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2022年6月24日 中央社会保険医療協議会費用対効果評価専門組織 第3回議事録

○日時

令和4年6月24日(金)16:00~

 

○場所

オンライン開催

○出席者

田倉 智之委員長 斎藤 信也委員長代理 池田 俊也委員 木﨑 孝委員
新谷 歩委員 新保 卓郎委員 中山 健夫委員 野口 晴子委員
花井 十伍委員 飛田 英祐委員 米盛 勧委員
石原 寿光専門委員 島田 朗専門委員 福田 敬専門委員
国立保健医療科学院 保健医療経済評価研究センター 白岩上席主任研究官
<事務局>
中田医療技術評価推進室長 他
 

○議題

○リベルサス錠に係る総合的評価に対する企業からの不服意見聴取について

○議事

 


○費用対効果評価専門組織委員長
前回先生方に御議論いただきましたリベルサス錠に関わる総合的評価に対する企業からの不服意見聴取を行った上で、再び先生方に御議論をいただきたいと思います。
では、リベルサス錠について企業からの意見聴取をした後、御議論いただきますので、まずは事務局から説明をお願いいたします。
○事務局
(事務局より説明)
○費用対効果評価専門組織委員長
それでは、審議に入る前に、○○委員におかれましては、審議の間、一時御退席をお願いいたします。
(○○委員退室)
○事務局
(事務局より説明)
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。
それでは、議論に先立ちまして、まず、本製品に関わる総合的評価に対する不服意見の聴取を行いますので、事務局は企業を入室させてください。
(意見陳述者入室)
○事務局
事務局でございます。
企業の方の準備ができましたので、費用対効果評価専門組織委員長、よろしくお願いいたします。
○費用対効果評価専門組織委員長
私は、費用対効果評価専門組織委員長の○○です。
早速ですが、10分以内で、リベルサス錠の総合的評価に対する不服意見について御説明をお願いいたします。続いて、質疑応答をさせていただきます。
では、始めてください。
○意見陳述者
失礼いたします。ノボノルディスクの〇〇です。資料に沿って御説明をさせていただきます。
企業意見です。分析対象集団A・Bに関しては、公的企業分析の双方に一定の妥当性と課題があると考えます。2点目です。その中で特に分析対象集団B、SGLT2阻害薬と比べた本剤の追加的有用性については、公的分析班の追加分析の結果と直接比較試験等の臨床エビデンスには矛盾があります。3点目、企業分析の結果は、分析枠組みや海外HTA機関の方針、臨床エビデンスとも合致しており、より適切と考えます。その根拠を次のスライドで述べます。
3枚目です。分析対象集団A及びBの分析手法に関し、公的分析がより妥当とされた根拠の1つにネットワークの安定性がありました。この点について公的分析班の主張である薬剤クラスでまとめるほうが安定する、論文数を増やすほど安定するという理論が成立するのは、左下の的の図のようなランダムエラーのみを論じる場合であり、右下の的の図のシステマティックエラー、試験間の異質性が大きい場合には成立いたしません。さらに、この異質性の問題は薬剤クラス内だけではなく、ネットワーク全体としても検討が必要ですが、その検討はなされておりません。ネットワーク全体で見た場合、特に公的分析にはより大きな異質性が存在していると考える理由を次のスライドで述べます。
4枚目です。公的分析のネットワークには、企業分析よりも5つ多く研究が含まれていますが、この違いはシステマティックレビューの検索条件の違いに起因しています。赤枠左を御覧ください。企業分析では、比較対照薬の検索条件を分析枠組みに沿って設定したため、分析枠組みと合致した研究のみがネットワークメタアナリシスにより用いられています。一方、赤枠右の公的分析では、比較対照技術の条件がより広く設定され、結果として分析枠組みに合致しない研究も複数ネットワークに組み入れられました。
ネットワーク全体で見た場合、公的分析は分析枠組みに合致しない研究が含まれ、異質性の面で課題があることから、企業分析に比べ分析手法の点で優れているとは言い切れないと考えます。
5枚目です。公的分析のように異なる製剤を薬剤クラスでまとめる手法は海外HTA機関の分析では推奨されていません。NICEでは、薬剤をまとめる手法は、一貫性を損ない、異質性をもたらし、結果の解釈を難しくするだけでなく、間接比較と直接比較の間にそごをもたらす可能性があることから、製剤別の分析が適切とされています。企業分析では個別の薬剤ごとにネットワークをつなげており、海外HTA機関の方針と一致します。
6枚目です。ここからは特に分析対象集団Bについて述べます。まず論点の1つ目です。それぞれのネットワーク図を御覧ください。緑、青、赤の線でお示しした部分には分析対象集団Bの分析に不要な研究及びデータが含まれています。特に緑部分には分析集団AからCのいずれにも合致しない糖尿病未治療例のデータが含まれております。これは枠組みにのっとる分析を行うという本制度の大きな前提が守られていないと考えます。
7枚目です。分析集団Bの論点2つ目です。不要な研究やデータが多く含まれた公的分析の間接比較から得られた対象集団Bの結果は、臨床的エビデンスとも矛盾しています。
8枚目です。この点について臨床的なエビデンスに基づく御意見を〇〇先生より御紹介いただきます。
○意見陳述者(専門家)
〇〇でございます。お時間の関係から早速始めさせていただきます。
9ページ目を御覧ください。初めに、直接比較の臨床試験データを紹介いたします。左の図です。リベルサスとSGLT2阻害薬のエンパグリフロジンを比較した海外試験であるPIONEER2試験では、リベルサスがエンパグリフロジンに比べヘモグロビンA1cを有意に減少させること、体重についてもエンパグリフロジンに比べより大きな減少効果をもたらすことが示されています。本試験では、リベルサスの用量は日本の維持用量の2倍である一方、エンパグリフロジンの用量は2.5倍であり、海外用量でリベルサスでより高い有効性が見られていることから、本邦の承認用量でも同様のより高い有効性が見られると考えられます。
右の図を御覧ください。リベルサスと同一成分である注射セマグルチドとSGLT2阻害薬のカナグリフロジンを比較したSUSTAIN8試験においても一貫してセマグルチドの優れた血糖コントロール効果及び体重減少効果が認められています。こちらも同様に試験における注射セマグルチドの用量は日本の維持用量の2倍である一方、カナグリフロジンの用量は3倍で、本邦の承認用量でも同様の高い有効性が見られると考えられます。
10ページ目を御覧ください。米国糖尿病学会の診療ガイドラインを紹介します。本ガイドラインにおいても有効性においてGLP-1受容体作動薬はHigh、SGLT2阻害薬はIntermediateと有効性が明確に区別されています。その基となっていますのはインパクトファクターの高い学術雑誌に掲載されたネットワークメタアナリシスの結果でありまして、リベルサスを含むGLP-1はSGLT2に比べ高い効果を有するとされています。これはさきに御紹介したような直接比較のデータとも矛盾しない結果です。
11ページ目を御覧ください。これらの臨床的なエビデンスを踏まえた意見の要約を述べます。直接比較試験の臨床エビデンスから、リベルサスはSGLT2阻害薬に比べて有効性の面で優れると考えられます。
また、米国糖尿病学会の診療ガイドラインにおいても、リベルサスを含むGLP-1受容体作動薬がSGLT2阻害薬よりも血糖降下作用の点でより効果が高いと位置づけられています。これは国際的に高く評価された学術雑誌に掲載されたネットワークメタアナリシスの結果に基づくものであり、科学的に妥当な間接比較の手法では直接比較のデータとも矛盾しない結果が得られています。
本専門組織においても、臨床的にはセマグルチドに比べてSGLT2阻害薬のほうがよいという臨床上の感覚がないとの意見が挙げられたと伺っていますが、これは臨床的なデータとも全く矛盾しないものであると思います。一方、リベルサスはSGLT2阻害薬に比べ追加的有用性がないという今回の判断は、直接比較試験や国際的に高く評価された査読付き学術雑誌に掲載され、米国診療ガイドラインに引用されている、信頼できるネットワークメタアナリシスの結果と矛盾します。本専門組織や中医協という権威のある組織から、追加的有用性なしというあたかも臨床的な医薬品の有効性とも誤解されかねない、臨床エビデンスと大きく異なるメッセージが発信されることは、医療経済的な評価の枠を超え、糖尿病診療において臨床エビデンスに基づかない薬剤選択につながり、患者さんのデメリットをもたらす可能性があることを臨床医として深く懸念いたします。臨床データと矛盾しない結論が発信されることを望みます。
○意見陳述者
ありがとうございます。
最後に今回の主張をまとめます。12枚目です。分析対象集団A・Bに関し、公的企業分析の双方には一定の妥当性と課題がありますが、公的分析は異質性の検証がされておらず、海外HTA機関の分析方針とも異なります。また、枠組みに合致しない研究やデータが企業分析よりも多く含まれていることから、手法の点において公的分析がより妥当と結論づけることはできないと考えます。特に分析対象集団B、SGLT2との比較について、追加的有用性なしとの結論は直接比較試験等の臨床的なエビデンスと矛盾すること、また、この結論は医療経済的な評価の枠を超え、糖尿病診療の薬剤選択に影響し、患者さんへのデメリットをもたらす懸念があることを〇〇先生より御説明いただきました。
一方、企業分析は分析枠組みに準拠し、海外HTA機関とも一致した手法を用いており、分析の結果は臨床エビデンスと矛盾いたしません。
以上より、総合的に判断し、分析対象集団Bについては、企業分析の結果を採用するのがより適切と考えております。
これで企業の主張と臨床専門家からの御意見は終わりますが、最後まで御清聴いただき誠にありがとうございました。委員の先生、皆様の御高配を頂戴できれば幸いです。
以上でございます。よろしくお願いいたします。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。企業からの意見陳述にもあったように、公的分析に対する指摘がありました。これらの指摘に対して公的分析から御意見をいただけますでしょうか。
論点については、ある程度明示されておりますので、それに対して念のため、公的分析のほうからコメントいただければ助かります。
○国立保健医療科学院
コメントさせていただきます。
企業側資料の5ページ目ですけれども、クラスごとに公的分析を実施したことについては、分析枠組みの設定時点でクラス内の薬剤に有効性等の差が見受けられないことを前提に、当該クラス内で最も安価なものを比較対照技術として設定しており、その点については企業側も合意した上で専門組織において決定されたものと認識しています。我々はこの決定に基づいてクラスごとに統合して分析をしたところです。
また、海外の事例との比較ですけれども、海外のネットワークメタアナリシスに比べて当該ネットワークメタアナリシスは日本人症例に限定しているため、統合可能な試験数、サンプル数ともにかなり少なくなっており、単純に諸外国における医療技術評価機関と比較することは適切ではないと考えています。
それから、海外での知見との差異についてですけれども、これは先ほどと繰り返しになりますが、海外成績との差異については当然ながら承知しているところです。しかし、日本国内外での治療成績に異質性がある可能性が否定できないことから、PIONEER2試験ですとか先ほどのネットワークメタアナリシスなどを検討から外して、日本国内の文献に限って評価を実施したのは製造販売業者の側でございます。公的分析はその見解に従ったものであり、海外での知見と分析結果が異なるのは当然というふうに考えています。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。
それでは、委員の方々から御質問はございますでしょうか。よろしいでしょうか。この件に関しては随分議論を尽くしてここまで来ておりますので、追加の御意見がなければこれまでとしたいところでありますが、よろしいですね。
それでは、これで質疑応答を終了いたします。
企業の方は御退室をお願いいたします。どうもお疲れさまでした。
(意見陳述者退室)
○事務局
事務局でございます。
企業の方の退室が確認できましたので、よろしくお願いいたします。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。いずれにしても今まで先生方と議論してきた内容、特に公的分析を支持した件に関しての不服意見ということであります。この不服意見に関して、公的分析のほうから技術的なところを含めて先ほど解説をしていただいたところではありますけれども、それを含めて改めて御説明をいただければと思いますが、よろしいでしょうか。
○国立保健医療科学院
ありがとうございます。
企業資料の3ページ目から御説明していきたいと思うのですけれども、企業が御主張されるランダムエラーに関する御指摘というのは全くそのとおりかなと考えています。しかし、メタアナリシスで多くの文献を含めるということは、単にランダムエラーを減少させることのみならず、分析結果の一般化可能性を上昇させるものです。まさにこのことがエビデンスレベルの頂点にメタアナリシスが位置づけられる理由でもあります。ただし、御指摘のとおり、臨床試験間には全て異質性があり、それらは文献を増やすことにより上昇する可能性があります。一方で、多くの文献を増やすことにより分析結果の一般化可能性の上昇につながります。そのトレードオフをどのように考えるかということが重要であり、どこまでの範囲の文献を含めるかについては個々に判断すべきものかなと認識しています。
4ページ目ですけれども、企業側の主張に対して繰り返しになりますが、企業により提出された分析というのは、前治療ありと前治療なしのデータが混合して使用されているというところです。また、PIONEER9試験では前治療にSGLT2阻害薬を使用していた集団が含まれるなど、決定された分析枠組みに厳密に沿ったものとはいえないと考えています。
また、ネットワークメタアナリシスの分析であるため、当然ながら治療介入や比較対照の点では分析枠組みと異なる研究が含まれるわけであります。
5ページ目につきましては、先ほど御説明しましたので飛ばさせていただいて、6ページ目ですけれども、企業側の指摘する不要な研究、不適な研究というのは、理由等がよく分からないということですけれども、公的分析としては、これらの試験は不要でも不適でもないと考えています。未治療データにつきましては、公的分析は感度分析において仮想estimandに従った企業と同等の分析を実施しており、水色に塗られた線はちょっと一方的なのではないかなと考えています。また、このようなネットワークは分析集団Bのものしか提示されていませんが、逆に言うと、分析対象集団Aについては、この企業側の紫色の直線が全て色が塗られるという形になるわけであります。ですので、このように分析のある一面について誤解を招くような形で結果を提示して、企業側の正しさを主張するということは少し問題があるのではないかなと思うところです。
7ページ目については、海外成績と今回の分析の差異については御説明さしあげたところですので、省略させていただきます。
以上になります。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。
それでは、当該品目について御議論をお願いいたします。なお、御議論に当たっては追加分析の結果を踏まえ、企業分析結果と公的分析の再分析結果のどちらのほうが科学的により確からしいかを相対的に評価することを踏まえて御議論を進めていただきますようお願い申し上げます。
それでは、よろしくお願いいたします。
○○○委員
○○ですけれども、まず、こういうときに臨床上の感覚で言っていいのか悪いのか。でも、専門組織においてもそういう意見が出ているようなので、臨床的にはリベルサスとSGLT2阻害薬を比べたときに、そんなにどちらが非常に優れているかという感覚は、まず私はないです。通常用量の7mgのリベルサスとSGLT2阻害薬、もうちょっと長く使ってみないと分からないということなのですけれども、よく分からなかったのは、企業側の言っているのはセマグルチドと比べてとか言っていて、注射剤のセマグルチドまで含めて言って、10ページのADAのレコメンデーションみたいなものも全部注射剤も含まれたもので、注射剤のセマグルチドは多分SGLT2阻害薬よりも強いのでこういうことは言えると思うのですけれども、何でここに注射剤が入ってきたのかなというのは僕がよく分からなくなったところでもあります。
ただ、そういう意味で全体的には追加有用性はないというか、追加有用性ありとは言えないというような形で私はいいのではないかと思っております。
以上です。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
お願いできますでしょうか。
○○○委員
○○です。よろしくお願いします。
今のまず1つ、〇〇先生(意見陳述者(専門家))の御説明にもございましたが、治療ガイドは多分、米国の、海外の方を中心としたものを引用しておられて、特に今、○○先生もおっしゃったように、注射剤を含めた有用性についての比較だと思いますので、単発のリベルサスがどうだということを示しているものではないと思います。
それから、リベルサスのほうが有意だというのも、用量も違いますし、対象集団も違うので、これについても少し無理があると思いました。
私自身は、○○先生がおっしゃったのですが、セマグルチドは確かに経口で効くのは効くので、それは前回多分私がコメントしたのが記録として残っているのですが、エビデンスではなく、臨床的な感覚がどうだということを申し上げたのが残っていたかと思います。ただ、いろいろとその後、データを見たり考えてみると、まずAの分析はDPP-4阻害薬とSGLT2阻害薬を使っている患者さんについて、DPP-4阻害薬を辞めてGLP-1を乗っけるか、あるいはそのままいくかという比較が多分メインなのだろうと思うのですが、日本人集団にしてみると、DPP-4阻害薬が効きやすい人がかなり多いだろうと思いますので、もしかしたらそういう形でやると少なくとも変わらないのかなと感じました。
ただ、もう一点は、Bが多分一番ナイーブなところだと思うのですけれども、これは既治療だとしてSGLT2阻害薬を乗っけるか、GLP-1、つまりリベルサスを使うかということの比較だと思うのですが、今回既治療だけにすると数が少なくなるということで、未治療も入っていると思うのです。どの程度が未治療なのか分からないのですけれども、未治療の状況で両方使えば、要するにSGLT2阻害薬もしくはGLP-1を使えば、未治療の場合は何の薬を使ってもあまり臨床的にはどっちもしっかり効くというのが当初の反応だと思いますので、未治療の割合がもしかしたら今回の調査の中で多かったためにあまり差が出なかったというふうに解釈できるのかなと思いました。
ただ、そうはいっても解析が未治療を入れないと難しいと伺っておりますので、そういう意味では今回の解析結果は今可能な解析の仕方としては妥当であると考えております。
以上です。
○費用対効果評価専門組織委員長
分かりやすい御説明をありがとうございました。
それでは、今の先生方のコメントを踏まえながら、御意見、御議論していただきたいと思うのですけれども、○○先生、御意見があればお願いします。
○○○委員
今回、ネットワークメタアナリシスの安定性についての御議論があったと思うのですけれども、そこに企業さん御指摘のように、公的分析のほうも同意されましたけれども、症例数を増やすというのは、ランダムエラーはそれで少なくなりますけれども、システマティックエラーのほうが問題になると。システマティックエラーはそもそも異質性ですね。異なる背景の患者さんを対象にした研究が取り込まれることによって異質性というのが起こってきます。ですので、理想的には、前治療があったかなかったかでサブグループに分けて、サブグループで得られた結果を未治療、既治療と加えて、完全にネットワークを分けて解析するというのが理想的ではあります。しかし、そのような解析は先ほども御指摘がありましたように無理だということですので、治療あり群に治療なし群が混在するのは致し方ないと考えたときに、仮に、これは公的分析のほうから指摘がございましたが、混在した場合にどちらの群に分けるべきかというのが事前枠組みにおいて決定されていればよかったのかもしれませんが、そこがされていなかったというところで、もう後付け、事後の議論にしか今はならないと。どっちに入れるか、どっちに入れないかというのは結果を見て恣意的に判断されるという危険性もございますので、その場合にはやはりより保守的な結果を採用すべきではないかなと考えます。
そもそも症例数が少なくなって、ネットワークが安定しなくなるということを招いた1つの原因が、海外のデータが使えないということになったという経緯がありまして、そこはもともと企業側の提案によるもので、症例数が少なくなった上でネットワークを安定させるためにはクラス内では統一した解析をせざるを得ないという状況になったということがございます。事前に合意された解析でありますので、今は違うやり方でやれと言っているのはほとんど後づけの議論になりまして、統計的にすごく重要なところは、後づけの議論というのはやはり恣意的なところが入ってきますので、できるだけ前もって合意した内容で解析していただきたいと考えております。
私からは以上です。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。後づけというキーワードが出ておりましたけれども、なかなかこれは事前に枠組の議論のところで十二分に落とし込むことができない点があるというのも含めて、もしかするとこれは費用対効果の分析自体の課題として今後事例を集めながら議論していかないといけないものなのかもしれないなと思って伺っていたところであります。それを踏まえて先生方から全体を通して御意見をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。先ほどの事務局からの御説明にありましたとおり、先生方は、総じて公的分析を支持していただいておりますので、それに対しての追加がなければ議論はこれで整理をしていきたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。
どうぞ。
○○○委員
私の意見書で1つ書かせていただいたのですけれども、異質性の問題、企業側の分析が公的分析に対して関係ない論文が入っていると強い意見がありまして、公的分析班はきちんとそれを踏まえて感度分析として、例えば文献の1と10を除いた感度解析もしていただいた上で結果が変わらなかったという解析もしていただいているのですね。企業側はそこを踏まえない議論になっていて、議論が収束しないという問題が今回少し散見されたかなと。ですので、企業には、より適切に対応をいただきたいかなという印象がございました。
以上です。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
この点に関しては、事務局さん、何かコメントございますか。
○事務局
事務局でございます。
今後の専門組織の会の持ち方について検討させていただければと思っております。
以上でございます。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。現行の枠組みでの企業の対応ではあろうかと思いますけれども、先生の御指摘の懸念もあろうかと思いますので、今後、事務局も含めて議論をしていただくことになろうかと思います。
その他、いかがでしょうか。
○○○委員
すみません。クラスごとにするか製剤ごとにするかという件も企業側から海外のガイドラインではみたいな話が何回もあったのですけれども、今回は合意があったクラス内はまとめるというやり方で問題ないと思いますが、将来的に同じような案件が来たときにどのように対処していくべきかということを今後の方向性も含めてまた議論させていただければと思います。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。大変重要な御指摘なのかなと思います。
これは一応、科学院さんのほうにコメントをいただいてもよろしいですか。日本の医療制度としての薬効分類みたいなものも背景に、海外との環境の違いなども含めてどう議論していくべきかという観点から、ガイドラインとも少し関わるのかなと思いますので、もしコメントがあればお願いできますでしょうか。
○国立保健医療科学院
ありがとうございます。我々公的分析を実施する上でも、クラスごとにまとめたほうがいいのか、あるいはプロダクトごとにやったほうがいいのかというのは非常に悩んでいるところでありますので、一般論というのはなかなか難しいと思いますけれども、何らかの方針というか御示唆のようなものをいただけると大変ありがたいなと思っています。
○費用対効果評価専門組織委員長
よろしいでしょうか。
○○○委員
はい。私のほうも調べさせていただきます。ありがとうございます。
○費用対効果評価専門組織委員長
○○委員、あと何かございますか。よろしいですか。
○○○委員
今回、そもそも企業側がもともと海外の文献を含まない、国内だけでやろうと言ったのにもかかわらず、最終的に海外の論文を持ち出してきたというのは、経緯的には結果ありきの議論になっているという印象を私は持ったのですが、医学的な知識がないのでそこはちょっとどうだったのかなと。好奇心と言ったらあれですけれども、最初の議論と最後の議論が全く変わってしまったのはどういうことなのかなと思いました。
○費用対効果評価専門組織委員長
これは御意見としていただくような形でよろしいですか。ありがとうございます。
その他の先生方、いかがでしょうか。よろしいですね。
それでは、議決に入る前に、○○委員におかれましては議決の間は一時御退席をお願いいたします。
(○○委員退室)
○事務局
事務局でございます。
○○委員の御退席が確認できました。よろしくお願いいたします。
○費用対効果評価専門組織委員長
それでは、議決とさせていただきます。先生方の御意見を参考に、リベルサス錠に関する費用対効果を総合的に評価いたしますと、リベルサス錠に関わる総合的評価について専門組織で決定された総合的評価のとおりとするということでよろしいでしょうか。
ありがとうございます。
それでは、専門組織で決定された総合的評価を費用対効果評価案として、中央社会保険医療協議会に報告いたします。なお、企業に対する内示及び中央社会保険医療協議会に提出する資料に関しては、委員長に一任していただくということでよろしいでしょうか。
ありがとうございます。
それでは、事務局は○○委員、○○委員に入室をしていただいてください。
○事務局
事務局でございます。
現在確認中でございます。また、○○委員におかれましては、所用のため、そのまま退室されるということをお話しいただいております。
(○○委員入室)
 
 

(了)
<照会先>

厚生労働省保険局医療課企画法令第2係

代表: 03-5253-1111(内線)3140

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