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2021年11月26日 中央社会保険医療協議会費用対効果評価専門組織 第8回議事録

○日時

令和3年11月26日(金)13:00~

 

○場所

オンライン開催

○出席者

田倉智之委員長 斎藤信也委員長代理 池田俊也委員 木﨑孝委員
新谷歩委員 新保卓郎委員 田倉智之委員 中山健夫委員
野口晴子委員 花井十伍委員 飛田英祐委員 米盛勧委員
川瀬弘一専門委員 久松理一専門委員  山本聖一郞専門委員 福田敬専門委員
国立保健医療科学院 保健医療経済評価研究センター 白岩上席主任研究官
<事務局>
中田医療技術評価推進室長 他
 

○議題

○レベスティブ皮下注用に係る分析枠組みについて

○議事

○費用対効果評価専門組織委員長
 レベスティブ皮下注用に関わる分析枠組みについて御議論をいただきます。
 事務局及び公的分析から御説明をお願いいたします。
(事務局・国立保健医療科学院より説明)
○費用対効果評価専門組織委員長
 ありがとうございました。
 それでは、議論に先立ちまして、本製品の検証作業に関わる分析枠組みに対する企業意見の聴取を行いますので、事務局は企業の方を入室させてください。
(意見陳述者入室)
○事務局
 入室を確認いたしましたので、よろしくお願いいたします。
○費用対効果評価専門組織委員長
 私は費用対効果評価専門組織委員長です。
 早速ですが、10分以内でレベスティブ皮下注用に係る分析枠組み案について、企業意見の御説明をお願いいたします。続いて質疑応答もさせていただきますので、そちらへの回答もよろしくお願いいたします。
 それでは、始めてください。
○意見陳述者
 ○○でございます。
 資料1ページ目を御覧ください。こちらに概要としまして、対象品目に関する主な情報をお示ししております。
 2ページ目を御覧ください。こちらが本日の内容です。1、2、3とございます。順に適応疾患の概要、対象品目の概要、最後に分析枠組み案について御説明いたします。3番目の分析枠組みにつきましては、既に分析前協議にてC2Hと合意済みでございます。
 3ページ目を御覧ください。ここから1番目のトピックとしまして、SBSの病態をお話しいたします。SBSは腸管の大量切除により著明な消化吸収障害に陥る病態でございます。スライド左半分にその定義の詳細をお示ししております。右側に臨床的特徴をお示ししておりまして、主には栄養障害や下痢に加えて、様々な臨床症状を呈する状態と言われております。
 4ページ目を御覧ください。小腸を大量切除した後、残った腸管で腸管の順応という構造的・機能的な適応が生じます。スライドの図を御覧ください。こちらが絨毛を図示したものになりますが、絨毛の高さを高く、溝を深くということで、栄養素、水分の吸収能力を向上するという適応でございます。この適応の促進因子の一つにGLP-2と言われるものがございます。
 5ページ目、原疾患についてです。表の左半分に成人の原疾患、右側に小児の原疾患をお示ししております。成人についてはクローン病等、小児については先天性小腸閉鎖症等が挙げられております。
 6ページ目、こちらは御参考までに原疾患の割合をお示ししております。左側が成人、右側が小児でございます。
 7ページ目を御覧ください。こちらがSBSの予後です。左側が成人の死亡率に関するグラフでして、成人SBSの5年後総死亡率は30%という結果が得られております。また、右側に生活の質にも影響するということで、様々な要因が与える影響があるということをお示ししております。
 8ページ目を御覧ください。SBSの治療管理についてです。この最終的な治療のゴールは非経口栄養からの離脱ということになります。図のフローチャートを御覧ください。上から順に腸管大量切除の後SBSとなりまして、その後、中心静脈栄養TPNの管理を開始します。その後、経腸栄養(EN)の併用を開始して、うまくいけば左側のTPNの離脱、そうでなければTPNを続行し、在宅静脈栄養法を続けるということになります。
 9ページ目です。このSBSの治療管理としまして、成人においては中心静脈栄養法では主にキット製剤が使用されます。また、諸症状に対しては右側にお示ししております対症療法が行われます。
 10ページ目、こちらから2番目のトピック、対象品目の概要です。本剤は小腸における栄養素や水分の吸収能を改善することが期待されております。図の中で作用機序をお示ししております。絨毛の中のL細胞というところから、通常は天然型のGLP-2が分泌されます。これがその先のIGF-1という因子に影響しまして、それによりまして絨毛高及び陰窩深、つまり絨毛を高く溝を深くする作用につながります。本剤はこの天然型ヒトGLP-2の遺伝子組換えアナログですので、この天然型GLP-2と同様の作用、また、半減期が長いので長い時間作用すると考えております。
 11ページ目、添付文書から効能効果、用法用量をお示ししております。効能効果は短腸症候群、用法用量は本剤として1日1回0.05mg/kgを皮下注射するとなっております。
 12ページ目、13ページ目で臨床試験について一覧をお示ししております。
 12ページ目、成人の第Ⅲ相試験で、前半、上半分が海外の試験、下半分が国内の試験ということで、複数の試験が挙げられております。星印がついたところが検証試験、また、それに続く長期継続投与試験ということで、主要な試験となっております。
 13ページ目、小児の第Ⅲ相試験をお示ししておりまして、こちらも国内・海外それぞれ試験を実施している状況です。
 14ページ目、この成人の一番主要な検証試験である020試験、またはSTEPS試験のデザインを示しております。ステージ1でPS量の安定化まで持っていきまして、ステージ2でプラセボ群、標準治療群とテデュグルチド群のそれぞれに無作為割りつけをして二重盲検で比較するというデザインとなっております。
 15ページ目、この試験の主要評価項目の結果でございます。こちらにはレスポンダーの割合をお示ししております。プラセボ群に対して本剤群で統計的に有意な差が見られております。
 16ページ目、審査報告書におけます機構、PMDAにおける審査の概略をお示ししております。有効性についてはSBS患者で本薬有効性は示されたと考えるということで承認をいただいております。
 最後、17ページ目、3つ目のトピックの分析枠組みです。冒頭にお話ししたとおり、既にC2Hと合意をしております。
 表の一番上から分析対象集団、これは成人と小児SBSのそれぞれの患者さんを対象に分析をすることを考えております。
 比較対照技術は標準治療、また、評価対象技術はテデュグルチドプラス標準治療としております。
 比較対照技術を選定した理由としましては、国内では成人、小児に対して腸管順応の促進効果を示す承認薬物治療が存在しないこと、また、効果的な治療法も未確立であること、それから、現在のところの標準治療は主として経静脈サポート等による栄養療法を中心とした残存腸管機能の最適化に重点が置かれた対症療法であるといったところを踏まえまして、先ほどお話ししたような内容としております。
 「公的医療費の立場」以外の分析はなし、効果指標としてはQALYを用いることを考えております。
 以上で意見陳述を終わります。
○費用対効果評価専門組織委員長
 それでは、委員の方及び企業から御質問はございますでしょうか。
 ○○委員、お願いいたします。
○○○委員
 御説明いただき、ありがとうございました。
 17枚目が臨床試験に対する機構の判断といいますか、評価だと思うのですけれども、今日御説明いただいた中で小児の症例数あるいは結果などについての御説明が十分なかった気がするので、そこを伺えればと思います。この17枚目のスライドの上に「本薬有効性は示された」と書いてあるのですが、小児のところを見ると有効性が示されたような記述ではないので、何とかの傾向というのはきっと有意差がないということですね。そうなると、費用対効果評価のときには費用最小化分析で行う、追加的有用性なしという前提でこれはやるのだと思うのですが、そういう理解でよいのかどうかも含めて御説明をお願いいたします。
○意見陳述者
 御質問ありがとうございます。
 まず、小児に関しても有効性が見られたということは述べられております。右側の黄色の四角のところにございますとおり、ただ、症例数としては少ない状況ですので、成人のほうでしっかり有用性が見られていること、それから、小児においても同様の傾向が見られていることから、有効性としては示されているとなっているのが審査の概要でございます。
○○○委員
 症例数はどの程度なのですか。統計的な有意差は示されているのですか。小児について、恐らく全体としてそうした有用性があったとしても、今回の分析は小児と成人で分けてやるわけなので、小児の場合は追加的有用性なしというように今までのお話だと聞こえるので、そうでないとすればその状況を教えていただきたいと思います。
○費用対効果評価専門組織委員長
 いかがでしょうか。
○意見陳述者
 海外の主要な小児の試験におきましては、標準治療群と比較をしております。症例数に関しましては、本剤群で26例、標準治療群で9例というデザインとなっております。統計的な有意差については見られておりませんが、レスポンダーの患者割合としてはある程度の数値的な差としては見られていると考えております。
○費用対効果評価専門組織委員長
 ○○委員、いかがでしょうか。
○○○委員
 ありがとうございました。
○費用対効果評価専門組織委員長
 その他の先生方、いかがでしょうか。小児の辺りで御質問があればと思います。
 ○○委員、お願いいたします。
○○○委員
 御説明ありがとうございました。
 成人の試験のレスポンダーの定義は、一定量の点滴量が減少したということで定義されているという理解でよろしいのですね。
○意見陳述者
 その御理解のとおりです。20%以上減少した場合。
○○○委員
 そのときなのですけれども、個人的には本剤の臨床的意義は、中心静脈栄養からの離脱にあると思うのです。そういうデータもあったと思うのですが、離脱率みたいなデータはお持ちなのでしょうか。
○意見陳述者
 実際に、例えば海外の検証試験に続く長期継続投与試験ですと離脱例が見られております。そちらでは3割程度の患者さんで離脱が見られているというデータが得られております。
○○○委員
 ありがとうございます。
 臨床的にはそちらのほうがはるかに意味が大きいと思うのです。
 もう一つは、これは難しいかもしれないのですけれども、患者のQOLの指標などは、これは治験では出していないのでしょうか。
○意見陳述者
 ありがとうございます。
 海外の検証試験におきましては、QOL指標としてEQ-5Dのスコアを収集しております。今回分析においてはそちらを使うことを今のところは考えております。
○○○委員
 国内のほうではそれは出してはいないのでしょうか。
○意見陳述者
 御理解のとおりです。国内につきましては、例数の確保が難しいといった点もありましたので、検証試験ではなくワンアームの単群の比較的小規模な試験を実施しております。そういったこともありまして、国内ではQOLデータは収集しておりません。
○○○委員
 ありがとうございました。
○費用対効果評価専門組織委員長
 その他の先生方、いかがでしょうか。
 ○○委員、お願いいたします。
○○○委員
 この短腸症候群の発生の母地としては、成人だとクローンや上腸間膜動脈塞栓などということですけれども、その中で広範囲の小腸を切除して、その中でSBSが発生するというのは大体どれくらいの割合なのでしょうか。それとも広範囲切除したのはニアリーイコールSBSの患者さんと考えてよろしいのでしょうか。
○意見陳述者
 御質問ありがとうございます。
 短腸症候群の定義どおりに腸管が短くなって、例えば150センチ以下になった方でも、患者さんによってかなり腸管順応の程度に個人差があるように感じております。ですから、実際には患者様によって同じ小腸長になっていても症状として発症される方とあまり点滴に依存されない方はおられるように思いますが、その内訳は現状確たる報告はないのかと考えております。
○○○委員
 どうもありがとうございました。
○費用対効果評価専門組織委員長
 その他の委員の先生方、いかがでしょうか。
 私から最後になろうかと思いますけれども、今回エンドポイントはQALYを使うということで、先ほどEQ-5Dを使ったQOLのお話がございましたけれども、ライフイヤーというか、生存率のデータについて特段予定されている試験やデータがありましたら御説明いただけますでしょうか。
○意見陳述者
 ありがとうございます。
 臨床試験の中では直接的に生存率の評価はしておりません。一方で、費用効果分析モデル上では健康状態の定義を経静脈サポートの1週間当たりの回数で定義しております。その健康状態ごとの移行確率を定義することでモデル化することを今のところは考えております。
○費用対効果評価専門組織委員長
 分かりました。ありがとうございます。
 その他、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、これで意見聴取を終了させていただきますので、企業の皆様は御退席いただければと思います。お疲れさまでした。
(意見陳述者退室)
○事務局
 事務局でございます。
 企業の方の退室を確認いたしましたので、よろしくお願いいたします。
○費用対効果評価専門組織委員長
 ありがとうございました。
 それでは、レベスティブ皮下注用に関わる分析枠組みについて御議論をお願いしたいと思います。
 ○○先生、○○先生、追加のコメント等がありましたらお願いできればと思います。
○○○委員
 分析については同意いたします。この薬の効果を何をもって判定するかが非常に難しいと思います。臨床側からいいますと、中心静脈栄養というのは生命予後に関わるものですので、それからの脱却と、そこに付随する患者さんのQOLの障害がどの程度改善するか、これが非常に重要になってくると思います。中心静脈栄養からの脱却については、お話にあったとおり長期に見てみないと出てこないデータだと思いますので難しいかもしれないですが、事前の協議でも話をしたのですが、患者さんのQOLの評価方法が中心静脈栄養を強いられることによるQOLの障害の評価にマッチしているのかどうかが大きな問題になるのかと思います。例えば手足の麻痺などはないわけですし、日常生活もしようと思えば中心静脈をしながら可能なわけですけれども、実際にずっと中心静脈栄養が入って経口摂取がままならないというのはかなりQOLが障害されているわけです。そこがうまく評価できるのだろうかというのが実は最初から少し懸念があって、それによってこの薬の費用対効果、薬の価値が変わってしまうのではないかとは思っております。
 以上です。
○費用対効果評価専門組織委員長
 ありがとうございます。
 その他、○○先生、○○先生、御意見をいただければと思いますが、いかがでしょうか。
○○○委員
 外科の立場からSBSの患者さんのマネジメントなどを考えながら意見を述べさせていただきたいと思いますけれども、SBSになった背景ですね。私は小児はやっていないので小児外科の患者さんのことは分からないのですけれども、成人ですとクローン病や絞扼性腸閉塞などいろいろな背景がありまして、残っている小腸の長さも実はかなり影響すると思うのです。20~30センチしか残っていないとレベスティブを使っても何を使っても恐らく駄目だと思うのです。離脱できないと思うのです。20~30センチだと厳しいのではないかと思うのですけれども、80センチぐらいですと結構3年ぐらいかけてだんだん中心静脈栄養を使う量が減ってきて、最終的にはレベスティブがない状態でも数年かけて離脱できる患者さんを我々は経験しています。80から90、100センチぐらいのところが微妙なところで、ですから、必ずしもレベスティブを投与しても20~30センチしか残っていない人は無理なのではないかと個人的には思っておりまして、その辺も評価ポイントに加えられてもよいのかと。20~30センチの人は幾ら投与しても駄目だと思います。
 背景疾患なども、ここまで分けると切りがないのかもしれませんけれども、正常な腸なのか、クローン病などの腸なのか、そのほか神経性の疾患なのかなどによっても変わってくるのかと思ったりもしていますので、そういうものを評価ポイントに入れていいのかどうか分からないのですけれども、外科医として少し気になると思ってお話を聞かせていただいておりました。
○費用対効果評価専門組織委員長
 ありがとうございます。
 ○○先生、お願いできますか。
○○○委員
 私は小児外科医ですので、小児疾患としてのSBSのところで多数経験があります。先ほどの原疾患のところでは様々な疾患が挙げられていますけれども、実は腸回転異常症による中腸軸捻転が一番大きな問題でして、その場合にはほぼ小腸の大部分がなくなって、残存小腸が十二指腸なども入れても10センチ、15センチ、20センチというものなので、この辺が非常に厳しい病気かと思います。ほかの疾患などでは壊死性腸炎あるいはほかの小腸閉鎖症でも先ほどおっしゃっていたように残存小腸が比較的長めに残りますので、その場合には何とか維持ができる形でございます。評価法の話もしておりましたけれども、先ほどおっしゃっていたように輸液量のパーセントが20%減少できるなどというのは、非常にそういうものは一つの評価の方法だとも思っていますし、あるいは投与のいわゆる総カロリー数の占める割合がどのくらい減っていくかというところでも十分評価ができると思います。
 QOLに関して言えば、今言ったようになかなか評価が難しいという点はございますけれども、例えば小児の場合ではよくやられるのが、投与カロリー数が若干中心静脈から離脱できなくても減っている場合には、要するに、夜間のTPNというか、夜間に輸液をしてカロリーの補充をして、日中はクランプをして普通のふだんと同じ生活をすることもできると大幅にQOLが改善をします。ですから、その辺りのちょうどぎりぎりのところの患者さんでも、そういうところで十分評価ができるのではないかと。もちろん完全に離脱できればQOLははるかにめちゃくちゃよくなるわけなのですけれども、途中のところでもいろいろQOLの評価は十分子供であってもできるのではないかとは個人的には思っています。
 以上でございます。
○費用対効果評価専門組織委員長
 ありがとうございました。
 今の御専門の3名の先生からいただいた内容で、1点私からも追加で科学院さんにお聞きしたいのですけれども、残存小腸の程度によって症状はかなり変わってくるという話でありましたが、事前に伺っている範囲ではデータがないというお話で難しいような方向であったのかと思うのですが、この辺りについて分析の予見性、可能性について、もしコメントがあればいただければと思います。よろしくお願いいたします。
○国立保健医療科学院
 我々のほうでも分析の枠組みを検討する際に、残存小腸や小腸が欠損した理由などといったものによって集団を分けられないかどうかを検討したわけですけれども、なかなかそのようなデータが見当たらない、あるいは非常に小サンプルの試験であることから困難ではないかということで、先ほどの御提示のような分析枠組みで合意したという経緯がございます。
○費用対効果評価専門組織委員長
 ありがとうございます。
 ○○先生、いかがでしょうか。今のコメントも含めて何かございましたらお願いします。
○○○委員
 とても難しいところだと思います。小腸の長さをどうやって測定するのとか、術者が見た状態で言います。思い切り引き伸ばした状態の小腸ではないし、小腸といいましても、先ほど言った腸回転異常症の場合にはどこから小腸かも難しいので、十二指腸も含めての小腸の長さを含めている場合もあります。極端に言うと、回盲弁があるかないかによっても症状が大分違うと自分自身は思っていますので、取りあえずそういうものが一切なくなったら本当にIVHでほかの経口は全く入らないですので、それが少しでも、例えば5センチ、10センチでも残っていても実際にはそれで成人まで行く例も幾らでもありますので、そのくらいの5センチ、10センチの場合でも十分ここの評価の分析の対象になるのではないかと自分は思っています。
 以上でございます。
○費用対効果評価専門組織委員長
 ありがとうございます。
 ○○先生と○○先生から、患者さんの背景の辺りでこの評価の結果に影響を及ぼすようなところで留意すべき点などがありましたら、コメントで追加があればお願いできればと思います。
○○○委員
 企業から出された基礎疾患の割合で成人ではクローン病が多いという結果が出ていますけれども、これは昔に発症したクローン病の患者さんが手術、特に複数回の手術で短腸症候群に現在なっているという人で、恐らくこれからクローン病を原因とした短腸症候群の患者さんは劇的に減るはずです。我々は臨床上小腸は150センチを残すことを基本にしていまして、それは短腸症候群を防ぐためなのです。今は残存小腸が150センチを切るような手術をする時代ではほぼなくなっていますので、今のデータと将来のデータは患者さん分布は大きく違ってきて、成人では外傷などが主になり、小児の患者さんがこの薬の対象の多くを占めるようになってくるのではないかと個人的には思っています。
 クローン病の患者さんは残存腸管にどういう炎症が残っているかによって残存小腸の長さの影響は大分変わってきますが、実際にはクローン病は空腸はスペアされていることが多いですので、残存小腸が150センチ以下のクローン病の人はほとんどいないですし、いたとしても空腸の機能はある程度残されているという点で、小児の患者さんとは大分違ってくるのではないかと思います。将来は、この薬の位置づけとしてはクローン病よりも小児のほうが重要な意味を持つ薬になるのではないかと個人的には思っております。
○費用対効果評価専門組織委員長
 ありがとうございました。
 ○○先生、いかがでしょうか。もしコメントがあればお願いできますでしょうか。
○○○委員
 背景疾患、原疾患に関して、○○先生がおっしゃっていましたけれども、私も消化器外科医としてクローン病で小腸の長さが150とか100センチになってしまった患者さん、そのような手術を行った記憶がないのです。ですから、以前はそういう患者さんもいたのかもしれないけれども、内科の先生のコントロールがうまくいくようになってきましたし、今はそういう患者さんはめったになくて、個人的な経験としては絞扼性腸閉塞とか、SMAの血栓塞栓症ですね。この上腸間膜動脈の血栓塞栓症は、かなり患者さんの背景自体が高齢者や非常に血圧や全身状態がよくない人も多くて、これがなくても長期予後が期待できない人も多かったりして、その辺で背景疾患によってどこまで長期予後が期待できるかは変わってくるかとも思いながら考えておりました。外傷などはお元気な方が多いですし、逆に放射性腸炎などでそうなったような患者さんは、たとえ小腸が残っていたとしても駄目という人もいます。ですから、背景疾患もできれば加味して検討できればと思うのですけれども、かといって数も少ないので難しいということであれば、何が何でも離脱だけではなくて、先ほど○○先生もおっしゃっていましたが、QOLというか、輸液時間を減らすとか、輸液量を減らすとか、そのようなこともエンドポイントにしていただいているのですね。そのほうがいいと思います。
○費用対効果評価専門組織委員長
 ありがとうございました。
 臨床実態、御専門の先生方の御意見、今後の疾病のトレンドについてお話をいただいたと思っております。
 それらを踏まえて、その他の委員の先生から御意見、御質問があればお願いできますでしょうか。
○○委員、お願いします。
○○○委員
 小児外科の○○先生にお伺いします。長期にTPNをやっていると肝障害が起きる可能性があると思います。特に、小児ですから長い間中心静脈栄養をすると思うのですけれども、そちらのほうが生命予後を規定する可能性があるのではないでしょうか。先ほどの企業の説明ではそこへの言及は一切なかったのですけれども、例えば肝臓が悪くなって場合によっては肝移植が必要になるとか、そういう例はあまりないのでしょうか。
○○○委員
 肝移植までというお話は、特に私自身は経験はないです。ただ、実際に小腸移植は日本でもごく限定されてやられているのかという気がします。ですから、本当に先ほどもお話ししたとおり、小児においては腸回転異常症、ほかの病気ももちろんあります。海外の報告などでは多発の小腸閉鎖症などでは非常に回腸側がアップルピールといってほとんど使えない状態になりますので、短小腸になる形なのですけれども、それでも上部の小腸は何とか25センチぐらい残るという形で、そうするとIVHをしていても比較的肝障害になることは少ないのかと思います。
 残存小腸が15センチ以下、25センチどころかもう10センチ、15センチの場合には、ほとんどTPNでの栄養管理で、なおかつ体重を増やさなくてはいけないというのが小児の一番の問題になるので、体重を維持すればいいということではないので、すごく大変だと思います。実は小児の場合には本当は輸液量を減らしたいと少し自分でも考えたときには、体重がもともとすごく平均体重よりもマイナス2SDぐらい減っている状態を元に戻していくので、そうすると、十分平均ぐらいに近づいてきていても輸液量を減らさないという治療になってしまうと、先ほどの効果の判定のところには難しいのかと思ったこともあります。もちろん肝機能障害になると当然高カロリー輸液ができなくなりますので、そうなると体重の増加は少なくなってしまう。
 それから、当然短小腸ですとバクテリアルトランスロケーションなどの影響ですぐ感染症、敗血症が起こって、IVHカテーテルなどにも感染が起きてしまうということから、すぐまた抜去して、落ち着いた状態で再挿入という形にしますので、なかなか体重が増えないといういろいろな問題点がございます。
 以上です。
○○○委員
 先ほど企業も言っていましたけれども、経済分析をするときにモデルというものをつくるので、簡単に言えば、例えば小腸移植になったら普通で考えたらそこに大変な費用がかかる、小腸移植になる確率をこの薬が下げればそのコストが下げられるということになります。そこで、モデルの一つの病態に小腸移植の部分をつくるかどうかというところに興味があるのですけれども、それほど小腸移植に移るような人はいないということでよろしいのでしょうか。
○○○委員
 まだそれほど一般的な治療ではなくて、ごく限られた施設だけなので、そういうところですと、今言ったようなIVHのカテーテルが取れないとかそういう場合の、まだまだ小腸移植の生存率はそれほど高くはないので、そういう意味では相当ほかの治療がもう間に合わない、それでは生存が結構厳しい、先ほど言った肝機能障害もそうなのですけれども、そういう状態がどんどん続きますので、そういう場合に小腸移植というのは最後の手だてに近いのかと現時点では思っています。
○○○委員
 ありがとうございます。
 委員長、もう一点だけお伺いしていいですか。
○費用対効果評価専門組織委員長
 お願いいたします。
○○○委員
 分析枠組みでは成人と小児に分けるが、先ほど小児はそんなに症例数がないのではないかという御指摘がありましたけれども、キャリーオーバーというのですか、年齢だけで考えると大人に分類されるものの、小児の時に病気になった人はこの場合どちらの区分で扱うのでしょうか。
○○○委員
 私自身は、小児外科医がずっと診ています。実はキャリーオーバーをしている患者さんはずっと小児病棟、もともと小さい子も多いのですけれども、15歳を超えても小児病棟に入院しながらいて、実際に使いたいような患者さんはいっぱいではないですね。うちの大学では3人ぐらいそのような患者さんはいらっしゃいますけれども、基本的に成人領域にお願いしても御家族や本人の希望もあり、そういう意味ではずっと小児外科医が大学あるいは小児病院で診ているところでございます。
○○○委員
 ありがとうございました。
○費用対効果評価専門組織委員長
 今、小児と成人のお話もありましたが、体重換算のお話も含めて、○○委員、御質問は少しそれに絡むところであったような気がしますけれども、もしよろしかったらコメントをこの場でいただければと思います。
○○○委員
 先ほどの質問で大体理解できたのですけれども、原疾患は成人と小児で異なる、その推移も大分変わってくるみたいな話は先ほどの先生方のお話で理解できたのですが、今回体重換算で成人であろうが小児であろうが用法用量は変わっていないというお薬で、原疾患だけで成人と小児を分ける意味が本当にどこまであるのかは疑問に思ったところと、小児で発症された患者さん方が、今回年齢で成人、小児というものが切られているので、15歳以上になった後成長速度というか、成長曲線というか、そういう他の成長の様子なども含めてどういう予後をたどっていくのかが分析の中で検討できればいいのではないかという意見をさせていただいたまでです。ありがとうございます。
○費用対効果評価専門組織委員長
 ありがとうございます。
 もしこれについて御専門の先生やその他の委員からコメントがあればとは思いますが、いかがでしょうか。よろしいですか。
 その他の先生方、いかがでしょうか。
 ○○委員、お願いします。
○○○委員
 臨床の専門の先生方、その他のお話を伺って気になっておりますのは、分析枠組みの中で分析期間というのは、何か企業のほうと相談あるいは合意をされているのでしょうか。特に小児に関しては長期的なあるいは生涯にわたる分析というのは、将来何が起こるかいろいろな可能性もあるし、いろいろな分からないこともあるし、不確実性が大きくて、下手をすると分析不能という結果になるのではないかと危惧をいたしました。
 成人についても同様で、基礎疾患が違えばまた予後も違うでしょうから、今回臨床試験の成績は最長で2年ぐらいしかないのではないかと思うので、2年より先のことをいろいろなモデルで分析をすることは実質的に不可能に近いのではないかと感じるところがあります。分析期間は1年や2年など臨床試験の結果がある期間だけで行うことをやるのか、その先のモデル推計などをやるのか。モデル推計も恐らく2年後のQOLがそのまま維持されると、生涯までやるとすごく費用対効果がよい結果に偏って出てくる可能性があると思います。その辺、科学院に伺えばいいのかどうか、長期的な予後予測も含めた分析までやる想定でこれは進めるのかそうではないのか、どのような想定になっているのか教えてください。
○費用対効果評価専門組織委員長
 では、モデルの話ですから、科学院さん、お答えいただけますか。
○国立保健医療科学院
 ありがとうございます。
 分析期間をどのように設定するかというところまでは分析前協議では議論できていないわけですけれども、企業には経済評価モデルを提示していただいていまして、これに基づいて分析をしますということは教えていただいているところです。分析期間をどこまで延ばすのかというのは、企業の分析を出してきてみないと分からないのですけれども、モデルを使うことは先生のおっしゃるように臨床試験の期間より延ばして、もしかしたら生涯の分析をするのではないかという印象を持っているところです。
○○○委員
 事前相談のときにそこまで固めた上でこの組織で議論したほうが、臨床の先生方に伺ってそこのモデルはおかしいよとか、生涯の予測は極めて困難とか、それが本来議論できて前に進めたほうがいいと思うので、今後そのような方向も御検討いただければと思いました。
 以上です。
○費用対効果評価専門組織委員長
 モデル、それも長期のモデルの議論における留意点というか、コメント、意見としていただいたのと、これから分析を御議論いただくに当たって留意点としてそこを科学院さんでも丁寧に見ていただきたいというお話になります。
 その他の委員の先生方、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 お願いいたします。
○○○委員
 臨床的なことで1点お伺いしたいのですけれども、この疾患の対象の患者さんたちはこのレベスティブというお薬を使うとなると、一生涯使うという状況なのでしょうか。それとも、どういった状況下になればこのお薬も離脱できるような状況になると考えてよろしいのですか。その辺りをお伺いしたいのです。
○費用対効果評価専門組織委員長
 臨床の先生方、いかがでしょうか。
 ○○先生、お願いします。
○○○委員
 小児の場合には、先ほども言ったとおり体重増加のところでエネルギーを大変使いますので、ある程度の一定の体重に何とか中心静脈栄養で栄養をした後に、それでやっと離脱できる、あるいは成長して小腸がそれなりの長さになるということで離脱できることもあります。ですから、小児に関しては一生使う可能性は、もしかするとそうではないのかとも思っています。ただ、現時点で例えばもう成人になってしまった小児疾患の場合で体重が30キロぐらいある患者さんの場合には、そこでまだ中心静脈栄養が若干必要となっている人の場合には一生必要になる可能性があるのかと。ただ、そうではない方のもっと小さいお子さんの場合には、そこで一定の体重で、最初は10キロぐらいまでに増やすのが非常に苦労するのです。ですから、そこをうまく乗り切っていただいて20キロ近くまでになってくると、いわゆる消化管としての吸収機能も大分戻ってくるので、その段階で中止にできることは小児疾患においてはあり得るのではないかとは思っています。
○費用対効果評価専門組織委員長
 ○○先生、よろしいでしょうか。
 ○○先生、お願いします。
○○○委員
 追加なのですけれども、恐らくこれは先ほど年齢の問題もありましたけれども、それまでの罹病期間が影響すると思います。ですから、小児から発症して成人にキャリーオーバーしてきて成人でこの薬を使った人と、小児のうちからある程度のところで使い始めた人とでは、大分有効性が違うと思います。ですから、先ほどの年齢の問題と、基礎疾患の問題と、議論になっている投与休止が可能かどうかというのはその辺のファクターに影響されてしまうので、非常に複雑ではないかという印象を持っております。
○費用対効果評価専門組織委員長
 ありがとうございます。
 ○○先生、何かございますか。
○○○委員
 成人で長期投与に関して、これはもうデータがないというのが正直なところではないかと思います。1年ぐらい投与して非常によくなって、レベスティブを投与しなくなった後にどうなるかは誰もよく分からない。そのままいける人もいれば、駄目になってきてまた投与して、でも、その間3か月でも6か月でも投与しない期間があって、また投与してよくなって、また3か月、6か月駄目というのだとしても、3か月、6か月、中心静脈栄養をやっていないので、効果はあるわけですね。そのようになる患者さんもいるのかと思ったりして、個人的には長期の投与に関してのそういうデータを集積していくのは意味があるかとも思うのですけれども、そこまで長期に評価していると対応できないと思いますので、学術的な意味として長期の予後を見ていただくのは意味があるかと思いますが、2年ぐらいに区切って評価しないとこのグループでの成果も出せないかとも思います。
○費用対効果評価専門組織委員長
 ありがとうございます。
 ○○先生、お願いします。
○○○委員
 私は成人のことはよく分からないのですけれども、ただ、先ほどの企業の資料の4ページ目のところにあるとおり、このお薬は絨毛の高さを長くする、要するに、吸収をさせるところに手助けをするのではなくて、ここが働くのは絨毛の長さということは、吸収する表面積を大きくする。それがもちろん使わなくなるとまた短くなってしまうのかもしれませんけれども、効果はここですということをお示ししていると、例えばそれで一時的に成人でもいわゆる点滴というか中心静脈を何か月間か離脱することが可能になるのかと、この絵だけを見ているとそのようにも思っていました。
 以上です。
○費用対効果評価専門組織委員長
 ありがとうございます。
 ○○委員、いかがでしょうか。よろしいですか。
○○○委員
 ありがとうございます。
 いろいろなファクターがあって、本当に簡単にやめられるものなのかどうなのかはなかなか難しい、長期のデータが必要だというのはそのとおりだろうとは思いました。ただ、それをこの費用対効果の分析の中にどう入れ込んでいくのかはまた今後検討が必要になるのだろうと思いました。どうもありがとうございます。
○費用対効果評価専門組織委員長
 ありがとうございます。
 科学院さんは今いただいたコメントを少しでも考慮していただいて、フィージビリティーを御議論されながらだとは思いますけれども、モデル、計算、算定の議論をしていっていただければと思います。ありがとうございます。
 その他、委員の先生方、よろしいですか。
 では、大体意見も出尽くしたと思いますので、議決に入らせていただきたいと思いますけれども、○○委員におかれましては、議決の間、一時御退席をお願いいたします。
(○○委員退室)
○事務局
 事務局でございます。
 退室を確認いたしましたので、よろしくお願いいたします。
○費用対効果評価専門組織委員長
 それでは、先生方の御意見をまとめますと、レベスティブ皮下注用に関わる費用対効果評価に係る分析枠組み案を了承するということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○費用対効果評価専門組織委員長
 ありがとうございます。
 それでは、事務局は○○委員に御入室をいただいてください。
(○○委員入室)
 

 

(了)
<照会先>

厚生労働省保険局医療課企画法令第2係

代表: 03-5253-1111(内線)3140

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