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2018年7月12日 第5回医療・介護データ等の解析基盤に関する有識者会議 議事録

保険局医療介護連携政策課

○日時

平成30年7月12日(木) 13:00~15:00

○場所

主婦会館プラザエフ スズラン(9階)

○議題

 レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)及び介護保険総合データベース(介護DB)の連結について

○議事

○遠藤座長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第5回「医療・介護データ等の解析基盤に関する有識者会議」を開催いたします。
 構成員の皆様におかれましては、お忙しい中、御参集をいただきましてどうもありがとうございます。
 会議に先立ちまして、本日の構成員の出欠状況について事務局から報告をお願いしたいと思います。
○黒田課長 事務局でございます。
 本日の構成員の皆様の出欠状況でございますが、松山構成員、武藤構成員から御欠席の連絡をいただいております。
 松田構成員、樋口構成員は、若干遅れて到着の予定でございます。
 以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 それでは、議事に移らせていただきます。
 冒頭のカメラ撮りは、このあたりにしていただければと思います。
 本日は「レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)及び介護保険総合データベース(介護DB)の連結について」を議題といたします。
 NDBと介護DBの連結解析に関しましては、これまで4回にわたり議論を重ね、前回は事務局の用意したこれまでの議論の整理の骨子案について御意見をいただきました。本日は、その際の御意見も踏まえて、これまでの議論の整理(案)を事務局に提出いただき、医療保険部会、介護保険部会への報告に向け、これまでの議論を整理したいと思います。
 それでは、事務局から資料の説明をお願いします。
○黒田課長 お手元に資料と付しております「これまでの議論の整理(案)」というA4縦紙の紙がございます。こちらを御用意いただければと存じます。
 こちらの資料につきましては、前回の第4回の会議の際に、これまでの議論の整理(骨子案)という箇条書きの資料でご覧いただきまして、その際に構成員の先生方から御意見を頂戴したものでございまして、そういったものをベースにしながら文章化をしたものでございます。
 これは座長からお話がございましたように社会保障審議会の関係する2部会への報告をイメージして御用意しているものでございます。
 では、読み上げさせていただきます。
これまでの議論の整理(案)
-NDBと介護DBの連結解析について-
1.議論の経緯
○ 本有識者会議は、NDB(レセプト情報・特定健診等情報データベース)と介護DB(介護保険総合データベース)の連結解析に係る基盤の構築、セキュリティや効率的な実施体制の確保等の課題や、近年整備が進められている他の公的データベースとの関係整理などをあわせて検討し、社会保障審議会医療保険部会及び介護保険部会における議論に資するため、本年5月に議論を開始した。
○ 本有識者会議では、医療保険及び介護保険のレセプト情報等を悉皆的に収集する等の共通性を有するNDB及び介護DBの連結解析について先行して議論することとした。参考人からのヒアリングを含めて計5回にわたり法的・技術的な論点について議論を行い、これまでの議論を以下のとおり整理した。
○ なお、本有識者会議では、本年夏以降、実施体制、他の公的データベースとの関係の整理等の課題について更に議論を行い、本年秋を目途に全体の議論を取りまとめる予定である。
2.基本的視点
○ NDB、介護DBともに、社会保険制度を基盤とした悉皆的なデータベースであり、保険者を問わずカバーされ、経時的な変化も把握・分析可能である。両データベースの連結解析によって、地域包括ケアシステムの構築、効果的・効率的で質の高い医療・介護の推進等に寄与する医療・介護を通じた分析に資することが期待される。
○ また、NDB、介護DBとも、レセプト情報等について、本人が特定できる情報を削除した上で収集される匿名のデータベースとして、保険者や医療・介護関係者をはじめとする多様な関係主体の協力を得て構築されている。このため、連結解析の検討に当たっては、本人の特定がなされないこと(=匿名性の確保)、本来目的を損なわないこと、関係主体の理解を得られることが必要である。
○ こうした両データベースの共通の特質を踏まえ、両データベースの連結解析に当たっては、匿名での連結解析を行うことを前提に、以下の課題ごとに検討を進めた。
3.データの収集・利用目的、対象範囲
(1)データの収集・利用目的
【現行】
○ NDB、介護DBともに、収集・利用目的は法律の規定(法定目的)とガイドラインを組み合わせることにより設定している。平成20年度にスタートしたNDBの法定目的は、平成29年の制度改正において整備がなされた介護DBの法定目的と比較して限定的に規定されており、両者の法定目的の範囲に差異が生じている。
【今後の方向性】
○ 公益目的での利用を確保する観点から、収集・利用目的については、明確に法定されることが重要である。このため、NDBと介護DBの連結解析を契機として、両データベースの収集・利用目的について、双方の範囲の整合性にも留意しつつ、法の規定を整備すべきである。
(2)個人特定可能性への対応
【現行】
○ NDB、介護DBで保有する情報は、国への提出前に匿名化され、個人が特定できる情報項目が削除された上でデータベースに収載されている。これに加えて、第三者提供に当たっては、他の情報との照合等により個人の特定につながることがないよう、データベース構築に関わる関係主体や学識経験者で構成される有識者会議における提供前の個別審査や成果の公表前の確認等が行われている。
【今後の方向性】
○ NDBと介護DBの連結解析に係る第三者提供に当たっても、匿名性の確保という前提を踏まえ、個々の第三者提供の申出に関して、提供前の個別審査や成果の公表前審査等現行ベースの取組の実施を前提として提供を認めるべきである。
(3)収集・利用目的との整合性の確保
【現行】
○ NDB、介護DBの第三者提供に当たっては、公益目的での利用を確保する観点から、ガイドラインにおいて、利用者の範囲や有識者会議における利用目的・利用内容の提供前の個別審査の実施、成果の公表や利用後のデータ返却等を定め、運用により対応している。
【今後の方向性】
○ NDBと介護DBの連結解析を契機として、利用の公益性の確保を強化した上で、幅広い主体による公益目的での利用を図るため、第三者提供の枠組みを制度化すべきである。具体化に向けて、個々の第三者提供の申出に係る利用目的・利用内容の個別審査や成果の公表、目的外利用の禁止や不適切事案への対応等の適合性確保のための仕組みについて、法定化に向けた検討を進めるべきである。
○ 上記の枠組みの具体的な運用方法として、利用の公益性を確保しつつ、段階的な利用の拡大を図るため、公益性が認められ、政策的観点からも優先的な分析・研究が必要なテーマを設定した上で、幅広い主体から分析・研究を募る等の方策を検討すべきである。
4.第三者提供
【現行】
○ NDB、介護DBの第三者提供に当たっては、公益目的での利用を確保する観点から、ガイドラインにおいて、利用者の範囲や有識者会議における利用目的・利用内容の提供前の個別審査の実施、成果の公表や利用後のデータ返却等を定め、運用により対応している。(再掲)
【今後の方向性】
○ NDB、介護DBの連結解析を契機として、将来の利用ニーズの増加も視野に、公益目的による利用を前提とした迅速な審査・提供を図る観点から、
・情報の提供に係る迅速な審査
・連結解析に係る円滑な審査(両データベースの審査の調整等)
・利用者支援(申請支援、データベースの基礎知識や解析時の留意点に関する研修等)
・安全な利用環境の整備
等の取り組みを実施すべきである。
○ あわせて、審査・提供の更なる迅速化を図る観点から、これまでの取組も踏まえ、下記に関する方策について検討すべきである。
・標準的な項目の定期的な公表の在り方(オープンデータ等)
・試行的な分析のためのデータセットの設定の在り方
○ なお、NDB、介護DBの連結解析に係る第三者提供の開始に際しては、両データベースに精通した有識者による試行運用と、それを通じた課題の精査を行うべきである。
5.実施体制
【現行】
○ NDB、介護DBともに、データベースの保有主体である国が責任主体となりデータベースの保守・管理等を実施。加えて、先行して第三者提供を行っているNDBでは、第三者提供の個別審査を行う有識者会議の運営、利用者の申出手続の支援等も順次開始している。
【今後の方向性】
○ NDB、介護DBの連結解析を契機として、将来にわたる利用ニーズの増加や多様化・高度化に対応することが求められる。このため、実施体制に求められる下記の機能のあり方について検討すべきである。
1 データベースの保守・管理、利用者支援の取組、第三者提供業務等の基本的な役割について効果的・効率的に実施し、迅速に提供する機能
2 データベースの構造改善やデータ解析機能の充実など、研究利用に応えるための取組を効果的・効率的に実施する機能。
○ 上記のデータベースの保有主体が国であるという基本的な性格を踏まえ、下記について整理、検討すべきである。
1 国が自ら担う機能
2 効果的・効率的な実施の観点から他の主体に委ねることが適当な機能
3 2について、国の関与の在り方、他の主体に求められる要件
○ なお、実施体制に関しては、上記3・4における具体的な検討や下記6の検討に応じて必要となる機能、適切な役割分担等に即して、引き続き検討する必要がある。
6.費用負担
【現行】
○ NDB、介護DBともに、運用に要する費用は、国が予算措置により対応している。
【今後の方向性】
○ NDB、介護DBの連結解析に当たっても、データベースの保有主体が国であるという基本的な性格を踏まえ、基本的な部分は国が対応するべきである。
○ 一方で、NDB、介護DBの連結解析を契機として、利用ニーズの増加や多様化・高度化への対応が求められることも想定される。第三者提供には公益性と利用者における個別の受益(メリット)の双方が存在し、個々の提供に伴うコストも発生する一方、公益性を確保した利用の促進の要請も存在する。こうした諸点を踏まえ、第三者提供の利用者の費用負担を求めることについて、今後その具体的な在り方に即して引き続き検討する必要がある。
7.技術面の課題
【現行】
○ NDB、介護DBで保有する情報は、国への提出前に匿名化され、個人が特定できる情報項目が削除された上でデータベースに収載されている。
○ 現在は、NDB、介護DB双方の匿名化に用いる情報項目や識別子の生成方法が異なり、連結解析を行うことはできない。
【今後の方向性】
○ 匿名での連結解析という前提を踏まえ、医療保険及び介護保険の両制度のレセプト等で共通して収集している情報項目(氏名、生年月日、性別)を基に共通の識別子を生成、連結キーとして活用することで、匿名情報としての性質を維持した上で、連結解析を可能とすべきである。
○ 更に、技術面の環境整備等に応じて、匿名情報としての性質を維持した上で、識別・連結の精度の向上につながる方策(個人単位被保険者番号(医療保険)の活用等)についても、医療保険制度・介護保険制度における対応や費用対効果とうに留意して、今後引き続き検討すべきである。
8.今後の検討の進め方
(1)NDB、介護DBの連結解析
○ NDB、介護DBの連結解析に関しては、上記3及び4の具体的な運用方法等や、上記5から7までに関する諸課題について、収集・利用目的や第三者提供に係る制度化の検討状況も確認しつつ、本年秋を目途に引き続き検討する。
(2)保健医療分野の他の公的データベースとの関係整理
○ NDB、介護DBの連結解析に関するこれまでの議論を踏まえ、保健医療分野の他の公的データベース(DPCデータベース、全国がん登録データベース、指定難病・小児慢性特定疾患データベース、MID-NET)との関係について、主に下記の諸点に関して公的データベースごとの議論等を踏まえ、本年秋を目途に当有識者会議で検討する。
・ NDB、介護DBとの連結解析の具体的なニーズについて、関係者間で共有されること
・ 収集・利用目的が法令等で明確に定められ、連結解析の根拠についても位置付けることが可能であること
・ 第三者提供の枠組みが法令等で定められ、連結解析に係る第三者提供の根拠についても位置付けることが可能であること
・ NDB、介護DBとの匿名での連結解析が技術的に可能であること(共通の識別子の生成に必要な情報が収集されていること、システム面の対応が可能であること等)
 以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 それでは、資料の構成に従いまして御議論を進めていきたいと思います。
 まずは「1.議論の経緯」及び「2.基本的視点」について御意見を承りたいと思います。いかがでございましょうか。田中構成員、どうぞ。
○田中構成員 もともとの始まりといいますか、経済財政諮問会議における社会保障給付費の効率化というところがベースにあると思うのですが、そういった意味で言うと最後の1行の「医療・介護を通じた分析に資する」という表現の中に、それが含まれるという考え方でよろしいのでしょうか。
○黒田課長 御指摘の連結解析を行う趣旨につきましては、初回の会から何度か当方でも資料をお示ししましたとおり、連結解析についての期待というものが諮問会議ですとか未来投資会議等々でも示されているところです。
 その中で言及されることがある目的としては、1つは地域包括ケア、医療と介護の連携強化をしていくというようなニーズがまずあるのだろうということが言われておりますし、あとは先ほどお話のありましたような、そういった取り組みが進むことに伴って、結果的には効果的で効率的な制度が実現するのではないかという話もあろうかと思います。そういったことも込み込みで、むしろトータルとしては効果的で効率的な制度、それから、医療と介護の連携という、むしろ現場のほうが一歩進めていただいている取り組みをデータ面でも下支えするといいますか、後押しするといいますか、そういったことがあろうかと思いまして、そういったことはこの会に先立つ数回の会議の中でも、構成員の方々からも触れられていると考えています。
○遠藤座長 田中構成員、いかがですか。大丈夫ですか。
 ほかにいかがでしょうか。それでは、また何かあれば戻っていただいて結構ですので、次に進ませていただきます。
 「3.データの収集・利用目的、対象範囲」につきまして、御意見をいただきたいと思います。樋口構成員、どうぞ。
○樋口構成員 「3.データの収集・利用目的、対象範囲」に入っているわけですけれども、参考資料3という、そもそもこの会議が何を検討するのかというものが一番初めに示されて、1ページ目に主な検討テーマというものがありますね。きょうの最後のまとめの中間報告整理(案)みたいなものですけれども、今、主な検討テーマは下記を想定というので(2)データの収集・利用目的、これから第三者提供があり、実施体制があり、その途中に個人特定可能性への対応というものが入っていますから、そういうふうに読めば読めるのですけれども、2点だけ申します。一番初めにそう言うべきだったのですけれども。
 第1点は、一番初めに個人情報保護法制等、しかし「等」はなくてもいいので、一番大きな問題は個人情報保護法との関係で、こういうビッグデータをつくることがどういうことなのだろうという話を明確にする、明らかにすることがあって、私もこの検討会に入れていただいて、いろいろ教えていただいたことが多くあるのですけれども、そのうちの1つはここではっきり書いていないけれども、ここで問題になっている介護DBであれNDBであれ、それはこうはっきり言っていいのかどうか本当は自信がないが、いわゆる行政機関が有するところの個人情報保護法で言う情報にはもう当たらない。だから個人情報保護法制との関係はそういう意味では整理しなくていい。それぞれ別個の法律に基づいてNDBも介護DBもできているので、そのところの収集・利用目的の整合性を確保すればいいというふうに説明を受け、理解もしている。なるほどと思ったのですけれども、きっと私だけがそうだったのかと思ってもまだ他の人はそう思っていないような気がするのです。
 この文書が出ていっても、個人情報保護法というものをまだ気にしている人はいっぱいいると思うのです。だからそれだったら個人情報保護法との関係はこういう形で整理しましたってはっきり言ってくださると、個人情報保護法とは関係ないんだ。幾つか法律論としては少し詳しい議論が本当は必要になると思いますけれども、そもそも匿名データであるとか、個人情報ではないとか、しかし、個人情報保護法というのは行政機関のものはそこから非識別加工情報というもので特別に匿名のものをつくっていますから、それにも当たらない。第三の類型みたいなもので、第三のビールではないなこれは。そういうことを言っても誰も笑わないようなところでこんなことを言っても意味ないでしたね。そういうものが行政機関の情報にはあるのかというのは私なんかには、私の不勉強のためだと思いますけれども、びっくりしたもので、それははっきりしてあげたほうが今後の進め方としていつまでも心配している人が当然いますから、それとの関係はどうなっているんだという、ここにも主な検討テーマというところで書いてあるわけですから、個人情報保護法制との関係というのは一番初めの主な検討テーマで打ち出しながら、個人情報保護法というのは私の見落としでなければ今日の論点に出てこないですよね。出てきそうなのは個人特定可能性への対応というところで(2)に当たると思うのですけれども、でも結局ここも、これはしかし今そこまで話を進めてよろしいのでしたっけ。いいのですね。
 これもやっぱり個人特定可能性への対応と言うからには、特定可能性はやはりあるんだという話になると、やっぱりまた個人情報保護法というのに戻ってきそうな感じがどうしてもするわけです。いやいや、そうではないんですよという話を明確にされたほうがいいような気がするというのが1点。
 2つ目は目的のほうで、これはより小さいかもしれないですけれども、2ページ目のところでNDBの法定目的と介護DBの法定目的というものがあります。今回、それをすり合わせるために法改正含めて考えているのだというわけです。ちゃんとした法定目的のためにこういうデータベースを利用できるように、利用することがちゃんと法定目的内の範囲だということを明らかにするようにしようということなのですけれども、そうだとすると今、田中さんとの議論があったところで、1ページ目のところは一体これは何で連結解析するんだというところがありますね。それで地域包括ケアシステムの構築と効果的、効率的で質の高い医療・介護の推進等に寄与するための分析がこれで可能になるのです。これは日本国にとっても重要だし、国民一人一人にとっても極めていいことなのですよという、そのことと、ここでの連結の目的というのと、ここでの法定目的について少し文章表現を変えるという、こういう形で一致させますよということがあったほうがいいような気がしたということです。そういう方向なんですということをもう少しはっきり書かれたほうがいいのかなという感じを持ったということであります。
 2点申し上げました。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 法律の御専門家の立場での御意見、御提案ですが、事務局、何かコメントがあればお願いします。
○黒田課長 先生から2点お話をいただきました。
 まず1点目のお話です。第1回の会のときに、どういう議論の順番にするのかというお話で御議論をいただいた際に、資料もお示ししながら御説明申し上げましたのは、匿名での連結を前提に諸課題を議論しましょうという形で1回目でお話をいただき、その前提で論点を議論してきた。
 先生の最初の問いに対するお答えの1つは、匿名だということを前提にしようというところの中で、個人の名前が入っている情報ではありません、匿名ですよということをまずご覧いただいたということです。それは今日ご覧いただいている資料の中の「2.基本的な視点」というところに、そういう順番で、そういう前提で議論しましょうということを1ページの半分ぐらいを割いて書かせていただいているということなので、そこでまず匿名だということでやりましょうという話を書かせていただいています。
 先生に御指摘いただいたこの資料の中の2ページの3(2)の部分は、いわば匿名だということを前提にすることを議論の大前提に置いた上で、ただ、非常にケースが少ない分類が公表されてしまうようなことがあると、周辺情報と照合することによって類推されてしまうというリスクがまだ残るという面もあろうかと思いますので、そのリスクを遮断するためにもう一枚、手続をかませているというのが今のやり方ですということかと思います。
 つまり、目的ベースでは匿名情報なんですということを確保しながら、前と後で先生方の目を入れて、そういうリスクがないかどうかもう一度チェックするという、かなり入念なやり方をすることで、そのお答えにしていこうということだったと思います。ですのでそういう意味では、そういう順番に沿って議論してきたということをあらわすために、1ページ目の半分を割いて、まず匿名ですよねということを見ていただいた上で、運用面でもプラスアルファのリスクにも対応するような運用も確保していくということで、この資料上は表現をしているということでございます。
 2点目の目的のお話がございました。この資料上は公益目的で法規定の整備と書かせていただいていまして、これは私どものほうにまず宿題で頂戴をして、どのような形でそれを法律に表現できるのかという検討を私どものほうでさせていただいた上で、前回、先生からお話がありましたが、その検討の状況をできましたらまた先生方に見ていただいてというプロセスで、この部分の肉づけをしていけたらと思っています。
 先生お話しくださった、そもそも包括ケアだとか医療・介護の連携だとかいうことが、この目的の中に重要な部分として入っているのだろうというお話については、私ども当然そのとおりだと思っていまして、その方向でむしろもう少し夏以降の具体の議論で使用するための素材を私どものほうで御用意させていただきたいと思っております。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 樋口構成員、何かコメントございますか。
○樋口構成員 一言と言って二言しゃべるのが悪い癖で申しわけないけれども、個人情報保護法制との関係は、ここの基本的視点を見てくれればわかりますよというお話でしたよね。やはりわからないのではないでしょうか。個人情報にはいわゆる3情報というものがありますね。特にこれは行政機関が保有するものだと思いますが、その関係では大丈夫ですよって、大丈夫ですというのは全く法律家らしい言い方でもなくて、大丈夫ですと書けばみんな大丈夫だと思うかというと、言われるとかえって心配になるということもあるのですけれども、表現はうまくいかないのだけれども、ちゃんと個人情報保護法制との関係は吟味した結果、このような情報ですから、そもそもそちらの適用があってどうのこうのという心配はありません。今後これを解析する人たちは新たにできるところのNDB、介護DBを連結するわけですから、それぞれの根拠法に基づいてちゃんと研究ができるように、こちらのほうで法改正をやっても、そちらの法律は気にしなくていいんですって最終的には書かざるを得ないような気もするのですけれども、この段階でそういうことを書くかどうかというのはまた1つの判断ではあります。前にこの会議だったと思いますけれども、海外へ調査をしてくださった先生の話を聞いたときに、ここですよね。それで私が質問をして、それぞれEUその他の国も含まれていたわけですから、いろいろな国が含まれている中で個人情報についてもっと厳しい態度を表面上とっているところがある。そういうところでこういうことを可能にするためにはどういう配慮をしていますかという趣旨の質問をして、それはちゃんと気にしていて、それぞれのデータベース研究の一番初めのところに何とかの法律の何とかに基づいて、ちゃんと正式にやっていますということを明らかにしているようですというお答えをいただいた気がするわけです。だからそういうことができる話をここでもつくったらいいという趣旨で申し上げております。
○遠藤座長 ありがとうございます。御意見として賜りました。
 石川構成員、どうぞ。
○石川構成員 この個人情報保護法制とかいうことが出てくると、一番ぐずぐず言うものだというふうに見られていると思うのですけれども、特に樋口先生からは8年前から同じような話ばかりしてきたような気がするのですが、私の場合には法制ということは余り関係ないのです。個人情報の保護ということについて、何かとやかく言うわけです。
 私はまだ第一線の現場を持っていまして、しかも往診だとかそういうものをやっていまして、介護も非常に間近に見ているのです。そうしますと例えば今、少し認知症がかかってきている近所の方が何で悪くなったのか。2~3カ月たったら要介護の判定が変わって5になった。これは何で変わったのか。その原因は何なのかといった場合に、介護DBだけではわからないのです。そこにどういう病気が関係してくるのかということが我々としては非常に知りたいし、そのことによって介護の進行をとめることができるかもしれないです。これが私は連結ということで非常に期待しているところです。
 そのときに、小さな町だったらこれが例えばルビー小体の認知症で、あれはすごく周辺症状が強いですので、近所の方にも大変な御迷惑をおかけするかもしれないし、家族も大変な思いをする。そういうものなのか、それとも手すりがなくて骨折して介護が悪くなったのか。こういったことがにわかにわかって、それが病名をつけたときに、にわかに個人情報として明らかになってしまうというのが私は一番心配なわけです。しかもそれが介護分野だとより小さい区域でデータが集められてきますので、そこで家族や患者さんが大変住みにくくなったりとかいうことが、またこれは問題になるわけです。
 これを第三者提供しようと。第三者提供しないということであれば、もっと例えば医者のところで内部的に、その方のためだけに、あるいはその患者さんの家族のためだけにいろいろできたことが、第三者提供して、それで個人情報が漏れてしまうというとおかしいのではないかということをずっと気にするわけです。だから私は法制ということについては正直言って、私は法律家でも何でもないので、そこのところはさて置いて、とにかくそれを守りたい。ただ、個人情報保護をきちんと行いながら、かつ、医療あるいは介護としても進めていきたい、発展させていきたいということで、こういうことにかかわっているというふうに認識しているわけです。ですからそれはぜひ樋口先生に明らかにしていただいたり、事務局に明らかにしていただく中で、これはやっていただきたいと特に強く要望したいわけです。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 関連で何かございますか。松田構成員、どうぞ。
○松田構成員 樋口構成員が言われたことは非常に実務的にいろいろと重要でありまして、実は私は介護DBの申請をさせていただいたのですけれども、その申請に当たってまさに今、言われたことを指摘されたわけです。要するに行政が保有している匿名の情報を使った研究をなぜ倫理委員会にかける必要があるのか。一応、今の介護のガイドラインでは倫理審査を受けることになっているのですけれども、今の倫理審査の手続の中では国が保有している匿名化された情報については、これは必要ないという判断になるのです。でも今、石川構成員が言われたみたいに、ほかの情報と組み合わせるとわかってしまう可能性がある。この辺のところの手続を少し、この中というよりも申請のチェックリストのところのガイドラインに少し書き込んでいただいたほうが、実際に多分こういうデータについていろいろな大学の倫理委員会は余り理解されていないと思うので、そこでコンフューズしてしまう可能性がありますので、そこの整理はぜひお願いしたいと思います。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 事務局どうぞ。
○黒田課長 先生方のお話、いずれも非常に大切なテーマだと思います。特に石川先生がおっしゃってくださった現場にお役に立てるということを考える上での視点というものを持ちながらこの話を検討していくというのは、まさにそのとおりだと思います。
 先ほどの樋口先生のお話に戻りますと、この話として、議論の手順としては個人情報保護法制との関係については匿名でありますし、手続もという順番でやってきたということは経緯としてありまして、私どもはそういう中で個人情報に該当するという要素を回避しながら議論しているつもりではありますが、法的に確定させることになりますと、これは法体系全体を見た上での確定判断となりますので、そういう意味では先生から先ほどお話をいただきましたように、そこの確定をさせるのは、まさに全体の検討を確定させるときに確定をさせるということが恐らくふさわしいのだろうと思いますので、この点についてはこれまでも注意深く議論していただいてきたと思っていますし、その話を確定させるというプロセスは全体の法的な整理の中で行わせていただきたいと思います。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 大体よろしゅうございますか。それでは、葛西参与、お願いします。
○葛西参与 1つ、今の関係ではあるのですけれども、他国のデータヘルスの制度とも比較してもそうなのですが、1つ気になったのは、ここの中の検討で書かなければいけないのではないかと思ったのは、実はそうは言っても侵害が発生した場合の対処について何ら書いていないのはまずいかなと思うのです。いわゆる個人特定された場合の、私はITなので、ITの立場で言うと例えば緊急対応です。CSIRTみたいな緊急対応をするということについて、今じっくり読んでいるのですけれども、やはり見当たらないというか、例えばGDPRで言うと33条みたいに、72時間以内に侵害があった場合には当局に報告せよとか、侵害が発生した場合の保護と、もう一点が、これは体制のところでの議論になるかもしれないのですけれども、例えばそういったことを予防するための監査制度的なことというのは、どこか何か今後の検討には入れたほうがいいかなというのがあります。
 もう一個が、これは技術面の課題、今、石川先生がお話されたような話というのは、ITでは例えばk-匿名化みたいな話だと思うのですけれども、そういった具体的なデータヘルス環境で匿名化を完全に維持するための技術検討というのはまずされていないのです。なのでこれは絶対にしなければいけないと思いますし、そういった利便性も損なわない。k-匿名化をきつくすれば当然、利便性が失われるので、こういったことのバランスをどうやって見るのかということは多分、試行的運用をする中で明らかにするという感じになるのだろうなと思っておりますという、以上、3点、気になって関係をして発言しておきました。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 では事務局、コメントをお願いします。
○黒田課長 冒頭の会でこの会の議論の順番を先生方にごらんいただいたときの順番としては、技術面の課題の中にはセキュリティーも含まれるとお示しをしておりまして、その課題はどちらかというと夏以降の議論の議題ですよということを初回にお示しをした上で、このお話を始めていただいたと思っています。ですので今お話が出ました話の中で、特に技術的な面に関するトピックについては、このまとめで言うと7.に属する課題なわけですが、夏以降の御議論に向けて私どもとしては準備をさせていただきたいと思っています。
 また、今の話の中で、場合によっては法律上の手当を個別に置いたほうがいいことがあるのかもしれません。適切な事案に対する対応。その点については先ほど申し上げた制度化に向けた検討、法制面の検討というものの中でも、どういう手だてをという話は樋口先生に教えていただいたような他法令の状況等々も踏まえて、具体的に検討させていただきたい。その双方の両面から検討させていただいた上で、夏以降の御議論に供したいと思います。ありがとうございます。
○遠藤座長 石川構成員、どうぞ。
○石川構成員 今、葛西さんからk-匿名性の話が出たのですけれども、これは山本
 
座長代理が座長をやられているNDBでも散々検討してきたことなのです。やはりある区域を区切って非常にまれな疾病だとかそういったものになりますと、本当にそれがわかってきてしまう。この間も介護DBの2回目の会議があったときにお話したのですけれども、介護の分野の研究結果など本当に欲しい部署や役所というのは市町村で地域的には小さな区域です。しかもポピュレーションとしてはもっと少ない。
 それから、先ほど認知症でルビー小体なんて言いましたけれども、疾病としてもどんどん少なくなっていくと、これは限りなく危なくなってくるということです。そうすると10以下は出せないということになると公表はもうできないですね。しかし、その研究は有効な研究があるのだと思うので、それは有識者会議のときにそういう研究をやられるということで、公表のときにはこうなったらという推測が立ちますので、プライバシーが漏れることを先に見込んでいろいろなことに手を打てると私たちは考えられると思うのです。
 だから有識者会議で公表のところまで立ち入るというのはそういった意味があって、ただ、その研究は公表できないから終わりではなくて、役所だとかそういったところでは有効利用するという道も有識者会議の中で考えていくことが大事なのではないかと思ったわけです。この間はそういう発言を介護DB、2回目のときにさせていただいた。
 いずれにしても、研究者はいろいろなことを考えて、いろいろな想像力のある研究をしてくれるものと期待をして、ただ、やはり個人情報の漏洩や人権侵害につながるようなことはだめだというふうにしていくべきだと考えています。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 ほかにございますか。
 非常に重要な御指摘を先生方からいただきましたので、事務局はそれを反映するような形で対応していただきたいと思います。
 次でございますが、「4.第三者提供」につきまして御意見を賜りたいと思います。國井構成員、どうぞ。
○國井構成員 この議論には直接関係ないのですけれども、今後の方向性の中で、利用者支援でデータベースの基礎知識や解析等の留意点に関する研修といったくだりがあるのですが、多分、大学等の研究者の方々と我々自治体職員のレベルには物すごい差があるものですから、自治体に対しても一定の配慮というか、研修を国のほうでしていただけるようなことをお考えいただければと思っております。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 田中構成員、どうぞ。
○田中構成員 もともとの目的が県の医療計画、市町村の介護保険事業計画ということですから、4ページの一番上、標準的な項目の定期的な公表のあり方というところ。市町村、県も国保の保険者になりましたが、保険料を設定するという役割があります。定期的にこれというのは各都道府県なり公表していただく仕組みというのが考えられているのが要るのかなというのが1点目と、今の総務省のほうでは市町村の規模が小さくなっていくので圏域で考えてみましょうという議論をされていると思うのです。そうするとそこは圏域全体で見たときの医療と介護の連携はどうなのかとか、そういったところを見られるような視点でデータがいただけるようになっていくのか。そんなところが保険者としては保険料を考えていく上でも非常に気になるところですけれども、そこら辺はいかがでしょうか。
○黒田課長 具体のお示しの仕方というものは、これから自治体の皆様ともよく御相談をしながらということに、こういう形にした上でというふうに思っておりますが、ここで書いてある、いわゆる個別のオーダーに基づいて提供する第三者提供というフレームもありますが、これはどちらかというとオーダーに応じて個別にお渡しするタイプです。ここにありますオープンデータというのは、それを類型化した上で定期的に年1回ぐらい出していくというものです。
 お尋ねのありました件は、むしろ自治体の皆様にいろいろつくっていただいている行政計画がさまざまあります。その定期的なレビューのために必要なデータということかもしれませんので、もし私が申し上げた幾つかのパターンの中の一番最後のパターン、つまり行政計画、例えばいろいろ医療や介護に関する計画がありますけれども、そのために必要な標準的なものだということであれば、これまでも標準的な情報のセットにして自治体の皆様にお渡しをしていたりということもやっていますので、そういう形でお示しをするのがよければそういうふうにしますし、もう少し、年1回ぐらいで定期的な公表にふさわしいならば、そちらで。あとは個別のオーダーに応じてということであれば、第三者提供のフレームに入れて、この3パターンの中からどれがいいのかということで、個別によくお話を伺いながら御相談をしていきたいと思います。ありがとうございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 ほかに何かありますか。山本座長代理、お願いいたします。
○山本座長代理 NDBのオープンデータも3年間やってきましたので、少しだけ経験をお話しますと、まずオープンデータをつくるのが結構大変でそれなりにパワーが必要です。もう一つは、何をオープンデータにしたらよいのかというのは、なかなか我々だけのアイデアでは本当にニーズを満たしているのかどうかよくわからないため、オープンデータは最初から公表して以来、常時希望を受け付けし、その希望を1年ごとにおまとめして対応できるものは対応するという形で、どちらかというと実際に使う人のニーズをできるだけくみ取ろうという形でやってきました。残念ながら、なかなか対応できる要望がなくて、とても無理なことが多いのですけれども、それでも少しずつ変わってきて、それなりに拡大はしていると思います。だから、こういったオープンデータを考えるときは、つくる側が勝手に決めるのではなくて、それぞれのニーズをできるだけくみ取るような形で進めるほうがスムーズではないかと思います。
○遠藤座長 ありがとうございます。重要な御指摘だと思います。
 ほかにございますか。葛西参与、どうぞ。
○葛西参与 これは私は全然専門外で、今後の議論をいただければなというお願いの1つではあるのですが、私は過去にそういう経験もあったことがあるのですけれども、4ページ目のところにある試行的な分析のためのデータセットの設定のあり方というのは、データセットの種類にもよると思うのですけれども、いわゆるマスターデータの場合、公的研究で行ったマスターデータなのに、いつの間にか民間で特許が取られているとか、そういうケースというのは、これは医療ではなくて別の世界では結構あったのです。その審査のときに知財の確認というのはかなり難しくて、前の仕事のときに知財をやったことがあるのですけれども、その問題というのはより専門性が高い方に御議論をいただかないと、なかなかまずいことになるかなというような気がしているということだけぜひ、これはきょうの議論では済まないと思っていますから、今後の御議論の中の題材としていただいておいたほうがいいかなという意味でお伝えしておきます。
○遠藤座長 どうもありがとうございます。大体よろしゅうございますか。
 それでは、次の「5.実施体制」について御意見ございますか。石川構成員、どうぞ。
○石川構成員 ここだけではなくて、ほかの医療のビッグデータのところにもかかわってきているわけなのですけれども、先ほど来こういうデータを扱える方だとか、分析できる方、日本ではまだ非常に少ないということもあります。NDBのときから本当にそういう点ではすごい膨大なデータを、それはでもどんどん今は処理速度が速くなってきて、要するに扱いも出てきている。研究者の方も以前より多くこういう研究ができるだろうという申請もふえてきている。そのようなことがあるわけです。
 これをNDBでもずっとやってきているわけですけれども、今度は介護のほうでもやって、連結もやって、ほかのデータベースもどんどん出てくる。特に難病と介護は絶対に連結したい内容のものだと思うのですが、こういった要求も絶対に出てくるだろう。
 そういう中で、医療だとか介護におけるデータベースをきちんと扱えるかというのが国のほうに必要だろうと。そこで同時に人材の養成だとか、そういったものも意識的にしていくことも、これは大学など研究者任せではなくて、私はやるべきだと思っているのです。
 そういう中で先ほど自治会の方のいろいろな教育だとかそういうものもそうですけれども、そういうこともどんどん大々的にやるような課をつくっていくという方向性をぜひ示していただきたいと強く考えるわけです。
○遠藤座長 ありがとうございます。大体よろしゅうございますか。
 それでは、次の「6.費用負担」について御意見を賜りたいと思います。大体よろしゅうございますか。ありがとうございます。
 それでは、「7.技術面の課題」について御意見をいただければと思います。
○黒田課長 事務局から1点よろしいでしょうか。
 この部分につきましては、この前の御議論でもありましたが、最後のところにあります今後、引き続き検討すべき課題の中にセキュリティーの確保ですとか、そういった技術面の課題も含めて読み込めるような形にさせていただきたいと思いますので、若干表現が足りないところがありますので、そういった対応をさせていただきたいと思います。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 葛西参与、どうぞ。
○葛西参与 これは多分ここにいきなり書く話では実はないと思っております。その前提で、データの分析ではずっとだんだん過渡期的に成長していくものでしょうし、今の段階では今後の方向性にある3情報と共通の識別子を生成して、連結キーでつなぐという方向が一定の回答だというのは、多分そうなのだろうなと思うのです。
 そのときに私自身は実はそういうお題をいただいて、どうやってシステムを設計しようと思うと、実はこの段階でも既に例えば3情報、どこのデータからとってくればいいのかなとか、被保番をどこからとってくればいいのかなとか、介護保険だと台帳があるなとか、この1行だけでも分散されたマスター群があります。それをいきなり一遍にぱっと持ってこられないことは承知しているのですけれども、とはいえどこかで実は、他国ではどこでもそうなのですが、アプリケーションインターフェースという、いわゆるAPIと言われるような他のシステムとの連携をもう少し潤滑にしないと、恐らく今はかなり手動で解析をされていて、解析をされる研究者の方々はかなり利便性を損なっているでしょうし、そのデータベース性能だけではなくて、解析という作業そのものの時間も結構とられているだろうなと思うのです。そういったAPIの管理とかをオープンにやっていくというところも、今後の課題になるのではないか。それは技術的な検討の1つではないかという、後半戦にどちらかというと申し送っている感じではあるのですけれども、そういったことだけお伝えしておいたほうがいいかなと思います。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 何かただいまのことでお考えはございますか。それでは、山本座長代理、どうぞ。
○山本座長代理 葛西参与のおっしゃるとおりで、特に解析の経験のあるNDBでもレセプトというのは本来こういう分析をするためのフォーマットになっていないので、最初はとにかく全てのレセプトを格納することが目的だったというところがあり、分析に全く向いていないデータ構造を研究者や事務局の方々が一生懸命処理をしていたのですが、そろそろそういったことを考慮する余裕が出てきて、いわゆる請求書明細としてのレセプトを格納する合理的な再配置というようなことを考える状況になったのが正直なところだと思うのです。
 ですから今後こういった連結の可能性も含めて、あるいは一部制度整備みたいなことも含めて、そのデータベースのあり方みたいなものを、たしか今、多少、研究事業でやられていますので、その結果も踏まえて検討されていけばいいのではないかと思います。
○遠藤座長 どうもありがとうございます。
 その他、技術面について何か御意見ございますか。大体よろしゅうございますか。
 それでは、「8.今後の検討の進め方」について御意見を賜れればと思います。
 石川構成員、どうぞ。
○石川構成員 前の段階の技術面のところでも識別子の話が出て、今回も6ページ目のところにも最後のところに共通の識別子の話がございます。識別子については、私の認識としてはまだ十分な議論が済んでいるとは思っていないのです。特に先ほど葛西参与が言われましたGDPRにあるような、事故が起こって、例えば自分の情報を消してもらいたいというときに、この識別子は決定的な意味を持ってくるのではないかと思っているのです。非常に簡単な識別子だったらより簡単なのかもしれないのですけれども、それだとよりリスクが高いですので、ですからこの識別子については今後まだまだ議論があるということで、かなり宿題みたいなことを残しておいたほうがよろしいと思います。場合によっては秋を目途に有識者で検討すると書いてありますけれども、ほかのところでも議論すると思いますので間に合うかどうかもわからないぐらいですので、そこはきちんと書いていただいたほうがいいと思います。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 樋口構成員、お願いします。
○樋口構成員 1点だけ、6ページ目のところなのですけれども、ほかの公的データベースとの関係の整理という形でこのように整理していただいているのですが、御存じのように昨年、次世代医療基盤法というものが別にできて、そこで認証される機関というのが、動き始めるのはまだこれからなのでしょうけれども、そこで医療データを集めて匿名加工していろいろな研究に使おうという、そこにデータベースが、1つだけではない、認証されるのが複数の機関であれば幾つかのところにまたデータベースができますね。これはここでの議論の対象にはしないということなのでしょうか。
○黒田課長 こちらの会議のマンデートは、冒頭のこの会の設置の趣旨の中にもありますが、公的データベース同士の連携を強化する。その際に連結できる範囲はどこまでなのか、その際の連結の際に必要なキーは何なのかというお話を中心に議論しようということです。特に中核になっているNDB、介護DBは匿名のデータベースですので、こちらのお題はどちらかというと匿名で連結するという話です。そういう意味では公的なものについての議論をここで中心的に行う。そういう議論です。
○樋口構成員 なかなか、私も昔、公務員試験に受かったことがあるのですけれども、いいや、よけいなことを言いましたね。今おっしゃったことでうまくすっと理解できるようだと、私もきっと立派なお役人になったのかなと思うのだけれども、やはりよくわからないものだから本当に困ったものですね。
 つまりここでのマンデートというか課題というのは、こういう形で設定しました。それはいいです。もちろんそこをちゃんとやるのが大事です。そのために我々もいるのです。でもここにもう一つできていますよね。これからできますよね。これもまさにヘルスデータですよね。しかも匿名加工して使ってもらうという話になっているわけですから、将来的にはいろいろなものと連結して何かやると、すごくいいものが出てくるのではないかと思って素朴に私なんか考えているわけです。それならこれとの関係だって、やはり考えておいてもいいかなとか思うわけですけれども、考えておかない、あるいは考えたくないという何か積極的な理由はあるのでしょうか。
○黒田課長 わかりにくい御説明で失礼しました。
 迂遠なお話になってしまうかもしれませんが、この会議の冒頭で申し上げましたのは、議論の手順の話から入っています。公的なデータベースがそれぞれ目的別に根拠法あるいは法令に基づかないものにそれぞれできてきた。昔はNDBしかなかったのですけれども、だんだんできてきました。その周辺にもいろいろなデータベースが目的別に整理されています。こういう感じになっているわけです。ただ、そういうお話で目的別にできていることがいけないわけではもちろんないのですが、目的別にできてきた経緯もその間での当事者の合意もあるということなので、それを尊重されなければならないのかなと思っています。
 そういう意味では議論の順番としては、まずは公的データベース、国ないし公的な主体が持っているデータベース間からまずは議論を始めなければいけないわけです。一番最初にその関係で議論すべきなのは性質が非常に似ていて、むしろ現場の先生方のほうが進んでいて、自治体の皆様にも連携してくださいとお願いをしておきながらデータベースの構造が縦割りになっていて、それができないというこのNDBと介護DBの2つから議論を始めるという順番がよろしいのかなと私どもは思っていまして、なのでこの議論をしていただいているわけです。
 この2つの関係を整理しませんと、次のほかの公的データベースとの関係が整理できないので、そうするとこの順番で議論していくのではないかという話で、ステップ・バイ・ステップで前回の会議ですと練習という表現がありましたけれども、この順番で議論をしていくことによって、いろいろな周辺にある取り組みとの関係を整理するための議論の整理の手順というものができていくのかなと、そんなイメージでおりますので、この順番で一個一個議論をしていきながら、どこまでが合意点なのかということを探っていきたいというのが私どものスタンスです。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 ほかにございますか。
 では、全体を通して何かあれば承りたいと思います。石川構成員、どうぞ。
○石川構成員 昨日の会議でも個人情報保護のことで話をさせていただいたのですけれども、実は今、私は先進医療会議というのも構成員で出ていまして、これは私たちが数年前にマイナンバーと医療が議論されたときに、これからは医療情報にはがんだとかそういうものは遺伝子情報が必ずくっついてくるんだということを言いましたら、先進医療会議のところではまさに今それがすごく議論されているわけです。
 つまり非常に希少ながんの患者さんで治療法が余りわからない。組織をとってきて、それを遺伝子分析すると幾つか違いが出てくる。その違いに向けて治療をしようというのですけれども、それがまた400のうちの幾つかに違いが出てくる。それを1つの個人のがんの遺伝子の、パネル遺伝子の結果として、いろいろな研究機関ではそれをストレージしているのです。何々さんからのがんの遺伝子と。これを集めると日本のがん医療はいい方向に行くだろうということで、まさにそういう方向になってきているのですけれども、これはその遺伝子のパネル検査をやる中で遺伝性のもの、実際に子供たちにもつながってしまうような遺伝子も出てくることがあるわけです。そうしますと、これは厳重にしないと、その子孫の結婚の問題から就職の問題から何から何まで全部危なっかしくなってくるというようなところまで来ているわけです。
 ですから例えば現在こういう病気だという診断名がついている方でも、今後は遺伝子のこういうところに傷がついていて、これが原因だと。しかもこれは実は家族には何分の1の確率でくっついてくるよということがだんだんわかってきますと、そのときに日本の国民が、この傷のいている遺伝子を持った人はどうなんだということが出てくるのだと思うのです。同じ国民の中でです。こういったことがこれからどんどんデータベースだとか医療も進んできて、そういうものが明らかになって、しかもそれが誰のものだかわかってしまうようなデータベースだと大変困るということで、私なんかは一意性のある識別子だとかそういったものは非常に注意してつくって、見えないほうがいいのではないか。見えない番号のほうがいいのではないかとずっと言ってきたわけなのですけれども、これもますますそうやって希少なところに行って、医療・介護の連結ができてというところで大変心配をしている。それがますますいろいろなデータベースがあらわれてくると心配になってくるので、ぜひそういう臨床家の心配を取り除いて少し穏やかに考えられるようにしていただくような、安心したデータベースづくりといいますか、その格納の仕方とか管理の仕方といったものを目指していただきたい。国のほうあるいは省庁のほうではお願いしたいと思います。
○遠藤座長 ありがとうございます。重要な御指摘だと思います。
 全体を通してほかに何かございますか。葛西参与、どうぞ。
○葛西参与 言おうかどうか悩んでの発言なのですけれども、実はこの文書を何度となくずっと見ていて1カ所だけ気になっていて、何も回答が出ていないのですが、あくまでコメント的で大変申しわけないのですが、3ページ「(3)収集・利用目的との整合性の確保の今後の方向性」の2つ目の○のところなのですけれども、国で保有しているデータベースの場合はこれでいいのだろうなとは思っているものの、実は他国でも結構そうですし、他の事例でもそうなのですが、余り国だけでやるという、私もここに着任してからくれぐれもというふうに、かなり厳しくいろいろな方から意見をいただいたということも反映してなのですが、民間利用も含めて検討してねというのは結構言われるのです。
 一方、国が国民のデータを預かって保有して守る義務が絶対にあるなという気持ちとの揺らぎがあるのですが、その中でいったときに「公益性が認められ」は全然問題はないと思うのです。多分これは「政策的観点からも」なのでand条件なのです。「政策的観点からも優先的な分析・研究が必要なテーマ」と書かれると、政策的観点でということを決めるのは、国が優先的に分析・研究が必要なテーマに関して順番に研究をしてねというふうに読めてしまうという、これは一個人でどうしても医療分野に関してそんなにすぐれた知見がない人間が言うことではないと思っては百も承知なのですけれども、国以外の方もよりいろいろな発見をされていて、いろいろなことを気にしているのですが、私は逆に言うと官公庁にいたり行政経験は実は長くて、行政側の人間が何もかも医療分野の優先的な分析・研究の必要性がわかるというのは考えにくいなと思って、この文章の一文だけがひっかかってはいますというだけです。
 ではどう直したらいいのですかと後で事務局の方に言われると困ってしまうところがあるのですが、施策的観点というのは恐らく地域医療資源だったり、そういったものの観点という意味だと思うので、orであるならまだしもandにしてしまうと利用者が絞られてしまうのではないかとか、ほかの研究のイノベーションを妨げてしまうのではないかというのが気になっています。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 何か今の御提案というか御質問に対してコメントありますか。石川構成員、どうぞ。
○石川構成員 実は一昨日、経団連の方たちといろいろ懇談したのですけれども、経団連の方たちは医療のビッグデータの民間利用ということを盛んに言っておられます。私たちは今すぐはそれはできません、できないのではないでしょうかと言っているわけです。これはやはり順番があるということだと思うのです。
 技術的に個人情報保護の観点からも検討がまだ必要で、先ほど葛西参与が言われたようにリスクがあったときの直し方とか、そういったところも含めてもっともっとスキルが必要だという中では、これは解釈としてはまずは公益性が十分認められるということだと思うのです。公的な観点からということで。我々は練習していかなければいけないということなのではないかと思います。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 事務局どうぞ。
○黒田課長 政策的な観点と書かせていただいていますが、ここの政策が特定のこの政策ですということはここには書いていません。どのテーマが優先的な課題としてふさわしいのかという話は、役所が独断で決めるということは多分ないだろうと思いますので、そこはどういう場でというところまでまだ確定的にお話しできませんが、さまざまないろいろな方々の御意見をいただいた上でということになるのだろうと思います。
 したがいまして、ここが何か役所が独断でとか、非常に狭い範囲でということかと言われると、それは必ずしもそうではないということと、いずれにしてもキャパシティーの問題もありますので、ある程度の優先順位といいますか、順番はある程度はつけなければいけないということと、その中にはステークホルダーによる議論も恐らく入るのではないかということが、私どもが現段階では想定をしていることです。
 全体の仕上がりはこの会で引き続き夏、秋とお話しいただくことになりますので、そういった中でも御議論を深めていただければと思います。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 大体よろしゅうございますか。それでは、どうもありがとうございました。
 冒頭申し上げまたように、本有識者会議のこれまでの議論の整理でございますけれども、これは社会保障審議会の医療保険部会と介護保険部会に報告をすることになっております。したがいまして、本日いろいろな御意見を承りました。それらを含めましてこれまでの議論の整理をまとめなければいけないのでありますけれども、最終文書のまとめにつきましては、もしよろしければ私、座長に御一任いただければと思いますけれども、そういう段取りでよろしゅうございますか。
(「異議なし」と声あり)
○遠藤座長 ありがとうございます。では、そのように対応させていただきます。
 本有識者会議では、これまで5回にわたりまして御議論をいただき、構成員の皆様からは大変本日を含めて重要な御意見、御指摘をいただきました。
 本有識者会議では、他の公的データベースとの関係の整理等、その他の課題について引き続き御議論をいただき、本年秋をめどに全体の議論の取りまとめを目指していきたいと思います。構成員の皆様方におかれましては、引き続き御協力をお願い申し上げます。
 それでは、次回の日程等につきまして事務局から説明をお願いします。
○黒田課長 次回の日程につきましては、追って御連絡をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
 事務局は以上です。
○遠藤座長 それでは、本日の検討会を閉会とさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

 

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