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2018年5月31日 第4回腎疾患対策検討会 議事録

健康局がん・疾病対策課

○日時

平成30年5月31日(木)15:00~17:00


○場所

厚生労働省中央労働委員会7階講堂


○議事

○福井がん・疾病対策課長補佐 定刻となりましたので、ただいまから第4回腎疾患対策検討会を開会いたします。構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。事務局を務めさせていただきます厚生労働省健康局がん・疾病対策課の福井と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、本日の出席状況について御報告いたします。まだ小室構成員がお見えでないようですが、欠席との御連絡は頂いておりませんので、これからいらっしゃるものと思われます。また、16時頃に小室構成員と中元構成員が退出される予定と伺っております。

 事務局について、4月以降に着任した職員を御紹介させていただきます。課長補佐の安井です。課長補佐の川名です。なお、健康局長の福田は前の用務が終わり次第参ります。

 では、ここからは、柏原座長に議事をお願いいたします。

○柏原座長 まず、事務局より資料の確認をお願いいたします。

○福井がん・疾病対策課長補佐 議事次第、座席表、構成員名簿、資料1「腎疾患対策検討会報告書()」、そして、参考資料1「今後の腎疾患対策のあり方について(平成203)」です。また、構成員のお手元には、第13回検討会の資料を配布させていただいております。こちらは、会議終了後、机の上に置いたまま、お持ち帰りになりませんようよろしくお願いいたします。資料に不足・落丁等がございましたら事務局までお申し出ください。

 以上をもちまして、カメラを納めていただきますよう御協力のほど、よろしくお願いいたします。

○柏原座長 ありがとうございます。それでは、議事に入らせていただきます。平成203月に報告されました「今後の腎疾患対策のあり方について」がちょうど10年経過したことを受けまして、本検討会では、昨年1214日に第1回の検討会を開催して以降、腎疾患対策の現状、課題を踏まえた更なる腎疾患対策を推進するための議論を行ってまいりました。本日は、これまでの議論を踏まえまして、腎疾患対策検討会報告書の取りまとめを行いたいと思います。

 では、議題(1)「腎疾患対策検討会報告書()について」、資料1の説明を事務局よりお願いいたします。

○福井がん・疾病対策課長補佐 資料1を御覧ください。こちらは、第3回腎疾患対策検討会で御了承いただいた骨子案を基に、検討会における議論を整理した取りまとめ案です。目次を御覧ください。全体の構成は、1.はじめに、2.腎疾患の現状、3.腎疾患対策の更なる推進のために、4.おわりに、続いて、構成員名簿を追記しております。

 まず、1ページ、「はじめに」のセクションを御覧ください。1段落目では、平成19年に腎疾患対策検討会が開催された経緯と、取りまとめられた対策の目標を記載しております。2段落目では、その後の10年間の達成度評価と今後の課題について、3段落目では、今回10年ぶりに「腎疾患対策検討会」を開催した経緯、議論の経過、主な目標、4段落目では、医療従事者や行政機関はもちろん、国民全体で腎疾患対策を実践することの重要性を記載しております。

 次に、2ページの「腎疾患の現状」のセクションを御覧ください。まず、1つ目の○、腎疾患の特徴を御覧ください。自覚症状が乏しいこと、早期から適切な治療を行えば重症化予防が可能であること、さらに、図1に示しますように、腎臓は血管が豊富な臓器であり、糖尿病や高血圧などによる血管の障害が腎疾患の発症に直結すること等を記載しております。

 次に、2つ目の○、腎疾患の原因を御覧ください。主な腎疾患としては、糖尿病性腎症、慢性糸球体腎炎、腎硬化症が挙げられますが、この後には多発性嚢胞腎や膠原病などの様々な難病が続きます。また、糖尿病が発症や進展の少なくとも一部に関与する腎疾患を包括した糖尿病性腎臓病(DKD)という概念についても記載しております。

 次に3つ目の○、慢性腎臓病(CKD)についてを御覧ください。CKDとは、原因を問わず「蛋白尿」等又は「腎機能低下」が3か月以上続く状態と定義されております。3ページの図2に、CKDの重症度分類をお示しします。横軸の蛋白尿と縦軸の腎機能で18区分の重症度に分類し、死亡等のリスクの程度で色分けをしております。腎機能が同程度の場合は、蛋白尿が多いほどリスクが高まることがお分かりいただけると思います。

 次に、4つ目の○、CKDの疫学を御覧ください。少し古い平成17年のデータではありますが、成人の約8人に1人がCKDとされております。4ページの図3に示しますように、平成28年末の慢性透析患者数は約33万人に達しているものの、近年ではその増加は鈍化しております。また、図4に示すように、新規透析導入患者数で見ても、近年は横ばい傾向にあり、平成28年は約39,000人でした。さらに、統計学的に高齢化の影響を除外しますと、透析導入率は平成20年比で減少傾向であるという報告もあります。

 続いて、5ページの図5は、新規透析導入患者の原疾患の年次推移です。平成10(1998)以降は糖尿病性腎症が第1位を占めておりますが、近年では約16,000人で横ばい傾向となっております。第2位は慢性糸球体腎炎です。減少傾向ではありますが決して少なくないことがお分かりいただけると思います。第3位は、高血圧等による腎硬化症ですが、高齢化等に伴い増化傾向にあります。また、平成28年の透析導入平均年齢は69.4歳に達しており、透析患者の高齢化が進んでおります。

 次に、CKDと循環器系疾患の関連についてを御覧ください。平成27年の人口動態調査によると、腎不全は死因の第7位ではありますが、CKD患者では循環器系疾患のリスクが高いことが知られており、第2位の心疾患や第4位の脳血管疾患が死因となることが多いため、CKDは国民の健康により大きな影響を与えております。

続いて、6ページの、原疾患を問わないCKD対策についてを御覧ください。そもそもCKDは原疾患を問わない概念であり、また、血圧、血糖の管理や減塩指導等の治療原則も共通であることから、糖尿病性腎症のみならず、増加傾向の腎硬化症を含めた生活習慣病対策と難病対策も含めて連携して、より効果的・効率的に腎疾患対策を進めていくことが、今回の対策の中で重要なポイントであると考えております。

7ページからは、「腎疾患対策の更なる推進のために」のセクションです。構成員から頂きました御意見等に基づき、前回の骨子案からの修正点を中心に説明いたします。対策の全体目標は、自覚症状に乏しい慢性腎臓病(CKD)を早期に発見・診断し、良質で適切な治療を早期から実施・継続することにより、CKD重症化予防の徹底とともにCKD患者(透析患者を含む)QOLの維持向上を図るとしており、修正はありませんが、その次に、「本目標を達成するため、国や関連学会等は、評価指標等を用いて、本報告書に基づく対策の進捗管理を実施する。その状況は、ホームページ等で公開されることが望ましい」と追記させていただきました。

 続いて、達成すべき成果目標(KPI)及び評価指標を御覧ください。まず(a)、骨子案では、多くの関係者が参画の下、地域の実情に応じて本報告書の腎疾患対策に取り組むとしておりましたが、本報告書案では、「地方公共団体は」という主語と、「行政機関、企業、学校、家族等」の関係者の例を追記いたしました。さらに、評価指標である市町村単位での対策の取組状況等の例としまして、腎疾患の原因となる生活習慣病対策や糖尿病性腎症重症化予防プログラムの活用等を追記いたしました。

 続いて、(c)を御覧ください。評価指標は、5年で5%以上、10年で10%以上の透析導入患者数減少を達成する都道府県数等としておりますが、人口の減少や高齢化の程度等を考慮して評価すべきであることから、()としまして「地域の実情に応じて、人口当たりの導入患者数や、高齢化を補正するための年齢調整、原疾患別の評価等を行うことも有用」と追記させていただきました。

 続いて、5つの個別対策のうち、まず、➀普及啓発を御覧ください。()目的は、医療従事者や行政機関だけでなく、患者・家族、成人・小児など対象者に応じた普及活動を、より計画的、効率的・効果的に実施することで、腎疾患対策の更なる推進を図ることとしております。そして、()に示す課題を解決するために今後実施すべき取組として、()のとおり、国が関連学会等と連携し、対象に応じた普及啓発資材を開発して普及すること、また、日本腎臓学会が都道府県ごとに決定する腎疾患対策担当者等を中心に、地方公共団体や関連学会や関連団体等、また、糖尿病や高血圧など他の疾病担当者等とも連携して、戦略的に普及活動を実施すべきと考えております。9ページの()には、評価指標の例を記載しております。改行が抜けておりますので修正させていただきます。

 続いて、➁地域における医療提供体制の整備を御覧ください。()の目的では、メディカルスタッフ等の協力の下、2人主治医制を含めた紹介・逆紹介など、かかりつけ医等と腎臓専門医療機関等の連携を推進することを強調しております。そして、()に示す課題を解決するために今後実施すべき取組を()に示しております。かかりつけ医等から腎臓専門医療機関等への紹介基準や、かかりつけ医等から糖尿病専門医療機関等への紹介基準について、CKD診療を担う関係者に広く普及することが、地域におけるCKD診療体制の充実のために重要であり、本報告書に基づく対策の目玉であると考えております。 

10ページに両紹介基準を示しております。ともに、平成30227日から作成に関わっていただきました日本腎臓学会と日本糖尿病学会のホームページで公開されております。また、どちらも日本医師会に御監修いただきまして、日本医師会雑誌の3月号に掲載していただいております。

 まず、図6の腎臓専門医療機関等への紹介基準を御覧ください。日本腎臓学会の「CKD診療ガイド2012」の紹介基準をベースとしまして、判定は横軸の蛋白尿区分と縦軸の腎機能を示すGFR区分から行い、糖尿病、高血圧、難病等、原疾患を問わない紹介基準として使用できます。これに加えまして、表のすぐ下の部分には、腎機能が急速に悪化する場合にも紹介すべきとも記載されております。

 続いて、図7の糖尿病専門医療機関等への紹介基準を御覧ください。本基準の普及により、適切な時期に糖尿病専門医療機関等での診療を受けられることとなり、糖尿病からのCKDの発症予防の推進が期待されます。また、3.慢性合併症の※2.の所に、腎機能低下や蛋白尿(アルブミン尿)がある場合、つまり、CKDが疑われる場合には、上の腎臓専門医療機関等への紹介基準を参照のことと記載されておりますように、両基準は連動しております。また、どちらの基準にも上記基準並びに地域の状況等を考慮し、かかりつけ医が紹介を判断し、かかりつけ医と専門医療機関等で逆紹介や併診等の受診形態を検討すると記載されておりますので、患者の年齢や御希望等も考慮して柔軟に活用できる基準であると考えております。

 続いて、11ページの図8を御覧ください。様々な健診項目のうち、CKDに関する健診判定と対応の分類例を示しております。9ページの一番下にお戻りください。健診はCKDやその発症リスクとなる項目を発見するよい機会であるため、定期的な健診受診を促し、先ほどの図8の分類例などを参考に各々の健診実施機関において適切な保健指導や受診勧奨を行っていくことが重要であると考えております。

 再び11ページの図8の下を御覧ください。日本腎臓学会が都道府県ごとに決定する腎疾患対策担当者等には、普及啓発のみならず、この医療連携体制の構築においても、関係者との調整等において積極的に関与していただくことが期待されます。()に記載しております評価指標例、すなわち紹介基準にのっとった腎臓専門医療機関等への紹介率、腎臓専門医療機関等からかかりつけ医等への逆紹介率、そして地域におけるCKD診療を担うかかりつけ医等の医療従事者数等は、全体目標の評価指標ともしておりますように、重要な評価指標と考えております。

 続いて、➂診療水準の向上を御覧ください。様々な内容が含まれるセクションですが、本報告書では、()のとおり、CKD診療を担う全ての医療従事者が各種ガイド、ガイドライン等で推奨されている良質で適切な診療を実践すること、また、関連する疾患の治療との連携を強化することにより、CKD重症化予防の徹底を図ることを目的としております。

12ページの()に示す課題を解決するために今後実施すべき取組を()に示しております。推奨内容を合致させ、また、利用する対象を明確にしたガイドライン等の作成や関連課間との連携基準等が必要だと考えております。()に評価指標の例を記載しております。

 続いて、➃人材育成を御覧ください。これも様々な内容が含まれ得るセクションですが、ここではCKDに関する基本的な知識を有するメディカルスタッフを育成し、CKD診療体制を充実させることを目的としております。

13ページの()に示す課題を解決するために今後実施すべき取組を()に示しておりますが、腎臓病療養指導士等の育成とともに、生活習慣病を扱うような関連する療養指導士間の連携が重要と考えております。()に評価指標の例を記載しております。

 続いて、➄研究開発の推進を御覧ください。非常に多岐にわたる腎疾患関連研究について、個別に課題や対策を検討することは困難であるため、他のセクションとは異なり、()に示す研究開発の推進の方向性と()に示す方向性を踏まえた研究例という構成としております。()では、国の中長期的な目標を踏まえ、オールジャパン体制での研究を推進すべき、また、本報告書の目標達成や進捗管理等に資する研究を推進すべきという方向性を示しております。次に()では、腎以外の分野とも共通するやや総論的な内容ですが、関連学会と連携したデータベースの構築等の研究例を示しております。

  続いて、14ページです。腎疾患対策の全体像を御覧ください。図9は、病期に応じた腎疾患対策の全体像として、個別対策で実施すべき取組を腎疾患の病期と関連させてお示ししています。骨子案からの主な修正点として、上段の、地域における医療提供体制の整備について、健診からかかりつけ医等へは「紹介」としておりましたが、標準的な健診・保健指導プログラム等を参考とした「受診勧奨」と修正しております。10年以内に新規透析導入患者を10%以上減少させるという目標を達成するために最も重要な対策は、この、地域における医療提供体制の整備によってCKD診療体制を構築し、CKD重症化予防を徹底することであると考えておりますが、長期的により大きなインパクトトをもった対策とするためには、関連施策を含めた全体像を俯瞰した上で、関係者が密接に連携し、広い視野で対策に取り組むことが重要となります。そのような観点から、図9の一番下の部分には、関連する施策としまして、第二次健康日本21や糖尿病性腎症重症化予防化プログラム等の生活習慣病対策、難病診療連携拠点病院を中心とした医療提供体制の構築や指定難病患者データベース等の難病対策、そして、腎移植に関する普及啓発活動、院内体制の整備、提供移植施設の負担軽減等の移植医療を挙げております。

15ページからの➁腎疾患に関連する厚生労働省の取組に、その詳細を記載しております。ここでは詳しい説明は割愛させていただきます。18ページの「おわりに」を御覧ください。1段落目では、今回の議論の経過と本対策を継続性、実効性のあるものにするには、対策の進捗や成果の「見える化」による共有と均てん化が重要であること、さらに、予算の獲得状況にもよりますが、好事例の共有と均てん化をより効率的に行うため、行政と医療従事者間の連携強化等を目的としたモデル事業を実施することが望ましいと考えております。

2段落目には、先行して実施されている糖尿病性腎症重症化予防プログラムに取り組む市町村や都道府県が急速に増加していることから、その担当者を窓口とするなどの方法によって本報告書の対策と連動することでの効率的・効果的なCKD対策推進への期待を記載いたしました。

3段落目では、本報告書の対策が腎疾患に限らず他の疾病対策にも活用されることへの期待を記載いたしました。

 次の19ページには、図10として本報告書の全体像をまとめ、最後の20ページには構成員名簿を記載しております。以上です。

○柏原座長 それでは、今の事務局の御説明を踏まえ、資料1につきまして議論していきたいと思います。まず、それぞれの項目に関して議論を追加すべき点があれば検討し、最後にこの報告書全体について追加すべき点があれば検討したいと思います。まず1ページ目に戻ります。「1.はじめに」について、追加すべき議論がありましたら、よろしくお願いいたします。これは、この報告書の全体の背景を述べた内容でありますから、格段の意見がないかもしれませんが、ここで何か追記すべきことがあれば、御意見を賜りたいと思います。

○南学構成員 下から2段落目の「CKD患者(透析患者を含む)」ですけれども、CKDだとCKDGステージに加えてCKD-Dで透析患者さんの、CKD-Tで移植の話が入ってきますので、移植というと角膜移植等いろいろあって分かりにくいので、「透析患者及び腎移植患者を含む」としたほうが適切ではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

○柏原座長 ありがとうございます。この後にも同じような記載がありますから、そこも含めて腎移植患者も含めたほうがいいと。馬場さん、いかがでしょうか。

○馬場構成員 特にそれに対しては、私としてはコメントはありません。

○柏原座長 よろしいでしょうか。では、そのように変更させていただきたいと思います。この「はじめに」に関しては、ほかには御意見ありませんでしょうか。それではありがとうございました。次に、「2.腎疾患の現状」について、追加すべき御意見があれば、よろしくお願いいたします。2ページ目からです。

○南学構成員 糖尿病性腎臓病(DKD)を取り上げていただいて、ネットで見ると、ICD-11で、Diabetic kidney diseaseというのが出てきて、definitionもここに出てきているのですけれども、これが最終版なのか、まだパブコメを求めているICD-11なのかが私は把握しきれていなくて、門脇先生、この辺で、もし何か御存じのことがありましたら、御指導いただければと思うのですけれども。

○門脇構成員 日本腎臓学会の柏原理事長、南学先生の御尽力も頂きまして、糖尿病学会の理事会でも、ICD-11の中にDKDという言葉を入れるように要望を出しました。これは腎臓学会と糖尿病学会で連携して行いましたが、これまでICD-11の案の中にはCKDが大元にありまして、その1つ下のカテゴリーとして、Diabetic Nephropathyしかなかったのですけれども、CKDDiabetic Nephropathyの間にDKDを入れるという、腎臓学会と糖尿病学会の案を、国際的にも採択いただきまして、618日にこれは公表されると伺っております。

○柏原座長 ありがとうございます。先の糖尿病学会学術総会でも、かなり注目を集めておりましたよね。両学会の理事会の承認の下で、日本語としては糖尿病性腎臓病を当てるということも既に確定しているということです。このDKDと新しい概念が紹介されているということも、今回の報告書の1つの特徴ではないかと思います。いかがでしょうか。

○門脇構成員 DKDが最初に紹介されているのは、大変素晴らしいことだと思っています。ただ、DKDという用語が、その後、出てこないので、入れられる所には、1か所か2か所ぐらいは入れておいたほうがいいのではないかと思っています。

○福井がん・疾病対策課長補佐 検討させていただきます。

○柏原座長 いかがでしょうか。よろしいでしょうか。この現状につきましてお気付きの点がありましたら、議論の途中で、また御指摘いただければと思います。それではありがとうございました。続きまして報告書()で言いますと7ページからになりますが、「腎疾患対策の更なる推進のために」の対策の全体目標について、これも文言整理をしていただいておりますけれども、追加すべき議論等がありましたらお願いいたします。7ページ、対策の全体目標、ここに記載されております。先ほど南学先生に御指摘いただきました「CKD患者(透析患者を含む)」と、ここにも腎移植患者さんを含めるということです。

 この評価指標という所に、地方公共団体うんぬんが、対策の取組状況等がKPIになるだろうということなのですけれども、これに関して例えば中澤様、いかがですか。

○中澤構成員 この市町村の取組状況という評価指標というものが、具体的にどういうものかというのが、実際に例えば行政の職員とかが見たときに分かりにくいかなと思うのです。例えば既に腎疾患対策に資する生活習慣病対策などを、どこの自治体でもやっていると思いますし、それが腎疾患の対策に結び付いているかということが分からないで一生懸命やっている人たちもいると思います。そうすると、きちんとそういうことを評価していかなければならないと思います。

 また、やはり何が評価指標に合致している取組になるのかということが明確に分かったほうが、行政側などがどのように取り組んでいけばいいというときの目標にもなりますし、事業もはっきりと明確化するのではないかと思います。例えば、この取組状況の評価という所の項目で、もう少し具体的な例を挙げていただいて、例えば今までやっているものから、それからもう少しやってもらいたいというものとか、こういうことをやるべきではないかということを具体で挙げていただくと、イメージも湧きやすいですし取組も更にグッと前進するのではないかと思いますので、その辺を記載していただければと思います。

○柏原座長 行政の御担当者としては具体性があれば実際に実施することができるということで、今、されている糖尿病性腎症の重症化抑制と重なる部分がどこで、重ならない部分はどこなのか、あるいは生活習慣病の適正化に関する行政の仕事と、どこが重ならないのかとか、もう少し明確化したほうがいいのではないかと。

○馬場構成員 基本的には、こういう評価指標みたいなものは、こういう言葉ではなくて、本当に分かりやすくするには一覧表、図表みたいな形の提示の仕方のほうがよろしいのではないかと思いますので、今後、そういう評価指標を出されるときには、そういう図でお示しいただくようなことを、行政のほうに御指導いただいたほうがよろしいのではないかと思うのですけれども。

○柏原座長 これは事務局にお尋ねしますが、時間的にそこまで報告書の中に落とし込む余裕があるかどうかということですけれども。

○福井がん・疾病対策課長補佐 進捗管理の状況を「ホームページ等で公開されることが望ましい」と、全体目標のすぐ下の段落に書かせていただきましたように、見える化するということはやっていただきたいと思っております。

 それから、中澤構成員の御意見ですけれども、対策の取組状況の具体例ということですが、前回の骨子案から修正させていただきましたが、「腎疾患の原因となる生活習慣病対策や、糖尿病性腎症重症化予防プログラムの活用等も含め」と、評価指標ではなくて目標の中に書き込んでしまったわけですが、例えば、重症化予防プログラムの活用を評価指標に切り出すとか、そういったイメージでしょうか。

○中澤構成員 おっしゃるとおりです。腎疾患対策といっても、今、糖尿病であったり生活習慣病みたいに、行政のほうで担当している部署がいろいろ異なりますので、やはりそこで統一して、自分たちはみんなで腎疾患対策をやっているのだということを更に進めていくためには、そのように書いていただくと、「あっ、これはやっている、腎疾患対策なんだ」ということをもっと自覚できると思いますので、そのように書き出していただけると分かりやすいと思います。

○柏原座長 4月から、この政策研究班も立ち上がっておりますから、この報告書の報告を受けて、より具体性が必要なKPI等については、そこでまた議論をして示していきたいと考えております。それ以外ではいかがでしょうか。

○羽鳥構成員 (b)の辺りで、「かかりつけ医、メディカルスタッフ、腎臓専門医療機関等が連携して」という所がありますけれども、同じく評価指標ですが、例えば在宅医療だと在宅への復帰率とか、そういう具体的な数字を診療報酬などで求めることがあるのですけれども、この紹介基準にのっとった腎臓専門医療機関への紹介率、逆紹介率というのは、将来的に診療報酬で何か担保されることを目指していると考えていいのでしょうか。何かこの紹介率などをどのように表していくのがいいのか、何かアイディアがあったら教えていただきたいです。

○柏原座長 事務局のほうからお願いできますか。

○福井がん・疾病対策課長補佐 それも柏原班で検討していただく内容だとも思いますけれども、もちろんそのデータが集まれば、診療報酬の要望にも使えるデータになると思いますし、そもそも紹介するとどのぐらい予後が良くなるかということも、データとして示す必要はあると思っております。

○柏原座長 まだ議論の基礎となる資料もないというような段階ですので、そのような調査を行って、それが経年的にどう上がってくるかと、それに伴ってアウトカムがどう変わってくるかというような事業をやっていきたいと考えております。

○羽鳥構成員 分かりました。そうすると、その調査票みたいなものも柏原班のほうでは御検討されているのでしょうか。例えばそれぞれのかかりつけ医の先生が、もし腎臓専門医に紹介したとき、例えばクレアチニンの数字は幾つであったとか、蛋白は幾つであったとか、血圧の履歴が何年前からどうだったかとか、そういう調査項目が決まっているようならば、紹介基準を教えていただければありがたいです。

○柏原座長 紹介基準は、まず確定したというところまでであって、先生がおっしゃるとおりの議論が必要なのですが、これからというところです。いかがでしょうか。

○小室構成員 遅れて来て申し訳ありません。東大の小室ですけれども、13ページ、研究開発の推進の所の()、「日本循環器学会等の」と入れていただいてありがとうございます。腎臓病は心血管疾患の大変なリスクであり、また心腎連関と大変密接な関係にありますので、できましたら8ページの()の啓発の所においても、「糖尿病や高血圧、心血管疾患等の」と入れていただければ、我々としても腎臓病の普及啓発に努めたいと思います。

○柏原座長 小室構成員からの御提案ですが、これは福井さん、どうですか。特に問題ないと思いますが。

○福井がん・疾病対策課長補佐 そのように修正させていただく方向で検討いたします。

○柏原座長 小室先生、例えば循環器学会のほうで、何か共同して具体的なことができるような可能性というのはありますか。

○小室構成員 実は循環器学会としては、これまで普及啓発活動をそれほど積極的にやっていなかったのですけれども、心不全を中心として、やはり国民への啓発、一般、実地医家の先生への啓発が非常に重要だということで、昨年から、特に心不全に関する啓発活動を活発化しています。心不全といいますと循環器疾患の最終像ですけれども、その大元にはやはり高血圧、糖尿病と並んで腎疾患がありますので、心不全にならないためには腎臓病というのは非常に重要になってまいります。我々としてはこれから大いに啓発したいと考えておりますので、是非とも連携させていただければと思います。

○柏原座長 ありがとうございます。門脇先生、糖尿病学会と私どもは共同で、例えば市民公開講座を昨年も2度ほど開催させていただきましたが、今後は循環器学会も含めてというような形も模索できますでしょうか。

○門脇構成員 日本糖尿病学会と日本腎臓学会で共同して、昨年は「STOP-DKD宣言」を出しましたが、日本循環器学会も加わったような形での企画も増加させていく必要があるのではないかと思います。

○柏原座長 ありがとうございます。

○門脇構成員 日本糖尿病学会では、また心血管病予防という共通の目標を掲げて、日本循環器学会とも連携して活動しています。2学会の連携も重要と思いますし、また、3学会の連携も一層重要になって来ると思います。

○柏原座長 なるほど、ありがとうございます。

○南学構成員 追加の先ほどの腎臓専門医への紹介による効果の件ですけれども、海外ですと幾つかデータがあって、10年ほど前にAJKDNephrology Dialysis Transplantation、ヨーロッパ腎臓学会雑誌に、腎臓専門医に患者を紹介することで、CKDの患者さんの予後が良くなる、それから糖尿病腎症の患者さんの予後が良くなるという論文が出ています。

 それから、2年前ほどにKI Reportsに、これはドイツの研究ですけれども、腎臓専門医にreferすることによって医療費の削減ができるといった論文が出ています。ただ、日本では恐らくそういった解析がまだなされていないと思いますので、今後の柏原班の確かに重要な課題であると認識しております。

○柏原座長 ありがとうございます。今回、特徴のもう1つは、7ページの下に書いておりますが、2028年までに、ですから今後の10年間に、年間の新規透析導入患者さんを35,000人以下に減少させるという数値目標も掲げているわけです。これに関して、これはかなりチャレンジングなのか、それとも現実的な数字なのか、川村先生、いかが思われますか。7ページです。

○川村構成員 透析患者さんの人数などは現に少し兆しも出ていると思いますので、どこまでの根拠を持って数字を書くかというのは実際かなり難しいとは思いますが、やはり到達可能なところで、しかも現在、今まで10年の取組の成果が出ているところの反映としての結果、いつの施策がいつに反映するかというのは即断はできない問題ですけれども、やはり数値目標で到達可能なレベルということで、掲げるに越したことはありませんし、この数字は必ずしも無理ではないと。今までのいろいろな疫学研究のデータ、国が取られた、あるいは腎臓学会、透析学会のほうでお取りになった統計からは、必ずしも無理な数字、あるいは無根拠な数字ではないと思っております。

○柏原座長 ありがとうございます。中元先生、いかがですか。

○中元構成員 実際、透析患者さんが頭打ちというか、導入数が今後増えない方向に来るというのは明らかなのですが、その1つの背景としては、やはり人口減少がかなり影響しているということも事実なので、現実的に人口減少数を差し引くと、恐らく37,000人ぐらいの減少、目安かなという印象は持っています。正式な人口減少率と高齢化率を併せて検討して、大体5%から10%という目標数でいくと、これぐらいかなという認識は持っていますので、可能な範囲、過去のデータからすれば、可能なのだろうなという気はします。

 あとは、やはり移植に行く方向性をもう少し、今、国はかなり強力に押していますので、移植が今、1,600人ぐらいですが、これが更に増えてくれば、それも結構影響する。最終的には、今、1,600(生体腎移植を含む)ですけれど、これが2,000人、2,500人レベルまで目標として達すれば、それも影響する。とすれば、実質的には1,000人程度の減少で可能だとすれば、今の医療の、特に糖尿病管理等が、やはり重要なのだと思っています。そこをしっかりやっていただければ可能だと思いますし、透析学会等に関しても人工導入患者数が減ること自体は本当に喜ばしいこと。

 先ほど小室先生におっしゃっていただきましたが、特に透析患者さんの予後が圧倒的に悪い、特に心不全や心血管合併症の発症率も透析患者さんが非常に高いので、その認識がもう少しこの文章中に表れてくると、課題あるいは将来への見通しのところにいいのかなという気はします。特に関連学会、医師が中心の関連学会だけの考え方ですけど、やはり今後は栄養士さんとか看護学会等とも連携すれば、より一層強力な形ができるので、そこを一文、何らかの形で実名で入れておくと、その学会等の認識は大きく変わってくるような気がします。もう少し医師以外のほうに目を向けて文章を一文でも入れると、大きな励みになるかなという気はしますので、よろしくお願いいたします。

○柏原座長 ありがとうございます。

○川村構成員 説明が不足しましたけれども、こういう実数で出すことの難しさというのが、1つはいろいろな医学領域が努力されて、一つ一つの個別の疾患ごとの死亡率が減ってくると、しかし人間、何かでは亡くなるということがあって、どこに押し付けるかと言うと変ですが、最終的には人間の寿命は120年ほどと言われている、そのいわゆる老衰、ほぼ神経細胞の寿命分というのがゴールかもしれませんが、そこにいきなり到達しないので、いろいろな病気で亡くなられる方がそれまでにいらっしゃる。そのときにお互いにいろいろな領域が全て努力されると、結局、努力して病気になりにくくした、あるいは重症化しにくくしたとしても、それが数字に反映しにくいというジレンマがあります。

 ですので、1つの裏側の指標として、年齢構成を補正した場合の数値とか、あるいは同じ年齢層における死亡率の減少とか、それらを並行して、医療者の努力を反映するところも1つ持っておかないと、数字自体はどこかに付されてしまって、努力が目に見えにくくなるということもあります。長寿社会の宿命でもあるのですが、その辺りは統計を取られる際に十分配慮していただきたいと思っています。

○柏原座長 ありがとうございます。

○中元構成員 そこにある39,000人が35,000人に減るというのは、余りに劇的な印象を受ける、でも実際の裏は、貢献する寄与としては、ほかの医師のほうが強いというのは非常にあるので、そこをもう少し正直に表したほうがいいような気はします。

○柏原座長 現実問題、4243%は糖尿病由来であるから、糖尿病対策が進めば当然減るだろうということもあるのだろうと思います。既に議論が少し先に進みましたが、改めて8ページの普及啓発の所で、小室構成員のほうから合同して3領域での普及啓発もあり得るのではないかとの御発言も頂きました。普及啓発について、何か御意見を頂けませんでしょうか。

○羽鳥構成員 医師会も生涯教育の中では行ってますが、メーカーさんから先発品の高血圧薬がなくなってしまったということがあって、糖尿とか腎臓とかほかの領域に比べて、実地医家の先生たちが高血圧の勉強する機会が非常に減っているということも実情だと思います。高血圧は4,000万人以上の方がいらっしゃるけれども、腎臓病も、血圧のコントロールが一番だと思います。そういう意味で血圧ももう少し着目してもらえるような項目があってもいいのかなと思います。普及啓発の中で血圧の管理ということを、強くうたってもらいたいです。

 例えば5年前、10年前ですと、普通の先生たちはカルシウム拮抗剤、ARBなどの新薬の講演会の5分の1ぐらいが高血圧の話だったのですが、今は100分の1もないような状況です。

○柏原座長 ありがとうございます。これは各地での普及啓発のコンテンツを育てていこうというようなことも行っていますが、その中には当然CKD対策として、減塩であったり、それを通した血圧管理というのが含まれてきますので、それは班研究の中で実現していきたいなと考えています。

 馬場さん、以前おっしゃっていました普及啓発で、透析患者さん以外の方への、いわゆる御家族以外の方への普及啓発、このことも御発言されたと思うのですが、いかがでしょうか。

○馬場構成員 家族以外という括りは私はないのですけれども、1回目のときに申し上げさせていただいたように、やはり一番効果があったのは子供たち、小学、中学、高校への取組、こういったものが一番効果があったということと、今、先生から言われたように血圧の重要性といったものが、かなり現場では浸透してきていますので、こういうものの表現です。

 それからこの後に、もし時間があれば申し上げたかったのですけれども、CKDという言葉ではなくて、もっと子供たちでも一般の老人でも口ずさめるような、キャッチコピー的な、なじみやすいといった、現場に合った取組をやることです。今、先生方にお取り組みいただいている医療的なことは非常に大切なことで、私たちも十分感じているのですけれども、やはり本当の意味で浸透させていくためには、もう少し子供でも老人でも分かるような取組、そういう取組をやっていっていただければ、もっともっと効果があるようだというのが、現場としては感じるところです。

○柏原座長 ありがとうございます。このCKDという言葉の浸透率を調べてみますと、市民レベルではかなり低いということも分かっております。CKDとは簡単かなと思ったのですけれども、英単語だというところで問題があるのでしょうか。

○川本構成員 普及啓発ということで一番最前線に立っているのが、行政関係でいきますと保健師等なのですが、その保健師等の方たちにお伺いしますと、今、一番困っていることが、やはり対象の方の高齢化ということです。そういう方たちに普及啓発をするときに一番困るのが、なかなか生活習慣を変えられないということです。さらに、もういいやと諦めていらっしゃるということも課題だと伺っておりますので、そのような高齢者を対象としたときにどうするかというのは、今後の大きな課題になるのかなと思っています。

○柏原座長 ありがとうございます。それでは普及啓発に関しまして、またお気付きの点があれば追加でおっしゃっていただければと思います。

 続きまして、地域における医療提供体制の整備に入りたいと思います。9ページです。➁地域における医療提供体制の整備ということで、今後実施すべき取組として、関連学会、関連団体が地方公共団体、行政と連携して、医療の連携体制を各地で構築していくというようなこともうたわれております。この医療提供体制の整備に関しまして、お気付きの点があればお願いいたします。

○川本構成員 先ほど申し上げたことと関連するのですけれども、この地域における医療提供体制の整備をするときの課題の中で、一番にやはり挙げておいていただきたいのが、高齢化ということと思っています。先ほど申し上げましたように生活習慣を変化させることができないということと、それから中断しやすいということで、そのフォローアップが非常に難しいということが課題に挙がっております。もし追加できれば、この課題の中にも、そのような傾向のところを入れていただければと思っております。

○柏原座長 受診勧奨であったり、受診後の受診中断であったり、行動変容のプログラムであったり、そういうところですかね。ありがとうございます。いかがでしょうか。先ほど、羽鳥先生のほうから、逆紹介については既にお話も頂きました。これは内容を作っていくということですね。

○羽鳥構成員 逆紹介ではなくて、紹介するほうとして、かかりつけ医にはいろいろなタイプの方がいらっしゃいます。例えば糖尿病専門医の先生がかかりつけ医でされている場合もあるし、それからもともとは腎臓病をされていた方もいらっしゃるし、それから産婦人科で御開業になって、かかりつけ医になっていらっしゃる方もいるので、余り一律にかかりつけ医ということを言いきるのも難しい面もあるかと思います。要するに、あるレベルまでは自分で診られると思っていらっしゃる先生もいるし、クレアチニンが上がってしまったら、早目に腎臓病の専門の先生に診ててもらいたいという人もいらっしゃるでしょうから、欧米のGPと専門医の多数いる日本のかかりつけ医というのは、実情は異なっていると御了解いただきたいと思います。

 腎臓疾患に詳しい方や詳しくない方もおります。

 余りにも初期で診断すると「もうこっちに来なくてもいいですよ」と患者さんに言ってしまうこともあるので、1年に1度は受けるなど具体的な指示を頂けるようなお返事を頂きたいということで、かかりつけ医からの希望ということです。

○柏原座長 ありがとうございます。この専門医の分布を調べてみますと、総体としては右肩上がりに増えているのですが、地域によってはむしろ減少している地域もあって、やはり個別にそれぞれの医療支援に応じた診療連携体制を提案していかなければいけないと思います。ある所では、かかりつけ医の中で、比較的腎臓病に明るい先生方を協力医としてお名前を挙げるとか、そういう地域ごとの個別対応を、これから考えていきたいと考えております。ありがとうございます。

 それ以外に、この診療連携体制の構築に関しまして、御意見ありますでしょうか。これは中澤構成員にもう一度お伺いするのですが、9ページ目の下辺りの今後実施すべき取組で、やはり核となるのが医療と行政との連携体制を各地で作っていくと。先ほど、もう少し具体性のあるものがなければ、なかなか行政も動きにくいというお話もありました。もう少し続きの議論をここでもしていただけますか。

○中澤構成員 実際に毎回申し上げているのですけれども、行政の各部署がいろいろな形で、特に腎疾患だといろいろな部署が関わっているというところがあって、そのためにいろいろな人がいろいろな形で、腎疾患対策を実際はやってはいるのですけれども、自覚がないというか、腎疾患という疾病に対しては、つながっているということがよく分かっていないということがある。そのために、医療機関だとか関連学会などと御一緒に地域に医療提供体制を作っていくときに、一体どこが音頭を取っていくのだろうかということを、内部でも話し合わなければいけないときに、やはり先生方からいろいろ御示唆いただきながら、中で検討していくということも必要なのかと思います。

 地域によっては、例えば生活習慣病をやっている所が音頭を取ると、うまくスムーズに医療機関とか、もちろん県民、市民の方への啓発などもうまくいく、今までのツールを利用しながらやっていける所もありますし、その辺は自治体や地域によって様々でもあります。市町村と、例えば都道府県の関係というのも様々ありますので、そこはやはり一定程度フレキシブルな余裕を持たせつつ、大きなところでやはり分からないことがいっぱいありますので、学会の先生方からアプローチしていただいて、では一緒にやっていこうという形を作って、その地域地域で作っていくということが大切なのかなと思います。一律にしてしまうと、やはり最近は、何でもかんでも地域ごとの特色でということもありますので。またそれを生かすことによって、うまく健診からかかりつけ医の先生、それから専門医の先生、そしてまた戻ってくるという逆紹介をされて、地域で生きていくと。

 私たちの地域包括ケアとか、そういうことも進めている中では、やはり腎疾患に限らず、そういうものなのだろうとして、いろいろな対策を進めているところなので、同じような形なのかなと思っております。

○柏原座長 ありがとうございます。先ほど事務局からも御紹介がありましたが、腎臓学会で今、各県にキーパーソンという者を指名していますが、やはりキーパーソンの役割の中に、それぞれの地域における連携体制の核として動くと、あるいは動けるような人をもう一度指名し直すというようなことも始めていきます。その方に各都道府県か市町村か分かりませんが、行政のほうに行っていただき、この報告書が恐らく追い風となって、今まで余り連携できていなかった所も連携できるようになるのではないかと期待しております。

 この医療提供体制、連携体制をいかに整備していくかというのは、かなり重要なところになってくると思います。何かほかには御意見ありませんでしょうか。

○川本構成員 11ページにあるように、行政機関と関連学会、関連団体等が、今おっしゃっているように連携していくということですが、好事例を共有するということが一番具体的になっていく取組だと聞いております。私どももいろいろと聞きますと、保健師が、かかりつけ医と行政機関の連携という意味で、例えば受診の中断を防止できたということもあります。独居高齢者のソーシャルサポートを活用して症状が好転した例、それから受療が安定して継続できるように医療機関に受療調整をしたといった、うまく連携した例を積み重ねておりますので、そういう事例を皆様のほうに御紹介していきたいと思っております。このような好事例を共有するということが非常に重要になってくるのではないかと思っております。

○柏原座長 おっしゃるとおりで、あそこではできたけれども、うちではいろいろな事情でできないというようなことがたくさんあると思いますので、それぞれのリソースに応じたような大都市型、地方都市型、農村部型など、好事例を発掘して、それを定式化して提示することというのも、この班研究としてやっていきたいと考えています。ほかにはいかがでしょうか。

11ページに評価指標として、紹介率、逆紹介率、先ほども議論があったCKD診療を担うかかりつけ医等の医療従事者の数を指標としたらどうかという提案でもあります。

 続いて、11ページの下にある➂診療水準の向上に関して、目的から12ページにかけてガイドライン等についても書かれています。これについてはいかがでしょうか。これは、また門脇構成員にお伺いしたいのですが、糖尿病学会と腎臓学会は、それぞれかかりつけ医から両専門医への紹介基準というのを共同して作らせていただきました。医師会からは、この紹介基準ももっと簡略化できるのではないかという御意見も伺っています。ガイドラインもそうだと思うのですが、何かお考えはありますでしょうか。

○門脇構成員 かかりつけ医から腎臓専門医・専門医療機関等への紹介基準は、柏原班のイニシアチブで作られました。併せて厚生労働省の門脇班が中心となって、かかりつけ医から糖尿病専門医・専門医療機関等への紹介基準が作られて、両学会でそれぞれお互いにendorseしました。さらに日本医師会の今村副会長にも御相談して、御意見もお聞きした上で完成版となりました。既に日本医師会雑誌とともに日本医師会の会員全員に配布されていると伺っています。

○柏原座長 羽鳥先生から何かございますか。

○羽鳥構成員 前よりもすっきりして分かりやすくなりました。それから、地域でいろいろな勉強会のときにも、このA2とか、G3aG3bとか、そういう言葉が自然に学会の中で出てくる、あるいはかかりつけ医が症例提示の中でもそういう表現になってきているので、かなり浸透してきていると思いますので、もっともっといろいろなところで使われれば共有できるのではないかと思います。

○柏原座長 門脇先生、お願いします。

○門脇構成員 どちらがいいのか分からないのですが、診療水準の向上の所で、まず最初に「各種ガイド、ガイドライン等」と出てきて、12ページにいっても「ガイドやガイドライン」という話があって、様々な用語が使用されています。それから、「各種ガイドライン等」で、「各種ガイド、ガイドライン」、その次は「ガイドライン等」と、評価指標の所にも「ガイドライン等」が出てくるのです。これについては例えば日本糖尿病学会の場合には、クリニカル・クエスチョンに対してrecommendationを出すような形で、そこに十分な文献や、いわゆるシステマティック・レビューに基づいたような情報を全部入れ込んであるガイドラインと、それに基づいて、Consensus Baseのようなものを入れて、実際に日常診療の上で使いやすいガイドというものが、両方とも活用されています。ここで「ガイド」と「ガイドライン」というのをどういう順番でここに書いたらいいのかということについて、御検討いただければと思います。

○柏原座長 糖尿病学会の場合は、ガイドがかかりつけ医の先生を対象としたものなのですね。

○門脇構成員 そうなのです。

○柏原座長 そして、ガイドラインが専門医を対象としたものだということですね。これは、学会間でもそこは一致はしていないのですよね。循環器学会はどうなっているのでしょうか。

○小室構成員 循環器学会は専らガイドラインを作っているだけなのです。そして、60以上のガイドラインを作っているのです。それはみんな専門医が対象なので、今後はやはりクリニカル・クエスチョンに基づいた実地医家向けのガイドを使っていこうと考えています。

○門脇構成員 11ページにあるように、「CKD診療を担う全ての医療従事者が、各種ガイド、ガイドライン等で推奨されている良質で適切な診療を実践する」というときに、大元になっているガイドラインが先にくるのか、日常で使用されているガイドが先にくるのかといったことで、そんなに大きな問題ではないようにも思うのですが、使い方等は統一させておいたほうがいいのではないかと思います。

○福井がん・疾病対策課長補佐 CKD診療ガイド、CKDガイドラインをイメージして書いてしまったところもあるのですが、ガイドのほうが対象者は多いということもあり、ガイドを前に書かせていただいたのもありますが、統一するように検討させていただきたいと思っております。

○柏原座長 これは恐らく腎臓学会の内部での混乱もありまして、本来であればガイドラインを科学的な根拠に基づいて作り、そのエッセンスを取りまとめてかみ砕いたものがガイドで、順番はガイドライン、ガイドだと思うのですが、腎臓学会のCKD診療ガイド、ガイドラインは、なぜかガイドが先に出て、それからガイドラインが出てしまったということがあります。

 その反省を踏まえて、今後はまずガイドラインを出し、次にガイドを作ろうと、今年からはそのような形になるのですが、そこでもまた新たな問題が生じまして、私どもは今度はガイドラインはかかりつけ医向けに作ったというつもりだったのですが、医師会のほうで見ていただくと、これは難しすぎるということで、急遽、これを専門医とかかりつけ医向けにして、かかりつけ医の先生向けには新たにパンフレット的なものを作ろうという動きもあります。

 ということで、これは少し我々側の責任かなと思っていますが、門脇構成員の定義されたとおりの議論が本来的にはあるのだろうと思います。まずは、Mindsに基づくような、科学的なSRに基づくガイドラインを、より実践可能なガイドに落とすという順番なのです。それは腎臓学会内でまた整理していきたいと思っております。

○門脇構成員 今、南学構成員が日本医学会連合の中で診療ガイドライン検討委員会の委員長で、ガイドラインとガイドについても、その2つをどのような形で役割分担させていくのかということについて議論を進めているところですが、ここでガイド、ガイドラインについて、どちらが前にくるのかは別にして、一言、ここではこのように使っているという注釈を付けておけば、どちらが前にきてもいいような感じがするのですが、いかがでしょうか。

○中元構成員 そろそろお暇しなければいけないので、一言言わせていただきます。今のガイド、ガイドラインについては、明確な定義がなされていない段階においては、門脇先生がおっしゃるように、全体の像で定義しておけば全く問題ないと思いますし、順番も定義した上で決めればいいと思いますので、ここで議論をしても結論の出ない内容だと思います。

 全体像として、非常にまとまってきたという印象を持っています。透析学会の立場からすると、CKDの中に透析患者も含む、さらに移植患者も含むということは、福井先生からも言っていただいたように、入れていただいたというのは大きな進歩だと思っております。

 あと、流れとして透析患者、導入患者を減らすということを大目標として作られているのは、この流れでいいのかなと思いますが、ただ最後の「腎疾患対策の全体像」という大目標の中からすると、ここの全体像以降に書かれている内容と前半が余りに乖離しているというところもあって、もう少し最初に言われた重症化予防というところを、せめてこの全体像の中に。腎移植の前に重症化予防は各学会と連携して行う、あるいはCKD移植患者も含めた、重症化予防、死亡につながるような患者の疾患をどう予防していくかというのも1つ重要なポイントだと思いますので、全体像の中に入れておいていただくと、全体の流れとしていいのかなという気はします。

 あと、そういった流れから要望あるいは診療体制等の形、そこの人材育成の中では、先ほど言われたように、コメディカル、メディカルスタッフの方の記載があるのですが、それ以前にはやはりメディカルスタッフ、看護師、栄養士、薬剤師の名前が実名として1度も出ていない、これは、もう少し入れておいたほうが今後の将来像のためにはいいかなという印象は持っております。

 そういう意味では、今回の目標が重症化予防よりも、導入を減らし、さらに患者自体の早期発見、早期診療ということを前提とすれば、流れとしては全く問題はないと思いますが、そういった未来につながる全体像の中に、そういったことを少し踏まえた、CKDの中には透析患者も含む、そしてそれが重症化予防として全体の患者の予後を良くするということを、移植の前に入れていただくと、本当はいいかなと、未来につながるかなという印象を持ちました。恐らくこの4回で終了するということだと思いますし、将来の10年を占う大きな流れとなると思いますので、未来につながるような形を是非とも作っていただきたいと、透析学会の立場として思いますので、よろしくお願いいたします。

○柏原座長 既に人材育成についても言及いただきましたので、12ページの人材育成についても御意見を頂こうと思います。中元構成員からも「将来につながる」という御発言があったのですが、平成20年度の報告書の中に、腎臓病療養指導士的な資格が必要なのではないかという提案があって、この10年の間に実際にそれが制度化されたということもありますので、今回盛り込む報告書というのが、本当に今後10年を作っていくのだろうなと思っております。平成20年にそれが提案されてちょうど10年たって、平成30年に第1期の療養指導士が約750名と、非常にいい立ち上がりでした。そういうことも実際に成果として上がっているということだと思います。人材育成に関して何か御意見等がありましたらお願いいたします。ここには、看護師/保健師、管理栄養士、薬剤師と実際の職種名も上がってはおります。

○川本構成員 先ほどご発言していただいて、非常に有り難いと思っていたところです。前回の委員会でも発言させていただきましたが、看護の中では専門性がある認定看護師、専門看護師がおります。もう20年の歴史がありますので、個別の内容を示すということではないのですが、その中でも専門性を持った看護職のことも入れていただければ、お役に立てるのではないかと思っております。

○柏原座長 今までの専門医というのは、医師としての腎臓専門医ばかりで、看護師の中での専門資格に関して言及できていなかったということで、これは事務局のほうで可能であれば御検討いただけますでしょうか。

○福井がん・疾病対策課長補佐 はい。

○柏原座長 ありがとうございます。人材育成について、ある意味では最も重要かもしれませんが、何か御意見はございませんでしょうか。そうしましたら次に進みたいと思います。13ページの➄研究開発の推進ということで、ここでは推進の方向性と方向性を踏まえた上での研究例というのを例示していただいております。まず方向性としては、学会だけではなくて全てのステークホルダーが関係するようなオールジャパン体制を作るべきだということがうたわれております。これは南学構成員から何か御意見はございますか。

○南学構成員 事務局に非常にきれいにまとめていただいていると思っておりますので、特に私としては追加するべきことはございません。

 ただ、1点気になっているのは、先ほど門脇構成員からあったように、糖尿病性腎臓病の話が最初にだけ出てきていて、その後は全く出てきていないので、そういう文言がもう少し入るといいのかなと思うのですが、逆に行政が使っている言葉が全部「糖尿病性腎症重症化予防」とか、そういうのを公式な文言として使っていると理解しているので、世の中が「糖尿病性腎臓病」と舵を切っている現在、そういった行政が使っている言葉と、実際に学会等で使われるようになっているこの言葉を、どのように織り合わせながらこういった文章の中に落とし込んでいくのかというのが、どのようにするのがいいのか私もよく分からないので、また福井先生に御指導いただければと思います。

○柏原座長 福井先生から御発言はありますか。

○福井がん・疾病対策課長補佐 研究課題例で、糖尿病性腎臓病に関わる研究というのを御紹介いただいたと思いますので、そういうところでは確かにDKDと書けるのですが、全ての「糖尿病性腎症」という文言をDKDに差し替えるのは、まだ少し早いのかなと思っておりますが、検討させていただきます。

○門脇構成員 国が使う用語と学会が使う用語の関係なのですが、恐らく学術的な進歩を取り入れて、まず学会が先導的に使う。そして、それがだんだん行政にも反映されてくるという流れなのだろうと思います。幸いなことに、日本腎臓学会の御尽力もありまして、DKDICD-11の中にも取り入れられるということですので、行政としてもそういう言葉を非常に使いやすい状況になったと思います。

 そういう点では、最初に1回、DKDが入っていることと、それから今お話があったように、例えば研究の所にDKDを入れておくとかで今回はとどめて良いかもしれません。逆に、糖尿病性腎症という用語で既に公にプログラムが走っているものについては、そこを無理に変える必要はないと思いますので。

 繰り返しになりますが、順番としては、学会がまず学術的なことから提案していくという形で、今はちょうど移行期という位置付けではないかと思います。

○松村構成員 先ほど中元先生から、腎疾患対策の重症化予防のために、腎疾患対策の全体像の中にそうした文言を入れたらどうかというお話がありましたが、これは広報からいろいろなところに関わってくる問題だと思います。地方自治体の取組全てに関わってきます。それから先ほど馬場構成員がおっしゃった、学校検尿のときに、文部省なども巻き込んで、地方自治体にもっともっと頑張ってもらいたいと思います。地方自治体のそれこそ県単位、市町村単位、それぞれにやる気を起こしてもらわないと、日本の腎疾患対策はなかなか進まない。CKDという文言の普及よりも、腎臓病の重症化予防のための対策を行政機関で実行するようもっと頑張ってもらうことが重症化予防の近道だと思います。

 これは、熊本や堺など、既に行っている所もあります。一時期、腎臓病だけではありませんが、夕張市で高齢者の医療費を一人あたり140万円かかっていたのを予防対策を講じることで70万円まで落としたという、実績のある所もございます。そのように実際に実行している所に行政の方たちが勉強に行ったり、地方の医師会の先生方にもご協力いただいて取り組む。そして地域に保健所がたくさんありますので、それらをもっと活用して、区市町村の行政と保健所との連携、薬剤師との連携、腎臓病療養指導士との連携、いろいろな人との連携を図って、腎疾患だけではなくていろいろな疾患対策を全て進めていかなければいけないのではないかと思います。

 そのためには、馬場構成員が言われたように、子供たちを巻き込むのが一番いいかなと。地方自治体の方たちのやる気を起こさせるには、厚生労働省にも頑張っていただいて、各地方自治体の健康対策課とか腎疾患対策課とか、縦割りではない、県全体、市町村全体で、どう考え行動に移すか、みんなで力を合わせれば、結果的には住民が払った住民税をセーブできるし住民のQOLも上る。そうした内容を、全体像の文言の中に盛り込んでいただけるといいのではないかと。

 それと同時にあえて申し上げるならば、文言が非常に分かりにくいので、行政で使う文章ではなくて、普通の人が読んでも分かる文章にするよう努力をしていただけるともっと住民の理解がすすむと思います。

○柏原座長 既に全体像関わる御意見を頂きました。

○馬場構成員 松村構成員からせっかくいい御発言がありましたので、先ほど川本先生からも、高齢者の対応というのがありました。私が現場に立っていて、一番分かりにくいのは高齢者なのです。第1回のときにも申し上げたと思うのですが、CKDという言葉で片付けても高齢者は全く理解できていないのです。ですから、今、松村構成員がおっしゃったように、そこに常に「慢性腎臓病対策」でもいいし、もっと分かりやすい言葉があれば。お年寄りがCKDとは何なのかといったときに、一人歩きしないでそこにくっ付いて表現できるような、そういうこれからのPR活動というか、そういうのがとても重要かなと思います。高齢者は分かってきても、CKDという言葉を使われると、それだけで拒否反応が出るというのが、現場の実態です。

○柏原座長 CKDという言葉の功罪ではないかと思います。「腎臓」という日本語のほうがピンときた時代もあったのかもしれませんし、CKDという言葉を生んで注目を浴びたというところもあろうかと思いますので、次の段階の課題にしたいと思います。

 全体像は、14ページに図も作っていただいております。私、個人的には非常によくできていると言いますか、自画自賛になってはいけませんが、縦軸に5本の柱を配置していただいて、CKDの前段階から発症、重症化、最終的な腎代替療法あるいは移植に至るまで、それぞれのステークホルダーがどういう役割を果たして、ゴールが何なのかということも盛り込んでいただいていますので、1つの図の中にきれいにまとまっているとは思っています。これをしっかりと眺めれば、全体像を俯瞰して、なおかつそれぞれの持ち場で何をやればいいのかと、モチベーションは上がるのではないかと思います。どちらかと言うと、今までは私どもはこの図の右の3分の1ぐらいの所にフォーカスしてきたのですが、やはりより大事なのはこの左半分ぐらいの所ではないかなと、医療費という面から考えても思います。そのように、この図は長く、多くの人に使われるべきものではないかと感じております。

 私にとっては、若干字が小さいというのが気になりますが、これは拡大すれば何とかできるので。全員が1枚の絵を見て、それぞれのことをするというのが有効ではないかと感じます。全体像に関して何か御意見がありましたら頂けるでしょうか。

○南学構成員 図9ですが、非常によくできていると思うのですが、使う漢字というのは第何水準とかというのはあるのでしょうか。「均霑化」の「霑」というのは難しい漢字なので、先ほどの御意見ではありませんが、どういう方々を相手にしているのかで、専門家や法律家を相手にしているのか、一般の方々を相手にしているのかで、この漢字を使うことがどれぐらい適切なのかなということを思っていました。

○馬場構成員 そういうことで申し上げるなら、事前説明のときに福井先生に申し上げたのですが、基本的にはこれが全てだと思うのです。ですから、これを本当に拡大して分かりやすくというよりも、これが大きな字になって、お年寄りの方が読んで分かるぐらいまでにするには大変かもしれませんが、少なくとも御指導される方にとっては、これを解説して、こういうことなのだということを分かりやすくするには、これは素晴らしい全体像の縮図だと思っていますので、これを是非今後大いに活用していただくためには、もう少し拡大したもので御提案いただければ有り難いと思っています。

○柏原座長 事務局との間の確認ですが、この全体像は、この報告書を読まれる層を対象としているということで、医療関係であったり行政の方ということですよね。患者や住民はもちろん対象になっていないということだと思います。それにしても、「均霑化」など、まだ文言はちょっと難しいでしょうか。

○松村構成員 それとやはり移植医療について、今、脳死からの移植が大分増えてきましたが、腎臓だけは心臓死からでも移植ができるので、腎不全の代替医療として、血液透析、腹膜透析と共に移植の推進を入れて欲しい。スペインなどに比べて日本は非常に遅れていますから。この移植医療がもっと推進されれば、経済的にも透析医療の10分の1の費用で済むだけでなく、QOL10倍以上は高くなる。移植医療という文言を、今回の提言の中のどこかに入れてほしいというのが希望です。

○柏原座長 確かに、この図の中にも「腎代替療法」とありますが、「移植」という文言は使っていないと、本部チームも含めて、もう少し移植というものもfeatureしたいということですね。そのとおりだと思います。全体像を見ていただきまして、お気付きの点があれば意見を頂きたいと思います。よろしいでしょうか。

 それでは、いよいよ最後の段階になってくるわけですが、18ページに「おわりに」という文章を書いていただいております。これを見ていただきたいと思います。これはclosingに当たるわけですが、御意見を頂ければと思います。改めて、先行している糖尿病性腎症の重症化予防プログラム等との連携を行って加速していきたいというようなことも書かれております。そして、中澤構成員からも言及がありましたが、他の事業との重複などは最後の文章として、「5本の柱のうち、特に普及啓発や診療水準の向上等の内容は、必ずしも腎疾患対策に特有のものではないことから、他の疾患等の対策にも活用される」と。逆に言うと、共有できるということだということもうたわれています。この「おわりに」の文章について、いかがでしょうか。

○中澤構成員 先ほど川本構成員からもお話がありましたように、好事例の共有というのは、非常に有効な方法ではないかというように、ここにも「モデル事業が実施されることが望ましい」と書いていただいておりますが、好事例を共有する場というのがとても大切で、モデル事業をやりっ放しみたいな感じになってしまうと、非常にもったいないということ。それから、やはり先進的な所、非常に充実している所、もともとやる気があって頑張ってやっている所のモデル事業だけではなくて、例えば小さい所であったりとか、資源が少ない所でも、モデル事業をやるのだからちょっと頑張ってやってみようかという所などがありますといいのではないか。非常にグッドプラクティスばかりだと、どこを持っていけばいいのか分からない、とてもうちでは無理だと思ってしまうと困りますので、こんなやり方を小さい所でやってみたらうまくいったとか、小さい所ほど共有しやすいというメリットもありますので、是非そういう所なども。具体的にというところまで書くのは難しいのかと思いますが、バラエティに富んだというか、いろいろなモデル事業を実施されることが望ましいというのを、ちょっと書いていただきたいなということ。

 それから、その成果を共有する場だとか、実際にモデル事業をやった自治体であったりとか、そこに関わる専門医の先生たちと、それを聞きに来る各自治体であったり、関係する職員が議論をするとか。実際、うちで国のモデル事業を受けたときにそういう場があって、いろいろな自治体さんがいらっしゃって、いろいろな質問を受けたときに、質問を受けることで、更にそこがブラッシュアップされるということもありますので、そういう場なども。共有する場であったり、ただ紙で回すだけではなくて、実際にお会いして議論できる場だったりとか、そういうニュアンスなどを追加していただくと、モデル事業を実施して、それがより有効に活用されて、現場に下りてくるのではないかなと感じたので、お願いしたいと思います。

○柏原座長 ありがとうございます。具体的にどのような形で共有ができるか、これから考えていきたいと思うのですが、それも是非やっていきたいなと思っています。先生がおっしゃるように、専門医もちゃんといると。

○松村構成員 ……の所に是非、移植を入れていただきたい。重症化予防と同時に、移植医療、移植の推進を、腎疾患対策検討会として入れていただくことは、いかがかという提案です。日本で一番これが、世界の中では遅れています。腎臓病対策の中で、透析導入を減らすことと同時に、移植医療の推進というのは、とても大きな柱のような気がするのですが、入れることは不可能でしょうか。

○柏原座長 もちろん文言として入れることは可能だと思いますが、その推進をどこまで報告書の中で強く押すかというのは、厚生労働省様の御判断を聞きながらでないと、難しいかなと思っています。

 ただ、これはできるなと思うのは、今、腎代替療法で、御存じのように血液透析と腹膜透析と移植のバランスが余りとれていない。今、療法選択の加算も取れたということもあって、各地でShared Decision Makingみたいな考え方で、患者さんと家族の意思も尊重して、3つの方法をフェアに選んでいきましょうというのがありますから、そういう療法選択について言及することは可能かなと。もちろん可能だと思いますし、したほうがいいと思います。

 ただ、この報告書の中の骨子の1つとして、移植をもっと推進しようというメッセージを強く出すのは、これは合意形成が必要かなとは思います。でも、今の日本の形が、他国と比べて標準的なものでない可能性はあるかと思います。ただ、モデルもそんなになくて、あるアジアの国だったら腹膜透析が大半であったり、それは医療試験の問題でそうならざるを得ないということもあるので、本当に理想的な腎代替療法の比率というのは、なかなか他国にも例はないかなと思っています。これは南学先生に調べていただきましたよね。

○南学構成員 今、柏原理事長から御指摘があったように、国際腎臓学会のほうでGlobal Kidney Health Atlasというのを検討しましたが、各国の状況、人口密度ですとか医療資源、人口密度というのは医療施設がどれぐらい近くにあるかとかですが、そういう要素によって、腹膜透析がものすごく突出している所、移植が多い所、日本みたいに血液透析が非常に多い所、あるいは在宅透析を推進している所等々、非常に様々で、どれがベストということは言いきれないと考えておりますので、恐らく日本の実情に合った形を追い求めていくのがよい。移植については確かに少ないですけれども、今回の腎疾患対策検討会が出すメッセージとして、ほかのメッセージがぼけてしまうようなことも危惧しますので、どちらかというと現状のままでもいいのかなと思っています。

○柏原座長 「おわりに」と併せまして、19ページの全体像、この図についても御覧いただければと思います。恐らく今後、この図と先ほどの図などは、かなり長く広く使われていくのだろうと思います。この図を見ながら、それぞれの役割を果たしていくということになってくると思いますが、今までの議論をコンパクトにまとめていたものが、この19ページの全体像の図になります。この図を含めまして、全てを通して何か追加の御議論など、言い残されたことがあればお願いします。

○川村構成員 ちょっと細かい字句のところを、少しだけ提案したいと思います。最初は1ページ、3つ目の段落の真ん中からちょっと下ですが、「CKD重症化予防の徹底とともに」というのがありますが、前後が「発見・診断し」、それから「実施・継続することにより」、その後が「維持向上を図る」ということで、動詞形になっているので、ここは「CKD重症化の予防を徹底するとともに」というように表現してはどうかと思います。その次も同じなのですが、7ページの一番上の所も同じ文言が出てきます。

 それから、その7ページの真ん中の達成すべき成果目標と評価指標の中の(a)ですが、「行政機関、企業、学校、家族」と書いてありますが、家族というよりは「家庭」のほうがよろしいかと思います。それから、(b)の中の「かかりつけ医、メディカルスタッフ、腎臓専門医療機関等」なのですが、メディカルスタッフが少し浮いた感じがするので、それから人なのか機関なのかという問題もあるので、一番シンプルに、ほかの所でかかりつけ医と専門医との行き来を中心にこの論理が組み立てられているところを尊重すれば、「かかりつけ医、腎臓専門医、その他の関係スタッフ」、又は「かかりつけ医、腎臓専門医、関係医療従事者など」という、2つだけ出して、あとはその他でまとめるというのもあります。それから、全部書き出すとすれば健診機関というのも出てくるかもしれなくて、「健診機関、プライマリーケアの機関、腎臓の専門医療機関、その他の関係機関」というようになると思います。この辺はフォーカスが人なのか機関なのかとか、それから矢印が書けるものかどうかということで整理されると、分かりやすいかなと思います。

 それから、今は細かい字句の話ですが、今やっているこの検討会で取り上げている事業は上位法令がない、言ってみれば厚生労働省のサービス、行政サービスとしてやっておられます。今は医療自体も国の主要な政策になってきている時代でもありますし、望むらくは上位に疾病予防法みたいな法律があるといいなとも思ったりします。

 予防に関しては、健康増進法とか、高齢者の医療の適正化に関する法律とか、あるいは労働安全衛生法や感染症法など、いろいろな所で文言自体は出てくるのですが、それらでカバーできない隙間の領域、疾患ですとか、年齢層によってはカバーされていないものもありますし、1つの日本のビジョンとして、そういう法律があるといいなとは思ったりもします。もちろんそういうことを前向きにやってくださる政治家がいるかどうかなど、いろいろ難しい問題があるので、少し夢だけ持っていたいと思います。

 そういうことをあえて申し上げているのは、これは初回のミーティングでも発言したことなのですが、今ここで中心に議論している、早期に専門医へ紹介するとか、あるいは逆紹介するとか、あるいは健診機関にも啓発を図るというようなことと、それから透析に入る、あるいは移植をするという医療は、大分次元が違う話です、一連のものですが。同じ医療であっても、リアクティブな、すなわち1回病気になってしまってつらい思いをした人を救うという医療、これは医療の原点ではあるのだけれども、それと同時に今ここで中心になって議論しているのは、プレクリニカルの段階、症状がなく検査値だけで異常が見付けられたもの、そういったものが本格的に病気になるのを防ぐ、予防の医療と言いますか、その2種類はかなり性質が異なるものであって、医療の費用の面でも一緒にするのはいかがなものかとも思ったりしています。

 国で医療費がかさむと言っていますけれども、本当に削減したいのは、苦しい症候を伴うような病気の医療のほうであって、これを削減すべく、そのために今ここで議論をして、重症化を防止しましょうという。でも、重症化の防止のための医療というのは、ある意味投資なので、これは必ずしも節減しなくてもいいのではないかと。もちろん生活習慣の関与などがあって、自助努力のところも大きいですが、やはり同じ医療の中でも減らしたいものと、積極的・戦略的に進めたいものがあろうかと思うのです。そういうビジョンを将来は持ちたいなということで、今回の提言そのものではありませんが、そういう認識を踏まえて、今後、厚生労働省の方、学会、専門家の方々には、何が今どこで必要なのかということと、国としてのビジョンを明確化できればいいなと思っています。これは願望かもしれませんが、プライマリーケアの現場にいる者としては、一律に医療費のことをうんぬんされることに非常に抵抗があって、特に予防をやっている人間としては、同じように議論されることには憤りみたいなものも感じますので、皆様、この議論を通して、予防というのは前向きなことであるということ、それから、そのための医療というのはあって然るべきというように、考えを共有していただければ有り難いと思っています。

○柏原座長 ありがとうございます。これも是非、頭に刻んでおきたいと思います。ほかに全体を通して、門脇構成員、お願いします。

○門脇構成員 座長のほうから、図9と図10が繰り返し今後用いられるだろうということなので、その内容に特に目を通すようにという御指示があったわけですが、今気がついたのは19ページの図10です。この図10の実施すべき取組の所の1が普及啓発で、2が医療連携体制ですが、2の➀の所に、「腎臓専門医療機関等や糖尿病専門医療機関等への紹介基準の普及」という項目が入っているわけですが、3の診療水準の向上の➂の所に、「糖尿病専門医療機関等への紹介基準や、関連する疾患の専門医療機関との連携基準等の作成・普及」という項目があって、重複があります。

○福井がん・疾病対策課長補佐 紹介基準の作成は確かに済んでおりますので、「作成」は削除して、「普及する」ということにさせていただきます。

○柏原座長 私も気付いておりませんでした、ありがとうございます。大変、大切な御指摘でした。

○羽鳥構成員 先ほど川村先生が御指摘になったことはとても大事だと思うのですが、健康局マターではないかもしれませんが、今、経産省と厚労省で、いわゆる日本健康会議発で自分自身の健康を見直すという、健康スコアリングというのをやっています。例えば血圧、体重、高脂血症、禁煙をしているかなど、そういうのと同時に、その中で例えば検査サバイバー、がんにかかった人が社会復帰できたかどうか、そういうことを評価する、そういう見方をする。だから、自分の健康を自分で守るということも含めて、何か自分自身でできることはもっとないかとか、あるいは会社とか、周りでサポートできることは何かないかというような見方もどこかで触れていただけるといいかなと思いました。

○南学構成員 今、羽鳥先生がご指摘になった点は非常に重要で、我々の大学にも両立支援委員会というのがあって、この前新たに委員会の委員になった女医さんが、この両立支援委員会では子育てなどの話がものすごく中心になっていて、一部介護の話が出てくる、一方、患者さんの病気の状態での仕事との両立というのは全く出てこないので、病院の両立支援委員会としては問題があると指摘をされて、目から鱗だったので、羽鳥先生のこの視点というのはものすごく大事だと思ったので、追加発言させていただきました。

○柏原座長 この提言の中に、腎臓病の療養を受けながら社会復帰、あるいは就業できるような環境を、社会として作るべきだということを盛り込めれば、ということですよね。これは、また内部で議論していただいて。

○福井がん・疾病対策課長補佐 そのように追記させていただきたいと思います。ありがとうございます。

○柏原座長 かなり先進的な提案になりますね。そういうことをおっしゃっていただきました、ありがとうございます。非常に有り難い御提案でした。いかがでしょうか。事務局のほうからもよろしいですか。

 それでは、本日の議論を踏まえまして、事務局とともに論点を整理しまして、字句についても齟齬があれば再度見直して、整えていきたいと思います。腎疾患対策検討会報告を取りまとめていきたいと思います。しかしながら、最終的な判断につきましては、座長にお任せいただければと考えておりますが、よろしいでしょうか。ありがとうございます。

 最後に謝意と、座長を務めさせていただきました所感を述べさせていただきたいと思います。10年前にこの報告書が発出されたわけですが、私ども腎臓学会の内部にも、必ずしも十分にこれが浸透できておりませんでした。ところが、今回は厚生労働省様のお取り計らいで、2年前の作成準備段階から、腎臓学会としてこれに関与させていただきまして、非常に勉強にもなりましたし、これを自分のものとして、この成果物というものに、今後は向き合うことができるのではないかなと思っています。

 この検討会としての報告書が、これで完成されるわけですが、むしろこれからが第一歩であって、私どもの学会、あるいは新しく日本腎臓病協会というNPO法人も作りましたが、こういうもの、あるいは班研究も立ち上げていただいております。こういうものを実践部隊としまして、これを本当に現実味のあるものとして、ここに上げられたKPIを達成すべく、関係者をあげて取り組んでいきたいと思っています。

 また、構成員の方々には、それぞれの専門性と経験に基づいた、非常に貴重な御意見をたくさん頂きました。本当に勉強になりました。素晴らしい委員会であったと思っています。このような場を設けていただきましたこと、健康局の佐々木課長をはじめとして、課長補佐の福井先生、関係の方々に深く御礼申し上げたいと思います。

 それでは、時間が参りましたので、本日の検討会を終了したいと思います。再び事務局のほうにお願いします。

○福井がん・疾病対策課長補佐 ありがとうございました。最後にがん・疾病対策課長の佐々木から御挨拶申し上げます。

○佐々木がん・疾病対策課長 構成員の先生方、約半年にわたる検討に、厚く御礼申し上げたいと思います。健康局長の福田が間に合わなかったので、福田と私どもがん・疾病対策課がどういう議論をしながら、このことを事務局として務めさせていただいたかということを御紹介しながら、改めて御礼の言葉を申し述べたいと思います。

 先ほども申し上げましたが、半年前、12月に第1回検討会がありましたが、局内での議論は、まだ去年の残暑厳しい頃からしておりました。そのとき健康局長の福田からは、主に5点の考え方の整理を指示されておりました。まず1つ目は、なぜこの検討会を設置するのかという、根源的な問題です。もちろん、この10年間の変化ということはありましたが、この10年間は腎疾患対策のみならず、我が国の社会そのもの、人口構成の変化、病気の構造の変化というものも当然ありました。こうした社会全体のこと、病気の構造、人口の構造、この変化を捉えた、その中での腎疾患対策をどうしていくのか。その視点での議論をする。だから、この検討会で構成員の先生方にお願いするのだ。こういった考え方の整理をいたしたところです。

2つ目は構成員の先生方、どなたにお願いするかということです。今申し上げたとおり、腎疾患のみならず、幅広いことを視野に入れての検討をお願いするわけですので、構成員をお引き受けくださった先生方は、いわば我が国のオールスターズだと思っています。

 そして3つ目が、では、この報告書はどこにターゲットを置くのかという点です。これは結論を先に申し上げますと、報告書中にも書いている表現ですが、国民全体です。もちろん国民全体の方の中でも、ある程度濃淡は出来るかもしれませんが、これは特定の職種ですとか、特定の方ではなく、国民全体の方にこの対策が行き届く、この報告書を手に取っていただける。そういった国民全体の方をターゲットにして、議論をお願いしたいということが3つ目でした。

4つ目に局内で議論していたのは、この報告書が出来たら終わりではなく、フォロー可能な形、フォローアップ可能な形にすることです。そのために、経過観測をするための指標の議論を、第1回から御議論いただいたわけです。これが出しっぱなしになることなく、フォローアップをされていく。そして、そのフォローアップの過程で、どんどん次の施策を考えていく。また、国民の皆様への普及啓発を考えていく。そのことを視野に入れての、検討のお願いでした。

 そして最後の5つ目ですが、柏原座長からも図9を御評価いただいたわけですが、大事なのは腎疾患、さらには腎疾患を含む様々な病気の対策を考えるときに、同じものを見て議論ができること。そういうプラットホーム的なもの、全体像的なものを示しながら御議論を頂き、そして最終的には国民の皆様に示そうという局内での議論を踏まえて、私どもは事務局を務めさせていただきました。

 おかげさまで本日、おおよそのところでこの報告書の案を御了承いただきました。もちろん最終的な詰めがありますが、晴れてこれを今後の我が国の、腎疾患のみならず、高齢化していく社会に向けての、疾患対策を問う形の報告書に仕上げていただいたと思っています。

 今後のことを、先ほど柏原座長も触れていただきましたが、大きく3つのことを、今後どうするかという手順を申し述べたいと思います。1つ目ですが、まずはこの報告書を、最終的に座長と仕上げさせていただくに当たり、今日何度も出てきた表現ですが、分かりやすい表現、分かりやすい見方の工夫、これを貪欲に、最終的に報告書をまとめる際には追求をしていきたいと思います。まずは1つ目、分かりやすい工夫というものを、検討報告書をまとめるに当たり、もう一工夫したいと思っています。

2つ目ですが、次にこれをどう国民の皆さん全体に周知していくかです。当然ながら、周知先をどうすればよいのか。このことも構成員の皆様、座長にもう一仕事お願いするわけですが、どこに周知をすればよいのか。あと、もう1つはどこにだけではなくて、どうやってというのも重要だと思いますので、この検討会報告書の周知方法につきましては、今申し上げました、どこに、どうやって、このことを更に工夫したいと思います。これが2つ目です。

 そして最後の3つ目ですが、先ほど申し上げました、これはフォローアップをされていくわけです。このフォローアップをしていく、いわばこの報告書がスタートになるわけですので、スタートしていって、どこまでのゴールをしていくかというのは、もちろんその時々で、またゴールの場所も変わったり、どこがゴールかというのも変わっていくかもしれませんが、いずれにせよ今後フォローしていく。そのためにどういう対策をしていくかということは、今後も様々なお立場で御指導いただければと思っています。

 最後になりましたが、私ども事務局、がん・疾病対策課の様々な職員を、不手際も多くあった中で、温かく御指導いただいたことに厚く御礼を申し上げます。特に担当の課長補佐の福井は、この事務局を通じて構成員の先生方に大きく育てていただいたものと思っています。このことも厚く御礼を申し上げたいと思っています。

 今日、本当はもう1人の担当課長補佐の相原も参る予定だったのですが、実は先ほども御紹介申し上げたとおり、これは腎疾患のみならず、様々な疾患との関係を見ていく中でと、この政策を打つために様々な所と調整をしていまして、その業務がどうしても終わらずに、今日、この検討会に参加が間に合わなかったわけですが、今申し上げたこの報告書を基にして、また腎疾患を基にして、我が国の今後の疾患対策を。もちろん病気にならないのが一番ではありますが、病気になってからどうするのか、しかも1人の患者さんが複数の病気を持っていく中で、どういう取組が必要なのか。このことを視野に入れた政策を講じてまいりたいと思いますので、引き続き御指導のほどをお願い申し上げますということをもって、私からの、また健康局からの御礼の言葉とさせていただきます。どうもありがとうございました。

○福井がん・疾病対策課長補佐 それでは、本日の検討会を終了いたします。構成員の皆様、約半年間にわたり御協力いただきまして、誠にありがとうございました。

 


(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 第4回腎疾患対策検討会議事録(2018年5月31日)

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