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2018年5月21日 第2回 看護基礎教育検討会 議事録

医政局看護課

○日時

平成30年5月21日(月)17:00~19:00

 

○場所

経済産業省別館312会議室
東京都千代田区霞が関1-3-1

○出席者

安藝 佐香江 (医療法人社団永生会みなみ野病院法人本部統括看護部長/看護部長)
井伊 久美子 (公益社団法人日本看護協会専務理事)
池西 静江 (一般社団法人日本看護学校協議会会長)
井村 真澄 (公益社団法人全国助産師教育協議会会長)
江崎 喜江(※崎はたつさき 以下略) (大阪府病院協会看護専門学校副学校長)
遠藤 久夫 (国立社会保障・人口問題研究所所長)
太田 秀樹 (一般社団法人全国在宅療養支援診療所連絡会事務局長)
釜萢 敏 (公益社団法人日本医師会常任理事)
木澤 晃代 (日本大学病院看護部長)
木村 元 (一橋大学大学院社会学研究科教授)
酒井 郁子 (千葉大学大学院看護学研究科附属専門職連携教育研究センター長)
中西 亜紀 (高槻市医師会看護専門学校教務部長)
中島 由美子 (医療法人恒貴会訪問看護ステーション愛美園所長)
額賀 修一 (全国看護高等学校長協会副理事長)
馬場 武彦 (一般社団法人日本医療法人協会副会長)
春山 早苗 (自治医科大学看護学部学部長/教授)
菱沼 典子 (一般社団法人日本看護系大学協議会理事)
福島 富士子 (東邦大学看護学部学部長/教授)
藤田 京子 (蕨戸田市医師会看護専門学校副校長)
前田 彰久 (富山県厚生部長)
村嶋 幸代 (一般社団法人全国保健師教育機関協議会監事)
山口 育子 (ささえあい医療人権センターCOML理事長)
山田 雅子 (聖路加国際大学大学院看護学研究科教授)

○議題

 (1)看護師ワーキンググループにおける検討事項について
 (2)今後の検討の進め方について
 (3)その他

○議事

 

○関根教育体制推進官 それでは、皆様、おそろいになりましたので、ただいまより第2回「看護基礎教育検討会」を開催いたします。

 構成員の皆様におかれましては、本日はお忙しい中、本検討会に御出席を賜り、誠にありがとうございます。

 本日は、全ての構成員が御出席となっております。

 医政局長は遅れて到着の予定です。

 それでは、遠藤座長に議事進行をお願いしたいと思います。

○遠藤座長 構成員の皆様、どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、初めに、事務局より資料の確認をお願いしたいと思います。

○関根教育体制推進官 それでは、皆様、机上の配付資料をご覧ください。

 まず、1枚目に、第2回検討会の議事次第を置いてございます。

 資料としましては、

資料1「第2回検討会においてご議論いただきたい点」、

 資料2「看護基礎教育における領域横断の考え方に基づくカリキュラムの導入例(池西

構成員提出資料)」、

 資料3「今後の進め方(案)」、

 参考資料といたしまして、

参考資料1、各ワーキンググループ構成員名簿、

 参考資料2「第1回看護基礎教育検討会における意見」、

 参考資料3「看護師養成所における卒業時到達目標の調査結果」、

 参考資料4「ICTを活用した教育に関する調査結果」です。

 また、構成員のお手元に御用意いたしましたファイルには、第1回の検討会資料、「保健師助産師看護師法の抜粋」、「保健師助産師看護師学校養成所指定規則」、「看護師等養成所の運営に関する指導ガイドライン」、「近年の看護基礎教育に関する検討会の報告書」をつづっておりますので、適宜御参照ください。

 資料の落丁・不足等がございましたら事務局までお申しつけください。

○遠藤座長 よろしゅうございますか。

 それでは、まず議題に入る前に、ワーキンググループの構成員につきまして、私から御報告させていただきます。

 第1回の検討会で、ワーキンググループにつきましては具体的な事項の検討のために保健師、助産師、看護師、准看護師それぞれで設置して、まずは、看護師ワーキンググループから議論を開始することの御承諾をいただきました。構成員につきましては、座長一任とさせていただきましたが、参考資料1に構成員の名簿をつけております。このように決定させていただいたことを御報告いたします。

 各ワーキンググループには、検討会の議論を十分に反映できるように、検討会構成員の一部の方々に御参加いただくこととして、看護師ワーキンググループは山田構成員、保健師ワーキンググループは春山構成員、助産師ワーキンググループは福島構成員、准看護師ワーキンググループは私が、それぞれ座長を務めます。ワーキンググループの座長の先生方、どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、議事に入らせていただきます。

 看護師ワーキンググループにおける検討事項について議論いたします。事務局から資料1の説明をお願いしたいと思います。

○関根教育体制推進官 お手元にございます資料1をご覧ください。構成員の先生方には事前に資料にお目通しいただいておりますので、簡潔に御説明させていただきます。

 本日は、主に資料1の別紙をご覧いただきながら、資料1の○にございます3点について御議論いただきたいと考えております。これから御議論いただく内容も別紙に盛り込み、現在「看護師ワーキンググループにおける検討事項()」とさせていただいておりますが、「()」を削除しまして、ワーキンググループに検討をお願いする予定です。

 2枚目の別紙に「看護師ワーキンググループにおける検討事項()」として、「()卒業時の到達目標」、「()教育内容」、「()教育方法」、「()教育体制・教育環境」の4つを記載しておりまして、()につきましては、第3回以降に御議論いただいてから、後追いで看護師ワーキンググループに検討を依頼する予定となっております。

 また、※では看護師ワーキンググループにおける課程別の検討順序につきまして、通信制を含みます2年課程の検討は、准看護師ワーキンググループにおける検討の影響を考慮し、准看護師ワーキンググループの検討状況を踏まえて、看護師ワーキンググループで実施するということをお示ししております。

 3ページには、具体的に検討を進めていただく際の各項目における留意事項について、前回いただいた構成員の御意見をもとに整理をさせていただいたものをお示ししております。冒頭の※には、これからの看護基礎教育によって強化すべき能力として前回皆様に御意見いただいたa~jを検討の前提として記載いたしました。

 「()卒業時の到達目標について」は、見直しいただく際に留意いただく点として、免許取得前に習得すべきもの及び到達すべき水準を十分に吟味することを記載しています。

 「()教育内容について」は、まず、第1回検討会の御指摘を踏まえて、見直しの方向性を検討会として示すために、基本的には、保健師助産師看護師学校養成所指定規則上の教育内容の枠組みを維持して見直しを行い、領域横断などの柔軟なカリキュラム編成について、一定の方針を提示するという案を記載させていただきました。

 次に、教育内容では「1充実すべき教育内容及び留意すべき点」として、皆様の前回の御意見を分野ごとにアルファベット部分に記載いたしました。

 「2整理すべき教育内容及び留意すべき点」については、検討の際に留意すべきことを※で記載いたしました。

 次に「()教育方法について」は、「1講義」「2演習」「3実習」の切り口に対する皆様の御意見を同様にアルファベット部分に整理いたしました。特に「3実習」については、一定の実践能力の獲得が望まれるものの、技術項目の多くが見学しかできていない実態も踏まえ、※の前提も重要であることから記載しております。

 資料1の説明は以上でございます。

○遠藤座長 ありがとうございました。

 それでは、引き続きまして、領域横断の考え方に基づくカリキュラムの導入例として、池西構成員から資料が提出されておりますので、池西構成員から資料2の御説明をお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○池西構成員 貴重な時間をいただきありがとうございます。

 私の所属する日本看護学校協議会で今取り組んでいることの1つに、指定規則の示された範囲の中で各養成所が地域の特性、学校の教育理念をもとに柔軟なカリキュラムを運営・開発するための研修会等を持っています。今回皆さんにお示ししたものは、実は平成28年の日本看護学校協議会の副学校長・教務主任会でお話しさせていただいたもので、皆さんでこういう柔軟なカリキュラムを組むことについて共有したいということで使った資料を、今回は皆様にも提示します。

 ただ、今から御説明するカリキュラムは、京都と鹿児島で実際に行っている中身ではあるのですが、実は修業年限4年で行っているものです。京都も鹿児島ももともと統合カリキュラム教育実施校です。臨地実習の困難さをがあり、看護師の3年課程に課程変更することになりました。そのときに、4年の枠はあるということと、京都の場合は統合カリキュラムの一部、80名の定数を4040に分けた形にしましたので、4年のキャパシティーがあるので、修業年限3年の教育課程を4年で行うカリキュラムを組んだということです。したがって、厳密に言えば、これをこのままやっているものではないことのお断りをしておきます。ただ、内容的に単位数の違いはあるのですが、おおむね同じようなものをやっていますし、考え方は先ほど申し上げたように、統合カリキュラムでも実際に3年の運用でやっていますので、97単位でやれる中身というところで今回はお示ししたいと思っています。誤解があってはいけませんので、先に御説明申し上げます。

 皆さんのお手元の資料ですが、1枚めくっていただきますと、これは指定規則ですので、ごらんになっていただければと思いますが、備考の赤になっているところ「複数の教育内容を併せて教授することが教育上・・・」という部分ですが、これが指定規則の別表三に書かれているのですけれども、このように柔軟に取り組んでいるところがないということがありまして、前回、平成23年の看護教育の内容と方法の検討会では、これをもとに「領域横断」という表現をして、できるだけ柔軟にカリキュラムを組んでいくことの必要性について報告書の中に載りました。実は、私はそのときのメンバーだったこともありまして、こういう取り組みは必要ではないかと考えました。

 その結果、前任校なのですが、京都の学校で毎年、質問紙で、学生の卒業時の到達度を確認しているのですけれども、健康の保持増進、疾病の予防、健康の回復にかかわる看護実践能力が低いということが、カリキュラム上の問題として浮かび上がりました。

 そこで領域横断を考えるときに、対象特性別のカリキュラムは運用されているのですが、健康状態別にしっかりとカリキュラムを組む必要があるのではないかということで、新しいカリキュラムを組むときにそれを意識してつくりました。

 それが3ページに「領域横断の考え方に基づくカリキュラムの設定例」が載っていると思います。これは先ほど申し上げたように、修業年限3年、97単位で設定している中身ですから、そのままではありませんが、単位数は少しふやしている状態であることは御報告しなければいけませんけれども、一応97単位に置きかえた場合ということで、設定にしています。

 こういう形で皆さんにお示しすることで、3年課程の学校もこういう領域横断的な考え方のカリキュラムの開発ができるのではないかということで、これを提示しました。

 これは成人看護学、老年看護学、小児看護学、母性看護学、精神看護学、この内容の中から成人看護学は2単位、老年、小児、母性、精神はそれぞれ1単位ずつ持ってきて、結果6単位を健康状態別看護で領域を横断する考え方で設定しています。

 健康状態別看護の6単位を具体的にどのように考えたのかというのが、4ページです。健康状態別看護の概念図があると思いますが、縦断的、横断的という書き方になっているかと思いますけれども、健康の保持増進のレベルを保健指導論という科目を位置づけ、健康障害を持っておられる方の回復支援というところで健康回復支援論、これは実は臨床看護総論的なイメージなので基礎看護学に入ってもいいようなものですが、それを健康状態別看護に持ってきました。

 そして、健康障害を持っている方の回復に向けて、周手術期と薬物療法が2大治療ですので、それを持ってきて、問題解決活用法というのは、基礎看護学の中で看護過程は教授するのですが、対象によってどのようにそれを考えていくのかとか、例えば、在宅におられる方にどうつないでいくのかということも含めて、問題解決活用法をどの健康状態にあってもということで横に並べています。

 健康回復が望めない方に終末期の看護が必要ということで、健康状態をこのように分けてそれぞれ科目立てして、1単位ずつ配置するという形をとっています。

 次の5ページなのですが、現行、成人と老年、母性、小児、精神看護学という範疇の中から、それぞれ先ほど申し上げた2単位、1単位ととってきたのですが、新しい科目も当然1単位で運営しなければいけませんので、例えば保健指導論でしたら成人から0.3単位もらってきて老年からという形で単位数を1になるようにしましたと御理解ください。これにつきましては、現行の領域が明確にあるところから単位をもらってきたということで、このように振り分けをしたという御理解をいただいたほうがいいかと思います。

 これにつきましては、6年前になるのですが、多分初めて京都でこういう領域横断の科目をスタートさせましたが、そのときに、地方厚生局と相談しながらこのカリキュラムを組んだのですが、例えば、保健指導論が厳密に言えば成人0.3と書いてあるのですが、30時間の0.3ということで9時間授業しているのかというと、そういうものではないのですけれども、少なくとも成人からも老年からも母性からもいただいていることを意識しながら、保健指導論を組み立てていると御理解ください。1単位ずつにしていくために、内容の単位数を割り振ったというのが5ページです。

 その具体的な中身で、シラバスレベルのものを6~8ページに幾つか挙げています。1つだけ御説明すればあとは御理解いただけるかと思いますので、6ページをごらんになっていただきますと、具体的な領域横断科目のシラバスレベルのものです。薬物療法と看護を挙げています。学生たちは既に臨床薬理、基礎看護技術の与薬法というのは習っています。薬理の副作用・作用は理解していても、こういう状態の患者さんにどのような与薬法、注意をすればいいのかということで、できるだけ演習的に学習をさせたいということで、このようなプログラムを立てています。

 まず、1回目は薬物療法の復習で、一部テストも入れながら確認し、看護師の役割を説明する講義をして、その後、対象特性別に、例えば、お年寄りであれば薬物動態がどうなるので、どんなことに気をつけなければいけないとか、小児・妊産婦であればという話をして、ハイリスクの患者さん、例えば、腎不全とか肝不全という患者さんの場合はどのようなことを考えなければいけないのかということを、一部事例を用いながら、演習を入れながら講義しています。

 あと、先ほど申し上げたように、成人から時間をいただいている、老年からもいただいいているという趣旨もありまして、演習は事例の中で成人・小児・高齢者・妊産婦・精神も取りあげて、授業をしています。

 最初この授業をしたときに難しかったのが、1人の教員で原則やるべきなのですが、例えば、妊産婦と言われても、今まで成人でやっていたものにとっては難しかったので、1年目は、ここはどうしてもできないので精神の先生に頼むみたいな、分担する形でやったという経緯があります。ですが、本来は1人の教員がすべきものなので、担当教員が講義に入って、2年目から少しでも多く、3年目は1人で全部やる、という経緯をたどって今はこの形になっています。

 同じような形で、周手術期と終末期を挙げていますが、基本、終末期と看護や周手術期と看護というのをきちんと押さえた上で、対象によって特殊性があればどのようにしていくのかというのを、できるだけ演習を交えるという形の組み立てをしているのが、8ページまでの資料です。

 臨地実習についても同じような考え方で、9ページです。領域横断の考え方に基づく実習ですけれども、病院附属的な学校でないと実習施設がたくさんになります。例えば、成人の実習でも3つぐらいの実習施設に行かなければいけないという現実があって、科目が変わるたびに病院まで変わるという事態が起こると、実習がうまく進まないということがあって、おおむね2単位90時間でやる実習を、しっかり看護過程を展開させたいところは3単位にする。あるいは、看護の統合と実践実習も複数受け持ち患者の看護は、見学はできるのですが、しっかり考えさせたいと思うと2単位では無理。そういうところを領域横断した考え方で、3単位4週間実習を組むという計画を立てています。看護過程実習というのは基礎看護学から2単位、成人看護学から1単位持ってきて3単位にしている。健康状態別看護は看護過程実習が終わった後に、その人の健康状態を回復させるための意図で、治療的なものもしっかり学びながら健康状態別看護ができるということで、3単位4週間の実習を企画しているというのが領域横断の考え方です。

 そういう形で、今年で2年卒業生を出した学校と、今年が完成年度の学校が今あるのですが、そこで10ページですが、卒業生を出した学校の教員たちに領域横断の考え方に基づくカリキュラムがどうだろうということで手応えを聞いています。看護実践能力も同時に問うているのですが、それにつきましては、修了年限4年という要素もありますので単純な比較ができないので、教員には領域横断の考え方に基づくカリキュラムのメリット・デメリットを自由に記載していただいた段階のものをまとめたものがこれです。

 メリットですが、オレンジ色の4つの項目があって、右端に数字が書いてあるのは人数です。そのように読み取っていただくと、まず、メリットとして内容の精選とか、重複部分がなくなったということがあるのですが、それまでにしっかり全員で討議するとか、共通認識が必要だということも同時に言えると思います。

 さらに、その下に書いてありますのが黄色い部分です。3単位にすることで看護過程実習は複数人を担当することができて、看護過程が積み上がっている実感があるとか、健康状態が切り口なので、現場の看護の考え方に沿っているように感じるという意見や、病気の経過を踏まえて在宅に向けた継続的な視点、これは先ほどの問題解決法というところで、老年の入院している方が在宅に戻ったという事例を展開するということも含めて継続的な視点が学習しやすいという意見がありました。

 反対にデメリットは、教員の力量が要るというところです。既に先ほど申し上げたように、京都は6年目になっていますので、大分それぞれの力がついてきたかなと思いますが、最初は戸惑いがあったというのは事実のようです。それから、先ほどの話のように、母性はちょっと苦手なので別の先生という形になるとオムニバス形式になってしまうので、本来そうならないように注意しなければいけないという声と、母性看護学の教員についてはデメリットが少ないというのは明確に書いていましたし、小児の薬物療法はもうちょっと押さえたいので時間が欲しいという声もありました。まだまだ調整しなければいけないところはあると思うのですが、日本看護学校協議会は、今までほとんど指定規則どおりに運用しているカリキュラムでしたので、現場の状況あるいは学校の理念を踏まえながら、柔軟に対応していくようなカリキュラム開発の力をつけていく必要性があって、そのためにこういうカリキュラムを皆さんに今御紹介しているのが取り組みの状況です。

 以上です。

○遠藤座長 どうもありがとうございました。

 これから個別の内容について御審議いただきますけれども、それに先立ちまして、ただいま事務局と池西構成員から御説明がありました内容につきまして、御質問があればまずは承りたいと思いますが、よろしいですか。

 それでは、山口構成員どうぞ。

○山口構成員 御説明ありがとうございました。今の若い学生さんたちは、いろいろなものが進んできたことによって想像する能力が高くなく、実際のことに結びつかないといいますか、耳で教えられることと実際の想像とが結びつかないことがふえているのではないかと思っています。そのため、何とか学より領域横断にしたほうが実質具体的にイメージすることができる学習になるのではないかと感じながらお聞きしました。ただ、実際に領域横断に変えることで教えられる教員がどれくらいいるのかというか、学校差が大きくならないだろうかとも感じました。できる学校もあれば、できない学校も出てくるのかということは、実際に6年やられてどのように感じておられるのか。というのも演習がふえてくると思います。先ほども教員の力量という話がございましたけれども、講義よりも演習のほうが恐らく教員の能力差が大きく出るのではないかと思いますので、そのあたり実現の可能性がどれくらいあるのかというのが1つ目。

 2つ目として、6年やってこられた中で、教員の研修を実際に行われてきたのか。例えば、演習などを中心にしたときに教員をどういう視点で選別されているのか、そのあたりを御経験の中から教えていただければと思います。

○遠藤座長 では、池西構成員、お願いいたします。

○池西構成員 ありがとうございます。まず、教員の数ですが、確かに負担は大きいと思いますが、97単位の中の動きですので、今まで例えば、成人看護学を持っていた教員が周手術期をやっているのが多いので量的に変わるわけではないので、担当が変わるというイメージです。

 あと、演習という形になると、どのような研修が必要かということもですが、基本的には今私がかかわっている学校は研究授業という形で、お互いの授業を見合う、それから、シラバスも含めてですが、カリキュラムの内容をお互いに検討する、そういう会議等が結構ありますので、そういうところでお互いの情報交換はしているのですが、特別に領域横断を組むための研修についてはやっていません。先ほど申し上げたように、いろいろな教員が中に入ってお互いの情報共有をするということについてはやっています。

 もう一つ、やり方ですが、確かに演習することによって教員の数が要る部分があるのですが、私の経験では、協同学習の手法を使うと、やり方によっては1人の教員でやれる部分は結構ありますので、教員数を増やしているわけではないという事実は申し上げられるかと思いますが、全て答えましたでしょうか。

○山口構成員 どちらかというと、人数の問題よりは能力的な問題といいますか、この人ならできるとか、そのあたりの評価はとても難しいと思うのです。そのあたりがちょっと気になったものですから。

○池西構成員 こういうカリキュラムについては専任教員であれば、だれがやってもいいという部分もあるわけです。なので、興味のあるところでどこを引き受けますかということで最初はスタートしました。やってみると実は結構教員はおもしろいようで、例えば、ほかの科目が入ったのでどれかを削るといったときに問い合わせると、この領域横断はもうちょっとやりたいという声があるので、大変だけどおもしろい、いいものだという、手応えがあるのではないかという気がしています。

○遠藤座長 よろしいですか。

 ほかにございますか。村嶋構成員どうぞ。

○村嶋構成員 ちょっと混乱しているのですけれども、このカリキュラムは最初4年で考えられており、それを97単位に縮小しておやりになったと理解したのですが、かつ1単位が30時間ですので、結構最大限にやっていらっしゃるのだと思いました。4年間で開発されたものを、どうして3年でやれると判断したのかよくわからないのですけれども、実際に3年でやっていらっしゃるということなのでしょうか。

 もう一つの質問ですが、これは「看護の統合と実践」でやってもいいかなという気もするのですが、実際にはどのようにやっていらっしゃるのでしょうか。

○遠藤座長 お願いいたします。

○池西構成員 2つ目の統合と実践をどのようにという御質問の意味がもう一つ受け止められていないので、そこを説明いただけますか。

○村嶋構成員 統合と実践は具体的にどんなことをやっていらっしゃるかと。

○池西構成員 授業の話ですか。

○村嶋構成員 授業というか中身が全然見えないので、その2つをお伺いしたいと思います。まずは、4年間で開発されたものを、単位に比例して縮めるという形ででも本当にできるのでしょうかというところです。

○池西構成員 先ほど申し上げましたように、統合カリキュラムをやっていて4年のカリキュラムで学校運営していました。それが80名のクラスを4040に分けて、片一方は看護保健学科、片一方は看護学科という形でスタートするに当たり、看護師教育課程については97単位で統合カリキュラムでもやっています。看護学科は97に加えて124単位やっていますので、その部分については看護学科はさらに看護実践能力を向上させるためのプログラムを導入するという考え方ですので、看護学科も、看護保健学科も97単位で看護基礎教育課程は共通していると考えて、97単位でやれる目処がたつと申し上げました。

○村嶋構成員 実際には、残りの40人に対してこれをやっていらっしゃるのですか、全員ですか。

○池西構成員 看護保健学科のほうも97単位でやっているのですが、ただ、97プラス保健師教育がありますので、そういう意味では、厳密に言えば97だけでやっているわけではないということはおっしゃるとおりです。ですが、実際の看護保健学科は97単位はおおむねこのままやっておりますので、そういう意味で申し上げています。

○村嶋構成員 でも、割り戻しをしていらっしゃるけれども、実際には4年間の中でこれをやっていらっしゃるということですね。

○池西構成員 そこは、そのとおりです。

 それから、看護の統合と実践は学科目は4単位で、これはそのままです。学科目は、例えば国際看護や災害看護、看護技術の総合的評価を実習前と実習後に置いていて、OSCEを含めた形で取り組んでいますので、その4単位は実は変えていませんので、ここには出していません。ただ、臨地実習だけは先ほど御説明したように、統合の中で複数受け持ち患者は少し時間をかけたいということがあって、老年とくっつけた形の統合にしています。

○村嶋構成員 OSCEを入れたり、いろいろ意欲的なことをやっていらっしゃるのですが、それは4年間の中でトライアルしていらっしゃるということですよね。

○池西構成員 実際にやっているのは4年です。

○村嶋構成員 わかりました。

○遠藤座長 それでは、井伊構成員、お待たせしました。

○井伊構成員 同じ質問でしたので今の話で理解できました。4年間という枠で、97単位を軸にして、このように柔軟なカリキュラムを設定しているということですね。

○池西構成員 ただ、97で設定していますので、私は看護学校の中で、こういう柔軟なカリキュラムがつくれるということをぜひ皆さんにもお知らせして、取り組んでいただけるとありがたいなと思っていますので、今日もお話をさせてもらったという経緯です。

○井伊構成員 4年間という枠で柔軟なカリキュラムを導入しているが、今日は3年間で行う場合の設定例ということで御説明いただいていると。最後の導入事例における教員の評価というのは、4年の枠の中でやっている方々が実際にやってみてどうかという評価ですね。

○池西構成員 そうです。

○遠藤座長 ほかに御質問ありますか。藤田構成員お願いします。

○藤田構成員 とても柔軟な考え方ということで、当校はこれほど柔軟な考え方はできていませんので、とても参考になりました。ただ1点、うちの学校も実は3年課程の4年制を敷いています。なぜそのようにしたのかという理由がありまして、解剖生理と病態論で卒業生が非常に弱いという現実がありました。私がかかわった3年課程、2年課程、准看課程全てに卒業時のアンケートをしたところ、そこが非常に自分たちは弱いという評価をしたんです。

 もう一つ、専門分野Iの基礎看護学の力が非常に弱いと学生たちは感じていたんです。その辺は全部の課程で同じだったんです。それで、基礎となる部分の力をつけなければ、学生の到達度を満足させることはできないということで4年制にし、その辺の解剖生理学、病態論等は特に専門基礎分野の領域として、指定規則よりも大体3単位ぐらいプラスして設定し、また、看護の周辺領域というか、例えば臨床検査、リハビリテーションの基礎が非常に弱いということがありましたので、その辺も加味して専門基礎分野を強化して、4年制にしたという経緯が実はあるんです。そこで当校もやっと4年目に入りまして、ことしで4学年そろいました。実習に出てみますと、今までの3年課程3年制でやっていた内容と比べてみまして、非常に内容が濃いというか、指導者さんからも高評価といいますか、よく理解して看護の視点で述べられているということ、それから、患者さんが非常に複雑化していますので、その辺の理解でとても指導が入りやすいという評価を得ています。

 私が1つ疑問に思うのは、その辺の強化は4年制の中で行っていたのかどうかということなのですが、いかがでしょうか。

○遠藤座長 池西構成員、お願いします。

○池西構成員 4年間の評価というのは、先ほど申し上げた看護実践能力を卒業時に問うているのですが、それについては継続してとっていますので、3年のときと4年の違いについて、見えるものはあります。ただ、今回は領域横断でその効果が上がったとは言えないので、そこについては述べていませんが、4年間かかった分は当然何らかの値打ちはあるだろうと思います。

○遠藤座長 大体よろしゅうございますか。

 それでは、具体的な議論に移りたいと思います。ただいま2つの資料の説明をいただきましたし、また、参考資料も2以下出ておりますので、これらも参考にしながら資料1に沿って具体的な議論を始めたいと思います。

 それでは、まず、資料1の1ページの1つ目○『看護師ワーキンググループの検討の前提となる「将来を担う看護師に求められる能力」は何か』について、資料1の3ページに、事務局が前回の議論を反映して、a~jを具体的に書かれておりますが、このa~jの能力につきまして、追加あるいは修正等があれば御意見をいただきたいと思います。

 井伊構成員どうぞ。

○井伊構成員 前回申し上げたような気もしますが、ちょっと抜けているのではないかと思いますのが、対象者の状態の変化を予測した上で悪化しないよう予防的にかかわる能力です。今後将来を担う看護師というときには不可欠だと思いますので、健康増進というのは挙げられているのですけれども、状態変化ということに対する自らアセスメントしてかかわるという意味合いで、予防的にかかわる能力というのを挙げていただきたいと思います。

 それから、それぞれが重要な能力ですので、それ以上に付け足すということではないのですが、bの社会的背景や生活を理解するとか、cの生活に即したニーズをとらえる、さらにdの症状や兆候からアセスメントするということを通して、対象の方を全体的にとらえる能力ということが、今後、地域包括ケアと言っているからには絶対必要です。ですので、そういう全人的にとらえる能力は1つ項目として挙げていただきたいと思います。

○遠藤座長 ありがとうございました。

 ほかに何か御意見ございますか。井村構成員、お願いします。

○井村構成員 前回も述べさせていただきましたし、もしかしてこの中の包括的には入れてくださっているのかもしれませんが、ライフステージ、つまり受精卵、胎児、生まれて召されるまでの生命の連続的なステージをぜひ文言として明確に入れていただきたいと思いました。

 参考資料2の前回の意見の2ページ「全体に関して」のところで、発達段階別の教育には限界があるというところは合意できるのですが、4ページの「(母性看護学、小児看護学、助産師基礎教育関連)」にとりまとめてくださった、「地域包括ケアには老若男女すべてのライフステージが組み込まれている」という、人生全てというところは母性・助産に限らず全体にかかる文言として明確に位置づけていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○遠藤座長 御意見として承りました。ありがとうございます。

 ほかにいかがでしょうか。山口構成員どうぞ。

○山口構成員 広くはコミュニケーション能力とか対象者の社会的背景や生活を理解する能力に当てはまるのかもしれませんけれども、患者側の立場からしたときに、患者対応をする上の倫理観といったものが具体的に余り書かれていなくて、できればそういったことも実践的に倫理とは何か、日常の中とか患者と対応する、人間関係を築く上で、こういうことが倫理なのだということをしっかりと養っていただきたいと思っていますので、何らかの形で入れていただけたらありがたいと思います。

○遠藤座長 ありがとうございました。

 ほかに何かございますか。太田構成員どうぞ。

○太田構成員 看護教育のことは門外漢ですから、既に十分検討されていることであれば失礼な言い方になるかもしれませんけれども、健康増進とか疾病治癒という問題は生きることを前提としているわけです。しかしいずれは死ぬわけです。今、倫理観というところで申し上げたいと思ったのは、これから多死社会に向かうわけです。召されるまで看護が必要なのですけれども、今話題の、ACPAdvance Care Planning)が推進されます。ACPの条件というのは、正しい医療情報を患者・家族に提供することなのです。正しい医療情報が何か、実はエビデンスが余りはっきりしない領域です。つまり死の臨床というのは非常に未熟です。例えば、認知症に人工栄養が妥当かどうかということは医学的な問題を超えた、かなりエシックスの領域なのです。ACPは意思決定支援(decision making)に医療の専門職がコミットすることですよね。そうすると、ナースも生き死にかかわる場面で意思決定支援(decision making)に参加しなければいけないです。ですから、これは医者に聞いてくださいという話ではないわけですから、ここの倫理観、つまり何が正しいかはっきりしないがゆえに一層難しいわけですけれども、多死社会に向けての看護のあり方で非常に重要な部分だと思います。ですから、ここは絶対組み入れていただかなければならないと思いました。

 以上です。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 ほかに御意見ございますか。木澤構成員、お願いします。

○木澤構成員 先ほどのACPの話にもつながると思うのですけれども、意思決定支援というのが欠かせないと思います。今はいろいろな医療情報が氾濫していて、なかなか決められないということがあると思います。あとは、決めた上でも必ず揺らぐということは前提条件ですが、やはり医療者もそのあたり家族が選択したからということで、そういうところでの支援のあり方というのはしっかりできていないのかと思います。また、そういった意味では、看護師としてチーム医療のコーディネーターとしての役割がこれから期待されているということでは、意思決定支援も含めていったほうがよろしいかと思います。

 以上です。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 お待たせしました、中島構成員どうぞ。

○中島構成員 私からは、「c.対象者の生活に即したニーズをとらえる能力」というのが挙がっていて、これはすばらしいなと思ったのですが、生活にかかわらず、すべての対象者の価値や主体性を尊重できる能力が必要なのかなと思っています。医療者、看護師が考えるその人のニーズと、実際にその人が持っているニーズがなかなかうまく合わないときもありますので、その辺も入れていただけるといいのかなと思いました。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 ほかにございますか。福島構成員どうぞ。

○福島構成員 もしかしますと、eやfのところに入るのかなと思うのですけれども、先ほども出てきました解剖生理や病態生理に基づく看護技術の提供そのものずばり、そういうものは対象者の快復力や生きる力を引き出す能力というところに含まれるということなのでしょうか。

○遠藤座長 それは事務局にお聞きいたしますか。あるいは、御意見としておっしゃっていただければ、それが明確になるような形で文言修正を行える可能性もありますので、御意見としておっしゃっていただければと思います。

○福島構成員 これを入れるかどうかはあれですけれども、先ほど出ました解剖生理や病態生理に基づく看護技術の提供というそのものずばりは、この中に入らないのかどうかというのは1つの意見として出させていただきます。

○遠藤座長 入れるべきではないかというお考えですか。

○福島構成員 もし入っていないのだとすれば。

○遠藤座長 わかりました。

 それでは、酒井構成員、お願いいたします。

○酒井構成員 2点あります。まず1点は、h、i、jの3つの能力ですけれども、これは基本的に一緒ではないかと思います。エビデンス・ベースド・プラクティスの基本的な能力ということになり、特にエビデンスを収集し統合する力ということになると思います。

 そのときに、確認というか意見ですが、看護学校や基礎教育のレベルでどの程度のエビデンスの活用を求めるのかというのは明確にしておかないと、大学院の教育ともかなりかぶる部分で、基礎教育でどの程度それを身につけるのかという合意が必要ではないかというのがあります。

 あと、「g.専門職連携実践能力」につきましては、下位概念としては4つあって、世界的に言われていることとしては、連携実践能力の中身にコミュニケーション能力と患者中心の医療を提供する倫理観、リフレクションのスキルと最後に共同のスキルというのが出てくるので、先ほどからコミュニケーション能力や倫理ということが文言として出ていないのではないかという御意見がありましたけれども、そういうふうに考えると、gには入ってくるということなのですが、卒業時の到達目標で必要性を理解するとか、何々について理解するというレベルでこれを設定してしまうと、そこの実践能力がなかなか身につかないで出ていくということになるのかなと思いました。

 以上です。

○遠藤座長 そういう意味では、エビデンスをどこまで求めるのかということについてのある種の検討材料として御発言いただいたと思いますが、これについては何かお考えはございますか。あるいはそれもまた、看護ワーキンググループで議論する上での1つの課題ということで扱わせていただくことになるかもしれませんね。

 事務局から何かコメントはありますか。

○関根教育体制推進官 看護師ワーキンググループで検討させていただければと思います。

〇遠藤座長 わかりました。

 それでは、井村構成員、お願いします。

〇井村構成員 今のことはワーキングで御検討いただけるということでお委ねするという思いもありますが、基礎教育レベルできちんとエビデンスにアクセスできて、判断できて、それを現場の自分の受け持ちに活用できるというところ、つまり、きちんと使えるというところまでなされていることを、国内・海外のさまざまなところで見聞きしておりますので、日本の基礎教育の中でも是非そのレベルまで行えるとよいと思っております。

〇遠藤座長 ありがとうございました。ただいまの意見もそれに関連した形で、またワーキングへの指示の中では反映させていただくことになるかと思います。

 ほかにございますか。前田構成員どうぞ。

〇前田構成員 私も、看護の専門から若干ずれた発言かもしれませんが、項目のa、b、cに関しては、むしろ到達目標かもしれませんが、行政のほうが認知症や精神疾患、あるいは虐待、低所得者に対する対応の専門相談として今一生懸命充実させようとしています。今それぞれ挙げたものは市町村で専門の方を必ず1名置くなどの対応力を充実させているところがあります。看護師自身は地域包括ケアの核だとは思うのですけれども、全て看護師に依存すると大変重いところもあると思っておりますから、b、cあたりは例えば、医療以外の分野は危ないと思っていただくところで、むしろaでしっかり行政に伝えていただくようなスキルを磨いていただければ、せっかく行政のほうで育成している人たちも意味が出てくると思います。うまく役割分担できるような方を育成していただければありがたいなと思っております。

〇遠藤座長 ありがとうございます。

 では、村嶋構成員どうぞ。

〇村嶋構成員 3点ほど申し上げたいのですが、「d.対象者の症状や兆候からアセスメントする能力」、もう一歩踏み込んで、臨床推論だとか、フィジカルアセスメント、先ほど池西構成員の資料に出ていました臨床薬理学、誤薬をする一番多くは看護師だそうでございますので、きちんと薬のことをわかって活用できて、誤薬をしない、訴えられない能力というのをぜひ含めていただきたいと思います。

 2つ目は、参考資料2の4ページ目にございますが、「(公衆衛生看護学、地域看護学関連)」で、『看護師が地域で多様に働くためには、訪問看護の場面等で地域アセスメントをする能力も必要であり、看護師の基礎素養として「地域看護学」が必要である』と申し上げました。これから地域包括ケアの時代に、多様な場で働く能力、また、患者さんの置かれている状況、居住環境をきちんとアセスメントして、居住環境そのものを整えたりしていく能力が必要でございますので、前回は「地域包括ケア」と出ていたと思いますが、ぜひその文言を入れていただきたいと思います。

 3点目は、看護の統合と実践のところで池西構成員にお伺いしたときに、国際看護などいろいろなものが出ました。ただ、ぜひマネジメントといいますか、看護管理といいますか、看護の質の改善に向けて活動する能力。現状をアセスメントして一歩進むような質の改善に向けたことを考えることのできる能力、それも入れていただきたいと思います。

 以上3点申し上げました。

〇遠藤座長 では、木村構成員、お願いいたします。

〇木村構成員 今まで出た意見と重なるところもあるのですけれども、例えば、死に対する決定といいますか、かかわる能力とか、ニーズが合わない場合はどうするかという議論と重なるのですが、前回も少し触れたのですけれども、この薬を飲めば必ずよくなる、しかし私はこの薬を飲むこと自体を拒みたいという選択を望むという、そこに端的に示されるような、いわゆる当事者主義という問題は、例えば、今日ここに挙げられているa~cまで、つまりコミュニケーション能力や、大きく言うならば患者や当事者をどう理解するかという能力のいわば応用編といいますか、集約した形にもなっていると思います。ですので、もともとにある観点として、当事者主義という問題も応用として位置づけたほうがいいのではないかと思いました。

〇遠藤座長 ありがとうございます。

 江崎構成員、どうぞ。

〇江崎構成員 意思決定支援や倫理観という点で、重なるかと思いますが、学生の状況として患者さんと関わる力が弱くなっていると思います。中でもその人を尊重し、関心を寄せて寄り添う力が弱いかと思います。また学生は、倫理的な感受性も非常に未熟です。患者を尊重した態度を育成することや、倫理的課題に気づく力を育成すること、記録物の管理、情報の管理等も含めて、「対象を尊重して擁護する能力」が求められるかと思います。そしてその能力が倫理的に患者さんを守ることにつながっていくのではないかと思います。

〇遠藤座長 ありがとうございます。

 いろいろな御意見が出ておりますが、要求水準がだんだんと高くなっていく感じがしますが、事務局にちょっとお尋ねしたいのですけれども、ここでこの能力を決めますと、ワーキンググループはその範囲の中でそれを達成できるように考えなければいけないのか、あるいはここで決めました能力も実現がなかなか難しいということで、それに対応しないことも結論としてあり得るのか、その辺のところを教えていただきたいと思います。

〇関根教育体制推進官 基本的には、今いただいたご意見も含めて、検討事項(案)の能力のところに盛り込む形でワーキンググループに検討をお願いはするのですけれども、そうはいっても検討する過程で、それ以外のはみ出る部分が出てくるかと思いますので、それはワーキングのご意見としてまとめていただいて、それを検討会にお戻しして妥当かどうか諮るといったキャッチボールをしながら検討して、やりとりをもんでいくことを想定しております。

〇遠藤座長 了解いたしました。それであれば、皆さんの御意見をできるだけそのままお伝えしてもいいかなと思いましたものですから。

 井村構成員どうぞ。

〇井村構成員 今までの方がおっしゃってくださった当事者性ですとか、その方に寄り添うということで、ほかのキーワードで申しますと、その方のストーリーとか世界に入れる力というのですか、エビデンス・ベースドと車の両輪のようにナラティブ・ベースドのプラクティスという能力をぜひ両輪の能力として、若い新しい方々には培っていただきたいと思います。

〇遠藤座長 ありがとうございます。

 いろいろなレベルの御要望も出ておりますので、同じ基準でどのように文言化すればいいのか、ちょっと難しいところがありますが、かなりいろいろと追加の御意見も出たものですから、中身については、私と事務局で相談させていただきながら整理させていただいて、それをワーキングへ流すという形で、整理したものにつきましては、皆さんにお見せさせていただくという、言ってみれば座長預かりのようなものですけれども、そういう形でとりあえずワーキングに流させていただくという対応でよろしゅうございますか。

(「異議なし」と声あり)

〇遠藤座長 ありがとうございます。事務局もそれでよろしいですか。

 では、そのようにさせていただきたいと思います。

 続きまして、2つ目でございます。「看護師基礎教育における教育内容の見直し方向性をどのようにするか」についてでございます。3ページに波線の四角で囲っている「基本的には」から「一定の方針を提示する」という内容ですが、この事務局提案について、これでよろしいかどうかお諮りしたいということです。

 井伊構成員どうぞ。

〇井伊構成員 3ページ「()教育内容について」の見直しの方向性の波線のところだけを見ますと、内容について、領域横断などの柔軟なカリキュラム編成について方針を提示することが見直しと読めるのですが、見直しの方向性としてはこの部分だけでよろしいのかなと思います。私は、先ほどの池西構成員から御発表のあった領域横断などの柔軟なカリキュラム編成は大変賛成なのですけれども、これだけが見直しの方向性ではないのではないかと思います。

 また、これでは教育内容についてだけこの検討会で方向性を示して、卒業時の到達目標については、この検討会では方向性を示さないことになってしまうので、見直しの方向性の置いている位置が違うのではないかと思います。つまり、2ページの「1.検討事項」に()()()()がありまして、これらを検討するときにどういう方向性かということが出され、その前提に検討上の留意事項が並べられるというふうにすべきではないかと思います。

 さらに、もう一つ申し上げたいのは、卒業時の到達目標については、前回の検討会では准看護師の到達目標がないから必要ではないかという意見がありましたが、看護師に関しては全く何も挙げられていませんでしたので、改めて到達目標の方向性についてはここで意見を申し上げて、その方向で進んでいただきたいと思いますので、申し上げたいと思います。先ほど、これからの将来を担う看護師に求める能力といったときに、酒井構成員から実践力という御発言がありまして、もともとこの検討会の趣旨にあるように「看護師については、共通して求められる知識や能力が培われるよう教育カリキュラムを拡充し」という方向でこの検討会は持たれていると理解しております。現時点で看護師に求められる能力というのは、少なくとも平成21年に議論されたときより低くてよいということはあり得ない。そのため、実践力は上げていかなければならないという前提でワーキングでも御議論いただきたいと思いますので、到達目標の方向性としては、現状のものよりはレベルを上げるという方向で進めていただきたいと思います。

 これまでも免許取得前に習得すべきものを厳選して到達目標が議論され、示されていると思いますので、到達目標につきましても改めて実践力を上げるという方向で、ワーキングでも議論していただきたいという意見を申し上げます。

〇遠藤座長 ありがとうございました。

 ほかに御意見ございますか。酒井構成員、お願いいたします。

〇酒井構成員 先ほどの池西構成員のプレゼンテーションを拝聴しまして、領域横断の柔軟なカリキュラム例ということで理解したのですけれども、領域横断の科目のコンテンツを見ますと、これで領域横断の中身を充実させていきますと、成人看護学や老人看護学などで何を教えていくのかというのがすごく疑問に思いました。池西構成員が、このような領域横断の柔軟なカリキュラムを組んだときに、成人看護学や老人看護学で何を教えたのかということについて、もしデータがありましたら、お教えいただきたいと思います。というのはマトリックスになっているので、領域横断のほうに重きを置けば、成人、老人、小児、母性というのは対象理解のほうに重点が置かれるのかなと思いましたので、済みません、教えてください。

〇遠藤座長 池西構成員、よろしいですか。

〇池西構成員 ありがとうございます。今シラバスを持ってきていないので詳しくは覚えていないのですが、ただ、それぞれの対象特性の理解には一定の時間を使って教えています。そして、老年でしたら老年期に起こりやすい疾病の理解も必要で、それぞれ4単位を3単位にすることもなかなか厳しい状況にあったことは事実です。具体的に何をどのように教えているかは今はお話しできないのですが、老年は老年、成人は成人、精神は精神で、それぞれ教えなければいけないものはたくさんあって、その中で例えば、周手術期でしたらここでまとめて教えるので、老年のほうでは少なくていいですよという位置づけのものです。

〇酒井構成員 今の池西構成員のお答えでちょっとわかったのですけれども、そうすると、柔軟なカリキュラム編成の方針の文言をかなりしっかり検討しないと、逆に柔軟ではなくてオムニバスみたいに細切れになっていくリスクがすごくあるのかなと思いましたので、見直しの方向性の表現についても、ぜひ慎重な御検討をお願いしたいと思いました。

〇池西構成員 領域横断などの柔軟なカリキュラムの1つの例として健康状態別、これは先ほど申し上げたように、前任校で卒業生の調査をしたときの課題として、健康の保持増進云々の領域が目標到達が低かったということで、それをクローズアップさせたいということで挙げたものです。これはあくまでも1つの例なので、母性、小児、成人という領域にこだわらない、どんな設定がよいかはいろいろなものがあるのではないかと今は思います。

〇遠藤座長 ありがとうございます。

 ほかにいかがでしょうか。菱沼構成員、お願いいたします。

〇菱沼構成員 先ほど出ました卒業時の到達目標の検討の件ですが、現在は5群に到達目標が分かれております。1群はヒューマンケアのベース、2群が根拠に基づき看護を計画的に実践する、3群で健康レベル別に既に到達目標が構成されております。ですので、カリキュラムを健康のレベル別に組みかえるというようなことは、むしろこの中からも引き出してこられるような状態になっていると思うのですが、今回の見直しといいますか、学生たちが卒業するときが2025年になろうという時代でございますので、そのときの少子高齢・多死社会の中で、しかも、そのときには恐らく広い意味での在宅で多くの方たちが医療機関以外で亡くなっていくという社会に出ていくことを考えますと、そういったことに関する到達目標をもう少し明確に提示する必要があるのではないかと思っておりますので、それは4群のケア環境とチーム体制をというのでは非常に概念的ですので、もう少し具体的な、どういう病気があったり虚弱である高齢者や、あるいは医療ケアの必要な子どもたちがどこで暮らしていて、どこに看護の手を出すのかということが到達目標としてわかるような目標設定も加えていただきたいと思いますし、その上で内容のどこをどう強化するのかということを御検討いただけたらと思っています。

〇遠藤座長 ありがとうございます。

〇井伊構成員 もう一つ済みません。到達目標もそうですけれども、先ほどの求められる能力のときにもそういう御発言がありましたが、厚生労働省は到達目標とあわせて看護師教育の技術項目と卒業時の到達度も提示しておりますので、議論するとすれば技術の習得状況についても実態がどうなのかということを共有して、果たしてこの到達度でいいかどうかという議論がなされるべきだと思います。そういった準備はいかがでしょうか。

〇遠藤座長 事務局お願いします。

〇関根教育体制推進官 今ご意見いただいた技術項目に関しましては、確かに我々のほうで到達度をお示ししておりますので、こちらにつきましては今回お示しした参考資料3にありますような調査結果がまだ準備できておりませんが、今後調査を早目に行いまして、到達の実際の状況も踏まえながら御議論をいただく予定でございます。

○井伊構成員 これから調査をするのですか。

○関根教育体制推進官 はい。技術項目及び先ほどの卒業時の到達目標も、検討の範囲となっておりますので、それらの細部についてはあわせて、この検討会というよりもワーキンググループで御検討いただくことを想定しております。もちろん、本検討会に調査結果をお出しすることは可能なのですけれども、実際の議論という点ではワーキンググループで主に御議論をいただく予定でございます。

〇遠藤座長 では、そのようにしていただければと思います。

 ほかにございますか。前田構成員、お願いします。

〇前田構成員 私も今の議論を聞いておりまして、看護師に期待は物すごくふえていて、それに必要な能力は行政としても期待するところが多いので、いろいろな期待の言葉が入ると思いつつ、前回の議論のときから変わったところといえば、看護師を初めとするほかの職種の方も医療現場、行政現場に大変ふえています。介護職であったり、リハビリ職が大変充実してきたところがありますし、あと、人生100年時代と言うようになったのはごく最近だと思いますから、そういった意味では卒後のリカレント教育であったり、OJT以外の系統立っての学習機会の場もふえているのではないかと思っております。その中で、教育課程が2年、3年、4年とありますけれども、20歳前後で卒業された時点でどういう方が必要かという議論で、最終的なゴールに向かってどういうベクトルづけをするかというところが重要だと思います。期待されるところが一体何歳あるいはどれくらい経験された後に到達できるかという視点で議論していただければ、この基礎教育というところがしっかり見えてくるかなと思います。期待される分野が多いだけにその整理は非常に難しいと思いますが、そういう視点で全体のバランスをとっていただければ、わかりやすいかと思って意見を述べさせていただきました。

〇遠藤座長 ありがとうございました。

 春山構成員、お待たせしました。

〇春山構成員 今の事務局の御説明ですと、卒業時の到達目標と技術項目も見直すと認識いたしましたけれども、それも踏まえて、今あるものがどうなのか、そして、今後の少子・多死社会かつ人口減少社会を考えたときにどの辺を強化するのか、それから、前回から出ております生活の場も多様化していて、そこで対応できる知識やスキルが、今の到達目標では足りない部分はどこであるのか。先ほど皆様方が重要とお話しされていた部分で、既に到達目標の中に入っている部分、入っていない部分というのがあるかと思うので、そのように議論を進めていったほうがいいのかなと思いました。

 あと、先ほど池西構成員からお話があった領域横断の柔軟なカリキュラムは、「()教育内容について」の箱の中に入っているのですけれども、教育方法ではないかと。つまり、今の指定規則の教育内容の項目を領域横断の項目にするということでなければ教育方法であると思いますし、池西構成員がお示しいただいた教育方法は1つの例ですし、何のためにといったときに前回の議論を踏まえますと、これからは継続性・包括性ということが求められてくる中で、この領域横断という話もあったと思います。ですから、方法論が先ではなく、何のための力が必要であって、そのために次のところに入ります教育方法として領域横断という考え方での教育展開も必要であるかないかという話になるのかなと思いました。

 以上です。

〇遠藤座長 ありがとうございました。

 池西構成員どうぞ。

〇池西構成員 今、領域横断のカリキュラムというところで私が御説明した分につきましては内容だと理解するのですが。方法論ではなく、どういう内容、つまり、周手術期と看護を教えなければいけないと理解するので、内容ではないかと思いますが。

〇遠藤座長 春山構成員どうぞ。

〇春山構成員 ですから、両方の考え方があるのかなと思いました。内容というと、まずどういう内容を教える必要、今の指定規則等々の内容で不足している部分、今の切り口ではいけない部分がどこであるのかという議論になると思いますし、今の内容でいいのだけれども、方法を柔軟にすることによって対応していけるという、内容と方法と私は両方あるのかなと思っています。

〇遠藤座長 ありがとうございます。

 大体よろしゅうございますか。井村構成員どうぞ。

〇井村構成員 ちょっと戻ってしまいますけれども、今回の我々に課せられているミッションの中で、教育の内容と先ほど出ました技術項目もあわせてということが議論の対象であると御説明いただきました。実態を調べるということと、ワーキングの中で検討して、こちらにも出していただくという御説明だったのですが、そのような理解でよろしいのかということ。

 それから、親会議とワーキングの進め方の大枠については、私がこの立場で言う筋合いではないのかもしれませんけれども、到達目標や技術到達度は教育内容それ自体の検討にあたると思いますので、それが親会議に先に出されなくてよろしいのかなという疑問を持ったのですが、私の理解が違っていたら、御説明をよろしくお願いします。

〇遠藤座長 事務局お願いします。

〇関根教育体制推進官 ありがとうございます。それは御指示いただいたとおり、本検討会でまず、ということであれば本検討会に先に出させていただいて、その後ワーキングに提示するということも可能です。

〇島田看護課長 先生の御意見の御趣旨は十分に理解いたしました。座長から冒頭御説明がありましたように、この検討会での議論の継続性の観点からワーキングの御議論にも参加いただく先生方も複数いらっしゃいますので、検討会で御議論いただいた範囲を、もしワーキングがそこからちょっと外れそうとか、さらなる課題などが出てきたときには検討会にお戻しして、先ほどキャッチボールさせていただくと申し上げましたけれども、双方でのやりとりをさせていただきながら議論を進めていきたいと思っております。

 ただ、先生方皆さんお忙しいので、日程的に若干前後したり、本日これから検討会の今後のスケジュールも御説明させていただきますけれども、あまり後ろ倒しにできないという実情もございますので、そのあたりは若干の前後はさせていただくところもあるかと思いますけれども、基本、検討会での御議論をワーキングにおろして、ワーキングでの御議論を検討会にお戻しするという形ではやっていきたいと思っておりますが、そういった御理解をしていただけますでしょうか。

〇遠藤座長 ありがとうございます。そういうような制約条件もありますので、お互い情報をやりとりしながら進めるということで、順番についてはある程度、制約条件の中でベストな方法で考えさせていただきたいということでよろしゅうございますか。

 どうぞ。

〇井伊構成員 それで致し方なく結構なのですけれども、それにしても、ワーキングはどういう方向性でそれぞれの検討をやるのかというのは、事前に確認の必要があると思いますので、ワーキングをスタートする前に、私どもにもどの方向でワーキングはとりかかるのかというのは教えていただきたいと思います。

〇遠藤座長 どの方向でというのは内容ということですか。今、方向性の議論は一応しているわけですが。

〇井伊構成員 私はもう意見は申し上げましたけれども、到達目標につきましても、それから、この教育内容につきましても、領域横断などの柔軟なカリキュラムなどをこれからいろいろ検討していくというのは賛成なのですけれども、それだけではないと思いますのでここに「等」を入れてほしいと申し上げました。それは反映していただけるのかということです。

〇遠藤座長 わかりました。まさに検討の方向についての議論で、今いろいろな御意見も出ましたので、ほかにも御意見があれば承りますが、それらも踏まえて事務局と整理させていただいて、これもまたそういう意味では座長預かりにさせていただいて、皆様に恐らくはお見せするという形になって、また新たに議論するということではないかもしれませんが、ワーキングでそのベースで議論して、それをまたフィードバックした形でこちらで御意見をいただくということになるかと思いますが、事務局そういうことでいいでしょうか。私もよくわからなくなってきました。

〇関根教育体制推進官 その方向でよろしいかと思っております。

 ただいま御意見をいただきましたように、教育内容と方法はかなり密接しておりまして、今回形式上()()とで分けさせていただいたものの、先ほど春山構成員からおっしゃっていただいたように、また、領域横断1つとっても内容と方法とで重なってくる部分がございますので、ここはまとめる段階で「内容・方法」みたいな形で1つにまとめる等の工夫をさせていただければと思っております。

 加えて、波線の中身をこの位置に置かせていただいております理由が、冒頭に井伊構成員から御意見いただいたところですけれども、我々としては指定規則を念頭に置いております。その指定規則が示しているものが教育の内容、何学何単位ということになりますので、そういった意味で、教育内容のところに置かせていただいたという背景がございます。

○遠藤座長 井伊構成員どうぞ。

〇井伊構成員 確認ですけれども、そういたしますと、指定規則上の教育内容の枠組みは維持すると書いていますが、97単位という単位数も縛っているという前提なのでしょうか。

〇関根教育体制推進官 いいえ、枠組みというのは、例えば、池西構成員の資料で見ていただきますと、資料2の2ページ目に指定規則の別表が載っておりますが、今私が申し上げた枠組みというのは、教育内容の部分になります。ですので、今、私は単位のことも申し上げてしまいましたけれども、厳密に言うと別表右側の単位数は含まれずに、枠組みといったときには別表の左側、教育内容の部分のみを指すことになります。

〇遠藤座長 よろしいですか。村嶋構成員どうぞ。

〇村嶋構成員 済みません、よくわからなかったのですけれども、今の資料2の2ページの教育内容の内容も充実させる、そして、その内容によって97も縛るものではないということですね。

〇関根教育体制推進官 単位数を縛る、縛らないの話はしておりませんで、今、私が申し上げたのは、波線の中の教育内容の枠組みと書かせていただいたものが何を指すのかという説明でしたが、それは資料2の別表にあります教育内容を指しているということです。

〇村嶋構成員 わかりました。今の単位数に縛られるものではないと。

〇関根教育体制推進官 単位数の話は今、しておりません。

〇村嶋構成員 わかりました。

 もう一つ、私どもの大学は4年間で看護師教育をしております。そうすると、かなり技術の演習に力を入れることができて、卒業時の到達度は上がっております。先ほど4年間かけて教育し、評価もしているという学校がございましたし、看護技術をどういうふうに上げていけばいいのか、就職したときにリアリティーショックをどうやって軽減するのか、就職したけれども1年目で退職してしまうような看護師をどう防御ぐかという意味で、看護技術の到達度をきちんと知り、それをどう向上させていくかが非常に大事だと思います。親検討会でも、看護技術についてきちんと議論していただきたいと思います。

〇遠藤座長 福島構成員どうぞ。

〇福島構成員 今のことに加えまして、先ほど私も看護技術と申し上げたのですけれども、先ほどの「2.検討上の留意事項」の「将来を担う看護師に求められる能力として」という能力強化のa~jは、ほかの医療、福祉、介護職であっても同じ内容になるのではないか。具体的には、教育の中でもっと細かく出てくると思いますけれども、この文言だけを見ると、ほかのところも同じように言っているということは一つつけ加えて言わせていただきたいと思います。

〇遠藤座長 ありがとうございます。

 いろいろと御意見がありましたけれども、先ほど事務局からのお話も若干ありましたが、見直しの方向性と、これからやろうとしております3番目でございますが、ワーキンググループにおける検討上の留意事項とは何かというのと、ある程度関連しているところもあるかなと思いますので、そちらに話を移したいと思います。

 まずは、3ページと4ページにあります「()卒業時の到達目標について」「()教育内容について」ということで1・2があると。それから「()教育方法について」ということですけれども、これについて御意見・御質問をいただきたいと思います。到達目標については既に相当議論がされたわけですが、まずは「()卒業時の到達目標について」、何か御意見があればいただきたいと思います。先ほどかなり出ておりましたけれども、重複しても結構でございます。

 山口構成員どうぞ。

〇山口構成員 4ページの「()教育方法について」は、先ほどの中に含まれていたのでしょうか。先ほどから順番にいっていて、教育内容についての議論を今までしていたのかなと私は思っていたのですが。

〇遠藤座長 そうです、含まれていません。

〇山口構成員 「()教育方法について」は。

〇遠藤座長 これから議論します、()()()の順番でやっていきます。したがって、まず()の到達目標について、いかがでございましょうか。先ほどもいろいろと御意見も出たと思いますので、その御意見でよろしいでしょうか。

 井村構成員どうぞ。

〇井村構成員 先ほど井伊構成員もおっしゃいましたけれども、平成21年の教育内容や到達度より低くてよろしいわけはないというところは重く受け止めております。特に、実践能力に関しましては、実践力を上げるということが、このたびのカリキュラム改正の重要なところであろうと考えますので、よろしくお願いいたします。

〇遠藤座長 ありがとうございます。

 ほかによろしゅうございますか。山田構成員どうぞ。

〇山田構成員 到達目標についてですが、先ほど来の皆様の御意見を聞いていると、これから看護学校を卒業する人々に多大なる期待を寄せ、先輩ナースもできていないこともできるようになって卒業しろというのは、なかなか厳しいのではないかと思いますので、一概に全てアップということではなく、絞り込んだものをできるようになるという考え方も必要ではないかと思いました。

 それから、実習の中で見学にとどまっている例が多いということが起こっておりまして、実習を受けている施設の看護師たち、訪問看護ステーションの看護師たちに聞きますと、例えば、やっていいですよと学生に言っても、いや、先生からやるなと言われたのでというような学生の声が非常に多いというのがとても気になっています。技術の到達レベルを上げるとしても、そういった現場の指導体制と実習指導者側のやらせない、あるいは学校側のやらせないというような状況も解決しながらでないと、学生たちだけにできるようになれと言っても無理なのかなと思いました。

〇遠藤座長 どうもありがとうございます。

 藤田構成員どうぞ。

〇藤田構成員 3年課程の現場で起こっていることは、実は母性・小児の実習場所が非常に狭まっているという現実があります。この状況でその科目を現在のレベルに持っていくということは非常に困難な目標だなと感じております。そこで、3年課程のいろいろな学校さんからの要望として聞いておりますのが、母性・小児を合体したような形の単位制に減らしていただければ、もう少し学校サイドの実習のあり方がやりやすいという現実も踏まえた上での話し合いでなければいけないのではないかとも考えております。

 また、基礎のレベルで果たして今の実習が意味ある内容になっているのかどうかというのが問題で、臨地実習を意味ある経験としていくためには、やはりベースとしての基礎、非常に重要な教育内容をきちんと踏まえさせなければいけないのではないかと考えておりますので、その辺も話し合っていただければ大変ありがたいと思います。

〇遠藤座長 ありがとうございました。

 ほかにございますか。井村構成員どうぞ。

〇井村構成員 解決策を御提示できはしませんが、今ちょうど母性・小児ということがありましたので発言させていただきます。確かに少子化の中で、かつてのような潤沢なお産や妊婦さんに出会えないということはあると思いますので、それは本当に苦慮しているところと認識しております。御提案として今、母性・小児を一緒にということがありましたが、それも一つの解決策かもしれませんけれども、母性や小児は少ないから少なく学んでいいということでもないと思いますので、やはり教育はきちんと水準を保つということと、学内の演習で学べることと、リアリティーのある現地・臨地でしか学べないことをきちんと学ばせるという教員の側、教育側の教育の整理が必要なのだろうと思うことが1点です。

 あと、助産師の教育に関してはこれから議論するということですが、基礎の教育、看護師の教育の後に助産師教育・保健師教育が行われることを前提とした日本の法律のつくり込みですので、看護教育が低下することがすなわち次に行われる教育の質低下に直接的につながってくるというのが助産師教育の抱えている大きな課題でもあります。この場で本当は発言するべきではないかもしれませんけれども、連動することとしては今ぜひ発言させていただきたいと思いました。御検討よろしくお願いします。

〇遠藤座長 藤田構成員どうぞ。

〇藤田構成員 今の井村構成員の発言を受けまして、現場で私も教育内容を低下させるというのは問題だなと思うのですが、現実問題として対象が減少している中で、大学と養成所が実習場を奪い合っているという現象が起きているように思われます。その現状を踏まえて、例えば、臨地実習科目としてどのようなレベルにするかというのは、また助産師教育などに関係するとは思いますけれども、現実的なところで大きな問題になっていることは解決していかねばならないことだと考えています。

〇井村構成員 その認識も強く持っております。

〇遠藤座長 ほかにございますか。

 それでは「()教育内容について」、1・2がございますけれども、留意事項ということで事務局が整理しているわけですが、これについて何かコメントはございますか。

 中島構成員どうぞ。

〇中島構成員 私からは、専門基礎分野の特定行為研修の共通科目、臨床推論、フィジカルアセスメント、臨床薬理学等の一部を含める必要性というところでお話ししたいと思います。

 現在、在宅で働いていますと、いわゆる職能IIの領域には看護職員の配置基準が、看護師1人以上もしくは看護師の配置も言われていないような施設もたくさんあります。また、例えば障害児施設、障害者施設等にも看護職員が配置されていますが、ここでも今いろいろと問題がありまして、例えば、発達障害で走り回ってしまうような方が、この間がんで病院に入院したときに治療ができないということで、首以外のほとんどの部分をベッドにくくりつけられて治療を受けたと。お母様から施設に連絡がありまして、あれではとてもつらくて見ていられないということで、その子は亡くなるような御病気だったのですけれども、施設で看取ることになって、その施設には准看護師さんしかいらっしゃらなくて、結局、訪問看護にも指示書が出ませんでしたので、私のほうで電話で何度も何度も相談を受けて何とかなったというケースもあります。そういうふうに、いわゆる福祉や職能IIの領域に対する看護師の配置基準が少ないので、1人で対応する場面が非常にある状況にあります。ですので、特定行為の研修の臨床推論やフィジカルアセスメントは、基礎教育のうちから勉強していただけるといいのかなと思っています。

 病院に行くとフィジカルアセスメントができるようになるとか、臨床推論能力が上がるともしかしたら思われるかもしれませんが、実際に地域で働いていると、病院から就職してくる看護師さん、もしくは病院から出向として3カ月とか6カ月看護師さんを預かって育てたこともあるのですけれども、ほとんどの方が特にハイケアユニットとかICUなどで働いていらっしゃいますと、4年目の方が来ても血圧一つ満足にはかれないというような状況になっていますので、基礎教育できちんと学んでいただいて、今後は病院よりも地域で働く看護師もふえてくる可能性もあると思いますので、ぜひ、そこは御一考いただけるといいかなと思います。

 以上です。

〇遠藤座長 どうもありがとうございました。

 ほかに何かございますか。木澤構成員、お願いいたします。

〇木澤構成員 私も、専門基礎分野に臨床推論、フィジカルアセスメントは必須だと思います。今後は、卒後すぐに在宅の訪問看護師として働く看護師も多くなっていくような方向になっていくと思います。先ほど中島構成員がおっしゃったように、私どもは大学病院ですけれども、電子カルテの功罪といいますか、そちらにかかりきりになってしまって、直接患者さんの全体像を見る機会が非常に少なくなっているということがあると思います。経験から学ぶという機会がすごく少なくなっていると思うので、そういったところでは基礎教育の中で経験から学んで何を感じ取ってきたかということを大切にするような教育も必要かと思います。

 以上です。

〇遠藤座長 どうもありがとうございます。

 それでは、安藝構成員どうぞ。

〇安藝構成員 特定行為の研修に結構かかわらせていただきまして、慢性期のほうでかかわっておりますので、臨床推論とフィジカルアセスメントについてはきちんと学ぶことが大事かなと思います。アセスメント能力が低いなというところが現場でもかなりあると考えます。

 それから、現場で実習しておりまして、こういうことも、ああいうこともやったらいいのではないかとこちらが思うことも結構あります。ただ、そういったときに、実習についてきている先生から、そういったことはまだやらなくていいので、そばにいるだけでいいですといったことも結構あるんです。そうなりますと、2に「免許取得前に習得すべきもの及び到達すべき水準を十分に吟味し検討する」とありまして、免許を取得する前に実習に出るわけですけれども、そのときにどういったものを学ぶのか。もちろん話し合いなどをしながら提示していただくのですけれども、その辺の打ち合わせ等がきちんとできれば、もう少し現場の中からでもいろいろ学んでいただくものをふやすことができるのではないかと思っております。

 もう一つは、どうしても縦割りの形になりますと、急性期は急性期で学ぶとなってしまいますので、その対象者をずっと見ることはできなくても、在宅から在宅まで、在宅から入院します、外来、外来から病棟、病棟からまた在宅に戻る、また療養病院に行く、施設に行くといったつながりで患者さんをとらえるというところを、最初の議論になると思いますけれども、入れていくことが大事かなと思いました。

 以上です。

〇遠藤座長 ありがとうございます。

 福島構成員どうぞ。

〇福島構成員 先ほど、母性看護の実習場所のお話も出ましたけれども、高齢だけではなくて、本当に地域包括の視点を全ての領域に入れて、病院や施設での実習だけではなくて、本当に幅広く地域の中の、例えばNPOとか住民活動の実践の中に入って母子についての学びを深めていくという発想も必要なのではないかと思います。地域包括の視点を全部に入れていただければと思います。

〇遠藤座長 ありがとうございます。

 ほかによろしゅうございますか。菱沼構成員、お願いいたします。

〇菱沼構成員 ただいまの御意見と非常に似ているのですけれども、実習のやり方をかなり変えていかないと、今の看護教育全体の課題が実習に集約されているのではないかと思います。全ての領域を2単位ぐらいで勉強しようというのが今の指定規則でございますけれども、そうしますと、学生たちは2週間知らないところで、知らない環境、知らないナース、知らない患者さんでやって、場になれたと思うと次の実習場に移動するいとうことをせざるを得ないわけです。そこをもう少し長く1つのところでやれるような実習の柔軟性というのを、ぜひ取り入れていただきたいということ。

 それから、実習場に指導者がいなければいけないという形ではなく、先ほど出ましたようないろいろな看護が活動するさまざまな場面がこれから広がっていくと、広がっているところに出ていく学生を育てるときに、今そこがないからできないというのではなく、そういうところにも行って一体どんなニードがあるのか、何を求められているのかを勉強してくるという実習のあり方もありではないかと思うので、そのあたりの実習場の考え方をもう一度見直していただけるとありがたいと思っております。

〇遠藤座長 ありがとうございます。

 村嶋構成員どうぞ。

〇村嶋構成員 今の延長線かもしれませんが、私どもの大学は4年間の看護師教育の中で予防的家庭訪問実習を入れまして、1~4年生のチームで地元の高齢の協力者さんのところに年間4回以上訪問するということをやっております。そうするとと、協力者さんの健康上の問題を見出したり、普通の暮らしそのもの、その人の暮らしがどう成り立っているかを見たり、普通の暮らしのイメージができますので、病棟実習したときもその人の帰っていく先をイメージできるという利点があります。

 ただ、指導者は大学の中だけにいて、その人のところにいるわけではありません。今までの看護実習の枠からは外れておりまして、厚労省、文科省からの実習の内容に関する調査があっても、施設に行くわけではないので、施設での実習の概念から外れております。ただ、普通の暮らしを見るとか、病棟に実習に行ったときに、その人の帰っていく行き先についてイメージするということ、それから、その人の生き様、人生を振り返って考えていくということにはとても役立つようでございまして、暮らしを見るという実習の1つのあり方ではないかと思ったので発言させていただきました。

〇遠藤座長 ありがとうございました。

 中島構成員どうぞ。

〇中島構成員 お時間がないのに済みません。小児の実習場所についてなのですが、私どものステーションでは支援学校に学生を連れていったり、あとはデイサービスなどにも連れていっています。障害のある方々なのですけれども、例えば、病棟として違って必ず人員がいるというところと、大抵お母様方が自分たちのことを看護学生さんにわかってほしいということで、案外デイサービスなどでも協力的なところがあるので、実習先の一つとして考慮していただけるといいのかなと思います。

〇遠藤座長 ありがとうございます。

 もう既に()教育方法の実習に入ってしまっておりますので、実際には分けて議論するのはなかなか難しいわけでございますので、戻っていただいても結構ですが、()教育方法、1講義、2演習、3実習について御意見をいただければと思います。

 まず、山口構成員どうぞ。

〇山口構成員 特に私は、ワーキングでコミュニケーション能力のことについて、具体的に話し合っていただきたいと思っています。非常に基本的なことをここで言っていいのかどうかわからないのですけれども、卒業した段階で患者としっかり会話の出来る日本語能力を築いていただきたい。会話が成り立たないことがとても多いんです。ですので、そういう基本的なことがまず1つ。

 それから、コミュニケーション能力ということでいうと、実践的な教育方法である模擬患者を用いたコミュニケーション能力の訓練をぜひそろそろ看護の分野でも話し合っていただきたいと思っています。

 実は、私たちのグループでも模擬患者の活動を始めて25年以上になっておりまして、看護学校などにも派遣することはございます。ただ、最近ちょっと気になるのが、模擬患者をきちんと理解していない教員の方が多くて、シミュレーション教育の人間版みたいなことで、コミュニケーションではないところで模擬患者を使うということを考えている方が結構いらっしゃるので、そうではなくて、本来の模擬患者の役割はコミュニケーション能力を高めるための相手役、そこで模擬患者の中にも2つ種類があって、シミュレーテッド・ペイシェントという、本当に症状を持ってきちんとフィードバックができるようなコミュニケーション能力を養成する模擬患者と、試験のための標準化されたスタンダダイズド・ペイシェントというOSCEの医療面接のための模擬患者というのがあります。医学部、歯学部、薬学部ではOSCEが中心になっています。確かに、全体のボトムアップにはコミュニケーション能力がつながっていますが、非常にマニュアル的なコミュニケーション能力しか養えないところもございますので、そのあたりをしっかり吟味しながら、実践的なコミュニケーション能力を高めるためにはどうすればいいかということを、ぜひワーキングの中で話し合っていただきたいと思っています。

 最後に、先ほどから出てきています実習の話ですけれども、前回も申し上げたと思いますが、今、医学部ではかなり参加型の実習が必要だと言われて、カリキュラムがどんどん改定されている中で、時間を長くしてくださいと申し上げるつもりはございませんけれども、先ほどから学校がやるなという実習ではなくて、本当に実践的な能力が身につくような実習をぜひしていただきたい。患者としては、1年目の方が夜勤をされ始めるころの夜の不安なことといったらないのです。今日は新人さんが夜勤だから、絶対にぐあいを悪くしてはいけないと患者としては考えるわけです。そのあたりがそうではなくて、実習である程度の能力を養っていただくということを、ぜひワーキングの中で考えていただきたいと思います。

 以上です。

〇遠藤座長 ありがとうございました。

 お待たせしました、山田構成員どうぞ。

〇山田構成員 現在、教育方法については1・2・3にあるように、講義、演習、実習なのですが、ここにも「b.アクティブラーニング等の」とありまして、アクティブラーニングはどこの養成校でも大学でも求められている教育方法なのですが、そうなると、講義と演習の区別がつかなくなってきてしまっているので、これをそれぞれ講義は何時間、演習何時間と定義すること自体がナンセンスになってきているように思うので、ここを例えば講義・演習合わせて何時間みたいな提示の仕方も検討すべきかと思っています。

 以上です。

〇遠藤座長 ありがとうございます。

 ほかにございますか。井村構成員どうぞ。

〇井村構成員 先ほどの話に少し戻るのですけれども、カリキュラムをつくるときに、例えば、今本学で行っているのが母性の2単位の実習と、地域の1単位の実習も母性で担当し、病棟や多様な地域での活動を連動させた統合型実習として運用しております。そういうこともどんどん行っていくとよいと思いますが、ワーキングの方にお願いするときのカリキュラムのつくり込みとして、母性など従来型の領域枠組みを維持する方向性であるのか、科目で言えば池西構成員が御提示くださったような領域を幾つか統合したようなつくり込みのカリキュラムを想定したらいいのか、それとも、もともとの枠組みは変わらず、領域にひもづいている実習だけれども、運用を柔軟にお願いしますというつくり込みをワーキングの方にお願いするのかというあたりは、どう考えたらよろしいのかと思いました。

〇遠藤座長 今の御質問に対する事務局からのコメントはありますか。

〇関根教育体制推進官 基本的な枠組みは維持するということで、例えば先ほどの領域横断カリキュラムのお話なども、運用面で実際にどうするかといったことになってくるかと思います。例えば看護学という枠組みではなく、健康状態別に変える、あるいは、科目を丸々全部なくすようなことではない形、すなわち基本の枠組みは崩さない範囲で検討していただくということになります。ただ、本当に必要なもので何か追加したほうがいい科目があれば、専門分野であれば○○看護学、そのような追加はもちろんあり得るとは思いますけれども、基本のベースは指定規則の別表の教育内容の枠組みになりますということです。ただ、運用面で領域横断カリキュラムのようなものが導入できるのであれば、そういった工夫でも全てのところがやるかどうかは別ですけれども、一つの運用方法の工夫として提示するのはありという考え方になっております。

〇島田看護課長 追加で説明させていただきます。池西構成員の資料2の2ページに指定規則の枠組みがございまして、これは先ほどからご覧いただいているところですが、池西構成員からも御説明がありましたが、現在でも指定規則に示された教育内容の通り科目立てをしてカリキュラムを立てていただかなくてはいけないとなっているわけではなくて、現在も柔軟に複数の教育内容を合わせて教授することが可能になっております。ただ、その中で、前回第1回でも御議論いただきましたけれども、成人看護学、老年看護学といった科目立てのカリキュラムで教えていらっしゃるところが多くあるという現実の中で、そういった科目立てでの教育にはなかなか限界がある、あるいは今後の看護師に身につけていただく能力を培うための教育と考えますと、そこではちょっと無理があるのではないかというのが前回の御意見でございましたので、さらに領域横断なり複数の教育内容を合わせて教授するという方法で、各養成所で進めていただけるような方策はないのかといったことを、ぜひワーキングで御議論いただきたいという趣旨で、この波線で囲んでおりますように、教育内容の枠組みは維持しつつ、柔軟なカリキュラムのあり方について一定の方向性を示していただきたいということを、ワーキングで作業をお願いしたいという趣旨でございまして、指定規則上の教育内容を何々看護学というものを見直すことになりますと、これは大学もこの指定規則にのっとって教育していただいている前提がございますので、全ての教育機関でこれを踏襲していただくことになるので、そこまでのことをする必要があるのか、それとも教育上の工夫で各養成所の柔軟なお取り組みに資するものを提示するということで、ワーキングで御議論いただくということではどうかといったことを御議論いただきたいという趣旨で案をお示ししているところでございます。

〇遠藤座長 ありがとうございます。

 木村構成員どうぞ。

〇木村構成員 少し広い立場から意見を言わせていただきたいのですが、先ほどからここのレジュメでもアクティブラーニングという言葉が前提みたいな話になっているわけですけれども、例えば、文科省の方もいらっしゃっていますが、かなり限定的にアクティブラーニングという言葉を使うようになっています。実際に、「主体的 ・対話的で深い学び」というふうにリーガルな場面では言い換えて、限定的な定義を行っています。

 ここで申し上げたいのは、そういう細かなことではなくて、教育の経験の中で、経験的な学習、なるべく子どもの意見とか、子どもにものを発見させるとか、問題を解決させるという経験というのは、日本の社会の中でかなり蓄積があり、そのなかでさまざまな反省が加えられてきました。大きな課題としては、活動ということ自体が目的となってしまうことです。活動がうまく活性化して何かがそれぞれ見つけられれば、それで成功という形で終わってきたということが日本の教育の展開の中で指摘され、それをどうするのかというのが大きいな問題となってきたことがあります。

 それを踏まえて、今の議論は、やはり評価をきちんとするということが重要なポイントだと思います。ですから、目的との関係で活動自体を評価する試み、パフォーマンス評価とかオーセンティックな評価、あるいは具体的な評価基準としてルーブリックというものをどう位置づけるのかといった教育評価の問題が、アクティブラーニングというものを位置づける上で重要なポイントになると思います。つまり、生きたかたちでの力量がどういう形でついたのかということを、具体的な評価項目に照らして位置づけるという作業をして、確実にトータルな力をつけることを示していけるような議論を含めていっていただきたいと思います。

 以上です。

〇遠藤座長 ありがとうございました。

 予定していた時間になってしまいまして、大体御意見は出たかなと思いますので、これもかなり多様な御意見が出ましたので、先ほどの2・3につきましても座長預かりという形にさせていただきまして、事務局と相談して修文させていただきたいと思いますので、そのような対応でよろしゅうございますか。

 井伊構成員どうぞ。

〇井伊構成員 致し方なくそうせざるを得ないということだと思うのですが、座長預かりとなり、ワーキングが進んで、すっかりとまりまとってから検討会に報告されるというのでは、何のための検討会かと思います。先ほど看護課からもキャッチボールするとか、行ったり来たりの話もちょっとありましたけれども、少なくとも実習についてもそうですが、これまでのところでどのような方向だから、ワーキングにはこういう観点で検討してもらうように、この検討会で共有させていただきたいと思います。

〇遠藤座長 わかりました。そのことと関連して、今後の本検討会とワーキンググループがどういう関係で進んでいくのかについて、事務局が案を出しておりますので、その説明をさせていただきたいと思いますので、事務局、説明をお願いします。

〇関根教育体制推進官 資料3をご覧ください。本日の第2回検討会を経て、看護師のワーキンググループをまず開催させていただき、その後、第3回以降の検討会で、残る保健師、助産師、准看護師のワーキンググループにおける検討事項を御議論いただいた上で、検討状況に応じまして順次各ワーキンググループを開催させていただく予定です。

 各ワーキンググループにおいて検討いただいた内容は、表にも矢印が左側に出ておりますけれども、検討会にこのような形で御報告し、意見をもらって、またそれをワーキングで修正してというやりとりを行いながら作業を進めたいと思っております。

 そして、各ワーキンググループのとりまとめを年明け頃までに行いまして、検討会の最終とりまとめを夏頃までに終えられれば、必要な諸手続を経まして、2022年度から改正省令を適用した教育を開始できるというスケジュールとなっております。

 以上でございます。

〇遠藤座長 ありがとうございました。

 この流れについて何か御質問・御意見あれば承りたいと思います。前田構成員どうぞ。

〇前田構成員 蛇足かもしれませんが、事務局に確認です。この検討会に2回参加させていただいたのですが、非常に意見が多い会なので、一般的にワーキンググループをつくる会議ですと、1回やってワーキンググループで結論まで出して2回目をやるというパターンの検討会もありますけれども、この会議は意見が多いことを踏まえると、第1回と第2回は1カ月間隔でやっていただいていることも踏まえますと、ワーキンググループの動きも中間的にこういう状況になっていますということをお話しいただきながら検討会も進めるし、今日資料1はあくまでワーキンググループの検討事項という形で、ある意味縛りをかけておかないとワーキンググループでどういう議論になるかわからないので、検討会からこういう話があった、意見があったということをまとめたものかなと思います。そういった進め方で、また近いうちに開催していただけるという理解でよろしいでしょうか。

〇遠藤座長 事務局からコメントをお願いします。

〇関根教育体制推進官 そのとおりでございます。

〇遠藤座長 それでは、お待たせしました、春山構成員どうぞ。

〇春山構成員 報告書骨子案、報告書案のあたりで、パブリックコメントを求めるとかそういう予定はあるのでしょうか。

〇関根教育体制推進官 報告書自体でそういったものを求めるというよりも、その後の改正する省令案ができたときにパブリックコメントをかけるということになります。報告書自体をパブリックコメントにかけることは想定しておりません。

〇春山構成員 省令改正の前にということでよろしいですか。

〇関根教育体制推進官 はい。

〇遠藤座長 ほかにございますか。よろしゅうございますか。

 どうもありがとうございました。それでは、このような進め方にさせていただきたいと思います。

 では、事務局から、最後に連絡事項があればお伝えください。

〇関根教育体制推進官 第3回検討会は、現在日程調整中ですので、構成員の皆様方には改めて御連絡させていただきます。

以上でございます。

○遠藤座長 それでは、皆様どうもありがとうございました。司会の不手際で予定時間を少しオーバーしてしまいました。申しわけございませんでした。今後ともよろしくお願いいたします。

 

(了)

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