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2022年9月26日 第1回令和4年度管理栄養士国家試験出題基準(ガイドライン)改定検討会 議事録

健康局健康課栄養指導室

○日時

令和4年9月26日(月)16:00~18:00

 

○場所

AP東京八重洲 Bルーム及びオンライン


○出席者

構成員<五十音順・敬称略>
 

       石田 裕美(女子栄養大学 教授)
      
       伊藤 裕才(共立女子大学 教授)
      
       榎 裕美 (愛知淑徳大学 教授)
      
       大口 健司(椙山女学園大学 教授)
      
       加藤 昌彦(椙山女学園大学 教授)
      
       栢下 淳(県立広島大学 教授)
      
       木戸 康博(甲南女子大学 教授)
      
       栗木 清典(静岡県立大学 教授)
      
       神田 知子(同志社女子大学 教授)
      
       小切間 美保(同志社女子大学 教授)
      
       髙𣘺 佳子(和洋女子大学 准教授)
      
       竹谷 豊(徳島大学大学院 教授)
      
       武見 ゆかり(女子栄養大学 教授)
      
       田村 朝子(新潟県立大学 教授)
      
       塚原 丘美(名古屋学芸大学 教授)
      
       中出 美代(東海学園大学 教授)
      
       濱田 俊(福岡女子大学 教授)
      
       林 宏一(武庫川女子大学 教授)
      
       藤岡 由夫(神戸学院大学 教授)
      
       横山 徹爾(国立保健医療科学院 生涯健康研究部長)
      
       吉池 信男(青森県立保健大学 学長)
      
       和田 政裕(城西大学 教授)


○議題

(1)検討会の基本的な方向性や今後の進め方について
(2)その他


○議事

○清野栄養指導室長 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第1回「令和4年度管理栄養士国家試験出題基準(ガイドライン)改定検討会」を開催いたします。
 構成員の皆様方には、御多忙のところ御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 座長選出までの間、議事進行させていただきます栄養指導室長の清野です。
 検討会の開催に当たりまして、本来はここで健康局長の佐原から挨拶させていただくところですが、業務の都合により本日出席が難しく、健康課長の佐々木から御挨拶を申し上げます。
○佐々木健康課長 こんにちは。健康課長の佐々木でございます。御案内申し上げましたように、本来、局長の佐原が出て来て挨拶すべきところでございますけれども、私が代わりまして、第1回「令和4年度管理栄養士国家試験出題基準(ガイドライン)改定検討会」の開催に当たりまして、一言御挨拶を申し上げます。
 本日は、御多忙のところ、先生方には御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 御案内のとおり、管理栄養士の国家試験出題基準は、関連法規や制度の改正、管理栄養士に求められる役割等に鑑み、平成22年度から、おおむね4年に1回という形で改定を行っておりまして、今回は、平成30年度以降、4年ぶりの改定となっています。
 管理栄養士にとりましては、昨年12月に開催されました東京栄養サミット2021は、まさに歴史的なイベントになりました。その際の日本政府コミットメントとして「誰一人取り残さない日本の栄養政策」の更なる推進が示されたことは、大変大きな意義があったと考えています。
 我が国におきましては、全ライフコースを対象とした栄養対策と並行して、傷病者、被災者等を対象とした対策を推進しております。個人や地域の栄養課題、こういったものが多様化・複雑化する中で、多職種連携による対応が様々な領域で一層求められるという中で、管理栄養士が専門性を発揮する機会はますます増加しています。
 こうした中、管理栄養士国家試験は、管理栄養士の資質の確保・向上という観点から、極めて重要な役割を果たしており、この意味からも出題基準を適切かつ充実した内容に改定していく必要がございます。
 今回の改定が今後の管理栄養士養成の礎となり、ひいては、日本の栄養政策の着実な推進につながるよう、構成員の皆様におかれましては、忌憚のない御意見をくださいますよう、お願い申し上げまして、私からの御挨拶とさせていただきます。
 本日は、どうぞよろしくお願いいたします。
○清野栄養指導室長 それでは、佐々木は業務の関係で、ここで退席をさせていただきます。
 続きまして、本検討会開催の目的と構成員について、紹介をさせていただきます。資料1の開催要綱を御覧ください。
 検討会の目的でございますけれども、管理栄養士国家試験出題基準につきましては、先生方御承知のとおり、管理栄養士の業務の明確化等を行いました平成12年の「栄養士法の一部を改正する法律」を踏まえまして、平成14年に大きな見直しが行われ、平成17年度の国家試験から適用されたところです。また、平成22年には平成14年度以降の学術の進歩及び制度の変化を踏まえた改正が行われるとともに、おおむね4年に一度改定を行って、内容の充実を図ることが望ましい旨が示されました。このことを踏まえまして、出題基準については、平成26年度、平成30年度に改定が行われてきました。本検討会につきましては、管理栄養士の今後の方向性を踏まえまして、平成30年の改定以降の法律・制度の改正や各種ガイドラインの改定への対応、また、多職種連携に必要な知識及び技能について検討を行うために開催をいたします。
 構成員につきましては、資料1の2枚目の別紙を御覧ください。構成員名簿の順番に御紹介させていただきます。
 女子栄養大学教授 石田裕美構成員。
 共立女子大学教授 伊藤裕才構成員。
 愛知淑徳大学教授 榎裕美構成員。
 椙山女学園大学教授 大口健司構成員。
 椙山女学園大学教授 加藤昌彦構成員。
 県立広島大学教授 栢下淳構成員。
 甲南女子大学教授 木戸康博構成員。
 静岡県立大学教授 栗木清典構成員。
 同志社女子大学教授 神田知子構成員。
 同志社女子大学教授 小切間美保構成員。
 和洋女子大学准教授 髙𣘺佳子構成員。
 徳島大学大学院教授 竹谷豊構成員。
 女子栄養大学教授 武見ゆかり構成員。
 新潟県立大学教授 田村朝子構成員。
 名古屋学芸大学教授 塚原丘美構成員。
 東海学園大学教授 中出美代構成員。
 福岡女子大学教授 濱田俊構成員。
 武庫川女子大学教授 林宏一構成員。
 神戸学院大学教授 藤岡由夫構成員。
 国立保健医療科学院 生涯健康研究部長 横山徹爾構成員。
 青森県立保健大学学長 吉池信男構成員。
 城西大学教授 和田政裕構成員。
 なお、横山構成員は少し遅れての参加となっております。
 引き続き、事務局を紹介させていただきます。
 栄養指導室長補佐の塩澤でございます。
 試験免許係長の吉川でございます。
 よろしくお願いいたします。
 なお、資料1の開催要綱の3「運営」のとおり、本検討会は原則として公開とさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 また、本検討会の座長と副座長につきましては、本来でしたら構成員の先生方から御推薦いただくところですが、事務局としては、現在、管理栄養士国家試験委員会の委員長である加藤構成員に座長を、また、副委員長である石田構成員に副座長をお願いしたいと思います。よろしいでしょうか。
 (首肯する構成員あり)
 それでは、加藤座長から一言御挨拶をお願いいたします。
○加藤座長 先生方、改めましてこんにちは。
 今回、ガイドライン改定検討会の座長を務めさせていただきます。椙山女学園大学の加藤昌彦でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 先生方御存じだと思うのですけれども、今回の検討会におきましては、先ほど佐々木課長からもお話がありましたように、2つのキーワードを掲げています。1つは多職種協働、そして、もう一つは国際化という、こういったキーワードをベースに検討を進めていきたいと考えております。
 なお、御存じのように国家試験は管理栄養士の第一歩を踏み出すための登竜門であるということで、それにふさわしい国家試験を作らなければいけない、それにふさわしいガイドラインを作成する必要があるということで、先生方のお力で、今回の検討会におきまして、きっちりしたガイドラインをまとめさせていただきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 以上です。
○清野栄養指導室長 ありがとうございました。
 続いて、石田副座長から一言御挨拶をお願いいたします。
○石田副座長 このたび、副座長を務めさせていただきます女子栄養大学の石田でございます。皆様、どうぞよろしくお願いいたします。
 現在、管理栄養士国家試験委員会の問題を検討する中で、いろいろな議論がされていると思います。その中で、4年間を学び、一歩を踏み出す学生にとって、本当に必要なものは何だろうか。それをかなり絞り込んでいくという作業が今回必要なのではないかと思っております。社会で求められる管理栄養士の専門性は高度化している一方で、入学してくる学生の力は非常に様々になってきておりますので、この4年間コアとなるものが一体何なのか、何を教え、何を問うのかということを、ここでしっかり皆様と一緒に議論したいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○清野栄養指導室長 ありがとうございました。
 それでは、カメラの撮影はここまでとさせていただきます。
 これ以降の進行につきましては、加藤座長にお願いいたします。
○加藤座長 それでは、検討事項に入っていきたいと思います。
 まずは、「議題(1)検討会の基本的な方向性や今後の進め方について」ということで、事務局から、資料2の説明をお願いします。
○吉川試験免許係長 それでは、資料2の説明をさせていただきます。
 こちらの資料につきましては、本検討会で御議論をいただくに当たりまして、これまでの管理栄養士国家試験出題基準改定の歩みと現在の管理栄養士・栄養士を取り巻く状況について、特に、前回の改定が行われた平成30年度以降の状況の変化についてまとめたものになります。
 本資料で御説明させていただく内容は、ただいま申し上げたとおり、管理栄養士国家試験出題基準(ガイドライン)の改定の歩みと管理栄養士・栄養士を取り巻く状況の2点でございます。また、管理栄養士・栄養士を取り巻く状況につきましては、活力ある持続可能な社会の実現に向けた政策や取組、多領域における多職種連携の推進という2つのトピックに分けて御説明申し上げます。
 まず、「管理栄養士国家試験出題基準改定の歩み」についてです。
 資料には、管理栄養士関係の制度改正と管理栄養士国家試験出題基準(ガイドライン)の改定について、制度の改正と養成教育の内容、国家試験のそれぞれがどのように改正・改定されてきたかを示しております。
 国家試験出題基準については、右下の赤の点線でお示ししているとおり、昭和62年に初めて公表され、その後、平成10年の「21世紀の管理栄養士等あり方検討会報告書」を踏まえた平成12年の栄養士法改正において管理栄養士の業務が明確化され、この内容を受けて、管理栄養士養成施設教育内容の全面改正と国家試験出題基準の改定が行われたところです。
 この平成14年の出題基準改定以降に行われた主な改定の内容を5ページ目にお示ししております。冒頭も御説明いたしましたけれども、出題基準は平成22年以降4年に一度改定をしてきたところです。直近の平成30年度の改定では、主に科目横断的な事項として、出題数の配分等を中心とした見直しを実施し、一部配分を変更いたしました。具体的には、個人または集団における種々の状況に応じた栄養管理を実践する上で必要な知識、思考・判断力を備えているかについての評価がより一層可能となるよう、10問を応用力試験に移行し、20問から30問に改定いたしました。
 また、養成教育内容としましては、平成29年度から、「管理栄養士専門分野別人材育成事業」において、管理栄養士・栄養士の栄養学教育モデル・コア・カリキュラムについて検討を行いました。モデル・コア・カリキュラムは、管理栄養士に求められる多様な社会ニーズに対応できる基本的な資質と能力を体系的に整理するとともに、教育カリキュラムの現状から、共通して取り組むべき「コア」を抽出したものであり、スライドには、その全体像と概念図をお示ししています。モデル・コア・カリキュラムは、文字どおりカリキュラムについて示したものであり、国家試験出題基準とは別のものではございますけれども、平成30年度の出題基準改定以降の取組の1つとしてこちらで紹介させていただきました。
 続きまして、7ページ目には、前回の改定が行われた平成30年度、すなわち2018年度以降の管理栄養士の養成に関わる主要な動向を年表にまとめております。前回の出題基準の改定以降、診療報酬改定や介護報酬・障害福祉サービス等報酬改定において、着実に栄養に関連する記載が増えてきております。
 また、2019年度に策定された健康寿命延伸プランでは、栄養サミットを契機とした食環境づくりや高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施が明記されるなど、栄養の重要性はより一層高まってきております。
 更に今後、2024年度には、第5次国民健康づくり対策や、第8次医療計画、第4次医療費適正化計画の開始等、様々な計画がスタートする予定です。人口減少や高齢化が進行する中で、管理栄養士の活躍が期待されるフィールドはより多様なものになることが想定されます。
 本検討会で改定する出題基準は、赤枠で示した期間の国家試験で適用予定になりますが、社会的ニーズが変遷していく中で、今後の管理栄養士にどのような知識・技能が必要であるかが重要な論点になると考え、このような年表をお示しさせていただきました。
 次に、管理栄養士・栄養士を取り巻く状況について御説明いたします。
 9ページには、近年の栄養施策の方向性を一枚に総括いたしました。言うまでもなく、栄養は、人が生涯を通じてよく生きるための基盤であり、活力ある持続可能な社会を実現する上で必須の要素でございます。
 また、日本では、乳幼児から高齢期まで全ライフコースを対象とした栄養対策と並行して、傷病者や被災者等を対象とした対策を通じて、「誰一人取り残さない栄養政策」を推進してきました。
 こうした中、令和3年12月に、東京栄養サミット2021が日本政府主催により、東京都内で開催されました。サミットの日本政府コミットメントにおいては、産学官等連携による食環境づくりを含め、日本の栄養政策をより一層推進する旨が表明されております。
 こうした取組を含め、広範かつ困難な課題に対応するには、様々な関係者と連携をしながら、着実に栄養施策を推進し、成果を得ていくことが必要となっております。
 10ページから12ページにかけましては、日本の高齢化の状況と健康寿命の延伸についてお示ししております。今後、更なる高齢化が想定される中、「人生100年時代」に向けて健康寿命の延伸が重要であることは、先生方には御説明不要かと存じますので、こちらの説明は割愛させていただきます。
 続いて、13ページ、14ページですけれども、こちらには「健康寿命延伸プラン」の概要をまとめております。2019年度に、健康寿命延伸プランは策定されたことは、先ほどの年表でも御説明させていただきましたが、令和元年の「経済財政運営と改革の基本方針」に その推進が記載されております。
 健康寿命延伸プランの概要ですけれども、健康寿命延伸プランは、14ページにお示ししているとおり、健康無関心層を含めた予防・健康づくりの推進等により、2040年までに健康寿命を男女ともに3年以上延伸させることを目標としており、スライドにお示しした 3つの分野を中心に取組を推進することとしております。
 この中で栄養に関連するものを赤枠で囲みました。具体的には、Iの「次世代を含めたすべての人の健やかな生活習慣形成等」には、東京栄養サミットを契機とした食環境づくりが、IIIの「介護予防・フレイル対策、認知症予防」においては、「通いの場」の更なる拡充等が明記されております。
 15ページ目には、東京栄養サミット2021の概要をお示ししております。栄養サミットについては、2013年のロンドン、2016年のリオデジャネイロに続くサミットとして、昨年12月に日本政府の主催により東京都内で開催されました。この中で、厚生労働省は、100年以上続く日本の栄養政策の経験や知見を世界に発信しております。
 本サミットの冒頭では、岸田総理による開会挨拶が行われ、その中で、日本が、今後、栄養と環境に配慮した食生活の推進を通じ、国民の栄養状態を更に改善していくという旨の発言がありました。
 また、サミットの日本政府コミットメントとして、持続可能な社会の基盤となる「誰一人取り残さない日本の栄養政策」を推進すること。その一環として、健康的で持続可能な食環境づくり等の政策パッケージを展開することが盛り込まれました。
 このような状況を踏まえまして、厚生労働省では、産学官等連携による食環境づくりの推進体制として、「健康的で持続可能な食環境戦略イニシアチブ」を本年3月に立ち上げました。
 19ページには、2021年度に有識者検討会で取りまとめました、自然に健康になれる持続可能な食環境づくりの推進の枠組みをお示ししております。厚生労働省では、このような有識者検討会の報告書と東京栄養サミットを踏まえて、先ほどの食環境戦略イニシアチブの取組を進めているところです。
 一方、健康増進全般に関わる話としまして、健康増進法に基づく第4次国民健康づくり運動プランである健康日本21(第二次)については、今年度、最終評価を行っているところでありまして、2024年度からは、地域健康づくり運動が開始される予定となっております。
 同じく健康増進法に基づく食事摂取基準については、今後、2025年版の策定に向けた議論が予定されております。現行の2020年版においては、更なる高齢化の進展を踏まえ、生活習慣病予防に加えて、高齢者のフレイル予防も視野に入れて策定され、現在は、食事摂取基準を活用した高齢者のフレイル予防が各自治体で行われているところです。
 ここまで説明させていただいたとおり、今後、活力ある持続可能な社会の実現に向けた政策や取組を推進するためには、多くの分野において様々なステークホルダーと連携した取組が重要であり、管理栄養士も多職種等と協働する必要があると考えております。
 次に、管理栄養士・栄養士を取り巻く状況の2つ目のトピックとして、多領域における多職種連携の推進について御説明申し上げます。
 まず、地域包括ケアシステムの構築について、こちらは御説明不要かと思いますけれども、団塊の世代が75歳以上となる2025年、そして、高齢者人口のピークを迎える2042年を見据え、地域包括ケアシステムの重要性はより一層高まってきていると言えます。
 また、前半の年表でも御説明いたしましたが、令和元年の健保法等改正においては、高齢者一人一人に対して、フレイル等の心身の多様な課題に対応したきめ細やかな保健事業を行うため、市町村における保健事業と介護予防の一体的実施について規定されたところです。
 この一体的実施においては、事業全体のコーディネートやデータ分析、「通いの場」への積極的関与を行うために、市町村が地域に、保健師、管理栄養士、歯科衛生士等の医療専門職を配置することとされました。25ページには、この健保法等改正を踏まえた 「高齢者の医療の確保に関する法律に基づく高齢者保健事業の実施等に関する指針」を抜粋しております。こちらでは、広域連合及び市町村が運営する高齢者の保健事業の実施に当たって、管理栄養士・栄養士等の専門職を充てることが明記されております。
 26ページ目には、先ほどの地域包括ケアシステムの構築に関連して、地域の共食の場やボランティア等も活用した適切な栄養管理に基づく健康支援型配食サービスの推進についてお示ししております。資料の下側、黒枠で囲っている部分については、平成29年に当局が策定、公表しました「地域高齢者等の健康支援を推進する配食事業の栄養管理に関するガイドライン」の概要をお示ししております。配食事業者向けの健康支援型配食サービスの実施に当たっては、管理栄養士または栄養士が、献立策定や配食利用者に対する注文時のアセスメント、継続時のフォローアップを行うことが推奨されており、地域高齢者の低栄養・フレイル予防に対して管理栄養士の活躍がより一層期待されているところです。
 なお、こちらの健康支援型配食サービスについては、27ページにお示ししているとおり、「健康・医療戦略」と「健康・医療戦略の実行状況と今後の取組方針」に明記されております。
 食事摂取基準については、先ほど御説明申し上げましたので、こちらでは簡単に触れますけれども、現行の2020年版では、新たに高齢者のフレイル予防の推進に寄与するように改定されており、現在は、パンフレット等を用いて、自治体で指導等が行われているところです。
 29ページには、近年の診療報酬改定のうち、栄養に関するものを抜粋しております。資料の赤線ですけれども、こちらが前回の管理栄養士国家試験出題基準改定をお示ししております。平成30年以降、回復期リハビリテーション病棟入院料における栄養管理や早期栄養介入管理加算等が評価され、入院以外でも、摂食嚥下支援加算が新設されるなど、管理栄養士・栄養士が参画した多職種連携による重点的な栄養管理の推進が図られているところです。
 30ページの資料は、少し古い資料になりますけれども、管理栄養士の業務のイメージをお示しさせていただきました。チーム医療の定着と推進とともに、管理栄養士に求められる業務や望ましい配置も変わっていくことをお示ししておりますけれども、今回の出題基準改定に当たって、改めて、望ましい姿について共有させていただくために、こちらの資料を入れております。
 31ページからは、介護報酬における口腔・栄養関連加算の変遷を、31ページでは施設サービス、32ページでは居宅サービスに分けてお示ししております。
 また、33ページ目ですけれども、こちらの令和3年度の介護報酬改定においては、栄養マネジメント加算の基本サービスへの包括化、栄養マネジメント強化加算の新設等、栄養管理の重要性がより一層評価されております。更には、口腔・栄養スクリーニング加算や栄養アセスメント加算等、多職種との連携が必要なサービスが増加しています。
 ここまで、多領域における多職種連携の推進について御説明申し上げました。医療や介護における多職種連携は、これまで以上に重要性が増してきておりますが、それだけではなく、地域における保健事業などにおいても、管理栄養士が多職種と連携して業務を行う場面が今後より一層増えてくることが想定されます。このような状況を踏まえて、管理栄養士の資質の確保・向上という観点から、出題基準を適切かつ充実した内容に改定していく必要があると考えられます。
 最後に、34ページ以降の資料については、近年の管理栄養士の養成の状況として、国家試験の実施、合格率の状況、更には、多職種連携が期待される分野として、生活保護受給者の健康管理支援に関する資料と、一番最後、40ページには災害時の栄養・食生活の支援についてお示ししておりますので、参考として御覧いただければと存じます。
 資料2の説明は以上となります。
○加藤座長 ありがとうございます。
 今の話は、検討会の基本的な方向性とこれからの進め方の更にベースになるお話ということだと思いますが、資料2について、先生方から何か御質問等がありましたらお願いします。意見を述べていただく場合には、顔を出していただいてお話をいただくようにお願いしたいと思いますが、何か御質問等がありましたら、お受けいたしますが、よろしいでしょうか。
 資料2については、なかなか質問しにくい部分だと思いますので、もう少し具体的な進め方について、今度は、資料3と4について、また、事務局から説明させていただきます。
 よろしくお願いします。
○塩澤栄養指導室長補佐 それでは、続きまして、資料3、資料4、続けて御説明させていただきたく思います。
 まず初めに、資料3でございます。こちら一枚紙でございます。今回のこのガイドラインの改定の方向性、そして、主な論点の案を挙げさせていただいております。
 まず、<方向性>でございます。管理栄養士、先ほど資料2でも御説明差し上げたところでありますが、近年、個人、そして、地域における栄養課題は非常に多様化・複雑化しておりますけれども、その中で、多職種連携による対応が多領域で一層求められているということを先ほども申し上げた次第でございます。そして、管理栄養士は、関連法規等の内容を正しく理解した上で、多職種連携による栄養管理に適切かつ効果的に対応していく必要があると考えております。
 こうした観点から、次に掲げております事項を踏まえた改定としてはどうかというのが私どもの案でございます。2つございますけれども、まず1つ目が、総論的な検討事項といたしまして、多職種連携に必要な知識及び技能について。2つ目は、科目別の検討事項といたしまして、関連法規、制度等の改正への対応等を踏まえた適切かつ効果的な栄養管理についてでございます。
 これに対応するものとして、次、<主な論点>として挙げさせていただいておりますけれども、今申し上げた方向性で検討を進めていくとなった場合に、それぞれについてどのように考えるかというのを出させていただいております。
 なお、総論的検討事項や科目別検討事項について今挙げさせていただいておりますけれども、この具体的な検討は、今ではなくて、後にスケジュールで御説明しますけれども、それぞれの回を設けて、具体的には検討させていただきます。頭出しとして、このような感じでよろしいかというのを先生方に御議論賜りたいと思って、そういう趣旨で出させていただいております。
 まず、(総論的検討事項)でありますが、「多職種連携に必要な知識及び技術について」でありますけれども、具体的には2つ挙げておりまして、1つ目が、保健医療分野共通の事項に関する他の保健医療関係職種、こういったものの国家試験の出題状況、それから、近年の保健医療分野の国際化の進展等を踏まえた難易度、こうしたものについてどういうふうに考えるかということで、御議論いただく必要があるかと思っています。
 2つ目、管理栄養士の活躍領域や業務内容を踏まえた出題問題の範囲の妥当性、そして、出題採点方式等について、御議論いただきたいと思っております。
 この後者、例えば、出題採点方式の例でございますけれども、例えば看護師の国家試験などでは、必修問題の出題等がありますので、こういう他の職種の国家試験の動向等も踏まえつつ、出題採点方式等について御議論いただきたいというのが、まず、この(総論的検討事項)の内容でございます。
 続きまして、(科目別検討事項)でございます。「関連法規、制度等の改正への対応等を踏まえた適切かつ効果的な栄養管理について」ということで、ここも2つ挙げておりますけれども、まずは、関連法規、制度等への改正への対応という観点での御議論。2つ目といたしましては、これら以外に、前回の改定後、管理栄養士国家試験(令和元年~4年度)を踏まえた対応として、例えば、各科目の項目の表記、これでいいのかどうかという点、場合によっては科目間で項目の調整等が生じるものもあるかもしれませんけれども、こういったことについて御議論賜りたいと思っております。
 これを受けまして、今後の進め方をまとめているのが資料4、スケジュール(案)でございます。
 まず第1回目はまさに本日でございまして、検討会の基本的な方向性、今後の進め方について、御議論いただく、御意見賜りたいというものでございます。
 先ほどの総論的検討事項を受けるのが、次の第2回10月に予定しているものでございますけれども、こちらの第2回で総論的検討事項について、具体的な御議論を賜りたいと思っております。
 続いて、11月の第3回、こちらが、先ほどの資料で最後にお見せした科目別検討事項について御議論いただくのが11月の第3回でございます。これが結構ボリュームがあると思いますので、もし、この第3回で終わらない場合として、12月の第4回の前半で、この内容について、更なる御議論をいただきたく思います。多分、整理がいろいろ必要になってくると思いますので、その整理された内容の確認という意味もありまして、この12月の第4回では、まず、この修正事項について御確認いただき、その後、この検討会の成果物でございます報告書(案)の骨子を先生方に御覧いただきまして、適宜、御議論を賜りたいと思っております。
 ここでいただいた御意見を踏まえまして、最後、1月、第5回ということで挙げさせていただいておりますけれども、ここで報告書(案)についてお示しして、御議論いただいて、何とか取りまとめにつなげていきたいと考えております。
 以上でございます。
○加藤座長 ありがとうございます。
 それでは、資料3と4につきまして、順に検討していきたいと思いますけれども、まず、資料3についてですけれども、これは2つの項目がありました。<方向性>と<主な論点>があるのですが、頭出しのような感じもあるのですけれども、ここに書いていただいている文章で理解がなかなかしにくいところがあるのではないかと思いますので、その辺りについて、先生方の何か御質問とか御意見とかありましたら、よろしいでしょうか。
 吉池先生、お願いします。
○吉池構成員 吉池です。
 多職種連携が非常に重要なテーマであるということはよく理解をしております。資料2のところで、これまでのガイドラインの改定などの歩みも御紹介いただきました。今の教育は、2001年の管理栄養士養成教育内容の全面改正(指定規則も含めて)に基づくものですが、今後、多職種連携を進めていく上で、この土台のところが十分なのか。すぐに変えるという話はないと思いますが、今後、例えば2017年のモデル・コア・カリキュラムの検討等も踏まえて、この土台のところが何らか検討されていくのかどうか。
 私の個人的な感想では、多職種連携教育は大いにやっているのですが、現行の指定規則ではやややりにくい面もあるので、先を見据えた見通しについていただければ、今回はこうなる、その先はどうするということに結びつくかと思って聞いておりました。
 以上です。
○加藤座長 ありがとうございます。
 先生が言われるちょっとやりにくいところは、具体的にはどういうところですか。
○吉池構成員 私どもの大学は、看護、理学、社会福祉と栄養なので、実際にはそのような教育はやっています。しかし、4学科合同の授業・演習が、現状の指定規則上、合同授業になるとか、既存の科目にははまりにくいということもあります。国家試験ですので、基本的な知識・技能というところかとは思うのですが、よりリアルな世界に近いところでの教育も必要と思っているところです。
 以上です。
○加藤座長 ありがとうございます。
 これは、私がというよりは事務局ですが、恐らく、2000年の制度改正ですので、もう22年実際にたってきているので、そこ自体に少し検討を加える必要があるのではないかという御意見だったと思いますけれども、研究班としては、同じようなのが動いているというのも存じ上げていますけれども、厚生労働省から何かありますでしょうか。
○塩澤栄養指導室長補佐 今、吉池構成員から御質問があった点についてお答え差し上げたいと思います。
 この検討会そのものについては、先生方もお分かりだと思いますが、あくまでもカリキュラムは現行の制度に則った上で、ガイドラインがどういうふうに改定できるのかというのがまさにこの検討会のスコープでございますので、このカリキュラムについては、この時点では、どうするというのはちょっと申し上げられません。
 ただ、御指摘の趣旨を踏まえるものとして、先ほど資料3で掲げさせていただきましたけれども、多職種連携の中で、管理栄養士も保健医療職種の一つの職種として、ベーシックな部分は当然理解していないといけない中、この点も踏まえて今のガイドラインがどういうふうにあるべきなのかというところは十分御議論いただきたい、そういった検討会にしていただきたいと思っております。
○加藤座長 ありがとうございます。
 先生方、ほかに何かいいでしょうか。
 総論的検討事項として、「多職種連携に必要な知識及び技能について」とあるのですが、多職種協働ということになると、ますます専門的、細かな知識が必要なのではないかという、そういった発想ではないのではないかなと私は実は思っていて、これから、医療現場では、医師とか看護師あるいは薬剤師、介護の部分では、介護の方たちとも議論ができるというような知識を入れていくようにしていこうということで、その下に続く問題が実際にどうかというようなところが、ほかの職種の国家試験に関して見たときに、管理栄養士の国家試験だけはちょっとおかしいのではないかと言われないようにと、そういう意味だと思っているのですけれども、木戸先生どうぞ。
○木戸構成員 木戸ですが、これはとても大事なポイントになると考えているところです。多職種で協働をするという大前提に、関連する職種のことを知っていなければ協働はなかなか難しいわけです。全ての管理栄養士養成施設において可能であるかという現状を見ますと、難しいところはあるのですけれども、できれば、多職種連携教育といいますか、吉池先生のところでも実際に行われているという御発言がありました。そして、他の養成施設でも行われていると思いますし、ほかでも、実際には私のところでも行っているのですけれども、看護や理学、薬学、そういったところと共同授業を行ったり、そして、関連する職種を目指す学生がチームを組んで症例検討を行うなど、実際には、「学」ではなくて「論」になってしまうのですけれども、そういう科目を設定したりしているところです。そういったことが恐らく今後の応用力試験のところでも非常に重要なポイントになるのではないかと思います。もちろんガイドラインが教育を左右するものではないというのは承知しておりますが、そういった視点での検討も必要かなと思っております。
○加藤座長 ありがとうございます。
 大変貴重な意見だと思います。具体的に、どういった方向性に行くのだということは、また、教育のレベルでも考えていく必要があるのかなと思いますが、ここでは、とりあえずガイドラインということで進めていきたいと思いますので、非常に参考になる意見だと思いますが、ほかに、先生方何かありませんか。
 藤岡先生、どうぞ。
○藤岡構成員 神戸学院の藤岡です。
 今日は総論ということで、先ほどの吉池先生初めお話は私も賛同という形ですけれども、実際に神戸学院では、臨床検査技師の養成も行っておりまして、国家試験や模擬試験もやっております。大学では、学生全員ではないのですが、ITに関する講義もあるのですけれども、総論的に申し上げても、管理栄養士の国家試験レベル、要するに学部生レベルが知るべき内容は、例えば病気に関しても、薬学や臨床検査技師よりも実際はかなり難しいレベルで広範囲にわたって、栄養の視点からという意味ですけれども、ある。それから、逆に、ほかの臨床スタッフの分野から見ますと、栄養学の敷居が大分高いようで、なかなか理解し難い。簡単に言えば、検査技師、レントゲン技師、薬剤師、そういった方から見ると、かなりハードルの高い分野に見られているというのが現状と思われます。
 したがいまして、これは更に先の話にはなりますけれども、いかにほかの分野に栄養のことを知っていただくかというのが、最後のほうに残ってくる問題だと思います。こちらから近づくとすれば、例えば具体的に申し上げますと、検査値の読み方とかスクリーニングの理解。それから、先ほど木戸先生もおっしゃったように応用試験的な形で時間経過、そういったものを織り込んだ内容も具体的に考えていかねばならないのではないかと。何回も申し上げますが、ほかの分野からしますと、栄養はかなりハードルが高いように見られているのを御理解いただければと思います。
 以上です。
○加藤座長 ありがとうございます。
 藤岡先生、問題がという意味でしょうか。管理栄養士の国家試験で出てきている問題のハードルが高いという意味なのでしょうか。ほかの職種から見ると、栄養ということのハードルが高いという意味でしょうか。
○藤岡構成員 栄養自体の問題の内容もそうですし、もちろん国家試験でも半分ぐらいが栄養に関わってくると思うのですけれども、かなりハードルが高いと思っておられたほうがいいと思います。かなり距離がある。
○加藤座長 ありがとうございます。
 問題そのものに関して、1つは、私が、今の藤岡先生の話も含めて思うのが、もし、先生方に少し余裕があるようでしたら、ほかの職種の国家試験もちらちらと見ていただいて、どんなものかというのも参考にしてもらえるといいのかなというのを今思ったのですが、そういう意味ではないですか、藤岡先生。
○藤岡構成員 それも含めてです。例えば、私は検査技師のほうは関わっておりますけれども、例えば糖代謝あるいはたんぱく質代謝でも、レベルは栄養管理者から見たらかなり簡単、ただし、検査値は逆にちょっと高くしておかねばならない。例えば間接ビリルビン と直接ビリルビンの違いとかそういった感じですね。結局、かなり枝葉になってはしまうのですけれども、そういったところで向こうからしたら大分苦手意識、こちらからするとちょっと細かいこともそこまで覚えなければいかんのかと、こういう感じですね。
 以上です。
○加藤座長 ありがとうございます。
 ということで、先ほどお話ししたみたいに、そういったほかの職種の国家試験なども少し見ていただく機会があったら、ちょっとのぞいていただいて、管理栄養士の国家試験だけが本当にちょっとエキセントリックなのかというか、外れているのかという、そんなようなこともちょっとチェックしていただけるといいのかなと思いました。
 ほかに、先生方何かありますでしょうか。
 吉池先生、お願いします。
○吉池構成員 吉池です。
 今のことに関して、例えば理学療法士では最近大幅にカリキュラムが変わり、施設、病院ということを超えて、地域との関わり、多職種連携や実践的なことにかなり重点を置いています。必要な情報収集をした上で、更に現場の意見も聞いてみたいと思います。
以上です。
○加藤座長 ありがとうございます。
 ほかの先生方、ここの部分で、<方向性>というところで、何か御質問はないでしょうか。具体的にこれから検討をしていっていただく上で、ここはよく分からないよというところがもしありましたら、遠慮なく言っていただけるといいのですが。
 そうしたら、とりあえず、また、御意見があれば、後に意見を言っていただくことにして、<主な論点>について少しお話を進めていきたいと思いますので、今の方向性が一応あるという状況で、先生方見ていただければといいと思うのですが、総論的検討事項というところと科目別検討事項というところが入っていますけれども、この辺りについての何か御質問がありましたら、よろしくお願いします。
 <総論的検討事項>に保健医療分野共通の事項に関するというのがあって、「国際化の進展等を踏まえた難易度」という文言があるのですけれども、この部分について、事務局から少し御説明をさせていただきたいと思います。
○塩澤栄養指導室長補佐 では、事務局から、国際化に関して若干補足をさせていただきたく思います。
 国際化はまさに文字どおりなのですけれども、これは管理栄養士のみならず保健医療職種全般にわたっていろいろな領域で国際化が確実に進展している状況でございますので、そうした中、管理栄養士においても、この国際化の中で、例えば、本当に基礎的な英語の能力が必要となりつつあるのではないかという問題意識を持っております。そういう観点からして、例えば管理栄養士国家試験においても、簡単な英語問題の導入をすべきなのか、すべきでないのか、その辺りも含めて、具体的には次の検討会のときの議論になりますけれども、私どもとしていろいろな情報も差し上げつつ、御議論いただいて、方向性について何らか見出してまいりたい、そういう趣旨でございます。
○加藤座長 ありがとうございます。
 なかなか難しい話で、英語の能力も何か問えるような、そういった問題が作れないだろうかというような事務局からの御提案でしたけれども、具体的にどのように落とし込むことができるかというそういう話ですが、木戸先生どうぞ。
○木戸構成員 確かに、英語能力とかは国際化の中では非常に大事なのですけれども、国際的に通用する教育内容が基盤にあって初めて共通言語としての英語能力が問われるのではないかと思います。先ほどの多職種協働(Inter-professional work;IPW)であったり、あるいは多職種連携教育(Inter-professional education; IPE)においても、国際的にはそういう形で恐らく関連職種は進んでいるものと思います。そして、看護教育においても、やはりそこら辺りが積極的に進んでいる職種ではないかと私は考えていますが、国際化というときに、ただ単に英語で説明できるということだけではなくて、その根っこにあるところも十分に考えていかないといけないのかなと思います。
○加藤座長 ありがとうございます。
 おっしゃるとおりだと思います。今日は具体的にというところではありませんので、少しそんな国際化ということも考えていただいて、どんなふうに落とし込めるかということを次回御提案いただけるとありがたいかなと思います。
 引き続き、出題の範囲の妥当性及び出題採点方式もなかなか分かりにくいと思いますので、事務局から少し説明を加えさせていただこうと思います。
 よろしくお願いします。
○塩澤栄養指導室長補佐 こちらもここに書いてあるとおりですけれども、いろいろ活動領域も広がりつつもあり、深掘りされているという方向性で、近年、管理栄養士の業務が展開されているのではないかと思っておりますので、そうした意味から、今のガイドラインの範囲がそういう体制をきちんと網羅し得るものなのか。もし、そうではないとしたら、そこはどこなのか。それをガイドラインで追記する必要があるのかないのかというところも含めて、この出題範囲について、今のが妥当かどうか、御議論いただきたいと考えているのが、ここに書かせていただいた趣旨でございます。
○加藤座長 ありがとうございます。
 ベースに多職種協働というキーワードがある中で、現在の出題範囲が妥当かどうかということと、後半部分の出題採点方式に関しては、先ほど少し御説明があったと思うのですが、もう少しつけ加えますか。
○塩澤栄養指導室長補佐 これも具体的には次の検討会での御議論でございますけれども、例えば必修問題の出題を例示として挙げさせていただいておりますが、例えば、これは看護師の国家試験で出されています。実際、平成16年度の看護師の国家試験から導入されているようですけれども、合計点のみで合否が決まるのではなくて、科目ごとに必修問題が何問か設けられておりまして、その必修問題文の中でも、どのぐらいクリアしてないと駄目というのが、看護師の国家試験では設けられています。
 このように、総得点がたとえ合格基準に達していたとしても、この必修問題だけをとらまえたときに、合格基準といいますか、何点以上というのがクリアできていないと合格できないというのが看護師の国家試験でございますので、例えばそういう出題方法もあり得ますので、これを導入する必要があるのかないのかなども含めて、出題採点方式について御議論いただきたいというのが、次の検討会で我々として想定している内容でございます。
○加藤座長 ありがとうございます。
 いろいろなオプションがあろうかと思いますけれども、今お話しされた必修問題だけではなくて、現在、9つの分野がありますので、それぞれ9つの分野の最低ラインはクリアして、その上で合計点という決め方もあろうかと思いますし、医師国家試験に出てくるような、いわゆる禁忌肢問題というのがあって、これだけはやっては駄目だよ、選んでは駄目だよという問題数が、何問あるかは公表されていないのですが、入っていると言われているのですが、果たして、管理栄養士の国家試験で禁忌肢問題が作れるのかどうか、そういう可能性があるのかとか、あるいは必修問題を作るときに、必修って何ですかということが本当に出てくるのか。恐らく看護とか医師の国家試験ですと、これをやったら命に直接関わってくるから駄目だよとかそういった話を持ってきているのだと理解していますが、管理栄養士の国家試験でそういう問題を作れるかどうかということも含めて、少し御検討いただくことになるのだという提案だったと思うのですけれども、よろしいでしょうか。何か御質問この辺りでありましたらお願いします。
 木戸先生、お願いします。
○木戸構成員 ありがとうございます。
 必修問題になるか分かりませんが、また、禁忌肢問題になるのかも分かりませんが、現在の国家試験の中で見せているところが、プロフェッショナルなのですね、職業倫理であったり、恐らく関連職種と共通した倫理観を持たなければ、多職種連携して仕事をするということはできないですが、その辺りの問題が出せるかどうかという検討も一度していただこうかと思いますが、いかがでしょうか。
○加藤座長 ありがとうございます。
 藤岡先生、お願いします。
○藤岡構成員 藤岡です。
 木戸先生もおっしゃった内容と関連しますが、先ほど加藤先生がおっしゃったように、医師国家試験では、はっきり言って死ぬかどうかだと、この薬を使った場合にこれを使うとアウトというぐらいのレベルでいわゆる禁忌肢問題と言いますけれども、そういったものが作れるかどうかなのですけれども、かなり限られたレベルでは作れるのではないかと思うのですが、これもディスカッションが必要だと思います。
 それより1つ確認しておきたいのですけれども、ふだん国試を作っている状況で、あえてトラウマといいますか、一番重荷になっているのが教科書に書かれているかどうかというのがあるのですけれども、導入する際に、ある程度ガイドラインは早めに出して、教科書を作らせてから導入するのか。例題も作って、そこまでしていかないと一体何を書いてほしいのかということになると思うのですけれども、教科書との関係をちょっと確認させていただければと思います。
○木戸構成員 ちょっと議論している内容で、ガイドラインが先行するのか、それから、教育内容が先行するのかというところになると思うのですね。基本的にガイドラインというのは、現在教育されている内容について、その知識のレベルを問うということを原則にして国家試験が行われていると私は理解しております。ただ、教育内容が変われば、養成施設における教育内容も当然変わってくるわけですから、どちらが先なのかという議論をしても結論は出ないと思いますが、一度、そこは考えておく必要はあるかなと思います。
○加藤座長 貴重な御意見ありがとうございます。もちろん教育が先にあって、国家試験が後にあるのだろうと思いますが、ガイドラインに出てしまうと、先ほどの藤岡先生の話ではないですが、そのとおりに教科書が作られて、そのとおりに授業が進められるという形になっているというのも現実ではないかなと思います。
 武見先生、お願いします。
○武見構成員 今、木戸先生がおっしゃった点は私も全く同感です。本来は、教育内容があって、その上でいろいろな関連職種が育って、この国家試験という、そういう流れが本来あるべきだと思うのですが、管理栄養士の場合は、もともとが国家試験のガイドラインがある中で動いてきているという背景があります。
 それから、もちろんコア・カリは、厚生労働省の委託事業で、日本栄養改善学会で作成しましたけれども、まだ本来の流れにはなってないということがあると思います。そういう中での今回のこのガイドラインの改定に当り、多職種連携とか国際化への対応という辺りが出てきたという中で、大きく教育内容の改訂に踏み込めるわけではないけれども、逆に、どういう要素だったら今の教育内容の枠の中で入れこめる内容があるのか。つまり、4年間を使っていきますので、そういう発想で今回の見直しを行うということは可能かという辺りを、自分の担当する科目では考えていくというのがあるかなと思います。
 国際化の動向なども、ここに来て大きく動いています。管理栄養士の人もそういうものにより興味を持った人もいると思うのですね。この間、東京栄養サミットとか、ACDとかもありましたし。でも、それは教育内容に盛り込まれているかというと、全然そんなことはない要素もたくさんあるので、その辺が今回の国家試験のガイドラインの改定でどういうふうに扱っていけるのかというのは少し考えてみる必要があるなと思います。何も変えなければ何も変わらないというところもあるので、自分の担当の中ではどうしようかという辺りを少し考えたいと思って議論を伺っていました。
 以上です。
○加藤座長 ありがとうございます。
 大変貴重な御意見です。次回に、また、議論を進めていきたいと思いますので、そういった国際化とかというのも、先生方の御担当の部分でどのように落とし込めるかということを少し考えていただけるといいのではないかなと思います。
 ちなみに、今、先生が言われたように、教育とガイドラインとの関係があったのですが、改善学会でコア・カリも作っていただいたというのもありますので、そういったのを参考にしていただいて、必ずしもガイドラインのことだけを教えればいいよというわけではないでしょうし、ベースにコア・カリというのをせっかく作っていただいたというのがあるので、そういうものも落とし込みながら必要な部分を取り込んでいくというような形にされるといいのかなと個人的には思っています。
 塚原先生、お願いします。
○塚原構成員 コア・カリのお話しをされたので聞いてみたいのですけれども、コア・カリ作成ときにも、どんな感じで作るとよいか、調査を始めて、管理栄養士の理想を求めて、どういうふうな科目を教えていくかなどを考えたときに、国家試験のガイドラインにある科目の中だけでは、どうしても落とし込めなかったので、ガイドラインとは違う項目でまとめていくことになったのですね。そうすると、その内容が先ほどからおっしゃっているような多職種連携とか、国際化とか、職業倫理などになり、それぞれの科目で言い始めると、全部ばらばらになってしまう気がするのです。それを、例えば、コア・カリで最初に管理栄養士として必要な項目を1つ作ったみたいに、国家試験ガイドラインに今の内容の科目を1つ、応用力試験ができたみたいに、新しく必須科目みたいなものを作って、そこが絶対合わないといけないような大切な項目を扱うとして、そこに職業倫理とか、多職種協働とか、国際化とか、そこだけで国家試験の科目を必須科目にできるというか、それはどうでしょうか。
○加藤座長 ありがとうございます。
 御提案として承りたいと思いますが、ただ、先生が言われるように、例えば本当に禁忌肢問題とかそういう問題が、必須問題って何が必須かというようなのが作れるのかどうか。禁忌肢問題のようなものが、先生が言われる職業倫理というのだけど、そこを間違えたら、管理栄養士の国家試験としてもう駄目ですよということが言えるのかというところも、また、議論をしていただく必要があると思いますので、次回までに、また、先生方も考えてきてくださると思いますので、また、次回、議論を進めていきたいと思います。ありがとうございます。
 栢下先生、どうぞ。
○栢下構成員 ありがとうございます。
 先ほどから、多職種連携というキーワードが出てきているのですけれども、実際、多職種連携をする対象者は誰かというと、ほとんどは高齢者が対象なのですね。高齢者を在宅で地域包括ケアの中で、管理栄養士は在宅訪問栄養指導をしたりという形の件数が増えるはずですが、あまり増えてないのが現状ですけれども。では、なぜ増えないかというところを考えていきますと、結局、今のカリキュラムは栄養のことを、例えば必要エネルギーはどれだけだとか、そういう栄養のことに関してはかなり細かいところまで教えていますし、あるいは生活習慣病対策のことについてはかなり深いところまで教えているのですけれども、高齢者の虚弱とかフレイルに対してどこまでできているかというと、かなり教科書では薄いですし、あるいは、多職種連携の中で高齢者を対象とした場合に、普通食を食べたのか、形態調整食を食べていくわけですけれども、形態調整食を食べるための授業をどこまでやられているかというと、教科書ではほとんど書かれてないという状況ですので、多職種連携をする上では、食形態のことをもう少し深めていく必要がありますし、食形態だけ分かればいいのかというと、その患者さんの状況と食形態も関連してきますから、そこまで教えられてないような気がするのと、あとは歯科医師国家試験の中でも、昨年ですか、摂食嚥下リハビリテーション学会分類の三角形のピラミッドが出て、全がゆはどこに入るかみたいな問題まで出てきていますし、しかも、摂食形態について影響をし始めていますので、栄養のほうも少しその辺りを深めていく必要があるのではないかな。特に地域包括ケアはどこまでやるかということなのです。実際、制度はあるけれども、伸びてないというのは、恐らく食形態のことが何とも判断つかないので、いろいろな方の指示に従って、作り方とかをある程度教えたり、あるいはヘルパーさんに伝えたりします。ヘルパーさんの処理技能にもいろいろ問題がありますので、一概に管理栄養士だけの問題とは言いませんけれども、そういうところは少なくともヘルパーさんを指導できるような能力は今後必要ではないかなと思います。
 以上です。
○加藤座長 ありがとうございます。
 これも大変貴重な意見だと思いますが、また、各分野で、例えば応用栄養学とか、臨床栄養学、そういった辺りでどんなような落とし込みができるのかというようなことを、また、考えていっていただけるといいのかなと、応用栄養学の先生あるいは臨床栄養学の先生、その辺りも少し考慮していただいて、その次の各科目別検討事項の中で少し御考慮いただくことになってくるのかなと考えています。
 武見先生、お願いします。
○武見構成員 さっき塚原先生の御意見が出たので、確認したいのですけれども、私がさっき申し上げた意見は、今のガイドラインの、いうなれば構成全体を変えないという前提だから、それぞれに落とし込めるかというふうに私は言ったのです。
 ただ、もし、全体の構成を変える可能性があるのであれば、それによって考え方は違ってくると思います。そもそも構成として、構成を変える可能性があるのか。それとも、今回はあくまで現在あるこのそれこそ内容のところから応用力まで含まれている枠でやるのか、今後変える余地があるのか、それによって考え方が違ってくると思います。
○加藤座長 ありがとうございます。
 お答えしようと思いますが、事務局からお願いします。
○塩澤栄養指導室長補佐 今、御質問があったことについてお答えを差し上げますけれども、国家試験でどういう科目を課すかというものは、現状、先生方も御存じのとおり、栄養士法の施行規則の中で明確に列記されているものでございまして、今回のこの検討会では、この施行規則を改正するというスコープの議論ではございませんので、科目の立てつけは変えないという前提で御議論いただきたいと思います。
 ただ、これはテクニカルな話ですけれども、例えば横断的なものを問うというのが、例えば今でも応用力試験の中に入れるとか、いろいろなやり方は可能かと思っておりますので、多分、ガイドラインというよりは、毎年、毎年の国家試験を作るときの落とし込みというところで御検討いただければ、先ほど塚原先生がおっしゃったようなことへの対応も一応できなくはないかと思っております。いかがでしょうか。
○武見構成員 分かりました。もちろん法改正がないことは十分理解していますけれども、逆に言うと、法的には応用力という科目はないわけですよね。そういう状況なので、統合するものを科目の中にしつらえていく。または、総合的な要素は現実に応用力に移ったわけですから、各科目ではなく、応用力に振り分ければよいのかという意味でした。どちらかというと、今の応用力をうまく活用するような発想を持てばいいかなと思いました。
○塩澤栄養指導室長補佐 ありがとうございます。
 もちろん応用力試験に関しては、応用力試験という名称で栄養士法施行規則に列記されているわけではないのですけれども、ただ、応用力試験が対象とするものは、まさに横断的に施行規則に書いてある科目にまたがっているものなので、我々としては、あれは施行規則をそのまま踏まえているという認識です。
 武見先生がおっしゃるように、例えば、今の応用力試験という横断的な枠組みの中で、本当に必要な横断的な案件を、例えば今以上に問うていこうということは、毎年の国家試験で御対応可能かなと思っております。
○武見構成員 ありがとうございました。
○加藤座長 よろしいでしょうか。枠組みは基本的にこれを維持し、今、先生が言われるようなのは、応用力問題でちょっと対応していこうというのが、今回の法制というか、施行規則が変わらない限りはそれで行かざるを得ないというところがあるという、そういった回答でしたが、よろしいでしょうか。
 吉池先生、お願いします。
○吉池構成員 今の話ですが、看護師の国家試験では、「看護の統合と実践」という項立てが出題基準の最後にあります。そこで3つ立てつけがあって、「看護におけるマネジメントについての基本的な理解を問う」というのが、オーソドックスなことですが、それに「災害看護」と「国際社会における看護」というのが付け加えられています。後で加えなくていけなくて、既存の科目に入りにくいものをそこに入れたのか、その辺の経緯を私は存じ上げてないのですが、どういう経緯で看護師の国家試験の出題基準がこうなっているかを確認していただくと、応用力問題という枠組みの中に、同様に、項立てをしてはめることもできるかなと思って見ておりました。
 以上です。
○加藤座長 ありがとうございます。
 事務局からお願いします。
○塩澤栄養指導室長補佐 吉池先生、ありがとうございます。
 まさに、私どもの試験でも、この応用力試験が全ての科目の最後にガイドラインでも位置づけられていて、そこで、出題の狙い、大項目、中項目という形で記載させていただいております。応用力試験に関しては、どの科目にもまたがる事項でございますので、先生方に広く応用力試験の今のこの書きぶりに関して必要十分かという観点で御検討いただいて、必要に応じて御意見いただき、そして、第3回の検討会で議論という流れに持っていきたいと思っておりますので、吉池先生おっしゃったような観点も、必要であれば応用力試験への御意見の一環としてお寄せいただければ幸いと思っております。
○加藤座長 ありがとうございます。
 先生方、ほかに何かありますか。
 それでは、(科目別検討事項)というところが、恐らく先生方は一番気になっているのではないかと思いますので、この(科目別検討事項)のところで何か先生方ありますでしょうか。上の関連法規、制度等の改正への対応は比較的クリアですが、その下にある「上記以外の前回改定後の管理栄養士国家試験を踏まえた対応」という、その中で各科目の項目表記とか、各科目の項目調整等と書いてあるのですが、この辺りを先生方、何か御意見・御質問がありませんでしょうか。
 木戸先生、お願いします。
○木戸構成員 ありがとうございます。
 科目間にまたがって、用語の統一を、全体を通しての整合性を含めて見直しをし、統一できるものとしてガイドラインに仕上げていただきたいと思います。
○加藤座長 ありがとうございます。
 個人的には大賛成で、前回のガイドラインの検討会でも、できるだけ国家試験の問題に出てくる言葉は統一しようと。各教科があって、各科目で教える場合は、もちろんそれの対応する言葉があると思いますけれども、少なくとも一つの国家試験の中で出てくる言葉は同じにしましょうという、そういったベースで行ったつもりですが、例えば、先生、どの辺りを想定されているのでしょうか。また、先生方に御意見を聞きたいと思いますので、もし、挙げられるところがあるなら教えてください。
○木戸構成員 同じ意味であるというような形できちんと定義できればいいと考えているのですが、例えば、栄養管理という言葉があったり、栄養ケアという言葉があったり、栄養ケアマネジメントという言葉があったり、栄養マネジメントという言葉があったりするわけですが、それぞれ意味しているものが全く違うのであればよろしいのですけれども、その分野によって使う使い方が違うということだけであれば、それらの言葉は同じ意味ですよということが示された上で、各分野ごとにその用語を使うとかですね。
 統合できれば一番いいのですけれども、教科書などを見ても、分野ごとに同じような意味で使っている用語が、用語としては全然違う言葉として使われている。そういうところも教育の分野でも、養成施設における教育の現場でも混乱していることではないかと思います。それ以外にも幾つか細かい用語があるのですが、大きな用語としては、栄養管理という言葉であったり、法律では栄養の指導と言っておりますし、それから、健康増進法等においても、栄養管理と言っているわけですが、そういったことと介護報酬であったり、診療報酬であったり、そこで使われている言葉、そういったところとの関連性が分かりづらくなっているのではないかと思いますので、その辺りを整理したらいいのではないかと思います。
○加藤座長 ありがとうございます。
 とりあえず、今、一つ栄養管理という言葉と栄養ケアマネジメントという言葉が出てきたのですが、先生が言われる統一してしまうというのはなかなか難しいのかもしれませんが、国家試験で出てくる言葉の意味づけを明確にしておく必要があるだろうと思います。
 ほかの科目においても、同じ言葉が別の用語で使われているというところがあろうかと思いますので、そういったところがもし洗い出せるのであれば、一度洗い出していただいて、これとこれは同じ意味なのだというふうに明確にされておくのが、試験としては統一感があっていいのかなと思いますよね。それは各科目でよろしくお願いします。ここがちょっと同じ言葉が別の言葉で使ってあるよというような感じは、もし統一できるのだったらそういうふうにしていきたいなと思います。
○石田副座長 石田ですけれども、今の議論の中で、制度とか法律で縛られている表現があると思うのですね。多職種連携を考えたときに、その連携する人たちで共通に使われている表現があると思うので、その辺りはきちんと整理しないと、管理栄養士だけがこれを使うということではなくて、多職種連携として共通の言語といいますか、そういう点での用語の統一ということを少し意識しなければいけない。そのためには、きちんと制度のところを確認して整理するということが今回必要なのかなと思っております。
○加藤座長 ありがとうございます。
 なかなか手間のかかる仕事かと思うのですけれども、科目間でちょっと調整をしていただきたいなと思います。
 ほかに、重複項目があっても全然いいと思うのですけれども、一つ問題点は、重複しているので、あっちの科目に任せてしまおうと言って、さっき栢下先生からもあったのですが、非常に手薄になるところが逆に出てきてしまうところがありますので、責任持ってここで対応するのだというのが分かるといいのかなというのは思っています。もちろんどちらかに預けてしまうということが可能であれば、それでもいいですし、やはりそれは難しいということであれば、その辺りの調整を少ししていただきたいなと思います。
 そして、もう一つちょっと言わせていただきますと、小項目が少し細か過ぎるのではないかという意見も伺っております。というのは、例えば臨床とか人体の構造でいくと、非常に細かい病名が出てくるのですが、一つ一つの病名が出てくるのが本当に妥当なのかという。逆の意味を言えば、その病名が出ているので、その病名のことをここでは教えればいいのだよという話になると同時に、その病名のことしか教えなくてもいいよという、何を教えたらいいのかというのが非常に明確になる一方で、そこだけ教えればいいのだよという話になるのが果たしていいのかどうかというところがちょっとあるのではないかなと思います。
 小項目もあまり増え過ぎても、これは非常に問題が非常に出しにくいことと、先生方に国家試験問題を作っていただいているのでよく御存じかと思いますが、ちょっと認識の誤解があるというところがあるのではないかなと思うのですが、前回作成したガイドラインの5ページを見ていただくことが可能かどうか分かりませんが、例えば5ページのガイドラインの利用方法のCというところに、こんな文言があるのですね。「小項目・中項目に関する内容を分かりやすくするために示したキーワード及び事項である。これらは大・中項目に関連して出題されるものとする。また、出題範囲は記載された事項に限定されず、」。
 小項目に書いてあるその病名しか出してはいけないとか、書いてあることしか出しては駄目だという、何となくそんな認識が非常に強かったのですが、それはあくまでキーワードとして代表的な疾患であるので、それ以外のことを必ずしも出してはいけないというわけではないということを理解していただいた上で、少し整理ができるようなもの、実際に先生たちが問題を作っておられて、こんな問題作れるのかというのもたくさんあろうかと思うし、あるいは、問題にしないでも、ここは教えなければいけないということがあるということでガイドラインに入っているというのもあると思うので、一度、小項目、本当にこれがこれから多職種連携をするために必要な項目なのかというのの見直しと同時に、もし足らないものがあるようでしたら、先ほどちょっと御意見があったように、つけ加えていただくというのもいいと思うのですけれども、あまり小項目ばかりをたくさん並べていただくという方法ではないほうがいいのかなと思います。
 それに関しては、先ほどもちょっと述べさせていただきましたけれども、平成29年ですかね、コア・カリを作っていただきましたので、そういったところも非常にまとまりがあるということもあると思いますので、そういったのも参考にしてもらうといいのではないかなと考えております。
 石田先生、何かつけ加えていただければ。
○石田副座長 小項目が細かいと、それを全部教えなければいけないというような感覚にもなりますので、今以上増やさないというのが大原則かなと思います。統合できるものは統合して、少し大きなくくりで物事を見られるようにと考えておりますので、その辺り、十分検討をしていただきたいと思います。
 例えば、私、給食経営管理論なども今までやってきているのですけれども、給食経営管理論の栄養食事管理の栄養食事アセスメントといったようなところに、病者の病状とか摂食機能といったような小項目が立っているのですが、給食経営管理でこのことを問うということはまずできなかったし、給食経営管理で問いたいこのアセスメントの内容は何なのかといったようなことも含めて見直していただくことが必要なのかな。これは1例ですけれども、そのような観点で考えていただけるとよろしいかと思います。
○加藤座長 ありがとうございます。
 先生方、いつも問題を作っていただいて、本当に御苦労をされていると思いますけれども、小項目に書いてあるがゆえにこの問題を作らなければいけないと言って大変御苦労されているところも実際にはあるのではないかなと思いますので、そこはひとつ統合されて、別にそこを出さないという意味ではないのですけれども、ある程度統合して少し見やすくしていただく、学生が分かりやすくしていただくというのも考えていただけるといいのかなと思っています。
 資料3のところで、先生方、何か御質問・御意見等がありませんでしょうか。
 具体的な議論については、また、次回と思っていますけれども、先生方は実際に問題を作成していただいておりますので、特に科目別検討事項という課題でいろいろおっしゃりたいことがあるのではないかと私は勝手に思っておりますけれども、何か意見を言っていただけるとありがたいのですが、特にありませんか。
 塚原先生、お願いします。
○塚原構成員 前回のガイドラインの検討会のときに、栄養ケアプロセスの文言を入れるか、栄養診断を入れるかで、時期尚早ということで見送りになったのですけれども、今回も、全国的に現場では、じわりじわりと増えてきていますが、ばっと増えているわけでもないのです。ただ、教科書はかなり増えてきています。ほとんどの臨床栄養の教科書は栄養ケアプロセス、栄養診断は入ってきているみたいです。今回ちょうど境目ぐらいなのですけれども。
○加藤座長 ありがとうございます。
 また、議論もしていただければいいと思うのですが、入れていただくことは一向に構わないのだろうというか、周知という意味ではいいのだろうと思うのですが、ちょっと私が確認していた中では、SOAPと非常によく似ていて、では、どんな問題が作れるのかという問題のことまで考えると非常に難しいのかなというのを、ちょっと頭の中では思っていました。これは個人的な意見ですけれども、また、議論をしていただければいいと思います。
○塚原構成員 問題は全く変わりません。用語では、今、例えば栄養ケアマネジメントとか栄養ケアで出しているところが、栄養プロセスとかに変わるだけですね。
○加藤座長 いいと思います。私がいいかどうかという話ではないのですけれども、いろいろ考え方があり過ぎて、国家試験としてその内容を使うのは多分難しいのだろうなというのをちょっと思っていたので、作る先生が、例えばさっきのお話だけれども、栄養ケアプロセスという言葉を入れていただいて、これからどんどん広げていこうというのはいいと思うので、入れておいていただくのはいいのだろうと思うのですが、作成していただく先生が苦労しないような形で入れていただけるといいのかなと思います。
 木戸先生、どうぞ。
○木戸構成員 これは多分国際化とか、先ほど言いましたように、国際的な用語の使い方とか、そことも関係すると思っております。国際化を目指すとすれば、国際的に使われている用語を考えるということも大事だと思います。
 ただ、そのときに、どれか一つにするということではなくて、同じ意味で使っていますよということがまずはっきりしていればいいのではないかと思っていますが、その辺りもぜひ論点の一つにしていただければと思います。
○加藤座長 ありがとうございます。
 恐らく出てくるところが臨床栄養しかないと思いますので、臨床栄養のほうから、また、御提案いただいて、議論を進めていきたいと思います。塚原先生、よろしくお願いします。
 榎先生、どうぞ。
○榎構成員 榎です。
 作業をする上で確認をしたいことがございますので、質問させてください。
 先ほど、小項目についてのコメントといいますか、指示がございましたが、今以上に増やさないとか、あとは整理していくということなのですけれども、いわゆる整理したときに、今までの感じですと、小項目で項立てをして、教科書などが作られていくことになります。そうなった場合に、小項目によって、ある先生はこう書く、ある先生は例えばこの疾患を書く、ある先生は別の疾患を書くというようなことにならないかなという心配がちょっとありまして。
 というのが、介護福祉士の国家試験は、いわゆる小項目に関しては、書いてはあるのですけれども、例として書いてあるというように指示が下りておりまして、つまり、小項目に関しては、これは1例であるので、それ以外も出題してもいい、幅を持たせてあるのですね。ですから、あまり絞り込み過ぎない程度に、みんながこの小項目を見たときに同じ方向性で教育ができるようにしないと、そこは駄目ですよね。
 以上です。
○加藤座長 ありがとうございます。
 おっしゃるとおりで、細かい病名が書いてあれば、逆に教えるほうとしては、非常に分かりやすいし、教科書も作りやすいというメリットがあると思います。デメリットとしては、その項目だけを教えればいいのではないかという、そういう受け止め方をされる可能性があるというデメリットもあるのだろうと理解をしているのですけれども、先生おっしゃられるように、例えば教科書を作る側にしたら、一つ何か大きいのが書いてあって、私は病名のことしか分からないのですが、例えば胃腸疾患などと書いてあったときに、胃の病気で何を取り上げているのかというのが変わってくる可能性があるという先生の御心配だと思うので、そこはやはり大きなというか、メインのキーワードとなる病名とかそういうのを入れるなという意味ではなくて、入れていただければいいのですが、先ほどちょっと御説明したのですけれども、ガイドラインの一番最初のところに、本当はここに書いてある病名というか事項以外のこともきちんと出すのですよというふうに書いてあるのですが、どうも、私たち作っている人間が、ここに書いてある用語といいますか、そこからしか出しては駄目だとか、教科書を作る出版社の人も、ここから出てくるのだという、ある意味勘違いと言えば勘違いで、先生が言われる介護福祉士の試験が本当は正解で、これは1例ですよ、代表的な1例ですよ、だけど、これ以外だって出るかもしれませんよというのが本当はうたってあるのですね。
 ただ、私個人も、取ったほうがいいのか、ある程度の病名とかそういうのは書いてあったほうがいいのかというのは、ここですぐにはお答えができないというか、先生方の議論によってと思うのですけれども、省略できそうなことは、書いてなくても出すことができるということを考えたときに、逆に書いてあると、先生方が、これは書いてあるから出さなければいけないのではないかと苦労されるのではないかと逆に思ったのですよ。こんなのとても出せないのに、書いてあるから作らなければと言って物すごい御苦労をされているのではないかなというのを思ったものですから、少しそういうところは広い範囲で受け止めていただいて、整理できるところは整理されたらいかがでしょうかというふうに申し上げたわけですけれども、御理解いただけますでしょうか。
○榎構成員 私は逆の発想で、介護福祉士の国家試験を受ける学生さんたちはかわいそうだなと思いまして、どこから出るか分からないじゃないですか。逆に、管理栄養士は、はっきりしていてよかったと思ったので、そのちょうどいいぐらいのところを教えていくということですよね。
○加藤座長 ちょうどいいぐらいのところでお願いします。
○榎構成員 ありがとうございます。
○石田副座長 もう一つは、今のガイドラインにも書かれている基本的な考え方が5ページにあるのですけれども、管理栄養士としての第一歩を踏み出し、その職務を果たすのに必要な基本的な知識及び技能について的確に評価する内容とするということは変わらないと私は思いまして。管理栄養士の難しいところは、病院に勤める方もいらっしゃるし、介護施設に勤める方もいらっしゃるし、食品会社に、あるいは地域の保健所とか保健センターに勤める方たちもいる。そういう中で管理栄養士という免許を持っている以上、これだけは知っていなければ駄目でしょうというものへの絞り込みは必要なのではないか。
 それぞれの病院の栄養士の先生に伺うと、こういうことも知っていなければいけない、ああいうことも知っていなくてはいけないと、臨地実習などで御指導いただくのですけれども、それは仕事をしながら経験を積み、学習を進めていただくということも必要なはずであって、まず4年間を学んできた人たちがどこに就職しようと、管理栄養士であるならば、必要な、知っていなければいけないことは何なのかというところを十分絞っていただきたいと思います。それが重要なのではないかなと思うのですけれども、いかがでしょうか。
○加藤座長 ありがとうございます。
 管理栄養士の先生方は非常に多岐にわたっているので、それぞれの専門分野でここまではという思いがあるかと思うのですけれども、そこをちょっとぐっとこらえていただいて、ここだけは最低限押さえたいというような内容にしていただけるといいのかなという、そういった石田先生からの今の御意見だと思います。
 ほかに何かありますか。
 特に科目別検討事項のところで。先生方にまた進めていただくことになるのですが、また、次回も少し総論的な議論があると思いますので、その場でも十分だと思いますので、次に進めさせていただきたいと思います。
 資料4について、先生方から何か御意見・御質問がありますでしょうか。
 資料4は流れだけですけれども、こういった流れで進めていきたいという、事務局側の御提案です。
 よろしいでしょうか。
 それでは、今回の議論はとりあえずここまでとして、今日、頭出しをいろいろしていただいたので、先生方に考えていただいて、今日のいろいろな御提案も踏まえまして、第3回の検討会までに、各科目の出題基準の改定案の作成をお願いします。
○加藤座長 10月の第2回の検討会は、実際的には、ここに書いてありますように、「総論的検討事項として、多職種連携に必要な知識及び技能について」とありますけれども、先生方にこの作業を行っていただいている中で、いろいろな御質問が多分出てくるのだろうと思っておりますので、それも、また、第2回のところでお話しいただき、具体的な議論に入っていきたいと思いますので、第3回に具体的な議論と書いてありますけれども、第2回も同じように進めていきたいと思っておりますので、よろしくお願いします。
 次回第2回も含めて具体的な改定(案)について議論をしていきたいと思います。今日は本当に頭出しで終わってしまいましたけれども、今後の日程等について、事務局からお願いいたします。
○清野栄養指導室長 本日は、貴重な御意見をたくさんいただきまして、ありがとうございました。
 第2回の検討会につきましては、先ほどのスケジュールにもありましたとおり、10月を予定しておりますけれども、詳細については、後日、御連絡をさせていただきます。
 また、事前に郵送いたしました「管理栄養士国家試験出題基準(ガイドライン)改定検討会報告書」、また、「第34回~36回管理栄養士国家試験問題」につきましては、第5回の検討会まで使用いたしますので、各自で保管いただきますようお願いいたします。
 それでは、本日は、これにて閉会とさせていただきます。ありがとうございました。
 

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