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2023年5月29日 第1回医道審議会保健師助産師看護師分科会看護師等確保基本指針検討部会

医政局看護課

○日時

令和5年5月29日(月)14:00~16:00

 

○場所      AP虎ノ門 11階 Aルーム


○議事

○弘中補佐 ただいまから、第1回「医道審議会保健師助産師看護師分科会 看護師等確保基本指針検討部会」を開催いたします。
 委員の皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席いただき、誠にありがとうございます。
 本日は、委員の皆様におかれては、オンラインまたは現地会場での参加を選択いただいて出席いただくとともに、傍聴者の制限についても行わないことといたしております。
 まず、議事に入ります前に、本来であれば委員の皆様方の御紹介をさせていただくところですが、時間の関係上、資料2の委員名簿の配付をもって紹介に代えさせていただきます。
 また、事務局については、厚生労働省医政局及び関係部局、並びに文部科学省高等教育局より担当者が出席しております。
 次に、本部会の部会長について御報告させていただきます。医道審議会令第6条3項の規定に基づきまして、部会長は医道審議会本委員の互選により選任することとされておりまして、その結果、国立看護大学校長の萱間真美委員が選任されましたので、御報告させていただきます。
 続きまして、発言の仕方などを説明させていただきます。現地会場で御参加の委員については、御発言の際には挙手いただき、部会長の指名を受けてから、お手元のマイクのボタンを押して御発言をお願いいたします。オンラインで御参加の委員については、御発言の際には「手を挙げる」ボタンをクリックして、部会長の指名を受けてからマイクのミュートを解除し、発言するようお願いいたします。なお、「手を挙げる」ボタンがない場合には、画面に向かって挙手をお願いいたします。発言終了後は「手を挙げる」ボタンをオフにするとともに、再度、マイクをミュートにするようお願いいたします。
 また、部会長から議題などに賛成かどうか、異議がないかを確認することがあった際、賛成の場合には「反応」ボタンをクリックした上で「賛成」ボタンをクリックするか、またはカメラに向かってうなずいていただくことで、異議なしの旨を確認させていただきます。
 それでは、まず、事務局を代表しまして、医政局長の榎本より御挨拶申し上げます。
○榎本医政局長 ただいま御紹介いただきました医政局長、榎本でございます。
 本日は、委員の皆様におかれましては、平素より医療行政の推進に当たりまして大変な御尽力をいただいておりますことに、まずもって厚く御礼申し上げたいと存じます。誠にありがとうございます。
 看護師等確保基本指針検討部会の開催に当たりまして、一言御挨拶を申し上げたいと存じます。今回、改正に向けて議論を行っていただきます看護師等確保基本指針につきましては、看護人材確保法に基づきまして、平成4年(1992年)に看護婦等の確保を促進するための措置に関する基本的な指針ということで制定されたものでございます。この指針は、制定以後、改正が行われてこなかったところでございますが、この間、看護師等をめぐる状況については大きく変化してきております。今後、少子高齢化が進行する中で、看護師等の確保の推進が非常に重要になってきているような状況になっております。また、コロナ禍を受けまして、新興感染症等の発生に備えた看護師等確保対策の実施というのも必須になってきている。
 そういったような状況から、今般、現在の看護師等を巡る状況に応じて、この指針を改定するための検討を行うこととさせていただきまして、この検討部会を本日、開催させていただく運びとさせていただいたところでございます。
 委員の皆様におかれましては、大変御多忙のところではございますが、看護師等の確保の推進及び資質の向上という観点から、ぜひ忌憚なく積極的な御議論をこの場でお願いさせていただければと思っております。本日以降、どうぞよろしくお願い申し上げます。
○弘中補佐 続きまして、本部会の部会長である萱間部会長より、一言御挨拶をお願いいたします。
○萱間部会長 皆様、こんにちは。部会長を拝命いたしました萱間でございます。
 本部会で検討いたします指針ですけれども、ただいま榎本局長からありましたように、30年間改定されていないということですので、その間、世界は大きく変わっているかと思います。看護職の責務を果たしていけるように、皆様の御意見をお聞きしながら検討できればと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
○弘中補佐 続きまして、本日の委員の出欠状況について申し上げます。本日は、宮﨑委員より御欠席との御連絡をいただいております。また、山口委員より途中退席する旨、御連絡いただいております。
 本日は、萱間部会長、稲井委員、小野委員、鎌倉委員、菅間委員、中俣委員、樋口委員、福井委員、水方委員、山口委員は現地会場にて御参加、その他の委員におかれてはオンラインでの御参加です。
 次に、お手元の資料を確認させていただきます。議事次第のほか、資料1から資料5、参考資料1及び参考資料2がございます。資料の不足等ございましたら、事務局までお知らせください。
 報道の方で冒頭、カメラ撮り等をしている方がおられましたら、カメラの方はここまででお願いいたします。
(カメラ撮り終了)
○弘中補佐 では、以降の進行を萱間部会長にお願いしたいと思います。
○萱間部会長 それでは、議事に移りたいと思います。
 まず、「看護師等の確保を巡る状況」及び「看護師等確保基本指針の改定」について、事務局より一括して御説明をお願いいたします。
○草野対策官 看護職員確保対策官の草野です。よろしくお願いいたします。
 時間の関係もございまして、要点に絞った説明とさせていただきます。
 資料1は本検討部会の開催趣旨、資料2は委員名簿ですので、説明は省略させていただきます。
 資料3を御覧ください。本検討部会のスケジュール(案)として、お示ししてございます。今回は、看護師等の確保を巡る状況を受けた指針の改定を議論いただくものでございまして、本日を含めて、3回程度の議論でまとめていただいて、本年秋頃に改定後の指針を告示することを目指したいと考えてございます。なお、看護人材確保法の規定に基づきまして、並行して、労働政策審議会の意見聴取等も行います。
 それでは、資料4を御覧ください。資料4におきまして、看護師等の確保を巡る状況と指針改定の方向性の案を整理してございます。
 1ページ、御覧ください。看護人材確保法におきましては、指針に規定する事項が法定されてございます。こうした法定事項に加えまして、今般のコロナ禍を受けて、新興感染症等の発生に備えた看護師等確保対策の実施が必要になっていることに基づきまして、ここで示しております①~⑦の構成に即して、看護師等を巡る状況を整理するとともに、こうした状況を受けた指針改定の方向性の案を整理してございます。なお、指針の件名につきましては、現行の看護人材確保法等の規定に沿いまして、「看護師等の確保を促進するための措置に関する基本的な指針」へと改正したいと存じます。
 それから、4ページを御覧ください。「看護師等の就業の動向」についてでありますけれども、看護職員の確保が進められまして、看護職員就業者数は増加を続け、2020年には173.4万人となってございます。
 それから、5ページを御覧ください。看護職員の就業場所は、病院・診療所が多くなっておりますが、推移を見ると、緑色の訪問看護ステーションや紫色の介護保険施設等での増加割合が高くなってございます。
 6ページでございます。年齢階級別の構成割合の推移を見ますと、若年層の割合が減少し、ピンクや緑の60歳以上の構成割合が増加してございます。
 次、8ページを御覧ください。
 左側のグラフのとおり、2025年の需要推計との比較によれば、看護職員就業者数の増大が必要となってございます。
 また、右のグラフのとおり、看護師等の有効求人倍率は職業計よりも高くなっておりまして、看護職員は不足傾向にあると言えます。
 9ページを御覧ください。従来の看護職員の需要推計と異なるものですけれども、「「2040年を見据えた社会保障の将来見通し」に基づくマンパワーのシミュレーション」の「現状投影ベース」等に基づく看護職員の需要推計を行いますと、2040年に向けて看護職員の需要が増大するものと推計されます。
 10ページを御覧ください。今後の日本の人口の推移を見ますと、2040年に向けて、現役世代が急減するとともに、高齢化が進行します。
 11ページを御覧ください。都道府県別の看護職員の需給推計によれば、都市部では、2025年の需要数が供給数を上回り、看護職員不足が見込まれる一方、一部の都道府県では、供給数より2025年の需要数が少ない結果となり、地域ごとに差異がある状況となってございます。
 12ページを御覧ください。2025年の需要推計との比較によれば、ニーズの増大に伴って、訪問看護に従事する看護職員の確保を推進していくことが必要になってございます。
 13ページを御覧ください。都道府県ナースセンターにおける領域別の看護職員の求人倍率を比較しますと、訪問看護ステーションが3.22倍と最大になっており、訪問看護における人材確保が困難である状況にあると言えます。
 14ページを御覧ください。こうした看護師等の就業の動向を巡る状況を受けた指針改定の方向性の案を整理してございます。基本的には、今、御説明した内容をまとめてございますけれども、現状における地域別・領域別も含めた看護師等の需給推計は、2025年までのものとなってございますので、(2)の最後の○におきまして、「今後、2040年頃を視野に入れた新たな地域医療構想を踏まえて、新たな看護師等の需給推計を実施することが重要」と記載してございます。
 次に、「看護師等の養成」についてです。
 16ページを御覧ください。16ページは、看護教育制度の概念図となってございます。4年制大学や養成所等において看護師等の養成が行われてございます。
 次に、飛びまして19ページを御覧ください。地域医療介護総合確保基金におきまして、看護師等養成所の整備・運営等に関する財政支援を行ってございます。
 21ページを御覧ください。看護関係資格の養成課程も専門実践教育訓練給付金等の対象となっており、看護関係資格の取得を目指す社会人経験者の教育訓練の受講を支援してございます。
 22ページを御覧ください。看護師等の養成を巡る状況を受けた指針改定の方向性の案について整理してございます。
 (1)では養成の現状を記載してございます。
 (2)の養成の考え方のアにおきましては、1つ目の○で、看護師等の需要数が増加する見込みであることに鑑み、就学者の確保対策を講じていくことが必要。
 2つ目の○で、地域医療介護総合確保基金により、看護師等養成所の整備・運営を支援することが必要。
 3つ目の○で、意欲のある看護師等志望者を得るために、啓発活動が重要。
 4つ目の○で、看護関係資格の取得を目指す社会人経験者の教育訓練の受講支援が必要と記載してございます。
 イにおきましては、1つ目の○で、国民や社会のニーズに即した看護師等養成に寄与できるよう、随時、必要な見直しの実施が必要。
 3つ目の○で、良質な看護等を国民に提供するため、看護系大学の充実の推進とともに、看護系大学院における教育の質的な充実に努めることが必要と記載してございます。
 続いて、「病院等に勤務する看護師等の処遇の改善」についてです。
 24ページを御覧ください。
 左の図にございますように、夜勤負担が重い看護職員が存在してございます。
 また、右のグラフのとおり、夜勤形態としては2交代制が多くなってございます。
 それから、25ページを御覧ください。労働基準法の規定により、実労働時間に応じた休憩を勤務の途中で設けることが必要であるとともに、労働時間設定改善法の規定により、事業主に対して、勤務間インターバルの確保が努力義務化されてございます。
 26ページを御覧ください。地域医療介護総合確保基金において、仮眠室、休憩スペース等の新設・拡張に対する財政支援を行うなど、看護職員の勤務環境改善に対する支援を行ってございます。
 28ページを御覧ください。看護職員の負担軽減を図るため、診療報酬では、夜間の看護体制を充実することに対して評価が行われてございます。
 32ページを御覧ください。令和4年10月以降、診療報酬において看護職員の収入を3%程度引き上げるための看護職員処遇改善評価料が設けられてございます。
 33ページを御覧ください。公的価格評価検討委員会中間整理の内容を踏まえつつ、国の機関の実態に応じて、国家公務員である看護師がキャリアアップに伴って昇格できる環境整備を図るため、人事院規則が改正され、看護師に係る国家公務員俸給表である医療職俸給表(三)の級別標準職務表が改正されました。
 これを受けまして、厚生労働省から医療関係団体等に対して、医療機関等において看護師のキャリアアップに伴う処遇改善の推進に係る検討が行われるよう、医療職俸給表(三)の級別標準職務表の改正内容の周知を行うよう、要請を行いました。
 35ページを御覧ください。業務負担軽減を推進するため、看護業務の効率化に関する先駆的取組を収集し、表彰等を通じて、広く周知する取組を行ってございます。
 36ページを御覧ください。看護職員の離職理由を見ますと、30代・40代では「結婚」「妊娠・出産」「子育て」が多く、50代では「親族の健康・介護」が多くなっており、ライフステージと密接に関連する傾向であるため、ライフステージに対応した離職防止対策が重要になります。
 それから、37ページを御覧ください。院内保育所の運営等に対する支援としては、事業所内保育所として市区町村の認可を受けた場合の運営費への支援や、地域医療介護総合確保基金による財政支援がございます。
 38ページは、仕事と育児や介護との両立を支援するための助成金がございます。
 それから、39ページから43ページは、育児・介護休業法により、育児休業、介護休業、育児・介護のための所定労働時間短縮の措置など、仕事と育児・介護の両立のため、事業主が講じなければならない措置が定められてございます。
 45ページを御覧ください。職場におけるメンタルヘルス対策として、従業員数50人以上の事業場の場合、常時使用する労働者に対して、年に1回、ストレスチェックを実施することが義務とされてございます。なお、従業員数50人未満の事業場の場合は、努力義務とされてございます。
 46ページを御覧ください。労働施策総合推進法において、職場におけるパワハラについて事業主に防止措置の実施を義務づけており、同法に基づく指針において、相談体制の整備など、事業主が講ずべき具体的な措置が定められております。
 47ページを御覧ください。職場におけるセクハラ等についても、法律に基づき、事業主に防止措置の実施を義務づけております。
 48ページを御覧ください。医療現場における看護職員等に対する患者・家族による暴力・ハラスメントに関し、各医療機関において適切な対策が講じられるよう、eラーニング教材を作成して、厚生労働省ホームページを通じて公開するとともに、都道府県等へ医療機関への周知をお願いしてございます。
 51ページを御覧ください。看護師等の処遇の改善を巡る状況を受けた指針改定の方向性の案について、51ページ・52ページのとおり整理してございます。
 まず、(1)夜勤等の業務負担の軽減及び業務の効率化につきましては、1つ目の○で、就業継続の支援のために、夜勤等の業務負担の軽減が必要。
 2つ目の○で、3交代制の場合は、複数を主として月8回以内の夜勤体制の構築に向けて、引き続き積極的な努力が必要。その他の看護体制においても、看護師等の負担に配慮した夜勤体制の構築に向けて積極的な努力が必要。
 3つ目の○で、病院等は、夜勤の実施に当たっては、労働基準法の規定に則り、実労働時間に応じて勤務の途中で休憩を設けるとともに、夜勤時間の長さや看護師等の健康状態に応じて仮眠時間を設定するよう努力することが重要。
 4つ目の○で、国・都道府県は、病院等に対して、労働時間設定改善法に則り、看護師等に係る勤務間インターバルの確保を図るよう推奨することが重要。
 5つ目の○で、病院等のICT化の積極的な推進による業務の効率化や、先進事例の収集・横展開の推進が重要。
 一番下の6つ目の○で、病院等においては、地域医療介護総合確保基金による支援や診療報酬における評価を活用しつつ、夜勤負担の軽減を図っていくことが重要と記載してございます。
 (2)給与水準等におきましては、1つ目の○で、病院等の労使にあっては、人材確保の観点に立ち、業務内容、業務状況等を考慮した給与水準となるよう努めるべき。
 2つ目の○で、診療報酬における処遇改善措置の対象となる医療機関においては、こうした措置を積極的に活用して、看護師等の処遇改善を推進するよう努めることが必要。
 3つ目の○で、医療機関等においては、医療職俸給表(三)の級別標準職務表の改正内容を踏まえつつ、各医療機関等の実情に応じて、看護師のキャリアアップに伴う処遇改善の推進を検討していくことが望まれると記載してございます。
 (3)看護業務の効率化・生産性向上におきましては、タスク・シフト/シェアの推進、AI・ICT等の技術の活用等を通じて、最適の就業環境となるようにすることが重要。
 業務の効率化に関する先駆的な取組の収集・周知が重要と記載してございます。
 52ページを御覧ください。
 (4)勤務環境の改善におきましては、1つ目の○で、看護師等の定着促進のためには、ライフステージに対応した働き方を可能にする環境整備が重要。
 2つ目の○で、病院等においては、支援策を活用して、院内保育所の運営などを行っていくことが重要。
 3つ目の○で、助成金等を活用しつつ、病院等において、育児・介護休業法に基づく措置を適切に実施していくことが重要。
 5つ目の○で、労働安全衛生法に基づき、ストレスチェック制度の実施が義務化されている病院等においては、適切にストレスチェック制度を実施することが重要。努力義務とされた病院等においても、積極的に実施することが望ましい。
 6つ目の○で、学び直しを行うケースなど、看護師等の柔軟な働き方に対応できる環境整備が望ましいと記載してございます。
 (5)職場におけるハラスメント対策におきましては、1つ目の○で、労働施策総合推進法等に基づき、病院等において、職場における相談体制の整備等を着実に実施することが重要。
 2つ目の○で、国・都道府県において、患者・家族による暴力・ハラスメントに関して病院等が適切な対策を講じることを支援するための取組を推進するよう努めることが重要と記載してございます。
 (6)では、医療従事者の負担軽減を進めるためには、チーム医療の考え方を進めることが必要。そのためには、タスク・シフト/シェアを進めていくことが重要。
 看護管理者や看護師等が、看護補助者との協働を円滑に実施するための知識や方法について理解を深めることが望まれると記載してございます。
 次に、「研修等による看護師等の資質の向上」についてです。
 54ページを御覧ください。54ページにありますように、それまでに積み重ねてきた経験や学びを可視化するツールとして、キャリアデザインシートを作成してございます。
 55ページを御覧ください。保助看法及び看護人材確保法の努力義務規定に基づきまして、新人看護職員研修の実施を推進しており、多くの病院で実施いただいております。
 56ページを御覧ください。地域医療介護総合確保基金の活用を通じて、看護職員の状況に応じた様々な研修が実施されてございます。
 57ページを御覧ください。日本看護協会が運営する資格認定制度である認定・専門看護師の概要です。専門看護師は約3,100人強が登録され、認定看護師は約2.3万人が登録されてございます。
 59ページを御覧ください。特定行為研修修了者は年々増加し、直近1年では約2,000人増加し、6,875人となってございます。
 60ページを御覧ください。感染症拡大への迅速・的確な対応等のため、第8次医療計画を通じて、都道府県において、特定行為研修修了者その他の専門性の高い看護師の就業者数の目標の設定等を行っていただくこととしてございます。
 62ページを御覧ください。研修等による看護師等の資質の向上を巡る状況を受けた指針改定の方向性の案について、62ページ・63ページのとおり整理してございます。
 まず、(1)生涯にわたる研修等による資質の向上におきましては、1つ目の○で、新人時代から高齢世代までを通じたキャリアの継続支援が重要。
 2つ目の○で、標準的なポートフォリオを示し、キャリアの可視化と活用を推進することが重要。研修受講履歴の可視化を進めることにより、領域・組織横断的なキャリア形成を推進することが重要。
 3つ目の○で、病院等においては、キャリア形成に資する研修等の機会の提供に努めるべきと記載してございます。
 (2)新人看護職員研修の推進におきましては、基礎教育及び継続教育の状況も踏まえて、「新人看護職員等研修ガイドライン」の改定について検討しつつ、体制の整備を行っていくことが重要と記載してございます。
 (3)新規就業以降の看護師等の資質の向上におきましては、専門看護師・認定看護師等の資格を取得するなど、就業場所、専門領域、役職等に応じた知識・技術・能力の向上が求められる。
 地域医療介護総合確保基金の活用等も図りつつ、実施機関、実施方法等について工夫を行った研修を実施していくことが必要と記載してございます。
 (4)看護管理者の資質の向上におきましては、看護師等の指導を行う看護管理者の役割が重要。
 看護管理者の養成のため、看護師等自らや職能団体の積極的な取組も望まれると記載してございます。
 63ページを御覧ください。
 (5)特定行為研修の推進におきましては、2つ目の○で、国においては、指定研修機関の設置準備や運営を支援するとともに、特定行為研修の受講支援等を行うことが重要。
 3つ目の○で、都道府県は、医療計画において、特定行為研修修了者その他の専門性の高い看護師の就業者数の目標を設定し、目標達成に向けた具体的な取組を推進することが重要。
 4つ目の○で、病院等においては、看護師等が特定行為研修を受講しやすい仕組みの構築を図るとともに、特定行為研修を通じて得られた知識・技能を病院等の実際の業務の中で積極的に活用していく環境整備に努めることが必要と記載してございます。
 続いて、「看護師等の就業の促進」についてです。
 65ページを御覧ください。65ページにありますように、看護職員の確保に当たっては、「新規養成」「復職支援」「定着促進」を3本柱にした取組を推進してまいります。
 67ページを御覧ください。下のグラフのとおり、人口10万人対就職者数が全国平均を大きく上回る都道府県ナースセンターもありますので、ナースセンターの好事例の把握・横展開が重要と考えられます。
 68ページを御覧ください。デジタル改革関連法に基づき、「マイナンバー制度を活用した看護職の人材活用システム」を構築することによりまして、マイナポータルを通じて看護職自身が幅広いキャリア情報を簡便に利用できるようにするとともに、看護職の同意を得た場合には、キャリア情報をナースセンターに提供できるようにいたします。こうした取組によって、ナースセンターにおける潜在看護職に対する復職支援の充実を図るとともに、スキルアップ支援の充実を図ります。
 70ページを御覧ください。ナースセンター・ハローワーク連携事業の実施を通じて、情報共有や、ハローワークのスペースを活用したナースセンターによる巡回相談などを実施しております。
 71ページを御覧ください。適正な有料職業紹介事業者の選択に資するよう、法令の遵守や手数料の公表などの一定基準を満たした有料職業紹介事業者の認定制度を推進してございます。
 72ページを御覧ください。
 第8次医療計画を通じまして、地域・領域別の課題への対応を推進してございます。地域別の課題につきましては、看護職員の需給の状況は、都道府県・二次医療圏ごとに差異があることから、地域の関係者の連携の下、都道府県・二次医療圏ごとの課題を把握し、課題に応じた看護職員確保対策を推進することとしてございます。
 それから、領域別の課題につきましては、訪問看護は需要が大きく、人材確保が困難であることから、都道府県において、地域の実情を踏まえつつ、訪問看護に従事する看護職員の確保方策を定めていただくこととしてございます。
 76ページを御覧ください。右のグラフのとおり、看護職員規模の大きい訪問看護ステーションほど、看護職員1人当たりの平均訪問回数が大きくなっており、業務の効率化等を通じて、より多くのサービス提供が行えているものと考えられます。
 77ページを御覧ください。現役世代の減少が進む中で、高年齢者の就業の推進が重要になりますけれども、高年齢者雇用安定法の規定により、事業主は、65歳までの高年齢者雇用確保措置の実施が義務とされるとともに、70歳までの高年齢者就業確保措置の実施が努力義務化されております。
 79ページを御覧ください。看護師等の就業の促進を巡る状況を受けた指針改定の方向性の案について、79ページ・80ページのとおり整理してございます。
 (1)におきましては、新規養成・復職支援・定着促進を三本柱にした取組の推進が重要であり、復職支援の充実とスキルアップの推進が必要。
 地域・領域ごとの課題に応じた看護師等確保対策の実施が重要。
 都道府県ナースセンターにおける取組の強化が重要であり、中央ナースセンターにおいて好事例の把握と横展開を図ることが必要と記載してございます。
 (2)職業紹介事業、就業に関する相談等の充実におきましては、2つ目の○で、「マイナンバー制度を活用した看護職の人材活用システム」の運用開始により、ナースセンターにおいて、個々の看護師等の特性に応じた復職支援を実施することが必要。
 3つ目の○で、ナースセンターにおいて、復職に当たって必要となる知識・技能に関する研修を実施することが重要。
 4つ目の○で、公共職業安定所、いわゆるハローワークにおいては、ナースセンターとの緊密な連携等を通じて、マッチングの強化を図ることが重要。
 5つ目の○で、適正な有料職業紹介事業者の認定を推進することが重要と記載してございます。
 (3)につきましては、「マイナンバー制度を活用した看護職の人材活用システム」の構築により、マイナポータルを通じた看護師等自身の幅広いキャリア情報への簡便なアクセス及び利用を可能とするとともに、ナースセンターによるスキルアップ支援に資する情報提供の充実を図ることによって、スキルアップ支援の充実を図ることが重要と記載してございます。
 80ページを御覧ください。(4)地域の課題に応じた看護師等の確保におきましては、都道府県は、都道府県・二次医療圏ごとの課題を把握し、医療計画等に基づき、新規養成・復職支援・定着促進を三本柱とした取組を推進することが重要。
 ナースセンターは、課題の抽出に貢献するとともに、課題の解決に向けて、無料職業紹介等を実施していくことが重要と記載してございます。
 (5)領域の課題に応じた看護師等の確保におきましては、2つ目の○で、都道府県においては、医療計画において、地域の実情を踏まえて、地域医療介護総合確保基金の活用など、訪問看護に従事する看護師等を確保するための方策を定め、当該方策の着実な実施を図ることが重要。
 3つ目の○で、ナースセンターや都道府県の職能団体において、地域の関係団体と連携し、訪問看護に係る実践的な研修を積極的に実施することが重要。
 4つ目の○で、ナースセンターや都道府県の職能団体が、地域の関係団体と連携して、訪問看護ステーション、看護小規模多機能事業所等の管理者に対する研修や相談を実施することが重要。
 5つ目の○で、訪問看護ステーションにおいては、地域の実情等を踏まえつつ、事業者間の連携や事業者規模の拡大について、検討を進めることが望まれると記載してございます。
 (6)高年齢者である看護師等の就業推進におきましては、2つ目の○で、高年齢者雇用安定法の規定に基づき、病院等は、65歳までの高年齢者雇用確保措置を着実に講じるとともに、70歳までの高年齢者就業確保措置の実施に努力することが必要。
 3つ目の○で、ナースセンターは、高年齢者である看護師等及び求人施設向けの研修や、求人開拓及び就業に関する情報提供などの取組を推進することが重要。
 4つ目の○で、国において、高年齢者である看護師等の就業の実態等の把握や好事例の収集・周知を実施することが重要と記載してございます。
 続きまして、「新興感染症等への対応に係る看護師等の確保」についてです。
 82ページを御覧ください。82ページは、新型コロナの重症者の診療に当たっては、同等の重症患者の管理と比べて、専門性の高い看護師が2~3倍必要になった医療施設が多かったということを示してございます。
 84ページを御覧ください。感染管理の専門・認定看護師がコロナ禍で中心的な役割を担い、活躍したという調査結果が出てございます。
 85ページを御覧ください。新興感染症が一部の医療機関等で集中的に発生した場合、他の医療機関から看護師等を迅速に応援派遣いただくことが必要になります。こうした事態に備えて、改正医療法等に基づき、新興感染症・災害に対応できる災害支援ナースの養成研修を幅広く実施して、リスト化を進めるとともに、都道府県と医療機関の間での災害支援ナースの応援派遣に係る協定の締結を推進いたします。
 87ページを御覧ください。ナースセンターによる復職支援を通じて、ワクチン接種業務を中心に、約3.3万人の潜在看護職の方が新型コロナ関連業務に就職しました。
 88ページを御覧ください。看護系大学・看護師等養成所におかれましても、新型コロナに係る医療機関等への支援に御尽力いただきました。
 89ページを御覧ください。新興感染症等への対応に係る看護師等の確保を巡る状況を受けた指針改定の方向性の案について、89ページのとおり整理してございます。
 (1)専門性の高い看護師の養成・確保におきましては、新興感染症の発生に的確に対応するためには、平時から専門性の高い看護師を養成・確保することが重要であるため、特定行為研修修了者、専門看護師、認定看護師等の養成・確保を推進することが重要と記載してございます。
 それから、(2)におきましては、新興感染症や災害に対応できる看護師等の応援派遣を迅速に実施できるよう、新医療法及び新感染症法に基づき、災害支援ナースの養成及び応援派遣を行う仕組みを構築することが必要。
 国においては、災害支援ナースの養成及びリスト化を進めるとともに、全国レベルでの応援派遣調整体制の整備が重要。
 都道府県においては、災害支援ナース養成研修の受講を推進するとともに、災害支援ナースの応援派遣に係る医療機関との協定を着実に進めることが重要と記載してございます。
 (3)におきましては、今後の新興感染症等の発生に際しても、ナースセンターにおいて、ワクチン接種業務等に関して、職業紹介等を積極的に実施することが重要。
 看護系大学及び看護師等養成所の教員や大学院生による支援の実施も期待されると記載してございます。
 続いて、「その他」についてでございます。
 96ページを御覧ください。96ページにおきまして、看護師等を巡る状況を受けた指針改定の方向性の案を示してございます。
 まず、(1)国民の理解の向上におきましては、「看護の日」や「看護週間」などの行事の開催が効果的である。
 学校教育においても、職場体験やインターンシップの充実に努めるなど、適切な進路指導を行うことが必要と記載してございます。
 (2)調査研究の推進におきましては、科学的根拠に基づく看護実践やAI・ICTの活用といった技術水準の向上や業務効率化への取組が必要と記載してございます。
 (3)におきましては、1つ目の○で、必要な看護師等の確保を図っていくためには、看護補助者が実施可能な業務については、看護補助者が担っていく環境を整備していくことが重要。
 2つ目の○で、国においては、看護補助者の業務に係る研修プログラムの開発、好事例の情報発信、病院管理者等を対象としたセミナーの開催などの取組を行うことが重要。
 3つ目の○で、ナースセンターにおいては、地域の実情や病院等のニーズに応じて、職業安定法に定める必要な届出を行った上で、看護師等の無料職業紹介とあわせて、看護補助者の無料職業紹介も実施していくことが重要。
 4つ目の○で、病院等においては、診療報酬における評価を活用しつつ、看護補助者による業務実施を推進していくことが重要と記載してございます。
 最後に、その他指針の取扱いにおきましては、本指針は看護人材確保法の規定に基づきまして、病院等における取組をメインに記載してございますけれども、看護師等の就業場所が拡大していることから、病院等以外の施設・事業所においても、病院等に準じた取組の実施が望まれる。
 それから、医療提供体制に係る見直しの状況等を踏まえて、必要に応じて、指針の見直しを行うと記載してございます。
 資料の説明は以上となります。
 参考資料1及び2は、適宜、御参考に供していただければと存じます。
○萱間部会長 ありがとうございました。
 それでは、委員の皆様方から御意見、御質問をいただきたいと思いますが、本日は、稲井委員から、ナースセンターでの取組についての資料を御用意いただいておりますので、まずは、稲井委員から御説明いただきたいと思います。恐れ入ります。時間の関係がございまして、5分以内での御発表をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○稲井委員 徳島県看護協会の稲井でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 今回の基本指針に改定におきましても、ナースセンターの役割が重要となっていると思いますので、ナースセンターの現状について、資料5を基に説明させていただきたいと思います。
 1ページを御覧ください。ナースセンターは、看護人材確保法に位置づけられ、新規養成、復職支援、定着促進を三本柱として事業を進めています。先ほども看護師等の確保を巡る状況の御説明がありましたが、全世代型地域包括支援システムの推進に向けて、地域の多様な医療・介護ニーズに応じた看護職確保は重要課題と思っております。また、働き方改革による多様な働き方の推進、ライフスタイルに合った働き方の選択、就業ニーズも大きく変化しており、ナースセンターが従来行ってきた職業紹介だけでなく、ナースセンターの担う役割機能の強化が必要であると考えています。
 徳島県の令和2年度の従事者届出は1万3399名となっておりますが、潜在看護師等の方については、ナースセンターに登録いただいております、年間延べ5039名、月平均420名が登録となっています。また、主に55歳以上で退職後の看護職の方を対象としたAWAナース登録者の方々も現在、働いていない方となりますが、310名の登録となっています。今回のコロナ感染症対応は、その潜在看護師等やAWAナースの方々が、宿泊療養やワクチン接種等に支援いただき、現役ナースとともに活躍いただきました。
 また、地域別・領域別偏在や多様な働き方の課題についても、ナースセンターとしましては、地域の課題に基づいた看護職確保に努めることで、ナースセンター事業が県の事業として医療計画等に位置づけられ、行政と協働して地域単位の看護職確保に取り組むために、県に対して機能強化の必要性を、この資料等を基に要望いたしまして、昨年から、予算の増額をいただいたところです。
 具体的事業につきましては、2ページの資料を御覧ください。戦術という書き方で表しておりますが、今年度は、昨年開催し、好評だった、地域を限定したマッチングフェアを各地域に拡大します。また、ナースセンターのホームページを充実するなどにより、ナースセンター自体の広報・周知にも努めます。
 新規事業として、県外からのU・Iターン、看護職の確保事業の実施や、領域別偏在で特に不足している訪問看護師確保については、県からの補助事業である訪問看護支援センターと連携し、就業支援を行います。
 今回のコロナ対応いただいた潜在看護師やAWAナースが、また潜在することがなく、さらなる活躍を支援し、一人一人の看護職が自分のスタイルに合った職場でやりがいを持って活躍できる就業支援をしていく予定です。
 最後、3ページにつきましては、ナースセンターの事業を実施するためには、今の予算では十分と言える状況ではありませんので、徳島県においては、地域密着エリアマネージャーによる事業と、AWAナースサポートセンター事業を提案し、医療介護総合確保基金により一体的に事業展開を行い、充実を図っています。地域密着エリアマネージャーは、県内3圏域に3名ずつ配置し、きめ細かく地域の医療や介護施設、行政、関係機関を訪問するなど、地域の課題を把握し、看護職確保に努めています。
 特に、改定案にも書かれています看護補助者の確保にも力を入れ、数年前からハローワーク等と連携し、確保に努めているところです。ナースセンター運営には、何よりも他機関との連携が重要だと感じております。
 今回の基本方針改定案につきましては、看護を取り巻く課題に対応した案になっているなと感じております。
 以上です。
○萱間部会長 大変優れた実践についての御報告ありがとうございました。徳島県に因んでAWAナースと言うのですね。
○稲井委員 そういうことにしました。
○萱間部会長 ありがとうございます。
 それでは、その他の委員の先生方から御意見、御質問をいただいてまいりたいと思います。本日は、御意見、御質問をいただきまして、次回からの検討につなげてまいりたいと思っております。事務局から各項目について、看護師等を巡る状況を受けた指針改定の方向性についての御説明がございました。指針改定の方向性を中心に御意見等いただければと思います。時間の関係がございますので、発言については簡潔に願います。御協力よろしくお願いいたします。いかがでしょうか。
 山口委員、お願いいたします。
○山口委員 山口でございます。
 数点、質問と意見がございます。
 まず、資料4の6ページに、若年層の割合が減少し、60歳以上の構成割合が増加していると書いてございますけれども、1年以内に離職する看護師が結構多いと伺っております。この理由について、若年層が減少して、60歳以上が復帰されているのかどうか、こういう現象になっている理由について、お伺いできればと思います。
 2点目ですけれども、資料の13ページで、特に訪問看護ステーションの看護職員の求人倍率が高いということで、やや不足、困難でありつつも、訪問看護ステーションの看護師さんがこれから必要になってくると伺っています。こういった求人倍率を調べるときに、今、患者の暴言・暴力の話が少し出てきましたけれども、訪問看護ステーションにおいては2人体制を取らないと、安心して働ける看護師さんが増えないのではないかと思っているのですけれども、こういった2人体制を想定しての数字なのかということを教えていただきたいのが2点目です。
 3点目として、その次の14ページに、2040年頃を視野に入れた需給推計を実施することが重要だと書かれていますし、その次の項目のところでも2040年というのが出てまいります。ただ、今回の資料は、2040年を想定した資料というのがほとんど見当たらないので、もし次回以降で、この2040年ということを視野に入れた資料というものが提供していただけるのであれば、また議論の方向性も変わってくるのではないかなと思いましたので、そういったものの御提供が可能かどうかということをお聞きしたいと思います。
 それから、36ページに各世代によってどういう理由で退職しているかということの順位が書かれているのですけれども、これはパーセンテージで示されています。恐らく年代によってはボリュームが全然違うのではないかなと思いまして、パーセンテージは分かるのですけれども、その人数がどれぐらいなのかということが分かる資料というのを、また見せていただければと、これはお願いでございます。
 それから、71ページに適正認定事業者ということで、有料職業紹介所の認定事業者が49社とございまして、全体のnは一体どれぐらいなのだろうと思ってお尋ねしましたら、2万8000あると伺いました。その中で49社ということは、本当にごくごく一部だと思うのですけれども、これが認定を受けるところというのが、今、増えていく方向性なのか、そして、この認定を受けていることでの効果というものが出ているのか、その辺りをお聞かせいただきたいと思います。
 長くなってすみません。最後ですけれども、96ページに国民の理解の向上ということが方向性として書かれていますけれども、ここに書いてあるのは、国民一人一人が看護の重要性について理解と関心を深めるとあるのですけれども、タスク・シェア/タスク・シフトということを考えましても、例えば特定行為の研修を受けた看護師が何ができるのか、どういった専門性を持っているのか。あるいは、認定看護師も専門看護師も、存在として一般の方々が理解しているというところからは、まだまだ遠い状況だと思いますので、そういった具体的な専門性や役割ということも周知する必要があるという文言を入れていただければと、これは意見としてお願いでございます。
 すみません、長くなりました。以上です。
○萱間部会長 ありがとうございました。
 御質問への回答はいかがでしょうか。
○草野対策官 ありがとうございます。
 まず、6ページは、主には人口構成の変化が大きいと思います。御案内のように、人口は若い方が減って、高齢の方が増えてきている、また、高齢者の就業が進んでいるということが一番反映されているのかなと思います。離職というよりも人口構成の変化が反映されていると考えています。
 それから、訪問看護ステーションの求人倍率について、体制との関係ですが、これはナースセンターのデータですけれども、純粋に求人倍率を出しているので、サービス体制面でのアレンジを行っているというものではないと思います。
 それから、2040年頃を目指した資料、ここは考えさせてください。一方で、需給推計は、ちょっと申し上げたように、新しい地域医療構想が出ないと出せないので、なかなか難しいのですが、どういうことができるか、今、社会保障全体の見通しもあるので、次回へ向けて考えさせていただければと思います。
 それから、36ページの人数については、お示しできるようにしたいと思います。
 最後の理解の向上のところは、専門性とかが理解できるようにという御意見だったと思います。そこは、また考えさせていただきたいと思います。
○萱間部会長 お願いいたします。
○俵田補佐 職業安定局の民間人材サービス推進室の俵田と申します。
 委員から御指摘がありました71ページの医療・介護・保育分野における適正な有料職業紹介事業者の認定制度につきましてですけれども、委員がおっしゃったとおり、認定事業者数は49社ということで、こちらは企業単位でございます。事前に御説明がありました、全部で2万8000事業所というのは、企業単位とはちょっと違いますので、そこの分母と分子にしたときの単位の数え方でちょっと違いはあるかと。そうはいっても、認定事業者数が十分であるとは当然言えませんので、引き続き認定事業者数の拡大に向けて取り組んでいきたいと思います。
 そこで、この制度、令和3年度から始まりまして、初年度が35企業ありまして、翌年の令和4年度で49社ということで、引き続き、今年度も拡大に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
 私から以上です。
○萱間部会長 ありがとうございます。
○山口委員 すみません、大まかでいいのですけれども、じゃ、49社を分子にしたときに、分母はどれぐらいになるのでしょうか。
○俵田補佐 申し訳ございません。そちらは今、手元に持ち合わせておりません。
○萱間部会長 では、次回以降、資料がありましたらお願いしたいと思います。
 発言の順番ですけれども、福井委員、菅間委員の順番でお願いしたいと思います。お願いいたします。
○福井委員 ありがとうございます。日本看護協会会長の福井でございます。
 平成4年に確保指針が定められてから30年、冒頭御挨拶もございましたけれども、このたび、こうして改定のための検討の場が設けられたことは、大変感慨深く思っております。ありがとうございます。今般のコロナ禍では、看護職員の確保に関する課題が改めて明らかとなりまして、今回の指針改定の検討につながったと考えております。30年の間に看護を取り巻く状況も大きく変化しておりまして、質の高い看護職員の確保をさらに促進できるよう、早急に確保指針を時宜にかなったものとしていく必要がありますので、どうかよろしくお願いいたします。
 資料4に示されて御説明がございました基本指針改定の方向性に賛成でございます。ポイントを絞って意見を申し上げたいと思います。
 14ページでございます。看護師等の就業の動向でありますが、この動向については、14ページのとおり、2040年に向けて看護師等の需要数は増加する一方であります。生産年齢人口急減のため、看護師等の確保が一層必要になります。高齢化、医療の高度化に加えまして、地域完結型医療への転換、地域包括ケアの推進等によって、看護ニーズは今後も質・量ともに増えていきます。同じ県内でも医療圏ごとに状況が異なり、訪問看護など需要が増大する領域がございます。2040年に向けた地域・領域別の新たな需給推計は必須でありますが、それまでの間におきましても、医療計画の見直し等に併せた対応について御検討いただきたいと思います。
 22ページでございます。看護師等の養成につきましては、看護需要が増加する一方で、18歳人口が減少してまいりますので、専門職としての看護の魅力を積極的に伝える努力がますます必要になると考えております。重要なのは、専門職としての看護の魅力であります。看護という仕事を、専門性が高く、社会的にも評価され、生涯にわたって続けていけるものと実感できるようにしていくことだと思います。
 看護基礎教育の質に看護教員が果たす役割は非常に大きく、理論と実践を結びつけて効果的な教育を展開できる教員の確保が重要となってまいります。看護師基礎教育の3分の1程度が臨地実習でございますので、実習指導者の資質の向上と実習施設の拡大も必要になってまいります。
 看護師養成は、大学・養成所等において実施されておりますが、大学については、看護学の体系化に果たす役割が非常に大きく、引き続き、その充実の推進が大学院教育と併せて必要になると考えております。
 51ページでございます。病院等に勤務する看護師等の処遇の改善でございますが、若年人口の減少で看護師等の就業継続が一層重要となります。そのためには、処遇改善も大変重要となります。これらの中でも、夜勤負担の軽減のため、51ページの複数を主として月8回以内の夜勤体制の構築が重要であると考えます。現在では2交代制が増えて、単純ではございませんが、夜勤人数は3人、4人としていくべきと考えています。2交代であれば、仮眠時間の確保も重要となります。夜勤勤務は、循環器系への影響があると言われています。そこで、勤務間インターバルの確保も進めていかなければなりません。
 ライフステージに応じた看護職員の就業継続支援策を講じることも重要となります。妊娠・出産期、育児の支援に加えて、家族の介護等の課題への対応が必要となります。
 また、ハラスメントによる離職は、何としても防止しなければなりません。
 タスク・シフト/シェアでは、看護職員の負担軽減には、看護補助者の確保・定着が不可欠でございます。看護補助者の確保・定着には、研修の実施が効果的であるとの実態もございますので、看護補助者に対する教育・研修への支援が必要となると考えます。
 62ページでございます。研修等による看護師等の資質の向上でありますが、生涯教育が重要になると考えます。新人看護職員研修は、確実に実施する必要がございますし、62ページにあるマイナンバー制度を活用したシステムについては、厚労省とともに、日本看護協会としても成果が上がるよう、努力してまいります。
 日本看護協会が認定してございます専門看護師・認定看護師の資格の明記は、高く評価できるものでありまして、専門性の高い看護師はコロナ禍でも活躍し、大いに評価されました。看護管理者の役割の重要性も記載のとおりでありまして、認定看護管理者の中小の医療機関への配置を期待しているところでございます。
 79ページ、80ページでございます。看護師等の就業の促進については、ナースセンターの役割が非常に大きいことは、徳島県看護協会の稲井会長からの御説明がございました。マイナンバー制度の活用も含め、ナースセンターの業務の充実についての記載がございますが、看護協会としても、その方向で努力してまいります。
 領域別では、医療と生活支援を併せて必要とする在宅の高齢者が急増することに対応し、訪問看護や看護小規模多機能型居宅介護等に従事する看護師等の確保に一層力を入れていかなければならないと考えています。
 89ページでございます。新興感染症への対応では、このページにございますように、コロナ禍では、感染管理認定看護師やクリティカルケア認定看護師等が大いに活躍いたしました。専門性の高い看護師は、急に確保することができませんので、平時から着実に養成していく必要があると考えます。
 96ページでございます。その他でございますけれども、看護補助者による業務実施の推進の記載について評価いたします。看護職員の負担軽減には、看護補助者の存在が不可欠であることは申しましたけれども、ナースセンターでも努力いたします。
 最後になりますけれども、96ページの最後の指針の見直しの記載も重要だと思います。見直し条項がなかったことも、この30年間、指針が改定されなかった一因だと思われますので、どうかよろしくお願いしたいと思います。
 以上でございます。ありがとうございました。
○萱間部会長 ありがとうございました。
 それでは、菅間委員、お願いいたします。
○菅間委員 医療法人協会の副会長をしています菅間と申します。
 医療法人協会は、全国の民間の病院の集まりで、その多くは中小病院です。その上で、意見と御質問をさせていただきたいと思っています。最初に、膨大な資料を短時間に御説明いただいた中で、御質問したいのですけれど。この30年間、いろいろな意味で適切な対応がなされていなかった結果として現状があると考えられます。この30年間をよく振り返ってみる必要があると思っています。
 特に、就業の動向に関しては、ちょっと偏っている印象を受けます。日本全体の看護師数は、先進国、OECDの中で平均より上だと言われていると思います。その中で、現在、いろいろな意味での看護師不足は、就業状況のアンバランスによると思っています。今後、御指摘のとおり、高齢者が増える中で絶対的に看護師が足りなくなるので、看護師を確保するというのは至上命題だと思っています。
 ただし、後のほうで特に強調された看護師等の資質の向上の施策に関しては、果たして適切なのでしょうか。今後、必要な看護の対象者は高齢者であることは間違いありません。全国の中小病院は、医療から介護までカバーする形で患者さんを受け取っているわけですが、その中にあって、介護も含めて、ストレートにお話しをしますと、おむつの世話も含めてやっていける看護師さんの需要が増えてくるものと思っています。
 先ほどの就業の動向の中で、特に需給データに関して偏っていると感じられるのは、訪問看護ステーションの需要が圧倒的に不足すると強調している点です。徳島のナースセンターの事例が出ていましたけれども、ナースセンター、この30年間、うまくいったのでしょうか。徳島の事例で見ますと、2022年度の6000名の求職・求人の中で、マッチングしたのは300名弱です。すなわち、5%です。実際、現場において看護師さんの再就職のマッチング、ないし再就職の斡旋で一番大きい役割を果たしているのは、ハローワークだろうと思います。現状のハローワークのデータを、改めて確認していただきたいと思います。
 その中で、どんな看護師の需要が高いのかぜひ拾い上げていただきたいと考えます。この30年間の確保基本法の至らなかったところを改めて確認していただけたらありがたいと思います。それによって見えてくるものが結構あるのではと思っています。
 それから、基本的に看護師さんの資質の向上、処遇の改善は必要なのだろうと思いますけれども、病院の中にあって、今まで診療報酬上の手当が行われた結果として、職種の中で、処遇改善の体制が一番整っているのは、実際は看護師さんであろうと思います。ほかのいろいろな職種、MEとか、今後は介護・福祉関係の職種が病院の中に入らざるを得ないと思いますけれども、そういった人たちの処遇改善体制に比べると、看護師に関しては進んでいることも頭に入れた上で、看護師の確保を考えていく必要があるのではないかなと思っています。
 最後に、新興感染症ですけれども、確かに初期のアルファ株までの、急性呼吸窮迫症候群を起こすような病態においては、かなり高度な知識・技術を持った看護師さんが必要でした。でも、現在、オミクロン株にあっては、ほとんどの入院患者は高齢者です。コロナへの対応と同時に、介護が必要な患者さんへの看護が必要になっています。単純に感染管理認定看護師が必要かというと、そうかなと疑問をちょっと持っています。感染症に強い病院が必要であることは間違いありませんので、そのときにどのような形で看護師を確保していくかというのは、改めて考えていただければなと思っています。
 質問と少し感想、意見になってしまいました。以上です。
○萱間部会長 ありがとうございました。
○草野対策官 お答えいたします。
 1点目のこの法律の成果ということですが、いろいろな評価の仕方があると思いますが、今日、お示しした資料4の4ページ。この法律ができた頃は1992年ですが、今の指針では90年の人数を使っていますが、このとき83.4万人で、足りないと言われていました。ここからいろいろな取組をして173.4万人まで来ていますので、いろいろメンテナンスする部分がありますけれども、こういう法律ができて、ナースセンターの取組などもあって、就業者数が増えてきたということは確かだと思います。一定の成果があったものであると、私どもとしては考えてございます。
 それから、ハローワークとの比較ということに関しては、経年データをハローワークがどこまで追えるかはありますが、最新のデータについては、資料4の70ページの一番下にございます、45,046人ということでございます。ある程度ハローワークのデータを追えるかもしれません。そこは担当と相談します。ただ、30年ぐらい前まで追えるかどうかについては、難しいかなと思います。ナースセンターの令和3年の就業者数は、ワクチンの関係もございましたけれども、21,000人ぐらいということになってございます。
 ただ、比較については、拠点の数、規模も違いますので、一概に比較してこうだと言うことはなかなか難しいです。例えば、ナースセンターは、都道府県ナースセンターが47か所あって、支社が44か所、合計で91か所ですね。ハローワークは、本所が436か所、出張所が95か所、分室が13か所で、全部で544か所。規模等も違いますので、単純に比較することは難しいかなと思います。ただ、先生おっしゃっていただいたとおり、ハローワークが就職の実績を上げていることは事実ですし、ナースセンターはナースセンターで一定の役割を果たしていると考えてございます。
 一方、今後、高齢化の進行に伴って看護ニーズが増大する中で、看護職員確保の充実を図っていくことが必要なので、そういう観点でのナースセンターの機能強化というのは、今回の改定の方向性の案でもお示ししていますけれども、重要だと考えてございます。
 それから、資質向上との関係については、人口が減っていく中でどうやって確保していくかというときに、資質の向上と確保と併せて進めていくことが重要だろうというのが私どもの考えでございます。今回の指針、これは看護人材確保法に基づく指針でございますので、看護人材確保法の規定に沿って制定することが必要でございます。看護人材確保法におきましては、本指針において、研修等による看護師等の資質の向上に関する事項を定めなければならないとされてございますし、また、この看護人材確保法におきましては、高度な専門知識と技能を有する看護師等を確保できるようにすることを基本理念として、本指針を定めることとなっていますので、看護師等の確保に向けて資質向上を進めていくという観点に立って、本指針を制定することが必要になるという点については、御理解いただきたいと思います。
 あと、感染症対応については、いろいろな側面があると思います。ここに出したデータのように、重症患者の方について専門性が必要な場面が実際にあったということがありますので、次の新興感染症がどういう時期に起きるかということがありますけれども、そういうときに備えて、専門性の高い方を平時から養成していくことが重要だろうと考えてございます。
 以上でございます。
○萱間部会長 ありがとうございました。
○菅間委員 今のことにちょっとだけよろしいでしょうか。
○萱間部会長 まずは挙手いただいております他の委員からの御意見をいただいてよろしいでしょうか。恐れ入ります。
 では、岡本委員、お願いいたします。
○岡本委員 私、日本精神科病院協会の看護コメディカル委員会の担当常務理事ということで、この会議に出るように指示されてきております。私は、精神科病院の現状から意見を述べることにいたします。
 30年ぶりの指針の改定ということで、この30年間で少子高齢化もはっきりしてきましたし、看護師の養成がなかなか追いつかないぐらいのものだということ、資料のとおりなのだろうと思います。ただ、我々精神科病院としては、もちろん正看護師が中心ですが、まだ30%前後を占める准看護師という存在は非常に大きいのです。その准看護師も高齢化し、次第に減ってきています。しかし、まだ多くの准看護師が働いているということは述べた通りです。また、キャリアアップする意欲のある若い方には病院として出来る限りの協力をし、正看護師になってもらうという努力は、この30年、ずっと続けております。
 つまり准看護師の存在というものは必要であるということです。ここで養成ということで考えるならば正看護師養成校でも定員を割るような状況ですが、准看護師は必要であるとの考えをもって養成に臨むべきです。この辺、きちんとやっていただきたいということで、指針にも明言していただきたい。看護師、准看護師ともその養成のよき伝統として、働きながら、看護師、准看護師の資格を得て、さらにキャリアアップできるという道もあったはずですが、医療の高度化ということでカリキュラムがどんどん増えて、働きながらということは今、できなくなってきています。
 後半の1年は、完全に病院なりほかの仕事をやめて学校に行かなければならない。それから、初めから働きながらということを拒否される場合もあるということで、その養成の在り方、カリキュラムなどをもう一度見直して、社会人になってから資格を取ろうという方に関しても、働きながら取れるような仕組みにもう一回考え直すべきではないかと思います。それは、准看護師だけではなくて、正看護師の場合でも同じです。
 それから、養成は国内だけでいいのかという考えがずっとあります。日精協としては、特定技能実習生を積極的に採用しています。外国人の存在というのは、もう無視できないのではないかと思います。この指針の中には、そういう外国からの採用云々ということは一切ないので、これはきちんと指針の中に入れて検討すべきものであろうと思います。EPAや特定技能実習生を国として決めていらっしゃるのですから、統一性をもって実行するべきです。
 実際、我々が受け入れている実習生などは、皆、向こうの看護大学等を卒業して看護師の資格を有している方々です。それを補助看護師扱いにしなければいけない。なおかつ、目標としては介護福祉士という話で、非常にもったいない人の使い方をしているので、その辺をきちんと考えるべきではないか。もっと柔軟に、制度の問題なら変えればいいし、やっていただきたいなと思います。
 それから、資格の取得のしやすさということも考えていただきたい。それは語学のレベルであったり、様々なハードルが山のようにあって、絶対看護師としては入れないという意思さえ感じられるような今の状況は改善すべき問題であると思います。
 それから、補助看護師の扱いなどもだんだんよくなってきていることは感謝するし、我々も補助看護師に対する研修というのは会を挙げてやっていますけれども、その中で介護福祉士の問題があると思います。うちでも努力して介護福祉士になった方は常に10名以上いらっしゃるのですけれども、その方々は全て補助看護師扱いです。処遇のしようがない。だけれども、立派な国家資格を持っていらして、患者さんに触れられる職種であり、介護のエキスパートであります。そういう方々に対してきちんとした処遇を医療界でもできるようにすべきではないかと私は思います。
 それこそ、医師からナースへのタスク・シフトだけではなく、看護師もタスク・シフトをしたっていいではないか。このことは看護師の処遇の改善にもかなうと考えています。
 そういうことで、この指針に全く触れられていない部分。今までは、医療の高度化に伴って、ただひたすらカリキュラムや何かを充実・拡大とやっていたものを1回見直して、本当に必要なものはどの辺にあるのかを養成の場で考え直す良い機会であります。医療職への参加を容易にする方法、そういうことを真面目に考えるべきだろうと、考えております。細かな数字などに関しては、とても膨大なもので頭に入らないのですけれども、日頃やっている看護コメディカル委員会の中で話していることでは、基本的にこれまでお話したことが実現するならば、現場ではかなり助かると思います。
 まだあるのですけれども、今日はこのぐらいにします。どうもありがとうございます。
○萱間部会長 ありがとうございます。先生、御意見として承って、次回以降の検討に生かさせていただきたいと思います。
 仙賀委員が挙手していらっしゃいます。、仙賀委員、お願いいたします。
○仙賀委員 よろしくお願いします。日本病院会の総務担当副会長の仙賀と言いますけれども、日本看護協会に対して、私が日本病院会からいろいろな会議に参加しておりますので、ここの会議に出ろという形になったのだと思います。
 それで、今までの委員の皆様の発言内容と大きく変わることは何もなくて、ただ、僕の意見と質問を4点言いますから、簡潔にしたいと思います。
 まず、平成4年の指針と大きく変えなければならない、その方向でいいのかどうか。恐らく⑥は、見ていませんけれども、平成4年の指針には入っていないはずでしょうから、とにかく大きく変えていくという前提の下に置かれるのか、一部だけ直していくのかということをはっきり言っていただきたい。恐らく大きく変えていかなければならないから、時間もかけなければ駄目かもしれませんけれども、今日、出された資料の中にほとんど含まれていますので、その方向でいいのかなと思ったりもします。ただ、問題は、これは診療報酬との関係も出てくるはずなのですね。それも考えて、こういう基本指針が診療報酬とか総額の医療費に与える影響とかもちょっと考えていかなければならないのではないかなと思ったりもします。
 2番目は、この基本指針が新しくできたら、各医療施設はとにかくよくその内容を知る必要がある。ただ、全員が知る必要はなくて、その施設の中の、この基本指針を自院に応用していくような立場の看護師なり、そういう人が絶対必要であると。困ったときには、この指針に沿って判断すれば対応できるよという立場の、僕は看護師さん、副看護部長クラスでいいと思うのですけれども、余裕があるところはそういう人を配置しておく必要があるのではないかなと思ったりもします。
 それから、3番目ですけれども、ページ49とか94に関係しますが、今も話がありましたけれども、看護師でしかできない仕事には看護師が集中して、ほかの誰でもできる仕事は多職種でカバー。それは、結局、現場にいると、なんちゃって7対1という言い方がいいかどうか分かりませんけれども、本来の看護師の仕事で7対1というのが理想的な形でいいのですけれども、ほかの職種がカバーすれば、現在の7対1が10対1でもできてしまうのではないかと思ったりする。
 ですので、これは看護協会と考えが違うかもしれませんけれども、実際には7対1が必要なくて、10対1でも本来の看護師の仕事ができるような体制づくりをそれぞれの施設でやっていただきたいなと思ったりもします。ただ、10対1になったからといって入院基本料が下げられるようなことがないようにしてほしいなと思ったりもします。
 それから、4番目は、大学院まで出た看護師がすぐに現場で働くような形になってくれるのかなと。これは前々から言っているのですけれども、それなりの教示とかプライドとか、4年とか大学院を出たりして学位論文を書いたりしたほうが、現場に出ていくための大学とか大学院での教育をカリキュラムの中に入れていかなければならないと思いますし。
 あと、訪問看護ステーションも看護師が必要だ、増やす必要があるとずっと言われているのですけれども、これから高齢の看護師、60を過ぎて定年退職を過ぎた看護師がどんどん増えてくるでしょうから、そういう人たちが自動的に訪問看護ステーションに向かう流れになるのかどうか。恐らくなっていくだろうと僕は思いますけれども、そうすれば、別に今いろいろやらなくても、訪問看護ステーションに自動的に流れるのではないかと思ったりもします。
 僕の意見は以上で、質問とか意見が混在していますから、別に今、回答がなくてもいいです。以上です。
○萱間部会長 ありがとうございました。
 ご質問の最初にありました検討の方針については、説明をお願いします。
○草野対策官 今回、看護師等を巡る状況に応じて改定したいということですけれども、そういう点では、今、資料で示したとおり、新たにということではなくて、現状に即したものにと考えております。ただ、現状に即したものにするにしても、30年たっておりますので、そういう点では大きく変わるのですけれども、今、いろいろな意見が世の中で看護を巡ってあるわけですが、それとの関係で、ラディカルに改定するというのではなくて、現状に即したものに変えるというスタンスでおります。
○萱間部会長 ありがとうございます。御意見ありがとうございました。
 それでは、ほかに御意見いかがでしょうか。
 鎌倉委員、お願いいたします。
○鎌倉委員 日本看護系大学協議会の代表理事を務めます鎌倉と申します。
 今、看護の質の向上ということでいろいろ御意見を頂戴しておりますので、そのことについて少し意見を述べさせていただきます。質の向上のためには、4年間の教育というのが非常に重要でありまして、4年間でもぎりぎりの状態であると思います。そのことが質の向上につながるだろうと思います。そこの基本的なところは、看護協会も大学での4年間の教育を基盤にと言われておりますので、主張していきたいと思います。
 そして、もう一つは、先ほどから臨地実習のことが出ておりますけれども、卒業後に、今回、コロナで臨地実習がなかなかできないという事態が起こってきました。そうしますと、看護協会の御発表によりますと、1年目の離職率が高くなっていることが報告されています。そこのリアリティーショックを防ぐためには、大学から臨床に向けてのシームレスな技術教育など、いろいろな教育が必要だろうと考えています。ただ、看護系大学協議会で調べましたところ、全体の離職率というのは10%を超えておりましたけれども、大学卒業生を調べた限り、全数調査ではないということはありますけれども、3%を切るという低い値でございました。そこでは、大学でのしっかりとした教育が反映しているのだろうと思います。
 それから、大学院を出て臨床に戻らない人が多いのではないかという御指摘がございました。現実的には、臨床にいながら大学院で学ぶという人が多いものですから、ほとんどの学生が臨床看護師や、現職の教員であったりしますので、臨床に戻らないということはなくて、臨床でのいろいろな教育的機能を担って、活躍していると理解しております。
 以上でございます。
○萱間部会長 ありがとうございます。御意見いただきまして、ありがとうございました。
 発言の順番ですけれども、挙手いただいておりますので、水方委員、次に大田委員の順番でお願いいたします。水方委員、お願いいたします。
○水方委員 日本看護学校協議会の水方と申します。
 当協議会は、看護師等養成所の5割ぐらいが入っている団体でございます。先ほど看護系大学協議会のほうから、看護師等養成について御意見いただきまして、資質向上は4年間ではないかというふうな御意見をいただいたのですが、当協議会の立場としましては、期間とか時間ではかるのではなく、その教育内容の質ではかっていきたいと思っております。それと、4年がいいか3年がいいかというのではなくて、4年もあっていいし、3年もあっていい。多様性があっていいのではないかなと思っております。
 それと、看護師等養成のところで一番私が気になっているところは、看護教員の養成のところでございます。いろいろなところで、18歳人口が減少してきているので、学生を集めるのがなかなかしんどい。もう一つ聞くのは、看護教員が集まらないという話なのです。何で看護教員が集まらないのかといったら、なかなか魅力が発信できていない。その現状としまして事実としてあるのは、厚生労働省のほうが認定して専任教員養成講習会を開いていただいているのですが、都道府県で開催を見合わすところが増えてきているとか、毎年開催しているところでも人数が減ってきている。これは、一体何が起こっているのかなと思っています。
 看護教員の仕事自体がしんどいので、離職率も高いので、なかなかやっていられない。そうすると、教員そのものの数が少ないので、そういう講習会に出せないという悪循環を招いているような気がして、どうにかして手を打っていかないと質が高い教育ができないのではないかなと思っています。30年前と一番違うのは、30年前は大学はあまりなく、専門学校が主だったと思うのですね。今は大学のほうも大分増えてきておりますけれども、看護教育の質を向上させていくためには、看護教員の質の向上が必須だと思いますので、どういうふうにそれをしていけばいいのかというのを一緒に考えていきたいなと思っています。
 あと、看護師養成所と臨床現場の関係者の相互の交流といったところも22ページに書いていただいているのですが、これというのはすごく難しいなと思っています。その看護管理者によるのです。交流することが自分たちの教育の質を上げるとか、現場の質を上げるのだと思ってくださっている管理者の方たちは、こういう人事交流とか相互交流が進んでいくのですけれども、自分のところを中心にして考えるというところもありますので、病院だけではなく、学校だけではなく、相互に交流することによって、お互いレベルがアップしていくような体制が取れたらいいなと思っております。
 以上でございます。
○萱間部会長 貴重な御意見いただきまして、ありがとうございます。
 それでは、大田委員、お願いいたします。
○大田委員 全日本病院協会常任理事をしております大田です。
 看護師さんの確保のための会議ということはよく分かっているのですけれども、30年間たつ間にいろいろな多職種との兼ね合いも出てきておりまして、この少子化が進む中で、看護師さんだけ増やせばいいという議論には恐らくならないので、医療提供体制全体として、どういうふうな配分を考えていらっしゃるのか。これは、厚労省に対する質問です。
 それから、2点目ですけれども、看護師教育に及ばずながら関わっておりまして、養成校に講義に行ったりしているのですけれども、物すごく能力差が大きいです。学生さんが、ほとんど勉強できないレベルから、物すごく勉強できるレベルまでの差が大き過ぎて、これをワンライセンスで括るということがそもそも難しいのではないかと、十数年、思っております。これがいわゆる認定とか特定とか特定行為研修ということで、看護師になった後に、その能力に応じて階層化されていくと私は感じているのですけれどもね。
 そもそも国家試験に受かったはいいけれども、その後、最初の初期研修についていけないレベルの看護師さんをどうにかするというか。ほぼ全員、通ってしまっているのですけれども、もう少し足切りのレベルを考えたほうが、日本全体にとっても人材活用につながるのではないかなと思っておりますので、国家試験の在り方自体も若干考えたほうがいいのかなと思っております。2点目は感想です。
 以上です。
○萱間部会長 ありがとうございました。
 1点目の医療全体の人材育成に関しての御質問がありましたが、いかがでしょうか。
○草野対策官 お答えになっているか分かりませんけれども、例えば、医療と介護の関係がございますが、我が国においては、介護保険制度の創設以前は、老人医療の分野で介護を理由とする一般病院への長期入院、いわゆる社会的入院の問題が発生したこと等を踏まえて、医療保険制度とは別に、介護保険法が制定されて、介護サービスを提供する介護施設等を位置づけた経緯がございます。それから、医療分野においても、地域医療構想に基づく取組を通じて、医療機関の機能分化・連携を推進しているということであります。したがいまして、そういう機能の分化や連携という観点で考えていくということになると思っています。
 今回の指針は、看護人材確保法の規定に基づいて策定する大臣告示ということになりますので、現行の法体系の中でどういうふうに看護師さんを確保していくかという観点から検討していくことになるので、そういう観点からいくと、今の医療・介護提供体制の中で考えていくということになるものと考えております。
 以上です。
○萱間部会長 ありがとうございます。
 挙手いただいておりますので、高田委員、お願いいたします。その後、小野委員、お願いいたします。
○高田委員 ありがとうございます。
 1点は、看護のほうの専門性のこと等、多く出ているところではあるのですけれども、15ページにあります今後の就業傾向のところで、今、産後ケア事業が母子保健法に定められて、地域における出産後の母親の自殺率が非常に高かったり、産後うつになる方が多かったり、または育児が十分できないところをフォローしたりというような、地域におけるその方々をどう支援していくかという非常に重要なところにございます。
 ですので、産後ケアを行うに当たって、地域における助産師等の活躍推進、または人材確保が今後、随分必要になってくるだろうと思っています。今は本当にリスクの高い人たちだけが産後ケアを受けるようになっていますけれども、その他の母親からも要望がとても多くあります。そういう意味で、これからの方々の支援ということでの人材確保についてもお考えいただきたいと思っています。次の世代を担う、産み、育てるというところをもう少し考えていただけたらと思うところです。
 もう一点です。23ページにあります質の高い看護師等の養成のところです。先ほど養成機関のことも出ておりますが、看護師も非常に重要ですが、看護師等というところで、助産師、保健師の専門職の資質の向上は、数の問題と様々リンクすることもありますけれども、大学院化が進んでおりますので、そういった意味での質の向上というところについては、少し明文化していただけるとよいかと考えております。
 以上です。
○萱間部会長 貴重な御意見ありがとうございました。
 それでは、小野委員、お願いいたします。
○小野委員 ありがとうございます。政策研究大学院大学の小野と申します。医療・介護・社会保障の政策に関する講義をしております。
 まず、ロジの話なのですけれども、資料3に並行して労政審とか都道府県に意見聴取というのがありまして、要は、我々の議論とこれらの議論が並行してと、まさに書いてあるので、未定なのかもしれませんけれども、どういう順番で行うことをお考えでいるのかということを確認できればと思います。趣旨としては、特に労政審のほうでどういった議論があるのかということが、我々がここで話す議論に、もし労政審の方の御意見とかを聞くことができるのであれば参考になるのではないかということで、どのようなことを考えているのか教えていただければと考えております。
 あと、中身の話を幾つか申し上げます。
 1つは、人口減少とかの関係で、看護の養成の関係になるのですけれども、何回もお話が出ているように、地域によって18歳人口がかなり減っていて、それは全国的な話になるだろうと。そうすると、学校も定員割れがもちろん出ているところがあると思いますし、地域によっては学校の存立自体が厳しくなってしまうようなところもあるのではないかと思っております。
 そういうことがあると、安定的に看護師さんが地域の医療に提供されないということになってしまっては大問題ですので、優秀な指導者を確保するとか実習施設の確保のほうも人数が減っていくという状況にある中で、早めに2040年を見据えて、もちろん養成校あるいは大学、両方ですけれども、地域ごとの数のようなことを踏まえた上での地域の関係者の議論みたいなことを始められるといいのかなと思っておりまして、そのことをうたえればと思っております。
 2つ目は、キャリア形成について可視化の話を、たしか資質の向上のところにお書きいただいたと思います。その可視化をされる際には、これも既に行われていると思うのですけれども、データでお示しされたような様々なライフイベントで仕事を中断するということがあるかと思います。そういったライフイベントがあるという前提で、それが可視化されて、ライフイベントがあった上で、自分はどのように看護師として一生やっていけるのかということが、お若い方にうまく見せられるような工夫というのが必要なのかなと思っております。
 長くなりますけれども、もうちょっとあるのですけれども、よろしいですか。
○萱間部会長 まず、全体を伺ってもよろしいですか。急がれるものがありましたら。
○小野委員 分かりました。では、幾つか申し上げます。
 訪問看護ステーションについてです。訪問看護ステーションだけじゃなくて、看多機とかもそうなのですけれども、この法律は病院等、看護を受ける者の居宅等、看護が提供される場所にというふうに、病院等と在宅が並行して第1条に書いてあると思うのですけれども、その視点で見てみて、全体の記述の中で訪問看護に係るとか、在宅医療とかに係る記述が薄いところがあれば、その目線で全体を見て、記述を強化すべきところがあるのではないかと考えております。私自身、これは特別な事情が分からないのですけれども、特に3番目の処遇のところとか、そういったことで訪問看護に従事される看護師さんのことを書く必要があるのかどうかというのは、見ていただいたらいいのかなと思っております。
 あと、訪問看護に関する人材の確保に関しましては、やったことがない、行ったことがないという方に、病院をやめた後、いきなり訪問看護どうですかと言っても難しい面もあるかと思いますので、例えば現役の時代に交流人事をするとか、一生看護師を続けていただくために、今、若いときに働いている事業所の方々も、将来を見据えた看護師さんの人生設計ができるような人事の在り方みたいなこともうたうのがいいのではないかと思っております。
 すみません、あと2つだけ申し上げたいのですが、1つは、補助者の方のお話、幾つか出ていたと思います。国のサポートもいろいろあり、医療機関さんの取組があるということでございます。看護師さんの激務を支える上で欠かせない人材だと思っておりますけれども、補助者という名前からして、まだ何となく社会的な認知がそんなにされていないように思います。社会的認知を上げるということは、報酬とかにも関わってくるかと思いますけれども、医療クラークの方も、この間の診療報酬で、たしかベテランの方がエビデンスをもって評価されることがあったかと思います。
 例えば、お話にも出ております介護の職種の方が、補助者として就業されるということであれば、それはエビデンスをもった上で、もしそれでプラスアルファということであれば評価されることもあるかと思いますし、介護の職種の免許を持っていない方であったとしても、看護の補助をされるという仕事自体について、社会的な認知とか承認が高まるようなことを考えられたらいいのではないかと思ってございます。
 最後、見直し条項の話、先ほど福井先生からございました。私もそのように思っております。サイクルとしては、例えば6年に一度、医療・介護同時改定のときに合わせるとか、医療計画のときに合わせていくようなことも考えてはどうかと思います。
 長々失礼いたしました。ありがとうございました。
○萱間部会長 ありがとうございます。
 最初の資料3に関するご説明をお願いいたします。
○草野対策官 ありがとうございます。
 基本的には看護師さん固有の話が多いので、30年前もそうなのですけれども、この医道審での議論を中心に展開した上で、労働政策審議会の方とどうするかということを相談していきたい。そこは、労働部局ともよく相談します。ただ、この部会での議論が中心になるので、この部会を回して、どっちかというと看護師さん固有のことが多いので、労働政策審議会の持ち方というのを、また今後ちょっと相談させていただきたいと思います。どういう形になるかはありますけれども、いずれにしても、最終的には1つのものになるので、労政審での議論がこういうことがありましたということは、きちんとフィードバックできるようなことは考えたいと思います。よろしくお願いします。
○萱間部会長 ありがとうございます。貴重な御意見ありがとうございました。
 それでは、挙手いただいておりますので、井川委員、お願いいたします。
○井川委員 京大病院の井川と申します。よろしくお願いいたします。
 個人的な意見を述べさせていただきます。今回の方向性の案には、基本的には賛同いたします。
 その中で2点感想ですけれども、まず、1つ目、これまで議論の中で人材育成の議論が出ておりますけれども、病院の中でも人を育てるというのは非常に重要だと思っております。特に89ページ、専門性の高い看護師の養成・確保につきまして、もちろん通常のゼネラリストの育成も非常に大事なのですけれども、今回、特にコロナ禍において、ECMOや人工呼吸器を管理する看護師の育成というのに非常に難渋しておりました。新卒から入ると、人によっては育成に数年かかるということなので、今後の新興感染症対策を考える上で、戦略的にこの専門性の高い看護師というのを育成していかないといけないなと考えております。
 また、このコロナ禍で感染管理認定看護師は、ピークのときには1日100件以上のコンサルテーションが多職種からありまして、なかなか業務が回っていないような状況でしたので、今後、そういう感染管理認定看護師の育成も重要だなと思っておりますけれども、ゼネラリストや専門性の高い看護師の育成をするのは看護管理者ですので、そういう人材育成をしっかり行う管理者の育成についても非常に重要だと思っております。
 もう一つは、少し話が変わるのですけれども、80ページの地域の課題に応じた看護師等の確保についてでございますが、現在も当院では京都府の支援、地域医療介護総合確保基金の支援をいただきまして、京都府北部の医療施設との人事交流を始めて9年目となっております。自施設では経験できないような機能の医療施設に身を置くことで、いろいろな経験をしながら人材育成に努めております。9年で50人ぐらいです。あと、医療施設は十数施設が参画していただいております。
 交流者自身の成長もさることながら、人材の確保にもつながっているのではないかなと思うのですけれども、それは、当院を退職して、例えば訪問看護師や回リハや北部地域の基幹病院に再就職した事例もございますし、2021年の京都府の看護協会の調査では、退職の理由で結婚・転居の次に多かったのが、看護のほかの職場への興味でございました。以上のことを踏まえましたら、今後は地域偏在の解消に向けてもそうですし、1病院で人材確保を頑張るというよりも、行政、看護協会、医療施設が一丸となって連携しながら人材を育成していく必要性を強く感じております。
 感想ですけれども、以上です。
○萱間部会長 貴重な御意見ありがとうございました。
 釜萢委員、お願いいたします。
○釜萢委員 これまでの皆様の御議論をずっと拝聴しておりまして、看護職の方がいろいろな場面で働いておられるわけでありまして、これはそれぞれの御自身と非常に関わりの深い部分についての御指摘がいろいろありましたけれども、本当に多岐にわたり、いろいろな場面を想定しなければならないなというのを改めて感じるわけです。30年前、1990年の頃との大きな違いは幾つもあるのですけれども、2000年からの介護保険の導入で介護に関する部分というのは大きく変わりましたし、そして人口減少の大変厳しい局面に今、さらされているという中で、看護職はもちろんでありますけれども、医療関係職種を今後増やしていくということは、もう極めて難しくなってきている。
 その中で、どういうふうに役割をうまく調整して、タスク・シェア/タスク・シフトということも考えながら、どうやっていくかということですが、全体の業務量が非常に増えてくる中で、人材を大きく確保できないという大変厳しい局面にあるという基本認識に立って考えないと、それぞれの改善すべき部分というのはいろいろあることはあるとしても、全体として非常に難しいのだという共通の認識がないと、なかなか落としどころが見つからないなと考えます。
 今回、基本指針をしっかりこの時期に合わせて改定するということは、ぜひ必要ですけれども、全てをうまく盛り込んで最高のものをつくろうとしてもなかなか難しいので、まずは、今日、お出しいただいたような問題点の中で、解決できるものをしっかり盛り込むという現実的な改定の方針が私は妥当だろうと思います。
 その中で、これは看護職だけではないですが、特に看護職の場合には、今、看護の資格をお持ちの方がどこに、どういうふうにおられるのかという情報は、これまでなかなか把握しにくいという現実があって、これについては、今日は徳島から大変優れた事例の御報告もありましたけれども、ナースセンターが非常に役割を担って、いろいろ改善してきた点が多いと思いますが、マイナンバーの利用なども含めて、看護職の資格がある方がどういうふうに今、働いておられるかということをなるべく把握できるような取組は、国としても引き続きしっかりやっていただいて、そのことが改善につながるということが必要だろうと思います。
 結論として、今回お示しいただいた方向性について賛同申し上げますとともに、限られた時間の中で盛り込むことの可能な内容をある程度絞っていかないと、とてもまとまり切れないなという印象を持ちましたので、発言いたしました。
 以上でございます。
○萱間部会長 貴重な御意見ありがとうございます。
 それでは、まだ発言されていない委員の御発言をお願いしたいと思います。樋口委員、お願いいたします。
○樋口委員 済生会看護室の樋口でございます。
 私は、今のこの指針の方向性としては、全体的には賛同という気持ちでおります。
 その中で、特に私は2点、お伝えさせていただければと思いました。
 それは、52ページの(5)職場におけるハラスメント対策ということで、働きやすい環境。30年前は、例えば3交代であれば、3交代ができる人しか常勤になれない。それができない人は非常勤へ。夜勤ができないと常勤にはなれませんよという時代でした。ただ、今はそういうことを言っていると働く人がいなくなりますから、82病院、今、済生会の中でのことでございますけれども、多くが、私がいた地方病院でも、たとえ1時間でも働ける場があれば、それを雇用していく。その場を何かでつないでいければ大丈夫じゃないかということなので、妊娠・出産・育休、短時間労務といったところにおいても、誰もがライフイベントに関わっていくのだということを、研修等を通じて、こういったところを受け入れていきましょうとなっています。
 また、そうはいっても、ハラスメントが起きた場合には、ハラスメント相談員というのを、看護以外のところでも相談できる体制ということで、心理的安全性ということを各病院の中でも勉強会等を持ちながら、誰にでも相談できる体制づくりを今、しています。こういったところの価値観が違ってきているということを、いろいろな多様性を持った人たちを受け止めるのだということを研修の中でも入れながら、そういったところがこれからの時代の中に文言としてあるといいのかなと思いました。
 あとは、62ページの、先ほどから出ている資質の向上の看護管理者の資質の向上ですが、済生会は医療と福祉ということで、敷地の中に介護福祉施設あるいは老健施設等、病院だけではなくて、多様、複合体として持っております。病院管理者になったときには、ただ看護部だけを回していけばいいというわけではなく、様々な施設との連携、地域との連携、いろいろな方と連携していくためには、看護管理者の資質の向上は必須と考えております。特に済生会の中では、職能団体が行っているファースト、セカンド、サードという管理者研修で、82病院のうちの約6割がサード、認定看護管理者を持っています。
 さらに、そういった人たちのうち、今、7名が副院長あるいは院長補佐となりまして、いろいろなところで意見を聞きながら、場合によっては病院のナースたちが連携して介護福祉施設の中に行く。そして、介護福祉施設の中に行った者がまた病院の中に持ち込んで、師長会や部長、副部長と意見交換しながら、各管理者育成にということで役立つようにしている。連携強化しながら、病院だけで済むのではなくて、幅広い学びの場を通して現場に生かす。そういったところを管理者研修の中でも、グループワークということを設けてやっておりますので、それを現場の中に持ち込む。非常に有意義なものかなと思っております。
 こういったところも、看護部長になりますと、次のステップアップというのはなかなか先が見えない。そこで止まってしまう。さらにそれを地域に向けて連携を強化して、一緒にやっていきましょうということで進めていけるというのが、看護管理者の質のアップに必要かなと思っておりますので、ぜひその点をお願いしたいと思いました。
 以上でございます。
○萱間部会長 貴重な御意見ありがとうございます。
 それでは、沼崎委員、お願いいたします。
○沼崎委員 私のほうは、在宅の看護の部門のほうから御意見を述べさせていただきたいと思います。
 まず、私は訪問看護と看護小規模多機能型居宅介護事業の一体的運営を行っております。訪問看護であれば、訪問看護師は在宅に行くのに車を使ったり、自転車を使ったりという、体力勝負というところもあるのです。だとすると、高齢になってから訪問看護に就くとなると、なかなか難しいかなと、ちょっと考えています。ただ、プラチナナースを訪問看護でというのももちろんあるとは思うのですけれども、訪問看護は高齢者だけではなくて、例えば医療的ケア児だったり、看取りに関しても、がんの末期の若い方の看取りだったり、高齢者の看取り、医療的ケア児の看取りもあります。それから精神科訪問看護など、多岐にわたって技術・知識など、が必要になってきます。
 医療デバイスも在宅にかなり下ろされてきており、麻薬の管理とか、PCAポンプを在宅で使うような時代になってきています。そういう面では、昔の訪問看護とは、質とか量とかもかなり変わってきているかなということも考えますと、訪問看護をこれからどんどん増やしていかなければ、看取り難民も増えていくという状況になろうかと私は思っていますので、その辺のことに関しての訪問看護の質の向上と確保というところと大規模化というところにおいては、この指針どおりのことで賛同させていただきたいと思います。
 あと、処遇改善ですけれども、今、コロナの関係もありまして医療機関というところにあるのですが、訪問看護の場合は1対1での関係性を持つことが多いのです。2人体制で行くのかという御質問もありましたけれども、2人体制の複数名訪問看護というところもありますが、ほぼ1人で行きます。そうすると、利用者さんからの密室によるハラスメントなどの、危険性も非常に高く出てくる可能性もありますし、今、いろいろと危険なことがたくさん挙げられている中で、処遇の改善とか危険の手当てというものは必要なのかなという形を考えておりました。そんなことをちょっと盛り込んでいただいたらありがたいなと思っております。
 以上です。
○萱間部会長 貴重な御意見ありがとうございます。
 中俣委員、お願いいたします。
○中俣委員 鹿児島から参りました中俣と申します。
 全国衛生部長会が来週火曜日にありますので、今日の概要報告と、多分、今後、引き続き意見を求められることがあることをお伝えしたいと思います。そういう意味でも、今日は貴重な御意見をいろいろ聞かせていただきましたが、行政に身を置く立場からすると、そもそも論として、看護師さんはそもそもどれぐらい必要なのかというのは、いつ、どうやって分かるのだろうかというのが疑問であり、今後、解決されるのか。それに向かって何か検討することを盛り込んだ基本指針。先ほどどなたかもおっしゃいましたけれども、PDCAサイクルの中の5年なのか、6年なのか、もしくはその中間の3年なのか分かりませんし、第8次医療計画が出そろった後の話なのか。その辺のスケジュール感が少し欲しいなと思いました。
 あとは、これは個人的意見ですけれども、30年前と圧倒的に違うのは、看護職の中で男性の看護職が増えておりますので、その辺についても触れたほうがいいのではないかなということを思いました。
 以上です。
○萱間部会長 貴重な御意見ありがとうございます。
 見直しのスケジュール案ということについては、次回以降の検討でよろしいでしょうか。
○草野対策官 ありがとうございます。
 医療計画の関係で都道府県さんともお話しさせていただいて、需給推計がなければというお話をいただいて、全くそのとおりだと思っています。一方、これはずっとお話ししていることですけれども、人材の見通しはサービスの見通しがないとなかなかできないので、そういう意味で、2040年頃を見据えた地域医療構想の議論を今後やっていきますので、スケジュールをいつとはちょっと申し上げられないのですけれども、それを踏まえて需給の推計をきちんとやっていくということを考えたいと思いますし、また、それをどのタイミングか分かりませんけれども、きちんと医療計画と連動するような形で持っていければと思っております。よろしくお願いします。
○萱間部会長 ありがとうございます。
 それでは、時間の関係で、あとお一人程度、御発言いただけるかと思うのですが、菅間委員、先ほどの追加の御発言ありましたでしょうか。よろしいでしょうか。
○菅間委員 結構です。
○萱間部会長 ありがとうございます。
 ほかに追加の発言がおありの委員はいらっしゃいますでしょうか。
○稲井委員 すみません、徳島県看護協会の稲井です。
 看護管理者の重要性ということも話されましたけれども、そこについては、徳島県はファースト、セカンドレベルは県内で実施しているのですが、サードレベルは県外に行かれているというところで、そんな中でも熱心にサードまで取られて、その上で今回のコロナ等も活躍していただいたという現状があります。
 あと2点なのですけれども、訪問看護の特性といいますか、その確保が重要ということなのですけれども、徳島県では今、訪問看護支援センターというのを設置し、その中で確保、質の向上、また安定経営等、全体的なところを事業化しています。ぜひその辺りを、全国でも訪問看護総合支援センターという形で拡充していただけたらなと考えております。
 最後に、ナースセンターの役割はすごく重要だということが、今回、この会議に参加させていただいて、よりその辺りが明確になったと思うのですけれども、実は関係者を併せて、看護職の中でもまだまだナースセンターの周知等ができていなくて、やめるときに届出をきっちりしていただくということも、まだまだ十分ではないというところもございますので、その辺りも普及・啓発、周知しまして、その上で今後のマイナンバー制度と併せたような活用が十分にできたならと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○萱間部会長 稲井委員、大変失礼いたしました。貴重な御意見ありがとうございます。
 それでは、ちょうど時間になりましたので、ほかに御意見がなければ、本日はここまでとさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 次回は、本日のご意見を受けまして、事務局において看護師等確保基本指針の改定に関する資料を御用意いただき議論を行いたいと思います。
 次回の検討部会の詳細については、追って事務局より連絡を申し上げます。
 それでは、本日の会議はここまでとさせていただきます。本日は、大変お忙しいところ、ありがとうございました。
 

(了)

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