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2019年1月30日 第7回 看護基礎教育検討会 議事録

医政局看護課

○日時

平成31年1月30日(金)16:00~18:30

 

○場所

厚生労働省 専用第15会議室(12階)
東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎5号館

○出席者

安藝 佐香江 (医療法人社団永生会みなみ野病院法人本部統括看護部長/看護部長)
井伊 久美子 (公益社団法人日本看護協会副会長)
池西 静江 (一般社団法人日本看護学校協議会会長)
井村 真澄 (公益社団法人全国助産師教育協議会会長)
江崎 喜江(※崎はたつさき 以下略) (大阪府病院協会看護専門学校副学校長)
遠藤 久夫 (国立社会保障・人口問題研究所所長)
太田 秀樹 (一般社団法人全国在宅療養支援診療所連絡会事務局長
釜萢 敏 (公益社団法人日本医師会常任理事)
木澤 晃代 (日本大学病院看護部長)
木村 元 (一橋大学大学院社会学研究科教授)
酒井 郁子 (千葉大学大学院看護学研究科附属専門職連携教育研究センター長)
中島 由美子 (医療法人恒貴会訪問看護ステーション愛美園所長)
中西 亜紀 (高槻市医師会看護専門学校教務部長)
額賀 修一 (全国看護高等学校長協会副理事長)
馬場 武彦 (一般社団法人日本医療法人協会副会長)
春山 早苗 (自治医科大学看護学部学部長/教授)
菱沼 典子 (一般社団法人日本看護系大学協議会理事)
福島 富士子 (東邦大学看護学部学部長/教授)
藤田 京子 (蕨戸田市医師会看護専門学校副校長)
村嶋 幸代 (一般社団法人全国保健師教育機関協議会監事)
山田 雅子 (聖路加国際大学大学院看護学研究科教授)
 

○議題

 (1)看護師ワーキンググループの検討事項について
 (2)准看護師ワーキンググループの検討事項について
 (3)助産師ワーキンググループの検討事項について
 (4)保健師ワーキンググループの検討事項について
 (5)その他

○議事

 

○関根教育体制推進官 それでは、定刻より若干早いのですけれども、委員の皆様おそろいのようですので、ただいまより第7回「看護基礎教育検討会」を開催いたします。
 構成員の皆様におかれましては、本日はお忙しい中、本検討会に御出席を賜り、誠にありがとうございます。
 本日は、前田構成員、山口構成員が御欠席です。
 それでは、遠藤座長、議事進行をお願いいたします。
○遠藤座長 皆さん、こんにちは。よろしくお願いいたします。
 それでは、まず、議事に入る前に、事務局より資料の確認をお願いいたします。
○関根教育体制推進官 議事次第に沿って資料を確認させていただきます。
 資料1 看護師ワーキンググループにおける検討状況
 資料2 准看護師ワーキンググループにおける検討状況
 資料3 助産師ワーキンググループにおける検討状況
 資料4 保健師ワーキンググループにおける検討状況
 参考資料1 看護師ワーキンググループにおける資料
 参考資料2 准看護師ワーキンググループにおける資料
 参考資料3 助産師ワーキンググループにおける資料
 参考資料4 保健師ワーキンググループにおける資料
 参考資料5 看護師・助産師・保健師養成所における単位数及び時間数の現状
 こちらを御準備しております。
 また、それ以外に本日は、菱沼構成員及び山口構成員からの提出資料を机上に配付しております。そのほか、構成員の皆様のお手元に御用意しましたファイルには、今までの検討会資料と関係法令や検討会報告書をファイリングしておりますので、適宜御参照ください。
 資料の落丁・不足等がございましたら、事務局にお申しつけください。
○遠藤座長 よろしゅうございますか。それでは、議題に移らせていただきます。
 本日は、各ワーキンググループから検討状況の御報告をいただきまして、その後、皆様から御意見をいただくという流れにしたいと考えております。また、本日のアジェンダは大変豊富でございまして、いつもより30分長い2時間半を想定しております。ただ、それも十分議論ができるかどうかということもありますので、この議論はまだ今後も続きますので、時間厳守でお願いしたいと思いますので、御協力のほど、よろしくお願いいたします。
 それでは、早速「看護師ワーキンググループにおける検討状況について」、議題に入りたいと思います。看護師ワーキンググループ座長の山田構成員から、検討状況の説明をお願いいたします。よろしくお願いいたします。
○山田構成員 こんにちは。お願いいたします。
 看護師ワーキンググループは、今までに8回開催いたしました。各回の議題は資料1に記されてあります。
 前回の検討会では、看護師に求められる実践能力と卒業時の到達目標の検討事項について御報告いたしましたが、本日は、そのほかの検討状況について報告をいたします。資料1と資料1別紙、参考資料1を御参照ください。
 まず、資料1の2番「看護師教育の技術項目と到達度」の見直しの方向性は、次の3点からなります。検討会から示されました「看護師ワーキンググループにおける検討事項」に基づきまして、免許取得前に習得すべき技術項目を検討いたしました。看護師の技術は、テクニカルスキル、具体的な手技ととらえまして、観察に関すること、アセスメントに関することは含まない、そこは削除し、簡潔明瞭な表現といたしました。また、学内で行う演習と臨地で行う実習とで求められる到達度は異なりますので、それぞれ到達度を示すこととして、到達度レベルは評価しやすい文言に修正いたしました。
 見直しの方向性は以上になります。
 看護師の技術項目と到達度の現時点での案でございますが、参考資料1-1にお示ししたとおりです。
 次に、3番、看護師養成所の運営に関する指導ガイドライン別表3の見直しの方向性についてです。資料1の別紙をごらんください。あわせて参考資料1-2に別紙の改訂案がございます。資料1別紙に沿って御説明します。
 見直しの方向性ですが、「専門分野Ⅰ」「専門分野Ⅱ」「統合分野」と3つに分かれておりましたのをまとめて「専門分野」とくくりを直しております。この理由は、統合分野がつくられまして、看護の統合と実践がつくられまして約10年が経過しまして、その意味、重要性が浸透してきたのではないか。そして、専門分野Ⅰ・Ⅱ、統合分野は、必ずしもこの順番で一方向的に学ぶものではなく、教育の実態から双方向的に行ったり来たりしながら学習することもあり得ると考えたからです。
 また、在宅看護論は専門分野Ⅰ・Ⅱ、統合分野に全てにまたがる内容であるということで、基礎看護学の次に位置づけております。
 また、各養成所が学校ごとの理念や目標に合わせてカリキュラムを再編・編成しやすくなるのではないかと考えまして、分野を統合したことになります。
 これにつきましては、3区分を維持したほうがよいのではないか、専門分野Ⅰ・Ⅱの区分は残したほうがよいのではないかという一部の御意見をいただいております。
 次、「在宅看護論」ですが、生活者に関する看護という視点から、全ての領域の根本に当たると考えまして、統合分野の位置づけのみではなく、教育の初期段階「基礎看護学」の次に位置づけております。また、「在宅看護論」という名称につきましては、今回の見直しでは教育内容の枠組みは原則維持する方向で検討されておりますために、現行のままといたしております。ただ、それにつきましては、地域を意識するという意味で、地域看護学を看護師教育に盛り込むべきという意見もございましたように、「地域」という名称を用いてはいかがかという一部の御意見もありました。
 3つ目、「成人看護学」と「老年看護学」につきましては、さまざまな理由から単位数をくくって示しております。ただ、講義・演習においては、それぞれ専門領域で学ぶべき内容を確実に教授する必要性があることから、くくらずに別々という意見が大半でございました。
 4つ目、「人体の構造と機能」「疾病の成り立ちと回復の促進」を15単位から1単位ふやしまして、16単位といたしました。これにつきましては、右側にあるように、基礎分野、専門基礎分野、専門分野それぞれ増単位したらいかがかという御意見が一部の構成員からございました。
 5点目、臨地実習は最低単位を括弧内に示しております。領域ごとの単位数を各養成所において設定できるように配慮したということでございます。これにつきましては、現行の単位の表記を維持したらどうか、また、自由裁量部分はもう少し限定したほうがいいという御意見も一部構成員から出ております。
 6点目、臨地実習の単位数についてです。どの領域においても、実習施設の確保が難しいことや、実習先で実際見学にならざるを得ない事情もあるということを聞いておりまして、そのため現状維持の23単位といたしました。これにつきましても一部の構成員から増単位してはいかがかという御意見をいただいております。
 7点目です。領域横断等の柔軟なカリキュラム編成を実現しやすくなるよう、備考にその旨を記載いたしました。
 8点目、総単位数につきましては、1単位増の98単位といたしました。こちらは、110単位を目途に増単位すべきという御意見が一部の構成員からございました。
 最後ですが、総単位数とともに示している時間数3,000時間以上につきましては、各養成所の教育の質の担保の観点から残すことにいたしました。一方で、多くの現状として、養成所が3,000時間を超えて教育を行っていることから、最低時間数を示す必要はないのではないか、単位制の趣旨に合っていないため、時間数は削除すべきという御意見もいただいております。
 最後に、資料1の4番、「教育体制・教育環境」の見直しの方向性ですが、検討会から示されました「看護師ワーキンググループにおける検討事項」に基づいて、望ましい教育体制・教育環境について検討いたしました。検討状況は、参考資料1-3にお示してあります。
 報告は以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 それでは、御意見を賜りたいと思いますけれども、項目ごとに分けて議論したいと思います。
 それでは、「2.『看護師教育の技術項目と到達度』の見直しについて」、御意見・御質問等おありになれば御発言いただきたいと思います。いかがでございましょうか。
 それでは、中西構成員、お願いします。
○中西構成員 とてもシンプルな表現に項目自体はなっていると思いますが、1つの項目の示す内容が幅広いのではないかと思います。例えば、活動・休息援助技術の体位変換・保持等は、内科的な疾患と整形の疾患ではかなり違うと思います。卒業時の到達度は演習・実習ともⅠと示されていますが、整形外科的疾患では学生が単独に行える体位変換は限られると考えると、臨床側の指導者等は学生を評価するときに迷うのではないのかと思います。このようにシンプルにされたことに関しては、私としてはとても賛成なのですけれども、このあたりの幅広いとらえ方といったところは、検討される中で意見として出ていたのであれば教えていただきたいのですが。
○遠藤座長 ありがとうございました。御質問ですが、これは山田構成員ということですかね、事務局にということですかね。山田構成員、お答えできることがあれば、お願いします。
○山田構成員 そもそも看護の技術は非常に幅広い、全ての状況を考えれば幅広く深いことになると思います。それを全て到達度の一覧として示すことは困難ですので、それぞれの細かいゴールにつきましては、養成所で御検討いただければと考えております。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 ほかに何かございますか。よろしゅうございますか。もし、何かあれば、また戻っていただくということで、先に進ませていただきたいと思います。
 次は、「3.『看護師等養成所の運営に関する指導ガイドライン別表3 看護師教育の基本的考え方、留意点等』の見直しについて」、御意見いただきたいと思いますが、本日御欠席である山口構成員から資料が提出されております。この内容がどうもこの教育内容のところと一致するようなものですので、これについては事務局から説明をお願いいたします。
○関根教育体制推進官 山口構成員提出資料をご覧いただけますでしょうか。本日は、ご欠席でございますけれども、代わりに、意見書を提出いただいております。
 まず、1点目として、冒頭のところは、さまざまな看護職、特に管理職から、新人看護師の様子などをお聞きしているというところですけれども、前回の改訂から約10年経ちまして、実地で学ばないといけないことは確実に増えているとの御意見でございます。しかし、今回の座長案では、臨地実習が増えているように思えないということで、実際に単位数は維持ということで先ほど説明させていただいた通りですので、それはなぜでしょうかという質問が来ております。
 2点目ですけれども、基礎分野の「科学的思考の基盤」、「人間と生活・社会の理解」の留意点に「コミュニケーション能力を高め」という文言が入っていますが、「模擬患者を利用した実践的な演習を行うなど、コミュニケーション能力を高め」と、これまでよりも具体的な方策を例示したり、コミュニケーション能力を高める演習を単位化したりする必要があるという御意見をいただきました。
 続いて3点目につきましては、アクシデントやインシデントの部分では、医薬品に起因するものが多いということでございまして、実状を踏まえますと、医薬品についての知識がこれまで以上に求められているという点で、臨床薬理について現行からの変更はないようだが、患者安全を確保するためにも単位数を増やすなどして力を入れる必要があるという御意見でございます。
 4点目につきましては、全体として到達度を上げたとのことですが、それらは単位数や指定規則のどこに反映されているのか理解ができなかったため、説明をお願いしたいという御意見でございます。
○遠藤座長 御意見とともに御質問も含まれておりますので、もし、この御質問について山田構成員から何かお答えできることがあれば、コメントをいただきたいと思います。
○山田構成員 御意見いただきまして感謝いたします。1点目と2点目について、あわせて意見を述べたいと思います。
 コミュニケーション能力を高めることというのは、最初から山口構成員が御指摘くださっている点でございました。これもワーキンググループでもコミュニケーション能力の強化を図れるよう議論を行ってまいりました。参考資料1-2にあります教育の基本的考え方におきましては、「2 対象者を中心とした看護を提供するために、看護師としての人間関係を形成するコミュニケーション能力を養う」という項目を独立させて立ててみました。これは教育の基本的な考え方に今後強化すべき能力を明示することにつながる、そして、実際の教育の中にこの能力を養えるように各養成所において、具体的なカリキュラムに反映できることを促すことにつながると考えております。ただ、実習ではなく、シミュレーション教育などを活用した演習の充実等といった教育方法の工夫も考えられますので、今回御指摘いただきましたコミュニケーション能力の強化に関しましては、実習の単位数増加は行っておりません。
 さらに、「模擬患者を利用した実践的に行う等の具体的な方策を例示すること」という御意見は、今後、改めましてワーキンググループでさらに検討していきたいと考えております。
 また、3番、4番につきましては臨床薬理の強化でございますが、薬理学などを学びます専門基礎分野の「人体の構造と機能」「疾病の成り立ちと回復の促進」におきましては、臨床判断能力の基盤を強化するため、1単位ふやしております。当然、その中で触れられることと理解しております。また、ワーキンググループで充実を図るべしと指摘を受けました項目につきましては、それぞれ到達目標、基本的な考え方、留意点、単位数の中で、多くの項目、新しく立てたもの、修正をつけ加えたもの、教育内容の充実等を目指して、全体的に見直しを行っていると考えております。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 それでは、今の3番につきまして、ただいまの御議論も含めてで結構でございますが、御質問・御意見があれば承りたいと思います。いかがでございましょうか。
 太田構成員、お願いします。
○太田構成員 「在宅看護論」という名称のことなのです。構成員の中には「地域」を加えたらどうかという意見があったと書いてございますが、私も「地域」があったほうがわかりやすいかなという1人なので、意見を言わせていただきます。
 この新しいカリキュラムで育っていった看護師が地域で活躍するようになるのは2030年ぐらいですよね。4年制大学を出て、しばらくトレーニングして一人前になると。2030年の日本社会を想像すると、既に高齢化率も30%に近いのですけれども、高齢化一層深刻になっております。私は在宅医療の立場からですけれども、実際、純粋な居宅での医療というのはなかなか進んでいないのが現状で、在宅医療が一見進んでいるように感じられるのは、居宅系の施設の医療です。例えば、サービス付き高齢者向け住宅やグループホーム、あるいは老人ホームなども在宅医療の技術が応用できる領域になります。したがって、在宅という言葉のイメージというのは、自宅を思い浮かべる方が多いのではないかと思っておりますので、「地域」がついたほうが現実を正しく表すのではないでしょうか。実際に、病院完結型医療から地域完結型医療というパラダイムシフトも語られておりますので、「地域」をつけられたほうが2030年の日本社会の高齢化の中で、在宅看護というのがより明確に伝えられるのではないかと思います。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 ほかに御意見等ございますか。菱沼構成員、お願いします。
○菱沼構成員 ただいま太田構成員から御発言があったこととほぼ同様のことでございます。私どもの日本看護系大学協議会で検討いたしまして、資料で提出させていただいておりますものを後で御確認いただければと思いますが、私どもとしましては、在宅看護論だけではなくて、学生が人々の暮らす地域での看護を把握するために「地域・在宅看護学」という名称にしてはいかがかという意見を述べさせていただきます。
 それから、訪問看護ステーションでの実習というのが非常に望ましいのですけれども、実習場が明らかに少ない状況にあって、ステーションの実習が望ましいのですが義務化はできないと思っております。「地域・在宅看護学」として、さまざまな地域での実習が可能なように、幅広い実習の場を設定できるような工夫をしていただきたいというのがもう一点でございます。
 以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 お待たせしました、馬場構成員どうぞ。
○馬場構成員 臨地実習の単位数についてなのですけれども、山口構成員の資料の1番の臨地実習についての考え方も非常によく理解できるのですが、あるいはワーキンググループの構成員からも単位数をふやすべきという意見もあると思うのですけれども、実習病院の立場から言わせていただければ、負担がそれなりにあるということですので、これ以上単位数をふやすのはどうかなと思っております。逆に、実習施設の幅を狭めることになるのではないかと思いますので、座長案にありますように、臨地実習は現状維持の23単位ということに対して強く支持をしたいと思っております。
 その観点では、参考資料1-2にありますように、各領域におきましても柔軟性を持って組めるということに関して、これも非常に評価したいと思っております。
 以上です。
○遠藤座長 どうもありがとうございます。
 ほかに何かございますか。春山構成員どうぞ。
○春山構成員 私も太田構成員、菱沼構成員と同じ意見なのですけれども、今回の考え方が生活者に対する看護という視点から、全ての領域の根本に在宅看護論をという考え方であるのであれば、在宅という点でとらえるのではなく、これまでこの検討会で御意見があったように、生活の包括性や継続性をとらえて看護の根本として展開していく内容ということであれば、やはり「在宅看護論」ではなく「地域」という名称をつけて、かつ「地域・在宅看護学」としたほうがいいのではないかと思いました。
 もう一点は、具体的に見直しの方向性には書いておりませんけれども、中に領域横断別課目というのを設けてはどうかという御意見がありますけれども、これも、これまでの御意見があったように、今の発達段階という枠組みではなくて、少し柔軟な、そして今お話しさせていただいたような対象の生活をとらえて看護を展開していく、療養の場も変わっていくというところで、領域横断別実習が入るといいのかなと思いました。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 では、藤田構成員、お待たせいたしました、お願いします。
○藤田構成員 先ほど、単位数を増加した場合、実習を受ける病院サイドの負担がかなり大きくなるのではないかというお話が出ていましたが、最も根本的な問題として、現在、大学サイドでは1時間を45分として換算しているのではないか。養成所では、実習時間は1時間を60分として換算するようになっていますから、単位数をふやしたくてもこれ以上なかなかふやせない実情があって、苦肉の策での1単位増加なのかなと私は理解しています。
 今の臨床の現実として、非常に短期間に患者さんが治療して退院されていく過程を見ていますと、学生がその実習をあらかじめ事前学習し、準備をしていく時間数は半端ないと思います。養成所の1時間単位数当たりの時間数をどのように換算したらいいかを考えますと、養成所もそろそろ45分に持っていってもいいのではないかと思う次第です。そして、そのことが臨床で起こっている実習を受け入れる病院サイドで大学サイドとかち合ってしまうので、養成所の実習は受け入れがたいという苦情が実際にありますので、そこを解消していくべきではないかというのが1つあります。
 もう一点は、コメディカルのPTやOTというところでは、2020年4月から101単位になるわけです。そういうふうに変化していく中で、看護教育が社会的に見てどうなのか。学生は学習を非常に強いられているのに、何も変化しないで昔のままの60分を1時間で換算するという内容が、看護教育の単位数をこれ以上なかなか増やせないというネックになっているのではないかと考えます。
 
○遠藤座長 どうもありがとうございます。
 ほかにはいかがでございましょうか。井伊構成員どうぞ。
○井伊構成員 先ほどの山口構成員の意見書の1について、私も同じ疑問です。そもそも、この検討会の2回目か3回目に、看護師ワーキングでどういう議論をしていただきたいかについて議論をしましたが、将来を担う看護師にはより高い能力が求められるため、基礎教育のレベルを引き上げるということで意見が一致していました。その方向でしっかり検討していただきたいと思います。続いて、実際にそのような教育をするためには何が必要で、さらに教育体制や教育環境をどう整えればいいかという議論をしていくというふうに考えております。これだと最初にこの検討会で合意した基礎教育のレベルを引き上げるということに至らないと思いますので、全体的に今回提案内容については異議があります。
 1点目なのですけれども、資料1の別紙の専門分野、統合分野をひとまとめにするという提案ですが、親検討会では教育内容の枠は変えないと最初に了解があったと私は記憶しています。「専門分野Ⅰ」「専門分野Ⅱ」「統合分野」をひとまとめにするかどうかということについては、大きな議論ではないかと思います。しかも、平成21年のカリキュラム検討会で、教育内容をどういう構成とするかが検討され、こういう分野が示されたと思いますので、浸透したからもういいというのは理由にはならないと思います。
 それから、「専門分野Ⅰ」「専門分野Ⅱ」「統合分野」というのは、この順番に進めろということで設定されているわけではなく、現場のカリキュラムの構成としては、こういう中で何を順番に教えていくかということはそれぞれに組み立てていますので、これを崩さなくても良いと思います。一部の構成員からこういう意見もあったと書いてありますが、私としては、まとめるという案には反対です。現行の専門分野Ⅰ・Ⅱ、看護の統合と実践は残したほうがよろしいと思います。
 2つ目ですけれども、「成人看護学」と「老年看護学」を一緒にするというのは、なぜかよくわかりません。人生100年時代と言われていて、老年期がどうなるかというのは今いろいろな議論があるところで、しかも、それが長くなるという現実において、94歳と24歳を一緒にしていいかといったら、それは明らかに一緒にできない話だと思います。実習に行ってみると、高齢の方が多いというのは現実ではありますが、だからといって、まとめてくくるというのは、私は反対です。
 実習単位が少ないのも問題だと思いますけれども、それはまた後で時間があったら言いたいと思います。
全体の議論として、将来を担う看護師にはより高い能力が求められるため、基礎教育のレベルを引き上げると言ったときに、今までもいろいろな工夫をすごくしてきたが、それでは難しいから、10年後、20年後に向けて今、検討会をしているわけです。必要な内容を積んで、それに対して必要な条件をどう整えるかということまで、この検討会は提言しようとしているわけですので、しっかりと必要な単位数は積むべきと思っております。教育の工夫だけではなかなか難しいです。私ども日本看護協会では、前回お話ししたように調査をしておりますし、日々、各都道府県看護協会でも看護師養成所の教員を対象に、さまざまな情報収集を行っているところです。そういった中でも、「現行の97単位では不十分である」「工夫だけでは難しい」「実践力の強化には単位増が必須」だという声を直接聞いているところですので、ぜひそれは申し上げたいと思います。
 それから、現在、養成所では、平均99.9単位の教育を実施し、さらにそのほかにカリキュラム外の補習や演習を実施していて、平均的には100単位を超えるぐらいの教育を実態としてはやっておられるという実態があります。現状で実施可能かどうかという観点からワーキングで議論されたと思いますが、実際にどうやっているのかをきちんと踏まえて、この教育内容の充実を考えるべきだと思います。
 そういう意味で、現行の案の98単位では不足であって、100単位以上にすべきだと考えますので、この案に対しては反対という立場で意見を申し上げたいと思います。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
 池西構成員どうぞ。
○池西構成員 今、井伊構成員が最初におっしゃった「専門分野Ⅰ」「専門分野Ⅱ」「統合分野」を1つにするということなのですが、私はワーキングのメンバーなのでこの討議にも参加しています。現状としては、各学校の運営として「専門分野Ⅰ」「専門分野Ⅱ」「統合分野」というのは確かに定着してきたと思います。今回、私もそのこだわりを持ちながらワーキングに参加していたのですが、一番大事にしたいのが「在宅看護論」を統合分野に残したくない、「在宅看護論」は本来、基礎に近いところに置きたいと思いました。「在宅看護論」が抜けた「統合分野」は「看護の統合と実践」ですが、それは厳密に言えば1領域ではないのです。領域は7領域しかありませんし、それらを統合するという形で「看護の統合と実践」ができたと認識しています。そういう意味では、「看護の統合と実践」だけが残った状態の「統合分野」というのには違和感があって、それであれば今回7領域は変えないという話がスタートにありましたが、分野のことについては先ほど申し上げたように、「在宅看護論」の位置づけが変わるとすれば、「統合分野」をあえて残す必要性はないということで了解したという経緯があります。説明です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 それでは、釜萢構成員、お願いします。
○釜萢構成員 看護の基礎教育のレベルを上げる方向で検討がなされるべきだという御指摘についてはそのとおりですが、それは社会の情勢あるいは社会から求められている看護師に対する内容が、さらに多岐にわたるということからそれは当然なのですけれども、一方で、看護師を養成していく時間的な制約もあって、時間をどんどん延ばせば看護職の養成数がどうしても減っていく可能性が高いわけで、そこを考えますと、それぞれの養成所あるいは大学等で養成が可能なことをしっかり全体としてのボリュームを見ていかなければいけないと強く感じる次第です。
 そして、卒業の国家試験に受験・合格する段階での到達と、その後、看護師になった後に実地で身につけていくべき内容があるわけなので、国家試験に合格した段階で全てが完璧にできるということではないので、まずはそれぞれの養成所あるいは大学等の実施可能な内容でなければならないと思います。その点について、先ほど藤田構成員が言われた実習時間のカウントについては、また事務局からも少しお話を伺いたいと思いますが、そのあたりをどうするのかということが出てくるわけです。
 単位数については、医療関係の他職種がカリキュラムの改正で大変多くなってくるということが皆さんも頭におありになるかと思いますが、実際の時間数を看護師の場合には3,000時間以上の講義・実習というところで決めているわけですけれども、この時間数の制約については、必ずしも他職種は看護師ほどにはきちんとしていないところもあって、したがって、時間数と単位数の両方の関係がありますので、余り現状において単位数がふえることは実際の看護師の養成の現場に大きな負担と混乱を招くのではないかという中で、私もワーキングのメンバーですけれども、単位数をどんどんふやしていくというのは現実的ではないということは強く申し上げたところです。ぜひ、親会においても皆様の御了解が得られるように願っているところです。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。お言葉の中で事務局からもコメントをというのがありましたけれども、それはお求めになりますか。
○釜萢構成員 今の1時間60分のことについての事務局としての見解があおりになればということでございます。
○遠藤座長 では、事務局、何かあればコメントをお願いいたします。
○島田看護課長 御指摘のように、大学と厚労省所管の養成所で若干カリキュラムに対する考え方が異なるというのは事実かと思います。1時間を何分ととらえ、実際に教育を展開していただくかといったところにつきましては、通知等で考え方をお示ししているところでございまして、今後、御指摘なども踏まえまして、どういった見直しが可能なのかにつきまして、他の制度への影響なども見まして、事務局としても少し検討していきたいと思いますし、先生方からも御意見をいただければと思います。
 以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 直接関係する話でございましょうか。それでは、先に村嶋構成員、お願いいたします。
○村嶋構成員 ありがとうございます。単位のことをおっしゃいましたが、実習はそういったことがあるのだと思いますが、少なくとも今の看護師の教育の中で、病態生理の基礎的な知識を使って、薬理作用も勘案しながら、メカニズムを考えて看護を行うときに、薬理の知識を活用するというのが非常に少ないのが実情です。そういう意味では、今回、専門基礎分野に関して、15単位を16単位にすると提案なさいましたが、臨床薬理はこれから非常に重要ですので、せめて、この講義・演習単位は増やすべきだと思います。また、それを含めて看護倫理等も重要になってきていますので、基礎看護学も増やしていただきたいと思います。
 「在宅看護論」を「地域・在宅看護論」にするのは賛成でございます。
 また、「成人看護学」「老年看護学」合わせて10単位になっておりますが、成人はセルフケアをベースにし、老年看護はアンチエイジングやフレイルの予防が中心になっておりますので、当然、基礎的な理論が違う、バックグラウンドが違うという意味で分けるべきだと思います。また、もうちょっとマネジメントの部分を基礎から入れていただきたいと思います。
 あと、実習がそれぞれ小児、母性、精神が1単位になっておりますが、本学の教員たちに言わせますと、小児でも1単位になってしまうと1週間になってしまって何もできないというのがございますので、ぜひここは2単位に戻していただきたいですし、「精神看護学」はこれから退院支援、病棟から地域へというのが非常に重要でございまして、また、いろいろな精神のケアも増えておりますので、ここは減らすべきではないと思います。
 以上です。
○遠藤座長 それでは、お待たせいたしました、木澤構成員どうぞ。
○木澤構成員 私もワーキンググループに参加しているのですけれども、実習の件について果たして新人はどう思っているのだろうということで、当院の新人にヒアリングを行いました。その結果、実習時間は減らさないほうがいいというのが全員の意見でした。また、もっと実習をやりたかったということもあります。あと、不足しているものとしては、看護技術、採血といったテクニカルな部分をもう少し実習等で実施したかったということがありました。学部卒業と養成所では習得状況が少し違うということも、やはりみんなと比較するので、その辺でもう少し実施したかったというのがあります。
 あと、実際の実習では時間数も限られていますので、例えば、清拭をするとか何かをするという行動計画を言って、それをするのだけが目標でしたけれども、もっと統合実習のようなものをふやして、例えば、看護師がどういうふうに動いているのかとか、どういうふうに患者さんにかかわっているのかというのも見たかったということがありました。
 それから、正直な意見として、臨床で働くことを実際に想定して学んでこなかったので、その辺でのギャップがあるということでした。やはり計画をやる、単位をとることが目標になっているということでは、その辺がシームレスにできる部分があるといいかと思いました。医師でも診療参加型実習というのがありますけれども、看護師の部分では卒後研修が努力義務化ということで、その辺での伸びの違いもあると思いますので、もし、基礎教育でその部分を充実しないのであれば、卒後研修を必修化にするなりの何か仕組みが必要ということがあるかと思います。
 また、実際のワーキングでは、教員の負担や実習場所の確保が非常に困難という現実的な意見がありました。これについても、もし実習の単位数をふやすのであれば事務員の確保や機器の補充の充実が必要かと思います。ほかのコメディカルに比べて単位数が少ないという部分では、国民が求めているのは安心と安全があると思います。実際の新人はその辺の不安がすごく高いのと、実際のリスクマネジメントの部分で非常に患者さんの権利意識も高くなっているというところでは、命に一番近い看護師が社会的にもどのくらい学んできているのかというのは重要かと思います。
 以上です。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
 それでは、中島構成員、お願いします。
○中島構成員 現場の看護師から3点お話しいたします。
 現場の看護師は、何でもいいから看護技術がある程度できる新卒が来てほしいというのが実感です。けれども、これはただ単に技術ができるだけではなくて、その技術を提供してかよいかの判断、実地後の観察ができる、これが1人でどこまでできるかというのが現場では求められていると思うので、今回の技術項目の到達度に関しては、これだけざっくりとした表記だと、目標があいまいかなと思いました。
 2点目が、地域への実習の件なのですけれども、先ほど訪問看護ステーションは実習がなかなか難しいということで、本当に私どももすごく反省しているのですが、ただ、地域側から見ると、実際に在宅を知らない看護師は在宅療養が可能な患者像が狭い状況にあるようで、退院支援等の視点の拡大が難しいのかなというイメージを持っています。ですので、地域の場の実習で、本当に1日、2日でもいいので、在宅の実習は必要だと思います。
 もう一つ、先ほどから出ている「地域・在宅看護学」にしてはどうかという件についてですが、私はこれは賛成です。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 では、酒井構成員、お願いします。
○酒井構成員 まず、単位数もしくは時間数をふやす、ふやさないという議論と、教育内容の分類の議論をセットにして議論することは、ちょっと混乱を招くのでよくないのかなと思います。時間を増やすことは教育内容についてくる、それは卒業時到達目標に連動することです。 今までのやり方でなかなか難しいので時間数をふやす、ふやさないというときに、教育内容を今、専門分野に統合したということは1つすごくブレークスルーになると思っていて、何でかというと、積み上げ型のカリキュラムというのはもう古くなってきている。1から順番にやるという考えが、もう教育の分野で批判的な意見も出てきているということがあって、そういうところをフリーにすれば、かなり教育側は運用が楽にもなりますし、質の追求もしやすいのではないかと思いますので、小分けにするとそういうところが非常に自由度が下がると思います。
 総授業時間数もしくは単位数をふやす、ふやさないの議論に関しては、議論が全然かみ合っていないところがあって何とも申し上げようがないのですが、技術項目に関して、項目欄を見ますと、かなり古くなっている技術項目も散見されます。やはり、技術というのは知識と態度とセットになって実践能力になっていますので、これをテクニカル技術だけ取り出すことに関して、後戻りさせてしまうのですけれども、本当に必要なのかどうかということは私は疑問だという意見を申し上げておきます。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 それでは、木村構成員、お願いします。
○木村構成員 カリキュラム論的に少し感じたことを申し上げます。例えば、1で今、酒井構成員も触れられたのですけれども、専門のⅠ・Ⅱと統合分野をひとまとめにするということ自体は、確かに一つの見識だと思うのですけれども、カリキュラム論としては分析と総合という2つの視点が必要で、専門Ⅰと専門Ⅱを統合するというのは融通はつけやすいのですけれども、確実な知識を提供するという意味では難も抱えることになります。今まで二つのものを一つにして柔軟なものにして自由なものにすれば解決するかというと、それほど単純ではなくて、そういうふうになったときに、そのことで保障されてきた内容をどう保障するかという問題として新たな課題が浮上してきます。そこでは、一段降りた新しい段階で共通の基礎を保障するのか、保障された基礎の知識をどうやって習熟させるのかという問題をつくりあげます。双方的に往復しながら学習するということを重視する場合でもこの点を踏まえて議論をぜひ詰めてほしいと思いました。
○遠藤座長 どうもありがとうございます。
 では、江﨑構成員、お願いします。
○江﨑構成員 「成人看護学」と「老年看護学」をくくることに関して意見が出されていたとおもいます。先ほど村嶋構成員もおっしゃったように、私も科目に関しては、領域ごとに押さえないといけない内容があり、しっかりと教授する必要があると思いますので、独立して考えたほうがいいのではないかと思います。しかし、臨地実習に関しては、今、「成人看護学」の実習は非常に困難な状況になっています。「成人看護学」の対象となる患者さんがいらっしゃらないこともありますが、急性期など侵襲性が髙くハイリスクであったりすると、受け持たせていただけない、ベッドサイドに行けないということもあります。実際に臨地実習で「成人看護学」と「老年看護学」とを組み分けるのは非常に厳しい状況で、現場では困っている現状です。そのような実情を踏まえると発達段階ありきではなくて、領域横断も含め多様な実習ができるよう、「成人看護学」と「老年看護学」の実習はくくっていただきたいと思います。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 井村構成員、お願いします。
○井村構成員 まず、大きなところから申し上げます。時間のくくりと単位という2つの数え方については、かつての看護教育が全て時間でくくられていたものを単位化して自由な活用範囲を広げるという意図があったと思いますので、単位のことと時間のことは、きちんと整理して教育をつくり込むという方向で、ぜひご検討をお願いしたいと考えています。
 もう一つ、大学では1こま45分、養成所60分というカウントの仕方の違いが実習の日数・週数にも違いとして実際に出てしまうことについてです。同じカリキュラムを使う学校ごとに、実施する時間数、週数・日数が違うということは、考えてみれば非常におかしなことですので、その辺はぜひ整理していただきたいと考えています。
 もう一つは、先ほど来、議論に出ている教育枠組みのつくり込みのことです。ワーキングでは、今の専門分野Ⅰ・Ⅱ、統合分野を何とか柔軟かつ現状に即したように検討してくださった努力は大変ありがたいと考えております。
一方で、先ほどの御意見に出ました、例えば「基礎看護」と「地域看護論」は基本的なことだから近づけて一緒にとおっしゃったように、ベースになる基盤的な科目群というくくりで位置づけられてよろしいのではないかと考えます。
 それと、今の「専門分野Ⅱ」にというのは、人の発達、人が生まれてから最終的に召されるまでの科目群として、基礎的科目群とは分類が違うものですので、それは別のくくりがあってもよろしいと考えます。
 「統合分野」は議論が多かったところですけれども、在宅を抜くと統合と実践しかないからというのでは、ちょっと論拠が弱いと思います。何かしらのつくり込みの工夫は今後あっていいと思うのですけれども、今の御提案のように専門分野が全部横並びになって、「看護の統合と実践」が各学とともに並んでいること自体は、まだまだ改善が必要かと思われますので、また改善していただけたらと思います。このままでは、いまだ整合性がとり切れていないということはあろうかと思います。
 そして、これもまた皆様の議論にも出ました、「在宅看護論」に関しては私は「地域・在宅看護学」とすることに賛成です。
 また、成人・老年も確かに実習としては病棟に伺えば、全て御高齢の方という実態はありますけれども、これから多様な実習の場での展開を進めるという方針の下では、壮年期の方々に出会える場を逆につくっていくということになるのだろうと思いますので、質的にも違う成人と老年と一緒にしてしまう案には賛成できません。多様な実習の場での発展的な工夫で、違った発達段階の方々の実習ができるようにつなげていくとよろしいと考えます。
 続いて、母性・小児のことなのですけれども、実習単位を流動的に柔軟にするのは望むところではありますが、括弧にくくって柔軟にする単位数が9単位というのは、多過ぎるのではないかと考えます。つまり、1単位でも行う学校も実際に出てくるということです。ミニマム1というと先ほどの議論にもありましたように、ただ行って帰ってくるだけの実習になろうかと危惧します。
そもそも少子高齢化の少子化という国家存亡の危機的課題がある中で、女性の職業における活躍推進が進められて、女性には育児・子育て・家事・労働が求められるといういっぱいいっぱいな状況があります。そういう時代だからこそ、女性・男性が安心して家庭を持ちたいと望んだり、子どもを産み育てたいというところ、国としても医療者としても強力に支援していかなければいけないところを、対象者の数が少なくなっているから単位も少なくしていいという話にはならないと考えています。ですので、従来は3単位あったものから2単位に削減された経緯もございますので、最低限でも現行の2単位というのは括弧くくりでなくて十全に行うということで、ぜひお願いしたいと考えています。
 今のところ以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 まだ御意見あるかと思いますけれども、皆さん、きょう30分延長していいですか。事務局、30分の延長は可能ですか。このペースでいったら絶対に終わりません。この場所の問題や構成員の飛行機の時間を踏まえて、30分の延長が可能かどうかという話です。つまり、このペースでいったら最大19時までとなってしまいます。でも、御意見は全員受けるのであれば、どうですか。
○島田看護課長 会場は大丈夫でございます。
○遠藤座長 途中で御用事があれば退室されても結構ですけれども、つまり、ここで皆さんの意見を締めるか、あるいは最後までお聞きするかというのは、最後の締めの時間に関係するものですから。
 では、30分延長する可能性もあるということで、できるだけ御意見を承ることにしましょう。
 では、福島構成員どうぞ。
○福島構成員 1点は、助産の考え方から、ワーキングでもいろいろ出てきましたけれども、看護基礎教育を終えた後に助産師は1年間専門的な教育を受けます。その辺の基盤をしっかり押さえるという意味では、特に看護技術のシミュレーションも含めて、この単位数のままではどうなのかなということ。やはり少しふやしていく必要があるのではないかと思っています。
 もう一点、1回目の検討会で医療体制の整備、医師間とのタスク、シフティングの有効活用ということも出ております。そういうことも踏まえて、最初に出した考え方を具体的におろしていけば、看護技術の強化というのはかえがたいのではないかと思いますので、その辺を考慮して単位をもう一度考えていただければと思います。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。井伊構成員、お願いします。
○井伊構成員 「在宅看護学」を「地域・在宅看護学」とするのであれば、「統合分野」に位置づくのではないかと思いましたので、それだけまず申し上げたいと思います。
 それから、将来を担う看護師により幅広く高い能力を求められ、前回報告された「看護師に求められる能力と卒業時の到達目標」は、従来よりも若干レベルが上がっていると理解しております。親検討会でワーキングでの検討上の留意点として、「ICTリテラシー」や「臨床推論」、「フィジカルアセスメント」、「臨床薬理学」、「看護倫理」、「継続的かつ包括的な看護」、「地域における看護実践力」、「介護施設などさまざまな療養の場における看護実践力」、「終末期の看護」などを充実すべきとしました。これは私が今言っているのではなく、こういう項目について充実するということがこの検討会で合意され、ワーキングに検討をお願いしました。それからすると、今日の参考資料1-2の1単位しかふやさないということでは不足だと思います。
 看護師基礎教育は、30年間、総単位数は変えていません。その間に必要な教育内容は増え続け、積んでこざるを得なかった。その結果、1科目当たりの教育時間は減少しています。そのような状況にも関わらず、総単位数だけは変えないで必要な内容をさらに追加し、やり切れないから領域を取っ払って結合して、中で融通するというのでは、本当に限界だと思います。特に、実習は1科目あたりが2分1程度の時間になっております。実際の養成所でも100単位を超えてやっている現実等も勘案して、必要な単位の積み増しを検討すべきだと思います。
 今、実習の単位数についていろいろ御意見が出たのですけれども、平成24年6月14日に厚生労働省医政局看護課の事務連絡「臨地実習における実践活動の場以外で行う学習について」が出されています。看護師等養成所における臨地実習については、実践能力を育成するため、実習の事前準備や実習中あるいは実習後に振り返りを行うことが必要であるという観点で、実際の実践活動の場以外の学習の時間を臨地実習に含めて差し支えないなど、何を含めてよいかという例が記載されていまして、実習内容に関連する施設等の見学。
○遠藤座長 井伊構成員、申しわけありません、簡潔にお願いします。少し延ばしたからといって、皆さんにフリーディスカッションしてくださいというつもりではないわけです。
○井伊構成員 わかりました。こういった事務連絡もありますので、もし、実習単位数の検討をするのであれば、こういうことも勘案して行うべきと思います。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 太田構成員、どうぞ。
○太田構成員 「成人看護学」と「老年看護学」をくくってはどうかという意見について申し上げます。これは現実的な対応だと思います。といいますのは、厚労省の統計を見ましたら、昭和59年には40%いなかった入院患者の高齢者が今は80%超えているんです。したがって、成人を探すことは難しくなっていると思います。ただ、おっしゃるように、生理学的に見れば成人と老年というのは違うことが多いし、疾病も違うわけですから、もし、成人と老年を残すということであれば老年の定義を変えて、せめて80歳以上にするとか考えないと難しいのではないですか。65歳以上を老年とすれば、私の現在の内科系の外来の9割以上が高齢者となってしまいます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 ほかにございますか。では、井村構成員、お願いします。
○井村構成員 福島構成員が述べてくださったことですが、全国助産師教育協議会という私の立場から一言発言致します。
 看護基礎教育で母性看護が脆弱化することによって、その先にある助産師教育が総崩れになる危機をはらんでいるということをぜひ認識していただいて、十全な単位を当てていただきたいと思います。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 それでは、次に、4番の「教育体制・教育環境」について御意見等をいただきたいと思います。いかがでございましょうか。
 井伊構成員どうぞ。
○井伊構成員 参考資料1-3の「教育体制・教育環境」に関する見直しの項目は、事務連絡や通知で行うようなレベルのことと、ガイドラインに入れるべきことと、いろいろあります。これは今後どのような持ち運びで検討を進めるのか伺っておきたいと思います。
○遠藤座長 事務局ですね。事務局、御趣旨はよろしいでしょうか。お願いします。
○島田看護課長 今、井伊構成員から御指摘のところは、参考資料1-3かと思うのですけれども、こちらにつきまして全てのワーキンググループで御議論をいただいているところでございまして、今回の御意見をいただいて、各ワーキングで再度御議論いただくことを考えております。その後、御指摘のように、これは1枚の紙にまとめておりますけれども、多岐にわたる通知等に盛り込まれている事項をこういった観点で見直してはどうかということでおまとめいただいているところでございますので、関係する通知や講習のあり方などに反映していくということを順次、事務局で整理していきたいと考えております。
 以上でございます。
○遠藤座長 井伊構成員、よろしいですか。
○井伊構成員 わかりました、ありがとうございます。
○遠藤座長 ほかに何かございますか。よろしいですか。ありがとうございます。
 それでは、山田構成員、お願いします。
○山田構成員 看護師について終わりそうなので、1つお伝えしておきます。
 たくさん御意見いただきまして、ありがとうございました。基本的には8回のワーキングで議論をし続けてきた案なので、そのあたりについて御理解をいただきたいということと、「成人看護学」「老年看護学」につきましては、学問を一緒にするということではなく、単位数についてくくったらいかがかという案でございますので、そのあたりを御了解いただきたいと思います。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 それでは、続きまして「准看護師ワーキンググループにおける検討状況」に議題を移したいと思います。准看護師ワーキンググループの座長は私なのですけれども、事務局から検討状況等について、御説明をお願いしたいと思います。
○関根教育体制推進官 資料2をご覧いただけますでしょうか。准看護師ワーキンググループはこれまでに3回開催しておりまして、その検討状況につきましては、「1.現在までの検討状況」にお示ししているところでございます。
 本日は、本ワーキンググループにおいて新たに策定する「准看護師に求められる実践能力と卒業時の到達目標」の検討状況について、座長の遠藤先生にかわりまして事務局より報告させていただきます。
 参考資料2-1をご覧いただけますでしょうか。こちらに今回、案を提示させていただいております。左側に現行の看護師の卒業時到達目標を提示しておりまして、右側の赤で書かれた方に准看護師について今回新しくワーキンググループで策定した卒業時の到達目標を並べております。
 策定のポイントは2点ございます。まず、1点目、検討会から示された「准看護師ワーキンググループにおける検討事項」に基づきまして、看護師に求められる実践能力と卒業時の到達目標等を参考に、准看護師に求められる能力と卒業時の到達目標を検討いたしました。
 左の表上の赤字の※に書かせていただいておりますが、保健師助産師看護師法における准看護師の業務範囲を踏まえ、また、看護基礎教育への積み上げを考慮した内容といたしました。右側の准看護師の案で赤字になっているところは、左側の看護師から比べて変更した部分、表記の異なる部分になります。
 今後、教育内容・方法を検討いたしました後に、再度、到達目標を検討して整合性がとれるように見直す予定でございます。細かい文言についてはワーキンググループで検討いたしますが、本日は大きな観点から、このような観点で策定すべき等の御意見をいただければと思います。
 以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。いかがでございましょうか。御意見・御質問等をいただければと思います。
 井伊構成員、どうぞ。
○井伊構成員 参考資料2-1の2ページのⅣ群「M.看護専門職の役割」や「N.看護チームにおける委譲と責務」については私も意見を言った記憶があります。こちらは、看護師の到達目標が決定していないために、准看護師が空白になっていると見てよろしいのでしょうか。
○遠藤座長 事務局どうぞ。
○関根教育体制推進官 准看護師の空白については、看護師と差をつけて項目を設けていないということで空白になっております。井伊構成員から前回の検討会でいただいた御意見については、こちらへの反映がまだ行えておりません。
○井伊構成員 わかりました、ありがとうございます。
○遠藤座長 ほかにいかがでございましょうか。
 井村構成員、どうぞ。
○井村構成員 今のことに関連いたしますが、看護師の到達目標Oの59の「関連法規及びガイドラインに従って行動する」というところで、准看護師のMはそこに該当するものがありませんが、無いというのは求めないという理解であるという御説明でしたか。
○関根教育体制推進官 そのとおりでございます。
○井村構成員 そこで確認なのですけれども、准看護師が実施するレベルと、高度なことは理解するレベルという区分けがされていることは理解いたしました上での発言ですが、准看護師が実際に安全なケア環境を確保するために行動を起こせるということも重要ではないかと考え、ガイドラインに従って行動できるというのは准看護師の方にもぜひ行動化していただいたほうがよろしい内容と思います。たいへん各論的なことですが、御検討いただきたいと考えました。
○遠藤座長 御意見として承りました。ありがとうございます。
 ほかに何か、あるいはワーキングのメンバーの方で何か御発言があれば承りたいと思いますが、何かございますか。よろしゅうございますか。ありがとうございました。
 それでは、ただいま御意見も承りましたので、准看のワーキンググループにおきまして引き続き検討させていただきたいと思います。
 次に「助産師ワーキンググループにおける検討状況」を議題としたいと思います。助産師ワーキンググループ座長の福島構成員から、検討状況の御説明をお願いいたします。
○福島構成員 それでは、助産師ワーキンググループの検討状況を報告いたします。資料3と資料3別紙、参考資料3を御参照いただきたいと思います。
 まず、資料3を見ていただきますと、この表にありますとおり、今までに3回検討し、次回の議題は1番の検討状況の表のとおりでございます。
 続きまして、2番「助産師に求められる実践能力と卒業時の到達目標」の方向性は、次の2点になります。ここで示されておりますように、検討会から示されたワーキンググループにおける検討事項に基づいて、免許取得前に習得するべき到達目標について検討いたしました。さまざまなハイリスク要因を抱える対象者に対応する能力を強化するということで、今回ハイリクス妊婦への支援の項目を新たに追加いたしました。
 見直しの方向は以上です。
 具体的には、実践能力と卒業時の到達目標の現時点での案は、参考資料3-1に示したとおりですので、それを見ていただければと思います。
 次に、「3.助産師教育の技術項目の作成について」、見直しの方向性は次の2点を行いました。
 第6回検討会における議論を踏まえまして、卒業時の到達目標の項目中に含まれていた技術項目を看護師の技術項目と同じように抽出させていただき、さらに追加・充実させ、助産師教育の技術項目と卒業時の到達度を新たに作成いたしました。なお、これに伴い、助産師に求められる実践能力と卒業時の到達目標に示されていた到達度は削除いたしました。
 また、学内で行う演習と臨地で行う実習とで求められる到達度が異なるため、それぞれの達成度を示すこととして、技術項目のそれぞれの達成レベルを評価しやすい文言のほうに修正いたしております。なお、現時点の案につきましては、参考資料3-2に示してありますので、御参照ください。
 次に4番、看護師等養成所の運営に関する指導ガイドライン別表2の見直しについてです。検討会から示されたワーキンググループにおける検討事項に基づき、免許習得前に習得すべき教育内容及び方法について検討を行いました。この現時点の案は、参考資料3-3を見ていただきたいと思います。
 単位数についての意見は、資料3の別紙をご覧ください。横になっている資料です。それでは、資料3別紙を用いて、構成員の意見の説明をさせていただきます。
 1基礎助産学について、大半の構成員から以下の理由により、単位数を現行の6単位から7単位にふやすべきという意見が上がりました。それは、多職種との連携やコミュニケーション能力を強化するためと、対象者のニーズを総合的にとらえてアセスメントする能力を強化する内容の充実ということで、1単位ふやすと挙げております。
 2助産診断・技術学についてですが、大半の構成員から、以下の理由により単位数を8単位から2単位ふやすという意見が上がりました。女性及び家族への生涯にわたる健康の継続的な支援に関する内容の充実。それから、先ほど申し上げましたけれども、ハイリクス妊産婦や緊急時に臨機応変に対応できる実践能力の強化。周産期のメンタルヘルスに関する心理面での支援に関する内容の充実ということで、2単位増を挙げております。
 3地域母子保健についてですが、ほとんどの構成員から、単位数を現行の1単位から2単位にふやすという意見が上がりました。それは地域における子育て世代を包括的に支援する能力を養う内容の充実という点です。
 4は助産管理についてです。こちらもほとんどの構成員から、単位数は現行2単位のままということで、ここは変化はございませんでした。
 5は臨地実習についてですが、これもほとんどの構成員から以下の理由ということで、地域母子保健実習の充実、この中では特に産後4カ月までの母子を支援する能力の強化ということで、現行の11単位を12単位に1単位ふやすという意見です。一方で、養成所では1単位の臨地実習を1.5週間で行っているということもお聞きしましたので、大学では1週間なのですけれども、実習における単位増には慎重な対応が必要であるという意見も上がっております。
 最後に、資料3の5番「教育体制・教育環境」の見直しの方向性です。検討会から示された助産師ワーキンググループにおける検討に基づき、また、看護師ワーキンググループにおける検討を踏まえて、望ましい教育体制・環境について検討いたしました。ここでは特に看護師とほとんど変わっておりませんが、専任教員養成講習会、また教務主任養成講習会、実習指導者講習会の受講内容の積み上げを、関係団体が既に行っている研修や民間資格取得の講習会であっても、内容が合致している科目の場合は受講を免除できる仕組みの必要性が指摘されております。
 また、機械器具等につきましては、教育方法や機械器具の多様性を勘案して品目を見直すということで、こちらは参考資料3-4に載せてありますが、各養成所が技術項目の卒業時の到達レベルに応じて適当数を確保するように記載を変更しております。
 また、今後、本日これからいただく御意見や、ほかのワーキンググループでの検討、先ほどの看護もそうですけれども、状況を踏まえて引き続き検討を行っていく予定でございます。さらに、細かい文言につきましては、またワーキンググループで検討を重ねますので、本日は大きな観点から、こういう観点でも見直すべき等の御意見をいただけるようにお願いしたいと思います。
 以上でございます。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
 それでは、皆さんから御意見をいただきたいと思いますけれども、これも項目に分けて御議論いただければと思います。
 まずは、「2.『助産師に求められる実践能力と卒業時の到達目標』の見直しについて」、御意見・御質問をいただければと思います。
 井村構成員どうぞ。
○井村構成員 ワーキングにおいて非常にさまざま改良し、工夫してくださって本当にありがたく思っています。
 確認の質問なのですけれども、到達度に関しまして、ワーキングにお願いした重点項目の地域における子育て世代を包括的に支援する能力であるとか、多職種と信頼関係を築く、協働する、そのためのコミュニケーションを強化するというくくりに関してです。信頼関係を築き協働することが反映されるのが、「6.地域母子保健におけるケア」や「7.助産業務管理」の周産期医療システムの地域における医療システムあたりの項目であろうと私としては理解しています。もちろん項目として入っているのは大変望ましいことですが、「理解する」という到達目標になっているところがいかがかと考えました。実践できるレベルに近づけるほうが望ましいのではないかと考えましたが、ワーキングの御議論等を教えていただけたらと思います。
○遠藤座長 それでは、福島構成員、お願いします。
○福島構成員 端的に答えれば、実践までは1年間の養成所のことも踏まえまして、この段階ではかなり検討を重ねましたけれども、理解するレベルで卒業時の到達とさせていただきたいとワーキングでは出ております。
○井村構成員 なるほど、実現可能性が厳しいというご議論だった。ただ、前回の到達目標からもやや後退しているわけですけれども。
○関根教育体制推進官 すみません、事務局から補足いたします。参考資料3-1には、現行の卒業時の到達目標を左側に載せておりますけれども、現行の到達度の記載を見ていただきまして、基本的にⅣと記載されているところにつきましては、「知識として分かる」というレベルでしたので、その部分については特段御意見がない場合には「理解する」という文言を使わせていただいているところです。
○井村構成員 理解いたしました。そもそもの到達度の文言において、到達レベルは低い設定であった。
○関根教育体制推進官 Ⅳが「知識として分かる」という解説になっております。
○井村構成員 ありがとうございます。しかしながら、これまでの議論を踏まえると到達レベルが上がってもよろしいと思うのですが、なかなか難しいのでしょうか。再度御検討いただける可能性があれば、お願いしたいと思います。
○福島構成員 わかりました。持ち帰らせていただきたいと思います。
○遠藤座長 ありがとうございました。ほかに御意見ございますか。
 では、次の「3.助産師教育の技術項目の作成について」、御質問・御意見があれば承りたいと思います。
 井村構成員どうぞ。
○井村構成員 これも助産師の各論的なことですので、助産領域から発言させていただきます。おおむねよろしいと考えました。
○福島構成員 ありがとうございました。
○遠藤座長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょう。よろしゅうございますか。
 それでは、先に進ませていただいて、4番「看護師等養成所の運営に関する指導ガイドライン別表2」について、御意見があれば承りたいと思います。
 菱沼構成員、お願いします。
○菱沼構成員 参考資料3-3では、単位数は新しい案は出ていなくて現行のままになっておりますが、先ほどの資料3では単位数をふやしたいという御意見をたくさん伺ったように思っております。しかしながら、単位数をふやすところで基礎助産学、地域母子保健等につきましては、特段に技術が変わるわけではないというか、先ほどの技術項目のところに、どちらかといえば妊婦健診と分娩にかかわるところの技術項目だけが出ていまして、それ以外では技術項目は出ていないのですけれども、それで単位数をふやしていくという御提案の中身はどういうことなのかなと。私自身は、状況が変わったら教えたいと思うことがどんどんふえていくのはそうなのですけれども、それをどんどんふやしていくという考え方は余り賛成ではないという前提でございます。
○福島構成員 その辺に関しましては、中でかなりいろいろ議論してきましたけれども、過去も同じですが、母子の命を同時にというのは社会的な背景もかなり変わっている中で、いろいろな対象者を統合的にアセスメントする能力が求められてきております。また、地域に入っていくというところでは、多職種との信頼関係や協働のためのコミュニケーションスキルも含めて、これは現行にプラスして支援できる力をつけていく必要性があると考えてワーキングでは決定いたしております。
○遠藤座長 菱沼構成員、いかがですか。
○菱沼構成員 例えば、多職種連携というのは全てのところで共通することで、当然なのかなという感じがして、特段助産のところでわざわざ単位数をふやしてまで強化するというのは賛成しかねるところです。また御検討いただければと思います。
○福島構成員 ありがとうございました。
○遠藤座長 御意見ありがとうございました。
 井村構成員どうぞ。
○井村構成員 また、ワーキングに持ち帰ってくださるということでもありますが、一言発言させていただきます。これまで、助産師はどちらかというと分娩介助を中心に、個に対するケアを非常に充実させてきた職種でした。しかし一方、昨今は母子・助産領域においても、地域包括、多職種連携、その能力を高めることが喫緊の課題となっており、ワーキングはそのことも踏まえて検討してくださったことと思います。それはどの職種にも当たり前というのは確かにおっしゃるとおりですけれども、より一層強化して、施設においても地域においても子どもを産もうとする、育てようとする、健全な家族として育っていただくことを支えるためには、かなりの強化項目であるという認識は領域内ではございますので、一応そのこともお伝えしたいと思いました。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 酒井構成員、お願いします。
○酒井構成員 専門職連携教育のことについて、菱沼構成員のお話に対して少し違う見解を述べます。
 専門職連携実践能力というのは、その専門職の専門職能力が高まると、違う専門職連携実践能力が必要になってくると言われているので、基礎教育で学んだから、ほかはずっと学ばなくていいということではなく、むしろ生涯専門職として発達し続けていくときに、ずっとそれを学び続けていかなければいけないという理論で組み立てられているものですから、助産師になっていくプロセスで、助産師としての専門職連携実践能力をしっかりと身につけていくということが、昨今の助産にかかわるさまざまな連携ミスであったり、対応のおくれだったりという多職種連携のピットホールに対応できる助産師を育成することにつながると考えております。
 以上です。
○遠藤座長 どうもありがとうございます。
 それでは、中島構成員、お願いします。
○中島構成員 今までの御議論で、地域に助産師さんも出てきて連携していただく必要性は私もすごく感じています。特に虐待のケースで、第1子を既に虐待している母親が第2子を妊娠したときに、地域で会議を開くのですけれども、その際に助産師さんが全然出てこられないような状況にありますので、その母親を支えていく助産師さんが地域の状況やそれまでのケースを一緒に情報共有していただけると、いつもありがたいなと思っていますので、私はここの項目は非常に今回は興味を持って見ています。
○遠藤座長 どうもありがとうございます。
 福島構成員どうぞ。
○福島構成員 少し時間短縮を考えてお答えせず、持ち帰るとお話しさせていただきましたけれども、時間をいただけるのであれば、今皆さんおっしゃっていただいたとおり、地域の切れ目のない支援を今、国を挙げてやっているところでございます。今まで助産は大体1カ月までの視点でとなっていましたけれども、地域で生活をする4カ月、本当は6カ月という視点で意見が出ておりましたが、1年間の中ではなかなか6カ月まで見ていく時間が足りないということで、やむを得なくの4か月でしたし、もう一つは、ハイリスクのメンタルヘルスも含めた妊産婦さんがかなりふえているという意味からも、今までの基礎助産学、助産診断、技術だけでは対応できないということを含めまして、ここはぜひとも単位数をふやしていきたいとワーキングでは考えた次第です。
 構成員の皆さんには、後方支援していただきまして、どうもありがとうございました。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 木村構成員どうぞ。
○木村構成員 この部分でこういう発言がいいかはわからないのですけれども、同じ構造になっているのであえて、外部の目でお尋ねしたいのですが、養成所と大学で時間が違うということがあります。外の感覚で見るならば、これをどうやって世の中に説明するのかということが問われていると思います。同じ基礎的な能力を獲得するというロジックが、ひょっとすると養成所と大学ではやり方が違っていて、だから大学は少なくていいのだと、養成所はこういう特徴があって、こういうふうになっているとか、時間が違うのに単位としては同じであるという何らかのロジカルな外部に対する説明がなければ通じにくいように思います。この領域だけではないので、ここで言うべきものなのかどうなのか迷いましたが、その辺の議論というのはどう考えればいいのか。
○遠藤座長 いかがでしょうか。ある種重要な問題提起をされておられるわけなので、助産師に関連しない方でも結構でございます。事務局も当然お考えがおありになると思いますので、事務局どうぞ。
○島田看護課長 御指摘ありがとうございます。今、御議論いただいております保健師、助産師、看護師、それから准看護師について、ここでお示ししている内容としましては、それぞれ保健師国家試験、助産師国家試験、看護師国家試験、准看護師試験を受けていただくために求める教育内容という形で示させていただいております。その上で、この示されている内容をどういった教育体系の中で学ぶのかといったところで、それぞれ養成所という枠組みであったり、大学や短期大学、大学院でも保健師や助産師の教育をやっておられますが、そういった枠組みで教授するという部分もございますので、それぞれの学校の特性がある中で、学校で学んでいただく教育の内容が全て、ここで示されている保健師、助産師、看護師、准看護師で学ぶべき内容というわけではないというところでございますので、そういった立てつけ上、養成所でも教育していただいておりますし、大学、その他の学校でも教育していただいておりますけれども、それぞれの教育の特性をさらにこの教育の上に加味して教育されていると私どもとしては理解しております。
 以上でございます。
○木村構成員 今の説明はそれとしてわかるのですけれども、世の中の人が聞くと、それは結局どういうことなのかという内側の説明も要るように思うのです。個別の領域でこういうやり方が蓄積されてきていて、そうだということは専門家集団の中では通用することかもしれませんけれども、制度の立て付けを成り立たせている実際の意味を示しながら説明するレベルが必要で、その上に制度としてこうなっているという二段構えの説明が要るように思います。そういうことは恐らくこれまでの中でも議論されていると思いますが、少なくとも私としてはそういうことが理解したいということで、受け取っていただければということです。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 何か御意見ございますか。池西構成員どうぞ。
○池西構成員 基本的なことですが、産後1カ月が4カ月になった、このことで6カ月の御意見、本来保健師教育との関連でいくと、1カ月という判断はあったと思うのですが、4カ月になった説明をもう少ししていただいていいですか。
○遠藤座長 福島構成員、お願いいたします。
○福島構成員 1つは、今までは施設の中でのケアが中心となる考え方をしてまいりました。ですので、退院をした後に1カ月また施設に健診に来たところまでの対象者をという形でしたけれども、母乳のこと、虐待の問題というようなことを、助産師も妊娠初期からずっと継続的に出産・産後を通して、育児に入るところまで、個別、家族の領域のところまでは責任があると考えております。そして、地域全体につなげていくときには、保健師と協働して地域の中での生活者としての支援をしていくという流れで、本当は母乳でいけば8カ月から1年と思いましたけれども、先ほどのいろいろな状況、それから、虐待の問題というのは4カ月までが一番ピークであるということも踏まえまして、4カ月とさせていただいております。
○遠藤座長 よろしいですか。ほかにございますか。
 藤田構成員、お願いします。
○藤田構成員 先ほどの木村構成員の意見を踏まえて、1つ参考に考えていただきたいのが、例えば、助産師教育においても実習単位を1単位上げるということは養成所にとっては大変なことなのではないかと思うのです。看護師教育においても、ここで言ってしまっていいのかどうか、先ほど言えなかったことなのですが、指定規則を踏まえますと11週間に及ぶ実習を大学より養成所はやらなければいけないということは、大学サイドよりも臨地実習を2.5カ月余り余分に実施しなければいけないという単純計算ですけれども、そのような状況にあり、大学の単位数に換算しますと優に5単位以上も多く養成所は実施している実態というのは、やはり看過できないのではないかと私は思っております。ぜひ検討をお願いしたいと思います。
○遠藤座長 ありがとうございます。何か関連で御意見ございますか。よろしゅうございますか。
 では、ほかの御意見でも結構でございますが。春山構成員どうぞ。
○春山構成員 保健師のほうもそうだと思うのですけれども、やはり単位数をふやすという根拠で、実践能力のどこを充実させたとか、どこのレベルを上げたとか細かに挙がっていますので、レベルは先ほど見直されるということですけれども、ぱっと見ますと同じですし、文言は変わっていますが統合されている項目もあるので、能力やレベルとの関係で教育内容を充実させる必要があるから、単位数増という意見が出ているという、能力やレベルの見直しと単位数増とを関連させて説明していく必要があるのかなと思いました。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 福島構成員、何かあれば。
○福島構成員 御意見ありがとうございます。現行案としての留意点という形で、今ここに前回の基本的な考え方から新たな変更部分を入れております。この文章で書いている内容は、私たちとしてはこれで随分いろいろな意味で発展させていると見えるわけですけれども、他領域の方々からはそれが明確でないとしたら、それはもう一度書き方を見直していくこともありなのかなと、今、御意見をいただきましたので、また参考にさせていただきたいと思います。
○遠藤座長 よろしくお願いいたします。ほかにいかがでございましょうか。よろしゅうございますか。
 それでは、江﨑構成員どうぞ。
○江﨑構成員 参考資料3-1卒業時の到達目標の34番では、「生後4か月までの母子の健康状態を診断する」とあり、36番は「1か月健康診査までの母子の状態をアセスメントし、母子と家族を支援する」とあります。アセスメントと家族を含めた支援については1カ月とすることの意図があるのでしょうか。
○福島構成員 これは誤植ですか、事務局、その辺を見ていただけますか。
○関根教育体制推進官 事務局でございます。補足させていただきますと、助産師が健診まで関わるのは1カ月までなので「健診」という文言を使っておりまして、逆に4カ月までは必ずしも健診ではないので、文言を変えて記載しておりまして、記載順序はまだ直っていないのですけれども、緑の字にありますように、順番は入れかえさせていただく予定でございます。
○遠藤座長 よろしいですか。御指摘ありがとうございました。ほかに御質問ございますか。よろしゅうございますか。
 それでは、先に進ませていただきます。次に「5.『教育体制・教育環境』の見直しについて」、御意見ございますか。
 池西構成員どうぞ。
○池西構成員 資料3の2ページに、教育体制のことが書いてあるのですが、専任教員養成講習会、教務主任養成講習会、実習指導者講習会の内容の積み上げということで、「関係団体が既に行っている研修や民間資格取得の講習会であっても」と書いてくださっているのですが、具体的にこれはどういうイメージのものでしょうか。専任教員養成講習会、教務主任養成講習会に係るということですね。
○福島構成員 助産師の場合は、専任教員の養成や教務主任、実習指導者以外もCLoCMiPRとかいろいろな団体での研修を受けていますので、そういうことも積み上げの中に入れていただけるといいかなと書いた次第です。井村先生のほうから補足してもらってもいいですか。
○池西構成員 確認ですが、それらを専任教員養成講習会、教務主任養成講習会、実習指導者講習会の内容と読みかえるという意味合いでよろしいのですね。
○福島構成員 そうですね。読みかえるといいますか、積み重ねでそれを認めていくことが必要なのかなと考えた次第です。
○遠藤座長 では、井村構成員、補足でお願いします。
○井村構成員 補足の情報です。ここに書いてございます関係団体というのは、助産関連の5団体や、5団体で構成している日本助産実践能力推進協議会等のことでございます。今、福島構成員もおっしゃってくださったCLoCMiPRすなわち「助産実践能力習熟度段階(クリニカルラダー)」におけるレベルⅢの「アドバンス助産師」認証のための申請や更新に必要なさまざまな研修がございます。これらの基準や内容は、その協議会において検討されています。また、全国助産師教育協議会といたしましても、教員研修や指導者研修等をいろいろ行っておりますので、そういったこととの互換性ということで述べてくださっていると理解できます。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 池西構成員どうぞ。
○池西構成員 専任教員養成講習会や教務主任養成講習会が、助産師教育に特定していないので、先ほどクリニカルラダーでしたか、そういうところが助産師に特化しているものであれば、内容的なものをきちんと見た上で該当するとすれば、という理解でよろしいですか。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 ほかに何かございますか。よろしゅうございますか。ありがとうございました。それでは、助産師につきましては、これぐらいにさせていただきたいと思います。大変貴重な御意見をありがとうございました。
○井村構成員 済みません、最後に。私も助産の領域の立場から、ワーキングが提案してくださった単位のことは支持しているということをここで表明させていただきます。必要な単位数の増加であると考えていることを申し述べさせていただきます。
○遠藤座長 ありがとうございました。では、ただいまの幾つかの御意見につきましては、引き続き助産師のワーキンググループで議論に反映していただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
 次に、保健師ワーキンググループにおける検討状況について、御意見をいただきたいと思います。保健師ワーキンググループ座長の春山構成員から検討状況の説明を、まずお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○春山構成員 保健師ワーキンググループにおける検討状況を報告いたします。資料4と資料4別紙、参考資料4を御参照ください。
 前回検討会以降3回開催し、各回の議題は資料4にお示ししたとおりです。
 まず、資料4の2番「保健師に求められる実践能力と卒業時の到達目標と到達度」の見直しの方向性は、次の2点になります。
 本検討会から示された「保健師ワーキンググループにおける検討事項」に基づき、免許取得前に習得すべき到達目標と到達度について検討いたしました。特に本検討会では教育内容及び留意すべき点としまして、健康危機管理能力を強化する必要性や、働く人々や児童・生徒等の健康を守るための実践力を強化する必要性、そして、データ等に基づき施策化に向けた能力を強化する必要性などが挙がっておりました。
 これまでのこのような能力に関連する保健師の実践の蓄積、知見やノウハウにより、教育現場において演習も含めた教育が実施可能である現状を踏まえ、到達目標を見直し、到達レベルを上げております。
 次に3番、保健師教育の技術項目の設定の方向性は、次の3点です。
 第6回の検討会で示された方針に基づきまして、保健師における技術項目の設定について検討を行いました。保健師の技術は、助産師や看護師の技術とは性質が異なり、実践能力と切り離すことが難しいため、保健師に求められる実践能力と卒業時の到達目標と到達度に、保健師の技術項目が含まれていることを明示してはどうかとの御意見がありました。
 また、検討の過程において、保健師ワーキンググループの構成員間でも保健師の技術の定義に関する認識が異なることが確認されましたことから、保健師の技術について検討するためには、まず関係者間で定義について合意形成を行い、研究等により保健師の技術項目を策定する必要があるのではないかという御意見もございました。
 次に、4番「看護師等養成所の運営に関する指導ガイドライン別表1」の見直しについてです。検討会から示されました保健師ワーキンググループにおける検討事項に基づき、免許取得前に習得すべき教育内容及び方法等について検討いたしました。保健師教育の基本的考え方、留意点等の現時点の案は、参考資料4-2を御参照ください。単位数につきましては、まだ検討途中でございますけれども経過報告といたしまして、資料4別紙をご覧いただきたいと思います。
 資料4別紙を少し御説明させていただきますと、まず1公衆衛生看護学につきましては、単位数をふやすべきと大半の構成員からの御意見がございました。
 2公衆衛生看護学概論につきましては、一部の構成員から単位数をふやすべきとの御意見が出ております。
 3保健統計学につきまして、一部の構成員から単位数をふやすべきとの御意見がございました。
 4医療福祉行政論につきまして、一部の構成員から単位数をふやすべきとの御意見が出ております。
 5公衆衛生看護学実習につきましては、大半の構成員から単位数をふやすべきとの御意見がございました。一方で、これまでも話題に出ておりますけれども、養成所等での時間数の考え方等から、実習における単位増には慎重な対応が必要との御意見もございました。具体的な現時点での理由は、資料を御確認いただければと思います。
 最後に、資料4の5番「教育体制・教育環境」の見直しの方向性ですけれども、検討会から示されました「保健師ワーキンググループにおける検討事項」に基づき、また、看護師ワーキンググループにおける検討を踏まえ、望ましい教育体制・教育環境について検討いたしました。機械器具等につきましては、教育方法や機械器具の多様性を勘案して、品目を見直すとともに、各養成所が技術項目の卒業時の到達レベルに応じて適当数を確保するよう記載を変更いたしました。検討状況は、参考資料4-3を御参照いただきたいと思います。
 今後、本日の御意見や他のワーキンググループでの検討状況も踏まえまして、引き続き検討を行う予定です。細かい文言につきましては、ワーキンググループで検討いたしますけれども、本日は大きな観点から、このような観点でも見直すべき等の御意見がございましたら、お願いいたしたいと思います。また、特に技術項目の設定の方向性について御意見をいただければと思います。
 以上です。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。そういうことでございますので、できるだけ建設的な御意見を承れればと思います。
 それでは、こちらも項目ごとに分けて御意見をいただきたいと思います。まずは「2.『保健師に求められる実践能力と卒業時の到達目標と到達度』の見直しについて」、参考資料4-1に該当するものですけれども、御意見いただければと思います。
 池西構成員どうぞ。
○池西構成員 保健師の到達目標なのですけれども、高くなったなという印象を持っています。
 具体的にお尋ねしたいこととして、基本は、保健師教育が看護師教育の積み上げで看護師ライセンスを持った方という考え方があるということは承知していて、しかし、保健師教育としては初めての免許取得前の教育という認識を持っているのですが、そう考えたときに、実践能力の「Ⅱ.地域の健康増進力を高める個人・家族・集団・組織への継続的支援と協働・組織活動及び評価する能力」の「D.活動を展開する」というのが、まさに実践につながる中身だと思うのですが、今回、到達度の「集団・組織/地域」で赤に変わっているうは、到達が厳しくなっています。これは自立して実施できるというレベルになっているんですね。ここの到達度が高いという印象があるのですが、その中でも特に24番「地域組織・当事者グループ等の育成及び活動の支援を行う」というのが、実現可能性としていかがなものかと思います。先ほど申し上げた基礎教育ですので、そこから当然、卒後の研修もあります。1年間という時間が決まっている中なので、とても難しいという思いがします。それから、先ほど助産師教育の中でも、ちょっと違いますが同じようなテーマが、認知・理解するというレベルになったことも含めて、このあたりをⅠレベルにしたいということについて、もうちょっと御説明をいただいてよろしいですか。
○遠藤座長 よろしくお願いします。
○春山構成員 まず、Ⅰのレベルは、少しの助言で自立して実施できるというレベルになっております。到達度の中身に関しては、かなり構成員で検討をしてまいりました。ここは、構成員は専修学校の先生から大学の先生等と、オブザーバーで保健師・看護師統合カリキュラムの養成所の先生にも参加いただいて、一応現状の教育の内容を踏まえましてこの内容と到達度にしております。地域包括ケアシステムであるとか、育児や高齢者の支援、いろいろなところで地区組織や当事者グループの育成の支援、活動の支援が重要になってきていて、そういったところに触れる機会も実習で少なからずある。これは支援を行うというところ、例えば、そういった組織をつくるのは難しいけれども、そういう当事者グループ、地区組織のグループに何らかの形で健康教育を行うであるとか、自分たちのグループの方向性・活動を計画するための話し合いのときに入って、学生なりに意見を述べたり助言するといったことは可能だろうということで、重要性と実態の可能性から到達度をⅠとしております。
○遠藤座長 よろしいですか。ありがとうございます。
 ほかに何か御意見・御質問ございますか。酒井構成員、お願いします。
○酒井構成員 今は資料4の2番だけになりますか。3番については、また後ほどということですか。
○遠藤座長 今やっておりますのは、実践能力と卒業時の到達というところだけ、まずは議論しております。
○酒井構成員 失礼しました。また後ほど。
○遠藤座長 では、また後に御発言いただきます。ほかにございますか。
 それでは、先に進ませていただきまして、「3.保健師教育の技術項目の設定について」に移りたいと思います。いかがでございましょうか。
 それでは、酒井構成員、お願いします。
○酒井構成員 3番の3つ目なのですけれども、「関係者間で定義について合意形成を行い、研究的に保健師の技術項目を策定する必要がある」という意見に対してなのですが、これがまだなされていないという認識があるということだと、学校によって違うことを教えているというか、技術が何なのかという定義がないままに、何か教えているというようにも外側から見て思ってしまったのですが、今、保健師の指導に関しての実践能力というところからおろしてきますと、テクニカルスキルというのはほぼほぼなじまない内容になっていると思いますので、研究的に策定する必要性については余り感じなかったのですが、具体的に何をしようとしてこの文言になったのかについて、できる範囲で御説明いただければと思います。
○遠藤座長 了解いたしました。春山構成員、何かコメントがあれば。
○春山構成員 御意見どうもありがとうございます。皆様そのように認識されていると思いますけれども、保健師の技術としたときに、看護師や助産師のようにテクニカルな技術というものではなく、保健師に特化した技術というものはありますけれども、技術の概念から看護師や助産師と違うということをきちんと定義して、教育の中で何をするのかということを出す必要があるというのがワーキンググループメンバーの意見です。
 そのときに、保健師の技術の統一した見解といいますか、きちんと明文化されものがないというのも事実であって、そこを研究なり何なりで、もしも技術項目を出すとすれば、そういうことを踏まえずに現時点で出すことは難しいということでございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。よろしゅうございますか。
 それでは、木村構成員どうぞ。
○木村構成員 保健師の技術項目ということ、あるいは保健師の技術の特有性・個別性はすごく大切だなと思いました。そういうことを知るために、その問題は日本の問題だけではなくて、ある種普遍的な問題を持っていると思うのですけれども、諸外国の中ではどういうふうに位置づいているのかという観点を踏まえたかたちでの議論があるといいと思います。今の定義の問題もそういう問題と絡むと思いますので、諸外国との関係の中で今回の議論がどう位置づくのかを御説明いただくと、私などはわかりやすいです。
○春山構成員 実は、諸外国のことも構成員で検討したといいますか、そういうものも参考にいたしました。そして、英語で言うとスキルとかコンピテンシーといったいろいろな表現でなされているということと、スキルとなるとコミュニケーション力であるとか、意思決定力、つまり保健師に特化したようなことではなく、ある意味、看護師全般に必要な能力ということで整理されているものもありました。
 1つ、私たちが一番参考になりそうだと思われたものは、地域で働く看護職の固有のアプローチ方法というもので、個人に対するものと集団に対するものと整理されている、それが一番私たちが表したいものに近いというディスカッションもしたのですけれども、諸外国のものですし、構成員の何人かで結論を出すものでもなく、今の時点では統一した見解を出すことは難しいということです。
○木村構成員 今の段階はよくわかりましたが、海外の状況もどのように押さえられて位置づけられているのかということも入れて説明されるとわかりやすいと思います。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 では、関連で村嶋構成員、お願いいたします。
○村嶋構成員 保健師(パブリックヘルスナース)は、日本では国家免許ですが、国家免許になっているところは世界的に見たときにそんなに多くは無いのです。米国にもパブリックヘルスナースと自称している人はいるのですが、免許ではないです。イギリスやアイルランドなどでは免許登録制になっているのですが、なかなか世界にそういう範がなくて、むしろ日本でつくり上げていかなければいけないという現況でございます。
 春山構成員がおっしゃったように、スキル、個人と集団と地域と全体を見るようなミネソタウィールとか、コミュニティー・オリエンテッド・モデルだとか、幾つかございますが、なかなか今すぐそれを適用するのは難しいと思います。
 看護師や助産師は、今回、技術といったときにテクニックをかなり取り上げていらっしゃいますが、保健師の場合は、もうちょっと文脈の中で個人の問題の裏側に地域の問題を見、地域の問題を解決するときに個人と集団と地域全体に施策を含めて働きかけていくというダイナミクスがございますので、今回テクニックとして取り出すのはちょっと難しいと私も思います。そういう意味では、実践能力と卒業時の到達の中に技術がある程度含まれる、固有の技術が個人、家族、集団、地域、組織の中に施策化を含めて、また、地域診断を含めてPDCAを回す中で、そういう技術を発揮していくということを前文に書いていただく、現段階ではそれでクリアーするしかないのではないかと私も考えます。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 太田構成員どうぞ。
○太田構成員 私は門外漢で、ちょっと幼過ぎる質問かもしれないのですけれども、地域包括ケアシステムというのは全世代型ですよね。システム・オブ・システムズというか、さまざまなシステムをシステムとしてつないでいく役割が保健師の仕事だと思うのです。そうすると、健康課題という切り口から語られていますけれども、地域包括ケアシステムの究極の目的は地域で死ねることなのですが、死ぬことは全然触れていないですよね。例えば、地域の看取り率を高めるというのも地域包括支援センターの仕事でもあるわけで、「死ぬこと」がどこかに記述されていいのではないかという素朴な疑問です。
○遠藤座長 御意見として承りますが、何かコメントがあれば。では、村嶋構成員。
○村嶋構成員 実は、働いてきたことの評価が地域での看取り率の向上なのだと思います。そういう意味では、研究的にきちんとその辺の評価指標を探索しながら働いた結果を出していくことが重要でして、先ほど酒井構成員が研究のところはどうかとおっしゃったのですが、日常の活動そのものに実践研究、研究的視点が不可欠だと、今の太田構成員のコメントを解釈させていただきました。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 ほかに何か御意見ございますか。
○春山構成員 一言だけよろしいですか。保健師の場合、ゆりかごから墓場までと言われますけれども、あらゆる健康課題を持っている人々を対象としているので、そういった切り口というよりは地域のいろいろな課題をきちんとアセスメントして、それに対応していくというような、より本質的な表現にしているところがございますが、御意見を承って、またワーキンググループでも共有していきたいと思います。ありがとうございました。
○遠藤座長 ありがとうございます。大体よろしゅうございますか。
 それでは、次の項目に移りたいと思います。4番「看護師等養成所の運営に関する指導柄別表1 保健師教育の基本的考え方、留意点等」について議題としたいと思います。何か御意見・御質問ございますか。
 村嶋構成員どうぞ。
○村嶋構成員 最初に春山構成員がおっしゃったように、いろいろな点で見直していただいていると思います。先ほどの地域の評価を含めまして、公衆衛生看護管理論実習の中で、ぜひそういう研究的な視点も含めて、地域の活動の評価や地域のあり方の評価を強化していただきたいと思います。そういう意味では大方の意見があったのだと思いますが、実習の単位の増加はぜひ必要だと思います。
 それから、16ページの参考資料4-2の「臨地実習」の一番上に、「保健師が役割を担っている保健所・市町村、産業保健、学校保健を含む多様な場で学生が主体的に取り組むことができる実習を行う」というのがございます。産業保健、学校保健はぜひ実習場として入れていただきたいと思います。ただ、保健所・市町村と産業保健、学校保健とは重要性が違いまして、保健所・市町村で保健師の大部分が就業しておりますので、「保健所・市町村を必須とし、産業保健、学校保健を含む多様な場で学生が主体的に取り組むことができる」というふうに、ぜひ変えていただきたいと思います。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。今のことについて、何か春山構成員からコメントはございますか。
○春山構成員 特にございません。
○遠藤座長 御意見として承りました。ありがとうございます。ほかにございますか。
 それでは、次の「5.『教育体制・教育環境』の見直しについて」、御質問・御意見をいただければと思います。
 村嶋構成員どうぞ。
○村嶋構成員 17ページの参考資料4-3で、かなり柔軟になったのはいいことですし、保健指導に関しても、食べ物のモデルを載せれば、さっとカロリー量等ができるみたいないろいろな器具も開発されておりますので、その辺はリースでもできるというのはいいことなのだと思います。
 一方で、保健指導をしていくときに現行のKDBのシステムや市町村のデータみたいなものが国保にはございますので、そういうことも使ってきちんと演習していくということも、ぜひ考えていただければと思います。この中にどう表現すればいいかはわからないのですが、そういうICTを使って、かつ、現実の問題に切り込んでいくという実習や演習を、いろいろな協定を結ばないといけないと思いますが、その辺も視野に入れていただきたいと思います。
○遠藤座長 将来的な課題ということですね。ありがとうございます。
 ほかに何かコメントはございますか。よろしゅうございますか。それでは、大体御意見が出尽くしたかと思いますので、保健師ワーキンググループに関する議論はこのあたりにさせていただきたいと思います。いろいろと御意見をいただきましたので、今後ワーキンググループではこれらを反映した形で検討を続けていただければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 本日の議題は以上でございます。30分オーバーと言いながら、実際には予定した時間より5分短く終わりまして、御協力のほど大変感謝申し上げます。
 それでは、事務局から何か連絡事項はございますか。
○関根教育体制推進官 第8回、次回の検討会につきましては、構成員の皆様方に改めて御案内させていただきます。航空券や宿泊の領収書など対象となる先生方におかれましては、お早めに事務局までお送りください。
 以上でございます。
○遠藤座長 それでは、本日は本当に活発な議論をいただきまして、どうもありがとうございました。私もそうですが、各ワーキンググループで引き続き検討をお願いしたいと思います。
 それでは、これをもちまして本日は終了させていただきます。どうもありがとうございました。

 

(了)

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