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2018年11月15日 第9回医療・介護データ等の解析基盤に関する有識者会議 議事録

保険局医療介護連携政策課

○日時

平成30年11月15日(木) 10:00~12:00

 

○場所

厚生労働省 専用第15会議室(12階)

○議題

  レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)及び介護保険総合データベース(介護DB)の連結について
   (1)「医療・介護データ等の解析基盤に関する有識者会議」報告書(案)について
 

○議事













































○遠藤座長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第9回「医療・介護データ等の解析基盤に関する有識者会議」を開催したいと思います。
構成員の皆様におかれましては、お忙しい中、御参集をいただきましてありがとうございます。
まず会議に先立ちまして、本日の構成員の出欠状況について事務局から報告をお願いします。
○宮崎課長 おはようございます。事務局でございます。
本日の構成員の皆様の出欠状況を報告させていただきます。
本日は樋口構成員、松田構成員、武藤構成員、山本構成員から御欠席の御連絡をいただいております。
なお、御欠席の松田構成員の代理として、村松圭司様に御出席をいただいております。
事務局からは以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
それでは、議事に入らせていただきます。
冒頭のカメラ撮りは、これまでにさせていただきたいと思います。
本日は、前回お伝えしておりましたとおり、「医療・介護データ等の解析基盤に関する有識者会議」報告書(案)を議題としたいと思います。
NDBと介護DBの連結解析に関しては、これまで8回にわたり議論を重ね、御意見を頂戴してまいりました。本日は、これまでの御意見を踏まえて「医療・介護データ等の解析基盤に関する有識者会議」報告書(案)を事務局に作成してもらっています。医療保険部会、介護保険部会の報告に向け、本日はこの議題について議論をいただきたいと思います。
それでは、事務局より資料の説明をお願いします。
○宮崎課長 説明に先立ちまして、本日の有識者会議もペーパーレスで行うこととしております。各構成員の皆様の席上にそれぞれタブレットを御用意させていただいておりますが、もし途中でタブレットの使用等について不都合な点等が生じました場合には、お知らせいただければ事務局のほうからお伺いいたしますので、御不便をおかけする点もあるかと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、座長から御指示をいただきまして準備をいたしました「医療・介護データ等の解析基盤に関する有識者会議」報告書(案)について御説明をさせていただきます。タブレットの資料で言いますと02資料となっているところをお開きいただければと思います。
事前にお目通しいただいたものではございますけれども、一部、昨日までに変更があった点もございましたので、全文は読み上げいたしませんが、事実関係等に及ぶ部分についてはポイントのみを御説明させていただきまして、今後の有識者会議としての御意見、御提言に係る部分については、読み上げる形で御説明させていただければと思います。
まず1ページをお開きいただければと思います。「1.議論の経緯」がございます。こちらにつきましては、これまで医療・介護データ等について、さまざまな場で議論が行われてきたと、1番目の○で記載した上で、2番目の○につきましては、本有識者会議では、これまでの議論や骨太の方針等の閣議決定を踏まえて、本年5月に議論を開始したという経緯を書いてございます。
下のほうにまいりまして、1ページの一番下の○でございます。NDB、介護DBともに、そのレセプト情報等については、本人が特定できる情報を削除した上で収集される、個人情報保護法上の個人情報と評価されない匿名のデータベースとして、多様な関係主体の協力を得て構築されてきたものである。
今回の連結解析の検討に当たっては、本人の特定がなされないこと、本来目的を損なわないこと、関係主体の理解を得られるものであることを前提とした上で、法律的な対応が中心となる課題とそれ以外の運用面での対応が中心となる課題、実施体制・費用負担のあり方、保健医療分野のその他の公的データベースとの関係整理、と課題ごとに議論を行ったと議論の経緯を書かせていただいております。
以下、中身に入りますけれども、2ページの上段「2.法律的な対応が必要な課題」です。(1)としてデータの収集・利用目的の整備であります。
(1)の1番目と2番目の○は現状を書いているものでございますけれども、2番目の○にありますように、NDBにつきましては平成18年の制度改正において整備がなされ、介護DBにつきましては平成29年の制度改正において法的な整備が行われておりますが、法定目的をそれぞれ比較いたしますと、両者の法定目的の範囲に差異が生じている状況にございます。また、現行のNDBの法定目的は、基本的に医療費適正化計画で利活用することを想定したものとなっており、幅広く第三者提供で利活用していくことを念頭に置いたものとはなっていないという現状を書いております。
今後についてですけれども、2ページの一番下の○でございますが、読み上げさせていただきます。今後は、両データベースの収集・利用目的については、NDBと介護DBの連結解析を可能としつつ第三者提供での利活用も想定したものとする必要がある。このため、現行の公益目的という前提は維持しつつ、連結解析する際に両データベースの法定目的の範囲が異なるために連結解析・第三者への提供ができないといったことがないように基本的な法定目的の範囲の整合性を確保するとともに、両データベースの情報の一体的な分析や公益目的での第三者提供を可能とする旨の利用目的を明確に規定すべきである。
3ページでございます。(2)として個人特定可能性への対応としております。
1番目の○は事実関係としてですが、NDB、介護DBで保有する情報は、匿名化されているわけですが、第三者提供に当たっては、他の情報との照合等により個人の特定につながることがないよう、有識者会議における提供前の個別審査や成果の公表前の確認等が行われている。
2番目の○でございますが、今後は、匿名性の確保という前提を踏まえ、NDBと介護DBの連結解析に係る第三者提供に当たっても、個々の申出に関して、提供前の個別審査や成果の公表前審査等、現行の取り組みの実施を前提として認めていくべきであるとしております。
(3)第三者提供の制度化でございます。
1番目の○、事実関係でございますが、第三者提供に関しまして現在はガイドラインにおいて対応しているところでございますが、広く広域的な利活用を図る観点からは、第三者提供の法的な枠組みが必要と考えられるとしております。
2番目、3番目の○でございます。今後は、利用の公益性確保や個人の特定を防止しつつ、これまでNDBの第三者提供では認められてこなかった民間主体を含めた幅広い主体による公益目的での利用を図るため、第三者提供の枠組みを制度化するために、第三者提供の規定を整備すべきである。その際には、現在ガイドラインで定めている個々の第三者提供の申出に係る利用目的・利用内容の審査について規定するとともに、目的外利用の禁止や情報の適切な管理の義務の他、不適切事案が発生した場合の国による報告徴収や命令等の規定についても整備すべきである。
なお、利用の公益性や安全性、透明性を確保しつつ、幅広い主体による利用を図るためには、データの第三者提供によって得られた分析・研究の成果の公表を図りつつ、段階的な利用の拡大を図っていくことが望ましい。このため、公益性が認められ、政策的観点からも優先的な分析・研究が必要なテーマの設定や、分析・研究の成果の公表のあり方の検討等、必要な整備を進めるべきである。
「3.運用面での対応が必要な課題」であります。3ページの下のほうから始まりますが、4ページをおめくりいただければと思います。第三者提供の手続について現状を書いているのが前半部分であります。第三者提供の手続につきましては、4ページの上のほうにありますように、利用者による申請書類の作成から国による審査、国及び利用者によるデータ提供の契約及びデータ抽出・処理、国よる利用者監査と公表物確認といった手続に沿いまして実施をされているところでございます。
今後の提言に係る部分でありますが、4ページの下のほうをごらんいただければと思います。
1 情報の提供及び連結解析に係る審査
今後、第三者提供の可否の決定を行うに当たっては、現行と同様に、個々の第三者提供の申出に係る利用目的・利用内容について、データベースの構築に関わる医療・介護分野のそれぞれの関係主体等の意見も踏まえつつ、確認を経て行うことが基本である。
これに加えて、今後の利用ニーズの増加に対応するため、第三者提供の枠組みの制度化の状況も踏まえつつ、円滑な審査のための方策(適切な審査頻度の確保等)について、検討すべきである。また、合わせて、NDB及び介護DBの連結解析について、適切・迅速な第三者提供の実施のため、各データベースの手続を効率的に実施するための方策についても、同様に検討すべきである。
2 効果的・効率的な利用者支援の実施
迅速な提供と利用者の利便性の向上に資するため、利用申請の電子的な手続を可能とする運用及びシステム面での対応を図るべきである。適切で安全なデータの利用の確保のため、第三者提供の制度化も踏まえ、法令遵守のための研修について、利用者の利便性にも配慮してe-learning等を活用し提供すべきである。
データベースの構造やデータの取り扱いに関する正しい理解を促すために、医療保険制度・介護保険制度におけるレセプトデータに関する研修、ダミーデータの提供及び自治体等によるデータの利用事例の共有等を行うべきである。自治体担当者や幅広い研究者等が、個別のニーズや課題に応じて相談・助言を受けられるよう、より利用者目線に立った支援を充実させるべきである。
また、研修等の利用者支援については、効果的・効率的な支援やノウハウの蓄積が重要である。このような観点から、利用者支援を継続的に提供できる体制についても検討すべきである。
3 安全な利用環境の整備
安全かつ迅速なデータ提供のため、利用者の希望等に応じ、クラウド環境を利用した提供方法を選択できるよう、必要な整備を進めるべきである。この際、クラウドを利用する場合の十分な安全性の確保のための対応についても合わせて検討すべきである。
利用者が、提供されたデータを用いた解析や、共同利用者とデータを用いた情報共有を行う場合等についても、安全な環境で行えるよう、クラウド環境上にこれらの作業に必要なアプリケーションを整備することについても検討すべきである。
4 集計表の公表、データセット及びオンサイトリサーチセンター
1番目の○は事実関係でありますけれども、NDBを例にとりますと、NDBについてはオープンデータとして定期的に公開し、項目の充実を図ってきたところでありますが、また、試行的な分析のためのサンプリングデータセット等のデータセットの提供等も行ってきたというところでございます。
提言に係る部分は5ページの一番下の○からでございます。今後は、ニーズの増加に対応し、より広い主体による分析等に資するため、NDBのオープンデータについてこれまでと同様にさらなる充実を図るとともに、介護DBにおける対応についても利用のニーズに即して検討すべきである。その上で、連結解析におけるデータの公表のあり方についても、検討すべきである。
また、迅速な提供が可能なデータセットの在り方について、データ利用の安全性の確保に留意しつつ、活用方法に関する利用者への情報提供や利便性の高い提供方法等も含めて検討すべきである。
オンサイトリサーチセンターについては、安全で、データの処理及び解析のための必要な性能を有する利用環境として運用し、さらにNDB、介護DBをともに解析可能とする等、利用者の利便性に配慮した機能について、費用面に留意しつつ検討すべきである。
5 セキュリティの確保及びその他の機能の確保
各データベースにおいて、リスクに応じて適切なセキュリティ対策を講じつつ、併せてデータの提供を受ける利用者に対しても、利用方法に応じた適切なセキュリティ対策を求めることを原則とすべきである。
また、データの利用・保管に関しては、データの性質等に応じ、オンサイトリサーチセンターやクラウド上に構築する解析基盤での利用・保管に限定するなど、必要な条件を付すことも検討すべきである。
(2)としてデータベースの整備のあり方とございます。
6ページ下半分につきましては現状でございます。NDBについての運用・保守あるいは研究の状況について触れております。
7ページにお入りいただければと思います。上段、NDB、介護DBについては、現時点ではそれぞれ別の情報をもとにした固有の識別子を保有して、名寄せに利用しているという現状を書いておりますが、以下、1、2と提言に係る部分が書かれてございます。
1 安全で、高度な研究利用に応えうるデータベース
各データベースの保守・管理については、当面の間、国が主体的に実施することとする。さらに、高度な研究利用に耐えうる機能を確保するため、利用者のニーズや最新のICT技術の動向を踏まえながら、継続的に支援や改修を行う体制を検討すべきである。
2 連結解析のための技術的な対応
2020年度に向けて、カナ氏名・性別・生年月日をハッシュ化して作成した識別子をもとに、NDBと介護DBの連結解析が可能となるよう、それぞれのデータベースにおいて必要な対応を進めるべきである。また、2021年度以降、以下の対応を行うことを検討すべきである。
1 カナ氏名・性別・生年月日をハッシュ化して作成した識別子による連結精度の検証
2 個人単位の被保険者番号(医療保険)をハッシュ化して作成した識別子の整備
なお、2の対応を行う場合にも、一定の連結の精度を維持する観点から、カナ氏名・性別・生年月日をハッシュ化して作成した識別子の整備も継続することを基本とすべきであるとしております。
注書きとして、個人単位の被保険者番号に係る検討の状況を書いております。
その下の○でございますが、NDBと介護DBに加え、他の公的DBとの連結解析を行う際には、それぞれの公的DBの検討状況を踏まえ、さらなる安全性や連結精度の向上を確保するための方策について検討すべきである。
「4.実施体制・費用負担のあり方」でございます。
7ページの下からでありますけれども、現状としてNDB、介護DBともに、保有主体である国が責任主体となり、外部委託等の力もお借りしながら運営しているという状況でございますが、8ページにお入りいただければと思います。2番目の○からが御提言に係る部分でございますが、データベースの保有主体として、一義的な責任は国が負うことを踏まえれば、今後も第三者提供の判断等のデータベースの在り方の根幹に関わる性質の事務については、国が自ら担うことが基本である。
他方、効果的・効率的な実施を図るため、第三者提供の手続、利用者支援やオンサイトリサーチセンターの運営補助等の関連事務について、レセプトの取り扱いに関する知見や高度専門的な解析等に関する豊富な知識を有する他の主体との役割分担を検討すべきである。その役割分担に当たっては、国による関与やより適切なガバナンスの必要性という視点にも留意して検討すべきである。
また、データ利用の成果については、国民の理解を得つつ、両データベースの利用の拡大や連結解析の実施、保健医療分野の他の公的データベースとの連結解析の検討を図る観点からも重要であり、国及び他の主体が協力して、多様な機会を通じて広報を図るとともに、その成果の適切な評価に努めるべきである。
(2)利用者による費用負担のあり方でございます。
1番目の○にありますように、現状は第三者提供に当たりましては利用者に手数料等の費用負担を求めていないという状況でございますが、2番目の○でございます、今後は、第三者提供には個別の作業や提供による受益が発生していることを踏まえ、第三者提供の制度化の状況も踏まえつつ、原則として、個々の第三者提供に要する作業等に応じた費用負担を利用者から求めることを可能とするべきである。ただし、公益性の高い利用が費用負担によって抑制されることがないよう、費用負担の具体的な運用方法の検討に際しては、個々の第三者提供の利用目的の公益性等を勘案して、費用負担を軽減する仕組みについても検討すべきである。
「5.保険医療分野の他の公的データベースとの関係整理」でございます。8ページの一番下から入ってまいりますが、9ページにお入りいただければと思います。真ん中少し上ほどでございますけれども、○があるところでございます。
検討の結果、各データベースとの関係については現状以下のとおりであり、連結解析に対するニーズや期待される有用性がそれぞれに認められることから、各データベースの課題を解決した上で、連結解析に向けた検討を進めるべきである。この検討を進めるに当たっては、匿名性に十分に留意することや連結解析することのニーズや具体的なメリットの有無等を踏まえて検討を行うとともに、連結解析のための技術的な対応として個人単位の被保険者番号の活用も視野に入れた検討を進めるべきである。
また、今後、今回検討の対象となっていない保健医療分野のその他の公的データベースについても連結解析の検討の必要性が生じた場合についても、上記の諸点等を踏まえつつ関係者の理解を得た上で検討を進めていくことが適当であるとしています。
以下、9ページの下半分からデータベースごとの状況について記載がございます。ポイントのみ申し上げますと、(1)DPCデータベースについては2番目の○でございますが、今後は、DPCデータベースとNDB、介護DBの連結解析については、現時点では共通するハッシュを基にした連結解析が困難であるため、連結可能とする手法や調査項目の追加等の対応を検討しつつ、こうした検討・対応状況に応じ、連結解析を見据えた必要な法整備について、検討していくべきである。
(2)全国がん登録データベースでございます。9ページの下から記載がございますけれども、10ページにお入りいただければと思います。上から2番目でございます。今後は、まずは、がん登録DBの第三者提供を着実に運用開始するとともに、その状況を踏まえつつ、第3期がん対策推進基本計画に基づき、NDBと介護DBとの連結解析も含め、連携のあり方を検討する。その上で、連結解析や第三者提供の要件、手続について、がん登録推進法との整合性にも留意して検討していくべきである。
上記検討に合わせ、NDB、介護DBと匿名で連結解析するための技術的な対応について検討しつつ、適切な時期にシステム改修を検討していくべきであるとしています。
(3)指定難病・小児慢性特定疾病データベースでございます。こちらにつきましては、1番目の○、2番目の○にございますように、難病DB、小慢DB、これらは患者の同意に基づき情報を受けているというデータベースでございまして、現在のところは他のデータベースの連結解析については明示的に同意を得ていない。あるいは希少な疾病に関するものであり、遺伝子検査の内容や家族歴など、患者本人以外にも家族に影響を与える情報も含まれているため、個人が特定されるリスクに配慮した厳正な運用を確保することが必要であるといった現状の記載がございまして、その上で10ページの一番下の○でございます。
今後は、難病DB及び小慢DBを他のDBに連結させるに当たっては、それぞれのDBの目的及び扱う情報の違いに十分配慮するとともに、いまだ難病DBと小慢DBが連結されていないことに留意する必要がある。また、難病の希少性に鑑み、個人情報保護や情報セキュリティの観点からも、連結のあり方を慎重に検討する必要がある。
11ページでございますが、そのため、今後は、難病法・児童福祉法の見直しの検討を行う際に、厚生科学審議会疾病対策部会難病対策委員会と社会保障審議会児童部会小児慢性特定疾患児への支援の在り方に関する専門委員会との合同委員会において、まずは難病DB及び小慢DBの連結の具体的な方法等を整理した上で、両DBをNDB、介護DBに連結解析することについて検討するべきであるとしています。
(4)MID-NETでございます。2番目の○でありますが、今後は、NDBや介護DBとの連結解析について一定のニーズが想定されることを踏まえ、協力医療機関やPMDAとの連携を図りながら、連結解析の検討を進めるとともに、匿名での連結解析を行うために必要な技術的対応を精査し、システム改修や運用スキームを関係機関とともに検討していくべきであるとしております。
最後「6.おわりに」でございますが、NDB、介護DBともに、社会保険制度を基盤として保険者を問わず悉皆的にデータを収集した世界に類を見ない規模の保健医療介護に関するビッグデータであり、経時的な変化も把握・分析可能なデータベースとして構築されている。この両データベースの連結解析や幅広い主体による利活用によって、地域包括ケアシステムの構築などの政策分野のみならず、学術研究や研究開発等の発展に寄与し、ひいては我が国の国民生活の向上につながることが期待されているところである。本有識者会議では、こうした期待に応えられるよう、必要な議論を重ねて、本報告書として一定の整理を行った。
厚生労働省においては、本報告書を踏まえて、社会保障審議会医療保険部会及び介護保険部会等において、NDBと介護DB等の解析基盤の構築に向けて検討を行った上で、法的措置も含めた必要な措置を講じることが適当であるとしております。
以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございました。
それでは、ただいま説明のありました報告書(案)につきまして御審議をいただきたいと思います。
まず分けて議論いただきたいと思いますので、最初は「1.議論の経緯」及び「2.法律的な対応が必要な課題」、ページで言えば1~3ページについて御意見を頂戴したいと思いますが、いかがでございましょうか。大体よろしゅうございますか。あればまた全体戻って御議論をいただく時間もあるかと思いますので、それでは、少し先に進ませていただきたいと思います。
次に「3.運用面での対応が必要な課題」及び「4.実施体制・費用負担のあり方」の内容につきまして、御意見を頂戴できればと思います。ページで言えば3~8ページです。海老名構成員、どうぞ。
○海老名構成員 事務局の方に今までの議論をいろいろ大変簡潔にまとめていただいて、本当にありがとうございました。
最初にお礼といいますか、ぜひ報告書に従って施策として進めていただきたいということで、まず5ページの1つ目の○のところで、自治体担当者ということで明示的に利用者目線に立った支援を充実させるべきというようなこととか、あるいは6ページの最初の○のところでも、利用者への活用方法に関する情報ということで明示的に書いていただいて、本当にありがとうございました。ぜひ今後施策として積極的に取り組んでいただきたいと思っております。
それで報告書の書き方について1点、自治体の意見として申し上げたいのは、8ページ目の(2)の利用者による費用負担のあり方のところについて、これは最初のところ、第何回か失念しましたが、費用負担のところで私、意見を申し上げまして、そのところを配慮いただいてお書きいただいていると思うのですけれども、2つ目の○のところで費用負担を軽減する仕組みについては、下から2行目のところで「個々の第三者提供の利用目的の公益性等を勘案して」とお書きいただいているのですが、恐らく「等」の中にそういうニュアンスは入っていると思うのですが、このNDBとか介護DBを活用するに当たって、基本としては公益的な目的で使うことが大原則なのではないかと感じておりまして、こう書いてしまうとなかなか公益性が高い低いという判断も難しいのだろうなと思うので、どちらかといえば公益性はもちろん勘案すべき事項だとは思うのですけれども、やはり受益がどの程度あるのかという観点のほうが、費用負担を考える上でいいのではないかと思いまして、その点、利用目的の公益性だけではなくて、あるいは第三者提供により生じる受益というあたりも費用負担の考慮要素としていただいてはどうか。そうすると自治体としては少なくとも受益を目的としてやっているわけではございませんので、そういう書きぶりをしていただいたほうが、私どもとしてはより自治体としてNDBと介護DBとかを利用しやすいのかなと感じたところでございます。
○遠藤座長 受益という考え方を少し明確にしてほしいということだと思います。ありがとうございました。
ほかに何かございますか。田中構成員、どうぞ。
○田中構成員 6ページかな、データベースの構築及び運用・保守のところで、平成21年から順次積み上げてこられていますけれども、これはオンプレミス、きょうの参考資料(11)ですね。これにオンプレミスだとおおむね5年で更改ということになっていますが、これについては今後もオンプレミスで更改しながらやっていくということでよろしいでしょうか。
○遠藤座長 事務局いかがでしょうか。
○宮崎課長 今のNDBについての現状は、田中構成員御指摘のとおりオンプレミスで行っております。一方で政府全体としては、種々のデータベースについてクラウド化していくという大きな方針もございますので、今後のシステム対応につきましては、クラウドにしていくことも含めて検討していくことになろうかと思います。それは更新の段階で費用負担あるいは安全性などを比較衡量した上で決められていくことになると思いますが、今後もオンプレミスでやっていくという方針を持っているわけではございません。クラウドも含めて検討していくということで考えております。
○田中構成員 国保といいますか、医療保険で言うと資格確認をしていくための保守・運用のために、全ての被保険者当たり1.4円という数字が以前、出ていました。ここで言うオンプレミスなのかクラウドなのかも含めて、国民1人当たりにそういう費用負担を求めていくことになろうかと思うのですけれども、そこら辺の費用負担のあり方も今、海老名構成員からありましたが、どこかでは示していただきたいと思いますが、そこら辺のお考えはどうでしょうか。
○宮崎課長 今、田中構成員御指摘の点は、NDB、介護DBそのものというよりは、NDBと連結する審査支払機関側のシステムですとか、あるいは保険者がつながる部分についての費用負担の話だろうと思います。
NDBと介護DBそのものにつきましては、これは国の負担で行っておりまして、ただ、それに連結する部分があれば、審査支払機関側のシステムの部分については、構成員の方に間接的に負担がかかっている部分もあろうかと思いますし、御協力いただいている部分もあろうかと思いますが、NDBと介護DBをクラウドにするのかオンプレミスにするのかにかかわらず、本体そのものにつきましては国の適正化計画に基づくものということで、国の負担でこれまでもやってまいりましたし、そういう考え方で進むのだと思います。
ただ、トータルで全体を見ますと御負担なり御協力をお願いしている部分もあろうかと思いますので、そういうところについてはそうした審査支払機関あるいは自治体の方々などの御協力なり御負担についても十分勘案しながら、必要な情報についてはお示しして進めていくことになろうかと思います。
○遠藤座長 ほかに何かございますか。よろしゅうございますか。
それでは、次に進みたいと思います。次は「5.保健医療分野の他の公的データベースとの関係整理」及び「6.おわりに」について、何かございますでしょうか。海老名構成員、どうぞ。
○海老名構成員 5ポツの他のデータベースとの関係整理の9ページ目のところで、最初の○でこれまでの議論をまとめていただいていると思います。前回の議論のときにも申し上げたのですけれども、私ども自治体を初め、いろいろな関係者がデータベースに必要な項目とかの情報収集をさせていただいていると思っています。後のほうでも難病のほうで個票という言葉が出てくるようですけれども、データベース間が連結されて新たな知見が出るということは、それは方向性として社会が求める姿なのだとは思うのですが、やはりこのデータベースとこのデータベースをくっつけるために、仕様が変更されることによって生じる事務も誰かが負担しなければいけないということを考えますと、その都度の仕様変更は余り望ましくないのかなと思いますので、例えばデータベースの仕様が都度変更されることがないように、統一的な対応が望まれるということは前回申し上げたのですけれども、そういった趣旨のことを明示的に書いていただいて、将来のことは誰にもわからないわけですが、そういったことをポリシーとしてデータベースの項目とかの設定を今後していっていただければなということで、そういったことをつけ加えていただければと思います。
○遠藤座長 ありがとうございます。
ほかにいかがでございましょうか。棟重構成員、どうぞ。
○棟重構成員 9ページの真ん中あたりの今、海老名構成員が指摘されたところと同じ○ですけれども、違う観点で意見を述べさせていただきたいと思います。
5行目の右側に「連結解析のための技術的な対応として」というふうにあるのですけれども、そこに「視野に入れた検討を」と書きながらも、例示としては個人単位の被保険者番号の活用というのが、あたかも一択のような形で示されております。
2ページに戻っていただいて、7ページのところで連結解析のための技術的な対応というところに関しては、カナ氏名、性別、生年月日のハッシュ化等、丁寧に書いていただいております。また、ここで注書きで個人単位の被保険者番号については検討中であるというふうにも書いていただいておりますので、検討中にもかかわらず、いろいろなことに活用されるということを書かれるというのは、今の時点では違和感があるかなということでございまして、9ページの連結解析のための技術的な対応について、7ページのように丁寧に書いていただくか、あるいはここで「個人単位の被保険者番号の活用も視野に入れた」という文言を取っていただくか、そのいずれかで御検討いただければと思います。
○遠藤座長 御意見了解いたしました。
何か事務局から関連でコメントがあればお願いいたします。
○宮崎課長 失礼いたしまた。こちらは前回のMID-NETに関する報告の中で、明示的に個人単位の被保険者番号の活用も視野に入れた検討が必要という説明を担当部局よりさせていただいた経緯がありまして、こういう記載を入れていますけれども、確かにそのときも、私ども確認しますと「個人単位の被保険者番号等の活用」と入っていまして、やや不十分な記載だったかもしれません。連結解析のための技術的な対応として考えられますのは、確かにこれまでの御議論の中でも個人単位の被保険者番号の活用だけではありませんので、活用等と入れるとかするほうが、よりこれまでの議論を踏まえた幅広い受けになるのかなと思います。ちょっと記載が不十分だったかなと反省しております。
○棟重構成員 「等」と入れても個人単位の被保険者番号の一択に見えてしまいます。各データベースとの関係全体にかかってくる話で、今の時点でそんなに限定する必要はないと思いますので、ほかの氏名等のハッシュ化も含めて並列して書いていただくとか、個別具体的な書き方をとっていただくとか、検討していただければと思います。
○遠藤座長 ありがとうございました。
ほかに何かございますか。
それでは、全体を通して何かございますか。海老名構成員、どうぞ。
○海老名構成員 本当にコンパクトに今までの議論をまとめていただいて、大変いい報告書ができているなと思うのですけれども、以前、田中構成員からお話があって、私もそうだなと聞いていて思ったのですが、この医療・介護のそれぞれのデータベースが今後連結していくということに関しては、いろいろな関係者の方がいろいろな形でかかわっていくということで、スケジュールを示した中でやってほしいという御意見を田中構成員が何回かのときにおっしゃっていたと思うのですけれども、やはりそこは自治体がどの程度NDB、介護DBの連結解析に役割を果たすのかというのもこれからさらに詳細な制度設計の中で出てくるのだと思いますけれども、関係者の方に随時スケジュールを示して進めていただくことが非常に大切なのではないかと思いますので、どこに書くのかというのは私もなかなかぴんとすぐ出てこないのですけれども、スケジュールをしっかり示しながら進めてほしいということは、もし可能であればこの検討会の意見としてどこかに一言、入れていただくといいのかなと思っております。
○遠藤座長 ありがとうございました。
そのほかに何かございますか。田中構成員、どうぞ。
○田中構成員 高知市だけの問題ですけれども、実は汎用機を使っておりまして、それも20年以上前の汎用機を改修しながら今、使っているのですが、介護保険とかいろいろ新しい制度ができるたびに、そちらのほうはパッケージを入れてやっているのです。
今、市役所全体で汎用機から移行していこうという準備をしています。平成37年に向けて段階的に移行していくというスケジュールで進めようとしているのですけれども、今、海老名構成員が言ったようにこれから国が進める新たな仕組みの中で様々なシステムが構築され、連携が求められることから、費用負担を含むスケジュールが一定示されないと、一方で国保のほうが先にオンライン資格確認とか、いわゆるマイナンバーカードを使った情報連携とか、そういったところがこれからどんどん入っていきますので、大半の市町村では財政事情が厳しい中での対応となります。そういった意味で言うとここに書く必要はないのですが、スケジュールをどこかで示していただくと、結構なお金がかかるシステム改修とあわせながら財源の手当なども検討しなければならなくなるので、そこはぜひどこかの段階で、この報告書とは別にでも結構ですので、示していただきたいというこれはお願いでございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
そのほかに何かございますか。石川構成員、どうぞ。
○石川構成員 最初のところのこれまでの経緯にもあったのですけれども、要するに匿名性の問題です。いろいろと今度合体、連結するということでビッグデータのほうは新しい段階に入るのだと思うのです。私たちもずっとこのNDBで利活用という事柄を検討するときに、確かに個人識別の問題というのは常に意識して、そしてその利活用がそれでもデータベースは利活用しなければ意味がないということでやってきて、この2つの問題で今度新しい段階に入ったときに、まずこの匿名性ということについてきちんと医療情報の匿名性というのはどういうことを言うのかということを、今、医療情報学会のほうでも一生懸命やっていますけれども、きちんと厚生労働省からデータベースを連結することが、これがきっかけにされるわけなので、ぜひそういったガイドライン等を整備する必要があるのではないかと思っているのです。
実はこのNDB、介護DBというのは悉皆性のあるデータということですけれども、先ほどもちらっとありましたが、これからもっと非常に詳細なデータベースと連結するということ、それから、次世代医療基盤みたいなものもありまして、これからますます医療データがより連結すると個人に近づいてくるといいますか、個人情報のところが明らかになってくる可能性が出てくるというところで、これはすごく大事なことだろうと思っています。
そういう点で先ほど棟重構成員からもお話がありました識別子の問題だとか、そこら辺でまだまだ超えなければいけない問題があるにもかかわらず、かなり連結だけ早くなってきているという感は否めないと思うので、ぜひそこら辺のところは整備して、この案を次の社会保障審議会だとかそういったところに出していただきたいと思います。
もう一つ、利活用のところについても私たちずっと気にしてやっていまして、特にいわゆる企業の方たちも、こういったものを使って自分たちも企業を拡大していきたいということもあると思うのですけれども、そこのところで私たちも注意してきたのは、個人特定性の問題と、公に使ってもらいたいということもあるので、利益だとかそういったものに直結するようなことがないようにということを考えてきたわけですけれども、御存じのように私もずっとこのNDBにかかわってくる中で、実はアンダーグラウンドみたいな形でレセプトデータが流れているということについては、薄々気がついてきているわけです。国がこうやってちゃんと医療情報のデータベースについてきちんと整備して、皆さん国民に信頼が置ける形で利用させていただくということをつくっているわけですから、ぜひ変な形でのレセプトの流れているとかいうことのないように今後していっていただきたい。それは思うわけです。
実はそういうことは8年も前に気がついて、いろいろと厚労省の方と話をしているのですけれども、なかなか解決しないでここまで来ていることもありますので、ぜひこの整備のときに医療情報のデータベースの利活用の仕方についてはきちんと、利活用のほうでもガイドラインをつくっていただくということをお願いしたいと思います。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
そのほかに何かございますか。大体御意見は出尽くしたということでよろしゅうございますね。
そういたしますと、本日はこの「医療・介護データ等の解析基盤に関する有識者会議」報告書(案)を取りまとめなければならないということでございますが、いろいろと重要な御指摘もいただきましたので、これをどうまとめるかということでございますけれども、もしよろしければ本日いただいた御意見を踏まえて、最終の報告書につきましては構成員の調整等も含めまして、私に御一任いただければと思いますが、そのような段取りでよろしゅうございますでしょうか。
(「はい」と声あり)
○遠藤座長 ありがとうございます。それでは、そのような対応をさせていただきたいと思います。
最終の報告書ができ上がりましたら、しかるべきときに社会保障審議会の医療保険部会と介護保険部会に報告をすることにしております。
事務局からこの辺について何か補足ありますか。
○山本審議官 一言、御礼を申し上げたいと思います。
ことし5月から9回にわたりまして真摯に御議論をいただきまして、まことにありがとうございました。本当にこれから地域包括ケアを進めていくに当たり、医療・介護連携などさまざまな課題がある中で、データの利活用をどう進めていくか大変重要な課題だと考えております。非常に大きな論点、それぞれ法的な問題であるとか技術的な課題について御議論いただいたわけでございますが、NDBと介護データベースの連結解析につきましては、2020年度の運用開始を目指しながら進んでいきたいと思っております。
今後、御審議をいただきました内容で具体的な仕組みの構築、技術的課題につきましてさらに詰めていきたいと思っておりますけれども、今後ともまた皆様方のそれぞれのお立場からの御指導をお願い申し上げまして、御礼の御挨拶とさせていただきます。どうもありがとうございました。
○遠藤座長 私からも、9回にわたりまして非常に積極的な御議論をいただきまして、どうもありがとうございました。おかげさまで報告書をまとめることができたということであります。改めてお礼申し上げたいと思います。
それでは、これにて本日は閉会とさせていただきたいと思いますが、事務局から何かありますか。
○宮崎課長 先ほど座長からお話がございましたように、最終的な報告につきましては、それぞれの社会保障審議会の部会に報告をさせていただくことになろうかと思います。まだ具体的な日程は確定しておりませんけれども、最終の報告書ができましたらそれぞれの各委員のお手元にもお送りした上で、社会保障審議会の報告という形で公表させていただきたいと考えております。その上で必要な法的な対応につきましては、社会保障審議会の議論を踏まえた上で国会への関連の法案の提出等についても検討を進めていきたいと思っております。
また、途中、構成員の方から御指摘のございました、きちんとスケジュールを示してほしいという御意見につきましても、その中で必要なスケジュールにつきましては説明をしながら進めてまいりたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○遠藤座長 ありがとうございました。
それでは、これをもちまして本会議は終了したいと思います。どうもありがとうございました。


 

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