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2018年4月24日 薬事・食品衛生審議会 血液事業部会 議事録

○日時

平成30年4月24日(火)17:00~

 

○場所

新橋8E会議室

○出席者

出席委員(15名)五十音順

稲 田 英 一、  薄 井 紀 子、  大 平 勝 美、 岡 田 義 昭、 
鈴 木 邦 彦、  千 堂 年 昭、  田野﨑 隆 二、 長 村 登紀子、 
花 井 十 伍、○濱 口    功、◎半 田    誠、 益 子 邦 洋、 
溝 上 雅 史、  室 井 一 男、  山 口 照 英
(注)◎部会長 ○部会長代理 
 

欠席委員(6名)五十音順

衞 藤    隆、  大 戸    斉、  小 幡 純 子、 前 野 一 雄、 
松 下    正、  三 村 優美子
 

日本赤十字社

千葉副本部長、前野経営企画部次長、宮本経営企画部参事、
井上情報システム課長
 

行政機関出席者

森   和彦 (大臣官房審議官)
一 瀬  篤 (血液対策課長)

○議事

 

○一瀬血液対策課長 定刻となりました。ただいまから「平成30年度第1回薬事・食品衛生審議会血液事業部会」を開催いたします。本日の会議は公開で行います。本日は、衞藤委員、大戸委員、小幡委員、前野委員、松下委員、三村委員から御欠席との御連絡をいただいています。専門委員を除く委員20名中過半数の御出席をいただいていますことから、薬事・食品衛生審議会令第9条の規定に基づき、本部会の成立を御報告申し上げます。
委員の薬事分科会規程第11条への適合状況について御報告いたします。全ての委員から適合している旨を御報告いただいています。委員の皆様には、引き続き報告への御理解・御協力を賜りますよう、何とぞよろしくお願い申し上げます。
関連企業と利益相反の申告、取り扱いについて御報告いたします。本日の議題は、利益相反の申告が議決等に関係する審議事項はございません。報告事項のみとなっています。
なお、稲田委員から、過去の利益相反の申告について一部漏れていたとの報告があり、再確認の結果、関連企業からも寄附金・契約金等の贈与の申告がありましたが、これまでの審議事項の議決等には影響がないことを確認しましたこと及び議事録の修正を行わないことを報告いたします。
本日は参考人としまして、日本赤十字社から、千葉広一血液事業本部副本部長、前野節夫経営企画部次長、宮本行孝経営企画部参事、井上正弘経営企画部情報システム課長にお越しいただいています。
カメラの頭撮りはここまでといたします。
この後の進行につきましては、部会長にお願いいたします。
○半田部会長 それでは、早速ですが、資料の確認をお願いしたいと思います。
○一瀬血液対策課長 お手元の資料を御確認させていただきます。
一番上に議事次第がございます。その次に座席表、その次に血液事業部会委員名簿がございます。次に、資料1、参考資料1。その次が、資料2-1、横長のものになります。資料2-2、縦長のものになります。参考資料2がございます。資料3、参考資料3-1~3-5までございます。最後に資料4となります。乱丁等ございましたら、事務局までお申しつけください。以上です。
○半田部会長 ありがとうございました。
それでは、早速議事に入りたいと思います。まず議題1、「平成25年血液法改正の施行後5年を目途とした見直し(平成25年薬事法等の一部を改正する法律の附則の検討規定を踏まえて)」についてです。事務局より、資料1の説明をよろしくお願いします。
○菓子野血液対策課長補佐 御説明いたします。お手元にある資料1と参考資料1を御用意いただいた上、説明を聴取いただければと思います。
最初に、本年の血液事業部会の議題として、事務局から血液法の改正を提案させていただいた経緯をまず御説明いたします。
平成25年に、再生医療等製品の特性を踏まえた規制を構築するため、薬事法と血液法が改正されました。改正前の血液法は、血液製剤の製造などに伴う採血以外の採血が禁止されていましたが、再生医療等製品の製造を認めることとする法改正を行いました。
平成25年改正法には、政府の統一の方針を踏まえて、いわゆる検討規定として法律施行後5年をめどとして検討を加え、必要な措置を講ずることとされておりまして、血液法をめぐる情勢の変化を踏まえ、次ページ以降の検討事項について、法改正等の措置が必要かどうかを委員の皆様に御議論いただきたいと考えております。
また、関連する血液法の条文などは参考資料1にまとめておりますので、適宜御参照いただければと思います。
2ページを御覧ください。最初にマル1科学技術の発展を踏まえた採血等の制限の見直しです。
(1)法改正後の事情の変化といたしまして、血液法は原則、血液から血液製剤、再生医療等製品等以外の製造を禁止しておりまして、これらの製造のための採血や治療行為等のための採血に限り認めていたところを、平成27年から国家戦略特別区域法の特例により、血液由来特定研究用具、これは法律上の用語ですけれども、製造を認めることとしております。
具体的には、京都の民間企業で行われておりまして、例えば、血液中の白血球からiPS細胞を製造し、肝細胞を分化させて医薬品の有効性や毒性の確認に役立てているといったことが行われております。
今後、血液由来iPS細胞を医薬品試験へ活用する企業の増加や、血小板成長因子を細胞培養の培地に用いるといった新たな血液を活用した事業の展開が予測されます。
(2)対応方針といたしましては、血液を活用した新たな用途は医療の進歩をもたらすものであり、このような動きを踏まえた規制制度を構築すべきではないか。再生医療等製品のように、規制の例外としてもよいのではないかということです。規制の例外とした場合でも、今から御説明する点によって献血者等の保護は図られると考えます。
a、血液法第30条により、業として人体から採血することは、医療等以外の目的で行われる場合も、医師法の医業に該当するものとされておりまして、医師や医師の指示のもと看護師などによる安全な採血が制度上規定されております。
また、bにありますとおり、血液法第16条により有料採血が禁止されており、事業者に対して金銭で供血者を誘引した場合の罰則規定も措置されておりまして、頻回供血者の存在を防止できます。事務局としては、有料採血の禁止は引き続き堅持すべきものと考えておりまして、先ほど申し上げた採血の医療みなしの規定と相まって、医師と献血者との間で適切な採血が行われることが期待されます。
cにありますとおり、iPS細胞は増殖させることができるため、採血される量は限られたものとなります。京都では平均30cc程度の採血になっていると聞いております。
3ページを御覧ください。マル2複数の採血事業者を想定した採血のあり方について御説明します。
(1)平成30年1月31日の血液事業部会運営委員会において、EFPIA Japanから、新規に創設する非営利型の法人による採血事業への参入可能性の意思が表明されました。
(2)現在の採血事業許可制度は、例えば、血液法第13条第2項第1号に、不許可の要件として「製造しようとする血液製剤の供給が既に需要を満たしているとき」と、複数の採血事業者の存在を前提とした規定があるように、採血事業者の新規参入は現行法制度上既に可能でございまして、さらに必要な規制を加えるためには法律で明記する必要があります。
また、血液法第24条には、採血者に対して献血者の健康保護に係る義務が課せられています。新規参入に当たっては、献血者の健康保護また選択権の確保の観点から、次に述べる点を強化する必要があるのではないかと考えております。
例えば、a、採血間隔を適切にあけるため、採血事業者は採血の際に自社及び他社の直近1年間の献血履歴を献血者に確認を行うといったこと。
またb、1月のEFPIA Japanの提案だと、成分採血のみを行うということでございまして、国民にとっては日赤との違いが分かりにくいことが懸念されます。採血種類が異なる場合に、献血者が望む献血が可能となるよう誤認防止のための措置として、看板等の表示規制を行ってはどうかと考えております。
4ページを御覧ください。マル3採血制度に係る各種手続の合理化についてです。
平成24年から日本赤十字社は都道府県単位の事業運営からブロックごとの事業運営に移行し、輸血用血液製剤の広域需給管理が定着しているところですが、採血制度は例えば、日本赤十字社が献血受け入れ計画を策定する際には、都道府県に事前に意見を聞くなど、都道府県単位での事業運営を想定した制度となっています。
事務局と日本赤十字社とでいま一度制度の見直しを行い、必要な手続の合理化等の措置について検討したいと考えております。
都道府県等の関係者と調整の上、改めて血液事業部会運営委員会にお諮りすることとしたいと考えておりますので、大変恐縮ですが、委員におかれまして、今回はアナウンスということで御理解いただきますよう、お願いいたします。
最後に、今後のスケジュールです。今回は年度初めのキックオフとして部会で議論を行っていただきたいと存じます。今後は、運営委員会、血液事業部会において、複数回の議論を行い、今年度上半期をめどに案をとりまとめていただければ幸いでございます。よろしくお願いします。
○半田部会長 ありがとうございました。
御承知のように、血液法は血液事業の基本となる法律であって、平成15年に施行されてことしで15年ということで、5年ごとの見直しということで本年がそれに当たるということです。ただいま事務局から概要を説明していただいたわけですが、活発な御意見をぜひ皆さんにしていただきたいと思います。
それでは、ただいまの説明について、御質問あるいは御意見いかがでしょうか。どうぞ。
○鈴木委員 この分野に関しては日赤が一社独占になっておりますので、そのための高価格体質についてはずっと指摘させていただきましたが、競争原理が働かないとどうしてもそうなります。それに風穴があくことは望ましいことではないかと思うので、これからEFPIA Japanの参入に向けて環境を整えていくことが必要ではないかと思います。
○半田部会長 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。稲田委員どうぞ。
○稲田委員 私も、3ページにありますEFPIA Japanの参入ということに対し、競争原理が働くことが非常に重要で、歓迎すべきことだろうと思います。当然のことながら、質の保障、安全性の保障は重要なことですし、こういった会社がどれくらい信頼できるか、実績といったものを今後お示しいただけるものかと思っています。その上で、十分な血液製剤を安全に供給していただくという目的を進めていただければと思います。以上です。
○半田部会長 大平委員どうぞ。
○大平委員 新しい採血事業者の参入の件についてですけれども、3ページに「新規に創設する非営利型の法人による採血事業への参入可能性」と記載されているのですが、それはそれで検討に値するところがあるかと思います。
ただ、血液法の今まで運用の中で日赤の立ち位置があったわけなので、もし、第2の採血事業者が参入するとなると、これまでは一社独占のような形で来たわけですけれども、それに対しての日赤の考え方、今後の日赤の対応について、本来はもう少し日赤の意見を聞いて、それを反映した形も考えないといけないのではないかと思います。別の組織の採血事業への参入を拒むという話ではなくて、実際に、採血事業者としてやっている日赤の考え方というのは重要かと思いますので、よく聞いた上で判断していくことも重要かと思います。
○半田部会長 ありがとうございました。今回は法律の改正で、新規事業者について盛り込むということなので、実際に、例えば新しい事業者が参入するといっても、それはある程度時間がかかって、その間に先行の日本赤十字社との議論というのはこれからしていくと考えてよろしいですか、いかがですか。今回は、法律に盛り込むということだけですね。方向性を示すということだけでしょうか。
○菓子野血液対策課長補佐 部会長の御指摘のとおりでございまして、今、鈴木委員からも環境を整えるべきというのと、大平委員からも拒むものではないという御指摘があったかと思います。ただ、環境を整えるという意味でも、まず制度をしっかり構築しないといけないだろうと。我々としては国民目線で、ドナーの健康保護や選択権の保護というのは、EFPIAが現在はまだ構想段階なので、入ってくるかの入ってこないのか分かりませんけれども、彼らが本格的に参入する前に、制度自体はきちんと整備を進めていかなければいけないと考えております。そのため、このドナーの保護、選択権の保護の議論は、これはこれで進めていきたい。
もう一つ、稲田委員からも御指摘があったとおり、まだ第2採血事業者はEFPIA Japanの構想段階ですので、信用の問題もある。実際に制度を活用して入ってきた際に、どういう事業運営をしていくのかというのは、法制度の話とはまた別個に運営委員会なり血液事業部会の中できちんと議論を進めていく。制度と実際の運用の両輪で議論を進めていくことが重要と思っております。
○半田部会長 今のことであれば、先に大平委員どうぞ。
○大平委員 制度設計するにしても、制度設計を考えていく中で現在の日赤の立ち位置というのは大きいと思います。日赤がこういう制度設計についてノーというような考え方なのか、血液事業部会や委員の判断によって制度設計をつくっていただければ結構ですという話なのか、その辺もよく伺ってからでないと、制度設計の一つの骨格をつくるにしても、事務局側ではこういう形が良いのだろうなというのが提案されてくると思うのですが、それに対して、日赤の基本的な考え方は知っておく必要があるのではないかということでお話しさせていただきました。
○菓子野血液対策課長補佐 大変失礼しました。先ほどお答えすべきところだったと思いますが、実際問題、稲田委員の御指摘があったとおり、第2採血事業者が参入した場合の国民に対する認知度は、日赤と比べれば足りないものと考えられる。社会からの信用度や、今現に確保している採血量からいっても、日赤が引き続き血液事業において、メインプレーヤーとして重要な役割を果たすのは我々も同じ認識でございますので、制度設計なり運用のあり方というのは当然日赤とも連携をとって、彼らの意見もよく聞いて、第2採血事業者の参入環境をきちんと整えていくことが重要だと思っています。
○半田部会長 どうぞ。
○岡田委員 新規参入業者ですけれども、例えば、輸血用血液に特化している業者や、逆に、原料血漿に特化した採血業者というのは特に限定しないというか、要するにゼネラルな採血業者を想定して参入を認めるということなのか、それとも特化した採血業者でも一応認めるということなのか、それはどうなのでしょうか。
○菓子野血液対策課長補佐 採血種類は問わないという考え方です。
○半田部会長 それでは、花井委員から。
○花井委員 確認ですけれども、法の検討がなされると。事務局としては、この法の検討に当たって、法改正するかどうかは別としても、この辺りが関係するのではないかというものの一つ目が血液由来特定研究用具の問題であり、二つ目が新規参入問題であると理解しました。
先ほど、岡田委員からも話があったのですが、そもそも新規参入できる法律に最初からなっており、その中で第13条2項に新規参入の要件が、製造しようとする血液製剤の供給が既に需要を満たしている際は許可しないという話になっていて、これは恐らく輸血用血液が念頭にあると思うのです。現状、血漿輸出を認めてしまった瞬間に、血漿分画原料も日赤が供給するのであれば、すべて満たしていることになっているので、どこまでいっても新規参入はないということにしかならないわけです。先ほどの血漿分画と輸血用血液という役割分担的なイメージがもしあるのであれば、血漿分画の原料の話と輸血用の話は整理し直さないと、そもそも日赤がほぼ独占するだろうということを前提に、しかも、ざっくりと書いてあることから、この条文がこのままいくと、輸出を先にしてしまった瞬間に参入する人はいなくなってしまうし、足りなくなった時点で言っても慌ててできるものではないという話にもなるので、そこは検討が要るかと思います。
それから、何よりも輸血用血液を献血してくださっているドナーの方々が、新規参入によって足が遠のくというのが最悪なので、先ほど大平委員からもありましたけれども、この影響については、日本赤十字社と十分話し合っていただきたいと思います。
もう一つ、そうなると、血漿分画原料製造業者が競合し、日赤の血漿分画製剤原料と新規参入が市場で競合するという状況も想定したものになりかねないわけです、素で読んでしまうと。しかし、実際には、制度設計上は何となく役割分担を想定しつつ行うわけで、法の建前と実態の統制に若干距離が出てくる部分もあると思うので、その辺も説明を十分した上で進めていただきたいと思います。以上です。
○半田部会長 では、長村委員どうぞ。
○長村委員 二点。一点は、新しい献血組織が参入するという、先ほど花井委員がこれまでの法律でも実は参入できたとおっしゃられたのですが、そこはよく理解できていなかったのですが、もう一度定義するという意味では良いのかと思います。ただ、その際に、ドナーさんの採血時の安全性、採血時の標準化というのは、厚生労働省が主導しながらきちんとした体制をとることが大切かと思いました。
あと一点、別のところなのですが、「2 検討事項案」のマル1の採血の制限の見直しに関しては、確かに色々な血液製剤、再生医療等製品以外も出てくると思いますので、ある意味包括的な、例えば、医学の発展のためにというような目的があった方が、ドナーさん側も何に使われるのか理解できるという意味で、そこの制限をあった方が良いと思います。余り製品に限らないような形での案をつくっていくと良いのではないかと思いました。 以上です。
○半田部会長 ありがとうございました。事務局からは特によろしいですか。
それでは、薄井委員どうぞ。
○薄井委員 先生方がおっしゃったのですけれども、一つ確認です。参考資料の3ページが、皆さん方が考えている役割分担のような内容と理解してよろしいですか。花井先生の今の御意見と同じような質問です。
○半田部会長 事務局から何かありますか。
○菓子野血液対策課長補佐 ただいま3人の委員から御指摘のあった点について、お答えいたします。
まず、花井委員から御指摘のあった今の第13条2項1号の要件がある限り、新規参入は難しいのではないかという点ですけれども、まず、役所的な制度論的な話をさせていただくと、あくまで不許可にできるという話でございまして、需要を満たしていたから必ず不許可になるというわけではないということでございます。そこは、当局側の政策判断で、競争させた方が良いだろうと判断すれば許可も出しますし、国民への安定供給を優先するという考えに立てば、この要件を使って不許可にするという考え方もできると思います。
ここは若干議論の先取りになるのですけれども、正に花井委員と大平委員からも御指摘あったとおり、最終的には日赤と第2採血事業者の役割分担ということになるかと思います。これは血液事業の世界では、冒頭、鈴木委員からも御指摘がありましたけれども、平成15年以来、日赤が提供する原料血漿のコストの問題というのは、様々な委員から問題提起があったものと承知しています。そのため、需要は確かに今、国内自給分が仮に満たされているとし、よりコストを削減した形で供給することが保険医療全体として望ましいという判断が例えば部会の結論で得られた際には、仮定の話ですけれども、今、約100万リットル強原料血漿が必要であると。例えば、日赤には何万リットル、第2採血事業者には何万リットルという形で役割分担が可能であれば、そういった形で採血量は献血受け入れ計画の議論の中で割り当てて、低コストで採取を行う、あるいは日赤からは以前の部会でも御説明したとおり、コスト割れで出しているということで、非常に経営的な負担という観点もあるかと思います。そこは当然日赤の意見も聞きながらですけれども、第2採血事業者に血漿確保量を置きかえることができれば、コスト割れだった部分を、コストも回収し、ある程度の適正利益をオンした形でも、日赤より安い価格で仮に第2採血事業者が提供できるとすれば、それは保険医療全体を見渡した際に好ましいという結論が出れば、そういった形で参入することができるという整理で、この要件をクリアーするという考え方もできるのではないかと考えます。それが、正に委員の御指摘した役割分担ということかと理解しておりますが、これは今後議論していただくということかと思っております。
あと、長村委員から御指摘のあった、採血の標準化や安全というのは当然、ナショナルミニマムとしては医薬品医療機器等法に基づく生物由来原料基準で適切な問診をすることや、HIV等のNATを行うことということはルールとして決まっております。それを具体的にどういった形でしていくかというのは当然議論が必要だと思いますので、それは今後彼らの事業内容が明らかになった上で、採血事業の許可を取る前にそういったことも含めて安全技術調査会なりできちんと議論する必要があると考えておりますので、今後行っていきたいと思っています。
あと、採血制限の御指摘のところは、御意見も踏まえて条文をどういったものが書けるか検討してまいりたいと思います。
薄井委員の御指摘の点は御理解のとおりでございます。よろしくお願いいたします。
〇半田部会長 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。どうぞ。
〇田野﨑委員 これまで、例えば、日本の中で血漿分画製剤を扱う業者が3社あって、その中で原料血漿をうまく融通し合うような仕組みがまだ十分できていないにもかかわらず、ここに採血事業者が今後複数出てくる方向性がもしできると、混乱を来す可能性が十分あり得ると予想されるのですけれども、そこは採血事業者がふえること自体は悪いことではないと思いますが、同時に互いの融通をうまくきかせることができるような仕組みを盛り込んでつくっていく必要があるのではないかと思います。
〇半田部会長 それでは、溝上委員どうぞ。
〇溝上委員 私は、感染症の専門家という立場でこの席にいるのだと思いますので、血液感染症という立場で言わせてもらいます。過去には各種の肝炎ウイルスが血液製剤で感染した。その結果、現在、膨大なお金がB型やC型肝炎の患者さん達やその対策に使われています。 先ほどのお話では、日赤のコストの問題がありましたけれども、血液感染症としては現在不明のが、存在する訳です。それに年間3500万という人が日本に来る、また、2000万の人が外に行く、そうすると感染する機会は増加してきます。その結果、現在の検査だけでは完全に防げない可能性が高くなると思います。 検査の費用も膨大にかかってくると思いますし、現在500万本全てをPCRにかけているわけですので、それだけの費用を考えると、将来の輸入感染症ということを考えた場合、常に費用対効果を考えておかないといけないと思います。
そういう意味で、日本の現在の制度がパーフェクトとは言いませんけれども、少なくとも世界的には最先端のレベルにある、最も安全なレベルにあると思いますから、その大原則は崩さないような形で、ぜひお願いしたいと思います。
最も恐れているのは、プリオンが本当に現在の体制で防げているかどうかというのは、あと10年か20年しないとだれも分からないのです。血液というのはそれほど危ないものではないかと私自身は思っているのですが、そういうわけで一言言わせていただきました。
〇半田部会長 ありがとうございました。
議論が一点にほぼ集中していたのですけれども、これに関しましては、これから運営委員会で議論していただくと。大平委員も花井委員もいらっしゃいますし、そこで日本赤十字社との関連等々も議論を深化していただければと思います。そして、逐次この血液事業部会に、2か月に一度程度開かれますので報告していただいて、実はタイムスケジュールが非常に厳しくて、上半期にある程度まとめ上げなくてはいけないということなので、皆様方の御努力をぜひお願いしたいと思います。
どうぞ。
〇鈴木委員 話を聞いていると、何となく事前の調整をかなり効かせて、独占ではなくなるけれども、それぞれがそれなりの役割を分担してできるようにという協調路線が少し強過ぎるのではないかと思います。せっかく新規参入されるので、もう少し競争原理が働くような仕組みにしていかないと、新規参入を認める意味がないと思います。余り事前調整をやり過ぎるのは問題だと思います。
〇半田部会長 ありがとうございました。御意見を承って、事務局にはぜひお願いしたいと思います。
それでは、議題2に入りたいと思います。「血液法に定める『血液製剤の安全性の向上及び安定供給の確保を図るための基本的な方針』の5年ごとの再検討について」です。事務局より資料の2-1、2-2の説明をお願いいたします。
〇山本(隆)血液対策課長補佐 それでは、御説明させていただきます。いわゆる血液法に定める基本方針の再検討ということになります。資料2-1をお手元に御用意ください。A4横の資料でございます。
2ページです。基本方針は、今後の血液事業の方向性を示すものでありまして、血液法の第9条第1項におきまして、厚生労働大臣が定めるものとされているところです。
第2項において、基本方針の記載項目として第一号から第八号まで、この項目について基本方針の中で書くのだということが決められております。
第3項ですが、少なくとも5年ごとに基本方針に再検討を加え、必要がある場合には、これを変更することとされているところでございます。
現行の基本方針は、資料2-2としてお手元にお配りしております。現行のものは、平成25年7月に策定しているものでございます。その後、平成26年11月には改正薬事法の施行によりまして、薬事法の名称が医薬品医療機器等法に変更になったこともありますので、基本方針で薬事法の名称を引用している部分を「医薬品医療機器等法」に改めるという一部改正を行っておりますが、現行の基本方針の制定からちょうど5年が経過することになりますので、これを再検討、見直すということを行っていくものでございます。
3ページを御覧ください。見直すに当たりましては、血液法の基本的なフレームを維持しつつ、これまでの血液事業部会における最新の議論を反映させていくことにしたいと思っているところでございます。
血液事業部会における最新の議論につきましては、参考資料2にという形で資料を配付させていただいております。平成28年10月にとりまとめられました、ワクチン・血液製剤産業タスクフォース顧問からの提言や、この提言の具体策について、これまで血液事業部会において御議論いただいてきた資料をまとめているところでございます。適宜こちらも御参照いただければと思います。
資料2-1の3ページにお戻りいただきまして、これまでに血液事業部会において御議論いただきましてコンセンサスを得られた内容を新しく基本方針に取り込んでいく必要性があるだろうということから、資料では新たに取り込まなくてはいけないと思われる内容を御提示させていただいているところでございます。
大きい矢印が書いてある下になりますが、第二、第三ということでと書き出しておりますが、これが先ほどの血液法第9条第2項の各号で定められている法定項目に該当しているところでございます。
早速ですが、中身について御説明させていただきます。
「第二 血液製剤についての中期的な需給の見通し」という項目では、まず、血漿分画製剤の項目におきまして、国は、国内の医療需要を踏まえた原料血漿の需要見通しを実施するということを書き込ませていただいております。こちらは昨年9月の血液事業部会において、事務局から必要原料血漿量の推移として、国内分画製剤メーカーが配分を希望する原料血漿の合計量を示させていただいたところがございました。原料血漿の必要量を単純に合算しているものでございますが、今後、平成36年度には140万リットルを超えるという試算が得られているところでございます。こういったこともありまして、原料血漿の需給見通しをしっかり実施していくことを書き込むところでございます。
その下につきましても、9月の血液事業部会におきまして、日本赤十字社から新たな原料血漿の確保策を出していただいたところでございます。こういう取り組みについて、しっかり行っていただきたいということで記載させていただくところでございます。
次が、血液製剤代替医薬品という項目です。こちらは、iPS細胞由来血小板といった、新たな技術による製剤の開発状況を確認していくことを書かせていただきます。これにつきましては、この後、献血による血液の確保量にも影響を与えることになってくるということなので、ここについてはしっかりと確認していくということでございます。
「第三 血液製剤に関し国内自給が確保されるための方策に関する事項」でございます。
ここに掲げられている項目は、いずれも先月3月の血液事業部会で御議論いただいた内容となりますが、未利用の中間原料の活用による国内自給の推進や、外国由来の原料血漿によるオーファンドラッグなどを中心に、これらを国内献血由来原料血漿の新たな配分によって、国内原料血漿由来製品に置きかえていくということで、国内自給を推進するということを書き込ませていただきます。
4ページ、「第四 献血の推進に関する事項」です。
全血200ミリリットルの献血、400ミリリットルの献血、血漿成分献血、血小板成分献血といった献血の区分については、採血事業者におきましては献血者の意思を尊重して決定することが重要だということを書き込ませていただきました。
将来の献血基盤を支える若い方に献血に協力してもらうことが非常に重要だということで、その入門編といたしまして、200ミリリットル全血採血を活用することが求められているところでございます。一方で、医療機関における200ミリリットル由来製剤の需要というものは少ないということで、献血者が200ミリリットル全血を希望したとしても、必要な量が確保できているということで、その際は献血を御遠慮いただくこともあるということでございます。このようなことが続きますと、こうした方々は次の献血にはつながらなくなってくるということがありますので、ここでは献血者の意思を尊重して決定するということを書かせていただきました。
「第五 血液製剤の製造及び供給に関する事項」です。
こちらにつきまして四つの項目を書かせていただいております。上の二つは、いずれも3月の血液事業部会におきまして、国内血漿由来の原料血漿の配分に関して、現に配分を受けている企業に加えて、新たに配分を希望して、これによって国内に分画製剤を供給しようとする企業にも配分することということが出てきました。その配分ルールについては血液事業部会で決定すること、そのことを基本方針に明記するということがありましたので、その旨を書かせていただくということでございます。
また、原料血漿の配分に当たっては、関係者間で血漿分画製剤の需給に関する情報交換を密にして相互理解を深めるということも書かせていただくということです。
その次につきましては、昨年12月の血液事業部会で具体例を示させていただいた、血液製剤の輸出に関する内容でございます。国内の未利用の中間原料を活用した血漿分画製剤の輸出によって、献血血液の有効利用であるなど、アンメットメディカルニーズに対する国際貢献の実施を書き込ませていただきました。
最後ですが、昨今の化血研の事案を踏まえた対応を書いているところです。安定供給の観点からは、シングルサプライを解消する必要性があるので、新たな同効製品の上市を図ることを書かせていただいております。
5ページ、「第八 その他献血及び血液製剤に関する重要事項」です。
ここに書かせていただいている内容は、1月の運営委員会におきまして、安定供給の観点から、単品単価取引の適正化を図る措置をとるようにという要請を事務局が受けたところでございます。これを受け、血漿分画製剤の取引の適正化という通知を私ども事務局から発出させていただきました。引き続き単品単価取引を推進することを書かせていただくところでございます。
「※1」として、このほか血液事業部会におきましては、未利用の中間原料へのアクセスに関する仕組み、原料血漿の配分量、標準価格の複数年契約化についても提案させていただいております。これらについても具体的な検討が進み次第、基本方針の議論の進捗にあわせて反映していきたいと思っております。
「※2」でございますが、ここまで御説明してきたもの以外に、実は第一、第六、第七という項目もございます。こちらにつきましても、当然のことながら必要な記載整備を行っていくということでございます。
今後のスケジュールでございますが、先ほどの血液法の見直しと同様に、運営委員会、血液事業部会において、複数回の議論を行い、今年度の上半期をめどに案をとりまとめていただければと思っているところでございます。
どうぞよろしくお願いいたします。
〇半田部会長 ありがとうございました。
議題2は、血液法が定める基本的な方針の改正の方向性、つまり事務局案ですが、これについて説明いただきました。それでは、御意見・御質問どうぞ。室井委員。
〇室井委員 資料2-1の2ページ、「血液法『基本方針』の5年ごとの再検討について」で、第9条の2の下に一~八までの小項目があるのですが、そこに献血者の安全確保という項目がないと思うのです。四に献血の推進というのはありますが、ドナーの安全は極めて重要なので、あった方が良いかと思いまして質問しました。
〇半田部会長 法律の方にないということですね。基本方針の中には、多く書いてありますね。
〇室井委員 ただ、献血の推進はありますけれども、献血者の安全確保が書いていないので、あった方が良いのではないかと思って質問しました。
〇半田部会長 要するに、今のお話は議題1の方ということですね。
〇室井委員 資料2の最初の項目に、少しずれるかもしれませんけれども、献血の推進に関しましてはドナーの安全性が非常に重要なので、そういうことがどこかに入った方が良いかと思って質問した次第です。
〇半田部会長 ありがとうございました。これについては、いかがですか。
〇一瀬血液対策課長 資料2-1の2ページに記しています、現行血液法第9条において、第2項第一から第八号までについては基本方針に定めることとされています。現行血液法の条文にはドナーの安全確保に対応する項目がありませんので、法改正をしない場合であれば、第八号の「その他献血及び血液製剤に関する重要事項」の中に書き込む手法が考えられますけれども、第一から第八号に加えて新しい号を設けた方が良いのではないかという委員の御提案という理解でよろしいでしょうか。
〇室井委員 その方が望ましいと思います。
〇半田部会長 法改正の一つとして議題1に入れた方が良いという御意見ですね。それは、事務局で検討していただくということでよろしいですか。
〇一瀬血液対策課長 現行の基本方針の記載ではお手元の資料で言いますと資料2-2の11ページの下部に「第八 二 採血基準の見直し」という項目があり、わずかではありますけれどもドナーの安全確保に関する記載がございますが、法改正が必要か否か事務局で検討いたします。
〇半田部会長 よろしいでしょうか。ほかに御意見・御質問いかがでしょうか。 どうぞ。
〇溝上委員 資料2-1の2ページに、「基本方針は、次に掲げる事項について定めるものとする」とありますが、一に「血液製剤の安全性の向上及び安定供給の確保に関する基本的な方向」とありまして、さらに六には「血液製剤の安全性の向上に関する事項」と、事項、事項、事項が三~八までありますけれども、そうであれば一というのは、安全性の向上に関する基本的な方向が一つであって、安定供給の確保に関するものとは別にすべきではないでしょうか。基本的な方向というのは、どうなのでしょうか。
〇半田部会長 これも基本方針ではなくて法律についての御質問ということですが、いかがでしょうか。
〇山本(隆)血液対策課長補佐 言葉の問題というのはあるのかもしれませんが、基本的に一号に書いております「血液製剤の安全性の向上及び安定供給の確保に関する基本的な方向」に関しましては、血液法の基本理念に基づいて、安全性の向上、さらには国内自給の原則、安定供給の確保、適正使用の推進、公平性・透明性の確保の向上ということから始まりまして、全体のことを書いている総論で、その次に各論的な形でそれぞれの項目が出ている構成になっているものでございます。
回答になっているか分かりませんが、目次立てが、まずは総論があり、各論がその後に出てきていると。
〇溝上委員 そうであるならば、基本的な方向というものが大原則であって、それに付随する項目として二、三、四、五、六、七、八があるという項立てにしないとまずいのではないかと思ったので、お聞きしたわけですが。
〇山本(隆)血液対策課長補佐 そういう構成になっていると認識しております。まず、全体の話、総論がありまして、その後に各論の項目が来ているということで、全体の基本的な方向が示されています。
〇半田部会長 追加ですけれども、資料2-2を見ていただくと、今先生が御指摘された基本的な方向ということで、1~2ページに書いてあって、2ページの一番上に「1 安全性の向上」ということで、概要や経緯が書いてあるということですね。
あと、安全性に関しては、例えば9ページに「第六 血液製剤の安全性の向上に関する事項」が書いてあって、そこに取り組み等々具体的なことが書いてあるということなので、一応構成としてはよろしいのではないかと思うのですが、文言がよくないということでしょうか。
〇溝上委員 基本的に了解しました。
〇半田部会長 ほかにいかがでしょうか。どうぞ。
〇益子委員 資料2-1の3ページの「第二 血液製剤についての中期的な需給の見通し」の一つ目の血漿分画製剤で、二つ目の・に「採血事業者(日本赤十字社)」と限定しているわけですけれども、5年前の文章を見てもどこにも日本赤十字社とは書いていないのですが、採血業者が複数これから参入してくるという時代に、ここで限定するのは趣旨に逆行するのではないかという心配があるのですが、いかがですか。
〇山本(隆)血液対策課長補佐 御指摘ありがとうございます。参考資料2を御覧いただきたいと思うのですけれども、それぞれの資料の右下に通し番号でページ数を振ってございますが、その中で7ページの日本赤十字社の資料を御覧いただきたいと思います。
〇益子委員 私の質問の趣旨と少し違うお答えなのですが、先ほどの議題1では、複数の採血業者が参入するという前提で議論しましょうという話でしたね。今度ここに来たら、採血事業者は日本赤十字社と限定するというのは、先ほどの議論と齟齬(そご)がないのですかという質問です。
〇菓子野血液対策課長補佐 御指摘の点について、日本赤十字社と書いたのは、参考資料の7ページにありますとおり、昨年日赤から原料血漿をより多数確保するという意思表明がありましたので、それをイメージして書いていたのですけれども、これは国の基本方針でございます。日赤の個別の話ではなくて一般論を記載すべきですので、「採血事業者」と一般名称で記載するようにしたいと思います。どのような採血事業者が入ってきても、原料血漿の確保に尽力するという形で記載したいと思います。
〇半田部会長 よろしいでしょうか。ほかにいかがでしょうか。どうぞ。
〇田野﨑委員 資料2-2の「第三 血液製剤に関し国内自給が確保されるための方策に関する事項」を見てみますと、平成30年をめどに国内自給の達成を目指すものとすると。具体的な方策をしっかりと書かれていて、事業の最大限の効率化及び合理化を図ることが必要であるなど、そういう文言が既に記載されているものがあるわけですが、現在の達成度をもう一回振り返ってみますと、まだかなり遠いのではないかということを少し感じるものでありまして、見直しの方向性の議論をする際にどこまで達成できていて、なぜできていないかということを十分に検討し、それについてもきちんと組み込むようにしていただくのが良いかと思います。
〇半田部会長 事務局から特に何かございますか。貴重な意見をありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。どうぞ。
〇花井委員 まだ時点修正など細かいものはまだ入っていないのですけれども、ここでもう一回溶け込まし版が出てくるのですね。
〇山本(隆)血液対策課長補佐 そのとおりです。今回は、新たに取り込まなければいけないだろうと思っている項目を中心に。
〇花井委員 大項目として入れなければいけないもの。例えば、代替製剤の市場動向である、資料2-2の6ページの下であれば、特に赤血球製剤だけに「安定供給を確保」と入れているものなど、細々これで良いのかというのは、そちらで1回限定して、時点修正をかけて、溶け込まし版と共に出していただけるという理解ですね。それなら結構です。今は細々言うのはいいかと思って。すみません。
〇山本(隆)血液対策課長補佐 次回にはきちんと分かる形で、全体の文章を示していきたいと思っております。
〇半田部会長 花井委員、まだ時間は結構ありますので、細々なことでも今言っていただいた方がそれだけ早くなりますので、もしできれば。
〇花井委員 今少し指摘したのですけれども、資料2-2の6ページの一番下に「また、血液製剤、特に赤血球製剤の安定供給を確保するためには」と、赤血球製剤に特化する記述があるのですが、これは状況を踏まえて、別に赤血球製剤に限る必要はないのか。また、血小板製剤の安定供給に係ることは入れる必要があるのか、その辺が時点修正になろうかと思いますし、第VIII因子の代替製剤については、血液製剤以外の代替品も出てきているので、そういった動向も踏まえるというところが考えられるかと思います。
それから、もう一点、先ほどの安全のところで、基本方針としては安全面が後ろに書いてあるので、それで良いと思うのですが、結局のところ安全面は薬機法で行っている部分と、血液法により、血液事業部会で遡及調査や感染症定期報告など所掌しているところがあり、安全対策との連携をとっていくとなっていると思うのです。実はこれでは分かりにくくなっていて、特殊な入れ子状態になっているので、血液法と薬機法の所掌関係がほかの医薬品と少し違うのです。明確に行っているのは感染症定期報告と遡及調査なのですけれども、一方で、安全技術調査会等で採血の受け入れ業者なのだけれども、安全に対することもしているという形になっているので、気になった理由は、この前たまたま代替製剤のことを取り上げましたよね。あれは結局のところ、たまたま特殊な委員がいて、自分の病気だからよく知っていたので問題ではないかと出ただけで、別に監視指導課からこういう案件がありますとこちらに報告があったわけではないですよね。代替製剤など、もちろん本体血液製剤等々で、例えば輸血用血液のクラス回収というのはよくあるのですが、分画や代替で回収があった場合は、きちんと血液事業部会に報告されていなければいけないのではないかと思うのです。それは今までは連携して行うということで、最初はそういう立てつけで何とかスタートしていますが、徐々にずれてくると法律に書いていなければ安全対策は安全対策、こちらはこちらとなってしまうので、そうすると血液に関しては、自給と安全の全てを見ていますよというところが少しずれてきているので、先ほどの御意見もあると思うのですが、上手な書き込み方を今すぐには思いつかないのですけれども、そこは書き込んだ方が、分かりやすいのではないかと思います。今思いついたのは3点です。以上です。
〇半田部会長 ありがとうございました。
追加ですけれども、資料2-1の5ページに書いてありますが、今後のことに関しては第一と第六、第七、特に適正使用と今の安全性についても当然見直しが入るわけで、それについては、それこそ皆様方の御意見を幅広く聞き入れて作業を進めるということでよろしいですね。あくまでも今回お示しされたものは、見直しの一部というか方向性ということですね。これでなくてはいけないということではないですね。一つのたたき台であるということで良いのではないかと思います。そのため、溝上委員もぜひ安全性に関しては引き続き見ていただいて、御提案いただければと思います。
ほかにいかがでしょうか。山口委員どうぞ。
〇山口委員 横長の資料2-1の方向性については、これでよろしいのかと思うのですが、せっかくなのでタスクフォースで挙げられている参考資料2の5ページの「安定供給の確保」に幾つかタスクフォースで挙げられている項目があって、この項目の中にはなかなかすぐに取り組めないものと、実際に取り組んでいるものとあると思うのです。例えば、五つ目に採血量の増加とありますが、これは取り組もうと思うとかなり議論が必要になってくると思いますし、要するに、タスクフォースで挙げられているのだけれども、この部分についてはすぐにやれないという判断があっても良いのかという気がします。
〇半田部会長 特によろしいですか。先ほど田野﨑委員もおっしゃったような、安定供給、国内自給に関しては、現状を分析してということで行っていくのが良いだろうということだと思いますが、事務局は御意見として承るということでよろしいですか。
では、長村委員どうぞ。
〇長村委員 これは今まで余り真面目に逐一読んだことがなかったのですが、今回ぜひもう一回考慮していただきたいのは、読みやすい文章というか、同じような文言が多く出てきて、安全供給、国内自給ということは、先ほどもありましたが、大前提の基本ということがあっての、あとはそれぞれに全てそれを同じように書く必要はないのかと。
あと、基本的な方針という色々な書き方があるのかと思うのですが、具体的な何リットル、何十何リットルなど、もしかして7が実は6だったということもあるかもしれないかと思いますので、その辺まで数字を書き込まなければいけないのかどうかというのは今回の感想として思いましたが、いかがでしょうか。全体像が余りに細かく書き過ぎているのかと少し思ったのですが、いかがでしょうか。
〇山本(隆)血液対策課長補佐 この血液法の基本方針は、今後の血液事業の方向性を示すものということで、5年ごとに見直すということなので、向こう5年間についてはこうですと示していくものだと思っております。そういう大前提のもと、数字の出し方、見せ方も含めて、分かりやすく見やすいような形で次の改正作業を進めていきたいと思います。ありがとうございます。
〇半田部会長 恐らく、法律の条文の書き方というのは基本的なルールがあって、そういうところではなじみにくいという感じがあるのですけれども、そういうことでしょうかね。いずれにしろ、今の御意見は検討していただきたいと思います。
ほかにいかがでしょうか。どうぞ。
〇室井委員 少し細かい話ですけれども、資料2-2、10ページに「五 自己血輸血等の取扱い」という項目がありますけれども、「自己血輸血を行う際は、法第二十四条第二項に基づき定める基準及び」とありますが、この法第24条第2項というのは、どのような内容が書かれているものなのでしょうか。自己血輸血に関する基準があるというのを私は初めて知ったのですが。
〇一瀬血液対策課長 参考資料1の4ページに第24条第2項を載せています。
〇室井委員 法律があるのですか。
〇一瀬血液対策課長 採血者の義務に関する条文で、「採血者は、厚生労働省令で定めるところにより貧血者、年少者、妊娠中の者その他採血が健康上有害であるとされる者から採血してはならない」という規定がございますので、そこを引用しています。
〇室井委員 その基準は、健常人の献血者の場合ですか。
〇一瀬血液対策課長 これは血液製剤の原料たる血液又は輸血のための血液を得る目的の全ての採血に関しての規定になります。
〇室井委員 分かりました。
〇半田部会長 ほかによろしいでしょうか。それでは、基本方針の見直しについても、運営委員会、この事業部会に逐次報告いただいて、検討を加えていただければと思います。ありがとうございました。
続きまして、議題3、「平成29年度献血推進調査会の審議結果について」ということで資料の説明をよろしくお願いします。
〇山本(隆)血液対策課長補佐 議題3の関係につきまして、資料3、参考資料3-1~3-5までを用意させていただいております。こちらにつきましては、3月27日の献血推進調査会で御審議いただいた内容を血液事業部会に御報告させていただくものでございます。
資料3を御覧ください。「『献血者等の健康被害の補償に関するガイドライン』の一部改正について」というものでございます。
「1 改正の趣旨」として幾つか〇で項目を書かせていただいております。薬事法及び採血及び供血あっせん業取締法(採供法)が、平成14年に現在の血液法に改正されたわけでございますが、その法律の附則において、「政府は、採血事業者の採血により献血者に生じた健康被害の救済のあり方について、速やかに検討を加え、その結果に基づいて法制の整備その他必要な措置を講ずる」ということが書かれておりました。こういうことがありましたので、平成16年9月から「安全で安心な献血のあり方に関する懇談会」を開催いたしまして、献血後の健康被害の救済のあり方について検討を行い、報告書がまとめられたということでございます。この報告書は、参考資料3-1として配付させていただいておりますので、適宜御覧ください。
この報告書を踏まえまして、血液法の省令であります採血の業務の管理及び構造設備に関する基準の改正を平成18年10月に行いまして、採血事業者が献血者等の健康被害の補償のために必要な措置を講ずるということを法令上明確に位置づけたということがございます。この省令につきましては、参考資料3-2としてお手元に配付させていただいております。
それに加えまして、献血者等の健康被害の補償に関するガイドラインを定めまして、採血事業者が献血者等の健康被害の補償のための講ずべき措置について、標準的事項を定めたところでございます。こちらは平成18年9月に厚生労働省医薬食品局長通知で示しているものでございます。参考資料3-3で配付させていただいております。
このガイドラインについては、献血による健康被害の補償について、医療費、医療手当、障害給付、死亡給付、葬祭料を給付項目とするということを示しておりまして、それぞれの給付額につきましては、独立行政法人医薬品医療機器総合機構法で定める医薬品副作用被害救済制度と災害救助法等に準拠して定めているという形になってございます。
医薬品副作用被害救済制度給付額は、消費者物価指数などを踏まえて、毎年給付額の見直しが行われているところでございます。
一方で、献血者の補償に関するガイドラインについては、平成18年に定めて以降、給付額の見直しが一切行われてきませんでした。こういうこともありますので、今般4月から施行される医薬品医療機器総合機構法施行令で、給付額の改正がされるということがあったものでございますから、これに合わせまして献血者の健康被害補償に関するガイドラインにおいても、消費者物価指数などを踏まえて給付額の見直しの検討を行うことを明記した上で、この4月から適用される給付額の改定を医薬品医療機器総合機構法施行令に合わせる形で改正を行うものでございます。
その他、所要の改正も行っております。
2ページでございますが、給付額の改定は、医療手当について若干の増加、葬祭料についても増加を行っております。医薬品副作用被害救済制度に合わせた改正でございます。
その他所要の改正については、献血によって後遺症を負った方には障害給付を支給することになっております。それは災害救助法の障害等級表に基づくことになっているのですが、こちらについてもこれまで障害の区分などについて所要の改正が行われてきたのですけれども、ガイドラインでは反映されていかなったので、この際あわせてそちらについても反映させていただいたものでございます。
この内容を3月27日に開催いたしました献血推進調査会で御審議いただきまして御了解いただいたということで、この4月1日から適用する改正を行っているものでございます。これは先ほども言いましたとおり、当時は安全で安心な献血のあり方に関する懇談会を開催していたということですが、この懇談会は役割を果たし、現在は存在しませんので、献血推進調査会の方で御議論いただいたということでございます。
内容につきましては、簡単でございますが以上でございます。
付け加えといいますか、この場で御報告させていただきたいことがございます。
ガイドラインでは、死亡給付につきましては880万円ということになります。一方で、同じようなドナーが自分の体のものを提供する仕組みといたしまして骨髄バンクがありますが、あちらにつきましては、ドナーの方が死亡された場合の給付額が実は1億円になっているということで、非常に金額に開きがあるということで、補償のガイドラインに従って給付業務を行っている日本赤十字社から、880万円というのは余りにも安いのではないでしょうかということで、同じような仕組みである骨髄バンクが1億円であるので、そのくらいの水準に引き上げても良いのではないかという御意見をいただいておりますので、今後、死亡給付について1億円に引き上げることについても検討していきたいと思っているところでございます。献血推進調査会の内容につきましては、以上でございます。
〇半田部会長 ありがとうございました。
献血者等の健康被害の補償に関するガイドラインの改定ということです。いかがでしょうか。何か御意見はあおりでしょうか。
鈴木委員どうぞ。
〇鈴木委員 本人には何の落ち度もないのに亡くなって880万円というのは、あり得ない低い金額だと思いますので、骨髄バンクに合わせての見直しは妥当だと思いますが、これをゆっくり議論していると、最近、死亡事故は起きていていないようですが、その間に死亡した場合は880万円ということでは酷だと思いますので、議論が開始されたら新しく予定される額が適用されることも含めて、ぜひ議論していただきたいと思います。
〇半田部会長 ありがとうございました。早急に制度をつくり上げるということですね。よろしくお願いしたいと思います。
ほかにはいかがでしょうか。山口委員どうぞ。
〇山口委員 骨髄移植が1億円で、その差が大きいというのは驚きましたけれども、あと、参考になるのは、再生医療でもドナーの方の安全性というものがあるのではないかと思うのですけれども、そういうことでほかのものも調べていただければ有り難いと思いました。
〇半田部会長 ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。当該救済制度の改正ということですが、よろしいでしょうか。それでは、事務局におかれましては、死亡給付金の1億円引き上げ等々もありますので、早急にガイドラインの改定をお願いしたいと思います。それから、日本赤十字社におかれましても、ぜひ制度の適正な運営をよろしくお願いしたいと思います。ありがとうございました。
それでは、最後、議題4「その他」です。日本赤十字社より、血液事業情報システムへのログイン障害に関して、資料4の説明をお願いしたいと思います。
〇千葉日本赤十字社副本部長 それでは、資料4について御説明させていただきます。
3月27日に発生いたしました血液事業情報システムへのログイン障害に関する報告ということでございまして、ちょうど27日は献血推進調査会が開催されていたところでございまして、この調査会におきましても口頭ではございますが、御報告をさせていただいたという状況でございます。本日は、資料をもって御説明させていただきたいと思ってございます。
今回のログイン障害の発生につきましては、多くの皆様に大変な御迷惑と御心配をおかけしたことにつきまして、深くおわび申し上げる次第でございます。また、当日27日、翌日28日には多くの献血の御協力をいただきまして、また、関係機関、報道機関の皆様にも御支援を賜りまして、不足のない供給ができたということでございますので、改めまして厚く御礼申し上げる次第でございます。ありがとうございます。
それでは、資料の御説明をさせていただきます。2ページでございます。発生いたしました概要でございます。
(1)発生した日時でございますが、平成30年3月27日火曜日でございます。9時10分ごろ発生いたしまして、結果として最終的に全てがログインできるようなりましたのが、16時10分ごろということでございます。
(2)障害内容でございます。血液事業情報システムにログインができない事象がございました。こちらにつきましては、全国規模で7時間にわたり発生いたしまして、多くの献血会場で献血の受け入れができなくなったという状況でございました。また、製造所におきましては、輸血用血液製剤の製造が遅延したということでございましたが、障害発生時に既に9時10分までにログインをしておりました端末につきましては、通常どおりの使用が可能でございましたので、その端末については献血受け入れ、製造、供給等の通常業務が実施可能でございました。
(3)障害箇所でございます。こちらは、血液事業情報システム、血液事業全体を基幹業務として行っている基幹システムがこの血液事業情報システムということでございまして、構成ユニットである一つの情報ポータル認証システム、ログインする際に個人を認証して、その基幹業務に入っていく、操作に入っていくための要はログインするための認証部分でございますが、こちらの障害でございました。本来の基幹業務であります、例えば献血者データや、製造データには一切影響がなかったということでございます。
3ページです。今申し上げた内容を図解したものでございまして、右側の基幹系ユニットは、献血・採血システム、検査・製造システム、供給システム、品質管理システムでございます。こちらは基幹系ユニットと我々は申し上げていますけれども、こちらは正常に稼働していたところでございます。ですが、こちらにアクセスするために認証してセキュリティーを管理している、スライド左側にございます認証部分(ログイン)にデータ破損がございまして、ログインできない事象が発生し、9時10分以降に入ろうとした端末が認証できなかったということでございます。
4ページです。当日3月27日の9時10分からこの状況が発生したことを受けまして、それぞれの対策、複数サーバがございますけれども再起動するなりして順次稼働を再開してきたところでございますが、14時から14時30分、これで回復できたということではございませんでした。
したがいまして、14時45分から15時の間でございますけれども、毎日バックアップをとっておりますので、当日5時時点でバックアップをとっていたものがございます。破損したと思われるログインするところのデータでございますが、これを上書きして実施したところで復旧できたところでございます。
そして、15時以降からは、順次段階的にログインを実施していったところでございまして、全面的に復旧したのは、先ほど申し上げました16時10分ということでございます。
もう少し早くできなかったかという御指摘をいただくところでございますけれども、既にログインしていた端末を一旦落としてしまいますと、また全て使えなくなるということがございましたので、影響が一番少ないものから順番に再起動していったという状況でございます。
5ページです。システムへのログインができなかった障害について、どのような状況であったかを稼働状況として御報告させていただきます。
(1)献血の受け入れにつきましては、献血ルームなどの固定施設、移動採血車、この二通りがございまして、まず固定施設でございますけれども、本来当日3月27日に稼働予定でございました136か所でございますが、予定どおり実施できたところにつきましては33か所でございました。システム障害が復旧して再開できたところが84か所でございまして、それも合わせてみますと136か所中117か所の稼働でございまして、終日実施を取りやめなければならなかったところが19か所ございました。14%でございます。
移動採血車についても、当日の稼働予定数は146か所を予定してございました。そのうち予定どおり実施できましたのが19か所でございます。また、後ほど可能となった移動採血車については、39か所ということでございます。合わせて146か所のうち58か所だけ、40%が稼働できたということでございまして、現実に実施できなかったところが88か所でございました。
(2)医療機関への供給状況につきましては、医療機関への輸血用血液の供給には支障はなかったところでございますけれども、これは障害発生前にログインしていた端末は通常どおり供給ができたということで、そのほかにもログインできない場合でも、オフライン状態で納品システムが使用できますので、こちらにより通常業務と同じように供給をさせていただいたということでございます。
6ページは各製剤の在庫状況でございまして、供給にどのような影響があったかをお話しさせていただきます。
まず、適正在庫というのは下に書いてございますけれども、100%の適正在庫量は平日3日分として我々は見ているところでございます。赤血球につきましては、適正在庫といたしまして6万4,585本に対しまして10万3,800本、その時点で168%を確保してございましたので、この量からしますと供給には支障なかったということでございます。
血漿につきましては、貯留保管後の出庫可能在庫といたしまして、全型とも1.6か月分以上持っておりますので、こちらにつきましても供給には支障がなかったということでございます。
次の血小板が、非常に各関係機関の方々に御協力をいただいたところでございまして、27日は当初計画数では2万4,855単位を御協力いただく予定としてございました。ですが、実際に御協力いただきましたのは1万1,410単位ということでございまして、もともと予定していました計画に対して45.9%、46%弱の確保しか協力いただけなかったということがございましたので、翌28日の供給分には間に合うのですけれども、29日以降が非常に懸念されるという状況でございましたので、28日は前日不足分の1万3,450単位をさらに上乗せした3万9,215単位御協力いただくことが必要になったところでございます。
その結果が7ページでございますが、赤血球、血漿については在庫がございますので問題なくできましたけれども、血小板については非常に厳しい状態になるだろうという予測がございまして、血液センターでは28日水曜日の必要数確保に当たりまして、27日以降、電話で依頼をする、メールによって協力要請をさせていただくなど、職員による献血を実施や、関係会社の協力、SNSやホームページによる呼びかけを実施させていただきまして、また27日、28日の両日でございますけれども、27日夜には、このような障害があって血小板については28日に御協力いただければということで、報道機関に対してプレスリリースを発出させていただきまして、各社において御協力いただいた結果、28日は非常に多くの方に献血に御協力いただいたということでございます。
28日の18時時点でございますけれども、先ほど申し上げました必要数3万9,215単位に対しまして、3万9,965単位の御協力をいただくことができたということでございまして、28日の夕方のプレスリリースにおきましては、29日から全血液センターは通常の採血体制がとれたということで、御協力ありがとうございましたという発出をさせていただいたところでございます。
棒グラフは、27日の血小板の確保状況と28日の御協力状況を示したものでございます。
8ページですが、これからどう対処していく必要があるかということでございますけれども、障害発生時の現象でございます。
(1)現象が再現できないことや必要な情報が不足していたことがございまして、根本的な原因の特定には至っていない状況でございます。
(2)組織変更のためのフォルダ名の変更作業を27日の9時1分に行ってございまして、その直後に障害が発生しているということでございます。
(3)本ソフトでは通常発生しないデータベースのブロッキング。ブロッキングといいますのは、複数者が同時に更新することを防ぐ排他制御でございまして、その徴候を示すログがございまして、それ以降同様のログが大量発生したところでございます。これが障害の発生した現象でございます。
当面の回避策としてとった措置でございますけれども、フォルダ名の変更作業が誘因だったと推測されますので、同作業の実施時間帯を通常業務の終了した時間へ変更するとしてございます。
次に、今後の対応でございます。
(1)今回のログイン障害に係る対応といたしまして、ア、当然のことではございますが、原因究明に基づく対策が必要であるということと、イといたしまして、再発時に早期リカバリができる仕組みの整備が必要であるということで、これについては既に対策をとってございます。また、下に二つ・がございますけれども、サーバの高負荷検知時の警報出力、リカバリの準備体制に即移行するということと、万が一再発した際のリカバリ手順を整備する。これも既に整備してございまして、万が一発生したとしても、15分程度で戻すことができるという状況を今つくり上げているところでございます。ウ、基幹系ユニットへ直接認証可能とする運用の検討。先ほどログインするのに障害がありましたので、基幹システムにセキュリティーを保ちながら直接入る仕組みを、もう一つきちんとルートをつくっておかなければいけないということで、その対応を今考えているところでございます。
(2)血液事業情報システムの障害発生時の対応といたしまして、障害発生時の事業継続方法については、全くシステムは使えないといった場合の代替措置をしっかり考えていかなければいけないということで、検討を始めているところでございます。先ほど申し上げました供給と受付については、オフライン作業が可能ではございますけれども、全体システムのことを考えますと、そういった手段も検討しておく必要があるということでございます。
9ページでございます。今の血液事業情報システムのつくり方でございますけれども、もともと災害の発生を想定いたしましてデータを二重化してございます。BCP等事業継続プランでございますけれども、日本地図の上に二つサーバがございますが、西日本データセンターと東日本データセンターと二つございまして、それぞれ片方が何らかの災害でつぶれてしまった場合は、すぐ片方の別のサーバに切りかえるという仕組みがございます。こちらについては、日々同期をとってございますので、同一データで稼働できるという仕組みでございます。ですが、今回は、この基幹システムに入るログインについて障害があったということで、大変申しわけございませんけれども、受け入れに支障を来したということでございます。
最後になりますが、冒頭でもお話しさせていただいて繰り返しにはなりますけれども、このたび発生いたしました血液事業情報システムへのログイン障害によりまして、多くの皆様に御迷惑と御心配をおかけましたことを深くおわび申し上げます。
障害によりまして、多くの献血会場で献血の受け入れに支障を来し、輸血用血液製剤のうち血小板製剤につきましては、当日計画しておりました必要量を十分に確保することができず、医療機関への安定的な供給が懸念される状況でございました。幸いにして、多くの国民の皆様に御協力をいただいた結果、医療機関への安定供給に支障が生じることはございませんでした。これもひとえに献血に御協力いただきました皆様を初め、関係機関、各報道機関、献血の協力を呼びかけてくださった方々など、多くの温かい御支援のおかげでございまして、改めてこの場をおかりいたしまして感謝申し上げる次第でございます。
このような事態が再び生じることのないよう、原因の究明及び再発防止対策を進めてまいります。今回は本当に申しわけございませんでした。
今後とも、血液事業への御支援を賜りますよう、また、御指導賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
以上でございます。
〇半田部会長 ありがとうございます。
それでは、ただいまの件に関しまして、何か質問あるいは御意見等々ございますか。どうぞ。
〇濱口会長代理 今お話を聞いて、対策は十分にとったということだろうと思うのですけれども、こういったことが日常においてさえも1旦起こってしまうと、ほぼ丸一日障害の影響が出ます。これが例えば、故意にコンピューターへの攻撃や、災害が起こった場合も、日赤の血液事業を途切れないようにしていく努力が必要だと思います。その辺りはもう少し具体的に日赤の中でどうお考えなのかを教えてください。
○千葉日本赤十字社副本部長 ありがとうございます。まず、重大な障害として我々も認識してございまして、当日27日でございますけれども、我々で言う血液事業本部の中の緊急対策委員会、一般で言われます災害対策本部でございますけれども、これを立ち上げまして、即座に対応の協議を行ってきたところでございますが、結果としてここまで時間がかかってしまったことについては、今後の対策としてしっかりしていかなければいけないと思ってございます。
それから、今いただいたお話はBCPのことだろうと思うのですけれども、移動採血車については、オフラインでも、つながっていなくてもできるというのはあるのですが、現在固定施設、献血ルームではオフラインができていない状況がございますので、固定施設におきましてもオフラインが可能な仕組みを立てないといけないと思っているのと、供給につきましては、製品化されたものにつきましては出庫が可能ということで、オフライン状態でも仮納品システムがございますので、これで医療機関にお届けすることはできるということでございます。
ただ、先ほども少し申し上げましたが、採血受け入れができて、供給ができたとしても、その間の製造をどうやっていくかということがございますので、これについては遡及といったところも考えなければいけないということがございますので、それに対するBCPというものを、色々な遡及といったところも御相談させていただきながら組み立てていく必要があるだろうということで、早々に取り組みを今始めているところでございます。
○半田部会長 よろしいでしょうか。
それでは岡田委員どうぞ。
○岡田委員 私も、ユーザーの1人として血小板の供給が不足するのではないかと危惧したのですけれども、在庫等を考えると、障害発生時には血小板の採血を優先できるような代替法を優先的に検討してほしいと思います。
○千葉日本赤十字社副本部長 ありがとうございます。今の岡田委員のお話ですが、先ほど申し上げました移動採血車の代替措置はあるのですが、血小板の採血というのは成分採血で固定施設になりますので、そうしますと、最も有効期間の短い血小板については、固定施設でオフラインでも受付ができる対策が必要だということでございますので、対策を考えてまいります。
○半田部会長 大平委員どうぞ。
○大平委員 復旧に時間がかかったというのは大変遺憾なことかと思います。
あと、皆さん御存じのように、極めて貴重な献血製剤の取り扱いをしている日本赤十字社なので、入り口と製造もありますけれども、出口の供給が滞ることは多くの患者さんたちにどれほどリスクを与えるかというのはもう一度検討していただきたい。そのためのバックアップシステムは最初から考えられているのではないかと思っておりましたけれども、残念ながらきちんとバックアップができていないということが分かったわけです。したがって、それを早急に確立していただきたいということ。
もう一つ、こうした事例というのは、軽微なことも含めて初めて起きたのかどうなのかをお聞きしたいと思います。
それから、厚労省への連絡はスムーズに行われたのかどうか。ちょうどそのとき審議会をしていた日だったと思いますから、私たちは夕刻に聞いたわけですが、献血者の方も含めてかなりの衝撃だったと思います。そのため、そこはもう一度ヘモビジランスという、安全性だけではなくて供給の安定性も含めて、日赤は現時点ではヘモビジランス制度を担っているわけなので、そこをきちんともう一度考えていただきたいと思います。
○半田部会長 いかがでしょうか。
○千葉日本赤十字社副本部長 ありがとうございます。入り口と出口もそうでございますけれども、製造もそうですので、しっかり対応を進めてまいりたいと思います。
それから、今回のようなログインできない障害、ログインできずに受け入れできなかったという事象は今回初めてでございまして、フォルダ名称の変更というのも3年前にしていて今回2回目なのですが、それで発生したと。このフォルダ名称の変更についてはもう起きてはいけないことですので、この置き場所といいますか、先ほどはリカバリシステムと言いましたが、もうリカバリしなくても済むような、発生しないような仕組みを現在考えてございます。
それと、全体のBCPについては、日赤としてしっかりと対応してまいりますと共に、報告の件でございますけれども、いわゆるインシデントということではないのですが、内閣府のサイバーセキュリティ・情報化推進室へ、インシデントに準じた御報告をさせていただいています。それから、血液対策課さんにも随時御報告させていただいていたところでございます。
○半田部会長 よろしいでしょうか。では、鈴木委員どうぞ。
○鈴木委員 事故はどれほど注意していても起こり得るので、その際の対応が重要だとは思うのですが、例えば3ページを見ると、9時10分までに情報ポータル認証システムにログインしたところは大丈夫で、少し遅れたところはだめだったということですけれども、固定施設であれば、皆一律に午前9時にログインしても良いのではないかという気がするのです。時間のばらつきが影響を与えたということで、少しのんびりした施設があったのかという気もするのですが、その辺はどのように分析されているのでしょうか。
○千葉日本赤十字社副本部長 開始時間と準備時間がございましたので、そういう意味では時間がログによって一律ではございませんので、少し順番があったということと、1台立ち上げていて途中でもう一回ログインし直すと、それが入り切れなくなってしまったということもございまして、何とかログインできたものをそのまま生かし続けたところとの違いでございます。
○半田部会長 ありがとうございます。
一つ確認ですけれども、原因の特定というのはできていないわけですね。これに関しては可能なのでしょうか。
○千葉日本赤十字社副本部長 我々も、リカバリ処置は組み上げているのですけれども、原因が分からないということは非常に不安が残る話でございますので、実際に再現ができないかどうかを、データセンターの検証サーバで再現テストをしてございまして、先週の終わりぐらいに再現できてございますので、そのログをもちまして今さらに分析をしているところでございます。
○半田部会長 ありがとうございました。ぜひ原因を特定していただいて、再発防止策、それから、こういうことが二度と起きないようにということで、本日の御意見も勘案していただいて、対応策をぜひ進めていただきたいと思います。ありがとうございました。
こちらで用意した議題は以上ですが、ほかに委員の皆様方から何かおありでしょうか。どうぞ。
○室井委員 資料3-5でお聞きしたいのですけれども、献血者の健康被害に関する表がございますね。年間に1,500人が医療費等の支給があると書かれているのですが、医療費、医療手当、障害給付の違いというのは何でしょうか。詳細が分からないので。例えば、受診料が医療費なのか、どのようなものが入っているのでしょうか。
○半田部会長 では、日本赤十字社からどうぞ。
○前野日本赤十字社経営企画部次長 私から御説明させていただきたいと思います。
給付項目につきましては、委員から御指摘がございましたように、医療費、医療手当、障害給付というものがございまして、医療費につきましては、健康被害を生じた献血者の方が受診をした場合の個人負担分を負担させていただくものでございます。
医療手当につきましては、献血者の方が病院あるいは診療所で受診した場合に要する医療費以外の費用を補塡します。例えば、交通費といった、いわゆる雑費と呼ばれるようなものを補塡するものでございます。
障害給付につきましては、健康被害が治癒した場合においても、後遺障害が残った場合に給付させていただくものでございます。
○室井委員 障害給付に関しましては、障害が固定した方がこのぐらいいたと理解してよろしいのですか。
○前野日本赤十字社経営企画部次長 はい、結構でございます。
○半田部会長 鈴木委員どうぞ。
○鈴木委員 私も気になっていたのですが、死亡事故はほとんど入っていないようですけれども、そうではない医療費の自己負担分の手当や医療手当、障害給付、障害給付はそれほど数多くはないものの、毎年結構出ています。これはどのような内容なのか、もう少し詳しく教えていただけますか。
○半田部会長 いかがでしょうか。今すぐは答えられないでしょうか。
○前野日本赤十字社経営企画部次長 VVRによります転倒や、あるいは神経損傷、神経障害といったような項目で障害給付をさせていただいているところでございます。
○半田部会長 こちらからつけ加えると、参考資料3-3、「採血に係る健康被害の補償のための措置ついて」の11ページの別添1に、色々な副作用が書いてありますけれども、これに沿って給付が行われたということでよろしいですね。
○前野日本赤十字社経営企画部次長 はい。
○半田部会長 ほかにいかがですか。よろしいでしょうか。
それでは、時間もそろそろたちましたので、今回はこれで終わりにしたいと思います。次回に関しては、また事務局から連絡が行くと思います。皆様ありがとうございました。
( 了 )
 

備  考
本部会は、公開で開催された。

連絡先:医薬・生活衛生局 血液対策課 課長補佐 山本(2909)

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