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2018年6月11日 第4回医療等分野情報連携基盤技術ワーキンググループ 議事要旨

政策統括官付情報化担当参事官室/医政局研究開発振興課医療技術情報推進室

○日時

平成30年6月11日(月)15:00~17:00


○場所

スタンダード会議室虎ノ門ヒルズFRONT 2階大ホール
(東京都港区虎ノ門1-22-14ミツヤ虎ノ門ビル2階)


○出席者

石川 広己 (構成員) 大道 道大 (構成員) 大山 永昭 (構成員)
稼農  和久 (構成員) 澤 智博 (構成員) 杉山 茂夫 (構成員)
田尻 泰典 (構成員) 長門 利明 (構成員) 樋口 範雄 (構成員)
簗瀬 博章 (構成員) 棟重 卓三 (構成員) 山本 隆一 (座長)
吉村  仁 (構成員) 瀬戸 雅嗣 (オブザーバー) 高橋 肇 (オブザーバー)
堤  康博 (オブザーバー) 濱田 和則 (オブザーバー)

○議題

(1)  全国保健医療情報ネットワーク・保健医療記録共有サービスについて
(2)  医療等分野における識別子について

○議事

(資料説明)

    事務局から全国保健医療情報ネットワークと保健医療記録共有サービスの課題と対応、医療等分野の情報連携基盤となる全国的なネットワークやサービスの構築に向けた工程表(案)及び医療等分野における識別子の仕組み骨子(案)について説明

 

(全国保健医療情報ネットワーク・保健医療記録共有サービスについて)

    保健医療記録共有サービスについて、病院や診療所などからレセプトデータを自動的にアップロードする仕組みと認識しているが、レセプトデータを支払基金から持ってくることは検討していないということでいいか。

    レセプトコンピューターには診療報酬請求のためのレセプト情報以外にも処方せん情報や検査センターから取り込んだ検査データなどがあり、活用できるのではないか。

    ネットワーク部分とアプリケーション部分は分けて整理し、検討すべき。最初から重いデータをやりとりする前提では運用経費もかかるため、アプリケーションの価値が明確なものからやっていくべき。地域をまたがる全国的なネットワークを一気に太くすることはやり方次第では破綻しかねず、やめた方がいい。

    基本的にはアプリケーションから検討を行うべき。

    ネットワーク技術面でIP-VPNのほか、オンデマンドVPNがあり、費用対効果や特性の違いを鑑みながら、組み合わせていくことが必要。

    広域MPIの設計を間違えると医療等分野の識別子(ID)が動かなくなるので、きちんと議論すべき。

    SOC(セキュリティ監視センター)だけでも運用経費は相当なものになる。運用後すぐに維持できないとならないよう、よく考えて進めていくべき。

    金融分野や電力分野等で安全性の向上のためISACが運営されているが、検討に当たっては、医療分野でも運用モデルをしっかりしておかないといけない。

    全国的なネットワークを作るメリットの整理が必要。どのような便益があるかによって、同じコストでも耐えられるものかどうかが変わる。

    全県単位の地域のネットワークは26あるが、参加患者数は1%。導入コストの問題、運営コストの問題、セキュリティ専門知識の欠如等の理由により、急速に導入が進んでいるとは言い難い。基本的に医療は地域で行うことが多いことから、全国での基盤を活用しながら、地域での人的ネットワークをベースとしたネットワークを作りやすくするという観点から、全国的なネットワークを構築することには意味があると思う。

    運営主体やコストの問題まで相当踏み込んでいるので検討はいいところまで進んでいる。地域のネットワークがうまくいっていないのは、コストの問題や情報共有の標準化がなされていないため、ばらばらに構築されているのが現状。医療従事者の人員不足、データヘルス推進などを踏まえれば、一気に進めないといけない。HPKIなどの基盤となる技術は熟してきている。今こそ全国的なネットワークを構築すべき。国や医療界全体の力をうまく使って、運営主体、コストの問題について、きちんと議論を進めて乗り越えていくべき。

    コスト負担の検討に当たっては、最終受益者が誰かを明確にしないと議論が進まないのではないか。できれば、診療報酬上の評価も加えてほしい。

    全国的なネットワークの姿が見えてきた嬉しさ半分恐ろしさも出てきた。この仕組みができて、誰がどういうメリットを感じ、好んで手を挙げるのか。マイナンバーカード発行時の二の舞になるのではないか。薬剤師会ではHPKIカードの発行、電子お薬手帳の閲覧サービスも提供しているが、月数千円でも二の足を踏んでいるのが実態。薬剤師の業務がこうした仕組みがなくても回っているのも現状。ICTの取組を、誰が引っ張り、誰が後押しするのか、もう少し明確にすることが必要。

    レセプトがデジタル化して久しいが、すべての医療機関がオンラインでつながっているわけではない。多くの診療所はデータを地域の医師会に集めて、そこから請求しているのが現状。基盤となるネットワークを作るのと合わせて、診療報酬にかかわるようなサービスを導入することも同時並行的に行う必要がある。

    日本の医療がつぶれないようにするためにどのような仕組みを作るのか。医療の効率化を図り、サービスの質や国民皆保険制度に基づく社会保障制度を維持していくことが大きな目的であるはず。日本の医療の仕組みとして、どうやって効率をあげるのか、どうやって透明性を確保するのか、どうやって国民に負担をお願いするのか、それらを考えた上での全国的なネットワークであるべき。

    全国的なネットワークの構想は、様々な目的のネットワークが構築され、診療所が複数のネットワーク回線を契約したり、ネットワークのトラフィックが一時に集中したりする中、より有効な使い方はないか、という議論。どういうアプリケーションでどういう価値があるか、昨年度の総務省実証事業も踏まえつつ、精査が必要ではないか。密度と容量は順次、時間軸によって変えながら、有効に使うべき。

    イギリスやアメリカなど、海外の全国ネットワークの失敗事例等に学ぶ必要がある。留意点としては、以下4点。

1.   イギリスでは、N3(地域ネットワーク)の接続ポイントが58あり、これらの集約・  廃止に時間を要していることから、どのように接続ポイントを配置するか。

2.   セキュリティ対策にコストがかかることに加え、セキュリティ対策の自動化に反対意見があるなど、セキュリティ対策に関する考え方が様々であり、温度差がある。

3.   利用者認証の管理が大変であり、誰が管理するのかによって、コストに反映してくる。

4.   国がサービスを運営するとコストが大きくなりがち。国が直接運営せず、サービス課金設定もサービスごとにある程度自由に設定でき、使われなくなったサービスはできるだけ簡単に廃止できる仕組みが必要。

    コストベネフィットが不明確。レセプトのオンライン請求については、診療報酬の入金の短期化など、医療機関側に明確なメリットがあったので進んだ。コストを上回る便益、国民から見た利便性、さらにはリスクに見合ったベネフィットについて、さらに整理が必要。

    病病・病診連携でのメリットは入退院時と圏域を超えた受診がある地域くらいではないか。事務職員と看護師には役立っていないというデータもあり、在宅医療介護を視野に入れないとネットワークの意義は乏しいのではないか。県境で他県のネットワークの医療機関等を利用するケースでは、地域のネットワーク同士の連携の課題や同意ルールの違いなどの阻害要因があり、ガバナンスを取るためにも、全国的な運営組織を考えることが必要。

    全国連絡協議会については、これまでもいくつかの実例があり、現在は日本医師会に医療情報に関する連絡協議会がある。日常的な運用のための協議会では現状ないが、こうした既存の仕組みも踏まえて検討してほしい。

 

(医療等分野における識別子について)

    運営経費は、データベースの運営主体や全国保健医療情報ネットワークの運営主体が負担すべきとあるが、地連のネットワーク運営主体等は含まれていないのか。

    ネットワークを運営する者と連携する者があるというイメージか。コストを誰が負担するのかをきちんと詰めておく必要がある。ネットワーク全体を運営するのと、連携としてMPIを運営するのは違う。

    便益を受ける立場は多様であり、整理すべき。また、DBは、NDBや匿名化機関等様々であり、それを踏まえて誰がどういう費用分担をするのかを整理するべき。

    DBについては、NDBやがん登録、次世代医療基盤法のDBなど公的DBが対象となることを踏まえて整理すべき。

    保険の履歴を追求するのは、IDのためだけに履歴を追う仕組みを作るわけではない。保険事務にも有用だから作るのではないか。ある病院に20年前に髄膜腫で手術をした患者が病院の前で倒れた場合、当たり前のように、過去の履歴を検索するが、保険が変わっている可能性がある。このようなシーンでの利用が有料になるのか整理が必要。

    医療等IDは、DBの突合や医療連携を行う基盤として整備しようと考えた。医療機関側からすれば、国又は国に準ずる組織に運営主体を行ってもらいたい。医療等IDでつながっていくという仕組みには、全てとは言わないが国の負担も検討すべき。

    オンライン資格確認の仕組みとは切り分けて、IDの仕組みと負担はしっかりと整理してほしい。

    データベース運営主体や全国保健医療情報ネットワークの運営主体だけが負担するということではなく、公費で検討すべきものもあるのではないか。

    生活保護受給者はIDの仕組みのスタート時点では難しいかもしれないが、対象となるよう検討すべき。

    「一定の措置を併せて講ずることにより被保険者番号を活用することが適当」とするならば、一定の措置とは何か具体的に示す必要がある。

    留意すべき事項については、医療機関だけではなく、被保険者に対して何らかの指針を示すことやどのような教育をすべきかについても対策に入っているべき。

    日本再興戦略(平成25年)では、「医療情報の番号制度の導入を図る」とされ、その後の日本再興戦略改訂2015においても、「医療等分野における番号制度を導入する」とされた点、また、医療分野の研究開発に資するための匿名加工情報に関する基本方針について(平成30年4月27   閣議決定)においても、「医療等分野に用いる識別子(ID)の実現」が謳われているが、これらについて、経緯も含め骨子案に記載いただきたい。

    骨子(案)では、個人単位化された被保険者番号を識別子としているが、個人単位化された被保険者番号を唯一の識別子とすることについては、議論が行われていない。

    今後とりまとめる骨子や結論においては、以下の文書を入れるべき。

・一定の措置を併せて講ずることにより、 被保険者番号を識別子の一つとして活用することが可能との結論を得た。なお、講ずべき一定の措置については、健康保険証が本人確認書類として広く利用されている現状に鑑み、その導入に伴うリスクを詳細に検討する必要がある。また、 医療機関等や保険者が留意すべき事項をガイドライン等として整理し示すとともに、国民に対しての啓発等も含め、個人の医療情報を適切に取り扱うために必要な措置を検討すべきとされた。

    今後検討が必要な事項として、医療機関等に向けたガイドラインを作成することが主目的のように受け取られないようにすべき。健康保険証が本人確認書類として広く利用されている現状に鑑み、本人同意の在り方等に加えて、被保険者番号の個人単位化そのもののリスク、 さらに、被保険者番号を識別子の1つとして用いる仕組みを導入する場合には、その導入に伴うリスク等を詳細に検討する他、医療機関等や保険者が留意すべき事項をガイドライン等として整理し示すとともに、国民に対しての啓発等も含め、個人の医療情報を適切に取り扱うために必要な措置を検討すべき。

 

(その他)

次回のワーキンググループの開催は、6月27日(水)を予定。


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