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2017年11月29日 第3回がん診療連携拠点病院等の指定要件に関するワーキンググループ(議事録)

健康局がん・疾病対策課

○日時

平成29年11月29日(水)10:00~12:00


○場所

全国都市会館 3階 第1会議室(東京都千代田区平河町2-4-2)


○議題

1)がん診療連携拠点病院に求められる機能に関する提案について
2)がん診療連携拠点病院等の指定要件について(各論1)
(1)標準治療の実施について
(2)保険適応外の免疫療法等の取扱いについて
(3)診療実績について
(4)相談支援センターについて

○議事

○事務局(丸野) それでは、定刻となりましたので、ただいまより第3回「がん診療連携拠点病院等の指定要件に関するワーキンググループ」を開催いたします。

 構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中、お集まりいただきまして、まことにありがとうございます。

 それでは、以後の進行は西田座長にお願いします。

○西田座長 今日で第3回目になります。これまで1回目、2回目でがん診療連携拠点病院等の指定要件に関しても検討しましたけれども、主にはゲノム医療をどうするか、ゲノム中核病院の要件をどうするか、連携病院の要件をどうするかということでやってきまして、こちらのほうは親会に答申しましたので、まず一段落ということで、今日から本格的に連携拠点病院の指定要件を議論してまいりたいと思います。ぜひよろしくお願いします。

 まず、資料の確認を事務局のほうからお願い申し上げます。

○事務局(丸野) 事務局より丸野でございます。

 資料の確認をお願いいたします。

 まず、座席表、議事次第。

 資料1 第3期がん対策推進基本計画を踏まえたがん診療連携拠点病院に求められる機能に関する提案(都道府県がん診療連携拠点病院連絡協議会提出資料)

 資料2 今後のがん診療連携拠点病院等の指定要件に関するワーキンググループの主な論点

 資料3 都道府県がん診療連携拠点病院連絡協議会 がん登録部会Quality Indicator研究(東参考人提出資料)

 資料4 がん診療連携拠点病院等における保険適応外の免疫療法等について(調査結果報告)

 資料5 臨床研究法について(医政局研究開発振興課)

 資料6 がん診療連携拠点病院等における診療提供体制について

 資料7 がん診療連携拠点病院等の指定要件に関するワーキンググループへの意見(早坂構成員提出資料)

 資料8 がん診療連携拠点病院等における相談支援について

 参考資料1 がん診療連携拠点病院等の指定要件に関するワーキンググループ開催要綱

また、構成員の皆様には机上資料としまして、

 がん診療連携拠点病院等の整備について(平成26年1月10日付健発0110第7号厚生労働省健康局長通知)

 がん対策推進基本計画中間評価報告書(平成27年6月19日)、こちらは第2期がん対策推進基本計画の中間評価です。

 がん対策推進基本計画(平成291024日)、こちらは先日、1024日に閣議決定されたものです。

 これらを御準備しております。

 資料に不足、落丁等ございましたら、事務局までお申し出ください。

 また、以上をもちまして撮影を終了し、カメラをおさめていただきますよう御協力をお願いいたします。

○西田座長 それでは、議事次第に沿って議論を進めてまいりたいと思います。

 最初に「2 議題」の「1)がん診療拠点病院に求められる機能に関する提案について」ということで、こちらは都道府県拠点病院連絡協議会から提案をいただいておりますので、その事務局をしていただいています国立がん研究センターがん対策情報センターの若尾先生から御紹介をお願いできますでしょうか。

○若尾構成員 どうもありがとうございます。それでは、資料1をごらんになってください。

 今、御紹介いただきましたとおり、都道府県がん診療連携拠点病院連絡協議会の事務局として御報告させていただきます。

 まず、資料1の1ページ目の上です。拠点病院連絡協議会というのは、こちらにある上の文章は、26年1月に出ました整備指針に書いてあることですけれども、都道府県拠点病院と国立がん研究センター中央病院、東病院が参画する連絡協議会を開いて、情報収集、共有、評価、広報などを行うということで、マル1からマル4のことを実施しております。

 下にある図が構成で、実際にはこの協議会の本体のほかに、臨床研究部会、がん登録部会、さらには情報提供・相談支援部会、緩和ケア部会と4つの部会を持っています。

 8月に行われました第1回のワーキンググループで御報告させていただきましたとおり、この協議会で今、第3期の基本計画案を、当時、案でしたので、案を受けての整備指針に関する提案をまとめているということで御報告させていただいたものを、本日報告させていただくことになります。

 それを作成した経緯ですけれども、1ページ目の下をごらんになってください。まず、親会のほうでは6月16日にアンケートを発出して、7月25日に協議会で審議し、その後、追加意見等を募集しまして、案を9月20日に作成しました。

 一方、情報提供・相談支援部会では、相談支援が特に重要ということで、この部分は別途、活動をしておりまして、6月5日にアンケートを発出、7月12日に部会を開いて、さらに細かい審議が必要ということで、都道府県拠点の相談支援センターにかかわる者10人から成るワーキンググループを組織しまして、そのワーキンググループで3回検討して、ワーキンググループ案をつくって、それを部会に諮り、さらに親会のほうに諮って、今回提出したものになります。

 まず、1ページ目で、こちらがかがみとなります。2ページ以降となりますが、こちらの本体を今週の月曜日、本協議会の議長であります中釜国立がん研究センター理事長より福田健康局長に提出させていただいたところです。

 今回の資料としましては、まず2ページ、3ページに概要がございます。4ページから5ページにかけて、個別項目の詳細な説明がございます。最初に御説明したとおり、相談支援につきましては別途検討しておりますので、6ページと7ページに相談支援センターに関する整備指針における意見書という形でまとめさせていただいています。

 それ以降、横の表になっていますのは、今の26年1月の整備指針に関して、これは相談支援の部分だけなのですが、このように変更してはどうかという具体的な提案となっています。

 2ページから御説明いたします。最初に述べましたとおり「第3期がん対策推進基本計画」ができましたので、それに基づいて、また新たな機能等が拠点病院に求められてくる中で、それを現場として今、計画に掲げた機能を実現するために拠点病院の整備指針あるいはその周辺について、どのようなことをお願いしたいかということの提案をまとめさせていただいたものです。

 全体として3項目ございます。

 【全体1】をごらんください。

 まず、下線の部分を中心に御紹介いたしますが、都道府県内のさまざまな拠点病院を取りまとめて、そこに対して都道府県内のがん医療の課題や解決を目指した役割を持っております。都道府県拠点だけではそこの役割を果たすことが難しくて、自治体と連携しないといけないということで、都道府県拠点の活動を有効なものにするためには、自治体に対して、ぜひ都道府県拠点と協力するということを厚労省のほうから御連絡いただくとともに、指針に対して、行政とのかかわりを明記していただきたいということが1つ目です。

 【全体2】、がん診療連携拠点病院がしっかりと機能するには、病院全体で体制整備を進めることが重要と考えております。今までの整備指針、きょうの別添ファイルでございますが、結構、機能別あるいは部署別に書かれております。例えば、緩和ケアについては緩和ケアチームが対応する、相談支援については相談支援センターが対応するということで、本来は、拠点病院全体として対応すべきことがしっかりと書かれていないということで、病院全体として取り組むべきことを整理して明記することが必要であると考えます。

 【全体3】は常にお願いしていることなのですが、拠点病院の機能は年々ふえてきています。それに伴う財政的な支援を含めて適切な支援をお願いしたいというところがございます。

 その下に、個別が15項目ありますが、個別につきましては4ページ以降で御説明いたします。本日、時間が限られていますので、若干、抜粋となりますがお許しください。

 まず【個別1】のゲノム医療につきましては、これから整備されますゲノム医療中核病院との医療連携についても体制整備をしていただくということ。

 【個別2】の標準的治療に関しましても、前回の1回目のワーキンググループで発言させていただきましたけれども、がん診療が外来診療にシフトしてきていますので、そこにしっかりとメディカルスタッフを配置するとともに、外来化学療法などでも十分な人員を含めた体制を整備することが必要だと考えます。

 【個別3】では、チーム医療を推進するためには、専門家の配置だけではとどまらず、事務担当者の確保なども必要となってきます。

 【個別4】では、入院から外来までの継続的なリハビリテーション、がんリハが進められる体制が必要です。今は、がんリハは外来では診療報酬がとれない状況になっています。

 【個別6】、【個別7】はまとめて御説明させていただきますと、希少がん、難治がんあるいは小児がん、AYA世代のがんにつきましては、均てん化というよりは集約化が必要です。がん診療連携拠点病院が集約化によって指定された専門的な施設にしっかりとコンサルトできるような体制整備が必要だと考えております。

 【個別8】も大きな課題ですけれども、病理診断もがん診療の非常に大きなポイントとなります。診断困難な症例に関して、中央病理診断システム等を活用するとともに、積極的に活用を促すような整備が必要と考えます。

 【個別9】です。がん診療の質を上げるために、がん登録のデータを活用することは重要だと考えます。さらにがん登録につきましては、がん登録の実務者に関する機能強化補助事業の補助金が廃止されてしまって、今、その雇用ができない施設などもあり、非常に困っている状況が続いていますので、そこの改善をお願いしたいです。

 さらに、緩和ケアについては、今後、地域拠点に関しても緩和ケアセンターの整備ということも検討されていますが、都道府県拠点と同じような緩和ケアセンターでは過重となりますので、例えばゼネラルマネジャーのみの配置ということでもかなり緩和ケアの機能をまとめるということで有効と考えますので、そのことを御検討いただければと思います。

 社会連携、就労支援の【個別10】、【個別11】に関しましては、病院の中だけではこの機能を満たすことができませんので、院内に出られるような体制です。就労支援では基本計画にもありましたトライアングル型サポートなどもするためには、病院の外に相談員などが出る体制が整えられることが必要と考えます。

 最後に【個別14】、【個別15】につきましては、がん教育、予防、検診に関する普及啓発には、これも拠点病院だけではできないことで、拠点病院に協力するということを明記した上で、自治体との連携をしっかりと指導していただければと思います。

 続きまして、相談支援についても御報告させていただきます。

 6ページをごらんになってください。1つ目、都道府県がん診療連携拠点病院におきましては、都道府県のがん対策推進計画と都道府県のがん対策主管課との連携をしっかりと強化していただきたいということ。

 基本計画にございます自殺対策では、相談支援センターがセーフティーネットの中心となりとありましたが、自殺対策は相談支援センターだけで対応できるものではございません。病院全体、さらにいえば地域全体でカバーする必要がございます。そこを都道府県、地域との連携をしっかりと指導していただければと考えております。

 相談支援センターの周知も、病院だけ、あるいは相談支援センターだけでできるものではございません。行政との連携が必要です。

 さらに(4)の社会的支援につきましては、一次産業や自営業などは、就労支援に対する支援策が非常に少ない状況にございます。そこにつきましても、行政の協力が必要です。

 2.として拠点病院の役割については、(1)も非常に重要だと考えております。先ほども申しましたとおり、今までの整備指針は各機能別に書かれていて、そこの医療者がどのような対応をするかという一番肝のところが書かれていない状況です。そのために、患者さんが非常に困ってしまう。相談支援センターにも行き着かないという状況が残念ながら発生しているところです。

 そこで、全ての主治医チームにより十分な患者さんのコミュニケーションをとるようなことをしっかりと整備指針に書き込むことが重要と考えます。

 7ページに行ってください。3.相談支援センターが整えるべき人員、役割についてです。相談支援センターの機能がますます大きくなってきております。そのような中、今は専従1人、専任1人なのですけれども、これを常勤の専従が2人以上というようにまず体制を整備した上で、これも第1回の際に御報告させていただきましたけれども、看護師だけ、ソーシャルワーカーだけではなくて、看護師及びソーシャルワーカーの方、両方の職種を配置すること、さらに継続的・系統的な研修をしっかりと受ける体制を確保することで、相談員の質を担保することが必要だと考えます。

 最後、相談支援センターの活動の指標につきましては、単に相談件数だけではござませんで、継続的な教育研修の機会の確保であったり、患者サロンあるいは患者会への支援などの活動状況についても指標とすることが有効であると考えております。

 最後の表につきましては、資料8の検討の際に、別途、御報告したいと考えております。

 以上となります。

○西田座長 非常に膨大な資料を簡潔にまとめていただきまして、ありがとうございます。

 これは、健康局長に出されたものなので、全てをここで議論することではないので、それを頭の隅に置きながら、今のを読んでいただければありがたいなと思います。

 若尾構成員の発表に関しまして、スペシフィックに何か御質問、御意見はありますでしょうか。

 安藤先生、どうぞ。

○安藤構成員 名古屋大学の安藤ですけれども、大変詳細に現場の肝を突いたコメントで、感服いたしました。

 1つ質問があるのですけれども、私どもの病院のように、がん以外も総合的に見る病院と、国立がんセンターあるいは都道府県がんセンターのようにがんだけを基本的に見る病院では、例えば全体で取り組むべき内容を整理したりとか、財政的な支援については、どうしても違いが出てくると思うのですけれども、そういった病院の機能の違いについてはどのようにお考えでしょうか。

○若尾構成員 これにつきましては、この協議会でまとめたというよりは、私の私見も入るということで発言させていただきたいのですが、総合病院であっても、がん診療連携拠点病院という冠を持つ限りは、がん患者さんに対してしっかりとした対応をしないといけない。特に自殺対策などで非常に暗い顔をしている患者さんがいたときに、がん患者ではないから知らないよということをほかの医師がしたら、それはもう言語道断の話で、そのようなことがあってはいけない。拠点病院は病院として、それはがん患者だけではないことはわかりますが、しっかりと拠点病院であれば患者さんに対して医療を提供しないといけないと考えております。

○西田座長 ありがとうございました。

 多分、自殺だけではなくて就労支援もそうですね。がん患者さんだけの問題ではなくて、ほかのところもございますので、決して総合病院だからできないということは多分、ないと思いますので、基本的に必要なことはぜひここで入れていきたいなと思います。

 三好構成員、お願いします。

○三好構成員 ありがとうございます。1点質問がございます。

 5ページ目の【個別14】のがん教育のところなのですけれども、拠点病院が協力する体制の構築を進めることとあるのですが、今、文科省のほうで外部講師が医療者と患者ということを言われておりますが、具体的に医療者の職種についてはどういったことをお考えか教えてください。

○若尾構成員 まず、質問の前なのですが、文科省で外部講師の医療者の確保が非常に難しいという中で、地域にひもづいた医療機関でボリュームがあるところとしては、拠点病院が一つの外部講師を供給する候補ではないかと考えます。それがさらに政策的な役割も担っているというところでもあることが重要と考えます。

 医療者の職種については、必ずしも医師である必要はなく、看護師、その他医療者であっても文科省のテキスト等も整備されてきていますので、お話はできるのではないかと考えております。

○西田座長 こういう拠点病院が、できるだけそういったがん教育にも協力していくということなので、ぜひこれはやっていかなければいけないかなと思います。私自身も実は先週、築地の銀座中学校に行って講義をしてきましたけれども、ぜひこういうことを全国でやっていただければありがたいと思います。

 ほかはございませんでしょうか。よろしいですか。

 それでは、若尾構成員から最初のところは御発表いただきました。次は、今日の本質のところでございますけれども、引き続き「2)がん診療連携拠点病院等の指定要件について」の各論のところを議論してまいりたいと思います。

 最初のところで、事務局のほうからもう一回、論点のまとめをお願いしてよろしいですか。資料2に沿って簡単にまとめていただけますでしょうか。

○事務局(丸野) 事務局より丸野でございます。

 簡単に資料2の御紹介をしたいと思います。

 これまで、第1回、第2回のワーキンググループでの論点という形でまとめさせていただきました。ほぼ前回までと同じですので、かいつまんで御紹介させていただきたいと思います。

 「1.診療に関する事項」の「マル1 以下の事項を新たに追加してはどうか」について、本日のワーキンググループでは「保険適応外の免疫医療法等の取扱いについて」を取り扱いたいと思います。

 「必須」「原則必須」「望ましい」の部分につきましては、それぞれ該当する要件についてご議論いただく際に、その都度、検討をさせていただきたいと思います。

 また、本日のワーキンググループでは、手術療法、放射線治療、化学療法、病理診断について、現行の指定要件をもとに再検討してはどうかを議論したいと思います。なお、ライフステージの部分、高齢者の部分やAYA世代の部分に関しましては、次回以降にご議論いただきたいと思います。緩和ケアにつきましても、次回以降の議題とさせていただきたいと思います。

 診療実績に関しましては、本日のワーキンググループの中で議論させていただきたいと考えています。

 相談支援センターに関しても、本日、議題としております。

 地域連携、社会連携に関する部分につきましては次回以降で、この部分で相談支援センターにかかわる部分もご議論いただければと思います。

 二次医療圏に一つの原則について見直してはどうかというのは、親会であります「がん診療提供体制のあり方検討会」のほうで議題として提案がありましたので、こちらのワーキンググループでも議論いただきたいと思っています。こちらについては次回以降の議題とする予定です。

 また、この議論に並行しまして、現在、拠点病院より新規指定推薦書でもある現況報告書を提出いただいておりますけれども、こちらについてもワーキンググループの指定要件を見直しと並行して、今後の現況報告書のあり方についても見直しをさせていただきたいと考えております。

 事務局からは以上です。

○西田座長 大体の流れがこれで御理解いただけたかと思いますので、早速、今日の各論に入りたいと思います。

 昨今、医療の質というのが非常に求められてきています。そのためには、医療の質とは何か、評価する方法はどのような方法があるかを考えなければいけないのですけれども、がん情報センターの東先生がこれを去年からやっておられますので、東先生、Quality Indicatorの御紹介をお願いできますでしょうか。

○東参考人 よろしくお願いします。

 本日は、おくれて到着いたしまして申しわけございませんでした。

 資料3のスライドに沿って御説明をさせていただきます。がん医療の均てん化の評価ということで、ここのタイトルにありますとおり、都道府県がん診療連携拠点病院連絡協議会がん登録部会を中心として、国立がん研究センターの研究班と共同でQuality Indicator研究を行ってきましたので、報告をさせていただきます。

 がん医療の均てん化というものは、がん対策基本法の目標の一つでもありまして「第1期対策推進基本計画」においても、その死亡率の減少の目標を達成するための要素として、喫煙率、検診受診率とともに考えられておりました。

10年たって目標の達成度が未達成であることが判明したときに、喫煙率、検診受診率に関しましては、それぞれ達成度の数値があったのに対して、均てん化は現実として実態把握の体制もできていない状況でした。

 しかし、その準備という段階におきましては、今回、御報告させていただきますとおり、QI研究という形で進めさせていただいております。

 医療の質ですけれども、そもそも均てん化という言葉の定義ですが、全国どこでもがんの標準的な専門医療が受けられることと定義されております。ですので、均てん化を評価するためには、標準診療がどれだけ実施されているのか、実施率で測定することになるわけです。

 標準診療は、診療ガイドラインの推奨を手がかりとして決めることができますので、それらが漏れなくきちんと行われていることを原則として、質の高い医療と考えまして、標準診療の実施率を質の指標、Quality Indicator、略してQIとして設定するのが基本的な考えです。

 この活動は、平成19年のがん対策基本法の施行直後から実は開始をしておりました。最初は厚生労働省の科学研究費をいただいて、各学会で5大がんを中心として、診療ガイドラインを作成されている先生方にお願いをして、QIをつくっていただくということをしておりました。

 それらを、まずは診療録から測定をしてまいりましたけれども、そこからより広範囲に効率よく測定することを目指しまして、最近では院内がん登録とDPCといった電子データによる測定手法を確立してきたというのがここ10年です。

 次に、今では自由参加の研究ということではありますけれども、都道府県がん診療連携拠点病院連絡協議会がん登録部会を通じて参加募集を行っていて、そこで院内がん登録とリンク可能な形でDPCデータ、あるいはDPCを出せないところではレセプトを収集する体制ができ上がっております。

 その下のスライドは、データの流れを簡単に示したものであります。

 めくっていただきまして、ここでデータ源となっております院内がん登録及びDPCですけれども、院内がん登録は、その施設を受診した患者の基礎データがデータベース化されている。DPCは、その中にEFデータというファイルがありまして、そこでいつ、どのような診療行為がなされたのかが入っております。それらを組み合わせますと、どの患者にどのような診療が行われたのかということがわかりますから、それらを使って、標準診療の実施率を測定するというのが基本的な方法となります。

 8ページ目のスライドが参加施設の数ですけれども、徐々にふえておりまして、昨年から結果を公開しておりますけれども、2013年症例の結果が最新で出ておりまして、本日、午後に公表の予定となっておりますけれども、297施設の参加をいただいております。次の2014年からは、対象を広げましてがん診療拠点病院以外にも声をかけておりますけれども、データの収集が完了しておりますが、424施設からデータをいただいているという状況です。

 9ページ目のスライドが、最近の参加施設の特性となりますけれども、2013年から2014年にかけての参加施設というのは、先ほど申し上げたとおり、大幅にふえております。ただ、この増分の大半は拠点病院以外の施設ということで、拠点病院に関しましては、2014年の参加病院数は頭打ちとなっておりまして、割合にすると分母がふえた分だけわずかに減っているという状況です。

10ページ目のスライドは、これから公表になる2013年の症例における9つの標準診療に関する結果となっております。大腸がん、肺がんなど、5つのがん種及び横断的な支持療法について、全国規模での標準診療の実施率がここでわかりました。

 めくっていただきまして、これらの結果は、参加施設のそれぞれの施設での実施率ということで返却をしております。施設ごとの実施率と分布の図も、スライドのとおり返却しておりまして、ほかの施設は、どこの施設がどの実施率かはわからないのですけれども、ただ、ほかと比べてみずからの施設がどの位置にあるのかはわかることになっております。

 このような大規模な調査体制は確立しつつあるのですけれども、限界が2つあります。一つは初回治療を開始した施設からデータをいただいておりますので、それ以外の施設での診療行為がデータとして捕捉されないということ、もう一つは、全身状態、併存症、患者の希望など、標準診療を行わない正当な理由がありますけれども、データからはこれはわからないということになります。

 これに対応するために13ページ目のような形で、この未実施の患者さんに対しては研究IDを施設に返却いたしまして、協力を得られる施設に関しては、未実施理由の入力をお願いしております。これはDPCのように一括してデータを提出して計算ができませんので、逆に一人一人の検討が必要ということで、大変な作業になりますので、全施設から協力をいただけるわけではないのですけれども、2013年では70施設に参加をしていただくことが可能でした。

14ページ目のスライドは、こうして得られた未実施理由を実際の全体の施設の実施率に加味するとどうなるかということですが、例えば、大腸がんのQIが示されておりますけれども、標準診療の実施率そのものは55.5%となっております。ですので、44.5%が残りということで、未実施になりますけれども、この44.5%のうち、参加いただいた施設の未実施の分布を見ますと、理由が不明ということは13%に限られております。ですので、ほかのデータの限界もしくは臨床上の妥当な理由がある場合は少なからずあるわけですけれども、それを標準診療が実施されたのと同じとみなして計算しますと、少なくとも、この大腸がんのQIに関しては94%が標準診療を考慮して診療が行われているということがいえるということになります。

 めくっていただきまして、同じ計算をほかのQIについても行いますと、15枚目のスライドのようになります。9項目のうち6項目でQIを超える標準診療の考慮率と申しますか、かなり考慮はされていることになります。

 この結果を見ますと、参加施設におけるがん医療の均てん化は余り問題がないことになるかと思いますけれども、ただ、参加施設においてということですので、参加していない施設もあり、このような活動は制度化して、全施設に参加していただかなければいけないのかなと考えております。

 また、これらの結果は、未実施についても現場の個別患者の検討を行っていくことが、改善に向かうという意味では重要です。

 一方で、QIの結果の値をもとに拠点の指定をするといったことは避けるべきであると私は考えています。なぜならば、先ほどごらんいただいたように、未実施であってもかなりの割合で理由があるということもありますので、標準診療の実施を、理由を持って控えるというのも高い質の医療と考えられるからです。

 ですので、この実施率はあくまで出発点として改善をしていくことに使うというのが一番大事と考えております。

 次に、今後の方向性でありますが、これまで測定した9項目は限られておりますので、ほかにもQIを、専門学会の先生方を中心としてつくっていただくということを今、計画中です。また、院内がん登録とDPCのデータは、ほかのがん対策の分野、例えばコストの計算とか高齢者の診療実態などを知るという意味でも活用可能ですので、そういった活用も幅を広げていきたいと考えております。

 最後、駆け足でさまざまなことを申し上げましたけれども、スライドの18枚目にまとめました3点が、まとめとなります。

 1つ目は、QIの参加に関しては制度化が必要ということ。

 2つ目は、QIの使い方はあくまで改善を目標とするべきであるということ。

 3つ目は、このようなデータをQIだけではなくてエビデンスに基づくがん対策全般に必要であるということを強調させていただいて、私の御報告とさせていただきたいと思います。

 御清聴ありがとうございました。

○西田座長 東参考人、非常にうまくまとめていただきまして、ありがとうございました。

 申しおくれましたけれども、これから資料6までは一気に発表していただいて、それまでの間、特にスペシフィックに質問があれば受け付けますけれども、そうでなければ、6まで行って、最終的に総合的に議論していきたいと思います。

 今の発表を見ていただいて、Quality Indicatorというのは非常に重要だなということと、もう一つは、DPCデータと院内がん登録を組み合わせているので、比較的、客観的に見られる。つまり、入力はその施設でやるわけではないので、客観的に見られるのだろうということ。ただ、限界があるということを先ほど言われた。これ以外にDPCデータを使っていますので、入院した患者さんでないと多分。

○東参考人 外来もあります。

○西田座長 外来もいけるらしいので、それでいけるということらしいです。

 スペシフィックに質問がございましたら、どうぞ。

○井本構成員 杏林大の井本と申します。

 スライドの9の2014年のその他のところが131施設でございますけれども、これはどのようなところが参入されていらっしゃるのでしょうか。

○東参考人 こちらは、大半が都道府県で独自に指定している、県によって名前は違いますけれども、都道府県の拠点病院です。国の指定するものは上に書いてありますけれども、その他というのは都道府県独自の指定される拠点病院となっております。

○井本構成員 もう一点コメントなのですけれども、先ほどのスライド15になりますが、理由が確かに改善されるということでございますけれども、これは自由参加の70施設からのデータですね。ですから、あくまでもサンプリングなので、これだけ見るとまるで全部から回答をいただいているような誤解を招くかもしれませんから、その辺を注意されたほうがいいかなと思いました。

○東参考人 ありがとうございます。

 一応、70施設と全体の実施率だけは比べてみまして、そこは余り変わりないということが判明しています。確かに出していないところは理由がない傾向がある、ということがあるかもしれませんけれども、最低限、実施率の差がないことだけは確認をさせていただいているデータです。

○西田座長 ほかに。

 三好構成員、どうぞ。

○三好構成員 今、お話が出た15スライドの部分なのですけれども、患者として思うことが、未実施理由を加味した上で、70施設ということではあるのですが、例えばこの乳房切除後の放射線治療であったりとか、制吐剤のところが理由を加味しても70%少ししか実施率がないということがあるのですが、例えば東先生がごらんになって、ここはどういった理由でこれぐらいの数値しか出ていないのかというのが、もし見解がございましたら教えてください。

○東参考人 私自身は、この臨床現場にいて、乳がんの治療とか化学療法をしているわけではないので、あくまで伝聞になりますけれども、この乳がんに関しましては、経過が非常に長いということで、乳房切除後の放射線治療に行き着くまでに、その前にいろいろな治療をしているということで、その治療のためにデータの期限が過ぎてしまったりとか、患者さんが余りやる気がなくなったというところがあるようです。それの記録がなかったりすると、ちょっとここが理由不明ということになってしまいます。

 この制吐剤の予防的投与ということに関しましては、実はもうガイドラインで確立されているところではあるのですけれども、ただ、基づくエビデンスが海外のエビデンスをもとにガイドラインがつくられているというところで、一定割合、この日本のあるレジュメに関して、余り当てはまらないのではないかと考えていらっしゃる現場の先生がいらっしゃると聞いております。

 ここはまた、日本での臨床試験等を使ってやることで解決をしていかなければいけない問題ではないか。現場の課題というよりは、全体の課題ということがここで明らかになっていると思われます。

 以上です。

○西田座長 実は、逆にガイドラインの評価もこの中に入っているのです。それを頭の中に入れて、これが全て100%正しいと思うと、少し間違いがある。ガイドラインがみんなに納得され使用されているガイドラインかどうかという評価も入っていると思います。

 安藤先生、どうぞ。

○安藤構成員 確認ですけれども、正当な理由のカテゴリーはわかるのですけれども、その理由が本当に正当かどうかということが問題だと思うのですが、これはどなたが入力されているのですか。

○東参考人 この入力自体は、恐らく診療録管理士、がん登録担当が入力しているのではないかと思います。

 病院によっては、医師に問い合わせて、それをアンケート用紙のような形で書いていただいて、それを入力しているということのようなので、さすがにがん登録実務者だけが判断しているということはないと思うのですけれども、そこは検証はできていない状況です。

○安藤構成員 未確定な部分が多いようであれば、むしろ限界をちゃんと提示した上で、もとの未実施理由とかそういうものを加味しないデータのほうがより客観的なデータかなとも感じました。

○東参考人 実施をしたかどうかという意味では客観的だと思います。質がどうかということに関しては、どちらもどちらだと思いますので、その間に恐らく何か真実があるのではないかと考えております。

○西田座長 ありがとうございます。

 大体この辺で次のところへ行きたいと思います。

 先ほど東参考人がおっしゃったように、これはローデータ自身でも問題がある。例えばがんセンターの患者さんと物すごく田舎の患者さんを比べると、年齢から根本的に違う。それで、標準治療実施率を比べると、地域の病院がすごくつらいことになると思います。だから、ローデータというのは数値になった時、我々は気をつけて解釈しなければいけないと思います。その辺、我々はよく頭の中を整理しなければいけないかなと思います。

 次に免疫の話ですけれども、保険適応外の免疫療法等の取り扱いについては、事務局のほうから御説明お願いします。

○事務局(丸野) 事務局より丸野でございます。

 資料4をごらんください。がん診療連携拠点病院等における保険適応外の免疫療法等の実施につきまして、先日、実態調査を行いましたので、調査結果について報告したいと思います。

 まず、現行の整備指針におきましては、がん診療連携拠点病院においては手術、放射線治療及び化学療法を効果的に組み合わせた集学的治療及び緩和ケア(集学的治療等)と、各学会の診療ガイドラインに準ずる標準的治療等の提供が求められております。

 今回、がんの標準的治療等におきまして、免疫療法等、新しい治療がございますけれども、免疫療法におきましては、3ページにございます第3期がん対策推進基本計画の中でも現状を課題としまして十分な科学的根拠を有する治療と、そうではない治療があるということが問題となっております。

 そこで、取り組むべき施策として、国は安全で適切な治療・副作用対策が行われるように、指針等に基づいた適切な免疫療法の実施を推進するということと、科学的な根拠の形成というものが、取り組むべき施策として挙げられております。

 これまで、第1回、第2回のワーキンググループにおきましても、科学的根拠の乏しい免疫療法を含めた保険適応外の治療につきまして、がん診療連携拠点病院の指定要件の中に明確な記載がなかったことを御指摘いただいております。そして、本ワーキンググループでも、議論において科学的根拠に乏しい免疫療法等の取り扱いについても議論すべきではないかとして、御指摘をいただいておりました。

 前回、第2回のワーキンググループにおきまして、保険適応外の免疫療法について幅広く実態調査を行い、今回、拠点病院の指定要件について具体的な取り扱いを検討すべきではないかということで、実態調査を行ったところです。

 おめくりいただきまして、保険適応外の免疫療法に関する実態調査につきまして、報告させていただきたいと思います。調査期間としましては、平成291013日から1025日、対象としましては全てのがん診療連携拠点病院等434施設に実態調査を行っております。内容としては、平成29年9月1日時点で実施されている保険適応外の免疫療法について、その実施の枠組み等について幅広く実態調査を行いました。

 結果として、保険適応外の免疫療法につきましては84施設で行われており、うち79施設においは、標準的治療の確立を目的とした治験などの臨床研究の枠組みとして行われておりました。

 また、再生医療法において届け出が必要な治療法は、14の医療機関で行われておりましたが、こちらについては、全て手続が行われていたことを確認しております。

 臨床研究ではないものの、個別の症例の適応等を考慮して行っているものが5施設ございました。なお、5施設のうち、1施設におきましては、説明文書や同意の取得に関しては行われておりましたが、院内の倫理審査が行われておりませんでした。なお、同機関につきましては、認定再生医療等委員会における審査については行われていたことを報告いたします。

 おめくりいただきまして、こちらには先ほど申し上げた実施施設数を表として記載しております。保険適応外の免疫療法を実施していた施設数としましては、重複がありまして84施設、うち再生医療法上の届け出が必要なものは14施設ありました。こちらにつきましては全て必要とされる手続が行われていることを確認しております。

 また、治験や先進医療を含めた臨床研究以外の枠組みで行われていたものは5施設でした。うち、4施設が再生医療法上の届け出が必要なものでありましたけれども、そちらについても手続が行われていたたことは確認しております。

 5施設につきましては、詳細を下段のほうで示しております。今回、受療中の患者さんがおられるということ、また、平成29年4月以降の患者数で見ますと非常に少ないことから、患者さんへの影響及び個人情報保護の観点から、病院名は伏せて公表させていただきます。

 これで見ますと、5病院のうち1病院、A病院につきましては、再生医療提供等計画の届け出は行っておりまして、認定再生医療等委員会における審査は行われておりましたが、院内での倫理審査につきましては、行われていなかったということは御報告させていただきたいと思います。

 また、B病院に関しましては、再生医療提供等計画の届け出は不要と書いておりますが、こちらにつきましては免疫チェックポイント阻害剤の適応外使用の症例でございました。

 それぞれ症例としましては、例えばA病院におきましては、3月で閉院した診療所の患者を自施設で継続受け入れしていた。また、患者の強い希望にて、適応外使用を行っていた。また、他院の紹介で患者の依頼があったということ。以前、前勤務医が治療を行っていたものにつきまして、今年度、退職されておりますけれども、その患者さんが継続で治療を行っているもの。また、患者の依頼を受けて実施をしていたといった内容になっております。

 免疫療法の調査結果としましては以上になります。

○西田座長 ありがとうございました。

 ほとんどの施設が治験・先進医療でやられていて、それ以外にも臨床研究がある。5施設だけがその3つの枠以外でやっていて、唯一1施設が院内倫理委員会を通っていなかったけれども、認定再生医療等評価委員会は一応通っていた。だから、何らかの委員会は、一度は通っている。ICは一応、全員からとっているという状況でございます。

 何かこれに関してスペシフィックに御質問はございますでしょうか。

 若尾委員、どうぞ。

○若尾構成員 3点教えていただきたいのですが、まず、資料4の1ページ目のタイトルでは保険適応外の免疫療法等の実施ということで調査されているのですが、この結果のところを見ると「等」がなくなっているのですが、その他の保険適応外の治療については今回、調査の対象となっているのかということが1点目。

 2点目は、84引く5の79施設では、治験・先進医療を含む臨床研究ということなのですが、このうち本当に治験が何件で、先進医療が何件で、医師主導が何件というデータは教えていただけるのかということ。

 もう一つ、いろいろホームページ等を見ますと、拠点病院の敷地の中に別組織で免疫療法クリニック、免疫療法を自由診療で提供する施設をつくっているような拠点病院があるのですが、そういうものは今回、調査の対象として挙げられているか。

 その3点について教えてください。

○がん・疾病対策課長 まず、1点目ですけれども、確かにこの調査につきましては「等」は不要で、免疫療法の実施についてということになります。

 3点目ですけれども、これはあくまでも医療法上の医療機関としてのがん診療拠点病院ですので、434の病院が対象になります。

 2点目の御指摘ですけれども、医療機関数でいうと84になりますけれども、件数ベースになると結構多くなりますので、件数ベースでの整理は手元の集計ではまだ間に合っていない状況です。

○西田座長 ありがとうございます。

 若尾構成員ご指摘の1点目に関しては、どこまで調べるかという非常に難しい問題がございまして、実はゲノムのパネルに関しては自由診療なのです。では、そこまでたたくかという話になってしまいますので、今回は、免疫が少し問題もありましたので、問題点だけは明確にしておこうということでやっていただいたと理解しております。

 ほかはよろしいでしょうか。

 三好構成員、どうぞ。

○三好構成員 コメントのみなのですけれども、今回このような調査をしていただいたということは大変ありがたく思っております。

 ただ、後ほど指定要件の中で出てくるとは思うのですが、このような科学的根拠のない、明らかではない治療をするときには、倫理委員会を通すのは当然ながらの最低限の条件にしていただいて、するときには、臨床試験等の枠組みで行っていただくことを、今後、絶対にお約束をしていただくということでお願いをしたいと思います。

○西田座長 的確な御指摘をありがとうございました。

 こういったところは、是非そういう方向で。一つは標準的でない、もう一つはコミュニティ・スタンダード、つまり、世間の医療水準ではない医療をやる場合は臨床試験でやるべきだろうということで、今後来年度からは、臨床研究法が施行されますけれども、その施行のもとで臨床試験をやっていただく。GCP基準でやっていただくというのが基本的にはいいかなと思います。今、やっているところに関しても、基本的にはそのような方向で御検討いただくのがいいと思っています。

 そのように、前向きに進むと思うので、先に用意していただいている臨床研究法の話を、医政局からお願いします。

○医政局研究開発振興課 医政局研究開発振興課の福田と申します。

 私からは、臨床研究法について御説明、情報提供させていただければと思います。

 本法律ですけれども、過去に日本で問題になりました降圧薬に関する臨床研究の不適正事案を受けて、利益相反管理をしっかり確保しながら、適正に実施する法体制を整備すべきというところを受けて、本年4月に成立した法律でございます。

 まず、2ページ目の概要をごらんいただければと思います。臨床研究の実施の手続、認定臨床研究審査委員会による審査意見業務の適切な実施のための措置、臨床研究に関する資金等の提供に関する情報の公表の制度等を定めることにより、臨床研究の対象者を初めとする国民の臨床研究に対する信頼の確保を図ることを通じて、その実施を推進し、もって保健衛生の向上に寄与することを目的とするといったことを目的とした法律でございます。

 現在、細かい症例事項等につきましては、臨床研究部会の中で議論されておりまして、この場で決定事項として御報告することはできませんけれども、概要について御説明させていただきます。

 法律の内容ですけれども、大きく2つに分かれております。

 1ポツ目が臨床研究の実施に関する手続、これは研究実施者の方が担うべき手続でございます。

 2ポツ目が製薬企業等の講ずべき措置。これは資金提供を行う製薬企業等が講ずべき手続と定めております。

 まず、臨床研究の実施に関する手続ですけれども、(1)の実施に関しましては、マル1、実施者に対してモニタリング・監査の実施あるいは利益相反の管理等の実施基準の遵守及びインフォームド・コンセントの取得、個人情報の保護、記録の保存を法的に義務づけるとなっております。後ほど詳細を説明いたしますけれども、対象となりますのは特定臨床研究と法律上定めてございます。

 そういった特定臨床研究を実施する者におきましては、厚生労働大臣の認定を受けた認定臨床研究審査委員会に意見を聞いた上で、厚生労働大臣に提出をするというところを義務づけております。

 また、特定臨床研究以外の臨床研究におきましても、こういった手続を守ることを努力義務として義務づけております。

 (2)に行きまして、重篤な疾病が発生した場合には、手続にのっとって認定審査委員会の意見を聞くとともに厚生労働大臣に報告することを義務づけております。

 また、これまで臨床研究を行う場合には、人を対象とした医学系研究に関する倫理指針にのっとってやっていただいたと思っておりますけれども、今回は法律に基づいてやっていくものでございまして、遵守義務違反があった場合には、指導または監督、具体的には停止命令あるいは改善命令、中止命令といったものを命じることができるとなっております。

 資金提供を行った製薬企業に関しまして講ずべき措置として、マル1、マル2とありますけれども、資金提供をする場合には契約をしてくださいということを義務づけることがまず一点。それから、臨床研究に関して資金提供があった場合には、その情報を公表してくださいというところを義務づけております。

 本年4月に成立しました法律で、1年を超えない範囲について、政令で定める日で施行となっておりますので、来年の4月から実施される予定で、現在は準備中でございます。

 3ページ目で、法制度による見直しの考え方を簡単に御説明させていただきますけれども、これまで研究を実施する場合には、研究機関の長の許可を得てやるとなっておりまして、その際、研究機関の管理者は倫理審査委員会に意見を聞いて、その上で許可を出していたというところでございます。ただし、これが利益相反管理が不十分であったり、あるいは倫理審査委員会もいろいろなところに乱立しておりましたので、研究に対する歯どめにならなかった。また、指針に基づいて実施されるものでしたので、厚生労働省としても行政的指導に強制力がないといったところがございました。

 法律に基づく見直しをされた後には、認定臨床研究審査委員会、こちらは厚生労働大臣が認定した倫理審査委員会に該当する研究を実施する場合には、計画を提出して意見をもらう。その上で、厚生労働大臣に計画を届けて実施するというスキームになります。

 何か問題がありました場合には、改善命令あるいは認定倫理審査委員会の認定取り消しも行われます。企業に関しましても、資金提供を実施する場合には公表を義務づけておりますし、問題があった場合には、法に基づく権限を持って、厚生労働大臣が指導するとなっております。

 4ページ目をごらんいただきまして、実際にどのような研究が対象なのかというところでございますけれども、濃い緑、薄い緑のところが具体的には本対象に入ります。これまで治験として実施されていたものにつきましては、引き続き、GCP省令に基づいて治験の枠組みの中で実施していただくところが一番左です。右に行きまして、当然、一般に診療につきましては、診療ですので法律の対象外。また、手術・手技の臨床研究に関しましては、諸外国の規制状況などを鑑みて、現時点では法律の対象外となっております。

 一方で、未承認適応外の医薬品等の臨床研究を行う場合、また、少しリスクが高いと考えられる臨床研究あるいは製薬会社等から当該企業の薬を使うような研究で当該企業から資金提供を受けて行うような臨床研究の場合には、これは特別に利益相反上の管理が特に必要というところで、特定臨床研究として法律の義務の範囲内となっております。

 一方で、それ以外の臨床研究に関しましても努力義務ということで、基準の遵守義務がかかっております。

 おめくりいただきまして、5ページをお願いいたします。繰り返しの内容ですけれども、研究実施者の方が実施する場合には、実施計画を認定臨床研究審査委員会にかけて、その意見を聞いた上で厚生労働大臣に提出。研究を実施する場合には、法律にあります実施基準等を守ってやっていただく。この内容につきましては、まさに今、議論させていただいているところでございます。違反した場合には改善命令等、必要な指導が行われることになっております。

 また、停止命令あるいは中止命令等で改善されない場合には、罰則が適用されるということもございます。

 重篤な疾病の報告に関しましても、法律上に義務づけられておりまして、特定臨床研究に起因することが疑われる疾病、死亡等が発生した場合には、認定審査委員会に報告を義務づけるとともに、予期しない重篤なものについては厚生労働大臣への報告を義務づけることになっております。

 また、厚生労働大臣も、毎年度、報告を受けた疾病等の発生状況につきましては、厚生科学審議会に報告し、必要な対応を図ることになっております。

 7ページをごらんいただければと思いますが、先ほど来、資金提供と申し上げてきましたけれども、対象の範囲はお示しのとおりになります。具体的には、接遇費等を除くものが対象となりますけれども、それ以外のものに関しましては公表の対象となると整理をしております。

 最後、施行に向けたスケジュールでございますけれども、本年4月に法律は交付されました。1年以内に施行となっておりますので、現在、実施基準等、認定審査委員会の要件なども含めまして、臨床研究部会にて議論しているところでございます。まさにあした部会があるところでございますけれども、間もなく取りまとめが行われるものと思っております。その後、パブリックコメントを経まして、恐らく2月ごろをめどに省令として細かい事項が交付できる予定となっております。

 私からは以上です。

○西田座長 ありがとうございます。

 来年から、現実はこのような形になる。

 先ほどありました免疫療法というのは、これを見ますとどうしても未承認薬適応外の薬になりますので、この範囲でやっていただく形になるかなと思います。

 今、私どものところを含めて、認定臨床研究審査委員会をつくっているところで、これも結構まだ大変なので、これは患者さんにいい医療を届けるためにこのようなシステムをつくるわけですので、ぜひ御理解、御協力いただきたいと思います。

 ここに関しては、御質問はおいて、次に進んで議論を進めていきたいと思いますので、引き続き、がん診療拠点病院等における診療提供体制についてお願いします。これが今回のまず一つの大事なところです。これを事務局から御説明いただいて、その上で総合的にまず一段目の議論をしていきたいと思います。

 事務局からお願いします。

○事務局(丸野) 事務局より丸野でございます。資料6「がん診療連携拠点病院等における診療提供体制について」をごらんください。

 右下にページ番号を振ってありますので、そちらを参照しながらごらんいただきますようお願いします。

 まず、2ページ目、第3期がん対策推進基本計画の概要です。今回、議論していただくのは、この部分の「2.がん医療の充実」の中のがんの手術療法、放射線療法、薬物療法、免疫療法の部分になります。

 3ページ目は、第3期がん対策推進基本計画における記載となっております。この中で、医療提供体制に関しましては、これまで手術療法、放射線療法、薬物療法等を効果的に組み合わせた集学的治療や緩和ケアの提供、がん患者の病態に応じた適切な治療・ケアの普及に努めてきた。しかしながら、標準的治療につきましては施設間で格差があることも指摘されております。

 その上で、取り組むべき施策として、引き続き標準的な手術療法、放射線療法、薬物療法、緩和ケアの提供には努めていくこと。また、医療の質の向上に関する必要な取り組みを行うことを挙げております。

 それらを踏まえた上で、現在の拠点病院の指定要件として、4ページ以降に記載をしております。こちらには診療実績要件、医療施設要件、人的要件を記載しておりますが、中でも診療実績の要件として、現在、院内がん登録数、悪性腫瘍の手術件数、がんに係る化学療法ののべ患者数、放射線治療ののべ患者数についてそれぞれ規定しておりますのと、2次医療圏に居住するがん患者のうち、2割程度について診療実績があることとしております。

 医療施設に関しましても、それぞれ外来化学療法の設置や放射線治療に係る機器の設置などの要件が記載されております。

 5ページには、診療従事者に関する要件を記載しております。実際に、整備指針の中では、医師と医師以外の診療従事者についてそれぞれ要件が決められております。手術、放射線診断・治療、化学療法、病理に関する人的配置が記載されております。本日のワーキンググループでは審議しませんけれども、緩和ケアチーム、相談支援センター、院内がん登録の部分についても、それぞれに診療従事者の要件が設定されております。

 それぞれ診療実績の要件で見まして、現在、拠点病院等における状態はどのようになっているのかというのを次ページ以降にグラフとしてまとめております。こちらは毎年実施しております現況報告の中で、平成27年1月1日から1231日までの診療実績をグラフとしてまとめたものです。

 院内がん登録に関しましては、診療実績の要件では500件と記載がありますけれども、こちらにつきましては500件以下であるものが23施設。また、整備指針には「概ね満たすこと」という記載があり、この「概ね」については指定の検討会において「9割程度」として運用しております。そこで9割の450件をカットオフ値としますと17施設が満たしていないことがわかります。

 おめくりいただきまして、手術療法に関しては、400件が指定要件ですが、こちらにつきましては400件以下のものが51施設、360件以下のものが45施設、平均で見ますと1,034件、中央値では857件となっております。

 薬物療法に関しましては、のべ患者数が1,000人という要件であり、1,000人以下が93施設、900人以下が78施設、平均で見ますと2,458人、中央値は1,408人となっております。

 放射線療法に関しましては、年間200件という要件で、200件以下のものが84施設、180件以下のものが65施設、平均で見ますと429.7人、中央値は335人となっております。

 このように、拠点病院におきましては集学的治療の実施が求められているということは先ほども述べましたけれども、各治療法の実績という数滴評価については、現況報告書で実績を確認しているところです。

 一方で、標準的治療を実施しているかという質的評価につきましては、先ほど東参考人からも紹介がございましたけれども、現在の現況報告書の中では指標がなく、また、全ての拠点病院等での実施状況については確認できていないという状況にあります。

 今回の論点としては、現在の拠点病院等の診療提供体制、診療実績、診療従事者の配置の要件に見直しが必要なもの、追加が必要なもの、削除が必要なものについては、この後、御議論いただきたいと思っております。

 またその他の論点として、がん診療連携拠点病院等において、標準治療を実施することに関して評価を行うとともに、その結果を国民に幅広く提供するような仕組みを考えてはどうか。

 院内がん登録の情報やDPCデータ等を利活用することで、自施設のがん診療の評価を行うこととしてはどうか。

 今回の指定要件の見直しに合わせまして、現在、行っている現況報告の内容あるいは記載方法についても見直しを行ってはどうか。

ということを論点として挙げております。

 標準的治療等につきまして、先ほど、実態調査の結果を報告しました免疫療法もこの部分に入りますけれども、現行の指針において保険適応外の免疫療法等の実施体制につきまして規定したものはございません。しかしながら、保険適応外の治療を行う際には、安全性や妥当性の評価、患者への適切な説明と同意が必要ではないかと考えております。

 また、先ほど第3期基本計画の記載をご説明いたしましたが、免疫療法に関しては科学的な根拠の集積が必要であるとされていおります。

 論点としては、拠点病院において保険適応外の治療を行う際には、倫理審査や患者説明、同意の手続が適切に行われるような体制を整備することを求めるべきではないか。

 保険適応外の免疫療法については、科学的根拠の集積のために、原則として臨床研究の枠組みで実施されることを求めるべきではないか。

 また、臨床研究を行う際につきましては、平成30年4月に施行される予定であります臨床研究法にのっとった体制を求めるべきではないかと論点を挙げております。

12ページ以降は、実際に現行の整備指針での記載と、議論していただきたい部分について記載をしております。左側が拠点病院に関する記載内容、右側が地域がん診療病院に関する記載内容となっております。

 診療機能としては、先ほど申し上げたように、集学的治療及び標準的治療の提供が求められておりますけれども、こちらに関しては、それをさらに評価するために、自施設におけるがん診療の評価の目的として院内がん登録やDPCデータなどの必要な情報を届け出ることを追加してはどうかということを、事務局から提案しております。

13ページ、現在、保険適応外の治療の提供体制に関しては、明確な記載がございませんので、そちらに関する記載を追加をしてはどうかというところで、当該施設ががんに関する一般的治療かつ標準的治療以外の保険適応外の治療をがん患者に実施する場合は、その適応の安全性や妥当性、倫理性について検討するために、倫理審査委員会を設置し、検討すること。また、検討した保険適応外治療については、がん患者へ適切に説明を行い、同意を得た上で行う体制を整備すること。保険適応外の免疫療法を行う場合については、科学的根拠の集積を目的に、原則として治験や先進医療を含めた臨床研究の枠組みで行うこと。これは拠点病院、地域がん診療病院ともに同様の記載と考えております。

 そのほか、この後は提供体制の部分になります。手術療法の提供体制は現在、手術に関しましては、術中迅速病理診断が可能な体制を確保すること、また、感染に関するサーベイランスを実施することが望ましいなど記載しております。

 放射線治療に関しては、強度変調放射線治療を含む放射線治療に関しては、地域の医療機関と連携するとともに、役割分担を図ること。また、第三者機関による出力線量測定を行う等、放射線治療の品質管理を行うことという記載をしております。

 地域がん診療病院に関しましては、同様の記載の部分と、あとはグループ指定を受けるがん診療連携拠点病院との連携により提供できる体制を求めております。

 おめくりいただきまして、化学療法に関しましては、外来化学療法室において化学療法を提供する患者さんに対しまして、入院できる体制を確保すること。レジメンに関しては審査を行い、組織的に管理する委員会を設置すること。がん看護を専門とする看護師を中心として、治療の有害事象を含めたスクリーニングを行うことなどを求めております。

 これまでは提供体制の部分になります。

 診療従事者の部分、医師の部分をまず紹介したいと思います。医師に関しては、手術療法に携わる常勤の医師を1人以上配置すること。放射線診断に携わる専門的な知識及び技能を有する医師を1人以上配置すること。なお、当該医師については原則として常勤であること。

 専従の放射線治療に携わる専門的な知識及び技能を有する医師を1人以上配置すること。原則として常勤を求めております。

 専任の化学療法に携わる専門的な知識及び技能を有する常勤の医師を1人以上配置すること。原則として専従を拠点病院で求めております。

 地域がん診療におきましては、手術に携わる医師を1人以上配置すること。放射線治療に携わる専従の医師を1人以上配置すること。

 化学療法に携わる常勤の医師を1人以上配置すること。原則専任となっております。

 これら原則とされている部分に関しても、今回、御議論いただければと思います。

17ページです。診療従事者の部分が続きますけれども、化学療法の部分につきましては今回、省略をしております。

 カにつきましては、専従の病理診断に携わる常勤の医師を1人以上配置すること。

 キにつきましては、今、二次医療圏に1つの原則としていますけれども、その二次医療圏で医師数が300人を下回る二次医療圏に関しましては、当面の間、緩和した要件を求めています。こちらにつきましては、専任の放射線治療に携わる専門的な知識及び技能を有する医師を1人以上配置すること。原則として常勤としております。

 専従の病理診断に携わる医師を1人以上配置することとなっております。

 地域がん診療病院におきましては、病理診断に関する医師は専任という記載をしております。

 また、医師以外の診療従事者におきましては、18ページ以降になりますけれどもア、専従の放射線治療に携わる常勤の診療の診療放射線技師を1人以上配置すること。

 なお、当該技師を含め、2人以上の放射線治療に携わる診療放射線技師を配置することが望ましいとしております。

 また、当該技師につきましては、放射線治療専門放射線技師であることが望ましいとしております。

 また、専任の放射線治療における機器の精度管理、照射計画の検証、照射計画補助作業等に携わる常勤の技術者等を1人配置すること。こちらに関しましては、医学物理士であることが望ましいとしております。

 また、放射線治療室に専任の常勤看護師を1人以上配置すること。こちらに関しては、がん放射線療法看護認定看護師であることが望ましいとしております。

 地域がん診療に関しましては、専従かつ常勤の放射線技師を1人以上配置すること。この「2人以上が望ましい」の部分が抜けているような状況です。

 また、医学物理士に関しましても、地域がん診療病院に関しての記載はございません。

 看護師に関しましても、専任かつ常勤としております。

19ページ、イの常勤の薬剤師を1人以上配置すること。薬剤師に関しましても、がん専門薬剤師、がん薬物療法認定薬剤師であることが望ましいとされております。

 また、化学療法専任の常勤の看護師を1人以上配置すること。こちらに関しましても、がん看護専門看護師またはがん化学療法認定看護師であることが望ましいとされております。

 エに関しては、専任の細胞診断に係る業務に携わる者を1人以上配置すること。こちらは細胞検査士であることが望ましいとしております。

 地域がん診療病院に関しましては、常勤の看護師、薬剤師と看護師のほうが逆転しておりますけれども、薬剤師に関しては常勤の薬剤師を1人以上配置することが望ましい。認定資格等については問いません。看護師に関しましては、がん看護専門看護師もしくはがん化学療法看護認定看護師であることが望ましいとしております。

 また、細胞検査士に関しましては、地域がん診療病院においても記載をしております。専任の部分が抜けております。

20ページは医療施設の部分になります。こちらに関しては、

 ア 放射線治療に関する機器を設置すること。

 イ 外来化学療法室を設置すること。

 ウ 原則として集中治療室を設置すること。

 エ 白血病を専門とする場合は、無菌病室を設置すること。

 オ 術中迅速病理診断を含めた病理診断が可能である病理診断室を設置すること。

 カ 冊子や視聴覚教材などを用いてがん患者及びその家族が自主的に確認できる環境を

   整備すること。

 キ がん患者及びその家族が心の悩みや体験等を語り合うための場を設けることが望ま

   しい。

としております。

 地域がん診療病院の要件では、集中治療室に関しては望ましいとなっております。

21ページ、診療実績の部分になります。先ほど紹介しましたけれども、診療実績につきましてはマル1またはマル2をおおむね満たすこととしておりまして、ア、イ、ウ、エそれぞれ院内がん登録、悪性腫瘍の手術件数、がんに関する化学療法のべ患者数をそれぞれ規定しております。当該2次医療圏に居住するがん患者のうち、2割程度について診療実績があることとしております。

 地域がん診療病院に関しましては、当該2次医療圏のがん患者を一定程度診療していることが望ましいとして、明確な診療実績要件は規定しておりません。

 診療提供体制の部分ですが、臨床研究及び調査研究に関しましても、拠点病院には記載がございまして、臨床研究及び調査研究におきましては(1)政策的公衆衛生的に必要性の高い調査研究への協力体制を整備すること。

 (2)臨床研究等を行っている場合は、次に掲げる事項を実施することという形で、成果を広報することとか、治験コーディネーターを配置することなどを規定しております。ここに、臨床研究を行う場合は臨床研究法にのっとった体制にて実施することと記載してはどうかと考えております。

 また、地域がん診療病院に関しましては、そちらの記載がございませんので、拠点病院と同等の記載を求めてはどうかと提案をいたします。

 事務局からは以上になります。

○西田座長 非常にたくさんの情報をまとめてお話しいただきました。

 最後の、スライドで言ったら21のところは、今どうなっているかを棒グラフにしてもらっています。一番左端に当たるところが、条件をまだ満たせていないところがこれぐらいあるということがわかるように、ちょうど条件のところでカットしてもらうようにしました。済みません。

 スライドでいきますと10枚目に、どのように議論していくかが書いてあります。基本的にここは、皆さん、多分、御同意いただけると思うので、1枚めくっていただいて、先ほどちょうど免疫療法の話がございましたので、まずそこから始めていきたいと思います。11枚目のところです。うまくまとめていただいていますけれども、こういった免疫療法等に関しては、このように考えたらどうだとまず論点を整理していただいているのですけれども、構成員の皆様方から、まずここに関して御意見はございますでしょうか。

 若尾構成員、どうぞ。

○若尾構成員 先ほどの質問とも関連する話なのですが、この論点1で保険適応外の治療を行う際は倫理審査、患者説明などの手続が必要ということはよいと考えます。次の13コマ目のところはア、イで、イでも検討した保険適応の治療はちゃんと適切な説明をして導入を行う体制を整備するということなのですが、ウの最後の段階で、また免疫療法に絞ってしまっているのです。先ほどの調査の対象は免疫療法だったということなのですけれども、ただ、流れからいったら最初の適応外の治療を行う際には倫理審査を行って、患者説明をして、同意をすることが必須とすべきで、最後だけ免疫療法に限っていますけれども、これは限るべきではないと思うのですが、そのあたりはどうでしょうか。

○西田座長 そこに関して、御意見ございますか。

 多分、この辺が非常に微妙なのは、緩和ケア領域であったり外科領域であったり、そのあたりは木澤委員、どうですか。

○木澤構成員 ありがとうございます。

 緩和ケア領域では、薬剤の適応外使用は実は割と日常的に行われていて、もちろん患者さんに同意をとって実施はするのですけれども、それを全部、倫理委員会に通せと言われると物すごく膨大な量になってしまって現実的ではないので、何らかの形で書きぶりを考えていただいたほうがよろしいかなと思っています。

○西田座長 ほかはございますか。

 安藤構成員、どうぞ。

○安藤構成員 議論の中で、臨床研究と診療における適応外使用が少し混同しているように思うのですけれども、倫理委員会はあくまで臨床研究に対する審査であって、この臨床研究法のスライドの4ページ目にもありますけれども、適応外の場合には、倫理委員会ではなくてそれを審査する専門の部門を設ける形で、そこで審査をする。具体的には、例えば倫理委員会であれば外部委員がいるとか法律の専門家とかいろいろ要件が加わりますけれども、そこまでは、日常診療の診療としての適応外使用に求めるのはハードルが高いかなと思います。

○西田座長 ありがとうございます。

 ほかはございませんか。

 どうぞ。

○井本構成員 先ほどの資料4の最後の御説明でも、届け出が出ていないところがありますけれども、実は今、13ページの項目だけを見ると、逆に、プロセスをしていれば承認するようにむしろとられないかなと。

 例えば、アのところは「設置し検討する」ですけれども、そこは承認するとか、もう少し強く、施行者だけではなくて病院全体としてレギュレーションがかかるような形に変えたほうがいいのかなという気もいたします。

○西田座長 ありがとうございます。

 ここの場合はきっと、先ほど言ったように侵襲、介入がありますと、当然の話として、ただ単に施設の倫理委員会ではなくて、認定の倫理委員会、IRBに出さないといけないと思いますので、相当ハードルが高くなるかなと思います。

 ほかはございませんでしょうか。

 三好構成員、どうぞ。

○三好構成員 たびたび済みません。

 先ほど若尾委員からもありましたが、論点の2つ目の免疫療法も「等」が抜けているという点。

 あと、先ほど言い伝え忘れたのですけれども、患者さんが、効果がわからないものを多額な自費で行っている研究もたくさんあるかなと思うのですが、本当に多額なお金、いろいろなお金をつぎ込んで、患者さんたちがこの治療に向き合っているというところもいろいろ考えていかなければいけないのではないかと思っています。

 今、13ページの項目をいろいろ御検討いただいているのですが、全て必ず必須要件にしていただきたいということが大前提なのですが、1点、患者さんへの情報提供をきちんと行っていただきたいということを追加いただきたいと思います。安全性や有効性をきちんと知った上で、患者さんたちがここに入っていくというところを書いていただきたいなと思います。

 以上です。

○西田座長 それは、ちゃんとインフォームド・コンセントをとってやってくださいねということですね。

○三好構成員 はい。

○西田座長 承知いたしました。それはもう当然だと思いますので、そうだと思います。

 ほかはございませんでしょうか。

 どうぞ。

○若尾構成員 その情報提供ということになりますと、もう少し話が広がってしまって、次の相談支援のところでも出てくるのかもしれませんが、例えば拠点病院ではこのような治療はできない、自由診療はできないといったときに、拠点病院の外で自由診療の免疫療法のクリニックを教えてくれというのは実際に今、相談支援センターに寄せられていることなのです。それを拠点病院の相談支援センターとして提供すべきものなのか、それは好ましくないのかということもしっかりと規定しておく必要があると思います。

 それと同時に、先ほどのように、例えば同じ施設内の同じ敷地の中にある別組織のクリニックを紹介することは事実として起こっているので、そのようなことは拠点病院として本当にいかがなものかということで、しっかりとその辺まで定義する必要があると考えます。

 それと、木澤先生がおっしゃった「緩和等」については、ちょうど13こま目のウのところにある「原則として」で逃げられるのかなという気もいたしますが、そこが「緩和等」という形で少し広げた上で「原則として」とすることで、ほかのところもカバーできるのではないかと考えます。

○西田座長 そこは結構、難しいところで、外科のところなどは標準が結構ないところがございまして、再建方法などは標準が結構ないのです。それでは、標準治療は一体何なのだという話になりますので、そこは微妙かなと私自身は思います。

 ですから、私はアのところで1つ入れてもらって、コミュニティ・スタンダードになっている治療に関しては、ガイドラインに書いていなくてもいいのではないかというか、認めざるを得ないかなと実は思っています。裁判でもそうですね。世の中でそれが標準でやっていることを、医療水準として求められますので、どれが医療水準かというのは議論があるかと思うのですけれども、そこはある程度、仕方がないかなと思います。

 その中で、インフォームド・コンセントのことは少しちゃんととってやっていただくということは書き込んでいくのは重要ではないかと思います。

 木澤構成員、そのような感じでよろしいですか。

○木澤構成員 はい。

○西田座長 そうなると、緩和ケアのところも大きな問題はないかと思います。

 そういうことになりますと、ほとんどの免疫関係のことに関して言えば、4月からは特定臨床研究という形になって、ほぼ9割以上がそうなると思いますので、それに合わせてやっていただくようにしなければいけないかなと思います。

 ほかはよろしいですか。

 どうぞ。

○安藤構成員 繰り返しになりますけれども、臨床研究としてやらない、一般診療の拡大としての適応外使用が、今の文言だと対象にならないように思うのですけれども、研究ではなく、その患者さんに特化して、よかれと思ってやる、診療の一環としての適応外使用も最近、特定機能病院に求められているような審査する部門をきちんと設けてやるべきではないかと思います。

○西田座長 それは多分、それぞれ皆さん持っているのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。大抵、大学関係あるいは拠点病院関係であれば、薬事委員会であったり、そういった委員会はつくっていると思うのですけれども、いかがですか。

 何か発言はありますか。

○医政局研究開発振興課 医政局研究開発振興課でございます。

 先ほど御説明させていただきました資料5の4ページですけれども、下のところで恐らく御議論いただいているような何か新しいこれら新規医療技術であったりとか未承認を使う場合には、医療法の施行規則の中で、しっかりとした部門を設けて、そこで導入のプロセスを踏んでくださいという決まりがありますので、現行の規定の中でも十分対応できているのではないかと思います。

○西田座長 そういう理解で進めたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。

 どうぞ。

○若尾構成員 そこの確認なのですけれども、今の13ページの書きぶりだと、臨床研究でないものは認めないということ。それは、拠点病院であればそういうものはやらないということは皆さん、委員の先生方は合意していただいているということでよろしいのですか。

 拠点病院では、緩和等の例外を除けば必ず研究として行うというところですか。

○西田座長 一般診療でなっていなければということですね。

○若尾構成員 はい。

○西田座長 これは先ほど、臨床研究法に載っている未承認という範囲ではそうならざるを得ないかなと思います。

 どうぞ。

○安藤構成員 私が理解していないのかもしれません。

 先ほど、臨床研究法のスライドの4ページの右下にあるような一般の医療としては、今は特定機能病院以外は努力義務としてそういう部門を設置することになっておりまして、臨床研究ではない場合は、努力義務で各施設によっては自分たちのルールに従って適応外使用を行っていると考えています。

 今、議論されている臨床研究においては、この書きぶりでいいと思うのですけれども、恐らく問題となるような多くの医療行為に似た行為は、臨床研究の形をとることはむしろ少なくて、隠れてひそひそとやるようなことが多いと思いますので、診療としての適応外使用もしっかり明記すべきではないかと思います。

○西田座長 診療としての適応外使用は、基本的にはそれなりの適応外使用の委員会等で評価していただくので、いいのではないでしょうか。

 臨床研究にするのかそういった委員会へ通すかは、非常にグレーな部分は多少あると思うのですけれども、そういう言い方をして運営するのがいいかなと思います。

 課長、何か意見はございますか。

○がん・疾病対策課長 今いただいた御意見をもとにして、整理したいと思います。

 2点、確認ですけれども、アの4行目の「倫理審査委員会を設置し検討すること」で、これは倫理審査委員会という言葉をかなり広く書いてしまっているので、先ほど来の指摘にありましたように、委員会といってもさまざまな形の委員会がありますので、これをうまく書き分けられるような工夫はしたいと思います。

 あと「設置し」に係るところでいうと、臨床研究法にあります自院内でなくてもセントラルIRB的なところでやる場合もありますので、その点についてもこの設置ということが、必ずしも自院内でなくてもよいということもわかるような書き方にしたいと思います。

 あと、検討することは確かに承認をいただかないとだめですものね。これは確かに検討ではなくて、委員会からちゃんと承認を得るということにしたいと思います。

 また細かいところは修文の上、最終的に拠点病院の要件を定める際に改めて御議論いただきたいと思います。

 以上です。

○西田座長 ありがとうございます。

 逆に言えば、スライドの1113のところはおおむねコンセンサスを得ているかなと思います。

 どうぞ。

○がん・疾病対策課長 もう一点、御相談なのですけれども、先ほど三好委員から、ウは免疫療法だけか「等」かという指摘があったのですけれども、これは免疫療法だけを実は想定して、そのためにあえてア、イの一般論に加えウを書いたところです。

 なぜウを特出しして免疫療法にしているかと申しますと、先ほどの資料4のスライド3をごらんください。今回の第3期がん対策推進基本計画では、今までの3大治療法に加えて、免疫療法ということを特出ししたことから、免疫療法に特化した形での項立てをしているところです。

 ちなみに、先ほど同じ資料4のタイトルで、こちらは何で免疫療法「等」をつけたかというと、資料2の1のマル1の一番下のポツが保険適応外の免疫療法「等」と入っていましたので、こちらに引きずられて「等」が入った。それで混乱をさせてしまったことをおわびいたします。

 そういうことで、ウは免疫療法に特化したことで、あえて特出しした書き方をするということでよろしいでしょうか。

○西田座長 そこはよろしいですか。

 私も実は、そこのところはアとウが重なっているねと思ったのですけれども、現在のところ、免疫療法が一番問題になっているので、ここは特出しせざるを得ないかなと改めて考えているのですけれども、よろしいでしょうか。

 そこのところは御了解いただいたということで、もう少し詰めていきますけれども、12番のところで、先ほど、東参考人に御紹介いただいたクオリティー・インディケーターというものになると思うのですけれども、DPCデータ等を届けるようにするということに関しては、何か御意見はございますでしょうか。

 追加で東参考人、コメントはありますでしょうか。

○東参考人 もう実際には70%弱の施設でやっておりますので、集めていくことが制度化されても十分対応可能ですし、それが望ましいと思います。

○西田座長 よろしいですか。

 どうぞ。

○若尾構成員 この部分ではないかもしれないのですが、これだと届け出することで終わっているのですが、実際、得られたデータによって、自施設の医療の質の改善に取り組むこともどこかに書く必要があると思います。

○西田座長 どちらかというとそちら側のほうが重要だと思います。

 届け出ることは重要ではなくて、それを届け出て、自分たちが全体の中でどの辺の位置にあるかを御理解いただいて、どのような方向に病院を持っていこうかというのがクオリティー・インディケーターの本来の姿ですので、ぜひそれは入れておいてと思います。よろしくお願いします。

 よろしいですね。それでは、ここはそういう方向でまいります。

13に関しても今、御議論いただきましたのでよろしいかと思います。

 その次の手術療法、放射線治療、後ろのところも含みながら、ここの条件に関しまして、いかがでしょうか。

 放射線治療に関して、大西先生、何かございますか。

○大西構成員 ありがとうございます。

 この資料の 14番目のマル3の提供体制については、かなり放射線治療学会の学会内でも議論がありまして、アの書きぶりが、強度変調放射線治療などを含む放射線治療に関して地域の医療機関と連携するとともにとなると、役割分担として果たして拠点病院は何をするのだというのが非常に曖昧で、連携をするということしか書いていないので、ここは拠点病院である以上は、強度変調放射線治療と定位放射線治療の高度照射技術が拠点病院レベルで標準的な施行をするべき医療技術だろうと学会では判断しております。そこで、強度変調放射線治療と定位照射等に関しては、拠点病院で行えることをある程度書き込んでいただいた方が良いのではないか。これは必須とか、原則必須とか、望ましいとか、どのレベルで書くべきかという御判断はまだ議論が必要だと思いますけれども、そのような書きぶりに変える必要があるだろうと考えております。

 というのは、今、実は400以上ある拠点病院の中で、IMRTができていない施設が半分以上あって、果たしてその状況の中で、望ましいとか原則必須という形にすると、かなり数が絞られる可能性があるのですが、それはある程度いたし方ないという判断と、あと、それからなぜできていないのかというと、常勤の放射線治療に2人以上いないと保険がとれないというのが背景にあって、そこが一番、足かせになっております。がん拠点病院の多くで、医師1でやっている施設が多いためIMRTできていないというのがわかっておりまして、ここに関しては、実は来年度の診療報酬改定の施設要件の中で、IMRTの施設要件の見直しを、医師1に併せて、先ほど出てきている医学物理士などが支援することで、症例数限定でやれるような仕組みを医療技術評価提案として提案させていただいているので、そちらの動きがどうなるかにもよるのですが、御理解いただければと思います。

○西田座長 承知しました。

 そのような状況らしいです。

 多分、本来的にIMRTは確かに非常に望ましいのだけれども、あとは病院にとってはちゃんと費用がいけるかどうかというのが多分ディシジョンメーキングで大きな問題になるかなと思います。

○大西構成員 医師1がいる施設で、機械もあるし、技術もあるし、物理士もいるのだけれども、医師2が必要という保険上の施設要件が足かせになってといるので、そこがクリアされれば恐らくがん拠点病院の300以上の施設でできるようになると思いますということが、背景としてございます。

○西田座長 どのような形で書き込むかというのは考えないといけないかなと思います。

 あと、もう一つ私が気になっているのは、放射線のところで、品質管理が非常に重要かなと私自身はむしろ思っております。これは出力だけで本当にいいのかという問題もありまして、そこら辺に関しては十分に施設間で均てん化が行っていないのではないかという気がするのですけれども、大西委員、いかがですか。

○大西構成員 これも今、第三者出力評価という言葉自体は、放射線治療の質的な、最終的な治療の質を担保するという意味で、物理的に評価をするという意味では共通的な理解と、要件みたいなものが基本にあるのですけれども、これも書きぶりとして、例えば原則必須以上にするべきだと思います。

 あとは、評価だけして、ずれていたらどうするべきかということをここに書きこんでいないので、そこについても書き込まなければいけないということを学会でも指摘しております。

○西田座長 ここのところは、どこまでちゃんと評価するか、ファントムまで使ってやるかどうか、結構色々なレベルがありますので、だから書き込み方次第ではできないところもでてくるのではないかと思います。

○大西構成員 おっしゃるとおりです。

○西田座長 よろしいでしょうか。

 最初のところで、IMRTのところをどう書き込むかというのは考えさせていただけますでしょうか。適正な医療を届けなければいけないのですけれども、同時にハードルが余りに高くなって、拠点病院が全国から消えていってしまうことも非常に問題があると思いますので、そこは少し健康局とも相談させていただいて、やらせていただきたいと思います。

 どうぞ。

○佐々木構成員 今のところのアの病理診断のところなのですが、手術療法の提供体制のところで、アの下線以下のところ、なお当該体制は遠隔病理診断でも可とするという文言がついているのですが、17のスライドで、実は17の診療従事者のカのところ、がん診療連携拠点病院には専従の病理診断に携わる常勤の医師を1名以上配置することとなっていて、医師が常勤でいるのに、遠隔病理診断というのはちょっとあり得ないのかなと思っておりまして、この14枚目のスライドのアの下線以下は要らないのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

○西田座長 専門家から、非常に細かいところですけれども。私は外科医として、実は微妙にあってもいいのかなと思うところはあります。なぜならば、病理医が全てのところに関してエキスパートかというと、必ずしもそうではなくて、遠隔病理診断でコンサルトできるようにしておいたほうが私は安全かなと思っているので、むしろあっても、矛盾することではないと思っているのですけれども、いかがでしょうか。

○佐々木構成員 そういう解釈であれば、了解いたします。

○西田座長 それでは、次にまいります。

15のところは化学療法に伴うのですけれども、最近、外来化学療法が非常にふえてきております。重要なところだと思いますけれども、こちらのほうで御意見ございますか。

 看護協会から来ている梅内さん、何かございますか。

○梅内構成員 ありがとうございます。

 外来化学療法室においては、がん看護専門看護師や化学療法看護認定看護師を初めとする看護師を中心として治療の有害事象を含めた苦痛のスクリーニングを行いということで、このように継続してやっていきたいと思います。

 特にこれに追加するような資格認定はございませんので、今の表記のとおり継続で。

○西田座長 よろしいですか。

 患者会のほうから特にないですか。

 ここはチーム医療でちゃんとやっていただくということが非常に重要かなと。多職種のチーム医療が非常に重要かなと思っています。

○三好構成員 1点だけ質問なのですけれども、化学療法室というのが拠点病院によっていろいろな環境があるように思うのですが、例えばこのような書きぶりはどこかにありましたでしょうか。

 環境をととのえるというようなものは。

○若尾構成員 最後のところではないでしょうか。

○三好構成員 書いてあれば大丈夫です。

○西田座長 いいですか。

○三好構成員 はい。

○西田座長 それでは、皆さんここは問題ないと。

 その次の16に関しても、ここは先ほど放射線のところがありましたけれども、これは人的な話なのですけれども、大西構成員、何かございますか。

○大西構成員 1つだけ確認なのですが、放射線治療に関しては専従という書きぶりでよろしいと思うのですが、放射線診断のほうについては専任という書き方で、5割以上ですけれども、その他の業務に従事して差し支えないという書き方で、これはイメージとしては、例えば放射線診断の専門医のようなものではなくて、例えば内科の先生が画像診断を専ら5割以上やっていればよしとするというようなイメージでいらっしゃるのか、画像診断のところをあえて専任にされた理由は何かありますか。

○西田座長 私自身は、その辺はよく背景は存じ上げませんけれども、例えば病院でこういうところがございます。呼吸器内科の先生がCTなどを圧倒的に読んでいる。しかも彼らのほうが詳しいので、そういう病院もあるということを念頭に置いているのかなとちょっと思いました。

 課長、何か追加でありましたら。

○がん・疾病対策課長 この専任、専従につきましては、診療報酬の議論でもいつもそうですけれども、現実的にどのくらいの水準であればカバーできるかということに応じて、その時々、ですから今回でいうと4年前に議論した結果、専従よりは専任ということで議論が落ち着いたので、絶対的な根拠というよりは、その時々の状況に応じて御判断いただくことになります。

○大西構成員 もしかしたら西田先生の御指摘も少しあるのかもしれないのですが、御検討いただいてもいいかもしれません。

○西田座長 ありがとうございます。

 大きな問題はないかなと思いますので、これはこの後、ずっと人的な要件が多いのですけれども、17番、18番の2つに関して、何かございますか。放射線治療、病理のところなのですけれども。

 どうぞ。

○若尾構成員 各論ではなくて、先ほどの論点にもあった原則としての書きぶりについてなのですが、今まで原則としてあるいは望ましいという言葉があって、必須、マストではないものがあったのですが、今、それによってどのようなことが起きているかというと、原則としてというのは、将来、本当はいないといけないけれども、いなくてもいいよと、ちょっと緩い基準になっていて、それが見えない状態で、本当にいるかいないかがわからない状態になっているというのが今の現状だと思いますので、原則としてを、いつまでも原則としてだと、いなくてもいいのかというところがあるので、例えば2年以内にそれを必ず充足するようなことにして、例えば2年猶予期間を置いて、そのときにいなければ、そこはもうなしということで、ただ、なしにしたときに、また別のときの機会にディスカッションすることになるのですけれども、拠点でなくなったとしても、例えば地域診療病院にはなれますということで、それで地域診療病院にすることで、人的要件が拠点ほど整っていないということが見える化、可視化されることになるので、今のように、いるかいないかわからないのに拠点になっているよりは、そこをしっかりと区別するようにするために、この曖昧な表現はやめたほうがいいのではないかと考えます。

○西田座長 ありがとうございます。

 ちょうど17番と関係するのですけれども、経過措置を含めて、原則必須をどうするかという話だと思うのですが、基本的に整理ははっきり必須かそれとも望ましいか、どちらかのほうがわかりやすいですね。

 ほかに何か御意見はございますか。

 課長、何か追加でコメントはありますか。よろしいですか。

 そういう方向で考えたい。

 特に17番の経過措置というのは、ずっと経過措置をしていると経過措置ではなくなるので、これは認めているということになるので、これはある一定の期限を決めて、この期限内にこうしてもらわないと地域がん診療病院に変わってもらいますというのは考えないといけないかなと。ただ、その間に2年なりとか、期間は必要だと思うのです。

 そういう方向で考えてよろしいでしょうか。

 どうぞ。

○佐々木構成員 東大の佐々木です。

 大西先生に伺いたいのですけれども、例えば17のキのにある、原則として常勤であることとした場合に、現在のがん診療連携拠点病院で、実際に原則をとって常勤であることとした場合にふぐあいが生じる病院の数とかそういう実態調査、大西先生ではなくてもいいのですが、どのぐらいあるのかというデータとかはあるのでしょうか。

 もしなければ、もうとってしまってもいいと思うのです。

○大西構成員 放射線治療に関しては、十分調査データがあります。診断についても調査データはあります。

○佐々木構成員 それは原則をとって、常勤であることとしても大丈夫なものですか。

○大西構成員 されたほうがいいかと思います。

○佐々木構成員 ありがとうございます。

○西田座長 そこは少し、切るときには全体図を見ながら、数値を見ながらやっていったほうがいいと思います。そうでないと、診療に混乱を招く可能性がございますので、よろしくお願いします。

 そこを認めていただいたということで、残りの1918も一緒に考えて、あと2つは別に考えようかと思います。

1918に関して、これも同じで、薬剤師であったり、外来化学療法の人的な要件であったり、施設要件でございますけれども、ここに追加あるいは削除するようなものはございますか。

 井本構成員、何かございますか。

○井本構成員 話題がそれて申しわけないのですけれども、インターベンションとか内視鏡治療も今、手術によっては半数はESDであったりとか、このところに出てこないのですけれども、その辺の縛りみたいなのは新たにつくらなくても大丈夫ですか。

○西田座長 これに関しては御意見ございますでしょうか。

 多分、IVRに関しては、やれるところとやれないところが極端に違うと思うので、要件に入れてしまうと非常に厳しくなるのかなという気はするのです。

 内視鏡治療、主にESDに関しても、実態調査してどの辺までのレベルがやっているかというのを十分確認しないと、現実は、でもしかESDをやっているところは結構ございますので、その辺が問題になる。逆に、患者さんに害が及ぶ可能性がございますので、ちょっとチェックしてからのほうがいいかと思います。

 大西構成員、どうぞ。

○大西構成員 御指摘ありがとうございます。放射線領域でIVRは最近、臨床的にすごく評価が高まっており、利用率も高まっておりますので、確かにできる施設とできない施設と、あと質的な差もかなり大きいので、それをうまく連携するということで、どこかにIVRという言葉を盛り込んでいただけると、患者さんにとってもすごくいいと思いますし、IVRの普及にもすごく役立つのではないかと思われますので、もし可能であれば御検討いただければ。

 うまく連携するという書きぶりでいいかと思います。

○西田座長 多分、ESDIVRもそうなのですけれども、スキルが相当関与しますので、ネットワーク化していくほうがいいのではないか。すごく均てん化していくと、むしろ逆にリスクが高まるのかなと思っていますので、そこは書くとしたら相当慎重に、上手に入れていかなければいけないかなと思います。

 よろしいでしょうか。

 あと2つ、21番と22番です。22番は多分、おおむね誰も何も言わないと思うのですけれども、結局、21番の要件、最初の棒グラフのところを見ていただいて、これを満たしていないところが幾つかある。おおむねですけれども、90%程度でいいということなのですが、満たしていないところをどうするかを考えていかなければいけないですね。ある程度厳しくして、きちんと現況報告書も院内がん登録もやっていただくようにしたいですね。私がデータを見たら、実は手術数が500以上あるのに院内がん登録が300ぐらいのところもあったりして、これはまずいなと思って見ています。この辺はしっかりデータを出していただけるようなシステムにしなければいけない。

 若尾構成員、どうぞ。

○若尾構成員 ここのところで今、スライド21で、算定方式の1、実数で行くのと、患者さんの診療割合であると思うのですけれども、先ほどのグラフの中で、実際に要件2のほうでとっているものがどこに該当するかがわかると、例えば少ないところが全部要件2で拾われているとか、あるいは要件2は意外と少なかったりということで、実態がよりわかると思いますので、もしその辺が可能であれば、要件2で拾われたのがこのグラフの中で、どこに入るかがわかると、さらに件数の検討に役立つのではないかと思いました。

○西田座長 これは、見ようと思えば見れますね。

○事務局(丸野) データに関しましては、毎年、現況報告の中でそういったデータを出していただいておりますので、それを確認させていただこうかと思います。

○西田座長 ただ、この数字はきちんと守っていただくということに、ある程度、強制力を持たせないといけません。院内がん登録も本当に十分できているのかというと難しい。全国がん登録をやるからいいといえばいいのですけれども、院内がん登録もちゃんとやっていただくのが重要かと思いますので、ある程度、数値はきっちり守っていったほうがいいかなと思います。

 三好構成員、どうぞ。

○三好構成員 20ページ目のスライドのキのところなのですけれども、「がん患者及びその家族が心の悩みや体験等を語り合うための場を設けることが望ましい」ということで、私は多分、数年来ずっといろいろな患者が言ってきたことを見聞きしております。そろそろピアサポートの重要性はいろいろな調査でも出てきておりますので「望ましい」を「必須要件」に変えてください。ぜひお願いいたします。

 その際に、できましたらなのですが、都道府県等の行う一定の研修等を受けた、例えばがん患者や家族の立場のピアサポーターも一緒に入れていただくことということも書き添えていただけるとありがたいと思います。

 以上です。

○西田座長 ありがとうございます。

 多分、そのときにピアサポーターをつくっていくということを同時に考えないといけないですね。今、ピアサポーターは数としては十分ではないと私自身は認識しています。

 木澤委員、何か意見はございますか。

○木澤構成員 私も相談支援センターの責任者をしていまして、その点は痛感しております。

 特に都道府県等でピアサポーターの養成や、ピアサポーターさんも残念ながら亡くなられる方もいらっしゃるので、養成し続けないと数も質も維持できないという状況がありまして、そこに十分御理解をいただけないところがあると聞いております。

 ですので、継続して何らかの御配慮をいただければと思います。

○西田座長 何か追加でどうぞ。

○若尾構成員 22こま目のところで、2点お話ししたいと思います。

 1点目は、臨床研究の体制で、施設としての体制がここに書かれているのですが、実はきょうの別添資料の3期計画の42ページをごらんになっていただくと、臨床研究などの個別目標のところに、拠点病院等の医師が患者や家族に対して臨床研究、先進医療、医師主導治験、患者申出療養について適切な説明を行い、必須とする患者を専門的な施設につなぐ仕組みを構築すると計画に書かれているので、拠点病院としては絶対にこれをやらないといけないと思いますので、この部分は、個々の医師の対応として書くことが必要だと思います。

 それともう一点、(1)に公衆衛生的に必要な調査研究への協力体制を整備とあるのですが、実はこれも別添資料の真ん中についている中間報告のときに患者体験調査をやらせていただいたのですが、拠点病院に協力していただけないのです。ですから、これは体制を整備するだけではなくて協力することと書いていただかないと、もう面倒なことはやらないというスタンスがどうしても大学病院等で多く見られましたので、ここはぜひ拠点病院のデューティーとして書いていただきたいと思います。

○西田座長 御指摘ありがとうございます。

 最初のところは確かに、臨床研究は拠点病院で全部できると私は思いませんので、臨床研究中核病院のほうに患者さんをつないでいただくことは重要かなと思います。その一文を入れるように考えましょうか。

 よろしいですか。

 どうぞ。

○木澤構成員 ちょっと前に戻ってしまうのですけれども、15枚目のスライドに行っていただいてよろしいでしょうか。

 梅内さんには申しわけないのですけれども「マル4 化学療法の提供体制」のところなのですが、苦痛のスクリーニングを専門看護師や認定看護師がすると書いてあるのですけれども、実際は専門家がするわけではないので、この書きぶりはどうなのかというのが非常に気になるのが一点です。余分な話かもしれません。

 2つ目はお願いなのですけれども、スクリーニングをやっていて、患者さん、御家族のお困りごとをスクリーニングするのはいいのだけれども、放っておいたら何もならないので、その後どうするかをここに書く必要があって、緩和ケア専門家と協働するなり、緩和ケアチームと協働するという一文を入れていただいたほうがいいだろうと私は感じました。

 3点目で、化学療法室だけでいいのかです。例えば、ほかの外来とか放射線治療の部門とかにも専門看護師等はいますので、そこの部分の書きぶりをどうするのかという3点だけ気になったので発言させていただきました。

 以上です。

○西田座長 ありがとうございました。

 多分「中心として」と書いてあるので、専門看護師が全てやるわけではないと思うのです。最後の御指摘のほうが一番大事で、別に化学療法をする人ではなくて、外来に来られた人全員をスクリーニングするのが一番望ましいと思います。

 ただ、人的要件がそこまで求められるかというと、現実は今のところは難しいので、望ましいぐらいになるかと思います。

 よろしいでしょうか。

 いろいろな議論をいただきましたけれども、少し反映させていただくということと、数値等を決めた以上はある程度、猶予期間を置きながらもきちんと守っていただくということで、次に絞っていきたいと思います。

 時間がなくなってきましたけれども、相談支援のほうが特出しになっていますので、もう少し御説明いただきながら相談支援のほうを議論していきたいと思います。

 資料7に関して、早坂構成員お願いします。

○早坂構成員 それでは、私の意見を述べさせていただきます。

 1つは地域連携のことに関してで、4つが相談支援に関してです。

 今回、相談支援の業務に「連携・協働を含む院内外での連絡調整」という言葉を追加していただきたいと思います。

 理由としては、これまでがん相談支援の目的は情報提供に力点が置かれてきたと思います。実際に多くの患者さんが情報を得て、政策の効果が出ているのではないかという気がするのですが、もう一点、患者さんが相談支援センターにニーズを持ってこられるときは、積極的な治療ができなくなった後です。これから先もう拠点病院を離れなければいけないのか、あるいはどういう生活をしたらいいのかというときでありまして、実際に緩和ケアの段階になると、拠点病院を離れて、地域の病院や診療所等に患者さんが引き継がれることも多くあります。

 実際、そのときには患者さんの自立度は下がってきているので患者さんの診療ケアの体制をきちんと整えるところまでを、拠点の相談支援センターの役割とするのであれば、連携、調整が必要になると思います。

 実際には、本当は個別の相談支援という言葉にしたかったのですが、もう相談支援センターの業務の中にがん患者の療養上の相談は入っているので、特出して連絡調整、院内外につなぐということを入れていただきたいと思います。

 かつ、そのときはほとんどが外来です。先ほどおっしゃっていたように、治療はほとんど外来でなされているので、患者さんが歩けなくなった、食べられなくなった、治療ができなくなったというのはほとんど外来の場で起こっているように思えます。ですので、外来での相談支援というのをこれから重要視していく。そこで地域につなぐというところを丁寧にやっていくべきではないかと考えます。

 実際には今、外来に関しては診療報酬等で手当てがされていない現状がありますので、ぜひそこへの手当てを求めたいと思いますし、できましたらこのワーキングでも外来の相談支援について議論をして、何らかの方向性が出せるとありがたいと考えます。

 2点目は、先ほど若尾先生にもおっしゃっていただいたので省略しますが、医療と福祉の両職種を相談支援センターに置いていただきたい。これは次の資料8の7ページ目のスライドにもあって、相談内容を見ていただくと転院、在宅医療、介護・看護・養育、医療費・生活費・社会保障制度というように、患者さんの療養の場のこととか社会的役割あるいは経済的なことという、言ってみれば病院外でのことで患者さんは多く悩まれていらっしゃるということが分かります。治療とか医療のことを相談できる看護職を初めとする医療職と、生活の支援を中心としている福祉職の両方を置いていただきたいと思っております。文章のほうは読んでいただければと思います。

 3点目に、相談支援センターの周知についてです。これは第1回目の会議でも病院全体で取り組むべきでないかという御意見があったかと思うのですが、その一つの機会として「緩和ケアスクリーニング」あるいは「生活のしやすさアンケート」の活用を提案します。今、多くの病院でとり始めていると思いますが、そのタイミングで相談支援センターへの案内、こういうことは相談できますということを伝える、あるいはリーフレットを渡すとか。相談支援センターを普及する、知ってもらう一つのきっかけになるのではないかと考えて、どこかに入れられたらなと思います。

 4点目が、相談支援センターの実績に関してです。実績の数が、今まで本当にこの数をどうとるのかということで、正直言うと非常に振り回されてきた感もあって、ここをどう考えるかは大事かと思うのですが、相談数は数が多ければいいというものでもないような気がしています。

 実際、定型的なニーズが多ければそれをリーフレットにするとか、またがんサロンだったりピアサポーターだったりという取り組みが進むと相談が減ることもあると思います。そう考えますと、これは一つの考え方の御提案なのですが、がん登録というのが1病院で1患者さんを1回数えるのであれば、相談も1患者さんを1病院で1回だけ数えて、その割合で一定数を超えていれば合格というような、余り数にこだわらないで済むような形にしていただけるほうがありがたいかなというのが思うところで、提案させていただきました。

 最後に地域連携、社会連携のところです。これは最初の相談部会でも出ていたかと思うのですが、2次医療圏を中心に持っている拠点病院なのですけれども、実際に患者さんは市町村の地域包括ケアの中に帰っていくというか、療養の場とされることが多いので、2次医療圏内の市町村等の行政や医師会、病院関係、医療関係の人たちが、せめて年に1回ぐらい顔を合わせて、その地域のがん患者さんの療養の体制を共通理解するという機会があったらいいのではないかと思います。

 別の機会を設けると大変になると思うので、既存の会議を使って、例えば地域医療構想会議とか、今、2次医療圏でやられている会議の中で話題として出していただくでもいいかと思うのですが、何らかの機会を決めていただくといいのではないかと思います。

 以上です。

○西田座長 御意見ありがとうございます。

 先ほど御指摘のありました外来の患者さんというのも重要です。最近、外来だけで入院せずにがん治療が終わってしまう患者さんが結構ふえてきていますので、これは少し考えなければいけないと思います。

 数だけではと言いながらも客観的な指標がぜひ必要なので、そこのところは少し御配慮いただくようにお願いしたいと思います。

 後で出ると思うのですけれども、相談支援では多分、がん拠点病院の相談支援センターを一般の人が余りにも知らないということが一番の問題だと思うので、そこのところの周知はどう取り組んでいくかというのは考えたいと思います。

○若尾構成員 今の点で1つだけよろしいですか。

 今の資料7の最初の○なのですが、拠点病院の機能として、院内外での連絡調整を追加するのは大賛成です。ただ、その上にある相談支援センターでやるということは、病院によっては相談支援センターと連携室が別にあるところと、連携室の機能を兼ねているところがあって、いろいろな事情がありますので、相談支援センターで全部、院外調整をやるというのはナンセンスな話で、ここはちゃんと病院全体としてその機能は持って、相談支援センターがそれをやらないといけないというのは間違った考えだと思います。

○西田座長 ありがとうございます。それはそのとおりだと思います。

 資料8の相談支援に関するところをがん・疾病対策課のほうでまとめていただいているので、事務局のほうから御説明を簡単にお願いできますか。

○事務局(丸野) 事務局より丸野でございます。

 資料8「がん診療連携拠点病院等における相談支援について」をごらんください。お時間の都合上、簡単に説明させていただきます。

 3ページ、現在、相談支援センターは434全てに設置しております。その相談支援の提供体制、業務内容につきましては4、5ページにまとめているところです。こちらについては従事者の要件とか業務の内容についても拠点病院の指定要件の中に記載しております。

 実際、相談件数としましては、年を追うごとに増加傾向でございまして、28年6月~7月におきましては、2カ月間で平均384.7件の相談を受けている状況でございます。

 おめくりいただきまして、実際にどのような相談が多いかということは、先ほど早坂構成員からも御紹介をいただきましたけれども、定員や在宅医療のことあるいは治療の内容、症状、副作用、後遺症のことなどの部分が非常に多くなっております。また、そのほか就労の部分とか医療費、生活の部分、不安や精神的苦痛の部分なども相談支援センターで多く相談を受けていただいております。

 しかし、先ほど問題点としてもありましたけれども、8ページにございますように、第2期計画の中間評価におきましては、がん相談支援センターを利用している者の役割が7.7%と非常に低いことも問題となっております。

 また、9ページにございますけれども、第3期計画をまとめる上で、今後の方向性としましては、相談支援センターに確実につなぐための仕組みの構築が必要ではないかということと、相談支援体制や医療者との連携のあり方について見直しをするべきではないかということが挙げられておりました。

 今回、現状と課題としまして、人的配置、業務内容についても規定しておりますので、それを再検討してはどうか。また、実績や評価指標について指定要件で定めてはどうか。そして、相談支援センターの周知を病院全体として取り組むようにしてはどうかというものを論点として挙げさせていただいております。

 次からの3ページにつきましては、実際の現在の整備指針での記載になります。先ほどもありましたように、相談支援センターの人的配置とか業務内容について記載しております。この中で、がん相談支援センターの周知につきましては業務内容の中にも入っておりますけれども、病院全体として相談支援センターの周知に取り組むような趣旨を文言として盛り込むべきではないか。また、相談支援センターの業務としましては、先ほど早坂構成員からも提案がございましたけれども、そのほかにも新たな項目として、ゲノムのこととか小児、AYAのこと、妊孕性に関することも3期計画の中でも話題としてありますので、そういった部分につきましても相談支援センターの新しい業務内容として追加してはどうかと御提案したいところです。

 以上になります。

○西田座長 時間がないので、はしょってうまくまとめていだたきました。

 今、御紹介にありましたように、相談支援センターが、一つは十分活用されていない。活用されていない理由としては、そこに患者さんが届いていない。患者さんだけではなくて、家族も届いていないし、一般社会もたどり着いていないというのがある。一つは、これを自然にたどり着くように仕組みを考える。例えば、少しオーバーワークになるかも知れませんが、来院するがん患者さんにスクリーニングを勧めるような形で考えるとか、スクリーニングすれば当然、そこで問題があれば相談支援センターに回っていただくことができる。ただ、それだけでは院内だけなので、院外からどう認知してもらうかは問題です。その辺は次回、少し詰めていきたいと思います。

 特にここの早坂委員のところと、今、事務局から御説明があったところに関して、ぜひ、時間がない中で今回言っておきたいことはありますか。

 どうぞ。

○若尾構成員 時間がない中、申しわけないです。

 資料1の8ページをごらんになってください。これも相談支援センターということで書かれているのですが、実はもっと大事なことがあって、ちゃんと主治医が患者さんに説明するという部分が今の整備指針に全く書かれていない。ここをしっかりと相談支援、情報提供のところに書くかどうかは別にして、その中にはインフォームド・コンセントでありセカンドオピニオンであり、あるいはアドバンスケアプランニングについてちゃんと説明することが必要ということ。

 9ページの2つ目の枠です。これも今、書かれていないのですが、これも大事なことで、相談支援センターがちゃんと科学的根拠に基づいた信頼できる情報提供を行う。その基本の基が書かれていない状況なので、これを書く必要がある。そうでないと、免疫療法を紹介したりということも起こってしまうということ。

 もう一つ、今の資料8の最後の赤字のところなのですが、ゲノム医療、妊孕性、AYA世代を追加することは必要なのですけれども、ただ、本当に必要なのは、ちゃんとそういうゲノム医療、妊孕性などを医療者が理解しないといけないのです。医療者の理解なしに相談支援センターだけにこれを押しつけるのは全くナンセンスな話で、ちゃんと病院の医療者が妊孕性について説明する、あるいはそういう状況で相談支援センターにあふれた人が来るので、本当は医療者、主治医チームが対応しないといけないことを拠点病院として取り組む。それが拠点病院としての取り組みです。全部、相談支援センターにそういういろいろなものを押しつけるような形になってしまいますが、それは拠点病院としての取り組みが必要で、今まで欠けていた視点だと考えます。

○西田座長 御指摘ありがとうございます。

 先ほど最初に言われたように、主治医が説明するだけではだめなのです。主治医も忘れることもあるし、ほかのもっと重要な話をしていることもあるので、病院として、システムとして、患者さんにそういったところを周知するということをつくればいいと私は思います。

 相談支援センターの人たちも含めて、ファカルティ・ディベロップメントではないけれども、人材育成をやっていかなければいけないと思います。特に妊孕性のところなどは、これからそういうエビデンスをまだつくっていかないといけない。そういったところがあるかと思います。

 このところは非常に難しいところを含んでいます。別に時間が来たからやめるわけではないですけれども、ここから後は次回までによく考えていただいて、ぜひ、こういうシステムがあると、相談支援センターも含めて患者さんに十分な情報が提供できるよというのを御提案いただければ非常にありがたいと思います。

 そのほか、特に御意見がなければ、一応時間が参りましたので、最初のところの本来議論するところは、議論はいただきましたけれども、まだもう少し検討を追加でしなければいけないところがあるかと思いますので、それは事務局とも相談させていただいて、次回にはフィックスしてしまいたいと思いますし、次回は相談支援のところはぜひ最終稿のほうに持っていきたいと思います。

 私の不手際で4分ほど過ぎてしまいましたけれども、事務局にマイクを返したいと思います。事務局のほうからいかがでしょうか。

 どうぞ。

○がん・疾病対策課長 先生方、ありがとうございました。

 今、西田座長からお話しいただきましたとおり、きょうの前段で議論いただきました内容につきましては、おおむね10日ほど、来週中をめどに追加意見をいただいた上で、書きぶりについての相談に移っていきたいと思います。

 次回でございますけれども、日程はまた改めて御連絡いたします。

 次回は今、西田座長からおっしゃっていただいた、資料2で申し上げますと裏面の「2.相談支援・地域連携に関する事項」のマル5の相談支援センターのきょうの続き、あわせてマル6について御議論いただきたいと思います。

 現時点では1ページの、先ほど丸野からも御紹介した支持療法、チーム医療、あと、あさって、小児がんとAYA世代の検討会が立ち上がりますので、その議論を含めて御議論をいただければと思います。また、緩和ケアまでを次回の議題で、現時点で考えておりますので、また追って御連絡、御相談したいと思います。

 事務局からは以上です。

○西田座長 ありがとうございました。

 いろいろな意見をいただきまして、多少まとめるのが大変かなと思いながら、今、考えています。

 ただ、例えば先ほどありましたように、クオリティ・インディケーターはぜひ入れたい。ただ、どういう形で入れるか、何を入れるか、先ほどあった乳腺のものは本当に適切かという問題がございますので、入れる方向で検討はするものの、一体どういう項目をどのように入れるか。発表するときに数値だけ走ってしまって、一部の病院が被害を受けるようなことがないように、より客観的な、適正なものをつくっていきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 本日はちょっと超過してしまいましたけれども、ありがとうございました。

 以上で終わらせていただきます。


(了)

健康局がん・疾病対策課

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