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2018年7月20日 第3回 看護基礎教育検討会 議事録

医政局看護課

○日時

平成30年7月20日(金)13:00~15:00

 

○場所

厚生労働省専用第22会議室(18階)
東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎5号館

○出席者

安藝 佐香江 (医療法人社団永生会みなみ野病院法人本部統括看護部長/看護部長)
井伊 久美子 (公益社団法人日本看護協会副会長)
池西 静江 (一般社団法人日本看護学校協議会会長)
井村 真澄 (公益社団法人全国助産師教育協議会会長)
遠藤 久夫 (国立社会保障・人口問題研究所所長)
釜萢 敏 (公益社団法人日本医師会常任理事)
木村 元 (一橋大学大学院社会学研究科教授)
酒井 郁子 (千葉大学大学院看護学研究科附属専門職連携教育研究センターセンター長)
中島 由美子 (医療法人恒貴会訪問看護ステーション愛美園所長)
中西 亜紀 (高槻市医師会看護専門学校教務部長)
額賀 修一 (全国看護高等学校長協会副理事長)
馬場 武彦 (一般社団法人日本医療法人協会副会長)
春山 早苗 (自治医科大学看護学部学部長/教授)
菱沼 典子 (一般社団法人日本看護系大学協議会理事)
福島 富士子 (東邦大学看護学部学部長/教授)
藤田 京子 (蕨戸田市医師会看護専門学校副校長)
前田 彰久 (富山県厚生部長)
村嶋 幸代 (一般社団法人全国保健師教育機関協議会監事)
山口 育子 (認定NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長)
山田 雅子 (聖路加国際大学大学院看護学研究科教授)

○議題

 (1)保健師ワーキンググループにおける検討事項について
 (2)助産師ワーキンググループにおける検討事項について
 (3)その他

○議事

 

○関根教育体制推進官 それでは、定刻になりましたので、ただいまより第3回「看護基礎教育検討会」を開催いたします。
 構成員の皆様におかれましては、本日はお忙しい中、本検討会に御出席を賜り、誠にありがとうございます。
 本日は、太田構成員、木澤構成員、江崎構成員の3名から御欠席の御連絡をいただいております。
 それでは、遠藤座長に議事進行をお願いしたいと思います。
○遠藤座長 皆様、大変お暑い中御参集いただき、どうもありがとうございます。
 まず、初めに事務局より資料の確認をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いします。
○関根教育体制推進官 本日の資料を議事次第に沿って確認させていただきます。お手元の議事次第をご覧ください。
 資料1 第3回検討会においてご議論いただきたい点
 資料2 保健師学校養成所における教育内容と方法に係る調査結果
 資料3 助産師学校養成所における教育内容と方法に係る調査結果
そして、参考資料といたしましては、
 参考資料1 看護師ワーキンググループにおける検討事項
 参考資料2 保健師・助産師の基礎教育を取り巻く現状等の参考資料
以上になっております。
 また、お手元に御用意いたしましたファイルには、
 今までの検討会の資料
 保健師助産師看護師法の抜粋
 保健師助産師看護師学校養成所指定規則
 看護師等養成所の運営に関する指導ガイドライン
 近年の看護基礎教育に関する検討会の報告書
をファイリングしておりますので、適宜御参照ください。
 資料の落丁・不足等がございましたら事務局にお申しつけください。
○遠藤座長 よろしいですか。
 それでは、まず議事に入る前に、既に看護師ワーキンググループが開催されておりますので、看護師ワーキンググループにおける検討状況につきまして、山田構成員より簡単に御説明をいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
○山田構成員 ありがとうございます。
 看護師ワーキンググループはこれまでに2回、会議を開催いたしております。本日、参考資料1にあります「看護師ワーキンググループにおける検討事項」に沿いまして、検討を進めてまいりました。現在、卒業時の到達目標の見直しを行っているところでありまして、今後具体的な内容、方法について議論を進める予定でございます。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 それでは議題に移ります。
 事務局から資料1の説明をお願いしたいと思います。
○関根教育体制推進官 それでは、お手元の資料1をご覧ください。
 1ページ目に本日の検討会において御議論いただきたい点を3点記載しております。
 1点目が「保健師及び助産師ワーキンググループの前提となる将来を担う保健師及び助産師に求められる能力は何か」。
 2点目が「保健師及び助産師の基礎教育における教育内容の見直しの方向性をどのようにするか」。
 3点目が「保健師及び助産師ワーキンググループにおける検討上の留意事項は何か」。
 以上の3点について、御議論いただきたいと思っております。
 ページをおめくりいただきまして、別紙1は「保健師ワーキンググループにおける検討事項(案)」としておりまして、参考資料1に示している看護師ワーキンググループと同様の検討事項の案を同じ構成で保健師用としてお作りしたものになっております。
 その2ページ目のところの冒頭に「※保健師に求められる能力として、以下の能力を強化することを前提として検討する」といたしまして、今までの検討会で御意見をいただいたものをアルファベットのa~dで記載しております。こちらについて、さらなる御意見をいただければと思っております。
 そして、3ページ目が「1.検討事項」について柱を記載しておりまして、本日はこの(1)~(3)までについて御検討いただきたいと思っております。
 4ページ目に「2.検討上の留意事項」を記載しております。
 冒頭に見直しの方向性としまして、点線の四角囲みの中に、方向性を「基本的には、保健師助産師看護師学校養成所指定規則上の教育内容の枠組み(“○○学”等)を維持して見直しを行っていく」とさせていただいておりますので、これについても御議論をいただければと思います。
 あと、それぞれ(1)~(3)では、看護師と共通する要素につきましてはアルファベットで同じ記載をさせていただいておりまして、それ以外に検討会で既に御意見をいただいた部分につきましても、アルファベットで追記をさせていただいております。
 続いて、6ページ目からが「助産師ワーキンググループにおける検討事項(案)」となっております。構成は同様でございます。
 6ページ目に、既に今まで出た御意見をa~cとして能力について記載をさせていただいておりますので、御意見をいただければと思います。
 7ページの「1.検討事項」の柱は同様となっております。
 そして、8、9ページ目が実際の検討上の留意事項としておりまして、見直しの方向性につきましては、保健師と同様とさせていただいております。
 そのほか、まだこちらについては、御意見がほとんどいただけていない状況ですので、本日いただいた意見をこの中に盛り込ませていただきたいと考えております。
 以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 ただいま説明のありました資料について、何か御質問はございますか。具体的な取り組みがありますので、この議論につきましては、この後やらせていただきたいと思いますので、報告の内容そのものについての御質問があれば承りたいと思いますが、いかがでございましょう。
 よろしゅうございますか。
 それでは、先に進ませていただきたいと思います。続いて、資料2について調査を実施していただきました全国保健師教育機関協議会の村嶋構成員から、御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○村嶋構成員 どうもありがとうございます。
 全国保健師教育機関協議会監事の村嶋でございます。
 資料2「保健師学校養成所における教育内容と方法に係る調査結果」について御説明させていただきます。この調査は一般社団法人全国保健師教育機関協議会、略して「全保協」が、平成29年度に厚労省から受託したものでございます。
 2ページですが、本調査は全国の全ての保健師学校養成所、全265カ所の教員を対象に行いました。171校から回答が得られ、回収率は64.5%でした。保健師の教育・養成機関は解説しますと、看護師免許を取得した後に保健師に特化して教育を行う上乗せ教育の課程と、看護師教育と保健師教育を同時に行う統合教育の課程に分かれます。
 回答校の内、上乗せ教育の課程は1年間で保健師教育を行う養成所の保健師課程、ここでは5校と、短大専攻科、ここでは3校が1年課程です。また、2年間で教育する大学院のタイプが10校のタイプがありまして、2タイプです。
 一方、看護師と保健師を同時に教育する4年間の課程は、養成所の統合カリキュラム6校と、大学147校です。大学は選択制と全員必修の2タイプがありますので、全部で5タイプあることになります。
 3ページは、実習施設の確保に関して教育機関が抱えている課題を、その5タイプについて見たものです。
 円グラフの茶色が実習施設の確保に苦慮している割合です。上の2つ、すなわち養成所が、下の3つ、すなわち大学や大学院に比して苦慮している割合が多いことがわかります。下の3つの内では、右側の大学院は40%しか苦慮していないのに対し、大学、殊に、全員必修のタイプ大学は、その約7割が苦慮していると答えています。つまり、上乗せ教育に比して、統合教育を行う養成所や大学では、実習施設の確保により難渋していることが、これで示されております。
 4ページで、最も困難に感じている学校数が多いのは、「行政以外の実習施設確保が困難である」や「自治体の改組や保健師の欠員の理由で受け入れが困難である」等でございます。
 ここで順番を変えて、14ページと15ページを先に御説明したいと思います。
 14ページは、実習における技術の体験割合でございます。図の上半分には長い棒と短い棒が交互に並び、下半分には長い棒が並んでいることがおわかりになると思います。棒の長さはその技術を体験した学生の割合で、地域診断以降の下半分はほぼ80%以上が体験できていることがわかります。
 しかし、この事業計画立案・評価や、地区活動計画立案、組織活動といったこれらの技術は、体験したという割合は多いのですが、それは、説明もしくは見学しただけの体験に終わっております。
このページの上半分は70~90%に達する長い棒と、30~50%の短い棒とが交互に並んでいます。長い棒は見学もしくは参加です。それが例えば健康相談にしても、見学後、主体的に実施になると、途端に棒が短くなって、学生の40%も体験できていないことがわかります。
 ここで取り上げた技術は、家庭訪問、健康相談、健康診査という、いずれも保健師として就職後、すぐに活用する技術ばかりでございます。実習なのに、主体的に実施することなく、見学にとどまっているのは大変問題だと言わざるを得ません。
 また、現行の保健師の指定規則、別表1では「継続した指導を含む」が明記されておりまして、対象事例に継続的にかかわる体験が不可欠ですが、一番上の家庭訪問の項では、1例以上の主体的な継続訪問を体験している割合は、36%にしかすぎず、約半数の学生が継続した指導を体験できていないことになります。これはとても大きな問題でございます。
 実習なのに学生の体験割合が少ないというこの問題は、15ページの専門領域別で見ると、さらに顕著でございます。
 体験できた学生が約90%に達しているのは、生活習慣病対策80%、それから母子保健、そして高齢者保健福祉対策のみでございます。現在、自治体で大きな問題となっている児童虐待防止、障害者支援、認知症、さらに、がん、難病、災害への対策は、約50%の学生しか体験できていません。これは見学もしくは参加ですので、50%は参加すらできていないわけでございます。
 保健師はその約6割が全国の自治体で勤務しています。昨今の災害多発、虐待問題、地域包括ケアの推進に関して、いや応なく第一線で対応することが、就職後すぐに求められます。そのときに参加、見学だけの実習しかしていないと対応ができません。求められる能力とのギャップに悩み、適応できずに退職してしまう例があり、現場で問題となっております。
 15ページの下段は、見学もしくは参加した活動領域でございます。保健所、市町村は、ここでは94%、99%が体験していますが、指定規則には「保健所、市町村での実習を含む」と明記されておりまして、この両方を体験しないといけないことになっています。そのため、100%でないのは問題だと思います。また、産業保健が64%、学校保健が39%しか見学もしくは参加できていません。保健師はその免許を持って申請すれば、養護教諭二種が取得できます。学校保健の領域を4割しか体験していないのに、養護教諭二種を取得できるわけです。これはおかしいと思います。
 以上、実習の体験割合の調査からは、保健師の実習は見学、参加にとどまっている実態が明らかになりました。実習というためには、主体的に参加することが不可欠で、そのためには実習期間を延ばすことが必要です。受け入れのキャパシティが問題であれば、実習生の人数を絞り、本当に保健師になりたい人に実習させるようにすべきだと考えます。
 では、5ページに戻ってください。ここはメーンの調査結果です。
 これは保健師に求められる実践能力と卒業時の到達度に関して、そこに示されている到達度に達した学生の割合を、各校が1~10の数値で答えたものです。この数値が大きければ学生たちの到達度も高いと評価できます。評価する卒業時の到達レベルは、その下にありますように、「Ⅰ:少しの助言で自立して実施できる」から、「Ⅳ:知識として分かる」の4段階です。当然、到達度Ⅰの学生が多いほうがいいわけです。保健師は「個人/家族」だけではなく、「集団/地域」も支援の対象にしますので、到達度はこの対象別に設定しています。
 6ページ、いずれの表も左から大項目、中項目、小項目が並んでいます。中項目のすぐ右にあるのが、その項目に関しての到達レベルです。Ⅰ~Ⅳレベルで示されています。右のグラフがおのおのの項目ごとに、回答校の平均値がどこにあるかを示したものです。左側がこの調査に回答した140校の平均値、右側が養成所だけを取り上げた再掲です。
 6ページは大項目1「地域の健康課題の明確化と計画・立案能力」です。
 全体の達成度はおおむね60~80%の間です。学生たちの何割が到達度を達成することが必要か、望ましいかという議論はあると思いますが、保健師が国家資格であることを考慮すれば、80%は達成しておいてほしいと思います。その意味では、最初以外はどの項目でも達成できていません。
 7ページは「集団/地域」に対する評価ですが、全ての項目が80%を達成することができていません。
 8、9ページは大項目2「地域の健康増進能力を高める支援」でございます。
 ほとんどが80%に達しませんが、中に到達度が90%を超えた項目があります。19番、「プライバシーに配慮し、個人情報の収集・管理を適切に行う」ですが、これは保健師だけでなく、看護師に共通した心構えだと言えます。8ページは4項目、9ページは5項目を除いて、全て到達度が80%に達しておりません。
 10、11ページは大項目3「地域の健康危機管理能力」です。
 全ての項目が80%に達しておりません。ここは到達度がⅡないしⅢの学内演習で実施、それからⅣの理解できるレベルであるにもかかわらず到達度が低い割合でございます。
 日本では災害が相次いでいます。免許取得後、第一線に立つことを余儀なくされる保健師が健康危機管理について、理解することすらできていないのは大きな問題だと思います。
 12ページは大項目4「地域の健康水準を高めるための施策化能力」です。
 全ての項目で、到達度に達した学生割合が80%には達しておらず、50%台が多くなっております。つまり、保健師として非常に大事な地域の健康水準を上げるということに対する理解が不十分だと言えます。
 結論です。本来、実習は実習場で主体的に体験するものでございます。保健師の実習では、見学参加は約95%と多いものの、見学後、主体的に実施することが非常に少ないです。これが到達度に達する学生の割合が低いこと、健康危機管理能力や地域の健康水準を高める施策化能力の到達度が低いことと密接に関連していると推測されます。指定規則の改正に関しては、実習期間を長くし、主体的に体験する本来の実習を実施できるようにすることが必要だということを今回の調査結果は示しております。
 以上です。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
 それでは、引き続きまして、資料3について調査を実施いただいた全国助産師教育協議会の井村構成員から御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○井村構成員 では、資料3に関しまして、井村から御説明を申し上げます。
 「助産師学校養成所における教育内容と方法に係る調査結果」でございます。こちらも厚生労働省の特別事業として、公益社団法人の全国助産師教育協議会が実施したものでございます。ウエブ調査で、平成28年11月~平成29年1月に行いました。特に調査内容のポイントといたしましては、昨今、お産自体が少なくなっていることもございまして、シミュレーション教育をどの程度実施しているか問うことも1つのポイントでございましたので、皆様のお手元の資料には、調査内容として「シミュレーション教育の実施状況」そして「助産実践能力を育成する教育方法に関する調査」ということで行いました。全国の助産師教育の課程を持っている教育機関全てに郵送いたしまして、配付数が192、回収数が87、回収率は45.3%でございました。
 続きまして次のページは、先ほど申したように「シミュレーション教育の実施状況」でございます。
 これは特に妊娠期、分娩期、産褥期・新生児期という助産の核となる教育に関してはいかがかと問うたものでございます。妊娠期に関しまして、シミュレーション教育を行っているものが52.9%、分娩期は少し多くて57.5%、そして産褥・新生児期は42.5%でございます。これは助産師業務の核が分娩介助でございますので、確実に行うためのシミュレーション教育が他の期よりも行われております。産褥・新生児期は基礎教育の母性看護のレベルで実は達成しておいてほしいということがございますので、やや実施率が少ない結果になったことが推察されます。
 続きまして4~5ページには、6ページ以降に各論的に到達度をお示しいたしますが、それをある程度集約した形のものを載せております。
 4ページは「助産師に求められる実践能力と卒業時の到達目標と到達度」のうち、求められるレベルよりも卒業生の到達度が高かったと教員が認識しているものとして、ピックアップしてございます。ラインは80%到達できていたと回答があったものに関してリストアップしてございます。先ほど村嶋委員がおっしゃられたように、助産のほうもⅠが「少しの助言で自立実施できる」、Ⅱが「指導の下で実施できる」。つまり、ⅠとⅡが実施できるレベルを求めているものでございます。Ⅲは「学内演習で実施できる」、Ⅳは「知識として分かる」。つまり、実施ということは求めていないという区別化がございます。
 ざっと見ていただきますと、マタニティケア能力の3の分娩期の診断とケアのC.正常分娩が、「指導の下で実施できる」という、これは特にバースレビューと言われているものに関してはできているということでございますけれども、それ以下は、そもそもの到達レベルがⅣでございますので、「知識として分かる」というレベルでは確実に習得がなされているであろうということでございます。
 逆を申しますと、後で各論的にも御説明いたしますけれども、少しの助言や指導のもとの実施というところは、なかなか到達が8割方はできていないと読むことができる結果なのでございます。
 続きまして5ページでございます。
 これは求められるレベルよりも、卒業生の到達度が低かった項目です。何割設定でリストアップしたらよろしいかと思ったのですけれども、60%以下のものを挙げました。マタニティケア能力、妊娠期の妊婦と家族の健康状態に関する診断で、実施レベルは少しの助言で実施ということでございます。大項目2番目の12番は「流早産・胎内死亡など心理的危機に直面した妊産婦と家族のケア」ですとか、実施レベルを求められているものに関しては、なかなか6割は到達できていないということが、比較的顕著にあらわれたということでございます。
 また、例えばBの「出生前診断に関わる支援」。最近は出生前診断のことが非常に重要になってきております。これの求められる到達度は、学内演習レベルですけれども、そこもまだ6割以下です。また、例えば4の「産褥期の診断とケア」の40番、こちらの「母子愛着形成の障害、児の虐待ハイリスク要因を早期に発見し、支援する」も、昨今の母子の事情からは非常に求められる能力でありますが、そもそもが学内演習レベルのそれほど高くない設定であっても、十分に到達できていないことが可視化されております。
 続きまして下のほうの「性と生殖のケア能力」です。これは最近、非常に能力が求められている部分でございます。女性の生涯のリプロダクティブヘルスに関するところであり、ライフステージ各期の、思春期、女性とパートナー、中高年女性のことでございます。これも求められるレベル自体が実施レベルではなくて、学内演習レベルではございますが、これもなかなか6割はいっていない現状でございます。
 最後には、これは私どもの反省点でもございますけれども、「助産師としてのアイデンティティの形成」も6割以下という残念な結果がございました。これらが達成できているもの、できていないものを概観したものでございました。
 では、続きまして次をめくっていただきますと、各論的な項目を少しポイントを押さえながらお示ししたいと思います。
 まず、この表の読み方としては先ほど申し上げたように、Ⅰ「少しの助言」、Ⅱ「指導の下に」、Ⅲ「学内演習」、Ⅳ「知識として分かる」、まずこれを押さえていただきまして、そして例えば、1の「母子の命の尊重」の1番「母体の意味を理解し、保護する」というところで、ブルーの枠で囲ってございます、つまり27.7という数字と6という数字の間のところが、求められている能力の限界のところですので、その27.7と6のところの左側が達成できている。右側が求められている能力は達成できていないとお読みいただけると理解が進むと思います。
 ざっと見て、そのラインだけに着目いたしますと「母子の命の尊重」は大体8割はいきませんけれども、6~7割の線でそこそこ求められる能力にはいっております。
 続きまして「妊娠期の診断とケア」は助産師に非常に重要なところでございます。ブルーのラインのところの端を見ますと、6割から、8割にはいっていませんが、そこそこの達成度ではあります。
 しかしながら、4番の「時期に応じた妊娠の診断方法を選択する」は、なかなか実践レベルでも難しいこと、そして12番の先ほども申し上げました「流早産・胎内死亡などの心理的危機に直面」に至っては3割ぎりぎりでございます。
 次のページですけれども、マタニティケア能力のうちの「出生前診断」のブルーのラインのところの囲みを見ていただきますと、2割から4割はいっていない現状でございますが、ここは最近非常に求められている能力でございますので、強化していかなければいけないことが、一目瞭然でございます。
 続きまして「分娩期ケア能力」の「正常分娩」のところは助産師の核となるところでございますので、実施レベルも「指導の下で実施できる」レベルで、本当は100%の達成度でなければいけない部分ではございますけれども、8割はいっている部分といってないことがあることと、22番の「分娩進行に伴う異常発生を予測し、予防的に行動する」は、5割には達していない。先ごろハイリスクが非常にふえておりますので、つまり正常に進行する経過の中での異常への逸脱のリスクの予測というのは、極めて重要な能力であるにもかかわらず、なかなか達成が難しい。これは今回の研究以外の、その前に行わせていただいた研究においても、特に顕著に達成が難しいという報告がございます。
 次は分娩期の中でも「異常状態」でございます。全て異常を助産師が行うというレベル設定ではございませんが、リスクの逸脱と異常時に早期に対応できる能力は、「学内演習でできる」、もしくは「知識として分かる」レベルの設定でございますので、そもそものレベル設定がそれほど高いわけではございませんが、なかなかそのレベルにも十分には達していないことが、ここから読み取れるのでございます。
 先に進ませていただきますと、次は産褥期です。つまり子育てを始めたお母様方へのケア能力です。こちらはそこそこの達成度、つまりブルーのラインの端のところをご覧いただきますと、8割到達しているところもございます。
 一方で、例えば29番の「産後うつ」への支援は本当に今喫緊の課題として求められている能力でございますが、学内演習であっても8割はいっていない。加えて33~35あたりの「産後ケア」の能力、育児の支援の能力も求められております昨今ですが、生後1カ月までのあたりの力は弱いこと、フォローアップの力も実施レベルの能力としては弱いことなどがございます。
 そのほか母乳育児のこともございます。39、40あたりの「母乳育児を行えない/行わない母親の支援」、また、これも喫緊の課題でございます「母子愛着形成の障害、児の虐待ハイリスク」、つまり新生児期に虐待で亡くなるお子さんが非常に多いことが報告されていますが、そこの能力も学内演習レベルであるにもかかわらず、まだ6割にはいっていないということ、ここも喫緊の課題、強化項目であろうと思われます。
 続きまして、産褥期のケアに関しましても、そもそものレベル設定も高くないことがございますが、42~45あたりの継続ケアとハイリスクのところの「両親の心理的」「両親のアタッチメント」「NICU」あたりも到達度は高くない。もしくは到達レベル設定自体を検討しなくてはいけないと考えられます。
 次に「出産・育児期の家族ケア」も、到達レベル自体の設定がそれほど高くないのですけれども、家族支援はこちらもやはり非常に重要なことですので、到達度設定自体が検討される必要がある項目と解釈されます。
 続きまして「地域母子保健」も次世代育成、子育て世代包括支援の昨今、そもそものレベル設定が知識としてわかるところでございますので、先ほど総括でお話ししたように、達成できていると読めるわけでございますが、そもそものレベル設定をさらに実践のほうに移していかなければいけない項目が「地域母子保健」、そして「助産管理業務」システム等々とございます。
 続きましてちょっと早足で参りますけれども、次は「ライフステージ各期の性と生殖のケア」でございます。これは思春期から始まるものでございます。そもそものレベル設定が「知識として分かる」レベルでございますので、一見到達度は高いと読むこともできますけれども、最近の女性活躍の全世代、つまりプレコンセプションの時代の思春期の方々、そして女性となっていく準備世代の方々に対するもの、あとは性感染症であるとかDV等々に関しましても、やはりレベル設定自体の検討が必要かと考えられます。
 また、Kのところの「女性とパートナーに対する支援」に関しましても、「健康な性と生殖」のこと、67番の「DV」のこと、あとは69番の「生活自立困難なケース」、違う言葉で申せば「特定妊婦」とも言われておりますけれども、そういった方々も「知識としては分かる」という設定になってございますが、これ自体の見直しも必要であろうと考えられます。
 続きまして8番「ライフステージ各期」の「不妊の悩みを持つ女性」のところに関しましても、やはり設定レベル自体が「知識として分かる」ですので、達成と読めるわけですが、昨今は不妊治療をなさる方が大変多くいらっしゃいますし、その後に妊娠・出産される方も多いわけでございますので、この部分の能力の強化ということが必須と考えられます。
 また、最近中高年女性で働き続ける方も多く、中高年の人口ももちろん高齢化に伴い増えているわけでございますので、中高年の方々への支援ができる助産師ということの能力強化も必須と読める結果が出ておりました。
 最後に「助産師のアイデンティティ」は、本当に専門職として後輩育成ということでの我々にとっての喫緊の課題ということでございました。
 以上のように、女性のライフサイクル全てにおける女性の性と生殖にかかわる健康について、そして母子の成長、妊娠、出産、育児を支えることの能力及び、ハイリスク化する対象者への支援能力を強化することが、大変重要になってまいります。そもそもの設定レベルも達成できていない現状を打開すること、及び、さらに能力強化ということでは今申したこと、加えて、地域包括ケア時代の子育て世代、次世代育成の家族支援での能力強化が必要であろうということが言えると思います。
 以上で報告を終わります。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
 それでは、ただいま御報告いただきました資料の2と3につきまして、何か御質問等があれば承りたいと思います。
 それでは井伊構成員、どうぞ。
○井伊構成員 まずは資料2について2点あります。
 保健師の実習について今、村嶋構成員がこの資料で御説明いただいたように本当に課題は多いと思っています。これだけ見学に終始しているというのは看護実習だったら考えられないと思うのです。病棟に2週間行って見学だけして帰ってくるのはあり得ないので、そういう意味で非常に深刻な状況の御報告をいただいていると思うのです。
 質問の1つめは、資料2の3ページには実習施設の確保に関する課題ということで、保健師の教育が5タイプに分かれて示されている。しかし、6ページ以降の到達度等々については全数n=140と養成所のn=10しか示されておらず、これだけではわかりくいと思います。到達度についても5タイプをお示しいただいて、そういったことをもとにワーキングでもしっかり御議論いただきたいと思うわけです。今保健師の教育は9割が大学で行われていますが、大学の養成のタイプ別にこういった資料が出るのかどうかというのが1つめの質問です。
 もう一つは、それぞれの学校、養成所で実質、読み換えなしで何単位の実習をやっているのかということについての資料はありますか。前々回の看護基礎教育の検討会の資料などを見せていただきますと、1年間でやっているn=10の養成所などは、全部で36単位ぐらいしっかりとした実習なども含んだ教育をしておりましたので、実際の実習の単位数がわかればよりよいのかなと思いましたので、その質問が1つです。
 続けて資料3についても御質問してよろしいでしょうか。
 資料3の助産師の教育について、これも非常にいろいろな課題があるということがわかったのですけれども、単純に質問です。
 資料3の3ページですが、シミュレーション教育と言ったときに、例えば分娩期などについては、シミュレーションせずにいきなり実習等はあり得ないのではないかなと思っていたので、逆に取り入れられていない状況がどういうことを指すのかを教えていただきたいと思いました。
○遠藤座長 それではまず資料2につきまして、幾つか御質問がありましたので、村嶋構成員はコメントお願いします。
○村嶋構成員 御質問ありがとうございます。
 この5つのタイプ別に全保協からは報告書を出しており、5つのタイプ別にこのデータを出しております。例えば6ページの9番です。
 「健康課題を持ちながらそれを認識していない・表出しない・表出できない人々を見いだす」は、全数では61.7%になり、養成所は74%になっていますが、それを1年課程の養成所1年の5校と4年課程の養成所4年の5校と比べますと、1年課程の養成所1年の5校では80%が到達をしています。4年課程の養成所4年は68%です。しかし、全体は61.7%にすぎませんので、大学がこれに入ってくると、かなり全体を低めているというのが、例えばこの9番の結果でございます。
 そういう意味で、5つのタイプをきちっと見ること、それが数の関係で難しいということであれば、少なくとも上乗せタイプ、養成所1年、短大、専攻科、そして大学院を合わせたものと、それから、4年間で看護師と保健師を一緒に教育している4年課程の養成所4年と大学とを合わせたものことを、データとして示す必要があると思います。
 それから、もともとの調査は大学の各校の国家試験合格率も比較をしております。国家試験の合格率は、平成28年は、大学院は100%、1年課程は99.1%、大学の選択制は98.2%ですけれども、大学の必修制はが93.9%、4年課程は84.8%と平均を下回ったことが出ています。また、その合格者数に対する保健師としての就職率は、大学院は91.7%と9割が就職をする。1年課程は52%ですが、大学の選択制は23.8%、大学の必修制は9.4%、4年課程は5%にすぎないというデータも出ております。ですから、教育課程別にきちんと精査をするのが大事だと思います。それが1番目の質問に対する答えです。
 2番目は、残念ながら読み換えの状況は今回とっていないのではないかと思います。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 それでは、井村構成員、お願いいたします。
○井村構成員 ありがとうございます。
 私が最初に御説明を省いてしまって、大変申しわけなかったなと思います。
 3ページをごらんいただきますと、こちらで定義づけている「シミュレーション教育とは」というのが※で書かれてございます。読ませていただきます。
 「実際の臨床を模倣または再現した状況の中で、知識や技術・態度を統合して身につけて具体的な経験と関連づけることを目的とする教育のこと」と定義しています。調査を行うときに、この定義を明示して、各教育機関にいかがですかと問いました。この定義においての実施はいかがかということでございました。
 つまり、ある一定状況下で臨床場面の模倣、再現を統合して具体的な経験と関連づけるつくり込みをきちっと状況設定をして、その中で知識、技術、態度等を統合的に行っているものに関する質問と御理解いただけるとよろしいかと思います。実際に何もせずに臨床に行くかという先ほどの質問は、恐らくどの学校でも、いわゆる通称「割り稽古」と言っていますけれども、レオポルドの触診なら触診であるとか、分娩介助方法とか、一連の清潔野を広げる手順であるといった各論的な練習は、恐らくやらずして出るわけにはいきませんので、実施はされていると推察いたします。そのように読んでいただけるとよろしいと思いました。
 お答えになっていますでしょうか。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 それではお待たせいたしました。山口構成員、どうぞ。
○山口構成員 お二人に質問がございます。
 まず、保健師ですけれども、一般の立場から見ると保健師というのは看護師以上により幅の広い視野やコミュニケーション、あるいは企画力やファシリテーターの役割など、幅広い能力が必要ではないかなと思っております。そういうことからすると、このプラスアルファの教育で実践的な力を獲得していくことが不可欠であると思います。しかし、今の御説明をお聞きしていると、実習がかなり獲得できていない現状があるということにちょっとがっかりしたような思いもございます。実習が十分できないという中で、例えば資料を見ていますと、県内では養成校が重複していることがあるようですけれども、この養成校自体が地域によってどれぐらいばらつきがあるのでしょうか。1つの地域に集中しているものなのか、全国満遍なくあるのかということがちょっとわからなかったので、まずそれを教えてください。
 それから、実習について、見学にとどまっている場合と、実際に実行できている場合の違いです。何が具体的な実践力のある実習になっている、なっていない、の違いになっているのか。受け皿の問題なのか、教育の問題なのかというところを明確にお聞きしたいと思います。また、到達目標の到達度が低いということで、見ていると全体の結果よりも、養成校のほうがやや高いということからすると、今回のこの検討会の対象となる養成校では、少し高いほうなのかなと思いましたけれども、この到達度が低いということの問題が、実習だけで解決できるのかどうかというようなことを教えていただきたいと思います。
 先ほどの御説明の中にあったのですけれども、人数をもうちょっと絞っていく必要があるのではないかということで、私も免許を取得している人と実働している人の数にかなり違いがあるなと感じています。免許を持ってすぐに保健師として働かないとしても、例えば先ほどの御説明だと、大学院卒業の人は9割以上が就職して、それ以外の方は2割以下というようなこともお話の中にありました。免許取得後数年経ってから保健師として働くという方もいらっしゃると思いますが、そうではなくて免許取得だけに終わっている方がどれぐらいいらっしゃるのか、もし把握されていれば、そのことも加えて4つ質問したいと思います。
 井村構成員についてですけれども、今の御説明の中で昨今の課題に対してなかなかできていない部分、到達していない部分があるというのを見ていますと、例えばより深く妊婦や家族に介入するとか、複雑な心理状態や関係性、危機的な状態における対象に対しての対応がやはりできないのかなと思います。こういったことは知識だけでは実践できることではないと思っています。ただ、できていないということで終わってしまうと、実際に妊婦や家族に対応したときに、私たちのところにも電話相談で届くのですけれども、できないことで知らないふりをしているというに見えてしまって、何もしてくれなかったという妊婦や家族の不満になったり、傷つけるようなこともあるのではないかなと、そんなことも感じています。
 実際に現在の教育で、具体的にこのあたりの深い部分というのは、どんな教育がなされているのかということと、到達できないでいる要因がどこにあるのかというのを調査の結果、感じていらっしゃること、あるいは教育に携わってらっしゃって、具体的にどのあたりに要因があると思っておられるのか聞かせていただければと思います。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 それではまず、村嶋構成員からお願いいたしたいと思います。
○村嶋構成員 御質問ありがとうございます。
 まず、保健師の教育課程でございますが、養成所は1年課程も4年課程も短大も大変少なくなっておりまして、それが大学に変わっていっております。大学が全国で265校ぐらいある中で、ほとんどが保健師を養成しています。大学院は現在13校です。それ以外の大学は学部で保健師の全員必修、ないしは選択をしております。これは文部科学省さんがデータを持っていらっしゃいます。大学は残念ながら地域偏在が大変多くございまして、東京や、このところ増えている千葉、埼玉、それから福岡、大阪、名古屋等は十数校ございます。ですから、1校当たりの選択が少なくなっても、数としては大変多くなって、実習地が取り合いになりますが、私が勤めている大分県は2校だけでございます。そのように地域偏在がありますので、実習場の確保の状況は随分違います。また、大学によっては他県まで行ってとか、海外まで行って実習としているところもあるようでございます。
 それから、実習が主体的にできるかどうかとか、家庭訪問が単独でできるかどうかということについては、実は看護師免許を持っているか持っていないかの違いが大きくございます。看護師免許を持っていれば、割と単独訪問を受け入れてくれます。私どもの大学院でも、8カ月間1人の人をずっとフォローして、単独で訪問いたします。1年課程の養成所などは、かなりそれをやっておりますが、大学で、しかも限られた実習期間で、たくさんの学生が1カ所に行くようになりますと、どうしても見学しかできない。そこでの教育課程の差というのが大変問題になります。
 3つ目は、保看統合の必修の大学で、どの位が保健師になるかということについて、卒業生の動向を調べられた大学がございます。国立大学でしたが、して、当初は少ないけれども、最終的には国立大学でしたが、6割ぐらいまで保健師になりますと言われました。ただ、それは10年、20年たってのことでございます。大分県立看護科学大学では、統合をしていた時期を見ますと、確かに少しずつは保健師として転職をいたしますが、それほど大きな数ではございません。それは養成機関の性質によると思います。
 そのぐらいでいいでしょうか。もう一つありますか。
○山口構成員 実習だけで解決するのか。
○村嶋構成員 実習だけで解決するものではございません。しかし、まずは実習できちんとやるべきことをやる、主体的に行動することが大変大事でございます。保健師の場合は、やはり適性がかなりあるように思いますので、きちんと適性と志向性のある人をきちんと選抜して、教育をするということが大変重要だと思います。
○山口構成員 ありがとうございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 それでは井村構成員、お願いいたします。
○井村構成員 御質問ありがとうございます。
 大変難しい御質問をいただいたと思っていろいろ考えておりました。心理的な課題とか、危機的な状況であるとか、通常ではないプラスの、様々なきめ細やかなケアを要する方々への対応が十分できていないだけではなくて、何もしてくれなかったとか、傷つき体験になっていることに対する現状はどうかという御質問と理解いたしましたが、よろしいでしょうか。
○山口構成員 現状というか、実際に今行われている教育は、どんな方法で行われているのか。
○井村構成員 わかりました。
 まず、そこまで手が届いていない可能性があろうと思います。助産師になるには8通りの教育課程ございますけれども、1年間以内、もしくは4大の中で選択コースとして行っているという時間的な短さ、制約もあろうかと思います。次に、教育方法の改善も必要と思います。調査から浮かび上がってきました現状としては、分娩介助10例程度というところへの教育と実習に焦点が著しく当てられています。それは必須のことですから、当然のことなのです。ただ、正常を学習するところに相当なエネルギーが置かれて、プラスのいわゆるハイリスク支援や繊細にかかわるための知識や技術演習は手薄になっているのが、大局的に見た現状の教育なのだろうと思います。具体的には、やはり分娩を中心とした妊娠期、産褥期1カ月程度という範囲の学習にとどまっているというのが現状です。私見も含まれていますが、結果を踏まえての教育現状でございます。
 例えばハイリスクケースに対応するというのは、現実的な目の前のことでございますので、それらにくわえて、対人能力であるとか、コミュニケーション能力、そして専門職として自分を振り返ることのできる能力、つまり自分が潜在的にどういう価値づけを持っていて、その価値を押しつけたりすると、対象の方々は恐らくそれを感じ取るわけですので、自己を振り返るような能力、洞察力の演習ですとか、そういったものを本来的にはもっと強化していくことが必要だろうと思います。大きくハイリスク、危機的とおっしゃってくださいましたけれども、各論的な状況は様々でございますので、先ほどの状況設定のシミュレーションで、各論的な状況をつくり込んだ学習の中で統合的に学んでいくような教育も解決策と考えられます。
 
 
 
 概略で恐縮です。
○山口構成員 ありがとうございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 事務局、お願いします。
○関根教育体制推進官 事務局から、今まで出た御質問の中で補足を何点かさせていただければと思います。
 まずは、井伊構成員から御質問をいただいていたデータの件です。今回は厚生労働省の検討会ということで、先ほど資料2の養成所の課程別の能力のところの表も必要なのではないかという御意見をいただいたところではあるのですけれども、今回は養成所というくくりで、再掲の方は表示をさせていただいています。実際にワーキンググループで具体的な教育内容等を検討いただく際には、そういったデータも活用しながら御検討いただくことを想定しております。
 そして、先ほど読み換えのお話が出ました。その規定のところに関しましては、皆様のお手元に青いファイルがあるかと思いますが、参考資料のイの13ページに、保健師の指定規則上の教育内容を示した別表1というのが記載されております。そちらの下の備考を見ていただきますと、看護師の教育と合わせて教育をする際、別表3という次の15ページの資料に、今度は看護師の97単位の中身が書いてございますが、合わせてこちらを享受するときには、この右端に括弧としてそれぞれ(14)、(12)、(2)、そして一番下に(25)と記載があるかと思うのですけれども、この中の数字によることができるということで、規定が設けられているところでございます。
 そして、保健師の学校養成所の全国的なばらつきについてです。こちらについては資料を御準備はしていないのですけれども、一番少ないところでは1校、そして多いところでは20を超えるような形で、東京ですと20を超えてくることになり、都道府県によってかなりばらつきがあるのが実情でございます。
 それと、保健師として免許を持っていても実際に保健師として働いていない人の数は、ちょっとわからないのですけれども、実際に学校養成所を卒業後に就業していただいているのかについては、例えば参考資料2の18ページに「保健師学校養成所の卒業状況の推移」でお示ししています。
 御参考としましては、18ページにある平成28年度の保健師として就業した数を見ていただきますと、卒業して1,002名の方が働いておりまして、その年度の保健師の国家試験の合格者数が7,450名ほどですので、合格して免許を受ける人のうち、大体13.4%ぐらいが実際に保健師として就業していることはお伝えできる部分でございます。
 以上でございます。
○島田看護課長 座長、申しわけございませんが、もう一点補足です。
 資料2や3で全保協、全助協のほうに調査していただいたこのガイドラインでお示ししている到達目標ですけれども、これは看護師、保健師、助産師全てにガイドラインという形でお示しをしているのですが、基本的には厚生労働省所管の養成所のほうでお使いいただきたいという趣旨で、厚生労働省のほうから通知をお出ししているものであります。例えば大学ですとか大学院では、こういった厚労省から示しているものを参考にしながら教授されている場合もあるかもわかりませんけれども、そのあたりも実は、養成所のほうにはこれをしっかりやっていただきたいという趣旨でお伝えしているのです。大学、大学院などでは必ずしもこれを日々お使いになってはいないかもしれないという中での、調査対象としては含めて御調査いただいたという結果になっておりますので、その点も御利用いただきながら、御検討の参考にしていただければと思います。
 以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 大変重要な調査でありますので、いろいろと御質問があるかと思うのですが、実はまだ本日のメーンのアジェンダに入っておりません。この議論をするための参考資料という形でございますので、まずはメーンのアジェンダのほうに移らせていただいて、時間があれば戻っていただいても結構ですし、なければ直接御質問いただければと思いますので、そういう対応をさせていただきたいと思います。
 それでは次の議題に移りたいと思いますが、ただいま御説明いただきました資料の2と3、あるいは参考資料なども参考にしていただきながら、具体的な御議論をいただきたいと思います。議論の進め方でございますけれども、この資料の1の1ページに沿っていきたいと思います。
 まずは○の1つ目の「保健師及び助産師ワーキンググループの検討の前提となる将来を担う保健師及び助産師に求められる能力は何か」につきまして、資料の1の別紙の2ページをごらんになっていただきますと、保健師に求められるa~dの能力が書かれておりますが、このa~dに書かれている能力に関して追加、あるいは修正などがあれば、御意見をいただきたい。こういう視点で、まずはここから始めさせていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
 村嶋構成員、どうぞ。
○村嶋構成員 ありがとうございます。
 この別紙1の中で欠けている視点が幾つかございます。
 保健師は看護職でございまして、いろいろ困っている人が健康問題として相談に来ます。そういう人に長期にわたって継続的に支援する能力が求められますから、対象者の支援を必要とする人に、長期にわたり継続的に支援する能力というのを、ぜひ加えていただきたいと思います。
 それから、bが「対象集団の顕在的・潜在的問題を把握し、解決に向けて対応策を講じる能力」と書いてございますが、潜在的問題がどうして顕在化するか、それは人・事例を通して顕在化していきます。そういう意味では、戸別の訪問を何べんもきちんとやって、その人たちの共通点を見出して、そして統計的なものと合わせて、その地域、集団の問題点を見出していく。個別だけでもなく、統計だけでもなく、両方を合わせて構造的にその問題を洗い出していく能力が必要だと思います。
 もう一つ、今日言いましたように、健康危機管理能力は非常に重要な焦眉の急の課題でございます。健康危機管理能力をぜひここに入れていただきたいと思います。
 以上です。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
 ほかにいかがでございましょうか。
 木村構成員、どうぞ。
○木村構成員 今の村嶋構成員の議論にも関連するのですけれども、少子高齢化という問題を抱えた地域への対応ということとも重なります。子供の数は減りますが、同時に老人の数がそれ以上増えるということでは、地域にかかわる人々の数が相対的に増加するのであり、トータルな地域ケアシステムの要としての役回りを保健師が担うことになるのではないでしょうか。村嶋構成員がおっしゃられていたように、結局、一番最初に子供が生まれて社会としてかかわる人というのは保健師であり、その保健師が、一人の人間が育っていく全体を見ていく最初の入り口というのでしょうか、その役を果たし、それがもとになり保育、学校教育というふうにかかわりの流れをつける。今の村嶋構成員の議論は、そのような保健師のアイデンティティという問題にも関わっていく問題かもしれません。地域ケアシステムの要の一環において重要な位置を担うというふうにも捉えられ、大切なポイントだと思います。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 春山構成員、どうぞ。
○春山構成員 2ページに示されていることに加えて、保健師にはこれから情報分析力、それからプレゼンテーション力、そしてやはり今まで出ていましたようにこれだけ健康危機がありますと、健康危機に対応する能力、そして地域包括ケアシステムづくりを含めたシステム化、施策化というようなところで、医療提供体制を踏まえた地域保健福祉活動のありようをきちんと考える力というのがますます求められていくと思っています。
 ただ、この2ページに記載されていることも、今私がお話しさせていただいたことも、既に今示されている実践能力として5つ示されていますけれども、そこに含まれていることかなと思います。今は求められる能力のところの議論だけということですけれども、やはり教育方法といったところが、この実践能力のところで既に示されていますので、これにきちんと到達するための教育方法が重要になってくるのではないかと思います。教育方法については、そのときに述べさせていただきたいと思います。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 ほかに何かございますでしょうか。
 山田構成員、お願いします。
○山田構成員 この4つの中に対象者という表現があるのですけれども、これは看護師の教育の中でもたびたび登場する言葉なのですが、この対象者とはどういうイメージなのかなというのが一つございます。
 あと、問題と書かれたり、課題と書かれたり、健康課題と書かれたり、いろいろなのでそのあたり、例えばaで言うと「対象者個別の問題」はいろいろで、問題はいっぱいなので、そのあたりをもう少し特定する必要もあるのかなと思いました。ほかの業界の方から見ると何だろうと思われるのかなと思いました。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 もう少し理解できるように明確にということですね。村嶋構成員、どうぞ。
○村嶋構成員 それについて若干お答えしますと、対象者というのが、もちろん色々居るのですが、その人たちを合わせてアグリゲート、特定集団という考え方をいたします。固有の問題をある程度集めて、共通点を見出して対応策を考えていく。そのときにアグリゲートという考え方の導入をいたしております。
 以上です。
○遠藤座長 春山構成員、どうぞ。
○春山構成員 そういった言葉の問題もあると思うのですけれども、ここで議論したからといって、即、それらが保健師教育に求める実践能力として設定されるというわけではない、という理解でよろしいでしょうか。既に示されている5つの実践能力があるわけですけれども、やはりそちらのほうが文言等も含めてきちんと整理されていて、既にある5つの求められている能力の表現を変えないといけないとか、プラスしないといけないようなことの議論というよりは、ブレーンストーミング的に議論しているのかなと思いました。そこら辺はどうなるのでしょうか。
○春山構成員 そういった言葉の問題もあると思うのですけれども、ここで議論したならば、これは保健師教育に求める実践能力として設定されるということではないですね。既に示されている5つの実践能力があるわけですけれども、やはりそちらのほうが文言等も含めてきちんと整理されていて、今5つ既に求められている能力に表現を変えないといけないとか、プラスしないといけないようなことの議論よりは、ブレーンストーミング的に議論しているのかなと思いました。そこら辺はどうなるのでしょうか。
○遠藤座長 事務局、今の議論の中で何かコメントありますか。ここで議論をするべきテーマとして、今のような議論がどういう位置づけにあるのか。そういうことですね。
○関根教育体制推進官 基本的に、先ほど春山構成員からもおっしゃっていただいたように、既に示している能力の部分がありますので、それに加えてここに日本語で書いてありますが、「強化する能力」ということを前提として議論いただいているとお考えいただければと思っております。特に御発言に心当たりのある先生の中で、今言った「問題」や「課題」、「対象者」もそうですけれども、これらの用語について使い分けを意識されてご発言されているようであれば、その意図を御教示いただければ、皆さんの共通認識になるかと思っております。
○遠藤座長 何かコメントはありますか。
 では村嶋構成員、どうぞ。
○村嶋構成員 多分、問題は個々の人が感じる問題なのだと思うのですが、課題といったときにはその関係者で合意して取り組もうという課題として考えると思っておりまして、そういう意味では使い分けがされているのではないかなと思います。
○遠藤座長 よろしいですか。
 それでは菱沼構成員、どうぞ。
○菱沼構成員 全然違うことでよろしゅうございますか。
 ここに書かれていますが、例えばcの「不足する資源を創出し、対象者の組織化を図り、それらを育成する能力」とかが、保健師として将来そういう力を持ってくれるならいいなとは思いますけれども、これが基礎教育の中でこの能力を強化すること自体がちょっと無理があるのではないかなと思いまして、保健師に求められる能力と、それに向けた基礎教育のあり方というのが、そのままイコールなのかどうかというのが、ちょっと私は今皆さんのお話を聞いていてわからなくなってしまったのですけれども、次の検討項目の「卒業時の到達目標」というところで議論されるのでしょうか。
○遠藤座長 それでは井伊構成員、どうぞ。
○井伊構成員 これは、将来を担う保健師に求められる能力として、これまでこの検討会で出された御意見がここに反映されていると理解をしておりました。このことを前提に、しかもそれは既にある5つの実践能力の中に含まれるけれども、今後のことを考えるとさらに少なくともこの4点、それから先ほど村嶋構成員がおっしゃったような危機管理能力というようなことはきちんと注目して、将来の保健師像の前提としましょうという議論がまずあります。その上で、基礎教育はそこに向かうために何をやるのかというのは次の議論だと理解をしております。それでよろしいのではないかなと思うのです。
○遠藤座長 いかがでしょうか。
 前田構成員、どうぞ。
○前田構成員 私も行政の立場からお話をさせていただきますと、最近やはり保健師さんが行政で役割を果たしていただく要素は非常に重いのです。
 一方で事故が起こらないようにというのは、当然公務員として働いていただく以上、特に若い方に対する教育は、県であり、市町村も責任を持って若手育成をしなければいけないと思っているところでありますから、将来に向かって実施をしていくところと、基礎教育を終えた段階で特に新人教育として、県なり市町村なりそういう公的機関に、そこを教育してから1人で訪問してねという形のお願いをすべきところと分かれてくるのではないかなと思っております。そういった視点で見ますと、今のカリキュラムの中で、「少しの助言で自立して実施できる」、あるいは「指導の下で実施できる」というところが不十分という要素があるのであれば、そこの教育方法をしっかり御検討いただくところも必要ですし、場合によっては、総論で言うとやや乱暴かもしれませんけれども、知識として知っておいたほうがいいところであれば、場合によってはそういう新人教育の中に委ねるような要素、そこで時間をとって、より必須とされるところについて重点的に時間を割いていただくことも考えられるかなと思いますので、そういった視点でワーキンググループで議論していただければと思います。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 井伊構成員、どうぞ。
○井伊構成員 確かに保健師の場合は自治体で新任期を過ごすものが多いですけれども、今後もそうとも限りません。事業所ですとか、その他の活躍の場というのは広がっていますし、ニーズは多くなるので、前提が自治体というのは、この基礎教育を考える場合に必ずしもそうではないと思います。
 それから、新任期にやるから基礎教育では全く触れなくてもいいわけではありませんので、教育内容としては、やはり入れるべきものは入れなければいけないという前提でワーキングで検討していただきたいと私は思っております。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 ほかに何かありますか。
 それでは中島構成員、お願いします。
○中島構成員 ありがとうございます。
 地域で、市町村であったり県の保健師さんであったり、たくさんの保健師さんと一緒に働かせていただいているのですが、やはり最近というか10年以上前から、保健師さんと個別のかかわり方が変わってきたかなという印象を持っております。その分、例えば重心のお子さんや、ひきこもりの精神疾患の方とか虐待児などに訪問看護師がどんどん入っていって、保健師さんの指導をいただきながらかかわっていくケースがふえてきたなと実感しています。
 それで、先ほど村嶋先生がおっしゃった長期に継続的な支援が必要ということをここにという御意見があったのですけれども、私もそれはずっと思っていまして、なかなか保健師さんが1人のケースとか、もしくは同じような課題を持った人たちに長期的にかかわってくださるのが難しいのです。配置替え等理由が色々とあるのかなと思うのですけれども、が、地域で保健福祉医療に関するそういった視点も持っていただいて、情報がたくさん集まるのが集中するのが保健師さんだと私は地域で働いて思っていますので、医療と福祉と、あとこのように困難なケースなど、あたりにコーディネーターとしてマネジメントする人として、長期にかかわっていただけるとすごく助かるかなと思います。それは、行政側の窓口である保健師の役割でもあると普段思っています。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 ほかにも何かあるかもしれませんけれども、少し時間が押しておりますので、恐縮ですけれども少し先に進ませていただきたいと思います。
 ただいま、いろいろと御意見をいただきましたので、これにつきましては「将来を担う保健師に求められる能力」というところに反映して、第4回の検討会で皆様に示したいと思います。そのために事務局には議論の整理をお願いしたいと思いますのでよろしくお願いします。
 続きまして、資料1別紙の2の6ページに書かれております助産師に求められるa~cの能力、今度は助産師のほうでございますが、これについて御意見をいただきたいと思います。
 井村構成員、どうぞ。
○井村構成員 お先に失礼いたします。
 ここに今までの議論で出されたものとしてまとめてくださっていることについて、助産領域でもともと使われている枠組みがございますので、そのことをお伝えしたいと思います。
 現在、助産師の能力枠組みといたしましては、教育でも使われていたり、卒後の助産実践能力でも使われている枠組みがございます。例えば倫理的感応力の枠組みであるとか、マタニティケア能力の枠組み、ウィメンズヘルスケア能力の枠組み、そして専門的事実性の枠組みもございます。どういう枠組みを使うのが最も望ましいか検討の余地はあると思いますが、現行の枠組みがあるので、そういう観点からの能力強化ということが、まず一つ考えられると思います。このことを確認しておきたいと思いました。
 その中で、もしくはそれ以外にということで皆様にも御議論をいただきたいのですれども、ここにあります「対象者の社会的背景、生活に即した」というのは、その方々を統合的に捉える力を表現していると思います。そして、bの「子育て世代を包括的に」というのも昨今の喫緊の課題に対応する能力を別側面から当てていると思われます。プラス「リプロダクティブヘルスに関わる」こと、これはマタニティケア能力にもかかわりますし、ウィメンズヘルスケア能力にも関わります。そこは先ほど私が報告を申し上げたように、性と生殖にかかわる能力は非常に弱いわけでございますし、最近ではウィメンズヘルス、女性の一生を支える性と生殖にかかわる側面での助産師の能力開発が求められておりますので、そのことは重要であろうと考えます。
 また、性の多様性のこともあります。LGBTという言葉も日本の中に広まっておりますので、そういったところに対応できる力も大切であろうと考えます。
 そして、専門的自立能力や、対人関係能力も先ほど御指摘がありましたように、脆弱性のある女性や、妊産婦さん、お子さん、御家族に接するための必須対人対応能力と、自ら律していける力も非常に重要な力となると思います。
 あとは、報告のところでも何度も申し上げて恐縮でございますけれども、非常に女性活躍が推進される時代にあって、晩産晩婚化、高年齢の方が妊娠、出産を迎えておりますので、合併症の多いハイリスクの妊産婦さん、お子様も2,500グラム未満の低出生体重児もふえておりますので、そういったハイリスク妊産婦や新生児に対応できること、加えて高年齢化に伴いまして、生活習慣病のリスクの年齢層と重なること、各論的には乳がん発症好発年齢とも重なっておりまして、乳がん合併の方々も少しずつ増えている。そういった様々な合併症を持つ方に対応できること。 さらに、DVであるとか、虐待のこともございますので、それらハイリスクの様々な方々へ対応できる力、また別局面からの力ですと、例えば正常からの逸脱の予測を判断できる臨床推論能力であるとか、統合的に物事を判別できる力なども必須であろうと考えております。
 また、推論力のもとになる論理的な考え方であるとか、看護のところでも申しましたけれども、エビデンスベースのプラクティスであるとか、ナラティブベースのプラクティスの力も必須と考えております。
 長くなりましたが、網羅的にお話し申し上げるとそういう力と、地域で働く力が重要と考えます。
 ありがとうございました。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
 福島構成員、それから山口構成員でお願いします。
○福島構成員 井村構成員に加えましてという形になりますけれども、母子の愛着形成と成長発達、家族形成プロセスを支援できる能力がとても大事かと思います。
 また、人生100年時代を踏まえて、これは女性のライフワークにかかわる継続的な支援能力と、もう一つは先進医療に対応できる知識と技術の確保が大事になってくるかなと思います。
 以上3点です。
○遠藤座長 どうもありがとうございます。
 お待たせしました。山口構成員、どうぞ。
○山口構成員 井村構成員とちょっとかぶるかもしれないのですけれども、看護師、保健師以上に助産師は対象となる人が不安定であったり、異常であったり、緊急時であったりということを考えますと、看護学生のときのコミュニケーション能力よりもさらにレベルの高いコミュニケーション能力が必要だと思っております。特に観察力や状況の把握能力、洞察力、あるいは見きわめる能力など、そういった複雑な場面設定における、より高いコミュニケーション能力を高めていくことは不可欠であると思っています。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょう。
 井伊構成員、どうぞ。
○井伊構成員 井村構成員がおっしゃったり、福島構成員がおっしゃったことに賛成です。看護協会としては特にハイリスク対応を何としても強化していただきたい。それについて、重ねて申し上げたいと思います。ローリスク妊産婦だけを対象とするのではなくて、ハイリスク妊産婦の経過を理解することによって、正常からの逸脱についての予測や、逸脱を判断してきちんと対応できるとか、そこが出産年齢の高年齢化などの実情からすると強化が必須だろうということで、申し上げたいと思います。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 ほかによろしゅうございますか。
 前田構成員、どうぞ。
○前田構成員 私もやはり井村構成員、山口構成員おっしゃるとおり、コミュニケーション能力やとか分析力とかそういったところを、特に最近は新人さんが保健師さんでも来られるとなかなか、そこから育てないといけないという悩みをもやや聞きます。ので、やはりそういう能力がないと、OJTで吸収すればいい部分も吸収できないと思いますので、そういった視点で後々のOJTのためにも必要な最低限の知識やであるとか、能力であるとかそういったところを、ぜひ基礎教育の中で充実強化していただければと思います。
○遠藤座長 どうもありがとうございます。
 大体よろしゅうございますか。
 井村構成員、どうぞ。
○井村構成員 ハイリスクというところで、私も発言いたしましたし、ほかの委員からも御発言がありました。それの前提としまして、足元を固めるという意味で、正常な方々への対応能力というのが十二分に獲得できるという前提があってのハイリスクへの対応力がつけられるとよいと思いましたので、あえてつけ加えさせていただきました。
○遠藤座長 よろしくお願いします。ありがとうございました。
 それではいろいろな御意見が出ましたけれども、これにつきましては、このあたりにさせていただきたいと思います。いろいろな御意見につきましては、事務局で整理をしていただいて、この「将来を担う助産師に求められる能力」のところに反映して、第4回の検討会で皆様にお示ししたいと思いますので、事務局はよろしくお願いします。
 次の議題に移りたいと思います。また資料1の1ページ目に戻っていただきまして、○の2つ目でございます。「保健師及び助産師の基礎教育における教育内容の見直しの方向性をどうのようにするか」という問いかけでございます。具体的には資料1別紙1の4ページでございますが、そこに破線の枠で囲まれています。これが事務局の案でございますので、これについて御意見をいただきたいということでございます。
 いかがでございましょう。
 井伊構成員、どうぞ。
○井伊構成員 確認です。看護師の教育と同様で何とか論とか、何とか母性看護学とか、その枠組みについては維持するということでよろしいでしょうか。つまり単位数等々については触れていないので、そこを制限しているわけではない。
○遠藤座長 事務局お願いします。
○関根教育体制推進官 皆様にお配りしているファイルの資料の参考資料イの13ページの左半分の四角が教育内容の部分になっておりまして、公衆衛生看護学から始まって、疫学、保健統計学とありますけれども、枠組みとは、看護師と同様にこの左端の教育内容という意味で括弧として○○学と書かせていただいております。
 お願いします。
○遠藤座長 井伊構成員、よろしいですか。
○井伊構成員 ありがとうございます。
○遠藤座長 ほかに何かございますか。
 村嶋構成員、どうぞ。
○村嶋構成員 この13ページの左側の枠でございますが、公衆衛生看護学の中で、やはり近年非常に大事になっている部分がございます。特に産業保健看護とか学校保健看護でございます。働く人の健康を守るという意味で、産業保健看護は非常に大事になっておりますので、この枠だけではなく、やはりそういうところに明記をしていただきたいと思います。
○遠藤座長 御要望としてお聞きしました。
 事務局、どうぞ。
○関根教育体制推進官 今いただいた点につきましては、13ページをご覧いただきますと、一番上の行に「公衆衛生看護学」として16単位と記載がございます。前回のカリキュラム改正の際に、参考資料1の「看護教育の内容と方法に関する検討会第一次報告(平成22年)」の中でお示ししておりますように、公衆衛生看護学には、産業保健、学校保健のほか、行政保健の領域が含まれることと整理されており、これをもとに現行の指定規則の教育内容が改正されております。したがいまして、現行の指定規則に記載のある公衆衛生看護学と言ったときには、既に産業保健や学校保健の中身が含まれると考えております。
 さらには、看護師等養成所の運営に関する指導ガイドラインにおいても、こちらの参考資料でいきますと、ウの19ページのところになりますけれども、そちらにも保健師教育の留意点の中で、「産業保健、学校保健における活動の展開を学ぶ内容とする」ことを記載させていただいているところでございます。
○遠藤座長 村嶋構成員、何かありますか。
○村嶋構成員 この留意点には書かれておりますが、ぜひその後、産業保健も学校保健看護も非常に進歩をしておりますので、公衆衛生看護学の中の公衆衛生看護管理論の下でもいいですので、産業保健看護、学校保健看護というのを明記していただきたいと思います。
 また、単位も丸めて14単位ではなく、幾つか分割することを考えるべきだと思います。
○遠藤座長 御意見として承りました。
 ほかにございますか。よろしゅうございますか。
 それでは、様々御意見も出ましたので、事務局におかれましては、これらの御意見を整理していただきまして、これを将来を担う保健師に求められる能力に反映させて、第4回検討会にて皆様にお示しをしていただきたいと思いますので、対応をよろしくお願いします。
 続きまして同じことで、今度は助産師のほうで御議論いただきたいと思いますので、これはページでいきますと。
○関根教育体制推進官 8ページでございます。
○遠藤座長 8ページですね。いかがでございましょうか。
 馬場構成員、お願いいたします。
○馬場構成員 医師の働き方改革の中でタスクシェアリングとか、タスクシフティングが問題になっています。看護師の卒前教育としては、個人的にはそこまで意識する必要はないと思っているのですけれども、助産師につきましては、やはり上位の資格なので、この部分についても意識すべきだと思っています。医師の働き方に関する検討会では、参加領域に限定されるせいだと思うのですけれども、助産師がタスクシフティングの中での役割について、余り触れられていないですが、病院における役割拡大の余地はあるのではないかなと思っています。
 そういう目で資料3を見せていただいたときに、やはり先ほどからも意見がございますように、正常分娩の中での逸脱とか、異常分娩に関するところの部分の設定レベルが低いか、あるいは到達レベルが低い部分はあるように思いますので、病院での役割といったことを考えると、やはりこういった部分につきましては、もっと強化していただく余地があるのではないかなと思っております。
 以上です。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
 ほかに何かございますか。
 福島構成員、お願いします。
○福島構成員 今の病院内のことに加えまして、地域におけるいろいろな関係機関や関連の職種との連携のあり方みたいなことも含まれていくことが大事で、連携のあり方というか、病院の中から外に出てつないでいける力みたいなものをこの教育の内部にも入れる必要があるのではないかなと思います。
○遠藤座長 どうもありがとうございます。
 ほかに御意見があれば承りたいと思います。
 山田構成員、どうぞ。
○山田構成員 ちょっとわからないので教えていただきたいのですけれども、資料3の最後のページにあるような、不妊治療を受けている女性等を対象にした看護は、既存の基礎助産学など、この教育内容の○○学とされている中のどの辺に含まれるものなのか、あるいは新たな学などとして分割すべき内容なのか、そのあたりを教えていただきたいと思います。
○遠藤座長 では事務局、お願いいたします。
○関根教育体制推進官 基礎助産学に含まれるものと理解をしておりますけれども、井村構成員から何か補足等ございましたらお願いいたします。
○井村構成員 御質問ありがとうございます。
 現行の枠組みで申せば、例えば基礎助産であるとか、助産診断技術のほうの拡大解釈をしながら、ウィメンズヘルス系のものを配列するということが、この枠組み維持ということであれば不可能ではないかもしれません。新たに特記すべきこととして、先々の教育ということでは新設の可能性もあるかと御指摘を受けて思った次第でございます。
 ありがとうございます。
○山田構成員 そのほうがわかりやすいかと思いました。
○井村構成員 なるほど、そうしますと例えば、従来の基礎助産学とか助産診断技術をマタニティケア能力と位置づける。現行そうでございますけれども、プラス、ウィメンズヘルスケア能力系をさらに出した形の学という形の御提案ですね。
 ありがとうございます。その可能性も大いにあろうかと今思った次第です。
○遠藤座長 井伊構成員、どうぞ。
○井伊構成員 同じ質問と意見なのですけれども、先ほどのイの14ページだと基礎助産学、助産診断・技術学、地域母子保健、助産実習、臨地実習、助産学実習を維持するというのが事務局の検討の提案ですね。
○関根教育体制推進官 そのとおりでございます。構成員の先生方で御議論いただいて、今おっしゃったような意見が多ければ、必ずしもそれによらないということです。
○井伊構成員 加えていいのではないかと私も思うのですけれども、特に井村構成員が2回目の御報告の中でおっしゃっておられたライフサイクル全てにおける対象者に適切な支援ができるウィメンズヘルスケア能力はこれから助産師に大変求められると思うのです。それはこの文言だけだとちょっと入っているようには見えないので、枠も検討できるようにしたほうがよろしいかと思いました。
○遠藤座長 井村構成員、どうぞ。
○井村構成員 ありがとうございます。
  本来は私からの発言が必要だった部分かもしれません。御指摘いただいて改めて考えておりました。基礎助産学の概念規定と内容をどのようにするかということに大きくかかわってくると思いました。また、マタニティ系のことと区別化して範囲設定するのであれば、助産基礎と助産診断・技術の名前を変える形にしながら、マタニティケア能力系とウィメンズヘルスケア能力系と区別化するという枠組み設定もあろうかと考えた次第でございます。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 ほかに何かございますか。よろしゅうございますか。
 それでは、ただいまいろいろ御意見が出ましたので、事務局におかれましては整理をしていただきまして、見直しの方向性に反映して第4回の検討会で皆様にお示ししますように対応してください。
 最後になりますが、また1ページに戻っていただきますと、○の3つ目でございますが、「保健師及び助産師ワーキンググループにおける『検討上の留意事項』は何か」について御議論いただきたいと思います。具体的にはまず保健師についてでございますが、これは別紙1の4~5ページです。(1)~(3)までについて追加、あるいは修正の御意見があるかどうかいただきたいと思います。
 春山構成員、お願いします。
○春山構成員 ここに書かれていることに追加ということになるかわからないのですが、やはり先ほど、これから情報分析力、プレゼンテーション力が求められると述べさせていただきましたが、今の教育内容、公衆衛生看護学とそこに疫学、保健統計学がありますけれども、やはり疫学、保健統計学というような知識を生かして公衆衛生看護学を学んでいくという、統合といいますか、そういうような教育方法がますます求められ、そこにかつICTの活用とか、ICTリテラシーというようなところが必要になってくるのではないかと一つ思うことがあります。
 あと、シミュレーション教育の活用と(2)のaのところにあるのですけれども、やはり健康危機管理や、それから行政看護管理論なども、実習においては、実践に責任ある立場でないと経験できないことがあるので、実習で完結ということではなく、やはり講義とそれからシミュレーション、例えばケースメソッド的なシミュレーションの演習と実習という連動で考えていくことが、保健師教育においては求められるのではないかと思います。それはシステム化、施策化のところも同様に考えています。
 実習で細かな項目一つ一つを経験している経験していないというようなことにこだわりますと、保健師活動は非常に複雑、多問題のケースや、保健師活動自体もすごく多様になってきていますので、どんどん応用力や汎用力の少ない学生が生まれてしまうので、むしろ一つの実習、一つのケース、一つの機会でどういうことを経験させられるのか、例えば一つの母子のケースを通しても、地域の健康課題の把握から、それからそこをどうやって展開していくか、施策化というように、経験の質を高めるようなそういう実習が求められているのではないかと思います。やはり多様性、複雑性に対応できるような講義、演習、実習の連動というのが必要なのではないかと思いますが、教育現場では、そこのところをどのように展開していったらよいのかをすごく悩んでいらっしゃる方が多いのではないかと思っています。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょう。
 村嶋構成員、どうぞ。
○村嶋構成員 いろいろな工夫はもちろん大事でございますが、何よりも1人のケースにきちんと寄り添ってその人を支えていくという、そういう体験はやはり実習で、ぜひ保健師の学生にはしていただきたいと思います。
 例えば1年課程でやっているのは、4月に入学したあと、3カ月健診に行って対象者を募集して、そのお子さんを6月から1月まで8カ月間きちんとフォローするような実習をやっています。そうすると、首のすわらなかった子が、背筋がちゃんとして立っちまでするという劇的な変化を学生も体験するわけで、そういう一人の人にきっちりと、一人の家族に寄り添っていくような体験が、実習の中で必要だと思います。そのためには一つの実習の期間を長くすることが必要です。今、春山構成員がおっしゃったような総合的なことをやろうとしますと、一つの市町村ないし自治体できちんと個別ケースにも当たり、そして地域全体のデータも分析し、それを統合してプレゼンテーションまでするという、そういうきちんとした実習、体験型の実習、能動的な実習をすべきだと思います。○遠藤座長 ありがとうございました。
 ほかに何か御意見ございますか。
 井伊構成員、どうぞ。
○井伊構成員 一番最初に保健師の実習に関しては、ほとんど見学といってもいいぐらいな惨たんたる状況だなと私は大変がっかりした。これはこのままというわけにはいかない。ワーキングでもこれは何とかしなければいけないということで、御議論いただきたいと思っております。
 今、春山構成員と村嶋構成員がおっしゃったことに賛成で、やはり地域保健活動の展開として、どう連続性のあるものが学生としてイメージができるかとか、それから、一場面一場面にかかわることが次にどうつながるのかということを、可能な限り体験を通して自分の中で習得まではいかなくても、イメージ化ができるということを実習では目指すべきだと思います。
 例えば、地域包括ケアシステムの構築など非常に課題は重要で、そのことについて行政で働いている保健師は、必ずかかわるわけですけれども、それを推進する場合に、実際にはその地域住民の皆様はどう思っているのか、当事者がどういう経験をしているのか、周りの支え手がどのような関心を向けているのか、そもそもそのことについて住民の方々がどういう認識でいるのか、どういうニーズがあるのかということについて話を聞き取っていくとか、それからそういったことが今の進められようとしている施策とどんな関連があるのか、そしてそれをさらに進めていくには何をしなくてはいけないのか、そういうことをやはり臨地において、実際に指導も受けながら、動きながら地域で経験していくということは、これは1年間の保健師の教育があればできることだと私は思います。
 2009年の保助看法改正で保健師も助産師もそうですけれども、6カ月以上から1年以上に教育年限は延長されたわけですので、それにかなう実習のボリュームをきちんと設定をして、そしてそういうことが見学ではなくて、主体的に経験ができることがどうしても必要だと思います。まず実習での経験のあり方ということについては、積極的に今の見学から主体的な経験へ変えていけるような方向でワーキングでは議論をしていただきたい。
 そのためには、多分現在の5単位では足りず、増やさないといけないと思います。助産師が今は11単位、これは最低限経験をするということを前提に11単位ですので、別に横並びにしなければいけないとは思いませんけれども、1年間の教育年限ということでしたら、法的にもそれでいきますということになっているわけですので、10単位ぐらいを想定しつつ、しっかりとワーキングでは実習の内容について御検討していただきたいと思います。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 大体よろしゅうございますか。
 それではt構成員、春山構成員の順番でお願いします。
○藤田構成員 ありがとうございます。
 今の言葉を受けまして保健師の教育に当たって、社会が非常に複雑化してきて個人の家庭も非常に複雑化してきていると思うのです。先ほど1事例を丁寧に実習することが大事と私も思いますけれども、非常に複雑になってきているだけに、果たして1事例だけを見ていいのか。例えば臨地実習で、何事例かの複雑なと言ったら変ですけれども事例を経験する必要がある。看護師の基礎教育においても、1年間でたくさんの事例を受け持って臨地実習をさせていただくわけです。ですから、より保健師は対人関係においても複雑なケースを担当なさるのだと思いますので、そこら辺を考慮して何事例かの個人的な事例とともに集団への対応の仕方というものを学習していく必要があるのではないかなと思います。
○遠藤座長 どうもありがとうございます。
 まず順番で春山構成員、井村構成員でお願いします。
○春山構成員 5ページの(2)のcなのですけれども、この「様々な場における実習の展開」というのが、多様な場で実習をしなくてはいけないのか、それとも工夫として様々な場を生かすのかというところが不明確だと思いまして、私の意見としましては、様々な機会や場を生かす実習ということなのかなと思いましたので、意見を述べさせていただきます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 では井村構成員、お待たせしました。
○井村構成員 皆様から出た意見の一部でもありますが、個への丁寧な実習に加えて、やはり集団、例えば幾つかのコミュニティーの中のある団体と団体の中で、それらの団体に出たり複数団体を調整したりという力もぜひ保健師さんには望みたいと思っております。ですので、そういった演習ではどうしても実施しえない部分は実習で提供できれば、教育としては非常に質が上がってくるのではないかと思います。コミュニティーの様々な方々と接したり、集団と接する中でのコミュニティー・オーガニゼーションする力は保健師さんとしては、ぜひ身につけていただきたいと思います。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 池西構成員、どうぞ。
○池西構成員 検討上の留意点のところです。卒業時の到達目標の「教育実態を踏まえた目標の設定を検討する」というところで、一つぜひ養成所のほうの立場から申し上げたいと思います。いくと、統合カリキュラムという状況のところと、先ほど御説明があったような積み上げの1年の教育課程があるのですが、いずれにしても、実習施設確保にとても困っているという現状があって、そして基本はしっかり臨地実習をさせたいとは思いますがのだけれども、実習施設の関連でできないやれないという現状もあるということがありますので、臨地実習をもう少し本当に充実させる必要性はよくわかりますので、が、先ほど春山先生がおっしゃったような多様な場というようなあたりのところをどううまく使うのかも含めながら、臨地実習施設を確保していかなければいけないかなと思っていますということも、その点もぜひ考慮の上、御検討いただければありがたいです。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 それでは村嶋構成員、どうぞ。
○村嶋構成員 藤田構成員がおっしゃってくださったような複雑な事例を何事例か持つというのは、私も大変大事だと思います。できればそうしたいと思います。ただし、なん事例かもつのは、1事例をきちんと8カ月ぐらい追っていくことがあって、そしてプラスだと考えております。それから、多様な場で実習することは可能であればできるといいと思いますが、市町村、保健所を含むという自治体が基本ですので、この市町村、保健所で必ず実習することは重要だと思います。調整力を育てるためには、自分でいろいろな機関に訪問して、いろいろな人とやり合っていく、渡り合っていくというのが実習でできれば、そういう力は身についていくと思います。
 どうもありがとうございました。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 大体よろしゅうございますか。ありがとうございます。
 それでは様々な御意見が出ましたので、事務局は整理していただきまして、第4回の検討会に提出していただきたいと思います。
 それから次でございますが、同じ問題で助産師のほうでございます。ページでは8~9ページでございますけれども、これについて御意見を承りたいと思います。
 井村構成員、どうぞ。
○井村構成員 まずは、先ほど正常が土台の基本であると述べさせていただきましたが、やはり実際の分娩の実習に関しましては、分娩第1期から、分娩第1期というのは陣痛が始まって少しずつ陣痛が開始されてどんどん子宮口が開大するところまでを指します。そして全開大になって赤ちゃんが産道をおりてくるという一連の過程をきっちりと学習できる。そして胎盤が出て産後2時間という一連の過程を確実に学習できるという実習が、まず最低限必要である。それはシミュレーションには置きかえられない学習があるということを述べさせていただきます。
 その上で保健師教育でも先生方の御発言がたくさんありましたように、今の枠組みの講義、演習、実習を統合すること、シミュレーション教育を充実させること、単純なものから複雑なものへと教育内容をつくり込んでそこに知識と技術と価値や態度などが組み込まれている教育が方法論として展開できるとよいと考えております。そういった装置のつくり込みはぜひ必要であると発言させていただきます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 もう少し議論をしようかと思ったのですが、いろいろな御都合で難しいようなので、本日はこれで終了させていただきたいと思います。
○島田看護課長 設定された時間に比べて議題が多くて申しわけございませんでした。次の第4回のときにも本日の御意見を踏まえて修正した資料を提示させていただきまして、引き続き御議論いただくようにさせていただきたいと思いますので、申しわけございませんが、よろしくお願いいたします。
○遠藤座長 ではそういうことでございますので、ちょっと尻切れとんぼになりましたけれども、本日はこれにて終了したいと思いますので、事務局は何か連絡事項があれば、よろしくお願いします。
○関根教育体制推進官 第4回検討会につきましては、構成員の皆様方に改めて御案内させていただきます。航空券や宿泊の領収書など、対象となる先生方におかれましては、お早目に事務局までお送りいただければと思います。
 以上です。
○井村構成員 確認ですが、今助産師教育が途中で終了するということになっておりますので、続きからできるということでよろしいですか。
○遠藤座長 もちろん、それは完了したわけではありませんので、継続審議ということになります。
 では、これを持ちまして終了させていただきます。
 ありがとうございました。
 

 

(了)

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