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2018年5月16日 第1回医療・介護データ等の解析基盤に関する有識者会議 議事録
保険局医療介護連携政策課
○日時
平成30年5月16日(水) 10:00~12:00
○場所
全国都市会館 第1会議室(3階)
○議題
(1) 座長の選出
(2) レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)及び介護保険総合データベース(介護DB)の連結について
(3) 連結によるユースケースについて
○議事
○黒田課長 定刻より若干早い時間でございますが、構成員の皆様方おそろいでいらっしゃいますので、ただいまから第1回「医療・介護データ等の解析基盤に関する有識者会議」を開催したいと存じます。
構成員の皆様方におかれましては、大変お忙しい中、御出席賜りましてありがとうございます。心より御礼申し上げます。
本有識者会議は、保険局長、老健局長のもとで参集を得て開催するものでございます。本来ですと、私どもの保険局長より御挨拶申し上げる予定でしたが、公務の都合により欠席となります。代わりまして大臣官房審議官(医療介護連携担当)の伊原より御挨拶を申し上げます。
○伊原審議官 皆様、おはようございます。伊原でございます。
一言、御挨拶をさせていただきます。
皆様におかれましては、御多忙の中、御出席いただきまして大変ありがとうございます。この医療・介護データ等の解析基盤に関する有識者会議の開催に当たりまして、一言、御挨拶を申し上げます。
ナショナルデータベースにつきましては、医療保険者や医療現場の皆様の御協力もいただきながら、平成20年度に構築させていただきまして、これまでレセプトデータ等の医療費適正化計画、こうしたものの策定に役立ててまいりました。平成23年度からは都道府県、市町村にも御提供いたしましたし、さらには研究者の方々にも提供して、いろいろ研究にも御活用いただいてきたところでございます。
介護の分野におきましても、介護レセプトデータ等を収集する介護保険総合データベースを構築いたしまして、このナショナルデータベースと軌を一にした取り組みが進められております。
これらの2つのデータベースにつきましては、地域包括ケアという観点から医療と介護の連携が非常に求められている中で、こうした2つのデータをつなげてもっと提供できるようにしたらどうかという御提案もございます。さらに、このNDBや介護DB以外にも、さまざまなデータベースが保健医療分野でつくられつつございます。こうしたものとの連携をどうとっていくかということも課題だと認識しております。
こうした期待に応えるべく、今般、この会議で検討をお願いしたいと思っておりますけれども、検討に当たりましては、1つは個人情報保護法制との関係、2つ目に利用目的の問題。データベースの収集に関係している皆様の御理解あるいは御協力を得ていく観点から、どのような目的で、どのような範囲で提供していくのか。こういうことも課題でございます。さらには技術的にこの2つのデータベース、あるいはその他のデータベースとの連携をどのような形でやるのかという法制面の論点、技術面での論点があると考えています。したがいまして、この会議におきましては皆様方のさまざまな識見をいただきまして、こうした論点につきまして御議論をいただき、取りまとめていただければと考えております。
具体的には、まず2つのデータベースの連結につきまして7月ごろに中間取りまとめというものをお願いできないかと考えております。そして秋ごろまでを目途に、ほかのデータベースとの連携につきましても、あわせて御議論いただければと考えてございます。
データベースの連結のプロジェクトは、我々は2020年に向けて今、データヘルス改革というものを進めておりますが、その大きな1つの柱でございます。このプロジェクトが大きく前に進むよう、何とぞ御協力をお願い賜ります。よろしくお願いいたします。
○黒田課長 引き続きまして、事務局より構成員の皆様の御紹介をさせていただきます。お名前を五十音順で御紹介させていただきます。
公益社団法人日本医師会常任理事、石川広己様。
国立社会保障・人口問題研究所所長、遠藤久夫様。
高知市健康福祉部副部長、田中弘訓様。
武蔵野大学法学部特任教授、樋口範雄様。
産業医科大学医学部公衆衛生学教授、松田晋哉様。
東京大学大学院医学系研究科公共健康医学専攻生物統計学分野教授、松山裕様は本日、御欠席でございます。
東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センター公共政策研究分野教授、武藤香織様。
健康保険組合連合会理事、棟重卓三様。
一般財団法人医療情報システム開発センター理事長、山本隆一様。
また、本日オブザーバーといたしまして、国民健康保険中央会常務理事、飯山幸雄様。
全国知事会調査第二部長、太田康様。
社会保障診療報酬支払基金理事長特任補佐、吉井弘和様に御参加をいただいております。
続きまして、事務局で参加をしております職員を御紹介いたします。
保険局より、大臣官房審議官(医療介護連携担当)、伊原和人でございます。
保険システム高度化推進室長、廣瀬佳恵でございます。
老健局より、大臣官房審議官(老健担当)、谷内繁でございます。
老人保健課長、鈴木健彦でございます。
介護保険データ分析室長、西嶋康浩でございます。
また、データヘルス改革推進本部の技術参与、葛西重雄も出席しております。
私は暫時、司会進行をさせていただきます医療介護連携政策課長の黒田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
議事に入る前に、資料の確認をさせていただきます。
資料はお手元に資料1-1、資料1-2、資料2-1、資料2-2、資料3がございます。もし不足等がございましたら事務局までお申しつけください。よろしゅうございますでしょうか。
それでは、議事に入ります。もしカメラの方がいらっしゃいましたらここまででお願いいたします。
まず議題1、座長の選出についてでございます。資料1-1にあります開催要項3(2)に基づきまして、互選により選出をすることとされております。
事務局といたしましては、社会保障審議会医療保険部会、介護保険部会でも部会長を務めていらっしゃいます遠藤構成員に座長をお願いできればと存じますが、皆様いかがでございましょうか。
(「異議なし」と声あり)
○黒田課長 ありがとうございます。
それでは、遠藤構成員に座長をお務めいただきたく存じます。それでは、遠藤先生、座長席のほうにお願いいたします。
(遠藤構成員、座長席へ移動)
○黒田課長 では、遠藤先生、お願いいたします。
○遠藤座長 ただいま座長に選出されました遠藤でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
先ほど審議官からお話もありましたように、当検討会は大変重要なミッションを持っていると認識しております。委員の皆様方の御協力をいただきながら、円滑な運営に努めてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、まず資料1-1、開催要項の3(2)がございますが、これに基づきまして座長代理については、私、座長が指名することになっております。そこでこの分野の造詣が大変深い山本構成員に座長代理をお願いしたいと思いますが、よろしゅうございますか。
(「異議なし」と声あり)
○遠藤座長 ありがとうございます。
それでは、山本構成員、どうぞよろしくお願いいたします。
(山本構成員、座長代理席へ移動)
○遠藤座長 それでは、次の議題に移りたいと思います。議題2について事務局から資料の説明をお願いしたいと思います。
○黒田課長 資料2-1、資料2-2につきまして、事務局より御説明をさせていただきます。
まず資料2-1でございます。本有識者会議の検討のスケジュールのイメージを記した資料でございますので、ごらんいただきたく存じます。
本有識者会議は、本日が第1回でございます。この検討会議につきましては、広範なテーマを扱うことになりますが、先ほど冒頭の伊原の御挨拶でも申しましたように、最初の議題は、NDBと介護DBの両者の連携をどのように確保するのかというテーマをまずは御検討いただきたいと考えております。そのテーマで月1回程度、もう少し増えるかもしれませんが、御議論をいただきまして、夏までにまずはNDBと介護DBの連携について、一定の方向感をいただければと存じます。その上で下のほうにまいりますと、他の公的データベースとの関係の整理等々について引き続き議論をしまして、全体としては年内、秋ごろを目指した検討ということでいかがかと考えております。
この検討の状況につきましては、制度論になる面もございますので、社会保障審議会医療保険部会、介護保険部会にも節目で報告をし、御議論もいただくという形でいかがかと考えております。これが資料2-1でございます。
続きまして、資料2-2に基づきまして、これまでの両データベースの役割、解析基盤についての資料をまとめておりますので、御説明を申し上げます。
1枚おめくりいただきまして目次、この資料は3パートからなっております。
まずはNDBと介護DBとの概要について、先生方、御存じのことも多いと存じますが、確認も込めまして順次、御説明を申し上げます。
まずはNDBについてでございます。
4ページ(1)概要でございます。以下、5ページ以降で御説明申し上げます。
NDBにつきましては、全国のレセプトデータと特定健診のデータを匿名でいただいて、データベース化をするということで、現在、約9年分が格納されてございます。利用目的あるいは設置の根拠は、高齢者医療確保法の第16条という条文でございまして、保有主体は国でございます。これは法定をされております。また、レセプトデータの件数等々は、その下にありますので御確認いただければと存じますが、月次でこういうデータが随時入ってくるというようなしつらえになってございます。
6ページに、匿名でと申し上げましたが、その匿名化した上での収集ルートが書かれております。国は匿名化をされた状態で情報をいただいて、データベースの中に入れるというしつらえになっておりますので、このデータベースは匿名のデータベースという性質でございますし、国が保有しているデータは匿名化されたデータだということでございます。匿名化の手法といたしましては、6ページの下にありますが、ハッシュ関数を用いた匿名化という手法を用いてございます。
7ページ、このデータベースに格納されました匿名のデータについての利用の概念図でございます。左と右になっておりますが、左側は高確法に基づきます本来利用ということで、高確法の中では医療費適正化計画のためにということが書かれておりますので、こちらの利活用が本来目的でございます。したがいまして国、都道府県等々が活用するというのが本来利用。右側に本来利用以外ということで、この部分については詳細は後ろでまた出てまいりますが、いわゆる公益目的ということを確保するガイドラインが設けられておりまして、そのガイドラインに基づいて当事者の方々の参画も得て、目的、手法の事前事後のチェックを経て提供するというフレームになってございます。
ガイドラインの概要が8ページにございまして、利用者の範囲、審査のあり方、審査の基準の観点を1から5まで点線で囲っておりますが、こういった基準もガイドラインの中にお示ししております。また、研究成果の公表ですとか、利用後の措置についてもこのガイドラインについては盛り込まれてございます。
9ページに、そのガイドラインの中で記されていることを再掲しておりますが、提供依頼申出者の範囲というものも定めたものになっております。また、データ提供の流れ、ペナルティーについてもガイドラインの中に位置づけられてございます。
10ページ以降で、利用の状況についてお示しをしております。
11ページをごらんください。このデータベースが開始しまして、第三者提供がスタートしたのが平成23年度からですが、その後、このデータベースの役割、ガイドラインに基づく運用の関係者の中での定着ということもございまして、提供件数は年を追うごとに増えてきてございます。主体については色分けをしておりますので、ごらんいただければと存じますが、オレンジ色の部分が非常に多くなっているということが伺えます。
また、右側の欄に目を移していただきますと、提供をスタートした初期の段階では、提供が決定されたから実際に提供されるまでの期間が非常に長い、なかなか予見可能性が確保されていないのではないかというお話がございました。後ろで関連資料も出てまいりますが、さまざまな改善の取り組みも並行して行った結果として、昨今では提供を決定してから提供までの日数がかなり短縮されておりまして、そういう意味でも研究者の皆様から御活用いただく際の見通しも少し立てやすくなってきているということかなと考えております。
12ページは、主体別の図になってございますので、ごらんください。
13ページ以降では、先ほど件数をごらんいただきましたが、その利用の実例といたしまして、行政利用と研究利用の最近の実例を幾つかピックアップして御紹介をしております。
まず13ページでございますが、地域医療構想の関係です。この分野は松田先生はじめ、詳しい先生方がたくさんいらっしゃる分野ですが、地域医療構想は各地域で現在さまざま話し合いが進められているところでございますが、その地域医療構想にもこのNDBのデータというのは活用されております。特に地域医療構想自身が医療と介護の連携を前提にしていることから考えますと、地域医療構想のゆくえがどのようになっているのかということと、後で出てまいりますが、介護との関係は表と裏の関係だという面もございまして、そういったものも側面としてございますというのが13ページの資料でございます。
また、14ページはそれとは少し違った分野ですが、未来投資会議、日本健康会議などの会議がございますが、こうした会議でいわゆる健康寿命の延伸に向けたさまざまな関係主体の取り組みを寄せて、協働するという検討が進められておりますが、その1つのテーマとして保険者と事業主、それから国。国は関係省庁、私どもだけではなくて経産省もそうですし、内閣府、内閣官房もそうですが、こういったメンバーでいわゆるコラボヘルスの取り組みを進めております。その中で、ここにあります健康スコアリングという取り組みをこれから皆、共同で進めようということになっております。要しますと健保組合の取り組み、その後ろにいらっしゃる事業主の方々の取り組みをそれぞれの立場を共有して進めるために、健康状態の通信簿をつくるという取り組みでございます。そういった取り組みの検討を進めておるのですが、15ページでございますが、やがてシステム対応を考えておりますが、まずはNDBのデータを活用するというところで始めてみようということになっております。
16ページ以降では、昨今、有識者会議の検討を経て研究者の方々に提供されたデータを使って、どのような研究がなされているのかというものの御紹介を最近の4つの事例を添えまして、16~19ページで御紹介しているものでございます。こちらはお目通しいただければと存じます。
20ページ、NDBのシステム改修でございます。先のシートで提供の決定をしてから実際に提供するまでの間がかなり長かったというお話がございまして、そのスピードアップが課題でございました。NDBのシステムの改修を行いまして、東と西、2つの拠点をつくって、役割分担をしながら提供を進めていくという取り組みをしております。前のシートでスピードが少し改善されてきましたと申しましたが、その1つの背景になっているということでございます。
21ページは、提供申出のサポートの充実ということです。使ってみたいけれども、どのような形ならガイドライン等々、適合性を確保できるのかという話がございますので、事前に研究者の方々からの御相談に応じるための窓口を設けております。
22ページにまいりますと、オンサイトリサーチセンターも試行運用しております。これは東京大学、京都大学の御協力もいただきながら、NDBのデータを試行的ではございますが、このオンサイトリサーチセンターで閲覧できるということが眼目の1つでございます。この役割については、試行運用の中で方向感を得て本格利用へという段取りを考えておりますが、こういったものも実際に提供されるまでのスピードの関係ですとか、予見可能性の確保といったことにも役立つのかなということで考えております。
続きまして、少し先にまいりますが、25ページ、NDBオープンデータでございます。経緯は26ページにございますが、このNDBのデータをもう少し利活用されるような工夫が要るのではないかというお話の中で、オープンデータを作成するという方針が打ち出されまして、それに基づいて策定をされているものでございます。これまで2回公表しておりまして、毎年公表というスタイルを予定しております。
28ページにまいりますと、このオープンデータとしてどういう項目をお示しするのかという点につきましては、あらかじめホームページ上でどういう項目が、ニーズがあるのかという意見募集をした上で、それを取りまとめた上で有識者会議にお諮りした上で公表するという取り扱いにしております。したがいまして、年ごとにその項目が充実していくという構造になってございます。
29ページにまいりますと、ホームページのデータの御紹介ですが、これまで2回分、公表しておりまして、今年度中に第3回の公表も目指してございます。
30ページにそのさわりといいますか、こんな構造になっていますということの御紹介でございますが、項目別に再編したのが31ページ、32ページでございます。31ページが第1回の項目で、32ページが第2回の項目です。一つ一つの御紹介は時間の都合上、差し控えますけれども、ごらんをいただきたいのは1回から2回にかけて赤字の部分が追加されたり、変更されたりしております。御意見をいただきましたところ、例えば個別の入院基本料ですとか再診料等々につきましても、それだけではなくて加算の状況も含めて見たいという話が寄せられまして、それは確かに意義があるということで先生方のお話もいただいて、この項目が追加をされて第2回の項目になっている。このプロセスは第3回に向けても踏まれることになるだろうと考えております。
34ページにまいります。オープンデータにつきましては一定以上のアクセス、利用をいただいているということで、その件数の推移を御紹介しております。初回のものが出てからしばらくたちまして、平成29年に2回目を出したわけですが、2回目が出て以降もコンスタントに利用されておりますし、利用のされ方も1回目と2回目を組み合わせてというような利用の形態も、この図から伺われるところでございまして、そういう形で考えますと、これが年々蓄積されて充実していくことは、一定のニーズがあるということなのかなと考えております。
続きまして、介護DBの関係になります。これは老健局で管理をしておりまして、老人保健課長の指揮のもとで管理がなされているものでございます。説明は私から一気通貫して行わせていただきます。
37ページにまいりますと、介護DBの概要ですが、こちらにつきましては介護保険法の第197条第1項が設置根拠でございまして、この中には介護レセプトの情報、要介護認定の情報が入っているということでございます。それから、匿名のデータベースということでございまして、この部分がさきにごらんいただきましたNDBと性質が共通しているものだということでございます。
その下の38ページに、まずは介護レセプトの格納データ、収集のルート等が書かれておりますので、お目通しをいただきたいと思います。
39ページには要介護認定のデータについての記述がございます。一次判定、二次判定に関するデータ、基本調査項目等々についてもこの中には入っている。そういう格好でございまして、40ページにその収集の経路が示されておりますので、ごらんください。
また、こういったデータを活用しまして、介護保険の保険者であります市町村の皆様あるいは都道府県の皆様に御活用いただくべく、41ページや42ページにございますとおり、介護保険の分野では見える化の推進ということが行われております。このデータの中から課題を抽出することがわかりやすく示されるようにということで、こういう取り組みが行われておりまして、こういうことも市町村の介護保険制度の運営ということもございますし、その先にある包括ケアということを考えた上でも、こうした取り組みが非常に重要だということで考えております。この関連の資料が41~43ページにございますので、御確認いただければと存じます。
44ページ以降で利用状況という欄です。こちらは実際の利用のちょっと前の段階にございまして、関係の資料を45ページ以降で添えさせていただいておりますが、こちらについては今年3月に介護総合データベースのデータの情報の提供に関する有識者会議が開かれまして、その中で今後の方向について示されたという段階でございます。今後、必要な手続や、実際の模擬申出等々も経て、今年度中にこの仕組みが動き出すということを目指した取り組みが進められておりますので、その関連の資料が49ページにかけて行われております。49ページにそのスケジュール感が示されているところでございまして、これが形になりますとNDB、介護DBのベースラインがそろった状態が到来するということでございまして、その話が今回の有識者会議につながっているという格好でございます。
50ページにまいりまして、その両方に共通をする特質について、釈迦に説法かもしれませんが、まとめたものでございます。両方を対比した表を52ページに添えておりまして、その両方をごらんいただければと存じます。
NDBと介護DBは非常に親和性が高くて、共通性が高いのですが、その特質を事務局の責任で、主に3点にまとめてみました。
1つ目は、社会保険制度を基盤にした悉皆的なデータベースだという点でございます。世の中にさまざまなデータベースがございますが、社会保険制度を基盤にしております都合上、項目が標準化をされておりますし、保険者の違いということにかかわりなく収集されるということでございます。また、レセプトベースですので月次ベースでも情報が集まってくるということです。それから、全国ベース、保険者あるいは地域ごとというニーズにも対応可能でございますし、蓄積され始めて以降のものであれば経時的な変化もトレースすることが可能だということでございまして、そういった意味からしますとサービスの利用、分析ですとか提供体制、はたまた学術的な分析等々についても有用性が一定あるだろうということでございます。
2つ目は、レセプト情報の二次利用による匿名のデータベースだという点でございます。これはレセプト情報でございますので、もともとの本来目的、二次利用という言葉の対義語が一次利用だとしますと、本来目的は請求、支払いでございます。ですので、この項目は本来目的に即して設定をされることになりますし、その都合上、本来的に有する制約というものもございます。また、本来目的を損なわない範囲での二次利用ということがございますので、また、本人の特定がされない匿名での状態、匿名でいただいておりますが、匿名の状態での利用ということが大前提になるということもございます。
3点目は、さまざまな関係者の理解と御協力がベースになっているということでございます。このデータをいただいて匿名化をして国にいただくまでの間に、さまざまな方々のもとを通っているということでございます。こうした方々の御協力や御理解がなければ、データが集まってこなくなる可能性もありますし、このデータベースの価値というのは損なわれる可能性もあります。そういったことがないように公益性や納得性、関係主体の理解と協力というものがベースラインにあるということで書かせていただいてございます。
53ページ以降で、新たな要請についてまとめたものでございます。冒頭の伊原審議官からの挨拶でも触れさせていただきましたが、こうしたこれまでのNDB、介護DBの歩みというものをベースに置きながら、新たな要請も踏まえた上での御検討をお願いしたいということでございます。この点につきましては、経済財政諮問会議等々でも議論が行われておりますが、1つ目の要請は医療と介護のレセプトデータの連結というもの。もう一つが、健康・医療・介護のデータの連結、活用ということでございます。この2つでございます。
この2つの背景にありますのは、むしろ提供体制の議論等々で中心になされておりますが、いわゆる2025年を念頭に置いた地域包括ケアというものの実現が大きな課題でございます。医療や介護の現場の関係者、先生方の中では、両方がそれぞれの分野を持ちながら重なり合う分野があるということを前提にした現場の動きが動き始めているわけですが、それに対応する形でデータが連結していくことのニーズがあるのではないかというのが1点でございます。また、NDB、介護DB以外のデータベースの構築が進んできているということも、もう一つの背景にはございます。
ですので、この54ページの赤いところで囲ったとおりでございますが、したがいまして、まずはマル1に掲げた課題、つまりNDBと介護DB、地域包括ケアといった新たなニーズに対応する連結のニーズについてどう考えるのか。2点目が、それをベースにした上でその他のデータベースとの関係を整理し、それらの内容に即した第三者提供の枠組みというような順番での検討になっていこうかと存じます。
55ページ、56ページをごらんください。この分野につきましては、松田先生がリードをしてくださっていますので、ここはそのさわりだけ載せさせていただいておりまして、後ほど先生から詳細をお話しいただければと存じます。
56ページにありますように、まずNDBと介護DBの関係というところでございますが、その向こう側に近年、整備が進められているデータベースもありますので、こういった関係については夏以降の検討となろうかと存じます。
最後にIIIということで、57ページ以降で主な検討テーマの案ということで添えさせていただいております。これは先ほどのスケジュール表でいきますと夏までの検討テーマということで事務局で御用意したものでございますが、(1)から(6)まで触れさせていただいております。今回以降、御検討いただきたいテーマということでございますが、59ページに一覧表形式で簡単にまとめております。
まず(1)が個人情報保護法制との関係でございます。これまでの御説明で申し上げましたとおり、NDBも介護DBも匿名の状態でいただいておりまして、匿名のデータベースだという前提でさまざまな利用の手続、実績等々が積み重ねられてきたと考えておりますが、その話の中に先ほど申し上げた新たな要請というものがあるわけでございます。
右側の検討の視点というところにございますが、この両者のデータベースの関係ということで、まず夏までに考えるということで申しますと、関係者の間でも定着をしていて、法的な位置づけもそのようになっております匿名のデータベースという性格を前提にした上で個別の論点について議論をするということでいかがかということで書かせていただいております。これが(1)でございます。
(2)はデータの収集・利用目的、対象範囲でございます。これはこれまでの御説明で申し上げましたが、NDB、介護DBとも収集目的はまず法律に定めた上で、法定の目的に加えてガイドラインで公益目的等々の確認をした上で提供するという2段構えの構成になっております。これに連結という新しい要請が入ってきましたということでございまして、その右側にございますように、そういったことを重ね合わせて考えたときに、NDBと介護DBの収集目的、利用目的というものを法律の役割も1点、念頭に置いた上で、どのように考えるかという点が論点でございます。また、これまでの運用の中で大切にされてまいりました公益性の確認、公益性の範囲というものを、連結というニーズを重ねるときにどう考えるのか。それから、他のデータベースの話は夏以降の話という形で(2)でございます。
(3)の第三者提供でございます。この部分につきましても(2)と一部重なり合う部分がございますが、ガイドラインに基づいて有識者会議での公益性の確認をした上で提供する仕組みになっております。介護DBはその確定に向けた手続が今、進められているということでございますが、あわせてNDBでは提供件数が増加してきておりますし、そういった予見可能性も確保するための取り組みも進められてきているということがございます。こうした点を考えあわせまして、右側にございますように連結というキーワードで考えたときの第三者提供の枠組みはどうするのか。それから、予見可能性の確保。特に利用ニーズが増加してくることも想定されますので、こういった点をどう考えるのかという点は課題でございます。
(4)実施体制でございます。これはNDB、介護DBとも国のデータベースだということが法定されておりまして、国が責任主体として管理運営をすることになっております。第三者提供の決定等も国が行っております。一部業務は外部委託をしております。こういった基本的な性質は、これまでと変わらないと思いますが、新たな要請、件数もふえていくことも重ね合わせたときにどう考えるのかという点がございますが、この部分はまずは中身の話が先ということだと思いますので、その話を踏まえての検討ということだろうと思います。
61ページ(5)でございます。費用負担の関係です。これは国のデータベースですので、構築の費用や保守運営の費用は現在、国が担保してございます。また、担当部署も特定をして、担当部署の職員は定員措置もした上で職務に当たってございます。こういう基本的な性質は変わらないのだろうということを念頭に置いた上で、これから件数がふえていくということも考えたり、新たなニーズも踏まえてこういった点をどう考えるのかという点が(5)でございます。
最後の(6)でございます。技術面の課題でございますが、この点につきましては前半の説明でも申しましたように、匿名化をした上でいただくというやり方になっております。現行は匿名化をしているという点は共通しておりますが、匿名化の措置の細部では異なっているということでございまして、連結ということを考えたときに、これを合わせていくといいますか、そろえていくといいますか、そういうところもあろうかと存じます。まずはこういった中身の話から入るわけですが、こういった技術面の課題も並行して御議論いただくことになろうかと存じます。
ざっと概括的なものでございますが、これからの御議論の、特に夏までの御議論の前提として基礎的なものを含めて御用意をさせていただきましたので、よろしくお願いいたします。
○遠藤座長 ありがとうございました。
今、連携活用の話にもありましたように、松田構成員が先駆的な研究をされているということでございますので、引き続き松田構成員から先駆的に取り組んでおられる事例について御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○松田構成員 松田でございます。資料3に基づきまして御説明したいと思います。
1ページおめくりいただきますと、私たちの教室は10年以上、主に九州の幾つかの自治体と、彼らのいわゆる地域公衆衛生行政を支援するという目的で、医療と介護、特定健診・特定保健指導、種々の地域でのいろいろな健康づくり活動、そういうデータを一元化しまして分析をするという仕組みをつくってきました。これが全体のポンチ絵ですけれども、このデータベースを使って、どのような分析ができるかということをまずお示ししたいと思います。
2ページ目からが医療と介護のレセプトをつないで、連結分析をしている例です。これを行った目的は、もう少し介護予防とかそういうものを実効性あるものにしようということです。例えば、傷病によって介護予防のやり方は違うはずですので、まずはどういう患者さん、どういう状態で皆さんが介護保険を使うようになっているかということを調べるために、医療と介護のレセプトをつないで、要介護度別にどういう病気を持たれているのかということを調べたものです。
これは一番簡単なもので第1傷病だけで見ていますけれども、一番最初、2ページのところが女性の外来、要支援1から要介護5までのところでどういうレセプトが発生しているのかというのを傷病別に見たものです。見ていただくとわかりますように、要支援1からですと筋骨格系疾患とか循環器疾患が多くて、だんだん要介護が上がっていくと神経系疾患とかがふえていく。このような感じになっております。
3ページは神経疾患だけについてざっと見たものです。これはレセプト件数で見ていますけれども、認知症と脳梗塞が非常に多いということがわかります。
4ページ目が筋骨格系疾患ですけれども、要支援のところでは膝関節症、脊柱管狭窄が大体半分ぐらい出ていたのですが、これが要介護になってくると脊柱管狭窄、腰痛そのものがふえてくる。
5ページ目が循環器になります。これを見ていただきますとレセプト件数ですけれども、だんだん心不全が増えてくる。このようなものが見えてくると思います。
6ページは点数にしたものですが、こういう分析をやることによって何を明らかにしたのかというと、介護保険の導入当初はいわゆる筋骨格系疾患、認知症、脳血管障害を三大疾患として、いわゆるケアマネジメント技術なんかも発達していったわけですけれども、よく考えてみますと介護保険は65歳以上であればどういう傷病でも要介護状態になれば介護保険が使えるわけです。それでいろいろ分析をしてみると、明らかに多様な疾患で介護保険を使う人が出てきている。そういう実態を明らかにして、そういうものに対するケアマネジメントをどうするかということを考える。それが分析の目的です。
7ページ目は主傷病ではなくてすべての傷病について、要介護度別にどういう病気を持っているかということを医療と介護、レセプトをつないで全部見たものです。12が要支援1、13が要支援2、21が要介護1、25が要介護5、そのように見ていただけたらと思います。
ずっと見ていただきますと、これを見ていただくとわかりますように、例えば糖尿病であれば実に3割以上の利用者さんが糖尿病を持っている。悪性新生物も15%ぐらいいらっしゃいます。下肢関節障害とかは要支援が多いのですけれども、脳梗塞なんかですとどのところでも大体15%ぐらいいらっしゃる。ずっと見ていただくと腎不全も10%ぐらいいらっしゃいますし、他心疾患というのは実は主に慢性心不全ですが、そうすると大体介護保険を使っている方の3割以上は慢性心不全を持っているという状況です。COPDも特に介護保険の現場で問題になっていますが、10~15%ぐらいいる。そのように多様な疾患で介護保険を使っている人がいるという状況を明らかにしてきたところであります。
現場の人たちといろいろと話をしながら、8ページ目はそれをまとめてみたものですけれども、実は一般の方々は要介護度は要支援1、2、要介護1、2、3、4、5、だんだん悪くなってくると思っているのですけれども、実は違うわけでありまして、筋骨格系疾患の方は大体要支援1から要介護1をぐるぐる回っています。脳血管障害とか骨折というのは、いつが一番要介護度が重いかというと発症直後です。そこからt-PAとか早期の治療とか、早期リハビリなどをやって、どこまで戻せるかが大事で、戻したところで維持をしていくのが介護保険の維持期、生活期リハビリになるのだろうと思います。
認知症は要介護認定の問題もありますけれども、これはだんだんふえていくのですが、一方で要介護1から要介護5ぐらいまでに、がんとか慢性心不全とか慢性腎不全とかCOPDとか、いわゆる医学的な管理を必要とするような方たちが、介護保険の利用者としてかなり出てきているという実態が明らかになったということです。
こういうことを踏まえてやりますと、傷病別に適切な医療・介護のあり方というのは違うのではないか。こういうデータを分析して、現場の方たちといろいろ話をして、傷病別にケアマネジメントのやり方って考えないといけないという話になるわけです。例えば脳血管障害や骨折であれば、一番大事なことは発症予防のための生活習慣病の管理ですから、そうすると特定健診・特定保健指導での対策が重要になります。発症直後であれば、適切な早期治療と早期リハの体制です。その地域で脳梗塞、脳血管障害をいかに適切に救急医療で見ていくことができるのか。そこでの早期リハはどうなってくるのか。そのような分析が必要になってきます。
このデータではないのですけれども、DPCで次のような分析をしています。私たちはDPCで患者さんの住所地の郵便番号情報と入院した医療機関の郵便番号情報を分析することによって、どのくらいの時間で搬送しているのかという推計値を出していますので、そうすると例えば早期治療のことで言うと、早く搬送されている患者さんは死亡率が低いということが出ています。また、リハに関しては早期リハをやったほうがADLの改善が高いというデータも出ています。そうすると発症後の適切な早期治療、早期リハが大事であるということを理解してもらえるわけです。
それから、維持期におけるリハビリテーション、ADLの維持向上、あと閉じこもり予防というデータもあるわけですが、こういう視点からケアマネジメントをやっていただくことが大事だろうと思います。同じようにして下肢関節障害とか認知症とか、そういうこともケアマネジメントのあり方を現場の方たちと話し合って、勉強会をやり情報を共有します。
ここで特に問題になりましたのが、実際にがん・慢性心不全・慢性腎不全・COPDなんかになりますと、適切な医学的管理というものが必要になるということです。そうすると医療職と介護職の情報共有による生活支援が大事でありまして、服薬管理、通院補助をどのようにするのか。実際にこういう分析も今の医療・介護をつないだデータとしてやることができます。これはそれぞれのところで医療のほうでも介護のほうでも、いろいろな管理料とか加算がついていますので、そういう管理料とか加算の有無によってどうなのかという分析をすることができます。
そういう視点でやった分析が次以降になるのですけれども、まず11ページをごらんください。これは地域包括ケアと言われているわけですが、医療・介護を総合的に考えることの重要性を理解してもらうためにやった分析です。これは先ほどお示しした地域とまた違うところでやってありますけれども、これは脳梗塞で急性期病院に入院した患者さんが6カ月前、12カ月後までどういうサービスを受けているかということを、同じような形で見たものです。これを見ていただくとわかりますように、ここは割と都市部ですが、それでも半年前には25%の方が介護保険を使っている。要するに介護保険を使っているような状態の方たちから脳梗塞がかなり出ているということを、実はこれは意味しています。
同じように下のほうの股関節骨折になりますと、半年前の介護保険利用が50%ぐらいになります。他の地域でいろいろやってみても大体50~60%ぐらいの方というのは、股関節骨折の半年前には介護保険を使っています。そうすると、介護保険の枠組みの中でもこういういろいろな急性期のイベントが起こらないような発症予防に関するいろいろなものが、予防活動がケアマネジメント上に位置づけられないということがわかるわけであります。
そういうことをもう少し深く分析するために、脳梗塞を発症した患者さんの半年前までの傷病の状況をレセプトから分析したものが12枚目になります。これを見ていただいてわかりますとおり、まず脳梗塞を見ていただきますと、脳梗塞は13%ぐらいですけれども、要するに7人に1人ぐらいは既に脳梗塞を持っていることの再梗塞だということです。そうすると、この再梗塞を起こさないためのケアマネジメントというのが重要になりますし、これも医療と介護との連携の中でやっていかないとだめだろうと思います。
もう一つ見ていただきたいのが糖尿病、高脂血症も高血圧も心房細動、他心疾患、心不全ですが、これはいずれも大体10%ポイントぐらい1カ月前と発症月でアップします。高血圧なんかで血圧のサージが起こって、急に上がることが起こって脳梗塞になる。PAFといって発作性の心房細動が起こってなるということは、当然何割かあるわけですけれども、でもやはりこれが10%ポイント以上も上がるということは想定しにくい。ということは、恐らくプライマリケアの現場でここの部分が見逃されているのだろうと思います。特に糖尿病が8%ポイントも上がることは考えにくいですので、そうすると医療と介護ときちんと連結して、特にプライマリケアの現場でこういうものをきちんと管理していくことが、脳梗塞の予防のためにも大事なのだろう。こんなことが見えてくるわけです。
13ページ、医療と介護の連携が必要だということを少し説明するために、介護老人福祉施設に入っている7,300人の方をずっと4年間、追いかけてみました。どうなるかというのを見ていたのですけれども、まず毎月大体1%強、死亡が起こっています。累積死亡率ですと、4年たつと大体4割の方が亡くなっています。ここで見ていただきたいのは、特養に入っている患者さんですので当然、施設以外にいますので、外来はほぼ100%発生するのですけれども、それ以外の医療に関して発生している利用というのは、実は一般病棟の入院だけなのです。毎月大体5~9%ぐらいの方が一般病棟に入院して、また戻ってくるということを繰り返して、4年くらいたつと40%が亡くなる。
このときに入院する病気も調べています。四大疾患です。一番多いのは肺炎です。肺炎が大体4割ぐらい。それから、尿路感染症、褥瘡、ターミナルという形になります。見てみますと、要するに介護老人福祉施設に入るとそういう急性期のイベントで一般病棟の入退院を繰り返しながら亡くなっていくということです。そうすると、いわゆる介護老人福祉施設と一般病棟、急性期の病院との連携をどうやっていくか。もちろんここには施設の嘱託医も入りますので、いわゆるかかりつけ医の連携も入るわけですけれども、こういうデータを見ていただいて連携をどういうふうにやっていくのかということが、特に重要になっていくということが見えてくると思います。
今度は口腔ケアの重要性を少し証明してみました。これは老人保健施設で口腔衛生管理加算を算定していた利用者430名について、退所後の口腔ケアの状況及び肺炎の罹患の状況をレセプトで分析したものです。先ほど申し上げましたように、介護とか医療のレセプトの中には、特定のニーズにあって何かやられているサービスがありますので、その状況を見ることによってある程度利用者さんの状態像が見えます。
老人保健施設で口腔衛生管理加算を算定しているということは、それなりのリスクがあるという患者さんですので、恐らく退所後もそういう口腔ケアは継続して行われるべき患者さんだろうと思います。でも実際に見てみますと、実は2割も退所後、口腔ケア関連のサービスを受けていません。実際にそれで今度はその状況をずっと追いかけていって分析しますと、見ていただくとわかりますように、糖尿病がある人、認知症がある人、脳血管障害がある人というのは、明らかに肺炎を起こすハザードがふえていきます。ここで見ていただきたいのは、歯科の受診を定期的にやっている方は、実はそのハザード比が0.5ですので半分ぐらいになっている。リスクがある人がその後もきちんと口腔ケアの管理を受けていると、肺炎の発症の確率が半分になるというデータです。そういう意味では、これは何を意味しているかというと、施設のケアマネジメントと地域のケアマネジメントが、リスクの把握も含めてきちんと連結していないとだめですよねということを明らかにした結果になります。
15ページをごらんください。これはちょっとややこしいのですけれども、脳梗塞の患者さんの予後について、死亡ですけれども、それを入院時のいろいろな状況を変数として分析をしています。
結論から言いますと、ここに幾つか重要なポイントがあるのですけれども、1つは心房細動です。心房細動があると死亡確率が有意に高くなります。COPDとかがあっても、これでは有意差は出ていませんけれども、死亡確率が高くなる。そういう形で慢性疾患の有無というものが、かなりその後の死亡確率に効いてくる。そうすると、そういう患者さんについてプライマリケアの状況での医学的な管理が重要だということになってきます。
特に心房細動の場合には、先ほど来、心房細動が見逃されている可能性があるのではないかということをお示ししているわけですけれども、心房細動は大きな血栓ができてしまいますので、実は死亡確率が高くなると同時に、死亡しなかった場合も実は要介護度4、5が多くなります。非常に重症になる。そういう意味でも医療と介護の連携というのは必要だということを示した結果になります。
16ページが、今度は介護予防を分析してみました。介護予防の中で、ここでは配食サービスに着目して分析しますけれども、配食サービスを使っていた方が6年後、医療費、介護給付費をどのぐらい使っているかということを、これは雑な分析ですが、やってみました。そうすると決定係数が0.4ですので比較的適合度が高いと思うのですけれども、要介護度が悪くなるとやはりたくさん使っています。有意差は出なかったのですが、配食が使われている人は実は余り介護保険を使っていない。このような感じです。これはデータの結果の有意性云々よりも、こういう形で事業の効果をレセプトを使って分析することができることを示したことが重要だと考えています。こういうことをやることによって地域でのPDCAサイクルを回していくようなデータベースづくりをやってきたということであります。
17ページはまとめでありますけれども、日本に医療・介護の現状と課題、そして、今後のあり方を客観的に検討できる詳細な情報、レセプトがあります。技術的にはその活用は問題なくできます。NDBと介護DBを活用することで、私たちが地域でつくってきた仕組み、システムは同じようなものがつくれるだろうと思います。
ここで問題になるのは、便利性を高めるのであれば共通のIDが必要になるわけですけれども、私たちがやっているやり方は、協力していただいている保険者さんに連結をするツールをお渡ししています。そこで連結をしていただいて、匿名化して、匿名化された情報を私たちがいただくという形でやっているのですけれども、そういう匿名化した共通IDというのはどのようにつくるかということが、多分、連結分析のときには一番の課題だろうと思います。これが私たちも一番苦労したところです。
こういう情報を一元的に分析する体制を今は国レベルの話ですけれども、自治体レベルで実装することで、PDCAサイクルに基づいた公衆衛生施策を展開することが可能になると考えています。
そのためには実は人材の育成が一番大事だと思っています。システムはつくることができるのですけれども、そのシステムを使ってくれる現場の人材をつくっていかないとだめだと思っています。私たちはこういう研究をやってきましたが、こうやっていろいろな論文を書くということよりも、むしろこういうシステムをつくって、人をつくることのほうが大事なのだろうと思っています。そういうことで、このプロジェクトではこれをつくりまして、かかわっている自治体の方たちの職員を対象としたセミナーをずっとやって、実際にどういう分析ができるかということをやっています。実はつくったシステムというのをパソコンにつくり込んで、自治体の方にお渡ししています。自治体の方たちがこのシステムでいろいろな分析ができるという形でやっています。
まず今回もいろいろやるわけですけれども、出してくれている関係者の方たちが実際にそれを行政とか公衆衛生活動に使えるという公益性を担保してやっていくことが、いろいろな使い方で間違いないことではないかなと思いますので、そういう意味ではそういう視点からやっていただくことが望ましいのではないかと思います。きょうお話したいろいろな内容というのは今、社会保険旬報にぼちぼち出し始めていますので、関心のある方は見ていただけたらと思います。
以上です。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
それでは、先ほど事務局からありました御説明及び今、松田構成員からの御報告あるいはそれ以外でも結構でございます。第1回目でございますので、皆様から御意見、御質問等をいただきたいと思います。いかがでございましょうか。
それでは、樋口構成員、どうぞ。
○樋口構成員 懇切な説明で勉強になりました。最後のところでは、松田さんの手にかかると何でも出てくるんだなということもわかって、本当にありがたいことだと思いますけれども、その上でまず一番初めに簡単な質問だけ。それでもちょっと私の理解が足らないせいだと思うのですが、1つはレセプトのデータベースは、いろいろな形で第三者に提供して、ただ、限定していて、それがだんだん広がってきていて7年の間に157件というのがありますね。介護のデータベースは同じような仕組みでやっているということがないのかあるのか。これは単純な質問なのです。こういう研究利用その他でという、それをこれからここを含めて考えていく、しかも連結してという話なのかどうか。これが第1点です。
2つ目は、同じようにレセプトのほうはオープンデータというのも示しています。既に2回、今回3回目で、オープンデータを示すことの意味というのはどこにあるのかというのが十分にわからないところが1つあるのですけれども、それ以前に介護のほうのデータは見える化を進めていますという、このオープンデータという話と見える化という話は違うのだと思うのです。介護保険のデータはオープンデータにしているわけではないと思うのです。見える化というのは誰にとって見えるということで、補足をお願いしたい。
3つ目は、端的に松田さんの報告なのですけれども、もう連結してやっているではないかという感じがするわけです。連結して試験的にやっているのでしょうけれども、私は一応、法学部にいるので別に難癖をつけようとしているのではないです。松田さんは大好きですから。変な話だけれども、言い方が間違ったかな。しかし、松田さんがやっていることというのでこういうことが出てきましたから、同じようにやればいいのにとまずは思うわけです。そこで一応、法律的な手当は何らかの形でしているはずですから、連結も認めて、かつ、初めのほうのレセプトの中では研究利用を認めるときも2年だけだよと限定しているのに、後のほうの松田さんの話では4年とか、もっと長い単位でやってもらえるというのだったら、何らかの例外事項か何かを使って法律的にもちゃんと許容されているようなやり方が既にある。それで今回はだめだという話なのかどうかということをまず伺いたいと思います。
○遠藤座長 初回でございますので、基本的なところの共通認識を持ちたいと思います。では3つありましたので、お願いいたします。
○西嶋室長 まずいただきました御質問の最初の2つについて御説明させていただければと思いますが、まず1つ目の介護データベースにつきましては、今、先生がおっしゃったように第三者提供した実績はこれまでございません。ですので、まさにこれからその仕組みをつくっていくという状況になってございます。資料の45ページにございますように、そのためのガイドライン、ルールづくりというものをようやく3月に着手している。これから模擬審査をし、運用の方法が決まれば、これまでのNDBの方策に並んで第三者提供を順次始めていくという状況にございますので、NDBと比べると随分おくれているという状況でございます。
2点目につきまして、地域包括ケア見える化システムということで、41ページ、42ページあたりに資料を御用意させていただいてございますけれども、地域包括ケア見える化システムというのは、既存に国がいろいろなデータを集めてございまして、いろいろなところに公表してございますけれども、いろいろなところにあるので、そのソースがどこにあるかわからないということを一般の方々であったり市町村、行政で地域の分析をするに当たって、どこにアクセスしていいかわからないというのがよくありましたので、既に公表されているデータを一元化させていただいて、一元的にここにアクセスしていただければ地域包括ケアに係るようなデータ、を一元的にここで見ていただけるという形で御用意させていただいて、順次これはその項目を追加しているという状況でございます。こういったデータを使いながら介護保険事業計画であったりだとか、医療と介護の連携を進めていこうということを地域の中で御議論いただいたりだとか、そういったことに御活用いただけるということでございます。
もう一点だけ申し上げますと、41ページの右側のところにアウトプットの方法を模式でお示ししてございますけれども、これまでどちらかというとExcelデータであったりとか、数字の羅列で公表しているようなデータも多く国のデータではございましたが、このシステムでは一元化管理をしながら、なおかつマップとか視覚的に見やすいような形で公表しているということで、せっかく集めた国の情報を一般の方でも見やすく、視覚的にわかりやすく出させていただいているというシステムでございます。
○樋口構成員 そういう意味では、これはオープンデータなのですね。
○西嶋室長 そういう意味ではオープンデータでございます。
○遠藤座長 オープンNDBについてもどういう趣旨のものか、先ほど細かいことはされましたので、ただいまの介護の見える化との差別化ができるように御説明いただければありがたいと思います。
○黒田課長 資料につきましては、先ほど詳細な説明を割愛してしまいましたが、資料2-2の29ページ、30ページあたりをごらんいただければと思います。
先ほどの介護の見える化システムは、どちらかというと地域単位でいろいろなソースのものをまとめてお示しをする。そうすると介護保険は地域保険なものですから、そういうことに目を置いて計画のPDCAに役立てていただくという視点です。
それに対しましてNDBのデータは地域保険ではありませんので、一応オールジャパンと各地域の傾向をレセプトのたてつけに沿って傾向分析なりが見えるような形での集計という格好になっています。なので全国的な算定の状況と各県別の算定の状況を見えるようにするというのが中心的な取り組みということになろうかと思います。
そういう形でオープンデータにしておりますが、さまざまな御要望がある中でこういう目で見てみたいという話が当然ございます。そういう話で、まずは医療の中の話で項目追加という話になってまいりますが、恐らく医療と介護の部分を連携させてという話になってくると、ではオープンデータの取り組みをどうしていくのかという話は当然、出てくるだろうと思いますので、そういったお話はこれからの先生方の議論の中で、このあり方等々についても議論がされる。そんなことだと思います。
○遠藤座長 ありがとうございます。
3番目の質問ですが、これは松田構成員がどういうデータを使われたのかということの御説明をすることで代替できるかと思いますので、よろしくお願いします。
○松田構成員 このデータを出してもらうに当たっては、かなり大変です。個々の保険者さんと全部データの授受に関する契約を結びまして、その情報の保護に関する契約を結んで、なおかつ自治体によっては個人情報保護委員会の了承も得ないといけませんので、そういう手続をずっと全部踏んでいって集めています。
あと、利用目的のところにも幾つか制限がありまして、第一義的にはそのデータを出してくださっている保険者、自治体の方に対してきちんとしたフィードバックをする。まずその公益性が担保された上で、報告したものの内容について出した自治体がどこだかわからない、そこはわからないようにしてしまっていますけれども、複数まぜていますのでわからないような形にして公開をするという形で、倫理委員会も通しますけれども、個人情報の保護とか廃棄の手続とか、そういうものを定めた契約書を一つ一つの自治体ととっていくという作業をやっています。
DPCに関してはもっと大変で、一つ一つの医療機関とデータを使わせていただくことに関する、どこまで使うかという範囲も含めて契約するという形でやっていますので、ですから毎年、膨大な量の契約書が作成されます。そういう運用でやっていますので、多分同じようなことを国レベルでやるというのは不可能だと思いますので、そういう意味で今、別の法律でできているNDBと介護DBというものをどのようにつなげるかということに関しては、別途、議論が必要なのだろうと思います。
○遠藤座長 ありがとうございます。よろしいですか。
ほかにいかがでしょうか。石川構成員、どうぞ。
○石川構成員 質問なのですけれども、幾つかありまして、まず松田先生の御発表で大変すばらしいデータを見せていただきまして、びっくりしております。
ただ、12ページ目の脳梗塞を発症した患者の発症前6カ月の傷病の状況。これは本当にすごい興味深いデータでびっくりしたのですけれども、ゼロのところが糖尿病にしても高脂血症にしても高血圧にしても跳ね上がっているわけです。ゼロというのが例えばこれは1カ月のレセプトですから、脳梗塞の発症がその月の前にあったのか、後ろにあったのかというのは違うのではないかと思うのですけれども、その辺はどのようにお考えになっているのですか。
○松田構成員 ゼロというのは発症月になります。
○石川構成員 発症月ということは、脳梗塞になって、その後、1カ月のレセプトの状況ですね。
○松田構成員 発症した月のレセプトになります。発症日がわかりますので。
○石川構成員 要するに何が言いたいのかといいますと、心房細動が最初に悪くなって、脳梗塞を発症したと考えられるのか。脳梗塞は結構体の中が何かがいろいろなストレスがあって脳梗塞になることもあるわけです。糖尿病がすごく悪くなって脳梗塞を発症するのか。それから、脳梗塞を起こした後も糖尿病はすごく悪くなりますので、そういうことを意味しているのか、その辺のところなのです。余り細かなことなので。
○松田構成員 そこまではやっていません。それをやろうと思えば、ゼロのところで2つレセプトが発症していれば、日付がわかっていますので、その日付情報でやることはできるのですけれども、今回そこまではやっていません。
○石川構成員 わかりました。どうもありがとうございます。
もう一つ、事務局に聞きたいのですけれども、続けてよろしいでしょうか。介護データベースの概要について御説明があったのですが、介護データベースの細かい項目については、これから検討ということですか。どれをデータベースにするのか。つまり言いたいのは、NDBのときには例えば事業所データをどうするのかというのは、最初の段階ですごく問題にしたのです。それはどうなっているのかとか、細かいことはこれからやるのだったらそれでいいです。
それから、40ページ目の市町村の要介護認定データと事業所の介護保険レセプトデータは途中で匿名化していますけれども、この前に連結して匿名化ではなくて、匿名化した後また連結するような感じになっているのですか。
○西嶋室長 後段についてはそのとおりでして、この絵に書いてあるとおり、厚労省のデータベースに入る前の段階で匿名化をしているという状況です。
前段につきましては、今、先生にもお入りいただいて介護保険総合データベースに係る第三者提供に関する有識者会議を開催させていただいています。前回、ガイドラインは一応、おおむねNDBと同じような形でということだったと思いますけれども、どういった項目についてであるだとか、そういったことについても必要があればそちらの有識者会議の中で御議論いただく形になると思います。
○石川構成員 もう一ついいですか。今回、この会議がNDB、介護DBの役割、これは解析基盤ということですね。それで医療・介護データを合体させてどういうものを狙っていくのかということについても、きちんと議論したほうがいいと思うのです。
これを見ますと介護データのほうが主治医の意見書だとか、そういうもので要介護認定データのうちの主治医の意見書というのは出ているのですけれども、これはなかなか分析が難しくて、私なんかはずっと介護保険のところで最初から判定をやっていますが、特に重要なのは主治医の最後のところなのです。あそこのところをどうやってこれに入れ込むかということによって、相当ADLの表現だとか変わってくるので、そこはどうするのかということについて今後、検討する必要があると思います。
○遠藤座長 御意見として承りましたが、事務局から何かコメントは必要ですか。それでは、お願いします。
○鈴木課長 介護DBの中に格納されているデータですが、39ページに書かせていただいておりますが、基本的には認定のデータにつきましては、認定の審査を行うときに使っている、判断に使っているものでございます。ですので、先生おっしゃっていただきました主治医、研修医につきましては、その中の一部しか今のところ入っていない。これが今、格納されているデータでございまして、これを今後どうするかというのはまた別会議のほうで御検討させていただければと思っています。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
ほかにいかがでございましょうか。それでは、松田構成員、お願いします。
○松田構成員 今の石川構成員が言われたことは非常に重要でありまして、少し研究でやったことがあるのですけれども、主治医意見書の一番最後のところ、今後発生することが予想される病態とか、あそこのところの情報はリスクマネジメントとか、いろいろ使えるデータで、それが入っているとそれぞれの地域のいろいろな介護保険に関連するような事業の取り組みとか、ケアマネジメントのよしあしとか、そういうところでも多分使える情報だと思いますので、何らかの形で将来的には取り込めるようにしたほうが望ましい情報だろうと思います。
○遠藤座長 ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。主な検討テーマというのは事務局から出されているわけですけれども、これに関連する話でも結構でございます。主な検討テーマというのは一番最後のところです。
それでは、葛西参与、どうぞ。
○葛西参与 私のほうで気にしているのは、最近、GDPRの話が結構多いのです。そのGDPRを考えると、匿名化と仮名化の話が別になっています。私は実装する側でもあるのですけれども、前はセンサスのシステムをつくっていたことがあって、センサスの全量データをビッグデータとして活用するような場合というのは、余りこういう議論はないのです。もともと統計にすぎないのですけれども、今回の場合、例えば回帰を1つとってもいろいろなモデルをつくっていくことが目的別にさまざまなものがあるというのは重々、いろいろな方の意見を聞いて承知しているのですが、そのときに最初の加工のときに仮名化だけでいいのか、匿名化でいいのかというのは定まっていないと、システムづくりとしても全く別々のもので、先ほど松田先生がお配りになった、例えば匿名化ツールというのが仮名化までを強要するのか、匿名化まで強要するのか、このあたりを御議論いただけると非常にありがたいなというのが1つでございます。
もう一点が、結構多分野にわたってデータを活用されていることが重々承知で、その中でいくと例えば医療経済みたいな統計的なレベルから、がんゲノムですとスポットでがんの転帰情報と論文のデータベースを結びつけるみたいな、AIを活用するみたいな非常に専門性が高いレベルで物をつくるものと、これはセンサスに近いですけれども、例えば動態を見るようなモデルというのは使い方によって全然違うので、どういったところを機能的に優先化すると、医療データとして効果的な活用になるのかというのは、役所側としてシステムをつくる際には非常に重要な論点になります。なので、どういう命題をクリアすることが一番重要かというのは非常に興味があって、それによって限られた予算の中でシステム化をしなければいけないので、このあたりもぜひ御知見をいただけるとありがたいなと、この2点だけお伝えしておきたいと思います。
○遠藤座長 ありがとうございます。
何かただいまの御発言に関連するような御意見はございますか。山本座長代理、どうぞ。
○山本座長代理 NDBのガイドラインをつくってきた立場として申し上げますと、仮名化という概念は使っていなくて、方法としては匿名化を行っています。結果として匿名化できているかどうかというのが、これは基準によりまして現在の行個法でありますとか、普通の個人情報保護法である一般人原理に基づいて識別できないという意味では、匿名化されていると考えていいと思うのです。
そのソースをどのようにして加工していくかという話ですので、一応この検討テーマの個人情報保護法制との関係という意味では、現状の法制レベルでは多分クリアできていると思うのです。ただ、そうは言うものの、全く同意を得ずに集めている非同意のデータであり、それを国が集めているわけですから、このデータの活用によって法律はクリアしているのだけれども、ものすごく例外的な患者さんに迷惑がかかるようなことは絶対に起こしてはいけない。そういう意味では法的な要請よりも厳しい条件で考えていかざるを得ない状況だと思うのです。ここは今、NDBの利活用に関してはそういう方針でやっています。
したがって、提供を御依頼されている研究者等にお渡しするデータは、リスクはゼロではないという前提でお話をお渡ししていて、そういう意味ではお渡ししたデータは絶対に盗まれたら困りますとか、その結果として発表する場合にもう一度御相談くださいということです。結果として発表されてしまうと、そこから先は全くコントロールが効かなくなりますので、ここは100%安全でないといけないという前提で提供している。介護DBも基本的にはNDBに準じてですから、同じような開発で進むと思うのですけれども、2つのデータベースを連結することによるリスクの増大というのは必ずありますので、そういう意味では連結をすることによるリスクをどうやって対処していくのかということが、多分ここで細かい話をするのではないと思いますが、技術的には非常に重要だと思います。
1点、つまらないことなのですけれども、資料2-2の5ページ目で、この資料は公表されると思いますので、そういう意味では一番最後の行、固有の暗号に置換と書いてありますが、これは用語としては正しくないので、暗号というのは必ず復号できるもので匿名化の手段としては原則として認められません。ここはハッシュ化とか、もう少し一般的な一方向変換に変えるとかに変えたほうがいいと思います。
○遠藤座長 ありがとうございます。
連携課長、どうぞ。
○黒田課長 山本先生のお話、資料は修正をさせていただきます。
あと、私どものほうで御用意させていただいた検討テーマの中で、先ほどの先生とか葛西参与等のお話にありましたようなテーマというのは、(6)で考えるのかなと思っております。
そういう意味では技術が先に来るというよりは、まず何をしたいのか、連結によって何を得たいのかという話が中身の話としてあって、そちらをベースに置きながら、それの裏打ちとなる技術的な課題も検討する。優先順位からすると、そういう順番なのかなと思っておりまして、そういう意味でもこのテーマで、私どもなりの勝手な分類で申しますと(2)や(3)の議論を先にして、データベースを管理する立場からする必要な求められる技術的なベースというものを(6)で御議論いただく。そのような順番でお話しいただけますと、私どもとしても大変ありがたいと考えております。ありがとうございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
田中構成員、お願いします。
○田中構成員 保険者の立場でお話をしたいと思います。
高知市でも国保とか介護、この10年で国保では139億円増加しております。一人当たり医療費も24万から40万円。介護でいきますと174億から263億と非常に高齢化によって拠出が増えております。こういった状況にありますし、あと国民健康保険に入ってくる7割が被用者保険を離脱して入ってこられます。また、国保から離脱する人たちの50%程度が被用者保険に異動します。一人当たり診療費を見ていきますと、70~74歳が70万ぐらい使っています。被用者保険から国保に来る方の中には結構余り健康状態がよくない形で入ってくる方もおいでになるのではないかと考えています。
国保にいらっしゃる方たちもそうですが、高知県の特性かもしれません。高血圧だと指摘されても何もしない。糖尿病を指摘されても何もしないというか、結構市民の健康づくりのアンケートの回答なんかでは結構の割合がいますので、国保の方たちも考えなければいけないのですが、傷病手当金をもらって、その後国保に来る。来たときには重篤化している方も中にはいらっしゃるので、そういった意味で言うと医療や健診の情報を新たな保険者が引き継ぐことができる、さらに介護の情報が見られる、国保の側に来たときにピンポイントでこの人はどうなのかというのが見られるというのは非常に重要なことではないか。
特定健診の実施率が非常に低くて、全国的にやっていることと同じことは高知市でもやっているのですけれども、なかなか上がらない。ピンポイントでアプローチがもしできるとすれば、違ってくるのではないかと考えておりますので、直接この会議の趣旨とは違うかもしれませんが、保険者としてはそういったところをやらないと、7年後は2025年です。2040年までは22年しかありません。そう考えたら早くそういったアプローチができる環境ができればというのが1つ。
松田先生の一番最後の資料に人材育成というものがあります。自治体の職員というのは県も市も人事異動で交代をします。そうすると確かに自治体職員も見なければいけないのですが、もう一つはこれを専門的に見る仕組みといいますか、そういったものが必要ではないかと思います。当然、保険者の職員がきっちりどういったものを見ていくか。高知県で言うと西の方の医療費が低くて、東のほうの医療費が高い。結局、東のほうは病院が少なくて、小さな市町が多いですけれども、我が町、我が村という町長さんたちが余り連携をしないという風土があります。西のほうは結構固まっていろいろなことをやる。そういう風土の違いもあります。
結局、半分が高知市に医療のベッドが集中しています。人口問題研究所の数字を将来見ていくと、高知県人口と高知市の人口が逆転する。高知市以外の人口と高知市の人口が逆転するような、いわゆる周辺部の人口がどんどん減っていってしまっている。そうすると中心部に流れてくるのはやむを得ないとしても、そういった連携の部分がきちんと見られるということと、高知県で言うと4つの圏域があります。中央と安芸と高幡と幡多。その圏域ごとに県がしっかりと国保や健診などの情報を見ていくという枠組みも要るのではないか。それから、国保が都道府県単位化されましたので、県の役割としてはそういったところもしっかりと、圏域の状況を把握していくということと、あと、生活困窮者で言うと圏域の中でいろいろなサービスが循環していく。そういった意味でも連結というのは非常に重要ではないかと思います。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
ほかに何かございますか。連携課長、お願いします。
○黒田課長 どうもありがとうございます。お尋ねに関連して少し補足をさせていただきます。
今回の検討のテーマとの関係で申しますと、前半で御議論いただきましたNDBと介護DBは名前が入っていない情報になりますので、個々人にピンポイントでアプローチするものにそのまま使えるものではもちろんないのですが、逆に申しますとKDBにはない特色として健保のデータ、後期高齢者医療制度のデータも入っているというお話がメリットとしてはございます。そういう意味ではオール県で面的に見ていただいた上で、トータルの傾向としてどうなのかという大きなトレンドみたいなものをごらんいただくツールとしては、使いやすいのではないか。ポテンシャルがあるのではないかと思っておりまして、そういう観点でこの部分の御議論をいただくということかなと。
個人同士のお話については、保険者協議会というフレームがあります。要するに名前入りのものと、名前がない匿名化された情報の組み合わせの中で、匿名化された情報について保険者の皆様にもメリットを感じていただけるようなものが御提示できると、私どもとしては大変ありがたいと思っておりまして、お話はこれからの検討に際して事務局としても当然、念頭に置かせていただきたいと思います。どうもありがとうございます。
○遠藤座長 ありがとうございました。
それでは、棟重構成員、お願いいたします。
○棟重構成員 さきほどの田中構成員のご発言なのですが、健保から移った方が国保の医療費を引き上げているというような印象を与えるのは適切ではないと思います。一部そういう方がいた場合に非常に印象的に映るかもしれませんが、決してそれが全てではございませんので、そこはデータに基づいて発言していただきたいと思います。
実際に国民医療費を保険者別に見ますと、若年層からずっと健保のほうが医療費が少ないので、むしろ健康な被用者保険の方が国保に移って全体の医療費を下げているのではないか、貢献をしていると認識をしております。そういった議論がどうも国保の方から出ること自体が今、課題と思っておりますので、そこはデータをきちんと連結していただくことによって正しい理解をして、施策に反映していただきたいということをお願いしたいと思います。
別にそういうことを言うために出ているわけではなくて、前向きにということで少し発言をさせていただきますと、データを連結することによって、では何がメリットなのかということがどうもわかりづらい。医療と介護を結びつけて、どういうことにメリットがあるのかというのが多分、研究者の方はおわかりいただいているし、医療者の方も現場でよく御理解いただいていると思うのですけれども、それがなかなか国民に見えてきていないというところもございますので、国民のお金を使ってこういったことをやっていく以上、こういったメリットが期待できるということをどこかの時点で明らかにしていただきながら、それに沿って進めていただくようにお願いしたいと思います。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
ほかに何かございますか。武藤構成員、どうぞ。
○武藤構成員 この分野の専門家ではないのですけれども、NDBの有識者会議もどちらかというと国民の立場とか、倫理の立場で入らせていただいてきました。その点で2つ申し上げたいことがありまして、1つは今まさに棟重構成員がおっしゃったような、連結によってどういう素晴らしいことがわかるのかという点で、国民にどういう利点があるのかがわかりにくいという課題について。これはレセプトのときから出ていたお話でして、できる限りわかりやすく国民に伝えていくための一つの解決策が、先ほど樋口構成員から御質問のあったオープンデータの話でもあったと思います。先ほど松田構成員が示してくださった資料を見ると、すごくおもしろくてわくわくするのですけれども、グラフとか図の読み方を間違えると、誰か個人がずっと追跡されてこうなっていくのかという勘違いとか、読み間違いとかがいろいろ発生しそうで、国民から勘違いも含めた批判があるかもしれないという気もしました。連結によってできることとできないこと、やれそうなこととやれそうにないことを、個人情報のことも含めてかなり明確にメッセージとして出さないと、余り詳しくない構成員にとっては議論がしにくいですし、国民にとってもわかりにくいのではないかということを懸念します。
ただ、レセプトでの実績もあるので、そして悪いことをしようとしているわけではないので、自信を持って進めていかなければいけないと思います。その意味で2点目の指摘に移りたいのですが、大変重要なキーワードであり、価値である公益性に関してですが、どういった用途のためにこれを活用していくかというときに、先ほど松田構成員がおっしゃったことはすごく重要だと私も思っています。データを提供していただいた保険者の方々、医療機関の方々、収集に協力してくださった方のコミュニティーに利益がないといけないと思います。連結させることによって医療の世界だけではなくて、介護保険の世界にかかわる人たちにとっても利点がないといけないので、一生懸命考えていかないといけないのではないか。その点、改めて強調したいなと思いました。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。重要な御指摘をいただいたかなと思います。
ほかにございますか。それでは、国保中央会オブザーバー、お願いします。
○国民健康保険中央会 オブザーバー参加で発言を許していただきまして、ありがとうございます。
先ほどKDBという話も出ましたので、若干そこも含めてお話し申し上げたいと思うのですが、私ども国保で行っていますKDBは、医療と健診、介護のデータを連結させて、個人ごとに全て追跡できるという形になっています。実際の突合率なのですが、医療と介護は98%ぐらいいっているのですが、残念ながら国保と後期がまだ90%に達していない状況になっていまして、先ほど松田先生おっしゃいましたけれども、現状で国保の被保険者のAさんと介護の被保険者のAさんが本当に同一人物かというところを突きとめるのは、結構難しい作業をしております。それでも何とか具体的には行っているのですけれども、ここはちょっと別の話ですが、医療と介護と共通するIDができれば非常にここはスムーズにできるようになるのではないかと思いますので、あちらの検討にも非常に期待を持っているところなのですけれども、それが1つ。
したがって、何を言いたいかといいますと、保険者にとってこの基盤をつくって医療と介護のデータを連結して、いろいろ分析することがどういうメリットがあるのかということをもっと具体的に示していただくことが大事ではないかと思います。私どものKDBは、国保の保険者がそれぞれの被保険者の健康の維持増進を努めるように、個別に指導することの前提でつくっているものですから、そこからいろいろなデータが集積としてできるわけなのですけれども、一番の基本はそこにあります。したがって、先ほど松田先生がおっしゃったように、データは全て保険者の持ち物でありますので、それを使うには個別の契約ということになっておりますから、現状ではKDBのデータを第三者提供するというのは非常に難しいのですが、それも個別の問題として解決するしかないという状況になっています。
これと、こちらの匿名化されたデータで悉皆的な分析ができるということになりますと、先ほど課長がおっしゃったように、個別の事業に使われるものと大きな統計データとしていろいろなところに役立つような情報をつくるということ両方できますので、私どもとしてもこちらの解析基盤で介護と医療、両方がうまく分析できることは、医療の保険者であり、介護の保険者である市町村にとっては非常に大きなメリットが出るのではないかと思うのですが、そこら辺のメリットをもう少し具体的にわかるようにこれから考えていただければと思います。よろしくお願いいたします。
○遠藤座長 ありがとうございました。
ほかにいかがでございましょうか。それでは、支払基金のオブザーバーということでお願いいたします。
○社会保険診療報酬支払基金 オブザーバーという立場で発言させていただきまして、どうもありがとうございます。
1点だけ、今後の検討テーマに関して御質問をさせてください。事務局からお示しいただきました資料2-2の一番最後に主な検討テーマということで書いていただいております。その中で言うと恐らく直近の話というよりも、最後のほうの技術面の課題ということなのかもしれませんけれども、これは実際のデータのユーザーの方々、行政の方々、もしくは研究者の方々がデータを活用するということを想定すると、単にデータを提供して終わりというところではなくて、恐らくそういったユーザーの方々がある程度のスピードを持って解析して、実際に使える環境というものが重要になってくるのかと思いますけれども、その中でNDBに関してもさまざまそういった研究、検討等をされていると思いますが、今回こうしてNDB、介護DBを連結して解析できる環境をつくるに当たっては、データの持ち方なのか、もしくはそうした高速で解析できるようなインフラにアクセスできる環境なのか、そういったところも含めて技術面の課題の中で検討されるものでしょうか。
○遠藤座長 これは事務局に対する御質問ということですので、連携課長、お願いします。
○黒田課長 お尋ねの点については、このテーマ集で言うと(6)の部分になります。やりたいことが先で、それを実際に形にしていく上で技術が必要だというたてつけで考えておりますので、まずは(2)(3)の中で先ほど中央会からもお話がございましたように、具体的なメリットは何ですかというお話もお示ししながら、(2)(3)の議論を先行させる。その上でどういうことが機能として求められるのかという話が来て、それで(6)に行くという順番で考えております。
○社会保険診療報酬支払基金 ありがとうございます。順番については重々承知をしております。
○遠藤座長 ありがとうございました。
ほかにいかがでございましょうか。山本座長代理、お願いします。
○山本座長代理 大前提として、それぞれ制度に基づいて集められているデータベースで、NDBの場合は高齢者の医療の確保に関する法律で、介護保険は介護保険法ですけれども、介護保険法のほうは多分こういったデータをかなり幅広く利用するということが一応、読み取れるものになっていると思うのです。
高確法は実は医療費適正化計画以外の利用については余りきちんと書かれていないと思っていて、その前提で話をすると、NDBのガイドラインで最も困ったのが、ガイドラインの実効性を担保するために言うことを聞いてくれない研究者に対して一体どうするのか。これは法的な裏づけがあればそれなりの行政的な処分ができるのですけれども、ないものですから契約に基づく形で氏名を公表しますとか、そういったことにしかできないのです。これは安全性を担保する実効性を確保するという意味でも、制度的な考慮が要るのではないか。これはNDBの有識者会議に多くの先生方が参加されていますけれども、たびたび話題になってきたことで、もう一つ、費用負担の問題も国がやる以上は何かルールがないと絶対にできないと思いますので、そういう意味でも制度をどうするかという話も結構大きなテーマとして考えていくべきではないかと思います。
○遠藤座長 ありがとうございました。
黒田課長、どうぞ。
○黒田課長 先生御指摘の高確法なり介護保険法の関係は、有識者会議でも御議論があると承知しておりますが、2つ並べて見ていただくと、両者の関係が少しアンバランスになっているとかいうようなこともございます。そういった点については私どもの御用意した雑駁な資料で言うと、(2)や(3)のお話の中で法的な位置づけをどうするのか、それから、今、運用でやっている部分についてどうするのか。その中で武藤先生からお話がありました公益性って何ですかというお話ですとか、そういうものは当方でも少し整理をした資料を御用意させていただいて、先生方の御議論に供したいと思います。どうもありがとうございます。
○遠藤座長 ほかに全体を通して、石川構成員、どうぞ。
○石川構成員 この会議の目的がだんだんはっきりしてきたと思うのですけれども、今回NDBと介護DBの連結については余り時間がないので、資料1-1の検討事項の(1)~(3)について早く問題点を抽出してやらないと間に合わないと思うのです。7月までに中間報告なんて言っていますので。
提案なのですけれども、今回、介護DBで内容が3つのパワーポイントで出ているのですけれども、これでは足りなくて、介護DBとNDBを突合しますと絶対に個人情報としてはリスクが非常に大きくなるのは間違いなくて、しかも介護DBの利活用をしたいというところが市町村という非常にエリアが小さいということもありますので、そこら辺の注意はNDBが大体県だとか、少なくとも二次医療圏だとか、そのようなエリアでやっているのにもっと小さくなっていきますし、要介護5の方なんかは非常に数が少ないですので、そのようなデータを出して結合しますと、病名とかそういった医療関係を結合しますと本当にリスクが高くなる。ですからもう少し介護データベースの内容を明らかなものをきちんと出していただいて、それとNDBをくっつけたらどのようになるのかという、あらあらなところをやらないとだめだと思います。ぜひこの次はそのようにお願いしたい。
これも次の会議で言えばいいのですけれども、NDBでやったように、それから、ほかのデータベースの構築のところでもやったように、試行運用してみて、どこか研究者にやっていただいて、例えば松田先生だとか、きちんとルールを守っていただく方にやっていただいて、問題点を抽出して一般的な利活用にするという手法をぜひお願いしたいと思います。
○遠藤座長 ありがとうございます。
では、松田構成員、どうぞ。
○松田構成員 今の石川先生に御指摘いただいた点は非常に重要でありまして、私たちも分析して外にこういう形で出すときには、市町村単位の集計は出していません。確かに医療と介護をつないでやると、かなり細かくなってしまうので、ですから個人の特定可能性が高まってしまうので、分析のほうではやりますけれども、公開するときにはある程度安全な範囲で出すような形に研究者がもし研究に使うとしても、制限をかけたほうがいいと思います。
それとNDBのときにはモデルの解析をやって、その後すぐ一般の応募になったわけですけれども、実はNDBというかレセプトの構造がわからない方が結構応募されてきて、結局意図をくみ取って集計作業をやる事務局の負担が非常に大きくなってしまったという問題がありました。
例えば同じようにレセプトを提供している台湾とかアメリカの場合には、ダミーデータのサンプル集をつくって、研修を受けた上でダミーデータを使って分析をするという手続を踏んで、本チャンの分析をやっていただくというルールがあります。恐らくこの介護のデータは癖があるので、ダミーデータをつくって、これで論文を書くことはできませんけれども、どういう分析ができるのかということをわかった上で応募するという形の仕組みに持って行ったほうがいいのではないかと思います。
もう一点は、公益性の話になってくると思うのですが、今、介護保険のほうで、いろいろな給付部会とかでも診療報酬改定の効果検証とかいろいろやっているわけですけれども、多分、厚労省側でいろいろな政策課題を持っておられるだろうと思います。そういうものはプロジェクト方式みたいな形で、こういう視点からの分析という形でテーマを出していただいて、当面はそういうものに対して研究をやっていただくという形で回すのがよろしいのではないかと思います。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
ほかにございますか。石川構成員、どうぞ。
○石川構成員 先ほど言い忘れたのですけれども、一番最初の発言にも関係するのですが、NDBの場合にはレセプトという非常に限界のある資料からつくったということがありまして、そこには保険病名みたいなものもあって、まとめてどういうデータベースができるのか、非常に不安なところも最初ありました。8年前のときです。そこのところで精緻な要するにデータベースを構築するということについては、先生方、医療従事者も努力していかなければいけないという点もあると思うのですが、今回の介護データベースにつきましても、そういう点では例えば主治医の意見書につきましても、そういう努力も必要かなということで、より一層、全国的ないいデータベースをつくって活用する。そして、いい医療・介護をつくっていくというところで、より一層の努力は必要かなと思っています。
そういう点で、私たちもできれば今の例えば要介護認定に至るまでのデータで判定しているというのはよくわかるのですけれども、行政の方が、市町村の方が調査してくるのは非常に正確にやっている面もありますし、医療従事者が書いた部分については結構アバウトな部分もあるとか、そういうことも含めてわかっているところも出てくるのです。ですからそういうデータの集め方についても光を当てるみたいなことも考えていったほうがいいかもしれないということです。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
大体よろしゅうございますか。では、ほぼ御意見は一巡したと思いますので、本日はこれぐらいにさせていただきたいと思います。
事務局におかれましては、本日の議論等を踏まえまして次回以降の準備をよろしくお願いしたいと思います。また、充実した議論を行うために、次回以降、有識者のヒアリングをしたいと思っております。詳細につきましてはまた追って連絡をしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
では次回の日程につきまして、事務局から御報告をお願いします。
○黒田課長 次回の日程につきましては、追って御連絡を差し上げますので、よろしくお願いいたします。
○遠藤座長 それでは、本日は本当に活発な御意見ありがとうございました。これにて終了したいと思います。ありがとうございました。
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