔ができるとか、様々なモニター機能があるとか、ペースメーカーに本来期待されるものがあるはずだと思うのですが、Micraは、先ほどから御説明があったように、軽量化して、カテーテルで体内に入れることを最大のメリットとして作られているということがありますので、そういう歴史的に積み重ねてきた機能をそぐことで本来、今回、画期的なものとして商品化されているのだと理解していますので、そもそも論として見ると、そこは同等であるという認識を持つのがよいのかどうかに立ち戻ってしまいそうなので、私も踏み込んでいいのかどうか、迷っていました。
 以上です。
○意見陳述者
 ありがとうございます。
○費用対効果評価専門組織委員長
 その他、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、これで質疑応答を終了いたします。企業の方は御退室ください。お疲れさまでした。
(意見陳述者退室)
○事務局
 事務局でございます。
 企業の方が退室されましたので、どうぞよろしくお願いいたします。
○費用対効果評価専門組織委員長
 ありがとうございました。
 それでは、当該品目について、御議論をお願いしたいと思います。
 ○○先生と○○先生、先にコメントをいただけますでしょうか。 
○○○委員
 ○○です。
 先ほどのお話で、費用対効果を考えると、やはり合併症の違いが大きく関係しているのかなとは思うのです。ただ、今の段階ではかなり大きな、大学病院とか、そういう不整脈の専門の者がいるところでやっておりますので、当然、合併症は低いと思います。
 逆に経静脈的なものは本当に循環器の専門医、もしくはそうではなくても、かなりいろいろなところで普通に、医師が少ないところでもやっているので、センターによる違いがかなり、これに影響しているのかなと思うので、公的な分析をする上でそういった施設間の違い、もちろん、時代による違いもありますけれども、特に施設間による違いが大きいのではないかというので、その辺を丁寧に分析していただければと思っております。
○費用対効果評価専門組織委員長
 ありがとうございました。
 施設バイアスに係るコメントかと理解しました。ありがとうございます。
 ○○先生、いかがでしょうか。
○○○委員
 ○○先生の言われたのは本当に僕もそのように思っていました。違った論点で僕はコメントを書かせていただいたものですから、この点に関しては○○先生から御指摘いただいたことはまさにそのとおりだと思います。
 それこそ歴史的に多く行われてきた手技ではあるのですが、やはりどうしても合併症が起こる対象患者も含めて全ての人にペースメーカーが必要である方には入れざるを得ないので、そこで発生してくるトラブルと、限定した患者に対して行う特殊な、限定された環境の中で手技を持って行われるものを同一に比較する自体が検証の在り方としては違和感があるのは言わざるを得ないのかなと思っています。
 併せて、先ほど御説明しましたように、我々はどうしてもVDD型ペースメーカー、つまり、心房は感知できるけれども、ペースができないという、リードが少し太めのリードでVDD型ペースメーカーが歴史的にあったのが、どうしてもリードの破損のトラブルが多いということで、DDD、心房に1本、心室に1本リードを入れて、心房、心室を両方とも感知もできるし、ペーシングもできる機械を使わざるを得なくなった状況があります。
 したがって、DDD型ペースメーカーは全ての機能に対応できる。つまり、動くことも走ることもできますし、寝ていてもペースメーカーとしては機能する。ところが、今回のMicraは、先ほど企業は少しという表現をしていましたけれども、学術論文的に言うと大きくと書いてあるので、その機能を損なう。それはなぜかというと、このペースメーカーのセンサーの種類にもよるのですが、メドトロがもともと持っているセンサーはピエゾというか、ひずみのセンサーですので、そのひずみセンサーを活用して血液の流れと心臓の中に起こってくる心房の興奮を捉えようとしますので、大きな心室の興奮を捉えているのではないものを、もともとのピエゾは大きな心筋のひずみを捉えるためのセンサーなのですが、それが血流の動きと心房の小さな収縮の動きを捉えてセンスする。
 したがって、安静にしていないと機能が果たせない。センサー感度がそれにしか対応できない。だから、動いてしまうと周りの大きな変化を誤作動してしまうことがあって、だから、安静にしていれば80%機能するというふうになっているのです。だから、動いてしまうとそこで20%とか30%に下がってしまって、しかも走るとほとんど分からなくなる。それを同等のペースメーカーとして費用対効果を分析するという、ただ、それはほかに比べようがないので、そもそも論のところでやむを得ないところではあるのですが、その条件をどこかにやはり載せておかないと、考慮しておかないと、正しい医療配分というか、費用対効果にはならないのではないかと危惧しているところです。
 長くなってすみません。
○費用対効果評価専門組織委員長
 ありがとうございました。
 その他、委員の先生方、コメントはいかがでしょうか。
 先ほどの企業の意見聴取のときにかなり闊達に御意見をいただいておりますし、あと、今、御専門の先生に改めてコメントをいただいたところでありますけれども、追加もしくは補足でございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 基本的には、分析枠組みについてはガイドラインに沿っておやりになっていらっしゃるのですけれども、少し分析の中身について、臨床面を含めて、あと、データソースについて御意見をいただいたところかなと思っております。
 その他、御意見がなければまとめさせていただきますが、よろしいでしょうか。
 それでは、先生方の御意見をまとめますと、決定された分析の枠組みに基づき、企業分析がなされているということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○費用対効果評価専門組織委員長
 ありがとうございます。
 それでは、公的分析において方針を検討いただき、レビューもしくは再分析のいずれかの方針を科学院より表明していただくことにいたします。
 

(了)
<照会先>

厚生労働省保険局医療課企画法令第2係

代表: 03-5253-1111(内線)3140

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