ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 第1回平成30年度管理栄養士国家試験出題基準(ガイドライン)改定検討会 議事録
2018年9月20日 第1回平成30年度管理栄養士国家試験出題基準(ガイドライン)改定検討会 議事録
健康局健康課栄養指導室
○日時
平成30年9月20日(木)15:30~17:30
○場所
厚生労働省 省議室(9階)
○出席者
構成員<五十音順・敬称略>
赤松 利恵 (お茶の水女子大学 教授) |
石田 裕美 (女子栄養大学 教授) |
伊藤 裕才 (共立女子大学 教授) |
大口 健司 (椙山女学園大学 准教授) |
置村 康彦 (神戸女子大学 教授) |
加藤 昌彦 (椙山女学園大学 教授) |
神田 知子 (同志社女子大学 教授) |
合田 敏尚 (静岡県立大学 教授) |
曽根 智史 (国立保健医療科学院 次長) |
髙地 リベカ (奈良女子大学 教授) |
武見 ゆかり (女子栄養大学 教授) |
田中 和美 (神奈川県立保健福祉大学 教授) |
新田 陽子(岡山県立大学 准教授) |
羽生 大記(大阪市立大学 教授) |
弘津 公子(山口県立大学 教授) |
藤岡 由夫(神戸学院大学 教授) |
松本 義信(川崎医療福祉大学 准教授) |
吉池 信男(青森県立保健大学 教授) |
○議題
(1)出題基準の見直し方針について
(2)その他
○議事
○田中栄養管理係長 それでは、開会に先立ちまして、配付資料の確認をさせていただきます。
まずは机上に座席表、議事次第、資料1から4、参考資料1として第30回から32回の問題冊子をお手元左側に、その下に参考資料2として現行の管理栄養士国家試験の出題基準検討会の報告書、その下に机上配付資料として構成員の先生方を科目ごとにした一覧、その下に机上配付資料として第30回から32回の出題基準に基づく出題状況の資料をお配りしております。
以上が資料となりますが、不足がございましたら、お申し出ください。
○清野栄養指導室長 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第1回「管理栄養士国家試験出題基準(ガイドライン)改定検討会」を開催いたします。
構成員の皆様方には、御多忙のところ、御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
開会に当たり、健康局長の宇都宮から挨拶をさせていただきます。
○宇都宮健康局長 皆様、こんにちは。
7月31日付で健康局長に着任いたしました宇都宮と申します。よろしくお願いいたします。
本日は大変御多忙のところをお集まりいただきまして、ありがとうございます。また、日頃より栄養行政の推進に御協力をいただいておりますことを、この場をお借りしまして、厚く御礼申し上げます。
さて、御存じのように管理栄養士の国家試験、2万人ぐらい受験して1万人ぐらい合格ということでございますけれども、現在、栄養施策の推進として「日本人の食事摂取基準」の改定に向けて、新たに高齢者のフレイル予防の観点も含めて検討を進めているところでございます。また、今年は診療報酬、介護報酬の同時改定がございましたけれども、その中で多職種連携による重点的な栄養管理、あるいは他施設との切れ目のない栄養連携について評価がされているということでございます。そのほか、食環境整備あるいは食育推進、管理栄養士の役割というものは非常に重要になってきているわけでございます。
実は、私はこの7月まで6階のフロアで食品安全のほうを担当してございました。今年の通常国会で食品衛生法が改正されたのですけれども、その柱の一つに、いわゆる「健康食品」についての対応がございまして、「健康食品」という名前であっても先生方御存じのように、中には健康被害が生じている事例などもございます。しかし、一般の方はなかなかそういうことが分かりにくいということで、栄養指導するに当たっても、そういったサプリメント、あるいはいわゆる「健康食品」というものを摂取しているかどうかもチェックしながらするということも非常に重要ではないかと。今、診療を受けるときには、医療機関ではそういったものを摂取していますかみたいな質問をすることもございます。薬剤との相乗効果、いい面、悪い面、そういうものも含めて非常に重要となっておりまして、そういう意味からも、管理栄養士さん、新たな役割もいろいろ生じていると思っております。
そういったことも含めて、今日はぜひ忌たんのない御意見を交わしていただいて、管理栄養士の質の確保に向けて、この基準、ガイドラインの改定を行っていただければと思います。是非よろしくお願いいたします。
○清野栄養指導室長 健康局長につきましては、業務の関係で、ここで退席をさせていただきます。
それでは、本日御出席の先生方を御紹介させていただきます。
椙山女学園大学教授、加藤昌彦構成員。
国立保健医療科学院次長、曽根智史構成員。
青森県立保健大学教授、吉池信男構成員。
大阪市立大学教授、羽生大記構成員。
神戸学院大学教授、藤岡由夫構成員。
共立女子大学教授、伊藤裕才構成員。
岡山県立大学准教授、新田陽子構成員。
椙山女学園大学准教授、大口健司構成員。
静岡県立大学教授、合田敏尚構成員。
山口県立大学教授、弘津公子構成員。
川崎医療福祉大学准教授、松本義信構成員。松本構成員につきましては、遅れて到着との御連絡をいただいております。
女子栄養大学教授、武見ゆかり構成員。
お茶の水女子大学教授、赤松利恵構成員。
神戸女子大学教授、置村康彦構成員。
神奈川県立保健福祉大学教授、田中和美構成員。
奈良女子大学教授、髙地リベカ構成員。
同志社女子大学教授、神田知子構成員。
女子栄養大学教授、石田裕美構成員。
なお本日、名古屋学芸大学教授の塚原構成員におかれましては、御都合により御欠席です。
引き続き、事務局を紹介させていただきます。
私は、栄養指導室長の清野でございます。よろしくお願いいたします。
健康課長の武井でございます。
栄養指導室長補佐の塩澤でございます。
栄養管理係長の田中でございます。
栄養管理係の井形でございます。
よろしくお願いいたします。
なお、資料1の開催要綱の「3 運営」のとおり、本検討会は原則として公開とさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
また、本検討会の座長につきましては、本来でございましたら先生方から御推薦いただくところですが、事務局としては、現在、管理栄養士国家試験委員の副委員長をお願いしている加藤構成員にお願いいたしたいと思いますが、いかがでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○清野栄養指導室長 では、加藤先生に一言御挨拶をお願いいたします。
○加藤座長 皆さん、こんにちは。椙山女学園大学の加藤でございます。一言御挨拶させていただきます。
今回は大変重い責任のあるお役をいただきまして感謝するとともに、心を引き締めて職務についていきたいと思いますので、よろしくお願いします。
管理栄養士の現状を見てみますと、やっとという言い方は問題かもしれませんが、世の中で管理栄養士というのはこんな仕事をしているのだとようやく分かっていただけるような状況になってきたと思うのですけれども、それと同時に管理栄養士に求められているもののレベルが非常に高くなってきたと思っています。それは知識であったり、人柄であったり、いろいろなことがあるかと思うのですけれども、そういった社会のニーズが高まってきたことに対して、そのニーズに応えられる管理栄養士を私たちが社会に送り出すというのが使命だと考えています。
その使命の第一歩というのが国家試験であり、国家試験の根幹をなしているのがこのガイドラインといった位置づけにあると思いますので、先生方の知識、知恵を結集させて、みんなが納得できる、社会に納得していただけるこのガイドラインというものをまとめていきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○清野栄養指導室長 ありがとうございました。
カメラの撮影はここまでとさせていただきます。
それでは、これ以降の進行につきましては、加藤座長にお願いいたします。
○加藤座長 よろしくお願いします。
それでは、議事を進めていきたいと思いますが、まず、本日は「(1)出題基準の見直し方針について」というところから検討していきたいと思います。
まず、事務局から本検討会の開催目的、検討会の進め方についての説明をよろしくお願いいたします。
○塩澤栄養指導室室長補佐 それでは、説明をさせていただきます。
お手元に資料1と資料2を御用意いただけますでしょうか。
まず初めに資料1、こちらは本検討会の開催要綱でございます。「1 目的」でございますけれども、管理栄養士国家試験出題基準、すなわちガイドラインは、平成14年に大きな見直しが行われております。そして、平成17年度の国家試験から適用されておりまして、その後、おおむね4年に1度改定を行う形で現在に至っております。そして、今般、改定の検討をしていただくということで、本検討会につきましては、厚生労働省の健康局長が開催するものでございます。
次に資料2でございますが、この検討会の進め方の案ということで、1枚紙を御用意してございます。
御覧いただきますと、一番上に第1回、すなわち本日でございますけれども、本日、出題基準の見直しの方針について検討、決定をいただくといったことを目標としております。
そして、今日の御議論も踏まえまして、各構成員の先生方に第2回までの時間で各項目の見直しの案などについてお考えいただいて、それをお寄せいただく。ここには「委員から意見を聴取」と書いておりますけれども、御意見を伺う予定でおります。
そして、それを第2回、11月27日を予定しておりますけれども、このときに具体的な見直し(案)の検討ということで御議論いただくといったことを考えております。
そして、その際の御議論も踏まえまして、最後、第3回として、1月31日を予定しておりますけれども、ここで通例に従いまして、報告書という形でガイドラインを取りまとめていきたいと考えております。また、注書きにも書かせていただいておりますが、取りまとめに当たりましては、今後こういう点について見直したほうがいいという課題なども適宜盛り込めたらと考えております。
以上が本検討会の進め方の案でございます。
以上です。
○加藤座長 ありがとうございます。
ただいまの進め方について、何か御質問、御意見等はありませんでしょうか。よろしいでしょうか。
そうしますと、特に資料2に進め方とあるのですが、これに従って、この会を進めていきたいと思います。
続きまして、資料3について、事務局からお願いします。
○田中栄養管理係長 それでは、資料3「管理栄養士・栄養士を取り巻く状況と管理栄養士国家試験出題基準(ガイドライン)改定の歩み」について説明をさせていただきます。
まず、こちらの資料に関しまして、位置付を説明します。管理栄養士国家試験のガイドラインは4年に1回の見直しており、前回改定からの状況と、今後の4年の動きを踏まえた短期のスパンでの見直しを行っているところです。一方で、栄養、食生活を取り巻く状況がどのように移り変わってきたか、また、その中で管理栄養士がどのように位置づけられてきたかといった点を広い視野で振り返ってみることも必要と考えまして、このような資料を準備いたしました。
まず初めに、この下の部分にございます我が国の栄養政策がどのように変遷してきたかについてですが、戦後の栄養、食生活の改善から、昭和が終わって平成が始まるころまでは、健康増進、健康づくりといった対策にシフトをしてまいりました。そのような中で、国民の健康課題として生活習慣病の予防、重症化予防といったことが上がってまいりました。このような状況を踏まえて、平成12年に栄養士法の改正が行われております。この改正については後ほど説明をさせていただきますが、この中で集団へのアプローチから個々人へのケアに重点が置かれるようになってまいりました。生活習慣病の発症予防、重症化予防を視野に入れた政策を進めてきたところです。
さらに、今後2025年の団塊の世代が75歳以上になる時期や、2042年の高齢者人口がピークになる時期を見据えまして、高齢者の低栄養やフレイル予防を視野に入れた政策を進めていくことになってまいります。こういった状況も踏まえて、食事摂取基準においても生活習慣病の予防、重症化予防を視野に入れた改定を行い今後はフレイル予防も視野に入れた改定を行っていくことになってまいります。
このように社会状況が大きく変化していく中で、管理栄養士の業務が明確化されたのが、先ほど申し上げましたとおり、平成12年の栄養士法の改正となります。国民の健康課題が生活習慣病の発症や重症化予防となり、、より個々人の状況に応じた管理栄養士を育成することを趣旨といたしまして、下のほうに管理栄養士の定義がございますが、傷病者に対するといった文言ですとか、個人の状況に応じた高度なといった文言が管理栄養士の業としてこのときに定義づけられました。
右側の制度の概要、定義については、御参考として御覧いただければと思います。
続きまして、高齢化の推移と将来推計についてですが、こちらは現時点の状況から、これからの動きについてのお話となります。先生方は御承知のとおりとなりますが、団塊の世代が75歳以上になる2025年、高齢者人口がピークとなる2042年といった超高齢社会を迎えている状況でございまして、この状況は世界的に見ても例を見ないスピードとなっております。
このように高齢化が加速する中で、平均寿命と健康寿命の差を縮めることが重要で、日常生活に制限のない期間をいかに延ばすかが重要になってまいります。平均寿命と健康寿命の差につきましては、男性では約9年、女性では約12年となっておりまして、この差を縮めていくために、健康増進、健康づくりといったことが重要になってまいります。
このような状況を踏まえて、高齢者へのアプローチに関しまして図示したものが下の「地域包括ケアシステムの構築について」というところになります。地域包括ケアシステムにつきましては、住まいを軸として医療・介護・予防・生活支援を包括的に確保する体制を構築していくといったものになります。このように、地域の状況を踏まえてあるべき姿を考えていく必要がありますが、そこには個々人の生活の視点を踏まえた対応が重要となってまいります。そのような中で、保健医療職種として管理栄養士の果たす役割は非常に大きくなってくるものと考えております。さらに、地域を俯瞰して地域の課題解決をしていくためには、地域診断といったことも重要になってくると考えております。
こちらの資料に関しましては、最近の政府の動きとなってまいりますが、このような高齢化社会に対する対策の動きを加速させる方策といたしまして「経済財政運営と改革の基本方針」、骨太の方針と言われておりますが、こちらの重要課題といたしましては、介護予防やフレイル対策といったものが位置づけられております。現在、栄養指導室でも検討を進めている食事摂取基準の改定においても、その活用を図ることとしてこの骨太の方針の中で示されております。さらに、こういった動きを海外へ展開していくものといたしまして、2020年の栄養サミットに向け、食事摂取基準の策定を初め、健康に関する政策を検討することについて閣議決定がなされている状況でございます。
このように政府の方針においても栄養に関して光が当たってきている中で、続きましては、共助としての仕組みである診療報酬、介護報酬といった制度の中で、政策誘導としてどのような手当てがなされてきたかについてお話をさせていただきます。
診療報酬につきましては、従来、栄養指導や食事療養といった内容が重点的に評価されてきておりましたが、近年では多職種協働や重点的な栄養ケアといった内容が評価されてきているところでございます。
上段に近年の改定の状況がございますが、特に平成30年度の改定におきましては、地域包括ケアシステムを構築するための日常生活の視点を踏まえた個々人に寄り添ったきめ細かな栄養管理をする関係機関等との栄養連携を推進するための内容となってきているところでございます。
下の段には、介護報酬における栄養関連の加算等についての説明がございますが、介護報酬に関しましても診療報酬と同様の流れとなっておりまして、住みなれた場での受け入れや、どこに住んでいても必要なサービスを切れ目なく受けることができる体制の整備、低栄養状態の入所者に対する栄養管理ですとか、医療機関と介護施設の連携を強化するなどといった内容の充実を図ってきているところでございます。
次に管理栄養士関係の制度改正と国家試験出題基準のガイドラインの改定がどのように行われてきたかという資料となりますが、先ほど来、お話ししてまいりましたとおり、現状といたしましては、個々人の生活の視点を踏まえたきめ細かなアプローチや、施設間の連携や多職種協働がますます重要となってくる中で、管理栄養士は今後、論理的な提案等が今後求められてくることになってくると考えております。
平成12年の栄養士法の一部改正につきましては、先ほどもお話を申し上げましたが、平成10年の21世紀の管理栄養士あり方検討会の報告書の内容を受けて、平成12年に法改正が行われまして、この中で具体的には個別のケアが重要であることや、傷病者への対応のことが業務として明確化され、この内容を受けて管理栄養士養成施設のカリキュラムの全面改正も行われたところです。
国家試験のガイドラインにつきましても、管理栄養士として必要な知識、技術について評価できるよう、平成14年に見直しを行いまして、以降、定期的に見直しを行っているところでございます。また、平成29年度から平成30年度におけては、栄養学教育のモデル・コア・カリキュラムの検討を日本栄養改善学会に委託して進めているところでございます。
続きまして、下の段、管理栄養士国家試験出題基準(ガイドライン)改定における見直しのポイントとして、近年の見直しの状況について説明をさせていただきます。前回平成26年の改定におきましては、こちらの表の一番下の部分になりますが、大きく3点見直しを行っておりまして、1点目が前回改定以降に改正・公表された法・制度などの変化に対応できる内容としたこと、応用力試験については出題数を10問から20問に変更するなど充実を図ったところでございます。さらに、応用力試験など、栄養管理を実践する上で必要な思考・判断力等に対応する能力を評価するものとして、最適解型の問題、最も適切なものを1つ選ぶ問題を導入することといたしました。
次の参考に関しましては、近年の管理栄養士の養成の状況として、国家試験の実施、合格率の状況等をお示ししておりますので、参考として御覧いただければと存じます。
以上となります。
○加藤座長 ありがとうございました。
管理栄養士・栄養士を取り巻く状況ということですが、日本の現状ということで、随分大きく変わってきて、少子高齢化、超高齢社会、医療費も余りないといった中で、管理栄養士の役割も少しずつ変わってきているのだということ、そういったことを踏まえて、国家試験のガイドラインの中にこういった状況に対応できる問題を落とし込んでいただくということになってくると思います。
先生方、ただいまの説明につきまして、何か御質問等はありませんでしょうか。よろしいでしょうか。
そうしますと、今までは総論的な内容だったと思うのですけれども、引き続き、今度は事務局から資料4、各論的な話になってくると思いますが、説明をお願いいたします。
○塩澤栄養指導室室長補佐 それでは、説明をさせていただきます。資料4を御覧いただけますでしょうか。
こちらの資料は、表題にもございますとおり「管理栄養士国家試験出題基準(ガイドライン)改定に当たっての主な論点(案)」ということでございまして、本日の中心の資料になるものでございます。
では、順に御説明をさしあげます。まず「1 改定に当たっての基本的な考え方」ということで、数行まとめさせていただきました。今回の改定に当たっては、管理栄養士の今後の方向性(期待される役割)、こちらを踏まえた上で2点挙げておりますけれども、まず(1)として、主に科目横断的な事項、これは例えば出題数の配分をどうするかといった問題もあろうかと思います。こういった横断的な事項を中心とした見直しを行ってはどうかという案でございます。
これをメインとしつつ、(2)科目別の個々の出題基準、こちらについては前回改定以降に改正・公表された法・制度等を踏まえた見直しを行うといった感じで検討してはどうかという案を書かせていただきました。
「2 改定のポイント」でございます。まず(1)管理栄養士の今後の方向性に関する基本認識ということでございます。あらましは先ほどの資料3で図示化して、先生方にお示しさせていただきましたが、以上を踏まえると、こういった基本認識になるのではないかというものを文字化したものがこちらになります。
具体的にマル1でございます。管理栄養士の主な業務の一つとしては、傷病者に対する栄養の指導というものがございますけれども、今後、地域包括ケアシステムの構築・推進に向けて、個々人の生活の視点を踏まえたきめ細かな対応が一層重要になるのではないかと思われます。
また、マル2でございますけれども、人口構成がいろいろ変わってくるということで、働き手の減少がまずございます。また、医療・介護、こちらの高度化といったものもございます。こうした中、効果的・効率的なアプローチとしてチーム医療、また介護、これがますます進むと推測されますが、そうした中で1つ目、複雑困難な個別案件、そして、地域の栄養課題、こういったものに対して、栄養の専門職としてエビデンス(データ)や論理的思考をもとに最適解としての栄養管理をいかに打ち出していけるか、こういったことが問われるのではないか。また、そういったものを他(多)職種との連携の中でいかに論理的に栄養の専門職として提案していけるかといったこと、こういったことが一層問われてくるのではないかということを書かせていただいております。
また、今度は(2)科目横断的な事項ということで書かせていただいております。先ほど触れた(1)の観点から、今回の改定では、生活の視点も踏まえた栄養ケア・マネジメント、また、地域診断、こういったものをもとに論理的思考を通じて、最適解としての栄養管理のあり方を問う問題を増やしてはどうかと考えておりまして、具体的にはこうしたスキルを総合的に問うものとして応用力試験を増やすこととしてはどうかということ。また、全体の出題数でございますけれども、受験生に過度な負担をかけないという視点も重要と思いますので、現行どおりの200問とした上で、応用力試験に組み込むことが可能な科目については出題数を見直してはどうかと考えております。
2ページ目、先ほどのものは科目横断的な事項でございましたけれども、(3)といたしまして、科目別の事項ということで簡単に書かせていただいております。科目別の事項は、出題の狙いに関して、国家試験で問うべき主要なものとされておりまして、また、その狙いに沿って内容(項目)も既にかなり精査されている状況でございます。
こうしたことから、今回の改定では、まず今までの改定と同じように関連法規や制度の改正、には対応していくということとともに、前回改定後の管理栄養士国家試験の出題状況も踏まえた項目の見直し、調整を行うこととしてはどうかと考えております。
主な論点(案)は以上でございます。
○加藤座長 ありがとうございます。
なかなか文章で見ると理解しにくいかなと思うのですけれども、簡単に言うと、世の中は変わってきていますので、これまでのように絶対解というか、正しい、間違っているという暗記問題だけではクリアできない問題がいろいろできてきているのだということで、論理的思考ができるということ、それと、きちんとそれをプレゼンテーションできる能力をこれから養っていく必要があるだろうと。そのための問題を考えていく上で、どういった問題、出題数の配分をするかということ、ここがメインなのだろうと思います。
順番に行きたいと思います。「1 改定に当たっての基本的な考え方」の(1)と(2)があるのですけれども、これに関してまず何か御質問、御意見等はありませんでしょうか。
恐らく(1)は出題数の配分等というのもあると思うのですけれども、後のほうで出てきたと思うのですが、基本的に応用力問題を少し増やしてはどうですかという考え方であって、大幅にほかのいろいろな科目を入れかえるという話には実際にはならないのだろうと思います。ただ、後ろのほうでさらに出てきたように、もともと管理栄養士の国家試験が150問だったのですね。それを200問に変えまして、さらに応用力を増やすからといって問題数をどんどん増やすというのは問題かな、学生の負担が大きいかなということで、200問というところは維持したいといった提案でございます。何かございますか。よろしいでしょうか。
では、「1 改定に当たっての基本的な考え方」を踏襲していただきまして、「2 改定のポイント」、今、ほとんど同じようにお話しさせていただいたのですけれども、こういったチーム医療などといった中で、先ほどもお話ししたように、論理的な考え方ができて、それをきちんと他職種にも説明ができる、プレゼンができるという能力を養うためにはどのような問題が必要なのか、どのような問題が適切なのかを先生方に考えていただこうということが書いてあると思うのですが、何か御意見はありませんでしょうか。
お願いします。
○石田構成員 1つ前のことにも戻ってしまいますが、論理的な思考等を見ていくときに、設定条件のある問題、最適解問題なども増やすということで、それを読み解く力を試すことになる、そういうことが必要だと思います。論理的思考という意味では、問題が何を意図しているかをきちんと読み取れるかということになったときに、それなりのボリュームのリード文ができると、それを読み解くためにかかる時間をどう考えて200問とするかが一つ課題かと思いますが、いかがでしょうか。
○加藤座長 これは塩澤先生、何か案があるのですか。
○塩澤栄養指導室室長補佐 先生がおっしゃるように、あらゆる情報から大事な部分を読み解いて、それを論理的に考えて最適解を探すプロセスは確かに大事だともちろん思います。一方で、これは管理栄養士国家試験というものでございますので、過度の長文など、それはさすがに管理栄養士の国家試験としては適さないかもしれないと思っています。ファジーな回答で申しわけないのですけれども、その辺はバランスを見ていただいて、適切に条件設定をしていただければと思っているのです。
ただ、論理的に考えるといったところをきちんと応用力試験などで問うこと、ここを充実させていくことは重要かと思っております。
○加藤座長 今の学生を見ていると、問題文が長いだけで初めから捨ててしまうみたいな、読みたくないという学生が確かに多いような気がしますので、先生の言われるように、時間内にできるかということですが、例えば時間をもうちょっとだけ延長するという話はないのですね。それも選択肢としてはあるかもしれないですが、これは私の個人の意見だけれども、事実上、応用力問題が10問増えたときに実際に時間がどれぐらい足りなくなるかということを考えると、余り関係ないかもしれないという気もするのですが、そうでもないですかね。そこら辺は考えていく必要があるのかもしれないと思いますが。
○石田構成員 科目横断的な問題を増やしていく中では、ある程度の思考を導き出すようなリード文にならないといけないわけですね。それは当然、長文ではいけないとは思います。適切な長さで作る必要があると思いますが、応用力系が増えるということは、今までよりも1問当たりの時間はかかると思います。
○加藤座長 武見先生、お願いします。
○武見構成員 今、応用力を担当している立場から言うと、多少時間は増えるかもしれないとは思うのですけれども、応用力は一問一問がばらばらではなくて、一つの状況設定の中で2問、3問つながっていく。そうすると、最初の状況設定を読む段階は、普通の1問からすると時間がかかってしまうかもしれないけれども、そこをちゃんと読み解けば意外と後は早かったりするような問題もあるのです。
だから、応用力の一つの状況設定で3問あったら、一概に全く普通のばらばらの1問と同じように掛ける3になるかというと、そこはまたちょっと違うので、多少は延びるとは思うけれども、一つ一つが全てそれだけ長くなるということでもないように、今は考えてやっております。逆に最初の状況設定で、そこのストーリーというか、つながりをいかにちゃんと全体像を把握できるか。その力を問えるような応用力問題になると一番いいかなと思います。
○加藤座長 お願いします。
○吉池構成員 主に応用力問題についてですが、前回10問から20問という御説明でしたが、それまでは複数の科目を合わせた問題ということで、今回のような形としては、実際には20問新設という意味合いが強いのかと思います。そうしたときに、出口のスクリーニングとしての出題という話と、こういう問題を出していけば教育そのものも変わっていくのだろうという意図もあったと思います。3回このような形で試験をしてみてのレビューというか、何らかの振り返りがあった上での議論ができるとよいと思うのですが、そういう場は今後どのような形になるのでしょうか。
○加藤座長 先生、これは応用力問題が増えたということに対してという意味ですか。
○吉池構成員 そうですね。3回試験をして、当初の意図どおりにうまい方向に進んでいるのか、それとも、そうではないのかということを多少振り返らないと、それをもっと多くするとかという話はできにくいように思うのです。
例えば、今、おられる先生方にお聞きするのも一つかと思うのです。ああいう問題が出されるようになって、教育そのものが変わったとか、変わりつつあるとか、そういうところはいかがなものでしょうか。
○加藤座長 どなたか御意見はありますか。
先ほど武見先生がお話しされたように、これまでの応用力問題というのは本当に独立していたのですね。3問あるけれども、3問ばらばらの問題で、しかもほとんど絶対解という問題だったのですが、昨年、20問のうちの17問は最適解という非常につながりのある問題になってきているということで、これは本当に応用力問題を作っていただいている先生方の御尽力だと思うのです。
学生にとっては、かなり考える内容の問題になってきているのだと、今、国家試験に直接関わっているのですが、そのような印象を非常に受けています。これは教育でどこまでどうなったかというところの判断は、今のところは実際には難しいと思うのですけれども、少なくとも学生にとっては思考力というか、考えなければできない問題になってきているのだなと。ただただ寄せ集めの問題が3問あるだけではないのだという印象は受けているので、今、提案させていただいているみたいに、応用力問題というのは学生がこれから現場に出てというか、社会に出て働いていく上での思考力とかということを考えると、必要な問題なのだろうと。問題を解くための時間がどうなのかというのは、余り変わらないのではないかという武見先生の意見もありますし、石田先生の意見もありますし、考えていく必要はあるのかもしれません。
お願いします。
○髙地構成員 応用力試験の正答率が、ほかの分野に比べて高いとか低いとかということはあるのでしょうか。
○加藤座長 よろしいですか。
○田中栄養管理係長 何をもってほかの科目と比較するかというのも難しいところではあるのですが、応用力試験が突出してとか、そのように説明するのはまだ難しいかなと事務局としては考えております。
○加藤座長 科目ごとに違っていましたけれども、去年のだけ見ると、比較的同じぐらいでしたね。7割かそこら辺ぐらいで、ほかの科目も大体そのぐらいというところであったのではないかと思うのですが、武見先生、そうではなかったですか。
○武見構成員 すみません。そこの数字までは余り覚えていないのですが、特段応用力がすごく悪いとか、そういうことはなかったような記憶なのです。
○石田構成員 そんなに突出してできないということはなかったとは思います。
○加藤座長 ほかの先生方、自分の大学でいろいろ教えておられて、この応用力問題に対しては学生からいろいろ御批判もあるでしょうし、賛同意見もあるのかもしれませんけれども、どのような印象なのかを一言、二言お答えいただけるとありがたいのですが、どうでしょうか。
羽生先生、いかがですか。
○羽生構成員 特にうちの学生が応用力試験に関して何かコメントするというのは余り聞いたことはないですけれども、こういう形式は国家試験の中で必要だと思いますし、医師国試もこういうタイプの問題は、一定はふえつつあるように思います。記述をしないので、4択、5択の中で思考力を問うという意味でいうと大切な問題かと思っています。
実際上、私どもの大学院の入試も、修士課程の入試もこの応用力の形で出す。それは自由記述ですけれども、そのようにしていますので、方向としてはこのような問題が国家試験にきちんと入っていくのが望ましいのかなと思っています。
○加藤座長 ありがとうございます。
置村先生、臨床などは結構応用力のほうにたくさん入っていると思うのですが、先生が見られて思われることはありますか。
○置村構成員 学生からはそういう話を聞いたことはありません。同じところに勤めております教員が言いますのには、応用力試験が全体の中では難しいというよりも、ほかの科目が易しくなってきたねという発言は聞かれます。
○加藤座長 私は応用力が難しいというより、学生が長い文章というか、長くないのですけれども、文章を読むのが嫌だという印象を実は受けていて、ほかは本当に一問一答のある意味わかりやすい問題ですね。
今の議論をしていますと、応用力問題そのものが出てくることに関しての御異論は余りない感じなのですけれども、時間と言われると苦しいですけれどもね。例えば応用力を増やしたらどうかというところで話を進めていく中で、どれだけ増やすかというところもあると思うのですが、実際に例えば5問あるいは10問応用力問題が増えるということになると、きっと問題としては3問か4問ですね。2問か3問か。そうすると、時間的に随分問題になるのかなというところはいかがですか。
藤岡先生、どうですか。
○藤岡構成員 この1年半は国試からは離れているものですが、まず、うちの学生の今年及び去年、特に今年の反応は、意外とできたのだけれども、試験を受けて解答が出てくるまでは合っているのかどうか自信がない。実際にあけてみたらまあまあとっていたということで、ちょうど先生の意図が伝わっていたと私は感じたのです。
実はこの1年、ずっと国試を見直してきた時期があるのですが、やはり向いている問題、向いていない問題で、その選択が、先ほど吉池先生がおっしゃいましたように、総括ではないですけれども、これまでの流れから、応用力問題は今後どうしていくのか、反省といってはおかしいですけれども、振り返って応用力問題に適している問題をしていくというのが今後の方向ではないかと私も含め周りの教員は言っているのです。順番にこの問題をこうしましょうというよりは、応用力問題に適している分野をある程度確立していくほうが勉強するほうも、あるいは現場の実際の病院とか事業所などの人間も、学生に指導していく上でここは大事だということをアピールする上で、そういう意味でこの応用問題にかける時間というよりは、分野をある程度絞っていくほうがいいのではないかと私は思います。
以上です。
○加藤座長 ありがとうございます。
確かに先生のおっしゃるとおりで、実際のものを見ると応用問題になっている問題は自然とそういう方向に流れているのですね。だから、何から何まで応用力になっているという話ではなくて、確かに応用力問題、これはできそうだなというものと、絶対解しか無理だという問題も多いと思いますので、そういうものは難しいのだろうと思います。
塩澤先生、お願いします。
○塩澤栄養指導室室長補佐 先ほど、応用力試験を増やすことによって時間が長くなるのではないかという話があったと思いますけれども、この検討会では、では、何分にするという議論というよりは、多少時間が結果的に長くなるかもしれないとしても、今後どうあるべきかという観点から、どのような問題であるべきかを中心に御議論いただく。1問当たりの時間を何分にするかというのは、この検討会ではなくて国家試験の具体的な内容を決める出題依頼会議などで御議論いただいて、その出題依頼の要綱に落とす流れになりますので、そこでの具体的な議論の中で1問当たり何分ぐらいにしましょうということで調整を図ればいいのかなと思っております。この場では余り過度に何分というのをイメージせず、御議論をお願いしたいと思っています。
○加藤座長 ありがとうございます。
私の不手際でそのようなところまで行ってしまいました。まず総論的な話で、やはり応用力が必要だ、あるいは必要ではないといったところから話を進めていかないと、時間がないからやめましょうという話になると本末転倒だと思います。
そうしますと、まず、2の(2)科目横断的な事項というところで「具体的には」というところがあるのですけれども、応用力試験を増やす方向で行ってはどうかと。問題は、200問をとりあえず維持しようといった御提案なのですけれども、このあたりについては具体的に何か御意見はありますでしょうか。
お願いします。
○神田構成員 そもそも増やすことよりも、今のものを維持するという考え方もあるのではないかと。
○加藤座長 応用力問題を増やす必要がないということですね。
○神田構成員 確かに大事な思考力を問う問題ではあるとは思うのですけれども、一方で基礎力があっての応用力かなとも思いますので、学生を指導していく上では基礎力をしっかり身につけてほしいというのがありますので、基礎力も大事かなとは思います。あえて応用力を今の20問から増やすことはどうなのかと思います。
○加藤座長 お願いします。
○赤松構成員 応用力を担当して4年になる赤松です。
応用力試験はセッティングがあって、ストーリーになっています。その中に基礎的な問題も欲しいと思うのですが、今、実際にやっている委員は、私も含めて応用系の実践栄養学に強い委員が集まっています。例えば給食経営に関する問題の中に、最初に食品学の基礎的な問題があってから、応用的な問題に移っていけたらいいのにと思うのですが、私たちの頭では考えられない現状があります。応用力試験の中にも、基礎もわかる先生に入っていただいたりとか、御意見をいただくことによって、そのストーリーがもっと深くなって、基礎から応用につないだ応用力試験ができるのではないかと思っています。
○加藤座長 お願いします。
○吉池構成員 例えば社会・環境と健康について、前回4年前のこの会議で、統計的な事柄について科目の中のリストに入れてはどうかという話はあったのですが、入れられませんでした。結果的に特にガイドライン上は明示されていないのだけれども、応用的な展開の中でのアセスメントに必要な基礎的なことなので、応用力問題の中に、必要な事項と考えられれば入れることができるということになります。統計的なことが単発の知識として、問題のための問題として出されるよりは、あるセッティングのところでどうするのという結びつきがある中で、場合によっては絶対解の問題も入っていいと思います。
そういう意味では、今、20問ですけれども、より応用力的なセッティングを示して、基礎的なものも含めて問うことは、もし作題でき得るのであれば、そういう問題を増やす方向でいいのではないかと思っています。
○加藤座長 武見先生、お願いします。
○武見構成員 全く同意見です。応用力試験が増えるというか、ある一定量を占めるというのは、管理栄養士はそういう物の考え方ができなければいけないということを示していることになると思うのですね。そういう意味では、その中に基礎の部分を問うものがもちろんあっていいと思いますけれども、状況設定とか個人のアセスメント、そういうものをきちんと踏まえて、それをどう評価しどう展開してという、そのつながりを理解することこそが大事です。
これは学生だけではなくて、私は教える教員にも関係あると思っています。教える教員は自分の科目しか教えられないですけれども、他教科とのつながりが十分にわかっているわけではない。この点の問題を教育の中でも変えていかなければいけないと思いますが、管理栄養士が何を求められているかを示すには、この割合は結構大きなことだと思うので、もう少し増やしたほうがいいと思っています。
○加藤座長 バランス感覚なのだろうと思うのですけれども、神田先生が言われるように応用力は基礎力がなくてはできないのですが、基礎力をわざわざそこで問わなくても応用力で問う考え方もあるのだねという意見が多いようなのです。確かに応用力問題を解くための基礎力は必要になってくるという考え方をすることもできるのではないですかという御意見ですが、先生、何かあるでしょうか。
○神田構成員 それについては賛成です。
○加藤座長 あと、こちらのほうの先生から余り御意見がないのですが、弘津先生、どうですか。
○弘津構成員 これはお尋ねですけれども、以前は応用力問題以外の分野においても最適解を問う設問をつくってはどうかというお話があったと思うのです。応用力問題でしたら、確かにある一つのストーリーの中で、最終的に最適解を選ぶと思いますが、分野ごとにおいても最適解の設問を出せばそこで考えることができてくるので、それはどのようにお考えなのでしょうか。
○塩澤栄養指導室室長補佐 それはおっしゃるとおりで、現行も単発の科目で最適解がだめとは一つも申し上げていないので、そこは今までどおりにしていただきたいのです。ただ、一方で、先ほどから先生方からお話が出ているように、絶対解、最適解、両方を含めたある一定の状況設定の中で組み立てて考えていくことも大事で、複雑なものは個々の科目で問うのが構造的に難しい状況もありますので、単発でも考えられる最適解型というのは個々の科目で設定して、一方、複雑というか、いろいろな状況設定というのは応用力で問うといった組み立てにしてはどうかと思っております。
○弘津構成員 わかりました。ありがとうございました。
○加藤座長 そうですね。先生もよく御存じだと思いますけれども、なかなかたくさんの文章を普通のところでは書けませんのでというところもあると思います。
新田先生、いかがですか。
○新田構成員 先ほどの応用力の前に基礎的なものも問うという形に賛成いたします。
○加藤座長 ありがとうございます。
曽根先生、お願いします。
○曽根構成員 私もずっと社会・環境と健康を担当しておりますけれども、法律とか制度に関しても、いろいろ苦労して問題をつくっています。むしろ応用力試験においてある設定の中で、そこから派生するとても重要な事項として制度や法律ということを出したほうがより自然なのかなと思いますし、変な問題などを避けることができるのかなとも感じております。
○加藤座長 ありがとうございます。
かなり集約してきていると思うのですけれども、応用力問題を増やすことに関しては、ほとんど先生方の賛同を得られていると思うのですが、その中で作り方というのは一つあるのでしょうね。基礎力を問うような問題も応用力に入れてつくっていこうと。
先ほど藤岡先生が言われたみたいに、作りやすい問題と作りにくい問題というか、科目というのもあるので、そこが次の問題になると思うのですが、恐らく応用力問題をふやせばどこか減る科目が出てきますので、その減る科目というものは作りやすい科目のところから減らしていただくことなるのだろうと思うのです。私のところの科目は応用力に回しやすいよという科目もあると思うので、先生方に考えていただくときに、そういうことも含めて進めていったほうがいいですか。
○塩澤栄養指導室室長補佐 観点は重要だと思うのですけれども、今日、具体にそこを御議論いただくよりは、次に向けて各科目でお考えいただくわけですが、その過程の中でいろいろお考えになると思いますので、第2回で具体的な御議論をいただくといったことでいかがでしょうか。
○加藤座長 そうですね。そうすると、今日先生方にお帰りいただくときに、うちの問題は2問ささげますとか、3問ささげますとか、そういう話に実際にはなってくるかと思うのですが、例えば応用力問題を何問にしようなどという話はどうですか。そのあたりは大まかな数字はつけておいたほうがいいですか。
○塩澤栄養指導室室長補佐 それもできましたら、次回に具体の御議論をいただけないかと思っております。
○加藤座長 では、ちょっと先生方にも考えていただいて、応用力問題を少し増やす方向で進めていきましょう。今、20問ですから、3問ないしは2問がめどになっておりますので、25問か30問ぐらいに実際にはなるのだろうと思います。そのあたりで22問とかと言われても困りはしないのですけれども、それはないかと思いますので、そのあたりで御検討いただいて、先ほどもお話ししたみたいに、うちの問題からは3問ぐらい提供できるのではないかというような話になってくると思います。これまでには臨床と人体と食べ物ですか、そこから少しずつ出していただいた経緯があると思います。
そのほか、何か今の議論について、応用力問題のあたりについての御意見がありましたら、お願いします。
お願いします。
○武見構成員 そういう意味でいうと、今のガイドラインの31ページにある応用力試験の具体的な項目とか中項目の表現を、もう少し変える必要があるのかなというところが大きいと思います。A、B、Cは実際に問題作成をやっていると必ずしもこのように分かれているわけではなくて、これまでの4年間の実績を踏まえた、本当にこの担当になった人が問題をつくれるような表現に変えたほうがいい。31ページの見直しは必要かなと思います。
○加藤座長 そうですね。応用力のほうをつくっていませんので、ここでワーキングというか、少し選んで、その人たちに応用力も一緒に考えていただくのがいいですか。
お願いします。
○藤岡構成員 先ほどの続きで、また概念的な話で申しわけないのですが、先ほど申し上げましたように、非常に言いにくいのですけれども、今までの問題をずっと見直して、いい問題と、これはちょっとやり過ぎだなとか、これは普通の問題にしたほうがよかったなというものも正直あると思いますので、こういったタイプの問題をこうつくろうというある程度のひな形といいますか、それがガイドラインの意味合いになると思うのです。もちろんその中で各論としていろいろ練っていくのはいいと思うのですけれども、ある程度そういう形でつくっていったほうが、勉強する側も教える側もやりやすい、勉強していきやすい、指導しやすいと思います。これまでの中でこういった問題が一番いいだろうというものをリストしていただいたほうがいいと私は考えます。
○加藤座長 ただ、それは問題作成委員のほうで今までの問題を検討していただいて、その方向性をつくっていただく、そちらにお任せするほうがいいのではないかと思うのですね。
○藤岡構成員 それで、武見先生もおっしゃいましたように、先ほどのこのガイドラインにもある程度はそれを入れてもらったほうが、これを見ますと、A、B、C、ほとんどこれだけということになってしまいますので、このガイドラインを改定する上では、その辺を盛り込んでもらったほうがいいかと思ったのです。
○加藤座長 どうですか。
お願いします。
○塩澤栄養指導室室長補佐 ここでの御議論では、具体的にこの問題がいいですよねという議論よりは、もう少し上段といいますか、そもそも骨格としてこういうことは習熟度の確認として少なくとも問うたほうがいいのではないかという御議論にしていただければと思っております。問題を作成するときには、どういう過去の質問がいいかをお手本にするのはそのとおりだと思いますけれども、逆にある固定の問題を出してしまうとそれに引っ張られてしまう面もありますから、抽象的かもしれませんが、そういう進め方にしていただけないかと思っております。
あと、先ほど武見先生から、応用力の現行の内容、整理も多少変えたほうがいいのではないかという御議論をいただきました。そのとおりだと思います。また、今日の御議論の中で、最適解型を作りやすい科目のみならず、基礎系のものも取り入れたらどうかという御議論もありました。
それを踏まえますと、ある意味、どの科目も応用力としてこのようなことを問うべきではないかという御議論をいただきやすいかと思いますので、できましたら、今日、こちらにいる先生方におかれましては、それぞれの持ち分の科目に加えて、現行のガイドラインにある応用力試験の組み立てについて、できれば次回までに御意見を寄せていただけないかと思っております。そして、先生方の御意見を踏まえて、事務局で改定案を考えてお示しして、また先生方に御議論いただくといった流れにできればと思います。そういった応用力の進め方について、いかがでしょうか。
○加藤座長 いかがでしょうか。私個人的なことを言えば、ある程度ざっくりしているので選択肢が広がっているという見方もできるのだろうと思うのです。余り細かいことをここで書かれてしまうと、なかなか作るときに手かせ足かせになってしまうところもあるのですが、藤岡先生が言われるみたいに、もうちょっと具体的なというところもあるかもしれません。
今、御提案いただいたように、少し御自分の科目単位から、このような感じだったら応用力問題に発展させていくというか、作ることができるのだといった、ここの大項目、中項目を少し変えていただけると、あるいは追加していただけると動きやすいのだという御意見を自分たちの科目とともに一度お考えいただく、それで事務局に提案いただくという形でお願いしたいと思うのですが、よろしいでしょうか。大変難しいのかもしれませんが。
そうしましたら、資料4の2枚目のところですが、もう一つ(3)というものがありまして、出題の狙いについては国試で問うべき主要なものとされ、その狙いに沿って内容(項目)も精査されていることから、今回の改定では、関連法規や制度改正というものが、これまで行われていると思いますので、その制度改正や法整備、これに沿ったものに少し変えていただく必要があろうかと思います。
それと、新しい言葉もどんどん出てきていると思いますので、それぞれの科目の中で必要な言葉も出していただきたいと思いますし、同時に言葉の整理、にわかに思いつくわけではないのですが、例えばガイドラインのほうでは「フレイルティ」という言葉を使ってあるのですが、もう厚労省でも「フレイル」という言葉を使い出していますので、これは臨床とか人体の構造のところだと思うのですが、そういった言葉の統一をしていただくことも必要になってくるかなと。ほかの分野もあるのではないかと思います。
ここでは少し先生方に、これは入れておく必要があるのではないかという項目などがもしありましたら、言っていただけるとありがたいです。思いつくままで結構です。
お願いします。
○羽生構成員 今、私も人体のところで問題をつくらせていただいているのですけれども、毎年問題になる用語なのですが、実際につくっていまして、この用語が国試の中でどのように運用されてきたのかということで、かなり時間をとるのです。CTとかMRIにまだ括弧をしてどうのこうのが要るのかどうかで、いつも過去問題を調べていただいて、それもまた結構ばらばらだったりする。なので、せめて本来は医療系の国試はみんな統一用語になったらいいかなと思うのですが、そこまでいかなくても、この国家試験だけでも標準的な用語はこれだというのを、用語集をつくっていただければ、そんなに難しい作業ではないように思うのですが、いかがでしょうか。
○加藤座長 先生、例えば略語という意味ですか。
○羽生構成員 略語もそうですし、「フレイル」とかをどう言うとかもそうですし、このガイドラインの改定に伴って、この4年間は少なくとも国試ではこの用語を使いますみたいなことがあれば、私たちも一々過去に当たる作業もかなりなくなりますし、それは作っている委員の間から切実な要望としてあります。
逆に、ここがガイドラインとして出すと、恐らく教科書などもそれに準じてきますので、定着度もかなり上がるのではないかと思うのです。
○加藤座長 大変前向きな意見でいいと思うのですが、そこをガイドラインで出していただいて、例えば「フレイルティ」は今「フレイルティ」でつくっていますので、「フレイルティ」は「フレイル」にしていただく。ただ、人体のほうと臨床のほうで合わせていただくということをして、このガイドラインで共通用語にしていただく形が現実的ではないかと思います。用語集をつくればいいのですが、4年に1回改定することはまず不可能ですので、ガイドラインの先生方が、今はこの用語を使うのだという用語を確定していただくというのでどうですか。よろしいですね。そのほうが現実的だと思いますので、それで何とかよろしくお願いしたいのですが。
あとは何かありますか。
お願いします。
○藤岡構成員 ついでに、私も「フレイル」を使うべきとは思っているのです。ただ、また「フレイル」とは違う用語のときは、例えば論文や学会では使っていないなどがありますね。「フレイル」はあくまでも日本の行政とか現場では使っていますけれども、論文にするときにはそれはまだ使えないので、私が言いたいのは、要するに、ダブルスタンダードをあえて認める形でよろしいのですね。
○加藤座長 今までの流れでは、基本的に厚労省が出している文書は厚労省の文書に従っていますので、論文はまた論文なので、そのまま持ってくるのはなかなか難しいですね。「フレイル」そのものは老年医学会が前面に押し出している用語として。
○藤岡構成員 ただ、英語の論文に「フレイル」はまだ何のことだとなってしまいますので、要するに、私が言いたいのは、ケース・バイ・ケースで対応していこうでよろしいのですね。
○加藤座長 このガイドラインで文言は決定していただくというのでいいのですね。
○藤岡構成員 例えば、これまでですと「トリグリセライド」は、人体では「トリアシルグリセロール」、基礎では「トリグリセリド」、これはもうこれでいこうとなってきていたはずですし、ケース・バイ・ケースで、詰めてもできないということで、このままでいいのですね。
○加藤座長 それは私は個人的には本当は統一したいです。めちゃくちゃ統一したいのですが、いつもそれをやると、人体の先生方は、人体では「トリアシルグリセロール」だと言われて、臨床では「トリグリセリド」だと言うので、結局、どの先生が委員長をやられてきたときも統一できませんでしたが、これを機会に統一するというのは非常に画期的でありがたいと私は思っています。多分、分かりにくいですね。学生は別のものがあるのではないかと思ってしまうかもしれないと私は思っているのです。
○藤岡構成員 「フレイル」でいくとなったら、とりあえずそのようにケース・バイ・ケースで使い分けろということになってしまいますけれども、それはよろしいのですか。
○加藤座長 お願いします。
○塩澤栄養指導室室長補佐 先ほど話がありましたけれども、論文というレベルと、ここで、例えば学校を卒業してすぐに現場に入られる方、その医療現場や介護現場で使われている用語で仕事をしていく上で求められるものは、必ずしも一緒ではないというケースもあるのかなと思います。
そこは適宜対応していただきたいと思うのですが、今回、お願いしたいことの一つとしては、まず現行のガイドラインをよく御覧いただいて、ここに出てきているようなレベル感の用語に関しては、まずできるだけ現状、言葉の使い方でそご、違いがあるものについては、ぜひ統一化を図っていただけないかと。そういう意味でも、科目間で御議論いただけないかということがまずお願いでございます。
それを考えていただくに当たって、一方、日常、現場などで通常使われている用語と余りにも乖離があるようなものについては、また御再考いただくのも重要かと思いますけれども、そういう観点で御議論いただく。ここにも載ってこないようなレベル感のものは、今回の検討対象にはならないと思いますので、そこは御議論いただく必要はないのではと思っております。
○加藤座長 ありがとうございます。
お願いします。
○吉池構成員 今の話とは違う話で、先ほど資料4の2で、各科目別のところで御説明をいただきましたが、確認です。狙いについては、もうこのままでほぼ行きましょうということでよいですね。そのペーパーのところで、狙いに沿って項目も精査されている、すなわち、前回もう十分やったから、余りここはいじらなくてよい。前回かなり少なくしたように思うのですが、同じような観点から、一生懸命少なくしようという作業は今回するのかしないのか。そこの確認をお願いします。
○塩澤栄養指導室室長補佐 基本的には、今、おっしゃっていただいたとおりで、これまでかなり項目で精査はされていると思いますので、言葉にそごがあるとか、明らかにこれが足りない、あるいは制度が変わったとか、そういうマイナーチェンジみたいなものを基本的にやっていただくのが、今回、我々としてお願いしたいと思っている案でございます。
最初の1番のところでも触れましたけれども、今回はマイナーチェンジはやっていただきつつ、全体の、先ほど応用力試験の話がありましたけれども、そういった科目横断的な事項というものをむしろ主に見直しを図っていけたらいいのではないかと思っておりまして、この資料4のペーパーをつくらせていただきました。
○吉池構成員 各項目は出題の項目と言いながらも、やはり学んでほしいことという頭があるので、例えば社会・環境と健康では、公衆衛生の歴史というものがあるのですね。歴史は別におろそかにするつもりはないのですけれども、現在からの文脈の中で何らか歴史的なことを問うのは必要かと思うのですが、歴史だけの問題というのが果たして必要かといったときには、歴史は現在を理解するためには学ぶべきことだけれども、あえて出題基準から落とす。そのような考えは今回余りしなくてよいでしょうか。
○塩澤栄養指導室室長補佐 そこは絶対にこうしてくださいというのはなかなかここでは申し上げられないので、そういったお考えを第2回に寄せていただくのは、別に差し支えはありません。ただ、今回重要なのは、資料4の大きい2の(1)(2)にありますけれども、こういった今後の方向性の基本認識ですとか、それでより具体的に求められることとか、そういったことも照らして適宜取捨選択をしていただく観点で御意見をいただいて、そして、第2回での御議論となればいいかと思っております。
○吉池構成員 ありがとうございます。
○加藤座長 出題委員会での議論になるのだろうと思うのですけれども、歴史が書いていないから歴史は全く出てはいけないという話にはならないという理解だと思います。だから、その歴史がここに書いてあることから問うのに必要であるということであれば、それは出題委員会のほうでこれは必要だと書いていただかないと、例えばがんのことを出すというときに、全部の臓器のがんの名前を書いておくかというと、そういうわけではありませんので、その辺は出題委員のほうで考えていただければいいのかなと理解しております。
あと、先生方でこのようなことはということがありましたら、お願いします。
武見先生、お願いします。
○武見構成員 今のガイドラインの中で何を示しておくべきかという話は、ガイドラインはあくまで教育の成果を問うということで理解しているという意味からいうと、何を教えなければいけないかとイコールではない話ですね。そうなったときに、この資料3の中のスライド15のところで、国家試験のガイドラインだけが国のものだからという言い方でいいでしょうか。これがいわば教える内容になってしまっているところが、管理栄養士の教育のあり方の問題点だと思うのです。
今、日本栄養改善学会でモデル・コア・カリキュラムの検討をさせていただいていますが、逆に言うと、ガイドラインにはないけれども、コアカリに入るものがあっていいわけです。そこの整理がしっかりできるようになれば、多分、吉池先生がおっしゃったようなこととか、加藤先生がおっしゃったようなことも、大枠ではコアカリには入っているけれども、細かく問う内容としてはそれが一見見えない形になっていてもいいということがあり、そこの整理がしっかりできればいいのかなと思います。
○加藤座長 ありがとうございます。
個人的に臨床栄養のほうで先生にお願いしておきたいのは、社会・環境のところには倫理のことがあって、人を対象とした研究の倫理指針というものがあるのですが、今、臨床現場に出ていく人も多いので、臨床栄養のほうで少し臨床倫理というのですか。守秘義務とか、そういうものも含めた、そのようなことは少し言葉としてガイドラインの中に入っていかないと、こういった御時世なので問題かなというのを個人的には思っています。
それと、ここの本文にも出てきたのですが、どちらかというと保健師さん側の話かもしれないけれども、地域診断などというのはどうですか。
塩澤先生、何か一言お願いします。
○塩澤栄養指導室室長補佐 地域の特性を捉まえて、そして、どうアプローチしていくかというのは、これまでも多くされていることと思います。具体的にはどちらかというと今の科目では公衆栄養かと思うのですけれども、もちろん公衆栄養を考える前提として、その地域、栄養のみならず、周りの環境、周辺情報なども含めて捉まえるというところ、このあたりがより具体にガイドラインで見える化できればいいのかと思っておりまして、それでちょっと提案をさせていただいております。どの科目にそれを明示すればいいのかというのは、むしろ御意見をいただければと思いますが、いかがでしょうか。
○加藤座長 社会・環境が一番影響すると思うのですが、試験問題としては非常に作りにくいというか、今まで実は応用力問題ではよく似た問題が私は出てきているのではないかと思うのですけれども、国の施策に加えて地域の特性ということがあるというので、地域に国の施策も含めて落とし込んでいく作業が要るのだといった内容だと思うのです。言葉としてそういう言葉があってもいいのではないかという塩澤先生の御提案だと思いますが、そのあたりも社会・環境だけではなくて、いろいろな科目のところで少し御検討いただければということをお願いしたいと思います。
何かほかにそういった項目でこういったことはどうですかということがありましたら、御意見をいただけるとありがたいのですが、いかがでしょうか。
お願いします。
○合田構成員 これとは離れるかもしれないのですけれども、栄養素の扱いについて御意見をいただきたいと思います。前回、栄養素の順番を食事摂取基準に合わせてたんぱく質から始めたのです。食事摂取基準における考え方は基本的に重要だと思います。ただ、それを実際に教科書を作ったり、あるいは現場で教えるほうでかなり混乱があって、生化学でありますとか基礎栄養学の場合には、体の中で食事をしたときに何が起こるかから始まるので、たんぱく質栄養から始まると非常に難しいことになります。教育の仕方が大変難しい。
ですから、本来、我々は実際に教科書を逆転しながら教えているのですが、でも、教科書を作る側からするとガイドラインは非常に重要な並べ方をしているので、それに沿った教科書に大体なるのです。それを幾らそうではないと言っても、教科書を作る側はなかなかそれが理解できない。そうすると、全てどの科目もたんぱく質から始めるというのは行き過ぎではないかと私は思います。ここは炭水化物、脂質、要するに、管理栄養士の場合には、何をどれだけ食べて体の状態がどう変わるか、インスリンの分泌によって体がどのように変わるのかということが基本的にないと、たんぱく質の栄養はその後の話ですから、そこのところは少なくとも生化学と基礎栄養学の分野は糖質のとり方によって体が変わるというところが明確に、最初の一番重要なポイントとして出すべきではないかと私は思います。そこのところを食事摂取基準に合わせて全て一律にするというのは、私は行き過ぎではなかったかと思いますが、御意見をいただきたいです。
○加藤座長 食事摂取基準から合わせてあるのですか。それは私は存じ上げませんでしたけれども、多分ガイドラインをつくられた前の先生がそういった順番にされたのですね。余り食事摂取基準がどうのという話はないので、先生が言われることがもっともかどうかも私はよくわからないのですが、その辺は先生たちが関係するところというと、基礎栄養と生化学ということですか。そのあたりでの順番が、恐らく2回目にはもう少し具体的に出てくるのですね。
○塩澤栄養指導室室長補佐 そういう並びも含めて全て御意見をいただければと思います。
○加藤座長 今のうちに意見を言っておいていただくというか、次回ですね。
○塩澤栄養指導室室長補佐 次回までに出していただければと思います。
○加藤座長 その意見をもとに資料を作りますので、その資料を見ていただいて、またこれはこうではないかという話になると思います。
ほかに何かありませんでしょうか。今日のこの議論だけではなくて、これからもっと中長期的に国家試験を見たときに、こういった方向、すぐに今回できるかどうかは別にいたしまして、こういったことも考えておかなければいけないよと。先ほど藤岡先生や羽生先生から出てきているのですが、長期的な展望に立った御意見も含めて何かありましたら一緒にこの場で。
赤松先生、お願いします。
○赤松構成員 長期的かはわからないのですが、先ほど加藤先生が臨床のほうで倫理のことをコメントされました。それを考えると、利益相反、すなわち、COIもあってもいいのではないかと思います。どこかに小項目で入っていたらと思いました。
○加藤座長 どこの担当かというのはなかなか難しいのですが、学会発表をするときに、今はほとんど要りますものね。COIは書いておかないといけないのですが、どこに入るのですかね。
○赤松構成員 社会・環境と健康でしょうか。
○加藤座長 社会に入るのですか。人に関する研究のあの辺の倫理項目ですね。研究倫理というものと実際に臨床での倫理というのはちょっと違うような感じがしますので、そのあたりは少し御考慮いただければと思います。
ほかに何かありませんか。
お願いします。
○塩澤栄養指導室室長補佐 先ほど倫理に関する御意見を加藤先生からいただきましたが、確かに臨床という場面で倫理というのは不可欠なものと思う一方で、臨床という場面だけでいいのかという構造的な問題ですけれども、もうちょっと広い倫理もあるとか、いろいろな御意見もあるかもしれないので、もし倫理を入れるということであれば、場所が本当に臨床の場所でいいのか、あるいはそのほかの場所がいいのか、そのあたりもできれば御議論いただけるとありがたいと思います。
○加藤座長 おっしゃるとおりです。今、社会・環境と健康のところには、研究倫理という形で文科省と厚労省が出したのが小項目のところに入っていますので、その倫理をどのように教えるのかという話はまた別なのですけれども、最低限知っておかなければいけないことというものを臨床も含めてお考えいただきたいという意見で、臨床に入れろという意味では決してありません。今のCOIも含めて、社会・環境も必要ですものね。
○吉池構成員 今はあくまで疫学研究という文脈で書かれているのですが、そもそも公衆衛生的な介入そのものの倫理も含めて、幅広く社会システムにおける管理栄養士としての倫理ということで、もう少し大きな項目にしなければいけないかと感じております。
○加藤座長 ありがとうございます。
そのほか、何かありませんでしょうか。
大口先生、お願いします。
○大口構成員 先ほどの合田先生の話にも関連しますが、基礎栄養学に関して言えば、ガイドラインの流れで授業をしようとか、教科書を書こうとか、シラバスを書こうとなると、違和感があります。そのため、先ほど合田先生が言われたように、実際はいろいろと自分で変えたりして流れをつくってやっています。
ガイドラインの流れというのは、何を最優先して作るべきなのか。例えば私たちが授業をやる上で、こうやって流れていけば学生が一番理解しやすいのではないかということがきっとあると思いますが、それとガイドラインは別物なのか。それとも、そういうところをある程度加味してつくっていいのかというところです。基礎栄養学のガイドラインは、キーワード的にはそんなに変わらなくても、流れを変えるだけでがらっと変わってくる気がするのですが、そういうところは余り考えてはいけないのかどうかということです。
○加藤座長 建前を申し上げますと、ガイドラインで授業していただいては困るというのが正論そのものだと思います。ガイドラインで教科書を作るなと逆に言いたいのですが、実際にはガイドラインで作られてしまうので、そこは順番がどうのというより、この項目ではこういったことが問われるのだよということがガイドラインでは並べてあるので、その順番を先生方がこういう順番のほうが学生が理解しやすいのではないかということで変えることに関しては、御議論いただいて変えていただくことは大丈夫なのだと思います。
そもそも授業の順番でという話を先生がされると、この場ではこれは授業の順番の話ではないですという答えになってしまうし、教科書もこれでつくっていただく話ではないという建前論になってしまいますので、そこはそこを考慮して、先生方が順番を、学生があくまで理解しやすいというところで変えていただく形ではいかがでしょうか。
ほか、何かよろしいでしょうか。
お願いします。
○曽根構成員 先生方に伺いたいのですが、資料4の「2 改定のポイント」の(1)のマル2のところで、「チーム医療・介護がますます進むと推測される中」の2つ目のポツで「それを他(多)職種との連携の中で論理的に提案できるか」の、この「他(多)職種との連携の中で」を、国家試験の問題に、ガイドラインにどう生かしたらいいのかというところを伺ってみたいと思います。
○加藤座長 先生、直接には生かせないのでしょうけれども、そういうことができるような管理栄養士を育てるためにどんな問題をつくったらいいかという形で考えないと、これそのものが問題になるというようには。
○曽根構成員 問題というか、言葉として文言がガイドラインにどのように入るのかどうか。
○加藤座長 お願いします。
○塩澤栄養指導室室長補佐 御覧いただいている資料4の今、御指摘をいただいたところは、方向性に関する基本の認識ということでございますので、こういった視座のもと、例えば応用力の中で問うとか、それはケース・バイ・ケースだと思いますけれども、こういった観点から適宜問題を考えていただく。もちろん、もしも他職種に提案するような問題がつくれたらそれはそれでいいのですけれども、それをガイドラインの中に入れるとかという話ではございません。
○加藤座長 お願いします。
○曽根構成員 例えば問題の範囲として、他職種はどういう役割なので、その中で管理栄養士はこういう役割を担うというような、他職種の役割も含めたところも守備範囲になるということなのですね。
○加藤座長 先生、具体的には今までの問題も直接この仕事は誰の仕事だという聞き方の問題はないのだけれども、これは管理栄養士の仕事かどうかという聞き方の設問は出ていますね。ということは、それをやれば、結局ここは管理栄養士の仕事だということの理解になっていく。ただ、それをガイドラインの中に、この職種の仕事が何かという話で入れるのは非常に不自然な形になるのではないかと思いますので、そのあたりも先生方に御判断していただいて、原案をつくっていただくということでよろしいのではないかと思います。
時間も押してきているのですけれども、まとめさせていただくと、また御意見をいただければいいのですが、今日のこの時点でのある程度の方向性といたしましては、1番目に応用力問題をどうするかというところに入ったと思います。応用力問題に関しては、少し問題の数を増やしていこうという話ですが、自分のところの科目から応用力試験に回していくことが可能だよということも含めて、大体どのぐらい増やしてみようとか、どのぐらい自分のところは減らしていこうかということも含めて考えていただくということで、まず1点目、よろしくお願いいたします。
2点目は、先ほど出てきたように、新しい法律ができてきている、あるいは世の中の流れもある、言葉も少しずつ変わってきているということがありますので、そのあたりの統一をしていただくということと、もし可能であれば科目間で統一をあらかじめ図ることができましたら、それをお願いしたいと思います。場合によっては、今日、ちょっと早く済むようなことがあれば、科目間で御相談いただくことも可能ですかね。そのようなことで話を進めていただく。その2点が今回の大きな流れと理解していますが、それで進めていっていただいてよろしいでしょうか。
何か最後、御質問、御意見等がもしまだありましたら、よろしくお願いします。
なかなか2回目にならないと分からないこともあるかもしれませんので、具体的に動いていただくと、もう少し議論が煮詰まるかもしれません。今日のところはこのぐらいにしておきたいと思います。
最後に、事務局から今後の日程等について御説明をお願いします。
○清野栄養指導室長 貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございました。
今後の日程につきまして、御案内申し上げます。第2回検討会につきましては、11月27日火曜日、16時から18時に開催したいと思っております。開催案内につきましては、後日お送りさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
○加藤座長 ありがとうございました。
それでは、閉会とさせていただきます。どうもお忙しいところ、ありがとうございました。
まずは机上に座席表、議事次第、資料1から4、参考資料1として第30回から32回の問題冊子をお手元左側に、その下に参考資料2として現行の管理栄養士国家試験の出題基準検討会の報告書、その下に机上配付資料として構成員の先生方を科目ごとにした一覧、その下に机上配付資料として第30回から32回の出題基準に基づく出題状況の資料をお配りしております。
以上が資料となりますが、不足がございましたら、お申し出ください。
○清野栄養指導室長 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第1回「管理栄養士国家試験出題基準(ガイドライン)改定検討会」を開催いたします。
構成員の皆様方には、御多忙のところ、御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
開会に当たり、健康局長の宇都宮から挨拶をさせていただきます。
○宇都宮健康局長 皆様、こんにちは。
7月31日付で健康局長に着任いたしました宇都宮と申します。よろしくお願いいたします。
本日は大変御多忙のところをお集まりいただきまして、ありがとうございます。また、日頃より栄養行政の推進に御協力をいただいておりますことを、この場をお借りしまして、厚く御礼申し上げます。
さて、御存じのように管理栄養士の国家試験、2万人ぐらい受験して1万人ぐらい合格ということでございますけれども、現在、栄養施策の推進として「日本人の食事摂取基準」の改定に向けて、新たに高齢者のフレイル予防の観点も含めて検討を進めているところでございます。また、今年は診療報酬、介護報酬の同時改定がございましたけれども、その中で多職種連携による重点的な栄養管理、あるいは他施設との切れ目のない栄養連携について評価がされているということでございます。そのほか、食環境整備あるいは食育推進、管理栄養士の役割というものは非常に重要になってきているわけでございます。
実は、私はこの7月まで6階のフロアで食品安全のほうを担当してございました。今年の通常国会で食品衛生法が改正されたのですけれども、その柱の一つに、いわゆる「健康食品」についての対応がございまして、「健康食品」という名前であっても先生方御存じのように、中には健康被害が生じている事例などもございます。しかし、一般の方はなかなかそういうことが分かりにくいということで、栄養指導するに当たっても、そういったサプリメント、あるいはいわゆる「健康食品」というものを摂取しているかどうかもチェックしながらするということも非常に重要ではないかと。今、診療を受けるときには、医療機関ではそういったものを摂取していますかみたいな質問をすることもございます。薬剤との相乗効果、いい面、悪い面、そういうものも含めて非常に重要となっておりまして、そういう意味からも、管理栄養士さん、新たな役割もいろいろ生じていると思っております。
そういったことも含めて、今日はぜひ忌たんのない御意見を交わしていただいて、管理栄養士の質の確保に向けて、この基準、ガイドラインの改定を行っていただければと思います。是非よろしくお願いいたします。
○清野栄養指導室長 健康局長につきましては、業務の関係で、ここで退席をさせていただきます。
それでは、本日御出席の先生方を御紹介させていただきます。
椙山女学園大学教授、加藤昌彦構成員。
国立保健医療科学院次長、曽根智史構成員。
青森県立保健大学教授、吉池信男構成員。
大阪市立大学教授、羽生大記構成員。
神戸学院大学教授、藤岡由夫構成員。
共立女子大学教授、伊藤裕才構成員。
岡山県立大学准教授、新田陽子構成員。
椙山女学園大学准教授、大口健司構成員。
静岡県立大学教授、合田敏尚構成員。
山口県立大学教授、弘津公子構成員。
川崎医療福祉大学准教授、松本義信構成員。松本構成員につきましては、遅れて到着との御連絡をいただいております。
女子栄養大学教授、武見ゆかり構成員。
お茶の水女子大学教授、赤松利恵構成員。
神戸女子大学教授、置村康彦構成員。
神奈川県立保健福祉大学教授、田中和美構成員。
奈良女子大学教授、髙地リベカ構成員。
同志社女子大学教授、神田知子構成員。
女子栄養大学教授、石田裕美構成員。
なお本日、名古屋学芸大学教授の塚原構成員におかれましては、御都合により御欠席です。
引き続き、事務局を紹介させていただきます。
私は、栄養指導室長の清野でございます。よろしくお願いいたします。
健康課長の武井でございます。
栄養指導室長補佐の塩澤でございます。
栄養管理係長の田中でございます。
栄養管理係の井形でございます。
よろしくお願いいたします。
なお、資料1の開催要綱の「3 運営」のとおり、本検討会は原則として公開とさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
また、本検討会の座長につきましては、本来でございましたら先生方から御推薦いただくところですが、事務局としては、現在、管理栄養士国家試験委員の副委員長をお願いしている加藤構成員にお願いいたしたいと思いますが、いかがでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○清野栄養指導室長 では、加藤先生に一言御挨拶をお願いいたします。
○加藤座長 皆さん、こんにちは。椙山女学園大学の加藤でございます。一言御挨拶させていただきます。
今回は大変重い責任のあるお役をいただきまして感謝するとともに、心を引き締めて職務についていきたいと思いますので、よろしくお願いします。
管理栄養士の現状を見てみますと、やっとという言い方は問題かもしれませんが、世の中で管理栄養士というのはこんな仕事をしているのだとようやく分かっていただけるような状況になってきたと思うのですけれども、それと同時に管理栄養士に求められているもののレベルが非常に高くなってきたと思っています。それは知識であったり、人柄であったり、いろいろなことがあるかと思うのですけれども、そういった社会のニーズが高まってきたことに対して、そのニーズに応えられる管理栄養士を私たちが社会に送り出すというのが使命だと考えています。
その使命の第一歩というのが国家試験であり、国家試験の根幹をなしているのがこのガイドラインといった位置づけにあると思いますので、先生方の知識、知恵を結集させて、みんなが納得できる、社会に納得していただけるこのガイドラインというものをまとめていきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○清野栄養指導室長 ありがとうございました。
カメラの撮影はここまでとさせていただきます。
それでは、これ以降の進行につきましては、加藤座長にお願いいたします。
○加藤座長 よろしくお願いします。
それでは、議事を進めていきたいと思いますが、まず、本日は「(1)出題基準の見直し方針について」というところから検討していきたいと思います。
まず、事務局から本検討会の開催目的、検討会の進め方についての説明をよろしくお願いいたします。
○塩澤栄養指導室室長補佐 それでは、説明をさせていただきます。
お手元に資料1と資料2を御用意いただけますでしょうか。
まず初めに資料1、こちらは本検討会の開催要綱でございます。「1 目的」でございますけれども、管理栄養士国家試験出題基準、すなわちガイドラインは、平成14年に大きな見直しが行われております。そして、平成17年度の国家試験から適用されておりまして、その後、おおむね4年に1度改定を行う形で現在に至っております。そして、今般、改定の検討をしていただくということで、本検討会につきましては、厚生労働省の健康局長が開催するものでございます。
次に資料2でございますが、この検討会の進め方の案ということで、1枚紙を御用意してございます。
御覧いただきますと、一番上に第1回、すなわち本日でございますけれども、本日、出題基準の見直しの方針について検討、決定をいただくといったことを目標としております。
そして、今日の御議論も踏まえまして、各構成員の先生方に第2回までの時間で各項目の見直しの案などについてお考えいただいて、それをお寄せいただく。ここには「委員から意見を聴取」と書いておりますけれども、御意見を伺う予定でおります。
そして、それを第2回、11月27日を予定しておりますけれども、このときに具体的な見直し(案)の検討ということで御議論いただくといったことを考えております。
そして、その際の御議論も踏まえまして、最後、第3回として、1月31日を予定しておりますけれども、ここで通例に従いまして、報告書という形でガイドラインを取りまとめていきたいと考えております。また、注書きにも書かせていただいておりますが、取りまとめに当たりましては、今後こういう点について見直したほうがいいという課題なども適宜盛り込めたらと考えております。
以上が本検討会の進め方の案でございます。
以上です。
○加藤座長 ありがとうございます。
ただいまの進め方について、何か御質問、御意見等はありませんでしょうか。よろしいでしょうか。
そうしますと、特に資料2に進め方とあるのですが、これに従って、この会を進めていきたいと思います。
続きまして、資料3について、事務局からお願いします。
○田中栄養管理係長 それでは、資料3「管理栄養士・栄養士を取り巻く状況と管理栄養士国家試験出題基準(ガイドライン)改定の歩み」について説明をさせていただきます。
まず、こちらの資料に関しまして、位置付を説明します。管理栄養士国家試験のガイドラインは4年に1回の見直しており、前回改定からの状況と、今後の4年の動きを踏まえた短期のスパンでの見直しを行っているところです。一方で、栄養、食生活を取り巻く状況がどのように移り変わってきたか、また、その中で管理栄養士がどのように位置づけられてきたかといった点を広い視野で振り返ってみることも必要と考えまして、このような資料を準備いたしました。
まず初めに、この下の部分にございます我が国の栄養政策がどのように変遷してきたかについてですが、戦後の栄養、食生活の改善から、昭和が終わって平成が始まるころまでは、健康増進、健康づくりといった対策にシフトをしてまいりました。そのような中で、国民の健康課題として生活習慣病の予防、重症化予防といったことが上がってまいりました。このような状況を踏まえて、平成12年に栄養士法の改正が行われております。この改正については後ほど説明をさせていただきますが、この中で集団へのアプローチから個々人へのケアに重点が置かれるようになってまいりました。生活習慣病の発症予防、重症化予防を視野に入れた政策を進めてきたところです。
さらに、今後2025年の団塊の世代が75歳以上になる時期や、2042年の高齢者人口がピークになる時期を見据えまして、高齢者の低栄養やフレイル予防を視野に入れた政策を進めていくことになってまいります。こういった状況も踏まえて、食事摂取基準においても生活習慣病の予防、重症化予防を視野に入れた改定を行い今後はフレイル予防も視野に入れた改定を行っていくことになってまいります。
このように社会状況が大きく変化していく中で、管理栄養士の業務が明確化されたのが、先ほど申し上げましたとおり、平成12年の栄養士法の改正となります。国民の健康課題が生活習慣病の発症や重症化予防となり、、より個々人の状況に応じた管理栄養士を育成することを趣旨といたしまして、下のほうに管理栄養士の定義がございますが、傷病者に対するといった文言ですとか、個人の状況に応じた高度なといった文言が管理栄養士の業としてこのときに定義づけられました。
右側の制度の概要、定義については、御参考として御覧いただければと思います。
続きまして、高齢化の推移と将来推計についてですが、こちらは現時点の状況から、これからの動きについてのお話となります。先生方は御承知のとおりとなりますが、団塊の世代が75歳以上になる2025年、高齢者人口がピークとなる2042年といった超高齢社会を迎えている状況でございまして、この状況は世界的に見ても例を見ないスピードとなっております。
このように高齢化が加速する中で、平均寿命と健康寿命の差を縮めることが重要で、日常生活に制限のない期間をいかに延ばすかが重要になってまいります。平均寿命と健康寿命の差につきましては、男性では約9年、女性では約12年となっておりまして、この差を縮めていくために、健康増進、健康づくりといったことが重要になってまいります。
このような状況を踏まえて、高齢者へのアプローチに関しまして図示したものが下の「地域包括ケアシステムの構築について」というところになります。地域包括ケアシステムにつきましては、住まいを軸として医療・介護・予防・生活支援を包括的に確保する体制を構築していくといったものになります。このように、地域の状況を踏まえてあるべき姿を考えていく必要がありますが、そこには個々人の生活の視点を踏まえた対応が重要となってまいります。そのような中で、保健医療職種として管理栄養士の果たす役割は非常に大きくなってくるものと考えております。さらに、地域を俯瞰して地域の課題解決をしていくためには、地域診断といったことも重要になってくると考えております。
こちらの資料に関しましては、最近の政府の動きとなってまいりますが、このような高齢化社会に対する対策の動きを加速させる方策といたしまして「経済財政運営と改革の基本方針」、骨太の方針と言われておりますが、こちらの重要課題といたしましては、介護予防やフレイル対策といったものが位置づけられております。現在、栄養指導室でも検討を進めている食事摂取基準の改定においても、その活用を図ることとしてこの骨太の方針の中で示されております。さらに、こういった動きを海外へ展開していくものといたしまして、2020年の栄養サミットに向け、食事摂取基準の策定を初め、健康に関する政策を検討することについて閣議決定がなされている状況でございます。
このように政府の方針においても栄養に関して光が当たってきている中で、続きましては、共助としての仕組みである診療報酬、介護報酬といった制度の中で、政策誘導としてどのような手当てがなされてきたかについてお話をさせていただきます。
診療報酬につきましては、従来、栄養指導や食事療養といった内容が重点的に評価されてきておりましたが、近年では多職種協働や重点的な栄養ケアといった内容が評価されてきているところでございます。
上段に近年の改定の状況がございますが、特に平成30年度の改定におきましては、地域包括ケアシステムを構築するための日常生活の視点を踏まえた個々人に寄り添ったきめ細かな栄養管理をする関係機関等との栄養連携を推進するための内容となってきているところでございます。
下の段には、介護報酬における栄養関連の加算等についての説明がございますが、介護報酬に関しましても診療報酬と同様の流れとなっておりまして、住みなれた場での受け入れや、どこに住んでいても必要なサービスを切れ目なく受けることができる体制の整備、低栄養状態の入所者に対する栄養管理ですとか、医療機関と介護施設の連携を強化するなどといった内容の充実を図ってきているところでございます。
次に管理栄養士関係の制度改正と国家試験出題基準のガイドラインの改定がどのように行われてきたかという資料となりますが、先ほど来、お話ししてまいりましたとおり、現状といたしましては、個々人の生活の視点を踏まえたきめ細かなアプローチや、施設間の連携や多職種協働がますます重要となってくる中で、管理栄養士は今後、論理的な提案等が今後求められてくることになってくると考えております。
平成12年の栄養士法の一部改正につきましては、先ほどもお話を申し上げましたが、平成10年の21世紀の管理栄養士あり方検討会の報告書の内容を受けて、平成12年に法改正が行われまして、この中で具体的には個別のケアが重要であることや、傷病者への対応のことが業務として明確化され、この内容を受けて管理栄養士養成施設のカリキュラムの全面改正も行われたところです。
国家試験のガイドラインにつきましても、管理栄養士として必要な知識、技術について評価できるよう、平成14年に見直しを行いまして、以降、定期的に見直しを行っているところでございます。また、平成29年度から平成30年度におけては、栄養学教育のモデル・コア・カリキュラムの検討を日本栄養改善学会に委託して進めているところでございます。
続きまして、下の段、管理栄養士国家試験出題基準(ガイドライン)改定における見直しのポイントとして、近年の見直しの状況について説明をさせていただきます。前回平成26年の改定におきましては、こちらの表の一番下の部分になりますが、大きく3点見直しを行っておりまして、1点目が前回改定以降に改正・公表された法・制度などの変化に対応できる内容としたこと、応用力試験については出題数を10問から20問に変更するなど充実を図ったところでございます。さらに、応用力試験など、栄養管理を実践する上で必要な思考・判断力等に対応する能力を評価するものとして、最適解型の問題、最も適切なものを1つ選ぶ問題を導入することといたしました。
次の参考に関しましては、近年の管理栄養士の養成の状況として、国家試験の実施、合格率の状況等をお示ししておりますので、参考として御覧いただければと存じます。
以上となります。
○加藤座長 ありがとうございました。
管理栄養士・栄養士を取り巻く状況ということですが、日本の現状ということで、随分大きく変わってきて、少子高齢化、超高齢社会、医療費も余りないといった中で、管理栄養士の役割も少しずつ変わってきているのだということ、そういったことを踏まえて、国家試験のガイドラインの中にこういった状況に対応できる問題を落とし込んでいただくということになってくると思います。
先生方、ただいまの説明につきまして、何か御質問等はありませんでしょうか。よろしいでしょうか。
そうしますと、今までは総論的な内容だったと思うのですけれども、引き続き、今度は事務局から資料4、各論的な話になってくると思いますが、説明をお願いいたします。
○塩澤栄養指導室室長補佐 それでは、説明をさせていただきます。資料4を御覧いただけますでしょうか。
こちらの資料は、表題にもございますとおり「管理栄養士国家試験出題基準(ガイドライン)改定に当たっての主な論点(案)」ということでございまして、本日の中心の資料になるものでございます。
では、順に御説明をさしあげます。まず「1 改定に当たっての基本的な考え方」ということで、数行まとめさせていただきました。今回の改定に当たっては、管理栄養士の今後の方向性(期待される役割)、こちらを踏まえた上で2点挙げておりますけれども、まず(1)として、主に科目横断的な事項、これは例えば出題数の配分をどうするかといった問題もあろうかと思います。こういった横断的な事項を中心とした見直しを行ってはどうかという案でございます。
これをメインとしつつ、(2)科目別の個々の出題基準、こちらについては前回改定以降に改正・公表された法・制度等を踏まえた見直しを行うといった感じで検討してはどうかという案を書かせていただきました。
「2 改定のポイント」でございます。まず(1)管理栄養士の今後の方向性に関する基本認識ということでございます。あらましは先ほどの資料3で図示化して、先生方にお示しさせていただきましたが、以上を踏まえると、こういった基本認識になるのではないかというものを文字化したものがこちらになります。
具体的にマル1でございます。管理栄養士の主な業務の一つとしては、傷病者に対する栄養の指導というものがございますけれども、今後、地域包括ケアシステムの構築・推進に向けて、個々人の生活の視点を踏まえたきめ細かな対応が一層重要になるのではないかと思われます。
また、マル2でございますけれども、人口構成がいろいろ変わってくるということで、働き手の減少がまずございます。また、医療・介護、こちらの高度化といったものもございます。こうした中、効果的・効率的なアプローチとしてチーム医療、また介護、これがますます進むと推測されますが、そうした中で1つ目、複雑困難な個別案件、そして、地域の栄養課題、こういったものに対して、栄養の専門職としてエビデンス(データ)や論理的思考をもとに最適解としての栄養管理をいかに打ち出していけるか、こういったことが問われるのではないか。また、そういったものを他(多)職種との連携の中でいかに論理的に栄養の専門職として提案していけるかといったこと、こういったことが一層問われてくるのではないかということを書かせていただいております。
また、今度は(2)科目横断的な事項ということで書かせていただいております。先ほど触れた(1)の観点から、今回の改定では、生活の視点も踏まえた栄養ケア・マネジメント、また、地域診断、こういったものをもとに論理的思考を通じて、最適解としての栄養管理のあり方を問う問題を増やしてはどうかと考えておりまして、具体的にはこうしたスキルを総合的に問うものとして応用力試験を増やすこととしてはどうかということ。また、全体の出題数でございますけれども、受験生に過度な負担をかけないという視点も重要と思いますので、現行どおりの200問とした上で、応用力試験に組み込むことが可能な科目については出題数を見直してはどうかと考えております。
2ページ目、先ほどのものは科目横断的な事項でございましたけれども、(3)といたしまして、科目別の事項ということで簡単に書かせていただいております。科目別の事項は、出題の狙いに関して、国家試験で問うべき主要なものとされておりまして、また、その狙いに沿って内容(項目)も既にかなり精査されている状況でございます。
こうしたことから、今回の改定では、まず今までの改定と同じように関連法規や制度の改正、には対応していくということとともに、前回改定後の管理栄養士国家試験の出題状況も踏まえた項目の見直し、調整を行うこととしてはどうかと考えております。
主な論点(案)は以上でございます。
○加藤座長 ありがとうございます。
なかなか文章で見ると理解しにくいかなと思うのですけれども、簡単に言うと、世の中は変わってきていますので、これまでのように絶対解というか、正しい、間違っているという暗記問題だけではクリアできない問題がいろいろできてきているのだということで、論理的思考ができるということ、それと、きちんとそれをプレゼンテーションできる能力をこれから養っていく必要があるだろうと。そのための問題を考えていく上で、どういった問題、出題数の配分をするかということ、ここがメインなのだろうと思います。
順番に行きたいと思います。「1 改定に当たっての基本的な考え方」の(1)と(2)があるのですけれども、これに関してまず何か御質問、御意見等はありませんでしょうか。
恐らく(1)は出題数の配分等というのもあると思うのですけれども、後のほうで出てきたと思うのですが、基本的に応用力問題を少し増やしてはどうですかという考え方であって、大幅にほかのいろいろな科目を入れかえるという話には実際にはならないのだろうと思います。ただ、後ろのほうでさらに出てきたように、もともと管理栄養士の国家試験が150問だったのですね。それを200問に変えまして、さらに応用力を増やすからといって問題数をどんどん増やすというのは問題かな、学生の負担が大きいかなということで、200問というところは維持したいといった提案でございます。何かございますか。よろしいでしょうか。
では、「1 改定に当たっての基本的な考え方」を踏襲していただきまして、「2 改定のポイント」、今、ほとんど同じようにお話しさせていただいたのですけれども、こういったチーム医療などといった中で、先ほどもお話ししたように、論理的な考え方ができて、それをきちんと他職種にも説明ができる、プレゼンができるという能力を養うためにはどのような問題が必要なのか、どのような問題が適切なのかを先生方に考えていただこうということが書いてあると思うのですが、何か御意見はありませんでしょうか。
お願いします。
○石田構成員 1つ前のことにも戻ってしまいますが、論理的な思考等を見ていくときに、設定条件のある問題、最適解問題なども増やすということで、それを読み解く力を試すことになる、そういうことが必要だと思います。論理的思考という意味では、問題が何を意図しているかをきちんと読み取れるかということになったときに、それなりのボリュームのリード文ができると、それを読み解くためにかかる時間をどう考えて200問とするかが一つ課題かと思いますが、いかがでしょうか。
○加藤座長 これは塩澤先生、何か案があるのですか。
○塩澤栄養指導室室長補佐 先生がおっしゃるように、あらゆる情報から大事な部分を読み解いて、それを論理的に考えて最適解を探すプロセスは確かに大事だともちろん思います。一方で、これは管理栄養士国家試験というものでございますので、過度の長文など、それはさすがに管理栄養士の国家試験としては適さないかもしれないと思っています。ファジーな回答で申しわけないのですけれども、その辺はバランスを見ていただいて、適切に条件設定をしていただければと思っているのです。
ただ、論理的に考えるといったところをきちんと応用力試験などで問うこと、ここを充実させていくことは重要かと思っております。
○加藤座長 今の学生を見ていると、問題文が長いだけで初めから捨ててしまうみたいな、読みたくないという学生が確かに多いような気がしますので、先生の言われるように、時間内にできるかということですが、例えば時間をもうちょっとだけ延長するという話はないのですね。それも選択肢としてはあるかもしれないですが、これは私の個人の意見だけれども、事実上、応用力問題が10問増えたときに実際に時間がどれぐらい足りなくなるかということを考えると、余り関係ないかもしれないという気もするのですが、そうでもないですかね。そこら辺は考えていく必要があるのかもしれないと思いますが。
○石田構成員 科目横断的な問題を増やしていく中では、ある程度の思考を導き出すようなリード文にならないといけないわけですね。それは当然、長文ではいけないとは思います。適切な長さで作る必要があると思いますが、応用力系が増えるということは、今までよりも1問当たりの時間はかかると思います。
○加藤座長 武見先生、お願いします。
○武見構成員 今、応用力を担当している立場から言うと、多少時間は増えるかもしれないとは思うのですけれども、応用力は一問一問がばらばらではなくて、一つの状況設定の中で2問、3問つながっていく。そうすると、最初の状況設定を読む段階は、普通の1問からすると時間がかかってしまうかもしれないけれども、そこをちゃんと読み解けば意外と後は早かったりするような問題もあるのです。
だから、応用力の一つの状況設定で3問あったら、一概に全く普通のばらばらの1問と同じように掛ける3になるかというと、そこはまたちょっと違うので、多少は延びるとは思うけれども、一つ一つが全てそれだけ長くなるということでもないように、今は考えてやっております。逆に最初の状況設定で、そこのストーリーというか、つながりをいかにちゃんと全体像を把握できるか。その力を問えるような応用力問題になると一番いいかなと思います。
○加藤座長 お願いします。
○吉池構成員 主に応用力問題についてですが、前回10問から20問という御説明でしたが、それまでは複数の科目を合わせた問題ということで、今回のような形としては、実際には20問新設という意味合いが強いのかと思います。そうしたときに、出口のスクリーニングとしての出題という話と、こういう問題を出していけば教育そのものも変わっていくのだろうという意図もあったと思います。3回このような形で試験をしてみてのレビューというか、何らかの振り返りがあった上での議論ができるとよいと思うのですが、そういう場は今後どのような形になるのでしょうか。
○加藤座長 先生、これは応用力問題が増えたということに対してという意味ですか。
○吉池構成員 そうですね。3回試験をして、当初の意図どおりにうまい方向に進んでいるのか、それとも、そうではないのかということを多少振り返らないと、それをもっと多くするとかという話はできにくいように思うのです。
例えば、今、おられる先生方にお聞きするのも一つかと思うのです。ああいう問題が出されるようになって、教育そのものが変わったとか、変わりつつあるとか、そういうところはいかがなものでしょうか。
○加藤座長 どなたか御意見はありますか。
先ほど武見先生がお話しされたように、これまでの応用力問題というのは本当に独立していたのですね。3問あるけれども、3問ばらばらの問題で、しかもほとんど絶対解という問題だったのですが、昨年、20問のうちの17問は最適解という非常につながりのある問題になってきているということで、これは本当に応用力問題を作っていただいている先生方の御尽力だと思うのです。
学生にとっては、かなり考える内容の問題になってきているのだと、今、国家試験に直接関わっているのですが、そのような印象を非常に受けています。これは教育でどこまでどうなったかというところの判断は、今のところは実際には難しいと思うのですけれども、少なくとも学生にとっては思考力というか、考えなければできない問題になってきているのだなと。ただただ寄せ集めの問題が3問あるだけではないのだという印象は受けているので、今、提案させていただいているみたいに、応用力問題というのは学生がこれから現場に出てというか、社会に出て働いていく上での思考力とかということを考えると、必要な問題なのだろうと。問題を解くための時間がどうなのかというのは、余り変わらないのではないかという武見先生の意見もありますし、石田先生の意見もありますし、考えていく必要はあるのかもしれません。
お願いします。
○髙地構成員 応用力試験の正答率が、ほかの分野に比べて高いとか低いとかということはあるのでしょうか。
○加藤座長 よろしいですか。
○田中栄養管理係長 何をもってほかの科目と比較するかというのも難しいところではあるのですが、応用力試験が突出してとか、そのように説明するのはまだ難しいかなと事務局としては考えております。
○加藤座長 科目ごとに違っていましたけれども、去年のだけ見ると、比較的同じぐらいでしたね。7割かそこら辺ぐらいで、ほかの科目も大体そのぐらいというところであったのではないかと思うのですが、武見先生、そうではなかったですか。
○武見構成員 すみません。そこの数字までは余り覚えていないのですが、特段応用力がすごく悪いとか、そういうことはなかったような記憶なのです。
○石田構成員 そんなに突出してできないということはなかったとは思います。
○加藤座長 ほかの先生方、自分の大学でいろいろ教えておられて、この応用力問題に対しては学生からいろいろ御批判もあるでしょうし、賛同意見もあるのかもしれませんけれども、どのような印象なのかを一言、二言お答えいただけるとありがたいのですが、どうでしょうか。
羽生先生、いかがですか。
○羽生構成員 特にうちの学生が応用力試験に関して何かコメントするというのは余り聞いたことはないですけれども、こういう形式は国家試験の中で必要だと思いますし、医師国試もこういうタイプの問題は、一定はふえつつあるように思います。記述をしないので、4択、5択の中で思考力を問うという意味でいうと大切な問題かと思っています。
実際上、私どもの大学院の入試も、修士課程の入試もこの応用力の形で出す。それは自由記述ですけれども、そのようにしていますので、方向としてはこのような問題が国家試験にきちんと入っていくのが望ましいのかなと思っています。
○加藤座長 ありがとうございます。
置村先生、臨床などは結構応用力のほうにたくさん入っていると思うのですが、先生が見られて思われることはありますか。
○置村構成員 学生からはそういう話を聞いたことはありません。同じところに勤めております教員が言いますのには、応用力試験が全体の中では難しいというよりも、ほかの科目が易しくなってきたねという発言は聞かれます。
○加藤座長 私は応用力が難しいというより、学生が長い文章というか、長くないのですけれども、文章を読むのが嫌だという印象を実は受けていて、ほかは本当に一問一答のある意味わかりやすい問題ですね。
今の議論をしていますと、応用力問題そのものが出てくることに関しての御異論は余りない感じなのですけれども、時間と言われると苦しいですけれどもね。例えば応用力を増やしたらどうかというところで話を進めていく中で、どれだけ増やすかというところもあると思うのですが、実際に例えば5問あるいは10問応用力問題が増えるということになると、きっと問題としては3問か4問ですね。2問か3問か。そうすると、時間的に随分問題になるのかなというところはいかがですか。
藤岡先生、どうですか。
○藤岡構成員 この1年半は国試からは離れているものですが、まず、うちの学生の今年及び去年、特に今年の反応は、意外とできたのだけれども、試験を受けて解答が出てくるまでは合っているのかどうか自信がない。実際にあけてみたらまあまあとっていたということで、ちょうど先生の意図が伝わっていたと私は感じたのです。
実はこの1年、ずっと国試を見直してきた時期があるのですが、やはり向いている問題、向いていない問題で、その選択が、先ほど吉池先生がおっしゃいましたように、総括ではないですけれども、これまでの流れから、応用力問題は今後どうしていくのか、反省といってはおかしいですけれども、振り返って応用力問題に適している問題をしていくというのが今後の方向ではないかと私も含め周りの教員は言っているのです。順番にこの問題をこうしましょうというよりは、応用力問題に適している分野をある程度確立していくほうが勉強するほうも、あるいは現場の実際の病院とか事業所などの人間も、学生に指導していく上でここは大事だということをアピールする上で、そういう意味でこの応用問題にかける時間というよりは、分野をある程度絞っていくほうがいいのではないかと私は思います。
以上です。
○加藤座長 ありがとうございます。
確かに先生のおっしゃるとおりで、実際のものを見ると応用問題になっている問題は自然とそういう方向に流れているのですね。だから、何から何まで応用力になっているという話ではなくて、確かに応用力問題、これはできそうだなというものと、絶対解しか無理だという問題も多いと思いますので、そういうものは難しいのだろうと思います。
塩澤先生、お願いします。
○塩澤栄養指導室室長補佐 先ほど、応用力試験を増やすことによって時間が長くなるのではないかという話があったと思いますけれども、この検討会では、では、何分にするという議論というよりは、多少時間が結果的に長くなるかもしれないとしても、今後どうあるべきかという観点から、どのような問題であるべきかを中心に御議論いただく。1問当たりの時間を何分にするかというのは、この検討会ではなくて国家試験の具体的な内容を決める出題依頼会議などで御議論いただいて、その出題依頼の要綱に落とす流れになりますので、そこでの具体的な議論の中で1問当たり何分ぐらいにしましょうということで調整を図ればいいのかなと思っております。この場では余り過度に何分というのをイメージせず、御議論をお願いしたいと思っています。
○加藤座長 ありがとうございます。
私の不手際でそのようなところまで行ってしまいました。まず総論的な話で、やはり応用力が必要だ、あるいは必要ではないといったところから話を進めていかないと、時間がないからやめましょうという話になると本末転倒だと思います。
そうしますと、まず、2の(2)科目横断的な事項というところで「具体的には」というところがあるのですけれども、応用力試験を増やす方向で行ってはどうかと。問題は、200問をとりあえず維持しようといった御提案なのですけれども、このあたりについては具体的に何か御意見はありますでしょうか。
お願いします。
○神田構成員 そもそも増やすことよりも、今のものを維持するという考え方もあるのではないかと。
○加藤座長 応用力問題を増やす必要がないということですね。
○神田構成員 確かに大事な思考力を問う問題ではあるとは思うのですけれども、一方で基礎力があっての応用力かなとも思いますので、学生を指導していく上では基礎力をしっかり身につけてほしいというのがありますので、基礎力も大事かなとは思います。あえて応用力を今の20問から増やすことはどうなのかと思います。
○加藤座長 お願いします。
○赤松構成員 応用力を担当して4年になる赤松です。
応用力試験はセッティングがあって、ストーリーになっています。その中に基礎的な問題も欲しいと思うのですが、今、実際にやっている委員は、私も含めて応用系の実践栄養学に強い委員が集まっています。例えば給食経営に関する問題の中に、最初に食品学の基礎的な問題があってから、応用的な問題に移っていけたらいいのにと思うのですが、私たちの頭では考えられない現状があります。応用力試験の中にも、基礎もわかる先生に入っていただいたりとか、御意見をいただくことによって、そのストーリーがもっと深くなって、基礎から応用につないだ応用力試験ができるのではないかと思っています。
○加藤座長 お願いします。
○吉池構成員 例えば社会・環境と健康について、前回4年前のこの会議で、統計的な事柄について科目の中のリストに入れてはどうかという話はあったのですが、入れられませんでした。結果的に特にガイドライン上は明示されていないのだけれども、応用的な展開の中でのアセスメントに必要な基礎的なことなので、応用力問題の中に、必要な事項と考えられれば入れることができるということになります。統計的なことが単発の知識として、問題のための問題として出されるよりは、あるセッティングのところでどうするのという結びつきがある中で、場合によっては絶対解の問題も入っていいと思います。
そういう意味では、今、20問ですけれども、より応用力的なセッティングを示して、基礎的なものも含めて問うことは、もし作題でき得るのであれば、そういう問題を増やす方向でいいのではないかと思っています。
○加藤座長 武見先生、お願いします。
○武見構成員 全く同意見です。応用力試験が増えるというか、ある一定量を占めるというのは、管理栄養士はそういう物の考え方ができなければいけないということを示していることになると思うのですね。そういう意味では、その中に基礎の部分を問うものがもちろんあっていいと思いますけれども、状況設定とか個人のアセスメント、そういうものをきちんと踏まえて、それをどう評価しどう展開してという、そのつながりを理解することこそが大事です。
これは学生だけではなくて、私は教える教員にも関係あると思っています。教える教員は自分の科目しか教えられないですけれども、他教科とのつながりが十分にわかっているわけではない。この点の問題を教育の中でも変えていかなければいけないと思いますが、管理栄養士が何を求められているかを示すには、この割合は結構大きなことだと思うので、もう少し増やしたほうがいいと思っています。
○加藤座長 バランス感覚なのだろうと思うのですけれども、神田先生が言われるように応用力は基礎力がなくてはできないのですが、基礎力をわざわざそこで問わなくても応用力で問う考え方もあるのだねという意見が多いようなのです。確かに応用力問題を解くための基礎力は必要になってくるという考え方をすることもできるのではないですかという御意見ですが、先生、何かあるでしょうか。
○神田構成員 それについては賛成です。
○加藤座長 あと、こちらのほうの先生から余り御意見がないのですが、弘津先生、どうですか。
○弘津構成員 これはお尋ねですけれども、以前は応用力問題以外の分野においても最適解を問う設問をつくってはどうかというお話があったと思うのです。応用力問題でしたら、確かにある一つのストーリーの中で、最終的に最適解を選ぶと思いますが、分野ごとにおいても最適解の設問を出せばそこで考えることができてくるので、それはどのようにお考えなのでしょうか。
○塩澤栄養指導室室長補佐 それはおっしゃるとおりで、現行も単発の科目で最適解がだめとは一つも申し上げていないので、そこは今までどおりにしていただきたいのです。ただ、一方で、先ほどから先生方からお話が出ているように、絶対解、最適解、両方を含めたある一定の状況設定の中で組み立てて考えていくことも大事で、複雑なものは個々の科目で問うのが構造的に難しい状況もありますので、単発でも考えられる最適解型というのは個々の科目で設定して、一方、複雑というか、いろいろな状況設定というのは応用力で問うといった組み立てにしてはどうかと思っております。
○弘津構成員 わかりました。ありがとうございました。
○加藤座長 そうですね。先生もよく御存じだと思いますけれども、なかなかたくさんの文章を普通のところでは書けませんのでというところもあると思います。
新田先生、いかがですか。
○新田構成員 先ほどの応用力の前に基礎的なものも問うという形に賛成いたします。
○加藤座長 ありがとうございます。
曽根先生、お願いします。
○曽根構成員 私もずっと社会・環境と健康を担当しておりますけれども、法律とか制度に関しても、いろいろ苦労して問題をつくっています。むしろ応用力試験においてある設定の中で、そこから派生するとても重要な事項として制度や法律ということを出したほうがより自然なのかなと思いますし、変な問題などを避けることができるのかなとも感じております。
○加藤座長 ありがとうございます。
かなり集約してきていると思うのですけれども、応用力問題を増やすことに関しては、ほとんど先生方の賛同を得られていると思うのですが、その中で作り方というのは一つあるのでしょうね。基礎力を問うような問題も応用力に入れてつくっていこうと。
先ほど藤岡先生が言われたみたいに、作りやすい問題と作りにくい問題というか、科目というのもあるので、そこが次の問題になると思うのですが、恐らく応用力問題をふやせばどこか減る科目が出てきますので、その減る科目というものは作りやすい科目のところから減らしていただくことなるのだろうと思うのです。私のところの科目は応用力に回しやすいよという科目もあると思うので、先生方に考えていただくときに、そういうことも含めて進めていったほうがいいですか。
○塩澤栄養指導室室長補佐 観点は重要だと思うのですけれども、今日、具体にそこを御議論いただくよりは、次に向けて各科目でお考えいただくわけですが、その過程の中でいろいろお考えになると思いますので、第2回で具体的な御議論をいただくといったことでいかがでしょうか。
○加藤座長 そうですね。そうすると、今日先生方にお帰りいただくときに、うちの問題は2問ささげますとか、3問ささげますとか、そういう話に実際にはなってくるかと思うのですが、例えば応用力問題を何問にしようなどという話はどうですか。そのあたりは大まかな数字はつけておいたほうがいいですか。
○塩澤栄養指導室室長補佐 それもできましたら、次回に具体の御議論をいただけないかと思っております。
○加藤座長 では、ちょっと先生方にも考えていただいて、応用力問題を少し増やす方向で進めていきましょう。今、20問ですから、3問ないしは2問がめどになっておりますので、25問か30問ぐらいに実際にはなるのだろうと思います。そのあたりで22問とかと言われても困りはしないのですけれども、それはないかと思いますので、そのあたりで御検討いただいて、先ほどもお話ししたみたいに、うちの問題からは3問ぐらい提供できるのではないかというような話になってくると思います。これまでには臨床と人体と食べ物ですか、そこから少しずつ出していただいた経緯があると思います。
そのほか、何か今の議論について、応用力問題のあたりについての御意見がありましたら、お願いします。
お願いします。
○武見構成員 そういう意味でいうと、今のガイドラインの31ページにある応用力試験の具体的な項目とか中項目の表現を、もう少し変える必要があるのかなというところが大きいと思います。A、B、Cは実際に問題作成をやっていると必ずしもこのように分かれているわけではなくて、これまでの4年間の実績を踏まえた、本当にこの担当になった人が問題をつくれるような表現に変えたほうがいい。31ページの見直しは必要かなと思います。
○加藤座長 そうですね。応用力のほうをつくっていませんので、ここでワーキングというか、少し選んで、その人たちに応用力も一緒に考えていただくのがいいですか。
お願いします。
○藤岡構成員 先ほどの続きで、また概念的な話で申しわけないのですが、先ほど申し上げましたように、非常に言いにくいのですけれども、今までの問題をずっと見直して、いい問題と、これはちょっとやり過ぎだなとか、これは普通の問題にしたほうがよかったなというものも正直あると思いますので、こういったタイプの問題をこうつくろうというある程度のひな形といいますか、それがガイドラインの意味合いになると思うのです。もちろんその中で各論としていろいろ練っていくのはいいと思うのですけれども、ある程度そういう形でつくっていったほうが、勉強する側も教える側もやりやすい、勉強していきやすい、指導しやすいと思います。これまでの中でこういった問題が一番いいだろうというものをリストしていただいたほうがいいと私は考えます。
○加藤座長 ただ、それは問題作成委員のほうで今までの問題を検討していただいて、その方向性をつくっていただく、そちらにお任せするほうがいいのではないかと思うのですね。
○藤岡構成員 それで、武見先生もおっしゃいましたように、先ほどのこのガイドラインにもある程度はそれを入れてもらったほうが、これを見ますと、A、B、C、ほとんどこれだけということになってしまいますので、このガイドラインを改定する上では、その辺を盛り込んでもらったほうがいいかと思ったのです。
○加藤座長 どうですか。
お願いします。
○塩澤栄養指導室室長補佐 ここでの御議論では、具体的にこの問題がいいですよねという議論よりは、もう少し上段といいますか、そもそも骨格としてこういうことは習熟度の確認として少なくとも問うたほうがいいのではないかという御議論にしていただければと思っております。問題を作成するときには、どういう過去の質問がいいかをお手本にするのはそのとおりだと思いますけれども、逆にある固定の問題を出してしまうとそれに引っ張られてしまう面もありますから、抽象的かもしれませんが、そういう進め方にしていただけないかと思っております。
あと、先ほど武見先生から、応用力の現行の内容、整理も多少変えたほうがいいのではないかという御議論をいただきました。そのとおりだと思います。また、今日の御議論の中で、最適解型を作りやすい科目のみならず、基礎系のものも取り入れたらどうかという御議論もありました。
それを踏まえますと、ある意味、どの科目も応用力としてこのようなことを問うべきではないかという御議論をいただきやすいかと思いますので、できましたら、今日、こちらにいる先生方におかれましては、それぞれの持ち分の科目に加えて、現行のガイドラインにある応用力試験の組み立てについて、できれば次回までに御意見を寄せていただけないかと思っております。そして、先生方の御意見を踏まえて、事務局で改定案を考えてお示しして、また先生方に御議論いただくといった流れにできればと思います。そういった応用力の進め方について、いかがでしょうか。
○加藤座長 いかがでしょうか。私個人的なことを言えば、ある程度ざっくりしているので選択肢が広がっているという見方もできるのだろうと思うのです。余り細かいことをここで書かれてしまうと、なかなか作るときに手かせ足かせになってしまうところもあるのですが、藤岡先生が言われるみたいに、もうちょっと具体的なというところもあるかもしれません。
今、御提案いただいたように、少し御自分の科目単位から、このような感じだったら応用力問題に発展させていくというか、作ることができるのだといった、ここの大項目、中項目を少し変えていただけると、あるいは追加していただけると動きやすいのだという御意見を自分たちの科目とともに一度お考えいただく、それで事務局に提案いただくという形でお願いしたいと思うのですが、よろしいでしょうか。大変難しいのかもしれませんが。
そうしましたら、資料4の2枚目のところですが、もう一つ(3)というものがありまして、出題の狙いについては国試で問うべき主要なものとされ、その狙いに沿って内容(項目)も精査されていることから、今回の改定では、関連法規や制度改正というものが、これまで行われていると思いますので、その制度改正や法整備、これに沿ったものに少し変えていただく必要があろうかと思います。
それと、新しい言葉もどんどん出てきていると思いますので、それぞれの科目の中で必要な言葉も出していただきたいと思いますし、同時に言葉の整理、にわかに思いつくわけではないのですが、例えばガイドラインのほうでは「フレイルティ」という言葉を使ってあるのですが、もう厚労省でも「フレイル」という言葉を使い出していますので、これは臨床とか人体の構造のところだと思うのですが、そういった言葉の統一をしていただくことも必要になってくるかなと。ほかの分野もあるのではないかと思います。
ここでは少し先生方に、これは入れておく必要があるのではないかという項目などがもしありましたら、言っていただけるとありがたいです。思いつくままで結構です。
お願いします。
○羽生構成員 今、私も人体のところで問題をつくらせていただいているのですけれども、毎年問題になる用語なのですが、実際につくっていまして、この用語が国試の中でどのように運用されてきたのかということで、かなり時間をとるのです。CTとかMRIにまだ括弧をしてどうのこうのが要るのかどうかで、いつも過去問題を調べていただいて、それもまた結構ばらばらだったりする。なので、せめて本来は医療系の国試はみんな統一用語になったらいいかなと思うのですが、そこまでいかなくても、この国家試験だけでも標準的な用語はこれだというのを、用語集をつくっていただければ、そんなに難しい作業ではないように思うのですが、いかがでしょうか。
○加藤座長 先生、例えば略語という意味ですか。
○羽生構成員 略語もそうですし、「フレイル」とかをどう言うとかもそうですし、このガイドラインの改定に伴って、この4年間は少なくとも国試ではこの用語を使いますみたいなことがあれば、私たちも一々過去に当たる作業もかなりなくなりますし、それは作っている委員の間から切実な要望としてあります。
逆に、ここがガイドラインとして出すと、恐らく教科書などもそれに準じてきますので、定着度もかなり上がるのではないかと思うのです。
○加藤座長 大変前向きな意見でいいと思うのですが、そこをガイドラインで出していただいて、例えば「フレイルティ」は今「フレイルティ」でつくっていますので、「フレイルティ」は「フレイル」にしていただく。ただ、人体のほうと臨床のほうで合わせていただくということをして、このガイドラインで共通用語にしていただく形が現実的ではないかと思います。用語集をつくればいいのですが、4年に1回改定することはまず不可能ですので、ガイドラインの先生方が、今はこの用語を使うのだという用語を確定していただくというのでどうですか。よろしいですね。そのほうが現実的だと思いますので、それで何とかよろしくお願いしたいのですが。
あとは何かありますか。
お願いします。
○藤岡構成員 ついでに、私も「フレイル」を使うべきとは思っているのです。ただ、また「フレイル」とは違う用語のときは、例えば論文や学会では使っていないなどがありますね。「フレイル」はあくまでも日本の行政とか現場では使っていますけれども、論文にするときにはそれはまだ使えないので、私が言いたいのは、要するに、ダブルスタンダードをあえて認める形でよろしいのですね。
○加藤座長 今までの流れでは、基本的に厚労省が出している文書は厚労省の文書に従っていますので、論文はまた論文なので、そのまま持ってくるのはなかなか難しいですね。「フレイル」そのものは老年医学会が前面に押し出している用語として。
○藤岡構成員 ただ、英語の論文に「フレイル」はまだ何のことだとなってしまいますので、要するに、私が言いたいのは、ケース・バイ・ケースで対応していこうでよろしいのですね。
○加藤座長 このガイドラインで文言は決定していただくというのでいいのですね。
○藤岡構成員 例えば、これまでですと「トリグリセライド」は、人体では「トリアシルグリセロール」、基礎では「トリグリセリド」、これはもうこれでいこうとなってきていたはずですし、ケース・バイ・ケースで、詰めてもできないということで、このままでいいのですね。
○加藤座長 それは私は個人的には本当は統一したいです。めちゃくちゃ統一したいのですが、いつもそれをやると、人体の先生方は、人体では「トリアシルグリセロール」だと言われて、臨床では「トリグリセリド」だと言うので、結局、どの先生が委員長をやられてきたときも統一できませんでしたが、これを機会に統一するというのは非常に画期的でありがたいと私は思っています。多分、分かりにくいですね。学生は別のものがあるのではないかと思ってしまうかもしれないと私は思っているのです。
○藤岡構成員 「フレイル」でいくとなったら、とりあえずそのようにケース・バイ・ケースで使い分けろということになってしまいますけれども、それはよろしいのですか。
○加藤座長 お願いします。
○塩澤栄養指導室室長補佐 先ほど話がありましたけれども、論文というレベルと、ここで、例えば学校を卒業してすぐに現場に入られる方、その医療現場や介護現場で使われている用語で仕事をしていく上で求められるものは、必ずしも一緒ではないというケースもあるのかなと思います。
そこは適宜対応していただきたいと思うのですが、今回、お願いしたいことの一つとしては、まず現行のガイドラインをよく御覧いただいて、ここに出てきているようなレベル感の用語に関しては、まずできるだけ現状、言葉の使い方でそご、違いがあるものについては、ぜひ統一化を図っていただけないかと。そういう意味でも、科目間で御議論いただけないかということがまずお願いでございます。
それを考えていただくに当たって、一方、日常、現場などで通常使われている用語と余りにも乖離があるようなものについては、また御再考いただくのも重要かと思いますけれども、そういう観点で御議論いただく。ここにも載ってこないようなレベル感のものは、今回の検討対象にはならないと思いますので、そこは御議論いただく必要はないのではと思っております。
○加藤座長 ありがとうございます。
お願いします。
○吉池構成員 今の話とは違う話で、先ほど資料4の2で、各科目別のところで御説明をいただきましたが、確認です。狙いについては、もうこのままでほぼ行きましょうということでよいですね。そのペーパーのところで、狙いに沿って項目も精査されている、すなわち、前回もう十分やったから、余りここはいじらなくてよい。前回かなり少なくしたように思うのですが、同じような観点から、一生懸命少なくしようという作業は今回するのかしないのか。そこの確認をお願いします。
○塩澤栄養指導室室長補佐 基本的には、今、おっしゃっていただいたとおりで、これまでかなり項目で精査はされていると思いますので、言葉にそごがあるとか、明らかにこれが足りない、あるいは制度が変わったとか、そういうマイナーチェンジみたいなものを基本的にやっていただくのが、今回、我々としてお願いしたいと思っている案でございます。
最初の1番のところでも触れましたけれども、今回はマイナーチェンジはやっていただきつつ、全体の、先ほど応用力試験の話がありましたけれども、そういった科目横断的な事項というものをむしろ主に見直しを図っていけたらいいのではないかと思っておりまして、この資料4のペーパーをつくらせていただきました。
○吉池構成員 各項目は出題の項目と言いながらも、やはり学んでほしいことという頭があるので、例えば社会・環境と健康では、公衆衛生の歴史というものがあるのですね。歴史は別におろそかにするつもりはないのですけれども、現在からの文脈の中で何らか歴史的なことを問うのは必要かと思うのですが、歴史だけの問題というのが果たして必要かといったときには、歴史は現在を理解するためには学ぶべきことだけれども、あえて出題基準から落とす。そのような考えは今回余りしなくてよいでしょうか。
○塩澤栄養指導室室長補佐 そこは絶対にこうしてくださいというのはなかなかここでは申し上げられないので、そういったお考えを第2回に寄せていただくのは、別に差し支えはありません。ただ、今回重要なのは、資料4の大きい2の(1)(2)にありますけれども、こういった今後の方向性の基本認識ですとか、それでより具体的に求められることとか、そういったことも照らして適宜取捨選択をしていただく観点で御意見をいただいて、そして、第2回での御議論となればいいかと思っております。
○吉池構成員 ありがとうございます。
○加藤座長 出題委員会での議論になるのだろうと思うのですけれども、歴史が書いていないから歴史は全く出てはいけないという話にはならないという理解だと思います。だから、その歴史がここに書いてあることから問うのに必要であるということであれば、それは出題委員会のほうでこれは必要だと書いていただかないと、例えばがんのことを出すというときに、全部の臓器のがんの名前を書いておくかというと、そういうわけではありませんので、その辺は出題委員のほうで考えていただければいいのかなと理解しております。
あと、先生方でこのようなことはということがありましたら、お願いします。
武見先生、お願いします。
○武見構成員 今のガイドラインの中で何を示しておくべきかという話は、ガイドラインはあくまで教育の成果を問うということで理解しているという意味からいうと、何を教えなければいけないかとイコールではない話ですね。そうなったときに、この資料3の中のスライド15のところで、国家試験のガイドラインだけが国のものだからという言い方でいいでしょうか。これがいわば教える内容になってしまっているところが、管理栄養士の教育のあり方の問題点だと思うのです。
今、日本栄養改善学会でモデル・コア・カリキュラムの検討をさせていただいていますが、逆に言うと、ガイドラインにはないけれども、コアカリに入るものがあっていいわけです。そこの整理がしっかりできるようになれば、多分、吉池先生がおっしゃったようなこととか、加藤先生がおっしゃったようなことも、大枠ではコアカリには入っているけれども、細かく問う内容としてはそれが一見見えない形になっていてもいいということがあり、そこの整理がしっかりできればいいのかなと思います。
○加藤座長 ありがとうございます。
個人的に臨床栄養のほうで先生にお願いしておきたいのは、社会・環境のところには倫理のことがあって、人を対象とした研究の倫理指針というものがあるのですが、今、臨床現場に出ていく人も多いので、臨床栄養のほうで少し臨床倫理というのですか。守秘義務とか、そういうものも含めた、そのようなことは少し言葉としてガイドラインの中に入っていかないと、こういった御時世なので問題かなというのを個人的には思っています。
それと、ここの本文にも出てきたのですが、どちらかというと保健師さん側の話かもしれないけれども、地域診断などというのはどうですか。
塩澤先生、何か一言お願いします。
○塩澤栄養指導室室長補佐 地域の特性を捉まえて、そして、どうアプローチしていくかというのは、これまでも多くされていることと思います。具体的にはどちらかというと今の科目では公衆栄養かと思うのですけれども、もちろん公衆栄養を考える前提として、その地域、栄養のみならず、周りの環境、周辺情報なども含めて捉まえるというところ、このあたりがより具体にガイドラインで見える化できればいいのかと思っておりまして、それでちょっと提案をさせていただいております。どの科目にそれを明示すればいいのかというのは、むしろ御意見をいただければと思いますが、いかがでしょうか。
○加藤座長 社会・環境が一番影響すると思うのですが、試験問題としては非常に作りにくいというか、今まで実は応用力問題ではよく似た問題が私は出てきているのではないかと思うのですけれども、国の施策に加えて地域の特性ということがあるというので、地域に国の施策も含めて落とし込んでいく作業が要るのだといった内容だと思うのです。言葉としてそういう言葉があってもいいのではないかという塩澤先生の御提案だと思いますが、そのあたりも社会・環境だけではなくて、いろいろな科目のところで少し御検討いただければということをお願いしたいと思います。
何かほかにそういった項目でこういったことはどうですかということがありましたら、御意見をいただけるとありがたいのですが、いかがでしょうか。
お願いします。
○合田構成員 これとは離れるかもしれないのですけれども、栄養素の扱いについて御意見をいただきたいと思います。前回、栄養素の順番を食事摂取基準に合わせてたんぱく質から始めたのです。食事摂取基準における考え方は基本的に重要だと思います。ただ、それを実際に教科書を作ったり、あるいは現場で教えるほうでかなり混乱があって、生化学でありますとか基礎栄養学の場合には、体の中で食事をしたときに何が起こるかから始まるので、たんぱく質栄養から始まると非常に難しいことになります。教育の仕方が大変難しい。
ですから、本来、我々は実際に教科書を逆転しながら教えているのですが、でも、教科書を作る側からするとガイドラインは非常に重要な並べ方をしているので、それに沿った教科書に大体なるのです。それを幾らそうではないと言っても、教科書を作る側はなかなかそれが理解できない。そうすると、全てどの科目もたんぱく質から始めるというのは行き過ぎではないかと私は思います。ここは炭水化物、脂質、要するに、管理栄養士の場合には、何をどれだけ食べて体の状態がどう変わるか、インスリンの分泌によって体がどのように変わるのかということが基本的にないと、たんぱく質の栄養はその後の話ですから、そこのところは少なくとも生化学と基礎栄養学の分野は糖質のとり方によって体が変わるというところが明確に、最初の一番重要なポイントとして出すべきではないかと私は思います。そこのところを食事摂取基準に合わせて全て一律にするというのは、私は行き過ぎではなかったかと思いますが、御意見をいただきたいです。
○加藤座長 食事摂取基準から合わせてあるのですか。それは私は存じ上げませんでしたけれども、多分ガイドラインをつくられた前の先生がそういった順番にされたのですね。余り食事摂取基準がどうのという話はないので、先生が言われることがもっともかどうかも私はよくわからないのですが、その辺は先生たちが関係するところというと、基礎栄養と生化学ということですか。そのあたりでの順番が、恐らく2回目にはもう少し具体的に出てくるのですね。
○塩澤栄養指導室室長補佐 そういう並びも含めて全て御意見をいただければと思います。
○加藤座長 今のうちに意見を言っておいていただくというか、次回ですね。
○塩澤栄養指導室室長補佐 次回までに出していただければと思います。
○加藤座長 その意見をもとに資料を作りますので、その資料を見ていただいて、またこれはこうではないかという話になると思います。
ほかに何かありませんでしょうか。今日のこの議論だけではなくて、これからもっと中長期的に国家試験を見たときに、こういった方向、すぐに今回できるかどうかは別にいたしまして、こういったことも考えておかなければいけないよと。先ほど藤岡先生や羽生先生から出てきているのですが、長期的な展望に立った御意見も含めて何かありましたら一緒にこの場で。
赤松先生、お願いします。
○赤松構成員 長期的かはわからないのですが、先ほど加藤先生が臨床のほうで倫理のことをコメントされました。それを考えると、利益相反、すなわち、COIもあってもいいのではないかと思います。どこかに小項目で入っていたらと思いました。
○加藤座長 どこの担当かというのはなかなか難しいのですが、学会発表をするときに、今はほとんど要りますものね。COIは書いておかないといけないのですが、どこに入るのですかね。
○赤松構成員 社会・環境と健康でしょうか。
○加藤座長 社会に入るのですか。人に関する研究のあの辺の倫理項目ですね。研究倫理というものと実際に臨床での倫理というのはちょっと違うような感じがしますので、そのあたりは少し御考慮いただければと思います。
ほかに何かありませんか。
お願いします。
○塩澤栄養指導室室長補佐 先ほど倫理に関する御意見を加藤先生からいただきましたが、確かに臨床という場面で倫理というのは不可欠なものと思う一方で、臨床という場面だけでいいのかという構造的な問題ですけれども、もうちょっと広い倫理もあるとか、いろいろな御意見もあるかもしれないので、もし倫理を入れるということであれば、場所が本当に臨床の場所でいいのか、あるいはそのほかの場所がいいのか、そのあたりもできれば御議論いただけるとありがたいと思います。
○加藤座長 おっしゃるとおりです。今、社会・環境と健康のところには、研究倫理という形で文科省と厚労省が出したのが小項目のところに入っていますので、その倫理をどのように教えるのかという話はまた別なのですけれども、最低限知っておかなければいけないことというものを臨床も含めてお考えいただきたいという意見で、臨床に入れろという意味では決してありません。今のCOIも含めて、社会・環境も必要ですものね。
○吉池構成員 今はあくまで疫学研究という文脈で書かれているのですが、そもそも公衆衛生的な介入そのものの倫理も含めて、幅広く社会システムにおける管理栄養士としての倫理ということで、もう少し大きな項目にしなければいけないかと感じております。
○加藤座長 ありがとうございます。
そのほか、何かありませんでしょうか。
大口先生、お願いします。
○大口構成員 先ほどの合田先生の話にも関連しますが、基礎栄養学に関して言えば、ガイドラインの流れで授業をしようとか、教科書を書こうとか、シラバスを書こうとなると、違和感があります。そのため、先ほど合田先生が言われたように、実際はいろいろと自分で変えたりして流れをつくってやっています。
ガイドラインの流れというのは、何を最優先して作るべきなのか。例えば私たちが授業をやる上で、こうやって流れていけば学生が一番理解しやすいのではないかということがきっとあると思いますが、それとガイドラインは別物なのか。それとも、そういうところをある程度加味してつくっていいのかというところです。基礎栄養学のガイドラインは、キーワード的にはそんなに変わらなくても、流れを変えるだけでがらっと変わってくる気がするのですが、そういうところは余り考えてはいけないのかどうかということです。
○加藤座長 建前を申し上げますと、ガイドラインで授業していただいては困るというのが正論そのものだと思います。ガイドラインで教科書を作るなと逆に言いたいのですが、実際にはガイドラインで作られてしまうので、そこは順番がどうのというより、この項目ではこういったことが問われるのだよということがガイドラインでは並べてあるので、その順番を先生方がこういう順番のほうが学生が理解しやすいのではないかということで変えることに関しては、御議論いただいて変えていただくことは大丈夫なのだと思います。
そもそも授業の順番でという話を先生がされると、この場ではこれは授業の順番の話ではないですという答えになってしまうし、教科書もこれでつくっていただく話ではないという建前論になってしまいますので、そこはそこを考慮して、先生方が順番を、学生があくまで理解しやすいというところで変えていただく形ではいかがでしょうか。
ほか、何かよろしいでしょうか。
お願いします。
○曽根構成員 先生方に伺いたいのですが、資料4の「2 改定のポイント」の(1)のマル2のところで、「チーム医療・介護がますます進むと推測される中」の2つ目のポツで「それを他(多)職種との連携の中で論理的に提案できるか」の、この「他(多)職種との連携の中で」を、国家試験の問題に、ガイドラインにどう生かしたらいいのかというところを伺ってみたいと思います。
○加藤座長 先生、直接には生かせないのでしょうけれども、そういうことができるような管理栄養士を育てるためにどんな問題をつくったらいいかという形で考えないと、これそのものが問題になるというようには。
○曽根構成員 問題というか、言葉として文言がガイドラインにどのように入るのかどうか。
○加藤座長 お願いします。
○塩澤栄養指導室室長補佐 御覧いただいている資料4の今、御指摘をいただいたところは、方向性に関する基本の認識ということでございますので、こういった視座のもと、例えば応用力の中で問うとか、それはケース・バイ・ケースだと思いますけれども、こういった観点から適宜問題を考えていただく。もちろん、もしも他職種に提案するような問題がつくれたらそれはそれでいいのですけれども、それをガイドラインの中に入れるとかという話ではございません。
○加藤座長 お願いします。
○曽根構成員 例えば問題の範囲として、他職種はどういう役割なので、その中で管理栄養士はこういう役割を担うというような、他職種の役割も含めたところも守備範囲になるということなのですね。
○加藤座長 先生、具体的には今までの問題も直接この仕事は誰の仕事だという聞き方の問題はないのだけれども、これは管理栄養士の仕事かどうかという聞き方の設問は出ていますね。ということは、それをやれば、結局ここは管理栄養士の仕事だということの理解になっていく。ただ、それをガイドラインの中に、この職種の仕事が何かという話で入れるのは非常に不自然な形になるのではないかと思いますので、そのあたりも先生方に御判断していただいて、原案をつくっていただくということでよろしいのではないかと思います。
時間も押してきているのですけれども、まとめさせていただくと、また御意見をいただければいいのですが、今日のこの時点でのある程度の方向性といたしましては、1番目に応用力問題をどうするかというところに入ったと思います。応用力問題に関しては、少し問題の数を増やしていこうという話ですが、自分のところの科目から応用力試験に回していくことが可能だよということも含めて、大体どのぐらい増やしてみようとか、どのぐらい自分のところは減らしていこうかということも含めて考えていただくということで、まず1点目、よろしくお願いいたします。
2点目は、先ほど出てきたように、新しい法律ができてきている、あるいは世の中の流れもある、言葉も少しずつ変わってきているということがありますので、そのあたりの統一をしていただくということと、もし可能であれば科目間で統一をあらかじめ図ることができましたら、それをお願いしたいと思います。場合によっては、今日、ちょっと早く済むようなことがあれば、科目間で御相談いただくことも可能ですかね。そのようなことで話を進めていただく。その2点が今回の大きな流れと理解していますが、それで進めていっていただいてよろしいでしょうか。
何か最後、御質問、御意見等がもしまだありましたら、よろしくお願いします。
なかなか2回目にならないと分からないこともあるかもしれませんので、具体的に動いていただくと、もう少し議論が煮詰まるかもしれません。今日のところはこのぐらいにしておきたいと思います。
最後に、事務局から今後の日程等について御説明をお願いします。
○清野栄養指導室長 貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございました。
今後の日程につきまして、御案内申し上げます。第2回検討会につきましては、11月27日火曜日、16時から18時に開催したいと思っております。開催案内につきましては、後日お送りさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
○加藤座長 ありがとうございました。
それでは、閉会とさせていただきます。どうもお忙しいところ、ありがとうございました。
ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 第1回平成30年度管理栄養士国家試験出題基準(ガイドライン)改定検討会 議事録