ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 中央社会保険医療協議会費用対効果評価専門組織> 中央社会保険医療協議会費用対効果評価専門組織 令和3年度第11回議事録(2022年3月25日) - (1)
2022年3月25日 中央社会保険医療協議会費用対効果評価専門組織 第11回議事録
○日時
令和4年3月25日(金)13:00~
○場所
オンライン開催
○出席者
田倉 智之委員長 斎藤 信也委員長代理 池田 俊也委員 木﨑 孝委員 |
新谷 歩委員 新保 卓郎委員 中山 健夫委員 野口 晴子委員 |
花井 十伍委員 飛田 英祐委員 米盛 勧委員 |
弦間 昭彦専門委員 山口 正雄専門委員 福田 敬専門委員 |
国立保健医療科学院 保健医療経済評価研究センター 白岩上席主任研究官 |
<事務局> |
中田医療技術評価推進室長 他 |
○議題
○アリケイスに係る企業分析報告について
○議事
○費用対効果評価専門組織委員長
続きまして、アリケイス吸入液に係る企業分析について御議論いただきます。
対象品目について企業分析が提出されておりますので、企業からの意見聴取を行った上で、企業分析の内容について先生方に御議論いただきたいと思います。
まずは事務局から御説明をお願いいたします。
(事務局より説明)
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。それでは、議論に先立ちまして、まず本製品に関わる企業分析に対する企業意見の聴取を行いますので、事務局は企業を入室させてください。
(意見陳述者入室)
○費用対効果評価専門組織委員長
私は、費用対効果評価専門組織委員長です。
早速ですが、10分以内で、アリケイス吸入液に係る企業分析について企業意見の御説明をお願いいたします。続いて、質疑応答をさせていただきます。
では、お願いいたします。
○意見陳述者
本日は貴重なお時間をいただきまして、ありがとうございます。アリケイスの費用効果分析の概要について御紹介させていただきます。追加的有用性、分析方法、分析結果のほかに、今回、QOL値の追加調査を本分析のために実施しておりますので、この経緯や内容についてお話しさせていただきます。よろしくお願いいたします。
それでは、2ページを御覧ください。こちらが本日御説明する内容になりますが、要旨につきましては、時間の関係で割愛させていただきます。必要に応じ、お手元の資料を御参照ください。
それでは、7ページを御覧ください。
○意見陳述者
まず、本剤の追加的有用性の設定について御説明いたします。対象集団は肺MAC症患者、介入を多剤併用療法に対する本剤の追加投与とし、比較対照を多剤併用療法としました。アウトカムを培養陰性化率及び再発率として、2018年にGriffithらにより公表されたアリケイスのピボタルRCT、INS-212試験の結果を根拠としました。
8ページを御覧ください。まず、陰性化率ですが、6か月時点での培養陰性化率はアリケイス追加投与群で29.0%、多剤併用療法群で8.9%であり、多剤併用療法群に対するアリケイスの追加投与群の調整オッズ比は4.22と有意に高いことが示されました。
9ページを御覧ください。次に再発率ですが、培養陰性化後治療終了までのアリケイス追加投与群の再発率は12.3%、一方、多剤併用療法群では40.0%でした。そのオッズ比は0.211で、ALIS追加投与群の再発率は多剤併用療法群に対し有意に低いことを示しました。
次に、費用対効果の分析方法を御説明いたします。10ページを御覧ください。
○意見陳述者
今回実施した費用対効果分析の方法と結果について御説明いたします。
11ページをおめくりください。本分析で用いたモデル構造について御説明いたします。本分析は、○○によって評価を行いました。分析は○○と設定いたしました。また、○○可能性も考慮いたしました。
12ページをおめくりください。本分析においては、主にこちらにお示しします6つの仮定を用いました。時間の関係で詳細は割愛させていただきます。必要に応じてお手元の資料を御参照いただければ幸いです。
13ページをおめくりください。培養陰性化率は、212試験の○○結果を利用いたしました。○○採用いたしました。アリケイス追加投与群については○○といたしました。
14ページをおめくりください。再発率も212試験のデータを利用し、人年法によって再発率を算出いたしました。○○仮定をして計算いたしました。微生物学的治癒状態の2年目以降の再発率は、5つの先行研究で報告されている値を加重平均した値といたしました。
15ページをおめくりください。○○から求めました。
16ページをおめくりください。有害事象は、212試験においてアリケイス追加投与群で比較的多く見られた4つの事象を考慮し、群間の発生率の差をアリケイス追加投与群のみに適用いたしました。
続いて、17ページをおめくりください。健康状態別QOL値ですが、今回には限りませんが、肺MAC症に対してQOL値測定の標準的な指標はないと言われております。212試験では、EQ-5D-3Lを用いてQOL値が測定されておりましたが、QOL尺度の反応性を評価する際に一般的に用いられる統計量によって、肺MAC症の改善/増悪に伴う経時的なQOLの変化を正確に捉えないことがShahらによって報告されております。
表はShahらの研究論文から抜粋した臨床的な評価指標に対するEQ-5D-3Lの反応性を評価した結果です。2つの変数の相関を示すPoint Biserial Correlationsは約0.2以下、効果量の大きさを表すGuyatt Statisticは0.3以下と、ともに右の表でweakを示す基準値、すなわち前者は0.3、後者は0.2を基準としてもいずれも十分な評価が得られておりません。よって、EQ-5D-3Lで得られたQOL値を本分析に用いることは適切でないと判断し、新たにQOL値を測定することが必要と考えましたが、企業による分析の準備期間中に実施可能な追加調査は限られており、例えばEQ-5D-5L等を用いて改めて患者本人からQOL値を得るには時間的に困難でした。
一方、分析ガイドラインには、対象者本人からQOL値を得ることが困難な場合などには、一般の人々を対象に健康状態を想起させることにより直接法を用いて測定してもよい。また、直接法を用いる場合は、TTO法により測定することを推奨すると記載されております。
そこで、改めて対象者本人からQOL値を得ることが時間的に難しかったため、一般の人々を対象にTTO法を用いた対面によるアンケート調査を実施いたしました。
なお、御参考として、212試験で測定されたEQ-5D-3LによるQOL値を用いたシナリオ分析についても、その他の分析として報告書において御報告させていただいておりますので、御確認いただけましたら幸いです。
今回実施したTime Trade-Offの概要について御説明させていただきます。Time Trade-Off法は直接法に分類されるQOLの測定評価方法です。上に示すような図を回答者にお示しし、回答者、健康状態Xでのa年と完全な健康状態でのb年を比較したときに、無差別となるbの値を求め、bをaで割り算することによって、健康状態XのQOL値としてスコアリングいたします。本調査は319名に対して3日間に分けて実施され、熟練した調査員がそれぞれ回答者に対して約1時間かけて調査を実施いたしました。
調査に用いる健康状態記述は、日本で肺MAC症の患者に対する豊富な治療経験を持つ専門医によるレビューを複数回にわたり行った上で決定いたしました。
調査結果は、下記にお示ししたとおりとなっておりまして、分析には肺MAC陽性の中等症の状態とMAC陰性状態の結果を利用いたしました。
こちらにお示しした212試験のSGRQデータを基に作成したシナリオのほか、先行研究における定性調査を基に作成したシナリオについても調査しており、その結果を分析に利用した場合、ICERは小さな値になりますが、追加的有用性に関する根拠データとの整合性を重視し、基本分析にはSGRQを基に作成したシナリオの結果を利用いたしました。
続いて、19ページをおめくりください。本分析で考慮した費用の設定について御説明いたします。本分析では薬剤費用、ネブライザ費用のほかに、管理費用、有害事象治療費用を考慮いたしました。○○推定いたしました。
続いて、20ページをおめくりください。分析結果について御説明いたします。
○意見陳述者
それでは、最後に21ページを御覧ください。基本分析の結果は御覧のとおりとなり、多剤併用療法を比較対照とした場合の多剤併用療法に対するアリケイスの追加投与による増分QALYは3.57QALY、増分費用は約2225万円となり、このときのICERは624万円/QALY程度となりました。確率的感度分析の結果からも、ICERの所属する確率が最も高いと考える区分は、御覧のとおりとなると考えております。
駆け足となりましたが、弊社からの説明は以上とさせていただきます。
薬価収載の1年以上前から対象品目になることを鑑みまして最善の準備を尽くしてきたつもりではありますが、何分初めての経験でもありまして、不備等もあるかと思います。どうぞ御指導、御指摘のほどよろしくお願いいたします。御清聴いただきありがとうございました。
○費用対効果評価専門組織委員長
それでは、委員の方から御質問ございますでしょうか。
○○委員、お願いします。
○○○委員
MAC陽性の状態というのがどのくらいのQOLか、私はあまりこういう患者さんを直接臨床で診たことがないので分かっていないのですが、企業で御参加の方に伺いたいのですが、完全な健康状態で5年生きることを想像していただいて、MAC陽性の重症の状態で生きる何年に相当すると思うか、お答えていただいてもよろしいでしょうか。
○意見陳述者
確認させていただきますと、5年間完全な健康状態で生きるのに対して、MACの重症状態の場合何年と等しいかという御質問でよろしいでしょうか。
○○○委員
はい。
○意見陳述者
ありがとうございます。私の年齢から考えますと、いろいろな要素を考えてお答えしますと、2年とかですかね。
○○○委員
完全な健康状態5年とMAC陽性の状態2年が等しいということですね。
では、次の方はいかがでしょうか。
○意見陳述者
○○から答えさせていただきます。私は2.5年ぐらい、半分ぐらいと考えます。
○○○委員
次の方、お願いいたします。
○意見陳述者
私も2.5年と考えました。
○○○委員
次の方、よろしくお願いします。
○意見陳述者
MAC陽性のほうがとなりますと、私も大体2年ぐらいではないかなと思いますね。
○○○委員
ほかに御参加の方はいらっしゃいますか。
いかがですか。
○意見陳述者
肺MAC陽性の、今、○○先生は重症とおっしゃっていたと思うのですけれども、私は重症の患者さん、すごく御負担を抱えられていると思っていますので、皆さん2年ぐらいと回答されていましたけれども、もしかしたら私はもっと短いかもしれないなと思っておりまして、ただ、何年かといいますとなかなか難しいかと思いますが、例えば1年とかになるでしょうか。
○○○委員
なるほど。分かりました。
今見せていただいているというか、18ページにある計算式だと、完全な健康状態よりも病気の健康状態のほうが長く答えないとつじつまが合わないのですが、皆さん短く答えられていますよね。この調査で皆さん本当に理解して答えているのかどうかという、そもそも調査する人が理解してないのだから、一般人の方はどこまでこれを理解していらっしゃいますかね。要するに、無効になった回答がどのぐらいあったのかとか、2回答えて信頼性はどうなのかとか、その辺りはいかがですか。
○意見陳述者
すみません。ちょっと皆さんの回答に引っ張られてしまって私、逆に答えてしまいましたが、その辺りに関しましては、急にこのTTOに入るわけではなくて、練習問題をたくさん繰り返しさせていただいております。例えばこのような健康状態で、もうちょっとシンプルな質問を用いてどれぐらいのTime Trade-Offになるでしょうかという練習問題を2~3問繰り返して頭の体操をしていただいてからこちらに入っていただいて、また、調査員の方に関しましてもそういった間違いがないように、対面でやらせていただいておりますので、そういったリスクのないように調査をさせていただいております。
○○○委員
今答えていただいて、もし私の聞き方が悪くて逆にお答えだったとしても、MAC陽性重症状態のQOL値は多分0.4~0.5ぐらいの値が出るはずで、今回かなり低い値が出ているのですが、その理由は何でしょうか。
○意見陳述者
これは私個人的と言ってはなんですけれども、このQOL値の点推定値なのですが、1つの集団の代表値とは考えておりませんで、データを見てみると、死んだほうがましとつける方が一定数いらっしゃいました。非常に重症な状態に対してマイナスの値をつける人ですね。リードタイムTTOもやっているのですけれども、死亡するよりもつらいと答えられている方が一定数。それから、死亡するのと同じぐらいつらいと答えられている方が一定数。それから、そうではなくて今のようにプラスの値を答えられる方が一定数いらっしゃって、それぞれの集団の加重平均値のような形になっているという性質があるのかなと考えております。
なので、今回答えていただいたものよりも、死亡するよりもつらいと回答されている方のデータが低いほうに引っ張っているというような性質があるデータなのではないかと考えております。
○○○委員
EQ-5Dで測定した値もあると思うのですけれども、それは外国人の値というか、海外で測定した値ですか。
○意見陳述者
212試験には日本人の患者さんも一部含まれているのですけれども、大半が海外の患者さんというふうに聞いております。
○○○委員
そちらで測定した値とはかなり乖離があるのですか。それとも、今回のTTOのものとあまり変わらない値なのでしょうか。
○意見陳述者
一定の乖離は生じております。その乖離の状況に関しましては、企業報告書のほうにも御紹介させていただいているとおりなのですけれども、やはり先ほど御説明させていただいたとおり、症状の悪化に伴ってEQ-5D-3Lのスコアがうまく一緒に低下していないという状況がありますので、臨床試験で実際に測定されたデータにおける、すなわちQOLの低下の状況、程度に比べると、TTOの評価結果というのは大きく低下しているような状況で分析をしていると御理解いただければと思います。
○○○委員
反応性ですね。レスポンシブネスは十分ではないと論文にも書いてありますが、一方、妥当性、信頼性、あるいは再現性はよいということなので、そのQOLの値をそのまま使うのも一案だと思うのですが、そうした場合、費用対効果の結果はどう変わりますでしょうか。
○意見陳述者
御指摘の点に関しましても、その他の分析として企業報告書に載せていただいているとおりなのですけれども、ICERの結果としては950万円ぐらいの数字になりますので、このQOL値のところのインパクトとしてはそれぐらい、今回の分析にとっては一つ大きなファクターになっていると考えております。
その中で、企業の分析としては臨床試験で測定されたQOL値の低下状況というのが一定の限界点があると、本来であればもう少し低下するのではないかという仮説がございまして、それに対応する形でTime Trade-Off法によってリサーチクエスチョンに対して一定の答えを御用意させていただいたというふうに御理解いただければと思います。
○○○委員
分かりました。
○費用対効果評価専門組織委員長
その他の委員はいかがでしょうか。
○○先生、お願いします。
○○○委員
今お答えいただいたように、300人の人に対面調査をしてこれだけのエビデンスをつくり出したということで、本当に立派だと思います。
伺いたいのは、さっき○○先生が5人の方に聞いたときにMAC重症だったらどれぐらいとざっくり聞かれたのですが、まさか患者さんにMAC重症だったら何年分とは聞いていないはずですよね。恐らく具体的な症状を示した上で、どうですかと聞いていると思うのですが、症状のセットみたいなものは何個ぐらい重ねているのですか。それとも、ひょっとしたら、MAC重症だったらどうですかと今の○○先生みたいにして聞いているのでしょうか。
○意見陳述者
具体的には、先ほど○○先生にテストをいただいた、例えば重症の患者さんだったりすると大きく3つのカテゴリーに分けて聞いております。1つは病気について、1つは症状について、それから日常生活への影響についてと2つ表で分けて書かせていただいていて、病気については、感染症が原因で時には命に関わる病気を抱えていますとか、治療の状況で、治療しなければその病気は治りませんが、治療しても必ずしも治るとは限りませんみたいな設問にしています。
それから、症状に関しましては、これはSGRQという疾患特異的な尺度の各項目を拝借して作成しておりまして、例えば重症の患者さんですと、この症状について、重症の患者さん、SGRQで70程度の患者さんのデータを取ってきて、そのところからSGRQの項目を出しているのですけれども、例えば週に数日間呼吸器症状が起きます。そのうち少なくとも月に3回程度は非常につらいと思うほどの症状を起こし、その症状は最低でも3日ほど続きます。調子がよい日は週に1~2日程度とか、あと、日常生活への影響に関しましては運動の程度ですね。軽度の運動、これは坂を上ったり、物を持って階段を上がったり等々について、こういった運動だったり、またはそれ以上の運動に支障がありますというような記述をさせていただいて、これと完全な健康状態に対する生存年のトレードオフを伺っているというふうな状況です。
○○○委員
ありがとうございます。3つのポイントで差をつけて聞いているということでした。
もう一つだけ教えてください。SGRQからEQ-5Dにマッピングしたようなものはないのですか。
○意見陳述者
私が知っている範囲では、今回活用できるようなものはありませんでした。また、今回Time Trade-Off法にしたほうがいいのではないかというような方向になりましたのは、EQ-5Dとマッピングしようとしたときに、どうしてもEQ-5Dというところの想起インターバルが今日を想定しているものになりますので、先ほど御説明したとおり、呼吸器疾患、この病気に関しましては月に何回か非常につらい状況があったりとか、週に1~2日程度いい日がありますとか、中等症だったり軽症の人はもうちょっと症状がない期間が長いのですけれども、そういったものをビジットの1日の状況のみを評価する想起インターバルを持っているEQ-5Dでは限界があるのではないかと考えまして、マッピングという方法ではなくて、直接こういった状況について尋ねることができるTime Trade-Off、直接法という手法を選ばせていただいた次第です。
○○○委員
ありがとうございました。
○費用対効果評価専門組織委員長
その他の委員、いかがでしょうか。ございますか。
○○委員、どうぞ、お願いします。
○○○委員
こういう病気は直感的には長期の予後がどうなるか、なかなか分かりにくいかなという気がしているところですけれども、分析のガイドライン上はなるべく長期で生涯ということにはなると思うのですが、本当に生涯で大丈夫なのかというところを若干気にしております。
これは感度分析で、分析の期間を例えば3年とか5年とか、もう少し短めに設定するとどういうふうになるのでしょうか。
○意見陳述者
こちらも私からお答えさせていただきます。
大変恐縮なのですけれども、分析期間に関する感度分析は企業の分析の中では実施しておりません。そのため、明確な答えができず大変恐縮なのですけれども、今後の課題とさせていただければと思っております。
○○○委員
承知いたしました。
○費用対効果評価専門組織委員長
その他、いかがでしょうか。
では、先に○○先生、お願いしてもいいですか。
○○○委員
臨床の立場からの質問ですが、16ページで耳鳴りや聴力低下が有害事象に入っていないというのは、頻度が少ないのか、それとも早めに対処して副作用、有害事象としては生じずに治験が終わるといった要因があって表に入らないのでしょうか。
○意見陳述者
こちらも分析の立場からお答えできる範囲で回答させていただきます。今回の有害事象の選定をした定義に関しましては、両群で10%以上の差があるものという形で、特にアリケイス群で多かったものをピックアップして評価をさせていただきました。そこの基準で選んだときに、残念ながら御指摘の有害事象に関しては含まれなかったということになろうかと思います。もし臨床試験での状況等について補足できる方、いらっしゃればお願いいたします
○意見陳述者
私から少し追加させていただきます。
臨床試験の中では確かに、このアリケイスというものは吸入薬でございますので、全身的な暴露量が少なくなっているということで、耳鳴りですとかそういった通常予想されるような有害事象の頻度は低かったという結果になっておりました。
○○○委員
分かりました。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
では、お待たせしました、○○先生、お願いします。
○○○委員
先ほど来出ているTTO法について、お聞きしたいのですけれども、今回調査対象になっている方々の平均の年齢が44歳で、女性の割合が約半数ということなのですが、実際の臨床試験のINS-212試験の患者さんの集団というと、年齢の平均が65歳程度でかなり女性の割合が高い集団になっているのですが、こういうQOLの方法を取ることに関して年齢とか性別の違いは影響するものなのか、しないものなのかというところを少しお聞きしたいのですが。
○意見陳述者
ありがとうございます。こちらも私のほうから回答させていただければと思います。
今回のTime Trade-Off法の調査対象者の選定方法なのですけれども、20代、30代、40代と各年代から均等にリクルートしております。これは、こういったQOL値が一般の人々の価値判断に基づいて評価されるべきだという考え方に基づいていると考えております。すなわち若い人の意見と高齢の方の意見とを均等に集めて、患者さんの症状だったり健康状態に関する価値判断をしていただいたというふうに考えています。これはEQ-5D等のスコアを推定する際も同様の方法が採用されていると理解しております。
そのため、Time Trade-Off法において実際の患者さんに近い集団から取るべきだという考え方は一般的に採用されていない状況なのかなと考えております。ただ一方、年齢による影響に関しましても別途解析をしておりまして、調査に集まっていただいた一般の方々で、例えば中央値で高齢の患者さんと若年の患者さん、真ん中に分けて感度分析的に解析しているのですけれども、大きく差はないと。一定の傾向はあるようなのですけれども、統計学的に有意な差があるわけではないというところに関しては確認しております。
○○○委員
分かりました。実際に臨床試験の中で取られているデータが使えればいいというのはそのとおりだと思うのですけれども、やはりそこも限界があるという中での話かと思います。理解ができました。ありがとうございます。
○費用対効果評価専門組織委員長
その他の委員、いかがでしょうか。他にございますでしょうか。よろしいですか。
それでは、これで質疑応答を終了いたします。企業の方は御退室ください。お疲れさまでした。
○意見陳述者
どうもありがとうございました。
(意見陳述者退室)
○費用対効果評価専門組織委員長
御議論いろいろとありがとうございました。
それでは、当該品目について御議論をお願いしたいと思います。○○先生、追加でコメントがあればお願いできますでしょうか。
○○○委員
有害事象に関しては先ほど頻度の観点で記載がないとのことで、臨床的に気になる、聴力低下は大きな問題ではないというのはうれしいことと思います。
私自身QALY、ICERの計算に関してあまり詳しくないものですから、ちょっとずれているのかもしれませんが、有効な患者さんの2倍以上が実際は半年ほどこの薬剤を使って、それで効かないので、費用だけがかかっていて効果がないということになります。そのことがICERの計算に含まれているのか教えていただければと思いました。
もう一つ、今回の治験のように1年たったら薬を全部やめるというのではなくて、通常の治療は何年も継続することになりますので、アリケイスの効果が薄まってしまうのではと思います。通常の臨床からの推定では、ICERは今回の治験で計算されるよりも少し悪い数字になるのではと推測いたします。
以上です。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。
今のコメントと御質問については、科学院さんのほうから企業さんとのやり取りを踏まえながら御説明いただくことは可能でしょうか。
○国立保健医療科学院
質問をもう一度お願いできますか。
○費用対効果評価専門組織委員長
では、○○先生、お願いいたします。
○○○委員
質問ですけれども、最後の21ページでQALY、ICERの数字が出ています。実際の治験では患者さんの半分以上は吸入を使ったけれども菌が陰性化していないので、結局やめているということになります。そういう方々では、吸入をしても結局効果がなく、お金だけがかかるということになります。有効な方においてはもちろんメリットがあるけれども、メリットがない方が半分以上を占めることに関して考慮されている数字なのか教えていただければと思います。
○国立保健医療科学院
すみません。大変失礼いたしました。
具体的な企業分析の検証につきましては、これから先生方にいただいた御指摘を踏まえてやっていこうと思いますが、一般的な分析方法といたしましては、先ほど企業分析の報告の中で分析モデルという話がスライドで言うと17枚目にありましたけれども、状態が移行していくようなモデルを考えますので、そもそも治療効果が発揮できないような方については、それは効かなかったものとして一定割合残るというふうな計算をしているはずでございます。ただ、それをどうやって設定しているか等については詳細に御指摘を踏まえて検討したいと思います。
○○○委員
ありがとうございます。
○費用対効果評価専門組織委員長
○○先生、断薬というか、休薬というか、1年でというお話はよろしいですか。
○○○委員
今回の治験のように1年で全ての薬をやめるのではなくて、実際は通常の多剤併用を何年か続けることになりますので、アリケイスの効果、多剤併用療法との違いが薄まってくるので、ICERは悪い方向にいくのではと思っています。
以上です。
○費用対効果評価専門組織委員長
○○先生、何か今の段階でコメントがあればと思います。
○国立保健医療科学院
ありがとうございました。大変重要な御指摘だと思いますので、今の点を踏まえて検証したいと思います。また御意見を伺う機会もあるかと思いますが、よろしくお願いいたします。
○○○委員
ありがとうございます。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
その他の委員の先生、コメント、御意見はいかがでしょうか。
○○委員、お願いします。
○○○委員
ちょっと教えてもらってもよいですか。QOLと利便性の関係は前も議論したのですが、基本的にいわゆるEQ-5Dというものの中に、そういったものがある程度効いてくる場合と効いてこない場合があるでしょうし、今回おっしゃるように、確かにこういう長期的に使う呼吸器疾患の場合では難しいということをおっしゃるのですけれども、そういう観点からいけば、そもそもこの枠組みをつくったもともとの議論の中で、やはりQOLというのは費用対効果にかなり影響が大きい中で、EQ-5Dという形である種妥協している状況の中で、今回私は新しいTTOというのを初めて知ったのですけれども、確かに患者の視点からいくと、一般感覚をQOLにする方法論というのはなるほどなと思うのですが、しかし、疾病ごとにEQ-5Dがうまく使えている、使えていないというのはそれぞれあって、たまたま論文でこういうふうに出てきたからこれはできないよという話で、ではほかのQOLはという議論をここでしてしまうと、もともとのQOL評価の分析枠組みに抵触してくるような気がするのですけれども、この辺の全体の整理を事務局なり科学院のほうから教えていただきたいなと思います。
今回出てきた方法論については、患者の視点で、こっちのほうがリアルだよという話をここで感想を言ってみても恐らく始まらない話になってしまうのかなと思いますし、そこのところを委員としてはどういう視点で見たらいいのかを教えていただきたいという感じです。お願いします。
○費用対効果評価専門組織委員長
最初に○○先生から専門的な立場でEQ-5Dについて、患者さんに聞くものと一般に市民の方から集めてきたデータの関係について、解釈を少し御説明いただいてもよろしいでしょうか。
○国立保健医療科学院
ありがとうございます。確かにQOLを測定すること自体は非常に課題があるとか、方法論がいろいろあるところでございます。分析ガイドラインでは、QOLを評価するに当たっては患者さんから直接データを取って、一般の人々の価値を反映したものという形で使うものを優先的に考えているということで、EQ-5D等のツールを使うというのを基本には考えております。ただし、そのようなデータがないとか、そういう場合には、先ほども使ったということでしたけれども、Time Trade-Off等のほかの手法を用いたものもあり得るというような形になっております。
どちらを使うべきかは多分議論が必要になってくるのかと思いますけれども、一般的にはそのように考えておりますので、今回もその原則に従って判断をしていくというのが基本かなと思っています。
ただ、個別ケースになりますけれども、これから詳細に見ていきますので、今コメントは避けたいと思いますけれども、一般的にはやはりTTO等の調査をする場合には、○○先生あるいは○○先生からも御指摘がありましたが、どういう状態を提示するかとかによって非常に結果が違うというのは一般的には知られておりますので、そこはちょっと慎重に企業の方法について検討したいと考えております。
以上でございます。
○費用対効果評価専門組織委員長
事務局から何かコメントございますでしょうか。よろしいですか。
○事務局
事務局でございます。
今後、公的分析の検証または再分析を経て総合的評価を実施することになりますので、企業の分析方法や結果について、公的分析の検証等を踏まえてあらためてご議論いただければと考えております。
また、過去の事例でも患者さんの利便性に関する健康関連QOLの影響というものは議論があったと記憶をしておりますけれども、やはりこういったものの事例を積み重ねて、よりよい費用対効果の分析について、ご議論されていくものと考えております。
以上でございます。
○費用対効果評価専門組織委員長
○○委員、いかがでしょうか。
○○○委員
ありがとうございます。これから勉強いたします。
○費用対効果評価専門組織委員長
患者さんの利便性については通常のQOLの中でどのように議論していくかという話もあったので、逆に言うと、企業さんもいろいろと工夫されて、提案されてきていることを踏まえながら、今日は枠組みの話ですけれども、これから結果を検証していただきつつ議論できるということですので、そういう立場から今回は進めさせていただければと思っています。
その他の先生方、いかがでしょうか。
○○委員、お願いします。
○○○委員
今の件なのですけれども、○○先生からも御説明があったように、EQ-5D、患者さんに直接聞いたものがない場合とはっきり書いてあるのですけれども、さっき○○先生の御質問で、ピボタル試験にあるみたいですね。○○先生が熱心に聞いてくださったら、その数字を当てはめたら950万/QALYぐらいになるという話もしていましたけれども、確かにそれがない場合はこういう方法もあるのかもしれません。でも、ある場合に自分たちが思うようにEQ-5Dを取ったQOLが動かない。もっと端的に言うと、MAC重症になったらQOLはぐんと下がってくれるはずであり、こういう数字は出るはずはないというのが、ガイドラインのそこに当てはまるのかなと思って聞いていました。思いどおりに動かないから動くほうを採用したというのは、私はガイドラインには当てはまらないのではないかと考えます。
ただ、EQ-5Dには、日本人のデータが少ないということですし、タリフも日本のものではないのに対し、これは一応日本人の一般国民三百何人に聞いているということですし。年齢もちゃんと調べてしたものという意味では考慮に値するかもしれません。しかし、包括的尺度が、疾病特異的尺度と一緒にうまく動かないから、こちらの方法をとるというのは少し違うような気がいたします。
以上です。
○費用対効果評価専門組織委員長
貴重な御意見をありがとうございます。
もし科学院さんから枠組みというか、ガイドラインの解釈上で今の○○先生の話に何かコメントがあればいただけますでしょうか。
○国立保健医療科学院
御指摘ありがとうございます。○○先生に御指摘いただいたとおりで、原則はやはり患者さんからそういうツールを使って取ったものを使うというのを基本に考えておりまして、そういうものがない場合にTTO法というような順番で考えているところでございます。
日本人のデータを優先というのはそのとおりでありますが、それ以上に海外も含めてデータがあればそれをまず優先して、両方ある場合には、あるいは必要がある場合には日本人を優先というように考えておりますので、その辺を踏まえて検討したいと思います。御指摘どうもありがとうございます。
○費用対効果評価専門組織委員長
いずれにせよ、今日いただいたような御意見、コメントを踏まえて、科学院さんのほうで御議論いただくのかなと思っておりますが、その他いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、先生方の御意見をまとめさせていただきますと、公的分析において方針を検討していただいて、レビューもしくは再分析のいずれかの方針を科学院より表明していただくことにしたいと思います。
<照会先>
厚生労働省保険局医療課企画法令第2係
代表: | 03-5253-1111(内線)3140 |
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