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2018年10月25日 第8回医療・介護データ等の解析基盤に関する有識者会議 議事録

保険局医療介護連携政策課

○日時

平成30年10月25日(木) 16:30~18:30

 

○場所

ベルサール神田 ホールB(2階)

○議題

 レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)及び介護保険総合データベース(介護DB)の連結について
  (1)保健医療分野の他の公的データベースとの関係整理
  (2)第6、7回有識者会議の議論を踏まえた対応の方向性について
 

○議事

○遠藤座長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第8回「医療・介護データ等の解析基盤に関する有識者会議」を開催いたします。
構成員の皆様におかれましては、お忙しい中、御参集をいただきましてありがとうございます。
会議に先立ちまして、本日の構成員の出欠状況等につきまして、事務局から報告をお願いします。
○宮崎課長 事務局でございます。
本日の構成員の皆様の出欠状況を御報告させていただきます。
本日は松山構成員、武藤構成員から御欠席の連絡をいただいております。
事務局からは以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○遠藤座長 それでは、議事に移らせていただきます。冒頭のカメラ撮りはこのあたりにしていただきたいと思います。
本日は「レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)及び介護保険総合データベース(介護DB)の連結について」を議題といたします。
本日の議事の段取りでございますけれども、まず前半で残った検討テーマである保健医療分野の他の公的データベースとの関係整理について御議論をいただきたいと思います。
続いて、後半では、資料2としまして、前回、前々回での御議論を踏まえた対応方針について、事務局が整理されておりますので、さらに議論を重ねたいと考えております。
それでは、事務局より資料について説明をお願いします。
○宮崎課長 ありがとうございます。事務局でございます。
資料の中身に入ります前に、本日の有識者会議はペーパーレスで行うこととさせていただいております。各構成員の皆様の席上にそれぞれタブレットを御用意しております。また、タブレットの使用に関します説明書もお手元にお配りしているところでございますけれども、もし、タブレットの使用につきまして、御不明な点が生じた場合には、後ろを振り返っていただくなど合図を送っていただければ、担当の者がすぐ伺いますので、御不便をおかけいたしますけれども、どうぞよろしくお願いいたします。
また、正面のスクリーンには、当該説明に係ります資料のページをお示しさせていただきますので、前列の方には見づらくて申しわけありませんけれども、あわせてごらんいただければと思います。
それでは、資料の中身の御説明に入らせていただきます。
まず、座長からお話がございましたように、前半につきましては保健医療分野の他の公的データベースとの関係整理についての資料を用意しております。資料1として、その各公的データベースに関する資料を用意しておりますので、まずそれについて御説明をさせていただきます。
私から、冒頭少し紹介をさせていただいた後、それぞれのデータベースにつきまして、所管課から御説明させていただきますので、よろしくお願いいたします。
資料1、1ページをお開きください。NDB、介護DBとその他の保健医療分野の公的データベースにつきましては、本有識者会議の第1回目の資料の中でも御説明をさせていただいたところでございますけれども、NDB、介護DB以外にもデータベースはございます。本有識者会議におきましては、まずはNDB、介護DBの保有する情報について連結解析を可能とするということで御議論いただいた上で、DPCデータ、その他の公的データベースとの関係整理についてもあわせて検討を行うということで御議論をいただくこととしてきたところでございます。
2ページ、保健医療分野の主な公的データベースの状況でございます。左からNDB、介護DBがございます。こちらにつきまして先行して御議論を重ねてきていただきましたけれども、本日御紹介、御説明させていただきますのは、赤で囲った部分でございまして、DPCデータベース、全国がん登録データベース、難病データベース、小慢データベース、MID-NETという公的なデータベースにつきまして、4部局から御説明させていただくということでございます。
では、DPCデータベースから、順次担当課から説明をさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○古元企画官 保険局医療課でございます。
資料4ページからでございます。DPCデータベースにつきまして、御説明をさせていただきます。
5ページ、DPCデータベースの概要などにつきまして、こちらに記載しております。厚生労働大臣が保有する診療報酬のデータベースということでございまして、DPC対象病院等(約3,300病院)から、患者の傷病名や入退院に関する情報、レセプトデータなどを収集しております。
主な活用方法といたしましては、1つ目、診断群分類点数表の作成等のDPC制度の運用、並びに、2つ目、急性期医療を担う医療機関等の機能、役割の中医協における分析・評価に用いているという状況でございます。
収集根拠といたしましては、そちらに記載の告示のとおりでございまして、一番下、ニーズでございますが、NDB、介護DB、DPCデータベース等との連結解析によりまして、DPCデータでは把握のできない入院前後の医療・介護サービスの利用状況等の把握が可能となる。こうしたニーズが考えられると考えてございます。
6ページ、連結を行うに当たりましての課題を記載してございます。DPCデータベースで保有する情報には、氏名の情報を収集しておりません。このため、同様のハッシュ値を生成できない。こうしたことで、現時点での直接的な連結解析は困難という課題がございます。
こうしたことを受けまして、対応方針といたしましては、連結の解析については、現時点では共通するハッシュをもとにした連結解析が困難でありますので、どういった手法があるのか、また、調査項目の追加などの対応を検討する必要があるということでございます。
あわせまして、必要な法整備、これにつきましても検討する必要があるということでございます。
想定されるスケジュールは、そちらに記載のとおりでございます。
簡単ですが、説明は以上となります。
○宮崎課長 今、DPCについて御説明させていただきましたけれども、資料のつくりにつきましては、それぞれのデータベースにつきまして概要等を書き、課題や対応方針等々を順次書いた上で、その後に参考資料をつけている形でございます。
引き続いて、全国がん登録データベースについて、健康局がん・疾病対策課より御説明させていただきます。
○佐々木課長 がん・疾病対策課の佐々木です。
スライド12からになります。スライド13に概要等がございます。この全国がん登録制度、データベースの何より意味があるところは、個別の疾患登録、ディジーズレジストリで最初の法的根拠を事実上持つもの。その意味で、このがん登録データベースというのは意味があるところでございます。
参考までに、これは5年前、平成25年12月13日に法律が成立となりましたけれども、これはどの時期だったかというと、社会保障制度改革プログラム法の翌週に成立した法律、そういう時期に成立した法律になります。
実際の法律の施行が平成28年1月1日なります。この法施行が平成28年1月1日ということの意味がありまして、この法律では施行後5年をめどとして見直しを行うという規定がありますので、この法律は28年1月1日の法施行後5年をめどにして法改正と言うと言い過ぎですけれども、見直しを行う。大体スケジュール的なもので言うと、そういうアブストラクトの法律になります。
内容につきましては、上の概要のポツの2つ目にありますとおり、収集したデータは、主に下記の利用等の限度があると。どうしても取り扱う内容については、機微に触れる内容が多いことから、こういった1、2に書かれているような限度がある法律になっております。何を登録するのかというと、ポツの1つ目にあるようなものになります。
スライド14をごらんください。この法律は、2つ目に書いてあるとおり、第三者提供を行うことを前提にした法律になります。がん対策の企画立案や調査研究を行う国の行政機関や地方公共団体、研究者等に対して第三者提供を実施ということになります。
スライド15になります。ほかのデータベースとの連携についてということですが、これは根拠法が別にあります。根拠法が別のがん対策基本法という平成18年の法律に基づいて、閣議決定レベルの第3期がん対策推進基本計画というものがことしの3月に閣議決定され、6年計画ですが、その中で「がん登録データの効果的な利活用を図る観点から」云々というような法律、制度上の位置づけになっております。
一方で、ここでの主なテーマであるNDB、介護DBとの匿名での連結解析に対するニーズには、初回の診断時情報であるがん登録データベース、この特性を考えたときに、NDB、または介護DBで保有する情報の連結により、がん患者に関する医療・介護サービスの利用状況等を詳細に把握することが可能となるのではないか。また、がん対策に関する調査研究の幅が広がることが期待されているのではないか。このことは我々も重々承知しているところです。
ただ、一方で、これは法律に基づいているものであるので、片方では制限がかかっている中で、どうやってここでの議論とがん登録の法律、また、がん対策基本法との関係整理をしていくかというところが、大きなポイントになります。
私からの説明、最後はスライド16になります。こうしたことを考えたときに、課題として、ここに書いてあるがん登録法に基づくものの留意点、さらにはがん登録データベースで保有する情報との情報処理の整理が必要ということになります。
対応方針もここに書いているとおりでございますので、口頭で追加するものはございません。
スライド17以降は参照条文ですとか、また、絵でわかるがん登録法が書いてありますので、適宜ごらんいただければと思います。
がん登録データベースについては、以上です。
○宮崎課長 続きまして、指定難病患者データベースと小児慢性特定疾病児童等データベースについて、健康局難病対策課より御説明をいたします。
○川野課長 難病対策課の川野と申します。よろしくお願いいたします。
資料の25ページ、難病と小慢のデータベースについてでございますが、まず概要でございます。難病データベースにつきましては、平成27年1月に施行されました難病法に基づく基本方針におきまして構築するということとされております。中身につきましては、難病患者が都道府県医療費助成の申請をする際に添付する臨床調査個人票のデータ、そこに書いてありますような診断基準や重症度分類等に係る臨床情報等を収集するということで、それをデータベースにしているものでございます。小慢についてもほぼ同様でございます。
収集根拠でございますが、このNDBと異なりますのは、こちらは患者本人から、これらのデータを研究の基礎資料として使用することについて同意を得ているという点が異なるということでございます。
そして、第三者提供についてでございますが、現状としましては、今、システムの構築が終わり、昨年度末からデータ入力を開始しているというところで、現在順次入力を進めているところでございます。
こうしたデータ、当面どう利活用していくかという運用につきましては、ことしの6月に難病対策委員会と小慢の専門委員会の合同委員会、こちらは石川構成員にも参加いただいておりますけれども、そこで取りまとめを行っていただき、現在、その取りまとめに基づいて、そこに記載してあります有識者会議を設けまして、こちらは山本座長代理に座長をお願いし、樋口構成員にも参加いただいていますが、そこで今、データ提供の可否に関する審査基準や運営方法等について、先月から御議論いただいている状況でございます。
その次のページからニーズなどについて記載しておりますが、これらにつきましては、その有識者会議で2回、難病、小慢の合同委員会でも御議論いただいて、取りまとめた内容になっております。
まず、ニーズにつきましては、NDBとの連結におけるニーズということで1つ目に書かせていただいておりますのは、難病患者の症状軽減と関連する本来の適応とは異なる処方、例えば高血圧の薬がある難病の症状の軽減と関連するといったような分析が可能になり、既存薬の適応拡大などが行われる可能性があるのではないかという点。
また、NDB、介護DB、両方似たような話を記載させていただいておりますけれども、早期の積極的な介入、治療やリハビリなど、こうしたことを行ったという情報と難病データベースのほうにある症状の情報を照らし合わせて、それが早期の介入が有用かどうかということ、効果的な治療法の確立につながる可能性があるといったニーズがあるということでございます。
その次のページでございますが、課題としまして、まずは1点目、難病、小慢とも現状は法律ではなくて、今、法律に基づく基本方針に利用目的などが記載されているという、法的根拠としてはそうなっているということ。
2点目で記載させていただいておりますのは、こちらは先ほど申し上げましたように、患者の同意に基づいて情報提供を受けているということですが、現時点では他のデータベースとの連結解析については、明示的に同意を得ていない。
下から2つ目のポツでございますが、技術的な面としましては、NDBと違いまして、難病、小慢のデータベース、難病、小慢につきましては患者数が少ないため、間違って他の方の情報が連結されてしまいますと、研究全体に大きな影響を及ぼす危険性が高い。そのため、個々の確実な連結が必要不可欠であるということ、氏名、生年月日等の情報による結合ではなくて、確実に結合できる識別子により連結解析を行うことが必要であるということが、課題として書かせていただいております。
その次のページ、対応方針でございますが、1段落目はニーズがあるということでございますけれども、2段落目で課題として、今、申し上げたような話とあわせまして、難病、小慢のデータベース、こちらは研究に利活用していく目的がございますけれども、それとNDB等との目的の違いなどに配慮していくということ。また、現状ではまだ難病と小慢のデータベースも連結されていないということもございます。難病の希少性ということを考えますと、個人情報保護や情報セキュリティーの観点から、連結のあり方を慎重に検討する必要があるということが言えます。
そのためということで記載しておりますけれども、検討の進め方でございますが、難病、小慢につきましては、難病法等の施行が平成27年1月でございまして、下に小さい字で書かせていただいておりますが、附則で施行後5年以内を目途とする検討規定がございます。今後、そうした見直しの検討を行う際に、難病と小慢の合同委員会で、まずは難病データベースと小慢データベースの連結の具体的な方法等を整理し、その上で、これらのデータベースをNDB、介護DBに連結解析することについて検討するということをしているところでございます。
説明は以上でございます。
○宮崎課長 最後に、MID-NETについて、医薬・生活衛生局医薬安全対策課より御説明をさせていただきます。
○江野室長 医薬・生活衛生局医薬安全対策課の江野でございます。
それでは、私からはMID-NETの説明をさせていただければと思っております。34ページ以降をごらんいただければと思います。
35ページ、MID-NETの概要でございます。MID-NETにつきましては、全国の23病院の協力をいただきまして、450万人規模の患者さんのレセプトデータ、電カルデータを匿名化し、収集している、そういったものでございます。
ただし、これまでの3つのものと違いまして、国が所有、保管するものではございませんで、あくまでもデータ自体は協力医療機関が保有している。それをPMDAがシステム運営している。その都度、データをお借りしているといった形になります。
収集したデータは行政、製薬企業、アカデミアが利用することが可能という形で、今年度の4月から本格運用させていただいております。
収集根拠につきましては、医薬品医療機器総合機構法第15条の規定によりまして、医薬品等の安全性に関する情報を収集し、整理し、及び提供することということに基づいてございます。
第三者提供につきましては、先ほども御説明したとおり、行政利用、製薬企業、アカデミア利用というものを想定してございまして、一つには、医薬品の市販後安全監視等々の安全対策に使う。もう一つには、公益性の高い調査研究といったものに使えるということで、例示といたしましては、AMED、日本医療研究開発機構さんから公的研究費をいただいている研究といったものが想定される状況でございます。
36ページ、NDB、介護DBとの連結に関するニーズということでございます。医薬品等の安全対策の観点から、私ども、MID-NETで解析させていただいている患者さんのデータと連結することによりまして、その例示として記載させていただいておりますけれども、詳細なMID-NETのデータのその後の患者さんの長期投与等のフォローアップをNDBデータで追跡するといった形で、医薬品の安全対策にさらに強力なデータとなるというような活用方法が考えられるところでございます。
37ページ、課題といたしまして、先ほど来御説明をいたしております、データ自体は各協力医療機関でお持ちいただいているもの、これを匿名化してデータとして収集、利用という形にしてございます。したがいまして、連結に必要なハッシュ情報につきましては、運営しているPMDA側のシステムで収集できる仕組みとはなってございません。したがいまして、他のデータベース等々、患者さんのデータをひもづける、そういった形になる場合には、協力医療機関側のシステムの中にもどういう仕組みかを導入していかないと、こういった形のものがつくれないだろうといった形で、課題として設定させていただいております。
ただし、対応方針といたしまして、先ほど来申し上げております医薬品の安全対策に関します詳細なデータがとれるといったようなニーズが想定されますことから、協力医療機関、PMDAとの連携を図りながら、NDB、介護DBとの連結解析について検討を進めてまいりたいと考えてございます。
この検討を踏まえまして、匿名での連結解析、こういった技術的対応が図られるならば、その後、システム改修、運用スキーム等につきましても、関係機関と検討してまいりたいと考えてございます。
私からの説明は以上でございます。
○宮崎課長 5つのデータベースにつきまして、4部局から御説明をさせていただきました。NDB、介護DBとの匿名での連結解析に向けたそれぞれのデータベースにおける現状、検討状況、今後の対応方針等について説明させていただいたところでございますが、説明させていただいたとおり、それぞれに大分事情が違うところもございます。その点を含めて御議論いただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○遠藤座長 ありがとうございました。
それでは、ただいま各担当部署から御説明のありました全体を通じて、何か御意見はございますでしょうか。
山本座長代理、どうぞ。
○山本座長代理 それぞれの御事情はよくわかったのですけれども、中でも例えばがん登録とかMID-NETのところに、ここでレセプトと介護総合データベースを突合するために検討されているカナ氏名と生年月日と性別の3情報によるハッシュ値を前提にされたような記載がちょっとあると思うのです。
レセプトは今、140億件たまっていますし、そこで例えば幾らかの誤差があったとしても、恐らくいろいろな調査研究にはそれほど大きな影響を及ぼさないという意味では、3情報のハッシュ値による突合も当面の手段としてやむなしとは思うのですけれども、住基ネットの4情報でさえ当たっている例が明らかにあるのです。これは総務省の調査で明確になっていますけれども、世田谷区かどこかで全く同じ住所、生年月日、年齢、性別の人があることがわかってきています。これは3情報ですと、恐らくそれよりはよく当たってしまうわけです。
これは疾患が限られてくる、あるいは症例が限られてくることになったら、非常に大きな問題になるかと思いますので、3情報のハッシュによる突合を前提とするというのは一応外したほうが私はいいと思うのです。これでレセプトとNDBと介護総合でやってみて、その中で実際に、例えばNDBを使えばその3情報で一致するけれども、ほかが違うとか、検出も不可能ではないので、そういったことを検討した上で、本来20年から導入される医療等のID等を使って、きちんと間違いなく識別できる前提で議論しないと、そこがネックになって突合できないという議論になってしまうとつらいものがあるかなという気はしています。
○遠藤座長 ありがとうございます。
関連で何か御意見はございますか。
海老名構成員、どうぞ。
○海老名構成員 私もまさに今のところが自治体側として気になったところです。今までこの会の議論の中でもMID-NETの中で言及がありましたけれども、個人単位の被保険者番号の活用が一つ検討に上がっているのですが、各データベースで例えばそういったものの取り扱いを今後どう考えているのかも御紹介いただけると参考になるのかなと思ったので、差し支えない範囲でもし各データベース、個人単位の被保険者番号について、今後どのようにお考えなのかをお聞かせいただければと思いました。
○遠藤座長 ありがとうございます。
ほかに何かございますか。
石川構成員、どうぞ。
○石川構成員 きょうはいろいろとデータベースを横並びにしていただきまして、本当によくわかって、ありがたいと思っているのですけれども、37ページに関しまして、いきなり新しい個人別の被保険者番号の記載があって、これはいかがなものかと。MID-NETのところですけれども、「個人単位被保険者番号等の活用も視野に入れた」と。この「活用も視野に」というのはなかなか難しくて、私たち、一応、医療等IDはこちらの方向で検討していくということはいいのですけれども、これだと保険者番号そのものという感じあります。記載は慎重にしたほうがいいと思います。
○遠藤座長 ありがとうございます。
ほかに何かございますか。
例えば今までの御議論について、何か事務局からコメントがあればお願いいたしますが、いかがでしょう。
○宮崎課長 まず、後半の議論にもなりますけれども、連結解析のための対応についてどう考えるのかという点につきましては、前回の御議論の中でも、当面3情報をもとに、NDBと介護DBの連結解析というものを可能とする方向で考えていく。これは7月の段階以降、そういう方向での御意見を賜ったのではないかと思っております。ただ、それはあくまでも最終形ということではなくて、その先にはさらに精度を高めていくという観点から、個人単位の被保険者番号等の検討状況も踏まえつつ、さらに検討していくということであったであろうかと考えております。
今、他の公的データベースにつきましては、検討状況の御報告をさせていただきましたけれども、それぞれにつきましては、NDBと介護DBとの連結解析のスケジュールと歩調を合わせてやることは難しいということが共通した報告であったろうかと思います。その意味では、当面の措置である3情報と連結するということを前提に議論しているだけではなくて、NDBと介護DBの連結のさらなる検討なども踏まえてあわせて検討していく必要があるのだろうと思っております。
もし個別のデータベースで追加してコメントがあれば、お願いしたいと思います。
○遠藤座長 ありがとうございました。
ほかに何か御意見はございますか。
では、棟重構成員、葛西参与の順でお願いします。
○棟重構成員 棟重でございます。
典型的なのは5ページになろうかと思います。私は第1回でも国のお金を使ってやるということで言えば、国民全体に何がメリットかということがもうちょっと見えるようにしていただきたいという発言をさせていただいたのですけれども、全般的につなげれば何かいいことがあるかなというもやっとしたところで議論が進んでいるように見えるので、それぞれにもう少し具体的にどういうメリットが想定されるのか、その投資に見合う効果をもう少し明らかにしていただいたほうがいいのかなと。
特に5ページ、これは別にDPCを入れなくてもできそうな感じもするような内容ですし、多分専門家で言うと違うのかもしれませんけれども、国民の皆さんにとって、こうやってつなげていくことがこういうメリットがあるということをもう少し具体的に書いていただくことを、DPCに限らず全般的にお願いしたいと思います。
○遠藤座長 ありがとうございました。
事務局として何かコメントはございますか。
○宮崎課長 私から、まず今御質問のありました、例えばNDBなどとDPCの具体的なニーズということについて、もう少し説明させていただきます。必要があれば担当課から補足させていただければと思います。
DPCデータベースは、例えば患者のADLや一部疾患の重症度の分類など、NDBのレセプト情報では保有していない情報を有しておりますけれども、一方で患者ごとの他の医療機関の受診や介護サービス実施状況の把握はできていないということでございます。それはこの5ページ、6ページの概要等の中で現在持っているデータを書いておりますけれども、そういう状況でございます。
したがいまして、NDBや介護DBと連結することで得られる情報というのは、例えばDPC病院、急性期医療を提供する医療機関を受診するに至った経路ですとか、あるいは退院後の他の医療機関の受診状況、あるいは介護サービスの利用状況などを把握することができるのではないかということを、大変簡単にしてしまっていますけれども、この2行で書いているのかと思います。そうしますと、例えば患者の受療行動ですとか、地域での医療や介護の提供状況の分析ということにもつながる可能性があるのではないかということで、それを大分詰めまして、2行で書いてあるということであろうかと思います。
同様に、それぞれの他のデータベースにつきましても持っているデータの特徴がありますので、それとつなぐことによる可能性として出てくるのだと思います。
さらに補足して説明があれば、それぞれの部局からお願いできればと思います。
○遠藤座長 担当課から何かございますか。特段よろしいですか。
棟重構成員、どうぞ。
○棟重構成員 そういったことは多分御専門の方はおわかりいただいていると思うのですけれども、あるいは松田先生などもいろいろな研究を既にされているかと思いますが、そういったことをもう少し見える化していただいたほうがいいのかなということで、お願いしたいと思います。
○遠藤座長 ありがとうございます。
今のお話に直接関係しますか。
○樋口構成員 関係があるといえばあります。
○遠藤座長 では、葛西さん、ちょっと関連がありますので、樋口構成員からどうぞ。
○樋口構成員 今、棟重さんがおっしゃった非専門家として、きょうの御報告を伺っていて私のバイアスというか、単純な、間違った印象なのかもしれませんが、例えば2ページ目ですね。先ほどどなたかからあったように、こうやっていろいろなデータベースがあるということは、前からこの表は出ていましたけれども、これを並べてみて、こういうことつないでいくのだという大きな図が描かれている。しかし、きょうは大きな図ではなくて、私の印象が間違っているのだとは思いますけれども、それぞれのデータベースの担当課がみんな違うのですね。それぞれ独立した城というものがどうもあるような印象があります。
一番大きなNDBと介護DBというものをここでつなごうという話をしているわけですけれども、それとの関係はどうでしょうかということで、それぞれの独立した城主から一定のニーズはあるよという話なのです。これはもとの議論に戻るのかもしれませんけれども、厚生労働省はこうやって一つ一つのデータベースを大きな枠で捉えて、まさにデータヘルスを考えてはいるけれども、実際の話としては一つ一つ違うデータなので、一歩一歩、ステップ・バイ・ステップで、そういう表現はよくないと思いますが、一つ一つ城を攻めていって、全体として最後は一国の統一を図るというような、そういうイメージでおられるのでしょうけれども、それがどうなのかなという感じがきょう改めてしたということです。
それぞれについてニーズはあるということはおっしゃっていただいたと思うのです。こういうものをつないでいくとと。それが棟重さんがおっしゃったことと同じなのかもしれないのですけれども、やはりもっと素人がこうつないでいくとこういうことができるという、そういうものがもう一つ具体的なイメージとして出てこない。それもこの一つ一つのデータのところを守っておられる人たちだから、そこの特殊性というものが余りに大きく、よく知っておられる専門家だからだと思いますけれどもね。それはさておきという話も伺いたかったというのが印象論です。
○遠藤座長 非常に重要な御指摘であると同時に、的を射た御意見だったかなという感じもしますが、何か事務局、コメントがあればお聞きしたいと思います。どうでしょうか。
○宮崎課長 こうした保健・医療・介護のデータベースを大きな絵としてどう進めていくのかということについては、省内のそれぞれの城を横断した部局横断的な体制として、データヘルス推進本部を設けまして、そこでメリットが出る方向で、大きく言えばつなげていく方向での検討をしているということが、大きな絵姿ではあります。
実際のところ、それぞれのデータベースで目的、あるいはきょう御報告させていただいたように法的な根拠も、そもそも匿名なのか顕名なのかも違いますので、実際にどういうメリットがつながるとできてくるのかというのは、かなりそういう足元の情報をきちんと見ないとお見せできないということもあります。大きな絵としてやったほうがいいのですよということを簡単に言うこともできるのですが、ただ、それぞれのデータを預かっている立場といたしましては、きちんと足元の状況を御説明した上で、それぞれの、今、考えられる状況ではメリットはこういうものだということを御説明させていただいたというところでございます。
もう一つ、やや言いわけがましくなるかもしれませんけれども、NDBと介護DBについては、レセプトで匿名情報でということで、かなり共通項もあるものですから、この場で御議論いただきましたように、連結解析に向けて具体的な議論ができて、松田先生の御報告などもございましたけれども、メリットがかなり見えてくるところがございますので、議論が先行いたしました。他のデータベースにつきましては、そのNDBと介護DBの連結が具体的にさらに進んで、どうなのか見えないともう少し踏み込んだことが言えないという部分もあろうかと思います。きょうのところは全部まとめて全国統一した姿がこうだということを詳しくは御説明できないのは、そういう状況もあるということを御理解いただけたらと思います。
○遠藤座長 ありがとうございます。
葛西参与、お待たせいたしました。
○葛西参与 私はデータヘルス本部におりますので、ちょっと温度差があるかもしれないですが、できるだけ大きくちゃんとやりたいなと思っているのです。
とは言いながら、私自身は各論で、このデータを全部一遍に何かつないだら、皆様のおっしゃるとおり、すぐ何か効果が出ますかというわけではないとは思うのです。かといって、データヘルス本部で扱っている中では、例えばがんゲノム治療はC-CATを設置しましたと。その中で言うと、できれば一刻も早く院内がん登録であるとか全国がん登録の情報は使いたいという思い、これはオミックスをやるのにかなり精密に、適材適所でちゃんとした薬を選択することができるようになる。明確にすぐにでも効果を得られそうなものというものもあれば、なかなか疫学研究的に動態で見るものですね。必ず主語が個人であるとは限らないかもしれない。施設単位で見るとどうだとか、都道府県単位で見るとどうだと見る場合もあるので、NDBと介護に関しては3情報ですけれども、ほかの識別子でつなぐことも当然視野に入れていかなければいけないのだろうと。それは研究目的によって違うだろうなということが一つ。
もう一個、がんゲノムに関して言うと、がん登録のデータベースとつなぐことが、私はC-CATの方々の代弁でしかないのですけれども、できるだけ早く欲しいという要望をすごく受けております。そういったときに、どういう識別子が一番がん登録のデータベースの中でいいのかなみたいな議論というのは、個々個別に議論するのではなくて、皆様一丸となって連携しながら御議論いただいたほうがうれしいなという思いがあることを、御説明までにしておきたいというだけです。
○遠藤座長 ありがとうございました。
石川構成員、どうぞ。
○石川構成員 今、2ページ目のスライドが出ていますけれども、全国がん登録だけ、私は出ていないのです。それで臨床医の立場から言うと、これを横つなぎにした場合にとてもすばらしいものができる、すばらしい研究ができるだろうということはよくわかるのです。ただ、一番の問題は、データを出している被験者のところの同意の問題なのです。お約束の問題で、これが簡単にはつなげないというのが今の日本の水準だと思っています。
特に、全国がん登録は私は直接出ていませんけれども、非匿名化情報ということについて、これは改めて同意をしなければいけませんね。そうですね。それが一体どういうものなのかということについて、棟重さんがおっしゃるように、出ていないから明らかになっておりません。
難病、小慢は、制度の申請そのものが同意を得て、要するに、データベースになるという非常に特殊な形なのです。ですから、それがもちろんほかのものと連結するというお約束はとっていないので、そこはもう一回取り直さなければいけないというのはそのとおりで、ただ、つなげないと研究者としては物足りなさを感じることはもちろん明らかだと思います。
ただ、今回NDBと介護データベースということについて、3つの情報でハッシュをやって、SHAがどうのこうのとかとかなり厳重にやるとはいっても、先ほど山本先生がおっしゃったように、多少の危険性が出てくるということですね。私たちは、どうせだったらもっときちんと国民とお約束した上で医療等IDを、きちんとしたデータで、IDでつなげたい。そういう気持ちはずっと持っているわけです。だから、早くまた医療等IDの議論を再開していただきたいと思っています。
○遠藤座長 ありがとうございます。
ほかに何かございますか。
海老名構成員、どうぞ。
○海老名構成員 たびたび済みません。今、お話があったところに関係するのですけれども、最初に私が御質問させていただいたことも今の御議論に近いところがあるのですが、この会の趣旨というものはNDBと介護DBがメーンだということですが、例えば今、お話のあったDPCとがんとか、難病、小慢とMID-NETとか、そういった組み合わせでもさまざまなことがわかってくるということになると、やはり連結キーというものをどうしていくのかは非常に重要なテーマなのではないかと感じています。
各データベースの成り立ちとか、趣旨とかというものがあると思うので、なかなか難しいことはよくわかるのですけれども、例えば今後集めるデータの仕様が変更になってくると、大変恐縮なのですが、我々自治体を含めて事務を取り扱う者の負担も当然出てくるので、そういったものは早いうちから統一して進めていただいたほうが混乱が少ないかなと思っています。そういった御配慮をぜひお願いしたいということを思って、最初に御質問した次第です。
もう一点、今まさに石川構成員におっしゃっていただいたところですけれども、御説明の中でもありましたが、データベース、それぞれ患者さんの御協力をいただいているデータはたくさんございまして、自治体としては、住民の方に御協力いただくということであれば、個人の方が特定されないことの担保が非常に重要だと思っております。その点について、もしかすると二律背反的なことかもしれませんが、御配慮いただきたいと思っております。
○遠藤座長 ありがとうございました。
ほかにはいかがですか。大体よろしゅうございますか。ありがとうございます。
それでは、最初の議題はこのぐらいにさせていただきたいと思います。
次に後半の議論に移りたいと思います。後半の議論は、前回、前々回の議論を踏まえまして、対応の方向性について御議論いただきたいと思います。
事務局から、資料の説明をお願いします。
○宮崎課長 ありがとうございます。
続きまして、後半の議論といたしまして、資料2に沿いまして、前回、前々回で御議論いただいた第三者提供等のそれぞれの検討テーマに沿いまして、また、前回、前々回お示しをさせていただきました論点ごとに対応の方向性を整理させていただいておりますので、御説明をさせていただきます。
資料2をお開きいただければと思います。まず、スライド2以降でございますけれども、最初の固まりは第三者提供に係る見直しの方向性のうち、手続等にかかわる部分でございます。スライド3に第三者提供の手続等に関する現状をまとめておりますが、これは前回御説明させていただいておりますので、省略させていただきます。
スライド4、論点1-1、1-2がございます。第三者提供の枠組みの制度化を踏まえまして、各データベースの提供申し出に係る審査について、効率的な審査体制を検討してはどうか。また、連結データの提供申し出についても、時間の短縮等のため運用面で配慮することとしてはどうかという論点の2つでございます。
この点につきまして、有識者会議でのこの場での御議論といたしましては、効率化を図ることができる部分については、さらに取り組むべきだという御指摘ですとか、あるいは連結したデータの提供に関しましては、分科会のような形式で審査回数を確保するようなことも考えられるのではないかという御指摘がございました。
スライド5、方向性といたしましては、前々回、前回の御議論を踏まえますと、まず1つ目の○であります。第三者提供の可否の決定に当たっては、現在同様、個々の第三者提供の申し出に係る利用目的・利用内容について、データベースの構築にかかわる医療・介護分野のそれぞれの関係主体等の意見も踏まえつつ、確認を経て行うことが基本となるのではないか。
加えまして、利用ニーズの増加に対応するため、第三者提供の枠組みの制度化の情報も踏まえつつ、円滑な審査のための方策について検討すべき。
また、あわせて、NDB及び介護DBの連結解析について、各データベースの手続を効率的に実施するための方策について検討すべきということで、整理させていただいたところでございます。
スライド6、第三者提供にかかわる手続の面で論点1-3といたしまして、利用者の利便性の向上や、より適切で安全なデータの利用、正しい理解につながるように、ICTを活用しながら、利用者支援の充実を図ってはどうかという論点がございました。
この点につきましては、迅速なデータ提供のために、正しい理解等が必要だということで、ICTを活用して提供すべきという御意見や、利用者支援についても、体制づくりも含めて考えていくべきだという御議論もございました。
また、自治体にとっては、国保連や国保中央会のような組織と連携をとりながらデータ分析に当たることができれば有用なのではないかという御意見等もございました。
スライド7、そうした御意見も踏まえまして、方向性といたしましては、迅速な提供と利用者の利便性の向上に資するために、利用申請の電子的な手続を可能とするような運用、システム面での対応を図るべきではないか。
2点目といたしまして、法令遵守のための研修等につきまして、eラーニング等を活用して提供すべきではないか。
3点目といたしまして、データベースに関する正しい理解を促すということから、レセプトデータに関する研修やダミーデータの提供等を行うべきではないか。
4点目といたしまして、自治体担当者や研修者等が、個別のニーズや課題に応じて相談・助言を受けられるような仕組みを設けるべきではないか。
5点目といたしまして、研修等の利用者支援については、効果的・効率的な支援やノウハウの蓄積が重要であり、このような観点から、利用者支援を継続的に提供できる体制についても検討すべきではないかということで整理させていただきました。
スライド8、安全な利用環境の整備ということで、論点1-4といたしまして、第三者提供の手続のくくりの3点目でありますけれども、安全かつ迅速なデータ提供・利用のために、多様なデータ提供を検討してはどうか。この際、安全なクラウド環境の活用等についても念頭に置いてはどうかということで、論点を提示させていただいたところでございます。
この場での御議論といたしましては、クラウドの活用については、安全性の確保を十分に行う必要がある。また、国民に対してその安全性を十分に説明できるようにすべきという御意見もございました。また、米国の例などの御紹介もございました。
利用者の立場で考えると、オンサイトリサーチセンターへ出向いていかなければ厳重な安全環境を用意できないということについては、利便性の観点で課題がある。仮想的な解析環境を利用することができるのならば、それも選択肢の一つではないかという御意見もございました。
また、セキュリティーについては、安全性の高いシステムを構築することに加えて、システムを利用する人間の側のルールや環境を整備することも重要ではないかという御指摘もございました。
スライド9、こうした御意見等を踏まえまして、方向性といたしましては、安全かつ迅速なデータ提供のために、従来の記録媒体を用いた提供方法に加えまして、利用者の希望等に応じて、クラウド環境を利用した提供方法を選択できるよう、必要な整備を進めるべき。この際、クラウドを利用する場合の十分な安全性の確保のための対応についてもあわせて検討すべき。
また、利用者が提供されたデータを用いた解析や、共同利用者とデータを用いた情報共有を行う場合等についても、安全な環境で行えるよう、クラウド環境上にこれらの作業に必要なアプリケーションを整備する必要性についても検討すべきという形でまとめさせていただきました。
以上が、第三者提供にかかわる手続等に関する一つのくくりであります。
2つ目のくくりといたしましては、10ページ以降でございます。第三者提供にかかわりまして、現在オープンデータとしての提供、あるいはサンプリングデータセットとしての提供、そして、オンサイトリサーチセンターという仕組みを設けているところでございますけれども、こうした公表の仕方につきましての御議論をいただいたところでございます。
スライド11、論点2-1につきましては、連結解析したデータについても、定期的に公表する、オープンデータという形で公表することについて検討を行ってはどうか。
論点2-2といたしましては、探索的に利用可能なサンプリングデータセット等の提供について、利便性の向上を図ってはどうか。
論点2-3といたしましては、オンサイトリサーチセンターについて、今後の役割についてどう考えるのかという論点を提示させていただいたところでございます。
この場での御議論といたしましては、NDBのオープンデータの特徴は、利用者側の意見を聴取しながら年々改善している点に特徴がある。介護DBや連結データについても、オープンデータのような形で提供する場合には、同様に利用者の意見を広く聞いていくことが大切であろうという御意見がございました。
また、NDBでオープンデータやデータセットの整備が進められていますけれども、利用者にとって、どのデータで何が分析できるのかという提案を含めた支援が必要なのではないかという意見もございました。
また、介護DBにつきましては、第三者提供は今年度からということでございますけれども、第三者提供や公表データについては始まったばかりということで、データ内容や利用についてさまざまな方に知っていただけるようにする取り組みが必要なのではないかという御意見がございました。
オンサイトリサーチセンターにつきましては、安全性が厳格に確保されており、リスクのあるデータセットを安全に取り扱うことができる利用環境であるということで、積極的に評価する御意見がございました。
その上で、NDBの第三者提供で用意されているさまざまなデータ提供形態について、どのデータで何が分析できるのか、また、オンサイトリサーチセンターをどのように活用できるのかといったことについても情報提供すべきであるという御意見もございました。
スライド12、方向性といたしましては、ニーズの増加に対応して、より広い主体による分析等に資するために、NDBのオープンデータについては、これまでと同様にさらなる充実を図るとともに、介護DBにおける対応についても検討すべきである。その上で、連結解析におけるデータの公表のあり方についても、利用のニーズに即して検討すべきである。
迅速な提供が可能なデータセット、サンプリングデータセットのような形で現在NDBでは提供していますけれども、このようなデータセットのあり方についても、データ利用の安全性の確保に留意しつつ、活用方法に関する利用者への情報提供や利便性の高い提供方法等も含めて検討していくべきではないか。
3点目でありますが、オンサイトリサーチセンターについては、安全で、データの処理、解析のための必要な性能を有する利用環境として運用し、さらにNDB、介護DBをともに解析可能とするなど、利用者の利便性に配慮した機能について、費用面に留意しつつ検討すべきではないかということで整理させていただいたところでございます。
さらに、論点2-6でございます。これまでの検討を踏まえて、第三者による利用時に必要なセキュリティー水準等についてどう考えるのかという論点を提示させていただいたところでございます。この点につきましては、有識者会議での主な議論といたしましては、NDBの第三者利用において、利用者に対する非常に厳格なセキュリティー基準を設定し、安全性を確保している。
現在のNDBでは、利用環境として、研究者と国がデータの取り扱いに関する約束をした上で、みずから環境を用意して利用する場合と、オンサイトリサーチセンターを利用する場合があるわけですけれども、一方で、第三者提供として提供するデータセット自体のリスクによっては、オンサイトリサーチセンターでしか取り扱うことができないという場合もあり得ますと。こうした利用環境のセキュリティーとデータの性質との関係については、整理する必要があるという御意見もございました。
スライド14、方向性といたしましては、各データベースにおいて、標準的なセキュリティーを講じつつ、あわせてデータの提供を受ける利用者に対しても、これまで同様のセキュリティー対策を求めることを原則とするということでございます。これまでと同様と申しますのは、それぞれの提供するサービスに見合ったセキュリティー水準を、最善のものを目指していくということでございますので、今後も現行のセキュリティー水準の確保が大前提として、拡充するサービスに見合ったセキュリティー水準が必要になってくるということであろうかと思います。
2番の○でありますけれども、データの利用・保管に関しては、その性質に応じまして、オンサイトリサーチセンターやクラウド上に構築する解析基盤での利用・保管に限定するなど、安全性確保のために必要な条件を付すことも検討すべきではないかということで整理させていただきました。
続きまして、今後のデータ整備における基本的な考え方ということで、固まりとしましては、インフラ等にかかわる論点についてでございます。
スライド17、データベースの整備等に関して、現在の保守・管理をこのように行っているという現状を整理させていただいたところでございます。詳しくは前回御説明させていただいたところでございますので、説明は省略をさせていただきまして、スライド18に移りたいと思います。
スライド18、安全で高度な研究利用のニーズに応え得るデータベースとして、どのようなことが考えられるかという点であります。論点2-4といたしまして、保守・管理に加えて、今後はデータベースの解析機能の充実・改善等に向けて、先駆的な技術・研究成果等を随時取り込むための機能が必要ではないか。そのために、どのような方策が考えられるのかということでございます。
この場での御議論といたしましては、法に基づき収集したデータでありますので、国が責任を持つことは前提であると。その上で、委任・委託については、事業の継続性の観点から、根本の部分は公的な主体が担うことも想定されるということで、例えば国立保健医療科学院、国保中央会、支払基金といった主体が、支援や人材の参画を行うことも妥当ではないかという御意見がございました。
また、先駆的な技術や研究成果を随時取り込み、機能を充実していくべきであると。ただし、それに伴う負担については、規模やスケジュールが丁寧に示される必要があるという御意見もございました。
スライド19、方向性といたしましては、各データベースの保守・管理については、当面の間、国が主体的に実施するということでありますが、さらに高度な研究利用にたえ得る機能を確保するためには、利用者のニーズや最新の技術の動向を踏まえながら、継続的に支援や改修を行えるような体制を検討すべきではないかという整理をさせていただいております。
スライド20、連結解析のための技術的な対応といたしまして、2020年度の開始に向けて、議論の整理を踏まえた対応を進めつつ、将来的に導入が見込まれる個人単位の被保険者番号の活用などにつきまして、費用対効果等に留意しつつ検討してはどうかという論点を提示させていただいたところでございます。
有識者会議での主な議論といたしましては、2020年度での実施を考慮すれば、当面の措置としてカナ氏名、性別、生年月日、3情報を用いた識別子を生成し、NDBと介護DBの連結に活用することが現実的な対応ではないか。ただし、安全性の観点から、引き続き対応の精査が必要との御意見もございました。
また、NDBの構築、第三者提供等につきましては、さまざまなテーマについて丁寧な議論を重ねてきたということでございまして、その議論の趣旨が、経緯が損なわれないよう十分に留意しながら対応を進めるべきだという御意見もございました。
スライド21、連結解析のための技術的な対応の2、方向性として書いておりますのは、先ほど前半の議論でも紹介させていただきましたけれども、2020年度に向けて、カナ氏名、性別、生年月日、3情報をハッシュ化して作成した識別子をもとに、NDBと介護DBの連結解析が可能となるような対応を進めていく。また、2021年度以降に向けては、必要に応じ、以下の対応を行うということで、3情報をハッシュ化して作成した識別子による連結精度の検証や、個人単位の被保険者番号をハッシュ化して作成した識別子の整備、こうしたものもにらみつつ、必要な対応を行っていく。
「なお」と書いておりますのは、2の対応を行う場合にも、一定の連結の精度を維持する観点から、カナ氏名、性別、生年月日をハッシュ化して作成した識別子の整備も継続することを基本とすべきとしております。
加えて、2番目の○に書いておりますけれども、NDBと介護DBに加え、他の公的データベースとの連結解析を行う際には、さらなる安全性等を確保するための方策について、必要に応じ検討すべきということで整理させていただきました。
最後、運用のあり方として、スライド23以降、論点を整理し、方向性を示しております。
スライド24、論点1-6にお進みいただきますと、第三者提供の枠組みなどの具体的な検討を進めることとして、その上で、必要となる機能の観点に基づいて、委任や委託のあり方について検討することとしてはどうかという論点を提示させていただいたところでございます。
この場での御議論といたしましては、NDB、介護DB、いずれも法に基づき収集したデータでありますので、国が責任を持つことは前提であるということの御議論があった上で、委任・委託についての御意見もございました。2番目の○に記載しているとおりでございます。
そして、データベースを用いた研究等の成果を国民に還元して、重要性を広く国民に周知していくような取り組みについては、民間による協力も重要ではないかという御指摘もございました。
スライド25、方向性といたしましては、1つ目の○であります。データベースの保有主体として、一義的な責任は国が負うことを踏まえれば、第三者提供の判断等のデータベースのあり方の根幹にかかわる性質の事務については、国がみずから担うことが基本となるだろうと。
他方、効果的・効率的な実施を図るためには、第三者提供の手続など、関連する事務につきまして、レセプトの取り扱いに関する知見等、豊富な知見を有する他の主体との役割分担を検討すべきではないか。その役割分担に当たっては、国による関与やより適切なガバナンスが必要という視点にも留意して検討していくべきではないか。それが2つ目であります。
3つ目につきましては、データ利用の成果については、他の主体の協力も得ながら、多様な機会を通じて広報に努めるべきということでございます。
スライド26以降では、運用のあり方にかかわりまして、費用面での御議論もいただいたところでございます。
スライド27、具体的な費用負担のあり方について、第三者提供の枠組み等の具体的な検討を進め、その上で、具体的な費用負担のあり方を検討することとしてはどうか。その場合、第三者提供に係るデータの抽出・処理等には、一定の作業量が発生すること等を踏まえ、費用負担を求めることを前提としてはどうかという論点を提示させていただいたところであります。
この場での御議論といたしましては、例えば都道府県による施策への活用というのは公益性が明らかであるので、利用料の徴収は慎重に考えるべきという御意見。
行政機関、学術分野、民間のように主体を分類して考えることもできるのではないか。あるいは、具体的な金額ではなく、著しく高価で研究者が容易に利用できない事態を避けること、モラルハザードが発生するほど低価格とならないようにすること、これらに留意しつつ、設計の考え方について議論すべきではないかという御意見もございました。
また、国全体でデータヘルスの取り組みが成長している、黎明期の段階であることを踏まえれば、費用負担を求めることには疑問があるという御意見もございました。
スライド28、方向性といたしましては、第三者提供には個別の作業や提供による受益が発生していることを踏まえ、第三者提供の制度化の状況も踏まえつつ、原則として、個々の第三者提供に要する作業等に応じた費用負担を利用者から求める運用とすべき。
ただし、公益性の高い利用が費用負担によって抑制されることがないよう、費用負担の具体的な運用方法の検討に際しては、個々の第三者提供の利用目的の公益性等を勘案して費用負担を軽減する仕組みについても検討すべきではないかということで整理させていただきました。
長々と説明いたしましたけれども、大きな固まりとしては4つぐらいの固まりに分かれようかと思います。論点と有識者会議での主な議論、それを踏まえた方向性として整理させていただいたところでございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○遠藤座長 ありがとうございました。
それでは、早速議論に移りたいと思います。
議論の方法ですけれども、資料2の構成に沿って御意見をいただければと思います。まずはIの第三者提供に係る見直しの方向性、最初に論点1-1から論点1-4までを議題としたいと思います。ページで言うと3ページから9ページになりますが、これについて御意見等をいただければと思います。いかがでしょう。
葛西参与、どうぞ。
○葛西参与 私のほうは、多少専門的で申しわけないのですけれども、一応オープンな場でちゃんと言っておきたいと思っているのですが、8ページ目にあるクラウドの活用に関する安全性の確保であるとか、9ページ目にあるクラウド環境上に必要なアプリケーション整備について、前回もVPNのあり方などもお話ししたりはしているのですけれども、どこか、この場では難しいかなとは思っております。
とはいえ、何を気にしているかというと、実は3省4ガイドラインを守ればそれでいいではないかというスタンスでは、実は標的型攻撃に関する対策であるとか、一番大きなものは、データが漏えいした場合とか侵害された場合、患者への連絡が、今、見当たらないのです。クラウド上は多少ブラックボックスと誤解されがちなのですけれども、どこかのデータセンターに何か入っていて、連結されて、侵害されましたと。そのときに、GDPRにせよ何にせよ、自分の情報が侵害されているのにそれはわからないというのは、まずいなという気もしています。
あと、細かいのですけれども、海外ですと、この場ですと御存じの先生もたくさんいらっしゃると思うのですが、HIPAA、HITECHにせよ、HITRUSTにせよ、BA、BAAというアグリーメントが事業者とある。こういったところが抜けておりまして、いずれもいろいろなガイドラインとの整合性を見ながら、個別にこういったデータヘルスにかかわるクラウドに関する安全性の指針は、もうちょっと精密にどこか議論が必要ではないかというのは、この場では言っておきたいなというだけでございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
関連でも結構でございますし、異なる視点でも結構ですけれども、何かございますか。
田中構成員、どうぞ。
○田中構成員 迅速な提供というところで、審査回数を確保するというところが4ページにありますけれども、後の26ページには、第三者提供件数が年間60件であると。ということは、60件は月にならすと5件ですね。医療・介護、それぞれの審議会をどうするのかはわかりませんけれども、これからさらにまたさまざまな方に提供して分析などをしていただこうとしたときに、現在で年60件やっているのですけれども、これは分科会などで間に合うようになるのでしょうか。そこら辺は疑問に思いました。
○遠藤座長 事務局、その辺の疑問について何かコメントはありますか。
○廣瀬室長 事務局でございます。
審査頻度でございますけれども、御指摘のとおり、今、年間で一定件数受け付けておりまして、さらに今後もこのままのトレンドで行くと右肩上がりに件数が増加していくだろうと。これまでの議論もそういった右肩上がりにニーズがふえていくことを前提に御議論を重ねてきていただいたかと思います。
ここでは、頻度という観点から例示を書かせていただきました。いずれにしましても、利用ニーズが増加しても審査が滞るようなことがなくなるような方策について、単純な審査の頻度、回数をふやすということだけではなくて、様々な方策を組み合わせて検討していかなくてはいけないのかなと考えております。あくまでここの「頻度」のところは例示でございます。○遠藤座長 田中構成員、いかがでしょうか。
○田中構成員 そうすると、5ページですけれども、第三者提供の枠組みの制度化がされたときに、例えばサンプリングデータを定型的に出していって、そこはもうどんどん使ってくださいということにしていって、そうでないオープンとかオンサイトリサーチのほうはそのように審査をしていく。何か定型的なものとか、年間スケジュールとかをつくって表明したほうが、もっと利用する側もわかりやすいのではないかと思いました。
○遠藤座長 ありがとうございます。
ほかに何かございますか。よろしゅうございますか。ありがとうございます。
それでは、次の議題に移りたいと思います。論点2-1から論点2-6まで、ページ数で言うと10ページから14ページ、これについて御意見を承りたいと思いますが、どうでしょう。
石川構成員、どうぞ。
○石川構成員 13ページのセキュリティーの確保の○の2つ目なのですけれども、オンサイトリサーチセンターでしか取り扱うことができない場合があり得るということについてはもう十分聞いていまして、さらに介護が入ってきて件数がふえるとなると、今、このオンサイトリサーチセンターが3カ所ということではとても足りない。これはいろいろな方から言われていて、これは右肩上がりとおっしゃっていますけれども、本当に準備を、そろそろもう少しふやすということをお考えになったほうがいい。
そのときに、きっとどこかの大学が、何で東大、京大だけなのだとか、いろいろな形で言うところがもう既に出てきているのです。そのようなこともありますので、厚労省のほうで検討していただいたほうがいいと思いますので、よろしくお願いします。
○遠藤座長 ありがとうございます。
ほかに何かございますか。
それでは、次の議題に進みたいと思います。次はII-1、今後のデータベース整備に係る基本的な考え方について、論点2-4と2-5ということで、17ページから21ページに該当いたしますが、これについて何か御意見はございますか。
それでは、特段ないようであれば、また後で時間があれば全体に戻っていただいても結構ですので、先に進ませていただければと思います。
最後になりますが、II-2、運用のあり方について、論点1-6、1-7、ページ数では23ページから28ページでございます。これについて何かございますか。
棟重構成員、どうぞ。
○棟重構成員 棟重でございます。
直接の論点ということではないのですけれども、ずっと気になっていることがあって、成果の見せ方とか評価に関してということで、ページで言えば25ページの3つ目の○になろうかと思います。データ利用の成果については、多様な機会を通じて広報に努めるべきとございます。この論点に限らず全体の話なのですが、今、活用が若干前のめりになっているような印象はあるのですが、実際に活用していくことは非常に大事なのですが、その結果としての成果なのです。やはりこのデータを活用して世の中に広く役に立つことを積極的に見せていく必要があるのではないかと思っています。
レセプト情報の有識者会議、NDBの有識者会議でも発言させていただいたのですけれども、実際にこの第三者提供で、こんな研究成果が上がりましたということを公表していただくようにお願いして、実際に項目なり、一部URLも公表していただいているのですが、そういった具体的な成果を公表することによって国民の理解も深まっていくのかなと。
もう一歩進んで、その研究結果の評価まで将来的にできるようになれば、またさらにこのPDCAサイクルといいますか、このデータベースの活用をどう工夫していくのかが見えてくると思いますので、そういった検討も引き続きお願いしたいと思います。
○遠藤座長 ありがとうございます。
ほかに何かございますか。
樋口構成員、どうぞ。
○樋口構成員 樋口です。
3点と言ってしまうと、3つ目は忘れてしまうかもしれないので、本当はメモしておくべきだったと思いますけれども、まず1点目、一応、私は法学部に属しているのです。だから、法律的な観点から気になる表現がある。
例えば24ページです。これは議論の中でのまとめなので、こういうことでいいと思うのですけれども、法に基づき収集したデータなので、国が責任を持つことは当然である、私も当然ではあると思いますけれども、これは国があらゆる法的責任を負うという意味なのかというのは、別の話なのです。法的責任も、例えば無過失責任、ありとあらゆる、どこかで何か情報が流れた。国としてはきちんとした手続にのっとってちゃんとやっていたのですけれどもね。しかし、最後になって国家賠償責任と。しかも、国家賠償法は一応過失責任主義をとっているのに、これはデータについてはありとあらゆる、原子力と同じで無過失責任を負うのですという趣旨はないと思うのです。だから、責任を持つというのは、政治的責任とか、そういうキャッチフレーズとしては当たり前というか、当然のような気もするのですけれども、気になるというのが一つです。
その上の論点のところも、委任・委託と並べてあるでしょう。例えば私は民法学者ではないので、本当はそれほどには気にならない人間なのですけれども、民法学者にとっては、民法典に委任はあっても委託はないのですね。とにかく民法上にないから。どう違うのと。並べてあるから違うのかということを考えるわけです。だから、これは何か意味があって違えさせているのか。そうであれば、それはそれではっきりさせてほうがいいかと思います。
2つ目は、費用の話で、これは質問です。3つ目はやめて2つにしますけれども、教えていただきたいということなのですが、資料1で、きょうはいろいろなデータベースの話がありましたね。ただ、私は本当に何も知らなくて、最近知ったことなのですが、資料1の42ページにMID-NETの費用体系というものがあって、ここを見るとMID-NETについても始まったばかりということなので、実証的な意味ではいろいろな点がまだはっきりしていないのかもしれませんけれども、しかし、これは何に使うかというと、医薬品等の市販後安全監視とかリスクベネフィット評価を含めた安全対策。まさにこういうデータの公益性の神髄ですね。
さらに2で、公益性の高い調査研究に利用するのだという話になって、その下に利用料という話が既にある。ほかの介護、ナショナルデータベースのところで議題に乗っているから、費用のあり方はどうあるべきですかということについて、既に先行してデータベースのところで、しかし、これは先行しているけれども、ここのデータベースは極めて特殊なもので、ここでの議論には参考にならないものなのですよということなのか、もう既に検討済みでこれが先例になるような話なのか。教えていただけたらありがたいということです。
○遠藤座長 わかりました。
それでは、まず後段のほうの御質問から御見解をいただきたいと思います。
事務局、どうぞ。
○宮崎課長 まず、費用負担に関して申し上げますと、一般的に費用負担を求める場合には、実際にかかっている費用を想定される利用者、利用件数などで割って出す、適切な額を出すことが原則になろうかと思います。例えば一般的な統計などでは、数万円とか数十万円というレベルで提供されているものがあると聞いております。
一方、MID-NETに関しては、PMDAという独立行政法人が行っているということがあり、かつ将来的な投資コストなども含めて、それを想定される件数で割り戻したときにこのような額になっていると聞いております。それで現在、いろいろなこういうデータベースの第三者利用で使われているものとしては、桁のかなり違う形になっているのだと受けとめております。数万円から数十万円、あるいは100万円台というのが大体普通で、このMID-NETというのは公的なデータベースの第三者利用としては違う状況にあるのかなと思っております。
NDBと介護DBについて申し上げますと、それぞれまずシステム全体につきましては、例えばNDBを例にとりますと、高齢者医療確保法の医療費適正化計画のために収集するという本来目的がありまして、その点については、国が当然システムをつくる責務があります。具体的なことを今、決めているわけではございませんけれども、考え方としては、仮に第三者利用をして、利用者に費用負担を求めるとしても、そうした本体の部分については分子に入ってこなくて、第三者利用にかかわる実費の部分だけを見ることになる。
利用件数については、NDBで言えば今でも百何十件ありますので、今後かなり件数が増加することを考えますと、割るほうも数としてはふえてくることを考えますと、決してMID-NETで設定されているような金額になるとは想定しておりませんで、通常の統計情報とMID-NETの間で、どちらかというともう少し低いほうになるのかなと思っています。いずれにせよ、具体的な額はどういうシステムをつくって、第三者提供にかかわる費用がどのくらいかを想定した上で検討していくことになろうかと思います。
もう一度申し上げますと、実費負担の考え方を考えますと、MID-NETとは状況が違うのかなと。ここに額が入っているものがこれだけなものですから、誤解を与えたとしたら申しわけないのですけれども、他の公的なデータベースでは数万円、数十万円の規模のものからありますので、そうしたものも参考にしながら具体的には決まっていくことになろうかと思います。
○遠藤座長 それでは、前半御指摘のあった文言に対するリーガルチェックのようものですけれども、何かコメントはございますか。
○宮崎課長 委任・委託、法律上、少し厳密な定義づけをする必要があろうかと思いますが、ここの書きぶりの中ではそれほど厳密に使っているわけではございません。例えば最終的な報告書なりの段階で誤解のないようにといいますか、疑問が生じないようにきちんと整理していきたいと思います。
○遠藤座長 ありがとうございます。
樋口構成員、よろしいでしょうか。何かコメントはございますか。
○樋口構成員 最初のほうについて追加で、きょうはもうMID-NETの人が、MID-NETの人と言うのもおかしいのかな、おられなくて、質問する機会を私が逸したのでしょうけれども、このMID-NETの情報はほかのと違って行政、製薬企業、アカデミアと3つ並べてありますね。利用者として想定していて、こうやって多様な利用者が出てきて、情報についてもある種、切磋琢磨するというのもあり得ると思って、しかも、それがいいだろうという判断でこれはそうなっているのだと思うのですけれども、利用料の関係も行政、製薬企業、アカデミアで何の区別もなくやっておられるのか。いやいや、そうではありませんよ、行政の利用はもちろんただですし、アカデミアについても違うのですという話なのかどうかということだけ教えていただければ。
○遠藤座長 事務局、お願いいたします。
○傍聴人 バック席から失礼いたします。医薬・生活衛生局医薬安全対策課でございます。
こちらの利用料を算定するときは、利用者を分けずに利用するデータに基づいて費用を設定させていただきましたので、基本的にアカデミアだから安いとか、そういうことはさせていただいていない状況でございます。
○山本座長代理 市販後調査は、企業しかやらないですから。
○樋口構成員 行政とかアカデミアは。
○山本座長代理 やらないです。
○樋口構成員 しかし、データ利用もやらないのですか。
○遠藤座長 山本座長代理、補足でお願いします。
○山本座長代理 一番高いことは、これは基本的には製薬企業が販売後に行うものですから、それ以外のユーザーは想定していない。残りの2つはアカデミアと行政がやる可能性はあると思いますけれども、というぐらいの分類はあります。
○遠藤座長 よろしいですか。
アカデミアとかはやっていないということですか。
○山本座長代理 製販後調査は制度に基づいて。
○遠藤座長 製薬会社はやりますね。
○山本座長代理 そうです。これは企業がやるものです。
○遠藤座長 アカデミアは。
○山本座長代理 アカデミアは、その製販後調査をやるわけではなくて、それ以外の方法でさまざまなことを探索するというのが、アカデミアの場合は多いだろうと思います。
○遠藤座長 石川構成員、どうぞ。
○石川構成員 私の理解ですと、これは23病院ですね。23病院と限定されているわけです。大きな東大だとか、そういったものもありますけれども、大学も限られている。しかも、民間病院が入ってきているのです。民間病院のグループが2つありまして、言ってみれば、そこで得た医療情報を匿名化してその病院から出す。そのような仕組みになっていまして、設備投資が当初非常にあって、それはイニシャルコストとしてやっているのですけれども、先ほど言いましたように、メンテナンスは相当かかるということで、それを割り戻した額になっていると私は思っています。
アカデミアの利用については、これはいろいろなところがまだ黎明期ということもあって、やたらに使わないようにということはあるのですけれども、アカデミアが使うときは何かの委託研究みたいなものでやるぐらいの規模の額になっているというのは、最初のころはしようがないなと、私などもこの議論に参加していましたので、納得しました。
もう一つ言えば、次世代医療基盤法の中で匿名加工医療機関というものができますけれども、そこから出たものも利用料がかかります。かなりかかるのではないかと思うのですけれども、それも設定されているので、私はこの介護だとかといったものは、黎明期だからもう少し安くしたほうがいいのではないかと思ってはいました。
○遠藤座長 事務局、よろしいですか。何かありますか。
どうもありがとうございました。
ほかに何かありますか。よろしゅうございますか。
それでは、全体を通して何か言い忘れたというところがあれば、お願いします。
特にないようであれば、本日の議論はこのあたりにさせていただきたいと思います。
それでは、本有識者会議におきましては、7月の中間的な議論の整理以降、3回にわたりまして御議論をいただきました。構成員の皆様からは、本日を含めまして、大変重要な御指摘、御意見をいただいたわけでございます。
本有識者会議は、本年秋をめどに議論を取りまとめ、社会保障審議会医療保険部会及び介護保険部会に報告をするという予定になっております。
したがいまして、事務局におかれましては、本日いただいた御意見も含めまして、整理、検討していただきまして、次回はこれまでの議論を取りまとめたいと思いますので、対応のほど、よろしくお願いいたします。そういう方向で運営させていただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
ありがとうございます。
それでは、次回の日程等につきまして、事務局から御説明をお願いします。
○宮崎課長 ありがとうございます。
本有識者会議につきましては、今、座長からお話がございましたように、7月までにかなり大きな柱のところについて御議論をいただきまして、秋の議論につきましては、そこでなお検討を要する事項ということで御議論いただいた形になります。議論の進め方が非常に難しかったところもあるかと思いますけれども、大変恐縮でございます。
座長の御指示に従いまして、夏までの議論と秋の議論とをあわせまして、整理した上で、次回、お諮りをしたいと考えております。
次回はもともと各構成員の皆様の御日程としては、11月8日も日程を押さえていただいておりましたけれども、11月8日につきましては開催をいたしませんで、11月15日を次回の日程とさせていただけたらと考えております。11月15日、次回の日程ということで、お願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○遠藤座長 それでは、そういう予定で、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、本日はこれにて終了したいと思います。どうもありがとうございました。
 

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