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2018年6月8日  厚生科学審議会疾病対策部会リウマチ等対策委員会(第3回) 議事録

厚生労働省健康局がん・疾病対策課

○日時

平成30年6月8日(金)15:00~17:00

 

○場所

厚生労働省 2階 講堂
 

○議事

○貝沼がん・疾病対策課長補佐 定刻となりましたので、ただいまより「第3回厚生科学審議会疾病対策部会リウマチ等対策委員会」を開会いたします。委員の皆様方におかれましては、お忙しい中、御参集いただきまして誠にありがとうございます。事務局を務めさせていただきます厚生労働省健康局がん・疾病対策課の貝沼と申します。どうぞよろしくお願いいたします。本日は中板委員、山本委員から欠席の御連絡を頂いております。また、市川委員、金子委員からは遅れていらっしゃるとの御連絡を頂いております。それでは、ここからは宮坂委員長に議事をお願いいたします。
○宮坂委員長 まず、事務局から資料の確認をお願いいたします。
○貝沼がん・疾病対策課長補佐 お手元の資料を御確認ください。まず議事次第、座席表、委員名簿、それに続きまして資料1として、厚生科学審議会疾病対策部会リウマチ等対策委員会報告書目次の新旧対照表でございます。続いて、リウマチ対策の全体像(案)、資料3としてリウマチ等対策委員会報告書骨子(案)を付けさせていただきました。さらに、参考資料として、平成23年委員会報告書との対照表を付けております。また、委員のお手元には第1回、第2回の委員会資料を配布させていただいております。こちらは会議終了後、机の上に置いたまま、お持ち帰りになりませぬよう、どうぞよろしくお願いいたします。資料に不足・落丁等ございましたら、事務局までお申し出ください。以上をもちましてカメラを納めていただきますよう、御協力のほどよろしくお願いいたします。
○宮坂委員長 ありがとうございました。それでは議事を進めさせていただきます。前回までの議論を基に、事務局には骨子(案)を作成いただきました。議事1、リウマチ等対策委員会報告書骨子(案)について、資料1の報告書の目次、新旧対照表の説明を事務局からお願いいたします。
○貝沼がん・疾病対策課長補佐 皆様、資料1を御確認ください。こちらには右側に平成23年度の報告書目次、左側に平成30年度報告書目次(案)を付けさせていただきました。まず、平成23年の際、Ⅰ「リウマチ対策について」という表記がございます。こちらについては、当時はリウマチ・アレルギー対策委員会報告書でしたので、今回は省略させていただきたいと思います。前回の報告書におきましては、1「リウマチ対策の現状と課題」の中で、(1)我が国におけるリウマチ対策の現状、(2)リウマチ対策における課題、2としましては「今後のリウマチ対策について」の中で、(1)リウマチ対策の基本的方向性、(2)リウマチ対策の具体的方策、(3)施策の評価等というようにさせていただいております。
前回は「リウマチ対策の現状と課題」の中で、現状と課題を最初に示しましたが、今回は、1ではリウマチの現状のみを記載していくことを考えております。(1)「リウマチについて」の中で定義、特徴、治療、合併症など、(2)として疫学、その中では推定患者数、患者の高齢化、医療費、(3)厚生労働省によるこれまでの取組として、これまでの経緯や現在の事業について記載をしていきたいと思います。その上で、2として、「リウマチ対策の更なる推進のために」の中で、課題と取組についての記載としたいと考えております。一点修正ですが、「全体像」を「全体目標」とさせていただきます。全体目標と(2)個別対策という形で書いていきたいと思っております。(2)個別対策の中では、➀医療の提供等、➁情報提供・相談体制、➂研究開発等の推進と枠を作り、その中でそれぞれ課題とこれからの取組の方向性という形で記載をしていきたいと考えております。以上です。
○宮坂委員長 ありがとうございました。今の資料1は、左側に今回の平成30年度報告骨子(案)、右側が平成23年度報告書の目次で、その違いについては今御説明があったように、表記としてゴシックにして下線を引いてある部分が特に違う部分です。あとでまた逐次話し合いたいと思いますけれども、現時点でこの骨子の対照表について何か御意見やコメントはございますでしょうか。よろしいですか。この7年間の間に大分リウマチ対策の実情も変わってきました。治療法も変わってきた、社会環境も変わってきた。それによって課題も変わってきましたし、研究目標も変わってきた。そういったことを一応網羅的に入れたのが、今回の平成30年度報告書骨子(案)ということだと思います。今の対照表はとりあえずよろしいでしょうか。ありがとうございました。
それでは、資料3を使いまして、報告書の骨子(案)について項目ごとに議論を進めたいと思います。資料3の2ページ、1「リウマチの現状」について、事務局から説明をお願いいたします。
○貝沼がん・疾病対策課長補佐 資料2及び資料3をお手元に御準備いただければと思います。資料3、1ページ目は骨子(案)の目次ですので割愛させていただき、2ページ目の「リウマチの現状」に移りたいと思います。リウマチの現状ですが、まず(1)として「リウマチについて」とします。定義としては、「本報告書において、リウマチとは関節リウマチをいう」としています。次に特徴です。強い疼痛や変形・拘縮による上下肢の機能障害からの日常生活動作の障害を来し、生活の質の低下、効果的な対処療法はあるが、根治的な治療法が未確立。次に治療です。近年、メトトレキサートや生物学的製剤といった治療薬の効果的選択により、リウマチの診療は飛躍的に進歩。新規発症患者では、早期診断・早期治療により、関節破壊の完全な阻止を期待できる。リウマチ関連の手術数は減少し、手術内容にも変化。関節破壊や変形を来した患者は、薬物療法のみでの寛解は困難。リハビリテーションや装具使用、症状に適した治療薬、手術的治療が必要。合併症には、リウマチに伴う合併症、リウマチ治療において注意すべき副作用等を示していきたいと考えております。
次に(2)リウマチに関する疫学、こちらについては出典を示していきたいと思っております。推定患者数についてですが、これまでの様々な文献など、また第1回の山中先生からの御発表にもありましたように、推定患者数は70万人から100万人ですが、私ども厚生労働省の患者調査では、推計は約33万人とされています。患者の高齢化についてですが、NinJaデータベース2015年登録患者さん、こちらは第1回の田中委員の資料の中にありましたが、その中の平均年齢と平均発症年齢、図も合わせて表示したいと思います。更に医療費ですが、こちらは厚生労働省の国民医療費の動向、黄色のファイルをお手に取っていただければと思います。筋骨格系及び結合組織の疾患の医療費は全体の7.7%を占め、3番目に大きい医療費の疾患群でございます。その中で、炎症性多発性関節障害にかかる医療費は2,873億円とされております。
(3)厚生労働省によるこれまでの取組として、私どもが第1回でお示ししました過去からの経緯、また現在行っております事業としてリウマチ・アレルギー特別対策事業、アレルギー情報センター事業、免疫アレルギー疾患政策/実用化研究事業について記載をしていきたいと思います。以上です。
○宮坂委員長 ありがとうございました。それでは1「リウマチの現状」について、御意見等ございましたら御発言をお願いいたします。この「リウマチの現状」の中で、(1)がリウマチについてということで定義、特徴、治療、合併症、(2)でリウマチに関する疫学、それから(3)で、厚生労働省によるこれまでの取組というように分かれています。
○小嶋委員 まず治療の所で「リウマチの診療は飛躍的に進歩」とありますが、診療というのはとても幅が広いと思います。飛躍的に進歩しているのは治療法の面だと思うので、「診療」という広い言葉をここに当てはめるのが適切かどうかがちょっと気になりました。
○宮坂委員長 いかがでしょうか。
○小嶋委員 例えば、治療法というように限定してはどうかと思いました。
○山中委員 診断もかなり進歩したと思います。例えば超音波による早期診断、抗CCP抗体のように、診断もやはり進歩したと思います。治療だけではないと思います。
○小嶋委員 なるほど。
○山中委員 もう1つ、治療戦略自体もガイドライン等ができることによってかなり進歩しましたので、広い意味で診療と言ってもいいのかなと思っています。
○宮坂委員長 ありがとうございました。確かに診断基準が変わったことで、実際には分類基準ですが、早期リウマチが診断できるようになってきたということと、診断のツールとして関節超音波が今取り入れられつつある。それから、先ほど山中先生が言われたように治療戦略、特にtreat to targetをはじめとする治療戦略、寛解に導入するだけではなくて、寛解を維持することが最終的に関節に、さらに、ひいては生命の予後の改善につながる。そういうことを含めてここでは「診療」と言っていると考えると、治療法だけではないかもしれません。
○小嶋委員 イメージとしては、「診療」と言うと患者さんが病院にいらっしゃってから帰るまでという一連のイメージがあるので、例えば待ち時間であるとか、患者さんの心のサポートであるとか、そういったことも含めて向上したのであれば、診療は飛躍的に進歩と言っていいと思います。ただ、今の診断と治療という面では確実に進歩しているのですが、それをここで診療とひとくくりにしていいかというのがちょっと疑問なのです。
○宮坂委員長 この点、いかがでしょうか。今、小嶋委員から出たのは、患者さんの待ち時間、あるいは心のサポートであるとか、そういった点についてはまだまだ足りない部分がある。ただ、これは何もリウマチ診療だけの問題ではなくて、日本の医療の診療そのものだと思います。
○小嶋委員 はい、そうですね。
○宮坂委員長 そこをどうするか。
○田中委員 診療と言うと非常に漠然とした感じがするので、「診断・治療法」とすると
具体的なイメージが湧くのかなと思います。
○宮坂委員長 診療を「診断・治療法」とか。
○田中委員 あるいは「治療戦略」とするか。
○小嶋委員 「治療戦略」という言葉はとてもいいですね。
○田中委員 どういうように使うかということも含めて「治療法」というのも良いかと思います。
○小嶋委員 診断・治療法は確実に進歩していますね。
○宮坂委員長 ほかにはいかがですか。今、「診断・治療法」とか「診断・治療戦略」という言葉を「診療」に変えてはどうかという意見が出たと思います。この点についてでも結構ですし、ほかの観点でもいいと思います。何かございますでしょうか。
○田中委員 治療のポツの2個目、「関節破壊の完全な阻止を期待できる」ということなのですが、ちょっと言い過ぎかなという感じがしています。どうしても多少の問題が残ることが多いので、「完全な」というのは少し弱めたほうがいいかなという気がします。
○宮坂委員長 そうですね。「完全な」を取って「関節破壊の阻止を期待できる」とか。
○田中委員 はい。「進行予防」とか、そのような感じで。
○宮坂委員長 確かに今の治療法、例えばメトトレキサートを早期から使い、必要とあらば生物学的製剤を使っても、まだアンメット・ニーズがあるにはある。完全に関節破壊が阻止できるわけではなく、10%前後の患者さんは早期から積極的に治療しても、まだなかなか寛解に導入できない、あるいは関節破壊が阻止できない。だからこそJAKインヒビターなど、いろいろ次のものが出てきつつあるわけで、「完全な」というのはちょっと言い過ぎかもしれません。この点でも結構ですし、ほかの点でも結構です。よろしいでしょうか。
○山中委員 特徴の2つ目、「効果的な対処療法はあるが」という所なのですが、その「対処療法」というのが適切かどうか。もちろん、根治的な治療法と対比でこのような表現がされるのはいいと思うのですが、対処療法と言うとどうしてもNSAIDsやステロイドのイメージが強いので、生物学的製剤やDMARDsを対処療法と言っていいのかというのは少し引っかかります。
○宮坂委員長 言葉を変えるとするとどうすればいいですかね。確かに、おっしゃるように生物学的製剤は分子標的薬剤ですから、対処的なものよりもはるかに病態を見据えた治療をしているのは事実ですよね。
○山中委員 はい。「根治的な」との対比で「対処的な」というのは確かにそのとおりなのですが、ちょっと対処療法と言うには弱いのではないか。ですから、例えば「関節破壊の進行を阻止できる治療法はあるが」など、もう少し具体的なほうがいいのかなと思ったりもいたします。
○宮坂委員長 なるほど。
○田中委員 「有効性の高い治療法が開発されているが」などという形のほうがよろしいのではないでしょうか。
○宮坂委員長 確かにそれがいいかもしれません。関節破壊については最後に出てきますから、「有効性の高い治療法はあるが」あるいは「出現しつつあるが、根治的な治療法は未確立」というようにするかですね。事務局的には問題ないですか。
○貝沼がん・疾病対策課長補佐 はい。ただいまの委員の皆様方の御意見は、御指摘の趣旨が分かるように工夫して、報告書に反映していきたいと考えております。
○宮坂委員長 ありがとうございます。ほかに(1)「リウマチについて」ではよろしいでしょうか。現時点ではまだ予防は不可能ということは、要するに原因が分かっていなくて予防は不可能であるということは、ここに入っていますか。後の所もあるから、予防はできない、現時点では予防ができないということをどこかに書いておくというのはどうでしょうか。
○山中委員 どこに持ってくるかですよね、治療ではないですね。
○宮坂委員長 そうですね。ここが適切なのか分からないのですが、どこかに予防のこととか、例えばがんの分野ではプレシジョンメディスン、遺伝子を見ることによって治療戦略を変えるというようなことも、少しずつやられつつあるわけです。疫学研究とも関係してくるのですが、現時点では少なくとも発症予防は不可能ですよね。
○山中委員 もし入れるとすると、「根治的な治療法や発症の予防は未確立」とか。
○宮坂委員長 ああ、ここに入れるかですね。
○山中委員 そういうことでいかがでしょうか。
○宮坂委員長 そうですね。今の山中先生の案では、特徴の2ポツの「有効性の高い治療法はあるが、根治的な治療法」、そして「リウマチ発症の予防法については未確立である」。ここに入れるかどうか。
○山中委員 あと一点あるのですが、「薬物療法のみでの寛解は困難」がちょっと誤解を招くかなと思います。寛解というのは、我々が一般的に考えているのは疾患活動性が抑えられている状態ですので、ここに寛解を置くのはちょっと混乱を招くかと思います。
○宮坂委員長 言わんとするところは理解できないことはないのですが、文言をどう変えるか。
○山中委員 例えば、ここに寛解を残すのであれば、「機能的寛解は困難」とするか、それとも全然変えてしまうか、どちらかと思います。
○宮坂委員長 前のときにも議論が出たと思うのですが、当初は臨床的寛解を言っていたわけですけれども、有効な治療法が出てくると構造的な寛解、イコール画像的な寛解、更には機能的寛解が可能になってきた。今の案は機能的寛解という言葉をここに入れるかどうかということですね。
○小嶋委員 もし、これが一般の方も読むものであるとすると、寛解という言葉がとても分かりにくいのではないかと危惧します。
○宮坂委員長 定義をしないといけないですね。
○小嶋委員 はい。なので、一般の方でも分かるような噛み砕いた定義をここに入れるか、あるいはもう「ADLの改善」という言い方ではどうかと思います。
○宮坂委員長 関節破壊や変形を来した患者さんは、薬物療法のみではADLの改善。
○小嶋委員 はい、ADLの改善は見込めないというような言い方であれば、どなたもご理解されるのではないでしょうか。
○宮坂委員長 いきなり機能的寛解が出てくるのは確かにあれかもしれません。
○山中委員 寛解を残すのであればということで無理矢理の案です。
○宮坂委員長 ただ、どこかで寛解の定義を一度しておかないといけないですよね。
○小嶋委員 はい、それはあるかと思います。
○田中委員 鎮痛薬などでADLもかなり良くなるので、そういう意味ではどうなのでしょう。薬物のみでは不十分というニュアンスですよね。
○宮坂委員長 そうですね、困難というよりは不十分という。
○田中委員 薬物療法のみの対応では不十分というような、ちょっと漠然としていますけれども。
○宮坂委員長 いや、薬物療法のみでは不十分と言うと、何が不十分かと聞かれると思います。
○田中委員 そうですね。
○宮坂委員長 何が不十分かは書かないといけない。いずれにせよ、どこかで寛解の定義を入れるということと、治療の4ポツ目で、関節破壊や変形を来した患者さんは、薬物療法のみでは。
○田中委員 十分なADLの改善が得られず、リハビリテーションや装具使用等々。
○宮坂委員長 十分なADLの改善は認められず。
○田中委員 得られずですかね。
○宮坂委員長 十分なADLの改善は。
○田中委員 「得られず、リハビリテーションや」というようにつなげるというのはどうでしょうか。
○宮坂委員長 はい、文脈的には全く問題ないですよね。
○山中委員 もし寛解を入れるとすると、治療の1番目の「リウマチの診断及び治療は飛躍的に進歩」の後に「寛解が得られる患者さんが増えた」という表現になりますか。
○宮坂委員長 すみません、どこになりますか。
○山中委員 治療の1番目です。「近年、メトトレキサートや」の文章で、「リウマチの診断・治療は飛躍的に進歩し」、例えばここに「寛解が得られる患者さんが増えた」という一文を入れればいいのではないでしょうか。
○宮坂委員長 はい、そうですね。分かりました。これは、リウマチの治療の目標になるものがなかなか難しくて、御存じのように2016年のEULARの治療のレコメンデーションの改訂版では、治療の目的をはっきり書かなくなってしまったのです。先生の2014年のデータ、診療ガイドラインではEULARのあれを引っ張ってきて、治療の目的として、ただ単に関節炎を良くするだけではなく、ADLを良くし、QOLを良くし、最終的には生命予後を良くするという趣旨のものは今、EULARにはないのですよね。
○山中委員 あれは最初からなかったと思います。
○宮坂委員長 なかったでしたか。
○山中委員 我々のガイドラインの中で作ったものだと思います。
○宮坂委員長 あれは我々が作ったのでしたか。
○山中委員 はい。
○宮坂委員長 そうでしたか、はい。ここにリウマチの治療目標みたいなもの、目標も変遷しつつあるわけですよね、それを書くかどうか。ここだけに時間を使うのもあれなので、目標のことについては後から出てくるかもしれないので、少し先に行きましょうか。
(2)リウマチに関する疫学、ここでは推定患者が70万から100万というのも必ずしも根拠が十分な数字ではなく、貝沼課長補佐のほうで患者調査の推計値を出していただき、33万人と半数以下、ちょっと合わないわけです。それから、全世界的には人口の0.5ないし2%と言われていますから、0.5だとしても、今の日本の人口からすると合わないわけです。この辺をどういう表記にしていくのか。確か、この患者調査のリミテーションというのは、1回来た人もカウントしているのでしたか。
○貝沼がん・疾病対策課長補佐 事務局です。患者調査は10月のある3日間の病院受診状況、入院患者さんの数を調査しているものですので、それらのカウントからの計算上の推計値というように御理解いただければと思います。
○宮坂委員長 あとは患者の高齢化、これは田中先生から出していただいたNinJaのデータベース、登録患者の平均年齢が上がっているだけではなく、平均発症年齢が上がっているという図をここに出す。医療費についてはここに書いてあるとおりで、関節リウマチだけに幾らかかっているかが分かるわけではないのですが、それも含めた筋骨格系の疾患にこのぐらいかかっていて、なおかつ炎症性多発関節炎障害にかかっているということで、ある程度関節リウマチにかかっている費用を推測していただくというやり方だと思います。この辺りはよろしいですか。
○小嶋委員 推定患者数について、今、一番確かなのは、山中先生が「Modern Rheumatology」に発表されたものだと思います。山中先生が示された患者数には2つあって、124万人と、貼付型の非ステロイド性抗炎症薬のみが処方されている症例やその他の薬が処方されていても期間が1ヶ月と言う症例を除外した場合の70万人と控え目なものとを出されています。その両方を示すという方法と、どちらかを条件を付けて出す方法がありえますが、今後、どちらを基に考えて行くのがより妥当でしょうか。レセプトデータでは74歳までなので、実は75歳以上からどんどんリウマチ患者さんの数は増えていきますので、実際はこの1.5倍になると思います。とはいえ、「1.5倍」は論文化されたデータに基づくものではないので、現段階では山中先生が推計してくださった数値に、きちんと条件を、これは16歳から74歳までだということを明記して用いる必要があるかと思います。
○宮坂委員長 もう一度、先生の疫学研究で日本の推定患者数を出したやり方をちょっと簡単に話していただけますか。
○山中委員 あれはJMDCだったと思うのですが、レセプトデータですよね。抗リウマチ薬使用患者を推定したということで、70から120という数字が出てきました。
○宮坂委員長 その場合の年齢制限、上限は先ほど先生がおっしゃった74歳と。
○山中委員 はい、そうです。
○宮坂委員長 下限は15歳以下、18歳以下ですか。
○小嶋委員 16歳です。
○宮坂委員長 ああ、15歳以上、16歳から74歳。
○小嶋委員 はい。
○宮坂委員長 までのデータですね。
○山中委員 ですから、確かに言われるように明らかな数字というのは出てこないし、高齢発症のリウマチが増えているということも考えると、例えば妥当な表現かどうか分かりませんが、「少なく見積もって70万」という表現などでいかがかと。
○宮坂委員長 ただ、その一方でJMDCのデータというのはリミテーションもあって、あそこではリウマチと診断がついて、抗リウマチ薬を使っていて、確か6か月間隔で2回以上診断がついている人を挙げていると思いますが、抗リウマチ薬を使っていないような軽症例は落ちてくる。それから、65歳以上の高齢者は、入っている率が確か10%以下で、すごく少ない。あれは保険データベースですから、もう定年になってしまうと、その人たちはデータベースから落ちていくので、正確な数字は覚えていないのですが、確か10%をはるかに切っていたと思います。ましてや、先ほどのNinJaのデータベースだと、高齢発症が増えてきて、ということになると、この70万人とかはミニマムというか、少なくともその数で、実際は多いかもしれません。
○小嶋委員 とすると、後々のことを考えると、出典とそのリミテーションがきちんと明記されていることが重要かと思います。次に患者数の推計が行われる際には、前回の方法とリミテーションを踏まえて比較することができますので。
○宮坂委員長 報告書の中にどこまで書き込めるかという問題もあるのですが、確かに患者調査の推計33万人を出すのは、もしかするとミスリーディングかもしれません。
○小嶋委員 それはちょっと、はい。リウマチ患者さんでは受診間隔の幅の個人差が大きいために、患者調査による患者数の推計では実際とのずれが大きいと思われます。
○宮坂委員長 どうしますか。もちろん、リミテーションをやるのだけれども、保険データベースを使ったデータが、今のところは日本では一番サイエンティフィックにソリッドなデータではありますよね。この辺、何か御意見はございますか。事務局としては、この患者調査推計33万人というのは、やはり入れたほうがいいですか。
○貝沼がん・疾病対策課長補佐 こちらは骨子のほうですので、説明が非常に少なくて申し訳ありません。先生方から御議論いただきましたように、実は今、非常にいろいろな御意見が、現状のリウマチ疫学についてはあります。一方、私ども厚生労働省の患者調査でも、また違った数字が出てきています。そうした差異が、このリウマチ対策の疫学研究を最も取り組まなければいけない部分と示す根拠と考えております。それで、一番最後、ちょっと先になりますけれども、6ページの「研究」の所で、疫学調査の必要性を書き込んでいきたいと思っております。今までの御議論を少し反映するような形で記載していきたいと考えています。
○宮坂委員長 分かりました。確かに、今の山中先生のデータもJMDCのデータですし、高齢医療のところはまだ十分ではありません。今後、日本でリウマチの疫学研究、特に発症に関する疫学研究に関して、特に高齢者の部分というのは欠落しているのは確かです。そういうことも含めて、ここの部分にはまた少し文言を考えていただいて、また次回に提出していただくということでよろしいですか。
(3)厚生労働省によるこれまでの取組というのは、やっていることをリストアップしているだけですから、これはこれでいいのかなと思います。よろしいでしょうか。それでは、「リウマチの現状」はここまでとします。2の「関節リウマチ対策の更なる推進のために」を御説明いただきます。お願いします。
○貝沼がん・疾病対策課長補佐 それでは資料3の3ページ、2「関節リウマチ対策の更なる推進のために」の(1)対策の全体目標という所をお願いします。併せて資料2は、一番上に無症状期間、発症、初回症状発現期、そして寛解や再燃等を繰り返し徐々に身体機能が悪化、合併症の発生などと書いてありますが、こうした2つのフェーズを出していきたいと思っております。
その中で、対策の全体目標の1つ目としては、関節リウマチの自覚症状が少ない早期に発見・診断し、良質で適切な治療を早期から実施・継続することにより、重症化を予防する。そして、罹病歴が長く、関節破壊や変形等を来した患者に対し、薬物療法・理学療法・手術療法等を集学的に行い機能性の改善を実現する。そうした2つの患者様たちに対して、労働等社会生活への参加を通じて、患者の長期的な生活の質を最大限まで改善する。これを対策の全体目標として記載したいと思います。
(2)個別対策です。対策の全体目標の実現に向け、取組の方向性を示すということで、資料2のカラーになっている所が、それぞれ順番に記載してある所ですので、併せて御確認ください。まず、➀医療の提供等は、「診療連携体制の在り方について」と項目を振り、現状の課題の中では、発症直後や再燃、合併症等が生じた際、専門医療機関等による治療方針の検討が必要だが、一般医療機関との連携が不十分。2017年に日本リウマチ学会より「関節リウマチ診療ガイドラインJCR2014に基づく一般に向け診療ガイドライン」が出されたものの、普及が不十分であり、また一般医療機関と専門医療機関等における紹介基準等が十分に示されていない。専門医療機関等では、薬物療法や外科的治療・理学療法等を含め、総合的な診療を求められるが、内科及び整形外科等の連携に課題としました。
(イ)は取組の方向性です。関係学会や関係団体は、国や地方公共団体と連携し、地域の実情に配慮しながら、早期診断・早期治療や副作用が生じた際における一般医療機関と専門医療機関等が連携した診療を推進。関係学会と日本医師会は国と連携し、紹介基準等を含めた一般医向け診療ガイドラインを改訂し、関係者に広く普及。関係学会や関係団体は、専門医療機関における密接な連携システムを構築することが必要。国はこれらの連携システムを構築するに当たり、地域の実情に応じたモデル的な取組を行い、共有するとしました。
続いて、「診療の標準化・均てん化について」と題打ち、(ア)現状と課題では、日本リウマチ学会が作られた「関節リウマチ診療ガイドライン2014」等のガイドラインにより、標準治療の普及に努めているが、一般医療機関等への浸透が不十分。メトトレキサートや生物学的製剤を発症早期から適切に用いることにより、多くの患者が寛解に至るようになってきたが、適切な治療方法の普及及び減量・休薬・中止に関する検討は不十分。一般社団法人日本リウマチ学会のリウマチ専門医数において、地域偏在や整形外科医の減少や小児科医の不足が課題。
(イ)取組の方向性として、関係学会や関係団体は国と連携し、診療の標準化を進めるため、診療ガイドラインを改訂及び普及することが必要。国は関係学会と連携し、生物学的製剤の適正な使用を推進するとともに、患者の寛解を維持しながらの減量・休薬・中止方法についての検討が必要。地方公共団体は地域医師会等の関係団体と連携し、リウマチ・アレルギー特別対策事業等を活用し、一般医療機関等に対する情報提供を行うことが必要。関係学会は専門的なリウマチの知識と技能を有する医師の育成を推進し、地域偏在や診療科偏在の解消を目指すことが必要としました。
続いて、「年代に応じた診療の充実について」という項目では、現状と課題として、若年性特発性関節炎に罹患した小児は、成人期に関節性リウマチに高率に移行するが、リウマチ性疾患を専門とする小児科医が不足。小児期から成人期へのシームレスな診療連携体制の構築を検討しているが、移行期に関する診療の標準化及び均てん化が不十分。若年成人期の患者における就労・妊娠・出産等における対応や治療に関する指針などが不足している。新規発症を含むリウマチ患者の高齢化が進み、合併症や加齢に伴う様々な運動器の問題により、ADLやQOLが損なわれる患者が増加。これを受け、取組の方向性として、国は地方公共団体や関係学会等と連携し、小児期及び移行期におけるリウマチ治療を周知し、医療の充実を図る。関係学会は国と連携し、若年成人期の患者を診療していく際に参考となる、様々なライフイベントにおける対応に関する指針等の作成を検討。関係学会は国と連携し、高齢なリウマチ患者に多く見られる合併症や運動器問題等に配慮した診療ガイドラインの改訂を検討。
続いて、「専門的なメディカルスタッフの育成」という項目では、現状と課題として、医師とのより密接な関係を患者は求めているが、専門的な医師の偏在や不足により十分な対応が困難な状況にある。患者の高齢化等の状況に対し、患者及びその家族を支援する保健師、看護師等がリウマチの専門的な知識を有する必要がある。メトトレキサートや生物学的製剤等、治療が高度となり、薬剤師が、薬剤や副作用等の専門的な知識を有する必要がある。
身体機能の低下を防止するには、早期からの運動指導や理学療法が必要となり、理学療法士等が専門的な知識を有する必要がある。症状が不安定な場合、治療と就労の両立は難しい場合があり、両立を支援する体制整備が必要である。これらを受け、取組の方向性として、関係学会や関係団体は、保健師、看護師、薬剤師、理学療法士等に研修等を通じ、人材の育成を行うことが望ましい。国は関係学会や関係団体と連携し、就労者における治療と就労の両立を支援する方法を検討することが望ましいとしました。
➁は情報提供・相談体制です。(ア)現状と課題です。国民及びリウマチ患者に正確な情報提供が不十分。保健師等の医療従事者を対象としたリウマチ・アレルギー相談員養成研修会を実施しているが、リウマチ関係者の参加が少なく、人材育成が不十分。アレルギー情報センター事業においてリウマチの電話相談を行っているが、当事業へのリウマチに関する相談件数は少ない。患者会への相談には医療費や治療に関する相談が多数寄せられ、ピアサポートが行われているが、相談の受け手の高齢化が問題となっているとしました。これを受け、取組の方向性として、国は関係学会や医師会等と連携し、最新の研究成果を含む疾病情報や診療情報等を地方公共団体や医療従事者等に提供。地方公共団体は国民及び患者とその家族に対し、リウマチに関する適切な治療や薬剤及び研究成果などの情報等の提供を推進。国は関係学会や関係団体と連携し、リウマチ患者に適した相談体制の検討が必要としました。
最後に➂は研究開発等の推進、(ア)現状と課題です。リウマチ患者数の推計データはあるが、患者年齢等の疫学的データやライフステージ別の診療実態の把握及びそれらの検討が不十分。標的分子の制御による治療手段及び早期治療から始まる治療戦略は大きく進歩したが、骨破壊や軟骨破壊などの分子機序や自己免疫学的な機序等の解明は不十分。リウマチ発症のハイリスク集団などが特定されてきているが、これらに対する発症前からの医学的介入についての検討が不十分。
(イ)取組の方向性です。国は関係学会等と連携し、NDB等診療情報データベースを用いて患者数やライフステージ別の診療に関しての実態把握を推進。国は関係学会等と連携し、関節破壊の阻止や免疫学的な機序解明等の研究を進め、リウマチの治癒や予防の研究を推進。国は関係学会等と連携し、リウマチ発症のハイリスク集団等に対する発症前からの医学的介入等に関する研究を推進。(3)として、その他を準備しております。以上です。
○宮坂委員長 ありがとうございました。それでは、この2「関節リウマチ対策の更なる推進のために」という非常に長い部分ですので、まず(1)の対策の全体目標、それ以下は個別対策になるので、まず(1)の対策の全体目標、ここが十分書かれているかどうかという点についてディスカッションしたいと思います。
対策の全体目標、関節リウマチの自覚症状が少ない早期という点について、今日は山本委員がいらしていませんが、例えば1つの案として、「臨床症状が特徴的でない早期」という言い換えをすればいいのではないかという御意見もありました。どのような文言にするのか、結局、自覚症状はあるがリウマチ特異的な症状ではないため、特異性が低いために、この場合には特に最初、開業医の先生の所にかかるのですが、そこの時点では診断がつかないということを少し書いているのかなとは思います。この点はいかがでしょうか。
まだ残念ながら、リウマチの早期・中期・晩期を表すバイオマーカーはない。それから、治療的反応性を示すバイオマーカーも今のところ十分なものはないわけです。はっきり分かっていることは、早期から積極的に診断をし、治療会議をした場合には、関節の予後がいいという科学的なエビデンスはあるわけです。その「早期に発見・診断し」という所をどのような文言にするのかということだと思います。
○田中委員 非特異的関節炎のことを念頭に置いてしまうと、今ではできないような治療のことを話すことになりますね。しかも、きちんと鑑別診断をしないといけないというところを押さえないことになってしまうので、やはり、リウマチときちんと診断をつけて、それを早期に治療するという文脈にしたほうがいいように思います。「関節リウマチの発症早期に発見・診断し」というぐらいでもいいのかなという。
○宮坂委員長 自覚症状が少ないというのを。
○田中委員 そこを取って。
○宮坂委員長 取って。
○田中委員 発症早期に発見・診断し。
○宮坂委員長 山中先生。
○山中委員 私もそれに同意します。というのは、やはり早期の関節リウマチらしき症例の中には、例えば、膠原病の患者、SLEが混ざっていたり、ほかの疾患が混ざっていて鑑別診断が非常に大事なときですので、関節炎があるだけでリウマチと診断して、生物学的製剤等を使用することがないようにすることも大事かと思います。
○宮坂委員長 そうですね。それがあとで出てくるいろいろな診療ガイドラインにもつながってくる話だと思います。個別なことはそこで述べていけばいいと思います。対策の全体目標の3つのポツは特に問題ないでしょうか。このままでよろしいでしょうか。
○矢内委員 この3つ目の「労働等社会活動への参加を通じて、患者の長期的な生活の質を最大限まで改善する」というのは、具体的にどのようなことを意味しているのでしょうか。
○宮坂委員長 これは多分、今、治療がかなりよくできるようになってきて、今までは就労というのはかなり難しかったのですが、就労が可能になり、うまく治療ができた例は、就労だけではなく社会活動ができるようになり、その結果、患者さんの満足度も非常に上がる、医療費も安くて済むという、そういうことを書いているのだと思います。
○矢内委員 就労の継続など、そのようなことを意味しているということですか。
○宮坂委員長 と、私は考えています。山中先生の研究も、就労に関して日本の研究もありますよね。
○山中委員 はい、それはいろいろ、エビデンスは最近大分出てきています。ただ、少し違和感があったのは、この3番目に関しては、この主語は誰なのでしょうか。1番、2番に関しては、むしろ医療スタッフかなと思うのですが、3番目の主語は誰かなと。
○貝沼がん・疾病対策課長補佐 これは文章をつないでいくことにはなるのですが、上の2つはもちろん医療側になりますが、一番最後は患者様がこういった社会活動を通じてとしたいと思っております。
○矢内委員 これらの様々な対策が行われることによって、最終的に患者さんの生活の質が上がることを全体目標の1つにするという、そういう解釈でよろしいのですか。
○宮坂委員長 うん、なかなか、ちょっとこの部分。どうですか、患者さんのほうから見たときに、この間も少し問題になったのですが、患者さん御自身はまだ寛解に至っていると思っている人が割と少なく、就労や労働に戻ることは目標としてはかなり高い所にあり、なかなかクリアできない部分というのもおありになるのかなと。
○角田委員 それは年代別によると思います。やはり20代、30代、40代という年代で発症したときには、今は早期診断・早期治療ということで、薬でコントロールして社会に出たいと。また、お子さんが手のかかるときに発症した人たちは、子育てがある程度落ち着いたときには、今は社会に出て働きたいという、そういう思いの方は多いと思います。私のように治療法がないときの発症だと、そこまではもう到底考えられません。ただ、痛みを取って関節破壊を防ぎたいというだけでしたが、今は本当に早期に診断して早く薬を使い始めれば、その薬でコントロールしながら働きたい、社会に出ていきたいという方たちはかなり多いと思います。
○宮坂委員長 そうですね。グローバルにもただ単にADLを上げるだけではなく、患者さんの社会活動への参加を積極的に推奨することができるような治療法の進歩があるのは事実です。それがまだ十分に日本で、あとで出てくる地域格差の問題もあるので、どこでも達成できているかどうかは別として、このようなことが可能になりつつあるのは間違いないですね。
○山中委員 結局、疾患活動性をコントロールするとかADLを上げるというところが最終目標ではなく、患者さんが幸せな一生を送れるような、そこまで広げていいか分かりませんが、目標は高く置いてということが、ここに含まれているのかなと思っています。そうあるべきかなと思います。
○小嶋委員 この文章の主語を何にすべきかという点について特に意見はありませんが、今、リウマチ患者さんの生命予後は決して悪くないので、やはり国としても、医療者も、患者さんも全ての人たちが、適切な治療・サポートがあれば、リウマチ患者さんは一般の人と同じような社会活動が継続できるというコンセンサスをここで示すということでしょうか。
○宮坂委員長 ただ、欧米では生物学的製剤の登場により、生命予後が改善したのは確かですが、日本でそのデータがあるのかというとないのです。十分なデータは。
○小嶋委員 IORRAから出ていませんでしたか。
○山中委員 経時的にはまだよくなったというデータはないです。
○小嶋委員 ああ、そうですか。
○山中委員 はい。
○小嶋委員 この間、見たような気がしましたが。あれは日本ではなかったですか。
○田中委員 寿命が全体に延びているので。
○小嶋委員 ええ。
○宮坂委員長 そうそう。
○田中委員 それに呼応して延びているかのごとく見えるのですが、NinJaでもやはり大体並行して延びる感じです。
○小嶋委員 ああ、そうですか。
○田中委員 ええ。
○宮坂委員長 ですから少なくとも、エイジマッチとの研究、年齢を合わせた一般人口と比較したときに、明らかに10年前と比べて日本はリウマチ患者の生命予後が本当に延びているかどうかというのはまだ分からない。
○小嶋委員 では、早く明らかにしないといけないですね。
○宮坂委員長 だからこそ疫学研究というものをきちんとやらないといけないのだろうと思うのです。では、この対策の全体目標については、今言ったことを含めて少し見直すということで、大きな問題点はないということでよろしいですか。個別対策で、➀が医療の提供等で、➁が情報提供相談体制で、➂が研究などです。まず、➀の医療の提供と診療連携体制の在り方。ここでは一般医療機関との連携やガイドラインの問題などが出てきていますが、まず、➀の医療の提供の所、5ページの下の所から➁の情報提供相談体制が始まりますので、そこまでの➀の間で大きな問題点がないかどうか、十分網羅できているかどうかも含めて御議論願いたいと思います。
(ア)の現状と課題は、確かにこのとおりです。そして(イ)の取組の方向性についても、(ア)の所で出てきた日本リウマチ学会、JCRから2014年に出た関節リウマチ診療ガイドラインがあり、それから2017年に山中先生を中心として一般医向けの診療ガイドラインも作っていただきましたが、まだ、残念ながら十分普及されているとはいえないという問題点を指摘しているのだと思いますが、この辺りはよろしいですか。
○田中委員 すみません、一番最初の所で、専門医療機関と一般医療機関という対比があるのですが、一般医療機関という意味が少し分かりにくく、専門医でない人のことを全部一般医療機関ということなのですか。これは開業医などを念頭に置いているのか、専門医が1人もいないような総合病院という意味なのか、どうなのですか。
○宮坂委員長 はい、この点はいかがでしょうか。確かもともと出てきたときは開業医を意識していたのではないですか。
○田中委員 クリニックということですかね。もし、そのようにコンセンサスがあるならいいと思います。
○宮坂委員長 はい。ここの部分というのは、医療の施設間格差あるいは地域格差、そういったものも含めているのですが、2回ほど前ですが、やはり議論になったのは、先進的治療をすれば、今は少なくとも6割7割はリウマチの寛解は得られるはずなのに、例えば患者さんは、使っている物差し、判断のスケールは違うにしても、10%以下の方しか寛解だと思っておられない。やはりそれは施設間格差、医療の地域格差というのが多いだろうと。だからこそ、その医療機関の連携が必要であり、診療ガイドラインが専門医だけではなく一般医にも必要ですし、特に一般医がある症例を見たときに、どのような症例であれば専門機関に回すべきなのか、あるいはどういう症例であれば、どこまで治療していいのかという具体的なガイドラインが欲しいという御意見も確か医師会から出ましたね。
○市川委員 今、リウマチの患者さんがリウマチだと思って来られないケースがいっぱいあるものですから、そのときに私ども一般診療所が、こういう患者さんを診たらリウマチを疑う、それにはどういう検査をするのか、どのように紹介するのかというのは知識としてないと、その患者さんを抱え込んでしまうとかえってよくない。ですから、できるだけ早い段階で我々が判断できるような専門的な知識を医師会を通じて一般の先生方に提供できれば、それが一番早い、有効だと思っております。そういうことです。
○宮坂委員長 山中先生を中心にお作りになった一般医向けのガイドラインというのは、もともと専門医向けのガイドラインがQ&A方式でリサーチクエスチョンであるのに対して、文献的に検索をした結果、エビデンスレベルの高い答えをアンサーとして加えていて、それをある程度モディファイして、その中で専門医としてできるもの、あるいは一般医としてできるものをある程度明確にして切り分けて、一般医の診療ガイドラインとしたということはありますよね。
○山中委員 そのとおりです。もともと専門医向けのガイドラインとして作ったものですから、それが一般の先生方には使いづらいという話が当然ありまして、それでその幾つものそういうステートメントの中で、これは一般の先生方にもお願いしたいもの、これは専門医に任せていただきたいものという形で分けたのが、一般医向けのガイドラインです。ですから、市川先生が言われるように、例えば本当に初診の患者でどうすればいいのかとか、そういったところには全く踏み込んでおりませんので、そういったものの指針も必要だろうと思います。
○宮坂委員長 そうですね。ですから、これは前に市川先生からも出たと思いますが、どういう症例であれば専門機関に回せばいいのか、どこまで治療して、どこから専門に回せばいいのかということも含めた指針あるいはガイドラインのようなものを作るのをどこがやるか。今まで先生の研究ですと、厚労省の科研費の指定研究の中の1つの分科会として責任をもって成果を出して、それを日本リウマチ学会に意見聴取をして、パブリックオピニオンを求めて、最終的に日本リウマチ学会から出ていたという経緯があるわけです。今はそういう指定研究というのは何もないですから、それをどうするのか、あるいは学会がやるのか誰がやるのかという問題も含めて、作る必要性はあると思うのですが、そのフィージビリティに関しては今はそう簡単ではないかもしれないですね。
○山中委員 ただいま2014年のガイドラインの改訂の作業が始まるところで、川人先生、小嶋先生、金子先生も含まれていまして。
○宮坂委員長 それは学会としてやっているのですか。
○山中委員 学会ではなくて厚労科研費です。それが始まるところです。それは3年でやろうということで、前回のガイドラインの作成で不十分であったところを補完するような形で作成することをお願いしているという状況です。具体的に言うと、例えば先ほどから全体目標の1、全体目標の2といったところは、かなり確立していますのでガイドラインにも入れやすいのですが、それ以外の合併症のある方、高齢者、小児、妊娠出産の方といったときの問題点をもう少し明確にしてもらうこととか、今議題に挙がっている一般の先生方との連携をどのようにするのかというところを手厚くやっていただくようにお願いしているところです。
○宮坂委員長 もしも、そういう厚労科研費を使った研究班があるのだとすれば、今言った2014年の診療ガイドラインの改訂だけではなくて、日本医師会も希望しておられるような、一般医が使えるようなガイドラインと言うか、そういったものもアウトプットとしてできると一番いいですよね。
○山中委員 はい。もし今のガイドラインの中でそれができるようなことであれば、それはそれでいいのですが、また全然別物ということになれば、例えばそれこそ日本リウマチ学会のガイドラインで、そういったところでガイドラインとして練るということも可能であろうと思います。
○宮坂委員長 そうですね。今日は山本委員がいらっしゃらなくて、次回は出てこられると思うのですが、その辺をどこが母体となってやるのか、最終的には多分、先生の今度の研究も日本リウマチ学会に提示して、そこで御意見を聞いて最終形ができるということになりますよね。
○山中委員 そのように思いますが、今の市川先生のお話のようなガイドラインであれば、それとはまたちょっと毛色が違いますので、それは日本リウマチ学会の中でも作成可能かもしれません。
○市川委員 要するにファーストタッチの部分と継続してくる部分で、どういうときに専門医のほうにお返ししたいか、そういう全体像として、日常診療でどのようにリウマチ患者さんを診ていくのかということも併せてお知らせいただければ、それは非常に役に立つと思うのです。
○宮坂委員長 この前、少し個人的にお話をしたときは、その辺も含めた教材として作って、それを日本医師会の方に読んでいただいて、それを日常診療に還元していただく方法があるのではないかという話が出ましたよね。
○市川委員 ですから、本当にパンフレットみたいなもので済むのであれば雑誌の中に差し込めばいいのですが、ある程度ボリュームがあるとなると、またそのやり方も変わってきます。その辺のところはまだ全然話が進んでいないので、その辺のこともお知らせいただければと思います。
○山中委員 今の御要望であれば、いわゆるエビデンスベースドの分厚いガイドラインを作る必要はなくて、むしろ今コンセンサスが得られているようなところを集大成するような形のものですから、多分3、4ページぐらいのものになるのではないかと思うのですが、それでしたら学会内部で作ることもできるのではないでしょうか。
○宮坂委員長 そうですね。山本先生にもこの議事録はお届けすることになると思いますけれども、一度先生からも話していただいて、日本リウマチ学会として対応できることであれば、これは余り長期間かけて作るようなものでもないと思うので、やる気になれば短期間にできると思います。その辺のガイドラインについては、今後学会を含めて対応していくということでよろしいですかね。
○田中委員 1点だけよろしいですか。
○宮坂委員長 はい。
○田中委員 開業の先生方を対象とする場合に、開業していてもリウマチの専門医の方々もたくさんいらっしゃると。でも、本当に全く専門でないような方々が整形外科を含めていて、そこを分けないと難しいのかなと思います。つまり、メトトレキサートを使ってくださいというのは、開業していても専門医を持っている方には言えるけれども、そうではない普通の整形の開業の先生にメトトレキサートを使ってT2Tと言われてもちょっと難しいので、そこは分けていただいたほうがいいかなという気がします。
○山中委員 分かりました。実は前回の一般医向けのガイドラインを作るときにもその辺りを分けて最初は作り始めたのですが、かなり複雑になりまして、あのような形になったという経緯があります。
○小嶋委員 田中先生が御指摘されたように、「一般医療機関」と「専門医療機関」という言い方をする必要があるのか、「一般医」と「専門医」ではいけないのでしょうか。「一般医」と「専門医」であれば、開業されている専門医もいらっしゃるわけですし、大きな総合病院でも、リウマチという観点で言うと一般医の先生もいらっしゃるわけです。連携が必要なのは、一般医と専門医の連携、一般医と専門医の間の紹介で、医療機関の問題ではないのではないかと思うのですが。
○市川委員 「一般医」と「専門医」とすると、病院の中にいる一般医となってしまうと、また少し話が違ってきてしまうので、やはりここは医療機関という単位のほうが明快だと思うのです。
○小嶋委員 分かりました。
○宮坂委員長 ここで言っている一般医というのは、非専門医でなおかつ多くの方は開業していらっしゃる方を指しているのだと思うのです。ここはよろしいでしょうか。それから、(ア)の現状と課題、(イ)の取組の方向性、4ページの「診療の標準化・均てん化」の所で、(ア)の現状と課題。
ここで気になったのですが、(ア)の3ポツ目です。地方に偏在があるのは確かなのですが、整形外科医の減少や小児科医の不足が課題。小児科医の不足は前に森委員からお話いただきましたが、リウマチ専門の整形外科医は減っているのですか。
○田中委員 全体として見たらものすごく減っていて、特に若い人のリウマチ専門医がものすごく減っているというのが現状です。
○宮坂委員長 その理由は何ですか。
○田中委員 恐らく、薬物療法がかなり進歩して複雑化したことによって、拒否しているという点が非常に大きくて、ここにこうやってわざわざ上げるかどうかというのは別にして、それは1つ整形外科としての問題かなとは思っています。
○宮坂委員長 その分、リウマチを診る専門医の数としては増えていることは確かですよね。例えば日本リウマチ学会、あるいは日整会も含めてですが、専門医の数は増えていますよね、決して減っていない。
○田中委員 今、専門医の数は頭打ちになっているのですよね。
○宮坂委員長 日本リウマチ学会はどうですか、増えていますよね。
○田中委員 会員が頭打ちなのですかね。去年と今年で頭打ちになっていて、1万を超えていたのが切ったのです。
○宮坂委員長 専門医の数は増えているのではないでしょうか。多分、専門医の中の構成も変わってきて、内科出身の人と整形出身の人と比べると、推測するに整形出身のリウマチ専門医の方が減ってきて、内科出身の方が増えてきているというのはあると。
○田中委員 それは明らかで、その数が将来的に十分かというところは問題かと思っていて、50歳以上だと、整形と内科は半々になっています。20代になると整形は10%ぐらいしかいないので、それで全部の整形外科医の今いる数を補えるのかというのは不安には思っています。
○宮坂委員長 ですから、ここに整形外科医の減少をわざわざ書くのは、ちょっと問題かもしれませんね。それは考えていただくこととして、取組の方向性は、診療の標準化はガイドラインが必要と。学会との連携、特に生物学的製剤は前回も出ましたが、3割負担だとしても高価ですから、有効性が発揮されて寛解が維持されているのであれば、減量・休薬・中止方法についての検討も必要。これはもう世界的な方向ですよね。特に、ことに関しては日本からのメッセージもかなり大きくて、今、研究が進んでいるのは事実ですよね。
それから、3ポツ目でいって、リウマチ・アレルギー特別対策事業というのは相談員の研修とか、そういうことでしょうかね、それをやっていると。それで、学会は専門的な医師の育成を推進し、地域偏在や診療科偏在の解消を目指すことが必要。これは正にそのとおりですね。
あと、「年代に応じた診療の充実」で、これは森委員から前に出た、小児を診る医者が少ない、あるいはトランジションピリオドを診る医者が少ない。これも先ほど出ましたが、若年成人の患者さんの就労・妊娠・出産などの問題があるので、それに関する個別の指針が少し足りないかもしれない。これも、先ほどの山中先生のあれだと、今度の改訂でその辺りもカバーされるということですよね。
○田中委員 はい。
○宮坂委員長 それから、高齢化が進み、高齢に伴う運動器の問題も出ていて、ADLやQOL。これは現状の課題でよろしいですよね。その次に5ページにいきまして、3ポツ目は、高齢なリウマチ患者に多く見られる合併症や運動器問題等に配慮した診療ガイドラインの改訂。これも先ほどの山中先生のお話だと、今後カバーされていくだろうということでよろしいですよね。
○田中委員 「運動器障害」としたほうがいいかもしれないです。
○宮坂委員長 「運動器障害」ですね。あと、専門的なメディカルスタッフで、ここでは保健師、看護師、薬剤師、理学療法士というのが出ているのですが、あとソーシャルワーカーなど、そういう人たちをどうするか。ソーシャルワーカーは院内ではいろいろな疾患で引っ張りだこですから、なかなかリウマチ専門のソーシャルワーカーというのはとてもできない状況なので、リウマチにある程度特異性が高いものとして、保健師、看護師、薬剤師、理学療法士というのを挙げているのかなという気がしますが、この辺りについてはよろしいでしょうか。
○森委員 戻って申し訳ないのですが、4ページの2つ目の項目の所です。今、厚労科学研究でちょうど移行期医療に関する課題の研究を行っておりますので。最初の文章の最後が「~を検討しているが、」、その後ろは「不十分」となっているのですが、文章の一番最初の「構築」までで読点を打って、「移行期に関する診療の標準化及び検討化が検討されているが、いまだ不十分」という文章にしていただけると、有り難いと思ったのですが、いかかでしょうか。
○宮坂委員長 多分ここであれしているのは、今はまだ移行期に関する診療の標準化・均てん化が不十分なので、だからこそ今、研究班を作ってやっているのだと言いたいのだろうと。
○森委員 同じ意味でしょうか。
○宮坂委員長 はい。
○森委員 文言だけの問題なのですが、承知しました。
○宮坂委員長 今の点も含めて、➁の情報提供と相談体制の前までの所について、よろしいでしょうか。では、先に進みたいと思います。➁の情報提供体制と相談体制です。現状と課題、取組の方向性です。この間も少し話が出たのは、もちろん紙媒体で啓発活動をするというのもいいのですが、ホームページやSNSを使って情報を広く行き渡らせる、リウマチの啓発活動を行っていくということ。それに対して5ページの下のほうは、患者会への相談には医療費や治療に関する相談が多数寄せられ、ピアサポートが行われているが、相談の受け手の高齢化が問題になっている。これは友の会の話ですよね。
○角田委員 そうです。
○宮坂委員長 この辺りをどう書くかですね。あともう1つは、今のところは出てきていなかったのですけれども、リウマチ情報センターというのをリウマチ財団がやっていて、御覧になっていただくと分かるのですが、余りスマホ対応ができていないのです。今どこのホームページもそうなのですが、スマホからのアクセスが大体7割なのです。ですから、病院のホームページもそうですが、スマートフォン対応に作り換えるということがすごく大切です。ただ、スマートフォンやSNSにアクセスのない人たちに対しては電話相談になってしまうのだけれども、そこに関してはアレルギー情報センターはリウマチに関する情報提供は少ないし、友の会の場合には、これもドクターが対応しているわけではなくて、友の会の職員の方が対応しているということですね。
○角田委員 ふだんはそうです。月1回は専門医が電話相談を受けているという状況です。
○宮坂委員長 それは専門医が来てくれるということですか。
○角田委員 そうです。
○宮坂委員長 という体制はある。
○角田委員 前回も少しお話をしたのですが、支部にも相談が来ますので、言ってはいけないことと、提供しなければいけないこととの区別は、研修ではないのですが、年1回は全国支部長会で必ずしています。支部で受けたものに関しては、医師のほうへ振っていくということで、対応させていただいております。
○宮坂委員長 それとは別に、公開講座とか相談会とか、そういうものはあるわけですよね。
○角田委員 はい。それは全国の支部から、公開講演会開催通知の連絡が友の会へきますので、全部ホームページに載せています。それはかなりの数になっていると思います。
○宮坂委員長 それについて、ホームページにアクセスできない人たちには会報でお知らせするということになりますか。
○角田委員 はい。
○宮坂委員長 この辺りの情報提供、相談体制について、現状と課題は一応指摘はされているかなと。
○金子委員 課題の2番目の「保健師等の医療従事者を対象とした」という所で、「リウマチ関係者の参加が少なく」という記載がありますが、これは何を指しているのでしょうか。
○宮坂委員長 これは私も関わっているのですが、リウマチ・アレルギー相談員養成研修会というのをやっておりまして、そこに来られるほとんどの方はアレルギーに興味をお持ちの学校や県の保健師さんなどで、今のリウマチのプログラムが少ないというのもあるのですが、どちらかと言うとリウマチのニーズよりはアレルギーのニーズのほうが高いということを書いています。実際に、リウマチ関係者の参加は少ないのですよね。
○貝沼がん・疾病対策課長補佐 はい。このリウマチ・アレルギー相談員養成研修会は年に1度行われているのですが、以前より地方公共団体の保健師を対象とする研修会として事業運営をしてきております。その中で、リウマチとアレルギーがくっ付けますと、以前にいらしたササエ委員がおっしゃっていたのですが、今リウマチ患者が自治体に相談することが少ないという現状がある中で、リウマチ・アレルギー相談員養成研修会をすると、どうしてもアレルギー関係の自治体関係者となってくると、例えば母子保健事業の保健師や学校関係の方が多いといった現状があるということです。
○金子委員 リウマチに携わっている保健師が余り来ないということですか。
○貝沼がん・疾病対策課長補佐 もともと何かの疾患に特異的に携わっている人たちを対象にしているわけではないので、「リウマチの関係者が少ない」という書き方には語弊があったのかもしれませんが、基本的にリウマチ患者さんと接する機会が少ないということで、事業の対象者がどこにあるべきなのかというところをもう一度考えなければいけないかなと考えています。
○田中委員 リウマチ診療に、保健師の関与自体が必要なのかどうかという議論も必要なのかなと思います。かなり治療が高度化しているので、保健師というより医療機関の関与が中心になるいう気もするのです。それでもやはり保健師も関与すべきということなのでしょうか。
○宮坂委員長 個人的に感じるのは、こういう相談員の研修をしていると、アレルギーのほうに興味が深い方がいらしているせいもあるのですが、リウマチの早期診断ができるようになったとか、治療の進歩というものを全然御存じないのです。聞いて皆さんびっくりしてお帰りになります。リウマチというのは、動けなくなってしまう難病だと思っている方が圧倒的に多くて、話を聞いてびっくりして帰るというのはあるのです。
○矢内委員 保健師が関わる機会というのは先ほど事務局からも話があったように、直接御相談を受ける機会というのは非常に少ないと思うのです。ただ、御相談があったときに対応できるためには、私も含めてリウマチという名前は知っていても、どういう経過で、どういう治療法があるのかということについて、きちんと知っていることと知っていないことでは、大分対応が違うと思います。是非この相談員の養成のほうもリウマチのコマを増やしていただくとか、あるいは保健師などが相談に当たる場面では、多分治療費のこととか、必要な日常生活の支援サービスのこととか、必要な補装具等のデバイスの情報の提供だと思うので、是非この相談員の養成講座にリウマチの基礎的な知識と、リウマチ患者さんへの対応というような視点で講座を作っていただくと、何か相談があったときに非常に役に立つのではないかと思います。
○宮坂委員長 そうですね。一昨年までは、その相談員の研修会というのは内科的な話と外科的な話と、あとは患者友の会からいつも長谷川さんがいらして話してくださっていたのです。3コマあったのですが、今それが1コマの医療的な話しかなくなってしまったのです。だけれども、やはり患者の声を聞く、あるいはニーズがこうなっているということを保健師が聞かれるのはとても重要なことだと思うので、その辺はできれば復活していただきたいと思います。
○矢内委員 是非、取組の方向性に、そのような形で書き込んでいただけるといいかなと思います。
○宮坂委員長 分かりました。その辺りをどう書き込んでいくかということですね。よろしいでしょうか。あとは➂の研究開発の推進も含めて、最後の所までいきたいと思います。ここでは1つ、疫学的なデータやライフステージ別の診療実施の把握及びその検討が不十分。従来はどちらかと言うと、標的因子の制御による治療手段や早期治療から始まる戦略の開発とかということはやっていたわけですが、関節破壊の機序であるとか、さらに免疫学的な機序の解明に関しては足りない。それから、まだ疫学研究が足りていないために、グローバルにはハイリスク集団というのは分かっているけれども、日本では本当に誰がハイリスクなのか、今まで問題が出てきませんでしたが、高齢発症のリウマチというのが本当に同じ機序で起きているのか、治療法が同じでいいのかどうか。その辺りは、高齢リウマチの疫学研究と治療研究も必要なのかなと思いますけれども。この辺りで何か御発言はありますか。今書かれている点で十分であればいいと思うのですが、それも含めてディスカッションできればと思います。
○山中委員 結局のところ、高齢者、それから、妊婦、小児、そういったところのエビデンスが足りない。
○宮坂委員長 足りないですね。
○山中委員 それはなぜかというと、いわゆるRCTができない。
○宮坂委員長 そうですね。
○山中委員 対象になっていない手段だからエビデンスが少なくて、ガイドラインにも載ってこないことになるので、もっとその辺りに関して、疫学研究とか観察研究のデータを取り入れる努力をするべきだと思います。
○宮坂委員長 そうですね。どう転んでも、RCT(Randomised Controlled Trial)治験をそういうマイノリティの人たちで組むのはほとんど不可能ですから、必要なのは、観察研究や疫学研究をきちんとして、まずリウマチの自然歴を明らかにして、そして、今行われている治療体系をどう修飾して応用するかですね。そういったことが今後は行われるべきですし、今足りない部分をどう書き込んでいくのかということになると思います。ほかにはよろしいでしょうか。戻っても結構です。
○小嶋委員 ここに、「診療実態の把握が不足」と書いてあります。診療そのものもそうですが、リウマチ患者さんが生活上どういうことで困っているのかという、社会的な生活上の不具合であるとか、そういうデータも不十分だと思います。どういったサポートが必要かを考える上で、治療成績だけではなくて、生活上どういうことで困っているかというような、踏み込んだ調査が必要ではないかと。あとは治療に関して、特に手術自体は減っているということですが、そうなると、特にどういった手術治療がどういう時期に必要かという、手術治療のエビデンスが不足していると思います。
○宮坂委員長 手術に関しては確か、2014年の山中先生の診療ガイドラインを作ったときも、幾つか入りましたよね。
○山中委員 はい。欧米のガイドラインでは手術が入っていないのですが、日本のガイドラインで初めて手術を入れたことが、今のガイドラインの1つの特徴です。ただ、どういう手術が適切とかはあるのですが、例えば、どの時期にということは余り問わなかったですよね。
○小嶋委員 前回の、2014年のガイドラインで入れたのは全てRCTで、人工関節に関するRCTの結果を入れたと思いますが、そもそもほとんどが日本のデータではないと思います。
○宮坂委員長 というか、十分蓄積された、解析に足るデータが日本に余りなかったのです。
○小嶋委員 今必要なのは日本人の方のデータで、どういう時期にどういう手術をすると、どういう生活が送れるのかというような、メニュー作りというか、整形外科でない先生、患者さんが見て、こういう時期に手術が必要なのかもしれない、だから手術をしようと思えるような選択肢を作ることが必要だと思います。
○宮坂委員長 だから、そのためにはエビデンスに基づいて作らないといけないので、今ある日本のデータを取りまとめて、それを解析した上で、そこから出てくるエビデンスに基づいたメニュー作りですよね。
○田中委員 手術、外科治療をどういうところに入れるか、私も考えてはいるのですが、そのエビデンスという意味では、強いエビデンスがなかなか出てこないところもあります。手術療法だけではなくて、運動療法とかも一緒なのですが、何をもって有効というか、そこがなかなか出せていないので、どういう形で入れるのがいいのかと考えてはいたのですけども。
○宮坂委員長 それから手術に関しては、手術のやり方も、使う人工関節に関しても、ものすごく変わってきていますよね。
○田中委員 一番初めの(1)の所の「治療」の中に、「手術数は減少し、手術内容にも変化」という形で入れてはいただいているのですけれども、確かに手術内容がすごく変化しているというのもあるのですが、減っているものと減っていないものがあって。
○宮坂委員長 そうですよね。
○田中委員 はい。多分その辺り、全部が減っているということではないと言っておかないといけないのかと思いました。
○宮坂委員長 少なくとも滑膜切除はほとんど行われなくなって、ただ、上肢、下肢の。
○田中委員 人工関節自体は減っています。全然減っていないのは骨折の手術で、そういうところを何かうまい形で盛り込めればとは思います。
○宮坂委員長 骨折に関しては、多分、先生の所のデータもそうですが、保険データベースを使ったデータでは、日本の患者さんはリウマチになると、骨折、骨粗鬆症、糖尿病、心血管系の合併症がすごく多いのですね。それもエイジマッチ等すると、ほかの疾患に比べると、骨粗鬆症とか、骨折とか肺炎とか、かなり早期から上がってくるのですね。だから、そういう特徴はある。それは多分、今まで診断が遅れて、蓄積されて、リウマチになって長い人たちがそういうことになったかという気がするのです。
○角田委員 正しく私が。やはり手術のやり時というのですか、それは見逃したら本当に後が大変かと思います。ただ、患者さんは手術と聞くとなかなか、自分から受けますという人はほとんどいないですね。先生から、今やったほうがいいよという根拠を示し 、勧めていただいて、初めて手術を考えると思います。私は手術する時期が遅れてしまったので、5か所も人工関節が入っています。やはりもう少し早くやっておけばよかったという後悔の念もあります。
○宮坂委員長 あとは今の医療は、手術もそうなのですが、どこに行ってもできるわけではないのですよね。
○角田委員 そうだと思います。
○宮坂委員長 ある程度ノウハウを持った病院が決まっていて。ただ、それは少なくともがん診療拠点病院のような形ではできていないわけですよね。多分、友の会には、じゃあ私はどこへ行けばいいの、どこで受けたらいいのという質問が多いと思います。
○角田委員 ただそこは、友の会としては、そこへ行って手術しなさいとは言えないのが原則です。いろいろな情報の中で患者さんに決めていただくしかないです。
○宮坂委員長 それはそうです。最終的には自分で決めなければしょうがないです。
○角田委員 ただ、東京や神奈川など大きな所とは違って、小さい都市だと、専門というのではないですが、リウマチの手術を分かってやってくださる先生は本当に少ないのです。
○宮坂委員長 少ないですよね。それが地域格差につながると思いますけれども。
○角田委員 そうです。
○宮坂委員長 それは小児科医もそうですよね。小児科でリウマチの診療に携わっている人なんて、田舎に行ったら本当にいないですよね。今、幾つか問題点は挙がりましたが、全体を通じていかがでしょうか。これを基に骨子ができて、最終案ができて、次回に話し合う形になると思います。かなり最終的なところに差しかかっていると思いますので、欠落しているものがあったり、大きな修正が必要なものは今のうちに言って、指摘をしていただけると有難いです。
それから、先ほどの手術をどこにするのかというのも、田中先生にも後から結構ですので、お考えを頂いて。
○田中委員 所々にポツポツと入っているのですけども。
○宮坂委員長 ほかにはよろしいでしょうか。
○矢内委員 情報提供相談体制の所です。国民全体がリウマチという病気について情報を十分に知らないということも書かれていますので、地方公共団体の取組が進むようにということで方向性が書かれていますが、アレルギーの特別対策事業のほうで取組といってもなかなか全国的に、一律的に取組が進むわけでもないと思います。やはり国として、疫学調査の結果をベースにして、あるいはモデル事業をやられるということですから、そういったものも背景に、国民に対して、こういう病気があって、こういう治療法があって、こういう結果で、これだけたくさんの患者さんがいるのだと、きちんと周知をしていただくこともとても必要だと思います。国としては、この取組の方向性に十分な情報提供周知を図っていくということを書いていただけるといいと思います。
○宮坂委員長 そうですね。ですから、アレルギーの場合にはアレルギー情報センターができて、今、その方向で進んでいるのですか。
○貝沼がん・疾病対策課長補佐 情報センターができるわけではありません。アレルギー疾患の対策に関する基本的な指針の中に、国民にどのようにその情報を届けるか、それについて考えていく中で対策をしています。
○宮坂委員長 でも、具体的な方策として、どこかから情報発信をしないといけないわけですよね。今、日本の場合だと、製薬会社から発信したり、個別の医療機関が発信しているのですね。やはりオーソライズされた、エビデンスの高い、片寄りのない情報をどこかから発信する必要があると思いますが、アレルギーの場合、それをどう。
○貝沼がん・疾病対策課長補佐 それはアレルギー情報センター事業の中で取り組むことになっていて、そのアレルギー情報センター事業は今、日本アレルギー学会様のほうの補助事業として行っていただいていますので、その中で取り組んでいます。
○宮坂委員長 リウマチの情報を、どこが中心になって啓発活動をやるのかにも関わってくると思います。もちろん、個別にいろいろな段階があってもいいと思います。
○田中委員 初めの議論のところで、具体的に実際の患者数が分からないとか、ましてや発症率など全然分からないとか、そういうところはしっかりしたコホート研究が本来は必要なのにできていない。一般住民コホートですよね。どのぐらいの人が発症してくるかというところを恐らく今後やっていかなければいけないので、是非そういうプランニングをしていただきたいと思います。
○宮坂委員長 それは、本当はリウマチ政策研究事業の中でやっていくべきことなのではないかと、個人的には思いますけども。
○田中委員 恐らく、インシデンスが分からないと本当の意味でのリスクが分かってこないと思うので。
○宮坂委員長 よろしいでしょうか。あと、全体を通じて何か御意見はありますか。特になければ今日の議論はこれまでにして、また、この議論を基に、事務局を中心に報告書の案をさせていただくことになっていますが、よろしいでしょうか。
○佐々木がん・疾病対策課長 がん・疾病対策課長の佐々木です。委員の皆様方、本日もありがとうございました。本日頂いた御議論や、平素から御指摘いただいていることを踏まえて、次回、報告書の案をお示しすべく、事務局として作業を進めたいと思います。
事務局として作業を進めるに当たり、3つのポイントが必要かと思います。まず1つ目のポイントは、今日の資料でいうと、資料3の3ページに、対策の全体目標を案として示しました。その中で、今日の御議論を伺って思ったのですが、今後のリウマチ対策を考えるときに、一番目指していくところはどこかというと、(1)でいうと、ポツの3つ目の後段です。ここでの主語は何だろうかという指摘もありましたが、患者さんがいかに長期的な生活の質を最大限まで改善できるのか。論理の流れからすると、まずそこが最終的にあって、それがどういう状態なのかがポツの3つ目の前段です。働く世代の方であれば、労働等のところでいうと、例えば、仕事と治療が両立できるのか。また、まだお子さんですと、就学が困難なく、学校で学ぶことができるのか。また、リタイアした世代以降でいうと、文字どおりの社会活動への参画ができるのか。こういった状況になるのかと思います。そういった状況を実現するためには、ポツの1つ目、2つ目にあるとおり、まず発症初期の段階からできること。その発症初期の段階で、重症化していくにしたがって、今日、専門医、一般医というような言葉の使い方になりましたが、医療においてどういうつながりを作っていけるのかといった、全体を通しての思想哲学ということになりましょうか。今申し上げた、最終的には患者さんが、長期的に生活の質が改善していく、そのためには方法論としてどうしていくのか、そういう掘下げ方のまとめ方をしたいと思います。
2つ目ですが、それを実現するための、例えば3ページの(2)の個別対策全体です。今日の御議論を伺って思ったのは、今日はどうしても骨子ということもあったと思いますが、ここで書かれていることの場面、シチュエーションがイメージできない。多分そういうところがあって、多くの指摘を頂いたと思います。例えば、3ページの(2)の➀の専門医療機関、一般医療機関。専門医なのか一般医なのかというのは、正に診療が行われている状況を考えたときに、どういう書き方だとイメージできるのかということになるでしょう。例えば、5ページの➁の前後で、➁の上の(イ)「取組の方向性」で、「保健師、看護師、薬剤師、理学療法士」とありますが、ここはタイトル自体が「専門的なメディカルスタッフの育成について」ですから、医療の個別の診療の場面において、どういうメディカルスタッフを中心とした人材育成が必要かとなるでしょう。同じ5ページの➁以降でいうと、これは診療の現場以外の場面も含めて、例えば角田さんのところの相談もあるでしょうし、また、都庁や市町村の保健師さんが応じる場面も含めて、そういう場合の人材育成はどうかと。そういう場面、シチュエーションがイメージできるからこそ、どういう人の育て方をしなければいけないのかということになろうかと思います。ということで、ポイントの2つ目として、最終的に報告書をまとめていくに当たり、どういう場面、シチュエーションをイメージしてこの文章が書かれているのか、報告書になっているのか、それを意識して相当丁寧に書きたいと思います。
最後ですが、6ページになりましょうか。3つ目のポイントとして考えておりますのが、先ほど来申し上げている、状況であれ、シチュエーションであれ、思想哲学であれ、それを裏付ける客観的なデータが必要になろうかと思います。一番最初の所から、患者数が今のままだと必ずしも推定数が固まっていないと。それを裏付ける客観性のあるデータの取り方を、例えば6ページにある、推計データはあるが疫学データうんぬんという所もあるでしょうし、今後、診療ガイドラインなどを作っていく際にも、当然ながら、客観的なデータ、また、それをフォローしていく、コホート的に観察していくための体制づくりが必要になろうかと思います。
ですので、この報告書自体はまとめではなくて、この報告書がキックオフになるわけですから、この報告書がキックオフになったときに、日本として、我が国としてどういう客観性が担保されて、それが患者さんにも還元されるし、次の研究開発、次の診療現場、次の様々な相談場面といった還元の仕方ができるかといった、次につながるような、特に客観性のあるデータが日本でもちゃんと作れるのだと、それを意識した報告書のまとめ方にしたいと思います。そうしたことを踏まえて、次回の検討会、また、その前の事前の段階から、委員の皆様方には相談をしながら、次回の案をお示ししたいと思いますので、次回、そして、次回までもそうですし、報告書が出てからもいろいろとお世話になるかと思いますが、よろしくお願いいたします。事務局からは以上でございます。
○宮坂委員長 分かりました。事務局のほうはこれでよろしいですか。以上で第3回のリウマチ等対策委員会を終わりたいと思います。御協力ありがとうございました。
 

 

(了)

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