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2018年6月22日 薬事・食品衛生審議会 血液事業部会 議事録

○日時

平成30年6月22日(金)17:00~

 

○場所

厚生労働省専用第22会議室

○出席者

出席委員(15名)五十音順

  稲 田 英 一、  大 戸    斉、 大 平 勝 美、 岡 田 義 昭、
  小 幡 純 子、  田野﨑 隆 二、 長 村 登紀子、 花 井 十 伍、
○濱 口    功、◎半 田    誠、 前 野 一 雄、 松 下    正、
  三 村 優美子、  室 井 一 男、 山 口 照 英
(注)◎部会長 ○部会長代理 
 

欠席委員(7名)五十音順

薄 井 紀 子、 衞 藤    隆、 鈴 木 邦 彦、 千 堂 年 昭、
益 子 邦 洋、 溝 上 雅 史、 脇 田 隆 字
 

日本赤十字社

千葉副本部長、前野経営企画部次長、佐藤経営企画部次長
 

行政機関出席者

森    和 彦 (大臣官房審議官)
一 瀬    篤 (血液対策課長)

○議事

○一瀬血液対策課長 ただいまより「平成30年度第2回薬事・食品衛生審議会薬事分科会血液事業部会」を開催します。本日の会議は公開で行います。初めに、委員の交代を御報告します。倉根委員が退任され、国立感染症研究所長の脇田委員に御就任いただいています。次に、委員の出欠状況を報告します。薄井委員、衞藤委員、鈴木委員、千堂委員、益子委員、溝上委員、脇田委員から御欠席との連絡を頂いています。また、小幡委員から途中御退席される予定との御連絡を頂いております。専門委員を除く委員21名中14名の出席を頂き、定足数に達しましたので、薬事・食品衛生審議会令第9条により本部会の成立を報告いたします。本日は日本赤十字社から千葉広一血液事業本部副本部長、前野節夫経営企画部次長、佐藤研経営企画部次長にお越しいただいています。続きまして、全ての委員の皆様より薬事分科会規程第11条に適合している旨を御回答いただいていますことを報告いたします。カメラの頭撮りはここまでといたします。この後の進行につきましては半田部会長にお願いいたします。
○半田部会長 それでは、最初に事務局より資料の確認をお願いします。
○一瀬血液対策課長 資料の確認をいたします。一番上に議事次第がありまして、その次に座席表、その次に委員名簿がございます。次に資料1-1、参考資料1、資料1-2、次に資料2-1、資料2-2、参考資料2、最後に資料3がございます。不足等ありましたらお申し付けください。以上になります。
○半田部会長 よろしいでしょうか、それでは早速議事に入りたいと思います。議題1は、平成25年血液法改正の施行後5年を目途とした見直し(平成25年薬事法等の一部を改正する法律の附則の検討規定を踏まえて)についてです。事務局より資料1-1、1-2の説明をお願いいたします。
○菓子野血液対策課長補佐 資料1-1と参考資料1をお手元に御用意ください。資料1-1、「平成25年血液法の改正の施行後5年を目途とした見直しについて採血規制等の制度改正の方向性(案)」について説明いたします。前回、4月24日の血液事業部会で委員の皆様方から議論を頂戴いたしまして、それらを踏まえて具体的な制度案を設計いたしました。
まず初めに、今回の採血規制等の制度改正の全体像について御説明をいたします。1枚目の段落になります。今回の制度改正は、血液法の目的である血液製剤の安全性の向上、安定供給及び国内自給の確保、献血者の保護、有料採血の禁止といった血液事業の根底となる原則を堅持しつつ、採血等の制限については、科学技術の発展を踏まえた対応、国は複数の採血事業者の参入を踏まえた献血者の健康保護、選択権の確保を図る、血液製剤の流通の広域化を踏まえた採血制度に係る各種手続の合理化を行って参りたいと考え、具体的な検討案を次のとおり作成しましたので、御意見を頂戴したいと考えております。
また、前回の部会でも議論になりましたEFPIA JAPANからの第2採血事業者に関するより詳細な事業内容の説明を踏まえて、次回以降、血漿成分採血における日赤等の役割分担を担保する献血推進計画や需給計画運用案、第2採血事業者の採血した血漿の安全性確保のための措置について議論を行うこととしていきたいと考えております。
次に、先日の血液事業部会で問題提起させていただいた点について、具体的な対応案を説明させていただきます。1「科学技術の発展を踏まえた採血等の制限の見直し」への対応については、科学技術の発展を踏まえ、採血が可能となる要件を血液製剤、再生医療等製品の製造のための採血といったように具体の物品ごとに列挙するのではなく、前回の部会で長村委員からも提言いただいておりましたことを踏まえ、例えば医療の実施及び保健衛生の向上のための採血に限り認めることとするのですが、医療の発展に関しては包括的に採血を認めることとしてはどうかと考えております。また、厚生労働省が示す基準等により、採血が認められる具体的なケースを示すこととし、血液を医療のために有効利用する方々の予見性を担保してはどうかと考えております。
次のページ、「複数の採血事業者を想定した採血の在り方について」への対応については、これまで採血許可制度は不許可になる可能性のある場合が列挙されていましたが、ドナーの健康保護のための採血業参入時における積極的な許可要件がありませんでした。EFPIA JAPANの提案する非営利の公益法人に限らず、今後、複数の事業者が採血事業に参加することを想定し、献血者の健康保護や採血種類の選択権の確保を厚生労働大臣が積極的に行うこと。また、新規参入者に対する予見性を確保し、献血者保護等への協力を実現するため、第1回血液事業部会で示しました、献血者の採血利益を他の採血事業者の分まで確認すること。献血者が望む献血が可能となるための誤認防止の措置、このほか健康診断基準の遵守、採血基準の遵守、採血の業務の管理に関する基準への適合を現行の採血管理基準に加え、他の採血事業者による採血履歴の確認、本人確認、採血前の採血種類の教示を基準に明記し、義務化することを検討してはどうかと考えています。
次のページ、「採血制度に係る各種手続の合理化について」です。「広域化への対応」と副題が付いています。輸血用血液製剤は、ブロックの需要に対して献血可能人口が集中している地域から効率的に献血を頂くというシステムで確保されています。血漿分画製剤は様々な種類と適応があることから、献血による原料血漿の提供と製剤の需要が都道府県で一致することはあり得ず、都道府県単位での独自の献血確保目標量の設定は困難と考えられます。
そこで、現行の血液法に、都道府県は採血事業者が策定する献血受入計画の円滑な実施を確保するため必要な協力を行わなければならないと規定されていることを踏まえ、現行法上何ら規定のない都道府県献血推進計画の内容を採血事業者の支援措置として明確化するなど、都道府県とも相談しながら、都道府県と採血事業者との関係を再整理したいと考えております。関係の整理に当たっては、5月30日に行われました運営委員会における花井委員の指摘も踏まえ、ドナーの募集や献血思想の普及等、国、都道府県採血事業者がどのように役割分担を行っていくかも念頭に置いて検討したいと考えています。加えて採血の許可と受入計画の在り方についても、採血許可制度は献血者の健康保護、選択権の確保ができているかを参入前に確認する制度として、主たる事務所が各採血をきちんと管理しているかを事業者単位で確認する。受入量は毎年受入計画の認可時に確認し、受入計画の遵守義務・義務違反があった場合の事業者に対する改善命令を発行することとし、現行の採血ルーム単位での規制ではなく事業者単位で規制を行ってはどうかと考えております。
次のページを御覧ください。その他の検討事項といたしまして、(1)人血漿というものが血液製剤の代表例として血液法に規定されています。これはFFPと原料血漿と解されています。しかし、人血漿という一般名称は存在せず、この規定は採血及び供血あっせん業取締法時代の名残りであり、一般国民には分かりにくい概念になっています。また、現行の血液法施行規則では、一般名称で各製剤を列挙して運用しているということとも矛盾をしますので、削除してはどうかと考えております。
(2)献血者等の「等」に当たる供血者は、有料採血禁止との関係で言えば整理すべきと考えられることから、再検討することとしてはどうか。(3)原料血漿の供給は、複数の事業者が参入した場合、様々な流通ルートが想定されます。市販後安全対策の元売り規制と同じ考え方で、原料血漿の工場出荷を行う原料血漿の製造業者に安定供給の義務を課すと再整理してはどうかと考えております。(4)採血事業者は、他の採血事業者、血液製剤の製造販売業者に対して保健衛生上の危害防止拡大のために、個人情報等を含む必要な情報の提供を行うことを義務化することを検討してはどうかと考えております。
事務局としましては技術的な規定の整備も進め、また都道府県等関係者との調整や政府内部での法制的観点からの検討の結果、これらの検討事項に変更があった場合には別途審議会に報告・再検討させていただきたいと考えておりますが、基本的にこちらの方針で検討を更に進めていきたいと考えております。資料1-1の説明は以上です。
続きまして、資料1-2というものが参考資料1の次にございます。横向きの資料になります。日本赤十字社のロゴが入っている資料です。この資料は、4月24日に行われました第1回血液事業部会において大平委員から、第2採血事業者の参入に関して日赤の意見を聴取すべきとの御意見を踏まえ、5月30日の運営委員会で日赤が発表した資料になります。日赤としましては、これまで日赤が実施してきた各種安全対策が国の基準として明確化され、新規の参入事業者へ適用されることとなれば、国民から信頼され得る血液事業が運営されることとなるというものです。
具体的には4ページを御覧ください。まず、(1)血液製剤の安全性を担保するために第2採血事業者が原料血漿の製造も合わせて行う場合には、日赤の製造する輸血用血液製剤などと同様に、血漿による感染リスクを排除するための検査を実施すべき。これは基本だと思います。2番目ですが、国の主導によって事業者間の問診内容等の統一化を図るべきとの指摘です。
5ページを御覧ください。(3)検査情報等の共有についてです。これは感染リスク低減の観点から遡及調査等の実施が行われておりますが、こういった調査を円滑に行うために献血血液の検査結果等の情報共有の仕組みを国で整理すべきといったことが書いてあります。次に6ページです。採血事業を行うに当たっては安定した事業基盤を有することが重要であることから、(1)献血者に対する金銭等の支払いについてということで、有料採血禁止の堅持を主張しております。7ページを御覧ください。ここに書いておりますのは、国内で確保した原料血漿の適正な配分のための原料血漿の管理方法、需給計画の運用の枠組みの整理を国で実施すべきということでございます。
次に8ページを御覧ください。献血者の保護のために、(1)献血者の健康被害救済制度を当然、新たな採血事業者にも適用すべきではないかということです。現行、日本赤十字社が行っているような健康被害救済制度を新たな事業者も行っていくべきではないか。(2) 献血者情報の取扱いについて。これはどういうことかと申しますと、献血者の献血間隔又は年間採取量をきちんと管理するために、献血者の採血履歴といった情報の共有を図るべきであり、その具体的な運用というのは国で統一的な基準を作るべきということでございます。
9ページを御覧ください。献血者の健康増進についてです。今、日赤が献血者に対するヘモグロビン量等の検査結果通知サービスを行っていますが、新たな採血事業者も行ってみてはどうかという意見があります。最後に10ページ、「おわりに」という形で意見が総括されております。国に対する主な主張としては、採血事業者間で限られた献血者を奪い合うことがあってはならないのではないかということです。日赤の資料の説明は以上です。
事務局といたしましては、今後、複数の採血事業者を前提として血液事業を運営するに当たっては、本意見というのは非常に重要な論点と認識しており、制度設計の検討の参考にしたいと考えております。本議題につきましては、5月30日に行われました運営委員会で議論が既に行われております。案としてお示しした、科学技術の発展を踏まえた採血規制の見直し、複数の採血事業者の存在を想定した献血者の健康保護・選択権の確保、都道府県と採血事業者の関係の見直しについては検討を進めていくべきという形での御意見を運営委員会から頂戴いたしました。このほか、複数の採血事業者が存在する場合においてですが、御意見を頂戴しております。御紹介させていただきますと、遡及調査を行う場合における献血血液のウイルス検査等の結果や、献血者の過去の副作用の有無に係る情報の共有、採血履歴の確認に当たって、それぞれどの程度献血者の個人情報を共有すべきかどうかということが室井委員、花井委員から問題提起されております。
続きまして、第2採血事業者が参入することによって、どのような方向で血液事業が展開していくかの青写真をやはり社会に示すべきではないかということが、大平委員から意見が示されております。3番目ですが、血液事業部会のヘモビジランス機能である需給計画の適切な運用のために、日本型ヘモビジランスのコンセプトを再度明確にして代替血液製剤の回収といった情報も血液事業部会で集約すべきとの意見が花井委員からございました。これは今後検討すべきと考えております。説明は以上です。委員の皆様の御意見を頂戴したいと存じます。
○半田部会長 ありがとうございました。当該法改正の方向性ということで、運営委員会の御意見を踏まえ、事務局案を提示させていただいたということで、本日はこれを了承していただくということになると思います。それでは御意見あるいは御質問、よろしくお願いします。いかがでしょうか。
○大戸委員 全体の考え方については反対するものではありませんが、視点として頭の中に入れておいてほしいことが二つあります。一つは自己血や末梢血、造血細胞採取、それから骨髄液です。骨髄バンクを介するものについては、採取から輸注まできちんとしたルートが出来上がっています。しかし、実は半田先生に聞くところによると、半田先生の病院の患者さんが、わざわざ北海道から自己血を採るためにだけ往復で費やすことになると。今の血液法ですとそれしか方法がないのです。北海道の地元で自己血を採って、そして他病院で手術に使うことが困難です。現在、有償で採血できないので、自己血採血に掛かる費用を手術する病院が支払うことは違法に読めるのです。
それからもう一つ、同じようなことで末梢血造血細胞にも言えます。末梢血造血細胞採取を得意とする病院があるわけですが、骨髄バンクを介さないでそこで採った末梢血造血細胞を他の病院に渡すことができません。ただで渡すのならいいのですが、血液法上対価を頂くことができないということになるのです。
それから、国の安全対策から考えていただきたいのは、試薬はこれの法律の範囲の外だと書いてあるのですが、血液型検査、血液不規則抗体を調べる検査試薬は有償採血で全てアメリカから輸入していますが、日本で製造することができないのです。日本赤十字社も、それを行うことは、この血液法の網に掛かるのが問題だと思うのです。
例えばアジア人に特有な血液型があるのですが、アメリカで何人かのアジア系の人から採血して、それを日本に持ってきて、その末端価格が何千万倍にもなって日本で売られています。これは実は血液法がカバーしていない分野なので、できればそこまで踏み込んだ改正をしていただきたいのであります。
○半田部会長 ありがとうございます。現場で、問題となっている具体的な課題の御意見をいただきました。これは現実問題として法改正という中で入れるのか、基本方針あるいはその下の法令などで行っていくのか等々あると思うのですが、いかがでしょうか。
○一瀬血液対策課長 まず順番が前後しますけれども、3番目のお話からお答えいたします。現在、血液製剤は、省令の中に羅列する形でお示ししています。ご指摘の対外診断用医薬品は、その羅列の中に該当するものがない状況です。そのため、今の血液法の射程からは外れているということになります。今までなぜそれを、血液製剤に指定してこなかったのかということが、ここですぐ分かりませんので、3番目の案件につきましては調べまして、後日に報告したいと思います。
2番目のお話につきましては、再生医療に用いる血液のやりとりのお話なのかと思って伺っておりました。採血を規定する血液法の射程とは違うと、今、お話を伺った感じでは、そのように認識いたしました。1番目のお話は少々難しくて理解できませんでしたので、もう少し何かお話いただければと思います。
○半田部会長 自己血に関しては、基本方針の中でも進めるべき一つの方法で、その自己血を採取することは、なかなか施設外でできないということで、今、大戸先生がおっしゃったような、遠隔で患者さんが移動する場合に問題となっています。居住地での自己血採取の診療報酬がきちんと担保されていないような状況になっているということですよね。
○大戸委員 厚生労働省の中でうまく合理的に整理していただければいいのです。ただ、今のままだとやってはいけない禁止事項になってしまうのです。
○一瀬血液対策課長 御指摘は、自己血輸血ができる施設がとても限定されていて、そこまで行かないと自己血輸血ができないということでしょうか。それとも、自己血輸血の際に、採血する医療機関と輸血する医療機関が異なると診療報酬上認められていないということが問題ではないかという御指摘ですか。
○大戸委員 東京の病院で手術する予定の人が、自分が住んでいる地方病院で自己血を採血しておいて、それを手術の際に東京へ持っていくということが今はできないのです。その間にお金が発生しますから、お金のやり取りが売買という形になってしまいます。
○菓子野血液対策課長補佐 血液法で有料での採血を禁止すると規定しており、この解釈としてはあくまで血液そのものの対価をキャッシュで供血者の方に渡してはいけないということを規定しているだけですので、そのやり取りのお金の内訳によるのだと思うのですが、あくまで医療行為を委任した際の対価としてお金が移動しているのであれば、あとは手間賃など、あくまで血液の対価ではないという説明になるのではないかと思うのですけれども。それは少し詳しくお伺いした上で個別に御回答させていただければと思います。
○半田部会長 そうですね。当該法改正の中にそれを組み込むということではなくて、そうした課題があるのだということですね。それから試薬に関しては、また別途そうした問題点があるということで、認識していただいてよろしいですか。他にいかがでしょうか。
○松下委員 今の大戸先生の問題は、採血をする病院と、それを戻して輸血する病院が違う場合に、恐らく融通することができないということですよね。
○半田部会長 そういうことです。
○松下委員 そういうことですよね。
○半田部会長 ですから、日本赤十字社が供給されている、例えば輸血用血液製剤も同じことが言えて、一度戻さずに、その医療機関の間では受渡しができないという状況と同じようなことですね。
○松下委員 費用面のことはともかくとして、実際に病院間で融通することができるのかどうかが、まずその前に少しあると思うのですが、そのことの問題点と、もう一つは、仮にですが、採血事業者等が自己血の採血や保存などを代行することはできないのかということもあるのではないかと思います。
○一瀬血液対策課長 今のお話で、まず血液法では先ほど菓子野が申し上げましたとおり、有料の採血は禁止されていますけれども、それが血液の対価としてお金を求めなければ、代行も血液法に違反することはありません。一方で業として医薬品を販売したり、授与等をしたりする者が医薬品医療機器等法の中で定められています。ですので、医療機関から医療機関への融通は通常は認められません。ただ、この件は、医療機関間での業としての一般的な医薬品の販売等ではなくて、特殊な融通ですので、医薬品医療機器等法上の問題ではなく、診療報酬で、採血した医療機関でしか自己血輸血が認められていないことをご指摘なのではないかと思いますがいかがでしょうか。
○長村委員 今のお話ですが、自己血は診療報酬が付いていて、自己血を採血するだけで診療報酬は得られるということで、それを病院間で北海道から例えば東京、東京から北海道ということは、今までその辺に関してうちでは少しありました。末梢血幹細胞に関しても、今まで末梢血幹細胞移植をしなければ、末梢血幹細胞の採取料が医療報酬として取れなかったのですが、今は末梢血幹細胞採取のみで、診療報酬が付いています。移植は移植で診療報酬が付いているということで別になりますので、その辺は少し明らかになってきたのかなと思っていました。
○半田部会長 今のお話が血液法の中で何か、現状ではやはりそれが解決できないのであれば、血液法を変える必要があると。そういう議論ではないのではないかと思います。もちろんこれは一つに診療報酬の問題で、今、おっしゃったように、例えば骨髄バンクの場合は、それが融通できるという制度があるので、もしできれば診療報酬の方面から、その辺のところを少し調整していただくことでもいいのかなという感じはいたしますけれども、いかがですか。本日は法改正のことについてきちんと議論したいと思いますので、大戸委員の御意見は、また持ち帰っていただいて、少し検討させていただきたいと思います。よろしいでしょうか。他にどうでしょうか。
○濵口部会長代理 先ほど、青写真を描くということが宿題として出ているというお話だったのですが、私も自分が献血に行く献血者としての立場で考えた際に、献血に行ってもその場がなかなかなくて、他にあればいいなという状況かどうかというのを一つ考えなくてはいけないかなと思います。
一方で、第2採血業者が新たに採血を行うとなった場合に、果たして献血者がそこで「どちらに行けばいいのかな」というようなことが、やはり非常に困惑する可能性もあり、似たような所で似たようなことをやり始めると競争になってしまいます。そうなると、せっかくのいい制度も、初めのうちに配分の割り振りを上手にしないと頓挫する可能性もないわけではないのかなという心配がありますので、是非スタートのところをうまく導入できるような青写真をしっかりと作っていただきたいと思います。
○半田部会長 ありがとうございます。今の点に関しては特に何かございますか。
○菓子野血液対策課長補佐 全く御指摘のとおりだと思っていますので、次回以降きちんと青写真を示していきたいと思います。
○長村委員 先ほどの大戸委員のお話の中で、血液型の診断試薬に関してですが、これに関しては、法改正の方向性のマル1の採血等の制限の見直しの所で、血液製剤、再生医療等製品の製造のためという枠ではなくて、医療の実施及び保健衛生の向上という目的にすると、この検査試薬も国内でできると解釈しましたが、よろしいのでしょうか。
○菓子野血液対策課長補佐 御指摘のとおりです。今はどうしても法律上、物品をたくさん並べないと採血できないというような状況ですけれども、改正がうまくいけば委員の御指摘のようなことで、その検査試薬についても国内自給が進められるということになると思います。
○三村委員 先ほどの案の4ページの(3)で、流通研究の観点から少し気になる表現ということで、この点だけ指摘させていただきます。原料血漿の供給に複数の業者が参入すると、卸売業者を介して「あらゆる流通ルートが想定される」となっているのですが、その際に卸売業者という言葉を使いますと、基本的には売買や市場取引を前提とした業者というのが一般的な定義ということになります。原料血漿の安全性や正にトレーサビリティなどの厳格化の要請があることから、恐らくそこにおいては、流通ルートは基本的に明確であること、あるいは取引の透明性があることを前提として制度設計された方がいいと思います。あらゆることがあり得るということになりますと、これまで安全性を担保されてやってらっしゃいますので、少し問題が起こる可能性があります。ここの定義と、それから、そこにおける要件については、もう一言何かあった方がいいと思いますので、指摘させていただきました。以上です。
○半田部会長 具体的に何か文言としてこのようにしたらいいなど、御提案はありますか。
○三村委員 そうですね、あらゆるルートという表現は、余り適当ではないと思います。原料血漿は基本的に分画製造業者に直接提供されるのが適当でしょうし、それから何よりも、もし流通ルートと書かれましたら流通ルートの透明性など、何かそのような言葉を入れていただくと、どこからどこに流れたのか、どこで採血され、どこで検査され、そしてどの業者に提供されたのかが明確でないといけませんので、一般の流通という概念で捉えられないように注意していただければと思います。
○菓子野血液対策課長補佐 全く御指摘のとおりでして、流通ルートとしては当然シンプルな方が、もちろん我々としてもいいと考えております。ただ一方で、少し法律論のお話になりますが、憲法で営業の自由が保障されているということであり、医薬品であっても二次、三次卸を使ってはいけないなど、そうした規制は医薬品医療機器法にもないわけです。ですから、少し遠慮した書き方をしてしまったのですが、当然我々としてはシンプルな流通ルートというのを、それは国民に重要なことだと思いますので、行政指導などといった形で求めていく、あとは誤解を受けないような表現に気を付けたいと思っております。ありがとうございます。
○花井委員 大分論点が整理されてきたという印象ですが、今の(3)の所が少し気になります。(3)、(4)と関連するのですが、結局医薬品を横並びで考えた際、血液の違いは供給責任があります。安定供給という問題と、それから今のあらゆるルートというのは、今や正に薬機法改正の議論でも論点となっています。トレーサビリティの話ができていないのですが、血液は逆に遡及調査があるので、これはドナーレベルで、全部製品につながっている形になっているのが血液の安全対策になっているため、薬事はこれから追い掛けてバーコードを付けようと議論しているのです。ということは卸しが入っても、つまりトレーサビリティが確保されていないと、そもそもの安全対策が失われることになるので、何らかの業者が入るにしても、ただ右から左へお金で売れないのです。
中間業者がその規制にくみしていなければ、それが途中で遡及が切れてしまうという話になるので、何か立て付けを考えなくてはいけないと思うのです。それと同時に、やはり並びで製販業者を構想していると思うのですが、製販業者の場合、例えばアウトソーシングしていて工場がショートした場合も、結局製販業者は、日本で商品が不足しているから売れませんと言うだけで、つまりお手上げの際、こちらはもうどうしようもなく、逆に困るだけの話になっているけれど、血液はそうではないということですよね。
そうすると、ショートするというのは、要するに採血がサボタージュして、「あっ、集められませんでした」と言われたのを供給、製造側が全てそれを規制されるとなると、やはり集める側と一体となっていないとおかしい話になってしまうのです。これはいわゆる製販業者との違いなので、これは単に製造業者だけをこの需給計画の対象にすると書いてしまうと問題ではないかと思いますので、薬機法横並びの考え方で合う所もあるのですが、遡及調査という制度と、それから正にこの供給責任というところなので、これだと少し足りないのではないかと思い、少し考えてもらった方がいいかなと思います。
そうすると、それは要するに集めろと鞭で打つしかないという話ですよね。「俺たちは規制されていて供給しなくちゃいけないのに、何で集めてくれないんだ」と、少し変な形だと思うのです。正に三村委員が指摘した話と含めて考えた方がいいかなと思います。両方を対象とするのが法技術的に可能かどうか知りませんけれども、やはり何かそれは、血液の場合そういうものだと思います。
また(4)なのですが、これが実は重要で、古い議論で献血が安全だ、売血は危険だという議論の中で、基本的には原料血漿は安全性で差がないだろうということになっているのですが、いわゆる付随的国内自給の一つの良さは、薬機法上で今、日本に流通している製剤を出している製販業者は、ドナーリストまでいざとなれば遡れることが規制されているため、遡れることになっているのです。
ただし今までの安心感は、このドナーリストを日本は全て抱えていたということで、外資の製販業者が「いや、いざとなったら遡れますよ」という話とは違っていて、これはアクセスでき、かつこれも逆になってしまうのですが、輸血用血液で何か起こったことが、これが逆にフィードバックして分画原料の安全性も担保しているという一体となった話となっているから、この情報提供をどう考えるのかというのは結構重要で、つまり国内で自給していることの安全性の一つのメリットなのです。
つまり薬機法上は、それは海外のものもできる、例えば具体的に言いますと、ヨーロッパの一地域でプリオン病か何かがアウトブレイクした際に、「はい、あなたの所で出している製剤は、ここの地域の原料はどれだけ入っていますか」と言ったら、今はすぐに、「ロットは幾つで、これはありません」という答えが出ることになっているのですが、そういったことの、やはり見えている先で行っているという安心感というところが一つの付加価値だったわけです。
今まではそれが良かったので、これが継続的に損なわれない形で(4)を行っていただけたらと。献血だから安全というわけではないですが、献血は目の届く範囲にドナーリストが全部あり、その遡及は国内の中で回ると。これは幾ら薬機法上で規制し、外資であっても遡れるのだと言ったところで、それは違うと思うのです。新しい業者が入ることで、それが途切れてしまうと、国内自給の一つのメリットが消えてしまうので、そこは行ってほしいと思いました。以上です。
○半田部会長 ありがとうございました。御指摘いただいた点に関しては、文言を少し変えてみるなどの御検討はしていただけるということですか。
○花井委員 その際はこのままでもいいと思います。
○半田部会長 本日は皆様方にお願いしたいのは、この方向性案について御了承願えればと思いますが、いかがでしょうか。
○長村委員 1点だけ、文言なのですが、(4)の「保健衛生上の危害防止拡大のために」でよろしいのですか。「危害拡大の防止」でしょうか。ここだけ少し気になったもので。危害拡大をするのを防止する。
○半田部会長 そうですね、保健衛生上の危害拡大を防止するため、これは文言の訂正が必要ですね。
○菓子野血液対策課長補佐 御指摘のとおりです。条文上では「危害の発生又は拡大の防止」とありますので。
○長村委員 「拡大防止」ですか。
○菓子野血液対策課長補佐 「危害の発生及び拡大の防止」と書くのが正解です。ありがとうございます。
○半田部会長 御指摘ありがとうございました。
○花井委員 今の(3)の需給計画の対象とするのを、製造業者だけにするのか、採血業者も含むのかは重大な論点なので、ここで決めてしまわなくてはいけないということですね。
○半田部会長 いかがですか。
○菓子野血液対策課長補佐 非常に悩ましいところだと思っていまして、平成15年の薬事法改正の際には、やはり責任者は1人決めないといけないだろうということで、元売り規制が導入されたという背景があります。ですから、需給計画上、その原料血漿の受渡しをする責任者を1人決めましょうかという話であれば、原料血漿製造業者が正に契約等の手法を使って採血事業者を拘束するという話ですけれども、ただ、この点について、私は委員の御懸念に答えることができると考えております。
つまり、採血事業者が原料血漿の採取を何らかの原因でショートさせて、原料血漿の製造がうまくいかないとなった場合に、どういう法律が適用されるかと申しますと、まず原料血漿の製造業者は我々が提示しているとおり、需給計画違反になります。医薬品の製造販売業者に需給計画どおりにきちんと原料血漿を引き渡していないと、それに対してペナルティが与えられるわけですけれども、採血事業者に関しては、彼らは献血受入計画を遵守していないという評価になると思います。ですから、原料血漿の製造業者は需給計画の規定でペナルティを受けて、採血事業者は献血受入計画の遵守義務の違反という形でペナルティを取られるということで、委員の御懸念には答えていることになるのかなと考えております。いずれにせよ、両者が国民に対する医薬品の安定供給に不安を与えたという点に関して、きちんとした行政措置が取れるような形で法制度はきちんと整備していきたいと考えております。
○半田部会長 ありがとうございました。では山口先生、その後に稲田先生、それから小幡先生、よろしくお願いします。
○山口委員 花井委員の言われているとおりだとは思うのですが、この原案を作られた際に思っているのは原料の融通だけではなく、例えば中間原料をまた引き渡すなど、そうした複雑さが付け加わるのだろうと、私はそう理解していたのです。そう考える際に、あらゆる流通ルートが想定されるというよりも、流通ルートが複雑化する可能性はあるわけです。途中で作って、今は使われていないものを別の所で使用する。その場合に同じ製造業者同士だけで流通を行うのか、そこに第三者が関与するのかという、そういうのは複雑さがもちろん入ってくると思うのですが、その場合でもやはり、今おっしゃったように、どこかに最終的な製品の責任は製販が持たざるを得ないと思うわけです。そこの上に原料提供メーカーに対する様々な足かせといいますか、提供機関としての責務を課しておくことが必要になるのだろうという気がいたします。
ちなみに、そこの(3)の2行ぐらい、今、言ったような修正を提案したいなと思いました。「あらゆる」というよりも流通が複雑化するということに対応することが求められるという意味です。
○稲田委員 二つ質問があるのですが、1番に関して、採血等の制限の見直しということで、こちらを読みますと、具体的な物品を列挙するのではなく、医療の実施及び保健衛生上の向上のための採血に限り認める。非常に大まかな取決めをすると。ただ、その次の文章を見ると、今度は採血を認める具体的なケースを逆に示すことで、この法律とはまた別の所でそういった、いわゆるマニュアル的なもので示す方向性なのでしょうか。
○菓子野血液対策課長補佐 御理解のとおりです。そういったソフトな形で規制をしてはどうかなと考えております。
○稲田委員 もう一つ、3番についてですが、広域化への対応というようなことが書いてあります。最初の段落を見ますと、「都道府県独自の献血確保目標量の設定は困難」であると書いてあり、次の段落は下から3行目、今度は「都道府県献血推進計画の内容」という、そこは困難だけれど作れというような内容なのでしょうか。
それから広域化という意味が、今、人口が集中して県の中でも集中している所とそうでない所があると思います。そういった所を含めての広域化なのか、あるいは近隣の都道府県を含めた広域化か。例えばこの前、大阪で地震があって、大きな被害が出て、多くの輸血が要る際に、やはり他の都道府県から、こういった今までの需給計画と全く別に供給しなければいけないという、その辺りと広域化の概念とはどのようなものかをお伺いしたいと思います。
○菓子野血液対策課長補佐 御指摘の点ですけれども、まず医療機関側の需要を日赤のブロックセンターが収集しまして、これだけ採血をしなければいけないというものがあります。その需要を踏まえた採血目標をブロック内の人口集中地域の県に多めに分配して、あとは残りの県で取れる量を分配するというような形で、一応そのブロックの需要を都道府県別にブレイクダウンしているというのが現状ですので、それは献血受入計画にも公表物として明示しております。ですから、そのブロックの需要を県別にブレイクダウンしたものが都道府県献血推進計画の目標量になると。それは採血事業者がイニシアチブを取って決めていくというようなイメージで考えております。
○半田部会長 よろしいでしょうか。それでは小幡委員どうぞ。
○小幡委員 私もこの方向性については、大体これでよろしいのではないかと思います。1点、今、稲田委員の言われたことと重なりますが、確認です。1番で、医療の実施及び保健衛生の向上という所で大括りになりますので、具体的なケースを基準で示すわけですが、基本的にはそれ以外のものについての可能性もあるという、そういう立て付けに法律上はなるという確認です。恐らくそうだと思いますが。
それともう一点は、日赤の方からの資料1-2の6ページ、献血者に対して金銭等の支払いについてということで、交通費等の話の2003年5月の厚労省の通知があって、自分たちはそうでないという御主張ですが、これについては今後もこの通知の中で行うという考え方ですか。交通費の扱いについては特に変えずに、この通知の中でという枠組みで変わらないですか。
○菓子野血液対策課長補佐 はい。
○小幡委員 ありがとうございます。
○菓子野血液対策課長補佐 委員の御理解のとおりです。
○半田部会長 ありがとうございました。大分時間も過ぎてしまいまして、それでは今回事務局から提案されました当該法改正の方向性については御了承いただいたということでよろしいでしょうか。本日色々と御意見を頂きましたので、実際のこの文言等々はまた変えていただくということで、私、部会長の方に御一任いただければと思います。それでは、事務局は法改正の検討を進めてください。他に何か補足の御報告はおありですか。
○菓子野血液対策課長補佐 おまとめいただいて、ありがとうございます。まずは花井委員に御指摘していただいた点については、今後も条文化の作業が必要になってきますので、その際にはまた改めてきちんと御説明をしたいと考えております。
加えまして、ただいま御議論いただきましてありがとうございました。御承知の委員もいらっしゃると存じますが、今、血液法との関係の深い医薬品医療機器法、旧薬事法ですけれども、その改正案が医薬品医療機器制度部会で議論されているところです。本年の秋以降で、この制度部会にも血液法の改正方針というのを事務局から報告していきたいというふうに考えております。
また、制度部会の方では、製薬企業に対する適切なガバナンスの確保といった、血液事業とも密接な関連を有する議題が議論されております。これは先般の化血研の事案だったり、そういった諸々の製薬企業に対する規制の在り方というのを再検討しているところです。これは非常に血液事業とも関連が深いものだと認識しておりますので、事務局でこの動きを注視して、必要に応じて血液事業においても同様の対策を講ずるべきかどうかというのを、機会を設けて改めて議論を行いたいと考えておりまして、こちらの方も今後ともよろしくお願いしたいと思います。
○半田部会長 よろしいでしょうか。それでは、続いて議題2に移ります。血液法に定める「血液製剤の安全性の向上及び安定供給の確保を図るための基本的な方針」の5年ごとの再検討についてです。事務局から資料2-1、2-2の説明をお願いいたします。
○山本(隆)血液対策課長補佐 議題2、基本方針の5年ごとの再検討について説明いたします。資料2-1が基本方針の改正案、資料2-2が改正案の新旧対照表になります。そして参考資料2として、資料集を御用意させていただいております。
初めに、前回4月の血液事業部会の話を思い出していただくということも含めて、参考資料2を説明します。資料を縦置きにしていただき、2枚目の右下にページ番号が振ってあります。33ページをお開きください。これは、4月の血液事業部会の資料になります。4月の部会では、現行基本方針の制定から5年が経過するため、血液法第9条に基づき基本方針を見直すこと。見直しの方向性としては、34ページの記載のとおり、当部会におけるこれまでの議論を反映させること。そして、その内容については、34~36ページにかけて記載があります。このような対応をしていくことについては、異論はなかったという認識です。
その際委員からは、現行の基本方針は各項目に同じ記載が何度も出てきて非常に読みづらい、同じことを何度も書く必要性はないという御意見を頂きました。また、ドナーの安全確保が非常に重要であって、項立てをしてもいいくらいではないのかという御意見。さらには、安全性の向上に関する項目に関して、薬機法上の安全対策と血液事業部会、運営委員会も含めて、そこで行っていることの連携も記載すべきではないのかという御意見などを頂いたところです。これらの方向性や御意見を踏まえ、事務局において基本方針の改正案を作成し、これを5月30日開催の運営委員会に御提示させていただき、御議論いただいたところです。
本日提示させていただく基本方針の改正案は、運営委員会でいただいた御意見も反映させたものです。また当部会に設置されている献血推進調査会、安全技術調査会、適正使用調査会の各委員の方々、さらには学会に対しても、あらかじめこの運営委員会に提示した資料について、意見照会をさせていただいております。調査会の委員からは特段の御意見はありませんでした。学会からの意見については、反映できるものは反映をした形で、今日提示をさせていただいております。そのようなものだという認識の下、資料を御覧いただければと思います。
資料2-2は、新旧対照表です。上段が改正案で、下段が現行の基本方針です。傍線部分が、今回の改正部分です。資料2-2を全体的にざっと見ていただきますと、下段に傍線が引かれていますが、それに対応する上段の方の記載がない部分が目立つと思います。この大部分が、現行の基本方針で重複している記載を整理したところで、改正案からはその記載を削除しています。
2ページの「第一」は、基本的な方向性を示しております。「一 基本的な考え方」の段落の最後から3行前の「法に基づき課せられた責務を確実に果たす」ということと、「法に掲げられた基本理念の実現に向け、各般の取組を進める」という記載があります。現行の基本方針は、基本理念の記載しかない、「法に基づき課せられた責務」の部分の記載がないということで、片手落ちになっています。このため、この「法に基づき課せられた責務」というものを書き足している所が、4ページの上段になります。4ページの真ん中の「4」の次の段落で、「また」と記載しております。ここについて、血液法上の条文から各プレーヤーに課せられている責務を追記しています。
6ページの「第二」は、血液製剤の中期的な需給の見通しになります。現行の基本方針では、需給の見通しの項でありながら、多くの部分で国内自給に関する記載になっていました。国内自給については、次の「第三」で扱うので、これを整理・削除して、大分すっきりさせる形で記載をしています。8ページの「三」は、血液製剤代替医薬品の項です。上段の二つ目の段落で、「また」で記載しているところは、先ほどの4月の血液事業部会の資料の中の、見直しの方向性として、「新たな技術による製剤の開発状況を確認していく」として御了承いただいたことを記載しています。
「第三」は、国内自給が確保されるための方策です。9ページの下段ですが、「二 国内自給が確保されるための具体的な方策」で、内訳は、「1 献血量の確保」と「2 国内における献血由来製剤及び血液製剤代替医薬品の製造と供給」という記載になっています。ここの書きぶりを「輸血用血液製剤」と「血漿分画製剤」に整理し直しております。
10ページの上段を御覧ください。2行目の「なお」で始まる段落も、これまでに血液事業部会で御議論いただいてきた内容です。原料血漿の需給見通しの実施をしていくということと、採血事業者は新たな原料血漿の確保策を実施していくということを記載しております。その次は「国内における」で始まる段落です。ここも、これまでの血液事業部会で御議論いただいております、未利用の中間体を有効活用した国内自給を推進していくことを記載しております。「更に」で始まる段落も同様です。原料を外国血から国内献血に置き換えるアイディアを有するメーカーに原料血漿を配分することで、国内自給を推進していくという内容を、記載をしています。
11ページからが「第四」で、献血の推進に関する事項です。12ページの下段になりますが、「また」で記載している段落の最後、「特に高校生等の初回献血時には200ミリリットル全血採血を推進することにより献血を経験してもらう」という記載をしております。そこに対して上段、改正案では、「また」で始まる段落です。献血未経験の理由として、針刺しの痛みや不安、恐怖感などが指摘されており、これらの軽減に取り組むということで、初回の献血時には、採血の区分としては、400ミリリットルの全血と200ミリリットルの全血採血があること。さらに、採血基準を満たしていれば、いずれの採血区分でも安全であることをきちんと説明をする。それでも400ミリリットルに不安がある方に関しては、200ミリリットルを経験してもらうことで不安の軽減を図る。そして、今後の継続的な献血につながっていくという記載に改めております。続く文では、献血をしたことに対する充足感が次の献血につながってくると。そのためには、採血の区分の決定は献血者の意思を尊重することが重要だということを記載いたしました。14ページは、引き続き献血の推進の項目です。
「五 災害時における献血者の確保等」です。ここについては、現行の基本方針でも記載がありますが、現行は「基本的な考え方」の項の中で書かれていてよく分からない形になっていたので、項立てをして明確化をしております。また、ここの中の記載では、従前は赤血球製剤というものに着目して、赤血球製剤の在庫が不足する場合という記載をしておりましたが、それだけではなくて、特に有効期限の短い製剤ということで、血小板製剤も明示しております。
「六 献血者の安全確保等」です。こちらは4月の血液事業部会で頂いた御意見を踏まえたものです。ドナーの安全確保が重要ということで、項立てをしてもいいのではないかという御意見を頂きました。それについて、献血推進の項の中に項立てしてドナーの安全確保等を記載したところです。内容としては、献血者に健康診断を行わなければならないこと。さらには、採血基準により、採血が健康上有害な方からの採血はしてはならないということや、採血副作用の未然防止策を実施する。さらには、献血者健康被害補償ガイドラインに基づいて、被害があった場合にはその被害補償を実施していくということを書かせていただきました。
「第五」、安定供給の項です。16ページを御覧ください。「二 原料血漿の配分」の書き出しの部分です。ここも、これまでの血液事業部会で御議論いただいてきた原料血漿の配分に当たっては、関係者により需給に係る情報交換を密にしていくということを記載しております。17ページ、「国は」で始まる段落です。こちらは、新たに原料血漿の配分を希望する事業者に配分するに当たっては、当部会が決定するルールに従って配分をしていくということを書かせていただいております。「三」については、今までは「血液製剤の確保」と項立てしていたものを、「供給危機が発生した場合の対応」という形で、整理させていただきました。最後の段落の「また」で始まる部分については、4月の血液事業部会において、シングルサプライの解消を記載することに御了解いただいておりますので、それを記載しております。「四」も、御議論いただいてきた輸出の関係です。分画製剤の輸出は可能としますが、まずは国内自給、安定供給に支障があってはならないこと。そのために、需給計画において、輸出する製剤やその量を定めていくということを記載しております。
18ページの「第六」は、安全性の向上に関する事項です。19ページの上段の長い記載の段落の次に、「医薬品医療機器等法第68条の第21」で始まる段落があります。そこから6行前の「血液製剤については」で始まる所があります。ここについては、4月の血液事業部会での御意見を踏まえて追記している所で、血液製剤については、薬機法上の審議会における感染症定期報告を行うだけではなく、血液法においても当部会、又は運営委員会で感染症定期報告について報告をした上で、必要な措置の検討が行われていることを追記させていただきました。
20~21ページです。もともと現行では、「二」として20ページの「二 迅速かつ適切に安全対策を実施するための体制の整備」と、21ページの「三 感染症の発生等が判明した場合の対応」を書き分けていたのですが、読んでみますと、この「二」と「三」の書き分けが整理できていないのではないかということで、ここを統合し、「二 適切かつ迅速な安全対策の実施」と整理し直したものです。
22ページの「第七」は、適正使用に関する事項です。「二 院内体制の整備」について、学会から御意見を頂きました。3行目に人員配置として、「責任医師及び担当技師の配置」と書かせていただきました。これは、現行は責任医師という言葉だけでしたが、責任医師にとどまらず、専門的知識や技能を持つ技師の配置というものも明記をすべきではないかという御意見を頂きましたので、それを書かせていただいております。
23ページからが「第八」の項目です。24ページに「三 血液製剤等の研究開発の推進」という項目があります。ここの最後から2行目、「また」で始まる段落から次のページにかけてです。ここについても、学会の意見を踏まえて追記をした項目です。学会からは、大量出血時にクリオプレシピテートやフィブリノゲン製剤の使用ができないと。これらについては、医療のニーズが高いので供給をしていただきたいというような御意見があったところです。これについては、既存の体制でも未承認薬検討会議を活用して、開発が推進されるというような仕組みがありますので、そのことを明記させていただきました。
「四 血液製剤の価格等」です。「2 原料血漿」についても、これまで血液事業部会で御議論いただいております原料血漿の配分に関して、その原料血漿の標準価格の計算方法の改善や、配分量や標準価格の複数年化もこれから検討していくということを書かせていただきました。次は「3 血漿分画製剤」の項目です。こちらについては次のページ、最後の所、ご存じのとおり、年度末に通知を発出させていただいた件ですが、分画製剤の取引には単品単価での取引を進めていくと書かせていただきました。
「五 コンプライアンスの強化」です。製造販売業者は、コンプライアンス対応の強化を推進していくことが必要です。「六」先ほど来、法改正の話が出ておりますが、複数の採血事業者を想定した血液事業の在り方ということで、参入環境を策定していくことが必要だということを記載させていただいたところです。
基本方針の改正案の説明は以上です。本日これから御審議を頂き、御了承いただきましたら、今後パブリックコメントを掛けて一般の方から御意見を募集し、その御意見に対して修正を加えるか加えないか。そうしたことを次の血液事業部会で御議論いただければと思っております。以上です。
○半田部会長 ありがとうございました。非常に分かりやすく御説明いただいたと思います。いかがでしょうか。
○室井委員 この文章は網羅的に詳細に書かれていて、大変感銘しました。2点御意見を述べたいと思います。
12ページの献血推進の所がありますけれども、従来から若年者の献血推進、それから高校生の献血などは問題になっていて、今回かなり詳細に書かれていて大変にいいと思うのですが、もう一点複数回献血、リピーターを増やすことが重要な献血の課題とあって、企業献血、団体献血があるのですが、実は前回もここに入っていないようなのですね。できたらどこかにその企業や団体等による集団献血という言葉が入るといいかなと思った次第です。例えば12ページの3行目、快適な献血ルームなどの環境整備とともに、企業や団体などでの集団献血を、というということも入るといいかなと思い一度考えました。
もう一点は、院内採血に関することで、22ページ、前回の下段の所です。五の「自己血輸血等の取扱い」の項で、自己血輸血を除き、院内輸血を行うべきではないという文章があるのですが、今回それが見当たらないのです。実は私どもで、院内の採血の現状を調査した報告があり、平成26年度の血液製剤使用実態調査の中で、院内採血の現状ということに関して調査を行っています。それによると、大体回答者数の1.5%ぐらいは、いわゆる院内採血があるのです。ですので、やはり、この文章はあった方がいいのではないかと思い質問をした次第です。
また、これとも関係がありますが、今世界的にウォームフレシュブラッドと言って、当日採った新鮮血が、色々な疾患に有効という論文があります。それを踏まえて、これは基本的にするものではないということを踏まえて、やはりこれはあった方がいいのではないかと思い質問した次第です。この2点を御検討お願いしたいと思います。
○半田部会長 事務局の方で今の室井委員の御指摘についてですが、まず12ページ、複数回の献血について、企業の献血という所をもう少しきちんと明確に書いた方がいいだろうということですね。
○室井委員 いわゆる団体献血ですね。企業や団体などによる集団献血といいますか、そういった所も明確に書いた方がいいと思います。
○半田部会長 今は集団献血という言葉しかないということですね。
○室井委員 そうですね。
○半田部会長 それをもう少し具体的に、企業や団体による集団献血等ということを入れればよろしいですかね。
○室井委員 はい。12ページの主な文章内容は、若年者向けの初回献血のことが書かれているのです。リピーターのことがないので、それがあった方がいいかなと思い質問した次第です。
○半田部会長 はい、分かりました。特に何か今の、複数回献血者の件ですね。
○山本(隆)血液対策課長補佐 室井委員から今御指摘いただいた点が2点あって、初めは献血の推進の項目で、若年層対策で集団献血という言葉があるのだけれども、一般的にもリピーター対策が重要だという御意見を頂きましたので、ご意見を踏まえて修正したいと思います。
あとは22ページで、自己血輸血を除く、院内採血の実態があるという調査結果もあるということですので、それについても引き続き文言を入れていくというような形で、修正したいと思います。
○室井委員 現行ではまだすべきではないでいいと思うのですがね。そのままそっくり今のまま、どこかに入ればいいかなと思いますけれども。
○半田部会長 それから3点目の血漿については、室井委員どうぞ。
○室井委員 私はいいです。
○半田部会長 それは結構ですね。他にいかがでしょうか。松下委員どうぞ。
○松下委員 気になっていた点が何点かありますので、順番にお聞きいたします。まず7ページ、改正前の「血液凝固因子製剤等」の後ろから数行目の「国内献血由来製剤を一定程度確保する必要がある」という所ですが、これに関しては改正後になくなるということでいいのでしょうか。そういうことではないのですか。
○半田部会長 7ページの下の改正前は3で「国内献血で賄われている」と書いてあるのが、それがなくなっている。
○松下委員 なくなっているということ。
○山本(隆)血液対策課長補佐 必ずしもそうした趣旨ではありませんで、この項は、「中期的な需給の見通し」に関する項目であって、「国内自給」は別に項立てしているので、国内自給の関する記載はこの項からは削除させていただいているという趣旨です。
○松下委員 分かりました。それでは次に、8ページの改正後の6行目、「代替するものとして、モノクローナル抗体を用いた抗血液凝固第IXa/X因子ヒト化二重特異性モノクローナル抗体医薬品の供給が見込まれるほか、iPS細胞由来の血小板」という所があるのですが、最初のモノクローム抗体を用いたというのが承認を受けて発売されていますけれども、iPS細胞由来の方はまだ研究段階というところで、並べてこのように書くのは少し違和感があるのですが、この点はどうでしょうか。
○菓子野献血対策課長補佐 需給の見通しなので、来年度以降、今の血液製剤の需給に影響を与え得るであろうものという意味で、このエミシズマブの方も供給が拡大していくことが、いろいろな所から予想されています。このiPS血小板の方も、これはどれだけ先になるか分かりませんけれども、今後5年を見通した基本方針になるので、可能性として一応列挙していると。
○松下委員 iPS血小板が5年以内にどうかなるのかは分からないとは思うのですが、その辺が少し気になった所です。
○菓子野献血対策課長補佐 そうですね。今の点は、需給状況及び研究開発状況を確認していくことが必要であるということです。並列して前の需給状況は第VIII因子製剤の方で、研究開発状況の確認はiPS由来の血小板ということで、一応文章上は合うような気がするのですが、よろしいでしょうか。
○松下委員 9ページですけれども、改正前の「特殊免疫グロブリン製剤については、国内での原料血漿確保」という所が、今回はなくなっていますが、これに関しても文脈上なくなったということでよろしいのでしょうか。
○山本(隆)血液対策課長補佐 こちらについては記載場所を変えて10ページになります。10ページの三番で、「医療関係者等に対する啓発等」の前3行のなお書きで始まっている所ですが、こちらの方に記載場所を整理させていただきました。
○松下委員 分かりました。
○半田部会長 よろしいでしょうか。
○菓子野献血対策課長補佐 補足です。一番初めに松下先生に御指摘いただいた、安定供給のための在庫量の一定の確保、これも17ページに記述を引き続きしています。真ん中ですね。血漿分画製剤については、災害等の場合にあっても供給に支障を来すことがないよう、平時より一定程度の在庫確保の要請をやっていくと。あとは需給計画でも在庫量というものを位置付けていますので、そうしたことできちんと御指摘についてはケアしているものだと。
○半田部会長 はい、どうぞ。花井委員。
○花井委員 2ページ、1の「安全性の向上」の所に、新たに「医薬品としての有効性の確保と矛盾することから」と記述が加わっているのですが、これの趣旨はどうなっているのですか。というのは、これはもともとの文章は「血液製剤は」が主語になっているので、最終的に「等の特徴を有する」で結べるのですけれども、新しい文章はそれをなくしているので、これをつなげて読むと、少し全体として意味がかえって分かりにくくなっています。特に、「医薬品としての有効性の確保と矛盾すること」と書き加えた意図は何ですか。
○一瀬血液対策課長 不活化、低減化技術とそれによる血液製剤の中の有効成分の活性への影響の問題で、それらのバランスを取らなければいけないという意味合いで書いています。
○花井委員 不活化による。そういう趣旨なのですね。ということは、「等の特徴を有する」と書くのであれば、文章を普通に読み下しても、意味が分からなくなっているのです。「しかし、人の血液を原料として製造していることから当該リスクを完全には否定できないこと、医薬品としての有効性の確保に矛盾することから製造過程における病原体の不活化処理に限界があるなどの特徴を有する」と結ぶためには、「何が」がないとまずいことになります。文章の書きぶりですが、もともと「血液製剤は」の主語で流れた文章を修正し、それが消えているので、この文章ではリスクが主語になっているのです。
○一瀬血液対策課長 申し訳ありません、意味が通るように修正いたします。
○半田部会長 はいどうぞ、岡田委員。
○岡田委員 8ページで、改正前は組換えアルブミン製剤が書いてあったのですが、今回は消えてしまっています。やはり、これは今の国内血で作られることを考えると、ある程度は組換えというのは残しておかないと、厳しいのではないかと思うのです。例えばもうあきらめたと言うのなら、また話は別です。
○一瀬血液対策課長 遺伝子組み換えのアルブミン製剤の記載を残しておくべきという御指摘ですね。
○岡田委員 そうですね。
○一瀬血液対策課長 これについては、この基本方針は大体今後5年間を目安に考えていますので、この5年間で出てくる可能性は低いと判断して、記載を落としています。
○松下委員 同様に、「遺伝子組換え第VIII因子製剤及び第IX因子製剤の国内の製造の可能性も検討する必要がある」も消えているのですが、今と同じ理由で消えているということでしょうか。一旦消えると、なかなか復活するのは大変なような気がします。自分などは忘れてしまうので。
○一瀬血液対策課長 同様の理由で落としています。また可能性が出てくれば、追記することも考えたいと思います。
○稲田委員 私は文言の問題だと思います。17ページの四「血漿分画製剤の輸出等」の最初の1行目に、「廃棄予定の国内献血由来」と書いています。廃棄予定のものをまた使うというのは、今の経過でいうと、廃棄されていた、廃棄していたといったような表現の方が、廃棄予定というよりは少し分かりやすいと思います。
また、2行後の「アンメット・メディカル・ニーズ」です。雰囲気は何か分かるのですが、実際にこれは何だろうというところが、疑問に思いました。
もう一点、23ページの三で、「患者等より同意を得る」という、もちろん毎回説明して同意を得るのですが、ここに「書面で」といった一言を加えるか、あるいはこのまま同意でいいのかという、この2点です。
○半田部会長 ありがとうございました。今の御指摘はそれぞれ理解できると思うのですが、何かよろしいですか。
○一瀬血液対策課長 廃棄予定の部分の御指摘については、工夫いたします。アンメット・メディカル・ニーズについては、なかなか適切な日本語がなくて、悩んだのですけれども、厚生労働省の他の報告書などにも使われていましたので、ある程度一般に広まった言葉ではないかという認識の下、この言葉を選んでいます。
書面での同意という行為までこの基本方針中で求めるのかということは、疑義がありました。同意というのは民法上も書面である必要はないというのが、一般的な解釈だと認識していますので、書いていません。
○稲田委員 ただ、病院でヒト由来の製剤を投与する際に、みんな文章で、きちんとした書面で同意を取っていますので、入れることはそれほど医療上不自然ではないような気がします。
○山本(匠)血液対策課長補佐 こちらの同意という所に関して、室井委員から御指摘を頂いたところですが、血液製剤を投与する医療現場では、患者さんの状況というのは様々であり、例えば緊急で運ばれてきた場合も想定されますが、その場合においては必ずしも書面で即座に同意を取ることはできないという状況も想定されますので、厳密に同意書というわけではなく同意という形にして、「原則」という言葉を入れています。
○稲田委員 今の例だと、同意さえ取れないということですね。
○山本(匠)血液対策課長補佐 その場合は「原則として」という記載をしています。
○半田部会長 そうですね、これは議論されたということですね。広く同意としておけば、通常の薬機法上の規定等で文書ということになると思います。これは事務局の案でいかがでしょうか。
○稲田委員 例えば医療訴訟でもめる、紛争になることを非常に気にしたことでしたので、その辺はそういった解釈であればよろしいと思います。
○半田部会長 いずれにしろ、もう一度検討させていただきます。他にいかがですか、それでは大戸委員、それから山口委員。
○大戸委員 17ページの「供給危機が発生した場合の対応」ですが、南海トラフ地震では東日本地震よりもはるかに大きな災害が予想されています。この書きぶりで対応できるのだろうか。製造販売業者だけに預けていいのか、国はどの程度関与する必要があるのか。今の規制全体が、安定供給が可能な状況を念頭に置いた、安定期を想定した管理なわけですけれども、その重大な危機管理の状況になった際、今と同じレベルが維持できるのかどうか。私の意見としては、「製造業者と国は」と入れたいということです。体制を構築するのも、責任を持って体制を構築する、国が関与してなどと一歩踏み込んだ表現にできないかというのが本音です。
○半田部会長 いかがでしょうか。国の責任の下でなど、もう少し強く文言として入れた方がいいという御意見ですが、いかがでしょうか。
○一瀬血液対策課長 すぐ文案が思いつかないのですけれども、工夫いたします。
○半田部会長 ありがとうございます。それでは山口委員どうぞ。
○山口委員 先ほどの松下委員の所を蒸し返すようで申し訳ありません。8ページの所ですが、「また」以下からの、抗体製剤とiPS由来の血小板なのですが、それぞれ大分開発ステージが違うので、両方残すのだとしたら書き分けられた方がいいのではないかと思いました。
要するに、第VIII因子製剤に代替するこの抗体については、もう需給状況をこれから見ないといけないのだろうと思うのです。そこはそこで止めてしまって、「供給が見込まれ、その需給状況について注視する必要がある」。それ以降のiPSについては、これから研究開発動向がどうなるか、これから治験が始まるのだろうと思いますので、そうした所と大分レベルが違うので、そこは書き分けられた方がいいのではないかと思いました。
あとはその前の所で、国内初という組換え製剤について、バイオシミラーのような形、バイオ後続品で開発している所もあるのではないかと思いますので、その辺は血対課で調査していただいて、ここに載せられるようなものがあるのであれば、載せてもいいのではないかという気がします。
○半田部会長 文言上切り分けた方がいいという御意見ですが、いかがでしょうか。
○菓子野献血対策課長補佐 そうですね、これは国民向けの告示ということで、松下先生と山口先生の御指摘を踏まえて、分かりやすく記述します。
○松下委員 5年後ということを想定すると、ヘムライブラ以外にも今治験がスタートしているもので、幾つか代替製剤は5年後には実現している可能性もあります。そういったことも考えると、もう少し広く含んだ形にされてもいいのかと思いました。
○半田部会長 では、これは事務局の方で、もう一度検討するということでよろしいでしょうか。ありがとうございます。他にいかがでしょうか。長村委員。
○長村委員 大変クリアーになってきたと思い、私は感激しています。一つ、10ページの「なお、採血事業者の現状の体制及び新たな原料血漿確保策での原料血漿確保可能量は120万リットルである」。ここは今年度出すとしても、平成30年度におけるなど、年度は書かれた方がいいのではないかと思いました。また「リットル程度」なのか、きっちりそうしてしまうのか、というところも含めてです。その次の2023年というのは、確認ですが、平成がなくなるということで、西暦ということですね。分かりました。
○半田部会長 いかがでしょうか。
○一瀬血液対策課長 採血事業者の確保量については、採血事業者がこれから工夫することによって増えていく分が入りますので、それがいつ出来るようになるかというのははっきりしないので、年度を記載するのは困難かと考えています。きっちり120万リットルというわけではないので、「程度」や「約」など、そうした表記にしたいと思います。
○長村委員 ただですね、改正前の7ページの下には、「平成30年度において」と書かれていたので、それとまた別で少し気になったのです。
○一瀬血液対策課長 現行のものは、120万取れるようになりますと書いてあるのですが、明確なデータを元にした数字ではありませんでした。今回は採血事業者から具体的にお話を聞いて、公の場で発表していただいた数字を持って来ていますので、表現が変わっています。
○半田部会長 ありがとうございます。他にございますか。
○室井委員 学会から提言があって、取り入れた文章に関して質問したいと思います。未承認薬のことで、「医療上必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議を活用し、製薬企業による開発を推進する」。この製薬企業には日赤は入るのでしょうか。意味として、これは結構重要な問題で、クリオをどうするかということにつながるのです。
○一瀬血液対策課長 日本赤十字社も製造販売業の許可を受けていますので、入ります。
○半田部会長 よろしいでしょうか。具体的な御指摘、ごもっともな点もありました。それでは大分時間も経ちましたので、今の御意見を踏まえて、事務局で基本方針の一部修正をさせていただいて、文言については私に一任していただきたいと思うのですが、よろしいでしょうか。ありがとうございました。
それでは事務局においては、修正案をもう一度検討していただいて、その後パブリックコメントが実施されます。その結果を踏まえ、次回9月に開催予定の血液事業部会にて最終案を提示していただいて、また皆様方に審議をお願いしたいと思います。よろしいでしょうか。ありがとうございました。
続いて議題3、3月27日に発生した血液事業情報システムへのログイン障害に関する報告について、日本赤十字社より資料3について説明をお願いします。
○日本赤十字者佐藤経営企画部次長 血液事業本部の佐藤でございます。私から御報告させていただきます。まずページをめくっていただいて、概要からです。平成30年3月27日9時10分頃、全国規模で血液事業情報システムにログインができない事象が発生しました。その後、7時間にわたり献血会場での献血者の受入れができない状況が続き、輸血用血液製剤の製造にも影響が生じました。この障害の発生箇所は、血液事業情報システムを構成するユニットの一つ、情報ポータルと言われる基幹系ユニットへの入口で起こっておりました。血液事業の根幹をなす基幹系ユニット、それ自体は正常に稼動しておりましたので、障害発生前に既にログインしていた端末では通常業務をすることが可能でした。しかし、新たにログインすることができない状況が続いてしまったということです。当日、これを復旧するために、情報ポータルを構成する複数のサーバー、それから、プログラム、これらの再起動を順次繰り返したわけですが、一つ一つの再起動の度に一時的に回復はするものの、事象が再発することが繰り返されて、システムが長い時間動かなかったということです。
情報ポータルに格納してある文書データのフォルダ名変更作業を行った後に、事象が発生していたことに注目しまして、当日の朝5時、これはまだフォルダ名を変更する前の環境ですが、その環境のバックアップデータをシステムに戻して、再度起動したところ、システムが復旧したということです。このような事象が二度と起こらないように、事象発生の根本的な原因、それから、長時間かかった原因といったもの、根本的な原因を特定して対策を立てましたので、次のページで御報告させていただきたいと思います。
3ページです。情報ポータルの概略図を示しております。右上にありますのが、正常に稼動していた基幹系ユニット、これが血液事業を行っているシステムです。通常は左上の「職員」がログインの画面にIDとパスワードを入力することで、右の方の矢印に沿って、情報ポータル内で認証作業が行われ、メニュー画面が表示されます。そして、メニュー画面で目的のメニューを選択して、右側の基幹系ユニットに入っていくことになります。職員自身は基幹系ユニットへログインしようとしているだけなのですが、このログイン一件一件に対し、真ん中の太い矢印で示した「最新情報表示機能」という機能が働きまして、メニュー画面に文書データの最新情報を表示するために、情報ポータルに格納されている文書データ、これは一番真ん中に示していますが、この文書データの最新情報検索が自動的に行われる仕組みになっております。
それから、左下の職員が行ったのは、これは通常行う作業ではなくて、必要に応じて行う作業ですが、これが今回の事象のきっかけになっており、フォルダ名変更の操作が行われたということです。文書データの所に示してある名称変更フォルダ、これがフォルダ名変更の操作を行うと出来上がってまいります。この処理自体はすぐに終了するのですが、その後、真ん中の下の方の矢印で示しました。文書データを定期的に監視している変更情報サーチ機能、これが自動的に動き出します。今回は名称を変更したフォルダが存在しておりましたので、インデックスを作成しようとして、対象となるデータのダウンロードを開始したということです。
今回の事象は、上の方の最新情報の検索の処理と、下に書いてあるダウンロードの処理が、真ん中の同じ文書データを対象としていたために、お互いに取り合う形になってしまって、競合が発生したことが今回の原因であることがログの解析から分かりました。競合によってその後の処理が停滞して、メニュー画面に最新情報の表示がされなくなって、最終的にはメニュー画面そのものが表示されないことになり、左上に書いてある職員がログインできない状況が続いたことになります。
次に、サーバー、それから、プログラムを再起動しても事象が再発した原因ですが、先ほども説明しましたとおり、フォルダ名変更の処理はすぐに終了します。しかし、名称変更フォルダの情報は、真ん中の下に書いてあるインデックスが完全に作成されるまでは、サーバーやプログラムを再起動してもメモリー上に残っていることが分かりました。そのため、再起動の度に事象は一旦解消されるわけですが、インデックスが完全に作成されていなかったということで、左側下の方の変更情報サーチ機能が自動的に動き出しまして、メモリー情報の変更情報を検知して、またダウンロードが始まり、ログインによる最新情報検索との競合が発生しまして、同じ事象が繰り返されていたことが判明しました。このような原因を踏まえまして、4ページに、再発防止の対策を立てています。
今回の障害は、ログインの集中による大量の最新情報検索処理とインデックス作成のためのダウンロードの処理の競合によるものであり、共にこれは文書データを対象とした処理になります。そこで、この文書データを他のシステムへ移設し、文書データに関連する処理を情報ポータルから完全に排除しました。これで情報ポータルは基幹系ユニットへの入口の専用となります。この対策によりまして、今回と同様の事象が発生することはありません。しかし、念のためですが、他の原因で情報ポータルが破損した場合に備えて、情報ポータルを通らずに、基幹系ユニットへ直接アクセスする仕組みも検討しております。
最後になりますが、この度、障害により多くの皆様に御迷惑と御心配をおかけしました。改めて深くおわび申し上げます。また、障害により献血の受入れができずに、血小板製剤の安定供給が懸念される状況になりましたが、多くの皆様の協力で安定供給に支障を来すことはありませんでした。これもひとえに献血に御協力いただいた皆様をはじめ、関係各機関の方々の多くの皆様の御支援のおかげであり、皆様には心より感謝申し上げます。このような事態が再び起こることのないように、御報告のとおり、根本的な原因を解明した上で再発の防止対策を講じましたので、ここに報告いたします。私からの報告は以上でございます。
○半田部会長 ありがとうございました。ただいまの御説明に関しまして、御質問あるいは御意見等々ございますか。前回の部会で御報告いただいたということで、今回はその原因が特定されたと。それに対して、システム上の再発防止策が二重で行われたことだと思うのですが、いかがでしょうか。特に何かございますか。よろしいでしょうか。それでは、日本赤十字社におかれましては、本事例におきまして、今回の再発防止策、それから、献血の経営が長期間停止した状態で、そうした状況に対する危機管理上の対応策です。これも是非検討していただければと思います。よろしくお願いいたします。続きまして、議題4、「その他」です。何かおありでしょうか。
○三浦需給専門官 一件、一般財団法人化学及血清療法研究所の事業譲渡に伴う需給計画の変更について、報告をさせていただきます。なお、本件につきましては書面の資料はなく、口頭での報告となります。化血研におきましては、血液製剤を含む製薬事業について、7月2日にKMバイオロジクス株式会社への事業譲渡が予定されております。これに伴い、需給計画の会社名の変更が必要と考えております。実際に事業譲渡が完了した後、事業譲渡完了の事実、製造販売業の業許可の取得など、事業を運営できる体制が整っていることを確認した後で、需給計画の変更を行いたいと考えております。需給計画の変更に関する御審議の進め方等につきましては、部会長に御相談しながら進めていきたいと考えておりますので、御理解、御協力のほどをよろしくお願いいたします。報告は以上になります。
○半田部会長 ありがとうございます。委員の方々、今の件で御質問等々ございませんか。今申し上げたとおり、需給計画に関しましては、変更点等は私、部会長に一任させていただければと思います。
それでは、本日の議題はこれで以上です。他の方々、何かおありでしょうか。よろしいでしょうか。次回の日程等々については、また事務局の方から連絡があると思います。本日はありがとうございました。
( 了 )
 

 

備  考
本部会は、公開で開催された。

連絡先:医薬・生活衛生局 血液対策課 課長補佐 山本(2909)

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