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2018年9月5日 薬事・食品衛生審議会 血液事業部会 議事録

○日時

平成30年9月5日(水)17:00~

 

○場所

厚生労働省低層棟2階講堂

○出席者

出席委員(19名)五十音順

稲 田 英 一、  薄 井 紀 子、  大 戸    斉、 岡 田 義 昭、
千 堂 年 昭、  田野﨑 隆 二、  長 島 公 之、 長 村 登紀子、
花 井 十 伍、○濱 口    功、◎半 田    誠、 前 野 一 雄、
益 子 邦 洋、  松 下    正、  溝 上 雅 史、 三 村 優美子、
室 井 一 男、  山 口 照 英、  脇 田 隆 字
(注)◎部会長 ○部会長代理 
 

欠席委員(3名)五十音

衞 藤    隆、  大 平 勝 美、  小 幡 純 子
 

日本赤十字社

佐竹経営会議委員、千葉副本部長、前野経営企画部次長、
瀧川経営企画部次長、平技術部安全管理課長
 

行政機関出席者

森    和 彦 (大臣官房審議官)
石 川 直 子(血液対策課長)

○議事

○石川血液対策課長 定刻となりましたので、ただいまから平成30年度第4回薬事・食品衛生審議会薬事分科会血液事業部会を開催いたします。本日の会議は公開で行うこととなっておりますので、よろしくお願いいたします。
はじめに、委員の交代がございましたので御報告と御紹介をさせていただきます。鈴木委員が退任されまして、公益社団法人日本医師会常任理事の長島委員に新たに御就任いただいております。
次に、本日の出欠状況についてですが、衞藤委員、大平委員、小幡委員から欠席との御連絡を頂いております。また、長村委員は17時35分頃に到着される予定との御連絡を頂いております。現時点で、専門委員を除く委員21名中17名の先生方に出席を頂いておりまして定足数に達しましたので、薬事・食品衛生審議会令第9条により本部会が成立しましたことを御報告申し上げます。また、本日は日本赤十字社から、佐竹正博血液事業経営会議委員、千葉広一血液事業本部副本部長、前野節夫経営企画部次長、瀧川正弘経営企画部次長、平力造安全管理課長にお越しいただいております。どうぞよろしくお願いいたします。
また、事務局にも人事異動がございましたので御報告いたします。申し遅れましたが、私は7月31日に着任いたしました血液対策課長の石川です。どうぞよろしくお願いいたします。それから、課長補佐の田井貴です。
続きまして、薬事分科会規定第11条に関してです。本日は全ての委員の皆様より11条に適合している旨を御申告いただいておりますので、報告させていただきます。また、薬事分科会審議参加規定に基づきまして、各委員の皆様の利益相反の確認を行いましたところ、稲田委員、薄井委員、千堂委員、松下委員、室井委員から関連企業より一定額の寄付金、契約金などの受取の報告を頂きました。以上の5名の委員におかれましては、議題2及び議題3に関しましては意見を述べていただくことは可能ですが、議決には加わらないこととさせていただきます。他の委員の皆様方につきましては、対象年度における寄付金・契約金等の受取の実績なし、又は50万円以下の受取であることから、特段の措置はございません。これらの申告内容につきましてはホームページで公開させていただきます。委員の皆様には会議開催の都度、書面を御提出いただいており、御負担をお掛けしておりますが、引き続き御理解、御協力を賜りますよう、どうぞよろしくお願いいたします。それでは、冒頭のカメラ撮りはここまでとさせていただきます。よろしいでしょうか。
では、議事の前にお手元の資料の確認をお願いいたします。お手元、議事次第をおめくりいただきまして、それから座席表、委員名簿、議題1に関連しまして資料1-1及び1-2、議題2の関連として資料2-1、横向きの資料で参考資料2-1-1と参考資料2-1-2、及び資料2-2と参考資料2-2、議題3の関連では資料3、議題4の関係で資料4-1、4-2、4-3、議題5の関連で資料5-1、5-2、5-3、また参考資料として資料5-1、5-2、5-3、それから資料5-4、その参考資料として5-4~5-7まで、最後に資料5-5となっております。不足等がございましたら、事務局までお申し付けください。では、この後の進行につきましては半田部会長にお願いいたします。
○半田部会長 皆様、こんばんは。早速、議事に入りたいと思いますが、御覧のように本日は、議決案件2件を含めて多くの議題がありますので、御質問等々は簡潔によろしくお願いいたします。
まず、議題1、「日本赤十字社の平成29年度血液事業報告について」です。日本赤十字社から説明をよろしくお願いします。
○千葉副本部長 日本赤十字社血液事業本部の千葉でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、資料1-1をお開きください。まず、平成29年度の血液事業の取組について、概要となりますが御説明申し上げます。
2ページです。平成29年度の事業概要です。平成29年度におきましては、移動採血車や献血ルームなどで437万人の方に献血に御協力いただいたところです。頂きました血液は血液センターで検査・製造を行いまして、200ミリリットル1本に換算いたしますと、1,770万本の血液製剤として医療機関にお届けさせていただいたところです。このほか、血漿分画製剤用の原料として、99.5万リットルの原料血漿を国の需給計画に基づきまして各製薬メーカーに送付させていただいたところです。
続きまして、3ページです。こちらにおきましては、輸血用血液の需要動向を御説明させていただきます。血液需要につきましては、医療技術の向上や適正使用の推進などにより、この数年間は漸減傾向にございます。平成29年度の供給量についても、前年度から0.2%減少した1,770万本というところです。
4ページです。次に、献血協力の状況について御説明させていただきます。状況については5か年の推移で示したスライドです。平成29年度の献血者数は473万人、先ほど申し上げましたが、前年度から率にいたしまして2.0%減少しているところです。献血者数としては減少していますが、こちらは、400ミリリットル献血や成分献血を中心として採血に御協力いただき、基準内の採血量ですが、成分献血につきましては献血者お一人当たりの採血量を増やすことで需要に見合う血液量を確保しております。医療機関に対しては輸血用血液製剤を、製薬メーカーには原料血漿を、それぞれ安定的にお届けしている状況です。
続きまして、5ページです。主な施策について御説明させていただきます。平成29年度に実施した施策ですが、事業改善の推進につきましては、平成28年度に引き続き必要な血液量を効率的、かつ安定的に確保することに主眼を置いて基盤強化を図ってきたところです。こちらのスライドでは、受付・採血部門、検査・製造部門における取組を示しておりますが、あらゆる部門において改善の取組を進めてきたところです。改善の取組の幾つか、具体的な取組を御紹介させていただきたいと思います。
6ページを御覧ください。改善の取組の1例です。必要な血液量の効率的な確保、医療機関における製剤需要に応えるために400ミリリットル献血を推進した結果、400ミリリットル献血率は95.7%に向上してまいりました。今後も、医療機関の需要に基づいた400ミリリットル献血の推進を図っていくところです。また、成分献血で得られる血漿量ですが、体重に基づく血漿採取量の徹底などにより増加傾向にあります。必要な血液量を効率的かつ安定的に確保する取組を進めてきたところです。
次に、7ページ、改善の取組の二つ目です。こちらは血小板成分献血の分割製造の増加についてです。血小板製剤につきましては1人分の血小板成分献血から血小板製剤2本を分割して、1本を二つに分けて製造することができております。平成29年度の分割製剤の製造本数は約20万本となり、平成28年度から26%増加することができ、製造コストを抑制しているところです。
続きまして、8ページです。健全な財政の確立について御説明申し上げます。先ほどもお話させていただきましたが、輸血用血液製剤の需要が漸減傾向にありますので、経費、材料費、人件費につきまして、御覧のような取組を進めて、あらゆる費用の低減化を図ってきたところです。
9ページは、献血者の安定的確保です。献血者の安定的確保につきましては、人口動態の影響等もあり、この10年間で若年層の献血協力が減少傾向にあるため、将来の協力基盤となる若年層への普及啓発に重点的に取り組んできたところです。具体的には、10代や20代に対し、学校に血液センターの職員が出向いて献血セミナーを実施するなど、LINE、インターネット、SNSを主体とした情報発信を行ってきたところです。30代においては、企業献血における社内広報をお願いして情報提供を実施しているところです。こういった取組により、しばらく減少傾向にあった10代の献血者数ですが、平成29年度におきましては、赤枠の中にありますとおり、4,500人ほど増加したところです。残念ながら、20代、30代については、まだ減少しているところですので、更に推進を図ってまいりたいと思っております。
次に、10ページです。血液製剤の安全性の向上です。輸血による副作用の発生を低減した血液製剤の製造・供給を行うとともに、新たな国内発生が懸念される新興・再興ウイルスへの対策を進めてきたところです。平成29年度におきましては、主に輸血による細菌感染及びE型肝炎ウイルス感染に対する安全対策を実施してきたところです。
次に、11ページの血液事業特別会計歳入歳出決算の概要をお話させていただきます。今申し上げたような色々な改善と事業を進めてきたことによって、結果的にこういう決算になったというところです。まずは歳入の収益的収入です。収益的収入の大半を占めている輸血用血液製剤の供給収益ですが、平成28年度と比べて2億円の減少です。原料血漿の送付料が増えておりますので、その分の収入が少し増加しております。事業収益合計ですが、平成28年度とほぼ同額となったところです。収益全体は1,612億円と、前年度に比べて1億円、率にして0.06%の増加にとどまったというところです。
続きまして、収益的支出です。収益的支出全体では1,564億円と、平成28年度に比べて21億円、率にして1.4%の減少となっております。材料費、経費のいずれも大きく減少し、平成29年度の収支差引額は、平成28年度の25億円を上回る48億円の黒字となっております。また、資本的収支ですが、固定資産支出では、血液センターの移転・新築のほか、成分採血装置、移動採血車等の整備に55.7億円を支出しており、借入金等償還の3.3億円と合わせて総額で59億円となっています。これらの整備財源としましては、資本的収入は、補助金8.8億円と自己資金50.2億円で充当して整備してきたところです。平成27年度から施設整備の凍結をしており、今もまだ凍結をしている状況ですので、その中でこういう収支になっているというところです。
次に、12ページです。こちらは今申し上げた色々な改善活動を行ってきた結果で、収入の増加、費用の減少といった内容の項目です。後ほど御覧いただければ、有り難いと思います。
最後、13ページです。今後の方向性と課題です。事業改善の推進ですが、成分採血における血漿採取量の増量等の新たな原料血漿確保対策の導入を進めているところです。健全な財政の確立ですが、現在、収支改善のための施設整備を一時的に凍結していますが、長期ビジョンを作成して、必要となる施設整備を計画的に進めていくこととしております。献血者の安定的確保ですが、献血の予約率を向上させるためのシステムの導入を行い、若年層を中心とした献血者の確保対策を強化していくところです。血液製剤の安全性の向上ですが、医療ニーズに応える新規製剤の導入やE型肝炎ウイルス等の新たな検査項目の追加に関する検討を進めていきたいと考えています。
以上、平成29年度の取組につきまして、概要ですが御説明させていただきました。日本赤十字社では、今後も業務内容や体制の見直しを進めてまいりますとともに、事業改善の継続を図り、事業の持続と発展に努めてまいりたいと思っております。
それから、資料1-2です。こちらは項目ごとに事業計画や実績について記載しておりますので、後ほど御覧いただければと思います。説明は以上となります。ありがとうございます。
○半田部会長 ありがとうございました。大きく収支が改善したという内容です。委員の皆様、ただいまの御説明に関しまして御意見、御質問はいかがでしょうか。
○稲田委員 事業として順調に展開しているようには見えるのですが、二つ質問がありまして、まず1番のところです。3ページ「輸血用血液の需要動向」という所に増加要因と減少要因というように書いてありますが、我々も恐らくそうなのだろうと想像はするのですが、実際、何かハードデータのようなものはお持ちなのかというのが私の質問です。
○千葉副本部長 すみません、何データと今、おっしゃっていただいたでしょうか。
○稲田委員 3ページ「輸血の需要動向」の要因で、ここにバランス図が書いてあるのですが、内容としては、そうなのだろうなという想像は付くのですが、何かしっかりとした客観的なデータはお持ちなのでしょうかというのが質問です。
○千葉副本部長 ありがとうございます。ここに書いてありますのは、実績値で書かせていただいているのですが、この中に2017年度に需要推計というのを出させていただきました。各県の血液センターが、主要な医療機関の輸血用血液を御使用いただいている先生方にお伺いしているというところです。それが、客観的なデータといいますか、需要推計のデータとしては、もしお話するとしたらそちらの情報かなと思っています。
○稲田委員 我々は一生懸命に努力して使用指針を作ってきたわけで、やはり、この普及度というような点から言うと、決して高くはないというのが今までの調査です。こういった指針がある以上、やはりこれを推進するようなことを今後は考えるべきなのかなと思いました。
○半田部会長 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、日本赤十字社におかれましては、引き続き安定した血液事業の運営をよろしくお願いしたいと思います。
続きまして、議題2に入りたいと思います。「平成25年血液法改正の施行後5年を目途とした見直し(平成25年薬事法等の一部を改正する法律の附則の検討規定を踏まえて)」についてです。前回(6月)の血液事業部会で方向性については合意を頂いたということで、今回、それに更に追加検討事項があるということです。もう一つは、血液事業部会での検討結果は厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会へ報告するという、その報告の資料イメージを今回、そちらにありますように、皆さんに御検討いただきたいということです。
それでは、事務局から資料の説明をお願いいたします。
○山本(隆)血液対策課長補佐 血液法改正の資料について説明いたします。半田部会長からも御説明がありましたとおり、資料は大きく分けて二つあります。まず、追加検討事項の関する資料として、資料2-1、参考資料2-1-1、2-1-2というグループのもの、もう一つのグループですが、今後、制度部会に報告していく資料として、資料2-2と参考資料2-2です。
まず、追加検討事項の方から資料の説明をいたします。血液法の改正については、前回の改正時に5年後見直し規定が設けられたということがありますので、6月の部会までに三つのテーマについて御検討いただき、方向性については御了承いただいたというところです。血液法の改正は、この血液事業部会で検討いただいているところですが、同じように5年後の見直しというものを、薬機法(医薬品医療機器等法)ですが、厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会において検討が行われています。
この制度部会においては、最近の議論ですが、医薬品・医療機器等の適切な製造・流通・販売を確保する仕組みの充実として、医薬品等に関する許可業者のガバナンスを強化するための取組として、一つ目のものとして現場責任者の責務・要件の明確化。二つ目のものとして債務不履行時の行政措置の見直しに関する議論が行われています。
具体的には、その下二つ掲げております。一つ目として、現場責任者の責務・要件の明確化として、その責務や従事経験などの資格要件を法令上に規定することの要否が議論されています。
これについては、参考資料2-1-1のスライド3を御覧ください。薬機法では、現場の責任者として平成14年度から総括製造販売責任者、品質保証責任者、安全管理責任者というこの三つを三役と呼んでいるわけですが、この三役の設置が義務付けられています。
次のスライドを御覧ください。この三役制度により、体制の強化が行われたということがあったのですが、依然として、法令遵守に問題のある事例が散見されているということで、三役の機能が十分に果たされていないということです。例えば、副作用報告の報告遅延、また、承認書の齟齬といったような事例があったということです。ですので、三役留意事項通知というものを発出して三役の運用に関しての強化が行われております。
次のスライドですが、通知は出されたところですが、引き続き、三役の機能を強化するための対策を検討することが必要とれております。この辺を手当てするために、それぞれの責任の明確化や要件などをきっちりと法律上に入れていってはどうかということで、スライド6です。総括製造販売責任者の設置根拠は薬機法にあり、薬剤師となっているとのことです。その要件は、通知で示されています。一方、品質保証責任者や安全管理責任者の設置は省令で定められているとのことです。これらを法律に規定してはどうかという議論が行われています。
資料2-1にお戻りください。1ページの「2」です。もう一つが債務不履行時の行政措置の見直しとして、許可業者としての役員が果たすべき責務や、その責務を果たすことを促すための措置など、経済的利得の確保が目的と考えられる違法行為を抑止するための措置が議論されています。参考資料2-1-1のスライド8を御覧ください。薬機法における対応状況として、行政措置としては、各種命令や承認取消、過料などがあります。
次のスライド9を御覧ください。薬機法の違反事例で、最近のものを見ていくと、囲みの中ですが、違法状態にあることを役員が役員として認識しながら、その改善を怠り、漫然と違法行為を継続しているというものや、適切な業務運営体制や管理・監査体制が構築されていないといったようなことがあったということです。
次のスライドを御覧ください。これも薬機法の話になりますが、各許可業者は、現場における業務を管理する管理責任者を置くこととされています。この現場の責任者に法令の違反があった場合には、変更を命ずることができるということです。また、許可業者は法令等の違反があった場合には、業務改善命令や業務停止命令、更に許可取消しといった処分の対象となるのですが、役員としての責任を直接問う規定がないというところです。こういうことから、許可業者が薬機法を遵守して業務を運営するため、役員が果たすべき責務や、そのような責務を果たすことを促すための措置についてどう考えるかということが議論されているとのことです。
また資料2-1の2ページにお戻りください。血液事業の関係者では、輸血用血液製剤の製造業者であり製造販売業者である日本赤十字社、又は血漿分画製剤の製造業者・製造販売業者が、薬機法の下で事業をしているということです。
「III」からが提案ということになってきます。血液事業部会では、血液法上の採血事業者についてどう考えるのかを考える必要があると思います。血液法に基づく採血事業者についても、医薬品に関する許可業者と同様に、医薬品の安定供給という意味では、一番川上で、製剤の原料である血液を取っていただくということになっていきますので、重要な役割を担っているということがあります。
一方で、採血事業者は、複数の採血事業者という話もあるところですが、その数は限られている。採血事業というもの自体が非営利の事業であるということ。そして、薬機法は先ほども言いましたとおり、薬機法違反というものがあったわけですが、血液法というところで見ますと、その許可業者の違反事例、血液法の違反事例というものが少ないということで、ここは少し薬機法とは状況が違う、血液事業の特有の事情があるのではないかということを踏まえて、ガバナンスを強化するための措置について血液法の改正の要否というものを検討するべきではないかということです。
論点としては、二つの「○」で書いております。一つ目として、現行制度では採血者ごとに採血責任者を置かなければならないということが省令で規定されております。これも薬機法でいうところの三役と同じような位置付けで、現場の責任者として採血所ごとに採血責任者を置くということが省令で規定されております。一方で、これまで血液法の改正で御議論いただいてきている中で、採血業の許可、今は採血所単位の許可になっているところですが、この許可を事業者単位にするという話をしていただいてきたところです。そういうことであれば、採血所ごとの許可ということで一つ一つの許可ではなくなるということを踏まえれば、現場における業務を管理する現場の責任者については、今は省令で規定されている採血責任者という者を法律上に規定して、その責務を明確化する必要があるのではないかということです。
もう一つとしては、現行血液法における採血事業者に対する行政措置としては、改善命令、業務停止命令、報告命令、許可取消などがあります。一般的には、法令違反が多く、ここは何かしなければいけないから法律を変えるのだということで、そこに立法事実があるという形になってくるわけですが、血液法の場合はそういう違反事例というものがないという中で、新たな行政措置を追加する必要性はあるのかということについて御議論いただきたいと思っております。
一方、制度部会で薬機法改正の議論が行われておりますが、これもまだ始まったばかりで、実際にこの後どのような議論が行われているかということに関しては、まだ不明なところもあります。ついては、今、述べたような血液法としての論点はあるのですが、この制度部会の議論の進捗も踏まえて、こちらの血液事業部会、運営委員会においても、この後また議論を行っていきたいと思っているところです。
この薬機法の話ですが、現場責任者という者と、いわゆる役員という者の整理、関係の整備ということについては製造販売業者で御議論されているところですが、同じような形で、卸売業者や薬局開設者と管理薬剤師との関係、こういうところでも議論されているという形になってきております。まず一つ目の案件については、以上です。
続いてもう一つの方も御説明いたします。資料2-2です。こちらは先ほども半田部会長から御説明ありましたが、この血液事業部会で御議論いただきました血液法の改正の方向性を今後、制度部会に報告していくということになっておりますので、その報告する際の資料のイメージというものを用意しております。
参考資料2-2として、6月に当部会で御議論いただいた際の資料を用意しております。基本的には6月の際の議論で方向性については御了解を頂いたと思っておりますので、この内容を基本的にみんな取り組んでいったのが資料2-2ということです。
次のページ、「5年を目途とした検討」のテーマについてということで、五つのテーマを書いております。マル1、マル2、マル3については御了解を頂いたもので、マル4は先ほど説明したガバナンスの強化をするための措置です。マル5として、その他の検討事項として、こちらも6月の血液事業部会で御了解を頂いているものです。
次の2ページですが、まずテーマ マル1の関係です。科学技術の発展を踏まえた採血等の制限の見直しです。現行の血液法では、血液から血液製剤や再生医療等製品以外の製造というのを禁止されているということですが、一方で国家戦略特区法の特例により、「血液由来特定研究用具」の製造を認めているというところです。この血液由来特定研究用具と同じようなことをやっていきたいと言っている企業が今後増加してくるだろうということが想定されるということで、その献血血液から製造するものを限定列挙で書くわけではなくて、包括的に読めるようにしたい。例えば医療の実施及び保健衛生の向上のための採血に限り認めるというような改正をしていこうということで御了解を頂いたというものです。
次のページです。二つ目のテーマとして、複数の採血事業者を想定した採血の在り方です。こちらも現行の許可制度、採血業の許可制度については、今の法律では不許可となる可能性がある場合というものが列挙されているわけですが、積極的な許可要件がないというところで、この場でも御報告しておりますが、今年の1月の血液事業部会運営委員会において、EFPIA Japanから、新規に創設する非営利型法人による採血事業への参入可能性が表明されました。この新規参入者の予見性の確保のために、例えば、一番大事なのは献血者の安全性の確保がきちんと行われているかというようなことで、そういう点をしっかりと事前に見ていくということです。許可を要件化していこうということで、マル1~マル5の項目について許可要件として法律に盛り込んでいこうということを御了解いただいたというところです。
次のページは、テーマの三つ目として、採血制度に係る各種手続の合理化です。現行の制度では、都道府県単位での事業運営というものを想定した制度になっているわけですが、平成24年度からは日本赤十字社では、都道府県単位の事業運営から都道府県を超えたブロック単位での事業運営に変わってきたと、広域事業管理体制を行っているということで、法律と実際の運営というものに乖離が出てきています。こういう所を整理していこうということです。ただし、これについては現状、都道府県でも、色々な事務をやっていただいてもらっているということもありますので、ここはまだ整理中ですが、引き続き都道府県と採血事業者との関係というものを整理していく必要があるところです。これ以外に、採血業許可と、いわゆる採血事業者の受入計画の関係についても整理していく必要性があるというところです。
次のスライドですが、これは先ほど説明しましたが、ガバナンスを強化するための措置ということです。まだここはペンディングというような形になっておりますが、今後の状況を見ながら、血液法の改正の要否というものを検討すべきではないかという形で、今は先ほど説明した内容を借置きするような形で書いているというところです。
最後のスライドですが、その他の検討事項として、原料血漿の製造業者に安定供給義務を課すこととする。いわゆる新たに採血事業者が入ってくるということで、そこはしっかりと安定供給の義務というのは、いわゆる元売りの所にあるということで需給計画の対象として入れ込んでいこうというものです。
次も、複数の採血事業者を想定してということになってきておりますが、いわゆる採血して、その献血血液から感染事例などがあった場合の遡及調査などを行うようになった場合は、もう一つの採血事業者にも、そういう情報をきちんと流していかないと安全性が確保されないということで、情報提供の義務化というものを行っていく。また用語の整理と、その他の技術的な規定整備というものを行っていくということです。このような形で、今後、医薬品医療機器制度部会に報告していきたいと思っております。説明については以上です。
○半田部会長 ただいまの説明について、御意見を伺いたいと思います。最初に、追加検討事項ということです。まず、ガバナンスの強化に関して御意見を頂きたいと思います。委員の皆様方、いかがでしょうか。
○三村委員 私は先ほどの資料2のIIIの二つの項目についてですが、一番初めの項目については、基本的に、この前提条件、非営利事業で問題ないということを前提としながらも、採血業を事業者単位にすると。つまり組織として位置づけ、それを法律の対象にすることとしましたら、それについての責務を明確にする必要性はあると思っております。そのため、制度をもう少し明確化し、それを整理する意味で行っていただければいいのではないかと思います。
それから二つ目の項目ですが、もし非営利事業であるという前提とするならば、今のままで十分ではないかと、今以上に更にもう一つ、何か上に立て付けをする必要はないのではないかなと思っております。上の項目は賛成ですが、下の項目は今のままでも問題ないのではないかという意見です。以上です。
○半田部会長 ありがとうございます。採血事業者がそれに当てはまるかどうかという議論だと思いますが、他にいかがでしょうか。大変重い議題だと思いますが、ガバナンスの強化に対して、今後も当該制度部会の議論と並行して、この血液法に関しても、事務局で引き続き検討していくということですが、方向性としていかがでしょうか。他に御意見はありますでしょうか。
○薄井委員 お聞きしたいのですが、こういう血液事業者がどのぐらい今後参入するというブループリントのようなものを持っていらっしゃるのでしょうか。こういう事業者が増えれば増えるほどリスクも上がってくると思いますし、それに応じてガバナンスもきちんとしなくてはいけないと思うのですが、どのぐらいを考えていらっしゃるのでしょうか。
○山本(隆)血液対策課長補佐 血液対策課に話がきているのは、御存じのとおり1件だけということです。あとは現行の制度でも、血液製剤の需要を満たしている場合は許可を与えないことができるというような規定もあるようですので、飽和状態になるようなことが基本的には起こらないのだろうと思っております。
○薄井委員 ありがとうございます。
○半田部会長 他にいかがでしょうか。それでは当該方向性については、おおむね了承いただいたということですね。それでは続きまして、今月の末に開かれます薬機法の制度部会への報告資料イメージですが、資料2-2について御意見いかがでしょうか。
○花井委員 今の質問とも関連するのですが、このテーマ マル2の3ページ、2.情勢の変化のところに、EFPIA Japanから、新規に創設する非営利型の法人による採血事業への参入可能性が表明されたと、割と具体名を書いてあるのです。ここのメンバーはこれでいいのですが、日本赤十字社は、医薬品の製販業でもあり、現状、血漿製造をし、採血事業の三つを行っているわけです。原料血漿の製造については、例えば別に最終製品を売るわけではないので、製販業者に生物学的原料基準というものがあり、その統制が掛かっていて、最終製品には遡及調査をできなければいけないわけなので、製販業の方がそこはチェックしなければいけないなど、逆流する統治になっているという中で、具体的には製販業兼採血事業者になっているわけですよね。
ところが薬機法での議論で、この資料だけを出すと混乱するのではないかと思っています。少なくとも、このEFPIA Japanから新規に創設する非営利型の法人について、これは原料血漿の採血事業の参入可能性を表明したのであって、要するに輸血用血液を売る所がもう1個増えるのではないかという、そういうことではないと誤解をしないように資料を作成した方がいいと思います。
ですので、赤十字社は製販業の許可ももらっているというところで、日赤は現状でこういうことを行っているという説明がないと、どこを議論しているのか分からなくなる可能性があるのです。ここに書いてあることは、血液事業部会としては、これで分かるのですが、あちらに出す場合は、そこの製販業と採血業、それから血漿の製造というところが、それぞれ違う規制だということを、もう少し分かるように資料を作成した方が良いかと思います。以上です。
○半田部会長 ありがとうございます。血液事業の特性というのですか、オーバーラップしているということなので、この辺に関しては何か御意見は特にありませんか。
○山本(隆)血液対策課長補佐 御指摘のとおりかと思いますので、そのように工夫させていただきたいと思います。ありがとうございました。
○半田部会長 他にいかがでしょうか。当該制度部会への報告の資料イメージに関しまして、今、事務局案が出ておりますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、お認めいただいたということですね。追加検討事項に関しまして、事務局の方で引き続き、御意見を頂いた部分を踏まえまして、方向性を整理していただきたいと思います。
それから、制度部会への報告資料イメージに関しましては、今、花井委員が御指摘のあったところは、事務局の方で訂正いたしまして、制度部会の方へ御報告をよろしくお願いしたいと思います。よろしいでしょうか。
○山本(隆)血液対策課長補佐 ありがとうございます。
○半田部会長 ありがとうございました。では続きまして、議題3に入りたいと思います。議題3は、血液法に定める「血液製剤の安全性の向上及び安定供給の確保を図るための基本的な方針」の5年ごとの再検討についてです。委員の皆様から今年6月の本部会において、当該基本方針改正案について御議論いただいたところですが、その後、パブリックコメントの募集を行いまして、意見が提出されました。これを参考に、本日改めて、この場で部会としての意見をまとめたいと思います。そこで、事務局案になりますが、本日これを議論していただきまして、この後、親委員会である薬事分科会へお諮りしたいと思います。それでは事務局から説明をよろしくお願いします。
○山本(隆)血液対策課長補佐 資料3を御覧ください。基本方針の改正です。こちらも半田部会長から御説明いただきましたとおりで、6月までにこの部会において御議論いただいて、その際は部会としての案というものをまとめていただきました。修正意見がございましたが、修正意見については部会長一任ということで修正させていただきました。それを先生方にもフィードバックさせていただいたところです。
そのフィードバックさせていただいたベースのものをもって、パブリックコメントの募集を行わせていただいたというところです。これで頂いた意見、また同時並行で行っていた各省協議に対する意見というものがございます。これらの意見を踏まえて新たに修正した所がございますので、その修正したものを最終版という形で、この部会に諮らせていただきます。手続として、本日の部会で御議論いただいた内容を、今度は薬事分科会に諮っていくということになります。
まず資料ですが、1ページは諮問書です。3ページ以降は、改正後の基本方針案を全て溶け込ませた形になっております。
まずは、パブリックコメントの結果の説明をさせていただきます。21ページを御覧ください。今年の6月29日から7月30日までパブリックコメントを行い、20件の御意見を頂いたところです。このパブリックコメントで頂いた意見に対する回答案という形にさせていただいております。
22ページを御覧ください。一番左端に番号が、「1」~「20」まで通し番号をふっています。このうち、1~28ページの11までと、31ページの16は、いずれも同じ方からの御意見です。医療現場のニーズというものです。医療の現場では、クリオプレシピテートのニーズがあるということと、欧米では、このクリオというものが供給されているので、我国においてもクリオを供給してもらいたいという内容のものです。この意見を、基本方針案の各項目に、色々な形で入れ込んできているもので、基本的に皆同じ内容です。最終的には、クリオを供給してもらいたいということで、そのために国や採血事業者、製造販売業者は、きちんと医療機関のニーズを吸い上げてもらいたい、そしてクリオを供給してもらいたいという内容です。
このように、医療の現場にない医薬品の供給を求めるという場合には、これは6月の部会でも御説明させていただきましたが、既存の仕組みとして、未承認薬検討会議というものがあります。学会等からの要望を踏まえて、未承認薬会議で検討し、それを開発につなげていくというスキームがありますので、そちらのスキームに基本的に乗せていっていただく話になるため、この御意見を踏まえた基本方針の修正は必要ないと思っております。
次に29ページを御覧ください。12番の項目です。この血液事業部会でも御検討いただいた、いわゆる国内自給モデルの関係です。現場で使われていない未使用の中間原料をもっと有効活用して、国内自給を高めていこうという記載です。これを書き込むことについては、この部会でも御了解いただいたところですが、我々が示した文章が分かりにくいので、もう少し分かりやすい記載にしてほしいという御意見です。これにつきましては、修正案を示させていただきます。
次に、13番です。「血液製剤の製造及び供給に関する事項」という項目の中の「供給危機が発生した場合の対応」に関して、特に災害を想定した場合の御意見を頂いています。都道府県の役割は必要なので記載するべきというものです。厚生労働省の防災計画を踏まえるような形で、国、都道府県、製造販売業者は何をやるのかという形で再度整理させていただきました。
30ページを御覧ください。14番。ここも「血液製剤の製造及び供給に関する事項」の「供給危機が発生した場合の対応」に関する意見です。災害等の場合の話の部分ではなくて、いわゆるシングルサプライの解消の話で、1社しか造っていないものについては複数のメーカーから上市していただきたいという話です。複数のメーカーに供給を求めるということであれば、例えば承認関係の手続、臨床試験のところですが、日本人での臨床試験の簡略化とか、15番では国家検定の簡略化を求めるという御意見です。これらについては、業界側が問題意識を持っているという点については、我々も理解しておりまして、そこについては引き続き情報交換等を行って現状把握に努めていくということとして、基本方針については原案どおりとさせていただきたいと思っています。31ページの16番については、最初に話をしたクリオの件なので飛ばします。
32ページを御覧ください。17番の項目です。基本方針の第八「その他献血及び血液製剤に関する重要事項」のうち、血液製剤代替医薬品に関する記載への意見です。血液製剤代替医薬品においても、患者への説明や記録の保管を必要に応じて特生と同様に行うと書いているところ、その文言を削除することはできないのかということです。患者への説明については、特生には求めているところですが、生物由来製品には求めていません。記録の保存については、生物由来製品については10年、特生については20年ということで、特生と同様に行うということでコストが生じるということだと思います。ここについては、今後、検討していく必要性があるというところで、現状では直ちに削除することはできないので、原案どおりにさせていただくという形にしています。
次に18番の項目です。同じく第八の所で、「血液製剤等の薬価等」の項目について、今後の「流通の在り方」と並行して「血液法の関連製剤の在り方」についても、一定の方向性を示すべきという御意見を頂いています。血液製剤の薬価等、流通の在り方ということに関しては、本年の2月に血漿分画製剤の取引の適正化という私どもの局長通知で関係者に協力を求めています。「流通の在り方と並行して」という言い方をしていますので、これに関連してということだと思うのですが、具体的にどういう議論を行うのかというのがよく分からないということもあるので、ここも原案どおりとさせていただきまして、業界が持っている問題意識に関しては情報交換等で現状把握に努めていくという整理をさせていただいています。
次に33ページを御覧ください。19番の項目で、コンプライアンスの強化についての御意見です。御意見は、日本赤十字社で行っている採血の際の手続のことと思います。献血に来られた方が献血を行う際に研究利用への拒否の機会を補償するよう求めていますが、日本赤十字社ではそのようなことをしていないという御意見です。また、「研究利用に同意する」という回答を行わなければ献血ができないということになっているということですが、そのような事実はないと思っていますので、ここについては原案どおりにさせていただきます。
35ページを御覧ください。20番目の項目です。複数の採血事業者を想定した血液事業の在り方ということに関して、個人情報の保護をしっかりしていただきたいという御意見で、そこについては慎重に検討してまいりますという回答を作っています。
このように、頂いた御意見のうち二つについては、採用させていただきまして、修正したいと思っています。
資料の64ページを御覧ください。基本方針の新旧対照表です。上段が改正案、下段が現行のものとしております。64ページの枠の外にハイライトを掛けて書いていますが、ハイライトの部分というのは、この6月の部会で頂いた意見を踏まえて修正した後に、今回新たに修正を加えた部分です。パブリックコメントや、先ほども言いました各省協議を踏まえて修正した所にハイライトを掛けています。これは縦書きの資料ですので、64ページから遡っていく形で綴っています。
ポイントのみ御説明いたします。55ページをお開きください。パブリックコメントの御意見で、「国内需給モデルの所の記載が分かりにくい」という所の整理をし直しました。上段の真ん中の辺りにハイライトを掛けている部分があります。このような形で記載を整理しました。
49ページを御覧ください。上段の「二 原量血漿の配分」の書き出しにハイライトを掛けています。ハイライトを掛ける前は、「原量血漿の配分に当たっては、国を中心に情報交換を密にする」というような記載をしていたところです。ここについては、仮にメーカーだけで需給に係る情報交換を密にしてしまうと、カルテルを誘発するおそれがあるという御指摘を公正取引委員会から頂いたので、それを踏まえて、「国が個別に意見を聞いていく」という形に修正しています。
48ページを御覧ください。「三 供給危機が発生した場合の対応」です。先ほども言いましたが、都道府県の役割を書き込みました。当初案では、輸血用血液製剤と血漿分画製剤という分け方をしていたところで、国は何をするのか、都道府県は何をするのか、製造販売業者は何をするのかと整理し直しました。災害があっても、血液法にある安定供給は確保していかなければいけないというところですが、厚生労働省の防災基本計画に基づき、そこに掲げている内容を入れ込んでいるという形で修正させていただきました。
主な修正点は以上です。このような形で、この修正案を御了承いただければ、今後、親会議である薬事分科会で御審議をしていただこうと思っております。以上です。
○半田部会長 6月の前回の部会でお認めいただいた基本方針の改正案にパブリックコメントからの意見を踏まえて修正し、分科会へお諮りする最終案ということで、これを議決させていただきたいと思います。それでは、委員の皆様方から、御質問、御意見等をお願いいたします。
○松下委員 二つあります。一つはクリオプリシピレートの件で、幾つか問合せがあった部分に対して、同じような御回答ということで、製造販売業者へ開発業者を通じて開発を推進する仕組みがあると。確かにそうなのですが、実際にはこれは開発しなさいという命令ではなくて、開発する意思があるかどうかという問合せが該当する企業にいき、開発する意思がある場合は開発が進むのですが、色々な事情で開発することができない場合には、「開発できません」という回答になってしまうのであれば、一部の患者の利益を損なうことになるので、ここは例えば、もし開発の要請があり、それが医学的に非常に高い意義があると認められるのであれば、できるだけ前向きに対応するようにしてほしいなど、そういったニュアンスが伝わるようになるといいのではないかと思いました。まず、この点に関してはいかがでしょうか。
○半田部会長 松下委員の御質問ですが、いかがでしょうか。
○山本(匠)血液対策課長補佐 26ページの8に対する意見にあるように、今、委員から指摘があったとおり、欧米等で使用が認められているが国内では承認されていない血液製剤の適応については、学会等からの要望を受けて製造販売業者への開発を通じて開発を推進する既存の仕組みがあります。委員の意見に関しては所管課には伝えていくようにしたいと思います。
○半田部会長 松下委員、今のお答えでよろしいですか。
○松下委員 ひとまず、そちらで結構です。
○花井委員 今の件ですが、例の医療上必要性の高い未承認薬・適応外薬検討委員会で、開発要請するというスキームになっています。この場合は、それに当たると思うのです。最初からどこも開発したい所はないので、検討委員会で開発要請をするのですが、開発要請をしてもなかなか手が挙がらない場合もあるのです。現状として、開発要請したところは何とか見付かっているのでしょうか、それとも結構厳しかったのでしょうか。
○審議官 今の花井委員の御質問ですが、正確に何%という数字までは今は持ち合わせていないのですが、一つは、開発を海外の販売している企業の系列子会社が日本にあるなど、権利を明らかに持っているであろう会社が特定できる場合は、まずそこに要請することがよく行われています。こうした要請を行い、対応してくれる所もあるように思っています。
そして、該当する企業がなかなか見付からない場合、まず公募を掛けます。ボランタリーに開発しようという企業を募集しています。そして、そうした未承認薬の開発を手掛けている企業にとっては、一方で、これは医療保険上の扱いとして、薬価の算定に関する新薬開発促進の取扱いを受けられる要件の一つになっているということでもあるので、一定のインセンティブはそちらでも用意されています。
こういったことも組み合わせて運用していく中で、かなりのものは手掛けて行うという企業が現れてくるようになってきていると思います。
実際に医療側のニーズが、ある程度のボリュームがあるものであれば、企業が手掛けて行っても一定の目算が立つものについては、大体、引受け先が見付かっており、今までそのようにやってきていると思います。
当初、未承認薬・適応外薬検討会議で、そのスキームで色々な学会や団体から開発の要請があった案件は数百件あります。そのかなりの割合に承認が与えられたか、あるいは様々な代替製品が出てきたことによって、そちらでカバーされたということで、大分進んできているというのは、これまでの経過では言えると思います。
ただ、クリオのケースがそれに当たるかどうかに関しては、これは本当に医療現場における、こうした製品をどのような局面のどのような患者に、どのように使用することが必要とされているかという点に掛かる話ですので、これは関係の先生方の御意見は承らせていただいて、本当に現実に安定的に供給ができるかどうか、なかなか難しいところもあるようには伺っていますが、こういう現場からの声をしっかり受け止め、できる限り可能性を追及していくことが大事だということを今日のこの部会における御意見として承って、我々も真摯に受け止めたいと考えているところです。
○半田部会長 花井委員、よろしいでしょうか。
○花井委員 はい。
○半田部会長 ほかにはいかがでしょうか。
○松下委員 項番17の代替製品の件ですが、血液製剤の代替医薬品について、具体的に何を指しているのかというのはここには書いていないのですが、もし血友病の治療ことであるとすると、思い浮かぶ製剤はあるわけですが、こういったものが今後色々なタイプのものが出てきた際に、どこかで整理をしないといけないのではないかと思いながら、これを見ていました。特生として扱うということなのですが、これは製造される側の意見なのかもしれませんが、特生として扱うべき医学的・生物学的根拠は製剤によっては異なりますので、この案を見ても、その辺は曖昧になっているところなのですが、その辺の交通整理が次の見直しでいいのかもしれませんが、必要になってくるという気がしました。
○半田部会長 今の点は、事務局からは特によろしいですか。そうですね。12ページにも書いてあるように、情報収集です。現状の把握をして、情報収集に努めて、当然何らかの形で改定をしてもいいのではないかということですね。
ほかにはいかがでしょうか。これは分科会にそのまま最終案として提出するということですが、ほかには特段よろしいでしょうか。それでは、当該の改正案についてお認めいただけますでしょうか。ありがとうございました。それでは、この基本方針案を9月27日の薬事分科会に事業部会案としてお諮りをよろしくお願いします。
続いて議題4に入ります。平成30年度安全技術調査会の審議結果について、事務局から説明をお願いいたします。
○山本(匠)血液対策課長補佐 資料4-1「輸血用血液製剤のE型肝炎の安全対策について」、説明させていただきます。こちらの資料は、日本赤十字社より、安全技術調査会に提出された資料となります。
1の「はじめに」です。この資料においては、現行、試行的にHEV NATを使用している北海道で製造した血液を、臓器移植患者などに限定して全国に供給すること。また、若しくは4価NAT試薬(B型肝炎・C型肝炎・HIVにHEVを加えた4価のNAT試薬)を開発して、これにより全数検査を実施すること。このどちらがいいのかということについて検討を進めてきております。その検討結果について報告した資料となります。
2「課題」です。3ページの「別表」を御覧ください。こちらが検査方法、NAT、課題等について整理した表となっています。検査方法は、一番上の全数検査という部分ですが、全数検査であれば、検査場所、検査機器、設置場所については、追加不要、拡張不要、準備期間は2年程度、検討課題としてはNAT試薬の開発と評価、システム改修というところとなっています。選択的なものと比べると、検査の機器や試薬の保管設備の造設は不要という報告を受けております。
1ページの二つ目の○ですが、HEVのスクリーニングを導入することとして、現行のB型肝炎、C型肝炎、HIVとは別にE型肝炎のNATを行う場合は、試薬代の増額分が年間40億円程度と見込まれており、4価NATの全数検査であれば以前より少ないだろうということが検討されております。
また、このスクリーニング検査を導入するとして、検査が導入されるまでの間について、3番の「検討結果」に書かれております。献血者に対してHEVの経口感染リスクの注意喚起により自主的な献血の辞退を促すという対策を導入することと、問診の徹底を行ったという報告はされております。
最終的に、4価NATの導入は適切だと結論付けられておりまして、安全技術調査会においては、日本赤十字社にHEVの安全対策の検討を更に行うようにという意見が出されております。資料4-1は以上となります。
続いて資料4-2の説明をいたします。資料4-1にあるように、輸血用血液製剤のE型肝炎の安全対策については、現在検討されているところです。この検討事項を議論する中で、安全技術調査会において同様に献血血液を使う血漿分画製剤の安全対策について、企業から聴取すべきという意見がありましたので、企業に対して高濃度のE型肝炎のウイルスが原料血漿に混入した場合を想定して、各社の各製剤のウイルスのクリアランス試験、モデルウイルスの適切性などを踏まえて、安全対策に関する資料を作成していただき、血漿分画製剤に対するE型肝炎の安全対策について議論をされました。こちらは、非公開で行っていますので、資料4-2にあるように、議事要旨という形でまとめております。
2ページの○の所を御覧ください。まず、モデルウイルスについてですが、各社、様々なウイルスを用いて各工程を評価しておりますが。このウイルスクリアランス試験に用いることができるE型肝炎というのは、培養が技術的に困難であるということから、現状で各社が使用しているウイルスは、ウイルスの大きさやエンベロープの有無、また耐熱性を考慮して、モデルウイルスを選択しております。その選択においては妥当であるという意見が出されております。
次の○を御覧ください。クリアランス試験について、E型肝炎の大きさより小さな孔径のフィルターであれば、かなり除去工程として信頼できるという意見がありました。各社の資料において、このクリアランス試験の結果というのは、最終的な安全性を示すためにはワーストケースという形で値が示されています。その値以上のクリアランスがある可能性というのは指摘されております。
血漿分画製剤の製造工程を考えると、1ロットから複数の血漿分画製剤の製品自体が製造されます。そのことも踏まえて、各最終製品1本当たりにE型肝炎が感染するほどの閾値の量のものが製品に入るという可能性はないということと、血漿分画製剤からのE型肝炎への感染事例がないということも、議論において確認されております。
資料の3ページの一番下の○の「血漿分画製剤のE型肝炎ウイルスの安全性について」に、このような記載をしており、現行の知見においては、血漿分画製剤でのE型肝炎に対する安全性は確保されているという見解が示されております。また、今後もE型肝炎に関する知見の収集は各企業において望まれるという意見が委員から出されております。資料4-2については以上です。
続いて、資料4-3について説明いたします。こちらは日本赤十字社より、血小板製剤に対する感染性因子低減化技術の導入に関する検討についての報告となります。1「はじめに」ですが、昨年は血小板の細菌感染事例が3件あったこと、また昨今の臨床試験の論文が出ましたので、その結果をまとめて報告するというものです。
2「低減化技術導入の目的」ですが、現行は、1にあるように血小板製剤に対しては問診、穿刺部位の選択、消毒の徹底、初流血除去、白血球除去、外観確認等の安全対策を行って細菌汚染を防ぐ努力はされております。それの現状においても、血小板製剤というのは室温で保存するという特徴がありますので、冷所保存の製剤に比べて細菌が増殖しやすいというところを踏まえて、この技術の導入に関しては、細菌への対策として検討するということが報告されております。
次のページです。3「低減化技術導入により予想される影響」です。この技術によるメリット、デメリットというものがまとめられております。この技術で、感染性のリスクは減少するものの、補正血小板数が低下して輸血量や出血の頻度が高まるという可能性があると、論文も含めて報告されております。
4「低減化技術導入の検討にかかる状況の変化」についてです。本技術には、ミラソル、インターセプトというものが検討されており、インターセプトに関して技術面での進展があったということが記載のとおり報告されております。以上の報告から、安全技術調査会の委員よりは、この技術は血小板のロスが起こり得るので、その安定供給については留意すること。またコストが製品薬価に上乗せされれば国民に対する負担にもなるということを留意するべきという意見が出されております。日本赤十字社へは、更なる情報収集を継続するようにという意見が出されております。以上です。
○半田部会長 7月の安全技術調査会での議論ということで、資料4-1、資料4-2、資料4-3について説明いただきました。委員の方々から御意見あるいは御質問はいかがでしょうか。
○山口委員 資料4-1も関係するのですが、資料4-2のE型肝炎の安全性にということでヒアリングの形で議論を行ったわけですが、もともと書かれているように、非常に高濃度のE型肝炎が入る可能性もあるということで、評価し直したわけです。この時に、ウイルスクリアランスのことが議論になったわけです。このウイルスクリアランスについては、血漿分画製剤のウイルス安全性に関するガイドラインの所にウイルスクリアランスのことが書かれてはいるのですが、その適応がBとCとIだけに適応になっていて、それ以外のウイルスは適応になっていないのです。そうした意味では、この報告そのものはいいのですが、その議論の基礎となっている20年前に作られたガイドラインの見直しがされていないので、その辺は見直しをしていただければと思っております。
○半田部会長 コメントを一つ頂きました。ほかにいかがでしょうか。
○室井委員 資料4-3の低減化技術に関してです。これは血小板の細菌混入を一番予防できる対策だと書いてあるのですが、恐らく、将来は置換血小板に変わってくると聞いています。置換血小板に対するこの技術の導入と、現行の血小板のものと何か差があるのでしょうか。これはお答えしていただきたいのですが。
○半田部会長 日本赤十字社の方はいかがでしょうか。
○佐竹経営会議委員 PAS置換の血小板と、現行の血小板のクオリティの違いですね。
○室井委員 低減化の効果といいますか、それは両方合わせても変わらないのでしょうか。例えば、置換血小板の方が低減化技術を導入しやすいということがあるのでしょうか。
○佐竹経営会議委員 低減化した場合ですね。
○室井委員 はい。
○佐竹経営会議委員 これはフランスから出たデータですと、低減化した場合はPAS置換をしたものに低減化した血小板製剤と、PAS置換しただけの製剤の間には、有意差はなかったけれども、100%血漿のコンベンショナルな血小板製剤と、PAS置換して低減化したものとの間には差が出たというペーパーが出ています。
○室井委員 置換血小板の方が効率性が高いといいますか、有効性が高くなると考えてよろしいのでしょうか。
○佐竹経営会議委員 血小板製剤としては、そうです。
○半田部会長 ほかにいかがでしょうか。何か御意見等はありますか。よろしいでしょうか。ありがとうございました。それでは、引き続いて血液製剤の安全の向上ということで、今の御意見等も勘案していただきまして、安全技術調査会で継続して検討をよろしくお願いいたします。
それでは議題5に移りたいと思います。「平成30年度献血推進調査会の審議結果について」です。事務局より資料の説明をお願いいたします。
○山本(隆)血液対策課長補佐 7月26日に開催した献血推進調査会の報告をいたします。資料が多く申し訳ありません。献血推進調査会では、三つの議題について議論を行いました。一つ目の議題に関係するものとして、資料5-1、資料5-2、資料5-3、参考資料として参考資料5-1、参考資料5-2、参考資料5-3です。献血推進に関して、平成29年度の献血の実績を踏まえて、平成31年度の献血推進計画にどのようなことを書いていくか、方向性をどうしていくかという御議論を頂いたものが一つです。
資料5-1を御覧ください。表紙をめくって、目次があります。これは日本赤十字社の取組を中心にまとめた資料です。スライド3ですが、製造実績、供給実績という記載があります。これは今日の議題1で日本赤十字社から御説明いただいたので、割愛します。
スライド4、赤血球製剤の在庫推移です。グラフの真ん中の辺りに適正在庫と書いています。これは赤血球製剤を例として記載してありますが、過去1年間の平日の1日の平均需要量の3日分を、日本赤十字社が「適正在庫量と設定しております。この適正在庫を割れれば供給の不安が見えてくるわけです。グラフの波線は実際の在庫量です。設定している適正在庫量以上の在庫は、常時確保しており、年間を通じた安定供給を確実に行っているということです。
スライド5は、献血者を確保するための平成29年度の日本赤十字社の取組です。色々記載してありますが、特に「(3)若年層に対する働きかけ」を見ていただきたいと思います。「マル1 年代別献血目標人数の設定」は、平成29年度から新たな取組として行ったもので、日本赤十字社、各血液センター、そして我々又は都道府県との間で、10代、20代、30代の年代別の献血人数の目標の設定をし、週単位でこの進捗管理を行ってきました。「マル2」は、学校での献血機会を拡大し、若年層献血者を確保するため、日本赤十字社が献血バスの配車体制を見直したものです。平成28年度と比べて、平成29年度は高校向けの配車台数として65台増加させ、大学、専門学校向けに194台の増加を行い、若い人たちに献血の機会を与えるという取組を行ってきたところです。
スライド6、「(4)その他の普及啓発」として『LOVE in Actionプロジェクト』を日本赤十字社が実施しました。平成29年度からはLINEも開設して、献血の普及啓発のための様々な情報の発信等をしてきたということです。また、小林麻耶さんによる献血セミナー「いのちの授業」を、YouTubeなどで動画配信も行ってきたところです。御存じのように、小林麻央さんが白血病でお亡くなりましたが、輸血によって元気を取り戻すということがあったという実態などを御紹介いただきました。また、LOVE in Actionアンバサダーとして、従前は羽生結弦選手を起用していたのですが、今回からは女優の広瀬すずさんを起用して、CMとか動画で配信しているところです。その他、受血者から献血者へのメッセージカードとして、「ありがとう献血」というメッセージを献血者に配布して理解を促進し、若者に人気のアニメやスマホのゲームとのコラボを行ってきたところです。
スライド7は、日本赤十字社の広報資材の事例紹介です。
スライド8、献血の実績です。473万人に御協力いただいたというのは、議題1で日本赤十字社から御説明いただいた内容です。
スライド9、年代別の献血者数を見てみるとどうかということで、グラフを10代と20代以上に分けてあります。10代では、19歳の所は多少違うかもしれませんが、各年齢で前年度の献血者数を上回りました。
スライド10、献血の実績です。延べ献血者数の推移を年代別に示しています。一番上の太い波線が50代、その他、下に順番に40代、30代、20代、10代という形になっております。20代から50代のトレンドというのはここ最近変わらないところですが、10代については幅の関係で平成28年度と平成29年度を比較して増えていないように見えますが、献血者数を増やすことができたところです。
スライド11は、29年度の年齢別献血率です。献血率は、献血可能人口に対して実際に献血していただいた方の割合です。これを見ると、18歳、19歳の辺りで、一度、献血率のピークがくるところです。多くの方が18歳、19歳で献血に協力いただくのですが、その後35歳ぐらいにかけて、献血率が落ちてくる、継続的に献血に御協力いただいていない形になっているものです。35歳以上は、また献血率が上がってきます。これは平成29年度の実績ですが、過去の推移、トレンドを見ても、基本的にこのパターンは変わらないということです。
スライド12は、初回の献血者数の年代別の推移です。太線が10代で、全体的に減少傾向ですが、29年度は初回献血者数も増えました。初回献血者数を男女別、年代別に、28年度と29年度を比較したものがスライド13です。10代は、男性も女性も、初回の献血者数を前年と比べて増やすことができました。
スライド14は、10代の献血者確保状況を都道府県別に示したものです。これがスライド5で説明した平成29年度からの新たな取組です。スライド14が10代、スライド15は20代、スライド16は30代で、それぞれ都道府県ごとに献血者数の目標値を設定し、その達成状況を示したものです。マル1計画数が目標値です。マル2がそれに対して実績ということ。マル3が前年度(平成28年度)の実績ということです。マル4が目標に対しての達成率。マル5が前年度との比較ということです。10代は、目標達成率こそ99.6%と若干目標に届きませんでしたが、前年度比では101.8%と、人数で4,565人前年度を上回る献血者を確保することができました。一方で、これは単純に献血者数の目標を設定しているところで、献血率、つまり献血可能人口に対して、どのぐらいの方が献血に御協力いただいているかというところは、この時は取り入れていないところです。
例えば三重県を見てください。三重県は目標が1,952人に対して2,005人の献血者を集めたところです。前年度比で121.8%。記載はないですが、三重県の10代の献血率は2.7%です。献血率が低いという中で、少しでも頑張れば前年度、達成することができるという形になります。一方、東京都は、対前年度という所で見れば前年度に届かなかったところですが、ここはもともと献血率が6.2%と高い数字になっている。要は、もともと多くの方に献血に協力をもらっているところです。三重県の場合は前年度を増やすことができているのですが、その努力具合と東京都の努力具合は単純には比較できないだろうと思っておりますので、今後こういう目標を設定する際には、その辺の献血率も踏まえて目標を設定していきたいと思っております。
20代、30代ですが、残念ながら前年度の献血者数は満たしていないところです。今回は初回でもあり、10代という所に特に注力して対応したということだと思いますので、今年度については20代、30代もしっかりと見ていきたいところです。
スライド17はまとめとして、平成29年度の総括です。まずは、輸血用血液製剤は、滞りなく安定的な供給が行えた。原料血漿についても、おおむね計画どおり確保して、計画どおり配分することができた。10代の献血者数については、前年度と比較して献血者数、又は初回の献血者も増やすことができた。献血推進は、10代については初回の献血を推進して、献血への理解を促す策を講じることで、2回目以降の献血につながるような取組をしていきたいということ。複数回献血率の高い40代以降の方についても、協力を維持しつつ、献血者の満足度向上のための複数回献血に誘導することによる底上げを図っていきたいということで、献血推進・予約システムを新たに入れていきたい。献血セミナーなど、引き続き行政と連携しながら、積極的な展開を図っていく。日本赤十字社から、このような御報告を頂きました。
資料5-2は、厚生労働省としての取組です。基本的には献血思想の教育、普及啓発を限られた予算の中で、できることを実施していっています。多くは例年と同様ですが、マル1中学校向けのポスターの配布、マル2高校生及び教員向けの教育資材の作成・配布です。マル3今まで中学校、高校向けの教育資材を作ってきたのですが、大学等にも啓発・普及ポスターを作成して配布していくための予算を確保することができたという内容を記載しております。
マル4として、引き続き文科省と協力をしながら、高校などでの献血に触れるための機会を入れるための取組の協力の要請をしているところです。マル5としては、新たに若年層向けの献血啓発映像資材の動画を作成するための予算を今回、確保することができたという内容です。その他、「愛の献血助け合い運動」の実施、又はそれに合わせた全国大会の開催をしているところです。今年度は、7月12日に岡山県で開催する予定だったのですが、西日本豪雨の影響でやむを得ず中止したところです。2.若年層の献血者数の増加に向けた取組は、先ほど言ったとおり、都道府県別に年代別の目標設定をして、その進捗状況を追いかけていったものです。
参考として書いている表を御覧ください。総献血者に占める各年代の割合がどのようになってきているかという推移を追っているところです。昭和60年度は、各年代を見ると20代の方に、一番協力いただいていて、30.3%だったところです。このトレンドは平成10年ぐらいまでずっと20代の方が多かったわけですが、その後、徐々に徐々に右側にシフトして、30歳代、40歳代、50歳代・60歳代の方の年代が現実に一番協力いただいているという形で、シフトしてきているのが見えております。将来的に献血を安定的にやっていくためには、偏った形ではなく、これを均していく取組が必要だろうと思っているものです。
こういう平成29年度の日本赤十字社の取組、厚生労働省の取組、その結果10代の献血者数を増やすことができたということで、今後、平成31年度の献血推進計画をどのようにしていくかを、資料5-3として御意見を伺いました。これについては、特に2.平成31年度献血推進計画策定にあたっての方向性(案)として書いているところです。資料5-1のスライド11で、18歳、19歳で一度献血率が上がって、その後35歳に向けて下がってくるというのがあるということで、まず献血率を見ると、10代の献血率は引き続き維持していくための取組、そのための啓発・普及が必要ではないのか。その後、献血率が落ちてくるので、落ちないようにするための取組が必要ではないのか。そういうことを踏まえて、どういうことをやっていくのかを、平成31年度の献血推進計画の中で考えていきたいということを説明したところです。参考資料の説明は省略します。
次は、資料5-4と、参考資料5-4から参考資料5-7までのものを説明します。資料5-4ごご覧ください。厚生労働省で定めている献血者の健康被害補償ガイドラインの見直しです。ガイドラインで定めている死亡給付額の改定を献血推進調査会にお諮りし、御議論いただきました。献血に協力いただいた方に健康被害があった場合には、採血事業者は速やかに補償するということで、厚生労働省でガイドラインを定めて、それを採血事業者にお示しし、採血事業者がこれに基づき補償をしているところです。1ページの一番下の「○」から2ページかけて書いていますが、3月にガイドラインの改定を行い、医療手当や葬祭料の改定を行ったことは、この部会にも報告したところです。その際に、死亡給付額880万円という金額だったわけですが、それを引き上げることを検討しますという話をしました。これを実施するために、7月26日に献血推進調査会にお諮りしたものです。
「2」の概要をご覧ください。死亡給付の目的としては、献血者が安心して献血に参加できる環境を整えるようにする。これは、現行のものと変わらないところです。死亡給付の対象者ですが、採血事業者の無過失又は過失が明らかでない場合の健康被害を受けた者を対象とするし、これも現行とは変えないところです。
死亡給付額は、現行880万円を一律に一時金という形で給付しているところですが、見直し案としては、「3」の(3)です。他の制度の遺族年金の額を「参考」にしました。3ページの下に「参考」として他の制度を書いております。これらを参考にして、生活保障的な要素を加味した給付額の見直しをしてはどうかという考えです。もともとの制度の設計では、医薬品副作用被害救済制度を基にやっていくという提言を頂いて、それを基に作ったわけですが、医薬品副作用被害救済制度の遺族年金の年額は240万円となっております。医薬品副作用制度は期間を10年間として年額×10年で2,400万円をお支払いするという仕組みですが、これを基準に考えるというところで、仮に献血者に養育している子がいると想定して、その養育をしている子が成年年齢に達するまでの期間ということを考えると、最長でも20年ぐらいだろうというところで、年額240万円を10年間ではなく20年間を乗じた数字としてはどうだろうかということで、4,800万円としたいという案を提示しました。給付の形態としては一時金としてお支払いするということです。
これについて、献血推進調査会の方でお諮りいただいて、御了承いただきました。
参考資料5-7をご覧ください。表面に日本赤十字社に対する給付金の平成29年度の請求状況を記載しております。医療費・医療手当の請求をされた方が483名、障害給付を請求された方は1名、死亡給付0、葬祭料0ということです。
裏面ですが、参考として、この制度ができた平成18年度以降の死亡給付の請求状況を書いております。平成24年度に1件あったところです。このガイドラインの見直しについては以上です。
最後に、資料5-5をご覧ください。論文です。平成25年度から平成26年度にかけて、厚生労働省科学研究で、「200mL献血由来の赤血球濃厚液の安全性と有効性の評価及び初回献血を含む学校献血の推進等に関する研究」、これは室井委員に研究代表者としてやっていただいた研究です。この研究分担者として、浜松医大の竹下先生に取り組んでいただいた、「高校生献血の契機に関する意識調査」の論文です。これについては、過去にスライドで御発表いただいたものを今般、論文としたということで御紹介いただいたものですので、説明は省略します。献血推進調査会の報告については以上です。
○半田部会長 ただいまの説明に対して、委員の方々から御意見、あるいは御質問はいかがでしょうか。
○濵口委員 10代の献血者が増えたことは非常に喜ばしいと思います。日本赤十字社の取組が功を奏していると感じました。特に初回献血者が増えたということなのですが、どういったところで増えているのか、もう少し情報としてあれば、どういう取組が非常に功を奏したのかが分かりやすいかなと思うのですが、そうした情報はお持ちでしょうか。
○半田部会長 いかがでしょうか。
○山本(隆)血液対策課長補佐 資料としては、資料5-1のスライドの5、(3)若年層に対する働きがけです。都道府県毎に、年代別の献血者数の目標を設定して、日赤と行政で、進捗管理を行い、もう少し頑張ってやっていこうということを、みんなで共通認識を持ってやっていったということもあると思います。マル2として、バスの配車体制を見直したということで、学校向けの配車の数を増やしたというのも大きかったのではないかと思っております。このほか、これまでやってきたものが相乗的に色々重なって、更に若者にスマホで使っているLINEのようなもので、積極的に情報発信していったというのも大きかったのではないかと思っております。
○半田部会長 よろしいですか。
○稲田委員 大変詳細な御説明をありがとうございました。10代の献血が増えたのは大変喜ばしいことだと思うのですが、資料1-1の9ページを見ながら質問したいと思います。ここに若年者層の色々なデータがまとめてあると思います。私は今、若年者層と言ったのですが、実際に行動パターンを見ると、10代、20代、30代も違っていて、10代、20代でも、若い方と18、19ではまた違うということで、若年層としてひとまとめに扱うことに問題点があるような気がいたします。例えば9ページの対策の所でも今、御質問があったのですが、10代と20代、実は全く同じ対策が書いてあって、同じようなストラテジーを取りながら、一方では増えていて、一方では献血者が減少しているということから考えて、こういった対策が本当に働いているのかをきちんと検証しないといけないだろうと思います。
もう一つ、10代の献血者が増えたのは大変喜ばしいことなのです。では、20代、30代はどうか。これは減少していて、全体の減少率2%の所は、どちらも4%から5%近い減少率で、実人数で見ても約5万人減っているということは、全体で97,000人減ったうちの半分近くは20代、30代と、この辺りを深刻に考える必要があるのではないかと思いました。以上です。
○半田部会長 ありがとうございます。特に今の御意見に何かありますか。
○山本(隆)血液対策課長補佐 ありがとうございます。10代、20代、30代を1括りにしてやるのはいかがなものかという御意見だったかと思います。ここについては、おっしゃるとおり、それぞれに応じた対策が必要だと思っておりますので、書き分けるような形で今後、整理していきたいところです。
あと、20代、30代が減少しているというところの話ですが、ここについては資料5-1のスライドの11にあるとおり、年代別に見た献血率も、10代で一度ピークを迎えて、20代、30代にかけて下がってきているというのがあるところです。基本的には、新規に献血に御協力していただく方も増やしていかなければいけないでしょうし、複数回やっていただく方も見ていかなければいけないと思っております。献血率が下がるのは、今も言ったとおりですが、一度献血に来られた方が、その次に続かなくなってきているというのがこの年代の方々だと思っているところです。なぜ一度献血に来た方が次につながらなくなっているのかという点を、実際にそういう方が献血に来られた際にアンケート調査をして、どういうことがあったのかを整理した上で、それに対した適切な取組を行っていきたいと思っているところで、今、実際にそういうことをしようとして準備しているところです。
○半田部会長 よろしいでしょうか。
○花井委員 細かいことなのですが、資料5-1、6~7ページの『LOVE in Actionプロジェクト』を行っている委員から意見が出ていたと思うのです。その際に、日本赤十字社においては、『LOVE in Actionプロジェクト』のロゴマーク大作戦をしていて、結構ロゴマークを押し出していて、この資料で言えば7ページの広瀬さんの左胸のバッジや真ん中のポストの左上に使っているロゴだと思うのですが、まだバスにそれが描かれていないのです。ロゴ押しをしているのに、バスがというのを、関わっている委員が強く言っていたので、親部会の方でも、代わって。献血者も最初はバスになかなか描かれずに、献血者も何年か寂しい思いをしていたという経緯があり、今やもう、どのバスにも献血者がいるのですが、このロゴにおいても、できましたら、またロゴを付けて、ロゴ押しをしていただければと思います。ホームページの方ではかなりロゴマーク大作戦で、日本赤十字社としては押しているのですが、なのにバスには描いていないというのも相当気にしておられたので、ここで改めて私の方からお願いしておきたいと思います。
○半田部会長 ありがとうございました。時間ですので、ただいまの御意見等々を踏まえて、献血の推進を当該調査会で、引き続き御検討ください。
続きまして、議題6、「需給計画の変更について」です。事務局の方からよろしくお願いします。
○三浦専門官 議題6、「需給計画の変更について」、報告いたします。本件については、口頭のみでの報告となります。平成30年度の需給計画については、本年3月の血液事業部会での審議、薬事分科会への報告を経て、3月30日に告示したところです。また、需給計画については、血液法第25条第5項により、「需給計画を定め、又はこれを変更しようとする場合は、あらかじめ、薬事・食品衛生審議会の意見を聴くものとする」とされており、第6項により、「需給計画を定め、又はこれを変更した際は、遅滞なく、これを公表するものとする」とされているところです。
今回、KMバイオロジクス株式会社が、一般財団法人化学及血清療法研究所から血漿分画製剤事業を承継したことに伴い、平成30年度の需給計画を変更・公示する必要が生じました。変更の内容としては、原料血漿を配分する製造販売業者等を化血研からKMバイオロジクスに変更するとともに、KMバイオロジクスに係る原料血漿の見込量は、平成30年4月1日から7月1日までの間に化血研に配分した量を含むものである旨を(注)に記載するものです。
本件について、平成30年度第3回血液事業部会は電子メール等を活用した持ち回りにより開催することについて血液事業部会長から委員の皆様にお諮りいただき、御了承いただきましたので、電子メールを活用した持ち回りにより御審議いただきました。審議の結果、特段の意見等もなく御了承いただいております。この結果を受けて、現在、告示の手続をしておりますので、今後の予定としては、近日中に告示される予定となっておりますので、ここに報告いたします。以上になります。
○半田部会長 本日の議題は以上ですが、ほかに委員の方々から何か御意見等々ありますか。ありがとうございます。それでは、本部会を終了いたします。時間は大体予定どおりということで、次回の日程について、事務局の方から後日、連絡をよろしくお願いします。本日は御協力ありがとうございました。
( 了 )
 

 

備  考
本部会は、公開で開催された。

連絡先:医薬・生活衛生局 血液対策課 課長補佐 山本(2909)

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