ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 中央社会保険医療協議会費用対効果評価専門組織> 費用対効果評価専門組織 議事録(ダラキューロ④)

 
 

2023年1月27日 中央社会保険医療協議会費用対効果評価専門組織 第10回議事録

○日時

令和5年1月27日(金)13:00~

 

○場所

オンライン開催

○出席者

田倉 智之委員長 斎藤 信也委員長代理 池田 俊也委員 木﨑 孝委員
新谷 歩委員 新保 卓郎委員 中山 健夫委員 野口 晴子委員
花井 十伍委員 飛田 英祐委員 米盛 勧委員
薄井紀子専門委員 斎藤忠則専門委員 福田敬専門委員
国立保健医療科学院 保健医療経済評価研究センター 白岩上席主任研究官
<事務局>
中田医療技術評価推進室長 他
 

○議題

○ダラキューロに係る総合的評価について

○議事

○費用対効果評価専門組織委員長
 ダラキューロ配合皮下注について公的分析による再分析結果が提出されておりますので、公的分析及び企業からの意見聴取を行った上で、企業分析の内容及び公的分析による再分析結果の審査、並びに費用対効果評価案の策定について、先生方に御議論いただきたいと思います。
 では、ダラキューロ配合皮下注について企業から意見聴取をした後、御議論をいただきます。
 まずは事務局から説明をお願いいたします。
(事務局・国立保健医療科学院より説明)
○費用対効果評価専門組織委員長
 ありがとうございました。
 それでは、議論に先立ちまして、まず本製品に関わる公的分析の再分析結果に対する意見の聴取を行いますので、事務局は企業を入室させてください。
(意見陳述者入室)
○事務局
 企業の方の準備が整いましたので、どうぞよろしくお願いいたします。
○費用対効果評価専門組織委員長
 私は費用対効果評価専門組織委員長です。
 早速ですが、10分以内でダラキューロ配合皮下注の総合的評価について御説明をお願いいたします。続いて、質疑応答をさせていただきます。
 それでは、始めてください。
○意見陳述者
 本日はお時間をいただき、ありがとうございます。
 それでは、企業側の意見陳述をさせていただきます。
 スライド2ページ目を御覧ください。
 本日は、こちらのスライドでお示しした内容についてお話をさせていただきます。
 スライド3ページ目を御覧ください。
 本剤の概要となります。ダラキューロ配合皮下注は、多発性骨髄腫の適応にて承認を取得しており、用量は1,800mg、ダラザレックス点滴静注400mgを最類似技術とした類似薬効比較方式(Ⅰ)により算定され、治療方法の改善による有用性加算5%を取得している製剤でございます。
 2021年5月19日収載時の薬価は43万4109円でございました。
 その後、全身性ALアミロイドーシスに対する効能追加が2021年8月25日に承認され、その希少疾病の効能追加による加算が2022年4月1日の薬価改定において反映され、薬価は44万5064円となりました。
 スライド4ページ目を御覧ください。
 公的分析の結果について、最初に、多発性骨髄腫、その後、全身性ALアミロイドーシスについて意見陳述をさせていただきます。
 スライド5ページ目を御覧ください。
 多発性骨髄腫につきまして、分析枠組みはページの内容となっておりました。再発・難治の患者につきましては、感度分析として追加的分析が行われております。
 スライド6ページ目を御覧ください。
 公的分析並びに企業分析の追加的有用性の評価につきまして、企業の見解は以下のとおりです。文献検索の方針に若干の違いは存在するものの、特定された文献のリストは1つの重要な公表文献を除いて類似いたしました。その1つの重要な公表文献は企業分析提出後に公表され、公的分析班により特定されました。
 追加的有用性の有無の評価においては、公的分析及び企業分析のいずれも「追加的有用性なし」、あるいは「あるとは判断できない」と結論づけ、企業再評価分析が妥当であるといたしました。
 また、公的分析と企業分析において、文献検索のリサーチクエスチョンにおけるアウトカム指標の内容に違いが見られました。企業分析では分析ガイドラインの5.2.3に基づき、安全性及びHRQOLはアウトカム指標として含めました。安全性及びHRQOLは患者にとって臨床的に意義のある項目であるため、含めるべき項目であると考えます。
 スライド7ページ目を御覧ください。
 公的分析による費用最小化分析の分析条件と結果につきまして、企業の見解は以下のとおりです。最新の薬価・診療報酬への更新やナショナルデータベースによる分析等、公的分析によって変更された分析条件に異論はございません。今後、医療現場においてダラキューロの使用経験が蓄積されていくことにより、入院期間がさらに短縮される可能性があると考えております。公的分析による再分析では、全般的にレジメン当たりの費用が低いことが示されております。企業と公的分析いずれにおいても、ダラキューロとダラザレックスを比較した場合の費用削減が示されました。
 多発性骨髄腫の公的分析結果に対する意見陳述は以上となります。
○意見陳述者
 続きまして、全身性ALアミロイドーシスに関して意見陳述を申し上げます。
 スライド9枚目を御覧ください。
 分析枠組みについてです。分析対象集団は未治療の全身性ALアミロイドーシス、比較対照技術名はシクロホスファミド水和物、ボルテゾミブ、デキサメタゾンの併用レジメン、いわゆるCyBorDレジメンでした。これらは費用対効果評価専門組織にて決定されました。
 公的分析、企業分析のいずれも、こちらの分析枠組みに基づいて分析が行われました。
 スライド10枚目を御覧ください。
 追加的有用性の評価です。文献検索の方針に若干の違いはございましたが、特定された文献リストは類似しておりました。公的分析及び企業分析のいずれも、DCyBorDレジメンはCyBorDレジメンに対して追加的有用性があり、費用効果分析が妥当と結論づけました。
 企業分析と公的分析における主な違いに関しましては、多発性骨髄腫において申し上げたとおりでございます。
 スライド11枚目を御覧ください。
 分析条件に関してです。弊社は、ボルテゾミブの薬価、末期臓器不全状態のQOL値、PR/NRの生存曲線外挿に関する公的分析の見解に異論はございません。
 次のページを御覧ください。
 分析結果についてです。公的分析及び企業分析の増分費用効果費は非常に類似しておりました。いずれにおいても、200万円以上かつ750万円未満の区間に所属する確率が最も高いことが示されました。
 スライド13枚目を御覧ください。
 価格調整率の重みについてでございます。弊社は、価格調整率の重みに関する企業の提案が公的分析によって支持されたことに異論はございません。
 弊社からの意見陳述は以上でございます。
○費用対効果評価専門組織委員長
 ありがとうございました。
 委員の方から御質問はございますでしょうか。いかがでしょうか。
 ○○委員、お願いします。
○○○委員
 御説明ありがとうございました。
 貴社からはアウトカムとしてHealth-related QOLも追加されたということでしたけれども、ICERの基本になっているユーティリティーや効用値以外に健康関連QOLでどんな指標が使われていてどんな情報が得られたか、少し教えていただければと思います。
○意見陳述者
 御質問ありがとうございます。
 MMについてお答えいたします。弊社のダラキューロに関する文献といたしましては、有効性に加えて、医療従事者に関する時間比較、患者さんが投与のために病院に来られて、そのために医療従事者の方がどういうことでどのように時間を要するかということを比較した論文が1本。また、treatment satisfaction、患者さんの治療に対する満足度について評価した論文がございました。こちらについての評価が、弊社のアウトカム指標でHRQOLを含めることによりまして文献検索として含めることができております。
○○○委員
 ありがとうございました。
 特にdisease-specificなQOLの尺度というわけではないわけなのですか。
○意見陳述者
 はい。患者さんの治療に対する満足度という形です。
○○○委員
 分かりました。ありがとうございます。
○費用対効果評価専門組織委員長
 その他の委員、いかがでしょうか。
 ○○委員、お願いします。
○○○委員
 今御説明いただいたのは医療従事者の時間の短縮とかそういうことだったと思うのですが、それは多分HRQOLではないと思いますがいかがでしょうか。
○意見陳述者
 コメントありがとうございます。正確にいたしますと、弊社としてはアウトカムとしてefficacy及びsafety及びHRQOLの3つのアウトカム指標についてシステマティックレビューを実施いたしました。
 また、こちらの医療従事者に要する時間比較の観点の文献につきましては、HRQOLの一環としてピックアップされたものと考えております。
○○○委員
 分かりました。
 HRQOLではないとのことで理解いたしました。普通、HRQOLは患者さん御本人の健康に関連したQOLを何らかの尺度で測ったもので、あるいは介護者の方などのもあるのでしょうけれども、医療従事者の時間短縮は、QOLをはかればそういう指標で取れるかどうか、取れるのかもしれませんが、いずれしても今回はアウトカム指標として適切でないものが含まれて検索されてきたということで理解いたしました。ありがとうございました。
○費用対効果評価専門組織委員長
 その他の先生方、いかがでしょうか。
 ○○先生、意見書とかをいただいていますけれども、今の点は特段よろしいですか。
○○○委員
 ありがとうございます。
 ○○先生の御質問の点は非常に重要なところだと思います。最初の医療従事者の、確かにダラザレックスを使うときは非常に大変なのですけれども、それの短縮というのは医療従事者のQOLで患者さんのQOLではないのですが、ただ、患者さんの満足度という点では確かにこちらの皮下注のほうが高い。ただ、多分翻ってみると、患者さんが非常に外来あるいは入院でも待たされて、手間のかかる処置が要るものですから、そういうことをもしかしたら過剰に評価に入れたのかもしれません。ただ、私は患者さんの満足度というのは重視したほうがいいのかなと思って伺っておりました。ありがとうございます。
○費用対効果評価専門組織委員長
 その他の先生方、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、これで質疑応答を終了いたします。
 企業の方は御退室ください。お疲れさまでした。
(意見陳述者退室)
○事務局
 事務局でございます。
 企業の方の退室が確認できましたので、よろしくお願いいたします。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。
 それでは、当該品目について御議論をお願いいたします。なお、御議論に当たっては、企業分析結果と公的分析の再分析結果のどちらがより科学的になおかつ確からしいかを相対的に評価することを踏まえて御議論を進めていただきますよう、お願い申し上げます。
 ○○先生、全体を通して御意見はございますでしょうか。
○○○委員
 ありがとうございます。
 私は、この薬剤は皮下注製剤でいろいろ利点もあるのでしょうが、15ccぐらいの量を皮下注しますので、そんなことは可能なのだろうかと思うぐらい、我々の臨床の世界で15ccの皮下注は過去においてもあまり経験がないですよね。せいぜい1ccとか2ccぐらい、2ccもないな。それを危惧しておりましたけれども、臨床の現場ではちゃんとやっているみたいで、その1点だけが僕が考えていたことで、あとの分析方法に関しましては、公的分析も企業分析も結果として大きな違いはないということで、特別の異論はございません。
 以上です。
○費用対効果評価専門組織委員長
 ありがとうございます。
 ○○先生、先ほどHRQOLについてのコメントもいただきましたが、追加でございますでしょうか。
○○○委員
 ありがとうございます。
 私も○○先生がおっしゃった15ccというのは問題なのかもしれませんけれども、実際にはダラザレックスの点滴にかかる負担を考えると、15ccというのはアクセプタブルかなと思っておりましたので、今後この用量が少なくなっていくともっといいのかなとは思いますが、今の分析結果については公的分析のとおりでよろしいと思いますので、今後こういう抗体薬というのは皮下注製剤がたくさん出てきますので、HRQOLも分析の対象として検討したほうがよいのかなと思っておりました。
 以上でございます。
○費用対効果評価専門組織委員長
 ありがとうございます。
 その他の委員の先生方、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 科学院さんには、企業分析の提出期限のお話について何かコメントがあればいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○国立保健医療科学院
 科学院です。
 企業側のおっしゃっていることは妥当であると考えております。
○費用対効果評価専門組織委員長
 提出期限についても妥当であるという科学院さんの今のコメントとなっております。
 その他の先生方、いかがでしょうか。
○○○委員
 とても些末な話なのですけれども、今回、企業と公的分析が検討した入院期間の数字が異なっている原因について分かる範囲でいいのでお教えいただけるとありがたいなと思うのですが、いかがでしょうか。
○費用対効果評価専門組織委員長
 では、再分析をされた科学院さんから、コメントがあればいただけますでしょうか。
○国立保健医療科学院
 ありがとうございます。
 究極的な一つの回答というのは存在しないのですけれども、DPCデータを先方は使ってきていて、DPCのほうが少し入院期間が短くなる傾向があるのかなと認識しているところです。
○費用対効果評価専門組織委員長
 ありがとうございます。
 ○○委員、よろしいですか。
○○○委員
 分かりました。
 後1点だけお聞きしてもよろしいですか。今回は点滴静注と皮下注の製剤間の非劣性試験であり、有効性に関しては非劣性が示されています。非劣性試験は有効性がある一定の値以上に劣らないという代わりに安全性や有用性など何らかのメリットがある場合に利用される試験デザインです。今回、既存の点滴静注に対する皮下注の非劣性試験なので、コンプライアンスが改善されるメリットがあるにもかかわらず、追加的有用性がないと判断されるという点について、少し整理しきれていないので、詳細をお聞きしたいと考えています。また、公的分析はシステマティックレビューに安全性に関する項目を入れていませんが、IRRの発現率は皮下注製剤でより低く抑えられている結果になっているので、IRRに対する安全性についても皮下注製剤の有用性が示唆されていますが、非劣性試験の特性や安全性などの結果から、追加的有用性ありと判断することができないのかという点についてお聞きしたいのですが、いかがでしょうか。
○費用対効果評価専門組織委員長
 では、科学院さん、いかがでしょうか。
○国立保健医療科学院
 御指摘のようにいろいろな項目、安全性について入れられる場面もあると認識しているところですが、一方で、非常に安全性項目等も多くて、1つに有意差がついたり少し勝っているような傾向があるからといって、安全性で追加的な有用性があると評価してよいのかという点が悩ましいところでして、その製品の特徴を非常に表しているような、代表的に表しているような項目、効果指標であれば対応できると思われましたが、今回についてはなかなかそのような検討が難しいというところで、我々は今回このように評価をさせていただいたところです。
○○○委員
 どれかの項目に絞るのは難しいというのは理解できますが、恐らく臨床実態や患者さんにとっては、点滴静注が皮下注に変更できるということは、実際のデータとして得られてはいないものの、有用と判断されるのではないかと思われます。その理解で考えると、追加的有用性なしという判断に対して、臨床実態との乖離に違和感が残っているというコメントまでです。今後いろいろな医療技術に対する分析結果を蓄積して考えていくことが重要かと思いますので、またこういった点については議論させていただければと考えています。ありがとうございます。
○費用対効果評価専門組織委員長
 貴重な御意見をありがとうございました。
 これに関わるところで他にコメントがなければ、○○委員、どうぞよろしくお願いいたします。
○○○委員
 分析の結果、あるいは今回のこの結果については特段異議はないわけですけれども、今、いろいろな御意見がありまして、私も感じたところが、まず一つは、追加的有用性なしと言ってもこの薬は多分とてもいい薬で、いろいろな安全性とか医療従事者の負担とか患者の満足度とか、いわゆるQOLではかれない価値ですよね。健康関連QOLと生存期間という2軸でははかれない価値がいろいろあるお薬なのかなと。ただ、それを追加的有用性なしという言葉で表現してしまうと、それは実態と合わないところもあるのかなと思いましたので、あくまでもこの費用対効果のフレームの中で、そういう定量的にはかれた部分での話であって、それ以外にこの薬の大変よいところはあるのかなということで、この費用対効果評価というのはそういう視点での評価であるということを、やはりこの追加的有用性なしという言葉が独り歩きしないようにしていかないといけないのかなと、まずこの薬の価値の点については思いました。
 あともう一つ、費用のところ、これは費用削減という言葉だけが多分表に出てくるのですが、実際に見ると差額が全体の医療費のたかだか1%ぐらいなのですよね。なので、ちょっとしたことで結果というのは変わり得るわけですから、基本的には費用は同等というぐらいのところだと思うのですけれども、これもいわゆる点推定値で費用削減ということで表現するのがいいのかどうかというところもちょっと気にはなるところですが、とはいえ、今回、事前に決められたガイドラインとかルールの下で行っていくとこういう形で結果はまとめるということで、もちろんそこには異議はございません。ただ、いろいろと今後に向けて検討すべき課題も幾つかあるかなと感じました。
 以上です。
○費用対効果評価専門組織委員長
 重要な御意見をありがとうございます。御意見として承っておきます。
 その他の先生方、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、議決に入らせていただきたいと思いますので、○○委員におかれましては議決の間、一時御退席をお願いいたします。
(○○委員退室)
○事務局
 事務局でございます。
 ○○委員の退席が確認できましたので、よろしくお願いいたします。
○費用対効果評価専門組織委員長
 それでは、先生方の御意見をまとめますと、ダラキューロ配合皮下注に関する費用対効果については、公的分析による分析結果を費用対効果評価案として決定するということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○費用対効果評価専門組織委員長
 ありがとうございます。
 続いて、ダラキューロ配合皮下注の提出期限までに分析データ等の提出ができなかった当該理由の妥当性について、当該理由は妥当であるということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○費用対効果評価専門組織委員長
 こちらもありがとうございます。
 それでは、当該理由が妥当であるということとともに、以上の再分析結果を費用対効果評価案として中央社会保険医療協議会に報告いたします。
 なお、内示及び中央社会保険医療協議会に提出する資料に関しては、委員長に一任していただくということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○費用対効果評価専門組織委員長
 ありがとうございます。
 それでは、事務局は○○委員に入室していただいてください。
(○○委員入室)
 

(了)
<照会先>

厚生労働省保険局医療課企画法令第2係

代表: 03-5253-1111(内線)3140

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 中央社会保険医療協議会費用対効果評価専門組織> 費用対効果評価専門組織 議事録(ダラキューロ④)

ページの先頭へ戻る