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2018年7月3日 第1回「労災保険の業種区分に係る検討会」議事録

労働基準局 労災管理課 労災保険財政数理室

○日時

平成30年7月3日(火)10:00~11:45

 

○場所

経済産業省別館310号会議室
(東京都千代田区霞が関1-3-1)

○出席者

委員(五十音順)

岡村 国和 (獨協大学経済学部教授)

片寄 郁夫 (株式会社りそな銀行年金業務部主席数理役(アクチュアリー))

小西 康之 (明治大学法学部教授)

花岡 智恵 (東洋大学経済学部准教授)

皆川 農弥 (東京海上日動火災保険株式会社企業商品業務部保有企画グループ担当課長(アクチュアリー))

森戸 英幸 (慶應義塾大学大学院法務研究科教授) (座長)
 

事務局

井上審議官(労災・賃金担当)、河野労災管理課長、久野労災保険財政数理室長、石原中央職業病認定調査官、平田労災保険財政数理室長補佐

○議題

 (1)労災保険率設定の基本的考え方等について(報告)
 (2)労災保険の業種区分及び適用事業細目の現状等について(報告)
 (3)労災保険の業種区分及び適用事業細目の課題等について
 (4)その他

○議事

○労災保険財政数理室室長補佐 ただいまから、第1回労災保険の業種区分に係る検討会を開催させていただきます。委員の皆様におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして誠にありがとうございます。私は、事務局の労災保険財政数理室において室長補佐をしております平田です。座長が選出されるまでの間進行させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
 報道の機関の方々、傍聴の方々におかれましては、写真撮影は以上までとさせていただきますので御協力ください。以後、写真や動画の撮影、録音等については御遠慮いただきます。
 検討会の開催に当たり、大臣官房審議官の井上より御挨拶をさせていただきます。
○井上審議官 おはようございます。厚生労働省で、労災・賃金担当の審議官をしております井上です。本日は御多忙のところ、労災保険の業種区分に係る検討会に御参集いただきましてありがとうございます。日頃より、労働基準行政の運営、取り分け労災保険制度の健全な運営について、皆様には御理解と御協力を賜っておりますことをこの場をお借りして御礼申し上げます。
 御案内のように、労災保険制度の適用事業数は約280万事業場、適用労働者数は約5,700万人となっています。労災保険の料率は、産業ごとの災害率等に応じて54の区分に分けて設定し、3年ごとに改定をしております。この業種の区分については、労働災害防止のインセンティブを有効に機能させるという観点から、産業構造の変化や労働災害発生状況等の変化を勘案して見直しを行う必要があります。
 最近では、平成18年度労災保険率改定において、「その他の各種事業」から「通信業、放送業、新聞業又は出版業」「卸売業・小売業、飲食店又は宿泊業」「金融業、保険業又は不動産業」を分割し、平成27年度労災保険率改定においては、「たばこ等製造業」を「食料品製造業」に統合しております。現行の業種区分の中には、「その他の各種事業」のように、事業場数や労働者数が、全体の3割以上を占める大きな保険集団も存在しており、現在、業種区分について改めて検討することが必要な状況となっております。
 本検討会においては、次回平成33年度労災保険率改定に向けて、「その他の各種事業」の業種区分をどのように見直すべきかについて御検討をいただきたいと考えております。皆様方からは、それぞれの専門分野に基づく御知見を賜りたく、簡単ではございますが挨拶とさせていただきます。よろしくお願い申し上げます。
○労災保険財政数理室室長補佐 本日は第1回ということで、最初の検討会ですので、委員の皆様を御紹介させていただきます。獨協大学経済学部教授の岡村委員です。りそな銀行年金業務部主席数理役の片寄委員です。明治大学法学部教授の小西委員です。慶應義塾大学大学院法務研究科教授の森戸委員です。東洋大学経済学部准教授の花岡委員です。東京海上日動火災保険株式会社企業商品業務部保有企画グループ担当課長の皆川委員です。なお、本日は法政大学経済学部教授の酒井委員、亜細亜大学法学部准教授の中益委員からは、所用により欠席との御連絡をいただいております。
 続いて本検討会の事務局を御紹介いたします。先ほど挨拶させていただきました審議官の井上です。労災管理課長の河野です。労災保険財政数理室長の久野です。中央職業病認定調査官の石原です。
 座長の選出に移ります。資料の1ページ目、右上に資料1-1とある、労災保険の業種区分に係る検討会開催要綱を御覧ください。真ん中よりやや下の3番の検討会の運営の(2)「本検討会には座長を置き、参集者の互選により選出する」とありますので、これに基づいて座長の選出を行わせていただきます。座長の選出については、事前に事務局より各委員の皆様に御相談させていただいたとおり、森戸委員にお願いしたいと考えておりますが、よろしいでしょうか。
                                   (異議なし)
○労災保険財政数理室室長補佐 ありがとうございました。特段異論もなく御賛同をいただきましたので、本検討会の座長を森戸委員にお願いいたします。以降の議事の進行は森戸座長にお願いいたします。
○森戸座長 森戸です。座長を務めさせていただくことになりましたので、どうぞよろしくお願いいたします。議題に入ります。議題(1)労災保険率設定の基本的考え方等について事務局より説明をお願いします。
○労災保険財政数理室長 労災保険財政数理室長の久野と申します。よろしくお願い申し上げます。それでは、1ページの本検討会の開催要綱についてご説明申し上げます。まず「1.検討会の趣旨・目的」でございますが、労災保険の適用事業場数は279万事業場、適用労働者数は5,748万人となっており、労災保険率は54に区分した業種ごとに、災害率等に応じて設定しており、3年ごとに改定してございます。
 この業種区分については、産業構造や労働災害発生状況等の変化を勘案して随時見直しを行ってきております。近年では、平成18年度労災保険率改定において、「その他の各種事業」から「通信業、放送業、新聞業又は出版業」、「卸売業・小売業、飲食店又は宿泊業」、「金融業、保険業又は不動産業」の3つの業種を分離・独立させてございます。また、平成27年度の労災保険率改定においては、「たばこ等製造業」を「食料品製造業」に統合してございます。
 労災保険率は業種別に設定しておりますが、これは財政方式やメリット制とともに、事業主の保険料負担の公平性を確保するとともに、労働災害防止インセンティブを有効に機能させるために行っているものでございます。しかしながら現在の業種区分を見てみますと、「その他の各種事業」のように、全体の3割以上を占める大きな保険集団も存在しており、事業主の保険料負担の公平性の確保と労働災害防止インセンティブの観点から、業種区分の検討が必要と考えてございます。そこで平成33年度の労災保険率改定に向けて、業種区分の見直し案を作成することを目的として、本検討会を開催するものでございます。
 次に「2.検討会の検討課題」でございますが、「その他の各種事業」における業種区分についてご検討をお願いしたいと考えてございます。次に「3.検討会の運営」でございます。(4)のところでございますが、「本検討会の議事については、別に本検討会において申し合わせた場合を除き、公開とする」としてございます。次の2ページでは、本検討会の先生方を五十音順にご紹介してございます。以上が本検討会の開催要綱についてでございます。
 続いて、3ページの「労災保険制度の概要」について簡単にご紹介申し上げます。労災保険は、労働者の業務災害及び通勤災害に対して、迅速・公正な保護をするために保険給付を行い、あわせて被災労働者の社会復帰の促進、被災労働者及び遺族の援護、労働者の安全衛生の確保等を図ることにより、労働者の福祉の増進に寄与することを目的としております。
 労働者の業務災害については、使用者は労働基準法に基づく災害補償責任を負っていますが、労災保険給付が行われる場合には、この責任は免除されることとなっております。労災保険は、労働者を使用する全ての事業に適用され、その費用は原則として事業主の負担する保険料によって賄われております。
 労災保険では、療養補償給付、休業補償給付、障害補償給付、遺族補償給付などの保険給付の他、被災労働者の遺児等への就学援護費の支給等の社会復帰促進等事業を行ってございます。
 要綱の中でも一部御紹介いたしましたけれども、基本データを掲載してございます。適用事業場数は約279万事業場、適用労働者数は約5,748万人、新規受給者数が約63万人で、年金受給者数が約22万人などとなってございます。
 次の4ページに、樹形図の形で労災保険制度の概要を整理してございます。先ほどご紹介しなかった保険給付として、傷病補償年金、介護補償給付、二次健康診断等給付等がございます。また、保険給付のうち年金で給付するものとしては、傷病補償年金、障害補償年金、遺族補償年金、特別遺族年金の4つがございます。
 次に5ページの「労災保険の経済概況」についてでございます。平成28年度の決算のところをご覧いただきますと、収入については、収入全体で1兆2,237億円、そのうち保険料収納額が8,717億円、利子収入が1,305億円となってございます。一方、支出については、全体で1兆1,914億円、そのうち保険給付費が8,312億円、社会復帰促進等事業費が607億円となっております。決算上の収支は323億円で、積立金の累計額は7兆8,938億円となっております。
 注1のところにございますが、後ほどまたご説明申し上げますけれども、資産としての労災保険の積立金は、既裁定の労災年金受給者への将来の年金給付費用、すなわち確定的な債務に充てるための原資として積み立てているものでございます。
 次に6ページの「労災保険率設定の基本的考え方」についてでございます。労働保険徴収法において、労災保険率は、業種ごとに過去3年間の保険給付等に基づき算定した保険給付に要する費用の予想額を基礎として、過去3年間の災害率等、社会復帰促進等事業及び事務執行に要する費用の予想額その他の事情を考慮して定めると規定されております。
 この規定に基づきまして、平成17年3月25日に「労災保険率の設定に関する基本方針」が制定されており、以後、この基本方針に従って労災保険率を設定してございます。この基本方針につきましては後ほどご説明申し上げます。また、労災保険率の改定については、労働政策審議会の労災保険部会での検討を経た後、省令改正手続を行うこととなってございます。
 下に表がございますが、労災保険率を要素ごとに分解したものでございます。労災保険率は、業務災害分と、非業務災害分、これは通勤災害及び二次健康診断等給付分ですが、それと社会復帰促進等事業及び事務執費用分、それから、年金積立調整費用に大きく分類できます。このうち業務災害分については、業種ごとに異なる料率を設定しております。一方、非業務災害分、社会復帰促進等事業及び事務執行費用分、それから年金積立調整費用につきましては、全業種一律の料率を設定しております。
 また、業務災害分につきましては、短期給付分と長期給付分に分けられます。短期給付分とは、療養補償給付、休業補償給付等の年金以外の保険給付分のことでございます。この短期給付分につきましては、純賦課方式、すなわち一定期間、3年間の収入と支出が均衡するように算定してございます。一方、長期給付分とは、年金での保険給付分のことでございます。長期給付分につきましては、充足賦課方式により算定してございます。すなわち、労災事故の責任は労災事故発生時点の事業主集団が負うべきであるという観点から、災害発生時点の事業主集団から、将来にわたる年金給付に要する費用を全額徴収するという考えで算定しており、将来給付分については積立金として保有してございます。
 次の7ページは、年金の保険給付について、積立金と保険料収入がどのようにバランスしているかをイメージ図で表現したものでございます。
 次に8ページですが、先ほど登場いたしました「労災保険率の設定に関する基本方針」でございます。この基本方針につきましては、平成16年度に行われた「労災保険料率の設定に関する検討会」においてご検討いただいた結果を踏まえ、平成17年3月25日に制定したものであり、以後の労災保険率の設定につきましては、この基本方針に基づいて行われてきてございます。本検討会に最も関係する箇所が「1業種別の設定」のところでございます。労災保険率は業種別に設定する。労災保険の業種区分は、労働災害防止インセンティブを有効に機能させる観点から、作業態様や災害の種類の類似性に着目して、災害率を勘案して分類する。その際には、費用負担の連帯性の下に、労働災害防止活動を効果的に浸透させていくことのできる業界団体等の組織状況等について斟酌しつつ、保険集団の規模及び日本標準産業分類も勘案するとされてございます。
 この他、先ほど申し上げました短期給付分については3年間の収支が均衡する純賦課方式により算定することや、長期給付分の年金については災害発生時点の事業主集団から、将来給付分も含め、年金給付等に要する費用を全額徴収するという充足賦課方式により算定すること等について記載されてございます。
 次に10ページですが、「労災保険のメリット制」についてでございます。先ほど開催要綱のところで触れましたけれども、メリット制もまた業種ごとの料率設定とともに、事業主の保険料負担の公平性を確保するとともに、労働災害防止インセンティブを機能させる仕組みでございます。労災保険率は、業種ごとに定めておりますが、業種が同一であっても、労働災害防止活動の如何等によって、個々の事業ごとの災害発生状況には差が認められます。そこで、業種ごとの労災保険率を個々の事業場に適用する際に、個別の事業場の災害の多寡に応じて、労災保険率又は保険料を増減することで、事業主の保険料負担の公平性の確保や、災害防止努力の促進を図るものでございます。
 簡単な紹介になりますけれども、継続事業及び一括有期事業のうち、一定の規模要件を満たすものについては、3年間の保険料額と、保険給付額との収支率に応じて、最大±40%の範囲で労災保険率を増減するというものでございます。また、単独有期事業のうち、一定の規模要件を満たすものについては、当該単独有期事業における収支率に応じて±40%の範囲で確定保険料を増減するというものでございます。
 次に11ページの「労災保険率について」でございます。ここからは、平成30年度の労災保険率改定についてでございます。平成30年4月1日の労災保険率改定の内容を見てみますと、労災保険率の最低水準は2.5厘で、「金融業、保険業又は不動産業」など5つの業種で2.5厘となっております。最高は「金属鉱業、非金属鉱業又は石炭鉱業」の88厘となってございます。
 左側の労災保険率の推移をご覧いただきますと、近年においては改定ごとに低下しております。平成30年度改定では、平均して4.5厘となっております。パーセントで表すと0.45%でございます。また、右側に吹き出しの形で記載しておりますが、労災保険率を要素別に示してございます。全体の4.5厘の内訳ですが、業務災害の短期給付分が2.22厘、長期給付分が1.18厘、非業務災害分、すなわち通勤災害と二次健康診断等給付分をあわせて0.6厘、社会復帰促進等事業及び事務執行費用分が0.9厘、年金積立調整費用分が-0.4厘となってございます。
 次の12ページでは、54業種ごとの労災保険率を掲載してございます。一番下から2番目の94番「その他の各種事業」の料率は3厘となっており、据え置きとなってございます。
 以上、はなはだ簡単ではございましたけれども、開催要綱と、労災保険率設定の基本的考え方等についての説明となります。
○森戸座長 ただいまの事務局の説明について御意見、御質問はありますか。取りあえずはよろしいでしょうか。時間があれば、また今の資料についての御質問等も受けられると思います。引き続いて議題(2)労災保険の業種区分及び適用事業細目の現状等について事務局から説明をお願いします。
○労災保険財政数理室長 それでは13ページの「労災保険の業種について」ご説明申し上げます。労災保険の業種につきましては、2段階の階層からなってございます。1段目の階層が事業の種類、すなわち業種でございまして、徴収法施行規則第16条及び別表第1に示されてございます。料率を設定する区分であり、54種類の業種がございます。2桁の番号で定義、管理されてございます。
 その下の2段目の階層が、労災保険率適用事業細目でございまして、告示で示されてございます。業種を更に細分化したものであり、161種類の細目がございます。細目については、保険関係成立時に個々の事業に適用され、4桁の番号で定義されてございます。4桁の番号のうち頭の2桁は、上の階層の業種と同じ番号になっております。なお、細目のより詳細な内容は、労働基準局長通達の「労災保険率適用基準」に記載されてございます。
 次の14ページから25ページまでは、適用事業細目表を掲載してございます。3列目が事業の種類、すなわち業種で、その隣の4列目が細目でございます。ページが飛んで恐縮ですが、24ページの下側の94番「その他の各種事業」のところをご覧いただきますと、「その他の各種事業」には、「9411広告、興信、紹介又は案内の事業」から始まり、次の25ページの一番上の「9416前各項に該当しない事業」までの17個の細目がございます。
 次の26ページは、「94その他の各種事業」の17個の各細目について、それぞれの細目に対応する日本標準産業分類の中分類として考えられるものを例示してございます。細目と日本標準産業分類の中分類が1対1に対応しているというものではなく、細目に対応すると考えられる中分類については、基本的に記載する方向で整理しているため、異なる細目に対して同じ中分類が対応しているものもございます。
 27ページの細目「9425教育業」のところをご覧いただきますと、「教育業」には、日本標準産業分類中分類の81番の「学校教育」と、82番の「その他の教育、学習支援業」が対応する中分類として考えられると整理したものでございます。一番下の細目「9416前各項に該当しない事業」については、次の28ページに別掲として掲載してございます。
 次に29ページの「労災保険率適用基準」についてご説明申し上げます。13ページのところで適用事業細目のより詳細な内容については、労働基準局長通達の「労災保険率適用基準」に記載されている旨申し上げましたけれども、その第1章から一部分を抜粋したものでございます。最初のところですが、個々の事業に対する労災保険率の適用については、丸1事業の単位、丸2その事業が属する事業の種類、丸3その事業の種類に係る労災保険率の順に決定するとされてございます。
 「第1 事業の単位」の「1事業の概念」のところですが、労災保険において事業とは、一定の場所においてある組織のもとに相関連して行われる作業の一体をいうとされております。「2適用単位としての事業」のところですが、一定の場所において、一定の組織の下に相関連して行われる作業の一体は、原則として一の事業として取り扱うとされてございます。このように事業の単位は、企業や会社という単位ではなく、一定の場所における事務所、支店、工場、工事現場等の事業場の単位となっております。
 次の30ページの「第2 事業の種類」についてですが、一の事業の事業の種類、すなわち業種の決定は、主たる業態に基づいて告示の「労災保険率適用事業細目表」により決定するとされてございます。
 続く「第3 労災保険率」についてですが、労災保険率は、決定された事業の種類、すなわち業種に基づいて徴収法施行規則の別表第1の「労災保険率表」により決定するとされてございます。
 次に31ページの「労災保険率の改定経過表」についてでございます。ここでは、これまでに行われた業種区分の再編についてご説明申し上げます。太線で囲んだところが業種区分を再編したところであり、脚注に再編の内容を簡単に記載してございます。製造業の中ほどに、「コンクリート製造業」がございますが、この「コンクリート製造業」については、平成10年4月に、「その他の窯業又は土石製品製造業」から分離・独立させた業種でございます。また、同じく平成10年4月には、鉱業のところでございますが、「金属又は非金属鉱業」と「石炭鉱業」を統合してございます。次に、一番上の林業のところですが、平成15年4月に「木材伐出業」と「その他の林業」を統合してございます。
 資料の下の方になりますが、平成18年4月には、「その他の各種事業」から、「通信業、放送業、新聞業又は出版業」、「卸売業・小売業、飲食店又は宿泊業」、「金融業、保険業又は不動産業」の3つの業種を分離・独立させてございます。これは産業構造の変化に伴い、「その他の各種事業」の中にリスクの異なる様々な集団が含まれていることを踏まえ、事務従事者割合の比較的高い業種の中で、保険集団としての規模、日本標準産業分類等を考慮して分離・独立させたものでございます。直近の再編は製造業でございます。たばこ等製造業の保険集団が縮小していることや、作業態様の類似性等を踏まえて、平成27年4月に、「食料品製造業」と、「たばこ等製造業」を統合してございます。
 次に32ページですが、近年に行った細目の見直しについてでございます。先ほど平成18年4月に、「その他の各種事業」から「通信業、放送業、新聞業又は出版業」、「卸売業・小売業、飲食店又は宿泊業」、「金融業、保険業又は不動産業」の3つの業種を分離・独立させたと申し上げましたけれども、その際に、新設した3つの業種のそれぞれに細目を新設してございます。例えば、新設した業種の「通信業、放送業、新聞業又は出版業」には3つの細目、「9701通信業」、「9702放送業」、「9703新聞又は出版業」を新設してございます。
 また、新設した業種の「卸売業・小売業、飲食店又は宿泊業」と「金融業、保険業又は不動産業」にもそれぞれ3つの細目を分離・独立にあわせて新設してございます。また、同じく平成18年4月には、平成15年当時の細目「9414医療保健、法務、教育、宗教、研究又は調査の事業」というのがありましたが、それを分割して3つの細目、「9426研究又は調査の事業」、「9425教育業」、「9424医療保健業」を新設してございます。平成26年4月におきましても細目の再編を行ってございます。平成18年に新設した「9425教育業」と、「9424医療保健業」について再度再編してございます。「その他の各種事業」の中で最大の規模となっていた「医療保健業」が、大きく「医療」と「福祉」に二分できることを踏まえて、データを収集・整理した結果に基づき、社会政策的な見地から検討できるようにするため、細目を再編して、「9431医療業」と「9432社会福祉又は介護事業」を新設してございます。
 また、従前より幼稚園を「教育業」、保育所を「医療保健業」の適用としていたところですが、認定こども園が登場したことを踏まえ、「医療保健業」の再編とあわせて、「9433幼稚園」、「9434保育所」、「9435認定こども園」の細目を新設してございます。さらに、労働者が多数であること等を踏まえ、当該業種の分離・独立を検討できるよう、データの収集・整備を図るために、「9436情報サービス業」を細目として新設してございます。また、上の方になりますけれども、同じく平成26年4月には、製造業に係る細目の再編をしてございます。製造業においては、保険集団の大きさと比べて、業種区分がきめ細かく設定されていることを踏まえ、業種の区分の数と細目の数を一致させることを原則とする簡素化を図ってございます。
 次に33ページの「業種区分の見直しに係る考え方」についてご説明申し上げます。近年の業種区分の見直しは、平成17年に制定された「労災保険率の設定に関する基本方針」及び平成25年に取りまとめられた「労災保険の事業の種類に係る検討会報告書」で整理された考え方に基づいて行われてきております。平成17年制定の「労災保険率の設定に関する基本方針」におきましては、先ほど申し上げましたとおり、業種区分は労働災害防止インセンティブの観点から、作業態様や災害の種類の類似性に着目して、災害率を勘案して分類する。その際には、費用負担の連帯性の下に労働災害防止活動を効果的に浸透させていくことのできる業界団体等の組織状況等について斟酌し、保険集団の規模、日本標準産業分類も勘案するとされてございます。また、平成25年の「労災保険の事業の種類に係る検討会報告書」におきましては、業種の区分の再編は、平成17年の「労災保険率の設定に関する基本方針」を基本とするとされており、次のことも考慮すべきとされてございます。
 (1)の業種の区分の分離につきましては、丸1その他の各種事業のような大きな保険集団を分離するときには、関係業界団体等の組織・活動状況が、労働災害防止活動を期待できるような状況であること。丸2新たに分離した業種の労災保険率が、労働災害防止のインセンティブを事業主に喚起させるような労災保険率であることとされてございます。
 ここで丸2について若干の補足を申し上げますと、この記述は、具体的な料率試算値を算出して議論することを前提としたものではないということでございます。業種区分を分離することにより、事業主の安全に対する意識を高める方向に機能することが望ましく、そのためには事業主の労働災害防止に対する取組と、労災保険率が対応していることを、事業主自身が認識できることが重要であるというのがこの記述の趣旨でございます。
 安定した保険集団となることが見込まれるか、事故を減らせば料率が下がり、事故を起こしたら料率が上がるような、大きすぎない適切な規模と、できる限り均質な集団となっているか。そして、事業主自身がこれらを認識できるかという点が重要でありまして、業種区分を分離した直後の料率水準がどうなるのか、上がるのか、下がるのかに着目して、それを基準にして業種区分の分離・独立について検討するものではないということでございます。
 次に(2)の業種区分の統合のところでございますが、丸1統合する業種の労災保険率がほぼ同等であること。丸2作業態様が類似していること。丸3組織・活動状況を斟酌すること。丸4統合する業種に年間の新規受給者数が1,000人未満の業種が含まれていること。丸5統合した業種の災害率を経年的に把握・分析することとされてございます。
 これら丸1から丸5までを踏まえますと、なお書きのところに記載されてございますけれども、業種の区分の統合につきましては、製造業以外の産業では、業種の区分数が少ないこと、産業の分類内の労災保険率に著しい差があることから、現状では、製造業内での業種の区分の再編を図るべきであるとされてございます。
 ここでも少し補足を申し上げますと、このことを踏まえまして、平成25年の検討会の中で、製造業の業種区分の統合について検討してございます。検討の結果、新規受給者数が少数で、足下の労災保険率が同等、作業態様が類似している業種区分で、関係業界団体等の災害防止活動の現状を踏まえて、製造業の中では、「食料品製造業」と「たばこ等製造業」は統合すべきであるとされたところであり、平成27年度の労災保険率改定にあわせて「食料品製造業」と「たばこ等製造業」を統合してございます。
 次に34ページをご覧いただきますと、近年に実施した業種区分及び適用事業細目の見直しについて整理してございます。業種区分の見直しにつきましては、ただいまご説明申し上げました、平成17年の基本方針及び平成25年の検討会報告書で整理された考え方に基づいて行ったものでございます。また、平成26年度に実施した細目の見直しについても整理してございますが、この平成26年度の細目の再編につきましても、平成25年に取りまとめられた検討会報告書に沿って行ったものでございます。
 具体的な業種及び細目の再編につきましては、それぞれ31ページ及び32ページのところで申し上げましたので省略させていただきますが、1点だけ追加の説明を申し上げます。平成25年の検討会では、細目「9420洗たく、洗張又は染物の事業」を、「その他の各種事業」から分離・独立させることについてご検討いただいてございます。実態調査等を行い検討した結果、仮に「洗たく、洗張又は染物の事業」を、「その他の各種事業」から分離・独立させた場合、クリーニング事業者直営の取次店のほとんどは事業の独立性がないことから、クリーニング工場の労災保険率が適用されるが、フランチャイズの取次店のみを行っている事業場は、「その他の各種事業」となるので、同じ取次店でも、直営店かフランチャイズ店かで、業種の区分が相違することとなり、保険料負担の不公平が生じかねないこと等を理由として、「洗たく、洗張又は染物の事業」は、従来どおり、「その他の各種事業」として適用することが適当であるとの結論をいただいてございます。
 次に35ページの「労災保険率適用事業細目と業種区分再編の関係」についてご説明申し上げます。最初のところに記載しておりますのは、適用事業細目には、業種の内容を明確化するための機能・役割があるということを改めて整理したものでございます。労災保険率の算定に用いる料率は業種別に設定されていることから、個々の事業がどの業種区分に属するかを特定することが必要になりますが、徴収則第16条及び別表第1に規定されておりますのは、業種の名称と労災保険率の一覧であり、個々の事業が属する業種を直ちに特定できるとは限らないものとなっております。そこで告示により、各業種に属する事業の種類の細目を別に列挙しており、この細目と照らし合わせることで、個々の事業が属する業種を特定できるようにしてございます。
 次に中ほどの「細目と業種区分再編」のところでございますが、労災業務データは4桁の細目又は2桁の業種の単位で蓄積されており、業種区分の再編は、設定されている4桁の細目を単位として行われてきてございます。実際に平成18年度の労災保険率改定時における業種区分の再編を例に見ていただきますと、再編前の2つの細目「9408通信業」と、「9404新聞業又は出版業」をもとに、再編後の業種の「97通信業、放送業、新聞業又は出版業」を構成して、「その他の各種事業」から分離・独立させてございます。再編後の業種の「98卸売業・小売業、飲食店又は宿泊業」、それから「99金融業、保険業又は不動産業」につきましても、同様に再編前の4桁の細目をもとに再編後の業種を構成して、「その他の各種事業」から分離・独立させてございます。
 この例のように業種区分の再編、特に分離・独立については、既に設定されている4桁の細目を単位として行ってきてございます。以上簡単ではございましたけれども、労災保険の業種区分及び適用事業細目の現状等についての説明となります。
○森戸座長 労災保険の業種区分及び適用事業細目の現状等について事務局より説明がありました。御意見、御質問をお願いいたします。
 先ほどの補足の説明について、資料2-3の33ページ、平成25年の報告書の説明がありました。この資料は業種区分見直しに係る考え方ですので、今後検討していく上で大事な前例というか指標になると思います。平成17年と平成25年があり、平成25年の方の報告書の(1)の丸1、丸2です。
 丸2について補足がありましたが、結局、繰り返しになりますけれど、「新たに分離した業種の労災保険率が、労働災害防止のインセンティブを事業主に喚起させるような労災保険率であること」とあります。要するに、保険率が下がるのだと、下がるから分離するのがインセンティブになるのだというように読めますが、あまりそのように狭く読むものではないという説明だったと思います。とはいえ、丸2には保険率の話だと書いてあるので、ここについてどういう説明だったのか、もう一回、確認のために説明をお願いします。どのようにこの文章を理解したらいいのかということです。
○労災保険財政数理室長 平成25年に取りまとめられた「労災保険の事業の種類に係る検討会報告書」の(1)の業種区分の分離の丸2に、「新たに分離した業種の労災保険率が、労働災害防止のインセンティブを事業主に喚起させるような労災保険率であること」と記載されております。平成25年の報告書のこの記載ですが、これは具体的な料率試算値を算出して議論するということを前提としたものではございません。業種区分を分離することが事業主の安全に対する意識を高める方向に機能することが望ましく、そのためには、事業主の労働災害防止に対する取組と、労災保険率が対応しているということを事業主ご自身が認識できることが重要であるということが、平成25年の報告書の記述の趣旨でございます。
 事故を減らせば料率が下がり、事故を起こしたら料率が上がるというような大きすぎない適切な規模と、できる限り均質な集団とすることが重要となります。仮に、それぞれの業界団体という単位で業種区分を設定すれば、自らの労働災害防止活動の取組と料率水準がより緊密に対応するようになりますが、ただし、保険集団が小さくなるので、偶然性に左右されるという度合が大きくなり、結果的に料率が不安定となり、透明性が低下するおそれもございます。
 一方、保険集団の規模が極端に大きくなってしまうと、自らの災害防止努力が料率の増減に影響しないことが明らかとなるため、労働災害防止インセンティブの阻害要因となり得ます。また、規模が大きければその分、集団内に均質でない要素が混ざる度合も高くなり、自分とは無関係の者により料率が左右されてしまうということで、不公平感をもたらすおそれもあるということでございます。
 冒頭で申し上げましたとおり、事業主の労働災害防止に対する取組と労災保険率が対応していることを、事業主自身が認識できることが重要であるということが、ここの記述の趣旨でございます。
○森戸座長 今の話では、率そのものというよりは集団の規模の話かと、あまり大きすぎたり小さすぎたりしてもいけないという趣旨かと思って聞いておりました。いずれにしても、あまり率そのものが下がる下がらないというところに特化しすぎた議論はいけないという趣旨だと思います。そこのところはよろしいでしょうか。これは実際に検討していく中でまた問題になると思いますので、そのときにも確認しながら進めたいと思います。
他の点も含めていかがでしょうか。今、資料を説明していただいた中で、御意見、御質問、確認したい点等あればお願いいたします。
○小西委員 1つ、同じく33ページの下の四角で囲ってある、平成25年の検討会報告書の(1)の丸1です。今日いただいた資料では、関係業界団体等の組織・活動状況が労災防止活動を期待できる状況にあるという場合には、分離を考えていくということが書かれているかと思います。この労災防止活動が期待できる場合にはそれを考慮するということで、ここでは分離すると書いてあるのですが、こういう場合には分離できると言えるというのはよく分かるのです。
 1点お伺いしたいのは、なぜこういうことを期待することが難しい場合には分離できないのか。大きな集団に入っていても期待できない状態であるとき、小さい所で分離した場合には期待できないから分離すべきでないという、その辺りはどのように整理なさっているのかという点をお聞きかせいただければと思います。
○労災保険財政数理室長 仮に、業界団体が形成されていないとか、形成されていたとしても組織率が低いとか、その業界に占めるカバー率が低いというような場合であったとしても、均質性のある集団を形成していて適度な大きさの集団ということであれば、そこに属する事業主は自身がどのような集団に属しているかということが分かり、帰属意識や連帯性という意識も高まると思っております。また、そういう集団であれば、自身の災害防止努力が料率に反映されるという度合が高まるであろうということが認識されますので、事業主の災害防止への意識に向上が見られると思っております。
 業界団体があり、一体となって災害防止に努めるという形になっていればよりよいと思いますが、仮にそのような形になっていなくても、今申し上げたように事業主の労災防止に対するインセンティブが働くということであるならば、業種区分として設定していくということは意味のあることだと思ってございます。
○森戸座長 よろしいでしょうか。
○小西委員 はい。
○森戸座長 他に何かございますか。よろしいでしょうか。ここについても、時間があればまた後で戻ることもできますので、先に進めたいと思います。
 では、(3)労災保険の業種区分及び適用事業細目の課題等について、事務局から説明をお願いします。
○労災保険財政数理室長 それでは36ページの「労災保険率の業種別適用事業場数及び適用労働者数からみた課題」についてご説明申し上げます。上の帯グラフは、適用事業場数の構成で、下の帯グラフは、適用労働者数の構成でございます。まず上の帯グラフですが、一番右側の楕円で囲んだところが「その他の各種事業」であり、単独の1つの業種で33.0%と、適用事業場全体の3分の1を占めてございます。左側にあります建設事業、これは8つの業種から構成されておりますが、8つの業種をあわせた建設事業全体でも23.2%となってございます。製造業は、24の業種をあわせても13.1%の割合となってございます。下の帯グラフの適用労働者数で見てみますと、「その他の各種事業」への集中度合がもっと大きくなっており、単独の1つの業種で36.5%を占めてございます。一番下のところに課題と書いてございますが、このような状況にあるところ、業種単独で全体の3割を占める「その他の各種事業」の在り方、一部事業を業種として分割することなどについて検討する必要があると考えてございます。
 次の37ページは、適用事業場数の構成について時系列的な変遷を見たものでございます。平成15年度当時は、「その他の各種事業」は全体の50.3%を占めておりましたが、平成18年度の業種区分の再編において、「その他の各種事業」から「通信業、放送業、新聞業又は出版業」、「卸売業・小売業、飲食店又は宿泊業」、「金融業、保険業又は不動産業」の3つの業種を分離・独立させたことにより、「その他の各種事業」の割合は29.2%に低下してございます。しかしながら、「その他の各種事業」のほとんどはサービス業の事業で構成されておりますところ、いわゆるサービス経済化の進展に伴いまして、平成28年度には33.0%にまで割合が増えてございます。次の38ページは、適用労働者数で見たものでございます。適用労働者数で見てみると、もっと顕著な動きが見て取れます。次の39ページは、これらの帯グラフのバックデータでございます。
 次の40ページは、「その他の各種事業」の17個の細目別に、適用事業場数、適用労働者数、新規受給者数等のデータを見たものです。まず、規模を見ていただくために、丸2の適用労働者数の欄をご覧いただきますと、100万人を超える細目がいくつかございます。真ん中辺りにあります、「9425教育業」が161万人となっております。また、「9431医療業」が330万人、「9432社会福祉又は介護事業」が246万人、「9436情報サービス業」が114万人と、100万人を超える規模の細目となってございます。適用労働者数が100万人を超えるこれら4つの細目につきましては、より詳細に実態を把握していく必要があると考えてございます。
 次に、表の右側の2列をご覧いただきますと、丸3÷丸2災害発生頻度、丸4÷丸3災害重篤度がございます。まず、丸3÷丸2の災害発生頻度ですが、これは新規受給者数を適用労働者数で割った値、すなわち、適用労働者数に占める新規受給者数の割合でございます。適用労働者数のうち、どれくらいの人数の方が怪我等をされて新規受給者となったかの割合でございますから、災害の発生頻度を表す1つの指標として考えることができると考えてございます。
 次に丸4÷丸3の災害重篤度でございますが、これは新規年金受給者数を新規受給者数で除した値、すなわち、新規受給者数に占める新規年金受給者数の割合でございます。年金の受給者でございますから、一定程度に重度の災害にあわれたということです。新規受給者のうち、どれくらいの人数の方が一定程度に重度の災害にあわれて、新規年金受給者となったかの割合でございますから、災害の重篤度を表す1つの指標として考えることができると考えてございます。
 次の41ページは、「その他の各種事業」の17個の細目について、災害発生頻度及び災害重篤度の指標を使ってプロットしたものでございます。横軸が災害発生頻度で、縦軸が災害重篤度となってございます。左上のところをご覧いただきますと、「情報サービス業」のところを丸く実線で囲んでございます。「情報サービス業」については、災害の発生頻度は低いのですが、災害の重篤度は相対的に高いという特徴が見られております。
 また、右下のところも丸く実線で囲んでございます。「医療業」、「社会福祉又は介護事業」、「保育所」、「幼稚園」、「認定こども園」の5つの細目を囲んでございます。これら5つの細目につきましては、災害の発生頻度は高いものの、災害の重篤度は低いという特徴が見られております。これら6つの細目につきましても、災害の発生状況について特徴が見られておりますところ、より詳細に実態把握をする必要があると考えてございます。
 次の42ページから79ページまでは、「その他の各種事業」の17個の細目の一つ一つについて、新規受給者数、収支状況、それから、安全衛生統計の労働者死傷病報告について、事故の型別、起因物別に構成比を見たものでございます。まず、44ページ、45ページをご覧いただければと思います。「9411広告、興信、紹介又は案内の事業」でございますが、45ページの安全衛生統計の労働者死傷病報告のグラフをご覧いただきますと、事故の型については、「転倒」が最も多く、次いで「墜落・転落」と「動作の反動・無理な動作」が多くなってございます。「その他の各種事業」のほとんどの細目において「転倒」が最も多く、次いで「墜落・転落」と「動作の反動・無理な動作」が多くなってございます。
 ここで安全衛生統計に関する留意点についてご説明申し上げたいと思います。45ページの下に注書きがございますが、このグラフは安全衛生統計の分類の「9.2.1旅行業」、「9.2.9その他の広告・あっせん業」及び「17.2.9その他(その他の事業)」のデータを、事務局において合算して作成したものでございます。労災保険の細目と安全衛生統計の分類は1対1に対応しているものではなく、細目ごとに、それに対応すると考えられる安全衛生統計の分類を選定して、そのデータを合算して作成したものであり、それぞれの細目のグラフの下のところに、このような注書きをしてございます。
 ページが飛んで恐縮でございますが、79ページをご覧いただきますと、この注書きが一覧で分かるようにしてございます。表頭が労災保険の細目でございまして、左側の表側が安全衛生統計の分類でございます。例えば、細目「9411広告、興信、紹介又は案内の事業」については、安全衛生統計の分類で丸印を付けたところの「9.2.1旅行業」、「9.2.9その他の広告・あっせん業」、それから「17.2.9その他(その他の事業)」のデータを合算して作成したことを示してございます。
 次に46ページに戻っていただきまして、「9412速記、筆耕、謄写印刷又は青写真業」でございますが、安全衛生統計を見ますと、「転倒」が最も多く、次いで「墜落・転落」と「動作の反動・無理な動作」が多くなってございます。続いて、48ページの「9418映画の製作、演劇等の事業」についてですが、安全衛生統計を見ますと、「転倒」が最も多く、次いで「動作の反動・無理な動作」と「墜落・転落」が多くなっております。「動作の反動・無理な動作」がやや多くなってございます。
 次の50ページの「9419劇場、遊戯場その他の娯楽の事業」でございますが、安全衛生統計では、「転倒」が最も多く、次いで「動作の反動・無理な動作」と「墜落・転落」が多くなっております。これも「動作の反動・無理な動作」がやや多くなってございます。次の52ページの「9420洗たく、洗張又は染物の事業」でございますが、安全衛生統計を見てみますと、事故の型として「はさまれ・巻き込まれ」が多くなっております。これは製造業に典型的な事故の型であり、クリーニング取次店のみならず工場が一体的に適用されていることの影響と考えられます。また、起因物として「一般動力機械」が多くなっております。これは「はさまれ・巻き込まれ」が多いことに対応するものと考えられます。「洗たく、洗張又は染物の事業」は、「その他の各種事業」の中では安全衛生統計で見てやや特徴が見られると考えてございます。
 次の54ページの「9421理容、美容又は浴場の事業」についてですが、安全衛生統計では、事故の型、起因物別とも大きな特徴は見られません。刃物を使うことから、「切れ・こすれ」がやや多く出ている程度でございます。次に56ページの「9422物品賃貸業」についてでございます。安全衛生統計を見てみますと、事故の型として「転倒」が最も多く、次いで「墜落・転落」、「動作の反動・無理な動作」が多くなっております。「はさまれ・巻き込まれ」もやや多くなっております。ただし、これは統計の制約から、本細目に対応する安全衛生統計の分類として、「8.4.9その他(その他の商業)」のデータを採用しており、その中に他の事業によるものが含まれていることが考えられます。
 次の58ページの「9423写真、物品預り等の事業」についてでございます。安全衛生統計を見ますと、「転倒」に次いで「墜落・転落」が多いように見えますが、これは本細目に対応する安全衛生統計の分類として採用したのが「17.2.9その他(その他の事業)」ということで、その中に他の事業によるものが含まれていることが考えられます。
 次に60ページの「9425教育業」でございます。規模としては大きな「教育業」ですが、安全衛生統計を見ますと、事故の型、起因物別には大きな特徴は見られません。「切れ・こすれ」、「用具」がやや多く出ている程度でございます。次の62ページの「9426研究又は調査の事業」でございますが、安全衛生統計を見ますと、事故の型、起因物別には大きな特徴は見られませんが、「切れ・こすれ」、「用具」がやや多く出ている程度でございます。次に64ページの「9431医療業」についてですが、安全衛生統計を見てみますと、事故の型として「動作の反動・無理な動作」がとても多くなってございます。また、起因物を見ますと「起因物なし」が多くなっております。
 次に66ページの「9432社会福祉又は介護事業」でございますが、事故の型として、「動作の反動・無理な動作」がとても多くなってございます。また、起因物としては、「起因物なし」が多くなっております。次の68ページの「9433幼稚園」についてですが、事故の型として「転倒」、「墜落・転落」、「動作の反動・無理な動作」が多くなってございます。また、「切れ・こすれ」がやや多めでございます。次に70ページの「9434保育所」についてですが、事故の型として、「動作の反動・無理な動作」が最も多くなってございます。ただし、これは統計の制約から、本細目に対応する安全衛生統計の分類として、「社会福祉又は介護事業」と同じ「13.2.1社会福祉施設」のデータを採用していることに留意が必要でございます。
 次に72ページの「9435認定こども園」についてでございますが、事故の型として、「転倒」と「動作の反動・無理な動作」が多くなってございます。保育所と同じ傾向になっておりますのは、安全衛生統計分類として幼稚園と保育所に対応するものを採用したこと、母集団として保育所の方が幼稚園よりもかなり大きいことによるものと考えられます。次に74ページの「9436情報サービス業」についてでございますが、安全衛生統計を見てみますと、事故の型では、「交通事故」がやや多くなっております。起因物別に見ますと、「乗物」がやや多くなってございます。次の76ページの「9416前各項に該当しない事業」ですが、この事業には各種の事業が該当してございますので省略させていただきます。以上が「その他の各種事業」の各細目についての安全衛生統計の状況等でございます。
 次に80ページの「業界ヒアリングについて(案)」についてでございます。平成17年の基本方針では、先ほど申し上げましたとおり、作業態様や災害の種類の類似性に着目して災害率を勘案して分類する。その際には、業界団体等の組織状況等について斟酌して、保険集団の規模、日本標準産業分類も勘案するとされてございます。これまで労災保険の細目別のデータや安全衛生統計の状況を見てまいりましたが、行政が保有するこのような統計等では捉えきれない業界の実態を把握することで、「労災保険率の設定に関する基本方針」に基づく業種区分の検討材料とすることが必要と考えてございます。
 そこで、今後の業種区分の検討に当たり、業界団体へのヒアリングを行い、業界の実態等を把握する必要があると考えてございます。ヒアリングの対象といたしましては、これまでの労災保険データ及び安全衛生統計の分析から、次の7つの業界に対してヒアリングの協力を要請することが考えられると考えてございます。具体的には、「教育業」、「医療業」、「社会福祉又は介護事業」、「幼稚園」、「保育所」、「認定こども園」、「情報サービス業」でございます。
 なお、先ほど、安全衛生統計から見てやや特徴が見られるとした、「洗たく、洗張又は染物の事業」につきましては、34ページのところで申し上げましたとおり、直近の平成25年の検討会においてご検討いただいた結果、従来どおり、「その他の各種事業」とすることが適当とされたところであり、それを踏まえまして、今回の検討対象から除外してございます。
 また、この業界ヒアリングでございますが、事務局において業界団体からヒアリングを行い、この検討会で事務局からその内容を報告する方法と、業界団体の方にこの検討会に来ていただいて、直接ヒアリングを行う方法の2種類を考えてございます。ご協力いただく業界団体の意向や日程の都合等を聞いて、どちらの方法によりヒアリングを行うかについて選択するということを考えてございます。
 次の81ページは「業界へのヒアリング項目(案)」でございます。「1.業界の組織状況」、「2.業界における作業態様」、「3.労働災害の発生状況」、「4.労働災害防止対策」の大きく4つの項目についてヒアリングすることを考えてございます。「1.業界の組織状況」のところでは、団体の活動内容、構成員、団体の組織状況、事業者の加入状況、団体としての規模、今後の見通し、他の同業団体の状況、他の団体との協力等の関係等についてお聞きしたいと考えてございます。
 「2.業界における作業態様」のところでは、作業態様、内容、工程、設備、分業・シフト体制等や、従業者の主な職業構成についてもお聞きしたいと考えてございます。「3.労働災害の発生状況」のところでは、労働災害の発生状況、主な労働災害の種類、型、プロセス、原因と、被災者の属性についてお聞きしたいと考えております。また、従業員以外の被災状況や、いわゆる職業病的なものの有無についてもヒアリングを行いたいと考えております。「4.労働災害防止対策」のところでは、労働災害防止対策として業界として取り組んでいること、業界内の事業主が取り組んでいること、その代表的な事例や好事例などについてもお聞きしたいと思ってございます。また、業界として、今後取り組む予定の災害防止対策、取り組みたいと考えている災害防止対策、さらに、業界内の事業主が行う災害防止対策を推進するため、業界団体として取り組んでいることなどについてヒアリングすることを考えてございます。はなはだ簡単ではございましたが、議題3についての説明は以上となります。
○森戸座長 ありがとうございます。では事務局の説明も踏まえて、議論に入ります。「その他の各種事業」の各細目の分析、それに基づく再編検討対象の選定を、ヒアリング項目(案)として出していただいております。その辺りについて、事務局への質問、資料の確認等も含めて御意見がありましたら、よろしくお願いいたします。いかがでしょうか。
○皆川委員 私から1点よろしいでしょうか。
○森戸座長 はい、どうぞ。
○皆川委員 資料の40、41ページになりますが、その他の各種事業の細目別の統計を出していただいています。例えば40ページの表の一番上を見ますと、平成28年度ということで、恐らく単年度の統計なのかなと思います。これは、例えばある程度中期的に3年とか5年とかで見ても、同じような傾向が見られるということでよろしいのでしょうか。
○労災保険財政数理室長 これらのデータのうち幾つかについては、平成26年度の細目の再編で新設したものでございますので、中長期的といっても、平成26年度以降のデータしか取得できないのですが、同じような傾向が見られると考えてございます。
○皆川委員 ありがとうございます。
○森戸座長 他はいかがでしょうか。今の話にも少し関わりますが、安全衛生統計に対応していないからということで、それはそれで構わないのですが、79ページに対応関係の表を作っていただいていますが、これを見ると安全衛生統計の「その他の広告・あっせん業」というのは、労災保険の細目ですと9411、9420、9416それぞれにデータで入れているということですよね。
○労災保険財政数理室長 はい、そうです。
○森戸座長 そうすると、先ほどおっしゃったように、それに対応する業種があるのだろうけれども、具体的にどれがどのぐらい含まれるかは分からず、全部「その他の広告・あっせん業」を入れているのですよね。そうすると、必ずしも対応していないのは仕方がないと思いますが、安全衛生統計の分類の1つを3つの細目に、つまり同じものを3か所で入れているということだと思うのですが、それでデータとして、一定の信頼度はおけるのかなとは思ったのですが、そこはいかがですか。そういうものが何項目かありますが。
○労災保険財政数理室長 この細目と安全衛生統計の死傷病報告の分類は、1対1に対応しているものではないということでございます。この細目別の安全衛生の状況を見るために、今回、我々労災保険財政数理室で、できる限り対応するものということで、安全衛生統計の分類から選定し、そのデータを合算し、グラフ化をして分析したものでございます。先生が言われるように、同じ安全衛生統計の分類が幾つかの細目のデータとして使われているものもございます。また先ほどの説明でも申し上げましたが、「社会福祉又は介護事業」と「保育所」は、同じデータを使ってございます。どれぐらい信頼性があるかですが、統計の制約上、できる限りの対応はしてきたところでございます。
○森戸座長 ですので、そこはある程度幅があるかもしれませんが、それでもなお特徴的に出ているとか、積極的にそこがないと、少しの違いで、これをもって根拠としてしまうと、根拠が揺らぐ気がしますので、だからこそヒアリングなどで補う必要があるのだと思うのですが、そこはまとめる際に少し注意する必要があるのかなと思いました。
○労災保険財政数理室長 分かりました。そのようにしていきたいと思います。
○森戸座長 他の点はいかがでしょうか。
○花岡委員 データについて質問です。1点目は、81ページにヒアリング項目として、3番に労働災害の発生状況について挙げていただいています。これらの項目について、労災業務のデータから、ある程度どういった特徴があるのかを示すことはできないのでしょうか。実際に給付をしているので、労災の業務データの中にこういったデータがあるのではないかと思いまして、質問をいたしました。
○森戸座長 聞かなくても数字で分かるのではないかという御質問だと思うのですが。
○労災保険財政数理室長 今回も平成26年度から取得することができるようになった細目も含めて、適用労働者数、事業場数、新規受給者数、あるいはその割り算をして、災害の発生頻度、重篤度という形で見てきたところでございます。もう少し詳しい分析もできると思いますので、引き続きどのようなことが可能かについては事務局でも検討していきたいと思っております。ただし、労災保険データで、ここに掲げているヒアリング項目の全てを把握することはできないと思っておりますので、それと並行して業界団体にヒアリングをしていくことは必要と思ってございます。
○森戸座長 もちろん、データで分かることはそれに譲って、効率的にヒアリングしていただくために、そこはきちんと仕分けしてやっていただければと思います。そのような趣旨の御質問だと思いますので。
○花岡委員 2点目は、81ページの4番の労働災害防止対策についてもヒアリングするということについてです。例えば、対策のしようがない労災事故が多いというような業態があった場合に、そちらを分離してもインセンティブの働きようがないから分離しないというような判断になり得るのでしょうか。これは何故、労働災害防止対策について質問するのかということについての質問です。
○森戸座長 対策しても仕方がないというのは、具体的にはどういうイメージですか。
○花岡委員 例えば、幼稚園や保育園などで、小さい子たちが予測ができない動きをすることによって事故が起こってしまうというようなことがあった場合に、何か労働災害の防止対策をしても労災の事故が減らないということがもしあったとして、その場合に例えば業態を分離する1つの目的は、業態を分離することによって労災事故が減るようなインセンティブを働かせるという御説明がありました。例えば、労災の防止対策をすることが難しい業態については、分離をしないという判断になり得るのでしょうか。
○労災保険財政数理室長 うまく答えられるか分かりませんが、どのような怪我等で労働災害が発生するところであれ、その防止に向けて事業主の方々には、災害防止についてのご努力をしていただきたいと思っております。なかなか避けられない労働災害があったとしても、やはりそういう同じ作業態様や災害の発生のリスクが高いグループを取り出していけば、そこに属する事業主は連帯感といいますか、災害防止に対するインセンティブがより働くと考えてございます。種々多様なグループに入っているよりは同じようなグループに入っている方が、みんなで一緒になって災害防止に努めていこうといったようなことも働きやすいと思っております。災害の種類によってはなかなか防止が難しいというのはあるのかもしれませんが、そういう場合であっても同質の集団の中で何かしら工夫をして、災害防止に努めていただければと思っております。
○花岡委員 ありがとうございます。
○森戸座長 勿論、絶対に防止ができるか否かは分からないけれども、いずれにしても災害の種類によって割と防止ができそうなものと、なかなか難しいものは当然あると思います。それはやはりこの議論に関わるので、災害防止インセンティブをあまり働かせようがないということなのかどうかは、ヒアリングにおいて少し意識して聞いていただいていいかと思います。当然そういう声があれば出てくると思いますが、それは今の観点も意識してヒアリングをしていただければいいかなと思います。
○労災保険財政数理室長 はい、分かりました。
○森戸座長 他にいかがでしょうか。全体の御意見や今後の進め方なりヒアリング項目、ヒアリングの仕方についてでも構いませんので、何かあればお願いします。さらに細かい点の確認も含めていかがでしょうか。
○岡村委員 80ページの9425の教育業についてですが、教育業を60ページで見てみると、元の分類が自動車教習所等となっています。保育園と幼稚園は違う分類になっていますが、幼稚園は教育ですよね。なので、これを分けるというのは、対象が小さな子どもだからということで分かります。一般の学校と各種学校の中でも、例えばフィットネスクラブやスイミングなどは、かなりリスクの態様が違うと思うのですが、それらも含めて、ヒアリングのときに9425で確認するということなのでしょうか。
○労災保険財政数理室長 この教育業ですが、先生が言われるように、社会人教育といわれる分野と学校教育といわれる分野の両方があろうかと思っております。それら両者が作業態様や災害のリスク等の面で、同質とはいえない、異質なところがあるということであれば、そこは例えば教育業全体を分離するに当たり、分離と同時にその2つについて細目立てをするということもあろうかと思ってございます。そして異質性が高いということであれば、まずは教育業の中にこれら2つの細目を立ててデータを入手していくということから始めるといったような選択肢もあろうかと思っております。
 ただし、それらが一緒になって災害防止に取り組んでいけるといったようなことであれば、それは保険集団としては、保険数理的には大きい方が望ましいと思いますので、そういう場合には、教育業全体として検討していくことがいいのではなかろうかと思ってございます。
○岡村委員 これは規模が150万人規模ですから、大きいですよね。
○労災保険財政数理室長 はい。
○岡村委員 中身も、かなり専門的に体を使うようなものもあれば、例えば大学のように研究室に座って仕事をすることが多いものもあります。実際に調査される方のことを考えると、どういう方をお呼びしようと考えておられるのでしょうか。
○労災保険財政数理室長 業界の中のどういった団体に対してヒアリングをするかですが、それはその業界をできるだけ代表する団体にお聞きするということが基本だろうと思っております。業界団体の選定に当たっては、その業所管の部局がありますから、そういったところにも相談しながら選定作業を進めていきたいと思ってございます。
○森戸座長 他はいかがでしょうか。先ほどから出ていますが、40、41ページの表の、「その他の各種事業」の中を細目で見ていくと、発生頻度なり重篤度なりに差があると。それで、図にプロットしてみるとこのようになるというのは分かったのですが、これから特に何が言えるという説明はありませんでした。割と数字の専門家が多いので皆さんは分かってしまうのかもしれませんが、ここから何が言えるのか説明をしていただけますか。中にいろいろなものがいるということを、全体として見てくださいという趣旨なのか、それとも各細目ごとに、例えばこの業種は発生頻度は高いが重篤度はそうでもないとか、あるいは業種の再編なり分離なりを考えるときに、それがどのような意味を持ち得るのか。若しくは、ヒアリングをする上でどういう意義があるのかを、もう少し素人にも分かりやすく補足いただけたらと思うのですが、いかがでしょうか。
○労災保険財政数理室長 41ページのプロット図は、発生頻度を横軸に、災害重篤度を縦軸にプロットしたものでございます。左上にあります「情報サービス業」は、発生頻度が低いけれども重篤度が高く、右下にあります「医療業」、「社会福祉又は介護事業」、「保育所」、「幼稚園」、「認定こども園」は、発生頻度が高いけれども重篤度が低いといった特徴が見られます。と申しますのは、「94その他の各種事業」全体のプロットが真ん中辺りにありますが、これから両極端方向に遠いということでございます。94番全体に比べると、災害発生状況について何かしら特徴があるのだろうと。その特徴が何なのかということについては、より深掘りする必要があるだろうということで、選定の対象にしたということでございます。
○森戸座長 前提として、その他ではないところの中を分けても、こんなにばらけないという前提ですか。
○労災保険財政数理室長 その他でないところですか。
○森戸座長 その他以外のところもありますよね。
○労災保険財政数理室長 「その他の各種事業」以外ですか。
○森戸座長 そうです。そこも、いろいろな細目には分かれていますよね。やはり、「その他の各種事業」というのは、災害の態様なりでばらばらで、常に分離を考えていかなければいけないのだよねといっても、他の項目も結構分かれているようでしたら、また話は違うかなと思ったものですから。
○労災保険財政数理室長 例えば12ページをご覧いただきますと、製造業は業種自体が非常に細かく分かれております。建設業も、総合工事業系や設備工事業系など、細かく分かれております。業種として既に細かく分かれておりますので、その業種内の細目ごとに見た場合に、そんなに散らばりはないだろうと思っております。一番下の「その他の各種事業」は、全体の3割を占めるもので、種々多様な事業が含まれてございます。その中の細目は41ページのプロット図のように、中心からいろいろとばらけたものが出てくると思っておりますが、他の業種で見ればそもそも業種区分が小さいので、このような形で大きくばらけることはないと考えてございます。
○森戸座長 その辺りの違いがある程度あるのであれば、そういうことで理解ができるかなと思います。他はいかがでしょうか。時間があと30分ぐらいありますが、全体に関して何か一言言っておきたい点などがありましたら、感想等でも構いませんので、いただきたいと思います。いかがでしょうか。
○皆川委員 質問を1点よろしいでしょうか。
○森戸座長 もちろんです。
○皆川委員 68ページや70ページの「幼稚園」や「保育所」の統計を拝見しますと、新規受給者数が過去3年しか取れないという統計の中だとは思うのですが、平成26年度から28年度にかけて、受給者が2.5倍ぐらいに増えています。この辺りは、何か統計上の限界でこのようになっているのか、何かこの業界に特徴的な傾向があるのか、把握はされていますか。
○労災保険財政数理室室長補佐 実は、この「幼稚園」、「保育所」という細目は、平成26年度に新しく設定した細目です。新しい細目というのは、年に1度の労働保険の年度更新の手続において、個々の事業場に新たに適用されるものとなっております。ただし、全ての業種を合わせれば合計280万もの事業場があるために、新しい細目に振り替えるときに適用判断が困難なもの等があって十分確認できないようなものもあります。結局「94その他の各種事業」の中に入っている限りは、適用される料率は同じなので、判断を留保して改めて翌年度に確認するという取扱いをすることも、実態としてはあります。そのため、平成26年度に新しい細目を設定したからといって、直ちに全ての対象の事業場が新しい細目に移行するとは限りません。そういう意味で、時間差をおいて実態が付いてきたという読み方をしていただくのが現実的なのかなとは思っています。
 なお、労災保険率は過去3年間の実績を使って設定する必要がありますが、平成26年度に細目を設定したことにより、一応、平成26、27、28年度3年間の実績が既にあるけれども、平成30年度料率改定の根拠とするには、今、申し上げたとおり、まだ安定したデータとはならないというのが、平成30年度労災保険率改定において業種区分を再編できなかった理由でもあります。次回の労災保険率改定を視野に入れた検討が、実務を踏まえると最速のスケジュールになってしまうということです。
○皆川委員 ありがとうございました。
○森戸座長 他にいかがでしょうか。
○片寄委員 感想だけ申し上げますと、非常に興味深いです。アクチュアリーとして、この保険集団をどう考えるかというのは、難しい部分です。それを労災について極端に違うグループを判断するのに、例えばこのような指標を一部用いて抽出を掛けてみたりと。本当にいろいろ考えれば面白いところがあるような感じがします。ただ、そうは言いましても、今までの現実の流れがあるでしょうから、その辺りに今、追い付いて理解をしていくところです。以上です。
○森戸座長 もちろん民間の一般の保険と共通する仕組みでもあるわけです。他方で、公的な社会保険ですから、災害防止インセンティブの集団を考えるといった独自の視点も入っているとは思います。一般の保険の考え方なりも反映していかなければいけないと思いますので、その辺りはまたいろいろ御意見をいただければと思います。
 他はいかがでしょうか。最後ですので、一般的な御意見なり、今後の方向なり。もし、特にヒアリング項目の案なり方向について御意見がありましたら、そこは伺っておかなければいけないと思います。もちろん今日出た皆さんの御意見を踏まえて、特にデータで取れるものは取り、そうでないものは意識して、そこを補うような形でやっていただくのは当然です。ヒアリング案、ヒアリング項目について何かあれば、是非いただきたいのですが、そこもよろしいですか。
○小西委員 1点確認いたします。80ページのヒアリング案ですが、ヒアリングの対象(例)と書いてあります。これは、ヒアリングはここに書かれているものにするということなのでしょうか。「教育業」から「情報サービス業」までのところは、案として提示されているのか、あくまで一例なのか、どちらでしょうか。
○労災保険財政数理室長 事務局としては、労災保険のデータや安全衛生統計等を見て、この7つの業界に対してヒアリングを実施していきたいと思っておりますので、案として提示したものでございます。ご了解をいただければ、この7つの業界団体に対して、今後ヒアリングを実施していきたいと考えております。
○森戸座長 例というよりは、一応、こういうことでいかがかということだと思います。他にヒアリング項目については、特によろしいですか。まとめではありませんが、私も一言感想を申し上げます。先ほど、「その他の各種事業」が多いという説明がありましたが、多いから分離しなければいけないのだというようにも聞こえたのです。ただ、もともともっと多い時代もありましたし、その他と言うから多い気がしますが、もしかしたら別にそちらが原則で、他のものを例外的に変えているかもしれないとも言えますので、あまり数が多いからという話ではないかなと思いました。
 公平性と災害防止インセンティブが、2本の軸なのだろうと思います。他方で、今御意見が出たように、なかなか業種区分も難しいですし、細かく分かれていますし、いろいろ言い出すと、これはどうなのだ、これはどうなのだと、切りがないところもあります。他方で、個々の事業主もメリット制で頑張って労災をなくして、保険料を下げてもらおうというインセンティブが働くわけです。そうすると、例えば個々の事業主として頑張っても、実態と異なる分類に入れられているから、それが全然機能しない、若しくは個々の事業主の労災防止インセンティブをくじくような分類になっていると好ましくないというのは、1つ視点としてあるかなとは思いました。ですので、もちろんおかしな分類ではいけないのだけれども、他方で限界があるとも思いますし、ある程度割り切りというか、決め事なのだという頭も持っていなければとは思いました。あまり理論的ではないのですが、感想です。それだけ一言申し上げておきます。あとは、またヒアリング等を経て、議論を深めていけばと思います。
 では、少し定刻よりは早いのですが、御意見も一通りいただいたようですので、検討対象とすべき業界の追加等も含めて、第2回以降の検討会の場でも議論は続けられますので、引き続き御意見をいただきたいと思います。本日の議論は、ここまでといたします。今後事務局において、業界ヒアリングの準備、それから本日の議論を踏まえた整理と、今日皆さんから出た意見で何か補足で確認しなければいけない事項がありましたら、お願いいたします。特にヒアリングの準備について、作業を進めていただくという方針でよろしいでしょうか。今日の案をベースにやっていきます。ありがとうございます。事務局から、今後の予定等についてお願いいたします。
○労災保険財政数理室室長補佐 本日はありがとうございました。いただいた御意見については、事務局で整理をして、次回以降の議論につなげていきたいと思います。次回の第2回については、8月31日、午後1時からを予定しております。開催場所等については、改めて事務局より連絡を差し上げたいと思います。
 加えて、本日の議事録については、委員の皆様方に御確認をいただいた上で、厚生労働省のホームページにおいて公開することとさせていただきますので、御承知おきください。
○森戸座長 では、第1回労災保険の業種区分に係る検討会は終了いたします。皆様、長時間にわたり御議論いただき、ありがとうございました。

(了)


(注)丸付き数字は機種依存文字であるため、閲覧環境によって正しく表示されないことがございますので、配付資料の中の丸付き数字に言及した箇所においては、便宜的に「丸1」などと表記しています。

<照会先>

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(担当)室長補佐 平田: 03(5253)1111(内線5453)

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