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2021年9月24日 中央社会保険医療協議会費用対効果評価専門組織 第6回議事録

○日時

令和3年9月24日(金)13:00~

 

○場所

オンライン開催

○出席者

田倉 智之委員長 斎藤 信也委員長代理 池田 俊也委員 木﨑 孝委員
新谷 歩委員 新保 卓郎委員 中山 健夫委員 野口 晴子委員
花井 十伍委員 飛田 英祐委員 米盛 勧委員
泉 並木専門委員 福田 敬専門委員
国立保健医療科学院 保健医療経済評価研究センター 白岩上席主任研究官
<事務局>
中田医療技術評価推進室長 他
 

○議題

○カボメティクス錠 に係る企業分析報告について

○議事

 


○費用対効果評価専門組織委員長
対象品目について、企業分析が提出されておりますので、企業からの意見聴取を行った上で、企業分析の内容について先生方に御議論いただきたいと思います。
まずは事務局から説明をお願いいたします。
○事務局
(事務局より説明)
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。
それでは、議論に先立ちまして、まず、本製品の検証作業に係る企業分析に対する企業意見の聴取を行いますので、事務局は企業を入室させてください。
○事務局
事務局でございます。
少々お待ちください。
(意見陳述者入室)
○事務局
事務局でございます。
企業の方、準備が整いましたので、よろしくお願いいたします。
○費用対効果評価専門組織委員長
私は、費用対効果評価専門組織委員長の○○です。
早速ですが、10分以内でカボメティクス錠に係る企業分析についての企業意見の御説明をお願いいたします。続いて、質疑応答をさせていただきますので、そちらへの御対応もよろしくお願いいたします。
では、お願いいたします。
○意見陳述者
よろしくお願いいたします。○○でございます。
早速ですが、表紙をおめくりいただき、1ページ目を御覧ください。
本日は、こちらの3つの点についてお話をさせていただきます。
次のページを御覧ください。カボメティクス錠ですけれども、昨年の3月に腎細胞がんの適用を取得いたしました。5月には薬価収載となっております。その後、11月に肝細胞がんの承認を取得いたしました。そして3番目に、先月なのですけれども、腎細胞がんの併用について新たにまた承認を取得しております。本日は肝細胞がんについてお話をさせていただきます。
次のページを御覧ください。こちらが費用対効果評価専門組織で決定した枠組みとなっております。
分析対象集団は、がん化学療法後に増悪した切除不能な肝細胞がんの二次治療以降となっております。
比較対照がレゴラフェニブ。
それから、その他書きとしまして、ソラフェニブの忍容性に基づいて患者集団を区別した分析は行わないということが決定しておりました。
次のページを御覧ください。分析の枠組みに基づきまして、弊社で分析をいたしました結果をこちらにお示ししております。
まず、追加的有用性なのですけれども、カボサンチニブはレゴラフェニブに対して追加的有用性なしと判断をいたしました。
この判断に基づきまして、薬剤費のみを対象とした費用最小化分析を基本分析として実施をしております。
その結果、カボサンチニブで、約○円の費用削減が推定されました。この結果から、ICERの所属する確率が最も高い区間は「費用削減」と考えているところでございます。
次のページを御覧ください。ここからは分析の内容を少し詳しく御説明いたします。
まず最初にシステマチックレビューを行いました。リサーチクエスチョンがこちらに書いてあるとおりです。基本的には、分析枠組みに基づいたリサーチクエスチョンを設定しております。文献の検索は4月に行っております。
次のページを御覧ください。システマチックレビューの結果となります。2つの試験が同定されました。1つがカボサンチニブのCELESTIAL試験、それからもう一つがレゴラフェニブのRESORCE試験、この2つの試験になります。
この2つの試験は非常によく似通ってはおります。どちらも二重盲検の比較試験となっておりますけれども、対象患者さんが多少違っておりまして、CELESTIAL試験のほうはソラフェニブの治療歴がある二次治療と三次治療の患者さん、それから、RESORCE試験のほうは、ソラフェニブに忍容性がある二次治療のみの患者さんというところで、こちらのほうが少し異なっております。
次のページを御覧ください。直接比較試験がなかったというところで、追加的有用性を検討するため、間接比較を行っております。こちらにありますのがその結果でして、ハザード比となります。
レゴラフェニブのRESORCE試験、ITT集団に対しまして、CELESTIAL試験のほうは3つの対象集団を作成しまして、比較を行っております。その結果となります。
次のページを御覧ください。カボサンチニブの追加的有用性なのですけれども、先ほどお話しましたように、RESORCE試験とCELESTIAL試験、若干患者集団が違っているというところも考えまして、間接比較の妥当性から、恐らくソラフェニブ治療後の二次治療集団がRESORCE試験に一番近いであろうというところで、そこの結果をもって追加的有用性を判断するということにいたしました。
OS、PFSともハザード比はほぼ1に近いというところで、効果には違いがない、同等であると判断をしております。
また、RESORCE試験のほうは、先ほどお話しましたように、対象集団がCELESTIAL試験よりも限定されていたというところでして、本来の費用対効果評価の対象集団全体では効果の比較をすることが困難であったと考えております。
以上の点から、「追加的有用性なし」、または「ありとは判断できない」と考えました。
次のページを御覧ください。追加的有用性がないというところで、費用最小化分析を行っております。費用算出の方法は、臨床アウトカムは両薬剤で同じ、薬剤以外の医療資源消費も同じと仮定をしております。そして、薬剤費のみを計算したのですけれども、その算出方法としましては、1日の薬価、相対用量強度、平均投与期間の3つをパラメータとして使っております。
効果指標については該当せず。
分析の立場は公的医療の立場。
分析期間は、各試験の平均投与期間を用いております。こちらが1年未満であったため、割引率は実施しておりません。
以上、基本分析になるのですけれども、シナリオ分析としまして、日本人のRDIを使った分析、それから20mg錠の薬価を用いた分析を行っております。また、さらに感度分析としまして、Partitioned Survival Modelによる分析を行っております。
こちらでは、薬剤費に加えまして、医療資源消費量の比較も行っているところでございます。
次のページを御覧ください。こちらが基本分析の結果となります。レゴラフェニブと比較しまして、カボサンチニブで約○円の費用削減が推定されました。
次のページを御覧ください。こちらはシナリオ分析の結果となります。日本人のRDIを用いた場合、それからカボサンチニブ錠の薬価20mg錠3錠とした場合、どちらもカボサンチニブで費用削減と推定されました。
それから、こちらには少しお示ししていないのですけれども、感度分析のPartitioned Survival Modelを使った分析もおよそ○円の費用削減という結果が出ております。
次のページを御覧ください。ICERの所属する確率が最も高い区間なのですけれども、基本分析の結果などから、費用削減というふうに判断をいたしました。
次のページを御覧ください。腎細胞がんと肝細胞がんのICERのを取り纏めております。腎細胞がんにつきましては、一次治療と二次治療がございまして、各比較対照技術が設定されていますけれども、全てICERは○円以下であったということになります。
それから、肝細胞がんにつきましては、先ほどお話ししましたように、費用削減であったというところでございます。
次のページを御覧ください。こちら、患者割合になります。メディカルデータビジョンのデータを使いまして調査をいたしました。今年の3月時点での結果となります。腎細胞がん、一次治療は3.9%、二次治療以降が77.5%、肝細胞がんは二次治療以降で18.6%という結果が出ております。
次のページを御覧ください。腎細胞がんと肝細胞がんの結果を取り纏めております。ICERの区分、それから、患者割合はこのような結果になっております。
次のページを御覧ください。最後のページになります。分析期間が9か月を過ぎた理由というところですが、肝細胞がん、効能追加ではありましたけれども、分析の枠組みは腎がんと全く違うというところで、一から検討を行いました。その検討期間に約3か月を費やしたところでございます。その後も、腎細胞がんとは全く違う分析をまた一からやったというところで、おおむね6か月程度のお時間をいただくことになりまして、9か月を過ぎてしまったところでございます。
以上となります。
○費用対効果評価専門組織委員長
では、委員の方々から御質問はございますでしょうか。
○○委員、お願いします。
○○○委員
○○です。
説明いただきまして、およそ分かりましたが、1つ目の質問は、RDI、相対用量強度がカボサンチニブですと60%と、普通に考えるとかなり低いような気がするのですが、この低いのが例えば途中で何らかの理由で休薬するとか、あるいは減量が必要になるというような臨床的な病態を反映しているのでしょうか。もしそうだとすれば、それに伴った何か医療資源消費、入院とか、あるいは他剤に置き換える、あるいは副作用に対する対処の費用とか、何か関連する医療資源消費が発生はしないのでしょうか。もし発生するとすれば、この両群で薬剤費以外の医療資源消費を同じと仮定することはかなり無理があると思うのですが、そこが同じと仮定できる根拠はあるのでしょうかというのが質問です。
○意見陳述者
御質問ありがとうございます。
RDIが下がってしまうのは、患者さんが有害事象を起こされて、それで減量されていく、あるいは休薬されるというところで、そういうことが発生をしております。それに伴う副作用というか、有害事象ですので、それに伴う治療というのは当然出てくるであろうと思っているのですけれども、それにつきましては、実はPartitioned Survivalのほうでやっているのですけれども、実際のところ、有害事象全てについて治療が発生しているかといいますと、臨床の先生方にお聞きすると、必ずしも治療が発生していないと。例えば下痢とか高血圧、手足症候群といったものについては、例えば薬剤を処方するとか、そういったものがあるのですけれども、例えば倦怠感ですとか、ほかの有害事象については、減量するなり休薬するなりで様子を見るということが多いので、実際のところ、有害事象に伴う治療費というのはあまり大きくはないのではないかと考えております。
それと、減量するに伴って、ほかの薬剤にスイッチするとか、そのようなことがあるのではないかという御質問なのかなと思いましたけれども、そもそもこのカボサンチニブという薬剤の位置づけなのですが、疾患の増悪を抑制するというものではなくて、どちらかというと、病勢をコントロールするのをターゲットにしている薬剤ですので、減量するということで、ではほかの薬に替えましょうということは、実際の臨床現場ではないと伺っております。
よろしいでしょうか。
○○○委員
例えば両者で入院日数が違うというようなことはあるのでしょうか。
○意見陳述者
実は、データそのものはございません。実際のところカボサンチニブが上市されまして9か月というところでもありまして、実際に患者さんが入院されたというデータをまだ取得できていないというのが現状です。ですので、入院期間が短いとか長いとか、そういったことも今の時点では分かりかねるというところでございます。
○○○委員
ということは、薬剤医療の医療資源消費が同じかどうかは分からないということですね。分からないから同じと仮定したということで、もしかしたら医療資源消費が両群大きく異なる可能性もあるので、そこはその結果が逆転する可能性もあるかもしれないということですか。
○意見陳述者
それでPartitioned Survivalのほうも実施したというところでございます。そちらのほうは、医療資源、例えば副作用の治療費も含めた分析になっております。なのですけれども、結果的には、どちらも約○円の費用削減となっておりました。
ですので、○が変わっていくということは多少ありますけれども、これが大きく変わることはないであろうと、現段階のデータを基に考えると、ないだろうと考えております。
○○○委員
分かりました。
もう一点よろしいですか。
いわゆる基本分析として出されたのは平均値というか点推定を出されていて、Partitioned Survival Modelのほうはある程度幅を持った推定ができているという理解でいいですか。
○意見陳述者
そうですね。幅を持ったというところで、感度分析なども行っております。
○○○委員
全ての方の投与期間は1年未満になっていますか。それとも、1年を超えて投与されるような患者さんも一部発生するのですか。
○意見陳述者
CELESTIAL試験の中では、1年を超えて投与されている患者さんがいらっしゃるようだったのですけれども、国内の第2相試験のほうでは、1年を超えている患者さんはいらっしゃいませんでした。
○○○委員
分かりました。ありがとうございました。
○費用対効果評価専門組織委員長
その他の委員、いかがでしょうか。
よろしいでしょうか。
○○委員、お願いいたします。
○○○委員
今日のスライドの12ページにシナリオ分析で、先ほどお話にあったRDIに関してなのですが、今回検討されている海外の第3相試験でもRDIは60%ぐらい。ただし、日本の第2相試験、日本人を対象としている日本人の集団であれば、これがさらに下がって38.7%、MDVを用いた比較対照薬のほうも90%からかなり下がっていると思うのですけれども、日本人と海外で本当に60mgという標準用量から休薬、減量されている患者がさらに多くなるのかなという気がするのですけれども、この辺り、例えば薬事承認のとき、用法用量に関する議論というのがFDAとかPMDAで何かなされたという経緯がもしあれば、教えていただきたいのですけれども、いかがでしょうか。
○意見陳述者
御質問ありがとうございます。
申し訳ないのですが、薬事承認の際のやり取りというのは、ちょっと私どもでは分かりかねますのでお答えはできないところでございます。
○費用対効果評価専門組織委員長
○○先生、よろしいでしょうか。その点は後でまた事務局等を含めて御相談いただければと思います。
○○○委員
ありがとうございました。
○費用対効果評価専門組織委員長
その他の先生方、いかがでしょうか。
よろしいでしょうか。
それでは、これで質疑応答を終了いたします。
企業の方は、御退席ください。お疲れさまでした。
(意見陳述者退室)
○事務局
事務局でございます。
企業の方は退席されました。よろしくお願いいたします。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。
それでは、当該品目について御議論をお願いしたいと思います。
御専門の先生が御出席しておりますので、○○先生、あと○○先生からも何か御意見がございましたらお願いしたいと思います。
○○○委員
○○でございます。
肝細胞がんの医師として治療をさせていただいておるということで、カボメティクスについて、先生方からいただいた御意見について、私どもの実際の考えをお話しさせていただきます。
御質問が一番多かったのが、RDIが低いということと、それから、副作用が起きて、プラスアルファのいろいろな特別な加療をするとか、入院するとかで、医療費がかかるのではないかという御心配があるという点が質問内容で一番多かったと思います。
現実に、この試験はCELESTIAL試験、国際共同試験、日本人は入っていない試験になります。そこで、日本人だけで試験が行われて、国際共同治験を追認するような試験が行われたということでございます。
そこで、国際的に承認されている60mgが対象用量ということで行われたわけですが、現実には副作用として食欲不振であるとか倦怠感であるとかということが非常に多いということが当初から分かっていたわけです。というのは、カボメティクスは血中濃度の半減期が非常に長いということが特徴ですので、最初から食欲不振とか倦怠感が出たら減量するということが周知されているという現状がございます。
そこで、有害事象で多い食欲不振とか倦怠感というのは、最初から予想されていましたので、外来で患者さんに処方する際にもそういう症状があったら減量するとか、休薬をするということで実際の治療を行っているということになりますので、前もって倦怠感や食欲不振が予測できるのであれば減量するということを実際にやっております。したがいまして、入院までに至るほどの強い食欲不振や倦怠感、それ以外の有害事象が起こるということは実際にはほとんどないということでございますので、プラスアルファの医療費のコストは発生していないというのが今のところの私の感触であります。
それ以外に、高血圧であるとか、その他、手足症候群であるとか、そういった有害事象はもちろん見られるわけですが、それに対して対処するということです。ただ、これは対照薬になっているレゴラフェニブでも同様の高血圧とか手足症候群が出るので、そこにかかるコストはほぼ同様であると考えられますので、特別カボメティクスについてレゴラフェニブに比べて、プラスアルファの医療費がかかるということはないのではないかと考えております。
ほぼ今いただいた質問どおりのことで、確かにカボメティクスについては腫瘍を小さくするという効果を狙っているものではなくて、むしろStable Disease、SD狙いの薬剤で、腫瘍が増大するのを防ぐということで、適切な用量調節をして、腫瘍増大を防ぐということを目的に処方している薬剤となります。したがって、RDIが低くても結構半減期が長いので、薬剤の効果が持続して、腫瘍増大を防ぐということが維持できているということになるかと思います。ですから、副作用が起きたからといって、プラスアルファの医療費がかかるということは現在のところはなさそうだということが臨床で思っている実感でございます。
以上でございます。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。
○○先生、いかがですか。コメントがございましたけれども、追加で何かありましたらお願いいたします。
○○○委員
企業は説明をしていたのですが、少し無理があるのかなという印象を持っています。それは、副作用の頻度について違いがあること、国内第2相試験ではもっとRDIが低いという状態です。薬剤の処方のときには60mg錠というのが通常用量になりますが、副作用が起きても患者さんには治療が発生しないこともあるので、医療費が発生しませんといった主張をされておりましたが、減量したら40mg錠を処方するとか、20mg錠に変えるとかもありますので、患者さんは副作用の状況に応じて医師の指示により休薬とか減量で来院し、医師の診察を受けたり、対症療法の薬剤の処方を受けたりと、それなりの対応が発生して、結果的にRDIが落ちていっていると思います。企業の主張のとおり、RDIが大きく異なっていても発生する医療費が同じであると言い切る前提が今、説明できているのかなというのには、難しいのではないかと答弁を聞いていて思いました。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
○○先生、御専門の立場から、今のコメント等について何か追加でございましたらお願いいたします。
○○○委員
まさに○○先生がおっしゃるとおりでして、実臨床で使ってみて、どの程度の手足症候群であるとか、減量する際に患者さんに来ていただいて、処方をし直すとか、個々に関する細かいデータというのが実臨床でないとなかなかデータが取れないというところで、実臨床でそこら辺はきちんとデータを取っていくという必要があるのです。ですから、あくまでも企業の説明は予想でしかないので、何のエビデンスもないことだと思います。実臨床でそういったデータをきちんと取っていくことが必要だと私も考えます。
ただ、レゴラフェニブも同様でして、レゴラフェニブも同様に減量、休薬が結構必要ですし、手足症候群も出るということですので、同様の対処はしているということですので、今、企業の推測だったことを実臨床で検証していく必要はあるのではないかと思います。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。
今の御専門の先生方の御意見を踏まえつつ、その他の先生方から御質問、御意見がございましたら、お願いできればと思います。
○○委員、お願いします。
○○○委員
○○先生にお聞きしたいのですけれども、私は全く専門ではないのですが、対照薬、コンパレータとなったレゴラフェニブもやはりSD狙いの同じような考えで作られた薬と見てもいいのでしょうか。それとも、そっちは腫瘍縮小効果を狙っていたのでしょうか。
○○○委員
確かに○○委員がおっしゃるように、レゴラフェニブの場合は、生存期間を延ばすということでプラセボを理解して、生存期間を延ばすという効果で承認が得られたということです。ただ、実際に出てくる腫瘍縮小効果を見てみますと、やはりCRとかPRは極めて少なくて、SDが多いということになりますので、結果的にはSDを伸ばしているということで、レゴラフェニブで予後が改善したというデータになっていると思います。
もちろんSD狙いということは期待をされていないということですし、カボサンチニブについてはもちろんSD狙いとは書いていないわけですが、しかし私どもが現実に処方していくのは、生命予後の延長で、Stable Diseaseをなるべく伸ばしていくという処方の仕方をしているということです。
ここは結果的にレゴラフェニブと目的としている治療効果はあまり変わっていないところが現状かと思います。
○○○委員
ありがとうございます。結果として同じということがよく分かりました。
もう一つだけ、このカボサンチニブは非常に半減期が長いというか、血中濃度が維持されるというところが、逆に減量でちょうどいい量を見つけるという対応でいくとおっしゃいましたけれども、レゴラフェニブはカボサンチニブと比べたら半減期はそんなに長くなくて、単なる減量で用量のちょうどいいところを見つけるというのは、レゴラフェニブのほうが難しいという理解でいいのでしょうか。
○○○委員
○○委員がおっしゃるとおりで、まだきちんとした比較はなかなか難しいのですが、私どもが臨床でこの1年間使ってきた印象から申し上げると、レゴラフェニブは減量すると腫瘍がすぐに大きくなってしまうので、また増量するとか、再開しなければいけない。しかし、カボサンチニブは休薬、減量の期間が長くても割とSDが維持できるというのが特徴なので、レゴラフェニブは薬剤の血中濃度の維持がされる期間が長いというのが、やはりSDの期間が長いということに結びついているのではないかと思いますので、少しそこは減量期間がもうちょっと長くても大丈夫かなと、今のところそういう感触を持っているというところでございます。
以上です。
○○○委員
ありがとうございました。
○費用対効果評価専門組織委員長
その他の先生方、いかがでしょうか。
○○委員、お願いします。
○○○委員
ありがとうございます。
両者でいわゆる有害事象など、患者さんのQOLの状況が全く同じと考えていいのか、それとももちろんこれは減量の程度とか、いわゆるプロのさじ加減にもよるのかもしれませんけれども、投薬中のQOL全体で見るとカボサンチニブのほうが低いのか、その辺りはいかがでございましょうか。
○費用対効果評価専門組織委員長
○○先生、お願いできますでしょうか。
○○○委員
○○委員のおっしゃるとおりで、これはかなり個人差もございますし、それから、頑張って無理にでも飲んでくださいとか、あるいは休薬、減量してもいいですよという医師の処方のやり方とか、いろいろファクターがあると思うので、一概には言えないかと思います。ただ、両者そんなに大きな違いがあるわけではなくて、それぞれ患者さんの体質とか好みもあるのだろうと思いますが、どちらがどれだけつらいかが、両剤によってそんなに大きく変わるわけではないのではないかと思っております。
以上です。
○○○委員
ありがとうございました。
○費用対効果評価専門組織委員長
その他の先生方、いかがでしょうか。
今までの先生方の御意見を拝聴いたしますと、臨床的な有効性に関しては、そう大きな差はないということ。論点に当たる費用のところでありますけれども、全くないというわけではないのでしょうけれども、これは後で確認させていただければと思いますが、大きなビッグイベント、入院のような費用単価の大きい高額なものが発生するようなことはないというお考えと整理したところであります。
この点について、先生方からその他御意見、御質問があればお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○○先生、先ほど費用のところの分析の精度、数字についての御懸念をお示しいただいたところであります。私も意見はそのような形で提出をさせていただいているところでありますけれども、今回の○円という数字について、大きく費用が逆転するような臨床実態の変遷、イベントの発生があり得るかどうかというのが議論の中心になってきたと思いますが、先生から何か御意見があればお願いします。
○○○委員
両剤ともに同じようなクラスの薬なので、高血圧とか、副作用の対応する内容についてはあまり変わりません。有害事象が起きたときの処方内容などの医療のコスト等はほぼ同じなのだと思います。企業は、おそらくその点で医療費が同じと主張しているのだろうと思います。それ以外の病院にかかる頻度とか処方を受ける行為・内容というのは、RDIとか有害事象の頻度・程度の違いに関わってくると思います。重篤な有害事象の入院の回数や大きなコストがかかるところについてのデータをどのように設定するのかというのは、何を根拠にする・引用するのかという問題はあります。以上の視点の違いが企業の主張する医療としてかかるコストが同等と委員の先生方のご意見の相違点になります。よって、分析によっては金額が変わってくることが多少あるのではないかという印象を持ちます。
加えて、○の差があり削減になりましたという結論と、例えばそれが○円程度の削減であったとか、ほとんど同じだったとかというところになってくると、下がった幅の絶対値的なところも費用対効果の判断に大きな影響があるのかなと思います。また、医薬品の単価自体が高いですから、副作用が強い・RDIが低いと、結果的にかかった費用は安く見えるように当該医薬品の薬剤費だけでは一見、見えることもありえます。これはデータの誤解釈から、結論の誤解釈になってしまうところがあるのではないかと懸念しています。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。
その点に関しては、公的分析の検討のところでより慎重に確認いただくようなことも含めて議論していただければと思っております。
○○先生、今の点に関しては、もしコメントがあればお願いできますでしょうか。
○○○委員
実際、まさに○○先生がおっしゃったとおり、市販後できちんと確認をしていくということで、副作用の集計が今後行われていくと思いますので、実臨床で使ったときに、○○先生が懸念されたような重篤な有害事象が起きていないかどうか。これは有害事象を十分に集計して、企業の言うとおりの結果がどうかということを検証する必要があると私も思っております。
以上でございます。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。
その他の先生方、いかがでしょうか。
先ほどの意見聴取における○○先生の御質問の件に関して、PMDAの件、もし事務局さんのほうから何か御説明があればお願いできますでしょうか。
○事務局
事務局でございます。
先ほどの○○委員からの御質問の件に関しましては、現時点でデータを持ち合わせておりませんので、確認でき次第、お知らせさせていただければと思っております。
○費用対効果評価専門組織委員長
よろしくお願いいたします。
その他、先生方、御意見、御質問はいかがでしょうか。
議決に入る前に、○○委員、○○委員におかれましては、議決の間、一時御退席をお願いいたします。
(○○委員、○○委員退室)
○事務局
事務局でございます。
退室が確認できましたので、よろしくお願いいたします。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
それでは、議決をさせていただければと思います。
先生方の御意見をまとめますと、決定された分析の枠組みに基づき企業分析がなされているということでよろしいでしょうか。
ありがとうございます。
それでは、公的分析において分析を御検討いただき、レビューもしくは再分析のいずれかの方針について、科学院より表明していただきたいと思っております。
では、続いてカボメティクス錠の提出期限までに分析データなどの提出ができなかった当該理由の妥当性について、先生方の御意見を参考に、当該理由が妥当であるということについても確認させていただきたいと思います。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
では、続いて、カボメティクス錠の提出期限までに分析データなどの提出ができなかった当該理由の妥当性について、当該理由が妥当であるということについて、こちらも御確認させていただきます。
では、異議がないということで、整理をさせていただきます。ありがとうございました。
それでは、当該理由が妥当であるということで、中央社会保険医療協議会総会において報告をさせていただきます。
それでは、事務局は、委員に入室をお願いできますでしょうか。
(○○委員、○○委員入室)
 

(了)
<照会先>

厚生労働省保険局医療課企画法令第2係

代表: 03-5253-1111(内線)3140

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