ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 第6回「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会議事録(2019年3月22日)

 
 

2019年3月22日 第6回「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会 議事録

健康局健康課栄養指導室

○日時

平成31年3月22日(金)15:00~17:00

 

○場所

航空会館 大ホール(701+702+703)

○出席者

構成員<五十音順・敬称略>

雨海 照祥 (武庫川女子大学生活環境学部食物栄養学科 教授)
伊藤 貞嘉 (東北大学大学院医学系研究科 教授)
宇都宮 一典 (東京慈恵会医科大学内科学講座糖尿病・代謝・内分泌内科 主任教授)
柏原 直樹(川崎医科大学腎臓・高血圧内科 主任教授)
勝川 史憲 (慶応義塾大学スポーツ医学研究センター 教授)
木戸 康博 (金沢学院大学人間健康学部健康栄養学科 教授)
葛谷 雅文 (名古屋大学大学院医学系研究科 教授)
斎藤 トシ子 (新潟医療福祉大学健康科学部健康栄養学科 教授)
佐々木 敏 (東京大学大学院医学系研究科 教授)
佐々木 雅也 (滋賀医科大学医学部看護学科基礎看護学講座・滋賀医科大学医学部附属病院栄養治療部 教授)
柴田 克己 (甲南女子大学医療栄養学部医療栄養学科 教授)
土橋 卓也 (社会医療法人製鉄記念八幡病院 理事長・病院長)
横手 幸太郎 (千葉大学大学院医学研究院細胞治療内科学 教授)
横山 徹爾(国立保健医療科学院 生涯健康研究部長)
 

事務局

武井 貞治(健康課長)
相原 允一(健康課長補佐)
清野 富久江 (栄養指導室長)
塩澤 信良 (栄養指導室長補佐)

○議題

(1)報告書(案)の取りまとめについて
(2)その他

○議事

○塩澤栄養指導室長補佐 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第6回「『日本人の食事摂取基準』策定検討会」を開催いたします。
 構成員の先生方には、御多忙ところ御出席賜りまして、まことにありがとうございます。
 本日は、櫻井構成員におかれましては、御都合により御欠席でございます。
 それでは、以後の進行は伊藤座長にお願いいたします。
○伊藤座長 先生方、大変お忙しいところ、お集まりいただきましてありがとうございます。
 きょうが最後の検討会ということで、今まで長い間、本当にすばらしいものをつくっていただいたと思います。お礼は後ほどこれが終わりましてから皆さんに申し上げたいと思っております。
 それでは、早速検討を行いたいと思います。まず、前回の検討会での御議論につきまして、事務局から資料1、2、3について御説明ください。
○塩澤栄養指導室長補佐 それでは、資料1から3まで、多少行ったり来たりすることになってしまいますけれども、御説明を差し上げたく思います。まず、お手元の資料1「第5回検討会での主な意見と対応方針(案)」という紙をごらんいただけますでしょうか。よろしいでしょうか。
 基本的には資料1に沿って、時々資料3をごらんいただいたり、資料2をごらんいただいたりという形で説明をさせていただきたく思います。まず、資料1にございます順番、左端の1番からでございます。総論につきましては、前回主に2点ほど御意見を頂戴いたしました。1つ目はエビデンスレベルについてです。炭水化物のみ「D5その他」に位置づけられていますが、策定の考え方を脚注として追記してはどうかという御意見でございました。
 こちらにつきましては、対応方針(案)のところにありますけれども、炭水化物の目標量につきましては、総エネルギー摂取量、すなわち100%エネルギーとした場合に、そこからたんぱく質及び脂質が占める割合を差し引いた値となっておりますので、その旨を脚注に追記するという方向でいかがでしょうかと考えております。
 対象のページは、総論の9ページになります。総論の9ページに脚注の文言として載っているのが御確認いただけるかと思います。まさに今、申し上げた内容が注の3番として記載されております。
 それから、先ほどの資料1の2番目でございます。総論の「5 今後の課題」における肥満症の記載について、「肥満症診療ガイドライン」における肥満症の定義を追記できないかという御意見も頂戴しました。こちらは総論の46ページが該当箇所になりますけれども、このガイドラインにおける肥満症の定義を追記いただいているところでございます。念のため御確認いただいてよろしいでしょうか。46ページの中段のあたりに関連の記載がございます。
 次に参ります。3番目の御意見はエネルギー関連のところでありますが、「理想体重」「標準体重」など健康的な体重をあらわす用語の定義を追記できないかという御意見や加齢に伴う体重減少について追記できないかという御意見をいただきました。こちらについては、エネルギーの章のところでそれぞれ追記するということで考えております。先生方におかれましては、各論のエネルギーの資料をごらんいただければと思います。54ページの真ん中に「3-2 発症予防 3-2-1 基本的な考え方」という章がございますけれども、18行目「理想体重」から始まる文章を書き加えていただいているというところがまず1つ目でございます。
 それから、同じ資料の56ページの21行目から「ところで」という文字で始まっている文章があろうかと思います。このあたりで高齢者の体重減少を含めた記載などを追記いただいているというところでございます。
 続きまして、主な御意見の4番目、たんぱく質の内容でございます。御意見といたしましては、たんぱく質維持必要量として全年齢区分で0.66g/kg体重/日を採用した理由について、最新のメタ・アナリシスだけではなく、諸外国の状況等も踏まえて総合的に判断したことを記載してはどうかという御意見でございました。こちらは、いただいた御意見を踏まえた修正を考えております。該当はたんぱく質の資料の109ページでございます。109ページの11行目あたりから文章が始まっておりますが、いただいた御意見の御趣旨を踏まえたような文章にしていただいているというところでございます。
 主な御意見の5番目ですが、各分野のポイントとなる内容を示してはどうかという意見も頂戴しました。こちらについては、その御意見を踏まえまして、総論と各論のエネルギー及び栄養素については、分野ごとに概要、すなわちポイントを示すということでございます。「報告書(案)」のところに「総論及び各論の『エネルギー・栄養素』」の末尾に記載」となっておりますが、これは資料3としてお示ししている報告(案)には現時点では盛り込んでおりません。ただ、盛り込む方向であるということでございます。
 具体的な内容につきましては、今回見やすさの観点から資料2という形でまとめて載せておりますので、資料2をお開きいただいてもよろしいでしょうか。資料2はタイトルが「各分野の概要について(案)」となっております。1番に「基本的方針」とありますが、前回検討会でこういった概要を分野ごとに示してはどうかという御意見がございました。この提案を踏まえまして、総論と各論の「エネルギー・栄養素」における策定した指標、その策定方法を中心に概要という形で整理して、総論の最後及び各論の各分野の最後にそれぞれの概要を記載することとしてはどうかということを書かせていただいておりまして、2番目から具体的な内容ということで、総論に始まり、2ページ目には各論、「エネルギー」から始まって、「たんぱく質」「脂質」などが並んでございます。
 報告書(案)に載せるイメージとしましては、それぞれのパートの本文の一番最後に記載するという方向で考えております。例えば総論でいきますと、現行の資料3の本文がございますけれども、本文の一番後ろ、たんぱく質も同様、脂質も同様というぐあいに続いていく。脂溶性ビタミンあるいは水溶性ビタミンのようなものについては、それぞれの栄養素ではなくて、脂溶性ビタミンの全部の成分が載って、次に参考文献のリストの直前のところに、今、資料2でお示ししているような内容を記載する。そこで読者の方がポイントをごらんいただくというレイアウトに最終的にはしてはどうかと思っております。もし何か御意見がございましたら、後ほどまた頂戴できればと考えております。
 続きまして、資料1の2枚目、6番でございます。御意見としては、食事摂取基準の活用のしやすさと基準(数値)の表のひとり歩きを防ぐ観点から、各基準が参照体位を用いて計算されたほうがわかるように記載できないかという意見をいただいて、結構議論がございました。
 これに対して、各基準の表は、厚生労働省の告示という法令文章の対象となるものでございまして、各表に共通する事項を反復して表記するというのを避けたいという観点から、各表に都度記載するのは難しいと思っているのですけれども、ただ、情報としては重要でございますので、各論の冒頭の部分に各基準が参照体位を用いて計算されているということを追記することとしてはどうかと思っております。
 具体的なものといたしましては、まさに各論の内容でございますけれども、各論のエネルギーから始まるところの一番最初のページ、印刷上は51ページとなっていると思うのですが、「1 エネルギー・栄養素」と書かれている見出しで、5行目「各論では」という言葉で始まっている箇所がございます。10行目「なお、各論で設定した各指標の基準は、全て当該性・年齢区分における参照体位を想定した値である。参照体位と大きく異なる体位を持つ個人又は集団に用いる場合には注意を要する。また、栄養素については、身体活動レベルⅡ(ふつう)を想定した値である。この身体活動レベルと大きく異なる身体活動レベルを持つ個人又は集団に用いる場合には注意を要する」といったところを書き加えていただいておりまして、これは前回ごらんいただいた資料にはなかった新しい記載でございますので、都度表のところに書くかわりに、各論の一番最初のところに横断的事項として書くという方向としてはどうかというのが、こちらとしての提案でございます。
 続きまして、資料1の主な御意見の7番であります。こちらが食事摂取基準の各指標の基準(数値)と、国民健康・栄養調査の関係を示してはどうかという御意見です。対応方針でございますけれども、御意見を踏まえまして、食事摂取基準の利用者(主に行政・医療・介護領域の管理栄養士等)を対象とした活用資料として作成したいと考えております。
 ただ、こちらは報告書そのものに書くのではなくて、私どもとして来年度、すなわち4月以降に新しい食事摂取基準の普及に関するいろいろな啓発資料等を作成する予定でございまして、その中の一環としてこういった国民健康・栄養調査の結果、各指標の基準を図示するような、何らかわかりやすい資料を来年度作成し、この食事摂取基準が適用される2020年度の初めまでに何とか御用意できるよう努めたいと考えております。
 以上、資料1から資料3まで簡単に御説明させていただきました。
○伊藤座長 ありがとうございました。
 続いて、対象特性と疾患関係について佐々木先生からお話しいただいた後で総合的に討論したいと思います。
 佐々木先生、よろしくお願いします。
○佐々木(敏)構成員 それでは、ワーキンググループの座長の佐々木のほうから説明をさせていただきます。先ほど事務局の塩澤さんからわかりやすくポイントをついた御説明をいただきましたので、私はその補足にとどめたいと思います。
 その前に、きょうは会場を間違えて前回の会場に行ってしまいまして、大急ぎでタクシーの中で走ってまいりました。そのために十分な説明ができないかもしれませんが、おいおい後の議論のところで補足をさせていただければと思います。
 構成上、総論がありまして、各論がありまして、各論の「エネルギー・栄養素」の後に「対象特性」、その次に「生活習慣病とエネルギー・栄養素との関連」という構成にさせていただきました。
 「対象特性」というものは、各論の「エネルギー・栄養素」のところで書かれたそれぞれのエネルギーと各栄養素の書き方を軸を90度変えて、対象特性のほうからまとめるということであります。したがいまして、それぞれ妊婦、授乳婦、乳児、小児、高齢者という立場で数値は再掲する形で、それぞれの対象者特性の特徴を記述いたしました。特に大きな変更等は2015年版から見てありませんが、高齢者のところを葛谷先生のグループの先生方に再度お願いしまして、高齢者特有の疾患、フレイルと認知症に踏み込んでレビューをしていただきました。その分が追加となっております。それ以外は内容をアップ・デートしたというところでございます。しかしながら、特に小児のところで今回各論で新たに指標の数値が算定されたところがあります。それに関しては新たな論文を加え、小児の立場から記述をしていただきました。これが「対象特性」のところでございます。
 その次が「生活習慣病とエネルギー・栄養素との関連」でございます。疾患は4疾患、高血圧、脂質異常症、糖尿病、慢性腎臓病です。これは三次元でいきますとZ軸に当たりまして、栄養素の軸、対象者の特性の軸、3番目が疾患の軸ということになります。2015年版と比較しまして、疾患そのものは変えてございません。しかしながら、新たな知見を踏まえ、かつ各論のエネルギー・栄養素のところと整合性がとられるようにワーキンググループの担当の先生の間でお話ししていただき、そしてそれぞれの疾患の専門家のグループに執筆をお願いいたしました。
 この4つの疾患とも、特に脂質異常症、糖尿病のところは、この5年間で研究論文が急増しており、さらにそのメタ・アナリシスが相当出てきまして、世界中でそれを使ってさまざまなガイドラインの策定が行われております。そのために、今回は前回よりも相当に論文を精査していただいて、メタ・アナリシスを中心に記述を改めました。そして、「生活習慣病とエネルギー・栄養素」のところの関連は、2015年版では参考資料の扱いとなっておりますが、既にここで御議論いただきましたように、この部分を食事摂取基準の報告書の中にしっかりと位置づけるという形で、参考資料ではなく、3といたしまして、各論に入れるという構成にさせていただいております。
 それぞれのところに関しましては、御専門の先生が検討委員の中におられますので、その先生から必要に応じて補足の御説明をいただければ幸いです。
 私からは以上でございます。失礼いたしました。
○伊藤座長 ありがとうございました。
 この報告書の379ページ以降の2つのチャプターについて、特性と疾患との関連ということで、御専門の先生方にいろいろ見ていただきながら進めたということですね。
 それでは、議論に入りたいと思います。まず初めに、資料1のナンバー1から4のところについて御意見をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。これはよろしいですか。それぞれきちんと前回の意見を反映した形で報告書には書かれているということですので。木戸先生、どうぞ。
○木戸構成員 たんぱく質のところでよろしいでしょうか。
○伊藤座長 はい。
○木戸構成員 前回の議論を踏まえた形になっていると思いますが、1点だけ。たんぱく質に限らないかもわからないのですが、たんぱく質を一つの例として説明させていただきますと、推定平均必要量というのが求まり、それに係数を掛けて推奨量を求めるというのが策定の理論であります。最終的に告示としての表記は、1人1日当たりの数値として、そのときに参照体重を用いて計算された数値を表として示すということになっております。
 51ページの総論で参照体位を想定した値であるという記載があるので、最後のところは参照体位でいいわけですが、各論の一つ一つのところで、例えばたんぱく質の場合には、良質たんぱく質の推定平均必要量があり、それに生体内利用効率を掛けたものが推定平均必要量ということになるわけですが、現在の表記ですと、そこのところが利用する立場からするとわかりにくくなっているのではないかと感じました。
 実際に2015年版のところでは、表記としては推定平均必要量算定の参照値としてg/kg体重/日という数値を示し、そして実際にたんぱく質の維持必要量を生体内利用効率で割った数値、2015年の場合は0.72になるわけですが、0.72g/kg/dayという数値を示した上で、推奨量換算係数を掛けて推奨量を示すという記載がございます。
 今回の2020年版においては、そこのところを分けて表記したために、推定平均必要量については、推定平均必要量で参照体重を掛けたものが文章の中で書かれております。その上で、生体内利用効率を掛けて推奨量を示すという記載になっているところが、少し理解しにくくなるのではないかと感じております。具体的に言いますと、できたら体重1kg当たりの値を括弧書きでもいいから記載できないかという提案です。
○伊藤座長 1kg当たりの利用率とか全部含めた値を書くということですか。
○木戸構成員 前回と同じように、たんぱく質を例に言いますと、例えば今回は0.66というのが1歳以上の全ての推定平均必要量の値とすると。推定平均必要量は、それに参照体重を掛けたもの、推奨量は、それに換算係数を掛けたものとなります。その値が一番最後の表の数値として示されているというのが現在の構成であります。
 総論の51ページに参照体位を想定した値であると。しかし、それから外れる場合には注意を要するという記載があって、注意をしないといけないわけですが、注意をするというのは具体的にどういうことかというと、体重1kg当たりの数値があって、その個人あるいは外れた人に対して、目標とするたんぱく質を算出し、それに従って食事を考えるということになると思います。そこのところが少しわかりにくいのではないかと感じております。
○佐々木(敏)構成員 木戸先生のおっしゃるとおりだと思います。木戸先生のおっしゃることを要約いたしますと、たんぱく質の維持必要量に参照体重を掛けるのではなくて、先に利用効率で割りなさいと。その後で参照体重を掛けなさいと。その順序ですね。
○木戸構成員 はい。
○佐々木(敏)構成員 そのように順序を入れかえるほうがわかりやすく、理解されやすいと私も思います。ゆっくり読んでいただくと、確かにそのとおりだなと。
 聞いてすぐに理解は難しいかもしれませんが、あくまでもたんぱく質は、維持必要量を理想的なたんぱく質で出した上で、しかし、それはそのまま使えないです。水溶性ビタミンも多くはそうなのですけれども、生体内利用効率で割ることによって実社会で使える数字が出ます。体重、キログラム当たりでまず出して、それに参照体重を掛けるという順序が正しいということでございます。
○伊藤座長 わかりました。つまり、1kg当たりのエネルギー効率とかそういうのを全部やってしまって、あとは参照体重を掛ければ数値が出るような、そういう式にしろということですね。
○佐々木(敏)構成員 はい。
○伊藤座長 これは大丈夫ですね。
○塩澤栄養指導室長補佐 はい。
○伊藤座長 では、そういうふうに表現を変えていただくということにしたいと思います。
 ほかにはございませんでしょうか。よろしいですか。どうぞ。
○木戸構成員 たんぱく質のところばかりで申しわけないのですが、たんぱく質の114ページの22行目「また、特定のたんぱく質又は特定のアミノ酸、特定の食品とフレイルの罹患率又は発症率を観察した研究もわずかながら存在するが、一定の結果は得られておらず、現時点で特定のたんぱく質(例えば動物性たんぱく質又は植物性たんぱく質)や特定のアミノ酸、特定の食品を勧める十分な根拠は得られていない」という記載ですが、これは観察研究と介入研究があったと思うのですが、そういったものを総合的に判断してこういう記載になっているか、確認をさせてください。
○伊藤座長 どうぞ。
○佐々木(敏)構成員 まず、総論に書かれているのですけれども、基本的に両方が参照されるべきです。次です。ところが、介入試験の場合は、通常の日本人、また日本で生活されている方の摂取量の分布を逸脱した投与量を与えられる場合があります。その論文は外すというふうにして外しております。そうしますと、たんぱく質の中の特定のもの、何らかのアミノ酸とか、またはある特定のたんぱく質を与えたもの、これは記憶の範囲内ですが、通常の摂取量よりかなり多いという場合があって、それではたしか外したと記憶しております。
 次はアウトカムのところで、ここに書かれているようなアウトカムを見ようとすると、介入研究、実はそれほどまだ進んでいない。もっと細かい指標であるとかアウトカムを調べたものが大多数であったように記憶しております。もう一度確認いたしますが、そのように考えております。
○木戸構成員 多分ワーキングで文献検索をしたときには入っていなかったのかもわからないのですが、例えば「British Journal of Nutrition」の2018年のものなどにもメタ・アナリシスの結果が報告されていたと記憶しております。検索されたときにその時点ではひっかかってこなかったのかなと思うのですけれども、いかがでしょうか。
○佐々木(敏)構成員 今、記憶の範囲にございませんので、後で調べてお答え申し上げます。
○伊藤座長 ほかにはよろしいですか。どなたか。よろしいでしょうか。
 ここで「たんぱく」という言葉につきまして、日本医学会の用語管理委員会のほうから、片仮名で書いてはいかがかという連絡が何人かの先生とか私とか事務局のほうに来まして、そのことについて事務局等から整理をしていただくということにしたいと思いますが。どうぞ。
○塩澤栄養指導室長補佐 それでは、たんぱく質について、これまで私どもとしては、平仮名で「たんぱく」、そして漢字の「質」ということで、「たんぱく質」とさせていただきましたが、片仮名での表記も結構一般的にある表記でございまして、これを片仮名にしてはどうかという意見などございましたので、改めて整理させていただきたく思っています。
 私どもとしては、食事摂取基準で「たんぱく質」を平仮名表記にするということは、今から述べます理由から適切と考えておりまして、食事摂取基準で片仮名表記に改める必要は特段ないのではないかと考えております。
 その理由といたしましては大きく2つあるのですが、まず1つが、「たんぱく」という言葉は、もともと外国語として入ってきたものの、外来語の語義を踏まえて漢字で「蛋白」と表記されるようになった単語と承知しております。これがその語義を踏まえて日本語の「蛋白」としたものでありまして、外国語をそのまま音の表記であらわしたものではありません。そういうものである場合、これを仮名で表記するに当たっては、もともと日本語のものでございますので、片仮名ではなく、平仮名を用いるのが自然ではないかと考えているのがまず1つでございます。
 2番目です。食事摂取基準を定める栄養素につきましては、法令である厚生労働省令で規定するということになっております。法令での漢字の使用等につきましては、一定のルールがございます。常用漢字表にある漢字については、基本的に漢字で表記するというのがありまして、ただ、常用漢字表にない漢字につきましては、原則として仮名に改めるというルールがあります。ただ、この場合、仮名に改めるにしても、単語の一部だけを仮名に改める方法はできるだけ避けるのが原則となっております。
 例えば「あっせん」という言葉があります。あっせんについては、「あっ」の部分は常用漢字にないものなので、「あっ」を平仮名にして、その後、旋回の「旋」の字をあてるというふうになるのですけれども、こういうふうに一部だけを仮名に改めるというのは原則避けるとなっておりますので、法令的な文書では、「あっせん」という言葉は、全て平仮名で「あっせん」と書くということがございます。
 今のようなルールと、最初に申し上げたそもそも外国語を音表記としてあらわしたものではないというものがありますので、以上を総合して考えると、食事摂取基準における表記というのは、現行の省令にもありますとおり、平仮名で「たんぱく」と漢字の「質」というぐあいに、「たんぱく質」と表記するのが妥当ではないかと考えております。
 以上でございます。
○伊藤座長 いかがでしょうか。木戸先生、いかがですか。
○木戸構成員 実は私も周りの何人かの先生方から、今、「たんぱく質」は、学会であったり、いろんなところで片仮名表記で使われているので、どこかで統一したほうがいいのではないかという御意見をいただきました。私もそのように感じているところです。
 ただ、今、御説明にありましたように、法令とか省令との関連もありますので、慎重に扱わないといけないということは承知しているところですが、今、「あっせん」という例示をしていただきました。それは一つの単語です。「たんぱく質」というのは英語で「プロテイン」で、一つの訳として、「たんぱく質」が一つの単語であって、「たんぱく」ではないと思うのです。使える漢字、使えない漢字ということで、一時期は「たん」は平仮名で、「白」が漢字で、「質」が漢字という使われ方もしておりました。しかし、これは「たんぱく」を平仮名にして、「質」だけ漢字にするという形で整理がされたと思います。しかし、今の定義からしますと、「たんぱく質」というのが一つの単語であるとすれば、全て平仮名にするというのが前例にのっとることではないかなと思われます。
 そういったこともあるのですが、どこかの段階で学会等を含めて、今の流れとしては、「たんぱく」というのは平仮名ではなくて片仮名で使われていますので、そういう方向で考えるというのもどこかが提案しないといけないことではないかと考えています。
○塩澤栄養指導室長補佐 済みません。今、木戸先生から「たんぱく」が平仮名で、「しつ」も平仮名にするのではないかという御説明だったと思います。
 先ほど私、略してしまったのですが、法令における漢字使用のルールの中で、先ほど基本的にはその部分をみな平仮名にするのだというお話を差し上げたのですが、その中で「ただし」という注が別にございまして、何が書いてあるかと申しますと、漢字を用いたほうがわかりやすい場合はこの限りでないという一部注もございまして、そこから考えると、全て平仮名で「たんぱくしつ」と書くか、あるいは「たんぱく」だけ平仮名で書いて、「質」だけ漢字にしたほうがわかりやすいかとなったときに、おそらく一般の日本人にとっては、「質」は平仮名よりも漢字で書いてあるほうがわかりやすいのではないかと。おそらくそういう考えのもと、「質」だけは漢字で、あとは平仮名となっているものと思われます。
 以上です。
○木戸構成員 了解しました。変な理屈を言いましたが、言葉としてどうあるべきかというのがもし議論できるのであれば議論していただければと思います。
○伊藤座長 これはもしかすると重要なことで、例えば「カステラ」とか「ビール」というのは、向こうの音をこちらでとったときに片仮名にしているわけですね。今回はドイツ語の単語を「たんぱく質」と日本語に訳した。ビールを「麦酒」と訳すのと同じように、どちらが先かどうかわからない。訳した形なので、本当に片仮名の「タンパク」と書くのが言語として正しいのか。これはむしろ言語学者に考えてもらったほうがいいような気がするのですけどね。
 どうぞ。
○柴田構成員 私は、歴史的に言って、漢字で書いたときの「蛋白質」は、まだ化学物質としての概念がなくて、抽象的な概念だった時に詰められたものと思います。遺伝子とDNAみたいな関係です。現在は、たんぱく質はアミノ酸からなる物質であるということがわかったので、将来は物質名は片仮名で書くという方針に動いたほうがいいと思います。
 ですので、わたくしたち、基礎栄養学の分野では、窒素から計算したときには、概念的なものなので平仮名の「たんぱく質」、アミノ酸からきちんと計算した量のときは片仮名の「タンパク質」と明確に区別して使っております。参考までに。
○伊藤座長 先生、どうぞ。
○雨海構成員 ちょっともやもやしているので、私のたんぱく質の表記方法をお伝えし、それに是非とも御批判いただきたいと思います。私が個人的に使っている表記方法は、食べ物の中に入っているものは平仮名表記を用い、また生体内で、例えば肝臓や筋肉の細胞内で合成されたものには「タンパク」とカタカナ表記をしています。恐縮ですが、この平仮名表記とカタカナ表記の使い分けの可否について今後の使用方法の基準として、是非御批判いただきたいと希望いたします。
○柴田構成員 おおむねその概念で一致していると思います。食べ物のときには窒素量で測定して、6.25を掛けた量でたんぱく質量にします。一方、生体内で合成というのは、確実にアミノ酸から合成されたものですので、片仮名でいいと思います。
○雨海構成員 いまだ充分に理解できていません。申し訳ありませんが、もう一回詳しくご説明をお願いできますか。
○柴田構成員 では、また後でいいですか。
○雨海構成員 了解です。
○伊藤座長 今回は省令のこともありますので、食べ物という概念で、平仮名ということでよろしいですか。
(「はい」と声あり)
○伊藤座長 この旨、向こうに返事をしなければいけないね。
○塩澤栄養指導室長補佐 そうですね。
○伊藤座長 正式に手紙が来たので、正式にちゃんと返事を出すということはやって。原文を書いてください。
○塩澤栄養指導室長補佐 はい。
○伊藤座長 次は資料1の5の部分ですね。これは資料2にありますけれども、このような文章を末尾のところにつけるということで、これは前回の議論のときにサマリーをつけたほうがわかりやすいということでありまして、このような文章をつくっていただきましたが、いかがでしょうか。私も一応読みましたが、いいのではないかなとは思いますが、何か御追加等ございますか。先生、どうぞ。
○佐々木(敏)構成員 補足説明を1つだけさせてください。各論の栄養素のところは、1つの章の中に多数の栄養素が入ってまいります。それを一つずつ挙げていると量が多くなることがございまして、あくまでも利用者の便という立場から特に注意をしてほしいというか、正しく理解をして活用してほしいというところに限定をして記述をさせていただきました。その意味で、幾つかの章、特に微量ミネラルなどはそうなのですが、扱っている栄養素のうちごく一部しかここには挙がってまいりません。これは概要ということから考えて仕方がなかったと考えております。よろしくお願いいたします。
○伊藤座長 はい。それは全部を書くわけにはいきませんので、よろしいと思いますが、いかがですか。
 それから、ちょっと抜けてしまいましたけれども、先ほど参照体位を用いて計算されているという旨を書きましたが、これはこれでよろしいですね。
 それでは、この概要を示すこと、この内容についてもこれでよろしいですね。
 ありがとうございます。
 どうぞ。
○佐々木(敏)構成員 これは私の杞憂に終わればよいと考えているのですが、今度はこの概要だけが流れてしまうと困るなと。あくまでもこれは概要であり、これを理解して、あと数字を見ればよいのだということは決してないと。あくまでも報告書全文から抜き出してきたごく一部にすぎないということをきっちりと議事録に残していただきたい。そしてそのように御周知いただきたいというのがワーキンググループの考えでございます。
○伊藤座長 これは冒頭の文章のところでこういうところを書いたというものをつけるのであれば、概要は今回つけましたよと。しかし、概要はあくまでも概要なので、内容をきちんと把握して利用してくださいという一文をどこかにつけられるといいですね。
○塩澤栄養指導室長補佐 そこは先生方の御意見をいただきながら、何らかそういうことが盛り込める方向で検討させていただきたく思います。
○伊藤座長 前文あたりに改定に当たってとか何かそんなところで。よろしいですか。
 ありがとうございます。
 それでは、疾患関係についてでございますが、これは数値の再掲。角度を記載されているということですが、高血圧学会は、先生、あれですね。
○土橋構成員 高血圧、03の14、総論のところを滋賀医大の三浦先生が書いてくださっているのですけれども、実は高血圧のガイドラインが今、改定中でして、4月25日にJSH2019というのが出ます。この報告書は6月に公表されるということですので、5月の改定を受けて一部内容の整合性をとりたいという意見を三浦先生のほうからいただいております。例えば434ページの本文のところで130~139/85~89、今、正常高値血圧という血圧区分になっているのですが、130~139/80~89を、「正常」をとって「高値血圧」とするとか、それから表1、図1というのが435ページにあります。437ページにJSH2014という記載がございますが、こういったものを全て2019に整合性をとった形に変えさせていただきたいということで、御了解いただければと思っております。
 以上です。
○伊藤座長 各学会のガイドライン等に整合性を通す。今回は4月の段階で高血圧学会が新たに。今、最終段階に入っていまして、それを発表するということのようですので、これはその後で発表されることになりますので、その辺をちゃんと整合性をとって反映していただくということで、よろしいですね。
 ほかに特性とかに関しましてはよろしいですか。
 ありがとうございます。
 前回関連する学会、高血圧学会、動脈硬化学会、糖尿病学会、腎臓学会、老年医学会に御意見を伺うように私のほうから手紙を出しまして、まだ出そろってはいないので、その内容を改めて反映するような形。何かありましたら、メールとかそういうところですることがあるかもしれませんが、御意見を検討して最終版をつくるというふうにしたいと思っております。
 高血圧学会については、今、言いました新たなガイドラインにきちんと反映させるような形をとるということですが、よろしいでしょうか。そういうことで進めさせていただきます。
 まだ4時前でございまして、本当にスムーズに進めていただきありがとうございました。
 最後に今後の活用、また、次期の改定に向けて課題など、この機会に御発言をお願いしたいと思いますが、いかがでございましょうか。皆さんから一言ずつ御意見をお願いします。
先生方にはこの中での議論、並びにワーキンググループの先生方には本当にたくさんの仕事をしていただいて、食事摂取基準の改定の報告書は新たな面も含めて、非常にわかりやすく、いい改定案になったのではないかと思います。先生方の大変な御苦労と、いろいろ仕事をしていただいたことと、あと、この会は非常にアクティブに皆さんが御発言いただいたので、いいものができたのではないかと思っています。本当にありがとうございました。
 それでは、葛谷先生からこういう順番にお話をいただけますか。
○葛谷構成員 ありがとうございます。
 最後、いいものができ上がったということで、大変喜んでいます。まだ終わったばかりで次回改訂で何を追加したらいいかというのはなかなか思いつきません。前回から生活習慣病の重症化予防まで広げるということでしたので、大変いい取り組みだったし、現実的な食事摂取基準になっているのではないかなと思うのですが、やはりもう少し広げる余地があるのではないかと思っています。というのは、今、組み込まれているのはもちろん重要な疾患ですが、例えば実際COPDであるとか循環器疾患が入っていないです。心不全なども。やはり栄養は非常に大事な要素だと思いますので、そういう疾患までも広げていったほうがいいかなと思います。
 また悪性腫瘍ですが、現在では、がんとともに長生きするような時代になってきていますので、このような疾患も将来入れることも個人的にはありかとは思います。もちろん、健康な方々を対象にするのですが、実際の現場に合わせると、少し病気を抱えながら元気に暮らしている人たちを栄養の面からサポートするということも今後大きな視点かなと思いますので、できましたらそういう形で広げていただけるとありがたいなと個人的には思っています。
 これで終わります。
○雨海構成員 今後の本策定に対する個人的な希望を2つ述べたいと思います。ひとつは、本委員会における策定開始から今日までに投入された膨大な資源、すなわちそれは人的、時間的、経済的な資源を使って策定されたこのガイドラインを、前回の課題でもあげさせていただきましたが、あえて再度繰り返させていただきます。このガイドラインを現場で実際に利用していただいて、実際にアウトカムが出るのか出ないのかにより、第三者にこの政策を評価していただく、というのが最終着地点だと思っています。そこで厚生労働省の事務局の皆さんに現場で本当に使っていただくという具体的な仕掛け、戦略をぜひ立てていただきたい。さらにその戦略の対象としては、本政策の利用者の実例としてあげられております順番にあげますと、行政。この職種はその直接、間接的な影響度からいって第一にあげられておりますが、妥当だと思います。つぎに同様の理由で、臨床、福祉と、その利用現場が続いています。しかし是非ご提案申しあげたいのは、その対象人数とその後にまで及ぶ時間的影響度の大きさからいえば、行政と臨床との間に、教育施設をあげていただきたい。それも事務局がご指摘されているような単に管理栄養士の教育施設にとどまらず、医師の教育機関である医学部をも含めて、栄養を扱うあらゆる医療従事者すべての教育機関で、本ガイドラインが正しく教育されるべきであると考えます。したがってこの提案は、厚生労働省と文部科学省との、ふたつの省庁にまたがる案件になってしまいますが、国民の健康向上のため、ぜひとも本ガイドラインを医療従事者の教育現場にも広げていただきたい、というのが1点です。
 つぎに二点目ですが、最初の教育機関での教育の徹底という観点に強く関連しますが、今回の本ガイドラインの策定は厚生労働省の政策立案の案件として策定が進められてきましたが、完成されたものは、例えば文科省が進めておられる食育の中にこのガイドラインを入れ込んではいかがか、という個人的な意見です。本ガイドラインがエビデンスベースで策定されており、このエビデンスという概念を保育園から小学校までの子供たちにその概念から教えていくというのは難しいと思います。しかし小児期の教育の重要性に鑑みて、これら子供たちにこそ、しっかりとその重要性が伝わるかたちに組み立て直していただいて、小児期からこそ、栄養の大切さを教育の現場に持ち込んでいただくうえで、本ガイドラインは極めて適切な教育材料だとも思います。そこで結論として、先ほどの一点目同様、省の隔たりを越えて、大切な未来を担う子ども達の教育の現場でも本ガイドラインの概要を使えるような具体的方策をとっていただきたい、利用する現場の範囲を小児の教育現場にまで是非広げていただきたい、というのが私の強い希望です。
 以上です。
○宇都宮構成員 私は、この策定についてワーキングも含めて2つの場でかかわってまいりましたけれども、ワーキングでも佐々木先生を中心にかなり具体的な突っ込んだディスカッションをしてまいりました。この検討会でそれを踏まえてさらに大きな視点から御意見をいただいたということについて、本当にいいディスカッションができたなと考えています。
 特に第1回の検討会で申し上げましたけれども、望ましい体重あるいはエネルギーをどのように考えるかといったことについて、かなり御意見をいただきました。そのことは各疾患の項目にかなり盛り込まれているなという感じがしております。前回付録でありましたものを章立てにいたしましたので、これはかなり大きなインパクトを持つだろうと考えます。そうは言いながら、各学会のガイドラインを大事にしようと思っておりますので、よくよく読むと、若干興味あるところからすると、ちょっとそごがある記載もないわけではない。今後これを契機として、どういった形で整合性を合わせるかということが一つのディスカッションではないかなと考えます。
 そういうことを出しましたので、葛谷先生からも御意見がありましたが、まずこういった記載をしたときにどのようなインパクトがあるかということを検証しながら、さらにこれを進めていくということが必要かなと考えています。
 以上です。
○柏原構成員 腎臓学会から参りました柏原です。
 この摂取基準の普及ということで言いますと、時期としては非常によい時期といいますか、昨年厚労省の健康局が腎疾患対策検討会報告書というのを出して、今後10年かけて新規の透析患者さんを10%減らそうという数値目標も掲げているわけですが、その中で腎臓病は食事が非常に大事だということであります。今まではCKD診療ガイドやガイドラインの中にも食事のチャプターがあるわけですが、普及啓発をする場合に、医者を対象にするときはそういったガイドやガイドラインが紹介できていたのですが、栄養士さんとか保健師さんが主体の会も数多くあって、そういうときにはこの食事摂取基準をむしろ積極的に紹介していくと。そうすれば、非常に重層的に働きかけができるのではないかなと思います。
 そういう意味では、特に腎臓病の部分をもう少し図式化してスライド化できるような、そういう工夫も必要なのかなと。我々自身でそれを若干修正を加えてやらせていただけるのであれば、そういうことをしていって、共通で使えるスライドキットなどをつくって、全国の栄養士さんや保健師さんを対象とした研修会で使っていくことができればいいなと思っています。
 以上です。
○勝川構成員 私は、ワーキンググループと検討会、両方でかかわらせていただきまして、エネルギーの項を担当させていただきました。2015年版のときと比べまして、特に糖尿病に関して新しいエビデンスが昨年、ことしと出てまいりまして、保健指導の対象になる高血糖の方と糖尿病の患者さんの食事療法のギャップが少し埋まってくるのではないか。今、糖尿病学会で宇都宮先生が中心となられてガイドラインの食事療法の部分を策定されておられますけれども、非常にスムーズに移行するようになるのではないかと期待しております。
 先ほど葛谷先生がCOPDの話をされましたが、斎藤先生から前回ご指摘いただいた若年成人女性のやせの問題、それから2015年版の最後の策定検討会でお話が出たかと思うのですけれども、骨粗鬆症も栄養が非常に影響する疾患であろうと思います。こうした対象者が多く、栄養が非常に大きなインパクトを与える病態に関しても、今後、目を向けていけるといいのではないかなと考えました。
 ありがとうございました。
○木戸構成員 最初に、本当に先生方に感謝の気持ちでいっぱいです。実際に私は管理栄養士の教育現場の教員であり、また、管理栄養士が社会でこの食事摂取基準を正しく理解して、そして活用できるように進めないといけない立場にある者の一人として、先生方の献身的なこの取り組みに感謝いたします。それに応えて私たちはきちっと教育、あるいは現場での活用に力を注いでいかないといけないと改めて決意しているところです。
 本当にありがとうございました。
○斎藤構成員 いろいろとお世話になりました。ありがとうございます。
 私の拙い意見、例えばビタミンDの季節変動を入れていただきたいなどということを言いましたら、本当にすばらしいエビデンスを入れていただいたり、若年女性の問題も取り上げていただいたり、さらに活用資料についても今後厚労省のほうでつくっていただけるということで、より活用しやすくなるのではないかと感じております。
 今、木戸先生がおっしゃったように、これから私たちのほうがこれをいかに教育現場のほうで活用していただけるように働きかけをしていくかということで、本当に責任の重さを感じております。
 先ほど共通のスライドがあって、全国に周知できたらという御意見もありましたけれども、なかなか難しいかもしれないのですが、ウエブ研修みたいな形、厚労省にアクセスすると、こういった食事摂取基準の研修ができるというウエブサイトがあって、多くの人がそこにアクセスして研修ができれば、なお活用しやすくなるのかなと個人的に思っておりますので、引き続き御検討いただければ、ありがたく存じます。
 ありがとうございます。
○伊藤座長 佐々木先生、どうぞ。
○佐々木(敏)構成員 本当によかったなと。4つ手短にお話しさせてください。
 1つ目は、何と言ってもワーキンググループの先生方、本当にありがとうございました。この席に見えない先生も含めまして、ワーキンググループの先生方が黙々と調べ物をして、そしてつくってくれました。本当にありがたい限りでございます。何度お礼を申し上げても申し上げ足りないと私は感じております。
 その次です。普及啓発、教育。とにかく先生方、次の御努力をお願いいたしたい。そして、そのときに理解なくして活用なし。理解なくして活用なし。どう活用するかではなくて、まずどう理解するかのところの教育をお願いしたいと存じます。
 あとの2つは不安です。1つ目は、食事に関するガイドラインや幾つかの決め事があります。けれども、比べてみますと、この食事摂取基準ばかりがエビデンスレベルが上がってきまして、ひょっとすると食事摂取基準と他の食事のガイドラインやいろいろなものとの乖離が起こって、逆に食事摂取基準が使いにくくなるのではないかと危惧すらあるのではないか。では、食事摂取基準のエビデンスレベルを皆さん、下げますか。逆ですね。他の食事のガイドラインや、他の食事のいろいろな決め事のエビデンスレベルを上げて、この食事摂取基準とのつながり、連携を強化するというのが次のステージかと存じます。
 最後です。ワーキンググループの座長をさせていただいて、もう一つの危惧、不安は栄養学者の欠乏です。エビデンスがふえてきたと喜んでいるわけにはいきません。外国と比べて日本からはそれほどのエビデンスは出てきていない。私は栄養学ですという栄養学者で、かつ食事摂取基準というナショナルガイドラインをつくれる世界一級の研究者をこの国がどこまで育てられるかにかかわっていると思います。人なくしてガイドラインはできません。ぜひ人の育成を。次の5年は無理かもしれませんが、日本の将来を考えますと、国民の根本の一つである食べ物について、しっかりと科学ができる学者がいて。それはもちろん公衆衛生、現場まで含めた全てを科学と呼んだ上での話でございますが、つくる人の育成ということも先生方にお願いしたいと思います。これは特にワーキンググループの座長をさせていただいた感想でございました。
 ありがとうございました。
○佐々木(雅)構成員 このようなすばらしい食事摂取基準の2020年度版が仕上がりましたことについては、策定委員の先生のみならず、ワーキンググループの先生方に敬意を表したいと思います。
 これだけすばらしい形に仕上がったので、管理栄養士以外の医療職の方、あるいは、様々な医療職の学生教育にも広く活用していただきたいと思いますが、そうなると、前回の委員会で図表のひとり歩きを問題する意見がありましたように、これがPDFで出てしまうと、それを簡単にパワーポイントに貼りつけて資料ができてしまいます。そこは、内容をよく理解して、せっかくの図表が、間違った解釈とか、間違った理解がされるようなことがないように、活用のところでそういうものはぜひ御指導いただければと思います。
 もう一点は、私は何度か、流動食・経腸栄養剤に関わる者の立場から意見をさせていただきましたけれども、この基準が流動食なり経腸栄養剤の基準にも活用されるのですが、平均すると日本人の栄養剤、流動食の使用量は大体1,200カロリー弱です。それはいろんな統計でも確認されているところです。そうすると、このエネルギーでつくられた基準値をそのまま流動食で栄養管理されている患者さんに適用するのは、非常に難しい問題があります。つまり、ほぼ1,200キロカロリーで、今回の基準値を充足しないといけないのかどうか。1,200キロカロリーで充足すると、今度はもっと多い量を投与した場合に基準値を超えるといった難しい問題が出てくるのですけれども、そのあたりは、このあたりを柔軟に活用していただいて、有効的な活用ができるように願っております。
 以上です。
○柴田構成員 この食事摂取基準が年数を重ねるごとにきっちりとケミストリーのレベルになってきたなという気はすごくします。今まで食事というのは概念的にしか捉えられなかったのが、きちんとケミストリーとして捉えられました。欠点としては、栄養学というのは一生のスパンで考えなければいけないのですが、われわれ基礎栄養学者は、ほとんどが生化学出身者なので、1カ月ぐらいの成果でもって、ライフスパン全部に当てはめて考えてしまいます。この考え方を、いろんな分野の先生との交流で修正していただき、少し考え方が広がったことが、私にとって、この食事摂取基準にかかわらせていただいた最大の成果でした。
 課題として次にしていただきたいなと思うのは、総論の23ページに図5「食事摂取基準の活用とPDCAサイクル」をさらに発展させたいです。この図の最初にアセスメントという「A,ア」がきたことで、栄養指導におけるPDCAサイクルが、すごく進歩しました。ところが、私はその中で「C,チェック」というところがあります。そこに「食事評価」と書いてあります。1番目の「A,ア」というところも「食事評価」です。一緒ですので、チェックのところの「食事評価」を、エネルギーでしてくださったように生体指標を用いた評価にしたいです。エネルギー摂取量は、食事評価ではなく、体重という非常に有益な生体指標をつくっていただいたので、ほかの栄養素に関しましても生体指標をつくっていただいて、食べ物の栄養評価に加えて、人のほうの生体試料を使った栄養評価ができるようになれば、活用の面でも随分発展するのではないかと思います。
 あとは、発言が最後のほうになったので、重なってくるのですけれども、普及活動のために、管理栄養士養成施設の食事摂取基準を教える先生方に、しっかりと勉強していただきたいです。佐々木先生が言われなかったので繰り返し言うのですが、管理栄養士養成施設の食事摂取基準を教える先生方に、しっかりと勉強していただけるような環境をつくっていただけたらと思います。
 以上です。
○土橋構成員 高血圧学会から参りました土橋でございます。この会に参加させていただいて、私自身、大変勉強になりまして、感謝申し上げたいと思います。
 高血圧学会では、実は来週第1回目の話し合いをするのですけれども、高血圧の制圧を目指したまちづくり、モデルタウン構築といった取り組みを始めることにしています。今回のこの食事摂取基準はとてもいい機会だと思いますので、私自身は、いろんな行政とタイアップして、そのまちの一次予防、重症化予防に取り組む。その介入の指標として食事が非常に大きなポイントとなりますので、エネルギーとナトリウムとカリウムが中心になるかもしれませんけれども、そういったものと、食育をテーマにすることを決めていますので、厚労省にも支援いただいてまちおこし的な、高血圧の制圧を目指すまち、公募制にしようとしているのですけれども、そういった形で普及していけばいいなと思っているところでございます。
 私自身は食塩摂取量の評価をずっと研究してきたのですが、佐々木先生的に言うと、評価なくして指導なしということなので、目の前の患者さん、あるいは個人、あるいは集団がどれぐらいとっているかもわからずに指導しても効果はありませんので、そこをどうやって可視化したアウトカムを出すかというところが非常に大きなポイントだと思っています。今後の取り組みの中で個人あるいは集団レベルでのアウトカム、食塩摂取量、カリウムをどういった評価法を使って介入していくかということをさらに高血圧学会としても検討していきたいと思っております。
 ことし5月に減塩委員会の報告書というのもあわせて出させていただきますので、減塩の機運も上がっていると思いますので、これを機会にさらに減塩が進むような社会に貢献できればと思っております。
 ありがとうございました。
○横手構成員 千葉大学の横手でございます。
 こういう機会をいただきまして、ありがとうございました。佐々木先生、ワーキンググループの皆様、また、全ての委員の先生方、そして伊藤座長のお取りまとめに感謝申し上げたいと思います。
 きょうは最後の検討会ということで、実は事前打ち合わせのときに事務局のほうから脂質異常症に関して宿題を2点いただきました。少し話が戻ってしまうのですが、5分ほど頂戴してコメントをさせていただきたいと思います。
 資料3のタブレット版のところの0315、脂質異常症のところをごらんいただきたいのですが、この2ページ目、449ページの図1は、いろいろな栄養素が脂質異常症にかかわるという非常にわかりやすい、2015年版のすばらしい図として私もよく活用させていただいています。ここに、例えば飽和脂肪酸はLDLコレステロールが2プラスとか、食事コレステロールがプラスなど書いてあるのですが、唯一この中の糖から高トリグリセライド血症へ行くプラスの矢印に関する説明文が脂質異常症の本文の中に1行も書かれていないということが今回明らかになったということでございます。どうもそれだけ抜けてしまったようなのです。そこを補足する文章をつくれないかということで、一つ目の宿題を頂戴しました。
 その内容をこれから御提案させていただく前に1点気になりましたのが、ここの図1で炭水化物が水溶性食物繊維と糖となっているのですけれども、実はこの「糖」という言葉も本文の中には出ていなくて、大体が「糖質」になっているのです。それを見ていただきますのが、同じく資料3の0304、炭水化物の項の154ページに表1「主な炭水化物の分類」とございますが、表の一番右側に炭水化物は「糖質」「食物繊維」と書いてあって、それ以外に総論とか、資料2などでも「糖質」「食物繊維」となっています。ですので、まず先ほどの図1のところは「糖」でよいのか、「糖質」にすべきなのかということをもう一回再考する必要があるのかなと思いました。
 そして、再び3-15、脂質異常症のところに戻っていただきますが、455ページというところまでお進み下さい。ここまでコレステロールとか飽和脂肪とかそういうものが与える影響が書かれていて、455ページに「高トリグリセライド血症と栄養素摂取との関連」と書いてありまして、そして「炭水化物、脂質」。炭水化物を脂質に置きかえると中性脂肪が下がるよということがずっと書いてあるわけです。ただ、糖に関しては一切書かれていません。
 そこで、456ページの2行目、すなわち「炭素数別に検討したメタ・アナリシスでも云々影響しないと報告されている(図4)23)。」の後に、ここに引用できる文献にどのようなものがあるかと考えましたときに、日本動脈硬化学会の2017年版のガイドラインの69ページ、それから日本動脈硬化学会2012年版のガイドラインの58ページに書いてある内容を少し改変して御提案します。すなわち「図4。」の後に「一方、果糖など、あるいは果糖に代表される糖質の過剰摂取は血清トリグリセライドの上昇をもたらすことが報告されている」という表現にすれば、ガイドラインに記載されている内容と合致しますので、一応これを今、ご提案申し上げて、また御検討いただければと思う次第です。これが1つ、高中性脂肪血症と糖の関係になります。
 もう一点ございまして、同じ3-15、脂質異常症の453ページのところです。食事性コレステロールが血中のコレステロールにどう影響を与えるかという部分でございます。これは御存じの先生も多いかと思うのですが、先週、今週Yahoo!ニュースなどでも話題になりました。食事のコレステロールあるいは、卵を食べる量がふえると、心血管イベントや総死亡がふえるという論文がまさに3月19日号のJAMA(Journal of the American Medical Association)に発表になりました。その対象は日本人ではなく、海外の研究ですし、今回の数値などに一切影響を与えるものではないと考えております。しかし引用の必要性について一度は考慮すべきインパクトの大きい論文であろうと思います。ですので、その引用内容だけ追記するのはどうだろうかというふうに事務局の方ともお話し合いをした次第です。
 例えば、453ページ「食事中コレステロール」、それから454ページの9行目「LDLコレステロール低下効果が期待できるとしている。」の後に次のような文章を付記することを宿題の回答として御提案申し上げます。「なお、米国における6つの前向きコホート2万9615名を対象とした解析から、食事コレステロールや卵の摂取量の増加は、用量依存的に心血管病の発症や総死亡のリスクを上昇させることが示されている」という文章。これは後ほど議事録で御確認いただければと思いますが、この文章を加えると、今回の内容を大きく変えることなく引用して、その事実を述べられるのではないかと思う次第でございます。
 以上が二つ目の宿題としていただいたことへの御回答で、佐々木先生を初め、また御検討いただければと存じます。
 以上でございます。
○伊藤座長 ありがとうございます。
 先ほどの449ページの図1の「糖」を、先生の御意見では「糖質」にしたほうがいいということですか。
○横手構成員 栄養の先生方がたくさんいらっしゃいますので御意見をお聞きしたいと思います。「糖」という言葉はここにしか出てこずにあとは「糖類」「糖質」になっているようです。いかがでしょうか。
○伊藤座長 先生、どうぞ。
○佐々木(敏)構成員 横手先生のおっしゃるとおりでございます。炭水化物を担当した者としまして、横手先生が今、示してくださったように、炭水化物のほうで用語の整理を表でしておりまして、そこで「糖質」と記述をさせていただきました。
 「糖」と書かれているのは、2015年版で「糖」という記述があり、それがそのまま残ってしまったものだと考えます。これらの用語整理につきましては、この会議の後で全ての文章をチェックいたします。その際に、この後までのお願い事で恐縮ですが、そのような文言の不統一等を見つけられましたら、ぜひ御一報いただきたいということでございます。
 ありがとうございました。
○伊藤座長 ありがとうございました。
 先ほどの2つの文章につきましても極めて妥当であると思うのですが、これもぜひもう一度関係する、また文章の中で検討していただいて。確かに非常に大きなインパクトのあるジャーナルに出たばかりですので。
○葛谷構成員 1個いいですか。
○伊藤座長 はい。
○葛谷構成員 先生の御説明でいいと思うのですけれども、先ほど紹介いただいた論文で心血管イベントや死亡率が上がるというのはいいのですが、血中のLDLコレステロールも摂取量に比例して上がるというデータもあるのでしょうか。
○横手構成員 食事中のコレステロール量と卵の摂取量の分布が示されています。
○葛谷構成員 せっかくだったら、LDLコレステロールのレベルも言及されたほうがいいのかなと思いまして。
○横手構成員 コレステロールは摂取量が269など数値も記載はされていますけれども、摂取したときのアウトカムがメインの論文だと理解しております。
○葛谷構成員 わかりました。そしたら、ここに書きにくいでしょうかね。
○横手構成員 はい。本文もさることながら、アブストラクトあるいはメッセージという点でも今のような書きぶりになっていましたので、それ以上踏み込まないほうがいいのかなとは思いました。
○葛谷構成員 わかりました。
○伊藤座長 先生、どうぞ。
○佐々木(敏)構成員 注意すべきところが1点あると思います。その論文は引用したいと私も思っているのですが、注意を一応しておきたいのは、過去3年間ぐらいに出た卵を中心として、循環器疾患との発症並びに死亡を観察したコホート研究が5つぐらいございまして、その中で先ほどのJAMAだけが有意な正の関連を示しております。それ以外は示しておりません。例えば中国で50万人のコホート研究が昨年パブリッシュされているのですが、これでは全く関連がなかった。これはHeartです。それから、スウェーデンでもかなり大規模なコホートが2つございまして、これは4年前に出ておりますが、これも関連がなし。それ以外に関しても関連がない。
 卵は、循環器ではないのですけれども、糖尿病との発症を見ると、不思議なことにアメリカのコホートだけが卵と有意な正の相関を示し、それ以外のヨーロッパやアジアの研究は、卵と糖尿病発症は全く関連を示してございません。そのために、今、世界中でたくさんの論文をどうまとめてガイドラインに落とし込むかというところでかなりの議論がされているというのが、私どもが調べた感じでした。したがって、ある一つの論文を丁寧に記述するのではなくて、横手先生がおっしゃったように、そういう論文があるという短い記述にとどめておかれるのがよろしいかなと感じております。
○横手構成員 全く同感でございます。
 先ほどの糖質と中性脂肪のところは欠けているので、入れなければいけないと思うのですけれども、これはあくまで一編の論文で、今後これがどういう位置づけになるかというのはまだわからないということです。これまで佐々木先生を初めとしたワーキンググループの先生方が論文を選んでこられた基準や流れがございますので、それに合わせた形で触れるか触れないかという点も含めて御検討いただくのが望ましいと考えます。最後の検討会ということで、慌てて御提案させていただいた次第です。
○伊藤座長 ありがとうございます。
 果糖のところもよろしいですね。その文章の内容も含めて検討いただきまして。
○横手構成員 実際、いろいろなガイドラインで果糖が果糖だけと強調してよいのか分かりませんでしたので、あくまで私が所属している動脈硬化学会のガイドラインに準じた形で記載しました。その点の妥当な記述につきましても先生方にぜひ御検討いただきたいと思います。お願いいたします。
○佐々木(敏)構成員 わかりました。宿題として持ち帰ります。
○伊藤座長 ありがとうございます。
 それでは、横山先生、よろしくお願いします。
○横山構成員 国立保健医療科学院の横山です。
 一言ということで、私は、食事摂取基準では疫学統計理論と自治体の方の人材育成という立場から参加させていただいているかと思います。ですから、今後の普及啓発のところを特にどうやっていくのかなということで、これからが重要な仕事なのかなと考えております。前回の主な御意見で、最後のところに食事摂取基準と国民健康・栄養調査の関係を示してはどうかということが書かれていまして、今後の普及に関する啓発資料をつくる中で対応というお話だったかと思いますが、これをどうやって示したらいいのかなということが悩みどころかなと考えております。
 国民健康・栄養調査だけでなくて、都道府県の健康栄養調査においても、多くの場合は一日調査で、一部の先進的な県では複数日調査を行って、習慣的な摂取量の推定を行っているのですが、ただ、現行の多くの県の一日調査では、住民全体の評価という意味ではなかなか食事摂取基準が使いにくいという現状があるかなと思いますので、今後地域住民全体の評価に使っていくためにどうしたらいいかということも含めて、研究及び人材育成の両面で考えていきたいと思っております。
 どうもありがとうございました。
○伊藤座長 ありがとうございました。
 本当にすばらしい先生方のお力添えでこれができたと思います。特にワーキンググループの先生方、本当に。佐々木先生が一番初めのこの会のときに、これからハードワークが待っていますということをおっしゃったのを今でもクリアに覚えていますけれども、本当にたくさんの仕事をしていただきまして、ありがとうございました。また、この検討委員会では大所高所から全体のことをきちんと議論いただきまして、すばらしいものができたのではないかなと思います。
 きょう先生方に御意見いただきました例えば教育の現場とか他の分野に広げるということは最も大切なことで、たくさんの人に理解していただき、利用していただくということは非常に重要ではないかと思います。特に循環器病対策基本法ができまして、あれは最終的にはいろんな市町村とかにもアクションを求める形になってくるときに、恐らく食事とか生活習慣というのはとても重要なファクターになるので、ますますこの報告書が重要性を増していくのではないかな、これを活用していただかなければならないという形になるのではないかなと思います。本当にいろいろありがとうございました。
 もう一つ、この委員会で評価という話がありましたね。とっている栄養素がどういうふうに評価できるか。これは科学の分野に行かなければいけなくて、測定とかそういうところで先生方がかかわっている、知っている測定系とか、科学系の人に、私たちはこういうものを知りたいのだけれども何とか発明してよとか。僕も時々言っているのですが、今度は科学のレベルでこれを客観的に評価できるようになってくるといいかなと思っておりました。いずれにしても本当にありがとうございました。
 最後に、今後のスケジュールについてお願いいたします。
○清野栄養指導室長 お手元に資料4を御準備いただければと思います。今後のスケジュールでございますが、本日いただきました御意見と各学会からの御意見を座長と事務局で取りまとめまして、今月末を目途に報告書(案)の公表を予定しております。また、この報告書(案)をもとにいたしまして、基準、数字の部分でございますが、2019年度早期にパブリックコメントを行いまして、大臣告示を行いたいと思います。お手元にこういった官報があると思いますが、こういった形で告示を行います。それとあわせまして、報告書の確定版を公表して、2020年度から使用開始となります。
 以上でございます
○伊藤座長 ありがとうございました。
 きょうは最後ということでございまして、武井課長さんから御挨拶をお願いしたいと思います。
○武井健康課長 本日は、年度末の大変お忙しいところ、このように多くの先生方に御参加いただきましてありがとうございます。今回で最終回ということですので、一言お礼の御挨拶をさせていただきたいと思います。
 先生方におかれましては、約1年間にわたりまして2020年度版の食事摂取基準の策定に御尽力、御協力いただきまして、まことにありがとうございます。今回のこの報告書は、今まで以上に質の高い報告書になったと思います。心よりお礼申し上げます。
 さて、内容についてですが、今回の改定で大きなポイントとなるのが幾つかあると思うのですけれども、1つは生活習慣病の発症予防と重症化予防に加え、新たなフレイル予防についてもしっかり御記載いただいたということで、栄養分野に精通している先生方とともに、疾患ガイドラインの策定にかかわられた先生方と、さまざまな領域の先生方に活発に御議論いただいて新たな報告書ができ上がったというところかと思います。
 特にきょうも議論がありましたワーキンググループの先生方には、文献レビューなど、短時間の中で活発に御議論、おまとめいただいたというのは、本当にありがたいと思っております。
 その成果として、生活習慣病の発症予防の観点からナトリウムの目標量を引き下げたということがあると思いますし、重症化予防に関しては、ナトリウムやコレステロールの量を新たに設定したこと。また、フレイル予防の観点から高齢者のたんぱく質の目標量の見直しを行ったことは、大きな改定のポイントであったと考えております。
 今後生活習慣病の発症予防とか重症化予防、フレイル予防に関しまして今回のこの報告書をぜひ御活用いただきたいと考えております。そのためには、引き続きで申しわけございませんけれども、構成員の先生方におかれましては、この報告書が多くの管理栄養士、医師等の医療従事者に正しく理解されて、その活用が進むように引き続き御協力いただければと考えております。
 簡単ではございますが、最後、私の挨拶にかえさせていただきます。本日は大変ありがとうございました。
○伊藤座長 ありがとうございました。
 1年間本当にありがとうございました。これで閉会としたいと思います。本当にありがとうございました。

 

(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 第6回「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会議事録(2019年3月22日)

ページの先頭へ戻る