ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 中央社会保険医療協議会費用対効果評価専門組織> 中央社会保険医療協議会費用対効果評価専門組織 令和3年度第7回議事録(2021年10月22日)

 
 

2021年10月22日 中央社会保険医療協議会費用対効果評価専門組織 第7回議事録

○日時

令和3年10月22日(金)13:00~

 

○場所

オンライン開催

○出席者

田倉智之委員長 斎藤信也委員長代理 池田俊也委員 木﨑孝委員
新谷歩委員 新保卓郎委員 田倉智之委員 中山健夫委員
野口晴子委員 花井十伍委員 飛田英祐委員 米盛勧委員
薄井紀子専門委員 朝野和典専門委員 福田敬専門委員
国立保健医療科学院 保健医療経済評価研究センター 白岩上席主任研究官
<事務局>
中田医療技術評価推進室長 他
 

○議題

○ノクサフィル錠に係る追加分析、総合的評価について

○議事

 


○費用対効果評価専門組織委員長
では、ノクサフィル錠について企業から意見聴取をした後、御議論いただきますが、まずは事務局から説明をお願いいたします。
○事務局
(事務局より説明)
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。
それでは、議論に先立ちまして、まず本製品に関わる公的分析の追加分析結果に対する意見の聴取を行いますので、事務局は企業を入室させてください。
(意見表明者入室)
○費用対効果評価専門組織委員長
私は費用対効果評価専門組織委員長です。
早速ですが、10分以内でノクサフィル錠の総合的評価について御説明をお願いします。続いて質疑応答させていただきますので、御対応のほうをよろしくお願いいたします。では、始めてください。
○意見表明者
MSDの○○でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
本日は、私のほうからノクサフィル錠に関する公的分析の追加分析結果について、その中で御指摘があった3つの論点について、弊社の考えを述べさせていただきます。
それでは、スライドの2枚目、公的分析班の見解として上がっていた論点1と2についてお話しいたします。
まず、論点1としまして死亡確率の設定について、弊社の方法は比較対象群(フルコナゾール群)の死亡率を過剰に推計している。
論点2、こちらは大変失礼いたしましたが誤記がありまして、死亡確率の設定ではなく、死亡確率のプールについてでございます。死亡確率をプールする公的分析の実施方法は分析ガイドラインにのっとったものである。両群の死亡割合の信頼区間はほぼ重なっているとございました。弊社といたしましては、値をプールする点など分析ガイドラインの記載は承知しており、また、分母をそろえるべきという公的分析班の御指摘の点についてはもっともであると理解いたしました。しかしながら、IFIは重篤で予後不良な疾患であるため、死亡の評価項目も重要であり、副次評価ではあるもののノクサフィルの追加的有用性の検討に含めるべきと考えております。
分析報告書にもございますとおり、弊社はニューイングランド・ジャーナル・メディスン誌に掲載されておりますウルマンら、そして、コーネリアの論文のとおり、本剤は比較対象技術と比べて全死因による死亡やIFIによる死亡が統計学的に有意に少なかったことが示されておりますことから、ノクサフィル錠の予防投与について、比較対照技術に対して死亡に関するベネフィットがあり、追加的有用性があると考えております。
一方で、既存の臨床試験から得られた結果の範囲で分析モデル内のパラメータを設定せざるを得ず、この点は分析の限界点と考えております。特に分析対象集団(a)の造血幹細胞移植患者の集団についてでありますが、IFI発症者におけるIFIによる死亡率、すなわちIFIによる死亡数をIFIを発症した患者数で割った数は根拠データとして用いたC/I98-316試験においては評価項目としての設定がございません。そして、モデル内の決定樹の分岐確率のデータをこの試験の結果からは直接取得できないことになります。
また、分析対象集団の死亡アウトカムデータといたしましては、こちらの試験しか存在しないということがございます。しかし、このC/I98-316試験においては死因集計、つまりIFIによる死亡数の集計が行われたのは、試験期間全体でしか存在しないこともあり、データの限界と考えます。このように限られたデータしか使用できない状況ではございましたが、弊社は追加的有用性の根拠とした死因の集計を基に分析のパラメータを設定し、そのパラメータを実際に使用した際に、モデルの中で臨床試験データが再現されることにより、モデルの妥当性を確認しております。こちらは企業報告書及び先日の意見陳述の際に述べた内容となっております。
また、論点2の2ポツ目に挙げていただいた点でございますが、弊社はC/I98-316試験がIFI発症者におけるIFIによる死亡率の統計学的検証を目的とはしていないため、この試験結果の数字を用いた検定で得られた信頼区間等に必ずしも妥当性があるとは言えないと考えております。
3枚目が最後のスライドになりますが、こちらにて公的分析班の見解の論点3についてお話しいたします。こちらの論点3も分析対象集団(a)の設定のことだと思われますが、IFI発症確率の設定としてTreatment Phaseを使用すべきであるとし、その議論の中で、薬剤投与以前の発症イベントを含めるのは適切ではないとの考えについては、こちらは弊社ももっともであると理解しております。
さらに弊社といたしましては、この分析対象集団(a)につきまして勘案したい点といたしましては、その臨床試験であるC/I98-316試験の患者集団はGVHD患者でありまして、免疫抑制治療を施行中であるため、抗真菌薬を投与しない場合は、その予防効果が期待できないと考えております。
そのため、未投与例を除いた実投与期間に基づくWhile On Treatmentの評価が抗真菌薬の予防投与の有効性を反映していると考えます。
したがいまして、弊社といたしましては、分析を実施する際には、実際に投与された患者についての実投与についての評価を用いるほうが臨床実態に近い結果を反映すると考え、While On Treatmentの副次評価項目を採用した次第です。
一方、Treatment Phaseにつきましては、依然として途中で治験薬投与を中止し、その後、投与しなかった被験者の期間も含まれているという点がございます。
弊社は追加的有用性の評価と整合性を保つ観点でも治験実施計画書にてあらかじめ設定されていたIFI発症率に関する重要な評価項目の結果の中から、分析のパラメータを設定することが適切と考えます。
以上になります。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。
それでは、委員の方々から御意見はございますでしょうか。
○○委員、お願いいたします。
○○○委員
最後に説明いただいた途中で治験薬の投与を中止して、その後、投与しなかった被験者の期間を含むことが適切でないというような御見解なわけですけれども、これは治験薬の投与を中止したその瞬間から、この薬の効果は消えているというような理解をするのが妥当なのでしょうか。
○意見表明者
御質問ありがとうございました。こちらの臨床試験でございますが、ポサコナゾールの液剤が使われておりまして、1日3回投与する用法用量でございました。ですので、適切な有効血中濃度を保つ上では、やはり投与した瞬間からという具体的にいつまでというのは難しいところでございますが、やはり投与を終了した後は効果が期待できなくなってくるということが考えられると思います。
○○○委員
そうしますと、例えば死亡率につきましても、この薬の投与をやめた直後から、両群に死亡率の差が出たとしても、この薬の影響は全然関係ないと理解してよろしいですね。
○意見表明者
御指摘のとおりでございます。具体的にこの何日目まで効果が持続するかというのは非常に難しいところでございますが、長期にわたって効果があるということは言えないかと存じます。
○○○委員
となりますと、両群で死亡率、要するに投与が終わってからの死亡率を見た場合に、その差が仮に両群であったとしても薬の影響ではないと理解していいですね。
○意見表明者
こちらでございますが、最終的な死亡の転帰がどうなったかという御質問と解釈いたしましたが、やはり治験薬投与期間中にIFIが発生していた方が、その後終了した後にIFIで亡くなるかどうかという点につきましては、全く影響がないとは言い切れないのではないかと思います。つまり、治験薬投与期間中にIFIが発症し、その影響で治験薬投与期間、治験終了後に死亡されたということであれば、治験薬投与期間中の治験薬の間接的な効果といいますか、そういったことも考慮されるべきではと考えます。
○○○委員
多分その両方を同時にするのはとても難しいと思うのですけれども、具体的に御提案されている分析方法で今お話しされたことが満たされているように思わないのですが、いかがでしょうか。
○意見表明者
御指摘・御質問ありがとうございます。こちらは我々といたしましても臨床試験データ、このモデル、決定樹モデルに埋め込むときの限界点として認識しております。
○○○委員
分かりました。ありがとうございます。
○費用対効果評価専門組織委員長
その他の委員、いかがでしょうか。
○○専門委員、お願いいたします。
○○○専門委員
○○でございます。御説明ありがとうございます。
確認です。このランダマイズスタディーですけれども、PTPというのがそもそも観察期間として設定されていて、予防投与は最終投与から7日間までは認める。そこも含めて、それからさらに先の効果を含めてPTPとして設定して、それで予防効果の解析をしているわけですよね。ですから、最初にスタディーを組んだときのデザインというのは、このPTPを基にして評価していると思うのです。後から出てきた結果というか、今回の解析のためかもしれませんけども、While On Treatmentについてのみ、その有用性を検討するというのはちょっとどうかと思うのです。このPTPを設定している根拠はちゃんとあるわけですから、しかもランダマイズスタディーですから、どちらの群に割り振られても、それはランダムに評価できるということになっているので、これを採用しないというのは少し違うのではないかなと思っているのですけれども、その点はどうでしょうか。私の理解が間違っているかもしれませんけれども、お願いします。
○意見表明者
御質問ありがとうございます。おっしゃられた点というのは、我々としてはもっともな点が含まれていると考えております。PTPとWhile On Treatmentなのですけれども、PTPのほうは無作為化から一定期間を設定したものでありまして、While On Treatmentは投与後から投与終了の7日目という設定になっております。
こちらは我々としましてもIFI発症確率を考えた際に、どちらかが最も重要なIFIに関するパラメータの評価項目であると考えまして、そのどちらかにするというのを検討した際に、こちらの臨床試験の中にランダマイズされたけれども、投与されなかった方というのが実際にいらっしゃって、各群10例ずつだったかと覚えておりますが、かつ患者さんによっては途中で投与をやめてしまって112日まで至っていない方、112日時点でもう投与されていない状態の方というのがあるという点を考慮に入れて、どちらかというとWhile On Treatmentのほうが、モデルの中で使っておりますIFIの発症率というところに近い意味合いを含むと考えまして、While On Treatmentのほうを選択した次第です。
PTPを主要評価であるため、そちらを選ぶべきという点についても、そちらも一理あると考えられますし、そちらが絶対ではないと我々も考えておりまして、あくまでどちらかが一番重要なIFIの発症率について検討されている部分であり、こういった我々の考えからWhile On Treatmentのほうを選んでモデルに当てはめていったということになります。
○○○専門委員
ありがとうございます。確かに臨床的な立場からすると、While On Treatmentのほうがより臨床に近いとは思うのですけれども、スタディーを組むときに、いわゆる予防的投与の有用性を見るわけですから、どちらの群もある一定人数はランダマイズしたところから落ちるわけですよね。それを想定した形でスタディーを組んでいるのではないかと思ったもので質問しました。よく分かりました。
○費用対効果評価専門組織委員長
その他の委員、いかがでしょうか。
○○委員、お願いします。
○○○委員
私も初めに設定した期間での解析は適切ではないかと思うのですけれども、念のため確認なのですけれども、ランダマイズした後でドロップアウトした対象者は、それは実際に投与されていなければ、それは除いてFAS解析をしたというようなことになるでしょうか。ドロップアウトがどのように検討されていたかだけ教えていただけるでしょうか。
○意見表明者
御質問ありがとうございます。具体的には各群で10例、そして、11例の患者様が全く未投与という形になっております。こちらにつきましては、先ほど御指摘がございましたように主要評価項目でありましたPTPには未投与なのですが含まれております。しかしながら、While On Treatmentのほうにつきましては、実際に投薬が開始された方ということですので、こちらでは10例、11例が除かれているといった解析をしております。
○○○委員
ありがとうございました。
○費用対効果評価専門組織委員長
その他の先生方、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、これで質疑応答を終了いたします。企業の方は御退出願います。お疲れさまでした。
(意見表明者、退室)
○費用対効果評価専門組織委員長
それでは、当該品目について御議論をお願いしたいと思います。なお御議論に当たっては追加分析の結果を踏まえ、企業分析結果と公的分析の再分析結果のどちらがより科学的に確からしいかを相対的に評価することを踏まえて、御議論を進めていただくようお願い申し上げます。本品目については、前回よりも論点についてはかなり整理されてきているところでありますが、そこを中心にお願いできればと思います。
議論に先立ちまして、○○先生、○○先生のほうから御専門の立場で御意見をお願いできればと思います。
○○○専門委員
私は、現在GVHDリスクの高い患者さんには一時的予防投与としてポサコナゾールは既に使われているという現状を踏まえますと、公的分析の分析結果というのは、その辺の有用性を織り込むことは難しいのかもしれませんけれども、それが反映されていないような結果になっているのではないかと思いました。
それで、一つには先ほどの御説明もありましたけれども、死亡数をプールする、しないのお話がありましたけれども、私はやはりプールができないのではないかと思います。それぞれのコホートで比べるべきではないかと思ったものですからご意見申し上げました。実際には、この薬そのものは既に臨床では使われているということを念頭に置くと、企業寄りではありませんけれども、公的分析はかなり厳しく、ポサコナゾールの有用性を評価されていないのではないかと思った次第です。
以上でございます。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
○○先生、いかがでしょうか。
○○○委員
先ほどの主要評価期間に関して意見書に記載しておりますが、今回の主要評価項目はITTの原則である治療方針ストラテジーに従って、割り付けられた時点からその治療でどういう効果があったのかをPTPで評価しています。このITTの原則に従ったPTPの評価は、一般化可能性および薬事承認を考える上では、重要な評価項目になろうかと思います。
ただし、今回の説明の中にもありましたとおり、割付から治験薬投与までの期間が設けられ、割り付けられたにもかかわらず、治験薬が投与されていない患者が一定数いて、その期間にIFIが発症された方も数名います。そのため、まだ治療自体が行われていない患者集団に対して、費用対効果できちんと薬が使われた上でどう効果があったのかというフレームワークの中ではどう考えるのかという点と、薬事承認に必要な点とは、少し個人的には切り分けて考えてもいいのかなと思ったのが、今回の私見です。
実際に、治験薬の投与状況を公開資料等々で確認すると、約半数の患者が投薬期間である百十何日間の服薬ができています。今日の議論で投与終了後にはほとんどすぐに効果も切れてしまうような特性があるとのことですので、また考えは変わってくるかもしれないのですけれども、予防的な効果ということも考えると、個人的には実際の投与開始時点からはPTPと同じ期間であるTreatment Phaseで評価するのが費用対効果という枠組みの中では一つのリーズナブルで、一定の科学的な妥当性があるのではないかなと考えています。
もう一つ、死亡確率をプールするか、しないかということに関しては、前回もお話しさせていただきましたけれども、統計学的な有意差がないということをもって両群間の死亡確率が同じだと判断をするというのは、やはり統計家としてはなかなか受け入れることができない考え方です。ただ、ガイドライン上でそのようにルールが決められて、これまでそのルールに従って進められてきたという点に関しては、一定の理解はできますけれども、差がないことをもって両群変わらないと判断するのは、やはり統計の中で一番やってはいけない誤用でありますので、やはりその点に関してはプールしない方向で考えるべきと考えております。
とりあえず以上です。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
統計の話が今少し出ておりましたが、○○先生、もしコメントがあれば、お願いできますでしょうか。
○○○委員
プールするか、しないかは私も○○先生と同じ意見で、この20と42という試験期間全体で設定した場合ですけれども、62人の症例数で逆に統計的有意差を出すためには、最低でも、例えばですけれども、20%と50%ぐらい死亡率に違いがないと統計的有意差というのは出ないです。実際にP値計算をしてみると、そうだったのですけれども、そうすると、そこまで開かなければ有意差が出ないところ、それは非現実的な差だと思うのですけれども、出ていないからといってプールするというのは少し乱暴かなと思います。ですので、統計家の視点としては、○○先生の言われた全く同じ理由でプールすべきでないと考えます。
そのときに、IFIの発症したサブグループ、PTPで定義をするのか、試験期間全体で設定するのかという、これは科学院さんのほうの資料のパワーポイントの6ページ目なのですけれども、やはりPTPで発症あり、なしを区分した場合、その中で実際に何名、試験全体で亡くなっているかという数が分かれば、それで計算するのが理想的だと私もコメントさせていただいたのですが、死亡者数に関しては、PTPとポストPTPで分けることができないので、分母分子で考えると、死亡に関しては試験期間全体の数しか分からない。そうすると、そこが分子であれば、分母はそれにそろえる形で試験期間全体を分母としてIFIの発症も定義すべきだろうと思います。ややこしいのですが、意見としては、試験期間全体で定義されたIFIの発症のサブグループにおいて、試験期間全体の死亡者数を用いてプールせずに解析を行うべきだと思っております。
以上です。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。
一応、論点に沿って少し整理をしていきたいと思っているのですが、まずは御意見をいただきたいと思います。コメントがあれば、よろしくお願いいたします。
○○委員、お願いします。
○○○委員
私は意見書のほうには、評価すべき期間に関しまして、もともとの分析前の公的分析の方法で適切ではないか、それは前回の議論で私のうろ覚えかもしれませんけれども、ランダム割り付けした後に、実際に投与を行われた方というのが大多数であって、それ以外の例えばその前に亡くなったとか、あるいは実際には治験薬を投与されていないとかいう方が少数だということだと、ちょっと私の勘違いかもしれませんけれども、そのように伺ったような気がいたしましたので、そのように意見書に回答いたしましたが、今日伺いますと、10例ずつぐらいが割り付けはしたけれども、薬剤を投与されていない方がいるというようなこともはっきりいたしましたので、公的分析の追加分析のほうでされましたTreatment Phaseを基本にした分析が適切なのではないかと、現時点でいろいろ説明を伺った上では考えております。
プールするか、しないかというところは、ガイドラインのほうは基本的なケースの場合にはプールするということで定められておりますので、まずはそれを基本にするのがよいのではないかと、現時点の先生方の御意見などを踏まえて、そのようには考えております。
以上です。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
その他の先生、いかがでしょうか。
それでは、論点に沿って整理を進めていきたいと思います。事務局が作成された費-1-4の下のほうに論点を3つ、頭出しをしていただいておりますし、それに基づいて今回も科学院で追加分析をしていただいていると思います。まずは深在性真菌症発生確率について、今回は対象集団(a)についての議論ですけれども、その対象期間は、今回、3つの選択肢があるという形になっております。最初に、こちらの整理も含めてですが、割り付けをしてから投与開始までのいわゆる未投与の期間については分析に入れないほうがいいという御意見は前回からも出ておりますが、ここについては外した形で、先生方とのコンセンサスはあり、意見は大体出尽くしていると考えてよろしいですね。御異論があればいただきたいと思いますが、大丈夫でしょうか。
そうすると、投与開始からのスタートのみを論じることになり、今のところWhile On TreatmentとTreatment Phase、いわゆるWOTとTPが議論の対象になります。Primary Time PeriodというPTPですが、これはいわゆる今の頭をカットすることによって、TPというものに収れんされたということですから、2つの期間、どちらを選択すべきか整理したいと思います。もちろんこれはその後の死亡確率の議論と重なってきますので、それを併せながら御議論いただきたいと思います。説明のあった先生方の今のコメントを伺うと、それなりの理由と長所・短所があると思いますが、ここについて、さらに何か先生方から追加で御意見はございますでしょうか。
○○委員、お願いします。
○○○委員
私も意見書に書いたように、資料をいただいたときにははっきりしていなかったので、Treatment Phaseというのも妥当ではないかなと思い、それで見たいとは言ったわけです。○○先生が整理してくださいましたけれども、薬事承認に使ったもともとのITTの考えでやったPTPを尊重するという考え方に基づき、PTPとすべきと書いたのですけれども、今回委員長がおっしゃってくださったように、頭のところを取ればTPかWOTになるわけで、もともとのエンドポイントという意味でWOTはふさわしくないという整理をしていたと思います。そこでTPとWOTとの比較いうことになれば、同じ土俵に乗ったような感じもします。
それから、○○先生から、飲んでいる期間が、先ほどもありましたけれども、血中濃度が高くて効いているはずなので、WOTにするほうがリーズナブルだという御意見もりました。そこで、むしろ科学院の方にお伺いしたいのですけれども、こうなっても、やはりWOTは望ましくないというのは、どういう根拠があるかというのをちょっと伺えたらと思うのです。
○費用対効果評価専門組織委員長
では、改めて科学院さんのほうから、WOTの制限というか、短所を御説明いただき、なおかつ必要であれば、このTPのメリットを御説明いただきたいと思います。
○国立保健医療科学院
ありがとうございます。科学院です。
なぜWOTではなくてTPかというお話なのですけれども、実は我々の資料の19枚目に各期間におけるIFIの発症確率についてというのをお示ししているのですけれども、ポストWOTというところで、ポサコナゾール群で12例、フルコナゾール群で20例という形でフルコナゾール群に少し多く深在性真菌症、IFIが発症しているのです。もし治療効果が飲んだ時点で終わってしまうとすると、少し不思議な現象ではあるのです。
そういう観点から、やはり我々としては、なるべく長い期間で分析、IFIの発症を考慮すべきなのだと考えていて、WOTというのは最終投与後7日間ですが、TPというのはより長くて、投与開始112日後まで観察を続けていますので、そういう点で、より長期のIFI発症を考慮できるTPのほうが望ましいのではないかと我々は考えているところです。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
例えばTPのほうが今回アウトカムとして議論している死亡確率の観察期間というものとの整合性に関しても、相対的によりロングになって近づいていくという理解でよろしいでしょうか。科学院さん、どうでしょうか。
○国立保健医療科学院
そのような御理解で結構だと思います。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
○○委員、お願いします。
○○○委員
改めて確認させていただきたいのは、WOTの期間を超えてTPの期間で見たときにといいますか、WTOを過ぎてからフルコナゾールのほうがIFIを発症していると、ポサコナゾールのほうが発症していないというのは、薬の効果が投与後に比較的すぐ切れるのだったらこの差は出ないと考えるのが普通だと思うのですが、出ているというのは、この薬に何か関連があるのか、それとも例えば両群の患者さんの何か別の要素が関係しているのか、あるいは後治療の問題なのか、ここで差が出た理由というのは、この薬に起因するものと考えるのが妥当なのかどうなのか、そこはいかがでしょうか。
○費用対効果評価専門組織委員長
もし必要だったら御専門の先生方からもコメントをお願いいたします。
では、○○先生、お願いいたします。
○○○専門委員
先生がおっしゃったように、ポサコナゾール群は予防効果が非常に高く出ているので、移植から時間がたてばたつほど患者さんの状態はよくなるわけです。GVHDはありますけれども、より期間が長くなればIFIの発症頻度というのは全体的に下がるはずです。予防がうまくいっていれば、その群であれば、IFIの発症率は下がるでしょうし、フルコナゾールの場合は、最初のところはコントロールが可能なのですけれども、生着後、GVHDが起きた場合は、糸状菌のアスペルギルスが有意になりますので、そこのコントロールができませんし、やはり後でも発症するということになります。その薬剤の特性を考えますと、やはりこの差というのは、いろいろな要素はありますけれども、ポサコナゾールとフルコナゾールの薬効の違いなのではないかと考えます。
○○○委員
となりますと、この長く取った期間で発症率を比較するということにも一定の妥当性があると理解してよろしいですか。
○○○専門委員
よろしいと思います。
○費用対効果評価専門組織委員長
今の御議論にもしコメントがございましたらお願いできればと思いますが、よろしいでしょうか。
○○先生、私から素人的な御質問で恐縮なのですけれども、先ほど先生は飲まなかった方々、非投与の群についても十分考慮した議論が必要であるというお話がありました。企業さんもそのようなお話もされておりましたが、今後、いわゆる臨床実態を考えたときに、何がしかの理由で投与ができないというような議論を考慮しつつ、本来はそういった母集団を含めた分析も意味があるのではないかと、思いましたが、先生、そこのお考えはいかがでしょうか。
○○○専門委員
このスタディーを読みますと、割り振られてから10人の方は治療ができていないのです。その理由は、移植の生着した後からの予防投与になるので、そこに至るまでに何らかの真菌症を発症してしまったりとか、そういう方たちには一度ランダマイズしていますけれども、きちんとした投与できなかったりという人たちが入っているようなのです。
実際に臨床でどう使われているかというと、移植をしてGVHDが起こるだろうといわれる方も初期からこの薬を飲むことになります。初期のところは移植片が着くまでというのは好中球の減少している状況を見るわけで、それは(b)群と同じ状況なのです。この中で要するに治療して好中球が下がっているところで抗真菌剤の予防をするというのは、白血病の患者さんたちの治療で抗真菌薬を使うのと同じようなことになります。そういうコホートと同じような考え方ということになるので、b群では一応有意差をもってポサコナゾールの有効性があるということで、今後移植片が着いて強いGVHDが出るだろうと思われる患者さんについては、IFIの発症を待ってからではなくて、移植をした後から、この薬はもうすぐに予防薬として投与されている。そういう使い方をされています。
ですから、ランダマイズスタディーなので、10人・10人というのは一応試験に入った形でITTで解析しているので、これをあえて取り除く必要はないのではないかと当初は思ったのですけれども、いろいろお話を聞いていると、実際のところで承認後のこのお薬の費用対効果を見るということであれば、科学院の方が提示されたTreatment Phaseというのが妥当かと思っております。
以上でございます。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。勉強になりました。
その他の先生方、いかがでしょうか。今のWOTとTPのどちらを選択すべきかというところについて、追加のコメントはございますでしょうか。
そうすると、先生方の御意見をまとめさせていただくと、試験デザイン及びそのアウトカムの関係、あと、病態の機序、いわゆる処方のストラテジーを含めて、今回、科学院さんのほうで御尽力いただいた分析のTPのほうが相対的には妥当ではないかというのが先生方の御意見と理解したのですが、それでよろしいでしょうか。
ありがとうございます。では、Treatment Phaseというこの期間での分析および議論で、次のステップのお話に進めさせていただきます。次の死亡確率の話ですが、なかなか難しい議論で、データというかエビデンスのないところであります。プールをするか、しないかということについて広く御議論いただいたところでありますが、こちらについてコメントがあれば、続けてお願いできればと思います。TPを前提条件とした中において、プールをどのように議論すべきか、という視点でも結構であります。
○○委員、お願いします。
○○○委員
私はガイドラインに従ってという意味もあるのと、プールしないでいると片方が過剰推計になって費用対効果の上ではよろしくないというか、過剰推計が結果に過剰に反映されるのではないかということで、そういうプラクティカルな観点からプールする方が望ましいとしたのです。それはやはり我が国の費用対効果評価というものは、償還の可否に用いるのではなくて、価格調整に用いるという特質を有していると考えると、そういうやや保守的な態度がいいのではないかと思ったことから、そのようにしたのです。
皆さんの御議論を伺っていると、少なくとも統計学的に、有意差がないから一緒というようなのは誤用とはっきり言われましたので、統計学的にはプールするというのは非常に気持ちが悪いというのも分かりますし、一方で、臨床家の御意見としても、今のようにもう生着するかどうかの前から使って、実際に現実に使っていて効いている実感というのはもう何物にも代え難いと思います。それなのに同じ効果というのは相当違和感があるというのも大変よく分かりました。私が言うのはおかしいですけれども、そちらを反映するのか、費用対効果評価というものがそこから乖離してでも、ガイドラインどおりにいくかということで、委員長がおっしゃるように、そこは、なかなか難しい判断だと思います。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
今回は、深在性真菌症の発症確率の予防効果について、一応追加的予防の効果があることはもう明らかにした上で、あとはハードエンドポイントの死亡というところまで論じることができるかどうかというのが論点と思っております。ここについてはなかなかデータがないところで、ただ、統計的な傾向などを考慮すると、一概にプールだけでいいのかという話もあったと理解しております。この辺りについては、まさに悩ましいところでありますけれども、改めて○○先生、御意見があればお願いできますでしょうか。
○○○委員
公的分析のスライドの11ページのところに、プールすべきか、プールすべきでないかということと、分母分子をどうするかということで、4パターンの数字があるのですけれども、まず、私としてはプールする、しない以前の、その期間をどう設定するかというところは、試験期間全体で設定するという公的分析の意見に賛同します。
といいますのも、企業設定でされたポサコナゾール群25%、フルコナゾール群44%というのは、分母分子に乖離がございますので、それは公的分析の資料の7ページ目を見ていただくと明らかなのですけれども、このIFIの発症を企業分析のほうはPTPで行って、それが分母で分子は試験全体ということでされています。というのは、分母に定義されていないポストPTPの4例、15例の方の中での死亡された数というのも分子に含まれてしまっていますので、これは間違っているというところになります。
ですので、分子が分離できない以上、死亡での試験期間全体しか定義されないと、そこがもうリミテーション、そこにそろえる形であれば、分母も試験全体にもせざるを得ないと、これはシンプルに数字合わせなのですけれども、ここが企業のほうはもう数学的に間違っている数が提示されていると思います。
ですので、残るはスライドの11ページを見ると、20%と28%、プールしないか、プールして25.8%にするかという議論になるかと思いますが、ここは統計家としてはプールしないでいただきたいのですけれども、かといって、症例数が少ないデータでの点推定値自体の精度もよく分からないところもありますので、両方のパターンで感度解析をしていただいて、この辺りから結果を踏まえて、それで結果が変わらなければ議論の判断にはなるかなと思います。感度分析で両パターンを見るというのが大事ではないかと思います。
以上です。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
死亡確率の設定、試験期間全体を分母分子とするというようなお話がございました。プールするか、しないかということについてのお話もあったかと思います。
○○委員、お願いします。
○○○委員
今の御説明、非常にそのとおりと感じました。一つ確認したいのは、先ほどIFIの評価期間をTreatment Phase、投与開始からとするということであると、死亡についても無作為割り付けしたけれども、投与されていない先ほど合計で21名になりますか、両群10名、11名、そこは分母から引くという理解というか、そうしないとつじつまが合わないような気がしますが、それはそういうことでよろしいのでしょうか。
○費用対効果評価専門組織委員長
○○先生、お願いします。
○○○委員
この1名の方が実際に亡くなられた場合は分子に入ることになりますので、そこは分からない。単純に分子分母から両方引くというわけにはいかないと思います。逆に分子に残して分母から引くというのも分子分母がそろわないと思います。
○○○委員
そもそも割り付けされてから投与されていない方がいるわけですよね。その間に死亡したかどうかは別として、要するに分母から少なくとも無作為割り付けをされたけれども、投与開始時には生存されていて、投与されていないというか、難しいところですよね。無作為割り付けの方がどこかで、最後のほうで亡くなってしまった。要するに本来は投与開始されるタイミング以降で亡くなった方が、もしいたときにはちょっとややこしいのですが、本来は分母分子から、少なくとも分母からは投与がなかった方は引いて、分子からは投与がないけれども、亡くなった方は引かないと、本来、死亡率としては妥当ではないような気がするのですが、そういう理解でいいのかということ。それをやると、もしかしたら新たなデータ収集が必要かもしれないのですが、そこはいかがでございましょうか。
○○○委員
やはりこの方が分母に含まない以上、分子にも含まれるべきではないので、この方がどうなられたかというところを追加データとして入手しなければ、分子についての議論はできないと思うのです。議論できない上でそろえるとすれば、試験期間全体というオプションしか残されていないのではないかなと考えています。
○○○委員
もちろんこういった移植されたような患者さんとかは、それだけでもいろいろなリスクが高い方なので、本来IFIの発症、それに関連する死亡を中心に治療薬の評価をすべきところが、そうではないものがある意味紛れ込むというのは正しい評価にならないような気がするので、科学院のほうにお伺いすればいいのですか。そういったこの観察期間内に投与されなかった方、その方の中で死亡された方の数というのは、何かデータとしては入手されているのかどうか、いかがなのでしょうか。
○費用対効果評価専門組織委員長
科学院さん、いかがでしょうか。この内訳の議論が可能かどうかという御質問かと思います。
○国立保健医療科学院
御質問ありがとうございます。企業の説明にもありましたけれども、死亡が、どの時期に発症した方がどの時期に死亡したというデータが全くございませんので、やはり死亡としては全体を取るしかないと考えております。治療前に脱落等をしているケースなのですけれども、全体では御説明があったとおり、各群10例、11例とありますが、今回、我々の資料ですと、7ページで御確認いただいている死亡確率の算出方法です。IFI発症者のうちでその期間内で死亡した方ということになっておりますので、この分母のほうはIFIの発症者の数ということになります。
そうしますと、19ページにちょっと飛んでいただきますと、先ほど○○先生から御説明いただいたとおりなのですが、この投与前に発症している例はポサコナゾール群で1例、フルコナゾール群で0例ですので、分母から除くとしても、この1例を除くかどうかということで、ほぼ差は出ないのではないかと思います。これを除くかどうかは○○先生の御指摘のとおりで、この方が死亡したかどうかが分からないため、これ以上はちょっと難しいというような状況でございます。
○○○委員
そうすると、いろいろな意味での不確実性がある中で、この数字をプールせずに読み取るのがいいのか、それともプールしたほうがいいのかというのは、そういう不確実性の要素も考えると、プールしないとしても、それが実データとはちょっと違うというところもあって、なかなか悩ましいなと思いました。感想です。
○費用対効果評価専門組織委員長
その他の委員の方々、今の件に関していかがでしょうか。他にございますでしょうか。
今までの御議論を伺いますと、統計学的な概念での議論という話があるのですが、データの不確実性が比較的高いということもあります。今回は、医療保険に関わる議論でもあるということで、比較的コンサバというか、保守的に評価をするというのも一つ、この費用対効果の在り方としてあるのかなとも思って伺っていたところであります。
また、ガイドラインにおいてプールをするというような考え方も明示されているということを考慮しますと、悩ましい中で総合的に議論するならば、今回はプールをするということが一つ選択肢としてあるのかなとも考えていますが、先生方、いかがでしょうか。
○○先生、お願いいたします。
○○○委員
このガイドラインの解釈の仕方でちょっと分からないところがあるので教えてください。科学院のスライドの9ページが、今回の死亡確率をプールすべきなのか、すべきではないのかというガイドラインに記載されている内容ですけれども、代入するパラメータというところから始まっている点が少し気になっています。これを読んでいくと、恐らくはこの代入するパラメータに対して追加的な有用性がある場合、ない場合でプールすべきなのか、そうではないのかという枝分かれになっていると理解したのですけれども、その解釈でよろしかったでしょうか。
もし、その解釈でよければ、今回のIFIが発症した患者さんでの死亡確率というのは、企業の方々もおっしゃっていたとおり、副次評価項目でもないパラメータ、評価項目になるわけです。当然、臨床試験を実施する上では、主要評価項目という一番大きな評価項目のパラメータに対して、統計学的な観点から目標症例数を設定するということを考えると、この代入するためのパラメータに対する有意差検定にまでは、統計学的な保証がされていないサンプルサイズとなっています。
ですので、このパラメータに対する追加的有用性を十分なサンプルサイズでない可能性のあるなかで統計的な有意差の有無による判断だけでプールすべきか、しなくてもいいのかという意思決定をするというのは、ちょっと個人的には情報不足のところで判断している気がしており、今後整理していかれるべきかと考えています。
今回の件に限っては、委員長の○○先生がおっしゃられたとおり、費用対効果なので保守的に判断するという話もあり、現状のガイドラインに準じるという考え方自体について特に個人的には異論はないのですが、追加的有用性の考え方に対しては、全体的な追加的有用性が示されていれば、各パラメータに関してプールしないという判断にするなど、モデルに利用するパラメータ設定の考え方は、一度整理していただきたいなと思っています。
死亡確率ですが、今回は○○先生もおっしゃられているように、数が少ないイベントの割合ということなので、諸先生方がおっしゃるように、1例変わるだけで割合としてはかなり変わってくる不確実性がある中で、本当に点推定値1点を使えばいいのか、プールした数値を使えばいいのかというのはなかなか悩ましいところがあります。
一つは○○先生がおっしゃられたように、感度解析という形で設定を変えた下でどれぐらい結果が変わり得るのかという確認をすべきと考えます。ただ、やはり症例数が少ないので、その1点を使って感度分析をやったところで、それも本当にどれだけ確からしさがあるのかとの判断も難しいので、例えば区間推定などのばらつきを持たせた範囲の中でどれぐらい結果が変わり得るのかも含めた感度分析などの結果も確認できたらよいかと思います。
○費用対効果評価専門組織委員長
今の御意見は、まずは今後の検討すべき課題として挙げていただいたと整理すべきとも考えますし、今回のケースにおける解釈としても、より適切な評価をするための御提案と受け取ったところであります。
科学院さん、今のコメントに関して、確か今回は非劣性試験というのを前提とした中での有効性の評価をしている試験ですけれども、その辺りも含めてコメントがあれば、お願いできますでしょうか。
○国立保健医療科学院
○○先生の御指摘にありました我々の資料ですと9ページのところで、ガイドラインの解釈について示させていただいております。先生の御指摘にありましたとおり、下のほうの統計的有意差なしというほうは、一応基本的な考えとして2つに分けていて、統計的有意差がないことをもって自動的に追加的有用性がないと判断するわけではないというのはぜひ御理解いただければと思います。そこはやはりそれを支持するようなデータなどがあるということをもって追加的有用性ありと判断するようなこともあり得ると思っています。
これについて、全体の追加的有用性があれば、各パラメータも自動的にそれでいいのではないかという考え方も理解しましたので、今後それは検討すべきところかなと思っておりますが、現時点でのガイドラインの解釈としては、このような形で今回のこのノクサフィルのケースに関しましては、統計的有意差はないのですけれども、症例数が少ないということありますので、それを支持するようなデータが十分にあるかというと、企業から提示されていないというのと、これについては専門的な点から御意見をいただければと思いますけれども、例えば今回の○○先生の御意見などもありますけれども、この薬を予防薬として投与しているものですので、発症後にこれに対しては無効ではないかというような御意見もいただいております。そうすると、その支持するデータというのはどれだけあるのかなというところになってくるかなと思っているところです。
ということから、下のように解釈したということで、今後、少しこのやり方について整理が必要という○○先生の御意見は承りましたので、ぜひ検討したいと思います。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
○○先生は今日御欠席ですけれども、○○先生の御意見として、いわゆる予防効果を見るお薬において、死亡のほうをどれだけ重要視すべきかと、いわゆる発症後という御意見もあったところを踏まえつつ、サンプルサイズが非常に少なくて非常に不確実性も高くて、感度分析をやってもそもそも非常にサンプルサイズが少ない中において、その感度分析の意味もどれぐらい出るのかなかと考えていたところです。多少、消去法的な整理にはなるかもしれませんが、今回は今まで申し上げてきたような議論の流れに沿って、科学院さんが御提案するプールということで一旦進めていくのでいかがかなと思っておりますけれども、先生方、御意見いかがでしょうか。
○○委員、どうぞ。
○○○委員
これは将来的なガイドラインの見直しというか、将来的な議論になると思うのですけれども、私は本当に○○先生が言われたことにものすごく賛同しておりまして、やはり統計的有意差というのは全体の症例数で最低限のところで決めますので、サブグループまで統計的有意差を出すことを目的として計算はされていないのです。ですので、極端な話ですけれども、全体では主要評価項目で有効性が判断されたような研究でも、全てのサブグループにおいて統計的有意差が成り立たないような研究もあって然りなわけです。
そうすると、そういう研究で費用対効果のシミュレーションをもしやった場合は、何も差がないというようなことも起こってくるというところで、やはりこのサブグループに対して統計的有意差を求めるというのは、ちょっと統計的な流れから、統計家の学会の流れからも外れる方向の議論になっておりますので、ガイドラインがこうだからということももちろん尊重しますけれども、そもそもというところで、本当にそれでいいのかというところもきちんと議論をしていただきたいと思います。
そういう意味では、サブグループでは統計的有意差は出ていないけれども、全体としては死亡率が出ているので、それを追加的データとして用いた場合は、追加的有用性が示されていると言えないこともないと思うのです。ですので、ここは統計家としてなかなか折れられない、折れたくないところでもあるので、今回はしようがないかと思いますけれども、ぜひ将来的に議論していただきたいと思います。
以上です。
○費用対効果評価専門組織委員長
大変貴重な御意見、ありがとうございます。
全体を俯瞰した中で、それぞれの御専門の先生方の御意見を踏まえて、総合的な評価を進めさせていただくという位置づけで、今回、先ほど示したような方向性で、もし先生方が御納得いただき、なおかついただいたコメントについては、今後それをそのまま放っておくわけでなくて、科学院さんとか、事務局さんのほうで御検討いただくような形にさせて頂ければと思います。ガイドラインも今後ブラッシュアップしていくと伺っておりますので、先生方と一緒にそちらへの反映につなげていくという形で進めさせていただくのでいかがでしょうか。
では、多様な意見がございましたけれども、幾つかの制約条件のある中において、最大限努力して比較的確からしいというか、妥当な分析として、公的分析のほうで御提案されている今回はプールをするという形条件で、議論を進めていきたいと考えております。
あと、その他の論点において、先ほど来議論していたもう一つの死亡確率の期間等についても、ほぼ今の御議論で多くは整理をされたかと思います。そうすると、科学院さんのほうで御提示されているこの14ページ目の条件、すなわちIFIの発生に関する評価期間についてはTreatment Phaseとなります。死亡確率の設定については、いろいろな議論がございましたけれども、試験期間全体を分母分子にプールをして、今回、とりあえず一つの意思決定をさせていただくという流れでよろしいでしょうか。
ありがとうございました。それではまとめをさせていただければと思います。
もしコメントがあれば、遠慮なくお願いできればと思います。
○○委員、お願いいたします。
○○○委員
サブグループ解析でn数が少ないときの不確実性の議論は今でも何度かあって、非常にもどかしい思いをしていたので、本当におっしゃったとおりだと思うのです。ただ、やはりどこかで意思決定しなければいけないというところが本当に苦渋のところかなと認識していました。今回これで全く異議ないのですけれども、例えば先ほど臨床試験のパブリッシュされたデータだけではなくて、もっと必要な情報を臨床試験の実施者に問い合わせるということも可能であれば考えたほうがいいと思うのです。メタアナリシス、システマティックレビューをやるときには、それは必須であって、それはもう尋ねないのは努力不足だと言われているくらいなので、その上でなければ仕方ないのですけれども、ぜひ何かそれが今後も追加できれば、少しはいいかなと思いました。
以上です。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
せっかくのコメントでございますので、もし科学院さんのほうで、今の件に関して何か御意見があればいただければと思います。
○国立保健医療科学院
○○先生の御指摘、ありがとうございます。確かにその辺は確認する必要があると思いまして、今日の資料にも、企業に対しての照会というのをかけておりまして、その回答をつけていただいております。明確な言い方ではないかもしれません、死亡確率をどのように設定したのかということについてのお問い合わせをして、やはりその辺りのどういう期間での死亡かというのも思ったのですが、PTPなりWOTにおける死亡の期間というのはデータがないのでできないというような御回答いただいています。なので、ほかの費目につきましても、そういうところをなるべく確認してというのは御指摘のとおりかと思いますので、企業に照会しながら対応したいと考えます。
○○○委員
それは臨床試験を実施した研究者に問い合わせをされたということですか。
○国立保健医療科学院
いや、今回提出いただいている企業に対してでございます。
○○○委員
分かりました。今後のことでまた結構なのですけれども。
○国立保健医療科学院
研究者の方にということですね。
○○○委員
そうです。
○国立保健医療科学院
分かりました。それはしておりません。失礼いたしました。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。
それでは、まとめさせていただきます。今回、追加分析をやっていただいた内容を踏まえて先生方の御意見を参考に、ノクサフィル錠に関する費用対効果については追加分析の結果を踏まえまして、深在性真菌症の発症確率の設定についてはTreatment Phaseの期間を用い、死亡確率の設定についてはプールをした形条件で試験期間全体を分析するという形で進めさせていただくということになったかと思います。
この内容を費用対効果評価案として決定するということでよろしいでしょうか。
ありがとうございます。それでは、公的分析による再分析結果を費用対効果評価案として、中央社会保険医療協議会に報告をさせていただきます。
なお、内示及び中央社会保険医療協議会に提出する資料に関しては、委員長の私に一任していただくということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
ありがとうございます。
 

(了)
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