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2018年6月14日 第3回医療・介護データ等の解析基盤に関する有識者会議 議事録

保険局医療介護連携政策課

○日時

平成30年6月14日(木) 10:00~12:00

 

○場所

全国都市会館 第1会議室(3階)

○議題

(1) 参考人ヒアリング(医療・介護分野のデータベースを活用した研究等)
(2) レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)及び介護保険総合データベース(介護DB)の連結について

○議事

○遠藤座長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第3回「医療・介護データ等の解析基盤に関する有識者会議」を開催したいと思います。
構成員の皆様におかれましては、お忙しい中お集まりをいただきまして、どうもありがとうございます。
まず、会議に先立ちまして、本日の構成員の出欠状況について事務局から報告をお願いしたいと思います。
○黒田課長 事務局でございます。
本日の構成員の皆様の御出席状況ですが、樋口構成員が御欠席、それから、石川構成員、松田構成員から少し遅れて到着という御連絡をいただいております。
以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
それでは、議事に移ります。
頭撮りのカメラは、このあたりにしていただきたいと思います。
まず、本日は前半に議題1といたしまして、医療・介護分野のデータベースを活用した研究について、3名の参考人からのヒアリングを行い、後半は議題2といたしまして、レセプト情報・特定健診等情報データベース及び介護保険総合データベースの連結に関する論点について、意見交換を行うことを考えております。
参考人の皆様につきましては、事務局から御紹介をお願いしたいと思います。
○黒田課長 それでは、資料1に基づきまして、本日お越しいただいております参考人の皆様の御紹介を事務局よりさせていただきます。
株式会社三菱総合研究所シンクタンク部門ヘルスケア・ウェルネス事業本部ヘルスケア・データ戦略グループ グループリーダーの松下知己参考人でございます。
日本製薬工業協会医薬品評価委員会委員、青木事成参考人でございます。
日本製薬工業協会医薬品評価委員会委員、兼山達也参考人でございます。
御紹介は以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございました。
議題1の運営につきましては、まず各参考人よりプレゼンをいただいた後、10分間程度質疑応答を行うことを考えております。なお、時間の都合上、大変恐縮でございますけれども、プレゼンテーションはお一人につき10分程度でお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、初めに松下参考人から発表をお願いしたいと思います。
○松下参考人 松下でございます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
お手元の資料2-1ということで、私のほうで御用意させていただいた資料をごらんいただければと思います。
私どもは三菱総合研究所ということで、民間のシンクタンクでございますが、民間のシンクタンクの立場といたしまして、こうしたきょう御議論いただいているような医療・介護のデータというものを扱わせていただいておるということで、簡単に我々が担っております役割と、活用させていただくに当たっての課題ということで御紹介をさせていただこうと思っております。
お手元の資料を1枚めくっていただきまして、当社は民間シンクタンクでございますけれども、主に医療と介護のレセプトデータ等の解析を含む業務というのは、公的機関から受託をさせていただくというやり方と、公的な補助金を得て実施させていただく業務という大きく2つの形態がございます。
どちらも公的機関の政策を支援するという目的のために当社としては実施をさせていただいているのですが、1点目の公的機関からの契約に基づく業務というのが例えばどういうものがあるのかということで、2ページで紹介させていただいておりますが、業務名を見ていただければと思いますけれども、扱わせていただいているものはNDB、介護DB双方ございまして、NDBに関して言うと例えばという一例でございますが、医政局様が都道府県の地域医療提供体制の分析ですとか、医療計画の進捗評価ということの支援を目的として配付されている医療計画策定支援データブックの作成等の業務。介護DBに関して申し上げますと、老健局様が整備されておられる地域包括ケア「見える化」システムの工程管理業務というものの中に、老健局様が政策検討のために実施される抽出ですとか集計、分析、そちらを御支援させていただくということで、主にレセプトデータ、要介護認定データ等の分析手法をこちらで作成支援をさせていただいているというような業務がございます。
逆に当社として公的な補助金をいただいて行わせていただいている業務の例としては、例えばKDBを活用したような業務ということで、業務としては、介護保険事業計画策定を支援するという目的でございますが、例で挙げさせていただいておりますのは28年度の老人保健健康増進等事業でございますが、こちらは例えば7期介護保険事業計画策定に際して、医療・介護ニーズをあわせ持つ高齢者が地域で在宅生活を営むために必要となるような介護サービスの利用状況等ということで、それの分析手法を市町村、都道府県の方々に具体的に御提示することを目的に実施させていただいておりまして、本日は特に2の公的補助金を得て実施させていただいている業務について、御紹介をさせていただこうと思っております。
3ページをごらんいただければと思いますが、こちらの今、申し上げた業務は、目的は今、申し上げたとおりでございますけれども、具体で申し上げますと下の表に書かせていただいているような、まずそもそもKDBのデータを介護保険の担当部局がどのように取得をしていくのかというところの各種の調整等の具体例ですとか、一例として例えば療養病床を退院された患者が地域の中で、地域に戻られたときにどういう介護サービスあるいは在宅医療のサービスを使って支えられているのかというところを定量的に分析するために、手順について御紹介をしているところでございます。これらの成果については、老健局からも我々の御提示した分析方法を都道府県、市町村に情報提供していただくですとか、医政局様の医療計画の見直し等に関する検討会でも引用していただいて、御活用いただいているということでございますので、当社の事業ではございますけれども、都道府県、市町村の政策検討に資する公益性の高い研究事業ではないかということで考えてございます。
具体例でどういったものをお示ししているかということで、これは一例でございますが、4ページ、5ページに載せさせていただいておりますけれども、例えばこういった左側にあるようなものは非常にベーシックな集計でございますが、医療・介護をあわせ持った高齢者というものが、どのぐらい退院後に介護サービスを使われているのかですとか、その方々の要介護度分布というのが、一般に市町村の方々が目にしておられる地域全体の中の要介護高齢者等の分布とどう異なっているのか。端的に言えば重度に寄っているところを可視化することをどういう手法で、どういう分析手順でやっていくとできるのかというところで、こういったもの、それから、5ページにありますようなそういう方々が、5ページは医療計画の見直しの検討会で御紹介いただいたものですが、その方々が具体的にどういうサービスを使っているのか。それから、在宅医療である往診訪問診療等の併用というのはどのぐらいあるのかというところを可視化して見ていただくことで、地域の特徴を把握していただく。それをもって将来のことを考えていく、地域の中に整備していくべきサービスのことを考えていただくための示唆を得ていただくというようなところを御提示申し上げているところでございます。
6ページに行っていただきまして、当社のような民間のシンクタンクは、例えば今、申し上げたような医療とか介護のデータをどういうふうに扱わせていただいているのかというところで具体例を御紹介申し上げますが、6ページに2つ紹介させていただいておりますけれども、当然ながら公的機関からの契約に基づく場合は、当社と各機関が契約を結ばせていただきますので、業務の仕様に基づいて守秘等の範囲に応じてデータを提供いただいている。データの管理方法等も業務の仕様の中で定められているものに従うというやり方をとっております。
逆に公的補助金を得て行わせていただいているような業務の場合は、かなり個別になっていまして、先ほどのKDBの例ですと、我々のほうから公的機関に申し入れをさせていただいて、国保連合会、後期高齢者医療広域連合等々と個別に調整をさせていただいている。それに伴う同意がとれた段階で、個人情報の秘匿ですとか秘密情報の秘匿というところの手法も個別に調整という形で、それらの関係者合意を全てとった上で、最後、抽出作業や秘匿作業も当社側で実施させていただいているというのが現状でございます。
データの管理方法等も、これが複数の自治体から取得させていただくという場合は、各公的機関との間で個別に取り交わしをさせていただいて、取り組みに基づいて管理をしていくというような非常に複雑なやりとりの中でデータを扱わせていただいているということが多くなっております。
そういう意味で、当社のような民間シンクタンクにおいて医療・介護データを活用した政策支援をさせていただくときの課題ということで、7ページに簡単に書かせていただいておりますけれども、契約に基づく場合は特に今、課題があるということではないわけですが、公的補助金を得て実施するというような業務においては、提供元となる公的機関との間の手続がかなり個別になってきますので、手続にかなり大きな手間ですとか期間そのものも要します。また、データ提供元にもかなりの御負担をかけているというのが現状でございます。さらに秘匿処理ですとか抽出・加工も全て現地に行って我々のほうで実施させていただく必要があるということですので、そういう意味では双方に手間、期間、費用を要しているというような非効率さはあるということです。
協力いただける機関は、こういった形で我々からの利用目的説明等をした上でということになりますので、どうしても分析をするときに地域間比較といったような地域分析を目的にしたものに関しては、そういったところまでやって御提示をするというのが難しいということもございます。
そういう意味では下にまとめさせていただいておりますけれども、公的補助金を得て実施するような業務に関しても、匿名化されたデータを活用させていただけるようになるということであれば、こういった手間、期間、費用というものは低減して、双方の手間も軽減した上で、公的補助金の有効利用につながるのではないかと期待しております。
また、こういった形で特定の自治体だけから取得できるということではなくて、全国のデータが活用できるようになるという環境を整えていただけることで、先ほど申し上げたようなベーシックに言えば地域間比較等ができるようになりますし、都道府県、市町村における計画の策定とか進捗管理に資するような分析結果というのは、もう少し有効に提示差し上げた上で御提供できるようになるのではないかということで、大変期待をしておるところでございます。
簡単ではございますが、私からは以上になります。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
引き続きまして、青木参考人、兼山参考人から御報告をお願いしたいと思います。
○青木参考人 それでは、製薬協からお話させていただきます。
資料2-2をごらんいただければと思います。私どもは産業界の活用ということで、製薬産業としてこのデータベースの活用可能性について、少しばかりお話をさせていただきたいと思います。
スライド2をごらんいただければと思います。まず公益性という文字を書かせていただきましたけれども、御存じのとおり公益性ということの定義が果たしてどれくらいのものを指すのかということがなかなか悩ましいかと思いますが、医薬品産業として考えられる公益性に資するような利用方法として3点ほど今回、利用可能性ということで御紹介とお願いに参ってございます。
3枚目のスライドをごらんいただければと思いますが、疫学的な視点で見て苦手と得意というものがあるかなと思いまして、後ほどのお願いにもかかわりますのであえて書かせていただきましたけれども、先ほどの三菱総研様のような利用した方法論とか経済学的なアプローチというところで言うならば、具体的な活用としては得意とする領域なのかなと思うのですけれども、我々製薬産業として公的にプレコンペティションとして使いたいというところは、むしろあえて申し上げますと苦手とする活用領域なのかなと思っております。
今回のレセプトデータというのは保険請求にかかわるデータですので、経済的なお金のやりとりというデータを使わせていただくという視点ですが、疫学の視点で見ますとこれを医療研究に使う場合には、ある程度推定ということで利用することが多ございます。具体的には薬剤別の副作用の発生、これは副作用というデータが存在していないので、どのような方法かと申し上げますと、医薬品が処方されてからの数カ月間のレセプト病名の集計をするなどのようなアプローチですから、副作用ということは明確にわかることはございませんが、このような方法論が1つございます。
服薬のコンプライアンスに関しては、処方の期間の長じている、そういったところから推察するようなアプローチでございます。治療別の有効率、治療の満足度ということに関しても、データの中に明確にない、だから使えないというわけではなくて、疫学の世界では諸外国の例を見ますと、このような方法論を使って医薬の役に立つような研究をよくやられているということから、日本国においてもこのようなことを使わせていただければと思っているところでございます。
4枚目をお願いいたします。3分割がふさわしいかどうかわからないのですけれども、私が個人的に安全性部門におりますものですから、ファーマコビジランスというものを冒頭に書かせていただいております。さすがに先生方御存じのとおり、製薬産業は人数が多ございまして、総意であると断言できるものではございませんが、3つの視点から利用可能性ということで整理させていただいております。
5枚目のスライドは、先生方御存じのとおり2010年に発出されました薬害再発防止のための医薬品行政等の見直しについての最終提言から、今回のデータベースの活用のところを少し切り取ってまいりましたので、そこだけ申し上げさせていただきます。
このような膨大で多様な安全性情報を医学・薬学・薬剤疫学・生物統計学・情報工学等の専門家が効率的・効果的に活用できるよう、組織・体制の強化を図るとともに、電子レセプト等のデータベースから得られた情報を活用し、薬剤疫学的な評価基盤を整備することが必要であるというふうにございまして、これは行政の方だけではなくて製薬産業も含めて薬害の再発を防止するためには医療データを活用し、そして医学の専門家だけでなく疫学・統計学あるいは情報工学の先生方と一緒にやっていかなければ、この根絶という目標が達成し得ないというような視点で受けとめることができるかと思います。
6枚目、御存じのとおりMID-NETというプロジェクトは国家的に活動しておりまして、この4月より製薬産業でも活用させていただいているところでございますけれども、案外と誤解の向きが社会的にあるかなと不安視しているところもございます。このMID-NETでできることは果たして何だろうかというふうに副作用リスク、過去の事例などを垣間見ますと、MID-NETでできることはまだまだスタートラインである。ここで書かせていただいた例えば8つほどの文字列の中で、恐らくMID-NETとしてできるのではないかと推察されるのが、例えば冒頭の好中球減少です。それから、皮膚炎のリスクなどは多少見ることができるかもしれませんけれども、例えば同時期にほかの薬局で処方されている情報や、ほかの病院様での違う疾患領域の処方がわからないわけですから、ソリブジン事件のようなことを振り返ったときに3番目、飲み合わせのリスクというようなものは確認することがまず難しいであろうということがございます。
それから、アメリカで訴訟問題になりましたピオグリタゾンは記憶に新しいかと思いますけれども、発がん性となってくると病院を転院された場合には観察することはなかなか難しくて、今、MID-NETで果たして発がん性のリスクの研究ができるかというと、これは難しいであろう。そして、今般の介護データとの連携の中で考えますと、より日本の高齢化社会の中にあっては、後期高齢に至るまで副作用リスクを監視する必要性がございます。認知症増悪リスクというふうに書かせていただきましたけれども、万が一にも日本がほかの国に先駆けて発売した医薬品にこうした懸念が生じた場合に、果たして今、MID-NETだけでほかの国に先駆けて発売を中止する。薬害であると同定して発売を中止することができるかというと、まだまだ未熟である。
もちろん今回のデータベースで何ができるか。これも満点ではないと思っておりまして、例えば催奇形性のリスクはほとんどできない。少なくとも共有しておきたいのはファーマコビジランス、薬害再発防止の中にあって日本の医療データの活用環境はゴールには行っていない。はるかにまだまだアンメットなニーズが残っているということで、今回の利用可能性ということで書かせていただいたところでございます。
7枚目のスライドをお願いいたします。我々製薬産業で考えているのは、本業が創薬でございますので、むしろ本丸としては創薬のヒントに使わせていただくのが本質であって、これは考えようによってはもうけ主義というような視点もないこともないと思いますが、むしろ製薬産業の存在意義、社会的に製薬産業として立ち位置があるというのは、物を創薬するための努力を惜しまないから存在していて、黒字になるというのは、つまり社会にいてもいいよという企業の証明であるという受けとめ方からすれば、創薬のヒントのためにたゆまぬ努力をするというのは、我々製薬産業としては公益性がある行為であると受けとめさせていただいております。
具体的にはレセプト、病名だけでできることと、ほかのいろいろなデータを使わせていただく前提もございますが、ミノキシジルの場合は高血圧の治療薬からの事後レセプトや事後的な考察の中で別の処方が認可されている。こうしたことがございます。より具体的に、処理としてはそんなに難しい方法論を想定しているわけではございませんが、四角囲いの中をごらんいただきますと、リウマチ治療薬、例えばA薬の治療3カ月後のレセプトの病名、それから、B薬のレセプトの病名を見たときに、3カ月後に切られているレセプトを見ていったときに、例えばA薬では不眠というようなレセプトが多い。それから、B薬は吐き気のようなものが多いということが仮にわかったとするならば、ある程度の推察といいましょうか、もしかしたら例えばB薬は疼痛、鎮痛剤としての可能性があるのではないか。このような少し安直な例で申しわけございませんけれども、創薬のヒントの使い方としては、こうしたものが簡便にできるように使わせていただくことができれば、何らかのヒントやセンスのいい研究者が見たときに、恐らく機序から考えてこれは適用できるのではないかということも考えられるかなと思っているところでございます。
8枚目のスライドをごらんいただけますでしょうか。メディカル・アフェアーズという言葉が少し浸透しているか、あるいは定義が明確かというと、なかなかそうでもないと思いますが、その他、雑駁なところで、医療産業でさすがに何万人もいる製薬産業の中で私どもきょうの参考人だけでこれにも使える、これは使えないということのジャッジメントはできないのですけれども、医薬品の付加価値や存在意義としてどのような価値があるかという視点で、いろいろなアプローチがあろうかと思います。これは我々の業界の中では、付加価値の研究に関してはメディカル・アフェアーズ、気づきを与えるというような研究テーマとしてくくったりすることがございます。
1つの例として、例えばインフルエンザ治療薬の処方ニーズの経年変化を見ることによって、日本における感染症がどのように広がっていて、どの時期にどのようなことが起きているかの監察をすることが可能かもしれません。オセルタミビルというのは私の所属している会社の医薬品でございますけれども、これはタミフル耐性菌というような懸念が出てくる。どうしても感染症治療薬の場合は、耐性菌が蔓延して有効性が脆弱化する可能性を観察する必要性がございます。もしかしたら患者様の処方している日数の平均を持ってくることによって、耐性菌の社会的蔓延の推察ができる。冒頭申し上げたとおり、明確な証明をするということではないのですけれども、社会、公衆衛生上の観察としてこのようなアプローチがある。私のアイデアというのは大したものではございませんが、もっとセンスのいい研究者らがやると、QOLのアプローチあるいは服薬コンプライアンスに関する常在の再設計の提案のようなもの、さまざまなアイデアが製薬産業のスタッフの中で考察することができるかと思います。
最後のスライド、9枚目でございます。公益性と産業界での活用ということで申し上げさせていただきますと、まずは第1としてファーマコビジランス、安全性監視は道半ばであって、こうしたデータベースを、個人情報の保護という視点はもちろん大切ではございますけれども、同じ視点で公衆衛生で考えたときに、ほかの国に先駆けて医薬品が発売されて、万が一にもほかの国が先に発売を中止するというのでは、日本としての責任が果たせない。道半ばである中から、こうしたデータベースはぜひとも使わせていただきたいという思いでございます。
2つ目は、簡便な利用という言葉は言葉遊びで誤解も生じるかと思いますけれども、これは何にでも使わせてくださいという意味ではございません。ルールに違反や全く適切でない方法を使った場合には、社会的制裁と申し上げましょうか、何らかの罰則ということで制御は必要だと思いますが、少なくとも使う視点においては、さくっとといいましょうか、簡便な事務処理で使わせていただけないと、先ほど申し上げた推察としての研究としては、もしこんなに手間があるのだとしたら、ほかの方法を使おうやということが結構あろうかと思います。むしろ諸外国がやっている推察というのは、簡便であるからこそ使わせているのであって、複雑な事務処理をした場合には恐らく使われないと思いまして、事務手続等が簡便で、しかしながら、間違った使い方もぜひ使わせてくださいというわけではなくて、罰則規定のようなものを御検討いただければというようなところでございます。
3点目でございますが、利用する中にあっては何らかの形で例えばサンプルでもいいと思います。本物のサンプル、例えばフランスは100万人のデータなんかを使えるような環境が全データとはほかにはありますが、そのものだけではなくても少し似通ったものを利用できるような感じで、触ってみる機会あるいは何らかの仮説生成、仮説研究ができるようなお勉強の機会というようなアプローチも御検討いただければというような思いでございます。
簡単ではございますけれども、以上でございます。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
それでは、ただいまの2つの御報告に関して御意見、御質問等あれば承りたいと思います。いかがでございましょうか。では、山本座長代理、お願いします。
○山本座長代理 青木さんにお聞きしたいのですけれども、最後の簡便なというのが結構抽象的な言い方で、どの程度簡便であればいいのかというのが、これから先いろいろ考えていく上で重要だと思うのですけれども、どのような手続を考えられていますか。
○兼山参考人 兼山から御説明させていただきます。
1つには、申請をすればDVDで提供いただけるような形です。データ自体は実際のデータをもとにしてシミュレーションを行ってつくられたデータというイメージです。実物はその中のあるその人は実際にいないというようなもの。
○山本座長代理 済みません、質問の仕方が悪かったかもしれないけれども、3番ではなくて2番の簡便な利用。つまり実データを使いたいときにどのぐらい簡便であれば、製薬業界としてはどんどん推測の研究に使えるものになるかということなのですけれども。
○兼山参考人 切り口としまして3つございます。
1つは、当然申請をさせていただいて審査を受けて認めていただく。最後、提供していただくまでの時間が短いということ。
もう一つは、例えばもしデータを提供していただくのであれば、当然セキュリティー要件がかなり求められると思います。実際にアイデアでこれをちょっと確認したいというレベルで、そこまでセキュリティー要件をこちらで用意できるかというと、ちょっとそれは難しい。ですのでオンサイトセンターみたいな形でどこかに行って、そこでセキュリティーが確保された中で、集計結果だけを持って出られるようなイメージです。
○遠藤座長 ありがとうございます。
ほかにございますか。よろしゅうございますか。どうもありがとうございました。
参考人の皆様、大変貴重な御意見をどうもありがとうございます。それでは、議題1はここまでとさせていただきたいと思います。
(参考人退室)
○遠藤座長 次に議題2に進みたいと思います。議題2の運営につきましては、資料3と資料4と2つございますので、まずは事務局からこれらをまとめて説明していただきまして、その後、資料3の(2)及び(3)に関しまして御議論をいただく。その後に資料4に関しまして(4)~(6)につきましての内容について御議論いただく。2段階に分けたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、まず事務局から資料3と資料4につきまして、御説明をお願いしたいと思います。
○黒田課長 事務局でございます。
それでは、お手元の資料3と資料4について御説明申し上げます。
まず資料3でございます。この資料は前回の第2回の会議で資料3としてお示ししたものと同じでございます。前回の構成員の方々の発言を追補した程度でございますので、ごく簡単に御説明申し上げまして、その後、今回お示しをします資料4についての御説明という形でお願いいたします。
資料3を1枚おめくりいただきまして、ざっと構成についておさらい的にということになりますが、この資料は全体の検討テーマの中の(2)と(3)、つまり収集や利用の目的と対象範囲、それから、第三者提供の部分についてまとめた資料でございます。その後、3~4枚のシートで前回、前々回の御意見を載せさせていただいていますので、ここの部分の紹介は割愛させていただきます。
おめくりいただきまして6ページ(2)マル1でございます。ここは各論になりまして、データの収集・利用目的についてまとめた部分でございます。
7ページ、8ページをごらんいただきますと、この部分では前回も御説明申し上げましたが、NDBと介護DBについて、まずは法律でどのような目的が書かれているのかということを7ページに、それから、8ページにプラスしてガイドラインでどのような目的をいわば横出ししているのかという点について触れたものでございます。法律に書いてある目的の書きぶりもNDBと介護DBでは少し違っているという話と、8ページにございますように、その目的についてガイドラインで横出ししているという点が書かれているところでございます。
9ページ、10ページには論点として前回お示ししたものでございますが、まずはその収集・利用目的の法的な位置づけについてどう考えるのかという点が論点でございます。特に法律の中でどこまで書き、それから、法定目的と運用のガイドラインの組み合わせ。今、運用に委ねている部分が多いわけですけれども、そういった点についてどう考えるのかという点でございます。9ページの下のほうには、運用というこれまでやってきたやり方のメリットと課題、それから、法律に引き上げる場合のメリットと課題について整理をしているところでございます。
10ページは、そのような目的の整理の上で、今回のテーマであります連結という契機をどのように考えるのかという点が論点でございます。目的の中に含まれているかどうかという観点、それから、連結ということも特出しして扱うことが必要なのかどうかという点がこの点でございます。
続きまして11ページ、2、個人の特定可能性への対応でございます。この部分につきましては前回も先生方から御議論がございましたが、現在のガイドラインにおけるやり方は12ページにございますが、事前の確認、事後の確認の2段階で確認をしていくというやり方でございます。その資料は13ページにもございますが、特に事後の確認の部分では患者数が10未満となる数値が含まれている場合等についてはマスキングをするなど、目的ベースの審査と事後に公表成果物の両方を実際に確認し、先生方にごらんいただくことを通じて、個人特定可能性について対応しているということでございます。
14ページ、この部分でございますが、現在の考え方は先ほど申し上げたやり方、事前と事後に確認をして、個人特定可能性がないかということを確認した上でお示しをするというやり方になっておりますが、現在のやり方をベースにした上で、この点について今回どう考えるのかという点でございます。
15ページ、収集・利用目的と整合性の確保の部分でございます。これは今のガイドラインは大きく事前に確認する部分と、提供時、事後に確認、提供後も含めて確認する部分という2つの部分から成っておりまして、17ページ、18ページにその主な観点を確認させていただいているところでございます。特に事前の段階では17ページにございますが、営業目的あるいは差別を惹起する可能性がある場合、あるいは利用目的が達成されないような場合については、事前の確認の段階で確認させていただきますし、18ページにございますが、成果の公表やデータの回収等の措置もお願いをするということで、この部分についても事前と事後の2段階ということで確認されているところでございます。
19ページに、この部分でございますが、論点IIで収集目的・利用目的の整理がされるという前提で、その目的と適合した形での提供ということを確保していくための詳細な手続についてどう考えるか。特にこの部分につきましても今は運用に委ねている部分が多いわけですが、法律なり制度の役割、運用の役割というものをどう考えるのかという点でございます。
20ページ(3)は第三者提供でございまして、この部分につきましては22ページ、23ページにございますが、公益目的による利用ということを確認できた状態でということを前提に置いた上で、22ページにございますが、迅速に提供することをどのように満たしていくのかという点が22ページにございます。また、23ページは特に利用ニーズが増大する、連結するというようなこともございますので、連結解析に際しては手続が複数入ってくるということも念頭に置いた上で、的確に提供するためのあり方ということを検討しましょうということが23ページに書かれていることでございます。
以上が資料3の概括的な御説明でございます。
続きまして資料4でございます。1枚おめくりいただきまして、こちらの資料は今回お示しをするものですが、1ページにこの資料では(4)から(6)までについての資料として御用意をしておりますということを赤枠のところでお示ししております。順にごらんいただきますが、まずは実施体制の部分でございます。
おめくりいただきまして3枚目のスライドでございます。これは現状について、下の図はNDBの体制ということを図示した資料でございます。現在の実施体制はNDBと介護DBも共通した性質ですが、保有主体である国、厚生労働大臣が責任主体として全体の運営を行っているということでございますし、その中でデータベースの保守運用、第三者提供の申し出の受付などにつきましては、個別に外部委託によって実施しているというやり方でございます。また、第三者提供が先行しておりますNDBにつきましては、その下の図の赤枠の中に四角が5つありますけれども、NDBの保守運用をする、要するにきちんといただいて、きちんと管理をするという部分に加えまして、第三者提供を念頭に利用者支援、それから、実際の第三者提供、利用者の方々に監査といいますか確認をしていくという作業。今、試行でお願いをしておりますが、東大、京大にオンサイトリサーチセンターというものを置かせていただいている。こんなものを順次、整備をしてきたということでございます。
その歩みにつきましては、その次の4枚目のスライドで歴年別に、事業別に区分としてお示しをしておりますので、御確認いただければと存じます。
今はどちらかというときちんと持って、きちんと管理するというほうがメーンではございますが、その基盤をより研究に活用いただくためにという視点で、基盤を手厚くしていくという方向の研究がなされておりまして、それが次の5ページに幾つか例示として示させていただいております。前回、参考人でお越しいただきました満武先生が携わっていらっしゃっている研究のほか、東大、京大、そのデータベースの構造の関係、それから、解析をしやすくしていくという観点からの研究等々が行われております。
6ページにまいります。これを踏まえてということになりますが、論点としてまずお示ししておりますのは、連結解析ということも念頭に置いた上で実施体制、国が主体で全体としてという意味ですが、実施体制として求められる機能をどのように考えられるのかということで置かせていただいております。
現状・課題の部分ですが、上の2つのポツはこれまでの歩みでございまして、前のページでごらんいただいた内容です。3つ目のポツにありますのは、前回も参考人の先生方からお話がございましたが、実際に公益的なものだということを確認した上でですが、実際の研究基盤として利用するというふうに考えますと、技術の進歩も取り込みながら、例えば円滑なデータ処理のためのデータベース構造を改善していく、あるいは迅速な解析を可能とするような解析機能の面ですとか、そういった知見を取り込んでいくことも求められるというお話がございました。
そこで、その下の検討の視点の例ということで2つ置かせていただいております。まずは1にありますが、今までやってきた歩みをきちんとやっていく。迅速にやっていく。効率的にやっていくということをきちんと確保するという視点が1つございます。また、その下に2として、利用ニーズがこれから増加する。それから、解析のニーズは多様化、高度化していくことが想定されるわけですが、そういったことも視野に置いて、今はなかなか手が届いていない部分でもございますが、データベースの構造や解析機能の充実など、研究利用にお応えしていくというような機能についてもどのように考えるのかという点があろうかと存じます。このお話が後ろに出てきます費用負担との関係がございます。
続きまして7ページでございます。次は前のページの6ページで実施体制全体に求められる機能をまずは整理した上でということですが、その中で国がみずからやらなければならない部分はどこで、ほかの主体に委ねていくことが考えられるのはどこなのかというような視点でございます。
もともと保有主体が国だということは法律に基づいて設定されておりますので、その位置づけは変わらないということが議論の前提でございます。ですので、例えば第三者提供を今もお願いしているわけですが、それをするかしないかという判断ですとか、今で言います有識者会議のような先生方に御参画いただいて、適否について判断いただくといった場の運営ですとか、こういった機能は国がみずから行うという整理は恐らく変わらないだろうと思っております。
その上で、実施体制に求められる機能に即して、いわば公務員でという意味ですが、国が自らやる部分はどこなのか。それから、他の主体との役割分担が考えられる分野はどこなのか。それから、3というところですが、仮に他の主体にお願いをすることがあるとして、そこに対して国はどのように関与していくことが必要で、他の主体について求められる要件があるとすれば、それはどのようなものなのか。今は委託契約でやっているわけですが、そういう点が考えられるということをここに書かせていただいてございます。
続きまして(5)費用負担でございます。おめくりいただきまして9ページでございます。この部分は、先生方御案内のとおりNDB、介護DBとも一番のコアの用途は行政計画に生かしていくというところですので、この部分につきましては保有主体も国ですし、運用に要する費用は国が予算措置によって対応しております。また、第三者提供につきましても有識者会議の御審議、それから、個々の提供の判断を経て、提供範囲を特定するためのプログラム開発と、それに基づくデータ抽出を経て提供しておりまして、今は利用者の負担は求めていないところでございます。
その下の参考2のところでございますが、今の運用でということですが、実際にNDBで提供する場合に、有識者会議で御審議いただいてこの範囲でということが決まりますと、その範囲のデータをとってくるためのプログラムの開発をいたしまして、それに伴ってデータ抽出をしてお渡しします。それに伴う手間というものがかかっているということは事実でございまして、そのような話もございます。
その下に課題として書かせていただいておりますが、何度か申し上げていることですが、これらのデータベースを国が構築をして運用していくことは基本的な性格ですので、ここは変わらないという前提でございます。その上で連結解析も念頭に利用のニーズあるいは多様化、高度化といったものも想定されるところでございまして、それに伴いまして第三者提供に要する費用も増加することも考えられます。また、今の第三者提供は、公益性があるということを確認した上で行われていますので、公益性があるということが前提ですが、同時にお渡しをした相手方の方にとってのメリットというものも存在するという見方もできるかもしれません。そういったことも踏まえまして、国による対応が基本だということを踏まえた上で、費用負担についての検討というのもテーマだろうと考えます。
最後に(6)でございます。おめくりいただきまして11ページをごらんください。この部分につきましては、技術面の課題ということで書かせていただいておりますが、この部分については前半の議論の内容を踏まえて、この部分に求められる課題は当然変わってくるということだと思いますので、現段階であるものだけをテークノートした状態になっております。したがいまして、前半の議論に応じてこの部分の課題は書き足されていく、加えられていくというものだと考えております。
上の四角をごらんいただきますと、NDB、介護DBともに個人特定につながる情報を削除して国にいただくという整理になっておりますし、その中では上記の処理の際にはいわゆるハッシュ化ということを使って匿名化した上で国に頂戴をするというやり方になってございます。今はハッシュにするときの情報のキーがそれぞれ違っておりますし、データベース間の情報連結は行っておりませんが、連結というお題で考えますと、両データベースが現在も共通して収集している情報がございますので、例えば氏名、性別、生年月日のような情報はございます。ですので、共通して今もとっている情報をベースにした上で、匿名化をルールをそろえてやっていくということを行うことによって、匿名情報だという性質は維持した状態で識別、連結して活用することは技術的には可能だろうと思います。特に2020年ということを念頭に置くと、これは1つの選択肢だろうと考えます。
さらに、現在、別途の方策も関連する取り組みとして検討がされております。こういった周辺部分のお話の議論が煮詰まってきたということになってまいりますと、こういう方策についても連結の方策の中に取り込んでいくことは選択肢であろうかと思います。これは匿名で連結する、ハッシュで連結することの性格は変えないでということになりますので、連結のキーとして活用するという選択肢が出てくる可能性があるという意味でございます。ですので下のほうに書かせていただいておりますが、両データベースの匿名性を維持した上での連結解析に用いる技術的な手法につきまして、検討が必要だという点でございます。また、その下の2番は前半の議論にもよりますし、どこまでのものを求めるのかにもよりますが、セキュリティーの確保ですとか迅速な利用ニーズ、解析ニーズの多様化、高度化等々も踏まえた上で、この部分の技術的な課題というものが一つ一つ足されていくということだと思いますので、そういったことも一つ一つ丁寧に御議論をいただいた上で、この部分につきましては議論を続けていくことが必要だろうと考えます。
事務局から以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございました。
それでは、早速、議論に移りたいと思いますが、まずは前半は資料3です。これについて御意見を承りたいと思います。この内容につきましては前回、既に御意見をいただいておりまして、これが事務局から整理されておるわけですけれども、改めて御意見をいただきたいと思います。前回と同様の趣旨であっても結構でございます。
事務局が論点別に分けておりますので、論点別に少し御議論をいただければと思います。
まずは9ページ、10ページの論点I-1、I-2でございますけれども、何か御意見があれば。特に事務局からは検討の視点例というものが出ておりますので、これはある意味、事務局のお考えを反映しているとも考えられますから、この辺も含めて御意見をいただきたいと思います。いかがでございましょう。國井構成員、どうぞ。
○國井構成員 意見というわけではないのですけれども、前回も欠席いたしましたので1つ感想的な話なのですが、昨年、医療計画を策定するに当たりまして、医療と介護の協議の場というものを2次医療圏ごとにつくって、いろいろ関係者と議論をしたところなのですけれども、医療と介護のボリューム感、5年後、10年後、20年後どうなるんだというと非常にわかりづらくて、こういったデータベースがしっかり構築されることはありがたいのではないかと思っております。また、地域医療構想の実現に向けてもデータがなかなか先が見えないところがございますので、こういったデータの活用に期待したいと思っております。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
ほかにいかがでございましょう。山本座長代理、お願いします。
○山本座長代理 まとめていただいてありがとうございます。
このまとめはNDBと介護総合DBを突合するという観点で書かれていると思うのです。それはそれで私は全く異存はないのですけれども、ではこの先の話を考えると、この2つのデータベースにかかわる法律を個別に触っていくのがよいのか、あるいはそれ以外のデータベースも含めて拡張可能なような形で作業を進めていくのがいいのかというのは、どこかにあったほうが将来の効率という面ではいいのではないかと考えますけれども。
○遠藤座長 それでは、事務局から何かコメントがあればお願いします。
○黒田課長 この会の検討の進め方のお話だけ申し上げますと、一つ一つ検討する。介護DBとNDBということで今、御検討いただいていて、夏以降はそれ以外のデータベースの関係も、それぞれニーズがあるかという形で一個一個検討していくというアプローチで考えています。ですので、そういう意味ではまず私どもの念頭にあるのは、個別法単位で考えていくということかなと思っていまして、その範囲の集積の中で全体像が決まっていく。そういうアプローチで、ステップ・バイ・ステップで考えていこうかというのが今のところのイメージでございます。
○遠藤座長 山本座長代理、よろしいですか。
ほかに御意見ございますか。田中構成員、どうぞ。
○田中構成員 関連ですが、行政側としたら社会保障給付費の効率化というところが求められていきます。それと人口の減少とか人口動態もありますので、今、御指摘のあった介護と医療の連携だけではなくて健診のデータとか、もっと先を行くと例えば乳幼児の健診とか学童期の健診とか、広い意味で言うと将来的にはそういう全体的なイメージがあったほうが、全体の健康政策を進めていく上で非常に重要なことだと思いますので、そこら辺はそういった視点もどこかにあったほうがいいのではないかと思います。
以上です。
○遠藤座長 御意見として承りました。ありがとうございます。
ほかに何かございますか。
最後にまた戻るということにしたいと思いますけれども、次の論点IIにつきましては14ページであります。これについても前回、御意見がありましたが、何かございますか。田中構成員、どうぞ。
○田中構成員 前回、松田先生から既に連結されている部分の研究発表があったわけですが、あの発表の中で要介護状態に既に陥った人の3~4割に何らかの疾患があって、急性期に陥るということを考えたときに、医療と介護のプライマリケアと介護の連結というか、情報の共有というのは大事なのではないかという御指摘がありました。そのことを考えると、匿名化のデータも非常に重要ではありますが、医療・介護の連携を推進していく中では、そういうピンポイントといいますか、こういったことがあるんだという情報がどのような形で出されるのかなというのが非常に気になるところであります。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。
それでは、次の論点IIIに移りまして19ページでございます。収集・利用目的との整合性の確保ということで、これについて何か御意見があれば承りたいと思います。
○黒田課長 1点よろしいでしょうか。この部分につきましては、前回も先生方からお話がございましたし、前回の先生方のお話の中では、今は運用に委ねられている部分が非常に多いのですが、エッセンスのところは法律に格上げしていくというお話ですとか、規定ぶりもなるべくそろえていったほうがいいというようなお話が出ていたように私ども思っておりますが、これまでのお話の中では、そんな方向感だと事務局として受けとめておればよろしいでしょうかということだけ、今後の作業のために御指示をいただければと思っております。
○遠藤座長 特に前回そのような御趣旨で御発言された先生もいらっしゃいますし、何か今、事務局がお尋ねになっているような内容について、こういう理解でいいかということですので、特段何か御意見があれば承りたいと思います。
大体は今、事務局の理解されている内容がここでの御意見だったと私は理解しておりますが、それでよろしゅうございますか。では、そういうことだということであります。
前回、随分議論をいただいているのですが、何か追加があればということですけれども、同じことでも構いません。では、これは全体を振り返ると思いますので、次に移りたいと思います。
論点IVになります。22ページ、23ページについて、何か御意見があれば承りたいと思います。山本座長代理、どうぞ。
○山本座長代理 このポイントは、NDBでも今まで我々が余り十分にはできていなかった観点だと思うのです。まずは提供する仕組みはあるのですけれども、実際どう利用するかに対するサポートがそれほど十分ではなかったと思っています。事務局で大変苦労されて、いろいろなドキュメントをつくっていただいているのですが、例えば米国のResDACみたいなことができているかというと、そうではないと思うのです。ここはこういうデータベースが結合されたような場合、もっと使い勝手とか使い方というのは非常に重要になると思うので、こういうサポートは多分要るのだろうなと。一方で予算の問題もありますし、どこで費用を調達するかという問題もあるのですけれども、せっかくこういった国民の財産であるデータベースを使おうということですから、できる限り活用していただきたいという観点から見ると、使い方のサポートが必要かなという気はしております。
あと、資料4でも出てきますけれども、構造的にもまだ考えなければいけないところもあるのだと思うのですが、そちらも含めながら考えていきたいという方向でいいのではないかと思うのです。
○遠藤座長 ありがとうございます。
ほかに何かございますか。松田構成員、どうぞ。
○松田構成員 多分、迅速な提供といいますか、これをやるときに一番ポイントになってくるのが、申請側の人たちがどのくらい診療報酬とか介護報酬の細かいルールをきちんと理解できているかだと思うのです。こういうことでこういう分析をしたいと思っても、それが診療報酬とか介護報酬のどこに相当するのかということがきちんと理解できていないと、変な抽出をしてしまって、変な結果を出してしまう。そうすると多分、厚労側で例えば政策的に課題となっている項目について、この視点で分析する場合には診療報酬のこの部分と介護報酬のこの部分を抽出するという、そういう事例みたいなものを幾つかつくっていただけるといいのではないか。それは恐らく私も提供できますけれども、満武先生とか康永先生もかなりそういうものをやられていますので、こういう視点で分析するときにはこういうことをこうやって抽出してくる。それは多分、簡単なマニュアルみたいなもの、事例集みたいなものがあると申請が迅速な提供につながるのではないかと思いますので、そこを少し御検討いただけたらと思います。
○遠藤座長 どうもありがとうございます。
ほか何かございますか。武藤構成員、どうぞ。
○武藤構成員 私も似た意見です。いつも私は倫理審査委員会でいろいろな審査資料を見ている立場なのですが、出来栄えのよい審査資料だったら、審査期間は短縮できます。出来栄えのよい審査資料にするための支援は求められていると思います。先ほどの参考人の御発表にもありましたが、練習用データに接する機会も、迅速な提供にも役立つことだと思います。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
では、事務局コメントをお願いします。
○黒田課長 松田先生、武藤先生からあったお話は、参考人の方からお話があったこととも重なると思っています。これはむしろこの会の検討は恐らく夏以降も続くわけなのですけれども、今、利用者支援という形で一部事業を手がけておりますが、そういった場所にどういったお声が寄せられていて、こういうアシスタントをしているんだとか、そういう話も多分参考になると思いますし、むしろ大枠の話からだんだん実際に使っていただくための工夫の話になってまいりますので、そういう点は夏以降の話になるかもしれませんが、つぶさに先生方にごらんいただいて、こういう点が必要だというお話をいただきながら肉づけをしていきたいと思いますし、まさにそのとおりだと思いますので、形にしていく方向で検討したいと思います。ありがとうございます。
○遠藤座長 よろしくお願いします。
ほかにございますか。
それでは、資料3全体を通して何かあれば承りたいと思います。
○黒田課長 事務局から1点よろしいでしょうか。先ほど申し上げた点と1つ重なります。これからの私どもの作業のためにということなのですけれども、そういう意味では3番のところでもございましたように法律の力を借り、なるべく制度のほうに上げていきましょうというお話が前半のお話だったのかなと思っています。
あとは法律にするということになりますと目的に合っているか、公益的なのかということを厳格にチェックすることが観点になろうかと思っておりますので、そういった仕組みの中で公益的なものなのかどうかという見極めをしていくことだと私どもは受けとめておりますので、そのような理解でよろしいでしょうかという点だけ御示唆をいただければと思います。
○遠藤座長 いかがでしょうか。先ほどと絡む話でありますけれども、私はそのようなことだろうと理解しておりますが、今のことでよろしゅうございますか。何か御質問があればこの場で議論したほうがいいかもしれません。特段御意見がないということであれば、今、事務局がお示しされたような方向で我々もそのように受けとめているということですので、御対応をお願いします。
○黒田課長 ありがとうございます。
○遠藤座長 それも含めまして、検討の視点というのが各論点ごとに出ているわけでありますが、これは事務局の1つの方向性を示しているわけですが、これについては特段大きな御意見もなかったということは、一応こういうような流れをお認めいただいたという理解でよろしゅうございますか。具体的なことはまだありませんけれども、検討の方針ということを書いてあるわけですが、事務局も一つ一つ固めていかないと先に進めなくなるということもあるものですから、また何かあれば御意見を伺うことにいたしまして、それでは、大体御意見は本日は出尽くしたかなと思いますので、資料3についての議論はこれまでにしたいと思います。
次に資料4、これは新たな検討事項ということでありますので、これについて、これは特段、論点ごとに分けるつもりはございませんが、全体を通じていろいろな御意見をいただきたいと思います。いかがでございましょう。棟重構成員、お願いします。
○棟重構成員 いきなり最後の論点で申しわけないのですけれども、11ページ、技術面での課題ということで一言、コメントをつけ加えさせていただきたいと思います。
説明の中で黒田課長が丁寧に議論をしていくとおっしゃっていただいて、まさにそれをお願いしますということなのですけれども、この中に2020年までは今までの仕組みで記号・番号、生年月日、氏名を用いてハッシュ化をしていくということで、それでいいと思うのですが、その後、個人単位の被保険者番号の活用等も一言、書いてあります。今、データヘルス改革ということで、この医療・介護のデータをつなげるとか、あるいは国、地域のネットワークだとか、ビッグデータを個人単位で連結するとか、いろいろなものが並行して議論されている状況でございまして、その基本となるところで個人単位の被保険者番号というのが必ず議論に出てきます。個人単位の被保険者番号自体まだ議論中であるという認識でおりますので、その辺のつなぎということについては将来的には何らかのシステムが必要だったり、システムがあれば運営費用という問題も出てくるかと思いますので、その辺は丁寧に検討、議論を進めていっていただきたいという要望でございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
これは特段、コメントは求めなくてよろしゅうございますね。御意見として承りました。
ほかにいかがでございましょう。それでは、葛西参与、お願いいたします。
○葛西参与 今までのお話を聞いていて、これは御紹介というか、多分、皆さんも同じ意見だと思うので少し深掘りをした話をさせてもらえればなと思うのですが、私はもともと統計のシステムをずっとやっていたことを前にお伝えしたと思うのですが、オープンデータの話を進めるときの黎明期と似ているなという感触がありまして、実は生のデータをそのまま提供しても各先生方、皆様同じ意見だと思うのですけれども、どなたもなかなかすぐに加工して、すぐに使えるようにならないというのがありまして、その壁を越えるために、まずオープンデータの世界ですとデータカタログと言われる事例集とカタログサイトというものをまず用意しているのです。それと、そういったデータカタログのパッケージを利用者の方に配付するということをやっているという、少し丁寧に啓蒙活動をしないと、相当簡単に生データをぼんと渡して使ってくださいどうぞというわけには多分いかないだろうなと。
問題は、そういった例えばデータカタログとかカタログサイトとかアプリケーションインターフェースとか、もしくはやっぱりきょうも絶対に出るなと思っていたのですけれども、実際にダミーデータでもいいので触ってみたいですというハンズオンセミナーみたいなことをやる組織というのは、どういう性格というか性質を持った組織がいいのかなというのを常々私としては悩んでいるのです。厚生労働省でやるべきなのかどうなのかというと、オープンデータの場合には民間の方にたくさん協議会をつくっていただいたりとか、コンソーシアムをつくっていただいたりとか、実際に独立行政法人でそれをやっている部分もあったりという、かなり広く啓蒙活動を推進しないと個人的にはだんだんNDBが使われてよくなってきたなと思うのですが、やはり150件台というのはもう少し壁を越えたいなという気持ちがあります。
技術面でもう一点、課題があるのが、これは御紹介までで匿名化と仮名化の話をずっと私は言い続けているのですが、なかなか匿名加工自体、数理学的な専門性が非常に複雑なので、PWS Cupという最近JIPDECが後援しているのですけれども、匿名加工コンテストみたいなことをやって、本当にこの匿名加工というのは破られないのだろうかどうかということを推進しています。こういった意味で言うと、情報技術のかなり専門性が高い組織を巻き込んでいかないと、そう簡単に仮名化、匿名化という壁は越えられないのではないか。これは次世代医療基盤法でも同じ方向を向いていると思うのです。なのでこういったところを同時に、どういう組織がやっていけるのかなという実施体制に非常に不安があるというのが、これは私の個人的意見と御紹介まででございます。
○遠藤座長 貴重な御意見どうもありがとうございます。
ほかに何か、あるいは今の葛西参与の御意見に関連したものでも結構でございますけれども、まさしくそうだと思います。なかなか生データをすぐ使える人というのは限られてしまうわけであるわけで、いかがでございましょう。全体を通してで結構でございます。山本座長代理、どうぞ。
○山本座長代理 この体制の問題として、国が全てやっているというのは結構無理があると思うのです。ただ、国が収集しているデータですから責任はとらないといけないのですけれども、運用、管理を含めて適切なところに出す、外に出すということが多分、必要だろうと思います。
データベース自体の管理はともかくとして、全体の運用を管理するのは、やはり参考になるのは米国のResDACかなと思います。あれはかなりの歴史を持ってやっていますので、それなりにノウハウを身に着けていますし、CMSのデータの抽出依頼なんていうのはResDACでオーケーをとらないと出せないのです。ですからResDACでまず出して、そこでブラッシュアップしてもらって、それと同時にデータの使い方の講習を受けてやるという道筋になっていますので、そういう意味ではこの検討の中で結合したデータベースに関しても、そういうサポートができれば、ResDACの場合は大学に対してCMSが補助金を出してやっているわけですけれども、そういう研究支援も含めた組織をしっかりとつくっていくのがいいのかなという気はいたします。
○遠藤座長 どうもありがとうございます。
どうぞ。
○伊原審議官 先ほどから御意見をいただいている、山本先生からも松田先生からも言われているように、サポートがまだまだ不十分だというのは我々も認識しているのです。資料の中で言うと4ページのところでデータベースを21年度からつくって、少しずつ広げてはきておりますけれども、もう少しサポートが進めばもっと利用していただける方もふえるし、もっといい形で活用例も出てくるだろうと思うのです。
そのときにきょう御提案させていただいているように、実施主体をどうするかというのは1つの論点なのですけれども、もう一つ、我々が感じていますのは、この分野で詳しい方というのは非常に限られているのです。先ほど松田先生から、日本の診療報酬のことをある程度知らない人がやったところで誤った結果を出してしまうみたいなことは非常に出てくるリスクがあると思っていまして、そういう意味で言うと、限られた日本でも本当に何人いらっしゃるかという方々に、どのように新しくつくり上げる世界に参画していただくのか。逆に養成も必要ですけれども、当面の間そういう限られた方々に御参画いただくスキームも必要だなと思っています。
もう一つは、お金の問題も必要だと思っていまして、当然、先ほど黒田からも御説明しましたが、国が基本的な部分を出していくとしても、利用していただくとなればユーザーフィーをどうするかみたいな話として考えていく必要もあるだろうと思いますし、果たしてそれをどういう位置づけをするのかみたいなことも大事だと思っています。そういう意味で、ぜひきょうの資料4につきまして積極的なイメージとか、この辺は注意したほうがいいということがあれば、ぜひ率直にいただければと思います。
○遠藤座長 ありがとうございました。審議官から資料4についての重要なところの御指摘をいただいたわけでありますので、いかがでしょうか。方向性についてでも結構でございます。詳細なことでなくても結構です。松田構成員、どうぞ。
○松田構成員 御参考になるかどうかわからないですけれども、私たちがいろいろなリサーチをやるときには、必ず医事課の職員とかに入ってもらっています。彼らがすごく診療報酬の請求とかに詳しいので、そういう意味で余り間違えないで済む。そうすると、そういう専門職ってこの国でどこにいるのか。各病院にもいっぱいいるのですけれども、やはり支払基金と国保中央会、国保連合会とか健保連とかそういうところだと思うのですが、そういう保険者とか審査支払組織のところの知識を持った人にも入っていただくことが必要なのかなと思います。
あと分析するときにはどうしてもレセコードとかそういうところとのつなぎなどもやっていかないといけないので、そうするとMEDISとかJAHISとか、そういうところのシステム周りをきちんとつくっている人たちというのはかなり詳しいですので、そういう周辺の人材にもきちんと入っていただいてサポートする体制をつくるというのは大事なのだろうと思います。
実際に私たちはずっとDPCのデータとかでハンズオンセミナーをずっとやってきているのですけれども、これは大学教育とかの問題になってくるのかもしれないのですが、実際に小規模なデータであればAccessとExcelでかなりできてしまうのです。でもいろいろと教えているとAccessとかExcelも十分に使えないレベルの人たちがかなりいらっしゃるということと、データベースの概念そのものがわかっていない方が結構いる。そうすると、そういうデータベースのことから少し簡単なセミナーとか、今、YouTubeとかいろいろあるわけですので、ああいうところでeラーニングできるような支援システムをつくっていく。そのベースのところを底上げしていかないと、なかなか先に進めないのではないかと思います。
○遠藤座長 貴重な御意見ありがとうございました。
支援の話と同時に費用負担の話もありましたが、これについて何か御意見はございますか。山本座長代理、どうぞ。
○山本座長代理 費用負担は私は当然だと思っていて、例えばアカデミアの人でもそれによってそれなりに自分の仕事をした、それで名誉なり何なりを得るわけですから、それは費用負担は当然だと思います。ただ、どれくらいが適切なのかというのが大きな問題で、今、MID-NETの場合はそのシステム全体の運営に必要なお金を割って、負担を願っているという形で、普通の人からするとかなりの高額な利用料になっているのです。
ただ、CMSの場合はもう少し安いです。普通の利用であれば年間400万円ぐらいあれば何とか使える。そのぐらいの額だと例えば科研費の申請に必要経費として乗せることができるのですけれども、何千万円となるとそもそもそういう申請が難しくなってきます。使われないと今度はそれ自体が減ってしまうので、そのデータベースの価値も減ってくることになりますから、有料化は当然だと思うのですけれども、普通の利用者が支出可能なというところをぜひ重要視していただきたいというのと、もともとNDBも介護総合DBも、そもそも行政利用を目的につくっているわけですから、行政利用をサポートする、あるいは普通に考えていたら得られないような知見が得られるという意味では、それこそ公益が目的ですので、それなりに社会としてのメリットがあるわけですから、そこの部分を独立採算でやる必要は全くないと思うのです。ですからそれはむしろ使うほう、全体のバランスをまずそろうということではなくて、まずは利用をふやしていくという観点で利用料を決めていただくことが重要だと思います。
○遠藤座長 どうもありがとうございます。
ほかにございますか。それでは、支払基金のオブザーバー、お願いいたします。
○社会保険診療報酬支払基金 1点だけ、意見ということではございませんけれども、進め方に関して1つ御提案ですが、今、資料4の9ページに費用負担に関して今のNDBの運営経費4.7億円、国費ということで出ておりますけれども、今後の課題ということで基本的な部分は国で対応。それに加えて受益者というところで考えられているということだと思いますが、今後、議論を深めるに当たって、今もNDBの経費に関して法律に基づいた利用と本来目的以外の第三者提供とある中で、少し費用の細分化が可能であれば、共通部分にどれぐらいのお金がかかっていて、本来目的にどれぐらい、また、それ以外のところにどれぐらいというところで、少し内訳が出れば、先ほど山本先生からも御指摘のあった費用のイメージも含めて議論も深まるのではないかと思いまして、1点、御提案でございます。
○遠藤座長 御意見として承りました。
事務局にお聞きしたかったのは、先ほど審議官からこの内容について幾つか簡潔なお話がありましたけれども、本日少し議論をしてほしいところでまだ抜けているということがあれば、御指摘いただければ、そこは集中的に御議論いただこうかと思いますが、いかがでしょうか。
○黒田課長 資料4につきましては、先ほど審議官から申しました点が中心でございまして、もう一つ、追加でお願いできたらと思いますのは、(6)の技術面の課題のところです。当方からは今、利用な可能なものは3情報ですということを申し上げて、プラスアルファの措置があればそれはやがて選択肢になってくるわけですが、こういった部分についての考え方は今、当座のものは資料でお示しをしましたが、こういった点についてももし御意見を頂戴できれば大変ありがたいと思っております。
○遠藤座長 ということですので、何か御意見があればいただきたいと思います。山本座長代理、お願いします。
○山本座長代理 現状ここで書かれている氏名、性別、生年月日で、氏名は仮名を使うと思うのですけれども、それらを使うということでまずスタートするのは、当然だと思いますし、それでいいと思うのですけれども、氏名は変わりますから、それだけに頼っていたのではどうしても突合できない情報がだんだんふえていきますので、将来的な話は先ほど棟重さんからもありましたけれども、今、検討されているものを慎重に検討した上で、それを取り込むようにしないと、突合の完全性がかなり損なわれてくると思いますから、ここはまだ片方が決まっていませんから今すぐではないですけれども、しっかりと検討していただけたらと思います。
それから、この場合も今、NDBの特徴というか、私はある意味、欠点だと思うのですけれども、絶対に個人には戻らない。つまり匿名加工されている、非識別加工されているという状態なのですけれども、その状態で安易にIDみたいなものを入れるのはよくないので、IDを入れるにしても、それをまたハッシュ化するとか何とかして使わないと多分難しいと思うのです。
本当に個人的には仮名化でいいのではないかという気もするのです。そうしないと何か新たな知見が発見されたときに、直接個人に絶対に戻らないというのが今のNDBの特徴で、これはこれで仕方がないのですけれども、非常事態が起きた場合、例えば東日本大震災のときに、被災後3日目ぐらいからレセプトのお薬を教えてほしいみたいなことが現場からいっぱい聞こえてくるのです。それは当然で、普段飲んでいるお薬がわかれば、お薬手帳など何も持っていらっしゃらなくても大体その人の健康状態はプロが見ればわかりますから、その状態で応急診療、巡回診療をやるのと、全く何も情報がない状態で初めてお会いする方がちょっと頭が痛いと言うのとは随分違うので、それが知りたいというのがありました。
その当時、NDBがありましたからNDBから出せるだろうと言われたのですけれども、出せるが個人がわからないので、国保連合会や支払基金に厚労省からお願いをして問い合わせがあったら検索してほしいということをされたと思うのです。それはそれでいいのですが、やはりこのNDBを使って何かわかったときに、まっすぐ個人に利益をお返しできればいいかなと個人的には思います。ただ、現状はそれはできないという前提になっていますので、それでやるのであればこのIDもその工夫をした上で使うことが必要になるだろうと思います。
○遠藤座長 ありがとうございました。
では事務局、お願いいたします。
○黒田課長 先ほどの棟重構成員のお話とも重ねてこの話を考えていくのかなと、私どもとしては受けとめています。申しましたとおり、今、当座使えるものという意味で、既に収載されていて利用可能なもの。これが2020のターゲットになるわけですが、これはとりあえずは3情報だということは事実そうなので、その話がございますが、この話をそこで区切ってしまっていいのかどうかという話はまたあると思いますので、ほかの分野の議論の進捗がどんなペースなのかという話も踏まえた上で、そのお話はこれからも継続して先生方の御議論を頂戴する。そんな2ステップでこの話は理解するのがよろしいのかなと私どもとしては受けとめていますので、そんな形で今後の進展は随時いただきつつ、2ステップのイメージで引き続き御議論も頂戴しながら検討を進めていくということで、私どもとしては受けとめさせていただいております。ありがとうございます。
○遠藤座長 ありがとうございました。
ほかに何かございますか。松田構成員、どうぞ。
○松田構成員 これは確認なのですが、氏名、性別、生年月日でやるわけですけれども、多分、この後、外国人問題は大きくなってくると思うのです。本当にそうなるかどうかわからないのですが、50万人の単純労働者を国内に入れる。それもいろいろな国から来るわけですけれども、そのときのもともとの英語表記の名称、名前と片仮名表記の名称のルールをきちんとしておかないと、移ったときに多分違う名前になってしまうと思うのです。ベトナムの人の名前とか結構「カン」だったり「クワン」だったり「コン」だったりする。それは読み方によって違うのですけれども、それが結局、出入りしたときに全然違う名前になってしまうとつなげなくなってしまうし、国保に移ったときにまた名前を変えてしまう、そういう形で片仮名の表記の名前が変わってしまうとつながらなくなってしまうと思うのですけれども、日本が第4位の移民大国だということを考えると、そういう外国人の名前をどういうふうに標準的に記載するかということも片方でやっておかないと、つながらないデータがいっぱい出てきてしまうのではないかと思うのですが、細かいことですけれども、それも御検討いただけたらと思います。
○遠藤座長 ありがとうございます。
石川構成員、どうぞ。
○石川構成員 日本医師会の石川です。
きょうここまでの議論だったのですけれども、最初のところから少し考えてみて、事務局に質問なのですが、最初の1回目の有識者会議のところから連結といいますか、NDBと介護DBの連結ということからいきなり来ましたね。そこなのですけれども、ただ、介護DBということについての要するに具体的にそれを再利用、それだけ再利用とか、そういったことについては今までどのぐらいやられてきたのか。
実は私はこれをやるときに、ぜひ介護の現場で動いている人をこれに入れたほうがいいのではないかということを言ったと思うのです。それはNDBのところで、いろいろな審査のところで臨床を知っている人がいないと無理だ。要するにそういう申請がいっぱい出てきているわけです。実際に介護の患者さんを診たり、いろいろとケアしたりしている人のそういう方で有識者の方がいたほうがいいのではないかと思って見たのですけれども、具体的には訪問看護師の親分みたいな方が実際にはやっている方が来るのがいいかなと。つまり介護DBというのは実際にかなりまとめられて、いいデータが既にあって、それにさらにNDBを加えて、この間から松田先生からいろいろと医療データを加えるとこれだけいいものができるというのを見せていただいたのですけれども、介護DBの利活用といいますか、まとめといいますか、それはどこまで出ているのか教えてもらっていいですか。
○遠藤座長 事務局お願いいたします。
○鈴木課長 介護DBの利活用につきましては、これまでは行政がいわゆる計画ですとか報酬といったものを検討するための基礎資料として分析しておりますけれども、第三者提供については御存じのとおり、これまで一度も行われておりません。ですので、今それを行うために昨年度、いわゆる第三者提供のあり方ということで委員会を立ち上げまして、ガイドラインをつくって今、第三者提供に向けた体制をつくっているところなので、先生がおっしゃるような第三者提供で誰かがどういうことを介護DBを使ってやったのかというのは、実は事例としては1件もないというのが現状です。
○石川構成員 そうしますと、私なんかも一番初期のときから認定審査員をやっていまして、そのときにいろいろと感じていた疑問だとかあるわけです。例えば要介護2だとか3の人がよくなることがあるのか、悪くなるほうが多いのではないかと思うのですけれども、どういった人がよくなるかとか、そういった例えば介護データベースでそういうことを疑問に思ったことがあって、それがデータベースでうまく出ればいろいろと臨床に役に立つのではないかと思ったりしたこともあったのです。だから介護DBだけで利活用したいという方も恐らくいっぱいいるのではないかと思うのです。
先ほどから棟重さんのお話もありましたように、要するに共通するIDみたいなものが一方で議論中でなかなか結論がどういうふうに出るかわからない中で、介護DBだけでの利活用ということについても、もっと早く公募してみたらどうかなということを思いました。
○遠藤座長 事務局、何かコメントありますか。
○鈴木課長 それにつきましては今年度、今いわゆるNDBでも行いました模擬試験というものを行って、審査のやり方をきちんとこちらのほうでも、事務局のほうでもきちんと演習した上で、なるべく早くそういったデータの第三者提供については開始したいと思っております。
○黒田課長 関連で少し申し上げます。
石川先生のお話は、この連結というテーマをベースに考えた、この会議は連結のための会議ですが、連結ということを考えますと、この資料でいくと第三者提供という(3)という部分で当方の資料はまずお出ししていますが、そういったことを行っていただく上で、どういう先生方に参画していただくか。それぞれのものがあるわけです。NDBはNDBで会議があるわけで、その先生方に参画いただいているわけですが、連結というテーマで考えたときに、どういう方々に参画していただくのかというテーマとも恐らく重なるテーマなのかなと思います。
制度にするということに仮になりますと、会議の位置づけも法律に上がっていくということも考えられますが、そういったプロセスをどうしていくのかというお話は、骨組みの話以上にとても大事なテーマだと思います。ですので、こういったテーマも、どちらかというと事務局が用意している資料は骨のところばかりやっているわけですけれども、骨の話の先に実際に生かしていただく、それから、きちんとした芽が生えるようにという両方の目で、かかわっていらっしゃる先生方にきちんと参画していただくことがどうしても必要になると思いますので、そういった面で深めていくテーマとして先生のお話は当方としても受けとめさせていただきます。
○遠藤座長 ありがとうございました。
ほかに何かございますか。それでは、武藤構成員、どうぞ。
○武藤構成員 場違いなことを言うかもしれないのですけれども、先ほど伊原審議官がおっしゃっていた人材の話です。データヘルス推進計画を通じて、すばらしいデータのインフラができるかもしれませんが、複雑なデータベースを統合して操れるような人材が必要になります。人材養成に関して、例えば文部科学省と連携した形などで事業化されたりしていませんでしょうか。もし何か御存じのことがあれば教えていただきたいと思います。
○伊原審議官 一般的な認識を申し上げさせていただきますと、データサイエンティスト全体をふやしていかなければいけないという認識は政府部内で高まっていまして、文部科学省とか内閣官房なんかでも議論されています。
先ほど私のほうで申し上げたかったのは、そういう絶対的な底上げも必要なのですけれども、何しろ今、NDBとかを使う世界で大体顔ぶれを見ても非常に限られています。この方々に入っていただいた仕組みをつくって基本的な枠組みといいますか、決めていくとか、サポートの仕方についてのマニュアルをつくるとか何とかみたいなことを集中的にやっていかないと、なかなか新たに今から来年とか再来年とかこのプロジェクトを動かしていって、どこか、誰かお金を払って雇ったらできますとか、そういうことではないと思っているので、急いでそういうことに取り組む必要があるということだと思っているのです。
今、武藤先生がおっしゃられたみたいに、日本全体のビッグデータをどう活用していくかという全体の問題からすると、もっと多くの人を大学とか大学院レベルで養成したり、あるいはさまざまなところで養成していくことは当然必要なことだと思います。そういう意味で、そこに厚労省が今、関与できているかというと、残念ながらそこまではいっていないというのが実情です。
○黒田課長 若干補足をさせていただきます。
先生の御関心と少し重なる部分もあるかなと思いますのは、先ほど御用意した資料4の中で幾つか研究がありますと申しましたが、その中の一番下の東大の研究の中に、康永先生の研究の中に、人材の養成のようなものもこの中のテーマとしては入っています。ただ、これはあくまでも、要するに養成の仕方に焦点を当てていますので、先生がおっしゃるような広がりをつくっていくというところは、ここの研究のスコープの外ではあります。そういう意味では先ほど松田先生からのお話にもありましたが、この会議はその中のレセプト由来の匿名情報をというのがお題ではありますが、そういったものをいじる、分析していただく上で、どういうベースになる知識が必要なのかとかいう話からとっかかってみるというのは、切り口の一つではあるのかもしれません。やはりオールジャパンの情報ではありますし、それを使う際に留意点もたくさんある情報なので、まずはこのテーマから少し切ってみるというやり方もあるのかなと思いまして、ありがとうございます。
○遠藤座長 武藤構成員、どうぞ。
○武藤構成員 御回答ありがとうございました。データサイエンティストも大事ですけれども、政策やその運用の落とし穴も理解できるような多職種のチームで取り組むのが大事だと推測しますので、どのようなチームをつくればよいのかモデルを提示して、実際に様々なデータベースを統合して利用できるようになったときに、こういうチームで当たってください、というイメージができるようになると、底上げしやすいのかなと思いました。ありがとうございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
それでは、きょう議論された全体を通してでも結構ですので、何か御意見があれば、いかがでしょう。葛西参与、お願いします。
○葛西参与 全体を通す感じの話のところですごい各論を申し上げるのですけれども、実はもう一点、悩んでいることがありまして、この場で何か回答をいただくというのはなかなか難しいと思うのですが、最後の技術面の課題のところで私は当然技術面は非常に気になるのですが、実は匿名化、正確に言うとハッシュ化をするとなったときに、セキュリティーの分野なのでどれが正解ではないのですけれども、例えばハッシュ化方式で言うと御存じの方は御存じだと思うのですが、SHA-1、SHA-2とかSHA-256とか、最近ですとSHA-3があって、具体的にSHA-3とSHA-2は全然違う技術です。どの方式を用いれば医療界というかこのデータヘルス改革分野においては御納得いただけるかなというのは非常に、どれを選んでも正解、MD5ではないと思うのですが、SHAの何かを選ぶのだろうなというのは、もし御意見があったら後日でも結構なので、事務局なりに御連絡いただけるとすごくありがたいなというのが1つです。
もう一個が台帳です。今、例えば名前とか記号とか保険番号を複雑に組み合わせて、満武先生の資料なんかにあるのですけれども、複雑にテーブルを組み合わせて何とか結びつけるということが現状、私は本当は何かの番号があったほうが便利なのだろうなと思っているので、これは別のところで議論されているので、今やれるとするとこういったテーブルを何とか結びつけようとすると、今のところ台帳とレセプトというところは実は保険制度の中にあるのでいいのですけれども、例えば受診券とかそういった少し幅広い分野、あと他の統計との連結をしようとすると、名前だけでも結構な種類がありまして、有名なのですけれども、文字情報基盤事業というのを別のところで、経産省がやっております。これは何かというと、戸籍統一文字と住基ネットワークの文字とJIS Xの文字と常用漢字というのは全然「辺」あたりが有名ですけれども、膨大にありまして、これでつなぐというのは結構実はしんどいのではないかというあたりというのは、どうやって今後、克服するかなという課題があるということを備忘録的にお伝えしておきたいというのが2つ目でございます。
○遠藤座長 どうもありがとうございます。
何か事務局からありますか。
○黒田課長 技術面の話は詳細な検討が必要だと思います。なのでそういう意味では冒頭、申しましたような話も含めて順番を追いながら、ただ、これはすごく短い時間の議論の中で早期にぱぱっと方針を決めていくような性質というよりは、時間をかけながら丁寧に、その後の議論の進捗もいただきながら先生方にごらんいただいて、検討するのがよろしいのかなと思っていまして、そういう意味でもこの会で随時そのような話をごらんいただきながら検討を進めるということなのかなと事務局としては考えております。
○遠藤座長 ありがとうございます。
ほかに何かございますか。よろしゅうございますか。それでは、大体御意見は出尽くしたということで、本日の議論はこのあたりにしたいと思います。
本会、本日まで3回御議論をいただきました。事務局から当初示されました各テーマについて、構成員の皆様からいろいろな御意見をいただいたわけでありますので、本日の議論も含めて、また事務局としては整理をしていただいて、今後の議論に役立つようなものをつくっていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
次回の日程等について、事務局からお願いします。
○黒田課長 次回の日程につましては、追って御連絡を差し上げます。ありがとうございます。
○遠藤座長 よろしくお願いします。
それでは、これにて本日は閉会としたいと思います。どうもありがとうございました。
 

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