ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 中央社会保険医療協議会保険医療材料等専門組織> 中央社会保険医療協議会保険医療材料等専門組織 令和3年第6回

〇場所 オンライン開催

 
〇出席者
〈委員〉
小澤壯治委員長、秋元正宇委員、小竹良文委員、後藤励委員、
近藤幸尋委員、土谷一晃委員、服部雅之委員、久松理一委員、
前原健寿委員、安田聡委員、矢冨裕委員、若林則幸委員、
渡邉善則委員、田倉智之委員
 
〈事務局〉
中田医療技術評価推進室長 他

 
〇議題
医療機器等の保険適用について


 
C1申請 脳神経減圧術用補綴材
 
○保険医療材料等専門組織委員長
 では、次にC1申請、脳神経減圧術用補綴材につきまして御審議いただきます。
 まず、事務局から説明をお願いいたします。
○事務局
(事務局より、保険適用原案について説明。)
○保険医療材料等専門組織委員長
 ありがとうございました。
 審議に先立ちまして、製造販売業者から意見表明を聞くこととなっております。
 では、事務局は、株式会社河野製作所の方にウェブ会議へ参加していただいてください。
(意見表明者入室)
○保険医療材料等専門組織委員長
 早速ですが、6分以内で意見を述べてください。
○意見表明者
 では、よろしくお願いいたします。
 まず、意見表明資料の7ページ目から進めていきたいのですけれども、8ページ、本品の概要から説明いたします。本品は、一般的名称は「手術用メッシュ」でして、販売名が「脳神経減圧術用補綴材」。承認自体は今年の1月8日に取得しております。クラス分類はⅢです。使用目的または効果ですけれども、三叉神経痛、片側顔面痙攣及び舌咽神経痛に対する脳神経減圧術において、血管を神経から遠ざける目的で、補綴材として用いております。
 9ページに移ります。本品の概要ですけれども、本品は、ポリテトラフルオロエチレン樹脂からなる綿形状の補綴材でして、形状はこちらにお示ししているとおりの綿形状でございます。重量は0.3gのものでして、こちらの綿の原糸が□□□という形になっております。
 では、10ページに移りますけれども、三叉神経痛なのですが、こちらは血管による神経が圧迫されることにより発生するものでして、11ページの説明になりますが、片側顔面痙攣は、同じように血管に神経が圧迫されるものでありますが、部位によりこういった症状が異なっているというものでございます。
 13ページに移ります。本品の推定適用患者数は年間2,200人と考えておりまして、先ほどの希望する金額と合わせますと、予測売上高は、年間に1.51億円使用されるものと考えております。
 14ページです。本品が適応される脳神経減圧術は、1959~1962年頃アメリカで始まった手術でして、本邦では近藤らにより1976年から行われているものでございます。こちらにありますとおり、三叉神経痛が大体40%ぐらい、片側顔面痙攣が約60%、舌咽神経痛は非常に少ないというものでございます。
 15ページ、本品の課題・アンメットニーズです。脳神経減圧術における補綴材を対象として使用可能な医療機器が存在していなかったことに対しての解決ということになっております。
 16ページ、本品の有用性です。本品を使用した場合の対象疾患に対する脳神経減圧術の有効性は、承認申請時の□□□□□□にて明らかにしておりまして、こちらにありますとおり、有効性は審査を通じ認められているものと考えております。まとめた数字のほうは、こちらに記載したとおりになっております。
 17ページに移ります。□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
 18ページに移ります。類似機能区分は、先ほどなしと申し上げましたが、既存で近しいものと比べてみたところ、使用目的や効果とか素材の違い等々により、同等なものはないと考えております。
 経済上の有用性ですけれども、先ほど申し上げましたとおり、年間1.51億円の使用額と考えておりますが、そちらはピーク時には年間1,800個。先ほど2,200個、2,200症例と申し上げましたけれども、実際はこのぐらいの数量が使われるのではないかという見込みです。
 その一方で、従来使用される類似品が存在しないことにより医療費の減額というのがありませんので、この影響額がそのまま医療費の増額分になると考えております。
 私どもからの意見表明は以上でございます。
○保険医療材料等専門組織委員長
 ありがとうございました。
 委員の方から御質問はございますでしょうか。
○委員
 確認と質問があるのですが、確認のほうは、この製材は、実際の手術だとオーダーメードで長さを決めるので、自由に切ったり、あるいは丸めたり、この製材を加工するのは問題ないのでしょうか。
○意見表明者
 従来どおりお使いいただいている加工方法を加味した上での承認内容となっております。
○委員
 あと、質問ですけれども、合併症に関してですが、こういう製材は、1つ神経に触れた場合に影響があるのかないのかというのと、あと、一番困るグラニュローマ、肉芽腫の発生に関してはデータとか、あるいは資料とか、その辺はございますか。
○意見表明者
 □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
○委員
 その合併症に関しては、本品を使ったからといっても防げるわけではないということですか。
○意見表明者
 はい。
○保険医療材料等専門組織委員長
 どうぞ。
○申請者(専門家)
 □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□従来のテフロンの、我々が自分でほぐしてつくったものと比べまして、柔らかさとか合併症を起こしそうな感じは全然違わないのですが、逆に繊維が非常にそろっておりますので、私の症例はまだ半年もたっていないのですが、肉芽腫とかを長期的に起こす可能性は、恐らく自分たちでほぐしてつくったものよりは少ないのではないかと。自分でも肉芽腫が生じた例はもちろんないのですが、論文上の報告は全世界に数例とか10例とかあるかと思いますが、そういう可能性は非常に低くなるのではないかと自分では勝手に想像しております。
 それから、神経に触れるのに関しては、従来品と変わらないと考えます。
○保険医療材料等専門組織委員長
 どうぞ。
○申請者(専門家)
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□これまでの実際の手術の際には、我々は術中に既存のものではそういう長いものは作成できないものですから、短めのものをよって、組み合わせて糸状にして使っておりました。そうしますと、やはり糸は太くなりますし、強度に不安があるので、太めのものになっていました。ですから、今までのものよりは、今回は一本一本の長さがありますし、術中に加工しやすいので、実際手術中に体内に入る量は減りますので、これまで私も報告しましたけれども、肉芽を含んだ合併症というのは、再手術で見ると1割ぐらいあるのですが、それはかなり減るのではないかと予想しております。
 以上です。
○委員
 もう一つよろしいでしょうか。
○保険医療材料等専門組織委員長
 お願いします。
○委員
 本品が保険適用されると、現在はいろんな方がいろんなものを使っていて、そういうのを使われている方が、それを使ってはいけないのかどうかとか、その辺が問題になるかと思うのですが、その辺はいかがですか。物によっては一長一短があって、これしか使っては駄目となると、少し反対が出る可能性があると思うのですが。
○申請者(専門家)
 私から答えていいですか。
 それは我々も前から心配しているところではあるのですが、現実問題として手術に使っていいというものが1つもない状態というのは、現場の医療をする側としては、ほかの原因で何か起きた場合でも、こういう認められていないものを使用したせいではないかと言われることが非常に不安で、実際使うときには一人一人の患者さんから承諾書をいただいていますけれども、そういう余計な意味での医療に対する負担が減るという意味で、まず認められる先駆けになっていただけたらと切望しております。
 以上です。
○意見表明者
 追加させていただきますが、認められていないものを使ってはいけないのかということに関しては、それぞれの先生の御判断になるとは思うのですが、ただ、申請者(専門家)がなさった全国調査では、□□□□□□□ので、これ以外を使う先生は、個人の成績でそういう論文を根拠にお使いになるということではないかと推定しております。
 □□□先生、それでよろしいでしょうか。
○申請者(専門家)
 よろしいです。どうもありがとうございます。
○委員
 どうもありがとうございます。
○保険医療材料等専門組織委員長
 ほかの委員から御質問はございますでしょうか。
 それでは、これで意見表明の聴取を終了いたします。
 意見表明者は御退室ください。
○意見表明者
 ありがとうございました。
(意見表明者退室)
○保険医療材料等専門組織委員長
 保険適用原案につきまして御議論をお願いいたします。
○委員
 従来なかったものを認めるということで、当然医療費がプラスになるわけですが、確かに安全性の問題を考えると、ちゃんと認められたものを使うというのは、私、この手術をかなりやっているのですけれども、安心です。
 問題になった値段が10分の1という幅、先ほどの質問で私は理解したのですけれども。
 以上です。
○保険医療材料等専門組織委員長
 ありがとうございます。
 ほかに御意見はございますでしょうか。
○委員
 □□委員にお伺いします。PTFEは心臓外科でもいろんなところでも使っているのですが、今のこういう術式のときにはこれだけでなくて、例えば何らかのグルーとかも併せて使うのでしょうか。
○委員
 一番使っているのは、もっとぼてっとしたプラスチック状のを、あと、人によってはゴアテックスを巻いて上に縫いつけるとか、いろんなことをされているのです。
○委員
 そうですね。僕の知っている限りでは。
○委員
 ですから、先ほどの質問で、逆にそれをやってはいけないのかというと、そうでもないということもあって。
○委員
 なるほど。よく分かりました。
○保険医療材料等専門組織委員長
 ほかに御意見、御質問等はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、先生方の御意見を集約いたしますと、脳神経減圧術用補綴材、決定区分C1、保険償還価格0.1g当たり3,120円ということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○保険医療材料等専門組織委員長
 ありがとうございます。



E3申請 アクセス ハイブリテックp2PSA
 
○保険医療材料等専門組織委員長
 では、次にE3申請、アクセス ハイブリテックp2PSAにつきまして御審議いただきますが、田倉委員におかれましては、利益相反の申告により本品の審議には参加できず、御退席となります。
 それでは、田倉委員、御退席をお願いいたします。
(田倉委員退席)
○事務局
 事務局でございます。退席が確認できましたので、事務局説明のほうに移らせていただければと思います。
○保険医療材料等専門組織委員長
 お願いいたします。
○事務局
(事務局より、保険適用原案について説明。)
○保険医療材料等専門組織委員長
 ありがとうございます。
 審議に先立ちまして、製造販売業者から意見表明を聞くこととなっております。
 では、事務局は、ベックマン・コールター株式会社の方にウェブ会議へ参加していただいてください。
(意見表明者入室)
○保険医療材料等専門組織委員長
 早速ですが、6分以内で意見を述べてください。
○意見表明者
 それでは、プロステートヘルスインデックス(phi)の保険適用について御説明をさせていただきます。よろしくお願いいたします。
 それでは、お手元の資料、通し番号で9ページを御覧ください。対象製品は、令和2年に薬事承認を取得いたしましたアクセス ハイブリテックp2PSAとなります。血清中の[-2]proPSAの測定をし、前立腺がんの診断の補助に使用いたします。
 次に、希望書の概要ですが、測定項目はプロステートヘルスインデックス(phi)の保険適用を希望しております。
 前述のproPSAと既に保険適用されておりますPSA、free PSAの3項目を組み合わせ、測定方法欄に記載されております式を用いましてphiを算出いたします。PSAがグレーゾーンとなった患者における前立腺がんの診断補助を目的としております。
 PSAグレーゾーンは、PSA値が基準値以上から10ng/mL以下の間で、前立腺がんと良性前立腺疾患が混在する領域を言います。
 希望点数は340点で、検査コストの内訳は10ページの表のとおりでございます。
 試薬費は、p2PSA、PSA、free PSAと3項目を使用していることに加え、とりわけp2PSAの輸入原価が高いことと、phiの開発や臨床研究費がかかっておりますので、割合が高くなっております。以上より340点を希望しております。
 続いて、11ページ、適用疾患は前立腺がんでございますが、今や男性で一番多いがんとなっております。
 phiとの関係は、遊離型PSA、結合型PSA、前駆体であるproPSA、3つの割合ががんになると変化してまいりますので、前立腺がんのマーカーとして活用がされます。
 12~14ページは既存の技術になりますが、現在前立腺がんの診断はガイドラインに記載されておりますとおり、スクリーニング1次・2次検査、確定診断、病期診断と大きく3つの段階を経て完結いたします。phiは、このスクリーニング2次検査に該当することが想定されます。
 次のページで2次検査について詳細を示します。PSAカットオフ値以上を示した患者は2次検査を受けますが、PSAの再測定に加え、主な検査として直腸診、経直腸的超音波、MRIを受けることになります。MRIは全施設で測定可能というわけではございませんので、「オプション」という記載にしております。
 また、補助的な検査として前立腺体積、F/T比などの検査もございますが、医師は裁量に基づき、検査を組み合わせて生検へ進むか否かの判断を行っております。
 こちら、最終的な前立腺がんの確定診断は針生検のみとなっておりますが、患者にとってかなりの苦痛を与えるため、必要な患者にのみ実施すべき検査とされております。
 15ページでは現状の課題を示します。PSAグレーゾーン領域では、針生検の陽性率は約3~4割と低く、実に全体の半数以上が不必要な針生検を受けていることになっております。このことから、不必要な針生検を減らすことが喫緊の課題とされ、二次検査の特異度を上げることが求められております。そこで、我々はphiを開発いたしました。
 16ページ、17ページではphiの有用性を4点お示しいたします。まず、左側の図、ROC曲線ですが、phiはどの既存マーカーよりも感度・特異度共に優れております。特異度が優れていることから、右側になりますが、現在保険収載されているF/T比と比べましても、陰性的中率がphiのほうが高く、不必要な針生検をより削減できます。
 次のページでは、phiは悪性度及び腫瘍体積と相関し、一方、F/T比は相関しないということが報告されております。
 また、MRIで見逃された臨床的に重要ながんがphiで検出された例もございます。
 以上のような有用性を踏まえまして、phi導入後の二次検査フロー案を18、19ページにて図で示します。左側は、先ほど御説明しましたとおり、現在の検査フローです。右側がphi導入後の検査フローになりますが、PSAグレーゾーンとなった場合に、直腸診、経直腸的超音波、MRIは現在と変更ございませんが、主検査としてphiを導入することが適切だと考えております。また、phiはPSAの再測定も同時に行います。
 20~21ページで、今後どのぐらいの本検査の適用患者数がいるかという試算になりますが、本品の推計適用患者数は約33万人と推測されます。予測販売高は約3億4000万円となる見込みでございます。
 また、針生検の推定施行者数でございますが、現行が約20万人に対し、phi導入後は約18万人となり、2万人程度削減することができ、マイナス8.8%の削減率になります。
 ここから次のページで医療経済効果を見てみますと、21ページの表のとおりでございます。針生検が約2万人減ることでおよそマイナス18億円の削減となっております。phiの検査費用追加分。
○事務局
 事務局でございます。時間となりましたので、御説明のほう、終了をお願いいたします。
○保険医療材料等専門組織委員長
 それでは、委員の方から御質問を受けたいと思うのですが、いかがでしょうか。
○委員
 非常に特異度・感度が高くて、有用なphiであるかと思うのですが、例えば臨床ではPSAが上昇するというときに、いわゆるインフラメーション、炎症であるとか腫大であるとかがんという3要素に関して、phiというのはどういった動向を示すのでしょうか。
○申請者(専門家)
 お答えさせていただきます。
 前立腺肥大症でPSAが上がるのですけれども、その中でphiは上がりづらいということが既に分かっています。炎症に関してもBPH、前立腺肥大と同様にphiは上がりづらいので、より炎症、BPHとがんの区別がつくということが日本の国内の共同研究の結果で分かっております。
○委員
 ありがとうございます。
 もう何点かよろしいでしょうか。
○保険医療材料等専門組織委員長
 お願いします。
○委員
 18ページのところで、phi導入後の生検のフローチャートを描いていただいているのですが、これはphiと直腸診と全ての検査をand、and、andで結んでいるので、この検査をやることによって当初からおっしゃっている必要な生検の3割を減らせるという状況なのでしょうか。
○申請者(専門家)
 これは直腸診とエコーの結果にかかわらず減らせます。今回の僕の臨床研究では直腸診とエコーを全例にやっているのですけれども、エコーが陰性の人、陽性の人というのが、通常の臨床での診療と妥当な割合で含まれていますので、例えば直腸診異常の人だけphiというのでもないし、エコー異常の人だけphiというのでもなくて、グレーゾーンの最優先の検査としてphiを行っていただいて、直腸診とエコーの結果にかかわらず、phiの結果を基に生検に進んでいただくということになると思います。
○委員
 ありがとうございます。
 あと、phiそのものでは、いわゆる今、臨床では先生方もお分かりのように、insignificant cancerをいかに、というのが一つの問題になるのですが、それでMRIとフュージョンをして、生検をしたりというのが行われているのですが、グリソンスコアの6、7とハイグレードの8~10で有意差があると示していただいたのですが、これは結構なphiの差ですね。要するに、70ぐらいから140ぐらい、倍ぐらいの差があると出るという状況になっていると思うのですけれども、phi自身が、要するに、significant cancerをよりディテクトできるという可能性はいかがでしょうか。
○申請者(専門家)
 これに関しても、phi自体はグリソンスコアが上がれば上がるほど高くなるという傾向がありますので、例えば非がんと全てのがんを鑑別するという場合には、phiを用いた場合、不必要な生検が35%除外できるのですけれども、例えば非癌及び大人しい癌(グリソン3+3)vs癌(グリソン3+4以上)ということで区別をするというふうにすると、phiを用いることで42%の不必要な生検を除外できますので、よりsignificant cancerを見つけやすいし、significant cancerを見つけるということでphiを用いると、より不必要な生検を除外できるというデータが出ています。
○委員
 分かりました。
 以上です。ありがとうございました。
○保険医療材料等専門組織委員長
 ほかに御質問はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、これで意見表明の聴取を終了いたします。
 意見表明者は御退室ください。
○意見表明者
 ありがとうございました。
(意見表明者退室)
○保険医療材料等専門組織委員長
 保険適用原案につきまして御議論をお願いいたします。いかがでしょうか。
○委員
 もともとPSAとfree PSAという考え方があって、それに関してよりがんのディテクション精度を高めようということがあったと思います。今回proPSAを併せることによって、そういうphiの公式というか、計算をしてそれをやるということなので、確かに感度・特異度が上がっているということはあるのですが、より新しくて、全く違うアプローチからやっているということとはちょっと違うと思うので、保険適用原案に同意したいと思います。
 以上です。
○保険医療材料等専門組織委員長
 ありがとうございます。
○委員
 臨床的有用性は明らかですし、基本的には保険適用原案に賛同いたします。
○保険医療材料等専門組織委員長
 ありがとうございます。
 ほかに意見はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、議決とさせていただきたいため、安田委員、矢冨委員におかれましては、議決の間、一時御退席をお願いいたします。
(安田委員、矢冨委員退席)
○保険医療材料等専門組織委員長
 それでは、安田委員、矢冨委員を除く先生方の御意見を集約いたしますと、アクセス ハイブリテックp2PSA、決定区分E3、保険点数281点ということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○保険医療材料等専門組織委員長
 ありがとうございます。
 それでは、事務局は、安田委員、矢冨委員、田倉委員に入室いただいてください。
(安田委員、矢冨委員、田倉委員再入室)

 

C1申請 ピュアスタット
 
○保険医療材料等専門組織委員長
 では、次にC1申請、ピュアスタットにつきまして御審議いただきます。まずは事務局から説明をお願いいたします。
○事務局
(事務局より、保険適用原案について説明。)
○保険医療材料等専門組織委員長
 ありがとうございました。
 それでは、審議に先立ちまして、製造販売業者から意見表明を聞くこととなっております。
 では、事務局は、株式会社スリー・ディー・マトリックスの方にウェブ会議へ参加していただいてください。
(意見表明者入室)
○保険医療材料等専門組織委員長
 早速ですが、6分以内で意見を述べてください。
○意見表明者
 スリー・ディー・マトリックスの□□と申します。よろしくお願いいたします。
 9ページ目をお願いいたします。まず、本品の概要について御説明させていただきます。一般名「吸収性局所止血材」。販売名「ピュアスタット」。使用目的または効果でございますが、消化器内視鏡治療における漏出性出血に対して、止血鉗子による焼灼回数の低減を目的として使用される吸収性局所止血材でございます。形状、構造ですが、本品はプレフィルドシリンジ形態の止血材でございます。止血の原理でございますが、血液等の体液との接触により、ペプチド水溶液(酸性)が中性化される、もしくは塩が供給されることで、ペプチドハイドロゲルを形成いたします。そのペプチドハイドロゲルが出血点を被覆することで物理的に止血、または出血点の同定に寄与することで、止血鉗子による焼灼回数の低減に寄与します。
 10ページ目をお願いいたします。適応疾患でございますが、適応症例といたしまして消化器内視鏡治療症例。対象出血といたしまして漏出性出血としております。しかしながら、拍動性及び噴出性出血には使用しないこととさせていただいております。
 実施医師でございますが、消化器内視鏡学会及び関連学会の専門医の有無は問わないが、消化器内視鏡治療における標準的な止血処置の技能を有することとさせていただいております。
 11ページ目をお願いいたします。既存の技術でございます。現在は消化器内視鏡治療時の出血に対して、主に以下の方法で止血が施行されております。1つ目は熱凝固法(組織凝固法)、2つ目は機械的止血法でございます。それぞれの長所でございますが、熱凝固法につきましては、比較的短時間で止血を達成できる。部位が正面視でなくても止血が可能である。一方、短所といたしましては、過度な処置は穿孔等の合併症のリスクがございます。
 機械的止血法でございますが、凝固法と比較して組織損傷が少ない。短所といたしましては、使用方法がやや煩雑で、部位によっては使用が困難と言われております。
 12ページ目をお願いいたします。現状の課題とアンメットニーズでございます。現状の課題といたしまして、出血点の同定が困難な出血においては止血置が困難。焼灼止血回数の増加は穿孔の発生リスクが高まる。3番目、過度な血管凝固処置は遅発性穿孔等の合併症のリスクが高まる。したがいまして、過凝固による遅発性穿孔を避けるため、出血点をピンポイントで把持し、必要最低限の通電にとどめる必要があると言われております。
 その上でのアンメットニーズでございますが、組織変性が少なく、低侵襲な止血処置、出血点を同定できる医療材料というものが求められております。
 13ページ目をお願いいたします。本品の有用性でございますが、3ポイント挙げさせていただいております。1点目、止血鉗子による焼灼回数を低減させること。本品の臨床試験として実施した内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)術中におけるTDM-621の有効性を検証するランダム化比較試験の試験成績からでございます。本品群とコントロール群でESD術中における止血鉗子による焼灼回数を比較いたしましたところ、本品群では1.0±1.4回、コントロール群では4.9±5.2回と有意差を持った群において止血鉗子による焼灼回数の低減が認められました。
 2番目、単独でも出血に対して約6割の止血を達成いたしております。
 14ページをお願いいたします。3つ目の有用性でございます。本品は透明なゲルであるため、術野を確保し、出血点の同定に寄与いたします。社内参考データといたしまして、申請者(専門家)に実施いただきました動物実験での写真を貼付させていただいております。
 15ページ目をお願いいたします。原価計算による償還価格。当社では原価計算方式により希望価格を算出させていただいておりまして、その希望価格は1mL当たり1万9900円とさせていただいております。
 16ページ目をお願いいたします。補正加算につきましては、計14ポイントを希望させていただいております。
 以上で弊社からの御説明を終了させていただきます。ありがとうございました。
○保険医療材料等専門組織委員長
 ありがとうございました。
 委員の方から御質問はございますでしょうか。いかがでしょう。
○委員
 よく分かりました。2点ほど質問させてください。1つは、これは、まいた後にゲル化するまでの時間はどれぐらいなのでしょうか。
○意見表明者
 1点目、スリー・ディー・マトリックスから返答させていただきます。弊社のピュアスタットでございますけれども、血液と接すると瞬時にゲル化するということが分かっております。
○委員
 ありがとうございます。
 あと、多分ESDをやるときは、場所とか体位によって流れる方向とかがいろいろあると思うのですが、この粘調度というのは、結構粘調で、それをまいたときに、病変の部位にかなり保持されるのでしょうか。それとも単位によっては、さーっと流れていってしまうような、水に近いものなのかというのを教えてもらえればと思います。
○意見表明者
 質問ありがとうございます。おっしゃられるとおり、重力の方向で多少条件が変わってくるところはあります。重力と反対方向になると、比較的さらっと流れることもあるかと思います。ただ、内視鏡治療中はかなり出血部位に接したような形で、内視鏡の先端にアタッチメント、透明のフードをつけておりますので、そういう状況下では場所によっての差というのはそれほど大きなものはないと考えております。
 以上になります。
○委員
 そうすると、1病変1mL、3mL、5mLの容量のものがあるわけですけれども、最大で5mLのものがあればそれなりに止血可能という形で、流れていってしまって、どんどん足さなければいけないみたいなことはあまりないという感覚でよろしいでしょうか。
○意見表明者
 治験のデータからもそのような場所によって大きな使用量の差というのは認められておりません。
 ありがとうございます。
○委員
 ありがとうございます。
○保険医療材料等専門組織委員長
 ほかに御質問はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、これで意見表明の聴取を終了いたします。
 意見表明者は御退室ください。
(意見表明者退室)
○保険医療材料等専門組織委員長
 保険適用原案につきまして御議論をお願いいたします。いかがでしょうか。
○委員
 我々、内視鏡でこれと製品は違うのですが、いわゆるゲル状になっていない、アリスタというデンプン粉末を使っていて特に問題はないですし、事務局の意見でいいかと思います。
 以上です。
○保険医療材料等専門組織委員長
 ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。
○委員
 基本的に使いやすいのだと思うのです。これは透明性があるので、確かに視野を確保しながら止血処置ができるという点では非常に便利でいいと思いますので、算定は保険適用原案に賛成いたします。
○保険医療材料等専門組織委員長
 ありがとうございます。
 ほかに御意見。お願いいたします。
○委員
 私も保険適用原案に賛同なのですけれども、1点確認ですが、留意事項案の(1)の記載を見ますと、全ての症例で診療報酬の明細欄に説明書きが必要ということを求めているというような理解でよろしいでしょうか。これは事務局に対する質問でございます。つまり、本来の目的で使ったものに関しても全て記載が必要という理解でよろしいでしょうか。
○事務局
 先生の御認識のとおりでございます。本品の適応疾患も踏まえまして、使用に当たっては医学的な必要性を摘要欄に記載することとしております。
 以上でございます。
○委員
 ありがとうございます。
 恐らく現場では噴出性の出血があって、クリップないし何かで止めて、その後、漏出性の出血があって、これを使うといったような場合も複合的に生じているというふうに思います。したがいまして、こういった説明書きを書くことによって適正使用に資するのではないかと思いますので、保険適用原案に対しては賛成でございます。
 以上でございます。
○保険医療材料等専門組織委員長
 ありがとうございます。
 ほかに御意見、御質問等はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、先生方の御意見を集約いたしますと、ピュアスタット、決定区分C1、保険償還価格1mL当たり1万3200円ということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○保険医療材料等専門組織委員長
 ありがとうございます。



E3申請 minor BCR-ABL mRNA測定キット「オーツカ」
 
○保険医療材料等専門組織委員長
 では、次にE3申請、minor BCR-ABL mRNA測定キット「オーツカ」につきまして御審議いただきます。
 まずは事務局から説明をお願いいたします。
○事務局
(事務局より、保険適用原案について説明。)
○保険医療材料等専門組織委員長
 ありがとうございました。
 審議に先立ちまして、製造販売業者から意見表明を聞くこととなっております。
 では、事務局は、大塚製薬株式会社の方にウェブ会議へ参加していただいてください。
(意見表明者入室)
○保険医療材料等専門組織委員長
 早速ですが、6分以内で意見を述べてください。
○意見表明者
 大塚製薬でございます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、通しページ番号で6ページを御確認ください。体外診断用医薬品として本邦で初めて承認をいただきましたminor BCR-ABL mRNA測定キットにつきまして御説明いたします。
 次は7ページでございます。本キットは、末梢血または骨髄液を用いて目的遺伝子であるminor BCR-ABL量と対照遺伝子であるABL量の比をパーセントで報告いたします。使用目的は、診断補助及び治療効果のモニタリングでございます。
 次は8ページでございます。Ph染色体は、ABL遺伝子とBCR遺伝子の切断と転座により形成されます。BCR-ABL1融合遺伝子は、Ph陽性ALL発症の直接的な原因遺伝子でございます。この融合遺伝子にはMajorタイプと本品の対象であるminorタイプの2つのタイプが存在いたします。
 次は9ページでございます。現在までminor BCR-ABLを測定項目とする体外診断薬は保険適用されておらず、保険区分は新項目のE3になります。
 準用検査技術は、Majorタイプを測定するD006-3 Major BCR-ABLを準用し、2,520点を希望しております。
 本品の1テスト当たりの検査費用は□□□□円と算出いたしました。
 次は10ページでございます。臨床症状や血液検査、骨髄検査からALLと診断されます。遺伝子タイプの特定には染色体検査や遺伝子検査がありますが、キメラ遺伝子スクリーニング検査に該当する体外診断薬はなく、診療報酬点数表に掲載されている項目はありません。本品は遺伝子検査により高感度の定量性を有するキットとして臨床に貢献することができます。
 11ページでございます。ALLの治療フローを本邦のガイドラインからお示ししております。ALLと診断されると同時にPh染色体の有無により治療フローが分かれます。Ph陽性となれば、TKI治療薬が選択されます。
 ALLにおきましては、第一寛解時に移植が推奨されております。一方、年齢等の理由により移植が適用されない患者様には、長期にTKIを使用することが推奨され、治療効果のモニタリングの役割も大きくなります。
 次は12ページでございます。先ほどの治療フローに本品の検査実施時期を追記いたしました。寛解導入療法、強化地固め療法と治療が進んでまいります。本品で得られる報告値の減衰から治療の奏功を確認することができます。
 臨床の先生方からは、1つの治療サイクルが終了した時点で治療効果を確認するための検査が望まれております。また、移植後の検査に関しては、本邦の移植ガイドラインに骨髄では6~8週ごと、末梢血では3~4週ごとと検査の実施時期が示されております。
 次は13ページでございます。このように、診断及びモニタリングの有用性をお示ししてまいりましたが、これまで承認された体外診断薬はありませんでした。臨床現場では自家調整試薬を用いて測定が実施されております。Ph陽性ALLにおける治療奏功の現実的な指標として、PCRで陰性になることが求められております。そのため、高感度の定量性を有するキットの開発が望まれており、また、臨床で使用できるようにと2020年、日本血液学会から保険適用に関する要望書が提出されております。
 次は14ページでございます。ここから数枚のスライドで実施いたしました臨床性能試験について報告いたします。本試験は、ALL疑いの患者様を対象に、□□□□□□□□□□□□実施いたしました。主要評価項目は、1番、キメラ遺伝子スクリーニング検査と本品の一致率。2番、自家調整試薬または海外の研究用試薬を対照試薬A、対照試薬Bとし、本品との相関性を検討いたしました。
 次は15ページでございます。対照検査との一致率の結果をお示ししております。骨髄液、末梢血共に陽性一致率、陰性一致率、全体一致率は、いずれも90%以上と高い一致率が得られました。
 次は16ページでございます。対照試薬との相関性の結果になります。対照試薬A、対照試薬Bとも、骨髄液、末梢血それぞれに良好な相関を認めました。
 次は17ページでございます。症例1における本品、対照試薬A、対照試薬Bのminor BCR-ABL値をお示ししております。適切にBCR-ABL値をモニタリングすることで病態を把握し、早期に再発を捉えることができます。
 次は18ページでございます。最後に本品と準用技術の比較をお示しいたします。両検査とも、測定原理、使用目的は同じであり、測定遺伝子はminorとMajorでタイプは異なりますが、いずれもBCR-ABLを対象としております。本品を臨床現場でお役立ていただけるようにこれからも力を尽くしてまいりたいと思います。
 意見表明は以上でございます。ありがとうございました。
○保険医療材料等専門組織委員長
 ありがとうございました。
 それでは、委員の方から御質問はございますでしょうか。
○委員
 これはフィラデルフィア陽性ALLの診断補助治療モニタリングに大変重要な検査で、臨床的有用性も高いです.御説明もそれを支持するものだったと思います。特に質問はございません。
○意見表明者
 ありがとうございます。
○保険医療材料等専門組織委員長
 ほかに質問はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、これで意見表明の聴取を終了いたします。
 意見表明者は御退室ください。
○意見表明者
 ありがとうございました。
(意見表明者退室)
○保険医療材料等専門組織委員長
 ありがとうございます。
 保険適用原案につきまして御議論をお願いいたします。どうぞ。
○委員
 これは、今、申し上げましたように、フィラデルフィア陽性ALLの診断補助と治療モニタリングに絶対必要な検査で、同じ手法でCMLに対してMajor BCR-ABLの同様な体外診断薬がございまして、それと同じ点数ということで、非常に明快で、保険適用原案で全く問題ないと思います。
○保険医療材料等専門組織委員長
 ありがとうございます。
 ほかに御意見、質問等ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、議決とさせていただきたいため、前原委員、安田委員におかれましては、議決の間、一時御退席ください。
(前原委員、安田委員退席)
○保険医療材料等専門組織委員長
 それでは、前原委員、安田委員を除く先生方の御意見を集約いたしますと、minor BCR-ABL mRNA測定キット「オーツカ」、決定区分E3、保険点数2,520点ということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○保険医療材料等専門組織委員長
 ありがとうございます。
 それでは、事務局は、前原委員、安田委員に入室いただいてください。
(前原委員、安田委員再入室)

 

C1申請 Micra 経カテーテルペーシングシステム
 
○保険医療材料等専門組織委員長
 では、次にC1申請、Micra 経カテーテルペーシングシステムにつきまして御審議いただきます。
 安田委員におかれましては、利益相反の申告によりまして本品の審議には参加できず、御退席となります。
 それでは、安田委員、御退席、お願いいたします。
(安田委員退席)
○事務局
 事務局でございます。委員の退席が確認できましたので、事務局説明のほうに移らせていただければと思います。
○保険医療材料等専門組織委員長
 お願いします。
○事務局
(事務局より、保険適用原案について説明。)
○保険医療材料等専門組織委員長
 ありがとうございます。
 審議に先立ちまして、製造販売業者から意見表明を聞くこととなっております。
 では、事務局は、日本メドトロニック株式会社の方にウェブ会議へ参加していただいてください。
(意見表明者入室)
○保険医療材料等専門組織委員長
 早速ですが、6分以内で意見を述べてください。
○意見表明者
 ありがとうございます。Micra AVの意見表明を開始いたします。
 9ページに移ります。本品は、リード一体型で初のデュアルチャンバ型のペースメーカです。リード一体型とは、図表1のようにカテーテルにて留置できる小型のペースメーカです。
 図表2を御覧ください。現在リード一体型は存在しますが、シングルチャンバ型と呼ばれるもので、機能の限界から限定的な適応で使用されています。デュアルチャンバ適応の患者様は、リード一体型を使用することはできず、従来からある経静脈型を使用せざるを得ませんでした。経静脈型は独自の合併症リスクが知られております。本品はリード一体型初のデュアルチャンバ型となることから、安全性が高いというリード一体型の恩恵をより多くの患者様にお届けできるイノベーティブな医療機器です。
 10ページにおいては、背景情報としてデバイス構造をお話しさせていただきます。経静脈ペースメーカは、左上に書かれているように、鎖骨下ポケットにジェネレータを植え込み、血管内を通してリードを留置します。経静脈型は長い歴史を持ちますが、その構造上、リードやポケット関連の合併症があることが知られていました。リード一体型は小さなカプセル型で、カテーテル留置が可能であるため、経静脈型特有の合併症がありません。類似機能区分新設時の中医協においても、ペースメーカ特有の有害事象がないことが評価されました。
 その後の市販後レジストリにおいても、経静脈型と比較して合併症が少ないことが報告されています。スライド右下の図表1を御覧ください。黄色い線が経静脈型、紺やグレーの線がリード一体型の累積合併症発症率の推移です。63%の合併症リスク低減であることが報告されています。
 続いての背景情報はモードです。経静脈型は、より生理的なペーシングを実現するために進化する中でモードを発展させてきました。スライド上部の表を御覧ください。VVIと呼ばれるモードは、心室におけるセンシング及びペーシングを実現します。VDD及びDDDモードはデュアルチャンバ型と呼ばれています。VDDは心室でのセンシングとペーシングだけではなく、心房センシング機能も搭載されています。これによって心房の動きに合わせた心室へのペーシングは可能となり、より生理的なペーシングに近づきます。DDDは心房でのペーシングの追加されたタイプです。3つのモードを比較すると、右に示されているモードがより生理的なペーシングにおいて重要な心房と心室の同期、AV同期を実現するモードです。
 AV同期を実現することの重要性を左下にまとめております。仮にAV同期が十分でないと血流量が低下することになり、ペースメーカ症候群や心房細動のリスクが高まります。
 このような背景から、デバイス選択はペーシング効果と安全性のバランスを見て選択されます。経静脈型においては、リード2本の植え込みに問題がなければ、DDD可能なペースメーカを植え込むことが多いです。
 リード一体型において類似機能区分はシングルチャンバペースメーカ適応と限定されています。本品はVDD機能を実現するデュアルチャンバ型として、モードごとの効果と安全性のバランスを考慮して使い分けが進められていくと考えられます。
 スライドをめくりまして、類似機能区分と比較した本品の特徴です。本品は、心房センシングという機能が追加されながら、構造、留置位置、手技が同一です。このことから植え込み時の侵襲性は同等です。一方で、類似機能区分と異なるのは、加速度計による心房センシング機能がある点です。心室内に留置された本品が血流によって動くことで、現在の心房の動きを把握するというメカニズムです。
 次のスライドは、本品による臨床上の有用性です。まずは心機能である心房センシング機能です。シングルチャンバ型の課題としてAV同期がないことから、生理的なペーシングではないことが挙げられます。AV同期がない状況においては、血流量の低下によるペースメーカ症候群や心房細動のリスク増加があります。ペースメーカ症候群は、めまいや失神、胸部違和感、息切れなどの症状を引き起こし、心房細動は長期的な脳梗塞や心不全リスクにつながります。
 対しまして、本商品は、心房センシング機能を有することでAV同期の改善をもたらします。MARVEL2試験においては、シングルチャンバよりも有意義な改善とみなされるAV同期率である70%を超える80%の同期率を示しました。
 続いての臨床上の有用性は、今まで使用できなかった患者様への効果です。類似機能区分の適応は、上市時に公表された学会からの使用要件等基準において心室シングルチャンバ型に適した患者と指定されています。
 対しまして、本品は、AV同期を実現するデュアルチャンバ型です。このことから、デュアルチャンバペースメーカ適応の患者様にも使用いただける初のリード一体型のペースメーカとなります。
 続いての臨床上の有用性は、置き換わり元である経静脈型患者に対して、より安全性の高いリード一体型という治療法を提供できるという点です。本品と同じ安全性プロファイルを有する類似機能区分は、市販後レジストリにおいて、経静脈型と比較して63%の合併症リスク低減が示されています。
 最後の臨床上の有用性は、今後の治療の主流となる可能性です。本品は現在未上市ですが、最新ガイドラインにおいて項目を立てて紹介されています。このように本品は、リード一体型ペースメーカとして初のデュアルチャンバ型として臨床的有用性があることから、類似機能区分と比較して25%の加算を希望いたします。
 以上で企業からの意見表明は終了です。
○保険医療材料等専門組織委員長
 ありがとうございました。
 それでは、委員の方から御質問はございますでしょうか。いかがでしょうか。
○委員
 一番最初の初期のやつですね。最初のときもよく伺いました。これは今後の発展が非常に期待される形で、予定どおりの機能が追加されたのだと考えておりますけれども、具体的に伺っていなかったのですが、心房のセンシングが通常の、例えばVDDで経静脈的に入れた場合に、心房のセンシングについての優劣といいますか。あまり差がなかったからこのように出てきたのだと思うのですが、実際のところどの程度の心房のセンシング率といいますか、キャプチャー率になるのでしょうか。
○意見表明者
 御質問ありがとうございます。
 本品のキャプチャー率及びVDDとの比較について、薬事的な観点で弊社より回答させていただきます。
○意見表明者
 VDDですと、9割以上のセンシング率があると思います。それに対しまして、本品では8割5分ぐらいのセンシング率になります。今回に関しましては、同期率が7割を超えるということが臨床学的に意味がある閾値ではないかということがありましたので、それを指標として試験を行っております。
○委員
 分かりました。私もその辺は理解できるのですが、それぐらいで病態にとって有利になるということは想像がつきますので、やはり経静脈的リードが入ると入らないもの、そちらのメリット・デメリットを考えると、センシングレート、要するに、キャプチャー率でもそれぐらいのものであれば、トータルではアドバンテージがあるのだなというふうに理解いたしました。
 ありがとうございました。
○保険医療材料等専門組織委員長
 ほかに御質問はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、これで意見表明の聴取を終了いたします。
 意見表明者は御退室ください。
(意見表明者退室)
○保険医療材料等専門組織委員長
 保険適用原案につきまして御議論をお願いいたします。いかがでしょうか。
○委員
 事務局のこのような判断は、有用性の加算10%ということですね。先ほども言いましたように、通常の経静脈VDDを凌駕するというよりも、トータルではいいだろうというところなので、実際にデバイスとしてまだ進化してくると思いますので、今回の評価で僕は正当な評価ができていると考えております。
○保険医療材料等専門組織委員長
 ありがとうございます。
 ほかに御意見はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 では、議決とさせていただきたいため、渡邉委員におかれましては、議決の間、一時御退席をお願いいたします。
(渡邉委員退席)
○保険医療材料等専門組織委員長
 それでは、渡邉委員を除く先生方の御意見を集約いたしますと、Micra 経カテーテルペーシングシステム、決定区分C1、保険償還価格117万円ということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○保険医療材料等専門組織委員長
 ありがとうございます。
 それでは、事務局は、安田委員、渡邉委員に入室いただいてください。
(安田委員、渡邉委員再入室)
 
 

 

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