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2022年2月25日 中央社会保険医療協議会費用対効果評価専門組織 第10回議事録

○日時

令和4年2月25日(金)13:00~

 

○場所

オンライン開催

○出席者

田倉智之委員長 斎藤信也委員長代理 池田俊也委員 木﨑孝委員
新谷歩委員 新保卓郎委員 田倉智之委員 中山健夫委員
野口晴子委員 花井十伍委員 飛田英祐委員 米盛勧委員
近藤幸尋専門委員 斎藤忠則専門委員 福田敬専門委員
国立保健医療科学院 保健医療経済評価研究センター 白岩上席主任研究官
<事務局>
中田医療技術評価推進室長 他
 

○議題

○パドセブに係る分析枠組みについて

○議事

○費用対効果評価専門組織委員長
 では、続けさせていただきます。次は、「パドセブ点滴静注用に係る分析枠組み」について御議論いただきます。
 まずは、事務局及び公的分析から説明をお願いいたします。
○事務局
 (事務局より説明)
○国立保健医療科学院
 (国立保健医療科学院より説明)
○費用対効果評価専門組織委員長
 ありがとうございました。
 それでは、議論に先立ちまして、まず本製品の検証作業に係る分析枠組みに対する企業意見の聴取を行いますので、事務局は企業を入室させてください。
(意見陳述者・入室)
○費用対効果評価専門組織委員長
 私は、費用対効果評価専門組織委員長の○○です。
 早速ですが、10分以内で、パドセブ点滴静注用に係る分析枠組み案についての企業意見の御説明をお願いします。続いて、質疑応答させていただきますので、対応をよろしくお願いいたします。では、始めてください。
○意見陳述者
 ○○でございます。本日はお時間をいただきまして、ありがとうございます。限られたお時間ですので、簡潔に御説明させていただきます。
 それではお願いします。
○意見陳述者
 ○○で医療経済を担当しております○○と申します。よろしくお願いいたします。
 では、本剤の疾患・品目の概要と弊社の考える分析の枠組みについて説明させていただきます。
 まず初めに、3枚目を御覧ください。こちらの絵に示しておりますように、尿路には、腎盂、尿管、膀胱、尿道が含まれまして、尿路を覆う上皮で発生するがんが尿路上皮がんになります。
 4枚目を御覧ください。尿路上皮がんのうち、最も発生頻度の高い膀胱がんについての罹患率を示したものですけれども、世界的には10番目に多いがんとなっており、日本でも同じような傾向があります。男女比は約4対1で、男性のほうが多い傾向にあります。
 5枚目を御覧ください。膀胱がん、腎盂・尿管がんの5年相対生存率を示したものですけれども、本剤の対象となるStage Ⅳは20%以下と、低くなっております。
 6枚目を御覧ください。Stage Ⅳの膀胱がんにおける治療について、こちらで示しております。
 右の緑の図が該当のものになりますが、ガイドラインについては、一次治療は全身化学療法やGC療法やGCarbo療法などのプラチナを含む化学療法が含まれます。二次治療は免疫チェックポイント阻害薬による治療が推奨されており、免疫チェックポイント阻害薬が無効な場合の三次治療については確立されていないとされています。
 また、パクリタキセル、ドセタキセル水和物は、尿路上皮がんの効能・効果を有しておりませんが、尿路上皮がんに対する使用について保険審査上は認められております。
 7枚目を御覧ください。こちらに本剤の品目概要を示しました。
 本剤の効能・効果は、がん化学療法後に増悪した根治切除不能な尿路上皮がんとなります。化学療法による一次治療、PD-1/PD-L1阻害剤の治療歴のある患者様に対し、使える薬剤となっています。
 また、海外の承認状況ですが、米国では承認されており、欧州については現在審査中です。
 8枚目を御覧ください。本剤の作用機序について、こちらに示しております。
 本剤は、抗体薬物複合体で、細胞上のネクチン-4に結合して標的細胞内に取り込まれると、細胞障害性物質であるモノメチルアウリスタチンEが放出され、細胞分裂阻害を起こすことで抗腫瘍活性を示す薬剤です。
 続いて、9枚目を御覧ください。こちらからは、本剤の適用承認において必要な試験だった国際共同第3相臨床試験について示しております。
 本試験は、本剤パドセブに対し、化学療法群を比較対照として有効性及び安全性について検討したものです。本試験において、各患者についてランダム化前に、本邦では、ドセタキセル、パクリタキセルの2剤のいずれかを医師が選択しました。その後、ランダム化によってパドセブ群、化学療法群に割り付けがなされ、化学療法群はさきに選択した薬剤が投与されました。
 10枚目と11枚目に本試験の結果について示しております。
 OS、PFSは、それぞれ12.88か月、5.55か月であり、パドセブは化学療法群に対し、有意な延長を示しました。
 12枚目を御覧ください。こちらに安全性の結果を示させていただいておりますが、副作用は抗がん剤によく見られる事象でした。
 続いて、13枚目から今回の評価分析の枠組みについて御提示しております。
 こちらには、弊社が考える費用効果分析の枠組みを示したのですが、まず、分析対象集団ですけれども、本剤の効能に基づき、プラチナ製剤を含む化学療法歴を有し、免疫チェックポイント阻害薬による治療中または治療後に病勢進行が認められた成人の局所進行性または転移性尿路上皮がん患者としたいと考えています。
 比較対照技術としましては、ドセタキセル、パクリタキセルの2剤を考えています。
 理由としましては、14枚目のスライドに示させていただいておりますが、診療ガイドラインで本剤が対象となる患者における標準的な治療は確立されていないとされていること。
 日本臨床腫瘍グループが作成した治療開発マップにおいて、ドセタキセル、パクリタキセルが標準治療と位置づけられています。
 さらに、前述したとおり、ドセタキセル、パクリタキセルは、保険診療における使用は認められています。
 また、臨床試験においても、ドセタキセル、パクリタキセルを比較対照としておりました。ドセタキセル、パクリタキセルの2剤の治療効果の差は明確でないことから、両剤を比較対照技術とし、使用実態に基づいた加重平均による評価が適切ではないかと考えています。
 分析の立場ですが、公的医療の立場以外は考えておりません。
 また、効果指標としてはQALYを使用いたします。
 今回、科学院との分析前協議において、比較対照技術以外の分析枠組みについては合意できたものと弊社は理解しております。
 続いて、15枚目を御覧ください。今回の論点ですけれども、分析前協議において合意に至らなかったのは、比較対照技術と考えております。
 弊社の見解はさきに説明させていただいたとおりですが、科学院からは、パクリタキセル、ドセタキセルのうち、安価なものという見解をいただいており、比較対照を2剤とするのか、1剤にするのかが本会の論点と理解しております。
 次に、16枚目を御覧ください。こちらには、比較対照技術の選定に関し、該当する分析ガイドラインの4章の関連部分を抜粋しております。
 科学院の見解は、より安価な薬剤を1剤に絞るべきということですけれども、ガイドラインの記載で、「一意に決めること」というのを「比較対照技術を単一に限定すること」とは、弊社としては必ずしも解釈できず、単一の比較対照を選択することに問題があるのではないかと考えております。
 1つの薬剤のみを選択することは、その薬剤が該当治療全体を代表していることになりまして、複数の代表的な治療オプションがある場合は、実臨床との乖離が大きくなります。
 海外のHTAにおいて、単一の比較対照技術を選定するという運用をしている国はなく、複数の治療オプションがある場合には、それぞれに対する費用対効果が検討された上で意思決定がなされていると理解します。
 また、比較対照の選択に効率的フロンティアを考慮すると分析前協議では言われておりましたが、それで評価された海外事例というのもありません。
 本来、ガイドラインは原則的な考えを示すものでありまして、本臨床試験によるドセタキセル、パクリタキセルの臨床的位置づけ、及び本剤の第3相臨床試験における比較対照を考慮いたしますと、複数の薬剤、治療オプションを比較対照とすることも可能であると考えます。
 また、1剤を選定する理由ですけれども、より安価なものを選択するべきであるという理由について、本ガイドラインから読み取ることは難しく、この点については明確に御協議いただければと思います。
 最後に、17枚目のスライドですけれども、こちらは参考資料になります。
 弊社が提案する加重平均にどのデータを使うのかというのは、また別の議論であると考えておりますが、参考として、臨床試験における化学療法の選択割合を示させていただきました。
 弊社からは以上です。ありがとうございます。
○費用対効果評価専門組織委員長
 では、委員の方及び企業の方から御質問はございますでしょうか。よろしくお願いいたします。
 では、私のほうから質問をいたします。先ほどスライドで、医師の裁量権のもと、自由にお薬を選んでいらっしゃるお話がございましたけれども、この臨床試験における何か施設特性とかのバイアスで、実臨床と少し乖離してしまう可能性があるかどうかについての御意見をいただけますでしょうか。
○意見陳述者
 ないと考えておりますが、弊社、○○から回答させていただきたいと思います。
○意見陳述者
 ○○の○○でございます。
 私どもの臨床試験からは、提示させていただいたスライドの情報のみでございまして、実臨床では、さらにコンビネーション等、いろいろされているとは存じますが、得られている情報としては、この臨床試験からの情報が信頼性あるものと考えております。
○費用対効果評価専門組織委員長
 分かりました。そうすると、施設特性で多少偏りの可能性もあり、医師の専門性と患者さんの背景も含めて、実際普及した段階で、乖離する可能性もあるという理解でよろしいでしょうか。
○意見陳述者
 その御理解で結構だと。
○費用対効果評価専門組織委員長
 ありがとうございます。
 その他の委員、いかがでしょうか。
 ○○委員、お願いいたします。
○○○委員
 今回のパクリタキセルとドセタキセルと、欧米ではもう1剤使った治験であったわけですけれども、通常、この三次治療というのは、いわゆるエビデンスが全くないわけで、臨床では、例えばパクリタキセルとゲムシタビンをコンビネーションでやったり、ドセタキセルとイフォスファミドといったもののコンビネーションでやっていることが多いのですね。ただ、そうすると、治験の場合、エビデンスがない場合、プラセボという手もあるのですけれども、それは人道上問題もあるということで、多分こういった形の薬剤を選んで対象群にしたのではないかということが推察されます。
 ですから、三次治療として、本来は、臨床的にはコンビネーションでやるというのが一般的で、パクリタキセル単剤とかドセタキセル単剤というのは余り行わないというのが、実臨床の三次治療になると思います。
 以上です。
○費用対効果評価専門組織委員長
 ありがとうございました。
 その他の先生、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、これで質疑応答を終了いたします。企業の方は御退室ください。お疲れさまでした。
○意見陳述者
 ありがとうございました。失礼いたします。
(意見陳述者・退室)
○費用対効果評価専門組織委員長
 ありがとうございました。
 それでは、パドセブ点滴静注用に係る分析枠組みについて御議論をお願いしたいと思います。 
○○○委員
 それでは、○○からよろしいですか。
 先ほどお話ししましたように、いわゆる三次治療というのは、まずエビデンスがないので、実際の実臨床としてはコンビネーションで行っている。かつ、各施設によって、そのコンビネーションが結構違っているというのが現状です。
 今回の治験に関して言うと、パクリタキセルとドセタキセルという形と、もう1剤、日本では使われていない薬なので、日本で言うとパクリタキセルとドセタキセルという形なのですが、パクリタキセルとドセタキセルは同じ薬ではない。タキサン系ではあるのですけれども、同じ薬ではないですし、例えばパクリタキセルの場合はひまし油が入っているので、いわゆるインフュージョン・リアクションの関係でいろいろな薬を前投与したり、ひまし油が入っていることによって回路を変えなければいけないということがあるので、どうしても実臨床ではドセタキセルを選んでしまうというのが多いと思います。ですから、今回の例を見ても、ドセタキセルのほうを選ぶ診療科というか、治験の部分が多いということにはなると思います。
 ですから、値段の低いほうで比較するということは、ある意味経済的にはいいのかもしれないですが、実際のことを考えると、全く違う薬剤なので、それを単一として安いほうと比較するというのは、今後、例えば我々、泌尿器は外科医でもあるのですけれども、同じ外科でも、やる目的が一緒であれば、安いほうと比較していいのか、手技が違ってもそれでいいのかというふうにも結びついてしまうので、単に安いということだけで選ぶというのは少し乱暴のような気がします。
 以上です。
○費用対効果評価専門組織委員長
 ありがとうございます。
 今回の論点になっているところの解説にも当たると思って伺っておりました。
 ○○先生、いかがでしょうか。よろしくお願いいたします。
○○○委員
 ○○です。
 今の○○先生の御意見と同じなのですが、パクリタキセルにするか、ドセタキセルにするかということで、安いほうという議論だと思うのですが、私、実は東京都の泌尿器科の審査を全部やっているので見ているのですが、症例的にもドセのほうが多いのです。それはなぜかというと、1つは、前立腺がんでドセタキセルを使い慣れているということもあると思いますし、今の安いほうという議論にまた戻りますと、パクリタキセルでもパー平米で200mg程度使う場合と、または8mgを毎週使う。3週間で見ると、ドセタキセルとコストは決して変わらないのです。レジメンによって、実はドセタキセルのほうが安いということがあると思うので、症例がたくさん出ているドセタキセルのほうが議論に乗りやすい、相手としてなりやすいと思います。
 もう一つは、議論があるかもしれませんが、Best Supportive Careのいろいろな論文や何かでも対象になっているのです。だから、それらのことも少し考慮が必要かなと思います。
 以上です。
○費用対効果評価専門組織委員長
 ありがとうございました。
 それでは、今の臨床の先生方の御意見も踏まえつつ、委員の先生方からコメントございますでしょうか。お願いいたします。
 科学院さんにちょっと確認なのですが、先ほど○○先生のほうから、3週間ほどたつとドセタキセルのほうが安くなる可能性もあるというコメントがございましたが、費用の判断についてはどのように考えていけばよろしいでしょうか。
○国立保健医療科学院
 ありがとうございます。
 ドセタキセルとパクリタキセル、単なるバイアルの価格で比較するということは、私たち、想定していませんで、投与コストとか、必要であれば副作用のコストとか、そういうものも併せて考えた上で、どちらが安いのかを検討させていただきたいと考えています。
○費用対効果評価専門組織委員長
 ありがとうございます。
 費用の算定については、今のような考え方で算定を進められるということだと思います。
 その他の先生、いかがでしょうか。
 ○○委員、お願いします。
○○○委員
 企業のほうの陳述の最後のほうで、余り私が想定していないような、重みづけでという提案といいますか、かなり強くそういう提案がありましたが、ガイドラインがそのように読み取れるものなのか、その解釈というのは受け入れられないと私は思うのですが、ガイドラインを実際に作成、取りまとめられた科学院のほうから、この企業の提案というものが全く相手にしなくていいものかどうか、ちょっと確認したいと思うのですが、いかがでしょうか。
○国立保健医療科学院
 ありがとうございます。
 先ほど説明に使わせていただいた費-3-4という資料に当該箇所のガイドラインの記載を載せてあります。4.1というのがガイドラインで比較対照技術を決める原則的な考え方なのでありますけれども、4.1.3において、そういう原則的な考え方に基づいて、一意に決めることが難しい場合は、RCTにおける比較対照技術云々と書いているところであります。4.1.3において、一意に決めることが難しい場合と書いてありますので、通常は4.1で1つに定めるということを想定していると解釈するのが自然なのではないかなと我々は考えています。
○○○委員
 安価のほうを採用というのは、4.1.3にある「費用対効果の程度等も考慮して」のところから読み取れるという理解でいいですか。
○国立保健医療科学院
 そのように考えています。
○費用対効果評価専門組織委員長
 その他の先生、いかがでしょうか。
 今のお話ですと、ガイドラインとしては一意に決めるという方針が出ているということでありますが、この比較対照のお薬の選定について御意見がございましたら、お願いします。
 先に○○先生、お願いいたします。
○○○委員
 これも確認ですが、今回、分析対象集団が1つに定まっているからこそ、比較対照技術も1つに絞れという話なのかなと思うのですが、逆に分析対象集団がこれまでも何らかの特性に応じて幾つかの集団に分かれた場合には、それぞれに対して最適な比較対照技術というものが設けられていたのではないかという理解ですが、それはそれでよろしいのですね。
○費用対効果評価専門組織委員長
 では、科学院さん、お願いいたします。
○国立保健医療科学院
 ○○先生御指摘のとおり、集団が分かれる場合は、それぞれにおいて1つ定めているという認識です。
○○○委員
 そうであれば、先ほど来の三次治療としてドセタキセルとパクリタキセルについて、何らかの条件に応じて使われるような対象がもし異なるのであれば、それぞれの対象集団に対して、それぞれの比較対照が選ばれるという理解でいいということですね。
 ただ、今回の場合は、三次治療としてどちらが使われるのかを何らかの基準で決めることはできないため、またまた分析対象集団は1つに決まっているからこそ、比較対照技術も1つに絞るべきだという理解でよろしいでしょうか。
○国立保健医療科学院
 そのような理解で結構だと思います。
○○○委員
 ありがとうございました。
○費用対効果評価専門組織委員長
 お待たせしました。では、○○先生、お願いします。
○○○委員
 ○○です。
 先ほど御専門の先生のほうから、ドセタキセルが割と使われるようになってきているというお話も出たかと思うのですけれども、パクリタキセルとドセタキセル、どれぐらい使われているのかということも考慮しなくていいのかなというところ、少し心配になったところです。ドセタキセルのほうが一般的により使われているということであれば、使われているほうを対象として考えるという考え方もあるのかなという気がしております。
○費用対効果評価専門組織委員長
 多数意見をいただいておりますけれども、この論点について、その他の先生、御意見はございますでしょうか。
 今の御意見は、ガイドラインとして1剤を選んでいくという方針とはいえ、現場としては、三次治療においてはコンビネーションでお使いになるケースが多いということで、パクリタキセル、ドセタキセル等を両方見た議論も必要ではないかという御意見だったと思っておりますが、いかがでしょうか。
 そうしますと、先生方の御意見をまとめさせていただくと、基本的にはガイドライン、公的分析の方針に沿って、まずは一意に安価な薬剤を決める。ただ、臨床実態として、御専門の先生方の御意見もございましたので、企業が主張されている加重平均をする形になろうかと思います。つまり、パクリタキセルとドセタキセルを両方見た分析も行うという、こちらは多分シナリオ等のやり方になると思いますけれども、そういう方針で先生方、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 その方針で行った場合、企業分析について幾つか技術的な懸念もあるということで科学院さんのほうから伺っておりました。加重平均することについて科学院さんから何かコメントございますか。併せて、シナリオ分析とかを行う場合においても、条件とか留意点をいただければと思います。
○国立保健医療科学院
 科学院でございます。御指摘ありがとうございます。
 加重平均というやり方については、ガイドラインとか、その他通知上等の規定がなく、先ほども申し上げましたが、どの部分を加重平均するのか。価格を加重平均するのか、アウトカムを加重平均するのか、調整率なのかとか、いろいろ分からないところが多くございます。
 ただ、御指摘のとおり、1つ決めたときに、もう一つの結果はどうなのだというところが気になるという御意見はあると思いますので、もしシナリオ分析として企業にお願いするのであれば、もう一方のほう、選択されなかったほうで分析をやることをシナリオでお願いしたらいかがかなと思うところです。加重というやり方を我々としても想定しておりませんで、どうやったらいいのか分からないということからの改めての御提案でございます。
○費用対効果評価専門組織委員長
 御提案ありがとうございます。
 加重平均という技術的な懸念に対して、さりとて、お薬を網羅的に評価するということで、今回、2剤のうち、分析していないほうの分析を入れてシナリオで分析して、最終的な意思決定、データを出して御議論いただくという御提案かと思います。○○先生、今のような考え方で、臨床的な観点から、お薬の評価として、一応2剤、評価をさせていただくことになりますけれども、先ほどのコンビネーションの観点からも含めて、いかがでしょうか。先生のお考えをいただければと思います。
○○○委員
 コンビネーションに関しては、各施設がばらばらで、いわゆるエビデンスのないものなので、基本的には今、お話があったような、実際の臨床にある程度即した形の加重平均というものが行われるのであれば、それはそれでいいのではないかなと思います。
 以上です。
○費用対効果評価専門組織委員長
 ありがとうございます。
 科学院さん、いかがですか。今のコメントを踏まえて、分析の方法は御検討いただけそうでしょうか。
 お願いいたします。
○事務局
 事務局でございますが、過去、事実関係といたしまして、今まで分析していただいている品目の中で、シナリオ分析で幾つかの比較対照技術を加重平均して求めてはどうかというところを、現在、シナリオ分析として分析を進めている品目があるという事実だけお伝えさせていただきます。
 以上でございます。
○費用対効果評価専門組織委員長
 ありがとうございます。
 加重分析自体は、今までも議論されてきたという理解でよろしいでしょうか。もう一度、事務局さん、確認ねがいます。
○事務局
 幾つかの品目、過去の品目でございますけれども、1つの薬剤に基本的に一意に決めるということでしたけれども、企業の希望もあって、他剤を比較対照技術として選んで、それを加重平均して分析してはどうかというところでシナリオ分析して、現在、分析していただいているところと承知しております。
○費用対効果評価専門組織委員長
 分かりました。ありがとうございます。
 また科学院さんに戻しますけれども、そういった実績があるのであれば、今回、加重分析という形で進めさせていただいてよろしいでしょうか。
○国立保健医療科学院
 失礼しました。科学院でございます。ちょっと中で検討いたしました。
 以前にあった事例を確認したのですが、価格のところだけ加重してということは、そこだけをやれということであれば可能なのですけれども、例えば有害事象がありますとか、そうなったときにそういうものを平均していくのかと言われると、いかがなものかなと思いますので、加重というのは、そういう前例的なものから言うと、そういう考え方でよろしいでしょうか。価格のところを加重した形のシナリオ分析でやるということでよろしいでしょうか。
○費用対効果評価専門組織委員長
 では、事実確認を先にさせていただくということで、また事務局さんに確認しますけれども、加重平均というのは、いわゆる価格のところの処理なのか、その他の有害事象も含めてなのか、もし今の段階で御回答いただけるのであれば、いただきたいと思います。
○事務局
 こちらに関しては、分析の中身まで事務局では把握しておりませんので、科学院さんのほうで分析されているところ、そして、当該企業のほうでどのように分析されているかというところになりますが、いずれにせよ、まだ結果は出てきておりませんので、事実関係について、どのようになっているかというのを現時点で申し上げることはできません。
 以上でございます。
○費用対効果評価専門組織委員長
 ありがとうございました。
 お待たせしました。○○委員、お願いいたします。
○○○委員
 先ほど科学院さんのほうからありましたように、加重平均を取る場合、どの部分を、どういうやり方で平均を取るのかというところをある程度合わせておかないと、比較が難しくなると思うのですね。ですので、ハザード比等の効果のところも加重平均を取るのか。その場合は、例えば今回の試験の内容ですと、パクリタキセルなのかドセタキセルなのかというサブグループ解析をやって、ハザード比を個々に求めた上で平均化するのか。または、そこを無視したハザード比を使っていいのか等、本当に様々なやり方があると思いますので、そこはある程度どうするかという意識合わせをした上で行ったほうがよいのではないかなと思います。
 以上です。
○費用対効果評価専門組織委員長
 ありがとうございます。
 ちなみに、○○先生にあえてお聞きしますけれども、今回、価格のところは、もちろん加重平均みたいな形の調整はあり得ると思いますが、フレームとしてどの範囲までというのは、統計の御専門の先生からのアドバイスとしてございましたら、いただけたらと思います。
○○○委員
 サブグループ解析等が絡んできますと、以前あったように、症例数が少ないがために統計的有意差に至らない。そうした上で、ハザード比を点推定値を使うのか、1というか、変わらないという値で置き換えるのか、また別の議論に発展していく可能性がありますので、科学院さんのほうから提案がありました、加重平均ではなくて、それぞれ2剤、ドセタキセルを主にして、シナリオ分析はパクリタキセルのほうにするとか、統一するというやり方も1つなのかな。感度解析としてはあり得るのかなと思います。
○費用対効果評価専門組織委員長
 科学院さんにちょっとお聞きしたいのですけれども、今回、企業側が想定している加重平均というのはどういうアプローチなのでしょうか。
○国立保健医療科学院
 我々も把握していないですし、恐らく企業側もまだ想定はないのだと思います。どういう重みづけ平均をしてくるか。ですので、我々としてはなかなか難しいなと考えているところです。
○費用対効果評価専門組織委員長
 ありがとうございます。
 その他、今の件に関して先生方から御意見ございますでしょうか。いずれにせよ、方針は決めないといけないので、いただいた御意見で先生方に諮りますが。
 ○○先生とか、何かコメントございますか。
○○○委員
 ○○でございます。
 加重平均というのが、他国でもそういう考えは余り一般的でないと思いますし、今回に関しては、たまたま2剤についての話なので、○○先生が御提案のように、2剤それぞれについて基本分析とシナリオ分析、感度分析のほうで結果を見て、結果が大きく違わなければ、それは加重平均しても同じですし、そうでないとすればその時点で考えればいいので、加重平均という考え方も、やり方によって答えが変わってまいりますので、そこは今回はそういう形の対応ではなく、2剤別々に分析して、その結果を並べるということで、一方、感度分析で行ってはどうかと思います。
○費用対効果評価専門組織委員長
 ありがとうございます。
 今のところ、先生方の御意見を踏まえますと、基本分析とシナリオ分析があり、それぞれのアームに2つの薬剤を割り当てて、一番安価と考えているものを基本分析にする。さらに、もう1剤をシナリオ分析で出していただいて、その結果を皆様方と議論する、という方針になりますでしょうか。症例数の割合については、その結果を踏まえた議論も可能かもしれないと理解しています。
 先ほど事務局さんのほうから説明がございましたが、今のような形で進めていくことに関して、ほかの事業との兼ね合いで留意しなければいけない点はございますでしょうか。
○事務局
 事務局でございます。
 分析の方法、テクニカルなところも含めますけれども、ガイドラインに従いながら、一定程度柔軟な対応をしながら事例を集積していくこととするのが、この制度の進め方ではございますので、都度、委員の皆様方からの御意見をいただいて検討していただくことが、良い制度として成り立っていくものではないかなと考えております。ですから、他の品目がこうだったということもございますけれども、今、当該品目に対して、どのような分析が最適なのかというところを御議論いただければと思っております。
 以上でございます。
○費用対効果評価専門組織委員長
 ありがとうございます。
 その他、委員の皆様から御意見ございますでしょうか。
 なければ、先生方の御意見をまとめますと、基本的には、ガイドラインに沿って、まずは安価なお薬での基本分析があり、ただ、使用実態を見て、他のお薬についても、この場合はドセタキセルになろうかと思いますけれども、シナリオ分析として提示していただきます。
 ただ、加重平均というものについての検討も進めていくという御意見もありましたので、加重平均の可能性について、薬価のみならず、その他の方法について、できれば科学院さんのほうで御検討いただいて、次の機会にお示ししていただくという方針でいかがでしょうか。よろしければ、そういう形で議決とさせていただきたいと思いますが。
 では、議決に入らせていただきます。先生方の御意見を参考に、パドセブ点滴静注用に関する費用対効果評価については、パドセブ点滴静注用に係る分析枠組みの論点「比較対照技術」について、公的分析の提案が妥当と考え、パクリタキセルとドセタキセルのうち、最も安価なものとする。プラス、シナリオ分析として、製造販売業者の提案にも関わる、パクリタキセルとドセタキセルのどちらかについて、使用実態に基づいた分析も行う。これに留意点として、加重平均というやり方についての検討もできるだけ具現性をもってお願いしたい、というまとめ方でいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
(委員首肯)
○費用対効果評価専門組織委員長
 事務局さん、このようなまとめ方で、中医協関係者への報告について何か問題ありますでしょうか。
○事務局
 特に問題はないと考えております。よろしくお願いいたします。
○費用対効果評価専門組織委員長
 ありがとうございました。
 
 

 

(了)
<照会先>

厚生労働省保険局医療課企画法令第2係

代表: 03-5253-1111(内線)3140

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