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2019年9月12日 第9回 看護基礎教育検討会 議事録

医政局看護課

○日時

令和元年9月12日(木)14:00~16:30

○場所

TKP新橋カンファレンスセンター15E
東京都千代田区内幸町1丁目3-1 幸ビルディング

○出席者

安藝 佐香江 (医療法人社団永生会みなみ野病院法人本部統括看護部長/看護部長)
井伊 久美子 (公益社団法人日本看護協会副会長)
池西 静江 (一般社団法人日本看護学校協議会会長)
井村 真澄 (公益社団法人全国助産師教育協議会会長)
江﨑 喜江 (大阪府病院協会看護専門学校副学校長)
遠藤 久夫 (国立社会保障・人口問題研究所所長)
太田 秀樹 (一般社団法人全国在宅療養支援診療所連絡会事務局長
釜萢 敏 (公益社団法人日本医師会常任理事)
木澤 晃代 (日本大学病院看護部長)
木村 元 (一橋大学大学院社会学研究科教授)
酒井 郁子 (千葉大学大学院看護学研究科附属専門職連携教育研究センター長)
中島 由美子 (医療法人恒貴会訪問看護ステーション愛美園所長)
中西 亜紀 (高槻市医師会看護専門学校教務部長)
額賀 修一 (全国看護高等学校長協会副理事長)
馬場 武彦 (一般社団法人日本医療法人協会副会長)
春山 早苗 (自治医科大学看護学部学部長/教授)
菱沼 典子 (一般社団法人日本看護系大学協議会理事)
福島 富士子 (東邦大学看護学部学部長/教授)
藤田 京子 (蕨戸田市医師会看護専門学校副校長)
村嶋 幸代 (一般社団法人全国保健師教育機関協議会監事)
山口 育子(認定NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長)
山田 雅子 (聖路加国際大学大学院看護学研究科教授)
則安 俊昭※参考人(岡山県保健福祉部参与)
 

○議題

 (1)各ワーキンググループにおける検討状況について
 (2)教育体制・教育環境に係る見直しについて
 (3)報告書骨子について
 (4)その他
 

○議事

○関根教育体制推進官 第8回「看護基礎教育検討会」を開催いたします。
○関根教育体制推進官 それでは、皆様、定刻になりましたので、ただいまより、第9回「看護基礎教育検討会」を開催いたします。
構成員の皆様におかれましては、本日はお忙しい中、本検討会に御出席を賜り、まことにありがとうございます。
本日は、中谷構成員が御欠席となります。
それでは、遠藤座長、議事進行をお願いいたします。
○遠藤座長 皆さん、こんにちは。本日もよろしくお願いいたします。
それでは、最初でございますが、まず、欠席されます中谷構成員の代理としまして、則安参考人に御出席をお認めいただきたいと思いますけれども、よろしゅうございますか。
(「はい」と声あり)
○遠藤座長 ありがとうございます。
それでは、まず議事に入る前に、事務局から資料の確認をお願いいたします。
○関根教育体制推進官 事務局でございます。
お手元の議事次第に沿って確認させていただきます。
資料1 看護師ワーキンググループにおける検討状況
資料2 保健師ワーキンググループにおける検討状況
資料3 助産師ワーキンググループにおける検討状況
資料4 准看護師ワーキンググループにおける検討状況
資料5 教育体制・教育環境に係る見直しについて(案)
参考資料1 看護師等養成所の都道府県による実習施設の調整状況について
参考資料2 看護基礎教育検討会報告書骨子(案)
以上でございます。
また、お手元に御用意しましたファイルには、過去の検討会資料と関係法令や検討会報告書をファイリングしておりますので、適宜御参照ください。
資料の落丁、不足等がございましたら、事務局にお申しつけください。
以上でございます。
○遠藤座長 資料、よろしゅうございますか。
それでは、議題に入りたいと思います。
まず、議題の1でございます。本日は、各ワーキンググループから検討状況の報告をいただいた上、それぞれ御議論をいただくという形で進めていきたいと思います。
それでは最初に、看護師ワーキンググループ座長の山田構成員から御報告をお願いいたします。
○山田構成員 よろしくお願いいたします。看護師ワーキンググループでの討議の結果について御説明申し上げます。
検討会から示されました看護師ワーキンググループにおける検討事項をもとにして、看護師ワーキンググループは10回にわたりまして、卒業時の到達目標、教育内容、教育方法、教育体制、教育環境について検討を重ねてまいりました。
なお、検討会から御意見いただいておりました看護師に求められる能力につきましては、免許取得前に習得可能な範囲を考慮し、必要に応じて、資料1-2、卒業時の到達目標、資料1-4の教育の基本的考え方、教育内容、単位数、留意点に反映してまいりました。
それでは、具体的な改正のポイントについて御説明申し上げます。まずは資料1-2をごらんください。
本検討会から示されました将来を担う看護師に求められる能力をもとにして、免許取得前に習得すべきもの及び到達すべき水準として看護師に求められる実践能力と卒業時の到達目標について検討しました。
看護師に求められる5つの実践能力については現行のままとし、卒業時の到達目標につきましては、曖昧な表現を明確にし、重複している項目などを整理・統合いたしました。
地域包括ケアシステムにおける看護師の役割の重要性が増していることから、地域包括ケアシステムについての学習が充実するよう、構成要素及び卒業時の到達目標に追記をいたしました。
続いて資料1-3をごらんください。看護師基礎教育において到達度を示す「技術」につきましては、テクニカル・スキル(手技)であると整理した上で、技術提供の前に行う対象の観察やアセスメント等の表現を含まない簡潔・明瞭な表現といたしました。
免許取得前に習得することが求められる必要最低限の技術項目を示すこととして、重複した項目を整理・統合いたしました。
学内で行う演習と臨地で行う実習では、卒業時に求められる到達度のレベルは異なるため、それぞれの到達度を分けて示すこととし、評価しやすい文言に修正いたしました。
輸液ポンプや人工呼吸器等の操作・管理の項目を整理・統合し、医療機器として一項目にまとめました。
気道確保や人工呼吸、心臓マッサージの項目を一次救命処置(basic life support)に統合いたしました。
6番の「呼吸・循環を整える技術」の「温罨法、冷罨法」につきましては、エビデンスを踏まえ、13番の「安楽確保の技術」の「安楽の促進・苦痛の緩和のためのケア」の項目に統合いたしました。
続いて資料1-4をごらんください。まず、教育の基本的考え方についてです。患者等の対象者との人間関係を形成するためには、その基礎となるコミュニケーション能力が求められ、さらなる強化の必要性が指摘されておりましたことから、新たに項目を設け、コミュニケーション能力獲得を目指す旨を明記いたしました。
看護を単に計画的に実施することよりも、科学的根拠に基づいて判断し実践することが重要であることから、看護基礎教育において必要な臨床判断を行うための基礎的能力を養うよう明記いたしました。
多職種連携の重要性や多様な場で療養する対象者がふえていることを踏まえ、文言を修正・追記いたしました。
次に、教育内容の分野の区分についてです。教育内容として、看護の統合と実践が創設されて約10年が経過いたしまして、その意義が浸透したこと、専門分野Ⅰ、専門分野Ⅱ、統合分野は必ずしもこの順で一方向的に学ぶのではなく、教育の実態から双方向的に往来しながらの学習もあり得ることから、各養成所が教育理念や目標に合わせてカリキュラムを編成しやすくなるよう、専門分野Ⅰ、専門分野Ⅱ、統合分野の区別を1つにまとめ、「専門分野」といたしました。
次に、基礎分野についてです。情報通信技術(ICT)の発展に伴い、医療現場や教育機関でのパソコンやタブレット型端末等の活用、遠隔診療・保健指導の導入、医療機器の高度化等が進展しており、看護基礎教育においても、ICTを活用するための基礎的能力を養うことが重要であり、また、コミュニケーション能力のさらなる強化も図る必要があることから、留意点に追記するとともに、3年課程では現行の13単位から1単位増の14単位、資料1-5の2年課程につきましては、7単位から1単位増の8単位といたしました。
次に、専門基礎分野についてです。人体の構造と機能及び疾病の成り立ちと回復の促進につきましては、看護実践と結びつけて学ぶことが重要であることから、文言を追記するとともに、解剖生理学や薬理学等を充実させ、臨床判断能力の基盤を強化するための講義、演習の充実を図る必要があることから、現行の15単位を1単位増して16単位といたしました。
次に、専門分野についてです。基礎看護学は、シミュレーション等を活用した演習の推進について留意点に文言を追記するとともに、臨床判断能力や倫理的判断・行動に必要な基礎的能力を養うための演習の強化を目指し、3年課程は現行の10単位から1単位増の11単位といたしました。
在宅看護論は、生活者に対する看護という視点から全ての領域の根本に当たると考えられ、教育の初期段階から学ぶ重要性が改めて確認されたことから基礎看護学の次に位置づけました。また、療養者を含めた地域で暮らす人々を対象と捉える趣旨を明確にするため、名称を「地域・在宅看護論」に変更し、対象者及び対象者の療養の場の拡大を踏まえ、3年課程では現行の4単位から2単位増の6単位、資料1-5にあります2年課程では、現行の3単位から2単位増の5単位といたしました。
看護の統合と実践につきましては、チーム医療の一層の推進が重要であることから、多職種連携について学び、臨床判断を行うための基礎的能力を養うために、また、免許取得前に習得すべき水準を勘案し諸外国における保健・医療・福祉については、課題を理解することといたしました。
次に、臨地実習についてです。実習前後の講義や演習における教育内容、方法の工夫により、教育の充実を図る余地があると考えられることから、単位数は現行のままとし、教育効果を高める観点から、各養成所の裁量で領域ごとの実習単位数を一定程度自由に設定できるよう、領域ごとの最低単位数を示すことといたしました。
成人看護学及び老年看護学の臨地実習は、人口構造の高齢化に伴い、実習対象が重なる実態を踏まえ、学習内容の重複を避け、各養成所において柔軟な実習施設の確保や実習編成が可能となるよう単位数を統合して示すことといたしました。
平成27年の看護課長通知「母性看護学実習及び小児看護学実習における臨地実習について」が十分に周知されていないことから、ガイドラインにその内容を記載することといたしました。
次に、その他についてです。総単位数とともに示している時間数「3,000時間以上」等につきましては、学生が主体的に学ぶことができる教育内容や柔軟なカリキュラム編成を推進するため、全課程において時間数を示さないことといたしました。
従来より、領域横断等の柔軟なカリキュラム編成を行うことは可能でありましたけれども、実際に取り組んでいる看護師養成所が限られていること、領域横断等の柔軟なカリキュラム編成により教育の充実を図ることが重要であることから、さらなる推進を目指し、備考にその旨を追記することといたしました。
資料1-5の2年課程におきましては、通信制の備考欄の記載内容はガイドライン本文にまとめて記載することといたしました。
資料1-6、保健師・看護師統合カリキュラムは、現行の122単位から6単位増の128単位、資料1-7、助産師・看護師統合カリキュラムは、124単位から6単位増の130単位といたしました。
看護師ワーキンググループからの報告は以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございました。それでは、ただいまの御報告をお聞きになって、御質問、御意見等をいただければと思いますが。
山口構成員、お願いします。
○山口構成員 御説明ありがとうございました。2点ほど意見がございます。
まず、今の資料の1-4のところで御説明いただいた改正案の中の一番上の2)のところに具体的に「コミュニケーション能力を養う」ということを明記してくださったことについては、コミュニケーションはぜひ高めていただきたいという思いがございましたので、本当にありがたいことだなと思っています。
ただ、実際にどのような方法でコミュニケーション能力を養っていかれるのか、カリキュラムが実際に使われるようになった後の検証をぜひお願いしたいと思っています。中身が伴わないコミュニケーション能力でなければ意味がないと思いますので、ぜひそのあたりは、どこの学校でどんなことをやっているかということを検証していただきたいというのがまず1点です。
そして、同じ1-4の中の臨地実習のところですけれども、実習時間が増えなかったことを非常に私は残念に思っていまして、特に学生さんの実習の時間というよりも中身を見てみますと、かつて20年から30年前ぐらいに臨地実習に来ていた学生さんたちがやっていた内容と今の学生さんのやっている内容では、明らかに、中身というか、実践的な内容が減っていると思います。そうしますと、免許をもらって、今度現場に出てきた人たちにすぐにかかわりを持たれる患者としては非常に不安があるかなと思っております。実習が増やせなかった分、演習のところでシミュレーション等を使った演習を充実させていくということですけれども、演習で肩代わりをするのだとしたら、本当にそれが実効性ある内容になっているのかどうかということをその後の検証が不可欠ではないかと思いますので、ぜひそのあたり、患者の立場からお願いしたいと思います。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。ほかにいかがでございましょう。
それでは、春山構成員、お願いいたします。
○春山構成員 資料1-4につきまして、地域・在宅看護論は、現行の在宅看護論から2単位増ということになっているのですけれども、これまでの議論にもありましたように、地域で生活する人々、地域におけるさまざまな場での看護が強化されたということはとてもよかったのではないかと思います。
ただ、この地域・在宅看護論という、単に教育内容を示した内容ということではありますけれども、ここに示された内容というものがこれまでも、在宅看護論ができれば在宅看護論の図書がたくさん出る、保健師のほうで言えば地域看護学となれば地域看護学の本、公衆衛生看護学の本というようなことを考えますと、この地域・在宅看護論というある意味新しい名称といいますか、そういうものをつくってしまったということについて、これは意見ですけれども、もう少し考える必要があったのではないかということと、それから、6単位、2単位ふえたわけですけれども、その2単位分が、どういった観点、内容を増やすのかということについては、さっと見た感じ、地域包括ケアシステムの理解という以外は余りこれというものが見当たらないので、この2単位分をどのように強化していくのかということを何らか今後、この検討会ということではないですけれども、やはり具体的に考えていく必要があるのではないかと思います。
特にここは、その下にある成人、老人、小児、そのようなところと切り離して、別に考えていくのではなく、一緒に考えていかなくてはいけないところだと思いますので、そういう引き続きの努力が必要なのではないかと思いました。意見です。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
それでは、村嶋構成員、どうぞ。
○村嶋構成員 私も、地域・在宅看護論になってしまったことは大変残念に思っております。地域看護学は、今までの蓄積があり、かつ、地域でどのように看護職が活躍していくかということの基盤になるものでございます。看護師の中には、訪問看護を経験し、その上でいろいろなニーズを考えて、起業していく、それも訪問看護だけに限らず、地域にいろいろな拠点をつくっていく、暮らしの保健室を含めて、地域のいろいろな方を集めて、そこで地域のニーズを把握しながら新しいことを興して活躍していく、そういう方々が増えております。そういう看護師が増えておりますので、ぜひベースとして地域看護学というのを立てていただきたかったと思いますし、実習が、在宅看護論が2単位、地域・在宅看護論も2単位というのはやはり不足だと思います。せめて1単位か2単位増やして、今まで開発されてきた果実を入れて、地域看護学にして単位数を増やしていただきたいと思います。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。ほかに何か御意見ございますか。
井伊構成員、お願いします。
○井伊構成員 まず、資料1-2の到達目標についてです。このことにつきましては、第6回で検討中の案としてお示しいただいたときに、1つ検討してほしいということで意見を申し上げたのですけれども、その後の検討を経てこうなっているとまずは受けとめております。私が申し上げたことは、資料1-2の2ページ目の「N. 看護チームにおける委譲と責務」に関連して、現在、さまざまな職種が病棟の中におり、その中でも看護師、准看護師、看護補助者という多様な構成員の中で看護師が働いています。そのため、その中で看護師がどういう責務を果たすのかについては、卒業してから学ぶよりも、基礎教育の段階で学習すべきであるという観点で意見を申し上げておりました。
「N.看護チームにおける委譲と責務」は、現行の到達目標の52、53、54が全部削除され、「P.保健・医療・福祉チームにおける多職種との協働」で、新しく「看護チーム内における看護師の役割と責任を理解する」に置きかえられている。これはこれなのかなと思いますが、改正案ではNが消えてしまいます。そのため、「M.看護専門職の役割」を「役割」だけではなく、「M.看護専門職の役割と責務」にし、その中の到達目標として「看護職の業務を法令に基づいて理解するとともに、その役割と機能を説明する」と、新しく「P. 保健・医療・福祉チームにおける多職種との協働」に入れた「看護チーム内における看護師の役割と責任を理解する」を「M.看護専門職の役割」に移して、看護師が准看護師や看護補助者に対してどういう責任があるのか、きちんと指示を出す役割を持っているということも含めた「看護チーム内における看護師の役割と責任を理解する」という意味合いで修正してはいかがかと思いますので、意見として申し上げたいと思います。○遠藤座長 ありがとうございます。ほかにいかがでございましょう。
馬場構成員、お願いします。
○馬場構成員 今回の改正案で単位数が97から102に増えているということで、学生、あるいは教員の負担増につながらないかという点では必ずしもこの点において賛成ではないのですが、時間数の表現の削減であるとか、あるいは柔軟に取り組めるところがたくさん詰め込まれてあるというところで、単位数の増加に比例して負担が増えるということは避けられるのではないかという意味で評価できると思っています。
ただ、現場がきちんと理解しないとこういったことがそのまま現場の負担増につながるという可能性もありますので、ぜひ今後丁寧な、今回の通知の説明について、講習会、説明会等を通じてお願いしたいと思っています。
○遠藤座長 ありがとうございました。ほかにいかがでございましょう。
井伊構成員、どうぞ。
○井伊構成員 単位数のことに関連して、最初に山口構成員がおっしゃった御意見に私も賛成です。実習が現行どおりの単位数となっておりますが、増やしていただきたかったと思っております。
総単位数が102で報告されておりますけれども、ワーキンググループではもっと多い110単位や105単位を求める意見も出されていたと聞いています。私も前々回の検討会では105単位ほどは必要だと申し上げましたけれども、そのぐらいのボリューム感でないと、今後の看護師に求められる役割を果たすために必要な基礎的な能力を養うことは難しいと思っております。例えば、臨床判断能力は1単位しか増えていませんでしたので、102単位というのではまだ不足なのではないかと思います。
しかしながら、その背景には、3年の教育ではこれが限度だという現場の教員の方の御意見もあったと聞いております。これは後程議論する報告書の内容にもかかわることですけれども、「将来の看護師に求められる能力を鑑みれば、看護基礎教育において臨床判断能力等を養うことが必要であり、そのための単位数は確保すべきであったが、3年では叶わなかった。今後、教育年限等に関する抜本的な検討が必要だ」ということを課題として挙げていただきたいと思います。
○遠藤座長 ありがとうございました。ほかにどうでしょう。
では、井村構成員、それから村嶋構成員にいきましょう。
○井村構成員 ありがとうございます。
私もやはり、看護師にとっても実践力強化は非常に重要だと常々思っておりますので、教育の見直しとともに実習単位増というのは検討されるべきだったと思ってはおります。しかしながら、さまざまな状況の中でこのようになったことはそれなりに受けとめようと思っております。私ども教育者に課せられたこととしては、やはり臨地における実習を最大限に活用して効果的な学習を促すことと、臨地実習と学内での演習を相当リンクさせながら、先ほど山口構成員がおっしゃられた、患者様、当事者の方にとってクオリティの高いケアをひたすら追求することが本当に課せられた義務であると強く感じておりますので、ぜひ厚労省におかれてもその趣旨を十全に発出していただけたらと思います。
あと、各論的なことですけれども、到達度の目標のⅢ群のIの30のところに「生活指導」という言葉がございます。これは助産のところでも申そうと思っているのですけれども、もちろん、当初、「指導」という言葉は非常に意味深い言葉であったとは認識しておりますが、昨今、「指導」という言葉は余り使われなく、かつ、やや上から目線といいますか、そのような響きのある言葉のように認識されております。当事者、患者様と我々はパートナーシップを組む、平等な関係で関係性を築くということも求められている昨今、小さい言葉ではありますけれども、「指導」という言葉というのはなくて、別の言葉に置きかえていただけたらと思います。これは助産師のところでも1カ所ありましたので、申し述べたいと思います。
そして、このことのもう一つの根拠として、保健指導を旨とするという保健師のところには「保健指導」という言葉は一つも出てきておりませんことを確認いたしました。「支援」という言葉が相当使われておりますので、やはり今後の看護職としてのあり方、患者様とのありようということを表現することにおいても、「指導」という言葉は、2カ所でございましたので、削除して、別の言葉に置きかえていただけたらと思います。よろしくお願いいたします。
○遠藤座長 ありがとうございました。ほかに。
では、村嶋構成員、どうぞ。
○村嶋構成員 全体の単位数が102単位から以上にはならない、負担が大きいということですが、確かに4年間になればこれは十分に吸収できる数でございます。私どもの大学を含め、このところ、看護師教育を4年間で行う大学がふえてきております。それから、実践力のある資質の高い保健師をつくるという意味で、保健師を修士課程につくる、移動するところも増えてきておりますので、近い将来の課題として、看護師の修業年数は、ぜひ4年間にすることを含めて御検討いただきたいと思います。
○遠藤座長 ありがとうございます。
では、太田構成員、お願いいたします。
○太田構成員 地域包括ケアシステムを明確にここに書き込まれたというのは、私はすばらしいことだと思います。地域包括ケアシステムとは、終末期医療の概念の中が当然含まれているわけです。終末期にある対象への看護というところに、その人らしく過ごせるように支援するということが書かれています。それで、上手に表現しづらいのですけれども、その人らしく過ごすというその人らしさというのは、患者さんが、私はこうしたいという意思があって初めてその人らしさが伝わるのですけれども、ACPに象徴されるように、意思決定支援に医療職が積極的に参加しないと、医学的、あるいは看護学的に正しい、合理的情報を条件にその人の意思が決定できないと思うのです。ですから、コミュニケーション能力の一部かもしれませんけれども、専門職として積極的に患者さんの意思決定支援に参加するという態度が私は大事だと思うのです。そういった意味合いをどこかに盛り込んでいただけないかなと思いました。具体的にどういう文言にすればいいかということに関してはノーアイデアですけれども。
○遠藤座長 御意見として承りました。ほかに。
それでは、酒井構成員からいきましょうか。
○酒井構成員 単位数の増に関することで、このまま単位数で教育の質を保障していくというような考え方でいくというのはちょっと限界がもう来ていて、どんどん単位数を増やさなければいけない状況になってしまうので、今はもうこれで非常にきちんと考えられたとは思いますけれども、次に向けて、単位で教育の質を保障するという考え方から、卒業時の到達目標であるとか中間でのOSCEでの評価であるとか、そのような出口での質保障ということを少しずつ考えていくことが必要なのかなと思いましたので、意見を述べさせていただきました。
もう一つはちょっと軽微な話ですけれども、資料1-2の卒業時の到達目標のⅠ群のCですかね。倫理的な看護実践のところの8、「対象者の尊厳を守る意味を理解し」と新しく文言が追加されていますが、ちょっと日本語として意味不明な、意味不明と言うときついですが、わからないというか、意味を理解するだけで卒業させていいのかということがちょっとひっかかりまして、尊厳あるケアの基盤をきちんとつくって卒業していただくことは最低条件ではないかと思いましたので、ここの表現に関してはそういう意見があります。
以上です。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
それでは、お待たせしました、木澤構成員、どうぞ。
○木澤構成員 木澤です。
私はワーキンググループのほうにも参加しておりまして、先ほどの単位数の件で非常に長い時間議論しておりました。110単位から105単位、それから最終的に102単位ということになったのですけれども、やはり養成校の負担が大きいという意見は大きかったというのが現状です。
ただし、これからタスクシフティングや医師の働き方改革ということでは非常に医療現場で看護師に高い能力が求められているということ、それから、チーム医療のキーパーソンとしての役割が期待されているということでは、やはりこの単位数としては少ないのではないかという意見もありました。
ただし、教育内容ですとかそういった方法の見直し、それから、臨床ですと在院日数が短縮化して、少子化でもありますので、臨床実習の場を、やはり臨床としても協力するといった方法も必要かと思います。ただし、これからさらに議論を深めていって、教育を受ける人が本当に必要な教育を考えていく必要があると思われます。
以上です。
○遠藤座長 どうもありがとうございます。ほかにございますか。
池西構成員、どうぞ。
○池西構成員 ありがとうございます。池西です。
私も、看護師ワーキングでこの単位数の話をずっとしていく中で、先ほど酒井構成員がおっしゃったのですが、1単位、2単位の増減について討議することよりも、どういう能力を身につけて卒業させるのかということが大事だと思います。ですから、量だけでなく方法についてもしっかりと検討して、いい教育ができることが大事だと思いますので、今後に向けてというお話では、酒井構成員のおっしゃったように、どういう力をつけるのかを大事にしながら、細かい単位数の見直しについては、今後は、むしろ考え方を変えていくべきでないかということを報告書に盛り込んでいただけるとありがたいと思います。
○遠藤座長 どうもありがとうございます。
それでは、山口構成員、お願いいたします。
○山口構成員 先ほどの井村構成員の「指導」という言葉の御指摘に対して、看護の教育をする立場の方からそういう御指摘をいただけたということは、私は非常にうれしいなと思ってお聞きいたしました。というのも、私は患者の立場で常々感じていたのが、「指導」や「教育」や「管理」という言葉を患者に向けて使われると、どうしても精神的に上下関係になってしまうのですね。専門家の間でおっしゃることに対しては、それはある種、専門用語かもしれないですけれども、患者に向かって言うときには言葉を変換していただきたいという思いがずっとあって、そういう発言もしてまいりました。
ですので、今、井村構成員御指摘のように、国から出す文書の中でそういう表現を使わないようにすることということもとても教育効果もあることだと思いますので、私も、ぜひそのあたり、統一して削除していただいたらと思います。
○遠藤座長 どうもありがとうございます。
大体よろしゅうございますか。
それでは、菱沼構成員、お願いいたします。
○菱沼構成員 菱沼でございます。
私ども、大学で教育をやっている立場でございますけれども、大学の設置基準で124単位というのが大学教育4年間の単位数でございます。その中で、今回の御提案では、102単位分ということで、今までも相当数の内容をこの指定規則の内容に充てるというカリキュラムをやっていましたが、それがますます指定規則で埋まっていくという形になることについて、大学教育としてのあり方を考えましたときにどう考えていくのかなというのは1つ疑問として残っているところでございます。
先ほども御意見ありましたけれども、単位数と内容を増やすことで、講義、演習単位を増やすことで、本当に質の担保になり得るのかということを我々みんな考えなければいけないのかなと思っておりまして、今回のこの改定の後に、この新しいカリキュラムで卒業する人たちがどれぐらい本当に今のカリキュラムに比べて能力が上がっているのかどうかということの検証をぜひともお願いしたいと思っております。
それから、卒業時の到達度のほうの技術項目を拝見いたしましても、前回とそんなに大きな変化はないのですね。多少の変化がございますけれども。そしてこの項目は、自分でできるというものは本当に、もともと限られているのですが、限られております。ここをもう少し広げるということを考えない限り、実践能力を高めていくということは難しいと思っておりますので、これも次の改定のときにどこまでやれるのかというあたりをもう少し踏み込んでもよろしいのではないかなと。恐らく、ここにいらっしゃる委員の方々は学生時代にもっとやっていらした方たちばかりではないかと思うのですが、そういうことはちょっと御検討いただきたいなと思います。
○遠藤座長 どうもありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。
それでは、中島構成員、お願いいたします。
○中島構成員 ありがとうございます。
私のほうからは、まず1点、言葉のことですけれども、太田先生の御意見と同じように、患者の自己決定支援というのは在宅では特に大事な言葉ですので、そこをちょっとこだわってしまったのですけれども、資料1-2の倫理的な看護実践のところの「対象者の選択権及び自己決定権を尊重し」の後、ここは「擁護的」という言葉よりは、やはり支援していく立場で行動するというほうがいいのかなと思いました。意見です。
それと、今回の内容を見て、単位数が上がったとかいうのは私的には余りよくイメージがつかないのですけれども、私、今まで何回もこの会議でお話ししましたが、3年間はやはり看護師としての基礎教育をきちんと学ぶ時間なのかなと思っています。ただ、実際の、例えば急性期等の病棟に配置されると、教員の先生もよくおっしゃるのですけれども、学校で習ったことと、現場で配置されてから学ぶことはまた違うので、3年間のうちに学生にそのことをよく伝えていると。臨床判断とか臨床推論、フィジカルアセスメントが本当に必要になってくるので、そのところをもう少し時間があったら在職中に教えられるのだけれども、実際は本当の看護師としての基本的なことを教えていきたい。看護課程を丁寧にやりたい。でも、就職したらたった1週間でそれを全部展開して、しかもその上で判断能力を上げなければならないのだという話を聞くと、私としては、ほかの先生方もおっしゃっていましたが、今後の看護師像というのが違ってくるのかなあ、教育がそこにどうやってかかわっていくのかなというのは考えていただけるとありがたいかなあと思いました。
それと、地域と在宅看護のところの2単位が増えていますけれども、この内容については、できれば現場の先生方たちと、どのような内容で2単位増やしていけばいいのかというところを少し説明等があるといいかなと思いました。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。大体よろしゅうございますか。
それでは、井村構成員、どうぞ。
○井村構成員 採用していただけるかどうかわかりませんけれども、先ほど出ていた意思決定に関しまして、患者さんは決める人、私たちはそれを支える人という位置関係ではなくて、今どきは共有意思決定といわれていると思います。私が説明するまでもないかもしれませんけれども、シェアード・デシジョンメイキングという考え方が大切と言われています。エビデンスも使い、当事者の方の考えとか好み、気持ちを最大限に一緒に相談し、どこに着地点があるかわからない、その揺れ動きも御一緒させていただき、同行しながら一緒に考えていくという、そういうものが本来的な看護のあり方と思いますので、そういう概念を入れていただければ一番現場にフィットすると思います。共有意思決定、シェアード・デシジョンメイキングということを基礎のところに入れていただけると大変ありがたいと考えます。提案です。
○遠藤座長 どうもありがとうございます。
大体御意見も出そろったかと思いますので、非常に重要な御指摘をいただきまして、どうもありがとうございました。今後のこれの対応でございますけれども、まず単位数につきましては、足りないのではないか等々含めていろいろと御意見が出ましたけれども、どれも、この内容、この案について修正をというよりも、これはとりあえず認めるけれども、今後の検討課題として非常に重要であるから、そこのところはきちんと残してほしいと、このような御意見のように受けとめましたので、ここは報告書の中でそのような御意見があるということを明記するという形で対応させていただければと思います。
それから、文言、文章につきましては2種類の御提示がありました。1つは、ここに書かれている文言そのものを修正していただきたいというもの、それからもう一つは、その外側にあるもの、例えばこれをやったことの検証を明確にしてほしいとか、きちんと説明してほしいとか、そのような内容もありました。これらについてはむしろ報告書に記載するような内容なのかなあと思いますけれども、いずれにしましても、この文言修正につきましては、事務局が本日の御意見を整理していただいて、それをもとに、山田構成員と調整しながら、御相談をしながら、修正するものはする、しないものはしないと、このような形で、言ってみれば検討会預かりというような考え方になるかと思いますけれども、そういう対応にさせていただければと思いますけれども、よろしゅうございますか。
(「はい」と声あり)
○遠藤座長 ありがとうございます。では、事務局、そのように対応してください。よろしくお願いいたします。山田先生もよろしくお願いいたします。
それでは続きまして、保健師ワーキンググループからの報告に移りたいと思います。保健師ワーキンググループ座長の春山構成員から報告をよろしくお願いいたします。
○春山構成員 資料2のほうになります。検討会から示されました保健師ワーキンググループにおける検討事項をもとに、保健師ワーキンググループは7回にわたり、卒業時の到達目標、教育内容、教育方法、教育体制、教育環境について検討を重ねてきました。
なお、検討会から御意見をいただいた保健師に求められる能力については、免許取得前に習得可能な範囲を考慮いたしまして、必要に応じて、資料2-3の卒業時の到達目標、そして資料2-4の教育の基本的考え方、教育内容、単位数、留意点に反映いたしました。具体的に改正のポイントについて説明させていただきます。資料2-1もあわせてごらんください。
検討会から示されました「将来を担う保健師に求められる能力」をもとに、免許取得前に習得すべきもの及び到達すべき水準として、「保健師に求められる実践能力と卒業時の到達目標」について検討いたしました。
保健師に求められる5つの実践能力のうち、こちら、資料2-2にございますが、「Ⅳ.地域の健康水準を高める社会資源開発・システム化・施策化する能力」につきましては、地域の特性やニーズに応じた計画的で創造的な事業レベルの重要性も踏まえまして「事業化」を追加いたしました。
地域包括ケアシステムを初めとしたヘルスケアシステムの構築において、保健師の役割の重要性というのは非常に増しておりますので、「ケアシステムを構築する」を中項目に追加しました。また、保健師活動の基本理念といたしまして「倫理的課題に対応する」を中項目に追加し、構成要素及び卒業時の到達目標にも項目として明記いたしました。
行政、学校、事業所等において、社会や組織の変革を促進するためには、集団を組織化し、社会資源を開発する実践能力が重要となります。到達度を示すに当たり、これまで「集団/地域」としていたものを「集団・組織/地域」に修正いたしました。
卒業時の到達度につきましては、教育現場において、双方向性の講義やシミュレーション等を活用した演習、そして実習と連動した演習等により、さらなる教育方法の工夫等が推進されることを勘案し、到達レベルを見直しました。
職場生活集団及び学校生活集団の健康を守るための実践能力を強化する必要性、こちらは検討時の留意点として挙がっていたものですけれども、この必要性から、保健師の活動の場として産業保健・学校保健を到達目標の小項目に追記したとともに、全体的に産業保健・学校保健も含む内容となるよう、表現を見直しております。
健康危機管理における災害で、直ちに必要とされる能力につきまして、到達レベルを全面的に引き上げました。
なお、保健師の技術につきましては、助産師や看護師のテクニカル・スキルとしての技術とは性質が異なり、実践能力と切り離してあらわすことが難しいということがあります。本ガイドラインにおいては、「保健師の技術は、別表11の大項目や中項目のみならず、小項目の中にも含まれている」と明記いたしました。
続きまして、資料2-3のほうをごらんいただきたいと思います。対象集団の顕在・潜在している問題を把握する能力の強化、地域包括ケアシステム等の構築に向けて施策化する能力の強化、大規模災害や感染症等の健康危機管理能力の強化の必要性等を踏まえて、教育の基本的な考え方の記載内容を修正いたしました。
昨今の災害の多発、児童虐待の増加、地域包括ケアの推進等、保健師を取り巻く状況の変化により、疫学データ、保健統計等を用いて地域をアセスメントし、健康課題への継続的な支援と社会資源の活用等を実践する能力の強化が求められていることがありますので、事例を用いた演習等の充実を図るため、公衆衛生看護学を現行の16単位から2単位増の18単位といたしました。
保健医療福祉介護行政の政策形成過程について学び、社会資源の開発や、保健医療福祉介護サービスを評価し、調整していく等の施策化に関する能力の強化が求められていることから、政策形成過程について事例を用いた演習等の充実を図るため、保健福祉行政論を現行の3単位から1単位増の4単位といたしました。
産業保健・学校保健における活動の展開や、健康危機管理能力、施策化等の求められる能力を、演習を通して強化することを留意点に追記いたしました。
臨地実習につきましては、保健活動の場が多様化しており、産業保健や学校保健を含む多様な場で学生が主体的に取り組むことができる実習を行うことや、個人・家族への支援の評価に基づいた訪問を含む継続的な保健指導を行うことを留意点に追記しました。また、実習前後の講義や演習における教育内容・方法の工夫を図る余地があると考えられますことから、臨地実習に加えてこれらの工夫が一層推進されるよう留意点に追記し、各養成所における実習施設の確保困難等の現状も勘案いたしまして、単位数は現状維持といたしました。
その他です。今後、社会における保健師のニーズに一層応えていくため、将来を担う保健師には、ケアシステムの構築の推進等が求められることから、個人・家族・組織・地域を連動させながら支援する能力や、評価に基づいた継続的な支援を展開する能力等のさらなる向上に向けた教育内容及び実習方法等の継続的な検討が必要と考えられます。
以上になります。
○遠藤座長 ありがとうございました。それでは、何か御質問、御意見等いただければと思います。
村嶋構成員、お願いします。
○村嶋構成員 鋭意御検討いただき、ありがとうございました。
まず、臨地実習のところ、2点申し上げたいと思います。昨今、保健師がかかわる虐待の事例でいろいろな問題が取り上げられております。そういう意味では、個人や家族にきちんと関わるという基盤を、やはり保健師の基礎教育の段階できっちりつけておく必要があると思います。そういう意味では、資料2-3の臨地実習のところですね。個人・家族・集団・組織の支援実習が2単位のままというのは大変残念だと思います。個人・家族に継続的にかかわる、そういう実習をせめて1~2単位増やしていただきたかった。事例は、色々な機関から継続してもらっていくような工夫ができると思いますし、保健師の個別に関わる実習をぜひ増やしていただきたいと思います。
それから、その上の公衆衛生看護学実習を行う場所ですが、保健師が役割を担っている保健所、市町村、産業保健、学校保健、が並列になっております。場の多様性を図ることも、産業保健や学校保健も大事ですが、保健師の7割は保健所、市町村で働いておりますし、その重要性は言うまでもないと思います。そういう意味では、この4つを並列に書くのではなく、保健師が役割を担っている保健所市町村を含む、さらに産業保健、学校保健を含む多様な場でと変更していただきたいと思います。
とりあえず2点です。
○遠藤座長 ありがとうございました。ほかにいかがでございましょう。
それでは、井伊構成員、山口構成員の順番でお願いします。
○井伊構成員 ただいまの村嶋構成員と同じ意見で、実習の単位数が現行どおりというのは非常に残念です。ここまで検討いただいて、3単位増やして、1年という教育年限に適うボリュームになったということについては評価したいと思いますが、実習が現行どおりの5単位という点は満足しておりません。実習については、学生が主体的に取り組むことができる実習とすることや、産業保健や学校保健、訪問相談について継続的に行うというようなことが留意点にこれだけ赤字で追加されているにもかかわらず、現行どおりの単位数のままで本当に教育できるのかと疑問に思います。
保健師の実習については、場所やアプローチの方法など、ベッドサイドでの実習とはかなり条件が違います。また、統括的な立場の保健師に聞きますと、保健師としての支援活動が細切れになっているといいます。そのため、実習が一連の活動ではなく、スナップ写真のように場面、場面だけを見学もしくは少し体験するというようなところでとどまっているのが現状です。これで果たしてそれが克服できるのか、次により充実できるのかというのは本当に疑問です。今後とも保健師の実習に関してはさらなる検討が必要だと思いますので、意見として申し上げました。
○遠藤座長 ありがとうございました。
それでは、山口構成員、お願いします。
○山口構成員 ありがとうございます。
保健師は本当に多様な場面で働かれるということからしますと、保健師に求められている能力というのを具体的に、これができたらもうできるようになっていますよと判断することが非常に難しいと思っております。
例えば倫理的課題に対応するということが資料2-1に書いてありますけれども、実際に何をしたらそれが到達できたのかということがなかなかわかりにくい。ということからすると、例えば教育者がここまで求めているというレベルと、学生が、「私はできるようになった」と判断するレベルの乖離も起こりやすいのかなと思ってまいりました。
そういうことからしますと、私も、臨地実習ということをもう少し増やしていただいて、中身の検討をしていただくということが不可欠かと思うのですけれども、ただ、受け入れ先がなかなか見つからないということが実際に問題としてあるということからしますと、現段階では演習でどれだけ実践的な力がつけられるのか、そういう教育方法の工夫であるとか内容の充実であるとか、そういったことをぜひ実践力をつけるというようなところまで持っていくために図っていただきたいなと思っておりますので、報告書の中でも触れていただけたらありがたく思います。
○遠藤座長 どうもありがとうございます。
それでは、太田構成員、お願いいたします。
○太田構成員 太田ですが、地域包括ケアシステムも非常に重要で、しっかり盛り込んでいただいているのでありがたいと思っています。高齢者の課題解決策として、地域包括ケアシステムの構築の必要性が叫ばれたようですが、今、地域包括ケアシステムが全世代型になりましたよね。そうすると、あらゆるライフステージの人たちに対して地域包括ケアシステムというのは重要になるわけです。実際、地域の課題として、若年層というか、生産年齢の人たちというか、働く人たちの健康リスクを一番感じるのは外国人労働者なのですね。ハイリスクプレグナンシーもそうだと思いますけれども、私たちの地域で健康の問題で課題として出てくるのは外国人のことです。いろいろデリケートな問題はあるでしょうけれども、ヘルスリテラシーというか、文化が違うことによって支援が厄介なのですね。実際、外来に来る患者もそうですけれども、したがって、ここに弱い立場にあるという文言は具体的に書かれているのですけれども、外国人が弱い立場かどうかわからないのですけれども、新しい健康の問題というのでしょうか、そういう集団も存在しているということを認識して到達目標をつくられたらどうかなと私は思います。意見ですけれども。
○遠藤座長 どうもありがとうございます。
御意見、大体よろしゅうございますか。
ありがとうございました。それでは、これもいろいろと御意見が出ましたけれども、これも看護師と同じような対応の仕方をさせていただきたいと思いますので、報告書の中に書く、あるいは文言をもう少し考えてみる、いろんな対応の仕方があるかと思いますけれども、これも事務局が少し御意見を整理した上で、春山構成員と御相談の上、修文が必要であればしていただくという形でお願いしたいと思います。ありがとうございました。
それでは、次に助産師ワーキンググループの報告に移りたいと思います。助産師ワーキンググループ座長の福島構成員から御報告をお願いいたします。
○福島構成員 それでは、お願い申し上げます。
助産師ワーキンググループでの検討会から御報告を申し上げます。本検討会から示されました助産師ワーキンググループにおける検討事項をもとに、助産師ワーキンググループは6回にわたり、卒業時の到達目標、教育内容、教育方法、教育体制、教育環境について検討を重ねてまいりました。
なお、検討会から御意見いただいた助産師に求められる能力については、免許取得前に習得可能な範囲を考慮し、必要に応じて、資料3-2の卒業時の到達目標、資料3-4の教育の基本的考え方、教育内容、単位数、留意点に反映いたしました。
それでは、具体的な改正のポイントについて説明させていただきます。まず、資料3-2をごらんください。検討会から示された「将来を担う助産師に求められる能力」をもとに、免許取得前に習得すべきもの及び到達すべき水準として「助産師に求められる実践能力と卒業時の到達目標」について検討いたしました。
卒業時に必要とされる助産師特有のテクニカル・スキル、手技ですけれども、を技術項目として別途策定することとし、「助産師に求められる実践能力と卒業時の到達目標」のうち技術項目に該当する項目は削除いたしました。
助産師に求められる4つの実践能力のうち「Ⅲ.性と生殖のケア能力」については、助産師のケアの対象は女性の生涯にわたる健康課題として広く捉えることが必要であることから「ウィメンズヘルスケア能力」に変更いたしました。
ハイリスク妊婦が増加しており、さまざまなハイリスク要因を抱える対象者に対応する能力を強化する必要があるため、大項目「妊娠期の診断とケア」に中項目として新たに「ハイリスク妊婦への支援」、小項目として新たに「ハイリスク妊婦の状態をアセスメントし、重症化予防の観点からの支援を行う」ことを追加いたしました。
正常からの逸脱を判断し、異常を予測する臨床判断能力を強化する必要があるため、新たに小項目として「破水を診断する」を追加いたしました。
続きまして、資料3-3をごらんください。卒業時に求められる助産師特有のテクニカル・スキル(手技)を技術項目とし、それぞれに含まれる技術の種類を小項目として設定いたしました。
技術項目のうち、助産の実践に必要とされる基本的な技術としては、「妊婦健康診査に係る手技」「分べん進行の診断に係る手技」「分べん介助に係る手技」を設定いたしました。
ハイリスク妊産婦が増加しており、助産師として緊急時や異常時に臨機応変に早期対応できる実践能力の強化が必要とされていることから、「異常発生時の母子への介入に係る手技」も技術項目として設定いたしました。
学内で行う演習と臨地で行う実習とで求められる達成度は異なるため、それぞれの達成度を示すこととし、到達度レベルは評価しやすい文言といたしました。
続きまして、資料3-4をごらんください。多様な性を持つ対象者への性と生殖をめぐる健康に関する課題を多職種で継続的に支援することが必要とされている実情から、女性だけでなく、多様な性を持つ対象者を支援できるよう教育の基本的考え方の記載を修正いたしました。
ハイリスク妊産婦の増加により妊娠、分べん、産じょくが自然に経過することのみならず、より健康で安全に経過できるよう支援する観点が必要であることから、教育の基本的考え方の文言を修正いたしました。
基礎助産学については、社会背景の変化等を踏まえ、対象の身体的・心理的・社会的・文化的側面を総合的にアセスメントする能力を強化できるよう留意点に追加いたしております。
助産診断・技術学については、他職種との連携やコミュニケーション能力の強化を留意点に追記いたしました。また、周産期のメンタルヘルスに対する心理面での支援や、ハイリスク妊産婦や緊急時に臨機応変に対応できる実践能力を強化する必要があるため、正常な妊娠経過を診断する能力に加え、正常からの逸脱の判断や異常を予測する臨床推論能力を養うことを留意点に追記し、現行の8単位から2単位増の10単位といたしました。
また、地域母子保健については、産後うつや虐待等の周産期におけるメンタルヘルスの支援として、多職種と連携・協働し、地域における子育て世代を包括的に支援する能力が求められていることから、産後4カ月程度までの母子のアセスメントを行う能力を強化することが重要であるため、留意点に追記し、現行の1単位から1単位増の2単位といたしました。
助産管理については、災害に対する体制・管理として、平時における災害への備えと、被災時の対応の両者の観点からの支援が必要であるため、留意点に追記いたしました。
臨地実習については、実習前後の講義や演習における教育内容・方法の工夫により、教育の充実を図る余地があると考えられることから、単位数は現行のままとし、産後4カ月程度の母子のアセスメントを行う能力を強化することを留意点に追記いたしました。
次にその他についてです。今後、社会における助産師のニーズに一層応えていくため、地域における子育て世代を包括的に支援する能力等のさらなる向上に向け、実習を含めた教育内容及び方法の継続的な検討を期待しますというところでワーキンググループは終了いたしております。
ワーキンググループの報告は以上となります。
○遠藤座長 ありがとうございました。それでは、御意見、御質問等いただければと思います。いかがでございましょう。
酒井構成員、お願いします。
○酒井構成員 資料3-4に関してですけれども、改正案のところで、「多職種」となって、連携・協働しながらと変更になったわけですけれども、それに対応して、助産診断技術学と地域母子保健に連携と協働ということが明言されたということでよかったなと思いますが、そのようにしていただいた結果、基礎助産学の「チーム医療や関係機関との調整・連携について学ぶ内容とする」という、この現行のものと変えていない文章が非常に整合性がない状況になっているかと思います。
チーム医療というのは、ちょっと形だけを示している言葉であって、どのようなチームをどのように運営できる能力を助産師さんは身につけなければいけないのかということがもし表現されるのであれば、基礎助産学に入るのでしょうけれども、助産診断・技術学と地域母子保健にもうその内容が入っているようですので、かなり重複してくることになるのかなと思います。文言の整理が必要ではなかろうかと感じました。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。ほかにいかがでございましょう。
井村構成員、どうぞ。
○井村構成員 ありがとうございます。
福島先生初めワーキングの先生方で本当に細かく見直していただき、技術項目も新設していただいて、大変すっきりしたと思っております。ありがとうございます。そして、到達度に関しましても、おおむね現行の教育プラスで強化していくところの区別化ができてよろしかったなと思って、大変感謝申し上げたいと思います。
実習単位等に関しましては、さまざまワーキングの先生方でも、単位増ということで御議論いただいたということも伺ってはおりますけれども、最終的なさまざまな諸般の状況からの今回の提案ということで受けとめたいと考えております。ありがとうございます。
それで、先ほどの看護のところでも申したことですけれども、助産師の技術項目は相当はっきりしておりますので、学内演習をしっかり行い、シミュレーション教育等を強化しながら、現場の能力を強化する方向でさらに教員一同の努力が必要と思います。そのあたりにつきまして厚労省のお力添え、基金の活用等に関して地方自治体のほうへの発出もぜひよろしくお願いしたいと考えております。
また、先ほど申し上げた各論的なことで恐縮ですけれども、看護のところでも申し上げた保健指導という言葉が、助産のほうで1つ、Ⅱのマタニティケア能力の2のAの11に「保健指導」と入っております。これは本当に言葉としてはマイナーチェンジですが、意味は非常に重要と認識しておりますので、文言修正はぜひ行っていただきたいと、事務局、先生方にはお願いしたいと思います。
例えば「保健指導」という言葉を用いずに、「セルフケアを促す支援を行う」等、やはり当事者主体の言葉を使いながら、それを側面的に支援するという、主客を置きかえる表現にどんどん変えていくべきと考えておりますので、ぜひこれはお願いしたいところであります。よろしくお願いします。○遠藤座長 ありがとうございました。ほかに何かございますか。
それでは、酒井構成員、お願いいたします。
○酒井構成員 何回も済みません。先ほどの当事者主体の表現ということを意識するのであれば、当事者の方が読んでわかる表現ということが基本的には当事者主体ということにつながると思うのです。資料3-2でいくと、例えばペリネイタル・ロスであるとか、グリーフケアであるとか、グリーフケアはまだわかりやすいのかもしれないですが、バースレビューとかいう表現は、助産師さんではわかりやすいのかとは思われますが、当事者主体ということを考えたときに、表現も少し検討される余地はあるかなと思いました。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょう。
よろしゅうございますか。
それでは、これにつきましても、一部文言について御意見がありましたので、ほかのガイドラインと同じように、事務局のほうで御意見を整理していただきまして、福島構成員と御相談の上、修正が必要なところは修正していただくということで対応させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
それでは、次の議題でございますが、准看護師ワーキンググループでございます。准看護師ワーキンググループは、私が実は座長でございますので、事務局から報告をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○関根教育体制推進官 事務局でございます。
検討会から示されました准看護師ワーキンググループにおける検討事項をもとに、准看護師ワーキンググループは5回にわたり、卒業時の到達目標、教育内容、教育方法、教育体制、教育環境について検討を重ねてまいりました。
なお、検討会からいただきました准看護師に求められる能力につきましては、免許取得前に習得可能な範囲を考慮し、必要に応じて、資料4-2の卒業時到達目標、資料4-3の教育の基本的考え方、教育内容、時間数、留意点に反映いたしました。それでは、具体的な改正のポイントについて説明させていただきます。
まず、資料4-2をご覧ください。准看護師養成所における教育の標準化を図るため、「准看護師に求められる実践能力と卒業時の到達目標」を新たに策定いたしました。
策定に当たりましては、検討会から示された「将来を担う准看護師に求められる能力」をもとに、「看護師に求められる実践能力と卒業時の到達目標」を参考にしつつ、免許取得前に習得すべきもの及び到達すべき水準について検討いたしました。
准看護師の業務範囲は、法律の規定上、看護師と違いがございますことから、それが明確になるよう、別表の冒頭に、「法令に基づき、医師、歯科医師又は看護師の指示を受けて療養上の世話及び診療の補助を行う」旨を明記しました。
准看護師の業務範囲等を踏まえて、実践能力の構成要素を設定し、准看護師養成所の教育実態及び看護師教育とのつながり等を考慮した到達目標といたしました。
続きまして、資料4-3をご覧ください。まず、教育の基本的考え方についてです。
「准看護師教育の基本的考え方」につきましては、保健医療福祉を取り巻く状況等を踏まえ、看護師教育の基本的考え方の見直しも参考にしつつ、3項目を新設し、内容の充実を図りました。
続いて教育内容の分野の区分についてです。教育内容の枠組みについては、従来は「科目」として示しておりましたけれども、看護師教育と同様に「分野」として示すことといたしました。
准看護師に求められる実践能力を習得できるよう、時間制及び総時間数(1,890時間)は維持し、各分野の枠を超えて教育内容を見直しました。
次に、基礎分野についてです。専門基礎分野及び専門基礎分野の教育の土台になるよう、また看護師教育との連動も考慮しつつ教育内容を見直し、「論理的思考の基盤」「人間と生活・社会」に変更し、学ぶべき内容が明確になるよう留意点に記載しました。
次に、専門基礎分野についてです。臨床場面において薬物による生理的変化を理解することの重要性を鑑み、薬理を35時間から70時間に強化しました。
現行の「看護と倫理」及び「患者の心理」は、「基礎看護」において学ぶ内容であることから、専門分野に移動いたしました。
次に、専門分野についてです。基礎看護につきましては、地域包括ケアの推進や、疾病構造の変化に伴い、対象や療養の場の多様化に対応する能力を強化するために、健康等の概念や、看護における倫理、在宅などの多様な場における療養生活について、また基礎的な災害時の看護について学ぶ内容となるよう、留意点を修正いたしました。
基礎看護の看護概論は、これまで専門基礎科目に位置づけられていた看護と倫理を含む内容として整理したことに伴い、35時間から70時間に強化し、基礎看護技術は、これまで、専門基礎科目に位置づけられていました患者等の心理を含む内容として整理したことに伴い、210時間から245時間に強化し、コミュニケーション技術を習得する内容とするよう、留意点に盛り込みました。
さらには、准看護師の実践能力の向上のためには、シミュレーション教育を活用し、実践に結びつけられるよう教授方法の工夫が求められることから、その旨を留意点に追記いたしました。
次に、臨地実習についてです。自身の行った看護実践の振り返りを通じて、安全・安楽な看護について考えを深め、よりよい看護を実践するチームの一員として役割を発揮できるよう、また対象や療養の場の多様化に対応する能力を高めることができる実習となるよう、留意点の記載内容を充実させました。
続きまして、同じ資料4-3をご覧いただきながら聞いていただければと思いますが、准看護師課程と介護福祉士課程の科目履修の免除についても検討いたしまして、今回の見直しにより、看護師と同様に、基礎分野に限り可能とすることといたしました。
准看護師ワーキンググループからの報告は以上となります。
○遠藤座長 ありがとうございました。それでは、御意見、御質問いただきたいと思います。いかがでございましょう。
酒井構成員、お願いします。
○酒井構成員 資料4-3のところですが、現行の看護概論がいろいろな内容の変更があって70時間にふえているのにもかかわらず、名前が同じ看護概論となっており、内容が学生にも教員にも伝わらない内容の説明になっているといいますか、ここは看護概論でなければいけない理由はなく、むしろ中身をきちんとあらわされる表現に変更したほうがよろしいのではないかという意見を持ちました。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。ほかに。
井村構成員、どうぞ。
○井村構成員 十分に理解できておらず恐縮ですけれども、この基礎看護学の中に看護概論と臨床看護概論とあります。これらは、全部一緒の箱の中に位置付けられ、留意点は全部一緒になっているのですが、どのように区別化して読んだらよろしいのでしょうか。済みません。
○遠藤座長 事務局、コメントをお願いいたします。
○島田看護課長 事務局でございます。
この留意点の解釈ですけれども、おおむね該当する教育内容の部分における留意点については、教育内容と行を揃えて記述しているところでございます。今般の留意点の改正部分につきましてボリュームがふえたということもありまして、先ほど酒井構成員からの御指摘もありますように、行というか、どの部分がどの教育内容に該当するのかといったところをもう少しわかりやすく整理したほうがいいかなと思いましたので、御指摘を踏まえまして、次回までに再度整理させていただきたいと思います。ありがとうございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。ほかに何かありますか。
村嶋構成員、お願いします。
○村嶋構成員 教えていただきたいのですが、臨地実習のところですが、どのような形で臨地実習の指導をされることが想定されているのかということをお伺いしたいと思います。看護師の場合は、大学の教員も行きますが、厚労省で臨床指導者を教育してくださっていますが、どこの実習所でどういう方たちが実際に指導しながらやっているのかということのイメージが私に乏しいものですから、教えていただければと思います。
○遠藤座長 これはいかがでしょうか。事務局か、あるいは実際に准看護師の臨地実習をされている御経験のある構成員の方からの御発言が。
では、事務局どうぞ。
○島田看護課長 まず、構成員の先生方からまた実情についての御説明があればお願いしたいと思いますけれども、まず、制度上といいますか、規定でどのようなたてつけになっているかといったところを御説明させていただきたいと思います。
まず、村嶋構成員からの御質問について、すみません、ちゃんと捉えられているかどうか心配なところですけれども、准看護師養成所におきましても、ほかの養成所と同じように、実習のあり方というのをガイドラインの中でお示ししております。多様な実習施設におきまして、実習指導者がいる実習の場において教員も指導しながら実習するというようなことは、ほかの保健師や看護師と同じような内容で規定しているところでございます。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。村嶋構成員。
○村嶋構成員 前回、釜萢構成員が、准看護師さんになる人の数が減っていて、それぞれのところで維持していくのが大変なので、准看学校の枠を超えて行うことを考えてほしいという御要望が出されました。実際に私の身近な場所を見ましても、医師会立の准看学校を閉じて、3年課程に変えたというところがございます。それはそれなりの必然があったからだろうと思うのですが、実際に実習のときにどういう形でおやりになって、どこら辺ができていてどこら辺が困っていらっしゃるのかお伺いできればと思いました。
○遠藤座長 それでは、釜萢構成員、お願いいたします。
○釜萢構成員 私が所属していた医師会立は、看護師は2年課程と、それから准看護師課程を持っておりましたが、実習のやり方についてはやはり養成所からしっかり指導教員が実習の現場に出ていかないとそれはできないので、それだけの対応を準備しなければならなかったということです。
特に准看護師の養成所で大変なことは、実習の場が四年制の大学の実習が非常にふえてきている中で、四年制の大学、それから3年課程の看護師の養成所、そして2年課程の養成所、その後に准看の養成という順序で実習場所を確保せざるを得ないという状況があるので、准看の養成所については実習場所の確保がなかなか難しいという現実があります。その中でそれぞれの学校が工夫して実習に対応しておりますが、指導教員の手当ては指定規則にのっとった形でやっておりまして、看護課程と准看護課程と特段そう体制が変わるというものではないと思っております。
○遠藤座長 どうもありがとうございます。ほかに何かございますか。
それでは、中西構成員、お願いします。
○中西構成員 先ほどの准看護課程における実習の現状につけ加えたいのですけれども、やはり教員の数がどうしても少ないですので、教員が一人当たり指導する学生数は多くなってしまうといったような現状があります。実習の展開そのものに関しては看護課程と大きな変わりはないと思いますので、なかなか目が届きにくい現状があります。
以上です。
○中西構成員 済みません。先ほどの准看護課程における実習の現状にちょっとつけ加えたいのですけれども、やはり教員の数がどうしても少ないですので、教員が一人当たり指導する学生数は多くなってしまうといったような現状はあるかと思いますので、実習の展開そのものに関しては看護課程と大きな変わりはないとは思うのですけれども、なかなか目が届きにくいといったような現状があるというのは事実ございます。
以上です。
○遠藤座長 どうもありがとうございます。ほかに何かございますか。
菱沼構成員、どうぞ。
○菱沼構成員 ほかのところが全て増えているのに対して、准看護師のほうは、総時間数が1,890で、変更がございません。それで、ちょっと戻ってしまうのですが、看護師の2年課程の、つまり、准看護師から看護師になる課程のほうの改正案を今ちょっと見ますと、この准看護師のほうの資料4-3では、地域包括とか地域在宅とかいうことは全く出ていない状態で、それで、看護師のほうの2年課程の改正案のほうで地域在宅は2単位という形になっています。准看の教育の中で触れられていないことに関しては、2年コースのほうの看護師の課程で、通常の看護師の課程と同等の内容を入れ込まないと質保障ができないのではないかなとちょっと思いましたので、その点を御検討いただければと思います。
0000○遠藤座長 御意見として承りましたが、何か、事務局、コメントはありますか。
○島田看護課長 事務局でございます。
准看護師の資料4-3のほうでございますけれども、御指摘のとおり、全体の総時間数のほうは増加していないところですけれども、今回、全体として、到達目標とともに学ぶべき内容を明確にしたということで、さらに質の高い教育を行っていただけるような枠組みを御提供できるのではないかなと事務局としては思っております。
一方で、御指摘のありました在宅看護といいますか、地域におけるさまざまな療養の場において准看護師の力をつけるにはどうしたらいいかというところだと思うのですけれども、資料4-3の留意点のところでも、多様な場での療養者を支える力ということも着目しておりましてお示ししておりますことと、それから、2年課程のほうですけれども、3年課程と同じように、地域・在宅看護論というふうに地域ということを加えまして2単位増させていただいておりますので、看護師国家試験受験資格に相当する力は准看護師の後の2年課程でもしっかりつけていただけるのではないかと考えております。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。ほかに何かございますか。
よろしゅうございますか。
ありがとうございました。それでは、これにつきましても、一部、文言についての御意見がありましたので、これはまた事務局のほうで必要なものについては修正いただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
では、次の議題の2に入ります。教育体制・教育環境に係る見直しについて、事務局から資料の説明をお願いいたします。
○関根教育体制推進官 事務局でございます。
お手元の資料5をご覧ください。こちらは、以前、検討会で一度お出しした資料に、さらに看護師ワーキンググループで検討いただいた内容のうち、ここに追加した方がよいという御意見をいただきましたものについて、下線を引いて追記させていただいたものになります。
まず、冒頭のところですけれども、1から3の内容を看護師等養成所の運営に関する、これは、すみません、「指導」が抜けております。指導ガイドラインに記載するというところで、基本的にこの1から3の中に、文章の最後ですけれども、「明示する」と書かれたものが幾つか出てまいりますけれども、こちらについては、イメージとしてはガイドラインに記載するということと、あと※印の部分の内容は除くというところで、①は看護教員養成講習会の見直しについて御意見をいただいたところですけれども、こちらは講習会そのものを見直すときの御意見になっておりますので、こちらの部分は除くと記載しております。
そして、いただいた意見で今回追記させていただいたところを御説明いたしますと、1.教員等の①のところでございますが、そちらの最後の行の○をご覧いただきまして、「看護教員の質の向上を図るため、特に受講率の低い教務主任養成講習会については、受講促進策を検討する」。そして、2点目が「②養成所及び実習施設における指導体制の充実化」、1つ目の○でございます。前段は、この文章の前半には事務職員の配置とその役割の明示について記載しておりましたけれども、それに加えて、「業務支援システム等の情報通信技術(ICT)の活用や学生へのカウンセリング等に関して支援が受けられる体制の確保等の工夫を講ずることが望ましい旨を明示する」。そして3点目がその下の○ですけれども、「基礎分野の授業において、教授する内容によっては講師の所属が大学に限らない実態があること及び教育方法の多様性等に鑑み、基礎分野の教員の選任対象を一定の質を担保しつつ、これまでより広く捉えられるように追記する」。
以上の御意見をいただいたところでございます。こちらについて御意見いただければと思っております。以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。それでは、何か御意見、御質問あればいただきたいと思いますが。
菱沼構成員、どうぞ。
○菱沼構成員 恐れ入ります。全て看護師、助産師、保健師につきまして指定規則上の単位数がふえるのに当たって、教員数の増加ということについては触れられないのでしょうかというのが1つございます。単位数5単位ふえて教員の数は変わらない、3単位ふえても教員の数は変わらないと。ここにお示しいただいていますのは、そこを補充するために事務職員をふやすのだということですが、事務職員の仕事と教員の仕事はもともと違うと思いますので、そこの予算措置というか、そこを含めて教員の補充ということはお考えでないのでしょうか。
○遠藤座長 事務局、コメントをお願いします。
○関根教育体制推進官 事務局でございます。
ワーキンググループの中で教員数のことについて議論いただいた場面もございました。ただ、その中で養成所の実情としましては、なかなか確保が難しい実情があり、こちらも地域によっても差があるということでございましたけれども、そういったところからなかなか教員の定員のところを変えることは難しいだろうということでした。ただし、今回、教育内容が増えるという点と、その部分では教員の負担も今、問題になっているという調査結果もお示しして意見をいただきましたので、教員の負担軽減についてどのようなところを支援すると負担軽減されるのかという点をご検討いただいた結果、資料5に書かれているような事務職員やその周辺としてICT活用、サポートする人材でカバーしていけるのではないかとの御意見を書かせていただきました。
以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。ほかに。
井伊構成員、どうぞ。
○井伊構成員 ただいまの教員等についての②ですけれども、確かにいろいろな事情の中で教員を増やすということについては、この検討会でも困難であるという共通認識があったかと思います。そのため、②の1つ目の○の事務職員のことと、業務支援システム等の導入などについてこのように書かれたということには納得しています。
しかしながら、現在の指定規則でも「専任の事務職員を有する」という要件があるため、「1名以上配置することとし」と記載されても、「既に1名いるではないか」といわれることがあるかもしれません。また、実際に業務支援システムを入れるとなると、そのシステムを動かす条件などが必要になります。そのため、これらを追記すること自体はこれでいいと思いますが、基金のメニュー例に項目を追記するなど、今後、養成所でこのような体制を確保するための財政支援が都道府県からなされるようにしておく必要があるのではないかなと思います。
○遠藤座長 ありがとうございました。ほかに何かございますか。
村嶋構成員、どうぞ。
○村嶋構成員 ICTですね。本学も基金等でシミュレータは買えるのですけれども、シミュレータを動かして実際にシミュレーションしようとすると、プログラムをつくって動かせるようにする必要があるのですね。看護の教員たち忙しいのでなかなかそこまでいきません。シミュレーションのサポートをしてくれる体制が必要だなあと思っておりまして、ICTの活用ということをやるならば、ぜひそういうサポートも、それに対する経費補助も書き込んでいただけるといいと思います。○遠藤座長 どうもありがとうございます。ほかにございますか。
大体よろしゅうございますか。
それでは、こちらにつきましても、御意見がございましたので、事務局としては、修文が必要だと思えば修文していただきたいと思いますので、所要の対応、よろしくお願いいたします。
以上、用意いたしました議題は全て終了いたしました。全て、きょういただいた御意見を踏まえて、事務局としては資料の作成に進んでいただきたいと思います。事務局から、今後の問題について御意見ございますでしょうか。
○関根教育体制推進官 きょういただいた御意見を報告書の作成のほうに生かしていきたいと思っております。また、座長の先生にはまた御相談させていただきながら進めてまいりたいと思います。
それで、次回第10回の検討会ですけれども。
○井村構成員 済みません、今までの意見をまとめてとおっしゃってくださったので、その前に、報告書に上げる意見を、ぜひ発言させていただきたいと思いますので、少しお時間いただけるとありがたいのですが、よろしいでしょうか。○遠藤座長 結構です。
○井村構成員 ありがとうございます。今回の基礎教育の検討においては、ある程度教育の充実を図るためのカリキュラム改正になったと思っております一方で、まだ大きな積み残し課題があると強く認識しております。これから申し上げる積み残し課題については報告書にぜひ明記していただきたいと考えます。そして、次期のカリキュラム改正時にはぜひそのことを検討することと、実現に向けて動いていただけるとありがたいと考えます。
その一つは、済みません、助産師のことで恐縮ですが、今回見送られた助産師基礎教育における実習単位を増加させることでございます。これは、座長の福島先生はじめワーキングの先生方も、教育内容を強化することと、そして実習単位を増加させるために相当力を尽くしてくださったとも伺っております。そのことも含めての全助協からのお願いということで聞いていただけるとありがたいです。
世界に類を見ない日本の超少子高齢化の時代に、子供を産み育てようとする母親、父親、家族、そして生まれてくる新しい命を大切に育み育てることは国家的な喫緊の課題と常々認識しております。ぜひこれを共有していただきたいと思います。
その上で、助産師基礎教育において、妊娠する前から、妊娠・出産・育児期まで、当事者にとって切れ目のない支援を行える実践能力をはじめ、周産期医療の安全と安心を確保し、医師とのタスクシェアリングを推進する観点からも、正常産を自立して取り扱うことができる実践能力、ハイリスクケースに対応できる基礎的実践能力を高めることは、今回のカリキュラム改正を踏まえても、なお積み残される継続的な課題と認識しております。
もちろん、これからのカリキュラム改正のカリキュラムを十全に行う努力は最大限教員としてはしてまいりますが、しかしながら、まだ積み残される継続的課題だと強く認識しております。
これとあわせて、助産師教育年限の延長、2年間教育をお願いしたいと考えております。全助協では、看護師基礎教育を終えた後に2年間の助産師教育を行うことを推進してまいりましたし、これからも推進してまいります。助産師の国際的組織である国際助産師連盟、ICMと申しますけれども、には日本の助産師団体も加入しています。そして、ICMの示す助産師教育国際基準では、教育年限は、看護師免許取得の後に1年半以上、18カ月以上の助産師教育を行うこと、そしてさきに述べた実習単位の増加のことにかかわるのですけれども、カリキュラムの総単位数の50%は実習を行うという基準を各国の教育機関に推奨しております。これは年来推奨し続けております。
日本の場合は、今回の改定、31単位中、実習11単位で、実習比率は35%です。国際基準には到底及びませんが、母子と家族、女性、国民の健康ニーズに対応でき、実践能力のある助産師を育成するには、教育年限の延長に基づく実習強化、実践力強化は必須と考えます。
長くなって恐縮ですが、ちなみに、欧米各国、ヨーロッパ、オーストラリア、英連邦、カナダ、米国、そして医療職の教育に力を入れている一部の途上国においては、既に18カ月以上を厳守しております。専門学校、ディプロマコースでも18カ月以上、または修士課程での2年間教育を行って、分べん介助例数は40例でございます。一方、日本では1年間教育、分べん介助は10例程度で、9もしくは10という、全く国際的には歯が立たないような教育をしております。
医学教育でも、数年前、「実践力を求める黒船到来」と医師の方々がおっしゃっていましたけれども、到来以来、国際基準に近づく努力を粛々とされておられると伺います。日本の助産師教育は、世界水準、国際基準から大きく水をあけられていると認識しています。その事実を直視し、厚労省、国とされても、このような認識のもと、教育年限と実習増加を含めた助産師教育の改善について、今後ぜひ前向きに検討を開始していただきたいと考えております。そのことを本当に心から願っております。
近い将来、看護師教育、四年制を含めた看護基礎教育の抜本的な見直しが必要と考えますが、まずは今後の足元を固める意味でも、今回策定する最終報告書には、次回のカリキュラム改正の際には、ぜひとも実習単位数を増加させること及び助産師教育年限2年に向けた見直しを行うことを明記していただきたいと切に願います。
この2点を強く要望いたします。ぜひよろしくお願いいたします。長くなって恐縮いたします。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。ほかによろしゅうございますか。
では、村嶋構成員、どうぞ。
○村嶋構成員 今のように十分に準備はしておりませんが、虐待の問題が近年大きな社会問題になっておりまして、保健師はどうしてもその第一線に立たされます。実際にそこに行く、そこできっちりと個人、家族を、御主人含めて、パートナー含めてかかわっていかなければいけないのですが、今の保健師の基礎教育では、特に保健師、看護師の統合ではパーツによる実習が多くて、一人の人を継続的に見るという実習が大変できないというのが現実でございます。
そういう意味では、保健師のほうもぜひ次回は実習単位の増、特に個人、家族をきっちり見る、継続的な訪問、家庭訪問実習ができるということを入れていただきたいと思います。また、地域包括ケアシステムをつくっていくのがやはり行政の保健師の役割である、そのための教育内容を基礎教育の中にきちんと入れるということを明記していただきたいと思います。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。それでは、大体御意見承ったと思いますので。
則安参考人、お願いいたします。
○則安参考人 本日は中谷構成員の代理で参っております則安と申します。
この会におきまして、看護職能の適正な能力の獲得、そして支援の実施といいますか、そういったことについての真摯な御検討、本当に敬意を表するところでございます。行政の立場といたしましては、現在、看護職につきましては、そのマンパワーの確保というのが非常に重要な課題となっているところでございます。そうした中で、この養成課程の延長ということについては、その行政のほうで看護の需給というところへの影響ということも多分に危惧するところでございます。そういったところも踏まえまして慎重に御検討いただけたらと考えております。
以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございました。
それでは、大体御意見は承ったと思いますので、事務局としましては、さまざまな御意見を踏まえて所要の対応をお願いしたいと思います。
それでは、本日はこれにて終了したいと思います。どうも長時間ありがとうございました。











 

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