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2018年3月6日 薬事・食品衛生審議会 血液事業部会 議事録

○日時

平成30年3月6日(火)17:00~


○場所

新橋8E会議室


○出席者

出席委員(18名)五十音順

  稲 田 英 一、 薄 井 紀 子、 衞 藤    隆、 大 戸    斉、
  大 平 勝 美、 岡 田 義 昭、 小 幡 純 子、 倉 根 一 郎、
  鈴 木 邦 彦、 田野崎 隆 二、長 村 登紀子、 花 井 十 伍、
○濱 口   功、◎半 田    誠、 前 野 一 雄、 溝 上 雅 史、
  室 井 一 男、 山 口 照 英
(注)◎部会長 ○部会長代理

欠席委員(4名)五十音順

千 堂 年 昭、 益 子 邦 洋、 松 下   正、 三 村 優美子

日本赤十字社

千葉経営企画部部長、前野経営企画部次長、井上経営企画部次長、
高瀬技術部学術情報課長

行政機関出席者

森   和彦 (大臣官房審議官)
一 瀬  篤 (血液対策課長)

○議事

○一瀬血液対策課長 定刻となりましたので、ただいまから「平成29年度第4回薬事・食品衛生審議会血液事業部会」を開催いたします。本日は、公開で開催いたします。本日は、千堂委員、益子委員、松下委員、三村委員から御欠席との御連絡を頂いています。専門委員を除く委員21名中18名の御出席を頂き、定足数に達しましたので、薬事・食品衛生審議会令第9条により、本部会が成立しましたことを御報告申し上げます。なお、前野委員におかれましては、所用により途中で退席されると伺っております。本日は、日本赤十字社血液事業本部から、千葉広一経営企画部長、前野節夫経営企画部次長、井上慎吾経営企画部次長、高瀬隆義技術部学術情報課長にお越しいただいています。

 続きまして、事務局より、所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について報告いたします。薬事分科会規程第11条においては、「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない」と規定しています。今回、全ての委員の皆様より、薬事分科会規程第11条に適合している旨を御報告いただいていますことを御報告申し上げます。

 また、薬事分科会審議参加規程に基づいて、各委員の利益相反の確認を行いましたところ、稲田委員、薄井委員、室井委員から関連企業から一定額の寄附金、契約金などの受取りの報告を頂きましたことを御報告申し上げます。以上の委員におかれましては、議題2及び議題4に関しては意見を述べていただくことは可能ですが、議決には参加をお控えください。他の委員につきましては、対象年度における寄附金、契約金等の受取りの実績なし、又は50万円以下の受取りであることから、特段の措置はありません。これらの申告については、厚生労働省のウェブサイトで公開いたします。委員の皆様には会議開催の都度、書面を御提出いただいており、御負担をおかけしていますが、引き続き御理解、御協力を賜りますよう何とぞよろしくお願い申し上げます。カメラの頭撮りはここまでといたします。この後の進行については、半田部会長にお願いいたします。

○半田部会長 皆様、こんばんは。今年度、最後の部会ということで、今日は決定事項、決議事項が3件です。それ以外に少なくとも3件の議題があり、例年よりかなり議題が多くなりますので、是非、2時間という設定時間の中で、合理的な議論を、もちろん拙速は避けたいと思いますが、皆さん、御協力よろしくお願いいたします。最初に、資料の確認をよろしくお願いします。

○一瀬血液対策課長 一番上に議事次第、その次に座席表、その次に委員名簿があります。次に資料1、「平成30年度の献血の受入れに関する計画()について」、参考資料1-1、参考資料1-2と続いて、資料2-1、「平成30年度の血液製剤の安定供給に関する計画(需給計画)()について」、資料2-2、「『平成30年度の血液製剤の安定供給に関する計画(需給計画)()』に対する意見募集結果について」、参考資料2-1、参考資料2-2が横長です。資料3-1、「『血液製剤の使用指針』改定案」、資料3-2、「血液製剤の使用指針VII新生児・小児に対する輸血療法新旧対照表」、資料3-3、「『血液製剤の使用指針』()に対する意見募集結果について」、資料4、「血液事業の予見性拡大のための施策」、資料5、「諸外国における献血血液の安全対策等調査報告書概要」、資料6-1、「献血者数のシミュレーションの見直しについて」、資料6-2、「血液製剤の需要予測に基づく献血者数のシミュレーション」、参考資料6-1、参考資料6-2、となります。落丁・乱丁等ありましたら、お申し付けください。以上です。

○半田部会長 早速、議題1に入ります。「平成30年度の献血の受入れに関する計画()について」、これは諮問事項です。血液法の規定により、採血事業者が作成する献血受入計画については厚生労働大臣の許可を受けることとなっております。許可に当たっては当該審議会の意見を聴くこととなっており、本日、計画()について審議して、答申をしたいと思います。日本赤十字社の方から資料1について、御説明をお願いいたします。

○日本赤十字社井上経営企画部次長 日本赤十字社経営企画部の井上と申します。本日は御審議、よろしくお願い申し上げます。早速ですが、資料1の5ページ、平成30年度献血受入計画()について、ポイントとなるキーワードを中心に説明いたします。平成30年度献血受入計画については、安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律、また同法施行規則に基づき、各都道府県と協議をして、献血の受入れ、受け入れる血液の目標量、また目標量を確保するための必要な措置に関する重要事項を定めるものです。

 1、平成30年度に献血により受け入れる血液の目標量です。別紙1にあるとおり、輸血用血液製剤及び原料血漿の必要量を確保するために、別紙2のとおり、全血献血で133万リットル、血漿成分献血で37万リットル、血小板成分献血で29万リットルの合計199万リットルと考えております。血液の目標量の確保に当たっては、全国を7ブロックに分けた広域的な需給管理体制を活かし、国、地方公共団体等との連携の下、効率的な献血の受入れを進めてまいりたいと思っております。各県の目標量については、別紙2-1を御参照いただければと思います。

 続きまして、目標量を確保するために必要な措置です。()の献血受入れの基本方針ですが、1.安定的な血液の確保については、輸血用血液製剤及び血漿分画製剤の安定供給を確保し、医療需要に応じた採血に努め、特に400ミリリットル全血献血及び成分献血を中心として、献血の受入れを行いたいと考えております。2.献血受入体制の整備です。献血者の利便性に配慮しつつ、地域の実情に応じた移動採血車による計画的採血、献血者が利用しやすい献血受入時間帯の設定等、献血受入体制の整備・充実を継続的に実施いたします。採血所においては休憩スペース、また託児スペース等を整備し、地域の特性に合わせた献血者に安心・安らぎを与える環境作りに努め、一層のイメージアップを図りたいと考えております。献血受入施設等の配置については、別紙3のとおりです。

 6ページです。3.献血者対応の充実。献血の受入れに当たっては丁寧な対応を心がけ、不快の念を与えることがないよう、献血者の意見・要望を把握しながら、献血者対応の充実に努めてまいりたいと考えております。

 4.初回献血者等への対応ですが、初めて献血をする方の献血に対する不安等を払拭することはもとより、映像やリーフレット等を活用した事前説明を十分に行い、献血者の安全確保に努めたいと考えております。

()献血者の確保対策です。若年層、幼少期、企業や団体、複数回献血者を普及啓発の対象として、各世代に合わせた効果的な活動や重点的な献血者募集を実施したいと考えております。この中でも、病気やけがのために輸血を受けた患者さんや、その御家族の声を伝える等により、血液製剤が患者さんの医療に欠くことのできない善意による貴重なものであることを含め、献血を自分ごとと考えてもらうよう、献血思想の普及啓発を図りたいと考えております。

 1.若年層を対象とした対策です。若年層全体に対する対策としては、将来の献血基盤となる若年層献血の推進は、血液事業にとって最も重要な課題です。7月の「愛の血液助け合い運動」、12月の「全国学生クリスマスキャンペーン」、また1月から2月の「はたちの献血キャンペーン」等、戦略的な広報を展開したいと考えております。また、雑誌、放送媒体、SNS等、インターネットを含む様々な広報手段を用いて、各世代からの働き掛け、効果的な広報に努めたいと考えております。イ、ウについて、小・中学校、また高校生を対象とした対策については、都道府県、市町村、またボランティア組織等の協力を頂きながら、「献血セミナー」を積極的に実施するよう努めたいと考えております。また、エの大学生を対象とした対策ですが、学生献血推進ボランティア組織等と更なる連携を図って、「献血セミナー」を通じて、献血や血液製剤に関する理解、献血体験の促進に努めます。特に将来の医療の担い手となる医療・薬学系の学生等に対して、多くの国民の献血によって医療が支えられている事実や血液製剤の適正使用の重要性への理解を深めてもらうための取組を行いたいと考えております。

 2.幼少期を対象とした対策です。親子で一緒に献血に触れ合えるよう、献血会場及び血液センター等を活用した啓発を行いたいと考えております。3.企業等における献血の推進対策です。社会貢献活動の一つとして、企業等における献血の推進を促したいと考えております。社員研修や社内広報等の機会を利用して、特に若年層の労働者の献血促進について協力を求めるよう努めてまいりたいと考えております。4.複数回献血協力者の確保です。都道府県及び市町村の協力を得ながら、今後の安定的かつ効率的な献血を実施していく上で不可欠である、複数回献血クラブへの加入促進、また、インセンティブとなる同クラブ会員を対象としたイベントの開催等を積極的に実施したいと考えております。併せて、献血者登録制度を見直し、SNS等による献血者が望む情報の発信や、献血予約の利便性向上等を目的とした複数回献血クラブシステムの改善を行いたいと考えております。各都道府県センターにおける主な取組については、別紙4のとおりです。

 3、その他献血の受入れに関する重要事項です。()検査サービス等の実施。希望者に対し、生化学検査成績、血球計数検査成績等のお知らせを引き続き行いたいと考えております。また、ヘモグロビン濃度の低値により御協力を頂けなかった方々に対しても、栄養士等による健康相談を実施したいと考えております。()血液製剤の安全性向上のための対策。こちらは献血者本人確認を徹底するとともに、HIV等の感染症の検査を目的とした献血の防止のための「安全で責任のある献血」の普及に努めたいと考えております。

()に飛びますが、200ミリリットル全血献血の在り方についてです。200ミリリットル全血献血は、製造効率及び医療需要を踏まえて受入れを行いたいと考えております。特に高校生等の初回献血については、200ミリリットル全血を受け入れる等、できる限り献血を経験していただくよう努めてまいりたいと考えております。このほか、()のまれな血液型の血液確保、また、()血液製剤の在庫管理と不足時の対応、()災害時等における危機管理、()献血受入計画の分析と評価等について、それぞれ記載しているとおりです。

○日本赤十字社前野経営企画部次長 続きまして、献血受入計画そのものではありませんが、昨年10月5日に開催された第2回血液事業部会献血推進調査会の中で、花井委員から、いわゆる日本赤十字社が献血者からお預かりしているグリコアルブミンとかコレステロール値など、その地域で平均したような数値を公表することは、公衆衛生上、あるいは予防医学上、非常に重要なことではないかということで、こういった内容を献血受入計画に載せていくのもあり得るのではないかという御意見を頂いたところです。その件については、日本赤十字社のほうで、今どういった内容で公表したらいいのかということで、大分、検討を進めているところですので、今回、献血受入計画への記載については見送るということで進めさせていただければと思います。以上です。

○半田部会長 よろしいでしょうか。当該受入計画()について、審議に入りたいと思います。皆様、ただいまの説明について、御意見、あるいは御質問等々ありますか。

○室井委員 今お示しされましたが、高校生を対象とした対策に関して、7ページのウに、いわゆる学校献血、集団献血のことが入っていないのですが、ほかの所にも入っていないような気がするのです。特に何か意味があるのでしょうか。非常に重要な動機付けと言われている、いわゆる高校生の集団献血ですね。その言葉がどこにも入っていないような気がしたものですから、質問いたしました。

○半田部会長 いかがでしょうか。7ページのウですか。一番上の高校生を対象とした対策の中に。

○室井委員 ウを含めて、高校での集団献血ですね。それがどこにも入っていないような気がしたものですから。

○半田部会長 高校生を対象としたというところに、集団ということを入れたほうがいいと。

○室井委員 はい。学校献血という言葉が。

○半田部会長 学校献血ということを入れた方がいいということですが、いかがでしょうか。これは何か意図的な意味があるのかというところですが、いかがですか。

○日本赤十字社井上経営企画部次長 特に削除したものではありませんので、ここは例年どおりの記載ではありますが、高校献血については、全国で毎年1,200校から1,300校の高校の受入れをさせていただいております。

○半田部会長 分かりました。文言として、室井委員は入れた方がいいと。

○室井委員 それは入った方がいいと思います。

○半田部会長 分かりました。いかがでしょうか。これを入れるのは、特に問題ないですね。ほかに何か御意見はありますか。今日、決議しなくてはいけないので、今の件、いかがでしょうか。特に入れて問題ないですかね。

 それでは、その文言を入れるということで、よろしいでしょうか。最終的な文言については、私の方でまた最後に確認させていただきたいと思います。当該計画()について、ほかに御意見等々ありますか。

○稲田委員 7ページの大学生を対象とした対策の中に、医療・薬学系の学生に対してと、こちらで教育面がかなり重視されているような書き方をされているのですが、私は授業などで聞いていますと、医学生が余り献血をしていないということがあって、全国たくさんの医学生がいますので、こういった人たちの献血活動をすることは、また理解にもつながると思いますので、是非推進していただければと思います。以上です。

○半田部会長 そうですね。7ページのエの2段目ですね。「医療・薬学系の学生等々」という所ですね。これを強調した方がいいだろうということです。

○小幡委員 まず全体として私もイメージ作りはとても大事だと思うので、是非進めていただきたいと思います。二点、質問なのですが、13ページに受入施設数の増減があって、東京都は常設献血受入施設が1か所減っているのですが、何か合理化等の事情があるのかという質問です。

 もう一点、14ページの企業の献血推進対策の4の所で、私も献血後の検査結果を知らせてというサービスは非常に有益だと思うのですが、ここでパンフレットというのは、どういうものですかね。献血したら検査結果をもらえるから、そうするとメタボ対策とか、高血圧予防ということができますから、献血をしてくださいと、これはそういうパンフレットが作られているという趣旨ですか。少し伺えればと思います。献血をしたら、そういう検査結果が付いてくるという、それは良いサービスだと思うのですが、ここのパンフレットの主眼は、正にメタボとか高血圧予防のためのパンフレットだとすると、献血をどういう位置付けているかということです。

○日本赤十字社前野経営企画部次長 日本赤十字社の前野です。私のほうから、まず1点目の東京都の献血ルームの一つ減少することについては、今、入居しているビルの建替え工事のため退去するということで、これは事前に分かっておりますので、既に新宿には一つ多くオープンしており、建替えによって閉鎖しても、献血の受入れには支障が出ないような形で計画を進めているところです。

○小幡委員 そうすると、増減なしということですか。

○日本赤十字社前野経営企画部次長 もう既に平成29年度以前に献血ルームを増やしておりますので、平成30年度にはビルの建替えで減る分だけということです。

○小幡委員 はい、分かりました。

○日本赤十字社井上経営企画部次長 二つ目の御質問ですが、こちらの主な取組は都道府県単位で行っているもので、全国統一されているものではありませんが、献血のポスターとかチラシの中に、献血後の検査結果で、メタボ対策とか高血圧予防等に役立つような数値も御自身に御返信できるような形になっているところがありますので、是非、健康管理のためにお役立てくださいというのを、献血の実施日のポスター、そしてチラシの所に御案内しているところです。

○小幡委員 そうすると、あくまで献血の推進のポスターの中に、こういうことが書かれているということですね。了解しました。

○半田部会長 ありがとうございました。それでは、当該議題に関して、決議に移ります。当該受入計画()をお認めいただけますか。

 ありがとうございました。一部、修正等々がありますが、それも含めて、許可に当たって今の御意見を踏まえて、本計画案の許可の手続を取りたいと思います。つきましては、法的な観点から、形式の若干の修正等々もありますので、それは私、部会長に御一任いただければと思います。日本赤十字社におかれましては、受入計画について献血の受入れの円滑な実施に努めていただくよう、よろしくお願いしたいと思います。

 続きまして、議題2、「平成30年度血液製剤の安定供給に関する計画(需給計画)()について」です。当該需給計画は、血液法の規定により、薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて策定されるものです。委員の皆様には、昨年12月の当部会において、計画()について御議論いただきました。その内容については、原料血漿の確保目標量、需給見込み、製造目標量等々については、既に事務局案を御了承いただいております。その後、パブリックコメントの募集が行われたということです。

 今回は、問題となった原料血漿の配分価格も含めて、最終的に部会で審議するということで答申をしたいと思います。事務局から、資料2について説明をお願いします。

○三浦需給専門官 議題2について説明いたします。議題2は、「平成30年度の血液製剤の安定供給に関する計画(需給計画)()について」になります。平成30年度の需給計画()については、血液法第25条第5項の規定により、本日の部会で御審議いただくものです。既に昨年12月の血液事業部会で原料血漿の確保目標量と各製造販売業者への配分量について御審議いただき、暫定的に御了承いただいておりますが、今回は原料血漿の標準価格も加えた最終的な案について、御審議いただきます。

 資料2-1の1ページが諮問書、3ページから8ページが需給計画()の本体となります。12月の血液事業部会の際にも説明いたしましたが、4ページの「第3 平成30年度に確保されるべき原料血漿の量の目標」は99万リットルとされております。平成29年度と比較して5.5万リットル増となっております。

 5ページに、各製造販売業者への配分量の内訳が記載されております。各製造販売業者への配分量の合計は114万リットルとなっており、確保目標量99万リットルとの差、15万リットルについては、日本赤十字社の在庫分から一部を配分するものとなります。

 続いて、原料血漿の標準価格について説明いたします。標準価格については5ページに記載があるとおり、凝固因子製剤用が1リットル当たり1万1,990円、その他の分画用が1万980円としております。標準価格の考え方については、参考資料2-1の1ページ、「平成30年度に配分される原料血漿の標準価格の考え方」を御覧ください。標準価格の算定の基本的な考え方は、これまでの考え方と同様です。日本赤十字社では、輸血用血液の確保と原料血漿の確保が並行して行われており、人員や装置等が兼用されているため、明確に分けることが困難である中で、原料血漿の確保のために必要と考えられる部分について費用を算出し、価格を計算しております。

 血漿成分採血については、献血全般に共通する事項とサービスに係る経費を除いて、必要な経費を積算しております。また、全血採血及び血小板成分採血については、輸血用血液製剤の製造が主たる目的であることから、原料血漿の確保に係る費用としては、一部に限定して積算しております。例えば人件費に関して言うと、全血採血及び血小板採血から作られる原料血漿は、輸血用血液製剤を作るときに出てくる副産物という考えで整理しており、検診や採血に係る人件費は計上しておらず、原料血漿の凍結に要する費用のみを計上しております。

 積算はこれまでと同様、まずは凝固因子製剤用の原料血漿について、経費の積算を行っております。確保目標量は合計99万リットルとし、採血区分ごとに原料血漿の確保から供給までに必要な経費を積み上げ、1リットル当たりの単価を算出しております。この積上げに用いる経費については、日本赤十字社の直近2年間である平成27年度と平成28年度の実績の平均の数値を使用しております。

 費用の内訳については、参考資料2-1の2ページを御覧ください。費用は、採血から原料血漿を製造、保管するまでに必要な「材料費」と「人件費」、原料血漿の凍結・一時保管費用等に要する「経費」、原料血漿の輸送・貯留保管経費の「管理供給費」で構成されております。採血種別ごとに積算する費用は、全血採血と血小板成分採血については、材料費については、必要な材料費のうち、血液バッグ代と製品表示ラベル代のみを計上しております。人件費については、原料血漿の凍結・一時保管に係る製造職員の人件費を積算しております。経費については、原料血漿の凍結・一時保管に係る経費に加え、全血採血においては、白血球除去の導入に伴い生じた経費の一部を加算しております。管理供給費については、原料血漿輸送・貯留保管経費を積算しております。血漿成分採血については、材料費は採血キットや製品表示ラベル等、必要な材料費の全額を積み上げております。人件費については、原料血漿の凍結・一時保管に係る製造職員の人件費のほかに、検診や採血、検査などに係る医師、看護師、検査職員、事務職員の人件費、経費については、原料血漿の凍結・一時保管経費のほかに、成分献血登録者に対する依頼経費、処遇費、検査機器等の保守管理経費などを計上しております。管理供給費については、原料血漿輸送・貯留保管経費を積算しております。

 採血方法別の原料血漿の確保量については、参考資料2-1の5ページになります。献血推進計画に沿って、日本赤十字社が策定した平成30年度の事業計画に基づいて、採血方法別の原料血漿確保量について設定しております。

 以上の内容を一覧にしたものが参考資料2-1の6ページになります。今申し上げた方法により、区分ごとの1採血当たりに要する単価を積算し、それを1リットル当たりの単価に換算したマル1に、それぞれの採血別の原料血漿確保見込量のマル2を乗じて、採血別の確保費用を算出し、その総額マル3を原料血漿確保目標量マル4の99万リットルで除し、消費税を掛けて1リットル当たりの凝固因子製剤用価格1万2,630円を算出しております。その他の分画用原料血漿については、従来と同様に凝固因子製剤用の価格改定率を用いて、比例計算で算出した結果、1万1,570円となっております。以上が従来どおりの基本的な考え方に基づき算出した結果となります。

 今申し上げた価格を参考資料2-1の3ページ、Iで従来の原価計算方式に基づく価格としてお示ししております。平成29年度と比較して、1リットル当たり1,240円安くなっております。この要因としては、ヘモグロビン濃度測定や装置のセットアップを含む血漿成分採血に要する作業時間の見直しを行ったこと等により、人件費単価が安くなったことが大きな要因であり、その他、材料費や経費、管理供給費も若干安くなっております。なお、原料血漿の価格については、参考資料2-1の3ページ、IIで、「原料血漿価格に関する議論等について」で示しているとおり、血液法の基本方針、血漿分画製剤の供給のあり方に関する検討会最終報告書、及びワクチン・血液製剤産業タスクフォースにおいて、原料血漿価格の低減について言及されております。

 参考資料2-113ページは、「原料血漿価格(日米)の推移」になります。公開されている米国の原料血漿価格は、海外の血漿分画製剤メーカーが独立系の採漿センターから購入する際の市場価格と聞いております。海外の血漿分画製剤メーカーの多くは、子会社が採漿センターを運営し、そこから多くの原料血漿をより安価な価格で購入している可能性があるため、公開されている価格のみをもって比較することは困難だと思いますが、公開されている米国での原料血漿価格は、平成24年度以降、上昇傾向にあります。一旦、平成28年度に下落しておりますが、これは為替レートの影響を受けて円換算をした際に下落したもので、この表の下、平成28年度のところですが、常に価格は上昇傾向にあります。一方、日本国内の原料血漿価格ですが、平成24年度以降もほぼ横ばいで推移しております。

 また、参考資料2-114ページは、「原料血漿確保量と価格の推移」のグラフになります。棒グラフが原料血漿の確保量、折れ線グラフが原料血漿価格に関するものになります。原料血漿確保量は、平成25年度から平成29年度までに特に大きな変動はないものの、平成28年度以降、原料血漿について、血漿成分採血による確保量の割合が増加しております。これに伴い、原価計算方式による原料血漿価格が上がりましたが、決定原料血漿価格はほぼ据置きで推移しているため、日本赤十字社においては平成28年度、平成29年度の2年間で約50億円程度の負担を強いられている状況です。このままの財政負担の状況が続けば、採血業の維持にも影響を及ぼすおそれがあると考えております。

これらの状況及び血液法の基本方針などの原料血漿価格に対する議論等を踏まえ、日本赤十字社や血液製剤の製造販売業者の収支状況等を勘案し、凝固因子製剤用については1万1,990円、その他、分画製剤用としては1万980円とさせていただきました。

 続きまして、資料2-2、「平成30年度の血液製剤の安定供給に関する計画(需給計画)()に対する意見募集結果について」、説明いたします。平成30年1月22日から2月20日まで、電子政府の総合窓口(-Gov)に掲載することを通じて、御意見の募集をしたところ、22件の御意見を頂きましたが、うち21件は今回の意見募集とは直接関係しない意見でした。

 今回の意見募集に関する意見として1件の御意見を頂きましたが、内容として要約すると、「意見募集の際に原料血漿価格についても記載していただきたい。それにより、日本赤十字社の経営状況が分かると考えるため」というものでした。今回頂きました意見に対し検討を行いましたが、需給計画は翌年度の血液製剤の安定供給に関する計画を定めることとされ、前年度末までに公表することとされております。採血事業者及び血液製剤の製造販売業者等は、翌年度に供給されるべき血漿分画製剤の種類及び量、並びに必要原料血漿量等について1015日までに報告することとされており、国は報告いただいた数値等の取りまとめを行い、数値が確定次第、毎年12月頃に開催される血液事業部会において御審議を頂いて、意見募集を行っております。しかしながら、原料血漿価格については、必要原料血漿量が確定した後、日本赤十字社が確保に要する費用の積算を行い、国が血液製剤の製造販売業者の収支状況等も勘案して、調整を経て決定しており、調整には、例年3月に開催される血液事業部会の直前まで時間を要しております。

 このような状況から、12月までに原料血漿の標準価格を決定することは困難であり、また3月の部会で御審議を頂いた後、意見募集を行うと、年度内の公表が不可能になりますので、御理解いただきたいと考えております。

 なお、御意見として、「原料血漿の標準価格も記載することにより、日本赤十字社の経営状況が分かると考える」ということでしたが、原料血漿の標準価格のみで日本赤十字社の経営状況を判断することは困難であると考えており、また日本赤十字社のホームページに業務報告書及び決算書等が掲載されておりますので、そちらを参照くださるよう回答したいと考えております。

○菓子野血液対策課長補佐 続いて、参考資料2-2について御説明させていただきます。本資料を説明する趣旨としては、ただいま三浦から説明がありましたとおり、今回の需給計画における原料血漿の確保量は、過去最高の114万リットルになっております。今後もこのペースで確保量が増えていった場合に、価格がどのように動いていくのか。また、その価格の変動に対してどのように対応していくのか。これは血液事業の安定的な運営にとって非常に重要と考えますので、この機会を頂いて、委員の皆様に御説明をさせていただきたいと思っております。お手元の資料を御覧ください。

 日本赤十字社が確保する原料血漿は、二つの製造由来があります。これは採血方法の違いに依拠しています。1枚目の真ん中の絵を御覧ください。まず、1.のイメージです。全血採血を行って赤血球製剤を作ります。その際、血漿を分離するわけですが、この副産物の血漿を活用する。これらの血漿は、赤血球製剤の製造と共通のコストを、国の指導によって原料血漿製造コストに計上しないこととされているため、価格が抑えられます。2.のイメージです。これは血漿成分採血のイメージです。1.の価格の安い原料血漿だけでは足りない原料血漿の需要を補うために、補完的に成分採血を行って、原料血漿を調達します。こちらについては調達コストをそのまま転嫁するため、1.と比較すると価格は高いということになります。例えば、その下の表にありますが、採血別原料血漿の1リットル当たりの原価を比べてみると、全血等については3,000円台のところが、血漿成分については4万円台ということになります。ただいま諮問しているような原料血漿の価格は、これらを加重平均したものの価格になっています。

 2ページ、「原料血漿の価格トレンド」について分析してみました。ただいま説明申し上げたとおり、相対的に価格の安い原料血漿と高い原料血漿を合わせたものが原料血漿の価格となります。一方で、全血採血由来の原料血漿は副産物になります。主産物である赤血球製剤の需要に生産量が拘束されることになります。一方、赤血球製剤の需要というのは、近年、横ばいで推移しています。昨年、献血推進調査会でも御議論いただいたとおり、将来も極端に増えることはないだろうというように予測されております。つまり、安い原料血漿というのは生産量が限られてくるということです。

 今のは日赤の供給サイドの話ですが、3ページからは、今度は分画メーカー側から見た場合です。原料血漿から製造される免疫グロブリンというのは、各種自己免疫疾患に対する適応拡大によって需要を伸ばしています。免疫グロブリンの需要量に合わせて原料血漿を各メーカーが購入していることから、原料血漿の供給量も伸びているところです。これは将来にわたって伸びていくのではないかということで、企業側は見込みを立てているところです。それが下の左側のグラフの必要原料血漿量の推移、こちらも昨年献血推進調査会で御議論いただいたところです。

 これらの原料血漿の供給量の伸びに対しては、血漿成分採血による血漿の増産で対応しているところです。右側の棒グラフを御覧いただくと、棒グラフ全体の総量が伸びていくと、丸で囲っている濃い色の部分、血漿成分採血によって調達している血漿量が伸びているということです。価格の高いものの比率が上がっていますので、四角の折れ線グラフを御覧いただくと分かりますが、日赤が原価計算する原料血漿の価格も伸びているということです。安い原料血漿は赤血球製剤の需要に拘束されますので、血漿成分採血比率の上昇による価格上昇というのは、原料血漿の価格構造上、不可避のものであるということです。赤血球製剤の需要はコントロールできません。また、原料血漿の総量が増加すると、成分採血でしか対応できませんので、価格も上昇することになります。

 4ページ、やはり価格上昇のトレンドが避けられないというのが我々の分析ですけれども、これに対して対策、既に打ち出されているものとして、価格の安い血漿を効率よく分離するというものです。これは昨年の第2回血液事業部会で、日本赤十字社から提示されていますが、血小板採血の上限血漿採取量の見直し、血小板採血をするときに併せて血漿もたくさん頂きます。遠心分離器も性能の良いものを導入して、血漿をより効率的に分離するということで、これによって、平成35年度からは、現在よりも19.9万リットル、効率よく価格の安い血漿を確保することができるということで、これによって原料血漿に占める価格の高い血漿の比率の上昇を緩和することができるということです。これは打出し済の対策です。

 これに加えて次ページですが、これは再来年度からの対策になりますが、平成31年の需給計画に向けて、血漿成分採血の人件費の計算方法の改善を検討したいと思っております。ただいま御説明したとおり、原料血漿全体に占める高い血漿成分採血由来の比率というのは、なかなかコントロールは難しいのですが、血漿成分採血自体のコストは、日赤の業務効率の改善によって削減が可能ではないかということです。

 ということで、人件費の計算方法について、以下の方針で改善することを検討したいと思います。現状は、血漿成分採血の人件費の算出自体は、まず、総人件費から血漿成分採血の関係職員、医師、看護師等ですが、その職種ごとの1分当たりの人件費単価を算出しています。これに対して、医師であれば検診業務3分、看護師であれば採血に要する全ての作業時間、大体60分といった、一定の係数を1.に掛けて積み上げています。つまり、これは、例えば昨年の日赤の決算を見ますと、時間外手当の削減等で人件費はマイナス10億円を立てていますけれども、こういった総人件費削減の効果は反映されますが、製造本数と関係なく計算されています。つまり人件費の構成要素が1分当たりの労働単価とバーチャルな仮定の作業時間だけで算出されているので、製造本数と関係なく計算されることからスケールメリットが働かない構造になっています。これを平成31年度以降は製造本数とリンクした計算方法にすることによって、スケールメリットの働く計算方法としたいと思っております。

 具体的には、下の血漿成分採血の各コストと確保量の推移、これは需給計画に示されている数字をプロットしただけなのですが、長く丸で囲んでいる◆と■と×、つまり、材料費と経費と管理供給費の推移を見ていただきたいのですが、血漿成分採血の確保量に伴って、多少ながらスケールに伴って漸減傾向にあります。これは実費だからです。ただ人件費は、総確保量と関係ない時間単位で出す数字で計算されていますので、そのスケールに伴った動きになっていない。ですから、ここをスケールに伴うような形で単価の低下を目指していくということです。

 ただ、これも実は平成30年1月の運営委員会で示されたのですが、今の日赤の献血ルームの体制だと、100万リットルの血漿の確保が限界だという分析が日赤からなされております。100万リットル以上調達するという話になれば、当然、人も増やさないといけないと、稼働率を上げるためにということがありますので、単価の低下を目指すのだけれども、総人員が増加することによるコストと相殺される可能性があることには留意が必要なのですが、基本的に製造本数とリンクしたスケールメリットの働く計算方法として、原料血漿価格の削減に努力してまいりたいと考えております。以上でございます。

○半田部会長 当該需給計画()、平成30年度ですが、既に御議論いただいておりまして、それに今回はプラス原料血漿価格の算出法、それから今後の課題について、今、お話いただきましたが、委員の皆様、御意見、御質問等々はありますでしょうか。では、お二人、順番にお願いいたします。

○濱口部会長代理 価格についてお聞きしたいところがあります。先ほど日米での原料血漿の価格の差というのをお示しいただいて、日本の場合は、かなりアメリカに比べると安い状況だということです。その一方で、先ほど説明があったワクチン・血液製剤産業タスクフォースからの提言の中に、先進国並みの低価格な血液製剤を安定的に供給するという観点からという提案があります。そうしたときに、アメリカ以外の先進国の場合、どのぐらいの価格で提供されているのか。そうしたときに、日本とそこはどこが違うのかということを少しお聞きしたいと思います。いかがでしょうか。

○半田部会長 いかがでしょうか。

○三浦需給専門官 米国の価格については、先ほども少しお話をさせていただいたとおり、民間の採漿センターから買っている価格ということで、恐らく高い価格が提示されている、公表されていると。ただ多くの企業は、子会社で独自の採漿センターを持っていますので、そこから安い原料血漿を購入しているであろうと言われています。実際にその価格については公表されていないので、それが今、日本のものと比べて高いかどうかというところは、なかなか比較が難しいという状況になっています。

 平成27年の厚労科研費の研究で、EUの数箇国の価格について調査したものがありました。こちらはおよそ80ユーロ、日本円で大体9,000円台で調整しているという状況です。これについては、周辺諸国と価格の調整を行い、国によっては一部、国の方から補助金を出すようなことで、価格を抑えるようなことに取り組んでいるという調査報告が出ています。日本の場合は、特に国から補助金等を出していないので、なかなかそれと同じ価格水準まで下げるというのは難しいのかと思っております。

○半田部会長 よろしいですか。どうぞ。

○鈴木委員 数字の出し方が不透明なので、よく分からないところがあります。資料2-1の5ページの価格ですが、1万1,990円と、1万980円というのがこの価格だということですね。これは昨年度に比べて幾ら上がっているのか、下がっているのか、それが一番ポイントになると思いますが、それが分からないように操作されているような感じがします。あたかも、参考資料2-1の3ページを見ると、その価格から比べたら安いのではないかという気もしますが、何か今までの説明を聞くと、何となく値上げの言い訳をしているみたいにも聞こえるのです。実際、昨年度の価格に比べてどうなのかを教えていただきたいと思います。

 それと、国内の血漿成分の割合が高くなってくるから、高くなるのは避けられないという言い方なのですが、これは価格が10倍以上違います。こういうものを、そもそも根拠にすることが価格設定の在り方としてどうなのかと思います。アメリカの価格について少し説明がありましたけれども、通常、アメリカの価格は、今まではリストプライスを薬価などでも出してきていて、それで、当然高くなるわけです。誰もその価格では買わず、普通は値引き交渉を厳しくして、大幅に安い価格で買うわけなので、そういう意味では、いわゆる実勢価格とは違うものを出しておいて、日本のほうが安いように、印象操作のようなことをしているのではないかという気がします。そもそも日本のほうが安いのでしたら、何で外国から安い製品が入ってくるのだということにもなるわけで、その説明としては、不十分、不適切ではないかと思います。もう少し詳しく説明してください。

○半田部会長 いかがでしょうか。まず、価格の変動です。

○三浦需給専門官 価格の変動については、今年度より凝固因子製剤用については、880円の値上がりです。その他の製剤用については810円上がっております。来年度の需給計画の報告からは、ここの記載について、上がり下がりの幅の部分について記載をしたいと思います。

○半田部会長 もう一点の鈴木委員からの御質問については。

○菓子野血液対策課長補佐 需給計画に示している米国の原料血漿の価格の数字は、先ほど、三浦からも説明がありましたけれども、米国の調査会社が出している数字です。この数字は、業界では、独立系の血漿センターからメーカーがスポット的に調達するときの価格だと言われております。スポット的に調達しますから、どうしてもそのときの需給を踏まえて価格が決定されますので、プレミアムが付き、相対的に高いと言われていて、外国の血漿メーカーは、基本的に自前で採漿センター、子会社を設けていまして、その子会社から買っています。それは内部価格なので、我々も一度グローバルの血漿分画メーカーにお話を伺ったのですけれども、やはりトップシークレット、企業秘密なので、教えられないということでした。

○鈴木委員 そうおっしゃるなら、かつて薬でも同じような議論をしたのですが、例えば、アメリカでも低所得者層や高齢者向けのメディケア、メディケイドといった公的な医療保険があるわけです。そこではどのような価格になっているか調べたらどうですか。

○菓子野血液対策課長補佐 メディケイドも結局、最終製剤の、恐らく保険償還価格が提示されているだけで、その材料になる血漿が幾らで調達されているかというのは分からないのではないかと思います。

○鈴木委員 アメリカの、いわゆる自由価格の国でそのような不透明な部分があったら、事業者や企業は納得しないと思いますよ。それは調べる気がないのか、調べていないのかどちらかではないですか。このままいったら、今の説明では、毎年上がっていくという話ではないですか。そんなことで通るわけないでしょう。医療費の抑制、節約の流れの中で。薬価だって下がっているのですよ。何で血液製剤だけ上がっていくのですか、構造的に問題があるのではないですか。

○半田部会長 そうですね、この件については毎年議論になると思いますが、先ほど参考資料2-2で示していただいたとおり、平成31年度以降はそういう価格について、もう少し合理的な価格設定というものをこれからやっていこうといった姿勢を示されているということでいかがでしょうか。今回は需給計画について、本日は議決する必要がありますので。いかがでしょうか。大平委員、花井委員、順番にお願いいたします。

○大平委員 価格の問題ですが、ここまで米国の正式な価格という形で整理されて参考資料として出てきているなら、そこはもう少し整理して、不明なら不明という形で出した方が良いと思います。そして、欧米の標準的な価格というものが参考になるのでしたら、それを入れるといった形にして欲しい。今回これを変更するという話ではないかもしれませんけれども、公開されているそういう価格と現実のギャップというのが余り大きいところを載せても、参考資料としては、私たちは不明、疑惑になるだけなのです。そこは今後、正確な参考資料のようなものを、より参考になるようなものを載せていただくという形にしていただきたいと思います。

 もう一点は、今回出てきた参考資料2-2の所で、スケールメリットの問題といったことが出てきています。スケールメリットのところを日赤の方で、これまで少し検討がおろそかにされていた。早めに価格上昇を抑えるいろいろな手立てとしては、対策として今回は出てきていますけれども、本来は、もう少しいろいろな対応として条件をそろえてほしいと思います。ですから、今回出てきたことは意義があると思います。そこは是非、早めに対応していただいて、そして、できるだけ価格を抑えていくような努力というものを、日赤の方でしていただけるようにお願いしたいと思います。

○半田部会長 ありがとうございます。花井委員、お願いいたします。

○花井委員 この事業部会に、こういった原料血漿の価格決定をするに当たって、いろいろなファクターが出たのは、実は今回が初めてではないかというぐらい、ケース的には出ていますけれども、そういう意味では。だけれども、逆に言えば、今回、いきなり参考資料2-2の4万1,100円と3,885円を見れば、鈴木委員のような意見が出るのは当たり前の話だと思います。

 一つ、最終製品と血漿の原料の調達価格というのがあって、一般的には最終製品の、いわゆる公定価格やリストプライスがあるのですが、全体のコストの中で、血液製剤特有の理由として原料の占める割合が大きいから、それが反映しやすいのだというのがあるわけですね。そういった幾つかのパラメータがあって、最終製品に関する話と血漿に関する話は違うということだと思いますが、今回一番いいのは、4万1,158円というのは、いわゆる裸の、つまり、諸外国でやっている成分採血と勝負する価格そのものだということなので、正に今回スタート地点に立って、実はその原料血漿を成分で採るときのコスト構造の中で、日本と海外でどう違うのだという比較は今後していかなければいけないと思います。例えば、法律改正は必要かもしれませんが、採血事業者が診療上という法律的な制度によってこういう人がいるとか、医者が絶対いなければいけないとか、向こうは違うとか、日本固有の事情と海外の事情があって、日本固有の事情が日本国民にとって受け入れるべき事情だから高いのであれば、日本はそれを選んだということになるのですが、そういったことが分かるようにするためには、資料、まだパラメータが幾つかあるので、次回のときはそこをもう少し、例えばプラスチックのボトルで採るのか、輸血用血液と同じバッグで採るのかという違いがあるわけです。そういった違いが、一体コストにどのように反映しているかといった分析はこれからなのですが、今まではそういう分析する前提がなかったのです。今回やっと、赤裸々な日赤の成分採血のコストだとこうなるというのが出てきたところから、今後、日欧というか、日米というか、そういったところで成分採血にどのような違いがあるのかということを、もう少し部会に分かりやすい資料を作っていただけると、少し疑問が解消するかと思いました。今回の価格については、これで諮問、答申ということなので、特に意見はございません。

○半田部会長 ありがとうございます。かなり時間が押しています。手短にお願いします。

○岡田委員 原料血漿の値段ですが、日米で大分差があるのですけれども、採血方法としては米国でも成分採血で採っていますので、この差が出るというのは、日本の原料血漿は、実はFFPと同じ方法と基準で採っている可能性があります。一方、米国では、原料血漿とFFPは違うという考えで、恐らく基準等も差があると思います。そういうところを検討して、日本でも今のFFP並みより、例えば個別のNATをやめて、20人プールや40人プールでのNATなど基準を緩和することによって、検査費用とかが節約できればコストも下がってくるし、そういうところの検討は今後必要かと思います。FFPに関しては生ですから、これは徹底的に検査しなくてはいけませんけれども、原料血漿に関しては、日本の基準ではかなり不活化が入っていますので、多少ウイルスが入っても、それは除去できるということで、高い原料血漿で作るという、国民の要求があればそれはしようがないと思いますが、米国並みでいい、若しくはヨーロッパ並みでもいいということがあれば、そういう原料血漿の価格は下げられる可能性があるので、そういう点から検討を、どういう差があるのかということを調査していただきたいと思います。以上です。

○半田部会長 ありがとうございます。非常に有意義な議論ができたと思います。一瀬課長、どうぞ。

○一瀬血液対策課長 委員から不透明である、説明が不足しているという御指摘をいただきました。事務局として、以後、気を付けたいと思います。

○半田部会長 先ほど、花井委員が言われたように、今回、本当にこういう資料が初めて出てきたということで、生のデータをそのまま議論するという機会が初めてもたれたわけなので、平成31年度の需給計画においては、是非、本日の御意見をいろいろいかしていただきたいと思います。今回は、この議案を決議する必要があります。いかがでしょうか。議決してよろしいでしょうか。本需給計画()に賛成いただけますでしょうか。

 ありがとうございます。それでは、御了承いただいたということで、今後、平成30年度の血液製剤の安定供給に関する計画の告示に当たっては、厚生労働省で法令的な観点から形式的な修正があると思います。それは、部会長の私に御一任いただければと思います。

 続いて、議題3、「血液製剤の使用指針()について」です。これに関しては、血液製剤の使用指針が昨年度に改定されましたが、一つ残っていたのが、VIIの新生児・小児に関する輸血療法です。今回それに関して改正を行うものです。この案については、昨年10月5日に開かれた平成29年度の第1回の適正使用調査会において議論いただいて、パブリックコメントの募集が行われました。これを踏まえて、最終案について本日は審議したいと思います。それでは、事務局から説明をお願いします。

○山本()血液対策課長補佐 こちらの血液製剤使用指針の改定案に関しては、今回平成30年1月15日から2月13日までパブリックコメントを実施しております。その結果と、今回最終の改定案を提示したいと思います。

 資料3-3にあるように、パブリックコメントに関しては計5件寄せられておりまして、多くは記載整備のものです。一部、こちらで記載整備しましたのが、3-2の2ページの「使用上の注意」のa)溶血の防止の部分です。こちらは適正使用調査会の意見で、右側の旧来の指針では、「放射線照射後に白血球除去フィルターを通してから」とあり、この部分は現時点では、輸血用血液製剤の製造工程上で行っていますので、「削除してもいいのではないか」という御意見を頂き削除しておりましたが、「若干意味が変わる」という御意見を頂いておりますので、それを踏まえて、こちらの新旧対照表の改定案にありますように、「24Gより細い注射針を用いて輸注ポンプで加圧して輸血すると、溶血を起こす危険性があるので、新生児の輸血に関しては、輸血速度を遅くし、溶血の出現に十分な注意を払う」というように記載の整備をしています。

 また、パブリックコメントの5件中の1件に関して、今回の改定ではありませんが、資料3-136ページにあるアルブミンの使用指針のネフローゼ症候群に関する部分に関してのコメントがありました。パブリックコメントに関しては、小児のネフローゼの場合に関しては、利尿剤の使用には関係なく、循環不全のために緊急避難的にアルブミンを使うというような趣旨でしたが、こちらの使用指針でのアルブミンの使用指針の部位に関しては、難治性の浮腫又は肺水腫を伴うネフローゼ症候群に対するアルブミンの使用というところに関するものなので、パブリックコメントの循環不全という観点からの趣旨での変更は不要と考えております。

 また、この血液製剤の使用指針は、今後も最新の知見に合わせて改定していくようにいたします。以上です。

○半田部会長 ありがとうございました。当該使用指針の改定案について、御意見、御質問等はございますか。今回は部分的な改定ということで小児、新生児ということですが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか、それでは議決に移りたいと思います。当該指針改定案を御承認いただけますでしょうか。

 ありがとうございました。それでは、今後当該使用指針の発出に当たりましては、また部分的な修正等が入る場合は、私、部会長の方に御一任いただければと思います。ありがとうございました。

 それでは、続きまして議題4に入りたいと思います。「血液事業の予見性拡大のための施策」ということで、原料血漿配分ルールを含むということです。資料4についての説明をお願いします。

○菓子野血液対策課長補佐 資料4について御説明いたします。これまで運営委員会において、日本赤十字社、EFPIA Japan、内資系の血漿分画製剤メーカー等から御意見を頂戴しておりました。平成30年1月の運営委員会において、EFPIA Japan傘下の日本法人の説明によると、日本の原料血漿の配分を受けて国内自給に協力したいというような表明もされたところです。

 一方で、血液法では国が需給計画を策定することによって、血漿を配分するということは定められておりますが、どう配分するかというのは運用に任されているところでございます。内外資にかかわらず新規参入者が現れた場合に、新規参入者と既に配分を受けている企業との間でどのように安定供給と国内自給を両立することで、いかに効率的に配分を行うかどうかというのは、明文として明確なルールがあったわけではないというのが現状です。これについて、どういった配分ルールの在り方がよいかというのを運営委員会で議論してまいりました。それについて御報告させていただきたいと思います。

 1枚目です。まず方針として、平成30年度上半期に血液法に基づく基本指針の改定を行う予定です。これに併せて、今から御説明します配分ルールの整備と配分ルールの運用に必要なデータ等を整理したいと事務局として考えております。

 まず、改めて、2-1、原料血漿の配分の基本的な考え方について御説明いたします。まずは()ですが、血漿分画製剤の安定供給と国内自給の確実な実施です。これは委員の先生方には釈迦に説法でございますが、血液法の規定と標準価格の算定背景を踏まえて、原料血漿の配分に当たっては、国内の献血血液を原料とした血漿分画製剤に係る供給実績のある企業に対して、国内医療需要を踏まえた上で、国内の献血血液を原料とした血漿分画製剤を製造するために必要な原料血漿の量を優先的に配分することとします。供給実績があるということは、来年度もその供給実績のある製剤を待っている患者がいらっしゃるということですので、国内の医療に混乱を来さないように、既に配分を受けている企業に対しては配慮するということです。

()です。これまで新規参入企業に対する配分申請の可能性というのが明文化されていなかったわけですが、現に原料血漿が配分されている企業のほかに、新たに原料血漿の配分を希望し、これを原料に国内にきちんと血漿分画製剤を供給する企業、これは外国に製造所を有する企業も含めて、原料血漿の配分申請を認めることを明確化するということです。当然、その新規参入企業に対してもEqual Footingの観点から、原料血漿の標準価格は、需給計画に示されている原価計算方式を基本として決定するということです。

()です。配分される企業の適性は、厚生労働省が需給計画の作成時においてきちんと確認するということです。

 次のページを御覧ください。新規参入企業に対する配分の方針ですが、これは国内自給の確保に必ず寄与するような製造販売方針を有する新規参入企業に対して、国内自給の確保に寄与する分に限って、原料血漿を配分したいと考えております。また、献血血液が有効に活用されるという観点から、新規参入企業の連産品の品目数というのも配分に当たって考慮してはどうかと考えております。例えば国内自給の確保に寄与する在り方としては、外国血漿由来のシングルサプライのものを国内の原料血漿由来に置き換える企業。あるいは外資でも内資でもいいのですが、国内で未販売の血漿分画製剤の原料に国内の献血血液を用いる企業。既に国内献血由来の血漿分画製剤と競合する外国血漿由来血漿分画製剤の輸入量を、新たに製造する国内献血由来の血漿分画製剤に置き換える、輸入する分を置き換えるような企業であれば、日本全体で国内自給の確保に寄与するだろうということです。

 例えばシングルサプライの外国血漿由来の製品を国内血漿に置き換えた場合に、例えば連産されるアルブミン等については、まだ国内自給は未達ですので、それを例えば外国由来の原料血漿と置き換えるような形で日本にバックするような取扱いを求めてはどうかというように考えています。

()です。この原料血漿の配分ルールを今後決めていきたいと思っているのですが、これは例えば血液事業部会の決定としてはどうかと考えています。やはり日々刻々と変化する医療需要だとか企業の経営状況に合わせて、血液事業部会の裁量が働く仕組みが好ましいのではないかと考えております。ただ、一方で「国は基本方針に沿った形で需給計画を決定する」と法律に書かれておりますので、正に血液事業部会の決めた配分ルールに沿って国は需給計画を策定するということを基本方針に明記してはどうかと。それで、国の裁量で勝手に配分がなされるということはなくなりまして、きちんと部会に諮問した上で、配分が決定されるということになるのではないかと思っております。これは新基本方針の施行とともに実施してはどうかと考えております。

 続いて、新規参入企業の安定供給責任の担保の仕組みです。新たに原料血漿が配分された企業は、当然需給計画の統制対象となりまして、需給計画の尊重義務を有し、義務違反に対しては業務停止命令処分の対象とし、厚生労働省と企業がきちんと血漿分画製剤の安定供給の責任を維持するということです。

 続いて()です。新規参入企業には、外国に製造所を保有する企業も想定されますので、需給計画の統制対象となります。ですので、輸出貿易管理令による水際規制ではなくて、血液法の需給計画によって統制するということではいかがかと考えています。

 今までの議論は新規参入者に対する予見性の拡大ということでしたが、予見性の更なる拡大として、先ほども議論になりましたが、原料血漿の需要見通しが不透明な状況ですので、将来の原料血漿の需要見通しの検討を厚生労働省が原料血漿の配分を受ける企業等の関係者の協力も得て、我が国の医療需要をきちんと踏まえた上で、国内自給に必要な原料血漿量の算定を行いたいと考えております。必要な原料血漿量を踏まえて、日赤は必要な設備投資なり採血体制の整備を進めていくということになります。

 併せて、複数年契約化の検討を行いたいと思っております。今まで単年でやっていたわけですので、血漿分画メーカーも、将来、幾ら配分されるかという不安があるということですし、日赤もどこまで採ればいいのだということが単年度の需給計画によって予見されませんでした。ですから、鉄鉱石や原油も複数年契約であったり先ものでヘッジしたり、一般的には将来の需要を見越して調達計画を作るわけですから、通例の企業に倣って、複数年契約化の検討を進めていきたいと考えております。その際の価格というのは、もちろん需給計画に示される原価計算方式を基本とするということです。

()は中間原料についてです。国内における免疫グロブリン等の製剤の需要増に対して、アルブミン等の市場は縮小傾向にあります。外国血漿由来の製品と競合するものもありますので、構造上、未利用の中間原料が発生している現状にあります。未利用の中間原料の活用にアイディアを有する企業については、誰でもアクセスできるように中間原料の取扱いについてルールを整備したいと考えています。これによって献血血液を有効活用することと、連産ギャップが多少解消されることによって、企業の利益構造の改善が見込まれると考えられています。今まで廃棄していた未利用の中間原料が何らかの形で収益化されるということです。

 ただし、アルブミンについては非常に大量に余っているというのが問題になっております。これについては、例えばアルブミンに新規参入したいというのであれば、まずは血漿を配分するのではなくて未利用の中間原料からアクセスしていってはどうかと考えております。その未利用の中間原料を活用したアルブミンを国内に戻していただければ、国内自給の向上にも寄与するのではないかと考えております。説明としては以上です。運営委員会からも、この方針について御了解を得たところです。

○半田部会長 ありがとうございました。原料血漿の配分ルールも含めた将来の予見性についてです。これは再来年の基本方針の改定に盛り込むというところが、非常に重要なポイントであると。ですから、これから1年、今年の夏ですから時間的には切迫しているということで、本日皆さん方の御意見等を伺えればと思いますが、いかがでしょうか。

○濱口部会長代理 これから国内の血漿を外に出すという話なのだと思いますが、このシングルサプライの製剤としてはどのようなものを考えられていて、今99万リットルを原料血漿として確保しようという中で、どのぐらいの量を想定されているのでしょうか。そうした場合に、事業部会の中で配分を考えるということなのですが、バランスが大きく崩れるようなことというのはないのかどうかということについて、現状においてどの程度のものなのかということを教えていただければと思います。

○菓子野血液対策課長補佐 シングルサプライの製品としては、例えばシャイアー社のバイパス製剤であったり、CSL社の皮下注のグロブリン、C1-インアクチベータ、第XIII因子と様々あります。

 これらのシングルサプライの製品は、基本的には希少疾患向けの製剤であり、個別具体の必要な原料血漿量というのを申し上げると企業機密に触れる話ですので申し上げづらいところはあるのですが、ボリュームとしては恐らく数十万という規模にはならないものだと見込んでいます。例えば皮下注のグロブリンであれば、今の全体の需要と見比べると、恐らく5万リットルもいかない量だと考えられますので、そういった規模で連産品を我が国に戻していただいて、需給率の改善に努めていただくというようなことです。

 恐らく、皮下注のグロブリン見合いで連産すれば、今、日本に供給されている例えばプロトロビン複合体、XIII因子、C1-インアクチベータの需要というのは、ある程度カバーできるのではないかと見ており、これらの自給率が改善されると考えます。なお、この見込みは事務局の考えであり、これらの製剤を生産している企業が具体的に計算したものではないことをお断りします。

○半田部会長 ほかに、どなたか御意見等はありますでしょうか。これは、今後から運営委員会を中心に議論を進めていかれるということでよろしいのでしょうか。

○菓子野血液対策課長補佐 はい。

○半田部会長 それでは、この事務局の方針でルールの整備等をこれから進めていただくということです。来年度の基本方針に反映するということですので、今年の上半期ぐらいまでには、もう少しきちんとした最終案が出てくると思いますが、皆様におかれましてはよろしくお願いしたいと思います。次に、議題5の血液事業の実態に関する調査報告についてです。資料5についての説明をお願いいたします。

○山本()血液対策課長補佐 資料5について説明いたします。こちらは「諸外国における献血血液の安全対策等調査」です。経緯です。平成25年に国内で発生した輸血からのHIV感染事例で、献血者が問診時に申告すべきHIVのリスク行動を申告していなかった。このことを受けて、献血時の虚偽申告を防止するために、罰則というのはどうかということを調査しております。海外に対しては、オーストラリア、シンガポール、イギリス、フランス、ドイツ、米国、カナダ、台湾を調査しており、今年度は罰則規定を設けている国として韓国を調査し、併せて国際機関等での議論、また日本に罰則規定を適用する場合の事実の整理と、これまでの海外9か国と日本を比較できるように調査をして整理していただいております。

 調査項目としては、韓国における献血制度及びHIV対策と、献血時の虚偽申告防止に向けた在り方です。こちらに国際的な議論が書かれております。

 1ポツでの韓国における法的措置としては、韓国では後天的免疫不全症予防法第19条に違反した場合、こちらは「血液又は体液を介して他人に伝搬媒介行為をしてはならない」というところに違反したときには、第25条によって罰則を受けるという法律がありますが、韓国でこの法的措置を講じた事例はございません。

 2ポツには、これまでの虚偽申告に対する各国の罰則規定の有無と法的措置について記載してありますが、罰則規定がある国でも法的措置を講じた例というのはない場合もあります。

IIの献血時の虚偽申告防止に向けた在り方に関してです。こちらで海外におけるHIVの感染加害罰をめぐる議論をまとめています。このHIV感染加害罰というのは、献血の血液製剤以外も含めた意味ですが、この報告書の本文では、海外においてなされている議論を国際機関等による意見と、諸外国における意見の二つに分けて整理しております。こちらを簡潔にまとめると真ん中にある四角の表になります。こちらの議論では、献血には虚偽申告に対する罰則、刑事罰の是非については議論された形跡は見られないということでした。国際機関及び諸外国においては、故意をもって強制的に感染行為をした場合には罰則が適用されて然るべきという意見があり、故意が明らかでない場合は罰則規定は適用されるべきではないという意見で一致しております。

 3ポツとして、HIVの関係の刑事罰を廃止するという意見がありますが、この根拠に関しては感染行為によってHIVを感染させるリスクというのが、抗レトロウイルス療法の普及によって無視できる水準まで下がっているということと、刑事罰があることで、検査をして自分が陽性であることが分かっている場合、故意性の証明になるということでHIV検査の受検をためらう恐れがあるということで廃止を求めるという意見に集約されております。

 その下の2ポツで、各国の献血時の虚偽申告者に対する法的措置がどういった背景で作られたかというところをまとめています。こちらの多くは1996年以前に作られた法律で、1996年というのが抗レトロウイルス療法が国際エイズ学会で発表され、HIV感染というものが死に至る病ではなく、治療することで長く健康に生きられると変わったという転換点になります。

 3ポツに、ART療法を踏まえての献血での安全性をまとめています。御存じのとおり、平成26年8月から、日本では個別NATが導入されております。つまり、この平成25年の事例以降にも安全対策は進んでおりまして、日本では個別NATが入っています。

 4ページの図表、2-19に現状のHIVの残存リスクがまとめられています。日本においては初回献血者、複数回献血者でまとめておりますが、100万件当たり0.0150.005という数字になっております。4ポツにおいて、日本において虚偽申告に対して適用される法律というのはありませんが、三つ目のポツで、HIVの感染事実を知りながら強姦致傷に及んだことが量刑を重くする事情とされた裁判例はあります。

 以上を踏まえて事務局のまとめは5ページです。こちらの調査というのは、献血時の虚偽申告に対する罰則規定の必要性について検討するために行ってきました。諸外国においてはその罰則規定というのはARTが確立しておらず、またHIVの感染リスクに関する知見が乏しいときに成立されたものです。日本ではARTの受診率というのは70%台であるという報告です。また、諸外国や国際機関での議論において、罰則規定があることによって、それ自体がHIV検査の受検をためらわせる原因となるということが指摘されております。これは献血者が健康の問題を自分で考えて、必要であれば検査に行くというものですが、献血に対する罰則規定を導入したときには、検査受検をためらわせるというような類似の可能性があるのではないかということを考えます。

 また、HIV感染の安全性においては、平成26年以降において個別NATの導入、供血者の連絡先の確保等の徹底、情報提供も当然しており、そういったリスク対策の結果、献血血液からのHIV感染リスクというのは更に低下しているという現状において、安全性を更に向上させるために、この虚偽申告への罰則規定の導入は必要であろうかと。また、HIVの検査体制においては、保健所等において無料・匿名の検査、相談体制を整えており、この利用拡大と利便性の推進というのは進めていっているところです。

 以上より、各国の法的措置の制定時からのHIV治療法の進歩、また日本での血液製剤の安全性の向上、検査体制や普及啓発を含めた総合的なHIV対策を踏まえれば、現時点での罰則規定の導入の必要性は乏しいのではないだろうかということで、運営委員会で議論していただきました。

 運営委員会の結論としては、HIVの治療法の進歩や血液製剤の安全性が向上した現時点において罰則規定の導入というのは、その影響も踏まえると、その必要性はないのではないかということで、一致した見解を頂いております。以上になります。

○半田部会長 ありがとうございました。今回は、献血時の平成25年に起こった虚偽申告に対する罰則規定を導入すべきかどうかということで、5年間にわたる研究事業の結果に基づいて、事務局と運営委員会のほうで、導入の必要性はないのではないかという結論が出たわけですが、今回この部会にお諮りするということです。委員の皆様、御意見あるいは御質問等はございますか。

○小幡委員 私も大体こういう結論になるのかとは思いますが、いろいろなやり方が確かにあり得て、例えば刑事罰ではなくて簡単な行政罰と言いますか、過料のようなものを置いて、虚偽に申告されると過料を科される可能性がありますなどということを例えば一文置いて、できるだけ真実を申告していただくようにするということも、ないわけではないですが、善意の献血というところで、そういうように性善説でない立場の警告文を入れるということに対する抵抗もあろうと思います。

 故意にやった場合は、ここにも書いてありますが、現状でも刑法上の傷害罪になる可能性はある。ですから、そうでない場合について、今の段階では必要はないのかと。ただ、問題は技術的に、精度よく実際にはねられるような対応がきちんとできればよいと。技術のことは分かりませんが、そのように強く思っております。結論的には、こういうことかと思います。

○半田部会長 ただいまの小幡委員の御意見に何かございますか。

○山本()血液対策課長補佐 この安全対策においては問診から検査導入、もちろん献血者集団以外というのもある程度はセレクトされた状態の方ですので、それ以外の対象に対しても、検査受検の推進、取組と利便性の向上に努めて、公衆的な観点からも対策をしていると考えていただければと思います。

○長村委員 結論に関しては賛成いたします。一つはもっと基本的な所でHIVに関しての啓もう活動をするということと、やはり検査をいかにうまく早くやるかということに終始した方が、結局は効率はいいのではないかと思います。

○山本()血液対策課長補佐 一般的な対策、HIVの検査体制としては、保健所の設定と委託等での、より利便性が高い場所での検査体制の整備や、また特定の感染者集団に対する取組も行っていっているのが現状です。

○薄井委員 長村先生の意見に賛成で、こういうきちんとした方針を出されるのは非常にいいと思います。方針についてはいいと思いますが、やはりこういうことがあるということは忘れないようにすべきだと思いますので、いろいろなチャンネルを使って啓もうするという活動は非常に大事で、例えば献血ルームには「もしHIVでしたら保健所に行きましょう」とか、そういうことを普通に話せるような雰囲気を作ることも大事なのではないかと思うのです。HIVが見付かると怖いという感覚があるものですから、どうしてもそういう状況になってくると思いますので、そういうことももちろん血液部会だけではなくて、もう少しいろいろなチャンネルを作って、国民に啓もうするということも盛り込んでいったほうがいいのではないかと思います。

○岡田委員 やはり献血を利用して検査を受けないように、今の保健所の検査ですと、どうしても匿名と言いながらも、特定の時間に集まっている人は、みんなHIVの検査目的だと分かると、なかなか調べたくても避ける傾向はあるので、医療機関でHIVの検査を分からないような方法で受ける。例えば今は肝炎等は無料で自治体などでやっていますが、そのときにHIVというのは出さずに、例えば健康のための検査と言って、その検査の項目の中にHIVも入れるようなことをすると、大分検査も受けやすくなるのではないかということで、献血にそういうリスクを持った人がこないようにするというのが必要ではないかと思っています。

○半田部会長 ありがとうございました。それでは、当該事務局、運営委員会の案について、当部会でも御了承していただいたということでよろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、事務局におかれましては、今の御意見もまた参考にしていただいて、今後の施策にいかしてください。それでは最後の議題です。議題6、「献血者数のシミュレーションの見直しについて」ということで、事務局から、その後に日本赤十字社から説明をお願いいたします。

○山本()血液対策課長補佐 事務局です。資料6-1を用い、献血者数のシミュレーションの見直しについて説明をさせていただきます。併せて、参考資料6-1、参考資料6-2も御準備ください。

 はじめに、資料6-1の関係です。日本赤十字社では、平成26年に将来の輸血用血液製剤の需要予測、供給予測と、これを確保するために必要な献血者の延べ人数のシミュレーションを行い、平成2612月開催の当部会に報告をしております。そのときの資料が参考資料6-1になりますので、参考資料6-1を御覧ください。3ページ、右上に「グラフ3」と記載のあるものを御覧ください。このグラフの真ん中辺りに、山なりになっている線がありますが、これが輸血用血液製剤の供給予測ということで、供給量はだんだん増えていって、2027年にはピークに達すると試算をしております。

 このグラフの下の欄外に記載があるのですが、これは東京都福祉保健局でまとめた2012年輸血状況調査結果に基づいており、輸血用血液製剤の約85%が50歳以上の患者さんに使用されているということから、これに将来推計人口と供給実績を用いて算出したものです。つまり、言い換えると、50歳以上の方が増えるに連れて、輸血用血液製剤の使用量が増えるという結果です。

 また、このとき血漿分画製剤用原料血漿の必要量も当然考えてはいるところですが、それについてはこのグラフの棒グラフで示しているところです。原料血漿の必要量は不確定要素があるということで、毎年100万リットルということで推移すると固定をされて試算をしているところです。

 次に、4ページ右上に「グラフ4」と書かれているものを御覧ください。供給量がピークに達する2027年ですが、必要な延べ献血者数は約545万人と試算をしていたところです。その際、グラフの欄外の上のほうに2013年の年代別献血率を記載しておりますが、その後も維持をすると仮定をして、将来推計人口により献血者の延べ人数も算出しております。これは欄外の下のほうに書いています。2027年の献血者数は459万人になると試算しております。必要な延べ人数が545万人に対して集まる献血者数が459万人ということで、この差、約85万人の献血者が不足するとこの段階では試算をされていたというところです。現在、この結果に基づき平成32年度までの達成目標として、「献血推進2020」というものを定めており、これに基づいて献血の推進に取り組んでいるところです。

 資料6-1にお戻りいただき、真ん中辺りになりますが、輸血用血液製剤の供給実績です。その後、輸血用血液製剤の供給実績を見ますと、実は2027年まで増え続けるというシミュレーションとは異なり、実際には減少傾向にあるのが見えてきたところです。次の段落ですが、そういうことも踏まえ、平成29年、日本赤十字社では改めて輸血用血液製剤の需要推計を行い、その結果をこの9月に開催した当部会にも報告しております。そのときの資料が参考資料6-2になりますので、今度はこちらを御覧ください。

 2ページです。1.目的で記載しておりますが、輸血医療を取り巻く環境の変化を踏まえ、需要予測を行うということです。2.検討経過の下のほうの平成29年度ですが、全国の輸血用血液製剤の使用量が多い672医療機関を抽出し、輸血用血液製剤別に平成28年度の供給実績と比較して、5年後、10年後の使用動向がどうなるかについてアンケートを行うとともに、ヒアリング調査を実施してきたところです。

 3ページです。3.検討結果ですが、こちらにあるとおり、輸血用血液製剤ごとの需要予測は、いずれの製剤においても今後は微減とか緩やかに減少するという結果が示されたところです。それぞれの製剤ごとの5年後、10年後の数値は、9ページから14ページにグラフで示させていただいているところです。説明は省略しますが、いずれも減少傾向にあるという数値が示されているところです。

 また、資料6-1にお戻りください。一番下の段落です。献血者数のシミュレーションの前提となる輸血用血液製剤の需要予測が、平成26年度にやったときと比べて平成29年度のデータは下方修正されたということですので、日本赤十字社では改めて平成29年の需要予測を踏まえて必要献血者数のシミュレーションを行い、それが今日、御報告させていただくものになります。これは後ほど、日本赤十字社から御説明を行いますが、平成29年の5年後の平成34(2022)の時点では必要な献血者数は約485万人で、10年後、平成39(2027)には約477万人の献血者が必要だと試算をされているところです。

 資料6-1の2ページです。今回のシミュレーションでは、平成26年のシミュレーション、つまり2027年の段階での必要献血者数は、約545万人というシミュレーションの結果を下方修正するというデータが出ているところですので、85万人の献血者が不足することについては、見直しが必要だということになるのではないかと思っております。なお、2027年の段階で、今は477万人の献血者という数値ですが、477万人というのは平成28年の実績が483万人ですので、それよりも6万人少ない人で賄えるというデータが示されたことになります。

 最後に※で記載しておりますが、今般のシミュレーションでは、必要となる原料血漿の量も一定で推移すると見込んでおります。先ほどから話が出ておりますが、原料血漿の需要は、また見込んでしっかりやっていかなくてはいけないということがあります。平成36年には企業3社が配分を希望する合計量が141万リットルまでいくというデータもありますので、今後、原料血漿の需要動向もきちんと精査した上で、改めて必要献血者数のシミュレーションを行う必要があることを御報告させていただきます。事務局からは以上です。では、引き続き日本赤十字社にお願いいたします。

○日本赤十字社千葉経営企画部長 どうぞよろしくお願いいたします。資料6-2です。「血液製剤の需要予測に基づく献血者数のシミュレーション」です。2ページですが、目次として、「はじめに」と。今、御説明のありましたとおり、医療事情の背景が変わってきたことがありますので、そのことと、昨年度、推計させていただいた予測に基づいて、必要な献血者数の算出を行ってまいりました。さらに、その必要献血者数の年代別の献血者推移のシミュレーションを行っております。そして、「今後の課題」ということでお話をさせていただきます。

 3ページをお開きください。こちらは、今、説明いただいたとおりですが、簡単に申し上げますと、輸血医療を取り巻く環境の変化を踏まえ、2017年度に輸血用血液製剤の需要予測を実施して、先ほども御案内がありましたが、なお書きの下にありますように、第1回薬事・食品衛生審議会(血液事業部会献血推進調査会)、これは昨年8月です。それと同じく9月20日の血液事業部会においても、この需要予測については御説明をさせていただいているところです。

 下段に表1があります。こちらは輸血用血液製剤の需要推計結果ということで、2016年度の供給実績値に対して2022年度は微増していくのですが、2027年、10年後においては減少傾向となる予測となっているところです。これも御説明いただいたとおりです。さらに、その右の図1ですが、こちらは製剤ごとの供給の結果と予測を示しております。

 この内容を基にいたしまして4ページです。今申し上げました需要推計結果を踏まえ、2016年度の血液製剤供給実績、これは製剤ごとの単位数から割り出しておりますが、こちらの献血種別の必要献血者数(延べ数ですが)、これを算出しております。

 下段の表2です。こちらの表の右の合計ですが、記載しているとおりでして、2016年度は約483万人が献血に御協力いただいた人数です。2022年度のシミュレーションの結果ですが、これは今も御案内がありましたが約485万人、10年後の2027年度においては約477万人の必要献血者数と算出したところです。この算出条件ですが、表の下に書いており、製品化率は96.0%であり、全血献血(400ミリリットル献血率)は、2016年度は95.4%ですので、その設定でやっています。血漿成分献血は2016年度の1人当たり平均採取量、こちらも年々増加させているところですが、487.8ミリリットルでしたので、これで設定しているところです。血小板成分献血ですが、こちらは2016年度のそれぞれの血小板成分献血は5単位、10単位、15単位、20単位とあり、それと同じような割合で設定しているところです。こういった条件を付して積算しております。

 ※があり、ここを少し読ませていただきます。血漿分画製剤用原料血漿の確保目標量ですが、先ほどの平成26年度のシミュレーションでは、100万リットルを基礎にということでしたが、こちらについては需要動向に不確定要素があるということですので、2016年度の量でありました95万リットルとして算出しているところです。

 5ページです。必要献血者数を2022年度は約485万人、10年後の2027年度は約477万人と試算したことを踏まえ、各年代別に献血者のシミュレーションを行いました。算出条件については御覧のとおりですが、算出条件は1.~5.まであります。献血可能人口、実献血者数、延べ献血者数。実献血者数というのは年間何回されても1人は1人ということで、延べ献血者数というのは実献血者1人に対して年間何回もされている方の回数をカウントしたものです。それから、年代別受療率。受療率というのは医療機関に対して医療の受療を行ったという率が出ていますので、そちらを勘案させていただいております。5.としては、若年層献血者数などでして、過去の献血(採血)基準の改定等による年代別の献血実績数及び安定かつ効率的な献血推進活動による献血者数を踏まえ分析しているところです。これまで同様に過不足のない事業に必要な献血者数を算出しているところです。

 6ページには表3、年代別献血者推移をお示ししており、さらに7ページには、図2、歳ごとに献血可能人口に対する献血率をグラフでお示しさせていただいております。6ページを見ていただきますと、こちらは表3、年代別献血者推移及びシミュレーションの結果とあります。左の1996年度から5年ごとに年代別に、献血可能人口、実献血者数、献血率、延べ献血者数、その献血率を示しております。また、2022年度及び2027年度は、今回のシミュレーションの結果となっております。左の19962016年度までは実数で、2022年度と2027年度はシミュレーションです。

 今回の献血者シミュレーションの結果を検証するとして、太枠で示している所がありますので、ここを御紹介させていただきますと、2027年度の50代を算出した結果については、1996年度、一番左の列ですが、こちらの20代の献血者層が人口に対する実献血率が7.1%でした。この方々が10年後、2006年度になりますと、30代では4.5%です。さらに、10年後の2016年度の40代になりますと4.1%。さらに、10年後の50代については3.8%と算出しております。特に、20062016年度にかけて実献血率が0.4%減少していることを踏まえ、2027年度の実献血者数にその減少を反映させた結果としてあります。

 もう一つ、延べ献血者数については、年々1人当たりの献血回数が増加している傾向にあります。リピーターとして献血していただいているということは、少しずつ増えている状況ですが、1996年度の20代の献血者層の延べ献血者率が10.4%です。10年後の2006年度の30代では7.3%。さらに、10年後の2016年度の40代では7.5%となっております。さらに、10年後の50代になりますと7.3%の結果となっております。

 7ページを見ていただきますと、こちらは年齢ごとといいますか、歳ごとの献血可能人口に対する延べ献血者数の推移のシミュレーションでして、その結果を表したグラフとなっております。2016年度は約483万人の方々に御協力を頂いたということでして、2022年度の必要献血者数は、繰り返しになりますが485万人、さらに2027年度においては477万人となっております。

 8ページ、今後の課題です。今後の課題として、「輸血医療を取り巻く環境の変化」、「献血可能人口の推移」など、都道府県によってそれぞれ異なる環境がありますので、これを考慮していく必要があると考えているところです。具体的には、1.医療需要推移、2.献血可能人口推移、3.男女別・年代別・献血種別献血者推移などの分析及び4.若年層献血者確保対策の検証が重要であり、地域ごとの特性を踏まえた効果的な献血推進活動を進める必要がありますので、今後、5年ごとの需要予測調査を実施するなど、定期的な評価・検証が必要であると考えております。

 もう一度概括的に申し上げますと、改めて行った需要予測に対して、必要な献血者は何名かというものを出させていただき、その結果、今後は以前にお話をしていた内容よりも、もう少し少ない献血者で十分需要を満たしていけるという結果であったということです。ただ、血液製剤には有効期限があり、日々献血の御協力が必要でありますので、これについてもしっかり推進をしていきたいと考えているところです。以上、血液製剤の需要予測率に基づく献血者のシミュレーションについて、御報告をさせていただきました。ありがとうございました。

○半田部会長 ありがとうございました。詳細に御説明していただきました。2、3御意見を伺いたいと思います。どうぞ。

○溝上委員 素晴らしいデータをありがとうございました。ところで、現在海外に若い人たちを中心に年間約2,000万人以上が海外に行きます。そうすると各種感染症に感染する機会が増えます。その人達が帰国して献血する人も増えます。そうすると、その中の一部は潜伏期ということも考えられます。その分折角献血しても排除しないと行けなくなるわけですが、どれ位ドロップアウトするかというのも計算しておかないと、危なくなるのではないかと思ったのですが、いかがですか。

○日本赤十字社千葉経営企画部部長 最後のページでお話をさせていただきましたように、医療を取り巻く環境は、今、海外からいらっしゃる方も含めて、環境というものは日々変わると思っております。まして2020年のオリンピックのことも踏まえて考えますと、いろいろな対策が必要だろうと思いますし、対策の前にその検証も必要なのだろうと思っております。医療の需要、献血者の御協力の在り方とか、そういったものを踏まえて対策を取っていきたいと思っております。

○溝上委員 現在の日本の状態のように国際化するとドロップアウトを計算しておかないと危ないのではないですかということを言っているわけですが、これが反映していなかったもので、それでお聞きした次第です。

○日本赤十字社千葉経営企画部長 ありがとうございます。

○半田部会長 ほかにどうぞ。それではお2人、順番に田野崎委員、岡田委員、さらに山口委員、手短にお願いします。

○田野崎委員 既にここの結論のところにも書かれていて、グロブリン製剤についてですが、国内3社は141万リットルということで、かなり予測の格差があることが気になるのですが、この実績の調査に関して私たちの施設でも同じような調査を受けておりますが、実際には実績を踏まえて輸血部門が中心になってこれを調査していると。実際は、今後、需要が伸びていくであろう免疫グロブリンは、薬剤部が大体管理をされていて、そこの部分が十分反映されていない可能性があるのではないかと。そして、適正使用に関しても、現在、薬剤部でとどまっていますので、十分されていないことを考えますと、この調査自体、そこの部分が少し欠けている可能性があるのではないかと思いますので、今後ともそこを注意されたらいいのではないかと思います。

○半田部会長 ありがとうございます。それでは、岡田委員、山口委員。

○岡田委員 将来予測で献血者の年齢が右にシフトしているのです。それで、献血者が高齢化しているというので、この先を考えると、若い人の世代に献血者を増やすことをしていないと、10年間は大丈夫ですが、本当に20年後とかは深刻な献血不足になるのではないかと思うので、そういう面では若い世代の献血をいかに増やすかというのが重要な課題だと思います。以上です。

○半田部会長 では最後、どうぞ。

○山口委員 資料6-2の6ページで、表を見るのに苦労したのですが、要するに10年たったときにどう変わるかというところを、今いろいろ説明していただいたと思うのです。4050代の方は、大体10年前と同じ、10かけぐらいで落ちているのですが、20代に関しては、30代になったときにガタンと落ちているのです。要するに、20代の割と若い人たちが30代になったときに、非常に献血に行きにくくなっている。社会で活躍するときとか、家庭に入られたりとか色々な状況があると思うのですが、今後、多分集中してこの世代の献血を増やしていかないといけないというのは、そこのところをきちんとフォローする必要がある。特に、大学生は意外と献血するのですが、就職した途端に献血しなくなるという。ほかの所でもそういう情報を頂いているので、そういうところをきちんとやっていく必要があるのかという気がします。

○日本赤十字社千葉経営企画部長 先ほど田野崎委員からお話がありましたグロブリンのことについては、先ほどのシミュレーションというのは輸血用血液製剤のシミュレーションですので、グロブリン等の需要については、我々が原料血漿の確保量がどれぐらい必要かということを、また別に勘案しております。

 今の20代のことですが、7ページを御覧いただきますと、正に御指摘いただきましたとおり、1819歳が非常に多く頂いており、こちらが20歳を超えると急激に下がっているという現象がありますので、恐らく就職活動であったり、いろいろなことがあって下がるのですが、20代をターゲットとした若年層の対策を取っていかないといけないというのは、我々も考えているところです。これまでも10代の献血者を増やすことを念頭に置いており、平成29年度については昨年度よりも増加している状況です。

 若年層のお話を頂きましたが、正に岡田委員からお話いただきましたように、若年層を対象としてやっていかなければならないということがありますので、日本赤十字社としてもそこを認識して、今、こちらから学校へお邪魔して、セミナーを開催するとか、それから大学などもそうですが、先ほどお話がありましたとおり、学校献血など、こちらも回数を増やさせていただいている状況です。

○半田部会長 ありがとうございました。いろいろと貴重な御意見、特に献血率は向上させなくてはいけないという、そういう課題のもとになるということで、今後も是非、献血推進2020年という中期目標があるということなので、その見直しに向かって、今の御意見等々を踏まえて検討していただければと思います。

 時間が15分ほど過ぎてしまいまして、本当に座長の不手際で申し訳ありません。議題7、「その他」ですが、委員の方々、せっかくですからこの場で御意見、あるいは何かありますか。よろしいですか。それでは、来年度になりますが、次回の日程等はまた事務局から連絡があると思います。本日はありがとうございました。


(了)

備  考
本部会は、公開で開催された。

連絡先:医薬・生活衛生局 血液対策課 課長補佐 山本(2909)

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