ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 中央社会保険医療協議会費用対効果評価専門組織> 中央社会保険医療協議会費用対効果評価専門組織 令和4年度第8回議事録(2022年11月25日)
2022年11月25日 中央社会保険医療協議会費用対効果評価専門組織 第8回議事録
○日時
令和4年11月25日(金)13:00~
○場所
オンライン開催
○出席者
田倉 智之委員長 斎藤 信也委員長代理 池田 俊也委員 木﨑 孝委員 |
新谷 歩委員 新保 卓郎委員 中山 健夫委員 野口 晴子委員 |
花井 十伍委員 飛田 英祐委員 米盛 勧委員 |
弦間 昭彦専門委員 山口 正雄専門委員 福田 敬専門委員 |
国立保健医療科学院 保健医療経済評価研究センター 白岩上席主任研究官 |
<事務局> |
中田医療技術評価推進室長 他 |
○議題
○アリケイスに係る総合的評価に対する企業からの不服意見聴取について
○議事
○費用対効果評価専門組織委員長
前回、先生方に御議論いただきましたアリケイス吸入液に係る総合評価に対する企業からの不服意見聴取を行った上で、再び先生方に御議論いただきたいと思います。まずは事務局から説明をお願いいたします。
(事務局・国立保健医療科学院より説明)
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。
それでは、議論に先立ちまして、まず本製品に係る総合的評価に対する不服意見の聴取を行いますので、事務局は企業を入室させてください。
(意見陳述者入室)
○事務局
事務局でございます。
それではよろしくお願いいたします。
○費用対効果評価専門組織委員長
私は費用対効果評価専門組織委員長です。
早速ですが、10分以内で、アリケイス吸入液の総合的評価に対する不服意見について御説明をお願いいたします。続いて、質疑応答をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
では、始めてください。
○意見陳述者
本日は貴重なお時間をいただきましてありがとうございます。
それでは、早速、意見陳述をさせていただきます。
スライド2の内容について本日は説明いたします。専門組織による決定事項でいただいた御意見に基づき、212試験で得たEQ-5D-3Lデータの課題、及びTTO法による推定値の妥当性を検証するために、SGRQ及びEQ-5Dが同時測定された研究についてシステマティックレビューを実施させていただきました。
まずは今回実施しましたシステマティックレビューの結果について、スライド4を御覧ください。
○意見陳述者
スライド4を御覧ください。本システマティックレビューのクリニカルクエスチョンは御覧のとおりです。
次にスライド5を御覧ください。PRISMAフローチャートをお示ししておりますが、PubMedを利用しMEDLINEを対象に検索を行い、最終的に64件の文献を同定いたしました。
スライド6を御覧ください。64件の文献から、SGRQ symptomスコア、及びActivityスコア、EQ-5Dが報告されている文献のデータをプロットした結果をお示ししております。プロットは横軸がSGRQスコア、縦軸がQOL値となっており、青のプロットが3L、オレンジのプロットが5Lとなっております。結果としては、EQ-5D-3LのQOL値は、同じSGRQスコアであったとしても、例えばSGRQが70から80程度でも大きく縦に0.8から0.4辺りまでばらついており、EQ-5D-3LではSGRQで測定された呼吸器疾患の健康状態に対する適切な評価に課題があることを示唆する結果ではないかと考察しております。
また、EQ-5D-3LとSGRQの決定係数は0.104となり、その説明力は不十分であると考えられました。
また、近似曲線の傾き情報から、EQ-5D-5Lになり5水準になったことは、感度の改善によりSGRQの変動がQOL値に反映されやすくなったことを示唆していると考えております。
続いて、スライド8を御覧ください。今回のシステマティックレビューの一環としてハンドサーチにより確認された研究について御紹介させていただきます。Chuaらの研究では、EQ-5D-5L質問票について「今日」ではなく、「最近1週間」「最近4週間」や健康状態のレベルを頻度で質問するバージョンに設定した改訂バージョンを作成し、パフォーマンスが改善するかどうかが評価されています。その結果、右上の表に示すとおり、問題なしと答えてしまう割合が通常の想起インターバルの場合、全ての項目で46.7%だったのに対し、想起インターバルを改善することによりその割合が低下し、いわゆる天井効果の課題が改善したことにより、パフォーマンスが向上したことが報告されております。これはEQ-5Dの質問票の想起インターバルによる課題が呼吸器疾患におけるQOL値推定に大きな影響を及ぼすことを示した報告と考えております。
続いて、スライド9を御覧ください。左の研究は肺MAC症を含むNTM患者とコントロールとして一般の人々に対しEQ-5Dを測定した結果を比較した研究です。EQ-5DインデックススコアではNTM患者とコントロール間で有意差がないものの、VASでは認められる点や、NTM患者のうちFEVが50以下の重症例においても、EQ-5DインデックススコアとVASスコアが大きく乖離する結果が示されており、EQ-5DはNTM患者の評価に用いる尺度として有用ではないと結論づけられております。
右の事例は呼吸器疾患を含む慢性疾患を持つ患者を対象に多くの方がEQ-5Dでは御自身のQOLに関する重要な側面を捉えられていないと回答し、特に最も多く指摘があったのは疲労だったと報告されている事例です。
○意見陳述者
スライド12、EQ-5D-3Lを用いる妥当性について整理しております。
まずは一番上のフレームに一般的なEQ-5Dの課題について整理しております。2つ目のフレームでは、今回得られたシステマティックレビューの結果を踏まえて212試験で測定されたEQ-5D-3LによるQOL値の問題点について整理しております。これらのことから、複数の客観的根拠より、212試験で得られたEQ-5D-3Lでは、難治性肺MAC症のQOLは正しく実態を表しておらず、本数値を費用対効果評価に用いることは、アリケイスの価値を著しく低く評価することになり得るため、慎重に検討するべきと考えてございます。
次に、スライド12ですが、前回、TTO法について十分に説明がなされていないという意見もございましたので、今回実施したTTO法の検証の観点という切り口で整理しております。まずはTTO法の実施方法について簡単に説明し、2点目の健康状態記述については、前回の専門組織で御評価いただいたと考えております。また、結果についての検証は、今回のシステマティックレビューの内容である程度の御説明が可能かと考えております。学術的な妥当性については、現在投稿中という状況でございます。
スライド13には調査の実施方法を記載しておりますが、こちらの写真が実際の調査現場になります。本調査は倫理審査委員会の承認を受け、このように回答者に対して熟練した調査員が付きっきりで一問一問理解度を確認して、コミュニケーションを密に取りながら実施しており、高いエンゲージメントと理解度となるようできる限り配慮して実施しております。
○意見陳述者
次に、スライド15を御覧ください。今回論点となっている肺MAC陽性状態のQOL値の設定を変動させたときのICERの変化について、価格調整の対象となる基準値である1000万円を下回る設定を探索した作図となります。その結果、MAC陽性状態のQOL値が0.727以下のとき、ICERは1000万円以下となったため、すなわち評価ではMAC陽性状態のQOL値が0.727以下となる可能性が高いかどうかが本質的な論点になるとも考えております。
スライド16を御覧ください。システマティックレビュー等、ここまでの追加調査からの解釈を上記に整理しております。また、例えば1つの御参考情報としてですが、今回のシステマティックレビューにおけるEQ-5D-5LとSGRQの近似曲線で212試験のSGRQスコアからQOL値を回帰すると0.710となります。これらの解釈から、本剤適用患者の本来のQOL値はシステマティックレビューにおける同じSGRQスコアから予想されるEQ-5D-5LでのQOL値よりも低い値となり、ICERが1000万円以下となる、0.727以下となる可能性が高いと考えられると考察しております。
○意見陳述者
次に、スライド17を御覧ください。①から④と分析方法に応じた結果を記載しておりますが、①が公的分析、④がTTOを用いた分析の結果です。加えて、ここでは②、③の推定値もオプションとして記載しております。我々としましては、EQ-5D-3Lにより難治性肺MAC症患者のQOLを評価することは適切ではなく、存在するからという理由だけで使用することは慎重に検討すべきと考えます。
また、TTO法で得られたQOL値を用いることが最も適切とは考えますが、様々な御意見、考え方もあることは理解しております。①のEQ-5D-3Lのみで評価することは、実態を表していない上に著しく影響が大きいため、採用されるべきではないと考えておりますが、その他のオプションについては検討可能なものであると考えております。
最後に、○○先生からコメントをお願いいたします。
○意見陳述者(専門家)
実際の臨床医としての感覚から、治療抵抗性の肺MAC症患者と陰性化した患者の健康状態は大きく異なると感じています。治療抵抗性の患者さんでは、外来で明確に病状のつらさを訴えられますけれども、陰性化により、それまでの苦痛が改善されたことをお話しされます。
今回のシステマティックレビューの結果を見て、一部の呼吸器領域において改めてEQ-5D-3Lでは正確にQOLを測定することが難しい点を認識しました。企業の担当者が説明した論文の一部は私が紹介させていただいたものですが、肺NTM症においてEQ-5DではQOL値が正確に捉えられていないと報告されています。これらのことから、212試験で測定されたEQ-5D-3LでのMAC陽性のQOL値が正確ではなく、不適切であると考えております。
TTO法では利用する健康状態記述の内容に大きく影響される方法であると理解しておりますけれども、そのため、より中立的な記載となるよう慎重に、SGRQで使われる表現を基に作成したものとなります。その結果、実際の患者さんの訴え、状態を表す内容にすることができたと考えております。
以上です。
○意見陳述者
以上となりますが、今回実施しましたシステマティックレビュー、及びTTOの詳細データや資料につきましては、いつでも提出する御準備がありますので、必要に応じて御照会いただけますと幸いです。
どうも御清聴いただきましてありがとうございました。
○費用対効果評価専門組織委員長
では、委員の方から御質問はございますでしょうか。
○○委員、お願いします。
○○○委員
これは企業の方に御質問ですけれども、学術的に検証したものを投稿しているということなのですけれども、これについては基本的には、普通、検証とすると、SGRQを基にするなら、その妥当性についても基本的にこの指標自体はCOPDがメインで、しかし、肺線維症とか結核後遺症に関してある程度の指標ということは言われていると思うのですけれども、その上で、通常ならばかなり直接的なスタディーがなされる。それを学術的に検証するというのが基本だと思うのですけれども、どういう検証をそこでは学術的にはされているのですか。
○意見陳述者
私からお答えさせていただきます。
論文の中でのTTO法の検証という意味では、フィールド調査等、患者さんを対象とした調査を追加的にやっているという状況では残念ながらございません。論文の中でもやはり先行研究との乖離の状況とか、そういったところの考察として、いわゆる検証というか妥当性について論じているところに限られることになりますので、そのように御理解いただければと思っております。
ただ、一方、関連情報、御参考情報としてなのですけれども、資料の19枚目に、これも残念ながら肺MAC症ではないのですけれども、結核とCOPDでSGRQのスコアの分布が一貫しているという報告もあります。なので、繰り返しになりますが、肺MAC症ではないのですけれども、SGRQという質問票がある程度疾患をまたいで活用可能ではないかという解釈ができる、一定の参考にしていただける情報ではないかなと思っております。
また、今、御発言いただきましたとおり、肺MAC症を対象にSGRQに関しましても妥当性の検証という意味でバリデーションを取られた論文も報告されておりますので、そういった意味では一定の御安心いただける情報提供ができるのではないかなと考えております。
○○○委員
基本的に学術的な、直接的な検証はまだしていないということですね。
○意見陳述者
おっしゃるとおりです。
○費用対効果評価専門組織委員長
その他の委員はいかがでしょうか。
では、○○先生、先にどうぞ。
○○○委員
先ほどの話にも関係しますが、今回、SGRQスコアとEQ-5Dのシステマティックレビューの散布図を描かれている点について、先ほどの説明だと、SGRQの値を固定したとき、縦に切ったときに効用値にかなりばらつきがあるという説明をされていたと思うのですが、例えば効用値を0.6という値で横に切ったときに、当然、SGRQもかなり広いばらつきを持っています。EQ-5Dのバラツキは問題視されていて、SGRQのバラツキのほうをあまり説明されていなかったと思うのですけれども、その辺りはどのようにお考えなのかという点をお聞かせください。
○意見陳述者
ありがとうございます。私から回答させていただきます。
御理解のとおりです。限られた時間の中での御説明というところで、同じSGRQでもEQ-5D効用値がばらついていると解釈できますみたいな形の御説明にさせていただいたのですけれども、先生御理解のとおり、逆向きでQOL値を固定したときに横にばらついてしまう。これも同じく、QOL値と患者さんの御負担としての実態が大きくばらついている。適切に一つに定めることが難しいという解釈になるのではないかと考えております。
○○○委員
ありがとうございます。
○費用対効果評価専門組織委員長
○○先生、お待たせしました。どうぞ。
○○○委員
○○ですけれども、1つは、先ほどのTTOに関してのもうちょっと補足の説明をいただければなと思っておりますが、この文章はCOPDとかほかの疾患で明確な比較はしていないということですが、プレリミナリーに例えばCOPDとかほかの疾患で全く調べていないのでしょうか。あと、このTTOの文章は、外国でこういうものが使われているとか、ほかの文章で既にパブリッシュされている、あるいは一般的に使われている文章を基にしたようなものなのでしょうか。教えていただけませんか。
○意見陳述者
○○先生からの御質問の件なのですけれども、残念ながらプレリミナリーに今回の記述案についての妥当性評価はできていない状況です。その代わり、しっかりと肺MAC症の患者さんの実態を表す記述になっているかどうかという視点でレビューいただき、御評価いただいているというふうに理解しております。
○費用対効果評価専門組織委員長
よろしいでしょうか。
では、○○委員、お願いします。
○○○委員
ありがとうございます。非常に難しい問題で、よりよい方法を探ろうとしてTTOを実施されたということはすばらしいことだと思います。本当にまだ不十分なところが多いので、いろいろなチャレンジが必要かと思います。その方法として2点教えてください。
微妙な表現で、ニュアンスでかなり変動が出てしまうと思うのですが、一つは、319人が参加してくださったということですけれども、貴社が直接TTOの調査を実施されたのか。もう一点は、参加者はこの調査の意図をどの程度知らされているかということを教えていただければと思います。
○意見陳述者
ありがとうございます。委託先に調査を依頼しております。調査会社様に今回の調査を委託させていただいております。この調査会社様は、○○を選定させていただいておりまして、そういった意味でも熟練した調査員の方々に今回調査を実施していただいたというふうに理解しております。
また、2点目の調査の対象の方々がこの調査を理解されているかという部分では、非常に慎重にデザインさせていただいた状況です。その辺りのメソッド、ロジカルなところに関しましても、調査会社様と御相談の上、○○と大きく変わらないようにつくらせていただいています。
さらに、肺MAC症の症状とか、タイムトレードオフ法自体の調査方法の理解のために練習問題を3問ほど事前に実施いたしまして、しっかりと御理解いただいた上で今回のTTOタスクの調査について挑んでいただいていると理解しております。
TTO法の実施方法に関しましては、資料の23ページ目にこのような練習問題を、実際に提示させていただいた練習問題を参考情報として御提供させていただいておりますので、御参照いただければと思います。
○○○委員
ありがとうございます。あともう一点だけ。この参加された方は、貴社がこの病気の薬を開発している会社だということまで知らされていたということでよろしいのでしょうか。それとも、そこは知らされていなかったということでしょうか。
○意見陳述者
積極的には説明しませんでした。ただ、説明同意文書はつくっておりまして、そちらに記載はさせていている状況です。
○○○委員
ありがとうございます。今後のいろいろな事例がまた出てくるかと思いましたので確認させていただきました。ありがとうございました。
○費用対効果評価専門組織委員長
○○委員、お願いします。
○○○委員
○○でございます。今回のスライド番号は多分27になりますか。その対象者に対してTTO法の測定のときに使った文章の実際のものが2つ示されているというふうにまず理解してよろしいですか。
○意見陳述者
御理解のとおりです。
○○○委員
となりますと、これはすごい分量で、確かに臨床家の先生のレビューできちんと、この患者さんのこの病態の方はこのような健康状態だということについては医学的に、あるいは臨床的に正しいということだとは思いますが、これを読んでその健康状態が一般の方の頭に入るのかどうか。少なくとも私なら平均的な人間だと、これを読んでも何度も読み返さないと分からないし、そもそもこの病気になったことがないので想像がしにくいので、その健康状態の価値づけと言われても大変困ってしまうのですが、どういうふうに人選をされたのかということがまず1つです。要するに、日本国民の代表性のあるサンプルなのか、それともこういうことにたけた方なのかと。多分後者でないととてもじゃないけれども、ちゃんと答えられないような気がいたしますというのがまず1つ。
あと、文章は、病態をきちんと対応した形で正確に記されていると思いますが、とはいえ、月に数日間と言われても、それが1日なのか5日なのか30日なのかで多分価値づけは変わるし、たんには血が混じることがあると言われても、混じることがあったり、混じらないことがあったり、どちらのことを想像するのかなど、この症状の持続期間とか幅を持った記述になっていると、1つの答えを導くことは無理で、幅を持った答えならできても、これで一つの測定値を出すためにはシナリオとして適切ではないのではないかと思います。
まとめますと、この文章の分量ですね。つまり、頭に入れなくてはいけないような量が非常に丁寧なのはいいけれども、1回で想像できるのか、頭にちゃんと入るのかということ。あとは幅を持った記載になっているということは、測定する評点には向かない文章ではないかということを懸念いたします。
こういう方法で過去にきちんと測定がなされ、その妥当性、信頼性などが確認されていて、それに倣ってやったということであれば、受け入れられる結果かもしれませんが、そういうことがない限りは、一般の平均的な方にこれを提示して評点ができるとは考えにくい記載のように思いますが、それについてはいかがでしょうか。
○意見陳述者
ありがとうございます。可能な限りお答えさせていただければと思います。
理解度につきましては、私たちもデザインをしているときに非常に懸念しておりまして、ただ、今回臨床試験で測定されたSGRQスコアを基にするという前提で分析のモデルに設定する整合性も考えないといけなかったというところもありまして、やはりSGRQに基づくというところに関しましては優先させていただきました。それによって影響の出る、先ほど御説明いただいた表現に幅があったりとかの不確実性というところに関しては、リミテーションとして解釈せざるを得ないのかなと考えております。ただ、理解度のところに関しましては懸念していたので、できる限りの対応をさせていただいたと理解しています。
1点目は、先ほど御説明させていただいた、この健康状態記述に関する理解を深めていただくための練習問題を2問、事前に設定しています。1つ目は、肺MAC症のことを肺MAC症と言わず、例えば細菌性の感染症で、インフルエンザとか新型コロナウイルスのようなウイルス性の感染症ではありませんみたいな形のなるべくかみ砕いた表現で疾患を表現した中で、こういった疾患に対するあなたのイメージを教えてくださいみたいな形で、症状は、特に症状がないと感じられているとか、週に数日間程度息切れがするとか、SGRQ、今回の健康状態記述で使った表現を幾つか並べさせていただいて、複数回答可でチェックをつけていただくような形で頭の体操というか準備をしていただき、さらにそこから生存期間とのトレードオフのために2つ、健康状態AとBを並べて、Aには風邪を引いたときに呼吸器症状が出たりしますとか、Bの状態のところで月に3回程度非常につらいと思うほどの症状を起こします、その状態だと10年生きられます、この状態だと5年生きられます、どっちのほうがいいと思いますか、正解はありませんので御自由にお答えくださいみたいな形で練習問題をしていただいた上で、本番の今回データとして利用したTTO法に入っていただくというような形で準備をさせていただきました。
リクルートに関しましては、特にリテラシーが非常に高いと思われる方を狙ってリクルートする等のことはしておりません。
また、先ほど御指摘いただいた、少し表現に幅を持たせてしまっている部分に関しましては、臨床試験の結果との整合性を重視し、今回の活用の目的がアリケイスの分析に用いることを目的にしておりましたので、SGRQのスコアと並べて使えるようにという意味で、幅があるところに関しましては論文等でリコメンドされているところでも注意するように指摘がされているところですので、認識はしていたのですけれども、SGRQに基づくというところを優先させていただいたというふうに御理解いただければと思います。
○○○委員
練習問題と言われたのは、23枚目に練習問題が書いてあって、そこは車椅子の話であって、呼吸器の話ではないのですけれども、この練習問題とは違う練習問題をしたということですか。
○意見陳述者
はい。全部で練習問題は3問御用意させていただきまして、1問目が呼吸器疾患のイメージに関するもので、その次が生存期間のトレードオフを試していただくということ。3番目が資料に含めさせていただいた練習問題になります。
○○○委員
練習問題の時点で、できませんという方がどのくらいいたかということと、その後、実際に測定して矛盾する回答をしたり、実際にデータとしては利用できなかった方がどのぐらいいたかということと、測定値にどのくらいのばらつきがあったのか。一番大きい値と小さい値と相当なばらつきがあったのか、プラマイ10%ぐらいの間に全ての人の回答がまとまっていたのか、それについて、もし分かれば教えてください。
○意見陳述者
ありがとうございます。こちらも可能な範囲でお答えさせていただきます。
このTTOに関して答えられないので脱落しますという方はいらっしゃいませんでした。皆様、来ていただいた方には答えていただいております。また、解析の段階で除外した患者さんも、今お示ししているデータに関しましてはおりません。
また、エンゲージメントという観点で矛盾する回答がないように、調査のプロセスに関しましても矛盾するような回答になった場合はポップアップで、別の解釈でこういう回答をされましたけれども、そういう理解でよろしいでしょうかみたいな形の確認をするプロセスを入れさせていただいています。そういった方法とかデザイン上でできる限りの準備をさせていただいたと考えています。
○○○委員
では、本来軽症の人に対して逆に重症よりも悪い値を答えた場合にはポップアップでもう一回やり直しになるから、最後は矛盾のない回答になるように設計してあるということですか。
○意見陳述者
いえ、そういう健康状態間の矛盾に関してはチェックしませんでした。TTO法をピンポン法で進んでいくときに答えにたどり着いたとき、こういう評価をされましたけれども、それでよろしいですかというポップアップを含めさせていただいたデザインになっております。
それから、データの分布なのですけれども、これはかなり幅広に分布しております。統計の正規分布とかの山が1つあるというデータの特性ではなくて、ゼロ以下、マイナスの数字をつける人、それから死んだも同然、ゼロのところにつける人、それからプラス、ゼロから1までのところにつける人の3つの集団があって、それぞれに分布しております。もちろん重症になればなるほどマイナスの値を答える方の割合が増えていくという形で、一つのデータの分布の平均値を見ているという解釈ではなくて、恐らくいろいろな価値観の方々の加重平均値を見ているというようなデータの解釈になり得るのではないかなと考察しております。
○○○委員
分かりました。そうすると、今回その値の平均値を使われたのですか。中央値を使われたのですか。
○意見陳述者
平均値を使っております。
○○○委員
マイナスの値もこれはマイナス1までしか取れない測定法ですよね、きっと。
○意見陳述者
そうです。
○○○委員
でも、TTOは普通、マイナスは1ではなくてもっと下まであるはずですし、平均値を使うとその辺りがまたどうなのかなとか、いろいろと細かいところが気になるところですが、大体御説明で、どのような調査であって、どういう限界があるかは理解いたしました。ありがとうございました。
○意見陳述者
ありがとうございます。
○費用対効果評価専門組織委員長
その他の先生方、いかがでしょうか。
○○委員、お願いします。
○○○委員
TTO法の3つの練習問題でMAC症のことが理解できる・答え方の学習ができるということなのですが、3つの練習問題をした後の状況で、回答者たちがMAC症について十分理解できているということの到達の確認ができているのかというのと、答え方をしっかりと習熟しているというその2点については何か確認方法をやられているのでしょうか。私自身も内容が難しいと思ったので気になりました。また、病気のことの理解が問題一つでどういうレベルで理解できるかというのは疑問になったので、質問させていただきました。
○意見陳述者
ありがとうございます。お答えさせていただきます。
先生の御指摘いただいたように、健康状態に対する、肺MAC症に対する理解度の確認というのは残念ながら実施しておりません。練習問題に関しましても、何とか3問入れ込んだという状況でして、練習問題を増やせば増やすほど回答者の御負担も増えてしまうというか、1時間で済むところが1時間半とかということになってしまうと、本番でTTOをしていただくまでに疲れてしまってエンゲージメントが下がるとかそういったリスクとのトレードオフもあるかなと思っているのですが、御指摘いただいた課題に関しては、完全に解決できたデザインでできているとは考えておりません。やはりある程度のリミテーションがある中で御解釈いただく必要があるかなと思っております。
○○○委員
ありがとうございます。
○費用対効果評価専門組織委員長
その他の先生方、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、これで質疑応答を終了いたします。企業の方は御退室ください。お疲れさまでした。
○意見陳述者
大変ありがとうございました。
(意見陳述者退室)
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。
それでは、議論に先立ちまして、企業から不服意見がございましたが、科学院からこちらについて追加で御意見などはございますでしょうか。
○国立保健医療科学院
ありがとうございます。科学院です。
少し御説明させていただきます。6ページ目ですけれども、恐らくこのグラフが今回の企業側の主張のキーになるのではないかと思いますけれども、先ほど御説明したとおり、システマティックレビューというのは肺MAC症患者に限定しているわけではないということ。それから、先ほど○○先生のほうから御指摘ありましたけれども、SGRQに対してQOLがばらついているとうよりも、QOL値に対してSGRQがばらついているというような解釈も一定程度できるわけでありまして、我々としては、これについてはQOL値を直接測定することの重要性をむしろ示しているのではないかと考えています。
また、EQ-5D-3Lと5Lで呼吸器疾患の様々な健康状態を測定しているものですので、あまり単純に数値を比較したり、回帰直線を引いたりするのは不適切なのではないかと感じました。
それから、8ページ目ですけれども、この業界誌における議論については詳細を承知しているわけではありませんけれども、一般的に尺度の想起期間、1週間とか1か月というものを正当な開発プロセスなく変更するということは、学術的な観点からは受け入れがたいものでありまして、学術的には不適切なのではないかなと考えています。
それから、10ページは企業側の主張のまとめのスライドだと思いますけれども、これについても先ほど御説明しましたが、EQ-5DによるQOL値測定には大きな問題があるということをおっしゃっている一方で、既存文献におけるEQ-5Dの結果から、TTO法による自らの測定値を正当化しているというのは少し論理的に矛盾があるのではないかなと感じているところです。
それから、13枚目、先ほど○○先生のほうから調査に関する詳細をいろいろ御指摘いただいていましたけれども、我々としても全く同感でありまして、製造販売業者が苦労されて質の高いデータを収集されたという点についてはもちろん理解するところなのですけれども、今回、製造販売業者による測定の質を問題にしているわけではなくて、その在り方について検討を行っているところですので、その点、御留意いただければと考えているところです。
以上です。
○費用対効果評価専門組織委員長
それでは、当該品目について、御議論をお願いいたします。
なお、御議論に当たっては、企業からの不服意見を踏まえ、企業分析結果と公的分析の再分析結果のどちらがより科学的で、より確からしいかを相対的に評価することを踏まえて御議論を進めていただくようお願いいたします。
○○○委員
○○ですけれども、追加といいますか、やはり検証の状況なのですけれども、結構そこのところは無理があって、まだ学術的に検証されたTTOとは言えないというのと、基本的にSGRQは確かに結核後遺症とCOPDで比較的近いという話を出されたのですけれども、僕はあの論文は見ていて、トータルとしては近いのですが、肺結核後遺症では比較的胸郭形成がかなりされている症例群で、また少し特殊なところもあるかなと思ったりしているので、やはり検証がしっかりされることが大切かなと思っています。
以上です。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。
○○先生、いかがでしょうか。
○○○委員
○○です。私もTTO法に関しては、先ほどからいろいろな質疑を聞かせていただいて、すごく大変で、しかも、やはり再現性の点でかなり問題のある方法ではないかなと。患者さん本人から実際に臨床試験のときにちゃんとQOL値を測っている以上は、やはりそちらを優先しないといけないのだろうと感じました。
以上です。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。指標の検証と、あとは患者さんから直接データを取っていることの重要性というものを今、御意見いただいたと思います。
先ほどの聴取でも多くの先生方から御意見がありましたけれども、改めてコメントのある先生はいらっしゃいますでしょうか。
○○委員、お願いします。
○○○委員
○○先生のおっしゃる意見に賛同します。やはり疾患の理解や症状の認識もありますが、QOLは特に難しいところになるので、それを病気でない方が想像して答えるということの限界、難しさがかなりあります。○○先生のおっしゃったように、そもそもQOLがばらついているというのは疾患ごとの違いもいろいろあると思います。他の疾患をMAC症として当てはまると言えない点もあると思いますので、当該疾患の患者さんから取っていないTTO法のQOLを採用するというのはなかなか難しいものがあるだろうと皆さんのご意見を聞いていても思いました。
以上です。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。
その他、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
ここまでの先生方の御意見をまとめますと、公的分析案のほうを支持する方が多かったのと、あと、今日改めて不服意見をいただきましたけれども、企業さんの説明について、御尽力は評価をするものの、幾つかやはり論点というか限界があるということで、特に指標の検証性、TTOについてということと、患者さんから直接データを取っていることの重要性というか整合性、説明能力ということに関しても御意見をいただいたかと思います。この辺りについて何か先生方、コメントはございますか。なければ議決とさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
それでは、以上、先生方の御意見を参考に、アリケイス吸入液に関する費用対効果を総合的に評価させていただくと、公的分析案を採用するという形で、アリケイス吸入液に係る総合的評価について、前回専門組織で決定された総合評価のとおりとするということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
それでは、専門組織で決定された総合評価を費用対効果評価案として中央社会保険医療協議会に報告をいたします。
なお、企業に対する内示及び中央社会保険医療協議会に提出する資料に関しては委員長に一任していただくということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
<照会先>
厚生労働省保険局医療課企画法令第2係
代表: | 03-5253-1111(内線)3140 |
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