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2022年5月27日 中央社会保険医療協議会費用対効果評価専門組織 第2回議事録
○日時
令和4年5月27日(金)16:30~
○場所
オンライン開催
○出席者
田倉 智之委員長 斎藤 信也委員長代理 池田 俊也委員 木﨑 孝委員 |
新谷 歩委員 新保 卓郎委員 中山 健夫委員 野口 晴子委員 |
花井 十伍委員 飛田 英祐委員 米盛 勧委員 |
岩田 敏専門委員 朝野 和典門委員 福田 敬専門委員 |
国立保健医療科学院 保健医療経済評価研究センター 白岩上席主任研究官 |
<事務局> |
中田医療技術評価推進室長 他 |
○議題
○ベクルリーに係る企業分析報告について
○議事
○費用対効果評価専門組織委員長
次は、ベクルリー点滴静注用に関わる企業分析について御議論いただきたいと思います。
対象品目について企業分析が提出されておりますので、企業からの意見聴取を行った上で、企業分析の内容について先生方に御議論いただきたいと思います。
まずは、事務局から説明をお願いいたします。
○事務局
(事務局より説明)
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。
それでは、議論に先立ちまして、まず、本製品に関わる基企業分析に対する企業意見の聴取を行いますので、事務局は企業を入室させてください。
○事務局
事務局でございます。
確認いたしますので、少々お待ちください。
(意見陳述者入室)
○事務局
事務局でございます。
費用対効果評価専門組織委員長、準備が整いましたので、どうぞよろしくお願いいたします。
○費用対効果評価専門組織委員長
私は、費用対効果評価専門組織委員長の○○です。
早速ですが、10分以内でベクルリー点滴静注用に関わる企業分析について、企業意見の御説明をお願いいたします。続いて、質疑応答をさせていただきます。
始めてください。
○意見陳述者
承知いたしました。ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。
早速ですが、弊社のベクルリーの費用対効果評価の企業分析結果について御報告させていただきます。
次のスライドを御覧ください。製品概要になっております。製品名はベクルリー点滴静注用100mgで、SARS-Cov-2による感染症を適応としております。原価計算によって算定されまして、H1区分で費用対効果評価の対象となっております。
次のスライドを御覧ください。薬理作用になっております。本剤は、RNA依存性RNAポリメラーゼ阻害薬です。ベクルリーが細胞内に取り込まれると、細胞内での代謝を経て、レムデシビル三リン酸に変換されます。このレムデシビル三リン酸は、アデノシン三リン酸の類似体として、SARS-Cov-2のRNA依存性RNAポリメラーゼによって複製されたRNA鎖に取り込まれ、細胞内部におけるRNA合成を阻害することでウイルスの複製を抑制いたします。
次のスライドを御覧ください。今回の分析は、厚生労働省の新型コロナウイルス感染症診療の手引きの第6版の記載に基づいた重症度を用いて、中等症I、中等症II、重症度の3つの分析を対照群としております。また、海外論文を含めた論文のメタアナリシスを行う際には、先ほどの診療の手引きの国内での重症度と合致させる必要がございますので、診療の手引きの重症度の基準に従いまして、酸素供給の有無、ECMOの使用、また、ICUの入室といった点に着目して、海外で通常用いられておりますNIHの順序尺度での重症度判別を行っていることを最初に御案内させていただきます。
次のスライドを御覧ください。分析枠組みの協議によって定められました分析枠組みと分析条件になっております。分析対象集団は、SARS-Cov-2による肺炎を有する成人の患者を、中等症I、中等症II、重症の3つの重症度に分けて分析対象としております。また、シナリオ分析として、重症度で区別しない集団を全体として分析をさせていただいております。この分析枠組みの協議の際に選定した比較対照技術でございますが、保険償還される抗ウイルス薬が存在していなかったことから、本剤は未投与群を標準治療として対照技術としております。評価分析に入る前の追加的有効性のエビデンスの取得方法といたしましては、システマティックレビューを行い、エビデンスレベルの高いRCTを優先して収集しておりますが、新興感染症ということもあり、パンデミックの状況下でもありましたので、日々治療方法が更新される中でもございました。したがいまして、オープンラベルのRCTといえども、個々の試験での95%信頼区間が広くなっておりましたので、プロペンシティスコアマッチングを用いて患者背景や危険因子をそろえてバイアスを排除するように配慮された比較試験も対象といたしました。これらを追加的有用性の定量化において実施したメタアナリシスの結果として用いております。費用につきましては、○○のレセプトデータを用いて算出しております。このレセプトデータでは、レムデシビルの使用本数に関する情報が得られないということもございますので、各重症度別の1治療当たりのレムデシビルの使用本数は、中等症Iまでに適用が拡大された後の期間を対象に、弊社が把握しております厚生労働省の医療機関等情報支援システム、G-MISと申しますが、こちらでの出荷本数とそのときに登録された使用予定患者数から算出しております。QOL値につきましては、一般集団の年齢別QOL値には国民標準値を用いさせていただきまして、SARS-Cov-2の肺炎による入院期間中のQOL値につきましては、ターゲットを絞ったレビューを行いましたけれども、国内外では報告がなかったために、先行研究や、アメリカ、米国の費用対効果評価機関でございますICERでの分析で用いた値を踏襲しております。その他の項目につきましては、費用対効果評価のガイドラインに従って行っております。分析モデルにつきましては、この後で御報告させていただきます入院期間中の治療アウトカムの自然死亡率を考慮いたしました1か月サイクルのマルコフモデルにより分析しております。
次のスライドを御覧ください。こちらは、追加的有用性を検討する際のメタアナリシスの分析条件になります。こちらは、費用対効果評価専門組織で決定された分析枠組みによる分析を基本分析1としておりまして、a.中等症I、b.中等症II、c.重症とさせていただいております。また、全体集団としてはd.全体になっております。アウトカムは、退院及び死亡になっております。収集したエビデンスやこれらのアウトカムについて、評価期間中の例数やパーセント、イベント数で報告しているもの、または、生存時間の解析によってハザード比で報告しているものなど、様々な指標により報告されておりましたので、これらの対象には観察研究等も含まれていることもございますので、イベント数によるメタアナリシスには交絡の影響が懸念されることも考えられましたので、交絡の影響が少ない、小さいと考えられる、調整済みのハザード比を用いたメタアナリシスを実施しております。ただ、退院につきましては、短期的なアウトカムになりますので、こちらのスライドの真ん中にありますシナリオ分析1に記載しておりますように、少人数の臨床試験であり、分析対象技術の主要エビデンスでありますACTT-1試験の主要評価項目及び副次評価項目の評価期間であります14日、28日を基準として、イベント数での分析を行っております。シナリオツールや分析枠組みの際に決定していただきました重症度を問わない全体集団への分析となりまして、基本分析1と同様に、調整済みのハザード比を用いたメタアナリシスを実施しております。
次のスライドを御覧ください。ここから3ページは、各重症度における追加的有用性の結果となります。まず、中等症Iにおける退院に対するメタアナリシスの対照研究は2報がございました。結果は、中等症Iのレムデシビルの比較対照技術に対する退院ハザード比は1.16で、統計的有意差は見られなかったものの、下のグラフで御覧いただきますように、点推定値ではレムデシビルの治療効果が高い傾向にございました。なお、28日の退院イベント数に関するレムデシビルの比較対照技術に対する退院率比は、変量効果モデルで1.07、統計的優位にレムデシビルの治療効果が高いことが示されております。報告数が少ないことから統計的有意差が見られなかった可能性はあるのですけれども、シナリオ分析では統計的有意差が見られたところもございまして、また、点推定値ではレムデシビルの治療効果が高い傾向であることを考慮いたしまして、総合的に見て追加的有用性があると判断をしております。
次のスライドは、中等症IIになります。こちらでのメタアナリシスの対照結果は、1報2集団でした。レムデシビルの比較対照技術に対する退院ハザード比は1.31、レムデシビルの治療効果が高いことが統計的に有意に示されております。イベント数でのメタアナリシスの対照は、3研究、5集団であり、14日間では1.2、28日では1.14と、いずれにおいても統計的に有意にレムデシビルの治療効果が高いことが示されました。死亡ハザード比なのですけれども、メタアナリシスの研究結果では5報7集団がございまして、ハザード比が0.78で、レムデシビルの治療効果が高いことが統計的に有意に示されており、追加的有用性があると判断させていただきました。
次のスライドは、重症になります。重症度の退院においては、メタアナリシスの対照研究は2報がございました。レムデシビルの比較対照技術に関する対ハザード比は1.28で、統計的有意差は見られなかったものの、下のグラフを御覧いただきますように、点推定値では、レムデシビルの治療効果は高い傾向にありました。イベントの28日のメタアナリシスは、ACTT-1試験の1研究のみ、主要研究の1研究のみでしたので、メタアナリシスは実施しておりません。死亡においてのメタアナリシスの対象研究は5報がございましたけれども、死亡ハザード比は0.92で、統計的有意差は見られなかったのですけれども、点推定値ではレムデシビルの治療効果は高い傾向にございました。したがいまして、重症患者における報告数も少なかったことと統計的有意差が見られなかった可能性があると考えておりまして、点推定値ではレムデシビルの治療効果が高い傾向である点を考慮いたしまして、追加的有用性があると判断させていただきました。
次のスライドを御覧ください。こちらのスライドは今報告させていただきました各重症度毎の追加的有用性の評価をまとめて記載したものになっております。こちらで、私どものレムデシビルは追加的有用性があると判断させていただきましたので、費用対効果分析に進めさせていただきました。
次のスライドを御覧ください。ここからは費用対効果評価に移ります。最初のところでの御案内を割愛させていただきました分析モデルについて、御説明させていただきます。構築いたしましたモデルなのですけれども、追加的有用性の評価のアウトカムに採用いたしましたSARS-Cov-2による肺炎を有する患者の入院期間の減少及び死亡率とその後の自然死亡を考慮したマルコフモデルになっております。この分析モデルを構築するに当たり、分析枠組みのところで触れさせていただきましたように、COVID-19に関する。
○事務局
事務局でございます。
時間となりましたので、説明を終了してください。
○意見陳述者
失礼いたしました。
○費用対効果評価専門組織委員長
それでは、委員の方々、御質問等はございますでしょうか。
先に、○○委員、お願いいたします。
○○○委員
○○でございます。
説明いただいた中で、多分、メタアナリシスはRCT以外のものも含めていると理解いたしましたが、分析のガイドラインではRCTでやることになっているので、RCTだけでやった場合はどういう結果になるのですか。
○意見陳述者
ありがとうございます。
私どもは、RCT以外のものでは、今のところ、行っておりませんので、追加が必要ということになろうかと思います。こちらにつきましては、RCT以外のもので、議論の結果、分析のところでプロペンシティスコアマッチングを用いた資料を使わせていただきたいという旨でお話しさせていただいたということで理解しておりましたので、そのようにさせていただきましたことを御了承いただけましたら幸いです。
○○○委員
ガイドラインどおりにやっていないという理解でいいですか。
○意見陳述者
ガイドラインでは必要があればということになっていたかと存じますが。
○○○委員
私の見ているガイドラインが、違うガイドラインというか、版が違うのかもしれないのですが、多分そうは書いてなくて、今、見てみますか。基本はRCTがあればそれでやるということのように読みましたけれども、もしかしたら私が見ているものはバージョンが違うのかもしれませんが、例外的にやれるケースは、RCTが存在しないことが明らかな場合はやらなくていいとか、適切なものが存在しない場合はアウトカムを比較した非RCTのSRを実施し追加的有用性を評価するとある。適切なものは存在しているのですよね。少なくともRCTは存在しているわけですよね。それが適切ではないからその結果を外しましょうということではないわけですよね。
○意見陳述者
もちろんそれも含めさせていただいております。
○○○委員
でしたら、RCTだけでやってみたらどうなのかというのはまずは検討すべきことかと思うのですが、最初からRCT以外のものを入れるということで協議されていたのはどうしてなのですか。
○意見陳述者
RCTで行わせていただいていたものがACTT-1試験がまずは1報ございました。海外でも、今、いろいろなところでRCTとしては外されてしまっていますソリダリティというものがございました。ただ、この2つだけしかないということで、基本的にはACTT-1ということになろうかと思うことが1点。もう一つは、先ほど冒頭のところで申し上げさせていただきましたように、RCTとはいいましても、どうしても不確実性が高いと申したらいいのでしょうか、どうしてもこの95%信頼区間がすごく広くなっていたという状況もございましたので、そういったところで、患者の背景とか、危険因子、そういったものをそろえて、日数をそろえて、プロペンシティスコアマッチングという手法を用いたということがはっきり分かっているデータを用いさせていただいたことが現状になっております。
○○○委員
分かりました。今回対象にした研究がどうかということは、細かく、これから再分析ということで見ると思うのですけれども、再分析というか、公的分析で見ると思うのですが、御存じのように、一般に言われているのは、COVID-19の臨床試験などの成績についてはRCTと非RCTとでかなり質に違いがある、特にこの病気についてはそういう傾向があるから注意しろという論文が何本か出ているので、RCTだけに限定した場合はどうかということが気になったので、質問させていただきました。ありがとうございます。
○意見陳述者
ありがとうございます。
○意見陳述者
今の○○先生の質問に関しまして、1点だけ補足をよろしいでしょうか。
○○から、RCTはACTT-1スタディーとソリダリティの2つしかないというコメントがあったのですけれども、厳密には、ソリダリティスタディはWHOで実施されたものですが、こちらRCTではなくてオープンラベルになりますので、つまるところは、ACTT-1、1報だけになります。つまり、メタアナリシスまで行っていないような状況ということになります。そういった状況から、RCTではないスタディー含んでメタアナリシスを実施したということが正式な回答になるかと思います。
コメント、失礼いたしました。
○意見陳述者
補足いただきまして、ありがとうございます。
○費用対効果評価専門組織委員長
よろしいでしょうか。
○○委員、お待たせしました。どうぞお願いいたします。
○○○委員
ACTT-1がされた時期は恐らくワクチンが普及する前ではなかったかと思っていたのですが、現状でワクチンが普及されて、その上でもベクルリーは同等の効果があると考えてもいいのかどうか、その点はいかがでしょうか。
○意見陳述者
ありがとうございます。
御指摘のとおり、この試験等々、全てワクチンが普及する前でございますけれども、薬剤の薬理作用から見て、ワクチンの中和抗体のようなものではないということもございまして、ウイルスの複製そのものを阻害する、抑制するという薬剤でございますので、既にCOVID-19に罹患された患者さんに対しましてワクチンを接種していたとしましても、罹患している患者さんにつきましては、こちらの治療効果について影響はないと考えております。
弊社のメディカルから何か補足がありましたら、お願いいたします。
○意見陳述者
正式には、回答できないということになってしまいます。ワクチンを接種いたしますと重症化が劇的に下がりますし、重症化にさらに移行するリスクが下がりますので、そこの段階において投与したとしても同様の効果が得られるかどうかというところは、厳密には持つことはできないということが現状ではあります。
ですので、現状、リアルワールドデータとして、弊社としてワクチン既接種者におけるレムデシビルの効果のいわゆる試験、エビデンスは、作成途中でありますが、現時点でそこは回答できないということになります。
○○○委員
もう一点なのですが、中等症Iと中等症IIと重症の分布なのですが、資料の最後のページに、それぞれ、重症は14.9%とか、中等症Iは12.5%というものがあって、これは一般使用成績調査からということなのですけれども、この調査はいつの調査だったのでしょうか。
○意見陳述者
ありがとうございます。
こちら、弊社のPMSのデータになっておりまして、2020年5月から2021年6月までのデータになっております。
○○○委員
すみません。いつまでだったのですか。
○意見陳述者
2021年6月です。
○○○委員
これも、第5波、第6波ぐらいだと変わっている可能性はあるのでしょうか。いかがでしょうか。
○意見陳述者
第5波、第6波では、可能性はあろうかと思います。
○○○委員
ありがとうございます。
○費用対効果評価専門組織委員長
その他の委員、いかがでしょうか。
よろしいでしょうか。
○意見陳述者
先ほどの患者分布のところなのですが、補足をさせていただけると、後のことは分かりづらいところがあるのですけれども、どちらかというと、中和抗体とかが出てきたということになりますので、あまり中等症Iでは使われていないのかなと認識をしております。
○費用対効果評価専門組織委員長
○○委員、お願いいたします。
○○○委員
先ほどの○○委員の話とも関係するのですけれども、デルタ株からオミクロン株に変わって、症状や重症度の変遷があると思います。リアルワールドデータとかを含めて、今のデータと異なってきているとか情報とかを含めて、何かあるのでしょうか。
○意見陳述者
それは株による臨床結果が異なるかということと。
○○○委員
そうですね。想定しているワクチンの前のデルタ株は結構重い症状が出ていたのだと思うのですけれども、当時の試験のデータと今の株の状況で変わっていると思います。経過や効果や使われている状況が異なっているとかを含めて、違いが出ているのかということが気になっているところです。
○意見陳述者
○○先生、御質問をありがとうございます。
今の御質問に関しましてはまず、結論から申しますと、デルタ株に関してはございます。オミクロンに関しては、ございませんという回答になります。先生も御承知のとおりでございますが、試験を完成させることとそれを論分化することにはかなり時間を要しますので、オミクロンが出てから1年もたっていない現状であるので、論文といいますか、データとしては、まだレムデシビルの有効性が証明されていないことにはなります。ただ、その一方で、より重症化リスクの高いデルタ株に関しましては、昨今も実施されたようなスタディーというものが弊社のRCTでもあるのですけれども、そちらにおいて多くされておりまして、それを含めた上で、有意差が主要評価項目と副次評価項目で得られてございます。
○○○委員
ありがとうございます。
○意見陳述者
補足をさせていただきます。今、○○がお話しさせていただきましたように、スタディについては、特にマイルドケースを中心として、US、米国で、アウトペイシェント、外来の患者さんを対象にして行った試験であります。オミクロンとデルタについてですけれども、実際に臨床試験という形ではオミクロン株を対象とした試験は実施されていないということですが、基礎的な検討でありますと、レムデシビルは、抗ウイルス剤、RNAの複製を抑えるメカニズムから、オミクロン株に対しても、現時点、BA.1、BA.2ともに有効性は維持しているということは、基礎的には分かっております。ただ、それを臨床試験として実施したものがないということは補足させていただきたいと思います。
失礼いたしました。
○費用対効果評価専門組織委員長
いかがでしょうか。
その他の委員、先生方、御意見、御質問はございますでしょうか。
○○委員、お願いします。
○○○委員
先ほどのスライドのメタアナリシスの特に重症の集団における結果について、1つの試験のサブグループである重症例の効果を、ほかの試験と併合して解析しているということなのですが、どの試験も重症例の症例数がかなり少ないため、治療効果の信頼区間は広くなるような結果が得られているという状況になっています。また、あまりここは説明されていなかったのですが、このメタアナリシスにはRCT以外の研究も含まれていることも影響していると思われますが、異質性の指標の値もかなり高い状況になっています。その状況で、この重症例に限ったところで追加的有用性を総合的にあると判断された「総合的に」の部分を、もう少し具体的に説明していただけないでしょうか。
○意見陳述者
ありがとうございます。
重症に関しましては、御指摘のとおり、非常に信頼区間のところが広くなっていることはあるかと思います。これは、有用性というか、全体的に見て有用性があるというような判断をさせていただいたところはございますけれども、論文そのものが、RCT以外が入っているからというわけではなく、どちらかというとRCTでもすごく広かったというところがございました。統計的有意差は確か見られなかったのですが、点推定値だけで見たらというところで、その部分で治療効果があったと判断をさせていただいたところがございます。確かに広くなっている部分もございますけれども、こちらはデータそのものの数が少なかったことが、異質性が生まれてしまった結果ではないかと判断はしているところではございます。
あまりお答えになっていないと思うのですけれども、もしこのメタアナリシスの手法のことについて何かありましたら、企業側からいただけるとありがたいです。
○○○委員
何を問題視しているかというと、点推定の値だけで総合的に追加的有用性があると判断されているのであればかなり危険な議論ではないかと懸念しているということです。論文で報告されている臨床試験が実施された時期と、現状の臨床実態やこの薬剤の臨床的位置付けや使用実態が、刻一刻と変わってきている状況であり、限られた症例数で得られた点推定値の大きさが1よりも大きくなった・小さくなったというだけで追加的有用性があると判断するのではなく、もう少し臨床的な側面からの説明をしていただけるほうが、「総合的に」の判断ができるのかなとも思いましたので、検討していただきたいと思います。
○意見陳述者
ありがとうございます。
○意見陳述者
○○先生、ありがとうございます。
おっしゃるとおりでして、なかなか回答しにくいところではございましたけれども、臨床的な背景の点も補足させて御説明させていただきますと、実は先に御報告がありましたWHOが実施したsolidarity試験ですけれども、当初の中間報告では重症例に対して有用性が確認できなかったということで、確かにオープンラベルでの比較試験という形になっておりましたけれども、最終結果報告につきましては、重症例に対しても有用性が確認できたということで、現在、WHOのガイドラインで、中等症以上、重症例も含めて、推奨薬剤としてのポジショニングを得られたということになりますので、このsolidarity試験のファイナルレポートが、先月、まだパブリッシュされたばかりということで、今回の解析には含まれておりませんけれども、そういった背景で、重症例に対しても、有用性が、オープンラベルではありますけれども、報告されたということが確認できているという点も1つかと思います。
補足でございます。
○○○委員
貴重な情報をありがとうございました。
○○○委員
○○です。
もう一つ、追加で聞きたいのですが、中等症IとIIでも、このモデルで入院してというフローになっているのですけれども、今でも、中等症Iは、入院して、治療して、この形のモデルの診療が行われているという形でいいのか、現状の確認をしたいのですが。
○意見陳述者
ありがとうございます。
中等症Iであっても肺炎のある患者さんでございますので、基本は入院していただくことになっているかと思うのですけれども、地域であったり、例えば、クラスターが起きてしまったり、そういったことが昨今はよく言われているかと思います。そういった面では、入院した、入院を仮定したということになろうかと思っておりますが、基本、肺炎のある患者さんは入院加療という形でこのモデルのとおりに進んでいくものと理解をしております。
○○○委員
ありがとうございます。
○費用対効果評価専門組織委員長
○○先生、よろしくお願いします。
○○○委員
○○です。
よろしくお願いします。先ほど、solidarity試験が重症例に効いたという御発言があったのですけれども、ランセットの論文では、人工呼吸器をつけて換気をしているような人には無効であったというデータだったと思うのですけれども、その辺り、いかがでしょうか。
○費用対効果評価専門組織委員長
御回答はできそうでしょうか。
○意見陳述者
ありがとうございます。
solidarityで出たばかりのところに換気の部分はあったと思うのですけれども、重症は全体ということではなく、あちらの順序尺度といったものでいくと、これは重症というか、重篤という形になりますので、その患者さんのことが入っていらっしゃるのかなということは、今、思っております。ただ、そこら辺はもう少し私どももきちんと精査をさせていただければと思っております。日本においては、その方々が重症の一部に含まれてくるということでございます。
○費用対効果評価専門組織委員長
そのほか、いかがでしょうか。
よろしいでしょうか。
それでは、時間もたちましたので、これで質疑応答を終了いたします。
企業の方は、御退席をお願いいたします。どうもお疲れさまでした。
(意見陳述者退室)
○事務局
事務局でございます。
企業の方は退出されました。
よろしくお願いいたします。
○費用対効果評価専門組織委員長
闊達な御議論をありがとうございました。
それでは、当該品目について御議論いただきたいと思います。
○○先生に、最初はコメントをいただきたいと思います。先ほどの御指摘は重要ではないかと思っていますが、先生、改めてコメント等がございますでしょうか。
○○○委員
書かせていただきましたけれども、もちろんメタアナリシスに基づいて検証されているのですけれども、かなりこのCOVID-19の予後や重症度というか、診療方法が改善されてきまして、ある1点で見るということができなくなっております。現状でいうと、御存じのとおり、オミクロンになっておりますので、解析されたところがかなり早期のところ、メタアナリシスが出てきたときはかなり早期だったのですけれども、今はそういう状況とは違う。そういうときに費用対効果を検討できるかという問題が、1つ、ございます。
このレムデシビルに関しましては、今年の2月に軽症例でも使っていいとなりましたので、今比較している、中等症IとIIと重症についての比較、費用対効果の比較が、今後、多分役に立たないというか、あまり現実的ではない、臨床の現場では使わないと思うのですよね。先ほどのsolidarity試験についても、WHOのオープンラベルですけれども、結構これは臨床の現場では大きなインパクトを持っている論文になりまして、とにかく、重症は、ここの場合は人工呼吸をしているという重症なのですけれども、これは日本の重症をほぼ包括している部分ですけれども、効果がなかったということで、軽症例と中等症例で若干の効果があったと、オープンラベルながらもそういうデータが出ておる。
そうすると、このお薬は、まず、このエビデンスに基づけば、臨床の現場では重症にはまず用いないという話になってきて、中等症で用いますかと言われたら、現在、皆さんも御存じのように、抗体薬が出てきて、経口薬が出てきて、それとの比較は、費用対効果分析が最初に立ち上がったときは、もちろん、薬もなかったし、ワクチンもないときにされたので、仕方がないかなと思うのですけれども、今やったことが現実の臨床にどれだけ反映するかということは疑問であるということですね。病気の進行というか、臨床側の病気の対応がどんどん変化してきていて、1点で物事を判断することはなかなか難しいし、既にかなりのところまでこのコロナが進化してしまったので、この費用対効果という枠組みの中でやることが適切かどうかという問題が残るかと思いますが、やらざるを得ないということもあると思いますが、以上でございます。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。
臨床実態はかなりトレンドが動いているという御説明であったかと思います。一方で、先生も最後におっしゃいましたとおり、制度的には一旦評価をするという方針でもありますので、限られた材料と情報の中で最良の意思決定をするという方向で、皆様方と御議論させていただければと思っております。
その他の先生方、いかがでしょうか、コメントはございますでしょうか。
○○委員、お願いいたします。
○○○委員
○○です。
今、現場の先生のお話を聞いていて、私どもも、感染症の現場で一緒に仕事をしているので、いろいろな話を聞くと、相当この内容が臨床感覚とずれているのでどうかということは思います。特に専門の先生に伺いたいのですが、中等症、重症で、ドミナントになっていて費用が増えているのですけれども、重症化すれば、トリシズマブとか、ECMOとか、それが乗っかるから高くなるのかは知りませんけれども、費用はその分増分で、この薬を使うことによって、何が具体的には費用として下がるのですかね、比較対照技術も、そこにすごい違和感があって、もう一点は、専門の先生に伺いたいのですけれども、大体この手の薬は早ければ早いほど効いて、遅くなってウイルスが増えたらどんどん効かなくなるというもので、軽症から効くのだけれどもだんだん効かなくなるというイメージとこれが、結果が全く逆さまになっているので、そこのところをどういう原理になっているのかを教えていただきたいなと思いました。
以上です。
○○○委員
ありがとうございます。
これは前回もお話しさせていただきましたけれども、抗ウイルス薬は、おっしゃるとおり、ウイルスに効くということで、重症とはどういう状況かというと、炎症が起こっているという状況なのですね。特に肺炎ですね。デキサメタゾンあるいはアクテムラという免疫修飾するお薬が効いてくるというのはそういうことで、ウイルスをそのときに除去しても、既に走り出した免疫、サイトカインストームかどうか分かりませんけれども、そういう免疫による炎症の増悪に、ウイルスを減らしたから効きますかという問題はあって、実際、それは効かないだろうということが一般的な見解だったのですけれども、今回のWHOのトライアルでも重症例には効きませんよというデータが出てきてしまったので、それはそうだろうと。これは驚くようなことではなく、そうでしょうねと。だから早め早めですよね。ウイルスが増殖するときに使うのが抗ウイルス薬でございますので、そういう意味で言うと、抗ウイルス薬、早め早めということで、この2月に軽症例の適応を広げたのですよ。そうすると、軽症例の費用対効果ということになってしまうので、重症例のどの費用を削減するのかと言われたら、抗ウイルス作用が乗ることによって、例えば、デキサを使わなくていいとか、アクテムラを使わなくてもいいとか、あるいは、ECMOをやらなくていいということにはならないということで、どこも削減していないということが臨床の現場での考え方です。
実際に、オープンラベルながら、ランダム化比較試験で重症例には効果がありませんでしたというデータが出てきたということで、非常に納得のできるエビデンスだなと思っておりますので、御質問のように、何かを削減できるかというと、恐らくできないということが病態的な考え方だと思います。
○○○委員
そうすると、今回の分析結果は真逆の結果が出ているという感じでよろしいですかね。
○○○委員
多分、データはほぼ始まったばかりの頃のコロナで、治療法がまだよく分からない、例えば、腹臥位療法というのが広がってきたのもちょうど始まって1年ぐらいしてからです。腹臥位っていいんだねということで、薬とかではなくて、腹ばいにするだけで結構よくなるのですよ。そうだったんだということでそれが広がってきたので、その部分の診療技術の進歩がかなり加味されてきますので、時期による解析のポイントによって全然違ってくると思っておりますので、どうしても、どういうポイントで解析されて、例えば、時期が違うと全く違うデータが出てしまうよねということが現状で、これは感染症の難しいところだと思います。
○○○委員
ありがとうございます。
○費用対効果評価専門組織委員長
よろしいでしょうか。
その他の委員、いかがでしょうか。
○○委員、お願いします。
○○○委員
私も○○先生のおっしゃるとおりだと思いまして、今のリアルワールドでやっていることと比較してこれを議論してもあまり意味がないと思います。ついている薬価は、最初の緊急輸入というのですか、とにかく保険とかが全然関係のないときに、公衆衛生対策というのですかね、緊急対策としてついている売値ですよね。正確には薬価ではないですよね。保険診療で使えると判断を変えたときにこの中医協に乗ってきて、後から薬価が算定されたわけです。その薬価は元の売値と同じだと思うので、緊急的に、先生のおっしゃっていた、まさに使えるものがないときにやっていたものを、今の豊富に抗体薬や経口薬がある中で議論することはあまり生産的でないような気もします。ですので、感染症がこの費用対効果に乗るかということもなかなか難しいところはあると思うのですけれども、委員長の言われるように、こっちに回ってきたのだから役目を果たしましょうということは分かります。しかし、その当時のものでこれぐらいと言われたら、元の薬価がどれぐらい費用対効果でどうかというのは、今のものでいろいろとモデルを組み変えるとか、代入するパラメータをどうするかとか、私個人としてはあまり生産的な議論ではないような気がしています。
以上です。
○費用対効果評価専門組織委員長
その他、いかがでしょうか。コメントはございますでしょうか。
皆様方のいただいている御意見を伺いますと、基本的にはガイドラインに基づいた分析の枠組みに沿って分析がなされているというものが大多数であったかと思います。
一方で、先ほどの企業の意見聴取、御質問のところ、及び、今の御議論も含めて、分析自体の位置づけと分析における留意点等々がコメントとして上がってきていたと理解しているところでありますが、その他、御意見はございますでしょうか。
御意見がないようであれば、議決に入らせていただくことになろうかと思いますけれども、議決に入る前に、○○委員におかれましては、議決の間、一時御退席をお願いすることになろうかと思います。また、私も一時退席となりますので、退席中の議事の進行は委員長代理の○○委員にお願いしたいと思います。
○○先生、よろしくお願いいたします。
○○○委員
承知いたしました。費用対効果評価専門組織委員長の代理として、議事を進めさせていただきます。
(費用対効果評価専門組織委員長、○○委員退室)
○事務局
事務局でございます。
○○委員、費用対効果評価専門組織委員長、ともに退室が確認できました。
よろしくお願いいたします。
○費用対効果評価専門組織委員長代理
それでは、退席される前に委員長がまとめてくださったように、先生方の御意見をまとめますと、決定された分析の枠組みに基づき、企業分析がなされているということでよろしいでしょうか。御異議はございませんか。
どうぞ。
○○○委員
念のため、確認です。
企業がRCT以外の研究も含めてメタアナリシスをすることが、私の聞き違いだとあれなのだけれども、事前協議とかで了解されていたような発言だったのですが、そういうことですか。
○費用対効果評価専門組織委員長代理
事前協議のことはいかがでしょうか。科学院さん。
○国立保健医療科学院
そのような合意はないものと認識しています。
○○○委員
その部分を含めると、事前に決められた枠組みでやっていないということですね。
○国立保健医療科学院
追加でコメントをさせていただきますが、分析ガイドラインの解釈については、先ほど○○先生に御指摘いただいたとおり、RCTがある場合にはまずRCTで行うことを原則としていて、適切なものがない場合に、観察研究、レビューをするというステップになっていて、混ぜてメタアナリシスをするとか、それは想定されていないものと理解しています。一方で、RCTの適切なものがなくてそれを含めましょうといった合意は特にしていないと我々は認識しております。
○○○委員
先ほど、結局、本当のRCTは1本だけになるので、メタアナリシスはそれだったらできないということを言っていましたけれども、科学院とすれば、できないならRCT一本足打法でやるということでよろしいでしょうか。
○国立保健医療科学院
それについてもこれからしっかり検証したいと思いますけれども、我々の認識としては1本だけではないと思っております。仮に1本であっても、それを優先的にまずは議論をして、それが適切でない場合にはほかのものという話かと認識しておりますので、よろしければそのような分析ガイドラインに沿ったレビューを進めさせていただければと思っております。
○○○委員
非常に基本的なことの確認で申し訳ないのですけれども、RCTで適切なものがないときに、それに代わるものとして、さっきのオープンラベルとか、観察研究とかというもので置き換えるという意味ですか。いずれにせよ、混ぜてメタアナリシスをすることは駄目ということですか。
○国立保健医療科学院
これについては、分析ガイドラインではそのようになっていないと理解しておりましてぜひ統計の先生方の御意見も伺えればと思うのですが、混ぜてしまうのは、一般的には適切ではないのではないかと思っております。1つのRCTに比べて、例えば、観察研究は例数が多くなったりしますとメタアナリシスをやるときのウエートも大きくなると考えられますので、どうしてもデザイン的に課題があるほうに引っ張られる可能性があると思います。本件についてはまだレビューがちゃんとしておりませんので、本分析という意味ではないのですが、一般的にはそのようなことがあり得ると認識していますので、まずはRCTでしっかり分析したものという○○先生の御指摘はごもっともかと思っております。
○費用対効果評価専門組織委員長代理
○○先生、いかがでしょうか。
○○○委員
○○先生がおっしゃるとおりだと認識はしています。ただ、今回のケースではRCTが1試験しかなかったというところで、かつ、このRCTは全体の集団に対してコントロールと比較してちゃんと有意差がつくだけの検出力を持った症例数が設定されている、つまり、全体集団で統計学的に保証した下で実施された臨床試験です。そのため、今回の分析対象集団として、その研究全体ではなくて、中等症I、中等症II、重症という各サブグループに分けて追加的有用性があるかどうかということを判断しなくてはならないという状況を考えると、当然各サブグループに対して十分な比較が可能な症例数や検出力が担保されておらず、かつ、RCTで評価した臨床試験がないことを考えると、今回企業が実施したマッチングの方法を利用した観察研究の結果も、利用せざるを得なかったという限界も、ある程度の理解はできるものと考えています。
ただし、先ほど○○先生がおっしゃられたように、現状と分析の枠組みを立てたときとの医療環境の状況がかなり変わっているというのは、十分に理解できる状況です。そのため、枠組みとして既に決定していることも理解できますが、その結果が果たして何を示しているのかという疑問は残ります。
以上です。
○費用対効果評価専門組織委員長代理
ありがとうございます。
それでは、統計の専門家の御意見も伺いましたが、○○先生からありましたように、再分析で調べればまだほかのものも見つかるかもしれないと言われれば確かにそうですので、そういうことも含めて御検討いただく、再検討をいろいろ考えていただくということで、よろしいでしょうか。
○○先生もよろしいでしょうか。
○○○委員
結構です。
○費用対効果評価専門組織委員長代理
委員長が退席されている間に、少し議論がありましたけれども、基本的に委員長が事前にまとめてくださった形で皆さんの御承認が得られたということで、公的分析においては、方針を検討いただき、レビューもしくは再分析のいずれの方針かを科学院より表明していただくことといたします。
それでは、事務局は、費用対効果評価専門組織委員長、○○委員に入室していただいてください。
○事務局
事務局でございます。
ただいま確認いたしますので少々お待ちください。
(費用対効果評価専門組織委員長、○○委員入室)
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