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2022年12月23日 第95回社会保障審議会医療部会

医政局総務課

○日時

令和4年12月23日(金)13:00~15:00

 

○場所   AP新橋 4階 Dルーム


○議事

○医療政策企画官 ただいまから、第95回「社会保障審議会医療部会」を開会させていただきます。委員の皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席くださいまして誠にありがとうございます。
 本日は新型コロナウイルス感染症対策の観点からオンラインによる開催とし、傍聴は報道関係者のみとさせていただいております。
 会議中の留意事項については、事前に送付させていただいております「オンライン参加の留意事項について」を御覧ください。
 まず、委員の異動がありましたので御紹介させていただきます。
 新たに全国町村会より山崎親男委員が就任されております。
 次に、本日の委員の出席状況について申し上げます。
 本日は、山崎學委員から御欠席との御連絡をいただいております。医療部会の総委員数が24名で、定足数は3分の1の8名となっておりますので、本日は23名の委員の皆様が御出席となり、定足数に達していることを御報告申し上げます。
 また、井上委員より遅れて出席、また内堀委員より途中退席されるとの御連絡をいただいております。
 次に、議事に入ります前に資料等の確認をさせていただきます。事前に議事次第、委員名簿、座席表のほか、資料1から3、参考資料1-1から資料1-4、委員提出資料1及び2を送付させていただいておりますので、お手元に御準備をいただければと思います。
 カメラ撮りの方がいらっしゃいましたら、ここまででお願いいたします。
(カメラ撮り終了)
○医療政策企画官 では、以降の進行につきましては永井部会長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○永井部会長 それでは、よろしくお願いいたします。
 初めに、欠席の山崎委員の代理として長瀬参考人の御出席を、または議題2の関係で山本参考人、一般財団法人医療情報システム開発センター理事長の御出席をお認めいただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(委員首肯)
○永井部会長 ありがとうございます。
 それでは、本日の進行でございますが、議題1及び2は御議論いただき、議題3については事務局からの報告のみとなります。
 では、議題に移ります。まず医療提供体制の在り方について説明をお願いいたします。
○総務課長 医政局の総務課長でございます。
 本日、議題の1ということでございますが、「医療提供体制の在り方について」ということで、これまでに御意見を伺ってまいりましたかかりつけ医機能が発揮される制度整備を含めて、当面の「医療提供体制の改革に関する意見」ということで医療部会としての意見の取りまとめをお願いしたいと存じ、案ということで御用意させていただきました。資料1に沿って、意見(案)の内容ということを御説明させていただきたいと思います。
 おめくりいただきまして、2ページでございます。頭書きにございますけれども、医療部会において、これまでの議論を踏まえて意見を取りまとめたという記述をさせていただいております。その上で厚労省において意見を踏まえて必要な改革について、さらに所要の検討を含めて医療法の改正を行うなど改革に取り組み、着実にその実施を図られたいというように記載をしているということでございます。
 次の1は「基本的な考え方」であります。
 1つ目の○にございますように、この医療部会における御議論においてもコロナとの関係ということも含めて御議論いただいたということで、そこから考え方の整理をしております。これらへの対応に関しては、行政による事前の準備が十分でなかったという中で、全国的な急激な医療ニーズの増大に直面をして、それぞれの地域で通常医療との両立を含めて機能する保健医療提供体制というのを早急に構築することが求められた中で、平時から入院・外来・在宅にわたって医療機能の分化・強化と連携を図っていく。そのときに、地域医療全体を視野に入れて必要な医療というものを連携とかネットワークで提供していくということの重要性が改めて認識をされたというように記述させていただいております。
 一方で、この間も少子高齢化ということは着実に進みつつあるということでございます。さらなる高齢者の増加、あるいは生産年齢人口の急減というものが見込まれる中で医療資源には限りがあるということを踏まえて、また、地域によってこういった「人口構造の変化」は大きく異なるという中で機能分化と連携、それから人材の確保というものを一層重視した国民目線での改革を進めていく。
 その際に、コロナ禍の中でも様々な関係者の密接な意思疎通、あるいは役割分担・連携といった様々な新しい経験、教訓といったものも生かしながら、地域ごとに必要な医療を必要なときに受けられる体制を確保していくことが喫緊の課題ではないかということでございます。
 そういったことを踏まえて、2040年頃まで続く高齢化への対応と併せて、人口減少に対応した全世代型の社会保障制度を構築していく。こういった理念の下で、医療提供体制の改革を推進する必要があるというようにまとめさせていただいております。
 それで、(1)は感染症のことを書いておりますが、これにつきましては、先の臨時国会におきまして、感染症法の改正案が国会で成立をいたしました。この改正法に基づいて、次の感染症の発生・蔓延時に確実な医療提供を確保するため、平時からの計画的な体制整備を推進する必要があるということでございます。
 括弧書きですが、未知の感染症というものについて、全ての医療機関に一律に感染症医療の対応を求めるということは難しいという中で、都道府県と平時に協定を締結する仕組みというものを導入することにしておりますので、それによって、地域の医療提供体制全体の中で危機時の担い手というものをあらかじめ適切に確保し、明確化をしていくことで、国民が必要とするときに確実に医療が受けられるようにしていくということで書いております。これにつきましては、第8次医療計画の中に入れることになっております「新興感染症発生・まん延時における医療」ということで位置づけて、改正法に従って推進をしていくことが大事ではないかということでございます。
 同時に(2)で、「人口構造の変化への対応」ということであります。将来の人口構造の変化に対応して、これまでも地域医療構想、あるいは医療従事者の働き方改革、医師偏在対策、こういったものを一体的に推進してきておりますけれども、加えてDXといった技術革新を医療分野に取り込んでいって、総合的な改革を推進していく必要があるということでございます。
 (1)としまして、地域医療構想について記載をしておりますが、コロナの中で顕在化した課題も含めて、中・長期的な課題を整理し、取組について検討を深めることが必要ではないかということであります。
 今は2025年までというような取組となっておりますが、病院だけではなくてかかりつけ医機能、あるいは在宅医療といったものを対象に取り込み、議論を進めた上で、2040年頃までを視野に入れてバージョンアップを行う必要があるのではないか。
 その際に「治す医療」、それから高齢者が増えてくる中で「治し、支える医療」というものを担う医療機関といったものを明確化していく。それから、これまでの地域医療構想に加えて、在宅を中心に入退院を繰り返し、最後はみとりを要するといった高齢者の方を支えていくために、かかりつけ医機能を有する医療機関を中心に、身近な地域で医療・介護の「水平的連携」というものを推進して、「地域完結型」の医療・介護提供体制を構築していくというような記載をしております。
 こういった基本的な方向性に沿って、かかりつけ医機能が発揮される制度整備でありますとか、医療法人制度の見直しといったものを行うというように書いているということでございます。
 その上で、こうした提供体制の改革と同時に、医療従事者に関する課題についてその整理をしていく必要があるのではないかということでございます。データヘルス、こういった医療分野におけるDXを推進していく。医療従事者のタスク・シフト/シェアを進める。それから、時間外労働の上限規制を含め、医師・医療従事者の働き方改革について令和6年4月から施行していくという取組を書いているということでございます。
 4ページにまいりまして、そういった中で人口減少地域における医療機能の維持・確保を含めて、医師偏在対策など、医療の担い手の確保を進めるということを記載しているということでございます。
 次の5ページからは、具体的なまとめの事項に関して記載をしております。
 まず「かかりつけ医機能が発揮される制度整備」についてでございます。
 改めて「基本的な考え方」を整理させていただいております。かかりつけ医機能については、平成25年に日本医師会と四病院団体協議会のほうから合同提言が行われて、それを踏まえて行政のほうでも医療機能情報提供制度における情報提供でありますとか、診療報酬における慢性疾患を有する高齢者の方への評価を中心に取り組んできたということでございますが、医療計画といった医療提供体制に関する諸施策に位置づけた取組はこれまで行われていないということでございます。
 2つ目の○でございます。そういった中でありますが、これから複数の慢性疾患、あるいは医療と介護の複合ニーズを有する高齢者の方が今後さらに増えていく一方で、生産年齢人口、担い手のほうが減っていく中で、地域でそういった大きく異なる人口構造の変化に対応して「治す医療」から「治し、支える医療」というものを実現していき、地域ごとに必要な医療を受けられる体制というものを確保していく。
 このためには、これまでの病床に関する地域医療構想でありますとか、あるいは介護を含めた地域包括ケアの取組に加えて、かかりつけ医機能が発揮される制度整備を進める必要があるということでございます。
 「その際」ということでありますが、国民・患者目線で、一人一人が受ける医療サービスの質の向上につながるものとしていく。こういうような観点から、国民・患者がニーズに応じて機能を有する医療機関を選択して利用するということ、同時に医療機関のほうも地域の実情に応じて、その機能や専門性に応じて連携をしながら、自らが担うかかりつけ医機能の内容を強化していくということを基本的な考え方にしてはどうかということでございます。
 その上で、「なお」というように書いておりますが、留意点といたしまして、制度整備に際しては我が国の医療制度というものが様々な特色、こういった要素が微妙なバランスの上に成立をしているといったことに鑑みて、エビデンスに基づいて議論をし、それから現在ある医療資源を踏まえて、性急な制度改革がなされないよう、時間軸に十分に留意をすることが必要ではないかという記載をさせていただいております。
 その後ろの(2)からは具体の仕組みについてでございますが、「医療機能情報提供制度の刷新」ということでございます。
 ここにつきまして、「かかりつけ医を選ぶための情報が不足している」といったような状況があるということを踏まえて、国民・患者にとって分かりやすい機能に関する情報提供の在り方の検討が必要だろうということでございます。
 6ページにまいりまして、これまでも行われているということではございますが、部会における御指摘の中でも内容の具体性に乏しい、あるいは診療報酬点数そのままでは理解しづらいのではないかといった御指摘をいただいたということでございます。
 それで次の○、「このため」でございますが、国民・患者の方が適切に選択できるように提供制度を刷新すべきではないかということでございます。ここにつきましては、医療法の中で現在でも国民が「医療提供施設の機能に応じ、医療に関する選択を適切に行い、医療を適切に受けるよう努めなければならない」というふうにされていることを踏まえて、「かかりつけ医機能」の定義を法定化するということでございます。
 定義につきましては、法制的な審査というのはこれから必要かと思いますが、今の医療法の施行規則の中で「身近な地域における日常的な医療の提供や健康管理に関する相談等を行う医療機関の機能」というようにされていることを踏まえた内容としてはどうかということでございます。
 その上で、医療機関のほうはその選択に役立つ情報、あるいは医療機関間の連携に関する情報というものを都道府県に報告をしていただいて、都道府県のほうはそういった機能に関する情報を国民・患者に分かりやすく提供することとしてはどうかということでございます。
 その上で、従来から厚労省でも取り組んでおりますが、情報提供項目というものを見直すと同時に、都道府県ごとに公表されている医療機関に関する情報について全国統一のシステムを導入するということでございます。
 具体には次の○に書いてございますように、枠の中はイメージということでございまして、具体的な項目の内容につきましては今後さらに詳細について有識者、専門家の皆さんの参画を得て検討することとしてはどうかということでございます。
 その際、項目については次の7ページにまいりまして、住民・患者目線で検討すべき、あるいはその際、特にかかりつけ医がいない方の目線から検討すべきといった意見に留意すべきではないかということでございます。
 次の○は、今後のスケジュールということで詰めていくことが必要かと思いますが、6年度以降に全国統一化、それから有識者の方からさらに詳細を検討していただいた上で必要な項目の見直しというものを順次実施していくというようなことを記載しているということでございます。
 その後ろ、(3)でございます。「かかりつけ医機能報告制度の創設による機能の充実・強化」ということで、先ほどの情報提供に加えて、機能そのものの充実あるいは強化といったものを図っていってはどうかということでございます。
 1つ目の○にございますが、様々なかかりつけ医機能には身近な医療に関する多様な機能が含まれるということではございますが、今後の高齢者のさらなる増加なり、こういった人口動態の変化の中で、地域ごとに必要なかかりつけ医機能というものを適切に確保していく必要があるということでございます。
 2つ目の○に、特に高齢者の方に関して以下のようなニーズがあるのではないか。慢性疾患を有することが多いということで、その継続的な医学管理でありますとか、日常的によくある疾患への幅広い対応でありますとか、あるいは入退院時の支援、休日・夜間の対応、あるいは在宅医療、介護サービス等との連携といったようなニーズがあるのではないか。
 次の○でございますが、こうしたニーズに対応する機能を確保していくために、医機能報告制度といったものを新たに創設して、必要な機能の充実・強化を図る仕組みを導入してはどうかということでございます。
 「具体的には」ということでございますが、医療機関のほうからニーズに対応する機能でありますとか、それを今後担う意向といったものを都道府県に報告をしていただいて、この場合、連携する場合には連携する医療機関も報告ということでございますが、その報告に基づいて都道府県のほうでは地域において機能の充足状況でありますとか、あるいはこういった機能を合わせ持つ医療機関というものを確認、あるいは公表した上で、医療関係者や医療保険者等が参画をする地域の協議の場で不足する機能をどういうふうに強化をしていくべきなのかという具体的な方策について検討し、結果を公表すべきではないかということでございます。
 「その際」ということでありますが、多様な機能を一人の医師、一つの医療機関だけで担うのは現実的ではないという中で、個々の医療機関の機能強化に加えて、適切な連携を通じて機能の充実の強化を図ることが重要であるということでございます。
 それから、そのようにして強化された機能については、先ほど申し上げた情報提供制度において随時反映をしていくということで、基盤と申しますか、機能の充実・強化と情報提供が相互に好循環で回っていくことが重要ではないかということでございます。
 次の○でございますが、そういった中で在宅医療、あるいは介護との連携といったことが重要になってまいりますので、こういった報告制度の運用に際して介護保険事業計画、あるいは医療介護総合確保法の計画との関係についても検討すべきではないかということを記載しております。
 それから、次の○でございますが、その上で報告を求める具体的な機能というものにつきましては、医療機関が診療所の場合に加えて病院である場合も含めて、今後さらに詳細については有識者や専門家の参画を得て検討すべきではないかというようにさせていただいております。あるいは、自らの機能ではなくてもほかの医療機関を支援する意向といったものも、不足する機能の充足に生かすことが考えられるのではないかということでございます。
 以下、5つほど意見といったことを留意しておりますが、頂戴した意見を含めて留意事項と、今後の検討に当たって幾つかこういった点に留意すべきではないかという記載をしております。一定の報告基準を定めるでありますとか、研修の受講というのを必須とすべき、医療機関からの報告だけでは不十分で一定の質を担保する仕組みを設けるべき、全人的な診療に対応できる総合力というものが重要ではないか、あるいは大病院から逆紹介といったものも機能させるために必要ではないかということでございます。
 次の○でございますが、その上で地域の協議の場で都道府県のほうで充実強化の具体的方策といったことで、これはそれぞれの地域で事情も異なりますし、考えていただく必要があるかと思いますが、例えば、勤務医の方が地域で開業し、地域医療を担うための研修や支援の企画実施といったもの、それから2つ目にありますように不足をするのであればそれを既存、あるいは新設の医療機関に担っていただくということを要請していく。あるいは、医療機関同士の連携の強化、グループでありますとか遠隔医療、あるいはその情報の活用といったことが考えられるのではないか。それから、在宅医療を積極的に担う医療機関の拠点の整備、あるいは多職種の連携の推進といったこと、それから地域医療連携推進法人の活用をしていく。連携法人のところで申し上げますが、新たに個人立を含めた連携を可能とするような制度改正も行ってはどうかという検討をしておりますので、そういったことも考えられるのではないかということでございます。
 それから、その上でこうした取組を後押しするということで、国のほうでは研修の標準的な基準の設定でありますとか、やはり情報が重要だということで医療DXというものを整備していく、基盤整備をしていく、あるいは診療報酬で適切に評価をしていく。こういったことを国としては考えていくということがあるのではないかということでございます。
 それから、その上で地域の協議の場で検討する具体的な方策、こういったものについてもさらに専門家の皆様から御意見を得て検討するということではございますが、頂戴した御意見、留意をすべき点として、ここに救急の在り方についても留意をすべきではないか。それから、中小病院について含めるべきではないか。内科だけではなくて、専門的な領域についても検討すべきではないか。それから、地域で一つの医療機関でというのは難しいということ、あるいは協議の過程で行政、それから地域の医師会の支援を受けながら考えていくべきではないか。協議の場に関して、在宅医療というのであれば市区町村単位で議論すべきではないか。それから、DXに関してPHR、あるいはセキュリティーを確保した上でのデータ基盤の整備が重要ではないかということを記載させていただいております。
 その上で一番下の○でございますが、「さらに」ということで慢性疾患を有する高齢者の方が在宅で医療を受ける場合をはじめ、継続的な管理を必要とし、患者が希望される場合にかかりつけ医機能として提供する医療の内容について、書面交付などを通じて説明をすることにしてはどうかということを書かせていただいております。
 これについて、具体の内容等々についてはさらに議論が必要かと思いますが、その際、以下の意見がということで10ページでございますが、対象者について高齢者だけでなくて幅広く対象とすべきではないか。継続的な管理が必要と判断される患者に限定すべきではないのではないか。あるいは、1対1とすべきではないか。それから、その下に書いていますように、保険者のほうで把握できるようにすべきではないか。あるいは、複数の医療機関から書面の交付を可能とすべきといったような御意見をいただいたことを踏まえて、詳細についてはさらに検討が必要ではないかということでございます。
 その上でスケジュール的なことではございますが、さらに専門家の方が検討していただいた結果等を踏まえて、医療法に基づく基本的な方針などの関係法令というものを改正していくということもございますし、いろいろな準備が要るかと思いますので、令和7年度を目途に個々の医療機関から報告を受けて、協議の場で議論を開始するということにしてはいかがか。
 その上で、具体的な地域での方針が決定した段階で、8次医療計画の中間見直しを想定しながら医療計画に適宜反映をしていくといったようなスケジュールが考えられるのではないかということでございます。
 11ページからは、医療法人制度の見直しでございます。
 1番目でございますが、「経営情報のデータベース構築」ということで、最初の○にございますように医療法人の責務を記載しているということでございます。
 2つ目の○で、「このため」ということで事業報告書等の作成、あるいは閲覧といったようなことが医療法人はやることとされている。
 3つ目の○ですが、そういった中でアップロードによる届出を可能として事業報告書のデジタル化を進めているということでございます。
 それで、4つ目ですが、「一方」ということで、今後の少子高齢化の課題、あるいはコロナの際の対応といったことを踏まえて、医療機関への迅速な支援、あるいは国民への情報提供が十分ではなかったという課題もあったのではないかという中で、最後の○にありますように医療の置かれている現状と実態を表すために必要な情報を収集して政策の企画・立案に活用し、国民に対して丁寧に説明していくことが必要ではないかということでございます。
 次の12ページにまいりまして、「このため」ということで、11月の検討会の報告書に基づいて、こういったことを目的とした医療法人の経営情報を収集してデータベースを構築するべきではないかということでございます。
 それで、そのような対象につきまして、施行後に決算期を迎える医療法人から対象にしていく。時期につきましては、法律改正が必要ですので法案成立後ということではございますが、2023年度の可能な範囲で早期とすべきではないかということでございます。
 「なお」ということで、この場でも御議論がございましたし、公定価格評価検討委員会のほうからも御議論がございましたけれども、職種別の給与費というものについて医療現場の負担を踏まえて任意報告事項とすべきという御意見と、検討委員会を含め、あるいはこの場の意見でも、義務化も含めて検討すべきではないかという御意見があったかと思います。
 それで、「こうした意見に鑑み」ということで、制度発足時は任意の報告事項としつつ、制度施行後の状況を踏まえ、必要な対応について引き続き検討すべきではないかという記載にしているということでございます。
 次の(2)は「地域医療連携推進法人の活用促進」ということでございます。
 現状では、個人立が参加できない、あるいは事務手続の負担が大きいといったような課題があるということでございます。
 次の○ですが、このために個人立を含めた連携を可能とする新類型を設けてはどうかということでございます。
 その場合に、ポツでありますが、その資産の分離が難しいということがございますので、個人立については資金の融通というのは不可とする。
 その上で、資金の融通をしない場合には一定の手続というものを簡素化するといったことを考えてはどうかということでございます。
 次の13ページで、新類型への移行も可能にすべきではないか。
 それから、次の○でございますが、今の連携推進法人を含めて状況について検証すべきではないかということでございます。3つほどいただいた御意見、地域医療構想推進への効果でありますとか、またがる場合の理由、あるいは大学病院が参加をしている影響等々、こういった点について留意をすべきではないかということでございます。
 (3)番は「認定医療法人制度の継続」ということで、平成18年の改正で持分の定めのない医療法人というものへの移行を促進しているということでございます。この仕組みとして認定医療法人という仕組みがあるわけでございますが、この仕組み自体もそうですし、税制による支援措置というものも期限を迎えるということがございますので、令和5年10月以降もこの仕組みを継続させるということが必要ではないかということでございます。
 その下から、地域医療構想ということでございます。こちらは、これで法律改正を予定しているということではございませんが、当面あるいは今後地域医療構想についてどういうように進めていくべきかということについて整理をさせていただいております。
 14ページでございますが、コロナが続いてはおりますが、背景としての中長期的な状況、あるいは見通しというのは変わっていないということでございますが、そういった中で基本的な枠組みは維持しつつ、着実に取組を進めていく必要があるということでございます。
 それから、地域医療構想の推進に当たってPDCAサイクル、あるいは責務の明確化というような御指摘があるかと思いますが、対応方針の策定率を目標としたPDCAサイクルの強化でありますとか、構想区域の評価・分析といった都道府県の責務の明確化によって取組を進めていくべきではないかということでございます。
 その際に、第8次計画の策定作業と併せて、各都道府県で民間医療機関も含めた対応方針の策定、検証を進めるべきではないかということで書いております。
 その上で、各地域での取組も支援をしていくということで「重点支援区域」、あるいは「病床機能再編支援制度」といったことで支援を行うべきではないかということでございます。
 それから、今後の取組ということでございますが、2025年以降も2040年頃までを視野に入れながら新たな地域医療構想を策定すべきではないか。その際に、現在の取組を確実に進めながら現状と課題を分析していくべきではないか。
 それから、その上で「なお」というふうに書いておりますが、今後の取組に関して必要な医療を面として提供するための機能分化と連携でありますとか、かかりつけ医機能や在宅医療を取り込むということでの外来医療、こういった方向性を踏まえながらの入院需要の将来的な推計でありますとか看護職員の需給推計についても検討すべき、あるいは働き方改革への対応を踏まえた上で地域における役割分担、連携の在り方を議論すべき、さらには構想区域の規模でありますとか在り方について議論すべき、こういった御意見を踏まえながら検討を深めるべきではないかということでございます。
 長くなりまして申し訳ありませんが、16ページからは従事者に関する取組ということでございます。
 (1)は「医療従事者のタスク・シフト/シェアの推進と医師の働き方改革」ということでございます。これまでの経過を書いておりますが、働き方改革というものの議論が進んできた中で、タスク・シフト/シェアの取組が進められてきているということでございます。
 3つ目の○に書いておりますように、働き方改革につきましては医療機関の準備状況を数次にわたり調査をしてきております。そういった中で、1,860時間を超えるというふうに見込まれる医師の方の数について、各医療機関での取組と、それから国と都道府県で連携をして支援をするということで改善する方向に進むと考えられますが、引き続き施行に向けて支援を継続していくべきではないかということで、勤改センターにおける伴走型の支援でありますとか、宿日直許可を円滑化するための支援というもの、それから下に書いていますような総合確保基金を活用した体制整備支援でありますとか、特定行為の養成等の医療関係職種の知識・技能の習得推進、こういうものを通じたタスク・シフト/シェアでありますとか、下に書いてありますような引揚げなどによって診療機能に支障が生じる可能性がある医療機関の医師確保に対する支援、こういったものを確保基金を活用して対応していく必要があるのではないかということでございます。
 (2)は偏在対策、担い手の確保ということでございます。
 8次計画検討会の議論に沿って取組を進めていく、あるいはDXも含めて医療現場における業務の負担軽減、効率化に取り組むということでございます。
 ここには医師、歯科医師、薬剤師、看護職員と書いてございますが、医師につきましては「医師確保計画」というものを策定し、派遣調整、あるいは大学への寄附講座などの取組を進めながら医師偏在対策を行っているということでございます。
 医師確保計画の策定に当たって、偏在指標等について三師統計で用いる記載事項の充実化を踏まえて精緻化を図るべきではないかということでございます。
 それから、(歯科医師の確保について)は記載のように歯科専門職の配置状況の把握を行った上で歯科の果たす役割を認識しながら、地域の歯科専門職を病院で活用するということ、あるいは病院と歯科診療の連携を推進していくといったようなことを進めていくべきではないかということでございます。
 薬剤師につきましては病院薬剤師、薬局薬剤師、それぞれの役割、就労状況の把握、確保策を講じるといったこと、それから確保基金の積極的な活用ということを記載しているということでございます。
 「また」と書いておりますが、そういった際に都道府県、それから薬剤師会・病院薬剤師会、関係団体等で連携して取り組むべきではないかということでございます。
 最後に(看護職員の確保について)ということで、8次医療計画の中で以下の取組を実施すべきということで3つポツがございますが、圏域ごとの課題を把握してその三本柱とした取組を推進する。それから、訪問看護の需要の増大に対応していくためにこういった基金の活用、あるいはナースセンターの取組の充実等々、こういったことをやる。
 それから、最後でありますが、感染症の拡大に対応する。それから働き方改革、こういったものの推進のために都道府県ごとの就業者数の目標設定を通じて専門性の高い看護師の養成と確保を推進するということを記載させていただいているということでございます。
 長くなりまして申し訳ありません。意見の案の御説明については以上となります。
○永井部会長 ありがとうございました。
 この件につきましては、内堀委員から委員提出資料ということで意見書が提出されておりますので、審議の際に御参考にしていただければと思います。
 では、御質問、御意見をお願いいたします。
 まず、内堀委員どうぞ。
○内堀委員 永井部会長、ありがとうございます。
 公務のため、途中で退席させていただきますので、まとめて発言をさせていただきます。
 まず議題の1についてです。医療提供体制改革の方向性については、基本的に賛同いたします。また、かかりつけ医に関するスケジュールについて、地方に配慮をしていただきありがとうございます。
 その上で、かかりつけ医機能、地域医療構想等については都道府県が策定する医療計画に関係するものです。参考資料として、第8次医療計画等に関する検討会の意見取りまとめ案が示されていることから、今回、都道府県からの意見を踏まえた「第8次医療計画の作成に関する意見」を資料として提出をいたしました。こちらに基づいて発言をいたします。
 1点目は、「作成指針や各種データ等の早期提示について」です。
 医療計画の策定には、各種指標の設定に加え、各医療圏や部会等における協議を重ねる必要があり、非常にタイトなスケジュールとなります。策定に十分な期間を確保できるよう、指針等を年明け速やかに発出いただくとともに、早期の議論が必要となる医療圏の設定に関するデータなど、各種データの早期提供をお願いします。
 2点目は、「新興感染症発生・まん延時における医療について」です。新たに検討、協議するものであり、検討を要する事項については早期に情報提供いただく必要があります。また、並行して策定する予防計画の策定指針も長期に発出するとともに、医療計画に盛り込む内容が過重にならないようお願いします。
 3点目は、「地域医療構想について」です。構想推進の基本となる病床機能の報告基準について、さらなる明確化が必要と考えます。また、都道府県が必要病床数との差が生じている区域について要因の分析等をした上で必要な方策を講じることが想定されていますが、対象となる構想区域の基準や分析・評価の手法、必要な方策の具体的内容等について、今後明確化をお願いします。
 4点目は、「ロジックモデルについて」です。ロジックモデルの活用については賛同いたしますが、5疾病・5事業間のバランスに配慮するとともに、考え方や指標例を早期に提示するようお願いします。
 5点目は、「医療DXについて」です。オンライン診療やロボットの活用など、医療DXの推進による医療の質や利便性の向上に資する取組も作成指針等への記載が必要と考えます。
 6点目は「都道府県の負担軽減について」です。医療関係の計画策定が多数重なるため、内容が重複する計画について一体的に策定できるようお願いします。また、地域における協議の場での協議事項が増加をしており、事務局となる都道府県の負担が増しているため、データの提供等による技術的支援や、業務増に対応した人員体制を整備することへの交付税措置など、地方の体制確保に必要な支援をお願いします。
 最後に、医療提供体制の構築は医療関係団体の協力の下で国と都道府県が緊密に連携することが不可欠です。計画策定に際し、都道府県に過大な負担が生じることがないよう、事前の十分な協議を改めてお願いします。
 そして、報告事項でありますが、議題3について一言発言します。感染症法等の改正については、9月30日に全国知事会として厚生労働大臣に意見書を提出しています。この意見書は国庫補助のさらなるかさ上げや交付金等の予算措置、十分な交付税措置などによる地方負担の極小化や、都道府県に義務づけられる取組に対する財政措置など、法律が成立した後の対応を求める内容が多く含まれますので、これらについての実現をお願いします。
 私からは以上です。よろしくお願いします。
○永井部会長 ありがとうございます。
 では、続いて山口委員どうぞ。
○山口委員 ありがとうございます。私は、かかりつけ医機能のことについて3点ほど質問と意見を述べたいと思います。
 これから詳細については新たな場で話し合われる、検討するということですけれども、今回のこの文章の中に重要なポイントはかなり盛り込んでいただけたのではないかと思っております。
 その上でですが、6ページのところでかかりつけ医機能の定義について、先ほど総務課長の御説明の中で法制上の表現を整理しないといけないとおっしゃっていたのですけれども、この定義についても新たな検討の場でさらに検討するということなのか、ここに書かれている内容を法制上の整理をされるということなのかということが1点目の質問です。
 2点目が、7ページの上から2行目の「住民・患者目線で検討すべき、特に」というところで、「かかりつけ医がいない方々の目線から検討すべき」と書いてあります。これは、「かかりつけ医がいない」という人の中に、病気がなくて特にかかりつけ医を必要としない人と、本当は必要としているんだけれども探し切れていない、見つけられていないという両方があると思うのですが、その両方を指しているのか。それとも、必要なのに今いない人ということを指しているのであれば、この「特に」の後に、かかりつけ医を必要としながらもかかりつけ医がいない方々の目線というような文言を入れたほうが、より分かりやすいのではないかと思いましたので、どちらなのかということを教えていただきたい。これは、質問と意見と両方です。
 3点目ですけれども、かかりつけ医機能報告制度を新たに創設するというのは、患者から見ても探す対象ができてきていいなと思いますが、かかりつけ医機能報告制度を導入してそれを紹介するには、医療機能情報提供制度を使うと書かれています。この医療機能情報提供制度の国民への認知度がかなり低いということが以前から問題だと私は思っているのですけれども、ここを利用していくとすれば、この認知度を高める必要があるのではないかと思いますので、8ページの一番上のところの「国民・患者に分かりやすく提供すべきではないか。」の後に、医療情報提供制度の認知度を上げる努力も必要とか、進めていくとか、そういった文言を入れたほうがいいのではないかと思うのですが、事務局いかがでしょうか。
 この3点です。よろしくお願いいたします。
○永井部会長 よろしくお願いします。
○総務課長 ありがとうございます。
 1点目でございますが、先ほどちょっと補足をしてお話をいたしましたけれども、今の医療法の省令の中で身近な地域における日常的な医療の提供や、これこれということを踏まえたということで法制化をしたいと考えております。
 すみません。先ほどちょっとそういうようなことを申し上げましたのは、私ども政府の中で国会に提出する法律案につきましては法制審査の専門的な部局というものも含めて、内閣としてその中身について既存の法令との関係において紛れがないかといった点からの精査をしていくという形になりますので、コンセプトとしてはここに書いてあるような身近な地域における日常的医療の提供や健康管理に関する相談等を行う医療機関の機能ということでございます。これについて、これを基本として法案化をしていきたいということでございます。定義そのものをまた新たに御議論いただくということを念頭に置いているのではなくて、この考え方について法案化をしていきたいということでございます。
 2点目でございますが、おっしゃっておられる7ページの記載のところでございますが、こちらにつきましては御指摘のようなことかと思います。相対論ではございますが、やはり必要としながらもということで、そういった必要性を感じていらっしゃる方のほうがそういう情報に対する必要度も高いのではないかと考えております。おっしゃっているような、必要としながらもかかりつけ医がいない方々がどういうふうに探せるのかといったことを、御意見をいただきながら考えていきたいというふうに事務局としては考えております。
 それから認知度の点ですが、これも御指摘のとおりでございまして、法律上の仕組みとしては情報提供していくという仕組みと、地域の協議の場で議論をして充実をしていくという仕組みとして2つ考えておりますが、いずれにしても情報提供のほうは医療機能情報提供制度という形で提供していく。その際には、おっしゃるように認知度を高めていくということは非常に大事なことだろうと思っております。
 以上でございます。
○山口委員 ありがとうございました。
 2点目と3点目については、それがより分かるような文言に少し工夫していただければと思います。よろしくお願いいたします。
○永井部会長 それでは、神野委員どうぞ。
○神野委員 神野でございます。3点、意見したいと思います。
 まず1点目でありますけれども、最初の「基本的な考え方」であります。2ページ目のトップでありますが、「新型コロナ感染者への対応においては、行政による事前の準備が十分ではなかったため」というふうに卑下なさっていらっしゃるわけでありますけれども、この行政というのは厚労省なのか、財務省なのか、いろいろな意見があるかもしれませんが、私はここで言うのも何ですけれども、弾がなかった、医療に余裕がなかったということが一番の原因であって、行政が悪かったということよりも、もっと制度そのものの話があるのではないかと総論的に思いました。
 弾がなかったというのは、いわゆる余裕がある人員とか、あるいは病床とか病院設備といったものに関して、そういったものを十分認めるような制度、あるいは診療報酬の在り方ではなかったということが基本にあるのではないかと思ってしまいました。
 続きまして2番目でありますけれども、先ほど7ページ辺りで情報提供制度ということに関して医療情報提供の公表の全国統一化というお話がありました。その後、今度は9ページの下のほうですけれども、書面交付というものがあるわけですが、この情報提供の全国統一化に関わる有識者の会議等におきまして、できれば書面に関しても統一、あるいは負担、負荷の少ない書面というものを御検討いただきたいと思います。
 このかかりつけ医の機能の書面交付ということに関して、やはり私どもの病院の仲間、医師の仲間からは、これでまた医師の書面に関する負荷が多くなると大変である。できるだけシンプルなもの、そしてまた必要にして十分なものを求める。ぜひ有識者会議の中でこちらのほうも検討いただきたいというのが2番目でございます。
 そして、3番目であります。今と同じ9ページの一番上で、まさに共通基盤等の整備ということであります。全世代型社会保障構築会議におきましても、医療DXということが強く言われているわけであります。そういった意味で、急性期、回復期、在宅、あるいは介護との間の情報基盤の整備というものはやはりこれからこの話をする中で肝になってくるだろうと思います。そういった意味で、この情報基盤の整備というところにつきまして、これに関しましても何らかの会議する場というものが必要ではないかと思いますし、ぜひここを集中的に検討いただきたいと思います。
 以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 木戸委員、どうぞ。
○木戸委員 事務局案は現状の課題に基づいてこれまでの部会の議論を踏まえてしっかりまとめられており、方向性について異論はございません。その上で、1点だけコメントさせていただきます。
 この事務局案と全世代型社会保障構築会議の報告書を拝見しましたけれども、どちらにおいても大学病院というワードがほとんどないことに私としては少し違和感がございます。今回の内容がかかりつけ医機能の整備などに重点が置かれていることもありますが、会議体の構成員に現役の大学病院の先生がおられないこともあるかと思います。
 ただ、医療提供体制を議論する上では、やはり大学病院は極めて重要な位置づけにあります。やはり大学の立場、意見、要望をしっかりと取り入れることが重要かと思います。大学は高度医療を提供して地域医療を支え、新たな医療人の育成、研修の場でもありますが、未来の医学や医療の発展のために研究を行うという非常に重要なミッションを持っています。それだけではなく、今回のコロナ禍では最前線でコロナ対応も行って多大なる貢献をしています。また、働き方改革におきましても、大学病院には最も影響が出る可能性があります。
 これまでの取組によって多少、大学の先生の勤務状況が改善されてはきていますけれども、待遇が低いままでは今後大学で働くドクターが減って大学病院の機能の弱体化につながる可能性も危惧されています。運営交付金も減少しており、人員削減もあり、非常に厳しい状況の中で医療安全とか、地域医療への貢献とか、さらに感染症対応まで、大学病院に社会からいろいろな要請が高まっています。社会として大学をしっかりと支えるべきであること、厚労省は文科省と連携して大学病院の抱える様々な課題に対応していくべきであることを、やはりどこかには記載して提言すべきではないかと考えます。
 私からは以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 佐保委員、お願いいたします。
○佐保委員 ありがとうございます。私からは、4点意見を述べます。
 1点目、かかりつけ医機能についてです。かかりつけ医機能については、医療提供体制の改革とネットワーク等の医療機関間の連携がまず重要と考えます。地域包括ケアのさらなる推進に向けて、医療機関の機能分化と連携、医療と介護の連携が求められます。
 7ページでは、今回「かかりつけ医機能の充実・強化を図る仕組みを導入する」とされております。医療関係者や医療保険者等が参画する地域の協議の場で不足する機能を強化する具体的方策を検討するということは、医療機関間の連携という意味からも非常に重要であると考えます。地域の実情を踏まえ、国民、患者一人一人が受ける医療サービスの質の向上につながる仕組みとすることが求められます。
 2点目、地域医療構想についてです。この間、「地域医療構想は2025年を目途として進行中だが、その先はどうするのか。先を見据えたビジョンを打ち出すことが必要だ」と発言してまいりました。まずは足元の2025年に向けて着実に取組を進めるとともに、資料14ページの(今後の取組)としてある2040年頃を視野に入れつつ、課題の整理、検討を行うべきであると考えます。
 3点目は、地域医療を支える医療従事者に関する取組の推進についてです。2024年4月の時間外労働の上限規制の施行に向け、時間外休日労働が年通算1,860時間相当超と見込まれる医師数は改善傾向にあるとのことですが、16ページの具体的な対応方針を踏まえたさらなる取組の強化と国による積極的な支援の継続を改めてお願いいたします。また、地域医療構想を支える人材の確保には処遇改善も欠かせないということを付言いたします。
 4点目は、具体的に文言の修正の提案です。
 8ページの1つ目の○、「その際」から始まる部分でございます。ここに書かれている在宅医療や介護サービス事業者との連携といった内容については全く異論ございませんが、この文章にある「介護保険法に基づく市町村介護保険事業計画や医療介護総合確保法に基づく計画との関係についても」という部分で、どちらかといえば医療と介護双方をまたぐ法律である医療介護総合確保法に基づく計画が先にきて、市町村介護保険事業計画が順番的に後にくる方がいいのではないかと思っておりますので、御検討のほどよろしくお願いします。
 私からは以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 河本委員、どうぞ。
○河本委員 ありがとうございます。
 御提示いただいた事務局案は、おおむね意見が一致した部分を整理されているということでございますので、大枠については異論ございませんけれども、幾つかコメントをさせていただきたいと思います。
 まずかかりつけ医機能の関係でございますけれども、以前にも申し上げましたとおり、私どもは今回がゴールではないというふうに考えております。性急な制度改革を行えば、絶妙なバランスの上に成立している医療制度を崩しかねず、時間軸に留意する必要があるということは理解はいたしますが、全世代型社会保障構築会議の報告書でも言及されておりますように、今回の制度整備を第一歩として捉えるべきということを改めて指摘をさせていただきたいと思います。
 また、今回の取りまとめは主に慢性疾患の高齢者を想定した内容となっておりますけれども、段階を踏んでいく最初のステップとしてはあえて反対はいたしませんが、コロナ禍においてかかりつけ医がいなくて困った方が現役世代でも大勢いらっしゃったということを踏まえれば、最終的には疾患や年齢を問わず、幅広い層が活用できる仕組みにすることが必要だと考えます。
 それから、7ページ以降の(3)のかかりつけ医機能報告制度の創設につきましては、今回の取りまとめとしてはこれで結構でございますが、具体的な機能の詳細は今後の課題ということですので、都道府県の確認においてどのようにその質を担保するのかということも意識して議論すべきだと思います。
 また、医療機関から患者への書面交付については、法改正後の詳細な検討の際に留意すべき意見として、今回合意形成されなかったものも書き込んでいただいておりますので、今後有識者や専門家も参画する場においてゴールを見据えた議論が行われることに期待をしたいと考えます。
 次に地域医療構想の関係ですが、2025年、2040年を見据えて、記載された方向で対応していく方向性には賛成いたします。その上で意見を申し上げます。
 2040年を視野に入れた地域医療構想のバージョンアップの検討については、14ページの今後の取組にも記載されておりますけれども、その際には現行の地域医療構想策定の考え方ですとか、都道府県における計画の策定、実行に関する一連の検証結果や課題整理、これを踏まえた検討が行われるように御準備をお願いしたいと思います。
 私からは以上でございます。
○永井部会長 ありがとうございます。
 遠藤秀樹委員、どうぞ。
○遠藤委員 日本歯科医師会の遠藤でございます。
 今回議論されて取りまとめられた全体の方向性については、賛同しているところでございます。その中で、2点ほど今後について要望したいと思います。
 かかりつけ医機能が発揮される制度整備については医科に関わる議論であることは承知しておりますが、糖尿病や歯周病など、口腔の健康と全身の健康に関係があること、また周術期やNST、誤嚥性肺炎予防など、地域においては医科歯科連携による診療が多く実施されているところです。これらのかかりつけ医機能設定におきましても、地域における歯科医療の適切な提供や医科歯科連携のさらなる推進が図れるような配慮をぜひお願いしたいというのが1点でございます。
 もう一点は、医療職確保の中で歯科専門職についても述べていただいてありがとうございます。
 ただ、この中で歯科医師のみではなく、口腔健康管理に重要な役割を果たしている歯科衛生士や歯科技工士の確保についても十分な御配慮をいただきたい。
 この2点、要望でございます。以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 安部委員、どうぞ。
○安部委員 日本薬剤師会の安部でございます。ありがとうございます。
 資料1の意見案については賛同いたします。薬剤師に関連するところで意見を申し上げます。薬剤師の確保につきましては、薬剤師の偏在・不足、特に医療機関に勤務する薬剤師の不足に関して医薬・生活衛生局での様々な検討会の場、またはこの医療部会でも御指摘、御議論いただき、本日の資料の中に薬剤師の確保を記載していただいた理解をしています。この点につきましては、薬剤師として感謝申し上げます。
 その上で、今日の資料の17ページにもありますように、今後、都道府県の薬務主幹課、医療政策主管課、薬剤師会、病院薬剤師会、医療関係団体が連携をしてこの薬剤師確保の取組を進める必要があるということを感じております。
 一方、薬剤師の養成及び質向上等に関する検討会の調査などを見てみますと、県によっては薬務主管課に薬剤師確保に係る業務の経験や基盤がないということもありますので、いわば白紙の状態からスタートするというところも少なくないと推察しております。
 そういった意味で、厚生労働省におかれましては都道府県関係者の理解と取組を進めるために全国の薬務関係主管課長会議、および全国の医政関係主幹課長会議などを通じて、薬剤師の確保に関してしっかりと周知をしていただいて都道府県を御指導していただければと思います。これはお願いでございます。
 以上であります。
○永井部会長 ありがとうございます。
 井上委員、どうぞ。
○井上委員 ありがとうございます。
 今回の意見案につきまして、全体の方向性には異論がございませんけれども、資料1につきまして4点ほど申し上げますので御検討をお願いできればと思います。
 1点目は3ページ目の(2)の「人口構造の変化への対応」の(1)に記載されている地域医療構想の推進と水平的連携についてでございます。これまでも意見を申し上げておりますけれども、現状では地域医療構想の下で進められている病床機能の分化がまだ十分に進んでいない状況にあると認識しております。
 そこで、(1)の2つ目の黒ポツの記載につきまして、かかりつけ医機能を発揮していく上で水平的連携の重要性というのは理解をいたしますけれども、まずは病床機能の分化を確実に進めることが必要だと思いますので、この辺りを明確にした上で水平的連携を進めることを表現として御検討いただきたいと思います。
 2点目は、5ページ目以降の「かかりつけ医機能が発揮される制度整備」についてでございます。制度整備の方向性には賛同いたしますけれども、全体として、かかりつけ医機能は慢性疾患を有する高齢者のみに対象を限定しているというような印象を持ちます。高齢者だけではなく、乳幼児等の子供あるいは生活習慣病の該当者、予備軍の現役世代も含めまして、様々なニーズに対してかかりつけ医機能が発揮される制度が重要だと思います。より幅広い層を対象とするということを今後御議論いただきたいと思います。
 その際、企業人として考えますと、現役世代の多くは職場で過ごす時間が多うございますので、今後の議論の中でぜひ職域という視点も加えていただきたいと思います。
 3点目は、かかりつけ医機能の発揮に当たっての医療DXの推進についてでございます。9ページ目に、国民・患者の健康・医療情報の共有基盤やPHR基盤の整備の必要性について言及されておりますけれども、今回取りまとめられた全世代型社会保障構築会議の報告書にありますとおり、オンライン資格確認も活用した患者の情報の一元的な把握ということもぜひ文言として記載していただくよう御検討をお願いいたします。
 最後に14ページ、地域医療構想の推進についてでございます。2つ目の○におきまして、地域医療構想の推進に当たってはこれまでもPDCAサイクルや都道府県の責務の明確化による取組の推進を行ってきたという指摘がございます。
 他方、冒頭申し上げましたとおり、現行の地域医療構想の進展はまだまだ不十分であると思いますし、病床機能につきましても足元の状況と現行の地域医療構想における病床の必要量との間に大きな乖離があると認識しております。
 そこで、こうした事実も御記載いただいた上で、これまでの取組、浮かび上がった課題を分析して、地域医療構想の実効性を高めていただきたいと考えております。
 以上、4点申し上げました。
○永井部会長 ありがとうございます。
 野村委員、どうぞ。
○野村委員 野村です。ありがとうございます。
 基本的な意見案については、特に意見はございません。1点だけ、かかりつけ医を選ぶためのという6ページにありました、適切にかかりつけ医機能を有する医療機関を適切に選択できるような医療機能情報提供制度というものに関して、今後検討を進めていく上で項目の検討もすごく大事かとは思うのですけれども、先ほどの意見にもありましたように認知の問題ですね。この情報の場所がどこにあるのかということが私自身もまだまだ分からない部分もありましたので、ぜひこの部分がどこにあるのか、どういったところにたどり着けるのかということが使う側の私たちにも分かるといいかなと思っております。
 また、今は各医療機関のホームページ等もすごく充実しているかと思いますが、ホームページがないところもありますので、もちろんこうした機能がまとまったものもすごく必要だとは思いますが、今後充実していくと思いますので、ぜひ使う側の私たち側の動線も考えて検討していただけたらと思います。
 以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 井伊委員、どうぞ。
○井伊委員 ありがとうございます。日本看護協会の井伊でございます。私からは、2点申し上げたいと思います。
 まず、かかりつけ医機能報告制度についてです。この報告制度についてはあらかた全体として賛成ですが、かかりつけ医機能は医療機関の機能であり、ということは看護職を含む医療関係職種によって果たされる機能であるということだと受け止めています。
 従って、具体的な情報提供の項目については医療機関に所属する医師だけではなく、看護職等に関する情報提供も必要であると考えます。今後、情報提供項目の検討に当たってはこうしたことも考慮していただきたいと思います。
 例えば、今回の資料の7ページに高齢者を想定したニーズが示されていますが、これらのニーズに対して看護師が行う、重症化予防のための療養支援等も情報提供項目として重要だと考えます。
 それから高齢者以外、例えば妊産婦等に対してもかかりつけ医機能の情報提供をすること、具体的には院内助産や助産師外来が可能か、産科区域が特定されているかどうか、アドバンス助産師が何人いるか等を分かりやすく情報提供していくことは重要だと考えます。このようなことを念頭に、かかりつけ医機能報告制度の創設や医療機能情報提供制度の刷新について御検討を進めていただきたいと思います。
 2点目ですが、17ページからの看護職員の確保についてです。「第8次医療計画において、以下の取組を実施すべき」と記載されています。第8次医療計画は、2024年から2029年が計画期間ですが、11月のこの部会でも申し上げたとおり、2025年までしか看護職員の需給推計はなされていないというのが現状です。来年度から都道府県での計画策定が始まりますので、それに間に合うように2025年以降の看護職員の需給推計が必要です。難しい場合でも、この第8次医療計画の中間見直しには間に合うように需給推計を進めていただきたい。これはお願いでございます。
 その関連で、14~15ページでは、看護職員の需給推計についても検討を深めるべきという記載になっていますが、これはもう「検討」ではなく、「看護職員の需給推計を行うべき」と記載していただきたいと思います。
 私からは以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 では、都竹委員お願いします。
○都竹委員 ありがとうございます。
 全体的によくまとめていただいておりまして、大まかな方向については賛同いたしております。その上で、全部で6点意見を申し上げさせていただきます。
 まず、かかりつけ医機能の報告制度の件なのですが、項目の設定についてのお話でございます。住民目線で、ふだんの生活で求められるような内容を検討していただきたいと思うわけでありますけれども、一般的な疾患はもちろんですが、細かいニーズ、例えば医療的ケア児者のような障害とか難病がある方への対応とか、在宅医療への対応ですとか、そうした点についても配慮いただきたいと思います。
 また、その情報提供に当たって、これは先ほど複数の委員からも御指摘がありましたが、住民が容易に活用、情報へのアクセスができるような仕組み、あるいはそういったウェブ上のホームページの作成などをお願いしていきたいと思います。
 2点目は9ページのところにあるのですけれども、地域医療を担おうとする医師の研修についての言及がございます。こうした際には、在宅医療とか僻地医療とか、そうしたことに精通した自治体病院でありますとか、あるいは在宅医療専門のクリニックでありますとか、そうしたところを評価していただいて、教育病院あるいは教育医療機関というような指定をしていただく仕組みを導入していただくといいのではないかと思っております。
 また、特に僻地の自治体病院などで研修を行うということになれば、一定期間医師が来るということで医師不足に悩む病院の一助にもなるということも考えられますので、ぜひ御検討いただきたいと思います。
 それから、3点目です。9ページなのですけれども、地域の協議の場で検討すべき詳細について在宅医療を担う診療所の範囲は、やはり二次医療圏ではなくて市町村単位を前提にするという御議論をお願いしたいと思っております。
 やはり在宅医療になりますと16キロという制限があるのですが、それを超えてくる、1つの市町村でもそれを超えるというところは幾らでもあります。そうしたことを考えると、二次医療圏では到底無理だと思っておりますので、議論の全体は市町村単位というようなことでお願いをしていきたいと思う次第です。
 4点目です。16ページのところに、医師の働き方改革に関して「医師の引き揚げ等により診療機能に支障が生じる可能性がある医療機関の医師確保に対する支援。」という記述がございますが、医師の引揚げがもう前提になっているような記述になっておりまして、これは大変遺憾でございます。
 これについては絶対こうしたことが起こらないようにということを繰り返し申し上げているところでございまして、実際に引揚げが起こった場合、そこから医師確保の取組を始めましても遅いということでありまして、まずそれをしっかり防ぐということに最大御尽力いただきたいということでございます。
 5点目です。17ページに、医師確保に関しまして寄附講座についての言及がございます。これは8次医療計画の案の中にもたくさん記述があるのですが、大変有効な手法であるということは重々承知をしておりますし、大事なことだと思っております。実際に都道府県だけではなくて全国では基礎自治体、市においても寄附講座を設置して医師確保に努めているところがございます。
 ただ、非常にこれは費用が高額、予算が高額になりますので、財政力のある自治体でないと取り組めないという問題があります。医師不足に悩むような自治体というのは大体財政力の弱いところでありまして、そうすると体力のない自治体が無理に無理を重ねるということが現実に起こってくるわけです。
 したがって、この寄附講座の推奨というようなことがもし進むのであれば、その財政措置ですね。受入れの自治体に対する財政措置は絶対に不可欠だと思いますので、この点についてもよく御認識の上に記述、または推進をお願いしたいと思います。
 最後に6点目です。17ページに、医療従事者の確保について、医師、歯科医師、薬剤師、看護師ということが挙がっているのですが、現実に医師偏在のあるような地域の医療機関は理学療法士も、作業療法士も、言語聴覚士も、臨床工学技士も不足しているというのが実態でございまして、ここについてはコメディカル全体に目を向けていただきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。
 以上でございます。
○永井部会長 ありがとうございます。
 角田委員、どうぞ。
○角田委員 日本医師会の角田です。
 14ページ、地域医療構想の推進についてお話ししたいと思います。
 2つ目の○のところの中ほどに、「対応方針の策定率を目標としたPDCAサイクルの強化」とあります。確かに、このPDCAサイクルの対象となるものが明確になったとは思います。
 ただ、一方で、民間医療機関も含めた介護方針の策定は地域の実情やコロナ禍における対応により、今なおかなり厳しい状態であります。これらのことを考慮せずに、全国一律に対応方針の策定率を上げることを目標にすることは、現場の医療機関に大きな負担を課すことになってしまいます。ですから、ぜひ地域の実情に応じた対応となるようにお願いしたいと思います。
 私からは以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 島崎委員、どうぞ。
○島崎委員 今般の医療提供体制の改革の中で最も注目を浴びているのは、言うまでもなく、かかりつけ医機能の制度整備だろうと思います。国民の中には、一体今と何がどう変わるのかと首をかしげる人も少なくないと思いますが、その一方で、法律改正をする以上、日本の医療がよい方向に変わることを期待するむきも少なくないだろうと思います。それは当然のことで、法律改正するということは、それくらいの意味合いがあると思います。
 そこで提示されましたこの意見案を読みますと、確かに法律改正に盛り込む内容の説明という性格があるのでやむを得ない面はあると思いますけれども、いかにも役所がつくった文書で、かつ、見ようによっては上から目線ということが感じられる部分があると思います。例えば、5ページの真ん中ぐらいのところを見ると、「国民・患者はそのニーズに応じてかかりつけ医機能を有する医療機関を選択して利用することとし」という書き方になっているわけですね。多少上から目線でひっかかるなと思って、その次の6ページのところを見てみますと、2つ目の○のところで、「このため、国民・患者がそのニーズに応じて適切にかかりつけ医機能を有する医療機関を適切に選択できるよう」と、「適切に」という言葉が2つ重なっています。前のほうの「適切に」は要らないと思いますが、なぜ2つ「適切に」という言葉を使っているのかなと思ってその次の文章を読むと「医療法第6条の2第3項において、国民は、「医療提供施設の機能に応じ、医療に関する選択を適切に行い、医療を適切に受けるよう努めなければならない」という訓示規定を引っ張っているわけで、だから「かかりつけ医機能」の定義を法定化するのか。ちょっと違うのではないかと思います。つまり、適切に受けるよう努めなければいけないからということではなくて、国民・患者がそのニーズに応じて適切にかかりつけ医機能を有する医療機関を選択できる、これが今回の法制化の趣旨だったのではないかと思います。ここは修正したほうがよいと思います。
 さらにずっと読んでいって、かかりつけ医機能の最後の10ページ目のところを見ると、スケジュールの話で終わっているわけです。しかも、その内容は、何年までに何をやって、どういう関係法令を改正するとか、いつ頃どういう議論をするかということで、かかりつけ医機能の進め方がスケジューリング化されていて、国民が脇に置かれている感が否めません。せっかく法律改正を行うのに、最後の締めがいかにもお役所的な取りまとめ方になってしまっています。
 私の意見を申し上げると、せっかく今回いろいろな議論をし、かかりつけ医機能を法制化するわけですから、最後に、国民あるいは住民・患者目線の言葉を入れたほうがよいのではないか。文言はこだわりませんけれども、例えばこんなニュアンスなのですが、かかりつけ医機能の制度整備は地域医療構想、医師の偏在問題対策、医師の働き方改革など、医療提供体制の重要な課題に密接に関わり、国民にとってみても非常に大切な問題である。今般のかかりつけ医機能の法制化を機に、国民に改正の趣旨・意義を分かりやすく伝え、国民的議論を喚起するとともに、今後の制度整備に当たっては医療関係者の積極的な取組と併せて、国民・患者の視点に立ってさらに議論を深めていく必要がある。これは一例ですが、何かそういう言葉を足すことが国民に対するメッセージとして重要なのではないかと思います。
 個々の文言についてはこだわりませんけれども、ご検討いただきたいと思います。よろしくお願いします。
○永井部会長 ありがとうございました。
 松原委員、どうぞ。
○松原委員 医療機関の経営情報に関する点について、ちょっと意見を言わせていただきます。
 書かれている内容はこれで結構なのですけれども、今回のコロナ禍でよく分かったのは、医療機関にはやはり余裕が必要だということだと思います。その余裕を持った経営をするためには、やはり国民とか企業なども負担をお願いするということになるので、そのためにもどういう経営状態になるかというのを示していくというのはやはり必要なことだと思います。
 ただ、今回、医療法人ということで、医療法人だけが医療機関ではないので、全ての医療機関の経営状態がどういうものなのかというのを今後は示していくことが求められると思っています。
 もう一つ、経営情報を出していく以上、その見方というのも併せて示されないと、かえって混乱とか誤解を招くことがあると思いますので、その点もぜひ留意していただきたいと思います。社会福祉法人のケースでは実際には内部留保が足りないところがほとんどだったのに、過剰だといって非常に批判されたことがございました。言うことでもないんですけれども、貸方の内部留保というのはあるかないか分からないものなので、それをつかまえてあり過ぎだとか、使えとか、そういう不毛な議論に陥らないように。
 また、もう一つ、利益が出ていても日本は非営利組織ですから、全て出ている利益は社会保障関連に再投資されていく。この見方をぜひ併せて御説明いただけるといいと思います。
 以上です。
○永井部会長 加納委員、どうぞ。
○加納委員 ありがとうございます。私からは、先ほどちょうど松原委員におっしゃっていただいた医療法人制度の見直しからちょっと入りたいと思います。11ページのところからなのですが、先ほど松原委員がおっしゃったとおり、社会保障費で出ている分野であれば医療法人だけというのは非常に不思議な感じがしております。
 現在、社会保障費の中で突出して伸びているのは調剤薬局チェーン店等を中心に、調剤費の伸びなどです。そういったことを考えますと、医療法人だけがこういう形で見直しをするということに違和感を持っているわけなのですが、その中で12ページ等の頭にありますように「医療法人の経営情報のデータベースの在り方に関する検討会」の報告指針に基づいて、しっかりと我々も対応していきたいと考えております。あくまでも医療現場に負担がかからないように、ぜひとも考慮のほうをお願いしたいと思います。
 その中でもう一つ、「地域医療連携推進法人の活用促進」ということで、新たな地域医療連携推進法人には、公認会計士や監査法人による監査等に対するいわゆる高額な費用負担がかかる現在のものと違った形で個人のクリニック等が参加できる新しい地域連携推進法人ができることは非常に評価したいと思っております。
 それに関しましてはどんどん進めていただきたいという中で、13ページのところに今回書いてありますように、現行の地域医療連携推進法人に関しましては幾つかの問題が出てきているということの検証もぜひともお願いしたいと思います。複数の構想区域をまたがる大きな地域医療連携推進法人ができていたりとか、また大学病院が参加するものであればどうしても、ここにもそれらしく書いていただいていますが、医師の派遣に関しまして主従的な関係の中での地域連携推進法人が実際にできておりますので、そこら辺を含めてしっかりと再検討していただく場をつくっていただきたいかと思っております。
 それから、地域医療構想に関しましては地域によっていろいろな問題が起こっているかと思います。大阪では、協議の場で議論した結論に対してなかなか守っていただけない法人が出てきたりとか、いろいろなことが起きています。これに関しましてはやはり現在の問題を分析していただいて、次の地域医療構想に反映できるようぜひとも糧にしていただきたいと思っております。
 あともう一点、16ページに関しまして下から2つ目のポツですが、改善支援センター、または厚労省の中につくっていただいた相談窓口、非常に役に立っているというようなことを現状報告させていただきたいと思います。今、宿日直基準が非常に厳しかった中で、ちゃんとした理屈が通っていれば通していただけるという制度が今回できたということを非常に評価いたしております。今後もこれは続けていくべきだと確認しておりますので、この点に関しましてはぜひとも今後しっかり継続していただきたいと思います。
 その中で最後の18ページだけ、これは質問じゃなくて確認なのですが、最後のポツのところで、都道府県ごとの就業者数の目標の設定等を通じて、特定行為研修修了者、その他の専門性の高い看護師の養成と確保を推進すると明記されているわけなのですが、この目標の設定等というのはどういうものであったか、確認ですが教えていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
○永井部会長 事務局、いかがでしょうか。
○看護課長 看護課でございます。
 この目標の設定の考え方につきましては、医道審議会保健師助産師看護師分科会特定行為・研修部会で御議論いただいております。
○永井部会長 よろしいでしょうか。
○加納委員 ということは、まだ具体的なものではないということで、これから議論するということであるわけですね。
○看護課長 そのとおりでございます。
○加納委員 分かりました。
○永井部会長 楠岡委員、どうぞ。
○楠岡委員 楠岡です。
 まず、今回の改革に関する意見に関しましては今までの議論をしっかりまとめていただいているので、これに関しましては特にコメントはございません。それを踏まえまして、今後のこととしまして2点ほど申し上げたいと思います。
 1点はかかりつけ医の問題であります。今かかりつけ医を探しているけれどもなかなか見つけることができないという方に関しましては、今回いろいろな情報基盤を整備することでその手段を提供するということになっておりますが、それでもやはりなかなか見つけられないという場合、それから今かかりつけ医がいない、健康だと思っているのでかかりつけ医は要らないと思っている方も、将来のことを考えるとやはりかかりつけ医を持っていただくのは妥当ではないかと考えられるところであります。今回の制度改正も、その点に重点があるかと思います。
 その点から見ますと、情報提供体制を整えるから自分で探せというのは少し患者さんにとっては厳し過ぎるというか、もうちょっと何らかの手伝いが必要ではないかということ。それからかかりつけ医がいない方であまり今は必要性を感じていない方にどうやって感じていただくかということになりますと、医療サイドは接点がないわけですので、ここはどちらかというと保険者に頑張っていただく必要があるのではないかと思います。
 すなわち、医療機関にかかっていない方というのは保険者は把握されているわけですから、その方に対してかかりつけ医を持ってはどうですかというアプローチをしていただければ、これが広げる一つの手段ではないかと思います。
 ただ、やり過ぎますとHMOみたいになってしまいますので、この点に関しては今後いろいろ検討が必要であるとは思っております。
 2点目は、医療従事者の問題であります。今回、確保計画ということを出されているわけでありますけれども、2040年の問題は全ての働き手の減少によって医療従事者も非常に足りなくなることが十分予想されている中で、確保というと結局競争をあおるだけになりかねないと思います。
 現在のタスクシフト、タスクシェアリングというのは、医師の働き方改革を起点として玉突き的にどんどん広がってきたようなところもありますけれども、むしろ2040年における医療従事者の人手不足を見込んで、それぞれの職種における業務範囲をどう広げるか。タスクシフト、タスクシェアリングを将来的に10年後においてどのようにするかということを早急に検討いただく必要があるのではないかと思います。
 新たに法律を変えて可能になったとしても、今までその職種についている方は研修等がないとすぐには従事できませんし、また、場合によってはカリキュラムの改正という話になりますと、実効が出てくるのは5年、6年先の話になってまいります。したがいまして、早期にその辺りの青写真をつくり、早くから働きかけていかないと、2040年には幾ら確保しようとしてもそもそもの人材がいないということになりかねませんので、この辺りにつきましてもぜひ御検討いただきたいと思います。
 以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 相澤委員、どうぞ。
○相澤委員 どうもありがとうございます。ちょっとぜんそくの発作を起こして、声がこんなで申し訳ございません。
 ここの意見書案は大変いろいろな意見をまとめてくださってありがとうございます。その上で、これを見ますと、人口が過疎で人口密度が薄い地方からは、うらやましい話であると言わざるを得ないということです。かかりつけ医という医師をどうするかではなくて、医師すらいないんですね。どうするということがすごく大事ではないかと思います。
 というのは、日本は専門医をずっとつくってきたんですね。それがために、総合的に全身的に見ようとする医師はいません。今、そういう過疎地に行けと言っても、専門医として力を発揮することができないから嫌だ。どうしても行けと言うと、何か月で帰してくれるんですかという話になるんです。ですから、かかりつけ医の話などは人口密度の薄いところの住民にとってはどうでもいい話ということになってしまうというのが現状ではないかと思います。
 そういう中で、いろいろな医師の対策は打たれているのですが、病院にいるうちに総合的に診るマインドを養うということが私は極めて重要なことで、そのことが全く書かれていないというのが非常に残念な気がいたします。そういう総合的に診られる医師の育成というのを病院に義務として課していくということをして、地方の医師のいない過疎地の小さな病院や診療所に行ってもらうということをいかに仕組みとしてやっていくか。それが、ひいては都会における総合的に診てもらえる医師を増やしていくことになるのだろうと思います。
 例で言いますと、がん診療連携拠点病院が緩和ケア研修会を開きました。それによって、医師の緩和ケアに対するマインドが物すごく増えたんですね。そして、そういう会を開くということで地域の住民にも開いたところ、地域の住民の緩和ケアに対する意識も高くなったんです。
 そういうようなことを利用して、このかかりつけ医機能というのを医師側も、それから住民側もやはりマインドをしっかりとつくっていくということを私は最初にやってほしいなということで意見を申し上げさせていただきました。
 以上です。こんな声ですみません。
○永井部会長 ありがとうございます。
 松田委員、どうぞ。
○松田委員 ありがとうございます。
 事務局案、意見をまとめていただいてありがとうございました。総論につきましてもこれでよろしいかと思います。各論につきまして、幾つか意見を述べさせていただきます。
 まず地域医療構想、14ページからのところにありますけれども、今のままでは多分また同じように実効性があまり上がらないのではないかと思っています。
 その理由としては、基本的に皆さんいろいろなことを分かっていると思うんですけれども、病棟、病床機能の報告とかいろいろなものがありまして、実際に各地域でどういうニーズがあって、それに応えるためには各病院がどのように動いたらいいのだろうかというのは第三者的にはある程度もう書けるだろうと思います。
 ただ、やはり当事者にはそれは書けないし、当事者はその議論もできないだろうと思います。そうすると、これは間違えている場合もあると思うんですけれども、第三者がある程度その地域でどのような仕組みが望ましいのかということについて複数のシナリオを提示するというようなことをやっていかないと、多分これは前に進まないだろうと思います。
 都道府県の方のお話もありましたけれども、私もいろいろなところを手伝ってきて、やはり定期的に人が替わってしまう都道府県では分析のスキルの蓄積ができません。その部分は公的、第三者的なところ、私は大学だと思っていますけれども、そういうところが手伝っていくという作業をやらないと前に進まないのかなと思います。
 あとは、住民が理解しないと地域医療構想というのは、かかりつけ医もそうですけれども、多分動かないと思います。そのときに必要なのは、住民に対して分かりやすい地域医療構想なり地域医療計画の概要版みたいなものを示していくことだろうと思います。
 例えば、日本と同じように地域医療計画をつくっているフランスは、住民向けの分かりやすい地域医療構想を出しています。その中には、実はライフコースアプローチといって、第5次の医療計画の改定のときにクロカワ先生のワーキンググループで私たちの検討班で出させていただいたもので、これは東邦大学の先生が中心となってやられたものです。
 これはどうものかというと、例えば乳がんの検診をどこかで受けられて、そこで引っかかったらどこで精密検査が受けられて、その結果こうだったらどういう手術を受けて、それに対して例えば放射線治療だったらどこで治療を受ける。そういう一連の診療の流れを書いていくもので、その機能に対してその地域でどの医療機関があるのかということをイメージしていくというものです。そういうものを少し考えていかないと、先に進まないのかなと思っています。
 それから、かかりつけ医機能につきましては高齢者の方は今回書かれていますけれども、いろいろな委員の方とはちょっと意見が違うかもしれませんが、この国で一番かかりつけ医機能を具体化しているのは母子保健事業なんですね。大体、お母さんたちは近くの小児科にかかって、そこで予防接種を受け、健診を受け、必要があれば病院を紹介されて逆紹介を受ける。それから、救急医療に関しては地域連携小児夜間・休日診療料という形で診療所と病院の連携体制というものもできていて、それは診療報酬で実ちゃんと評価されています。そういう意味で、今、母子保健でやっているかかりつけ医機能的なものをいかにほかの臨床領域に広げていくかということがポイントになるのだろうと思います。
 そのときにポイントになるのが幾つかありまして、1つはやはり健診を受けるということ、それから予防接種を受けるということ、それからその人の生涯にわたる健康記録が共有できるということです。そうしますと、健診というのは40歳以上になりますけれども、特定健診・特定保健指導があるわけです。それで、私自身は特定保健指導をどこでやるかはいろいろあるとは思うんですけれども、特定健診は身近な医療機関で受けるという仕組みにすれば、母子保健における健診と同じような効果が持てるだろうと思いますし、そこで予防接種も受けられるような仕組みにすればいいのだろうと思います。
 母子健康手帳に関わるものとしては、後ほど山本先生のほうからお話があるかもしれませんけれども、PHRだろうと思います。やはり健康に関する記録というのはなかなか一般の方には解釈が難しいので、本人に解釈をサポートしてあげるという専門職が必要で、それが医療職なんだろうと思います。そのときの共通になる情報基盤というのがPHRだというふうに私自身は考えていますので、そういう方向でやっていただけたらいいのではないかと思います。
 大体、以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 それでは、最後に山崎委員お願いします。
○山崎委員 今回から委員として参画をさせていただきます岡山県鏡野町長の山崎です。
 議題であります医療提供体制の在り方については、全般的には賛同いたします。今般の新型コロナウイルス感染症の影響によりまして地域医療提供体制の脆弱さが露呈したところであります。そのような状況の中で、取り分け人口減少地域における医療機能の維持、または確保を含めまして医療確保計画、あるいは養成課程を通じた医療偏在対策など、医療の担い手の確保を進める。資料1の4ページでありますけれども、その方向で取りまとめていただいて、非常に心強く感じているところであります。
 我が町にも町立病院がありまして、今、発熱外来が非常に逼迫しておりまして、患者、医師とも疲弊しているところであります。ちょっとそれを付け加えておきます。
 それから、町村部は都市部に比べて少子高齢化が非常に先行しております。今後、在宅医療等、ニーズが急速に高まる。今そうなっておりますけれども、自治体の意見を取り入れた議論をぜひ深めていただきたいと思います。
 あわせて、医師不足あるいは医師の特に開業医でありますけれども、高齢化も非常に大きな課題となっております。特にかかりつけ医などはやはり開業医が多うございますので、そういうことになっているということもお話をしておきますけれども、どこの地域にいても住民が居心地がいい、安心して暮らせるという地域医療体制が恒久的に確保されるよう、引き続き皆様方の御協力をお願いいたしたいと思います。
 その中で、7ページの(3)にかかりつけ医のことが記述されているのですけれども、それは次の8ページの○の2つ目の最下段から順番に記述されています。読み上げますけれども、大病院から患者を逆紹介させる仕組みを機能させるために全人的な診療に対応できる総合力を有することは必要であるというのはそのとおりだと思うのですけれども、上から2行目に「多様な機能を一人の医師・一つの医療機関だけで担うことは現実的ではなく」という記述があります。文言の整合性からしてどうなのかなと思うところがちょっと不可解だったのでお尋ねをいたします。
 以上です。
○永井部会長 今の点、いかがでしょうか。
○総務課長 ありがとうございます。
 ここの点の記述に関しましては、多様な機能をという場合に、在宅でありますとか、あるいは時間外の対応等々につきまして、そういったものに関して一つの医療機関だけで、あるいは一人の医師で24時間ずっと働くとか、あるいは一つの医療機関は規模も様々である中でそういった対応というものを、特に在宅の患者さんなどは緊急時の連絡等々を含めて一人、あるいは一つで担う。そこだけに依存するということはなかなか現実的ではない面があるのではないか。そういう中で、連携を考えていく必要があるのではないかという考え方で記載をさせていただいているということでございます。
 他方で、こちらの「全人的な診療に対応できる」というようなことにつきましては、高齢者の方を例示で出しているわけでございますけれども、複数の疾患を持たれる、あるいはさっき申し上げたように在宅の場合とかも含めて、それではその科ごとにその方を診るというようなことで様々な地域はありますけれども、果たして対応ができるのかどうかという中で、先ほど相澤先生からもお話がございましたが、もう少し幅広く診られるような医師の在り方というものが重要ではないかということで記載をさせていただいていると、事務局としてはそういうふうな意識で書かせていただいているということでございます。
○山崎(親)委員 いいですか。
○永井部会長 手短にお願いします。
○山崎(親)委員 町民からしてみれば、かかりつけ医というのは複数いるのではなくて一人の人が総合的に診療をしていただくというのは、誰が考えてもそのとおりだろうと思います。そういうふうなところでは、なるべくそういう医師を育てるというのは私どもにとりまして必要なことでありますので、ちょっと追加をさせていただきたいと思います。
○永井部会長 ありがとうございました。
 私からは前にも発言しましたけれども、日本の医療というのは非常に微妙なバランスの上に成立しておりますので、このかかりつけ医はくれぐれもそうしたバランスをよく図りながら進めていただきということを改めて申し上げたいと思います。
 よろしいでしょうか。今日は意見書の取りまとめを行いたいと思います。本日いただいた意見を含めて少し修文等、調整させていただきますが、最終的な意見書の文案につきましては部会長に御一任いただけますでしょうか。
(委員首肯)
○永井部会長 ありがとうございます。では、そのようにさせていただきます。
 それでは、ちょっと遅れましたけれども、「オンライン診療の適切な実施に関する指針の改訂について」の説明をお願いいたします。
○医師養成等企画調整室長 それでは、資料2「規制改革実施計画におけるオンライン診療指針に関する指摘への対応」について御説明させていただければと思います。
 今回、この資料につきましては大きく2点、「不適切な診療への対応について」というところと、「情報セキュリティ方策についての指針の見直しについて」とございます。
 まず「不適切な診療への対応について」、御説明させていただきたいと思います。
 2ページをお開きください。本年の6月7日に閣議決定されました規制改革実施計画の記載がこちらに載っております。少し読み上げますと、「厚生労働省は、オンライン診療の普及・促進の前提として、患者の安全を確保するため、診療内容等が適切でないと考えられる、オンライン診療を含む診療の実態を把握し、診療内容等が適切でないと考えられる事例について周知するとともに、患者の安全を確保するために必要な措置を講ずる。」というように記載されております。
 こちらの記載事項につきまして、対応案を3つ挙げてございます。
 1点目が「不適切診療の実態の把握」、2点目がオンライン診療指針の見直し、3点目が「国民への周知」というものでございます。
 まず「不適切な診療の実態」について次のページをおめくりいただきまして、実態の把握の方法について上の四角で囲っております2点を挙げております。
 まず1点目がPIO-NET(全国消費生活情報ネットワークシステム)に集積された相談事例から情報を抽出したということと、もう一点が日本医師会において調査いただいております実態の把握の事例を活用させていただいたというものがございます。
 実際に抽出した事例について、下に4つ挙げさせていただいております。上の3つについては、恐らくこれは糖尿病の治療薬について使用した例でございまして、下の1つが鬱の診断書を発出しているというようなものになっております。
 具体的に少し見てみますと、1ポツ目でございますけれども、薬を飲んだところ下痢、腹痛、頭痛、めまいの症状が出た。2ポツ目も同様に、吐き気、めまい、嘔吐、倦怠感の症状が出たというような記載がございます。
 3ポツ目につきましては、やせ薬があると勧められて内服したところ、意識を失って転倒し、唇等をけがしたというような事例が抽出されております。
 一番下のポツにつきましては、初診からオンライン診療で休職目的の患者さんを診療して、診察後すぐに鬱の診断書を発出しているというような事例が把握されております。
 こういった事例に対しまして、4ページ目にこれまで不適切診療の実態に対して対応がなされておりますけれども、特に糖尿病治療薬、GLP-1受容体作動薬の適応外使用に関しましては、日本糖尿病学会から2020年7月に注意喚起文が出ております。具体的には、美容・痩身・ダイエット等を目的とするGLP-1受容体の作動薬の適応外使用に関しましては安全性と有効性が確認されていないということでして、薬剤の適正な処方を行ってくださいというような注意喚起文が出ております。
 次のページをおめくりいただきまして、こういったこれまでの経緯を踏まえまして今回指針の見直しと国民への周知ができればと思っております。
 まず「指針の見直し」につきまして、上に具体的に見直し(案)を記載しております。
 1ポツ目でございますけれども、「オンライン診療においては、対面診療と比べて、医療へのアクセスが容易になるという側面を考慮し、安全性・必要性・有効性の観点から、各学会の対面診療においても用いられる診療ガイドライン等を踏まえた適切な診療を実施しなければならない。」
 また、「オンライン診療を実施する医療機関は、ホームページや院内掲示等において、指針を遵守した上でオンライン診療を実施している旨を公表するものとする。」としてはどうかと考えております。
 また、「国民への周知」といたしましては、日本医学会連合においてオンライン診療の初診に関する提言というものを作成いただいておりまして、その中でオンライン診療の初診での投与について十分な検討が必要な薬剤というものがございますので、そういったものを周知してはどうかと考えているのと、あとはこれまでの経緯の中で糖尿病治療薬の不適切使用についてはやはり懸念が示されているところではございますので、特にGLP-1受容体作動薬の不適切使用につきましては現状、研究班でも研究しているところでございますので、その研究結果も踏まえて、周知方法も含めてどういうふうにできるか、どういうように周知できればいいかということを検討した上で周知できればと思っております。
 以上が、不適切な診療に対する対応方針になっております。
 続きまして、「情報セキュリティ方策についての指針の見直しについて」というところでございます。
 7ページをおめくりください。こちらも本年6月に閣議決定された規制改革実施計画の中の記載事項になっております。具体的には、オンライン診療を実施するために必要な医療機関の情報セキュリティー確保の方策について、オンライン診療の場合に対面診療に比較して厳格な情報セキュリティーを求められることなど、合理性に欠けることがあるのではないかというような懸念点が示されておりまして、指針について必要な見直しを行うこととされております。
 具体的な見直し事項について、5つ挙げられております。
 1ポツ目ですけれども、「情報通信及び患者の医療情報の保管について十分な情報セキュリティ対策が講じられていることを、医師が確認しなければならない」ということについて見直してはどうか。
 2ポツ目は、「PHR(Personal Health Record)を診察に活用する場合に、PHRの安全管理に関する事項について、医師がPHRを管理する事業者に確認することとされていること」。
 3ポツ目ですけれども、「汎用サービスが端末内の他のデータと連結しない設定とすることとされている」ということです。この汎用サービスと申しますのは、オンライン診療に特化したサービスではなく、オンライン診療に限らず広く一般に使用されている資格情報を用いた、情報通信システムを用いたオンライン診療のサービスでございますけれども、そういったものが端末内の他のデータと連結しない設定とされているというようなことについて指摘されております。
 4ポツ目ですけれども、「チャット機能やダウンロード機能は原則使用しないこととされていること。」
 そして、最後に「オンライン診療システム事業者がシステム全般のセキュリティリスクに対して責任を負うこととされていること」について見直してはどうかというように計画の中で記載されております。
 こういった指摘事項を踏まえまして、指針の見直し案を8ページに記載しております。
全体的な見直しの方針につきましては一番上に記載しておりますけれども、今般サイバー攻撃事案のリスクが高まっている現状も踏まえまして、実効性が高く、より確実にセキュリティーを担保できるよう、指針の方針を見直してはどうかと考えております。
 具体的に1ポツ目につきましては、情報セキュリティー対策について医師が確認しないとされていることにつきましては、やはり医療機関の管理者が行うべき事項もあろうかと思いますので、そういった事項を明確にするとともに、セキュリティー対策を行った場合においてもやはりセキュリティーのリスクというものは常につきまとうものではないかと考えておりますので、そういったリスクについては医療機関側から患者に十分に説明した上で、医療機関側と患者双方が情報セキュリティーに関するリスクについて合意した旨を診療録に記載してはどうかと考えております。
 次に2ポツ目、PHRの安全管理に関して医師がやはり確認することということにつきましては、まず医療機関が電子化された診療録等を含みますような医療情報システムと、PHRのような健康情報システムを接続する場合には、やはりその診療録等の情報が漏れるリスクというものもございますので、この指針のみならず医療情報安全管理関連ガイドラインを参照する旨を記載してはどうかと考えております。
 また、そういった医療情報システムに影響を与えずに外部の健康情報システムを利用できる場合については、指針でその取扱いを示せればと考えております。
 3ポツ目ですけれども、汎用サービスが端末内の他のデータと連結しない設定とされていることにつきましては、まずその汎用サービスにつきましてはやはりそのセキュリティーについて医療機関側が十分にどの程度安全かということを把握するのがある程度困難かなと考えておりますので、こういった汎用サービスと医療情報システムをまずは連結しないということを考えております。その上で、汎用サービスを利用する場合には、そのオンライン診療実施時に第三者が紛れ込むような三者通信というものが、やはりオンライン診療に特化したサービスではございませんので、そういったリスクがあるかと思っておりますので、そういう意図せぬ三者通信が起こらないことをオンライン診療実施時に確認する旨と、その意図せぬ三者通信の例を記載してはどうかと考えております。
 4ポツ目でございますけれども、チャット機能やダウンロード機能は原則しないこととされていることにつきましては、やはりリスクとともにベネフィットもあるかなと考えておりますのでそのバランスが重要であって、診療上必要で、かつリスクが低減されているものに限っては使用可能である旨を記載してはどうか。例えば、医師が患者からのリンク等のないチャットを参照することにつきましては、やはりリスクがある程度低減されているものと考えられますので、どのような範囲であれば参照とされるかについても例示できればと考えております。
 最後に、オンラインシステム事業者がシステム全般のセキュリティーリスクに対して責任を負うことにつきましては、医療機関とシステム事業者の間で責任分解点というものがあろうかと考えておりますので、そういったものを踏まえた記載としてはどうかと思っております。
 一方で、システム事業者のほうがセキュリティーリスクについては十分に把握しているというようなことも考えられますので、そういった点につきましてはシステム事業者から医療機関に対して十分に説明すること、あるいは医療機関は十分にそういった説明を受けることについても同様に記載できればと考えております。
 資料2につきましては、以上になります。
○永井部会長 ありがとうございます。
 それでは、御質問のある方どうぞ。
 山口委員、どうぞ。
○山口委員 ありがとうございます。
 このオンライン診療の不適切な使用について、特にGLP-1については以前からかなり問題だと思っております。
 GLP-1については、メディカルダイエットというような言い方で、さも正当化された治療のように広告されているものが散見されます。このGLP-1については、一般の医療機関ではほとんど使っていなくて、やはり美容医療が中心だと思うんですけれども、そうすると指針を見直すことはもちろん構わないのですが、美容医療は広告でもイタチごっこの状況がある中でどう徹底していくのかということを事務局から御意見をお聞かせいただきたいと思います。
 それからもう一点、今回の議題ではないんですけれども、オンライン診療ということで電話の初診ということが2020年の4月にオンライン診療の初診が解禁されたと同時に、全く議論のないままに電話初診も解禁されて今も継続しています。そうしますと、例えば夜間に症状があって♯7119に相談をしたら、近くにこういう医療機関があるのでまずは電話してから受診したらどうかと言われて電話をしたところ、後日、医療費の請求をされたという相談が実際に私たちのところに届いています。
 オンライン診療であれば、最初に今から診療ですという同意をして実施すると指針に記載されているのですけれども、電話の場合は調べてみたところ、2回通知が出ている中で、2020年4月10日の通知の中で保険証の確認と連絡先の確認をしましょうと書いてあるだけでどこにもルールがないです。これはやはりちょっと問題だと思いますので、そろそろ電話の初診についてはやめる方向で考えるのか、継続するのであればしっかりルールをつくるべきではないかということを感じておりますので、その辺りについても事務局の御意見をお聞きしたいと思います。
○永井部会長 いかがでしょうか。
○医師養成等企画調整室長 御質問ありがとうございます。
 まず1点目は、GLP-1受容体作動薬を用いたようなメディカルダイエットというようなものに対してどう対応していくのかという御指摘かと思っております。こちらは、まず今回規制改革実施計画の中でも取り上げられましたように、GLP-1受容体作動薬についてはやはり不適切ではないかというような懸念が示されておりまして、これまで学会においても注意喚起文や、あるいは今般、我々のほうでもその対応方針を考えまして、その中で指針の見直しプラスアルファ、やはり国民への周知も必要ではないかと思っております。
 それで、こちらはそういうようには考えておりますけれども、こういった不適切診療というものは受容体作動薬にかかわらず、十分にほかの診療内容でも起こってくるものではないかと考えておりますので、そういったものに対してどう対応していくのかというようなことかと受け止めております。
 そういったものについては、今般6月からの短期間の中でできる範囲でこういう国民への周知や指針の見直しというものを案として考えたものでございますけれども、今後も引き続きどういったことができるかということについては、その必要性も含めて考えていければと思っております。
 次に、電話の初診については先生がおっしゃるように、令和2年4月10日に発出された事務連絡の中で初診について解禁されたものになっております。電話の初診につきましても、現状コロナ禍を踏まえて時限的、特例的にこういった電話の初診も認めているというような状況ではございますけれども、今後継続についてはコロナ禍の中でほかの制度との並びも含めてどういうふうに考えていくかということもございますので、この電話初診の継続、あるいはその内容、適切性といったことにつきましては今後も我々のほうでその必要性も含めて考えられればと思っております。
 以上でございます。
○永井部会長 よろしいでしょうか。
 神野委員、どうぞ。
○神野委員 今、大雪が吹雪いている田舎からですので、山口委員がおっしゃったメディカルダイエットなどという情報は全然知らなかったのですけれども、今、初めて聞きました。
 今回の不適切事例ですけれども、オンラインであろうが、対面であろうが、駄目なものは駄目なのです。だから、オンラインだから駄目だという話ではなくて、リアルでも駄目なものは駄目だということですし、こういったものに関しては本来やはり厳罰に処すべきであると思います。
 医師による善意の適応外使用というのは認められているわけでありますけれども、これは全く善意ではなくて患者さんの状態を悪くする悪意ですので、こういったものについて今の法体系でできないものか。もしできないならば、何とかできるように考えるべきであると思いますし、それとも医師法のほうではなくて保険医登録という方法、保険医登録の抹消という方法もあるかもしれませんし、あるいはここに日本医師会の角田先生がいらっしゃいますけれども、プロフェッショナル・オートノミーとしてこんなものは医師会からどんと厳罰に処すというくらいのことをやってもよろしいのではないかと強く思います。
 以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 河本委員、どうぞ。
○河本委員 ありがとうございます。
 資料に記載の不適切な診療への対応、あるいは実態把握の方法についてはもちろん異論はございません。
 オンライン診療について、私ども有効性、安全性の担保を前提に積極的に推進すべきというふうに申し上げてきております。具体的には、現役世代が働きながらその必要な治療を継続するとか、あるいはさらには今回の新型コロナのような感染症流行下において安全・安心を担保しながら必要な治療を受けられる。そういう意味では有用な手段であると考えております。
 この資料に示されている不適切な診療ですね。今、神野先生もおっしゃったように、オンライン診療であろうとなかろうと、患者、国民の信頼を損ねるものでありまして大変に遺憾でございます。本日、示された対応の方向性に沿って、必要な措置が早期に講じられるべきだと考えております。
 以上でございます。
○永井部会長 ありがとうございます。
 角田委員、どうぞ。
○角田委員 日本医師会の角田です。
 今、神野先生がおっしゃったように、不適切事例はオンラインであろうと対面であろうと、とにかく不適切は不適切だと思っておりますので、何かしらの対応を取りたいと思っております。
 ただ、一方で、オンラインのほうが非常にアクセスしやすいということで、こういった不適切事例が起こりやすいということは言えるかもしれません。今回、この不適切な処方を契機に、指針を遵守してオンライン診療を実施しているということを医療機関がやれば非常に有効だと思いますし、また国民への周知を図ることも大変有効だと思います。
 ただ、今回の事例以外にもオンライン診療に関するコマーシャルとか、多くの医師を集めてオンライン診療をさせるとか、その行為が適切とは言えない非常に疑問を抱くような事例がございます。また、オンライン診療専門の医療機関についても懸念がございます。これらは仮に違法ではないと判断されたとしても、やはりある意味、不適切であると考えます。
 医療法などに違反しているとは言えない事例でも、地域医療構想やかかりつけ医機能など、厚生労働省において実施されている他の医療政策にそぐわないような事例、これについては適切に指導を行い、整合性のあるものにしていただきたいと思っています。
 また、一方で、真摯にオンライン診療に取り組まれている医師の方はいるわけで、それらが利便性や収益性のみを求めているような印象を受ける診療形態にならないようにお願いしたいと思います。
 私からは以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 佐保委員、どうぞ。
○佐保委員 ありがとうございます。
 不適切な診療への対応は重要であり、5ページの「指針の見直し(案)」に異論はございません。
 ただ、不適切な診療があるから即オンライン診療が駄目なものというふうにならないようにすることが重要と考えます。リスクコミュニケーションの観点から、専門家の参画の下で国民への周知案を検討されると聞いております。こうした専門家の意見も踏まえつつ、オンライン診療の適切な実施に向けて、国民の誤解を招かないように周知していただくようお願いします。
 以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 野村委員、どうぞ。
○野村委員 ありがとうございます。
 オンライン診療の以前からの経緯や、そしてコロナの流行によりさらに充実してきたことなど理解しております。なかなか受診できない地域や、小児科が地域に1件しかないとか、もしくは小児科がないなどの地域においては、本当に実情に合わせて有効利用できることは大変ありがたい医療システムであるとも思っています。
 ただ、SNS等で流れてくる情報ですと、やはり子供の医療においてもオンライン診療の普及啓発をしている本当の意図とは若干違うようなニュアンスで、受診する手間が省けるとか、自宅で待っているだけでなど、使い方なども含めて、いま一度情報を共有していただきたいと思います。
 上手な医療のかかり方というものの連携や共存という中で、正しいオンライン診療の使い方、提供する側も私たち使う側のほうも同じように周知していただきたいと思います。
 以上です。
○永野委員 ありがとうございます。
 島崎委員、どうぞ。
○島崎委員 指針の見直し方針の案につきましては、異論はございません。これで結構だと思いますが、1つ申し上げたいと思います。サイバーセキュリティーの関係の責任を誰が負うかというと、個々の医師ではなくて医療機関になっています。これは当然だと思いますけれども、実は、オンライン診療指針は医師法20条の無診察診療との関係で議論されてきた経緯があり、基本的には医師の責任を中心にまとめられています。
 その結果、例えば遠隔画像診断のようにD to D つまり医師と医師間の行為については、患者と直接契約のある医師が責任を負い、遠隔画像診断でいえば画像を送付され読影する方の医師はオンライン診療指針の適用外です。その結果、オンライン診療指針上、医師法関連の規定だけでなく、情報セキュリティーに関する規制もかからないことになってしまいます。オンライン診療指針が誰に対する規制なのかは法制的にいろいろ精査していかなければいけませんので、年度末までにやるべきだと申し上げているわけではありませんが、一度ぜひ基本に立ち返って整理をしていただきたいと思います。
 以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 楠岡委員、どうぞ。
○楠岡委員 楠岡です。
 オンライン診療だけではなくて、医療情報システム全般に関するセキュリティーのガイドラインが見直されていて、近々第5.2版が6版になるというふうにお聞きしております。その中で大きく今までと違うのは、セキュリティーの責任レベルというものを3段階に分けて、経営者が考えることとか、システム管理者が考えることというふうに分けているわけでありますけれども、それによって初めてそれぞれの段階において何をすべきかということが明示され、かつ注意をしやすくなってくるかと思います。
 今回のオンライン診療のセキュリティーの見直しも、今ここに出ているのはそのレベルがごっちゃになっていて、一体どこを誰が責任を持つべきかが全くわからない形になっておりますので、ぜひガイドラインと同じようにレベル分けして、それぞれ具体的な対応が分かるような指針にしていただくようにお願いしたいと思います。
 以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 では、小熊委員お願いします。
○小熊委員 小熊です。オンライン診療のことについて2点申し上げます。
 1つは、いまだにこのような適応外で薬剤を使う医者がいるなどというのは信じられませんけれども、現実にいるんですね。
 では、それをどうするかというと、何らかのチェック機能を働かせなければいけないだろうと思います。好き放題勝手にやるという状況では、例えばこれは適応外、周知はしていましても、知っていてやっているわけですから、先ほど神野先生が言いましたけれども、ペナルティーを与える前にそういうことをやっているというのをチェックする機構を考えなければいけないのだろうと思います。それが1点です。
 もう1点は、オンライン診療で前回も申しましたけれども、ドクターと患者さんの間に本当に理解が成立しているか。それを最低限きちんとスムーズに理解が進むようにしなければ、このサイバーセキュリティーの問題とは別にそういった問題が非常にあるのだろうと私は思っています。オンライン診療を進めるに当たっては、そこら辺のことをしっかり考えていかなければいけないのだろうというふうに私は思っています。
 以上です。
○永井部会長 ありがとうございました。
 時間の関係で、また何かありましたらメール等でお寄せください。
 では、この件はここまでとして、最後に「感染症法等の一部を改正をする法律の成立について」、事務局より説明をお願いいたします。
○医療政策企画官 お手元の資料の3を御覧ください。
 今月2日に、こちらの医療部会でも議論いただきました感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律等の一部を改正する法律が成立いたしました。お手元の資料には参考資料といたしまして、衆議院での修正ですとか附帯決議、さらには実際に官報が公布されておりますが、12月9日、成立から1週間後の官報公布、さらには施行通知等々を載せさせていただきました。
 これまで御議論いただきまして誠にありがとうございます。こちらにつきましては、第8次医療計画に6事業目として反映させていかなければならないということで、既にもう8次計画検討会のほうで議論を始めさせていただているところでございます。また、進捗等につきましてはこちらの部会に御相談させていただきたいと思っておりますので、引き続きよろしくお願いいたします。
 簡単ですが、私のほうからは以上でございます。
○永井部会長 ありがとうございます。
 本日の議題は以上でございます。
 事務局から、連絡事項等をお願いいたします。
○医療政策企画官 本日は一般傍聴の制限をさせていただいておりますので、議事録につきましては可能な限り速やかに公表できるよう、事務局としても校正作業を進めてまいりますので、委員の皆様におかれましても御多忙中とは存じますが、御協力いただければ幸いでございます。
○永井部会長 ありがとうございました。
 それでは、これで終了いたします。長時間ありがとうございました。

 

(了)

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