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2018年6月28日 第4回医療・介護データ等の解析基盤に関する有識者会議 議事録

保険局医療介護連携政策課

○日時

平成30年6月28日(木) 13:00~15:00

 

○場所

全国都市会館 第1会議室(3階)

○議題

 レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)及び介護保険総合データベース(介護DB)の連結について

○議事

○遠藤座長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第4回「医療・介護データ等の解析基盤に関する有識者会議」を開催したいと思います。
構成員の皆様におかれましては、お忙しい中お集まりをいただきまして、どうもありがとうございます。
会議に先立ちまして、本日の構成員の出欠状況について事務局から御報告をお願いしたいと思います。
○黒田課長 事務局でございます。
本日は、松田構成員、松山構成員、武藤構成員から御欠席の御連絡をいただいております。また、石川構成員と樋口構成員は若干おくれて到着予定と伺っております。なお、松田構成員の代理として、村松圭司様に御出席いただいておりますことを御報告させていただきます。
以上でございます。
○遠藤座長 それでは、議事に移ります。
冒頭のカメラ撮りは、これで終了してください。
本日は、「レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)及び介護保険総合データベース(介護DB)の連結について」を議題といたします。
これまで3回にわたって御議論いただきましたので、これまでの議論を整理した骨子案を事務局に用意していただいておりますので、それに基づいて議論をさらに重ねていきたいと思います。
それでは、事務局より資料の説明をお願いします。
○黒田課長 事務局でございます。
お手元の資料1を中心に、資料2と資料3はこれまでの回でご覧いただいていた資料でございますが、時折御参照いただきながら、これまでの議論を整理した骨子案を事務局のほうで御用意させていただきましたので、ごらんいただければと存じます。
資料1に即して御説明申し上げます。まず、タイトルは「これまでの議論の整理(骨子案)」とさせていただきました。この骨子案の作成に当たりましての観点から冒頭申し上げますと、これまで3回にわたって御議論いただいていた際の御議論いただいていた順番に即してこの資料の構成は整えておりまして、基本的な視点を冒頭に置いた上で、初回及び2回目にご覧いただきましたデータの収集・利用目的、その次に前回ご覧いただきました第三者提供、実施体制、費用負担、技術面の課題、その他という順番でこの資料は構成しておりますので、御議論いただいていた順番に沿った構成になっているということを、まずは御報告させていただきます。
それでは、順次、内容について御説明を申し上げます。
1ページ、「1.基本的視点」でございます。まず、これまでの議論の経緯でございますが、レセプト情報・特定健診等情報データベース、以下はNDBと呼びますが、それと介護保険総合データベース、以下は介護DBと呼びます。それらの連結解析にかかわる収集・利用目的や第三者提供等の論点について、参考人からのヒアリング2回も含めて御議論いただいております。
その中で、両データベースの連結解析によりまして、地域包括ケアシステムの構築、効果的・効率的で質の高い医療・介護の推進等に寄与する医療・介護を通じた分析に資することが期待されているということでございます。
また、その下の黒ポツでございますが、NDB、介護DBとも、レセプトデータ等について個人の特定ができる情報が削除された後に収集される匿名のデータベースであるということ。それから、保険者や医療・介護関係者を初めとする多様な関係主体の協力を得て構築されたデータベースであるといった件につきましても、これまでごらんいただき、御確認いただいてきたところでございます。
最後のポツですが、こうした両データベースの共通の性質も踏まえまして、両者の連結解析に当たりましては、匿名での連結解析ということを前提にして検討が行われてきたということを触れさせていただいております。
次に、「2.データの収集・利用目的、対象範囲」でございます。(1)から(3)に分けて、これもこれまでのご覧いただいておりました資料の体裁に沿って区分分けをして、御用意しております。
まず「(1) データの収集・利用目的」でございます。現行の欄にございますが、現在は、NDB、介護DBともデータの収集・利用目的を、法定目的とガイドラインの組み合わせによって設定しております。また、NDBと介護DBの法定の収集・利用目的の範囲あるいは規定ぶりにつきましては差があるということが事実関係でございます。
下の方向性という欄に参りますが、そうしますと、NDBと介護DBの連結解析というものを契機といたしまして、収集・利用目的の公益性の確保等の観点から、法の収集・利用目的規定を整備するということを書かせていただいているところでございます。
次に、「(2) 個人特定可能性への対応」でございます。現行の欄にございますように、現在はNDB、介護DBとも、個人の特定ができる情報を削除して、匿名化された上で収集されています。また、上記に加えまして、個別の第三者提供の申出に応じて、有識者会議における提供前の個別審査、成果内容の公表前確認、これはいわば事後の確認でございますが、等を経まして、周辺情報との照合による個人特定が生じないことを確認した上で提供されているというのが現在でございます。
下の方向性の欄にございますが、今後に当たりましては、現行の運用を踏まえ、個別の第三者提供の申出に応じ、対象範囲に係る提供前の個別審査、それから公表する成果内容の確認等、いわば事前と事後の確認を前提として御利用いただくこととしてはどうかということでございます。
「(3) 収集・利用目的との整合性の確保」でございます。現在は、この部分につきましては利用の公益性の確保を図るためにガイドラインが設定されておりまして、その中で、有識者会議の役割、利用者の範囲、利用目的・利用内容の提供前の個別審査、成果の公表や利用後のデータ返却等について詳細に規定をしているところでございまして、いわば運用で公益性の確保を図っているということでございます。
次のページに参りますが、方向性という欄でございます。2ページの冒頭でございますが、NDBと介護DBの連結解析を一つの契機といたしまして、利用の公益性の確保の強化を図りながら、幅広い主体の公益目的での利用を図る観点から、第三者提供の枠組みを法定化するということを書かせていただいております。
その下の○ですが、個々の第三者提供の申出に係る利用目的・利用内容に着目した法定目的との適合性確保の仕組み、目的外利用の禁止などにつきましても制度化するということを書かせていただいております。その下に注といたしまして、適合性確保の仕組みの例として、他法の例も参照しながら、利用目的・利用内容の個別審査、成果の公表、目的外利用・利用者以外の者への提供禁止、あるいは不適切事案への対応などについて検討する対象となるのではないかということを書かせていただいております。
最後の○ですが、具体的な運用方法として、利用の段階的な拡大を図る観点から、公益性が認められ、政策的観点等からも優先的な検討が必要なテーマを設定した上で、幅広い主体から研究を募集するといった方策も検討の対象になるということを書かせていただいております。以上が2でございます。
続きまして、「3.第三者提供」でございます。いわば2で目的等々が明確になるということでございますので、それに沿った提供ということでございます。
まず現行ですが、利用の公益性の確保を図るため、ガイドラインで有識者会議の役割、利用者の範囲、利用目的等々について規定をしております。運用でやっているということを、ここでは再掲させていただいております。
その下の方向性の欄ですが、○が3つございます。まず1つ目の○ですが、公益目的による利用を前提といたしまして、迅速な審査・提供を図るために、以下について実施するということを書かせていただいております。まず1つ目が、情報の提供に係る迅速な審査の確保。2つ目のポツが、連結解析に係る円滑な審査の方策、両データベースの審査の調整方法等ということでございます。3つ目は利用者支援でございまして、ここは総論的に書かせていただいていますが、具体的には申請時の支援、データベースの基礎知識や解析時の留意点に関する研修など、この部分についても先生方からさまざまなお話がございましたので、こういったことも触れさせていただいております。また、安全な利用環境の整備ということも方向性だろうということで、ここに記載をさせていただいています。
その下の○ですが、利用の公益性を確保しつつ、審査・提供のさらなる迅速化を図る観点から、これまでの取り組みも踏まえて、下記に関する方策についてあわせて検討ということで、2つ触れさせていただいております。1つ目が、標準的な項目の定期的な公表のあり方でございます。NDBにつきましてはオープンデータという取り組みがございますし、こういった方向性の取り組みを拡充していくことが検討課題だろうと思います。その下のポツは、試行的な分析のためのデータセットの設定のあり方と触れさせていただいています。この部分についても、これまでの会議の中で具体的な御指摘、御発言が複数の先生方からございましたので、規定をさせていただいております。
最後の○ですが、NDB、介護DBの連結解析に係る第三者提供の開始に際しては、両データベースに精通した有識者による試行運用と、それによる課題の精査が必要と置かせていただいております。何分、連結解析というのが初めての試みだということもございますので、こういった点も記載をさせていただいているところでございます。以上が3番でございます。
続きまして、「4.実施体制」でございます。現行は、1つ目の○にございますが、NDB、介護DBともに、法律にもございますが、国が責任主体として運営をしております。
また、2つ目の○ですが、データベースの保守・管理に加えて、第三者提供の申請者からの受け付け・提供、利用者支援等の取り組みを順次拡充して実施に移してきたというのが現在の取り組みでございます。
その下の方向性ですが、1つ目の○として、連結解析の実施体制として、将来の解析ニーズの質・量両面の増加に対応するため、下記の機能について検討が必要として、幾つか記載がございます。
次に3ページでございます。まず1は、データベースの保守・管理、利用者支援の取り組み、第三者提供業務等の基本的な役割について効果的・効率的に実施し、迅速に提供する機能と置かせていただいております。これは言葉を変えますと、これまで少しずつ拡充しながら、特にNDBについて運用の中で工夫してやってきた部分を記載したものでございまして、この部分を基本的な役割という位置づけで記載させていただいております。
その次の2は、データベースの構造改善やデータ解析機能の充実など、研究利用に応えるための取り組みを効果的・効率的に実施する機能と置かせていただいております。参考人の先生方からもお話がございましたように、利用していただくということを考えますときには、こうした部分についての取り組みがあるということが公益目的での利用を促していくきっかけになるというお話がございましたので、この記述を加えております。
次の○ですが、データベースの保有主体が国(厚生労働省)であるという基本的な性格を踏まえつつ、実施体制に求められる機能に即して、下記の点について検討が必要と置かせていただいております。1つ上の○で整理した機能について、下のマル1からマル3に即して整理をしていくという流れで検討していってはどうかということで置かせていただいております。まずマル1が、国がみずから担う機能。マル2は、他の主体との役割分担が適当な機能。マル3といたしまして、マル2、すなわち他の主体との役割分担が適当な機能だと当てはまるものにつきましては、国の関与がどのようなものなのか、国の関与のあり方、他の主体に求められる要件はどうか。一応こんな観点で、上の○にございますような機能に即して役割分担と国の関与、主体、求められる要件を整理してはどうかということで書かせていただいております。
最後の○ですが、実施体制については、上記2・3及び下記5の検討に応じて、必要な機能、適切な役割分担等について、今後引き続き検討と触れさせていただいております。
「5.費用負担」でございます。現行は、NDB、介護DBともに、運用する費用は国が予算措置により対応しているということでございます。
方向性の部分で、1つ目の○ですが、国が一義的な責任主体であることを踏まえ、基本的な部分は国で対応するということでございます。
2つ目の○といたしまして、NDB、介護DBの連結解析を契機として、利用ニーズの増加、多様化・高度化への対応が求められるということも想定されております。
3つ目の○でございますが、第三者提供には、公益性と個別の受益(メリット)の双方が存在しております。個々の提供に伴うコストも存在しますし、公益性を確保した利用の促進の要請もございます。こうした点を踏まえて、国による対応が基本だと思いますけれども、費用負担を求めることについて、今後引き続き検討という形で書かせていただいております。
次に「6.技術面の課題」でございます。現行ですが、まずはNDB、介護DBとも、個人の特定ができる情報を削除して、匿名化された上で収集されております。
また、その下でございますが、現在、両データベースの連結解析は行うことができませんが、両制度のレセプト等で共通して収集されている情報項目は存在しております。
下の方向性ですが、まずは両制度のレセプト等で共通して収集している情報項目、氏名、生年月日、性別のいわゆる3情報をもとにして、ハッシュ化、共通の乱数を生成して、匿名情報としての性質を維持した上で、同一人の情報だということが確認された上で識別・連結するという方法で連結解析を可能とするということを1つ目に書かせていただいております。
2つ目の○といたしまして、さらに、技術面の環境整備等に応じて、匿名情報としての性質を維持した上で、識別・連結の精度の向上につながる方策、医療保険で検討されております個人単位被保険者番号の活用等につきましては、医療保険制度・介護保険制度における対応や費用対効果等に留意して、今後引き続き検討と記載させていただいております。
最後に4ページ、「7.今後の検討の進め方」でございます。「(1)NDB、介護DBの連結解析関係」の部分につきましては、この資料のこれまでごらんいただいていた部分の中に記述がございますが、以下の事項について、本有識者会議において、本年秋を目途に引き続きの検討をということで書かせていただいております。1つは、上記4から6まで、この会議の後半の回で御議論いただいた点に関する諸課題。それから、上記2及び3に関する具体的な運用方法等につきまして、本年秋を目途に引き続き検討するというふうに書かせていただいております。
最後に「(2)他の公的データベースとの関係」でございます。冒頭の回でも申しましたように、NDB、介護DBの関係を先に議論した上で、他の公的データベースとの関係を議論する、その順番でということで申しておりましたが、この(2)の部分は、これから後、他の公的データベースとの関係を議論する上での手順のような形で記載させていただいております。NDBと介護DBの連結解析に関するこれまでの議論を踏まえまして、他の公的データベースとの関係につきましては、主に下記の諸点に関して各公的データベースの関係者間で御議論いただいた上で、本年秋を目途に当有識者会議で検討するということで書かせていただいております。
以下4点、ポツで記載をさせていただいています。1つ目が、NDB、介護DBとの連結・解析の具体的なニーズについて、関係者間で共有されること。2つ目が、収集・利用目的が法令等で明確に定められ、連結解析の根拠についても位置づけることが可能であること。3点目として、第三者提供の枠組みがそれぞれの公的データベースの中で法令等で定められ、連結解析に係る第三者提供の根拠についても位置づけることが可能なこと。4点目として、NDB、介護DBとの匿名での連結解析が技術的に可能であること。括弧内の記載ですが、共通する情報が収集されていること、システム面の対応が可能であること等でございます。この(2)の記載は、NDBと介護DBとの関係について、この順番でこの会議で御議論いただいてきたと思っておりまして、連結・解析のニーズがあるかどうか等々についてのご議論をこちらにお寄せいただいた上で再度取り上げて御議論いただくと、そんなことで御用意させていただいております。
事務局からは以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございました。
それでは、御議論していただきたいと思いますが、資料1の構成に沿って議論いただきたいと思います。まずは「1.基本的視点」及び「2.データの収集・利用目的、対象範囲」の2つについて、御意見、御質問等があれば承りたいと思いますが、いかがでございましょう。
それでは、葛西参与、お願いいたします。
○葛西参与 これは改めて、私はもちろん法律の専門性は全くなくて、ただ単に事業の定義についてです。連結をするための事業の定義として、この法律の文章を改めて読んだのですけれども、資料2「検討テーマと主な論点(案)1」の9、10ページです。もちろん改正するときにどうなるかというのは、我々が一意で決めることでは全くないのですけれども、気になっているのは、NDBの根拠の法、これは平成18年に法律ができ上がっていて、介護DBはそこから10年後の平成29年です。そのときにNDBのほうは全国医療費適正化計画及び都道府県医療費適正化計画の作成、実施及び評価に資するためというふうに法律の最上位のところで決められていて、その下を見ると、ガイドラインのほうが、適正化という言葉に恐らく医療サービスと。このサービスというのが実は気になっておりまして、医療サービスの質の向上等を目指したという、医療サービスというのは恐らく適正化と何らか関連づけられているのだなと。関連づけられていないと根拠と整合性がとれていないのでまずいわけですけれども、そうすると、医療サービスの質の向上だけのためにNDBは使いますとなっているのです。
そのときに、これは私の個人的意見ですけれども、医療サービス以外にもいろいろ使ったほうがいいのではないかと思うのですが、その幅がどのぐらいまで広げられればいいのかというのは御意見というか、きょうではないにしても、何らか話し合いが一定必要なのではないかと思うのです。
一方、介護DBのほうを見ると、これはなかなか絶妙というか、絶妙と言うと語弊がありますね。118条の2の2つ目のところです。「国民の健康の保持増進及びその有する能力の維持向上に資するため」というと、かなり幅が広いです。素人から見ると、大体使えるのだなというふうに読めてしまう。NDBは医療サービスの質の向上のために使ってくださいというのに対して、介護については結構いろいろ使っていいですよと見える。このあたりはどのぐらいまで、大分幅が違うなというのは個人的に気にはなっていまして、恐らく保険医療のガバナンス面で何でも使っていいわけでもないでしょうし、かといって医療サービスの質の向上だけで使うということではないのだろうなというところは、どこかで落としどころを決めることが必要なのではないかというのが一つ気になっているところでございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
重要な御視点、御指摘ではないかと思いますけれども、これは事務局で何かコメントはありますか。お願いします。
○黒田課長 ありがとうございます。
この規定ぶりは、今回の議論の整理の中に書かせていただきましたのは、法律に格上げをしていこうということを前提に幾つか記述を置かせていただいておりますので、最終的には法制的な観点等からも含めての規定ぶりの整理ということになるだろうと思います。
その上で、恐らく介護DBのほうの目的の規定の書き方は、今の介護保険法あるいは介護保険制度の目的との整合性をある程度意識して書かれているのだろうと私どもは推測しておりまして、そういった整理が一つ参考になるということだろうと思います。それぞれの法制度の建て付け、それが目指すものというのが一つの視座だろうということが、この記述から受けとめられるような要素なのだろうと考えておりまして、それをこの資料の中では公益性と表現しておりますが、それを具体的にどのような形で法制的に位置づけるのかという話については、法制面の整理のやり方も含めて当方で詳細に検討させていただきたいと思います。
○遠藤座長 ありがとうございます。
ただいまに関連してでも結構ですし、そうでなくても結構ですが、1、2に関して、御意見、御質問があれば承ります。よろしゅうございますか。
それでは、また時間があれば最後に振り返りたいと思いますので、少し先に進めさせていただきたいと思います。
次に、「3.第三者提供」について、御質問、御意見を承りたいと思います。
田中構成員、どうぞ。
○田中構成員 医療と介護それぞれありますけれども、両方の審査会を設ける予定なのでしょうか。それとも、法律とベースを合わせるので審査会は一つでやっていくとか、そういう方向性は今あるのでしょうか。
○遠藤座長 事務局、どうぞ。
○黒田課長 ありがとうございます。
まずはこういう考え方でよろしいかということを伺った上で、今のお尋ねについては検討していくことに当然なりますが、私どもの理解は、法制的な理解と運用面の工夫の2つから成っています。まず、法制的な面でいくと、NDB、介護DBともそれぞれの根拠法はありますので、根拠法それぞれについて第三者提供の制度化がなされた場合には、一応建て付けとしては両方の手続をクリアすることになるのだろうと思います。ただ、それがそれぞればらばらに別々の形で完全に分けてしまいますと、連結をするといった場合に、一つが終わってからもう一つの手続に入るというような非常に杓子定規な運用になる可能性があるだろうと思いまして、それは公益的な利用に対して余りよろしくないのではないかという受けとめをしております。
ですので、私どもは根拠法別に整理をした上で、運用面で両者の審査が合理的に行われるような工夫をセットで考えたいと思っておりまして、恐らくばらばらに行われること、非常に手順が複雑になることを心配されてのお尋ねだと承りましたので、根拠法は整理をした上で、運用面で御不便が生じないようにというような工夫とセットで考えたいと思っています。
○遠藤座長 ありがとうございます。
田中構成員、よろしいですか。
○田中構成員 はい。
○遠藤座長 それでは、樋口構成員、お願いします。
○樋口構成員 ちょっとお時間いただきますけれども、ありがとうございます。
私は前回休んでおりまして、議論についていっていないところがあると思いますけれども、とりあえずは2つだけ。しかも、法律的な論点で、まず前段として、私は前にここで発言をして、データヘルスの推進ということですけれども、実際にそういう関係者、研究者等がこういうことをやりたいということがはっきりして、もっともビッグデータなので、実はこういうことをやりたい以上のものが出てくるかもしれないという要素を勘案しながらだと思うのです。そういう意味では、目的等の範囲を割に広目に取っておく必要があるのだろうと思うのです。
しかし、それは核となるイメージがあって、それに従って法律的にはどういう整理をしたらいいか。場合によっては法改正が必要かどうかという順番になるのではないかと申し上げたら、記憶によれば、葛西さんからなるほどと思った指摘があって、それは一つの考え方なのだけれども、現実的にはテクノロジーを知っているような人たちは実際に法律でどれだけのことができるかということをむしろ決めてもらったほうが、それに合わせてその範囲でどれだけのことができるか。テクノロジーファースト、ローセカンドではなくて、レギュレーションとかローのほうが最初に大枠を決めてくれないと、できるかどうかもわからないのにテクノロジーでどうのこうのということもできないのだよと言われて、大いに反省しました。
そうはいいながら、年をとっているものだから反省の程度が中途半端で、やはり私自身の考え方のほうが本当は筋なのではないかと思うのだけれども、現実的な話としては、葛西さんが言うようなことは実際にあるのだろうなと思いました。
まず、ここまでは前置きです。
そこであと2点なのですが、具体的な質問というかコメントなのですけれども、これは確認なのですが、法制度、法律の改正も視野に入れて考えているのだよという話に関連して2点です。ここで第三者提供の話があって、現行はガイドラインにおいてという話で、方向性のところは、私の読み方が足りないのかもしれないのですけれども、最初のほうのデータの収集・利用目的、対象範囲のところでは、法的な改正も含めてという話がちゃんと出ていると思うのですが、これは第三者提供のところもあわせて法律上根拠が必要なら、あるいはそのほうが安心できるなら、これも法改正の中に入るのですよと考えてよろしいでしょうねというのが1問目です。
その根拠は、とにかく統計法の話が出てきたはずなので、統計法を一つ模範にすると、匿名データの提供、第三者提供だと思いますけれども、一応条文の中に統計法に入っていますね。だから、第三者提供について、こういうことでちゃんと立派にやっているのですよというようなことが、もし統計法と足並みをそろえる必要があるのであれば、そのほうが説得力を増すのであれば、そのほうがいいかとは思っているということです。
2点目は、最後に、これは医療・介護のデータベースだけではなくて、ほかにもヘルスデータベースはたくさんあるわけですね。ここにおられる方には釈迦に説法ですけれども、ほかの公的データベースとの関係はこれから進めるという話なので、いずれということでもいいのですけれども、今回の2つをあわせるときの法的根拠の確かめ方がひな型になるような気がするのです。次に、例えば、がん登録のデータベースと今度は一緒にしましょうとかいうときに、こういう形で一つ一つそれぞれの根拠法をもう一回確かめながら、積み上げ方式というのですか。そのようなことを手順としておやりになるつもりなのだろうかというのが第2点です。
○遠藤座長 では、事務局、お願いします。
○黒田課長 ありがとうございます。
先生から大きく2点、大きな視点のお話をいただいたと思っています。まず1点目の第三者提供自身を法律にしていくつもりがあるのかというお訪ねですが、今回御用意した資料は、第三者提供自身の根拠を法律に位置づけることがよろしいのではないかと、これまでの御議論でもありましたし、そういう前提での記載をさせていただいております。法定化という形で、法の整備とは書いておりませんけれども、一応そういう形で置かせていただいています。
先生から統計法のお話がございました。私ども事務局といたしましては、方向性を先生方にお示しいただければ、その形にするためにどういう法整備ができるのか等々について詳細に検討させていただくわけですが、法律の規定を一個一個法的に整備することが必要だということを確認しながらやっていく、いわゆる法制化の作業の中では、他法の例は非常に参考になりますので、そういう意味では、統計法が用いている法律上の手法という話については、資料でも置かせていただいておりますが、そこに一つ私どもとしても、よすがになるのかなと思っております。
あわせて、あくまでもNDBも介護DBも個々人の機微な情報が元データになっているという話がありますので、もちろん匿名化されておりますが、統計法の整理がそのままということではなく、これまでの先生方の歩みというのは、いかにそういう機微な情報をベースにしたものを公益的にという視点だったと思いますので、それぞれのデータベースが持っている特性も当然配慮した上で、その2つとも大事にしながら、私どものほうで少し深めてみたいなと思っています。これが前半のお話です。
後半の他の公的データベースの関係です。冒頭の回にも申しましたし、今回の資料でも参考資料1-3の63ページに、冒頭の回でごらんいただいた一覧表をもう一回添えておりますので、お時間がありましたら御参照いただければということですが、そういう意味では、それぞれのデータベースごとに当事者の方がいらっしゃって、そのデータベースができてきた経緯があって、根拠も、法律的なものもあれば、運用でできているものもございます。それぞれの当事者の方々の意向が尊重されるということは当然大前提だと思いますので、そういったことを前提に考えたほうがよいのかなということがございます。
もう一つは、その中で連結して、しかも第三者に提供するということでありましたら、まさにこの会がずっとその順番で先生方にお話しいただいておりますように、ニーズはありますか、目的ははっきりしていてその中で大丈夫ですか、第三者提供の仕組みは法定化されていますか、連結することは技術的には可能ですか。この会で先生方がごらんいただいていた順番で一つ一つ確認をしていただいた上で、マルになるということでしたら、こちらの先生方にもう一度見ていただく。一応そういうステップを踏んでいただいて、積み上げ方式で御議論いただくことが、それぞれのデータベースの当事者の方々の意向を尊重することにもなると思いますし、NDBや介護DBのこれまでの歩みと接続した形でこの話を取り上げていただくことにもなるのかなと、そんな受けとめで事務局としてはおります。
○遠藤座長 ありがとうございます。
樋口構成員、どうぞ。
○樋口構成員 私も、一歩一歩とにかく丁寧にやっていくというのが立派なことだとは思っているのですけれども、他方で、これは結局、一つ一つ違う法律ですから、今おっしゃったように情報の元手も違うし、関係者も微妙に違うのだから、医療情報といったって一括はできないよというのは正論であり、それから、やはり医療情報の利用について若干の懸念を持っておられる方は少なからずおられるわけですから、当然、丁寧なやり方のほうが戦略的にも現実的にもいいような気もするのです。
他方では、データヘルス全体を考えるということがあって、私なんかは昔、個人情報保護法が一番初めにできたときに、昔のことをこれだけまだ覚えているということなのですけれども、重要3分野については本当は個別法をつくるべきだという話があって、それは議会からも附帯決議が出ているのをみんなで無視することにしたわけですね。それでガイドラインでという話にしてしまったのだけれども、その中で、やはり医療情報というのは、ほかの金融・信用とか通信の秘密などと非常に性格も異なっていて、その活用が、公益性があるということでこういう会議もやっているわけです。しかも、個人情報保護法が物すごく気になるというときには一括して医療情報で、簡単に言うと、医療の匿名化情報の公益的活用に関する法律を一本つくってしまえば、それにのっとってそれぞれのデータベースを連結するときもやればいいですよということになるはずです。つまり、一つ一つやるのはそれぞれ手間も時間もかかるのだけれども、一つでやれないものかという粗っぽい議論を考えるのです。いやいや、そんなに甘くないですよという一言だけでも結構なのですが、コメントをいただければ。
○遠藤座長 では、事務局、どうぞ。
○黒田課長 ありがとうございます。
恐らく、この会議はこれまで3回、今回4回目、先生方にお話しいただいているわけですが、そういう意味では、まずはNDBや介護DBを両方ともごらんになっていて、この分野の非常にデリケートな部分、難しさとそれに伴う期待と両方ともよくおわかりの先生方の目から見て、仮に2つだとした場合にどうですかということをお話しいただいている会議なのだと思っています。
そういう意味では、どこまでが社会的なコンセンサスなのかということを、NDBと介護DBを見ていただきながら確認しているということのような気もいたします。そういう意味でも、私どもは、一個一個確認していく手順を今回資料を出させていただいているわけですが、そういった手順を確認していただくプロセス自身が、どこまでが社会的な合意の範囲なのかということを確認している面もあるのかなと思います。
ただ、私どもがどうしても大事にしたいと思うのは、それぞれのデータベースができてきたいわれ。なぜそれを作ることになったかという思いはとても大切にされるべきだろうと思いますので、そこがまず原点に置かれた上で、どの範囲が合意点なのかということを確認していく手順がよろしいのかなと思っています。ありがとうございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
石川構成員、どうぞ。
○石川構成員 おくれまして大変失礼いたしました。
樋口構成員からの非常に大事なポイントで、私もずっとそのことを考えていたのですけれども、データヘルス推進ということになりましてから、子供のほうも、小児慢性特定疾患、それから難病のデータベースを連結するとかという話が急激に進んできまして、以前にもがんの登録だとかそういったことについて、どうやってマージするのかということがあったと思うのです。今回も、医介データベースの連携ということでこの会議は4回行われてきたのですけれども、前回指摘しましたように、介護データベースのそれだけの利活用というところを、余りまだ練習もしていない状況の中で、連結から成ってくるのかということをずっと考えているわけです。
これは、私は恐らく、これからデータヘルス推進でいろいろなデータベースがあって、もう既に存在するものもありますけれども、そのデータベースは何でつくったのかといいますと、利活用するために集めたわけですね。ですから、利活用したときに損なわれるものは一体何なのかということで、損なわれないように、具体的に言えば、非常に機微性の高い個人情報の問題、それから、もしかしたら遺伝子を扱うと人権の問題なども出てくるかもしれない。そういったデータベースを利活用するときに損なわれる問題について、きちんと、新しい法案をつくるのだったら法案をつくるというような仕組みなのではないかと思うのです。
樋口先生の最初のお話でいきますと、私たちはNDBで山本先生などとずっと検討してきますと、結構想像できないようなアイデアが研究員の中から出てくるのです。そうすると、最初からこれは利活用できる、これは利活用できないなどという枠をとてもつくれるものではなくて、研究者の創造性は非常に大きいので、むしろそのときに何を守らなければいけないのかというと、そこのところだけしっかりとした枠組みをつくった上で、研究者の自由な創造性を醸成していけばいいと考えるわけです。
そうして見ますと、将来的には、幾つかの医療情報データベースがありますけれども、そういったものに対して守るべきものは一体何なのかということをしっかりとした上で、大きな法律みたいなものの中の第三者委員会。私なんかは個人情報保護委員会をとにかくつくっていただきたいとずっと希望を出していたわけなのですけれども、そういったもので、きちんと会議で、このデータベースは利活用できますというような枠組みをつくればいい。
ですから、今回、これは恐らく練習に近いのだろうと。医介データベースで練習して、マージすることで何が損なわれるのか、何を守ればいいのかということを練習するものなのかなと。この間からそのような思いがしています。
○遠藤座長 ありがとうございます。
いかがでしょうか。山本構成員、どうぞ。
○山本座長代理 私は、前回か前々回かにちょっとだけ発言をしたのですけれども、それ以外のデータベースも含めるのか含めないのかということをお聞きしたのです。今、事務局がおっしゃったように、まずこれはこの2つのデータベースをモデルにして、しっかりと今までの経験を踏まえて検討していくと。石川構成員が言われるように、これを一つのプラクティスとしてほかのところに広げていくというのは極めてステディーな考えだと思うのです。
そうはいうものの、やはり経験を本当にただの経験だけで済ませるのではなくて、それを少し形に残すといいますか、そういう形で本当に個別法の修正が必要な部分と、そうではなく全体の方針みたいなものをデータヘルスに関しては法律を一つつくっておくというのも悪くないかなという気はします。それは石川先生が言われたように、やはり守るべきは守らないといけないですし、なおかつ何でもいいというわけでもないでしょうけれども、各データベースにとってはすごく個性があるものが、小慢とか難病などもそうですし、そういったものを一括でやるのは多分難しい。ただ、そういうものの方向性みたいなものを一つ基本法みたいな形でつくっておいた上で、個別にそれぞれ修正の方向を決めるというのも悪くはないと思うのです。これは本当に素人の言っていることで、多分、実際の行政を担当されている方がどういう形が一番いいかをお考えになっているのですから、お任せしたいとは思いますが、樋口先生の御発言を考えて、一括で全部は無理だと思うのですが、一定の方向性はつくってもいいのかなという気がしないでもないと申し上げたいと思います。
○遠藤座長 ありがとうございます。
それは御意見ということでよろしゅうございますか。
○山本座長代理 はい。
○遠藤座長 それでは、次の「4.実施体制」について、何か御意見、御質問があれば承りたいと思います。
山本座長代理、どうぞ。
○山本座長代理 これは何か特別意見があるわけではなくて、数年前に樋口先生たちと御一緒で、アメリカのCMS、メディケア・メディケイドのデータの統括をしているNiall Brennanさんを招いてシンポジウムを開いたのです。そのときの打合せの際に彼と話していると、アメリカのセンター・フォー・メディケア・メディケイドは、こういったデータを外注して分析するよりも、自分たちで分析する方が効率が高いということで、データアナリストに相当する人を70人ほど雇用して、それでCMSの日本で言うレセプト情報をさまざまな形で分析して、レポートを出して、なおかつ加工して第三者提供するような仕組みや技術的なところを担当しているのだと。70人の人を雇うというのは相当な規模ですから、これが適切かどうかは日本は同じにはならないと思うのですけれども、そういったことがありました。
そのCMSでさえ、第三者提供に関して第三者提供を申し出る人の教育でありますとか、あるいはトレーニングや適切な申請書の書き方、例えばそういう計画はできないといったアドバイスを行うなど、レスダックという組織をつくって、ある大学に委託をしてやっています。CMSでさえ、そこは外注しているわけですから、日本の厚生労働省の中でそれを全部やるのは多分無理があると思いますので、その辺は適切な外部への委託というのが必要なのだと思います。
委託するときに、こういったデータベースを使った研究のノウハウみたいなものを伝えていく必要があるとすると、なかなか一般の企業では結構難しいのではないかと思うのです。これはそれなりに継続して研究者が入ってくるような形ではないと具合が悪いのかもしれないので、それで大学に委託をしているのかなと思うのです。大学だと、それなりに若い研究者が常に入ってきますので、そういう体制をつくりやすいというところがあるのだろうかなと思いました。コメントですけれども、よろしくお願いいたします。
○遠藤座長 ありがとうございます。重要な御指摘だと思います。
ほかにいかがでございましょう。
事務局、何かコメントはありますか。
○黒田課長 ありがとうございます。
先生のお話、ありがとうございます。この部分は、前回も少し先生方のお話をいただきましたが、これから夏から秋にかけて、公益的だということは当然確保した上で利用していただくために、トータルは国の責任ですから、当方として御用意したほうがいい機能は何なのだろうかというお話をもう少し深めて、先生方にお話しいただく機会をいただきながら、私どもが考えていくのに値するテーマなのかなと思っています。そういう意味では、先生からいただいているお話は非常に大切な視点だと思いますし、もうちょっと深めてみたいと思っています。
○遠藤座長 ありがとうございます。
ほかにございますか。石川構成員、どうぞ。
○石川構成員 この4のところを見ますと、保守・管理だとかいうことが書いてありますけれども、私はいろいろな厚生労働省の会議に出させていただいておりまして、今、がんのパネル遺伝子検査だとかそういったものが出てきましたね。あれはストレージががんセンターのほうにあるのです。がんセンター独自の番号がついて保存されているわけです。もちろん番号だけ見たのではわからないけれども、対応表があって、そういうふうになっている。いろいろなところのデータベースがほかにもありますけれども、全部それぞれの対応表があって、別々の番号で管理されているのです。
今回も、NDBと介護データベース、今のところはまだマージされていないので別々に管理されていると思うのですけれども、やはり利用のしやすい仕方といいますか、いろいろな管理の方法はあると思うのです。そういうのを一定、先を見込んで、これからも何か法則みたいなもの、約束みたいなものをつくって管理されるのがいいのではないかと思うのです。
この間、鈴木さんからのお話もありましたが、介護データベースはADLのほうもこれからどんどん進化するとしたら、そのときに管理しやすい、抽出しやすいデータの管理の仕方だとかそういったものをちゃんとやっていただいて、今後のことについて、恐らくもっと連携するとかそういったことも含めて考えていただければいいと思います。
それにつけても、国民が安心して自分たちのデータをマージできるような医療等IDというのは本当に待たれると思いますので、厚生労働省一丸となって早くつくるように努めてもらいたい。そうした上で、先ほど言ったようにさまざまあるデータベースをきちんと、先ほど山本構成員からお話がありましたように、人の教育もできるような大きな部署を1つつくるべきなのではないかということも考えます。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
ほかにございますか。
では、少し先に進めさせていただきまして、「5.費用負担」についてですが、何かございますか。
樋口構成員、どうぞ。
○樋口構成員 それでは、1点だけ。費用負担のところでも、今のところは極めて抽象的な形で文言が並んでいるだけなので、それから、4以降については今後、会議を重ねて検討することになっているので、余り先走ってもいけないと思うのですけれども、やはり第三者提供で鍵になるのは、いわゆる研究者に研究利用ということで、研究者に社会のためになるような研究をしてもらうのが一番という話だと思うのですけれども、そうではなくてというか、それと並んで、医療などは、あるいは医学も、産学共同ということがうたわれた最も重要な分野であることは確かなのです。そうすると、それにまさに創薬というのは、国が薬をつくることはないのだし、研究者がアイデアを出すのだろうと思うのですけれども、そういうことを考えると、費用負担のところで結局そういう話が後で出てくるのだろうと思うのです。
この段階でということでいいのですけれども、第三者提供には公益性と個別の受益の双方が存在する。この個別の受益とはどういうイメージで書かれているのかというのは聞いてもよろしいでしょうか。
○遠藤座長 事務局、どうぞ。
○黒田課長 ありがとうございます。
ここに書かせていただいた意味合いは、今も第三者提供は個別に研究者の方が申請をされて、それを有識者会議で議論いただいて、個別に、これは公益的だよねといってマルをつけるという仕組みになっているわけです。なので、その研究自身は公益的なものだよということがオーソライズされて始まっているので、そこに役立つのだろうと思いますが、一方で、申請をされた研究者のお名前での研究にはなりますから、そうすると研究者の方の業績にもなりますし、名声にもなるのだと思います。
そういう意味では両面がありますよというぐらいの意味合いです。そこに経済的な利得だとかというような要素を込めて書いたというよりは、個人のものであり、社会のためでもあると、一応両方の面がありますねということだけ、ここでは触れさせていただいているところです。
○遠藤座長 ほかに何かございますか。
それでは、「6.技術面の課題」に移りたいと思いますが、何か御意見ございますか。
棟重構成員、お願いいたします。
○棟重構成員 方向性の2つ目の○です。まだ確定はしていない個人単位被保険者番号に関連しては、医療保険制度・介護保険制度における対応や費用対効果等に留意してなど、丁寧に書いていただきましてありがとうございます。ちょっと気になったところは、1つ目の○で、まずは共通して収集している3情報で連結するということなのですけれども、私はNDBの有識者会議にも出ておりまして、そちらのほうでデータをつなげるのに事務局でいろいろと工夫をされておりまして、かなり精度が上がってきているという報告を受けております。その意味では、それを継続していっていただく中で、それだけでもかなりつなげるという意味では精度が高まっていくのかなと。例えばそれで9割まで行ったとして、新たな方策によって足りないところを99%にするためにどれだけのコストがかかるのか、また、そのメリットがあるのかということも含めて、これはこれからの議論になると思いますけれども、ちょっと慎重に費用対効果を見ながらやっていっていただければという要望です。
○遠藤座長 ありがとうございます。御要望として承りました。
よろしゅうございますか。それでは、山本構成員、どうぞ。
○山本座長代理 物すごくつまらない細かい問題ですが、方向性の1つ目の共通の乱数というのが気になるのです。これは共通の識別子とかと書いておくのが一番いいのだろうと思います。正確に書くのであれば、共通のシードから発生するハッシュ値というのが技術的には正しいのでしょうけれども、乱数というと本当に乱数ですから、多分あんなのは役に立たないと思いますので、それだけです。つまらないコメントで済みません。
○遠藤座長 ありがとうございます。
それでは、またさかのぼっていただいても結構ですけれども、とりあえず最後まで議論していただきたいと思いますので、「7.今後の検討の進め方」について、御質問、御意見はございますか。
樋口構成員。
○樋口構成員 たびたびで恐縮ですけれども、今後の検討の進め方で、主としては上記4から6、さらに2から3という話で、これを全部もう少し丁寧に議論が重ねられると思うのですが、希望なのですけれども、結局、私は法学部から出ているからどうしても法律事項として考えている。第三者提供も含めて法定化ということですね。やはり法定化したときに、こういう検討会での経験を踏まえると、方向性はそうだねというのですけれども、最後の文言のところで法律家はうるさい人がいっぱいいるのです。できたものというか、これに対して第三者提供は原則はこうだけれども例外はというような話のところが、最後は日本社会においては細かなところがきいてくる。
それは多分、法制局との折衝とかいろいろなことがあるのでしょうし、最終的な法案を見届けることは我々にはどっちみちできないことなのですけれども、きょうのような、こういう点は法定化しますという話だけではなくて、もう少し具体的に、このような言葉が入り込むぐらいの話を、後のほうの会議で、実際にそれは行われると思いますから、作業として詰めていかれると思いますから、私たちにも少し情報を分けてくださって、場合によってはコメントできるようなことがあれば私だってありがたいと思うのですけれども、どういう形でこれを文章に落とし込んでいって所期の目的を達成するか。法律と法律の間のそごをうまく埋めてというようなことです。それが最後は大事になると思っているので、そこのところに幾分かでいいのですけれども、まだ素案の段階で、こういうことを考えていますぐらいの話でいいのですが、この会議でも教えていただけると、これは法律家だけではなくて、結局、ここの方は全部、法律を気にしておられるわけですね。こういう形で文章化するのは重要な御意見をいただく機会にもなるのではないかと思いますので、もしそれが可能ならお願いしたいということです。
○遠藤座長 事務局、お願いします。
○黒田課長 ありがとうございます。
まずは、今、先生方にごらんいただいている大きな方針について御協議いただくのが先だと思いますけれども、これをいただければ、私どもはそれを具体的にどういう形で仕組みのほうに移せるかという具体の検討に入ります。なので、そういう意味でいくと、私どもが検討する中で大まかにこんな形ではないかというようなものを先生方にごらんいただいて、御意見をいただくということは、私どもとしては秋までのラウンドの中の必要な要素だと思っています。いつごろ、どんな形でという話は私どものほうでも詰めさせていただきたいと思いますが、先生のお話もいただきながら、それから、きょうお集まりの各先生方にもそういった機会を通じて、前半の議論のエッセンスがちゃんと反映された形になるのかどうかという点はごらんいただけるような機会をつくりたいと思います。ありがとうございます。
○遠藤座長 よろしくお願いいたします。
ほかに何かございますか。
それでは、支払基金のオブザーバー、お願いいたします。
○社会保険診療報酬支払基金 ありがとうございます。こちらは私の進め方に関する御提案ということで、ここの骨子に書くほどのことではないかと思いますけれども、1点だけ。
先ほど黒田課長のお話の中でも、7番で書かれている項目に関して、今後細かい話も詰めていかれるという中で、先ほど山本先生の話の中にも少しございましたが、第2回の参考人でいらっしゃった加藤先生の海外のお話は非常に参考になるのではないかと思っております。例えば、山本先生がまさにおっしゃった人材のプロファイルに関して、どのような方がやっていらっしゃるのか。もしくは人に限らず物や仕組みなどのアセットの面でどのような組織がやっているのか。あるいは、民間提供時の目的外使用の防止に関しても、これが事前の審査であるとか、もしくは事後の対応に加えて利用環境などの面からどんなやり方をしているのか。こういったところで参考になるところがあれば非常にいいのではないかと思いまして、もし先生のほうからそういった情報提供がいただけるのであればと思いまして、御提案になります。
○遠藤座長 ありがとうございます。
ほかに何かございますか。
それでは、全体を振り返ってでも結構でございますので、何かあれば御意見賜りたいと思います。
葛西参与、お願いいたします。
○葛西参与 またちょっと怒られてしまうかもしれないのですが、物をつくる側の感覚でお話をするのですが、当然、システムの設計を具体化していくことをこれから進めるのですけれども、私が1点悩んでいるのは、法的にどうかではなく、次世代医療基盤法で記載されている本人同意のとり方。これはシステムにすると、実は同意と拒否、拒否後の対応、同意のとり方。最初の段階で同意をとるのか、データ取得の段階でとるのかとか、タイミングによってかなり機能のつくり方も全部違うのです。そういう点で言うと、実は次世代医療基盤法で言っている匿名化の話。前回、実はわざとというか、SHAとか、もちろん御存じの方がたくさんいらっしゃると思ってそういう発言をしたのですが、まさに山本先生のおっしゃるとおり、乱数ではないなと、私もこれを見ていて違うなと思ったのですけれども、そういうことを言うと、次世代医療基盤法のほうで決められている匿名化という考え方、それから本人同意拒否というところと、そろえる必要が必ずあるわけではないのですけれども、これはどのぐらい意識したらいいのかというのを御意見いただきたいなと。きょうはすぐ出ないのでしょうけれども、これは今後の進め方で重要なテーマだと思っています。
もう一個は、きょうの「技術面の課題」の3ページ目にある、これも結構重要で、実はデータヘルス改革本部自体は非常に厄介で、がんゲノムのシステムですと今、がんゲノム治療される方から非常に要望が多いのは、当然、がん登録の情報を使いたいと。私も、もちろん治療の構造を調べた上で、それは非常に必要だと思うのですが、そういったものを早く使えるようにさせていくためにはどういう手続が必要なのかなと考えると、医療保険の番号でつなげることと、介護保険の番号でつなげることの制度的な何らかのギャップが当然あるだろうなと。番号はリンクテーブル、専門的に言うとデータを関連づけるテーブルをつくっていけばいいのだろうと思うのですけれども、今度、システム的にはたくさんリンクテーブルだらけになっていって、これまたとんでもない構造になるなということは予想できているのです。当然、がんゲノム用のリンクテーブル、何用リンクテーブルと、どんどんでてくる。これは逆に法的にも、冒頭、先生方からあったように、個別手続をとっていくのかというのと実は非常に関連がありまして、こういった観点は今後ぜひ検討いただける重要なことかなということだけ、お伝えしておきたいということでございます。
○遠藤座長 ありがとうございました。
ほかに、今のような視点でも結構でございますし、全体を通じての御意見でも結構です。
山本構成員、どうぞ。
○山本座長代理 今の葛西参与の御疑問に関してなのですけれども、今ここで検討しているデータベースというのが、参考資料1-3の63ページに上がっているデータベースのうち、少なくとも最初の4つは法律でデータベースをつくることを決めている。DPCはちょっと微妙ですけれども、それ以外のNDB、介護DB、全国がん登録はちゃんと法律があって、そこで収集してデータベースにすることを決めているので、全く非同意、同意をとっていないデータベースなのです。ですから、これは法律で決められた用途に使っている限りは、改めて同意をとることは多分あり得ないですし、NDB、介護DBにおいては、誰の情報かわからないことになっているので、そもそも同意のとりようがない。
全国がん登録は、顕名・匿名利用の2つの利用方法が法律で決められていて、顕名で利用する、つまり誰かがわかる状態で利用する限りは、インフォームド・コンセントをしっかりして同意をとらないといけないというルールに法律でなっているのですね。したがって、がんパネルとかがんゲノムをやっていて、全国がん登録のデータベースを使いたいというと、当然ながら患者さんをリンクさせないといけないので、この場合は顕名情報として扱うため、相当綿密な同意が要るということになるかと思います。
MID-NETは匿名化データベースですので、一応通知はしていますけれども、同意はとっていない。何かを言ってこられたらどうするかがきちんと決まっていないのですが、同意はとっていないのです。
次世代医療基盤法の場合は、その患者さんに関して1回通知をして、それで拒否されなかった、つまり暗に同意された方に関しては、御本人の意見が変わらない限りはずっと有効になる。それから、提供先が変わっても有効になる。つまり、次世代医療基盤法で言う認定事業者が変わっても、特に同意をとり直す必要はないということで、ただし、いつでも翻意できるということで進んでいると思います。だから、次世代医療基盤法の同意というのは結構特殊な同意で、それによる匿名加工のやり方も少し変わっていますから、全体の中での参考には少し変わり過ぎているかとも思います。むしろここで言うNDB、介護DBに関しては、全く非同意。要するに、非同意で集めて、非同意のまま利用するからこそ、どれぐらいのことに気をつけて、何を守らなくてはいけないかということが、多分ここで議論していることではないかと私は思っています。
非同意で集めている情報を活用するということは、非同意で同意をとっていないのは、それよりもはるかに公的な意義が大きいということで、がん登録もNDBも介護データベースも収集しているわけですね。したがって、それを最大限使わなくてはいけないのも多分ミッションだと思いますが、一方で、非同意ですから、決して御本人に迷惑をかけないということもミッションで、それは個人情報保護法で言う匿名加工とかそのレベルではない厳格な管理が要るのだろうと、私個人的には理解しています。これから先、この会議の中でもう少し詳細を詰めていく議論がされると思いますが、今のところ、私はそう考えています。次世代医療基盤法も手をつけているのですけれども、かなり様子の違うデータベースですので、まだどこも認定されていないわけですし、始まっていませんから、今後、そこも議論が深まっていくのだろうなという気はしています。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
ほかに何かございますか。
○黒田課長 事務局から1点よろしいですか。
○遠藤座長 お願いいたします。
○黒田課長 ありがとうございます。
公的データベースの関係は、まさに夏以降の御議論をお願いするということで5月の時点からお願いしておりました。それで、今の点に関連いたしますと、まずはNDBと介護DBという、非常に親和性が高くて、収集ルートも特定をされて、非常に似た形で収集されている2つの間でということで整理をさせていただいているわけです。そういう意味でいくと、今ほどお話がありました点につきましては、この2つのデータベース当時の話としては匿名だということをスタートにして議論しましょうということでお願いしてきたので、この2つのデータベースに関してということであれば、そこを出発点にしていただいてよろしいのかと思います。
その上で、これから順次、ステップ・バイ・ステップで一個一個確認をしながら、共通的な考えもあるのかもしれませんが、一つ一つ指差し確認をしながらいく中で、先ほど先生方からお話がありましたそれぞれのデータベースごとの性質がありますので、それらの中で、今出ていたお話も必要な度合いに応じて取り上げていくということなのかなと思いまして、事務局としてもそのような方向で御議論いただくに足るような素材を、それぞれのデータベースの関係者からもいただいて、御議論に供したいと思います。ありがとうございます。
○遠藤座長 ありがとうございました。
ほかにございますか。
ありがとうございます。それでは、この議論、本日はここまでにしたいと思います。
本有識者会議では、これまで4回にわたり、大変貴重な御意見をいただきまして、どうもありがとうございました。事務局から御説明がありましたように、またこの課題につきましては夏以降、詰めた議論がされるということですので、よろしくお願いいたします。
それから、7月をめどに中間まとめを行って、これを社会保障審議会の医療保険部会と介護保険部会に報告することになっておりますので、中間取りまとめを次回に行いたいと思います。
事務局におかれましては、本日の御意見も含めまして、整理、検討した資料を作成していただきたいと思いますけれども、よろしくお願いいたします。事務局として、そういう段取りでよろしゅうございますね。
それでは、そういう段取りで、よろしくお願いいたします。
それでは、次回の日程につきまして、事務局からお願いいたします。
○黒田課長 次回の日程につきましては、追って御連絡さしあげます。どうもありがとうございます。
○遠藤座長 それでは、本日は閉会といたします。ありがとうございました。
 

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