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2022年12月23日 中央社会保険医療協議会費用対効果評価専門組織 第9回議事録

○日時

令和4年12月23日(金)13:00~

 

○場所

オンライン開催

○出席者

田倉 智之委員長 斎藤 信也委員長代理 池田 俊也委員 木﨑 孝委員
新谷 歩委員 新保 卓郎委員 中山 健夫委員 野口 晴子委員
花井 十伍委員 飛田 英祐委員 米盛 勧委員
岩田 敏専門委員 朝野 和典専門委員 福田 敬専門委員
国立保健医療科学院 保健医療経済評価研究センター 白岩上席主任研究官
<事務局>
中田医療技術評価推進室長 他
 

○議題

○ベクルリーに係る総合的評価について

○議事

○費用対効果評価専門組織委員長
 続きまして、ベクルリー点滴静注用について、公的分析による再分析結果が提出されておりますので、公的分析及び企業からの意見聴取を行った上で、企業分析の内容及び公的分析による再分析結果の審査、並びに費用対効果評価案の策定について、先生方に御議論いただきたいと思います。
 では、ベクルリー点滴静注用について企業から意見聴取をした後に御議論いただきますので、まずは事務局から説明をお願いいたします。
○事務局
 (事務局・国立保健医療科学院より説明)
○費用対効果評価専門組織委員長
 ありがとうございました。
 それでは、議論に先立ちまして、まず本製品に関わる公的分析の再分析結果に対する意見の聴取を行いますので、事務局は企業を入室させてください。
(意見陳述者入室)
○事務局
 事務局でございます。
 委員長、企業の方の準備が整いましたので、どうぞよろしくお願いいたします。
○費用対効果評価専門組織委員長
 私は費用対効果評価専門組織委員長です。
 早速ですが、10分以内で、ベクルリー点滴静注用の総合評価について御説明をお願いいたします。続いて、質疑応答をさせていただきます。それでは、始めてください。
○意見陳述者
 ありがとうございます。お時間いただきましてありがとうございます。○○と申します。早速ですが、公的分析による再分析結果を受けての弊社の見解を述べさせていただきます。
 スライドの1枚目を御覧ください。まず、追加的有用性の評価のためのシステマチックレビューに関してなのですけれども、弊社の分析と公的分析の間では結果に乖離があり、追加的有用性の評価に重要な文献が欠けてるというふうに御判断いただいております。この乖離につきましては、企業の研究の組み入れ条件でnon-RCT、リアルワールドデータをプロペンシティスコアマッチングした疑似RCTデザインが含まれているものを組み込んでいたということもございまして、その点への再指摘とともに、公的分析班の再分析では被験者の8万2750例の最大規模になるWHOのSolidarity試験の最終結果報告も組み入れていただいております。
 文献検索期間の相違や弊社によるシステマチックレビューでは特定されていなかった文献についても、RCTの的確な文献を追加いただいておりますので、したがいまして、この公的分析班のシステマチックレビューに対しまして賛同いたしております。
 次のページを御覧ください。公的分析班での重症度ごとの追加的有用性に対する評価結果についてです。こちらの表にございますように、中等症Ⅰ、中等症Ⅱには公的分析、企業側の双方で追加的有用性ありとの評価で一致しておりますが、重症につきましては、弊社の分析結果とは異なりまして、公的分析では重症に対しては追加的有用性を有するとは判断できないと評価され、費用最小化分析が行われております。
 こちらにつきまして、弊社としましても、コロナ感染症の重症というところで、感染期はまず後期と、また炎症期のピークに入ったような患者さんでECMOなどを使用されている患者さんも含まれていることを承知しております。
 抗ウイルス剤、やはりできるだけ早期に使用される必要があるとされておりますし、ここで使われております診療の手引きの第6版、また、今あります第8.1版につきましても、重症に対するレムデシビルの評価につきましては、これまでの知見からというところで既に人工呼吸や高流量の酸素投与、またECMO等に入っている重症例では効果が期待できない可能性が高いが、サブグループ解析の結果からは、そこまでには至らない酸素需要のある症例では有効性が見込まれるとあります。
 それらを踏まえまして、やはり重症の全体の集団としましては、追加的有用性を有するとは判断できないとされております公的分析による評価は適切であると受け止めてございます。
 では、次のページを御覧ください。5ページ目の続きで、追加的有用性の評価の部分になります。先ほどのスライドのところで重症についての意見を述べさせていただいたのですけれども、中等症Ⅰ、中等症Ⅱについては弊社の分析と公的分析班での追加的有用性の評価が同じでしたので、こちらにつきましても意見はございません。
 ただ、この追加的有用性の評価に伴うデータの取扱いにつきましても、WHO主導のSolidarity試験にハザード比の比率が記載されていなかったという点もございまして、こちらはWHOに複数回お問合せをいただいているというふうに報告書のほうにも記載がございました。こちらは加えて異質性とかそういったものにつきましても御確認いただくために、Solidarityを含めたもの、含めなかった場合でのということでシナリオ分析もおこなっていただきその精度を確認していただいておりますこと、また、WHOの問合せは私ども企業でできることではございませんので、そのような御対応をいただきましたことに大変感謝申し上げます。
 このデータ期間が異なっていることにつきまして、やはりSolidarity試験というのが最も登録期間が長いもの、3つの地域、30か国を対象にされたものということですので、感染の期間としましては、アルファ株からデルタ株に至るところまでの感染期間がカバーされているかと思います。こちらにつきましてもレムデシビルが多様な変異株にも対応できていたことを示すデータであったかなと考えております。
 この重症につきましては、繰り返しになってしまうのですけれども、追加的な有用性の評価は弊社の分析とは異なりましたが、厚生労働省から発行されております感染症の診療の手引きにありますように、やはりここの部分は国内での治療の評価とも合わせて、現状の推奨に沿った見解であるというふうに考えております。
 次のスライドをお願いいたします。ということで、したがいまして、弊社としましては、公的分析班の追加的有用性に対する再分析結果は、臨床の手引きにおける見解からも同様と考えておりまして、費用対効果の結果ということになりますと、御報告があったかと存じますけれども、中等症ⅠではICERが1000万円/QALYを超える結果であったこと、また、重症は費用最小化分析ということになりましたけれども、公的分析班の再分析結果には不服意見はございません。
 ただ、1点、不服意見はないのですけれども、例えば中等症Ⅰについて費用対効果がないということが、これは追加的有用性はあったということではあるので、効果がないというふうに誤解されないように御発表では御配慮いただきたいと思っております。また、重症におきましても、これは追加的有用性を認めることはできないという御判断は受け止めてこちらも納得しているのですけれども、やはり重症患者さんにウイルス治療が必要なケースに関しましては、利用可能な抗ウイルス薬、これは本剤のみということになりますので、重症の集団をもって、重症に効果がないといった点のみが流布されないように御配慮いただきたいと考えております。
 企業側からは以上です。御清聴ありがとうございました。
○費用対効果評価専門組織委員長
 では、委員の方から御質問はございますでしょうか。
 ○○委員、お願いします。
○○○委員
 最後、重症の方への結果の解釈について、今おっしゃっていただいたことについて、もう一度教えていただいていいですか。つまり、効果が平均的に見ればないとか、費用対効果がよくないとか、そういう結果ですが、それがどのように曲解されないようにということの御説明だったのでしょうか。
○意見陳述者
 ありがとうございます。
 例えば重症に関しまして、重症に効果がないとなってしまうと、重症に一切使えないというようなふうに受け取られる。費用対効果をよく御存じではない方々もいらっしゃるかと思いますので、そういったふうにニュースでぽっと出てしまうというようなことがあろうかと思って、そこを懸念しております。
 重症に関しましては、非常にセンシティブな患者様方がそろっていらっしゃるかと思っております。効果がないというか、効果が見込めないということは、診療の手引きにももう記載があって、やはりこのバーのところも少し後半になると薄くなっていることも私どもは存じ上げております。ただ、その前段階にまだいらっしゃる方々には、もしかしたらという思いで使われることもあろうかと思いますので、ここでやはり重症には全くというようなところはなく、診療の手引きに従った状態で情報が提供されることを望んでおります。お答えになっておりましたでしょうか。
○○○委員
 では、重症の患者さんの中でも一部のサブグループには有効性が見込まれるということを、今、御説明されているということでしょうか。
○意見陳述者
 はい。診療の手引きに記載のとおりに外に解釈されるということを願っております。
○○○委員
 そうしますと、本来、このサブグループももう一つつくって分析することが適当だったということでしょうか。
○意見陳述者
 いえ、そういうことではございません。サブグループというもの、重症の中にはいろいろな方々がいらっしゃって、急に悪化したりとかそういったことがいろいろございますので、あくまで診療の手引きに従った文言で御紹介いただければと思っている次第でございます。
○○○委員
 費用対効果の結果を示すときに、この文言も併せてどこかに載せないといけないということでしょうか。
○意見陳述者
 いや、そういうことではございません。私ども、質問があったときには診療の手引きに従って、費用対は悪かった。重症のグループとして費用対効果は悪かったですというような御説明をさしあげるのですけれども、では使えないのかと言われてしまったときには、診療の手引きのほうで御検討いただければというふうに御回答さしあげたいと考えております。
○○○委員
 それでは、この専門組織において、通常のこの結果の解釈、あるいはそれに関しての総会への報告に何か追加のことを要求されているということではないという理解でよろしいでしょうか。
○意見陳述者
 はい。そのとおりでございます。ありがとうございます。
○○○委員
 分かりました。ありがとうございました。
○意見陳述者
 御配慮ありがとうございます。
○費用対効果評価専門組織委員長
 その他の委員、いかがでしょうか。よろしいですか。
 それでは、これで質疑応答を終了いたします。
 企業の方は御退室ください。どうもお疲れさまでした。
(意見陳述者退室)
○事務局
 事務局です。
 企業の方の退室が確認できましたので、どうぞよろしくお願いいたします。
○費用対効果評価専門組織委員長
 ありがとうございました。
 それでは、当該品目について御議論をお願いいたします。
 なお、御議論に当たっては、企業分析結果と公的分析の再分析結果のどちらがより科学的により確からしいかを相対的に評価することを踏まえて御議論を進めていただくようお願いいたします。
 では、先に○○先生と○○先生のほうからコメントいただいてもよろしいでしょうか。
○○○委員
 ○○です。よろしくお願いいたします。
 今回の結果というのは、臨床における使い方として妥当だと思います。最後に企業の方が言われたように、重症の方に使えないかというと、一つ大きな問題がありまして、今、変異株が出てきて抗体薬が効かなくなってきているのですね。そうすると、抗ウイルス薬として入院して使える、経口薬はございますので、その分ちょっといいのですけれども、入院の場合、あるいは経口摂取ができないような方に治療をするとなると、もうこのレムデシビルしかないというのが日本の現状でございますので、そういう意味で、重症者にも使うという臨床上の選択肢はあると理解いたしております。ただ、効果は多分、今までのところ確認されていないということもまた事実だと思います。
 また、中等症Ⅰ、中等症Ⅱで有用性が分かったということなのですけれども、中等症Ⅰで1000万円ぐらい、中等症Ⅱになると随分下がってくるというのも、恐らくこれは重症化する人が中等症Ⅰでは非常に少なくて、中等症Ⅱでは重症化へ進みやすいということで、費用対効果が出てきたのではないかということが1つございます。そういうふうに私は理解しております。
 ただし、現在、軽症まで適応が広がっているということは、もっともっと費用対効果の悪い使い方をされているというふうにも言えると思います。
 それともう一つ、これは従来から私、申し上げておりますけれども、どんどん病原性が変わってきております。今のオミクロン株は、先ほどの企業様の御意見ではin vitroで有効性があると。それはそうですけれども、もともと重症化をほとんどしなくなって、ワクチンの効果もございますが、そういうものに対して効果があっても費用対効果としては非常に乏しくなってきているという現状がありますので、これは最初、2020年からのデータでデルタ、アルファというふうな病原性が今よりは随分高いときのデータで解析された費用対効果であるということは何回も私はお話しさせていただいておりますので、現状においてこれが費用対効果として承認できるかというと、恐らくすぐに次の分析が必要というのがウイルス感染症の現状だと私は理解しております。
 以上でございます。ありがとうございます。
○費用対効果評価専門組織委員長
 ○○先生、大変ありがとうございました。
 ○○先生、いかがでしょうか。
○○○委員
 ○○でございます。どうもありがとうございます。
 今回の評価に関しては、実際に私どもが臨床で患者さんと対応していること、あるいはガイドライン等に記載している内容と一致した内容だということで納得をしております。
 今、○○先生がおっしゃいましたけれども、重症例に関しては確かにガイドラインでもそんなに効果はないのではないかということで示されていますが、多分、重症になる一歩手前、中等症Ⅱの中でもひどいほうの方に関しては、もしかしたら効果があるかもしれないということなのかなと理解しております。
 実際、中等症Ⅱの酸素需要が高まった方に対する費用対効果が一番高いということで、これも実際に臨床の現場の感覚とは一致していると思います。
 軽症例に関しては、実際に入院してくるような患者さんに対しては、前で経口薬でいかないで、このレムデシビルを使うケースが軽症、中等症Ⅰでも多いと思うのですけれども、今後、経口薬もいろいろ出てきているところで、それからウイルスの変異によってあまり重症化もしにくいというところで、今後、レムデシビルを今は軽症例にも使えることになっていますけれども、この辺は経口薬のほうに主な役割が移行していくのかなというような感覚でおります。
 いずれにしましても、今回の評価に関しては、全く妥当なものだというふうに理解しております。
 以上でございます。ありがとうございました。
○費用対効果評価専門組織委員長
 ありがとうございます。
 お二人の先生から、臨床実態に合っているということと、あと、結果の解釈についても、中等症Ⅱとかを中心にお話を伺いましたけれども、妥当であるというようなコメントをいただいたかと思います。
 先生方の今の御意見を踏まえながら、その他の先生方、いかがでしょうか。御意見、ございますでしょうか。
 ○○先生、先にどうぞ。
○○○委員
 コメントにも少し書かせていただいたので、科学院にお聞きしたいのですが、今回、Solidarity試験を含める、含めないということはありますが、科学院の資料を確認させていただき、ハザード比とその信頼区間から追加的有用性や傾向があると判断されていることの理解はできます。ただ、これまでのほかの品目との横並びみたいなことを考えると、この結果から追加的有用性があるとする根拠については、私の中でまだ十分に理解し切れていないところがあるので、追加的な説明をいただけるとうれしいのですが、いかがでしょうか。
○費用対効果評価専門組織委員長
 では、科学院さん、お願いいたします。
○国立保健医療科学院
 ありがとうございます。今回、検証的試験のサブグループを取ってきて中等症Ⅰ、中等症Ⅱ、重症という形に分割して解析をした上でメタアナリシスをしたということで、○○などを分析したときも議論になりましたけれども、まさにサブグループ解析のメタアナリシスですから、検出力という観点で十分に担保されているかどうかという点が論点となり、p値だけで判断するということはしないようにして、点推定値を見ながら、それから臨床的な実態やガイドライン等の記載を横目でにらみながら総合的に判断したというようなところかと認識していまして、なかなかこういった結果のときにどのように解釈したらよいかというのは我々も常に悩みながらやっているところでありまして、ぜひご意見をいただければなと感じるところです。
○○○委員
 今の説明でおおむねは理解できるのですけれども、ただ、やはりSolidarity試験はそれなりの規模の大きい試験なので、信頼区間の幅は小さくなるのに対して、含めないほうはかなり広い信頼区間になっています。そのため、点推定値の精度である信頼区間の区間幅についても少し考慮したほうが、単純な点推定値だけで見るよりは、もう少し精緻な議論ができるのではないかと思われます。当然、p値や検定ベースだけで追加的有用性の判断をするのはリスクが高いですし、点推定値だけではなく、推定精度についても考慮して判断することが適切であると思います。今回の追加的有用性に関しては、否定しているつもりは全くなくて、どういう考えの下で判断されたかというのが聞きたかっただけですので、今の説明である程度理解しました。今後、もう少し科学的に追加的有用性があるということをサブグループ解析の結果からでもある程度言えるような方針が立てられるといいなというのがコメントです。ありがとうございます。
○費用対効果評価専門組織委員長
 ありがとうございました。
 その他の委員、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 先生方の御意見をまとめますと、基本的には公的分析でよろしいということでした。一方で、幾つか統計学的というのでしょうか、データの処理の辺りで留意点があるということではありましたが、総じて専門の先生方からは、臨床実態から見ても妥当な解析ではないかという意見であったかと思います。そういう方針で整理をしていくことになろうかなと思います。
 それでは、議決に入りたいと思いますが、議決に入る前に、○○委員におかれましては議決の間、一時御退席ください。あと、私も一時退席となりますので、退席中の議事の進行は委員長代理の○○委員へお願いしたいと思います。○○委員、よろしくお願いいたします。
○○○委員
 はい。承知いたしました。委員長の代理として議事を進めさせていただきます。
(費用対効果評価専門組織委員長、○○委員退室)
○事務局
 事務局でございます。
 委員長、○○委員の退席を確認させていただきましたので、引き続きよろしくお願いいたします。
○○○委員長代理
 それでは、先生方の御意見をまとめますと、ベクルリー点滴静注用に関する費用対効果については、公的分析による分析結果を費用対効果評価案として決定するということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○○○委員長代理
 ありがとうございます。
 それでは、以上の再分析結果を費用対効果評価案として中央社会保険医療協議会に報告いたします。なお、内示及び中央社会保険医療協議会に提出する資料に関しては、委員長代理に一任していただくということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○○○委員長代理
 ありがとうございます。
 それでは、事務局は委員長、○○委員に入室していただいてください。
(費用対効果評価専門組織委員長、○○委員入室)

 

(了)
<照会先>

厚生労働省保険局医療課企画法令第2係

代表: 03-5253-1111(内線)3140

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