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2018年10月10日 第114回社会保障審議会医療保険部会議事録

○日時

平成30年10月10日(水)16:00~17:57

○場所

全国都市会館 大ホール

○議題

1.平成31年度予算概算要求等(報告)
2.経済・財政再生計画改革工程表等における医療保険関係の主な検討項目
3.新規医薬品等の保険収載の考え方について
4.平成29年度の医療費・調剤医療費の動向(報告)
5.その他

○議事

○遠藤部会長 それでは、定刻になりましたので、ただいまより、第114回「医療保険部会」を開催いたします。
委員の皆様におかれましては、御多忙の折、お集まりいただきまして、どうもありがとうございます。
まず、委員の異動がありましたので、御紹介させていただきます。
渡邊廣吉委員が退任されまして、新たに、全国町村会理事、宮城県蔵王町長、村上英人委員が就任されております。
○村上委員 よろしくお願いいたします。
○遠藤部会長 よろしくお願いします。
次に、本日の委員の出欠状況について申し上げます。本日は、岡崎委員、尾崎委員、樋口委員、望月委員、南部委員より御欠席の御連絡をいただいております。
続きまして、欠席委員のかわりに出席される方についてお諮りをいたします。
尾崎委員の代理といたしまして家保参考人、樋口委員の代理として新井参考人、南部委員の代理として伊藤参考人。お三方の御出席について、御承認をいただければと思いますけれども、よろしゅうございますか。
(「異議なし」と声あり)
○遠藤部会長 ありがとうございます。
次に、前回の医療保険部会開催以降、事務局に人事異動がございましたので、事務局から紹介をお願いいたします。
○鹿沼課長 保険局の総務課長を拝命させていただきました鹿沼でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、紹介させていただきます。
保険局長の樽見でございます。
大臣官房審議官(医療介護連携担当)の山本でございます。
国民健康保険課長の野村でございます。
高齢者医療課長の込山でございます。
医療介護連携政策課長の宮崎でございます。
医療介護連携政策課保険データ企画室長の高木でございます。
医療介護連携政策課医療費適正化対策推進室長の廣瀬でございます。
医療課長の森光でございます。
医療課保険医療企画調整室長の樋口でございます。
医療課薬剤管理官の田宮でございます。
医療保険制度改革推進官の原田でございます。
以上です。
○遠藤部会長 よろしくお願いいたします。
それでは、議事に入らせていただきます。
本日の議題は、まず報告事項といたしまして「平成31年度予算概算要求等」と「平成29年度の医療費・調剤医療費の動向」がございます。また、審議事項といたしまして「経済・財政再生計画改革工程表等における医療保険関係の主な検討項目」及び「新規医薬品等の保険収載の考え方について」の2件でございます。
初めに「平成31年度予算概算要求等」及び「経済・財政再生計画改革工程表等における医療保険関係の主な検討項目」の2つを議題といたします。
それでは、事務局から資料の説明をお願いします。
○鹿沼課長 資料の説明に入ります前に、1つだけ御注意を申し上げます。厚生労働省のほうでは、ペーパーレス化で会議を進めるというふうになっておりまして、本日の医療保険部会からペーパーレスで行いたいと思っております。
各委員の皆様方の席上にそれぞれタブレットを設置しております。仮に操作方法等について、わからない点がありましたら、サポートとなる職員をそれぞれ角に3名配置しておりますので、お声がけをいただければと思います。また、会場の皆さんもいらっしゃいますので、あちらのほうにもそれぞれプロジェクターのほうで出させていただきます。
それでは、資料1、資料2について説明をさせていただきます。
まず、予算の概算要求の主な事項ということでございます。
4番のところになりますが、資料1の1ページ「平成31年度予算概算要求(保険局関係)の主な事項」であります。
まず、各医療保険制度などに関する医療費国庫負担ということで、ここ最近の医療費の動向は後ほど、また御説明させていただきますが、平成27年度は3.8%増、平成28年度は▲0.5%、平成29年度は2.3%ということで、平均して2%ぐらいの伸びになっているところでございますが、平成31年度の概算要求につきましては2.1%増ということで11兆7228億円の予算を要求させていただいております。
また、被用者保険への財政支援、これまでもやっておりました拠出金等の負担の軽減による支援のほかに、新規予算としまして、2ページ目でございますが、健康保険組合の財政基盤の強化に向けた支援ということで31億円を積んでおります。財政悪化等の理由から解散を選択する健康保険組合が最近生じておりますので、そういった状況を踏まえ、財政基盤の強化が必要と考えられる組合に対しまして、新たな相談・助言体制を構築するとともに、組合の行う財政健全化に向けた取り組みを支援するということでございます。
続きまして、医療等分野におけるICTの利活用の促進でございます。
まずマル1でありますが、2020年度からの本格運用を目指すということで、医療保険のオンライン資格確認等システムの導入。これに向けた本格的なシステム開発に必要な予算ということで312億円、平成30年度と比べまして7倍増の予算を要求させていただいております。
また、データヘルス分析関連サービスの構築ということで「保健医療データプラットフォーム」構築に向けまして、レセプト情報、特定健診等のそういったNDBや介護保険総合データベースなど、さまざまなデータベースで保有する情報を連結するということで、19億円の予算を要求させていただいております。
続きまして、3ページ目でございます。健康寿命の延伸に向けた予防・健康づくりということで、まさに今、厚生労働省を挙げた重要テーマということで取り組んでいるところでございますが、これまでやってきた事業をさらに充実するとともに、後ほど説明しますが、フレイル対策等の新規事業を実施するという形で予算を計上しております。
このフレイル関係につきましては、3ページ目の下のところ、マル2のアでございますが、高齢者の保健事業と介護予防の市町村における一体的な実施の先行的な取り組みへの支援ということで、現在、検討会を立ち上げまして、そちらのほうで先進的な自治体の事例などをヒアリング、その横展開等についていろいろ御議論をいただいていると承知しております。
予算面につきましても、高齢者の特性を踏まえた保健指導等を実施することで、低栄養、筋量低下等による心身機能の低下の予防ですとか、生活習慣病等の重症化予防等の推進を図る。さらには、高齢者の通いの場を中心とした介護予防・フレイル対策と生活習慣病等の疾病予防・重症化予防といったものの市町村における一体的な実施の先行的な取り組みの支援をするため、専門的なスタッフを確保するということで28億円という予算を要求させていただいております。
4ページ目につきましては、糖尿病性腎症患者の重症化予防ですとか、後発医薬品の使用促進、歯科口腔保健の推進、また、保険者の予防・健康インセンティブの取り組みへの支援ということで、引き続き来年度につきましても予算のほうを要求させていただいているところであります。
さらに、被災者・被災施設の支援で、避難指示区域等での医療保険制度の特別措置ということで、来年度につきましても57億円の予算を要求しております。
平成31年度の予算概算要求につきましては、以上でございます。
続きまして、資料2にお移りいただければと思います。
最初のページが表題で、次のページに目次がありまして、その次に「経済・財政再生計画改革工程表等における医療保険関係の主な検討項目」が書かれております。
最初のページにあります4項目につきましては、この医療保険部会でも何度も御議論いただいたテーマではないかと承知しております。引き続き、これらについても本日の場で御議論いただければと思います。
また、その次の3ページ目のところで新規医薬品・医療技術の保険収載等、3つの項目が新しく入っております。この新規医薬品・医療技術の保険収載につきましては、この次の議題で御議論いただければと思っておりますが、この中では現役並み所得判定基準とか、さまざまなものの見える化といったことについて御議論いただければと思います。
それぞれの項目につきまして、4ページ目から御説明させていただきます。
まず「後期高齢者の窓口負担について」であります。「骨太の方針」で書かれていることにつきましては、団塊世代が後期高齢者入りするまでに、世代間の公平性や制度の持続性確保の観点から、後期高齢者の窓口負担のあり方について検討するというふうに書かれているところであります。
その次の5ページ目に医療費の一部負担割合について、年齢層ごとの一部負担割合は先生方よく御承知のことだと思いますが、資料をつけさせていただいております。
続きまして、6ページ目に法律の検討規定ということで、平成25年の法律の中では、第4条の9項におきまして「高齢者医療制度の在り方について、必要に応じ、見直しに向けた検討を行うものとする」。また、平成27年の法律の附則でも第2条の中で「持続可能な医療保険制度を構築する観点から、医療に要する費用の適正化、医療保険の保険給付の範囲及び加入者等の負担能力に応じた医療に要する費用の負担の在り方等について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする」。こうした規定がなされているものと承知しております。
7ページ目、後期高齢者医療制度の被保険者数の推移についてであります。後期高齢者医療制度の被保険者数につきましては、年々増加しておりまして、平成28年度は1646万人。平成20年度から比べると約25%増ということで、総人口の7人に1人は75歳以上という状況になっております。
8ページ目に人口の推計についてつけさせていただいております。今後の日本の人口ですけれども、高齢者の数自体は将来的にはある一定のところで余り増えない状況になりますが、一方で総人口は減少していく。特に現役世代が急激に減少していく中で、高齢者の全体に占める割合につきましては年々増加していきまして、2055年には人口の4人に1人が75歳以上になるという推計になっております。
続きまして、年齢階級別の平均所得額の推移であります。70歳以上や75歳以上の者が世帯主である世帯の1人当たり所得額は、ここ10年ほどおおむね横ばいということで、ただ、3年だけ見ますと、景気の状況も反映して上昇になっておりますが、全体としては横ばいで、最近はちょっと上がっているという状況であります。
10ページ目、後期高齢者世帯の所得の内訳でございます。後期高齢者世帯の所得の約8割を公的年金が占めておりますし、また、約7割の後期高齢者世帯の所得が公的年金だけが収入であるということになっておりまして、まさに後期高齢者の方々にとって、公的年金というものが家計を支える大きな柱になっているということでございます。
11ページ目が消費支出の内訳でございます。後期高齢者世帯と夫婦世帯の消費支出を比べておりますが、後期高齢者世帯の場合は保健医療に関する支出が多い一方で、現役世代につきましては教育ですとか土地家屋借金返済を初めとするほかの支出が多くなっているということがあろうかと思っております。
12ページ目、医療費の動向についてであります。近年、国民医療費は大体、対前年比+2~3%程度の伸びになっておりまして、2017年度は+2.3%。先ほども申しましたように、2015年度、2016年度は一時的な変動でかなり増えたり、また、マイナスになったりというのはありましたけれども、平均すると+1.7%程度となっております。2017年度の国民医療費43.1兆円のうち、16.1兆円が後期高齢者医療費になっておりまして、占める割合は37.3%。この割合につきましては、年々増加してきているという状況でございます。
次の13ページが、医療費の伸び率についての要因分解であります。近年の医療費の伸び率を要因分解した場合に、この下の表にありますように、人口増の影響ですとか、高齢化の影響、また、診療報酬改定、そして、その他として医療の高度化とか患者負担の見直しといったものがあろうかと思っておりますが、高齢化の影響につきましては、大体1.0~1.6%前後の伸び率になっているという状況でございます。
14ページ目が、医療保険制度別の1人当たり医療費の動向であります。後期高齢者の1人当たり医療費は約94万円、医療制度全体、または国民健康保険と比べれば約3倍、被用者保険と比べると約6倍で推移しているという状況であります。
医療保険制度別の1人当たり医療費の伸び率についてであります。後期高齢者の1人当たり医療費の伸び率につきましては、そのほかの制度と比べまして、おおむね低い水準で推移しております。平成21年度から平成27年度までは約0%から約2%、平成28年度は-2.0%、平成29年度は1.4%となっているという状況でございます。
続きまして、若人と比較した後期高齢者医療の特性についてまとめております。後期高齢者の方々は若人に比べまして受診率が高く、入院・外来とも、1人当たりで見ますと診療費や日数に大きな差があるという状況であります。ただ、やはり受診率が高いことが大きな原因になっておりまして、実際に診療を受けたレセプト1件当たりで見ると、受診日数や診療費に大きな差はないという結果になっております。
続きまして、外来受療率・入院受療率の比較を年齢別で行っております。受療率の定義といたしまして、特定の日に、人口10万人に対して何人が診療行為を受けているかを示したものでありますが、受療率は加齢に伴い増加する傾向にありまして、特に入院受療率につきましては後期高齢期になって増加する。大体、65歳未満は3桁ぐらいで推移していたものが、65歳から74歳は1,000~2,000ぐらい、75歳以上は2,000、3,000、5,000台という形で増えていく状況であると承知しております。
高齢者医療制度の財政についてであります。国保と被用者保険の2本立てで行っているわけですが、所得が多く医療費の低い現役世代につきましては被用者保険に多く加入する一方で、退職して所得が下がって医療費が高い高齢期になると国保に加入するという構造的な課題があると思っております。高齢者医療を社会全体で支える観点に立って、75歳以上の方々をみんなで支える、また、70~74歳の方々については保険者間で財政調整を行うという形での仕組みを設けております。この点につきましては、旧老人保健制度におきまして、なかなか費用負担の関係が不明確であるという御批判もありまして、75歳以上を対象とする制度を設け、世代間の負担の明確化等を図っているところでございます。
続きまして、協会けんぽと健康保険組合の保険料率の推移をまとめております。近年、協会けんぽ、健保組合ともに保険料率が引き上がっておりまして、平成21年度から比較して平成29年度は約2割、この10年近くで約2割増えているという状況になっております。
年齢階級別の1人当たり医科診療費及び平均収入についてでございます。一人当たり医科診療費は高齢になるほど上昇しておりまして、特に70歳代までは入院以外の割合。この表でいいますと黄色の斜線の部分ですが、その入院以外の割合が高いですが、80歳代後半以降は青色の部分、入院の割合が高くなっているという状況でございます。
年齢階級別の1人当たり医療費・患者負担額及び保険料についてであります。1人当たりの医療費は当然、年齢が上がるとだんだん高くなっているということでございますが、年齢階級別に、患者負担額に保険料。この場合は本人負担と事業主負担、両方ですが、これを加えた負担額を見た場合、この表でいう右側のグラフですけれども、現役世代のほうが負担が高いという状況になっております。これは、高齢期に増加する医療費を、社会連帯の精神に基づいて後期高齢者支援金等を通じまして、現役世代の保険料によって賄われている。こういったことをあらわしているものだと思っております。
「外来受診時の定額負担について」であります。こちらにつきましても、今まで何度も御議論いただいたことだと思っておりますが、2018年の「骨太の方針」におきまして、病院・診療所の機能分化・機能連携等を推進しつつ、かかりつけ機能のあり方を踏まえながら、かかりつけ医・かかりつけ歯科医・かかりつけ薬剤師の普及を進めるとともに、外来受診時等の定額負担導入を検討するというふうに書かれているところでございます。
次の23ページに、平成25年の社会保障制度改革国民会議でまとめられました、外来医療に関する今後の方向性についてであります。利用者である患者が大病院とかへの選好を今の形で続けたままでは、これは機能しないのではないか。フリーアクセスの基本は守りながらも「緩やかなゲートキーパー機能」の導入が必要ではないか。そういう意味で、大病院の外来は紹介患者を中心とし、一般的な外来受診は「かかりつけ医」に相談する。こういったシステムの普及、定着が必須である。また、患者の側にも、大病院にすぐに行かなくても、気軽に相談できる。そういう安心感を与えるような医療体制のほうが望ましいということで、大体、今、言ったようなことが病院については入院のほうと、外来は専門化していく。診療所については、入院の部分はあれですけれども、外来の部分について、かかりつけ医としての機能を強化していきながら、そこの部分の役割をふやしていくという方向性が示されているものと承知しております。
こういったものを受けまして、次の24ページ目ですが、紹介状なしで大病院を受診する場合等の定額負担についてであります。平成28年度から一定規模以上の保険医療機関について、定額の徴収を責務とするということになっておりまして、従来500床以上でしたが、平成30年度の診療報酬改定で400床以上へと見直しを図っております。また、徴収する額については、初診については5,000円、歯科の場合は3,000円。再診については2,500円、歯科は1,500円という形で制度が立てられているところでございます。
続きまして、こういった問題に関する医療保険部会における今までの主な御意見を整理させていただいております。
平成28年12月20日、議論の整理という形でおまとめいただいております。かかりつけ医の普及に向けて、まずは病院・診療所間の機能分化の観点から、医療保険財政の持続可能性の観点等を踏まえつつ、病院への外来受診時の定額負担に関し、現行のいろんな選定療養による定額負担の対象の見直しを含め、具体的な検討を進めるとの方向性に異論はなかった。その上で、かかりつけ医以外を受診した場合の定額負担の導入を含め、かかりつけ医の普及を進める方策や外来時の定額負担のあり方について、幅広く検討を進めるべきという御意見があったと承知しております。
主な御意見といたしまして、まず、紹介状なしの大病院受診時の定額負担に関する御意見につきましては、取り扱いを拡充していくべきではないかという御意見が多かったと承知しております。
また、かかりつけ医以外の外来時の定額負担に関する御意見につきましては、賛成、反対、両方の御意見があったと思っています。頻回受診の防止とか医療保険財政の観点から、定額負担を求めることは重要という御意見がある一方で、何をもって「かかりつけ医以外」とするか不明確ではないかとか、また、紹介状なしで大病院を受診した場合の定額負担が導入されたばかりのタイミングでやるのかとか、そういったさまざまな御意見をいただいたと承知しております。
次の27ページですが、こうした中で定額負担の徴収が義務化されて以降、紹介状なしの患者比率が3%程度下がるという一定の効果が見られており、改革工程表を踏まえ、許可病床についても平成30年度において400床以上ということで対象を拡大したわけですが、その上で「かかりつけ医以外を受診した場合の定額負担の導入を含め、かかりつけ医の普及を進める方策や外来時の定額負担の在り方」について、さらに検討することとなっておりまして、これについてどう考えるのかということを御議論いただければと思っております。
続きまして「薬剤の自己負担について」であります。
薬剤の自己負担につきましては「骨太の方針」の中で、市販品と医療用医薬品との間の価格のバランス、医薬品の適正使用の促進等の観点を踏まえ、対象範囲を含め幅広い観点から、引き続き関係審議会において検討し、その結果に基づき必要な措置を講ずるというふうにされております。
29ページ目が、薬剤費比率の年次推移でございますが、年によって上げ下げはございますが、おおむね20%強で推移しているというふうに承知しております。
30ページ目に、年齢階級別の1人当たり調剤医療費がありますが、高齢になるほど上がってきている、増えてきている。大体、最大で10倍近く広がっているというふうに承知しております。
31ページ目に、年齢別の投薬数につきましても、64歳まではほぼ同じような形でございますが、65歳以降は高齢になるほど投薬数が増加して、80歳からは平均投薬数は4を超えています。
また、32ページ目の1人当たり内服薬投薬延べ日数ですが、こちらのほうも75歳以上については、全年齢平均の約3倍に達するというふうに承知しております。
33ページ目、34ページは説明を省略させていただきます。
35ページ目が、この薬剤の関係の一部負担というものが以前ございまして、そこについての経緯をまとめたものでございます。
平成8年からいろんな審議会において、薬剤給付費について通常の負担割合とちょっと違うような形で、もう少し上げる、ないしは給付除外にすべきではないかという御意見をいただいたところであります。そうした中で、平成8年12月、与党三党のほうで、薬剤について外来薬剤1種類につき1日15円の負担とするという御意見をいただき、平成9年9月から薬剤一部負担が導入されたところであります。
しかしながら、その後、平成11年7月から、まず高齢者について予算措置で免除され、また、平成11年10月13日、平成11年12月19日、それぞれ党のほうや3党政策責任者会議のほうでまとめていただきましたが、若人の薬剤一部負担についても、所要の財源を確保した上で廃止していくということがまとめられ、最終的には平成13年1月に、まず高齢者のほうの薬剤一部負担が廃止され、平成15年4月には全体について薬剤一部負担が廃止されたというふうに承知しております。
続きまして、薬剤一部負担制度の概要を36ページに書いております。内服薬、外用薬、頓服薬、それぞれごとに種類の数に応じて一部負担をとっているという制度でございます。
37ページ目、薬剤給付の適正化の観点から、これまでやってきたことをまとめております。平成24年度の診療報酬改定では、まず、このマル1からマル3に当たるようなことを除いて、単なる栄養補給目的でのビタミン剤の投与については診療報酬の算定から外す。また、平成26年度の診療報酬改定では、うがい薬につきまして、治療目的のものを除き、うがい薬のみを投与された場合については、これらについての処方料、調剤料、薬剤料等については算定しないというふうにしております。また、平成28年度診療報酬改定で、湿布薬でございますが、1処方につき計70枚を超えて投薬する場合について、やむを得ず必要な場合を除けば、そういったものについても薬剤料を算定しないということで適正化を図ってきているところでございます。
38ページ目のところに、この自己負担のあり方に関する医療保険部会の主な御意見をまとめております。
下から2番目の○にありますように、限られた財源の中で給付を重点化する観点から、そういった市販品類似薬については、給付率の引き下げや保険給付の適用外とすることを検討すべきであるという御意見もあれば、一番下のところにありますように、治療の必要性によって保険適用を決めるという原則に反するのではないか。また、公的保険の趣旨に反するのではないかということで反対の御意見もあったと承知しております。
また、そのほかにも、例えば上から3つ目にありますような、後期高齢者はジェネリックの使用率が低いので、こういったことについて、もっときちんと教育すべきですとか、その上にありますような、薬価制度の抜本改革を主として考えるべきではないかという御意見もあったと承知しております。
続きまして「金融資産等の保有状況を考慮に入れた負担の在り方について」であります。
「骨太の方針」の中で、介護制度とか高齢者医療制度において、所得のみならず資産の保有状況を適切に評価しつつ「能力」に応じた負担を求めることを検討するというふうにされております。
40ページ目、41ページ目にそれぞれ高齢者世帯の貯蓄の状況をまとめております。
後期高齢者世帯につきましては平均貯蓄額は約1100万円ですが、分布がかなり散っておりまして、貯蓄がない方が15%強、一方で3000万円以上という方が10%弱という形になっております。
41ページ目は、年齢階級別で比較しておりますが、40歳未満の方が602万円であるのに対して、60~69歳、また、70歳以上の世帯については2000万円を超えている状況になっているというふうに承知しています。また、負債額については、ローンとかいろいろあるのかもしれませんが、40歳未満の方が最も多く、年齢が上がるほど下がってくるという状況であります。
42ページ目に、介護保険における補足給付の見直しについてまとめております。介護保険につきましては、食費及び居住費は基本的に本人の自己負担が原則となっておりますが、低所得の方々については、補足給付を支給し負担を軽減するという形になっております。ただ、その補足給付につきましては、福祉的な性格ですとか経過的な性格を有する制度で、預貯金を保有するにもかかわらず、保険料を財源とした給付が行われることは不公平であるということで、資産を勘案する等の見直しを行っております。下のところに赤で囲っておりますけれども、一定額の預貯金等がある場合には対象外とするという制度になっております。
43ページ目に、医療保険と介護保険の食事・居住関係の給付の比較をしておりますが、医療保険につきましては、食事・居住サービスは、医学的管理のもとに保障する必要があるということで、保険給付の対象になっておりますが、介護保険においては、保険給付の対象外としつつ、福祉的な観点から、低所得者に対して補足給付を支給するという形になっていると承知しております。
44ページ目に、そういった預貯金等の把握ということで、マイナンバーとの関係について書かれております。社会保障制度の所得・資産要件を適正に執行する観点、また、適正・公平な税務執行の観点から、金融機関の預貯金口座をマイナンバーとひもづけて、金融機関における社会保障の資力調査や税務調査の際にマイナンバーを利用して照会できるようにするといったことが行われているところでございます。
続きまして、この問題に関しての医療保険部会のこれまでの御議論であります。
実務的な課題として、マイナンバーを活用した金融資産等を勘案する仕組みを考えるべきではないか。また、被用者保険者が金融資産を把握するのは事務的にも現実的ではないのではないか。また、現状で正確に把握する仕組みはないので、自己申告ベースであることを考えると、時期尚早ではないかという実務的な課題。制度的なところで、介護保険とは性格を異にしているので、そもそも、そういった異なる中で介護保険は参考にならないのではないか。また、財政効果という意味で、事務負担の増加に対して、財政効果は余り見込めないのではないかという御意見があったと承知しております。
改革工程表でいろいろ検討することになっておりますが、昨年の議論も踏まえつつ、この点についてどう考えるかということが論点かと思っております。
続きまして「現役並み所得の判定基準について」であります。
年金受給者の就労が増加する中で、医療・介護における「現役並み所得」の判断基準を現役との均衡の観点から見直しを検討するということにされております。
47ページに、基準収入額の要件についてまとめております。「現役並み所得」のところのラインは、国保とか後期高齢者医療制度加入者の場合は、課税所得額145万円以上、また、被用者保険加入者の場合は標準報酬28万円以上かつ収入額の合計が、単身であれば383万円以上、世帯であれば520万円以上とされているところでございます。
この基準収入額要件について、制度の経緯を48ページ目にまとめております。平成14年10月施行の法改正におきまして、高齢者につきまして、定率2割負担となるような「一定以上所得者」区分が新設されまして、この判断基準につきまして、判定を課税所得のみで行うとなった場合に、収入の形態によって所得控除額がいろいろ変わってきて、場合によっては、当時「目安」としていた「夫婦2人世帯で年収630万円」を満たさない場合であっても、課税所得額が基準を上回ってしまって、現役並み所得になってしまうということがあるのではないかという指摘があり、課税所得額と合わせて基準収入額要件を、両方の要件を課して、どちらかを満たしていればという形に制度を構築したところであります。
49ページには、そうした計算方法とその変遷についてまとめておりますが、後で御参照いただけたらと思います。
続きまして、50ページ目で「保険給付率と患者負担率のバランスの見える化について」ございます。
改革に関する国民的理解を形成する観点から保険給付率と患者負担率のバランス等を定期的に見える化しつつ、診療報酬とともに保険料・公費負担、患者負担について総合的な対応を検討するというふうに書かれております。
保険料や患者負担等についての資料を51ページ目以降にまとめております。
51ページ目は、これまでの診療報酬改定、保険料・患者負担の見直しについて、まとめさせていただいております。
52ページ目につきましては、国民医療費の推移と平成24年3月推計との比較ということで、平成24年3月推計と比べまして、実際の実績につきましては、診療報酬改定の影響や制度の見直しの影響等により、より低く抑えられているという形でございます。
53ページ目には、実効給付率の推移ということでまとめておりますが、累次の制度改正の結果、現時点では平成12年、2000年とほぼ同水準という状況になっていると承知しております。
あと、54ページ目、55ページ目に資料をつけておりますが、先ほどと同じ資料でございますので、説明は省略させていただきます。
長くなりまして申しわけございませんが、以上で説明を終わらせていただきます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
それでは、御質問等があれば伺いたいと思いますが、いかがでございましょうか。
横尾委員、お願いいたします。
○横尾委員 細かい説明、ありがとうございます。初めてのペーパーレス会議なので、なかなか理解しやすいところと手がかかるところがございました。
では、質問でございます。40ページなのですが、後期高齢者世帯の貯蓄の状況把握について、これは厚生労働省の平成28年度国民生活基礎調査に基づくデータのパーセントを表示するグラフになっているのですができ得るならば、実数表示で状況が分かるものを出したほうがいいのではないかと感じる部分があります。それともう一つは、国民生活基礎調査でもいいのですが、税務情報は具体的にあると思いますので、そういった税務あるいは貯蓄に関する別途の情報なども活用し、見られるようにしたほうがより正確な把握ができますし、数字としての実感も得やすいのではないかなと思いますので、今後、対応をよろしくお願いしたいと思います。
○遠藤部会長 事務局、いかがでしょうか。何かコメントがあれば。
○鹿沼課長 今の高齢者世帯のいろんな状況につきまして、いろんなデータを付して、もう少しわかりやすく工夫をさせていただければと思います。
○横尾委員 ありがとうございます。
○遠藤部会長 よろしくお願いします。
ほかにいかがでございましょうか。
それでは、佐野委員、どうぞ。
○佐野委員 ありがとうございます。
議題2のほうの個々の検討項目については、今までもこの部会で申し上げたとおりでございます。ただ、特に自己負担見直しのところですが、検討のスピード感が全く不十分としか言いようがないように感じております。
平成20年に現在の高齢者医療制度が導入されて丸10年経過したわけですけれども、この10年間の健保組合の変化ということで申し上げますと、1人当たりの報酬はこの10年で4万円減少しております。一方で、1人当たりの保険料は10年間で10万6000円増えている。そのうち、高齢者医療費の拠出金が6万6000円増えている。要は、保険料のアップにより拠出金の増加を補っている。
結果、前期、後期を合わせた拠出金全体の額としては、この10年間で1兆2000億円増えている。こういう事実があります。まさに現役世代の負担が増えているのは明らかなわけです。
また、今後の見通しについても、昨年秋に健保連で試算をしたのですけれども、要は2025年までの8年間を考えた場合、この拠出金は今のままでいけば、さらに1兆円増えることが見込まれています。
この分を加味して、保険料はどうなるかといいますと、1人当たり保険料でもって、8年間で16万円以上増える。要は、年平均にして2万円以上増えることになります。やはり、この現実を直視すべきであろうと思っております。
最近、大規模健保組合の解散が発表されていますけれども、まさに今、申し上げたようなこれまでの負担増、それから、今後もさらに負担が増えていくという、この見込みでもって、出口が見えないところが大きな要因になっております。まさに、そういう意味では時間との闘いと申し上げていいのではないかと思います。
今さら言うまでもないですけれども、高齢者医療費の負担方法は、要は「税金」か、「高齢者の自己負担による保険料」か、もしくは「現役世代からの拠出」、この選択肢しかないわけでして、現役世代の拠出に偏った現状を見直すには、税金などの公費の投入及び高齢者の自己負担アップといったものは避けて通れないと思っております。
政府は全世代型社会保障ということを標榜しているわけですけれども、その一方で負担方法の見直しについては、2~3年かけて検討ということのようでございますが、そんな悠長なことを言っている場合ではないのではないか。早急に結論を得て、実行していくしかないと思っております。
あと、個別項目で、今回入りました現役並み所得の判定基準について、ちょっとコメントをさせていただきます。
もともとの現役並み所得の判断基準見直しについては、負担公平化の観点から賛成でございますけれども、一方でちょっと問題点がございます。今回、私どもで出させていただいた15番の提出資料で、後期高齢者医療制度の財源構成については、自己負担分を除いて、給付のところについて言いますと、本来、公費が50%、現役世代の負担が40%、それから、後期高齢者の保険料は10%となっております。
これは前回のときにも申し上げたのですが、現役並み所得については、この図の2番目のところですけれども、公費が入っておりません。その分、現役世代が負担している形になっております。結果、その分、約4000億円が現役世代の負担になっている現状がございます。結果として、全体の財源構成としては、一番下にありますように、公費は47%にとどまっているということでございます。
これが今の制度のままで現役並み所得の対象者を増やしますと、結果的に、この健保組合だけでなく、現役世代の負担が増えるということになります。後期高齢者の現役並み所得の対象者を増やしても、結果、それが現役世代の負担につながるのは大変おかしな話だと思いますので、これはやはり現役並み所得者に対しても公費を投入すべきであると考えております。
以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
それでは、藤井委員、どうぞ。
○藤井委員 ありがとうございます。
今の佐野委員の御意見に同意しているわけですが、私も5年ほど、この会議にお世話になっているのですけれども、その間、働く世代、現役世代の負担は増える一方でありますし、その上で少子化対策と言われてもむなしいばかりございます。さらなるスピード感を伴った医療の適正化というものをぜひお願いしたいと思います。
しかし、医療の適正化イコール薬価の引き下げということはいかがなものか。この間も薬価だけは際限なく下がるわけですけれども、このままいきますと、原料も含めて後発品を日本でつくれるメーカーはどんどん減るのではないか。私ももうすぐやめるメーカーを知っておりますが、保健医療を海外に頼るのはいかがなものかなと非常に不安に思っております。
一方では、海外から外国人が日本で購入するOTC医薬品は過去最大に上っておりまして、それは諸外国で日本のようなすばらしい医療制度はないわけですから、こちらのほうに頼らざるを得ないわけです。しかし、間接的に日本の製薬産業は海外の医療適正化に貢献していることになるわけで、大変おかしな構造ではないかと思います。ぜひ、我が国の限られた医療資源の有効活用をお考えいただきたいと思います。
しかし、生活者が全く考えていないかということはないと思います。幾つかの兆しはございまして、例えばセルフメディケーション税制というものがありますけれども、昨年度は2.6万人が適用となりました。まだ2.6万人にとどまっているのは、対象薬剤が少ないということもあるかもしれません。一方では業界の努力もありまして、医療控除全体の適用者が27万人増えているわけです。比率から計算すると、約10万人は保険給付のみではない適用者が増えていることになるのです。これはやはり医療保険財政の負担を少しでも減らそうという意識もあったのではないかと思います。セルフメディケーション税制の対象をOTC医薬品全般にまで拡大することも含め、ぜひ、国からも医療の適正化を促す策を、意識改革を促す方法を考えていただきたいと思います。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
ほかにいかがでございましょうか。
それでは、安藤委員、どうぞ。
○安藤委員 今まで何回も同じようなことを申し上げてきているのですけれども、世の中の環境が少し変わってきていますので、現状ということでお話しさせていただければと思います。
やはり団塊の世代が全員、後期高齢者に入る2025年問題であるとか2040年以降を見据えまして、医療保険制度の財政的な持続可能性をどのようにして確保していくのかということが最も大切なことであると考えております。
そのような中、先ほど佐野委員からも御紹介がありましたけれども、全国第2位の健康保険組合である派遣健保が協会けんぽの平均保険料率10%よりも低い9.7%という状態の中で解散を決定されました。そして、これはやはり高齢者医療費に対する現役世代の負担が大きなウエートを占めているため、現役世代の保険料負担が限界水準に達していることを改めて示している事例かなと考えます。
こうした観点に加えまして、70歳から74歳の方の2割負担への引き上げが今年度中に完了いたします。これを考えて、後期高齢者の自己負担の2割ということを早急に結論を得る必要があると考えております。
そのためには、2割に引き上がった場合の高齢者世帯の実際の負担の変化であるとか、医療保険財政への影響額などについて、具体的なシミュレーションを示していただくなど、データに基づいた議論を進めていく必要があると考えております。
また、後期高齢者の自己負担の見直しを図ると同時に、薬剤の自己負担も見直して、医療費の適正化を図っていくことが必要であると考えます。本日の議題の3番目でお話がありますが、今後、オプジーボのように保険収載される高額薬剤がますます増えていく可能性がある中で、OTC化された医薬品や市販類似薬などにつきましては、保険償還率を変更するのではなく、そもそも保険適用から外すなど、大胆な見直しを進めていくべきであると考えております。
さらに、改革工程表に掲げられました項目だけではなく、任意継続被保険者制度の見直しであるとか、傷病手当金や出産手当金等の現金給付全般の見直し、海外療養費のあり方、そして将来を見据えた持続可能な医療保険制度のあるべき姿について議論していくべきであると考えております。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
ほかにいかがでございましょうか。
それでは、松原委員、どうぞ。
○松原委員 皆さんの意見を聞いていると、とにかく若い世代が負担が大きいとおっしゃるのですが、ただ、物の見方を変えますと、例えばこの国の道路にしろ、ダムにしろ、いろいろなものに対して75歳になった方々が税金を払って営々として、日本が戦争に負けて、何もなかったところから築き上げたものであり、それを若い人たちは今、ある意味では維持費だけで使わせてもらっているということであります。
そういったことから考えて、一方的に75歳になって生産ができなくなったから、この人たちはもう関係ないのだ。若い人たちが医療費を支えるのは間違いだという議論をされているようですけれども、どうも、何かその方向だけで議論するのは、私は間違いではないかと思います。実際に75歳以上の方々の所得を見ていれば、ほとんどが公的年金、一部は企業年金と恩給であります。そして、世帯の所得の平均値は、この資料では195万7000円。これは大変裕福な金額ではありません。つまり、多くの人たちはぎりぎりのところで暮らしています。
ただ、日本の国はいろいろな制度が整っているので、医療制度もありますし、非常に幸せに暮らしていると私は思いたいのですが、その一番最大のものが、医療を公的に扱っていることであります。世界各国を見ると、道路がなかったり、ダムがなかったりして、水も飲めないような国もあれば、あるいは非常に収入の少ない国も多々ございます。その中で営々として75歳まで働いてきている方が、お年をとって生産ができないからといって、若い人たちが全て負担するのは間違いだというのは少し違うのではないでしょうか。
その観点から見ますと、やはり195万円しかなくて、年間の医療費がどれぐらいかかるかを考えれば、その方たちが負担できる金額はおのずと知れてきます。そういったことも考えながら、一部負担金を考えていただきたいと思います。したがって、受診すれば幾ら取るとか、あるいは何割負担にするとか、これ以上ふやしていくのは無理であります。今まで随分、ここで議論してきたものをまた蒸し返して議論するのは時間の無駄だと私は思いますし、適切でないと思っています。
現在、医療費が高くなっているのは、お年寄りの人たちが確かに年をとってきて、いろんな病気にかかるから大変である。しかし、これは国民が国民を支えるという、先ほど申し上げた、それまでのお年寄りの人たちが営々として築いたものに対する評価も含めて考えるべきであり、そして、ここで申し上げたいのはやはり薬剤の問題であります。この薬剤のファイルのうち、資料3の6ページであります。バイオ医薬品の比率を見ていただけますでしょうか。
最近、この比率が物すごく上がっています。確かに、非常によい薬がたくさん出ています。オプジーボもそうでございますし、その他、これまで細胞の中に作用していたり、細胞の外に作用していた、抗生物質も含めてですけれども、いろいろな合成化学製品ではなくて、抗体という武器を使っていろいろな細胞のスイッチを切ったり入れたりする方法ができたわけです。その費用が大変増えている。表のバイオ医薬品の市場を見て、何が増えているかといいますと、結局は抗体医薬品が突然増えているということが大きな問題で、この何年間かで1兆円近く増えているわけであります。
なぜ、こんなことが起きているのか。あるいはこのバイオ製品というものはほとんどが輸入品です。日本の合成化学製品をつくる能力が非常に高いのですが、製薬会社さんが残念ながらバイオ製品のところに投資をしなかったために、このような事態に至っています。
バイオシミラーといっても、細胞を使ってつくるものですから、非常に差はありますが、できればこのバイオ製品をもっと日本の国でつくれるようにすべきではないでしょうか。これから、バイオ製品は、この傾向で見ますと、極端に増えてまいります。バイオ製品に対する国の援助をして、適切な薬をつくっていくことが大事なことだと私は思います。
もう一点、先ほど日本のジェネリックが海外から評価されている。これは日本のいろいろな製薬会社の能力が非常に高いわけであります。しかし、この点においても、よくよく考えないと、私どもが実際に使っていて、効力が低い薬は確かにあります。なぜ、そういうことが起きるかといいますと、ほとんどの今のジェネリックは、簡単に言うと、中国やインド等でつくったバルクを日本の国に持ってきて固めるだけ。そういう製薬会社もございます。そうではなくて、日本国民が使う薬については、やはり日本でつくるべきだと私は思います。
海外から輸入に頼って基礎的な薬品を頼るよりも、日本の製薬会社は大変優秀ですので、日本でつくったらいかがでしょうか。最近、中国でつくった薬の中に劇薬がまじっていて、大変大きな問題となっています。そのようなことのなきように、外国の人がなぜ日本のジェネリックを信頼するかといえば、それだけほかの国よりもいい製品だからであり、さらに、そのジェネリック薬をぜひ日本の国で生産、つくるような方法を政府に、厚生労働省に考えていただきたいと思います。新しいものに対しての対応、そして、今の長所をふやすこと。そういったことにおいて、十分に対応できるような仕組みをつくっていくべきだと思います。
ホウレンソウですら、どこの国でつくったものかわかっているのに、こんなに毎日飲む医薬品が一体どこの国でつくっているかもわからない、国産なのかどうかもわからないということを患者さんから聞いたことがございます。それは確かにそうだなと。食べ物ですら表示しているのに、薬品がどこで中身をつくったのか、わからない。これはやはりおかしいのではないでしょうか。ただ安い薬品が出れば出るほど価格が下がるという仕組み。このところにもしかしたら問題があるのかもしれません。
かつてはジェネリックも3価格帯ありましたが、1価格帯にすると一番安い薬、もしかしたら粗雑な薬に価格が引っ張られている可能性がございます。その中でぜひ、日本国民が安心して飲めて、そして、安心して年をとっていけることを政治的にも行政的にも考えていただきたいと思います。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
では、藤井委員、どうぞ。
○藤井委員 ちょっと誤解があったので、一言申します。
私の言い方がちょっと適切ではなくて、わかりにくかったかも知れません。海外から買いに来ているのはジェネリック医薬品ではなくOTC医薬品です。
私が申し上げたいのは、国内でジェネリックをどんどん安くしろと言われても、これ以上つくり切れない。海外に頼るのは非常に不安である。だから、国内でつくるべきだと思っております。
以上です。
○遠藤部会長 補足、ありがとうございます。
○松原委員 それは同意見で、よい薬を日本国でつくりたいということであります。
○遠藤部会長 大体、これにつきましてはよろしゅうございますか。
それでは、伊藤参考人、どうぞ。
○伊藤参考人 代理ですが、発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。
公的医療保険制度については、本当に私たち働く者、また、退職後も含めた家族全体の安心の基盤だと思っております。これが将来にわたって確実に提供されることが非常に重要だと思っております。先ほども話がありましたけれども、大型の健保組合が解散するという報道が幾つも出ていたりする中で、非常にそういう危機を感じております。
その意味で、私どもとしましても、この被用者保険に対する拠出金負担の問題は非常に大きいことだと思っておりますので、安定財源を確保した上で公費負担の拡充ということもぜひお願いしたいと思っております。
きょうの資料にある改革工程表に関することについては、委員がこれまで意見を申し上げておりますことと変わりませんので、その点は繰り返さないようにいたします。金融資産の保有状況を考慮した負担のところは、42ページに介護保険の補足給付で既に導入しているというのが参考例で出ているわけですけれども、こちらについても、平成27年度からどれぐらい実施されているのかということも資料として出していただきながら検討することが必要だと思っております。
あと、新しい論点としまして、49ページの現役並み所得の判定基準のところですけれども、現役並み所得といっても現役と高齢者の間で収入に大きな差が出るというところですが、これの原因は公的年金等控除によるところが大きいと思いますので、加齢等による所得獲得能力の減少に配慮するといった公的年金等控除の趣旨も踏まえながら検討が必要ではないかと思います。
それから、保険給付率と患者負担率のバランスの見える化という論点がもう一つ出てまいりました。この点については、見える化自体は否定するものではないのですけれども「骨太の方針2018」の策定に当たって、財政審のほうで議論があった内容は非常に大きな問題だと思っていまして、あちらで4月に出たのは、医療費の増加や支え手の減少などに応じて給付率を自動調整するという仕組みが当初提案されておりました。こういうことになってくると、保険料を納めてもどれだけの給付が得られるのかがその都度変わってくるということで、先ほど申し上げた安心の基盤である制度の信頼性、納得性を大きく毀損するおそれがありますので、ああいうやり方は絶対反対だということを改めて申し上げたいと思います。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
それでは、池端委員、どうぞ。
○池端委員 済みません。ちょっと各論めいた話で申しわけありませんが、資料にありましたので、ちょっと確認と意見を1つお話ししたいと思います。
27ページの外来時の負担等についてですが、ここの資料を見ますと、病院とかかりつけ医というところで二分化されていて、ただ、よくよく資料を見ると、病院の中でも大病院と中小病院という表現があります。病院とかかりつけ医ではなくて、その間にあるかかりつけ機能を持った中小病院も重要な機能を担っているのではないかと思います。そこを考えの中に入れておかないと、病院と診療所の機能がさらに高まれば効率化ができるのだということではないのではないか。その辺を含めて、大病院とは一体何なのか。
ここに、400床以上が大病院という、今回、診療報酬上は出ていますけれども、では、中小病院とは何か。その明確な病床数なりのものがあれば教えていただきたいのです。なければ、その辺をもう少し議論しながら、在宅医療についてもそうですけれども、診療所だけでかかりつけ機能を担える状況では今はないと思うのです。地域によっては中小病院が診療所の機能、あるいはかかりつけ機能を担って、効率よく病院・病床を使いながら診ていくことが必要になってくるのではないかと思うので、その辺の考え方も外来の負担に入れていかなければいけないのではないかということが私の意見です。
まず、病院の種別が、ある程度、ここで決められているのかどうかを教えていただきたいのです。
○遠藤部会長 では、事務局、お願いいたします。
医療課長、どうぞ。
○森光課長 特に診療報酬上、大病院ですとか中小病院という形で何か定義が設けられているわけではありません。ただ、200床のところで外来のさまざまな点数についてのとれる、とれないといった規制を設けているものは当然ありますけれども、別に何か定義があるわけではございません。
○遠藤部会長 池端委員、どうぞ。
○池端委員 では、今、たまたま200床という話が出ましたが、200床未満に関しては、今回、診療報酬でも、いわゆるかかりつけ機能と言えるような初診料に対しても加算をつけたりとか、どうも、そういうことに誘導されているような印象を受けるのですけれども、その辺も含めて、この医療保険部会で、では、病院のあり方をどうするかということもやはり議論しておかなければいけないのではないかということを思ったので、意見として言わせていただきました。
ありがとうございました。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
それでは、お待たせしました。家保参考人、どうぞ。
○家保参考人 高齢化の進行に伴いまして、社会保障の安定化を図るための改革は一定必要であると認識しております。ただ、その際には、やはり標準的な所得の方々を中心とした施策設計は一般につくられると思いますけれども、47ページにございますように、所得というものは非常に幅がございます。後期高齢者、70歳以上の方の高額療養費制度も所得に応じて負担の差をつくっていただいていますので、他の施策を運営する際にも、こういう観点をぜひとも維持していただいて、配慮いただくようにお願いしたいと思います。
この指定区分Iという方々は全体の15%を超える方々がいらっしゃいますので、その方々に配慮しませんと、いろんな意味で大変な部分が出てまいります。その点についてはぜひとも、これまでも留意していただいていると思いますけれども、今後とも留意の程をお願いしたいと思います。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
原委員、どうぞ。
○原委員 ありがとうございます。
これは質問になるのですけれども、参考資料2に、未来投資会議資料というものがあって、これは後ほど説明があるなら、そこで聞きますが、そうでなくて、単なる参考資料ということで配付だけであれば、この場でお聞きしておいたほうがいいかなと思ったのですが、よろしゅうございますか。
○遠藤部会長 では、御質問してください。結構ですので。
○原委員 この中に全世代型社会保障制度というものをこれから検討していくということが内閣府の資料の中に書いてございまして、これは安倍総理がこのたびの組閣の際におっしゃっていることで、この全世代型社会保障制度改革と私どもが今やっている、この審議会でも御議論いただいている、資料2の関係でございますけれども、経済・財政再生計画改革工程表等に掲げられている項目。こういったものの検討との関係はどのように考えたらいいのか。もちろん、向こうのほうはこれからの議論でございますので、なかなかそれはまだ決まっていない、あるいはわからないということかもしれませんけれども、説明できる範囲で厚生労働省のほうからお聞かせいただければ有益ではないかと思って質問したいと思います。
○遠藤部会長 それでは、事務局、お答えできる範囲で結構でございますので、よろしくお願いします。
○鹿沼課長 内閣府、内閣官房でやられている話なので、ちょっと説明のほうも十分ではないかもしれませんが、少なくとも改革工程表については昨年末に取りまとめられたと思っております。全世代型社会保障の考え方が出て、ことしの年末に、この「骨太の方針2018」を踏まえて、また改革工程表は出されると思いますので、そちらのほうでいろいろ、こういう全世代型社会保障という考え方も踏まえて、さらに見直しが行われていくのではないかと思っております。
そういう意味で前回の、昨年末の改革工程表と全世代型社会保障との関係がどうなのか。その辺は少し、また新しいものを見てみないとわからないのかなと思っていますが、いずれにしても、そういった総理のお考えが、政府の考えでありますので、そういったものを踏まえて「骨太の方針」や改革工程表については、これから決められていくということであると承知しております。
○遠藤部会長 原委員、どうぞ。
○原委員 全世代型社会保障制度という以上は当然、その中に医療保険制度も含まれているというふうに考えるのが一般的だと思いますし、新聞報道でも何か年金・医療制度について来年の夏までに工程表をつくるみたいな報道もございましたので、一応、そういうものも含まれ得るというふうには考えておいていい、この審議会の検討にも関係してくるというふうに理解しておいていいということでしょうか。もちろん、今の段階では明確には言えないとしても、可能性としてはあり得ると。
○遠藤部会長 事務局、そういう理解でよろしいですか。
○鹿沼課長 含まれ得ると思っています。もともと、全世代型社会保障は割と子供の幼児教育の無償化とか、高校教育の無償化とか、そういう子供のほうにもシフトをしていきながら全世代型でやっていこうという話があったと思いますけれども、そういった社会保障全体の中に当然、医療保険もその一翼をなしておりますので、関係はしてくると思っております。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
それでは、兼子委員、どうぞ。
○兼子委員 高齢者の負担のことで御発言が多かったわけですけれども、資料2の14ページをごらんいただきたいと思うのですが、これはこの10年間の1人当たり医療費の比較が出ているわけです。多分、この形は、20年、30年先からとっても、制度の違いはあるわけですけれども、高齢期になって医療費がかかる。それから、元気な世代は保険料を払いますが、余り医療費には使わない。これはさかのぼってもそうですし、今後を考えても、この形は大きく変わらないものだと思うのです。ですから、後期医療制度ができたことによって、あたかも高齢者が非常に使い過ぎているという見え方をしているような気がしています。
そんな意味で、私自身思うのは、こういう世代間によって、医療の受診というものは大きく変わらない。それから、働いている人がやはり負担する。この形が崩れたのでは国自体のあり方としても壊れていくわけですから、ここで特に強く求めるということではないのですけれども、こういった医療保険の組み立て方というものを、今、申し上げた、この世代によって変わっていく。そういったものをきちんと受けとめられるような制度のあり方を長期的に考えていただかないとまずいのではないかと思います。
あと、今の医療制度で、制度を守ることは当然なわけですけれども、役割としてどういう役割を果たしているのか。やはり、この保険制度によって早期発見、早期治療ということが確保されてきているわけですので、そこに窓口負担のところが大きくなっていけば、今の早期発見、早期治療がおかしくなっていく。私はそういうふうに考えますので、窓口負担の強化については基本的に反対であるということを申し上げておきたいと思います。
以上です。
○遠藤部会長 まだ御発言があるかと思いますけれども、少し時間が押しておるものですから、またお考えがおありになれば、今後、また個別の議論をするときにお考えを開陳していただければと思いますので、次の議題に進みたいと思います。
次は「新規医薬品等の保険収載の考え方について」でございます。
事務局から関連の資料の説明をお願いします。
○田宮管理官 薬剤管理官でございます。
マイプライベートファイルに戻っていただきまして、6番の資料3をお開きいただければと思います。資料3におきまして「新規医薬品等の保険収載の考え方について」という資料を用意させていただいております。
1ページ目に、経済財政運営と改革の基本方針2018の記載を載せてございます。ここで、先ほども紹介がございましたとおり、新規医薬品や医療技術の保険収載等に際して、費用対効果や財政影響などの経済性評価や保険外併用療養の活用などを検討するというふうにされているところでございます。これを踏まえまして、本日御議論をいただきたく資料を用意したものでございます。
次の2ページ目に移っていただきまして、実は当医療保険部会におきましては、4月19日の部会におきまして、一度、高額薬剤・医療技術への対応について御議論いただいているところでございます。この2ページ目の資料はそのときの資料を一部改変したものでございます。
この際には、図にオプジーボという薬剤がございますけれども、その例を引きながら、左側の医薬品のところに書いてございますが、オプジーボのように、効能追加され対象疾患が拡大することによって、医療費(薬剤費)に与えるインパクトが大きい医薬品が存在すること、また、こういったことを受けて、平成30年度の薬価制度の抜本改革において、効能追加等に伴う市場拡大に対して速やかに薬価を引き下げるルールを導入したという説明をしました。それから、試行実施してきた費用対効果評価について、その結果を加味した価格調整を本年4月に実施したといったことを御説明させていただき、議論をしたところでございます。
次の3ページ目をごらんください。ここで新規医薬品等の保険収載に関する基本的な考え方につきまして、現状あるいは現状の取り組みについて書かせていただいております。
まず、我が国では、これまで、国民皆保険の下、「有効性や安全性が確認された医療であって、必要かつ適切なものは保険適用する」ことを基本に対応してきているということが1点でございます。
それから、現在の取り組みとしまして、薬価制度の抜本改革により今般導入されました、四半期に1度の新薬の薬価収載の機会を活用して再算定を行う、いわゆる四半期再算定と呼んでおりますけれども、こういったことにより効能追加などの状況変化に迅速に対応するとともに、最適使用推進ガイドラインを踏まえた使用の最適化などに取り組んでいるということ。また、今後、費用対効果評価の本格実施に向けまして、その具体的内容について検討するということで進めているところでございます。
こうした高額薬剤等に関する医療保険部会での今までの意見でございますが、下にございますとおり、平成29年11月24日の部会では、高額だけれども非常に有効性の高い薬について、貧富の差によって使える、使えないなどということになったら公的保険の意味がなく、そういうものは保険を適用していくという理念を貫くべきである。ただ、財政がもたなくなるので、その分、症状の軽い方に使う薬等については少し保険適用から外すなど、バランスをとっていくべきではないかといった御意見をいただきました。
また、前回、4月19日の部会の際には、費用対効果評価を保険収載の際に勘案するかどうかについては、あくまで中医協での議論を尊重すべきといった御意見ですとか、あるいは2つ目の○ですけれども、有効性、安全性がきちんと確認された医療、医薬品で必要かつ適切なものが保険適用されることは、医療の質向上に結びつくものなので、それを予算の制約や経済財政により保険適用外にするというのはいかがなものか。こういった御意見をいただいたところでございます。
次の4ページ目で、現在の薬価制度での高額医薬品への対応について少し詳しくまとめたものでございます。
1つ目の○は、先ほど御説明したオプジーボに関連して、平成28年には緊急的に薬価の見直しを行うという特例措置なども行ったということを書いてございます。
2つ目の○で、現在の薬価制度でどう対応しているかということをまとめておりますけれども、高額医薬品については一定の対応がとれるようになってきているというふうに考えているところでございます。
枠囲みの中の1つ目の■、これは以前からあったルールでございますけれども、新規収載する医薬品が既存のものと同等の場合は同等の薬価とするという類似薬効比較方式を基本としつつ、比較する既収載品がない場合は、原価計算方式で薬価を算定するとか、あるいは市場実勢価格を踏まえて薬価を引き下げる。さらには、効能追加等による市場規模の拡大に応じて市場拡大再算定を実施するといったことをもともとルールとして定めておりましたが、2つ目の■のとおり、平成30年度の薬価制度の抜本改革で、市場拡大に対して速やかに薬価を改定できる四半期再算定を導入した。さらに、費用対効果評価を試行的に行って、その結果に基づいて価格調整を実施したということでございます。
下の○に書いてございますとおり、費用対効果評価につきましては、今後の本格実施に向けまして、試行的実施において明らかになった課題への対応策を整理した上で、本年度中に具体的内容について結論を得ることで進めているところでございます。
次の5ページで、医薬品等の特性に応じて、さまざまな薬価上の対応をしてきているということを御紹介させていただいております。
高額医薬品といいましても、対象疾患、患者数、投与期間等でさまざまな高額になる要因がございますので、それについて、どう対応しているかということでございます。
例示として、まず1つ目で、先ほど松原委員からも御指摘がございましたけれども、オプジーボのように製造コストが大きいバイオ医薬品であって、効能追加が見込まれる医薬品、抗がん剤のようなものでございます。こうしたものにつきましては、新たなルールも含めまして、市場拡大再算定の特例とか、あるいは四半期再算定などにより対応ができるようになっているということでございます。
2つ目で、高額であるが、疾患の治癒、すなわち患者数の減少につながって、経時的に使用量が減少するような医薬品、後ほど説明しますけれども、C型肝炎治療薬といったものもございます。この場合には市場拡大再算定の特例などにより対応したということがございました。
また、患者数が限定的で単価の高い、難病や補充療法に用いる医薬品もございます。使用量が少なく、一般には他の新薬と比較して財政的な影響は必ずしも大きくないところで、効能追加等があれば、四半期再算定などにより対応するということかと思っております。
また、生活習慣病など対象患者数が多い医薬品につきましては、市場拡大再算定の特例や四半期再算定、あるいは後発品の登場による実勢価改定など、そういった形で対応してきているところでございます。
下の○に書いてございますように、ただ今後、例えば後ほど説明いたしますCAR-T細胞治療といった新たな治療がございますけれども、そういった治療に用いる製品など、高額な製品の上市が見込まれておりますので、同様に対応を図る必要があるだろうと考えておりますし、また、現在の薬価制度等では対応が難しい製品が今後登場する可能性も否定できないのではないかと考えているところでございます。
6ページ目ですが、こちらは先ほど松原委員からも御指摘のありましたバイオ医薬品の、特に抗体医薬品について、非常に売り上げ等が伸びているという資料でございます。
次に7ページ目で、先ほど例示の中の2番目として紹介したC型肝炎治療薬に関して、これにつきましては、C型肝炎の治癒が期待できるということで、平成27年度、薬剤料が非常に増えたということがございましたが、その後、患者数の減少、使用量の減少等により薬剤料は減少しているといった事例もあるということでございます。
次の8ページ目は、再生医療等製品でございます。これまで保険収載された再生医療等製品には単価が高いものがございますけれども、対象患者数は限定的になっているということでございます。
1つはテムセルHS注という、造血幹細胞移植後の急性移植片対宿主病に用いるもので、投与患者数は企業予測で260人程度ということで、薬剤費としては、下に「注1」と書いてございますけれども、標準的な使用の場合は1400~2100万円程度を要するというものでございます。
2つ目はハートシートといいまして、ヒト(自己)骨格筋由来の細胞シートで、重症心不全に用いるものでございますが、こちらについては、投与患者数の企業予測は年間25人程度で、実際、注2にございますとおり、標準的な使用の場合は合わせて1500万円程度を要するというものでございます。
下に※で書いてございますとおり、本年4月にノバルティスファーマ社が申請したCAR-T細胞治療、後ほど説明しますけれども、白血病等の治療に用いる再生医療等製品が承認申請されている。こういったものもございますし、また、現在同じく承認審査中のものとしては、脊髄損傷の治療に用いる再生医療等製品が6月にニプロ株式会社から申請されています。これは自己骨髄間葉系幹細胞を用いるもので、札幌医科大学のシーズを開発につなげたものでございます。
9ページ目で、新聞報道等におきましても一部記事もございましたので、いわゆるCAR-T細胞治療というものについて説明しております。
具体的には、患者由来の免疫細胞(T細胞)に遺伝子組換えを行いまして、がん細胞を捉えて攻撃しやすくした上で、患者の体内に戻して白血病の治療に用いるものということでございます。
ここに書いてありますノバルティス社のキムリアというもので、小児・若年成人の再発・難治性ALLにおける臨床試験では奏効率が約8割ということで、かなり高い治療効果が期待されているものでございます。
日本では現在、承認審査中で、米国では既に承認されております。ALLという効能とDLBCLという効能で承認されておりますが、用法としては1回、単回静脈投与するもので、価格がアメリカにおけるASP、これはメディケアパートBにおける償還価格の基準価格でございますけれども、こちらで5560万円というふうに聞いております。
日本においても同じ効能で承認審査中ということでございますけれども、これらの効能に係る国内での投与対象患者数は250例程度と予測されておりますので、実際の市場規模としては、日本の価格がどうなるかにもよりますけれども、100億円から200億円程度の規模のものになります。
続きまして、10ページ目でございます。「骨太の方針」の中で費用対効果評価について記載がございましたので、それに関する現状をまとめております。
現在、新薬あるいは新医療機器につきましては、新薬については原則60日以内に薬価収載、あるいは新医療機器についても保険適用希望書提出後5~6カ月以内に保険適用区分を決定することとしているところでございます。
費用対効果評価の試行的導入に当たりましては、保険収載時に用いるということではなくて、価格調整に用いる。すなわち、保険償還の可否の判断には用いていないところでございます。現実問題としまして、費用対効果評価の実施につきましては、後ほど説明しますように、第三者による再分析などもございますので、1.5年から2年の期間を要しているところでございます。
これまでの医療保険部会での主な意見につきましては、先ほど御紹介したとおりでございます。
11ページに試行的実施の概要として書いてございますけれども、左側にございますとおり、費用対効果評価の手順として、品目の選定の後に企業による分析・データ提出を行っていただき、さらに第三者による再分析を行って、総合的評価を行って、最後に価格調整を行うという形で行っておりますので、費用対効果評価の分析にやはり1.5年から2年ほど要しているというのが試行的実施での現状でございます。
12ページ目におきましては、今回、費用対効果評価の試行的実施の対象となった医薬品7品目、医療機器6品目を参考として掲載してございます。
13ページ目で、こちらも新医薬品あるいは新規医療材料等につきまして、通常は年4回、保険収載の機会を設けているということで、カレンダー形式で示したものでございます。
14ページ目をごらんいただければと思います。こちらも4月19日の部会で参考として出させていただいておりますけれども、イギリスの場合ですが、医薬品がNHSのもとで償還されるためには、評価機関であるNICEが行う評価において、費用に見合った価値があると判断される必要があるということでございます。
その結果、実際、医薬品へのアクセスが悪化したといったことで患者団体などの反発などもございまして、いろいろ別のスキームも設けているということを御紹介しております。1つはPatient Access Schemeといいまして、NICEにおいて費用に見合った効果が認められないと評価されたものについて、企業が医薬品の価格の引き下げ、あるいは薬剤費の払い戻しなどを行うことで、NHSのもとでの償還が認められるようになるというスキームですとか、あるいはCancer Drug Fundといいまして、NICEの評価により使用を制限された抗がん剤等について、公費で助成し、患者アクセスを確保するために設立された基金。こういったものもあるということでございます。ただ、このCDFにつきましては、予算金額を大幅に超過するとか、そういった課題もあるというふうに聞いているところでございます。
最後、15ページ目で「骨太の方針」で保険外併用療養について記載がございますので、現状について、簡単でございますが、記載しております。保険外併用療養としては、保険導入のための評価を行う評価療養等と保険導入を前提としない選定療養があるということで、保険外併用療養が認められれば、保険適用外部分は患者から料金徴収が可能とされているという制度でございます。
次の16ページに概要を示しておりますけれども、保険診療との併用が認められている療養として、評価療養と患者申出療養。こちらは保険導入のための評価を行うもの。それから、選定療養として保険導入を前提としないものということで、評価療養としては先進医療ですとか、あるいは治験に係る診療など。それから、選定療養としては、いわゆる差額ベッドなどが対象とされているというものでございます。
以下、参考資料を載せてございますので、適宜、御参照いただければと思います。
説明は以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
いかがでございましょうか。高額医薬品の保険収載の話です。
それでは、森委員、どうぞ。
○森委員 ありがとうございます。
今、薬剤管理官から14ページのイギリスの医薬品の償還についてという御紹介がありましたけれども、ちょうど2010年当時ですか。Patient Access Schemeが入ったときに私もイギリスに視察に行っていたのですが、何とかイギリスでも必要な医薬品にアクセスできるようにさまざまなことを検討しているときでした。イギリスの例を見ても、やはり患者が必要な医薬品にアクセスする、確保することが必要だと思います。
それで今、安全性、有効性が確認された医薬品等は速やかに保険収載をするという方針ですが、そのことに関しては維持すべきだと思います。医療上必要なものを、経済性であったり、予算の制約を理由に保険収載を見送るべきではないと思います。
また、保険外併用療法という話がありましたけれども、経済的な理由で使える患者さんが限られてしまって、公的保険の意味がなくなってしまうのではないかと思います。
先ほど日本での新薬の開発というお話がありましたが、薬価制度の抜本改革が行われました。医療の質の向上、それから、イノベーションを評価しようということで行われましたけれども、新薬を開発した企業にとっては、保険収載されないということはイノベーションを評価されないばかりか、開発意欲をそぐことになって、新薬開発へのブレーキにもなりかねないのではないかと思います。
ただ、今後、新たな高額薬剤等が出てくる可能性を考えると、医療保険財政との関係も確かに重要だと思います。費用対効果の本格導入の議論を進めるとともに、高額薬剤といっても、さまざまなものが出てくる中で、何か新たな課題が出たときには中医協で議論をした上で、薬価制度の中で緊急かつ個別の対応を図るべきだと思います。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
ほかに何かございますか。
安藤委員、どうぞ。
○安藤委員 ありがとうございます。
医療の高度化が進む中で、最先端の医療を誰もが受けることができて、なおかつ健康を享受することのできる社会の実現は国民の誰もが望んでいることであると考えております。したがいまして、医療技術の進歩であるとか、新薬の研究開発への意欲をそぐような仕組みをつくってはいけないと考えております。
当然のことながら、今後、高額な薬剤であるとか、医療技術の保険収載を認めていくというふうに考えられますけれども、それであるならば、薬剤の自己負担の見直しなど、真に保険給付すべきは何かということをしっかりと議論して、当然、中医協での議論というふうになると思いますが、めり張りのある保険給付を実施できるような仕組みを考えていく必要があるのではないかと考えています。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
中医協での議論ということになりますと、薬価の制度については中医協の議論ですね。こちらの議論も当然あるわけです。
ほかにございますか。
それでは、菅原委員、どうぞ。
○菅原委員 ありがとうございます。
画期的な新薬の登場は、患者のみならず社会全体に非常に大きなベネフィットを与えますので、これは大変な朗報だと思いますし、その恩恵を広く国民に広めるための仕組みは大変重要だと考えております。一方で、先ほど来、お話にありましたように、高分子のバイオ医薬品は製造コストも非常に高いものがありますし、極めて高額になります。保険財政的には大きな懸念材料ということも事実であります。
おそらく、これからそういった薬が出てくることはほとんど明らかなのですけれども、それに対して、我々はどのように対応していくかということを考える時、そういった薬そのものが今、全ての患者さんに対して著効、つまり非常に高い、シャープな効き目をもたらすわけではないのも事実ですので、そういう対象患者さんを選別する正確な同定技術というのでしょうか。そういったものと同時に開発して、そういうものがセットになって出てきたものに対して、より高い報酬をつけるような制度設計も一方で考えておく必要がありますし、そういった精度の高い患者さんに対しての適正ガイドラインをきちんと考えておく必要が多分あるのだろうと思います。
現状の日本の医療保険制度ですと、高い薬剤はDPCの包括の中でも当面のところ2年程度は適用外になりますし、何より高額療養費制度がございますので、現状、薬剤費適正化の方向に働くインセンティブが非常に弱い制度になっていると思います。そういった意味では費用対効果のような考え方は一方でやはり大事にしなければいけないのかなという気もしております。
それから、今、高額療養費制度の話をしましたけれども、高額療養費制度があることで、バイオシミラーのようなものがあったとしても、結局、先発のバイオ医薬品とほとんど利用者の負担が変わらなくなってしまうものですから、他国のバイオシミラーの利用状況に比べて著しく日本のバイオシミラーの普及は遅れている状況もあるかと思います。そういった利用適正ガイドラインの考え方もきちんと整理しておく必要があるかなと思います。
もう一つ大事な点は、我が国の薬価制度では累次にわたる改定で基本的には薬価は下がってしまう仕組みで、これはほかの国に比べると変わった制度であるとも言えます。良い薬をつくって、市場が大きくなることは社会に非常に貢献しているわけですけれども、そのたびごとに薬の値段が下げられるのは、製薬メーカーにとってみると非常に開発インセンティブを削がれることでもありますし、次の新薬の原資を確保できないリスクも高まるわけです。
今、この薬価制度は保険制度の中でやっていますけれども、基本的には保険政策と産業政策といいますか、研究開発の振興政策を薬価という1本の仕組みの中でやらなければいけないという非常に苦しい立場があるのだと思います。保険政策としては薬価の引き下げは、ある程度、仕方がないですが、一方で産業政策として、例えばR&D投資減税をするとか、画期的な製品から生まれた利益に対しては法人税を多少減免するとか、ほかの制度と組み合わせて、良い薬が世の中に出て、かつ、それを多くの人に普及できるような仕組みを考えていただければ良いのかなと思っております。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。薬価政策以外の幅広目の形の産業政策とのバランスをとるということですね。
ほかに何かございますか。大体よろしゅうございますか。
またいずれ、具体的に議論も出てくる可能性も将来ありますけれども、本日はこのぐらいにさせていただきたいと思います。
それでは、次に「平成29年度の医療費・調剤医療費の動向」。これについて、事務局から説明をお願いしたいと思います。
○山内課長 資料4-1と資料4-2に基づきまして、平成29年度の医療費の動向等について御説明いたします。
まず、資料4-1をごらんいただけますでしょうか。「Press Release」と書かれている1枚目がございまして、そこの【調査結果のポイント】の囲みの上に書いておりますけれども、厚生労働省では、医療費の動向を迅速に把握するために、医療機関からの診療報酬の請求データに基づいて、医療保険と公費負担医療分の医療費を集計して、毎月、最近の医療費の動向として公表しています。
概算医療費と呼んでいますけれども、国民医療費の約98%に相当するということになっています。
【調査結果のポイント】の囲みの1つ目の○でございますが、平成29年度の医療費は42.2兆円になっておりまして、前年度に比べて約0.9兆円の増加となっています。
囲みの下に【参考】として表がございますけれども、一番上の行が医療費となっています。その下に医療費の伸び率、対前年度伸び率を表示しています。医療費の伸び率は、平成25年度と平成26年度は大体2%程度で推移していましたが、C型肝炎治療薬の高額な薬剤の影響等がありまして、平成27年度は3.8%、平成28年度は-0.4%で、一時的に高くなったり、低くなったりということがありました。
ただ、平成27年度と平成28年度の変動もならしまして、平成25年度から平成28年度まで2.2%から-0.4%までを平均すると、大体1.9%になっていたということであります。
平成29年度につきましては、医療費の伸び率が対前年度比で2.3%なので、これは基本的には最近の傾向とおおむね同程度と見ているということでございます。
医療費の伸びのその下に括弧書きで(休日数等補正後)と書いていますけれども、医療機関の稼働日数を補正した伸び率ですが、平成29年度でいえば、日曜日や祭日などが平成28年度と同じであったということで、補正後の数値もほぼ同じ値になっています。
下の2行ですけれども、医療費は1日当たり医療費と受診延べ日数との掛け算となっていますので、医療費の伸び率もこの2つの要素に分解できるということになっています。平成29年度は1日当たり医療費の伸び率が2.4%、受診延べ日数の伸び率が-0.1%になっておりまして、近年の傾向として、基本的には受診延べ日数はマイナス傾向、それから、1日当たり医療費は増加傾向という形になっていますけれども、平成29年度も同様の傾向になっているということかと考えております。
もう一度、囲みの中に戻っていただきまして、3つ目の○でございますが、診療種別に見た医療費の伸び率ですけれども、入院で+2.6%、入院外で+1.6%、歯科で+1.4%、それから、調剤で+2.9%になっています。これは最近の傾向から見ますと、入院がやや高目、調剤が低目になっていますけれども、全体としては、最初に申し上げたとおり、平成29年度の医療費の伸び率は+2.3%で、最近の傾向とおおむね同程度と見ているということでございます。
続きまして、資料4-2をごらんいただけますでしょうか。これも「Press Release」と書かれている1枚目で御説明いたしますが、医療費のうち調剤医療費につきましては比較的、電算化の普及が早かったので、平成17年ごろから、この電子レセプトのデータを収集しまして、調剤医療費の動向を作成してきたということでございます。
【調査結果のポイント】として囲ってある1つ目の○をごらんいただけますでしょうか。平成29年度の調剤医療費、電算処理分ということですけれども、7兆6664億円になっておりまして、対前年度伸び率は3.1%になっております。先ほど概算医療費の数値が2.9%と御紹介しましたが、おおむね同程度ということになっています。
それから、年間の処方箋枚数は大体8億3000万枚ぐらいあるのですけれども、2行目にあるとおり、処方箋1枚当たりの調剤医療費を見ますと9187円で、対前年度伸び率は1.9%になっています。
1つ目の○の3行目ですが、内訳を見ますと、技術料が1兆9122億円で、対前年度伸び率が3.4%、それから、薬剤料が5兆7413億円で、対前年度伸び率が2.9%になっています。先ほど概算医療費のところで、平成29年度の調剤医療費が低目と申し上げましたけれども、基本的には技術料につきましては、これまでの伸びの傾向と大きくは違いませんで、薬剤料が例えば薬価改定のなかった平成25年度などに比べると低くなっている。そういう状況が見えるということでございます。
それから、1つ目の○の最後から2行目ですが、後発医薬品の額ですけれども、後発医薬品の薬剤料は1兆92億円になっておりまして、対前年度伸び率は16.9%になっております。
3つ目の○でございますが、最初の行に書いておりますけれども、後発医薬品の割合ですが、平成29年度末なので、平成30年3月ですが、現在使っている数量ベースの指標で73.0%になっております。前年度末が68.6%でしたので、伸び幅としては+4.4%ポイントと上昇したということになっています。
以上、保険薬局における調剤医療費の動向を御説明しましたが、薬剤については入院や外来に含まれる分もありますので、引き続き医療費全体の動向などを見ていきたいと考えているということでございます。
説明は以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明について、何か御意見があればいただきたいと思います。いかがでございましょうか。
横尾委員、どうぞ。
○横尾委員 質問です。資料4-1で示していただいた医療費が、たしか平成28年度は少し減っていたのですね。
○山内課長 減りました。
○横尾委員 それで、資料4-2のデータの3ページで見ますと、平成28年度は調剤に関しましても0歳から全ての年齢層にわたってマイナスになっているのです。もし肝炎とか何かの治療だけが主となる大きい影響であれば、0歳とか発達児まではなかなかマイナスにならないはずですが、マイナスになっているということは、この年については何の影響があったかという分析をされていますでしょうか。
○遠藤部会長 事務局、どうぞ。
○山内課長 資料4-2の3ページの表3をごらんいただいているかと思いますけれども、そこの平成28年度の欄がマイナスが並んでいますが、基本的には報酬改定のある偶数の年には調剤医療費の伸びは一旦低目になります。これは薬価改定の影響などが全体に及ぶということがあります。平成26年度や平成24年度などにつきましても、大体、全体的にマイナスとはなっていませんが低い伸びとなっていますけれども、平成28年度は特に薬価改定の影響などが大きめにあらわれたということはあると考えております。
○横尾委員 ありがとうございました。
○遠藤部会長 ほかにいかがでございましょうか。よろしゅうございますか。
それでは、こういう医療費、調剤費の動きをしているということの御報告でありました。
続きまして、本日の資料につきまして、事務局、何かほかにございますか。
○鹿沼課長 私のほうから、参考資料を簡単に御紹介させていただきます。
参考資料1は、予算概算要求の参考資料。
参考資料2につきましては、未来投資会議の資料でございます。
参考資料3-1、参考資料3-2は、経済財政諮問会議において当方の厚生労働大臣からの提出資料、また、有識者議員からの提出資料でございます。
そして参考資料4で「被用者保険の適用拡大について」ということで、こちらは年金部会のほうで出された資料を抜粋するような形でお配り申し上げております。
短時間労働者の被用者保険の適用につきましては、平成28年10月から501人以上の企業で月収8.8万円以上。そうした要件を満たす短時間労働者に適用拡大し、また、平成29年4月からは500人以下の企業でも労使の合意に基づき、企業単位で短時間労働者への適用を可能とする。そうしたような改正を行ってきたところでございます。その上で、平成31年9月までにさらなる適用拡大について検討を加え、その結果に基づき、必要な措置を実施することというふうにされているところでございます。
こうした中で、9月14日の年金部会におきましては、適用拡大について議論が行われまして、その際、委員の方からは、事業主や保険者への影響を踏まえた議論を行うとともに、業界にヒアリングをするなど、丁寧な対応が必要である。そうした指摘がなされたところと聞いております。
このため、厚労省といたしまして、短時間労働者を含め、働き方が多様化する中での被用者保険の適用のあり方につきまして、医療保険と年金とあわせて検討を行うことが可能であり、かつ業界団体等のステークホルダーからヒアリング等を丁寧に行えるよう、別途の意見交換の場を設けることも含め検討させていただきたいと考えております。委員の皆様には、この点を御承知おきいただければとお願いしたいと思いますし、また、そこの検討の結果に応じまして、この部会でも議論をしていただくこともあろうかと思いますが、その点についてもよろしくお願いできればと思っております。
もう一つ、本日御欠席になりました樋口先生から、こちらの冊子を医療保険部会の先生方にぜひお配りしてくれという御依頼がありましたので、お手元に置かせていただいております。どうぞよろしくお願いいたします。
以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
それでは、ただいまのことについて、何か御意見、御質問があれば承ります。
横尾委員、どうぞ。
○横尾委員 直接、今の説明内容ではないのですが、全体にかかわることなので、感じていることを1つ述べさせていただきたいと思います。
保健事業と介護予防の一体的な実施に関する有識者会議ができて、私も構成員として参加しています。そして、その中でも強く感じていることとして、昨日、佐賀県で後期高齢者医療広域連合の首長会議を行ったのですが、その中のやりとりで幾つかの意見が重複していました。それがどんな問題意識かといいますと、世の中でオピニオンリーダー的な方々の御発言や著書の中にも、医療に関する経費、社会保障制度に係る費用は大変大きな財政支出になって、国家的な問題になっているということは言われているところです。このことは安倍総理大臣も公の場でもおっしゃっております。
このことを解決するためには、例えば医療保険部会が守備範囲とされている範囲で言いますと、過去のやり方を踏襲していけば、どうしてもどこどこを節減する、どこどこを削るしかないと思うのです。でも人間、考えてみれば、一方では健康をどう保つかということに腐心しているわけです。あるいは医療の費用としてコスト数値が出なくても、ひょっとしたら高齢者になればなるほど、介護保険の中に費用が出てしまったりしていることもあると思われます。
そうすると、トータルとして日本人が長寿社会になった中で、その辺をどうするかというところを、どこかでしっかり全体を俯瞰しながら、よりよい調整をし、政策効果をお互いに、足し算を超えて掛け算になるぐらい効果が出るようなことを考える部局があって、あるいは人材がいらっしゃって、厚生労働省で考えていく必要がとても強くなってきていると感じております。ぜひ、そういったことをしていただくことが重要かと思っています。
例えば健康な状態を延ばすということは先日の有識者会議でも話題になって、今、ヒアリングを行っているところですが、それは今まで、ひょっとしたら予算的に余りがなく、それぞれ自治体や企業のそれぞれ健保組合でやってくださいだけだったかもしれません。でも結果的に、このことが効果を出してくれば、例えば糖尿性腎症患者数がぐっと減っていくとか、あるいは大きな重症になることを予防できるとか、介護にならざるを得ない方々を未然に防止できるとかになります。そうなれば、財政的にも国としても多分助かるはずなのです。そして、何よりも当事者である個人が少しでも健やかに、健康に、元気に生活をすることができるようにQOLを保てるわけです。
ぜひ、そういったことについて、関連の皆さんは医療保険部会の守備範囲という殻を破っていただいて、関係のところにも破っていただいて、お互いに破って、オーバービュー、俯瞰をしながら、こうあるべきではないかということを考えていただくのが長期的に見て大事ですし、今、大変重要なタイミングではないかと感じておりますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
これは私個人というよりは、複数の首長が強く感じ始めておりますので、この場をかりて伝えさせていただきました。ぜひよろしくお願いしたいと思っています。
○遠藤部会長 貴重な御意見、ありがとうございました。
ほかに何かございますか。
それでは、佐野委員、どうぞ。
○佐野委員 済みません。横尾委員の大きな話の後に大変、小粒な話で恐縮なのですけれども、今、御説明あった適用拡大の部分ですが、やはり、この適用拡大は従来から健保組合にとっては非常に財政的な負担増になっております。しかも業種による偏りが大変大きいという特徴がございますので、今後、さらなる適用拡大を検討するに当たっては、やはり詳細な財政影響等の試算等も慎重な検討をお願いしたいと思います。
また、適用拡大に当たっては他の制度、任意継続制度とか、もしくは資格喪失後の継続給付とか、そういったものとの関連もぜひセットで検討いただきたいと思います。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。重要な御指摘だと思います。
松原委員、どうぞ。
○松原委員 横尾委員のおっしゃったことは私たちも常に考えていまして、前も私が申し上げたのですけれども、お年寄りから生きている間に取るのではなくて、人生が終わったときに一定の金額、例えばもし100万円であれば、100万人は大体1億の100分の1になってきますから、合計で年間1兆円にもなります。そういった、人生が終わったときに清算していただくような仕組みを考えたらどうでしょうか。そうすれば、お年寄りが90歳になっても老後のためにお金をためなければいけないと言っておられるような大変心配な状況からは脱します。もっと発想を変えてやらねばならない時期に来ていると思います。
お年寄りが増えるのは、私たち日本国民がだんだん年老いていくのは仕方のないこととしても、お年寄りがみんな幸せに、日本国民みんなが幸せに暮らせるという視点から、もう一回考え直してはいかがでしょうか。その一環として、今、私どもがやっているのはACP、つまり、どのように人生の最終段階の医療を受けるかということを相談して、なるべく本人の望まない医療を受けずに、安らかにこの世を終われることを考える仕組みをつくっております。それも推進すると同時に、財政的にはお金がかかるのは確かですから、何か殻を破った考え方を厚生労働省さんもお考えになって、財務省さんとお話しいただければと日々思っているところでございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
ほかに何かありますか。
それでは、新井参考人、お願いいたします。
○新井参考人 本日は『高齢者のクスリと今』という、この冊子の配付を御了承いただきまして、ありがとうございました。
昨年の4月、厚労省医薬・生活衛生局医薬安全対策課の中に設置されました高齢者医薬品適正使用検討会へ、私どもNPO法人高齢社会をよくする女性の会をメンバーとして加えていただきました。私たちは素人がゆえに、NPOとして何ができるだろうかと考え、家でどんなお薬の飲み方をしているかを調査してみようということになりました。私どもの2カ月にわたる調査で5,415票という回答を得ました。
これは検討会の先生方も、その数の多さとその半分は後期高齢者だったことに驚かされました。対象は65歳以上でしたけれども、50%が65~74歳、75歳以上が48%もいたということに先生方は注目され、この調査結果を念入りに見てくださいました。資料としてパソコンに出ているのは第5回の検討会、昨年の12月22日に、樋口恵子とこの調査を主にいたしました石田路子が発表させていただいたものです。
その後、このままにしておくのはもったいないではないかという御意見も頂戴して、この冊子を自費出版いたしました。
どうぞ、ご覧いただきまして、御助言、あるいは御指導等を頂戴できればありがたいというのが樋口から申し上げたかったことでございます。
ありがとうございました。
○遠藤部会長 貴重な資料、ありがとうございます。
私もこれを拝見させていただいて、これだけの高齢者、これだけのサンプルをとったというのはすごいなと思いまして、なかなか高齢者のお考えや行動がよく把握できないのです。統計上、調査上、なかなか難しいわけですけれども、どういうノウハウを使われたのかなということも非常にあれで、80歳以上が4分の1ですからね。
○新井参考人 それは私たちも結果として驚きました。
機縁法ですから、年齢別に配付したわけでもありませんし、グループ会長を通して65歳以上の方にお願いしたのですが、皆様の関心の高さと、多剤の不安、どこへ相談していいかわからないということも自由記述の中から出てきましたので、引き続き考えていきたいと思っています。
○遠藤部会長 ありがとうございました。じっくり読ませていただきます。
ほかに何かございますか。よろしゅうございますか。
それでは、長時間、積極的な御議論、ありがとうございました。
初めてのペーパーレスでしたけれども、いかがでしょうか。なかなか新しい試みなので、いろいろ工夫が個人的に必要かなと。スクロールをするとか、メモができないとか、いろいろありますので。
それでは、本日はこのぐらいにさせていただきたいと思います。
事務局から何か連絡はありますか。
○鹿沼課長 いえ、特段ございません。
○遠藤部会長 よろしゅうございますか。
それでは、次回の開催日程につきましては、追って事務局から連絡をするようにしてください。
本日は御多用の中、お集まりいただきまして、どうもありがとうございました。これにて終了します。

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