ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 中央社会保険医療協議会費用対効果評価専門組織> 中央社会保険医療協議会費用対効果評価専門組織 令和3年度第6回議事録(2021年9月24日)

 
 

2021年9月24日 中央社会保険医療協議会費用対効果評価専門組織 第6回議事録

○日時

令和3年9月24日(金)13:00~

 

○場所

オンライン開催

○出席者

田倉智之委員長 齋藤信也委員長代理 池田俊也委員 木﨑孝委員
新谷歩委員 新保卓郎委員 中山健夫委員 野口晴子委員
花井十伍委員 飛田英祐委員 米盛勧委員
薄井紀子専門委員 朝野和典専門委員 福田敬専門委員
国立保健医療科学院 保健医療経済評価研究センター 白岩上席主任研究官
<事務局>
中田医療技術評価推進室長 他
 

○議題

○ノクサフィル錠に係る総合的評価について

○議事

 


○費用対効果評価専門組織委員長
では、続いて、本日は、ノクサフィル錠について、公的分析による再分析結果が提出されておりますので、公的分析及び企業からの意見聴取を行った上で、企業分析の内容及び公的分析による再分析結果の審査、並びに費用対効果評価案の策定について先生方に御議論いただきたいと思います。
では、ノクサフィル錠について、企業から意見聴取をした後に御議論いただきますので、まずは事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局
(事務局より説明)
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。
それでは、議論に先立ちまして、まずは本製品に係る公的分析の再分析結果に対する意見の聴取を行いますので、事務局は企業を入室させてください。
○事務局
事務局でございます。
少々お待ちください。
(意見陳述者入室)
○事務局
事務局でございます。
企業の方の準備が整いました。どうぞよろしくお願いいたします。
○費用対効果評価専門組織委員長
私は、費用対効果評価専門組織委員長の○○です。
早速ですが、10分以内でノクサフィル錠の総合的評価について御説明をお願いします。続いて、質疑応答をさせていただきます。
では、始めてください。
○意見陳述者
MSDの○○と申します。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
スライドのほうを御覧いただけるかと思いますが、2枚目をお願いいたします。
2枚目に、本日の発表の要約をお示しいたします。まず、弊社といたしましては、公的分析班の再分析結果の解釈は、(a)造血幹細胞移植患者の集団では異なるものの、(b)好中球減少が予測される血液悪性腫瘍患者の集団においては一致しており、全体としてMSDと大きくかけ離れるものではなかったと考えます。
したがいまして、本日の発表といたしましては、細かい部分について弊社MSDの意見を2点、述べさせていただきたいと思います。
まず1点目、再分析で変更された決定樹における死亡確率の設定について、考え方に少し違いがあったこと。
そして2点目、(a)の集団における追加的有用性ありをサポートする根拠について、MSDの意見を提示させていただきたいと思います。
それでは、3枚目をお願いいたします。3枚目に、分析モデルの決定樹における死亡確率であります深在性真菌症IFIの発症者及びIFI非発症者の死亡確率の設定について御説明いたします。
左下のブルーの部分になりますが、モデルの模式図を御覧ください。これらの死亡確率というのは、左側の決定樹モデルの部分、こちらは予防投与評価期間としている部分になりますが、このうちの赤の①、②でお示ししたオレンジ及び緑色の矢印の時点の死亡への分岐の確率に相当いたします。
これらの①、②につきまして、再分析と弊社が行った企業分析での設定の違いを右下の表におまとめしました。御覧いただけますように、MSDの分析においては、ノクサフィル錠ポサコナゾール群と比較対照技術群で差がある設定でありましたが、再分析においては、両群で差がないという設定となっております。
スライドの上部の四角にお示しいたしました公的分析での評価においては、両群で差はないと設定すべきとしており、その理由として2つ報告書内に記載がございました。しかし、MSDといたしましては、差がないとすることは妥当ではないと考えます。
まず、これらの理由に対してでございますが、1つ目、理由1、これらの確率について、臨床試験でポサコナゾールの統計学的な優越性は示されていないとございましたが、臨床試験はIFIの発症の予防の検証が目的であり、IFI発症の有無による群間の死亡率の検証が目的ではないため、これらの集計、検定は行われませんでした。
2つ目の理由ですが、両群でこれらの確率を同じと仮定した過去の費用効果分析の事例があるとされておりました。こちらにつきまして、逆に両群でこれらの確率に差ありと仮定した費用効果分析の論文も存在しておりまして、必ずしも事例の全てが死亡確率には差がないと設定しているわけではございません。
続きまして、4枚目をお願いいたします。公的分析での評価では、ポサコナゾールのIFI関連死亡へのベネフィットを考慮せず、各群の死亡確率を差なしの設定としておりました。しかし、MSDといたしましては、水色の枠にございますように、ポサコナゾールには死亡に関するベネフィットがあり、両群間差なしの設定は妥当性に欠けると考えます。その理由は、以下の3つになります。
1つ目、臨床試験では、「IFIによる死亡」はポサコナゾール群が比較対照群より少ないことが統計学的有意差をもって示されていること。
2つ目、さらに(b)の好中球減少が予測される血液悪性腫瘍患者の集団の臨床試験においては、ポサコナゾール群の全死因の死亡率が低く、生存ベネフィットが示されていること。
3つ目、再分析の設定を用いて分析モデル内の死亡数をシミュレーションし、臨床試験での実際の死因の集計の再現を試みましたが、乖離が生じ、再現できなかったことがあります。これについて、次のページで詳細をお示しいたします。
5枚目になります。今、申し上げたシミュレーションの結果を表でお示ししました。分析のモデル内の決定樹部分の予防投与評価期間におきまして、それぞれの分析対象集団にて対応する臨床試験での症例数を仮想コホートとして設定いたしました。予防投与評価期間の終了時に発生する死亡数を計算いたしました。表の中の赤字の部分になりますが、3列目の実際の臨床試験の結果と比べまして、一番右の再分析における設定モデルでは、数が4例の増加、9例の増加、6例の減少ということになりました。したがいまして、この結果は、ポサコナゾールの死亡についてのベネフィットを示した臨床試験の結果の事実と異なっていることが分かります。
このように、極端な設定が分析の妥当性への影響を及ぼす可能性があり、意見として申し上げました。
次のスライドをお願いいたします。
最後のスライドになります。対象集団(a)の追加的有用性の評価について、追加的有用性ありとしている点は弊社の報告書も公的分的報告書同じく合致しておりました。しかしながら、詳細の根拠についてですが、公的分析報告書においては、枠内の黄色のマーカーの部分でございますが、予防効果は主要評価で見るべきであり、非劣性のみ証明されていて、優越性が示されていないため、追加的有用性と判断することに懸念があるとされております。
これらにつきまして、MSDといたしまして意見を述べさせていただきますと、まず、臨床試験において、未投与例を除く集団で実投与期間を対象とした副次評価項目においては、統計学的に優位なIFI発症率低下を示されております。なお、主要評価は未投与例や未投与期間を含む評価となっておりまして、本剤の有効性を過小評価している可能性がございます。
そして、IFIは重篤で予後不良な疾患でございます。アウトカムに死亡を含めて追加的有用性を検討することが適切であると考えます。
臨床試験では、IFIによる死亡がポサコナゾール群で少なかったという事実がございますため、弊社といたしましては、これらが追加的有用性をサポートする根拠となると考え、それに基づいて企業分析を実施いたしました。詳細は企業報告書に述べているとおりでございます。
以上になります。
○費用対効果評価専門組織委員長
それでは、委員の方々から御質問はございますでしょうか。
○○○専門委員
○○の○○ですけれども、1つよろしいでしょうか。
○費用対効果評価専門組織委員長
○○委員、お願いいたします。
○○○専門委員
先ほど御提示がありました企業の方のPTPとWOTの考え方の違いというか、実際にITTの無作為割付けをされた患者さんでも、フルコナゾール群でもポサコナゾールが投与される場合も起こり得るわけですけれども、無作為割付けをしてから実際に投与する開始日はどれぐらいの差があるのでしょうか。
つまり、この試験というのは、移植をして、生着をしてからスタートになると思うのです。ですから、無作為割付けをして、移植をして、生着するまでの間に時間的な差があるので、実際には投与すべき群のところ、フルコナゾールに振り分けられていてもポサコナゾールが投与されたりすることもあり得るかもしれないので、ここのPTPとWOTの時間の差というのでしょうか。この辺のところは何かデータがきちんとあるのでしょうか。入院患者のペーパーを読んでもちょっとよく分からなかったものですから、そこら辺はどのように解釈したらよろしいのでしょうか。
○意見陳述者
臨床試験の詳細につきまして、○○のほうから御説明さしあげます。
○意見陳述者
御質問いただきまして、ありがとうございました。
こちらの移植の患者様の試験ですが、各群でポサコナゾールですと301例、ポサコナゾール群は299例登録されております。ただ、実際にはほとんどのケースで登録されてからすぐに投薬が行われておりますが、投薬が一度もされなかった方がポサコナゾール群で10例、フルコナゾール群で11例ございました。この理由といたしましては、登録されてから投与までの間に患者様が同意を撤回されたとか、投与が開始できないような状態になってしまったとか、登録不適格であることが事後発覚したということが報告書にございます。ですので、実際としましては、登録されてから速やかに投与が開始されておりますが、一部このような全く一度も投与を受けていない患者様がいらっしゃいましたので、先ほど御説明にありましたように、投薬例のデータを用いて企業分析を行っております。
以上でございます。
○○○専門委員
ありがとうございます。
そうしますと、割付けから実際に投与されるまでの時間はそれほど長くはないということでしょうか。臨床試験を考えたときに、これは予防投与の試験ですから、実際に割付けをされていて、移植をされて、生着するところぐらいからの投与になるのではないかと思うのですけれども、その時間差というのは、こういうスタディーに影響しているかどうかということを考えたのですけれども、それはないという解釈でよろしいのでしょうか。
○意見陳述者
先生、御質問ありがとうございます。
こちらの試験でございますが、移植だけではなくて、GVHDも合併されているような患者様でございましたので、基本的には治験の的確例ということであれば、登録後に、速やかに投与を開始いただいております。
○○○専門委員
しつこいようで申し訳ないのですけれども、GVHDが起こるのは移植片が生着したときですね。ですから、普通、GVHDが起こり得る人たちにも投与が始まるとは思うのですけれども、そういう方たちも入れて、つまり、ランダマイズされたときに、起こり得るようないわゆるリスクが高い方たちですよね。そういう方たちはGVHDが起こるという予測がされるので、そのまま治療が入るという解釈でよろしいでしょうか。
○意見陳述者
御質問いただきありがとうございます。
さようでございます。
○○○専門委員
ありがとうございます。
○費用対効果評価専門組織委員長
その他の委員、いかがでしょうか。
○○委員、お願いします。
○○○委員
ポサコナゾールの死亡に関するベネフィットのところで、MSDさんが先行の2つの臨床試験を挙げられているかと思います。ウルバンとコーネリーの2007年ということで、14年前でかなりいろいろ状況が違うかと思うのですけれども、もう少し臨床試験の状況と、これが今のことに当てはまるかどうか、比較対照は何だったのかということも少し情報を追加していただければと思います。
○意見陳述者
続きまして、臨床試験についての御説明を○○からさせていただきます。
○意見陳述者
御質問いただきましてありがとうございます。
まず、少し前に実施された試験ということでございますが、比較対照として用いました技術としましてはフルコナゾールでございまして、こちらも今、日本で一般的に使われているお薬であるかと思います。ガイドラインでも推奨されている予防薬を対照薬としまして、本剤の評価、IFIの発症予防効果を確認させていただきました。
○○○委員
どうもありがとうございます。
○費用対効果評価専門組織委員長
○○委員、よろしいですか。
○○○委員
大丈夫です。ありがとうございます。
○費用対効果評価専門組織委員長
○○委員、お願いします。
○○○委員
決定樹における死亡確率の設定のところで、MSD分析の設定、①はIFIを起こした後の死亡率のように見えるのですけれども、ポサコナゾール群で分析対象集団(a)であれば25%、比較対照技術であれば44.4%ということで、IFIを起こした後でも死亡率に差がかなりあるとなっているようですが、これはIFIを起こした後でも死亡率といいますか、結局、重症度にポサコナゾール群と比較対照技術群で差があるという解釈でいいのか。そうだとすれば、その辺の重症度の差はどういうことで来るのか。もし情報があれば教えていただければと思うのです。
○意見陳述者
御質問ありがとうございます。
決定樹モデルの中身につきまして、①の死亡率というのは、御指摘のとおり、IFIを発症した方がIFIに対する治療を終えられた時点で死亡するかどうかという数を使っております。群によって重症度等に差があるかどうかにつきまして、御説明を申し上げます。
申し訳ございません。重症度に、群間によって何か差があるかどうかというところまでのデータにつきましては、こちらの臨床試験の中では記述されておらず、弊社のほうでは分かりかねます。
○○○委員
承知いたしました。
○費用対効果評価専門組織委員長
その他の先生方、いかがでしょうか。
よろしいでしょうか。
それでは、これで質疑応答を終了いたします。
企業の方は御退席ください。お疲れさまです。
(意見陳述者退室)
○事務局
事務局でございます。
企業の方が退室されました。よろしくお願いいたします。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
それでは、当該品目について御議論をお願いいたします。
なお、御議論に当たっては、企業分析結果と公的分析の再分析結果のどちら側がより科学的に確からしいかを相対的に評価することを踏まえて、御議論を進めていただきますようお願い申し上げます。
議論に先立ちまして、専門の先生方が御出席しておりますので、○○先生、○○先生、○○先生、御意見がありましたらお願いできればと思います。
○○先生、いかがでしょうか。
○○○専門委員
意見書にも書かせていただきましたけれども、フルコナゾールを使うということが今、ガイドラインではむしろ強く勧めないという方向になっております。特に血液・幹細胞移植においては、ヨーロッパのガイドライン、2018年のものが発端でございますけれども、フルコナゾールについてはハイリスクの患者さん、あるいはもちろんGVHDがあるとか、コストがあるとか、血液・幹細胞移植をした後では服用することを勧めないとエビデンスレベルでは書いてあるわけで、このような臨床研究を題材として解析をするということが、先ほど私は意見書に書かせていただきましたけれども、むしろ倫理的にあり得ないことで、あるものを解析するしかなかったのだと思いますが、まずその点が第1点となります。
それから、先ほどの死亡率について、なぜポサコナゾール群が、重篤度の問題というよりも、出てくる菌種の問題だと思います。つまり、アスペルギルスの深在性真菌症を起こすと予後が悪い。それを抑えたことによって、致死率が下がったと解釈すれば、ポサコナゾール投与群が重症度をよくしたというよりは、出てくる菌を抑制したと。要は真菌を抑制したとして理解ができることですので、どのような真菌によって死亡が起こったかということがむしろ重要ではないかと考えております。
以上でございます。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
○○先生、追加のコメントとかがございましたら、お願いできますでしょうか。
○○○専門委員
ありがとうございます。○○の○○でございます。
○○先生が御指摘のとおりだと思います。ただ、臨床試験については、現在予防的投与が使えるのはフルコナゾールだけですので、フルコナゾールを使う通常の移植、GVHDはさほど強く出ないような、スタンダードな患者さんはフルコナゾールを今は使っているということで、ポサコナゾールが出てきて、ハイリスクの患者さんなどにはポサコナゾールをむしろ第一選択で使っているという現状もあります。
臨床試験をやったときには、予防的な投与をどう評価するかというのは非常に難しかったと思います。そのときには、いわゆるスタンダードにフルコナゾールを使うということはありませんでした。ただ、それがこの試験をすることによって、フルコナゾールの予防的効果もある程度検証され、かつポサコナゾールも非劣性が示された。それは、その次のsecondary endpointのところで、アスペルギルス症の抑制がかかり、その他の真菌症の抑制効果もあって、死亡率も低いという可能性が出てきたということなので、企業が指摘するように、これは追加的有用性というのはあるのではないかと思っております。
以上でございます。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
○○先生も、もしコメントがありましたらお願いできますでしょうか。
○○○委員
○○です。
なかなか非劣性試験のときの費用効果の取扱いというのはなかなか難しいなというのは個人的な感想ではあるのですけれども、まず決定樹の死亡確率の点について、私も費用対効果のガイドライン等々を全て確認できているわけではないのですけれども、有意差が認められない場合の死亡率の扱いについて、科学院のほうでは両群併合した死亡率を使うという方法を取られているというのはある程度理解はできるのですけれども、やはり臨床試験で選ばれてきたときの推定値についても、十分考慮すべきだろうというのがコメントに書かせていただいたところです。
特に統計学的仮説検定において、有意差がないから同じにしようというのは明らかに統計の誤用という形にもなりますので、有意差がない、優越性が示されていないということで、併合した解析をするというのであれば、少しガイドラインの見直し等も含めて検討すべきなのかなとは考えています。
あと、○○先生のほうからも企業のほうに聞いていただいたとおりで、PTPとWOTの取扱いというのは通常の臨床試験ではなかなかこの辺りの設定があまりされることがないので、PTPの無作為化から投与が開始されるまでの状況があまり想定できなかったものでしたので、そこの解釈が臨床的にどういう意味があったのかなというのは少し疑問点ではありますというのがコメントです。
以上です。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
○○委員、お願いいたします。
○○○委員
統計的なコメントをついでにさせていただければと思うのですけれども、私も○○先生の発症した人の中での死亡率の比較というところで、群間に差があったか、なかったかというところは○○先生の御意見と同じでして、点推計のところが25%と44%でかなり違っているところに重きを置いたほうがいいのではないかと考えます。
といいますのも、IFIを発症した人の中で例えばポサコナゾールで25%の方が亡くなったということであれば、実際に亡くなった人の数は16名の感染者のうち4例が亡くなったというところで、頻度的にかなり小さな値になるというところで、統計的有意差を出す分析の感度がかなり落ちてくるということもあって、統計的有意差が出なかったのではないかと推察します。
ですので、○○先生もおっしゃったように、5%で有意差が出なかったからといって、同じものとしてしまうのは少し間違っているのではないかということを懸念するということと、あと、ポサコナゾール群と比較対照技術で死亡リスクを計算した集団で重症率が違っているのではないか、重症度が違っているのではないかということで、通常の背景がずれている中での比較も統計的に問題があると思います。
ですので、それを踏まえると、2群間で死亡率に差があったかどうかは、MSD社が行った全員に対して死亡リスクを比べて、そこに差があるかどうか。IFIを発症した人の中で限定するのではなく無作為化された群間で死亡率の差を見る必要があるのではないかなと思いました。
もう一つ、追加的有用性があるかどうかというところなのですけれども、非劣性は確認できたけれども、優越性が確認できていなかったというところのデータを見ましても、オッズ比としては0.56ということで、かなり大きな差はあるのではないかと思います。ただ、統計的有意差が出なかった背景としては、実際に感染された人の数が少なかった、頻度が少ないと、統計解析の感度は低くなります。その辺で有意差が出なかったということを考えていただいたほうが、有用性があったという判断でもよいのではないかと私個人的には考えます。
以上です。
○費用対効果評価専門組織委員長
統計学の観点からの御説明、ありがとうございます。
今の先生方の御意見を伺いつつ、その他の先生方からコメントがございましたらお願いできますでしょうか。
先に○○先生、お願いできますでしょうか。
○○○委員
両群に差が出なかったときに、その値を統合して分析するというのは、統計的ないろいろな課題があるということは私も素人ながら認識しておりますが、一方、その値そのものを使うことにもいろいろ問題もあるわけで、外国の分析機関なんかのレポートとかを見ますと、優越性が示されないときには統合して分析するというのは一般的にかなりやられていることで、それは恐らく今、分析対象としている品目についての保守的な分析というか、有利な分析にならないように、保守的にそういう設定をしているということで、統計的にどちらが正しいというのは必ずしもないような状況において、ともかく対象品目に証拠もないのに有利な設定をしないということで、そのような処理が行われているのかなと認識をしております。
ただ、有意差が出ないものを全部同じ値でやるというのはなかなか乱暴ですので、そこは統計の専門の先生とか、臨床の先生方の御意見を踏まえて、その決定をすべきかとは思います。
以上です。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
その他の先生、今の件に関して、先にコメントをいただきたいと思いますけれども、ございますでしょうか。
先に○○委員、お願いできますでしょうか。
○○○委員
御意見ありがとうございます。
確かに有意差がつかなかったときに扱いをどうするかというところは、多分いろいろこれまで各国、日本も含めて検討されてきたことだと思います。
ただ、今回の場合に関しては、先ほど○○先生のほうからも御意見がありましたように、かなり母数が少ないというか、実際にIFIが発症した患者さんという数が少ない中での死亡というところを見ているので、単純に推定値を使うというのも個人的には懸念があるというのがあって、少しコメントだけさせていただいている点が、推定値を使うのはやむを得ないと思うのですけれども、その推定値自体も、この臨床試験でたまたま得られた数字にしかなっていませんので、ある程度そこに信頼区間の上限値とか下限値、死亡率の上限値、下限値というものを用いて、より群間差が小さくなる場合、群間差が広くなるような状況のような、少しシナリオを幾つかつくった分析等々も含めて検討されるのがいいのかなとコメントさせていただいております。
○費用対効果評価専門組織委員長
お待たせしました。○○委員、お願いします。
○○○委員
ガイドラインでどう設定されているかということもあるのですが、今回のケース、いわゆる臨床試験ではIFIということでなっているのですけれども、普通、先ほど専門の先生からもお話があったように、感染症の治療薬というのは対病原体ごとにどれだけの効果があるかというのが普通ですし、私どもは感染症の治療薬はかなりいろいろなものを使われてきたのですけれども、今回明らかにこちらのお薬のほうがこの病原体には有効で、この病原体に効かないというのがあれば、これは新しい有効性というように、機序的には普通に考えるのが常識なのですけれども、今回の試験デザイン等々で、IFIということに関して言えば一まとめということになるので、こういう場合、有意差の問題は専門の先生にお任せするのですけれども、明らかに機序的なものでそれが反映しているということが大きく推定される場合は、端的に今回の件でいえば、それは有用性はあるでしょうと素人的には思ってしまうのですけれども、そういうところは評価の在り方として今後、ルールづくりが必要のように思いました。
今回のケースでいえば、対応できない真菌症に明らかに対応できるということ、しかも真菌による合併症がかなり重篤であるとなれば、この有効性が増えたと考えないというほうが不自然にも思ってしまいました。
以上です。
○費用対効果評価専門組織委員長
評価の考え方に関する御意見、御提案という理解で承りました。
では、ガイドラインのお話もありましたので、先ほど科学院さんのほうからもお話があるということでしたが、科学院のほうから、ガイドラインの解釈等も含めて、コメントいただけますでしょうか。
○国立保健医療科学院
ありがとうございます。
死亡確率について、今までいろいろ議論いただいたところですけれども、この点、臨床的あるいは統計学的に様々な見解が存在するということは私たちも重々承知しているところですけれども、中医協の総会で了承された分析ガイドラインというものがありまして、この9.3節には、評価対照技術と比較対照技術で統計的に有意差がデータ上認められない場合は、両群をプールした同一の値を用いることを原則とすると示されているところです。
今回の評価では、群間に有意差が存在しませんでしたので、上記のガイドラインに基づき、そのような値を用いたところです。
一方、○○先生の御指摘のように、nが小さくて足りないような場合も重々想定されますので、当該節の後段のほうでは、もしそうでないという主張であれば、追加的有用性を示すことを説明しなければならない、逆に言えば、説明すれば有意差がついていない差でも認めますよと記述されております。
ですから、本当にそこに群間差があるのだという主張であれば、企業側が追加的有用性を示す必要がある。例えばどのような真菌で死亡が起こったのかとか、そういったものを示す必要性があるのですが、今回そのようなデータが全く提出されていませんので、当該部分のパラメータについては分析ガイドラインに従ってそのような対応を取ったということであります。
以上です。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
今のガイドラインの解説も含めて、先生方、御意見はございますでしょうか。
私のほうから、今の科学院さんの御説明に対して、改めて念のための御質問ですけれども、これは企業側が学術的、統計学的に証明できなくても、蓋然性をもって意義があるのではないか、もしくはあると想像されるという形で解釈ができる場合の取扱いとか、その辺りについてはいかがでしょうか。
つまり、統計学的な基準というものを、どのようにガイドラインの中で整理をされているかという話になるかと思います。
○国立保健医療科学院
統計学的な基準ですとか、パワーですとか、検出力だとか、そういったところまでは規定していないところなのですけれども、もし追加的な有用性を主張したいということであれば、ほかの品目と同様に、追加的有用性を示すプロセスをガイドライン上に示しておりますので、それにのっとって説明いただくということが期待されているところです。
○費用対効果評価専門組織委員長
分かりました。ありがとうございます。
その他の先生方、いかがでしょうか。御意見、御質問はございますでしょうか。
○○委員、お願いします。
○○○委員
企業側の説明を聞いていますと、6枚目のスライドになっているのですけれども、無作為化された301名と299名の比較で死亡率に差があるというようなことをおっしゃったのですけれども、それが追加的有用性があるということではないかという意見があったのですが、実際にIFIに感染した人の中の死亡率ではなく、無作為化した人の中での死亡率を計算すると、25%と28%というところで、そこが統計的に差があるということもいえないのではないかと考えます。
企業さんの発表の中でそういう言葉遣いが、死亡率には差があったのでというような言葉が使われていたので、そこが統計的なエビデンスとして存在するのかどうかというところを事務局のほうで確認をしていただきたいと思います。
○費用対効果評価専門組織委員長
では、これは事務局に対する要望というか、お願いという形で整理させていただいてよろしいですね。
○○○委員
はい。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
○○○委員
○○先生がおっしゃったように、最近の流れでは、5%をもって統計的有意差があるという感覚的な結論づけというのもかなり批判されてきておりますので、原則はそうであっても、やはり統計的有意差が出なかった背景等も考慮していただいて、ケース・バイ・ケースで考えていただければと思っています。
以上です。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
その他の先生方、いかがでしょうか。
私も論文を出すときに、統計学的なところで厳しい御指摘をいただくこともありますが、全体を俯瞰して、かなり幅広い見方というか理解もあるということを、少し整理を致しましたけれども、いかがでしょうか。
先生方の御意見を伺いますと、当初から論点として示されておりますけれども、今回の分析においては、決定樹における死亡確率の取扱い、あとはそれに絡むところでの深在性真菌症の発症率の話、特にPTPとWOTという観察期間の取扱いが論点になっているかと思います。その背景には、既存の試験に対する統計的な解釈があろうかと思っておりますが、一方で、臨床的な観点から、アスペルギルス症などについての有用性については臨床の専門家からの御意見も随分出てきているところであります。整理としては、恐らく臨床的な意義と、それと絡む形での統計学的な解釈をいわゆる分析ガイドラインという枠組みの中での整合性をどのように解釈するのか、という辺りと思っておりますが、全体を通して、先生方から御意見、御質問はいかがでしょうか。
臨床の専門家に改めて確認をさせていただきたいのですが、アスペルギルス症を中心として、このお薬についての臨床的な有用性、異議というものは、従来のお薬、治療の観点からはあると考えてよろしいのかどうかということについて、もう一度御確認をさせていただければと思いますが、いかがでしょうか。
○○先生、もしよろしければコメントをいただければと思います。
○○○専門委員
いわゆるフルコナゾールの有用性は、ほかのアスペルギルスを除く、糸状菌を除くものに対しては有用であるということなのですけれども、やはり予後の点に関して言えば、圧倒的に糸状菌、アスペルギルス、それからこの薬のもう一つ臨床的な特徴というか有用性がムコールといって、もっと予後の悪い、ただ数は少ない、その真菌をカバーできるという点が臨床現場では安心して、それに対する安心感というのもあって、使われていくということになっておりますので、これから多分、ガイドラインを書き換えられていくと思うのですけれども、日本の場合にはまだ書き換えられていないと思うのですが、欧米のガイドラインには、既にポサコナゾールというのがかなり有用な位置づけとしてガイドラインに書いてございますので、恐らくそのように変わっていくだろうと考えております。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
○○先生、改めてもし追加でコメントがありましたら、お願いできますでしょうか。
○○○専門委員
私も先生と同じ意見でございまして、実際にはムコールで失う患者さんも結構いらっしゃるので、そういう重症度の高いIFIに対しては、このお薬は非常に有用性が高いということと、まだ販売されて1年ぐらいなので、それほど日常に使われていませんけれども、欧米でファーストラインに乗っている非常に有用性のある予防薬として使われていますので、これは先ほどもお話しましたけれども、予後の悪いハイリスクの患者さんについては、むしろ頻度を高く使われるようになるだろうと思っております。
以上でございます。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
臨床的な観点からは、何がしかのという表現は大変恐縮ですけれども、臨床的な有意性があるという御意見と理解したところであります。これを整理するという観点から、統計的な解釈について改めて2名の先生にお聞きしたいのですけれども、○○先生と○○先生、いかがでしょうか。同じことの繰り返しになろうかと思いますけれども、改めてまとめていただければと思います。
○○先生、お願いします。
○○○委員
追加的有用性の件ですよね。そもそもこれは臨床試験で非劣性という、対照群と比べて効果が変わらないということを証明するための試験デザインということで計画されている試験ですので、通常、PMDA等の薬事承認であれば、非劣性が検証されれば、それで承認される、要件を満たすという状況になります。ですので、それに対してさらに追加的有用性というものをどういう形で証明するかというのはすごく難しいところかなと思っています。というのは、非劣性自体がそもそも対照薬に効果が変わらないとしても、何らかの有用性があるからこそこういう試験デザインが組まれている。例えば有害事象の発現度が減りましたとか、減る可能性があるとか、コンプライアンスがよくなるようなものに変更されているとか、そういう追加的な有用性があるからこそ、効果が変わらないということを証明することで、薬事承認に耐え得るエビデンスがつくられるというデザインの試験ですので、個人的には、追加的な有用性というものに対して統計学的にどこまでぎりぎりと説明が必要なのかというところは、いまだに私はまだ悩んでいるところで、あまり追加的有用性に関してまで統計学的な優越性まで求めるような要求というのは、今後医薬品開発にも少し足かせになってしまう可能性はすごくあるかなと思っていたりもするので、全般的なところでいくとそういう感想なのですけれども、今回の試験に限っては、先ほど○○先生もおっしゃっていたように、出てきたオッズ比とかの数字もかなりいい数字ですし、オッズ比の上限値も1.0幾つというかなり1に近い数字にもなっていますので、主要評価項目で統計学的に優越性までは証明できていないですけれども、その他のアスペルギルス症だとか、副次評価項目で優越性が証明できているという点を追加的有用性ありと判断することには、個人的には異論はありません。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
○○先生、いかがでしょうか。
○○○委員
○○先生に詳しく御説明いただきまして、ありがとうございました。
私も同じ意見です。
○費用対効果評価専門組織委員長
あと、参考までに○○先生、疫学とかも含めた少し広い観点から何か御意見がありましたら、追加でお願いできますでしょうか。
○○○委員
ありがとうございます。
もうP値が0.05が絶対視されることではないということは、臨床統計、疫学のほうでも認知されてきていると思います。前回も○○先生からお話がありましたけれども、総合的な判断ということになるかと思いますので、その点については先生方と全く同意見です。
以上です。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
今の整理の流れの中で、他の先生方から他にありますでしょうか。
念のため確認いたしますが、いわゆる分析ガイドラインに沿ってこの議論を進めていかなければいけないというのは大前提であります。そのガイドラインの解釈において、保守的な分析をすべきという科学院さんの御意見ももっともかと思いますが、科学院にお伺いしたいのですけれども、今のような意見を反映したさらなる分析はどうなりますでしょうか。追加的な検討というのは可能かどうか。やるとしたらどのような方法があるかというのを御意見があればいただければと思います。
福田先生も含めて、もしコメントがあればお願いします。
○国立保健医療科学院
今後の分析ガイドラインの検討の際に、今回の議論は活用できると思うのですが、一方で、恐らくこの問題の背景には、我が国の制度において、点推定値で価格調整をしているという、そこに起因する問題がある。つまり、データの分布を考えられないという制約がある中で、我々はいろいろな分析の方法論とかを検討させていただきましたので、そういう環境の制約等々を考えながら、今回の議論を生かしていきたいなと思っているところです。
○費用対効果評価専門組織委員長
○○先生、もしよろしければいかがでしょうか。
○国立保健医療科学院
ありがとうございます。
今、先生方から御指摘いただいていましたけれども、この品目そのものが臨床の場で有用性があるのではないかというところは理解をいたしているところですし、特に統計の話をずっとしてまいりましたけれども、今回、我々も悩みながら、primary endpointでは優越性が示されていないと。統計的には同等という見方もできるものの、一方で、別の指標等を見ると、追加的要請もあると考えることもできるのではないかということで、今回の分析とさせていただいています。
なので、専門組織の御意見の中で、追加的有用性があるということで、費用効果分析のほうを取って御判断いただくということは、特に異存はないところでございます。
一方で、計算につきましては、委員長からありましたが、我々として、原則として分析ガイドラインに従った分析を今はやっていくべきだと考えています。将来的にガイドラインの見直しの議論というのはあるかもしれませんけれども、現時点ではそのような観点から我々が実施したもので御議論いただければと思っています。
以上でございます。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
今のコメントを含めて、先生方から御意見はございますか。
先生方の今までの御意見をまとめますと、臨床的な有用性はないというわけではないですし、統計学的な観点からの解釈も一定の範囲であり得るという御意見であったと理解はしたところであります。さりとて、ガイドラインに沿って分析をしなければいけないというところでありますが、分析のガイドラインについても、そういった解釈というか総合的に勘案した議論も反映できる可能性があるという理解でもあると少し私は理解したところであります。よろしければ、公的分析について今、先生方からいただいた御意見、特に死亡率の設定、その背景となるIFIの発症率等について、少し精査をして、追加分析を行っていただくという方向で進めていきたいと思いますが、委員の先生方からの御意見があれば、お願いできればと思います。
○国立保健医療科学院
委員長、ちょっと明確にさせていただければと思うのですけれども、当該医薬品を使った特に死亡に関してですけれども、そもそも発症率については優越性が示されてはいないとはいうものの、発症率が違いますので、当然その後の死亡も差がついてくるという結果にはなっておりますが、それをさらに変更したほうがいいという御指示になりますでしょうか。
先ほど来いただいている御意見からすると、全体として投与をした場合としない場合との死亡の差については、ある程度反映されていると考えております。
○費用対効果評価専門組織委員長
今回の分析の中には、投与の死亡率の差がもう既に反映されているという理解でよろしいですか。
○国立保健医療科学院
発症率が違いますので、発症後の死亡率を同じに設定してあっても、発症率が違うことによって、当然死亡率は変わってくるということになります。
少しでも発症が多いほうが死亡も多くなりますので、そういう形での反映をされていますので、当然死亡率に差はついているという結果ではございます。
○○○委員
○○です。
企業側のスライドの6ページ目のところに、企業側で公的分析が想定した死亡率を用いた場合、最終的な死亡リスクに差がなくなるというような御意見がありました。それを見ると、公的分析の再分析設定でのモデル内想定死亡数という6ページの一番右のコラムなのですけれども、その場合は、76と84名だった死亡者数が80名と84名になって、これでもう差がなくなってしまうというのが企業側の公的分析のやり方が妥当ではないのではないかという根拠の一つに使われていたと思うのです。ですので、80と84ですと、点推計値を比べるとポサコナゾール群のほうで効果があるという数字にはなっているのですが、ここで統計的有意差を言い始めると差がないということになってしまいますので、その辺をもうちょっとクリアにしていただければと思います。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
○○委員、その点に関してですが、いかがでしょうか。
○国立保健医療科学院
○○先生、御指摘ありがとうございます。
実は企業のこの表に関しましては、御指摘をいただいて、少し我々のほうでも検証いたしました。ですが、この企業の推計の数字を再現することはできませんで、これがどうやって算出されたのかが明確ではないというのが我々の見解です。
一応、我々のほうで出した数字で見ますと、そこは差がつくような形にはなってございます。我々のほうと言っていますのは、一応、公的分析班と科学院で独立して計算をして、そこは一致しているということを確認しております。
○○○委員
そこは統計的な有意差が出たという判断でよろしいでしょうか。パーセンテージに直すと80と84ですと、かなりパーセント的には近い値になりますので、この数字自体は間違っている可能性があるということなのですが、そもそもの76名と84名の死亡者数自体も割合としては25%と28%の差というところで、それ自体に有意差が出ているのかどうかというところもちょっと疑問が残るところでございますので、この辺をまた検証していただければと思います。
以上です。
○費用対効果評価専門組織委員長
いかがでしょうか。
○国立保健医療科学院
○○先生、ありがとうございます。
この数値というものが、判断時モデルにおける期待値計算ですので、いわゆる統計的な検定とか推定とかに基づくものではないですし、それになじむようなものではないので、この実数をそのまま期待値を計算する際に引きずっていると御理解いただければと思います。
○○○委員
分かりました。そうしましたら、企業さんも、公的分析も、どちらもここを割合で有意差を見ているわけではないということですね。
○費用対効果評価専門組織委員長
私の確認なのですけれども、そうすると、企業分析と公的分析で差がついている理由は、簡単に申し上げるとどういうことになるのでしょうか。
○国立保健医療科学院
簡単に申し上げますと、先ほど御説明した3点になりまして、1つ目がガイドライン上の問題を議論させていただいたIFI発症者の死亡率、2点目が、NDBを使った背景因子の調整、3点目がIFIのイベント発症をWOTで見るかPTPで見るか、この3点になります。
○費用対効果評価専門組織委員長
専門外ですけれども、2点目のところはあまりないように思っていて、1番と2番は多少リンクしているところもあるので、併せて議論をさせていただいたつもりだったのですが、まずはそういう理解でよろしいですか。臨床実態も考慮してですが。
○国立保健医療科学院
そうですね。3番。
○費用対効果評価専門組織委員長
死亡確率のところと、今回のソースデータの統計的な解釈を少し広めにとって分析をし直すということを議論させていただいたつもりだったのですけれども、それは3番のIFIのほうの発症率から来る死亡率のほうで、実は対応済みであるという理解になっていると考えてよろしいのですか。
○国立保健医療科学院
IFIの発症が増えることによって、死亡が増えますので、そのような形で結構なのではないかと思います。
○費用対効果評価専門組織委員長
そうすると、企業側の分析とそんなに差が出てくるということは臨床として理解しにくいところがあるのですけれども、これだけ大きな差が出るのですね。
○国立保健医療科学院
差が大きく出るのは、最初に申し上げたIFI発症者に死亡確率、それからPTPかWOTかというこの2点かなと思っています。
○費用対効果評価専門組織委員長
分かりました。
今の件を踏まえて、その他の先生方から何かコメントとかはございますでしょうか。
では、改めて確認をさせていただきますけれども、臨床的な優位性を統計的な観点も含めてある程度考慮した分析であるというものが公的分析であるという解釈でよろしいですか。これは科学院さんも含め、その他の先生方も含めての確認ではあります。
科学院さん、いかがですか。そういう解釈でよろしいのですか。
○国立保健医療科学院
ありがとうございます。
そのような解釈をしていただいて結構だと思います。
○費用対効果評価専門組織委員長
分かりました。失礼いたしました。
改めて臨床の先生方にお聞きしますけれども、○○先生、今の議論の整理で、臨床現場の観点から、特段御意見はいかがですか。よろしいですか。
○○○専門委員
すみません、ちょっと理解できなかったので、もう一度説明していただけますか。
○費用対効果評価専門組織委員長
いわゆる臨床現場からの御意見という形で、このお薬の有用性があるという形の整理をさせていただいたということです。
○○○専門委員
それは、値段のことはお任せしますけれども、現場としては使うだろうし、ガイドラインに今後、まずかなり高い位置で載ってくるだろうと思っています。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
それが、一応今回の公的分析では反映されているという解説、説明になっておりますので、それで理解としてよろしいでしょうかという確認です。
○○○専門委員
最初に申しましたように、この分析の基になったものが現場とは全く違う、現状とは全く違うものを対象として分析されていて、そこから出てきた答えが、現場にそぐうかという問題がございますので、現在であれば、恐らくGVHDが起こっているような人にポサコナゾールを使いますかと言ったら、倫理的におかしな問題になりますので、それを基に解析をしていって、費用対効果を見るということが現場感としては、10年前だったらいいけれども、今はとてもではないけれどもそんなことはできないので、そこから出てきた答えというのは、整合性、合理性があるのですかという問題が僕自身には残っています。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
そのような論点はあろうかと思うのですけれども、今回の条件の中で分析をされたものについて、現状で一応費用対効果が出ておりまして、お薬としても費用効果、臨床的なもしくは経済的な有用性、価値みたいなものが数字として見えておりますので、この数字について、このような形の整理、解釈という形で進めていくことに関して、先生方の御意見はいかがかなと思いつつ、確認をさせていただいているところであります。
○○○専門委員
行われた臨床研究については、そのように解釈されてよろしいかと思います。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
その他の先生、臨床的な観点からの解釈として、今回出てきた費用対効果、臨床現場の有用性というのをある程度開示されているかどうかということに関して、いかがでしょうか。特にコメントはございますか。
あとは、統計的な解釈については何度も御意見をいただきましたけれども、改めて、このガイドラインというか分析の枠組みの中で、科学院さんのほうでやっていただいた結果に基づく費用対効果の結果について、統計学的な観点からコメントがあればと思いますけれども、いかがでしょうか。
○○先生、○○先生、繰り返しで恐縮ですけれども、あれば意見をいただければと思います。
○○○委員
1つだけ科学院さんのほうに確認なのですけれども、今回、モデルに使ったパラメータというのは、企業はWOTに基づくIFI発症率を用いて、その中での死亡率で25%、44.4%の数字をパラメータとして利用して、その結果が出されているという理解でよろしかったですか。
一方、科学院さんのほうは、PTPに基づくIFI発症率と、PTPに基づく死亡率を使うというところで、死亡率に差がないので、両群併合した35%辺りの数字を使っていくという理解でよろしいのですか。そこの確認だけをさせていただきたいのです。
○費用対効果評価専門組織委員長
科学院さん、お願いします。
○国立保健医療科学院
企業側の分析についてなのですけれども、我々が理解する限りということで御容赦いただきたいのですけれども、IFIの発症についてはWOTを使われていて、IFI発症後の死亡の確率についてはPTP期間のほうのものを使われていると認識しています。
○○○委員
科学院さんは、そこをPTPのIFI発症確率を使うべきであって、そのときに、既にポサコナゾール群よりも、比較対照のほうが発症率が高いので、その分が樹形図の死亡確率のところにも反映されているので、併合した死亡割合を利用すれば十分ではないかというお考えですか。
○国立保健医療科学院
そのとおりです。
○○○委員
確かに要所要所にWOTで得られたデータとPTPで得られたときのデータがモデルの中に混在して解析されているという変な印象をすごく受けているので、そこはやはりPTPベースで検討をするのか、WOTベースで検討するのかというのはきちんと整理されたほうがいいのかなと思います。
なかなかその辺はもう難しいのでしょうね。
○国立保健医療科学院
我々はなるべくPTPでそろえるように分析させていただいているのですけれども、WOTでそろえるというのはなかなか難しいかもしれないなという感覚を持っております。
○○○委員
そのときに、樹形図モデルのところの①のIFI発症割合の死亡確率の設定というのは、たしかWOTで発症した人の中で関連死亡みたいなところの死亡率が25%だった気がするのですけれども、そこの数字を個人的には、ちょっと難しいのかもしれないのですが、コメントに書かせてもらったとおり、かなり例数が少ない中での死亡割合になっていますので、そこを例えば25%の信頼区間を25%という死亡確率に対する95%信頼区間とか、90%信頼区間とか、ある程度、死亡確率として保守的、かなり楽観的なところまで含めた上で設定するというのはなかなか難しいような状況なのでしょうか。
○国立保健医療科学院
信頼区間としてベースケースの分析を設定するというのはなかなか難しいところなのですが、シナリオ分析あるいは感度分析として、ポサコナゾールを25%、フルコナゾールを44%という元の設定どおりにした場合、388万円/QALY、ポサコナゾールが44%、フルコナゾールが44%と設定した場合は616万円/QALY、ポサコナゾールが25%、フルコナゾールが25%と設定した場合は1076万円/QALYということで、御参考までにご紹介させていただきます。
○○○委員
大分変わり得るということなのですね。分かりました。ありがとうございます。
○費用対効果評価専門組織委員長
○○先生、今のお話は、患者割合についてもう少し見たほうがいいというお話でしょうか。
○○○委員
そうですね。企業が言っている25%、44%という発症ありでのIFIでの死亡の割合というところが、母数になっているところがWOTベースであったりしていますので、そこをPTPベースにするとかは一つやり方としてあり得るのかなと思います。
初めに申したとおり、差がないから併合してというのもちょっと抵抗がありますし、かつ、小数例での割合をそのまま利用するというのにも少し抵抗があるので、ある程度その辺り、シナリオ分析等々で値を動かしたときに、どれぐらい結果が変わり得るのかという感度解析みたいなことを示していただければいいのかなと思ったのですが、今聞いた限りではかなり幅がありそうだったので、今度はそこを逆にどう考えるのかというところで悩んでしまったという状況です。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
そうすると、PTPなのか、WOTなのか、あとそれに伴うところの統計的な有意性みたいなところで、先ほど来議論していた①、②のところで、ポサコナゾールと比較対照技術の値をまとめて分析してしまっているところについては、PTPで差があるという形で分けて分析をする。そうすると、企業分析に近い形になるのかもしれませんけれども、そのような分析をしたほうがいいということになりますでしょうか。
これは○○先生と○○先生にお聞きしたいところでもあります。
○○○委員
○○です。
先ほど○○先生に明確に整理をしていただいて、私も理解が深まりました。ありがとうございます。
○○先生がおっしゃるように、どの部分に起因しているのか。死亡率の違いなのか、定義の仕方の違いなのかというところを整理するためにも、条件をある程度そろえて、感度分析をしていただければと思います。
以上です。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
少しお時間がたってしまっているのですが、科学院さん、今の議論を踏まえての確認ですけれども、PTPにしていただいて、パーセンテージのところを少しシナリオ分析というか感度分析みたいな形でどの程度振れるのか、特に判断基準となる500万円のところのまたがり具合などについても、確認をするというのはいかがでしょうか。
○国立保健医療科学院
御確認なのですけれども、我々、IFIの発症と死亡についてはPTPを用いているのですが、それはそれで結構だということなのでしょうか。
○費用対効果評価専門組織委員長
PTPを用いて、死亡の差を見て割合を見てというような分析でいかがですか。
○国立保健医療科学院
25%と44.4%をそのまま使うということなのですか。
○費用対効果評価専門組織委員長
現在は分けていないのではないですか。
○国立保健医療科学院
分けていないので、分けていない統合した値を感度分析するということであれば、それは可能なのですけれども。
○費用対効果評価専門組織委員長
では、まずそれで1回数字を出していただく場合、分析する人は手間もかからずに、時間もかからずにできそうでしょうか。
○国立保健医療科学院
そうですね。統合した値の感度分析であれば、そんなに時間はかからないかなと思っております。
○費用対効果評価専門組織委員長
分かりました。
御意見があればコメントいただきたいと思いますけれども、では、追加分析は必要という形で先ほど来、先生方からのコメントがありましたとおり、PTPを前提とした死亡確率について、今、統合してやっていらっしゃるところを分けて、なおかつシナリオ分析みたいな形で、感度分析でどの程度振れるのかというのを見ていただいて、組織のほうに報告していただくという方向でいかがでしょうか。
委員の先生方、コメントがあればお願いいたします。
○○○委員
○○です。
企業の方はWOTのほうを使うべきと言われているので、そこもPTPであるべきというところの理論武装というか、説明ももう少し加えていただければと思います。
○費用対効果評価専門組織委員長
分かりました。
では、PTPとWOTのパターンについても感度分析をしていただくというお話ですね。
○国立保健医療科学院
WOTについては、データがなくて、感度分析は困難かなと思っています。PTPについてはできます。
○費用対効果評価専門組織委員長
分かりました。物理的にできないものは、できないのでしょうから、できるかどうかを含めた検討をしていただいて、できなかったという回答、その理由を組織のほうに提示していただくという形で、○○先生、いかがでしょうか。
○○○委員
はい、それでいいと思います。
そのときに、科学院さんのほうでできない解析がMSDさんのほうでなぜできたのかというところも疑問が残るところではあります。企業さんの側でWOTでやられた理由というか、そこも教えていただければとは思います。
○費用対効果評価専門組織委員長
それはまさにどちらの分析が確からしいのかという議論において、妥当性の確認にもなると思います。
物理的にできないものをするというのではなくて、できるかどうかの検証をしていただいた上で、その検証結果は企業分析側の内容についてのチェックにもなるという整理でよろしいですか。
ありがとうございます。
科学院さんのほうもいかがですか。そのような方向でご検討いただけますか。
○国立保健医療科学院
すみません、ちょっと混乱してしまっています。
企業分析のほうも発症後の死亡確率はPTPを使っているので、そのデータは我々もないし、企業にもないものと理解しております。なので、そこをWOTにするのは難しいと思います。発症率のところで我々はPTPですが、企業のほうはWOTの値を使っているということでございます。
○○○委員
すみません、混乱してきました。
例えば企業側の設定で死亡率を同じにした場合の感度解析というのはできますか。発症率をWOTで、死亡率をPTPで、企業があせって、ただし、死亡率だけは科学院さんでやられた同じ死亡率でという。
○事務局
事務局でございます。
発言させていただいて、よろしいでしょうか。
○費用対効果評価専門組織委員長
どうぞ。
○事務局
委員長におかれましては、全体として追加分析が必要なのかどうかということを決めていただいて、もし追加分析が必要であるということであれば、どういった内容について追加分析するかどうか。こちらは事務局を通して、委員長や委員の先生方と内容について整理をさせていただいて、データを提出していただくということも可能だと思います。時間も来ておりますので、方向性だけ今回決めていただければと思いますけれども、いかがでしょうか。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
今までの先生方の御意見を伺いますと単純に企業分析が良いとか、公的分析が良いというようなお話にならないような気がしますので、両者の分析の方法も含めて、論点のところを整理して、追加分析を検討していたいただければと思います。追加分析といっても大規模なものではなくて、チェック検証という意味では、論点のところだけについて整理をしていただくような形で、なおかつどの程度結果の水準がふれるのかと見ていただくような形ということで、今回は追加分析をしていただくという方向性で整理をさせていただきたいと思いますけれども、委員の先生方、いかがでしょうか。詳細については今、事務局のほうからも助け船がございましたけれども、科学院、事務局、あと私なども含め、必要に応じては先生方にまた意見を伺うような形で内容を落としていくという方向性で考えたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。
では、まとめをさせていただきたいと思います。今回、利益相反のある先生はいらっしゃらないということですので、議決とさせていただきたいと思います。
先生方の御意見をまとめますと、ノクサフィル錠に関して、より詳細な検証は必要との御意見であるということですので、公的分析については、追加分析を検討していただきたいと思います。
公的分析は、追加分析等を実施した上で、速やかに報告書を費用対効果専門組織に提出するというような形で進めていきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
では、異議がないということでございますので、それで進めさせていただきたいと思います。
事務局はこれでよろしいですか。
○事務局
そのようにさせていただければと思います。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
 

(了)
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