ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(医療部会)> 第91回社会保障審議会医療部会(2022年9月29日)

 
 

2022年9月29日 第91回社会保障審議会医療部会

医政局総務課

○日時

令和4年9月29日(木)13:00~15:00

 

○場所   AP新橋 3階 Aルーム


○議事


○医療政策企画官 定刻になりましたので、ただいまから、第91回「社会保障審議会医療部会」を開催させていただきます。
 委員の皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席くださいまして、誠にありがとうございます。
 本日は、新型コロナウイルス感染症対策の観点から、オンラインによる開催とさせていただきまして、傍聴は報道関係者のみとさせていただいております。
 会議中の留意事項につきましては、事前に送付させていただきました「オンライン参加の留意事項について」を御覧いただければと思います。
 次に、本日の委員の出欠状況について申し上げます。
 本日は、内堀委員、松原委員から御欠席との御連絡をいただいております。医療部会の総委員数が24名で、定足数は3分の1の8名となっておりますので、本日は23名の委員の皆様が御出席となりますので、定足数に達していることを御報告させていただきます。
 次に、議事に入ります前に、資料の確認をさせていただきます。事前に、議事次第、委員名簿、座席表のほか、資料1-1及び1-2を送付させていただいておりますので、お手元に御準備いただければと思います。
 では、カメラの方はここまででお願いいたします。
 以降の進行は、永井部会長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○永井部会長 よろしくお願いいたします。
 初めに、御欠席の内堀委員の代理として、伊藤参考人の御出席をお認めいただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(委員首肯)
○永井部会長 ありがとうございます。
 では、議題に入ります。「かかりつけ医機能について」事務局より説明をお願いいたします。
○総務課長 医政局の総務課長でございます。今日もよろしくお願いいたします。
 資料を2種類、御用意をしております。かかりつけ医機能についてということで、資料1-1と1-2がございます。
 1-1から順番に御説明をさせていただきたいと思います。
 おめくりいただきまして、2ページとなります。今日御議論をお願いいたします経緯について簡単にまとめております。
 かかりつけ医の機能の強化ということにつきましては、令和2年の医療部会でも御報告いたしましたけれども、「外来機能の明確化・連携、かかりつけ医機能の強化等に関する報告書」といったものに基づきまして、事例を調査・研究する、好事例の横展開を図るといった対応を進めてきているところでございます。
 その上で、政府全体として、2021年の改革工程表や次世代型の構築会議の中間整理、あるいは今年の骨太方針におきまして、機能の明確化やかかりつけ医機能が発揮される制度整備といったものを含めまして、提供体制の国民目線での改革を進めるということとされているところでございます。
 こういったことを踏まえまして、話として、医療計画の法定事項ということではございませんが、外来の中あるいは在宅の中で関連するところが深いということで、まずは医療計画の検討会のほうで御議論をお願いしたということでございます。2回にわたりまして、機能の定義や発揮させる維持、あるいは機能を発揮させるための具体的な仕組み等について、御議論をお願いしたということでございます。
 今日につきましては、そういった議論の経過も含めて御説明をさせていただいた上で、御議論をお願いしたいと考えております。
 少し飛びますけれども、6ページを御覧いただければと思います。
 先ほど申し上げたような改革の工程表の中で、機能の明確化と患者・医療者双方にとって有効に発揮されるための具体的方策について検討を進めるということでございます。
 それから、7ページでございますが、こちらの一番下、基本方針のほうに書いていますように、今後の医療ニーズや人口動態の変化、あるいはコロナ禍で顕在化した課題を踏まえて、質の高い医療を効率的に提供できる体制を構築するために、機能分化と連携を一層重視した医療・介護提供体制の国民目線での改革を進めることとし、かかりつけ医機能が発揮される制度整備を行うとともに、連携推進法人あるいは都道府県の責務の明確化などについて、法制上の地位を含めた地域医療構想を推進するという記載がなされているところでございます。
 その上で、計画検討会のほうで9ページと10ページにわたって2回にわたって御議論をお願いしたということでございます。
 このかかりつけ医あるいはかかりつけ医機能といったものに関しては、様々な御議論があるかと思います。他方で、その具体的な内容について、言葉としてかかりつけ医機能と抽象的に議論をすると深まらないこともございまして、できる限りどういった具体的な機能が求められているのか、あるいはそれを発揮するためにはどういった具体的な仕組みが必要なのかといった点について、計画の検討会では御議論をお願いしたという経緯でございます。本日もそういった御議論をお願いできればと考えている次第であります。
 10ページを御覧いただければと思いますが、今申し上げたとおりでございますが、今日も3つほどの点について御議論をお願いしたい、御意見を拝聴したいと思っております。
 1番目にありますけれども、かかりつけ医機能という用語につきまして、議論される方、あるいは御主張によって様々な意味で用いられていると考えられるわけでありますが、具体的にどのような機能を想定して議論を進めるべきなのかということでございます。
 その上で、いろいろな機能があるという考えられる中で、今、その仕組みを考えるならば、日本の医療の現状や今後の課題を踏まえたときに、改めて今、かかりつけ医機能を明確化する、あるいは発揮させる意義というものについてどういうふうに考えるのか。その上で、かかりつけ医機能というのはどのように定義をすべきものなのかということが2点目でございます。
 その上で、3点目と書いてございますが、様々な機能がございますが、その発揮に関連して、全体としての機能あるいは個別具体的な機能について発揮が期待される理由でありますとか、発揮させるための制度整備というものについてどういうふうに考えるのか。
 これら3点について、御意見を頂戴できればと考えております。
 11ページから、少し簡潔に御説明いたしますが、そういった意味で、かかりつけ医機能は様々な切り口があるかと思います。その御参考ということで、少し資料の御説明をいたしますが、11ページはライフステージということで、どういった年代層についてこれを考えていくのかということがあるかと思っています。
 それから、12ページでございます。これは一つの切り口ではありますが、年齢層に加えてどういうふうな疾患を考えるのか、生活習慣病なのか、これは急性期の話なのか、風邪のような話なのか、難病の話なのか、そういった様々なニーズがある中でどのように考えていくべきなのかということでございます。
 13ページからは医療に関する意識ということでありますが、かかりつけの診療科ということで言いますと内科が多いということがございますが、それ以外に様々な課で御自身のかかりつけ医はこういう方だという回答がなされているということでございます。
 それから、14ページでございます。こちらも先ほどとつながりますけれども、御自身のかかりつけ医というのは診療所の方なのか、中小病院なのか、大病院なのかという分布に関する資料でございます。
 15ページから、かかりつけ医機能あるいはかかりつけ医というものについて、どのようなことが定義といいますか、そういった形で用いられているのかということでございますが、厚生労働省のほうで医療機能情報提供制度ということで、これは医療機関から各都道府県に自らの医療機関が有している機能というのを報告していただき、それを閲覧に供するという仕組みがございます。様々な機能が書いておりますが、その中で、これは省令と医療法の施行規則ということでありますが、そういった機能の一つとして、身近な地域における日常的な医療の提供や健康管理に関する相談等を行う医療機関の機能として大臣が定めるものというものをかかりつけ医機能と言っているということでございます
 具体的には大臣が何を定めるのかということでございますが、ここに書いていますのは、1号、日常的な医学管理でありますとか地域の連携、在宅、あるいは適切な分かりやすい情報提供という項目が4号まで書いてある。
 5号からは少し趣向が違いまして、診療報酬で包括的な点数あるいは機能強化加算など、どういった点数を算定しているのかということが掲げてあるということでございます。
 これは今、私どもが持っている制度でございますけれども、1号から4号で確保されている具体的な機能内容が果たして明らかなのかどうかということもございますし、5号から8号については、診療報酬の点数で何を取っているということをそのままお示ししても、患者・国民には理解がし難い面もあるのかなと。ここは少し改善の方向というのを考えていかなくてはいけないのかなと思っております。
 それから、16ページでございます。これは日本医師会、それから四病院団体合同で平成25年に提言をされたということであります。かかりつけ医、何でも相談できる上に、情報を熟知し、必要なときに専門医、専門医療機関を紹介できて、身近で頼りになる地域のこういったものを担う総合的な努力を有する方ということを定義として書き、その上で、かかりつけ医機能について4つほどその下に記載をしているということでございます。
 その上で、17ページでございますが、患者さんのほうから見て、かかりつけ医についてどういうイメージを持っていらっしゃるかということであります。ここに書いていますように、相談しやすいあるいは信用しているといった関係性・人間性に関すること。それから、いつもかかるとかというかかり方に関すること。あるいはその役割に関すること。こういうふうな意識がうかがわれるということであります。
 それから、18ページはどういうふうなものをかかりつけ医に期待するかということであります。多いのはどんな病気でもまずは診ていただけるという話でありますとか、あるいは専門医なりに紹介をしていただける。あるいは健康管理の助言や親身な対応といった項目。それから、夜間・休日の対応といったものもあれば、右のほうに行きますと、介護とか在宅医療の対応に関する期待もあるということで、様々な役割が期待されているということかと思います。
 19ページは、少し細かくなりますけれども、これは厚生労働省の調査になりますが、先ほどと同じようにかかりつけ医に期待をされているということを、もう少し細かく取った調査でございます。
 黒で書いてあるところが必要であると書いておりますので、黒が多いところといいますと、健康状態や治療効果を把握してくれるでありますとか、適切な専門家を具体的に紹介してくれといった話ですね。それから、右側のほうに行きまして、4割を超えているのは診療方針に関してアドバイスをしてくれるでありますとか、在宅療養の中で病院などと連携ができているということが多く挙げられているのかなということでございます。
 その次の20ページは、永井先生が有識者会議で座長をされたということでございますけれども、新型コロナの対応に当たって振り返ってどういうことだったかということで報告をいただいた有識者会議の報告であります。
 コロナの対応の中で、ここに書いてあるように各地域で医療機関が果たすべき役割が具体化されていなかった、あるいはかかりつけの医療機関が組織的に関わるような仕組みがなかったということが指摘されているということでございます。
 具体の事例については矢羽のほうに書いてありますが、そういった中で、かかりつけの医療機関についても、平時から役割分担を明確化するということが重要ではないかということが指摘されているということでございます。
 それから、21ページは、そういった中で、コロナの中でかかりつけ医について思うことということで、図21のほうはかかりつけ医がいない方に関してであります。そういった中で、どういう人がかかりつけ医なのか分からなかったでありますとか、どういう医師がかかりつけ医になるのか情報が欲しいとか、あるいは健康なときから何でも相談できるか、かりつけ医師を持っておきたいといったかかりつけ医に対する高い関心があるということがうかがわれるかと思います。
 もう一つ、図22のほうは、今度はかかりつけ医がいる方ということですが、コロナの中でかかりつけ医がいてやはり安心だった、あるいは信頼感が高まった。あるいは最後、日頃からの必要性を感じたということが高い割合になっているということかと思います。
 その上で、22ページでありますが、先ほど来申し上げておりますように、かかりつけ医機能というと様々な機能を想定されるのかなということでございます。これは事務局のほうで試みに作ってみたものでございまして、発症の前の予防の段階から、初診、それから専門の医療機関から帰ってくる場合には逆紹介を受け入れて、その上で、慢性期になっては、慢性期における継続的な管理、継続的な診療がございますし、高齢者、高齢社会の中では、最後は在宅でありますとか看取りといったもの、あるいは包括ケアとの連携といったものがあるのではないかいうことであります。あるいは個別の診療だけではなくて、6番に書いていますような、いわゆる公衆衛生的な地域との関わりといったものも大事ではないかという御指摘が多々あるものと承知しております。
 これはある意味試みで作成したものでありまして、ここに関しても、こういった機能がもう少し大事なのではないかといったことも含めて御指摘をいただければと思っております。
 23ページは今の表をもう少し詳しくしたものでありますけれども、そういったことでございます。
 24ページにつきましては地域包括ケアということで、これについてはよく見られる資料かと思いますが、高齢者の方、特に75歳以上の方が増えるといった中で、医療だけでなくて介護・予防・住まい・生活支援といったものが包括的に確保される体制、地域包括ケアシステムというものの実現が求められているという中で、かかりつけ医と包括ケアシステムの関係についても御議論をお願いできればと思っております。
 それから、25ページ以降は少し補足的な資料となりますが、計画検討会のほうで御議論いただいた際に、複数の疾患の治療を受けている方、高齢者の中で多いかと思いますが、そういった方の受診に関するものについて、データに基づいて議論していくことが重要ではないかと御指摘をいただいたので、事務局のほうで資料を用意したものということでございます。
 注で囲ってありますが、この調査は厚労省のほうで委託事業を行ったということではございますけれども、病気の種類、23種類ほどの病気の括りになっておりますが、多様な疾患が含まれるものもあるといったことでありますとか、病気の組合せというのは多様だということがございますので、結果については慎重な解釈を要するだろうということではございますが、一つの調査結果ということで御紹介したいと思います
 縦軸のほうに病気の種類というのがございまして、右側のほうに一つの医療機関で一人の医師に診てもらっているということでありますとか、あるいは一つの医療機関で複数の医師に診ていただいているということ、あるいは複数の医療機関で診ていただいている。このような縦と横の軸になっているということでございます。
 全体としましては、一つの医療機関で一人の医師に診てもらっているという方が、総数2,775の中で7割弱という形になっているかと思います。他方で、複数の医療機関で診ていただいている方が2割程度ということであります。
 ここに関して、病気の種類が1種類ということになりますと、一人の医師に診ていただている方が8割強ということでございます。その上で、病気の種類が増えるにしたがって、一人の医師に診てもらっていただいているという方の割合は減ることになりますが、他方で、複数の医療機関で診ていただいているという方が増えていくという傾向になっている。当たり前と言えば当たり前のことでありますが、こういった傾向になっているということでございます。
 26ページ、27ページについては、今の疾患、解釈に留意を要するということもございますので、少し細かい表にはなりますけれども、疾患の組合せです。2種類以上ある場合に、どういった病気とどういった病気というのが合わさっていることがあるのかということを示しております。
 ここにありますように、例えば一番上の高血圧でありますが、高血圧があって、横軸にありますように脂質異常症もある方が24.1%、糖尿がある方が21.4%という形になっております。ずっと便秘症まで行って、次のページは一番上がまた高血圧になっていますが、慢性腎不全から骨粗鬆症というところまで書いてあって、当然ながら全体を足すと100を超えるわけですが、それぞれの疾患と合わさっている疾患がどういうふうにあるのかということをお示ししているということでございます。
 それから、28ページでありますが、そういった意味で、疾患の組合せごとに分析をするということは考えられるわけですが、網羅的ではありませんけれども、この報告書では一定の組合せについて分析をしているということで、こういった地域包括診療料の対象になるようないわゆる内科疾患の中、生活習慣病の中で2種類以上ある方がどういうふうな受診をされているかということでありますが、これについては、8割の方は一つの医療機関で一人の医師に診ていただいているということでございます。これに心疾患がある場合を含めるという形としましても、傾向としては、8割の方は一人の医師に診ていただいているということかと思います。
 他方で、次の29ページでありますけれども、高血圧、こういうふうな疾患の中で1疾患以上あって、かつ外科的なといいますか、骨粗鬆症とか骨折がある方という形になりますと、一つの医療機関でという方は50%ぐらいになる。複数でという方が3割程度になるのかなということであります。ここに、さらに眼科といいますか、白内障や緑内障などの目の病気といったものとどうなのかということになりますと、一つの医療機関で一人の医師というのは3割ぐらいで、他方、6割ぐらいの方が複数の医療機関で診ていただいているということで、専門性の高まりなりといった中で、ある意味当たり前といえば当たり前の状態なのかもしれませんけれども、こういった受療の実態があることを一つの調査結果としてお示しさせていただいております。
 そういう中で、30ページでありますが、こういう複数の疾患なりということがある中で、ポリファーマシーといったことで多剤の服用に対する課題というのにも対応していく必要があるだろうということでございます
 資料の説明としては以上になります。
 31ページ以降は参考ということで、これ以降、先生方は大体御承知の仕組みかと思いますので、個々に御説明するのは、今日は時間の関係もありますので割愛いたしますけれども、かかりつけ医機能に関連すると考えられる主な施策ということで、医療計画や外来機能報告制度、医療機能情報提供制度、あるいは診療報酬、それから、予防に関する特定健診等含めて、様々な取組がございます。
 それから、かかりつけ医機能というものを考えていく上で、医師の教育や研修についてどう考えていくかということもございますし、患者のサイドからどういった医療のかかり方をするのかということ。
 あるいは、一つの医療機関だけではなくて、面的なあるいは地域での連携した取組をどう進めていくのか。
 あるいは、情報の共有ということで、ICTの利活用をどう考えていくのかと。
 こういう様々な施策が考えられるのではないかということでございます。
 説明が長くて恐縮ですが、そういった資料をお示しして、検討会のほうで御議論いただいた主な意見というのが資料1-2でございます。
 1-2をおめくりいただければと思いますが、最初、7月に御議論いただいたときは30分程度しかありませんでしたので、ある意味概括的な御意見だけいただいたということでありますが、有事と平時の関係をどう考えるのかということでありますとか、あるいは先ほど言いましたような医師の教育面ということで、日本の医師教育なりということを考えたときに、リカレント教育が大事ではないかという御指摘。
 それから、真ん中の辺り、患者の受療行動というものについてどう考えていくのかと。患者さんが見える化とか、あるいは医療機関を探せるようにしていくインフラも大事ではないかという御指摘をいただいております。
 それから、地域差ということで、地域ごとに課題が異なるという点に留意が必要ではないかということ。
 最後、その他と書いておりますが、かかりつけ医機能を発揮する医療機関には病院も含まれるのではないかということで考えていくべきと。
 このような御指摘を7月にはいただいたということでございます。
 3ページ以降、9月にまとめて2時間ほど検討会で時間を取りまして、そこで御議論いただいた結果をここに並べさせていただいております。
 1点目は、かかりつけ医機能が発揮される制度整備の視点ということであります。一つには患者・国民サイドに立ってということでありますが、患者側と医師側、医療側とで意識の乖離が一定あるのではないかと。そういう中で何が一致しているのか、一致していないのかということを踏まえながら、考えていく必要があるのではないかということでございます。
 2点目は、フリーアクセスということに関して、紹介受診重点医療機関の話も含めて、大病院と地域の医療機関との役割分担がなされている中でどういうふうに考えていくのかということであります。
 それから、3ページの下のところはかかりつけ医機能の多様性ということで、先ほど来申し上げましたが、抽象的な議論ということではなくて、具体的なイメージを持って議論を深めていく必要があるのではないか。疾患の種類でありますとか、そういったことによっていろいろなパターンがあるという中で、そういったことを丁寧に議論していくべきではないかということを御意見としていただいているということでございます。
 それから、4ページに参りまして、そういった中で幾つかの論点ということでありますけれども、地域のネットワークで中の位置づけでありますとか、患者との関係性といったことをしっかり議論をしていく必要があるのではないかという御意見をいただいているということであります。
 その下は医師、医療機関、地域とタイトルを振らせていただいていますが、個々の医師や医療機関といったものに加えて、地域医療というものを面的に捉えて考えていく必要があるのではないかという視点、御意見をいただいているということでございます。
 それから、有事と平時というコロナに関することに関して、コロナの関係で露呈した課題はどういうものなのか、有事と平時の話というのをよく切り分けて考えていく必要があるのということが一つ。
 他方で、国民の中でかかりつけ医が着目されたきっかけになったのは確かだという中で、かかりつけ医の在り方についてどういうふうに考えていくということでございます。
 それから、5ページからはかかりつけ医機能を発揮させる意義に関してということで、医療経済的なマクロ的な意味と、国民患者目線でのミクロの視点がございますし、それから、どういった方、既にいる方なのか、これから見つけたいと思っている人なのかということを考えていく必要があるのではないかということでございます。
 その上で、かかりつけ医機能の定義ということで平成25年の医師会と病院協議会の定義についてのコメントなどを踏まえながら、今日的な意義に鑑みて、修正なり何なりということが必要なところがあるのかという御議論があったということであります。
 それから、長くなって恐縮でございますが、6ページからは具体的な機能に関することということで、予防に関する御意見。
 それから、初診の対応、最初のファーストアクセスポイントが大事ではないかということ。
 あるいは、先ほど申し上げた複数の併存疾患がある方についてどう考えるのか。
 あるいは、高齢社会の中で、在宅医療あるいは高齢者医療に関して、どのようなかかりつけ医というものの位置づけを考えていくべきなのかという御意見をいただいたということであります。
 それから、7ページは地域の公衆衛生ということで、そこに協力するということはかかりつけ医機能の項目として非常に重要ではないかという御意見があります。
 7ページの後段からは、具体的な施策面の取組に関して、外来機能報告に関して地域の協議の場というのが大事ではないかということ。
 それから、先ほど申し上げましたような医療機能情報提供制度というものについて、患者・国民目線で分かりやすくする、充実するための意見をいただいているということでございます。
 次の8ページからは、上手な医療のかかり方についてさらにどう進めていくのか。
 あるいは、診療報酬との関係についてどう考えるのかということであります。
 8ページの後段のほうは、先ほどもお話ししましたけれども、教育なり研修なりというものの仕組みについてどういうふうに考えていくのかということ。
 そういった中で、地域の医療機関で、かかりつけ医のスキルのための支援について、病院がどういう役割を担っていくのか。
 あるいは今、いろいろなかかりつけ医に関する研修といったものも行われている中で、それについてどういうふうに考えるのかという御意見をいただいたということであります。
 9ページでありますが、地域の医療機関の連携ということで、医療機関の役割分担と連携というのは有事においても平時においても重要だというような中で、地域のニーズというものを満たしていくためにどういうふうな連携体制を考えていく必要があるのかという捉え方が大事ではないかということでございます。
 それから、オンライン診療を含めて、かかりつけ医機能の中でオンライン診療も位置づけていくことが重要ではないかということ。
 それから、認定とか登録といった御提案もありますが、そういったことに対する御意見も頂戴しているということでございます。
 最後の10ページでございますけれども、いろいろな仕組みを一つの制度として、これは事務局に宿題を実はいただいておるのですが、全体の役割分担なりを整理していくことが必要ではないかという御意見をいただいているということでございます
 長くなりましたけれども、計画の検討会のほうで一度御議論いただいて、ただ、かかりつけ医機能というのは医療計画だけではなくて、幅広い政策あるいは医療提供体制全体に関わる話でございますので、一度医療部会のほうで御議論いただきたいということで、今日の機会をいただいたということでございます。
 最初に申し上げましたけれども、検討会ではいろいろな議論が出ているということでございますが、医療部会の先生方から、論点の掘り下げでありますとか、あるいはこういう視点が抜けているのではないかといったことを含めて、具体的な御意見を今日は頂戴できればと思っております。
 長くなりましたけれども、よろしくお願いいたします。
○永井部会長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明に御質問、御意見をお願いいたします。
 山崎委員、山口委員の順でお願いいたします。
 山崎委員、どうぞ。
○山崎委員 どうもありがとうございます。
 私は、前にもお話をしましたが、かかりつけ医機能という言葉は急に出てきたというより、この資料の冒頭にもありますように、経済財政諮問会議の民間人議員の発言でこういうことが政策として政府で決められて、厚生労働省に下りてきて審議をしているという経過についてはよく理解していますが、最近の政策の流れを見ていると、デジタル庁をつくったり、オンライン診療をやったり、オンラインの処方をやったり、さらにはオンラインの処方箋で今度配達できるようにするというような非常に医療制度を合理化することが国民にとって幸せのような議論がありますが、私は違うと思っています。本来、医療というのはアナログの世界で患者さんに接して、それで医療行為を順番に行っていくものであって、アナログなシステムから急にデジタルに変えるということ自体が果たして国民にとって幸せなのかという疑問を持っています。
 また、かかりつけ医機能というのは施行令に書いてあるわけですが、これは時間軸の議論というのはないのですか。アンケートによると、準夜帯とか深夜帯で急変したときにかかりつけ医の先生が対応してくれるかという問題とか、それから、人生のライフサイクルの中で小児期と青年期と老年期と分けたときに、どういうふうなかかりつけの分類をしていくのかということがあると思います。
 こういう漠然とした話の中でかかりつけ医機能を、現在、一般診療で忙しい診療所あるいは病院の先生方に、さらにかかりつけ医機能を持たせるということに甚だ疑問を感じています。精いっぱいで診療をしている診療所の先生はたくさんいると思っていますが、診療所の一般診療プラスかかりつけ医プラス新興感染症も診なさいというのは、無理な話かなと感じます。
 これは事務局にお聞きしたいのですが、いかがでしょうか。
○永井部会長 事務局、いかがでしょうか。
○総務課長 ありがとうございます。
 2つお話をいただいたかと思います。
 一つはオンラインやデジタルなどということでございます。どう考えるか、かかりつけ医機能とかと考えていくに当たって、私ども事務局としては、当然のことながら、医療の質の改善でありますとか、あるいは今の日本の医療が抱えている課題の解決に資するように、患者さんの目線、国民の目線で考えていくということがまさに大原則であるというは思っております。そういった中で、オンライン診療などについても、医療の質の向上といったことに資する、あるいは受診の機会の確保に資するといった考え方に立って今までも進めてきておりますし、一律にオンライン診療がいいということではなくて、そこは対面との適切な組合せという中で考えていくべき話であろうと思っております。
 もう一つは時間軸という視点であります。それは御指摘のとおりでありまして、今の厚生労働省の省令の中ではあれだけの記載しかないということでございます。そういった中で、先生がおっしゃったような時間軸あるいはライフサイクルによって求められているものも違うのではないかということはあろうかと思います。そういう中で機能というものについてどう考えていくのかということで御議論をお願いしているということであります。
 今もコロナ禍で、医療現場の皆様には多大な御尽力をいただいているということは、大変感謝を申し上げているということでございます。そういった中で、一人の医師とか一つの医療機関で全てをこなすということはなかなか簡単ではないと思います。それは難しいだろうということは事務局としても当然思っているということではございます。そういった中で、これから人口構造も変わり、生産年齢も減っていく。年齢人口も減少し、他方で高齢者の方というのは増えていくといった中で、地域での医療を確保していくためにどうしていくべきなのかということが、このかかりつけ医機能をめぐって議論すべき、御意見を伺いたい一つの点なのかなと思っている次第であります。
 おっしゃいますように、医療従事者あるいは医療機関の御尽力だけで成り立つという話ではありませんし、働き方改革を含めて、医療従事者の方が健康で働ける環境をつくりながら、どうやって医療をしっかり確保していくのかということが、今、大切なことだろうと考えております。
 以上でございます。
○永井部会長 よろしいでしょうか。
 山口委員、どうぞ。
○山口委員 ありがとうございます。山口でございます。
 私は第8次医療計画等に関する検討会の構成員も務めておりますけれども、非常に大事な問題だと思いますので、32年患者の立場で活動してきた立場から、このかかりつけ医機能のことについての意見を述べたいと思います。
 まず、先ほど御紹介があった日本医師会、四病院団体のかかりつけ医の定義ですけれども、一般的にこの定義を見ると、どちらかというと総合診療や内科的なイメージがあって、そこに当てはまるのは小児、生活習慣病を持っている高齢者、あるいは将来的に在宅を考えている方たちではないかと思っています。
 でも、実際には、先ほど25ページから29ページの資料で御紹介されたように、眼科にしかかかっていないとか、耳鼻科あるいは婦人科、整形外科、複数の科にまたがっているという様々な方がいらっしゃるわけです。例えば精神疾患の方で身体疾患もあれば、2人のかかりつけ医がいるというような方もやはりいらっしゃいます。中には受診が必要のない人もいますし、対象として考えると本当に様々だということを念頭に置かなくてはいけないのではないかと思います。
 そう考えると、例えばかかりつけ医という対象が診療所のドクターである場合もあるでしょうし、中小病院のドクターという場合もあると思いますし、希少難病の方であれば大学病院のドクターがかかりつけ医ということも当然起こり得るわけです。
 もう一つは、地域的な特性ということもあって、選べたくても選べない地域もあれば、複数のかなり選択肢が多い地域もあって、こういった多くの内容が影響するということを考えると、単純に決められるような機能ではないと思っています。
 先ほども御紹介がございましたけれども、コロナ禍で露呈した日本の医療提供体制の脆弱さを問題視する声があるわけですけれども、これは2020年4月に全国に緊急事態宣言が発出された数か月の事態のことを指しているだのと思うのです。あの頃は、どんなウイルスなのかほとんど誰も分かっていませんでしたし、防護服もマスクも不足していたわけです。特にかかりつけ医として診療所のドクターは高齢の方も多くて、御自分がかかると自分の患者さんにも影響を及ぼす。そんなこともあって、日本の医療提供体制をあのときの状況を指して論じるというのは、私は問題の核心をつくことにはならないと思っています。
 ただ、コロナ禍で何が起きたかというと、ワクチン接種や自宅療養者が増えたことで、かかりつけ医について国民が注目し始めた。このことについては、大きなきっかけになったのではないかと思っています。
 それから、先ほども資料の中で少し触れられましたけれども、かかりつけ医機能を議論するときにフリーアクセスについてよく言われますが、私は今、完全なフリーアクセスではないと思っています。先ほどの議論のまとめの中にあったのは私が発言したことなのですけれども、1996年度から200床以上の病院に紹介状を持たずに初診で行くと、病院が決めた特別料金を支払うということになって、これが2016年度になると、特定機能病院と500床以上の地域医療支援病院が最低5,000円。これが徐々にサイズダウンして、今では200床以上の地域医療支援病院と特定機能病院、さらにはこの10月から紹介受診重点医療機関も加わって最低7,000円になるわけです。そうすると、さすがに26年もたって、大きな病院に紹介状を持たずに行くと、受け入れてくれないとか高額な費用がかかるということを国民は知り始めていますので、私はもはや制限されたフリーアクセスだと思っています。
 一方、かかりつけ医機能の議論の中に、登録制や人頭払いというような考え方の発言をするような方もいらっしゃるのですけれども、私はこのことには非常に疑問を抱いています。
 なぜかというと、理由は幾つかありますけれども、日本の医師養成というのはかかりつけ医の登録制を前提にしていません。そして、登録制だと持病のない健康な人も対象になるわけですけれども、予防的な段階から関わるということになって、そうすると、国民のかかりつけ医に対する基本的な発想の転換自体が必要になってきます。
 それから、登録制にすると医療費が抑制できるという意見をおっしゃる方もいらっしゃいますけれども、私がいろいろ資料を集めた結果、欧米を中心にした研究で医療費が抑制されたという発表は全くありません。健康水準が高まったということはプラスとしてあったとしても、費用の面ではむしろ登録制の構造を維持することに多額の費用がかかるというような論点が日本の中では見落とされている。ここに問題を感じています。
 ですので、登録制を導入すると、根本的な医療の大改革が必要になる。そして、医療費の高騰につながるということになれば、今の段階でこの意義というものはなかなか見いだせないのではないかと思っています。
 さらに、医療機関を選ぶ選択権は患者側にあるというのは、国民にとって当たり前のことですので、選択権がなくなることには非常に抵抗感が強いと思います。ですので、私は必要なときに必要な医療にアクセスできる、そういったかかりつけ医機能を考えることが大事なのではないかと思っております。
 今日、国民目線という言葉を何度か説明の中で使われましたけれども、まず、国民自体が自分はかかりつけ医が必要なのかどうか。そして、必要だとしたら、どんな医療機関の何科の医師なのか。それから、既にかかりつけ医がいる人は問題がないと思います。あるいは、健康で受診の必要がない人も今急ぐ必要はないわけです。今急ぐとすれば、かかりつけ医が必要だけれども、見つけられない人、それから、どの医師をかかりつけ医と考えればいいか分からないという人に情報提供できる仕組みが大事ではないか。そうすると、日本医師会のかかりつけ研修制度や全日病の総合医育成プログラムといったところをきちんと修了した方を私たち国民が探せるしくみも整えていく必要があるのではないかなと思っています。
 先ほど山崎委員がおっしゃいましたけれども、本当にかかりつけ医を制度化することの必要性が医療界の中から必要だということで挙がってきているのかどうかというようなことを考えたときに、私は今、国民にとって、あるいは患者家族にとって急を要する問題は、むしろ急性期の病院に入院した後、次に移動するときの転院先がない、家に帰りたくても家で十分見ることもできない。そういったことで路頭に迷うような人。そういったことが今逼迫した問題ではないかなと思っています。やはり優先順位ということを考えながら議論していくことも大事かと思いました。
 すみません。長くなりましたけれども、以上でございます。
○永井部会長 ありがとうございます。
 遠藤直幸委員、どうぞ。
○遠藤(直)委員 どうもありがとうございます。
 町村の代表としてお話し申し上げます。3点ほど申し上げます。
 地域におけるかかりつけ医とは、住民に対し、最新の医療情報を提供し、必要な際は、専門医や専門医療機関を紹介してくれる、身近で頼りになる存在であり、果たすべき役割は非常に大きいものであります。
 その上で、必要なときに必要な医療にアクセスできるようなかかりつけ医機能を整備することが重要と考えております。山口委員のおっしゃったとおりです。
 また、かかりつけ医機能を整備することによって、特定機能病院等への負担軽減の効果も期待されるなど、今後、病院勤務医の働き方改革を検討するに当たり、医療体制を大きく変える重要な課題であると認識しております。
 その上で、かかりつけ医機能の平時と有事の制度整備について議論をするに当たっては、医療提供体制において地域差がある現状を十分に考慮し、地域ごとの課題を整理した上で、これらの課題の解決に向けた議論を丁寧に行うことが重要であると考えております。
 以上であります。よろしくお願い申し上げます。
○永井部会長 ありがとうございます。
 神野委員、どうぞ。
○神野委員 ありがとうございます。神野でございます。
 これは、私たちの病院の団体の中でもいっぱい議論をしています。ただ、立場あるいは地域によっていろいろな意見がある。そういったいろいろな意見を踏まえた上で、また、先ほどの第8次医療計画での有識者の方々の御意見以外で私の思いを語りたいと思います。
 最初に、かかりつけ医というのは、患者さんが選ぶものではないですか。そして、かかりつけ医機能というのは、医療提供側が私たちはこういう機能を持っていますと提示するものではないでしょうか。この大原則をまず主張したいと思います。
 そして、患者さんが選ぶかかりつけ医でありますけれども、患者さんが最も信頼できるといった方々を選べばよろしいわけで、先ほど山口委員がおっしゃったように、病気によっては大学病院の先生かもしれませんし、地域の開業医の先生かもしれないということなのかなと思います。
 ただ、そういった意味で、先ほど25ページ以降にもありましたように、例えば眼科と高血圧はどうするのだ、2人要るじゃないかという話があるわけですけれども、例えば高血圧の先生は白内障の相談には乗ることができるかもしれない。それから、高血圧の先生がコロナらしい、コロナに感染したみたいといったときに、自分はもしかしたら診ることはできないかもしれないのですけれども、適切な相談あるいは紹介ができるでしょうということで、そういうものに耐えられるドクターをかかりつけ医として患者さんが選んではいかがかなと思っています。
 そこで一つ問題になるのは相談というところ、日本の診療報酬制度というのは療養に対する給付でありますので、相談というところに診療報酬をどうするのというところはきちんと整理しなくてはいけないのかなと思います。
 同じように、オンラインなどでも、例えばかかりつけ医である過疎地のドクターがいる。そして、都会の専門医とドクター同士で相談する。D to P with Dですよね。そういったことをやったときに、その医療費はどうなるの、相談料はどうなるのか。その辺をしっかりさせておく必要があるのかなと思います。
 一方で、かかりつけ医機能のほうでありますけれども、まず、このかかりつけ医機能というのは外来だけなのか、それとも入院あるいは在宅を含めた地域包括なのかということをきちんと整理する必要があるのではないでしょうか。外来だけならば、今進んでいる紹介受診重点医療機関でない外来はかかりつけ医機能だということになるのかなと思います。しかし、私はそうではなくて、今の高齢社会とかいろいろなことを考えるならば、やはり入院機能と地域包括機能を全部含めた地域包括的なものがかかりつけ医機能なのではないのかなと思います。
 冒頭に申し上げましたように、かかりつけ医機能は医療機関、医療提供側が示すものであるとするならば、私どもの病院のかかりつけ医機能はこれとこれとこれであります。これに関しては連携をもって提供いたしますといったことをきちんと明示する。これを、医療情報提供制度でもよろしいですけれども、そういうところで明示することで、自分たちができるかかりつけ医機能はこういうことです、それをもってどうか選んでいただきたい、あるいは、サービスを使っていただきたいというような提示をするというのが一つの形ではないのかなと思います。
 今お話しした話は、冒頭に申しましたように病院団体の中でもいろいろな意見があるので、少しまとめたということで、それから、私見を踏まえてお話をさせていただきました。ありがとうございます。
○永井部会長 ありがとうございます。
 加納委員、どうぞ。
○加納委員 ありがとうございました。
 私は病院団体としての意見を少し申し上げさせていただきたいと思います。16ページに日医と四病協との協議会でのかかりつけ医機能の定義というのがまずございますが、これは8年前、私も委員で入っておりまして、いろいろな議論をした結果、「言葉的」に定義をまとめたものであります。8年前ですから、先ほどから出ていますように、医療のDX化に伴うオンライン診療とか、将来出てくるモニター診療等には言及しておりませんし、また、データの共有化という言葉は入っているのですが、これからの患者医療情報のクラウドを使ったいろいろなデジタル化の中での議論も少し抜けているところがあります。しかし機能としては、このように整理された文章自身は決して古くない文言もしっかりとありますので、これらをしっかりともう一回現在の状況に見直すべきだということで、病院団体でまた議論していきたいかなと思っております。
 それとともに、先ほどからも議論にずっと出ておりますが、病院の規模によってどう考えるかということだと思うのですが、私はかかりつけ医機能を持った病院において、先ほど幾つかの診療科によっても持つことができる、病院の部署によって持つことができる、というのはそれも一つの考え方だと思っております。ただ、地域との関わりを持っている病院がそのことをしっかりと地域の診療所の先生方と一緒に行います。私自身は、かかりつけ医機能というものは地域で持つものだと思っております。そういう意味からして、地域包括ケアのシステムの中で考えるなら、それぞれの地域包括ケアシステムの中でのかかりつけ医機能を共有化して、しっかりと地域でかかりつけ医機能を持つということが最終的な条件ではないかなと考えておりますので、その点も含めてしっかりと議論すべきだと考えております。
 もう一点だけ追加ですみません。有事、平時の問題があるかと思うのですが、20ページに非常に断片的に、今回の新興感染症にまつわっていろいろ書かれております。これに関しましては、先ほどの地域でいかに対応するかを考えた時、今回、中小病院が地域の在宅の方々等のコロナ感染に係る対応がなかなかできなかったという事例もあって、一緒に対応したいとうずうずしながら我々は見ていたのですが、これも一つには、かかりつけ医機能を持った中小の病院がしっかりと地域で先生方と共有化した患者さんに対してしっかりと対応できたのではないかなと思っております。これもしっかりと今回考えて、有事に備えて対応すべきだと思っております。
 以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 佐保委員、どうぞ。
○佐保委員 ありがとうございます。
 私からは大きく2点について発言したいと思います。
 まず、日本の医療はフリーアクセスと言われておりますが、かかりつけ医機能の議論は、患者にとっての「医療の入り口をどうするか」という議論と不可分であると考えます。今後の議論に際しては、地域の医療ニーズも踏まえつつ、外来医療機関の数にも踏み込むなど、トータルでの議論が必要と考えます。かかりつけ医機能の議論を一つの契機として、構想区域ごとに人口減少下や感染症下でも安心して医療を受けられるよう、地域医療構想を再検討し、切れ目のない効率的な医療提供体制を構築していくことが求められると考えます。
 また、資料1-2、スライド2の検討会での意見に「コロナ禍ではかかりつけ医のいない若年層の感染が拡大し」とあります。2021年の民間ウェブ医療情報提供サービス会社が20~30代の男女600人に行ったネット調査結果では、現在、かかりつけ医がいないと答えた者のうち、「かかりつけ医は必要だと思う」、「まあ必要だと思う」と答えた人の割合は8割を超えています。コロナ禍で健康不安が広がった中で、若年層のかかりつけ医の需要は高まっていると考えます。
 一方、SNS上では、「かかりつけ医がどういった存在か分からない」という声も上がっており、若年層を中心にかかりつけ医との距離は遠いのが現状だと思われます。例えば健康診断などの機会に身近な医療機関に行くこともかかりつけ医とつながる機会の一つだと考えます。勤務地に近ければ、通院のしやすさからもかかりつけ医が身近な存在となり得ます。若年層のように、希望はしていても、日頃は医療とは遠く、なかなかかかりつけ医につながらない、かかりつけ医がどのような存在か分からない層に、かかりつけ医が担う機能、役割を分かりやすく示し、医療が必要になったときに、いきなり大病院に行くのではなく、かかりつけ医へどのようにつなげていくかという取組をより進めることも重要ではないかと考えます。
 以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 野村委員、どうぞ。
○野村委員 ありがとうございます。野村です。
 高齢者の方は本当に多くの疾患を抱えていますので、メインの疾患がどれになるかなど、きっとかかりつけ医の捉え方が人によって変わるというのも今回の議題の中でよく理解しております。
 今回、私は小児医療に対してのお話をさせていただきたいと思います。
 小児に関しては16ページの定義のような感じで、生まれてすぐ2か月ぐらいから始まる予防接種で、お母さんたちもかかりつけ医をどこにしようかと皆さん探されていて、ふだんの感染症や風邪のときは地域のクリニックにかかって、もし入院等が必要であったら、そこで紹介してもらって、治ったらまたかかりつけ医に戻る、という流れが普通かなと思います。もともと疾患のある子供たちも、やはり多くはその治療に関しては大学病院で行っていますけれども、地域もきちんと連携していただいているので、この辺の認識は共通かと思います。
 そんな中で、子育て期というのは、子供も何度も医療にかかるので、そのときに保護者もまた医療のことをよく考えたり、悩んだりする時期でもあります。なので、その時期をうまく有効に活用しながら、医療のかかり方とかかかりつけ医というものの在り方をこのときにきちんと啓発していくこともすごく有効ではないかと思います。この時期を逃すと、また少し医療から離れる時期になるかと思いますので、今すぐの成果は出ないかと思いますけれども、今の保護者が何十年後かの高齢者に必ずなるので、ぜひこの期間に啓発をきちんとしていけたらと思います。
 もう一点、あと2点あるのですけれども、かかりつけ医の診療料の小児かかりつけ診療料というものがあるかと思うのですが、これは診療報酬上のものかと思うのですけれども、クリニックによってもこれを導入されているところと導入されていないところがあって、保護者の方もかかりつけ医を見つけて、登録制度をお願いしても、そこの小児科では実施していなかったりで、ネーミングの問題かもしれないのですけれども、小児かかりつけ医の登録制度がどういうものかというのがあまり理解が進まないかなと思いますので、そこでここの医療機関はかかりつけをやっている、やっていないになるとすごくもったいないかなと思うので、要件は満たしているけれども、あえてこの制度は導入していませんよという医療機関もあると聞いていますので、ここは私たちがかかるときにすごくかかりつけ医というものの名前と混同しやすいかなと思います。
 あと一点、この10月から紹介状がないときの値段が上がる、紹介状なしで行くと7,000円になるということで、本当に制度自体は理解しているのですけれども、多くの保護者の方もかかりたくてかかっているわけではないという現状もあるので、分からないからやはりかかるということもあるので、ぜひ値段が上がったことだけではなくて、そこを何かサポートしてもらうような形で、国民目線のかかりつけ医ということなので、そこをかかりつけ医でサポートしていただけると、受診の抑制につながらないかなと思うので、そういったことも一緒にかかりつけ医の機能の中で考えていただけたらと思います。
 長くなってすみません。ありがとうございます。
○永井部会長 ありがとうございます。
 都竹委員、どうぞ。
○都竹委員 ありがとうございます。
 市長会の立場で出させていただいているのですが、どちらかというと住民というか市民の立場といいますか、そういったところで少しお話をしたいと思います。このかかりつけ医の問題はとても大事な問題なのですが、もともと何を目的にどこから始まったのかと考えると、やはり大きな病院は外来に初診の患者がたくさんおいでになる。それで本来果たすべき機能を果たせなくなるというところから恐らくスタートしているのだろうと理解はしておるわけです。
 ただ、かかりつけ医という言葉が出てきて、それを患者の目線から見ると、やはりかかりつけ医というのは、自分のことをよく理解してくださっていて、何でも相談ができて、必要に応じて大病院とか専門医につないでくださって、信頼ができる医師というのがかかりつけ医なのだというのが捉え方だろうと思いますし、それは自分自身が安心してできるからだ、それが自分にとって一番いいからだというところが共通してあるから、ある程度かかりつけ医の議論というのは受け入れられてきたのではないかなと思います。
 また、地域包括ケアの話もありましたけれども、やはり高齢になってどうしても在宅で過ごさないといけないということになってきたときに、ふだん身近なところで診てくれるドクターというのがいるわけでありますので、そういったところもこの問題が必要だと思われている共通認識がある理由なのではないかなと思うわけです。ただ一方で、先ほど山口委員もおっしゃいましたけれども、かかりつけ医というのは本当に多種多様で決め難いのです。例えば僻地診療所のような場合はドクターを選べませんし、そこしかありませんので、精神的な問題から全て含めて、話し相手になってもらうというところから含めて、全て診てもらっている。ある種理想的な地域が多いと私は思っているのですが、そういうエリアがまずある。
 それから、もう少し人口の多いところでいくと、診療科が分化していますから、内科に通っている人が、整形はこちらだとか、皮膚科はこちらだとか、眼科はこちらだとかいうことでかかりつけ医を持っているというケースも当然あります。
 それから、地域の中で公立病院が医療を担っているような地域になると、公立病院のドクターがかかりつけ医になっているというケースも当然ありますし、また、大病院の医師がかかりつけ医であるケースもあります。私は医療的ケアを要する障害児者の支援に携わってきているのですが、医療的ケア児の場合などは三次医療機関の小児科医がかかりつけ医だという方は相当おられますし、トランジションがうまくいかないという問題もあって、30代とか40代になっても大病院の小児科の先生がかかりつけ医だというところは結構多いのです。
 そうすると、かかりつけ医というのも、医療機関のタイプとか、こういう類型だということでなかなか決められないというのがまず前提としてあるのだろうと思うのです。さらに、患者によって、ドクターの好き嫌い私はある病院のこの先生がいい、私はこの先生がいいということもあります。そうすると、簡単に決め難い。
 ただ、共通して言えるのは、かかりつけ医療機関ではなくてかかりつけ医師なのだというところなのだろうと思っていて、ここがポイントなのではないかと思っています。
 それと、かかりつけという言葉が非常に昭和チックで、ライフスタイルに合わないイメージがあって、そこら辺が議論が混濁する原因になっているのではないかという気もします。例えばマイドクターを持とうという取り組みとして、マイドクター制度だというふうに言うと、だったらこの先生とこの先生、私はこの先生ということが出てくるのではないかというような気もします。ドクターの側から見ればあなたの担当医は私ですよということになります。そういった議論で、かかりつけ医という言葉の呪縛から離れていくということも大事ではないかなというようなことも思います。
 いずれにしても、マイドクター、自分のことをよく分かってくださる医師を持つというのは、特に高齢化が進む今からの時代は絶対に必要だと思いますので、制度面ではなくて、もう少し現場で起こっていることに立脚した形で現実的に議論し直していくことが必要ではないかと考えております。
 以上でございます。
○永井部会長 ありがとうございます。
 木戸委員、お願いします。
○木戸委員 事務局から御指摘がありましたように、かかりつけ医機能とかかかりつけ医については、今後の医療提供の在り方に大きく関わりますので、やはりこの医療部会を中心に議論がなされるべきと私も思います。
 必要なときに医療が受けられないということができるだけ起こらないように、何かあれば親身になって対応してくれるかかりつけの先生がいてくれれば、確かに患者さんは大変心強いと思います。
 もちろん医療を提供する人員も予算も限られていますし、予算も厳しい状況下ではありますが、国民の命と健康を預かる医療従事者、そして、厚労省が目指すべきことは、国民が健康でできるだけ自立して過ごして、この国に生まれてよかったなと思える暮らしができることだと思います。そうした目線の下で、できるだけ効率よく必要な医療が届く仕組みを次に考えていくべきで、コスト削減が優先課題にならないように施策が進められることを期待します。
 その上で、2点コメントします。
 1点目は、論点の3番目にあるかかりつけ医機能の発揮における制度整備の件ですけれども、皆さんお話があるように、一人の医師がかかりつけ医としてやるのか、あるいは地域として対応するかですけれども、一人がやるのは実際はなかなか難しいと思われ、やはり連携推進によって地域として患者さんを支える仕組みが現実的なところかなと思います。
 資料1-1の75ページからグループ診療の好事例もいろいろ掲載されて、重要なキーワードに事務局で下線を引いていただいていますけれども、これらがいずれも推進のポイントになっています。バックアップ体制の確保、また、施設が異なっても診療情報がきちんと共有できる、特にICT活用でデータをリアルタイムで共有するというのは、安全に共同管理することには非常に大切で、私も現場で実感しているところで、患者さんや国民にもちろんきちんと説明して、御理解を得ながらということは必要ですけれども、今後ぜひ進めていくべきと思います。
 2点目は、女性の一人としての立場でこの資料を見たコメントです。例えば資料1-1の11、12ページには、保健医療のニーズについてスキームがありますけれども、女性の健康問題に関連した項目がなく、抜け落ちているように感じています。女性は国民の人口の半分を占めており、特有の疾患がいろいろあって、その罹患人口も少なくありません。デリケートな内容もあって、受診の敷居も非常に高いということが指摘されています。女性は寿命も長くて、高齢化社会において医療や介護を受ける人数も大変多いところで、そのなかで無職や非正規などの割合も多く、予防も含めた健康管理は今のところおろそかになってしまっているのが課題と思います。こうした課題はかかりつけ医がいるとより対応しやすくなると思いますので、そういった性差を踏まえたニーズなどについてもぜひ御検討いただいて、必ずしも国民全てが対象でなくとも、どんなケースにかかりつけ医が適するかということをよく検討して、そこに施策を重点的に進めていくことが望ましいと思います。
 私からは以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 井伊委員、どうぞ。
○井伊委員ありがとうございます。日本看護協会の井伊でございます。
 まず、かかりつけ医機能という文言ですが、資料1-1の15ページに省令上の位置づけが示されており、「かかりつけ医機能は医療機関の機能であり」と記載されています。高齢者ケアはもちろんですが、高齢者に限らず、母子ケア、その他の様々な医療と療養のサポートのことを考えますと、今後、地域包括ケアということは大前提となりますし、この機能に求められる幅というのはますます広くなります。そうしますと、この名称も、「かかりつけ医機能」というよりも、むしろ医療機関の「かかりつけ機能」としたほうがよいのではないかと考えます。これが一点です。
 次に、機能ということで見てみますと、15ページの告示の中に記載がありますが、「二」の「地域の医療機関等との連携」、あるいは「三」の「在宅医療支援、介護等の連携」といったこともこれからますます必要なことであり、医療依存度の高い高齢者が在宅で医療・介護を受けながら生活するといったときには、急変時の対応や看取りも課題となります。したがって、地域の訪問看護ステーションの役割なども含めて、あるいはそれとの連携ということも含めて、こういうことについて検討、議論していただきたいということが2つ目です。
 それと併せて、これから地域医療構想とか外来医療機能に関する議論がされていくと思いますが、こうした協議の場に看護職やその他の医療関係職種も参加して、看護職等医療関係職種の役割・機能も含めた検討がこれから求められるだろうと考えますし、そのように検討されることを希望します。
 それから、「一」の「日常的な医学管理及び重症化予防」ということについては、予防に関して様々な健診の体制や保健事業がございます。それから、そもそも健康な人は何もかかりつけ医療機関がないという場合もありますので、こういうことをどのようにフォロー、サポートしていくかということは、別途の議論が必要だろうと思います。
 最後にもう一点です。医療機能情報提供制度についてですが、これは本日の資料ですと45ページに例が挙げられていますが、かかりつけの医療機関を患者が選択する際に、患者が得たい情報が得られるのかという視点で、提供する情報についてさらなる充実が必要だと考えますので、意見として申し上げます。
 以上です。ありがとうございました。
○永井部会長 ありがとうございます。
 河本委員、どうぞ。
○河本委員 ありがとうございます。
 私も8次の検討会の構成員をさせていただいておりまして、検討会で申し上げたことは本日の資料にもおおむね記載いただいておりますので、改めて、ポイントを絞って意見を述べさせていただきたいと思います。
 そもそも、なぜ今、かかりつけ医機能の明確化あるいはその機能の発揮に向けた制度整備が必要なのかということについてでございますけれども、大きく2つの目的というか意義があると考えております。
 1つ目は、今後の少子高齢化のさらなる進展を見据えて、外来医療体制の最適化、効率化を図るということでありまして、今や2040年を見据えた制度整備を検討すべき時期にきているということだと思います。
 それから、2つ目は、コロナ禍で得た教訓も参考に、国民・患者の目線から現役世代を含めた全世代の安全・安心を確保して医療の質を上げていくということであります。
 この2点は、いわばマクロの視点とミクロの視点ということになるかもしれませんけれども、この2つの目的というか意義を常に意識しておく必要があると思います。
 かかりつけ医機能の明確化とか、あるいは制度整備に向けた検討においては、国民患者の安全・安心の担保が大前提でございます。まず、国民・患者が、自らの希望や状態に応じてかかりつけ医機能を担う医療機関、医師を柔軟に選択できるということが必要だと思います。その前提に立って、具体的な検討を行っていくべきだと考えます。
 こうした認識の下で、まず、かかりつけ医機能については、地域医療連携ネットワーク、もっと言えば介護連携も含めたネットワークのかなめとして、また、日本型のゲートキーパー役として幅広い診断、治療を行ってくれるとか、必要に応じて専門医療を紹介してくれる、また、健康の維持をサポートしてくれる、患者の情報を一元的に把握・管理してくれるといった基本的な機能に加えて、オンライン診療とか在宅医療などを国民・患者の希望や、あるいは状態に合った対応をしてくれる。そういったいわば付加的な機能も含めて、整理をして明確化すべきだと考えております
 その上で、こうした機能を担っている医療機関を届出、認定を通じて可視化できる枠組みを構築することが必須の環境整備ということになると思います。こうした環境を整えた上で、かかりつけ関係をしっかりと結んで、安全・安心を確保したいのだけれども、どう探したらいいか分からないといった国民に対しても、かかりつけ医療機関あるいは医師を適切に選択、活用できるような情報提供、サポートを行いながら、多様な国民・患者の希望を尊重した上で、柔軟に選択というか登録ができる制度整備の在り方を検討すべきだと思います。こうした情報提供とかサポートについては、私ども健保組合も貢献できるのではないかと考えております。
 前回の8次検討会の意見の中で、かかりつけ医機能の発揮に関連すると考えられる仕組みを一つの制度として捉えて、それぞれの役割と相互関係を整理すべきと9月9日の検討会で申し上げて、資料にも書いていただいているのですけれども、若干補足いたしますと、それぞれ別の制度の枠組みであるということは理解しておりますが、かかりつけ医機能の強化という視点から、現行のこういった施策の役割と相互関係を整理していただくことで、例えば足りない機能とか、あるいは強化が必要な機能といったものがないかといった検討課題が見えてくるのではないかと考えておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
 私からは以上でございます。
○永井部会長 ありがとうございます。
 井上委員、どうぞ。
○井上委員 ありがとうございます。
 もう皆さんからかなり出ておりまして、重なるところもありますけれども、まず、かかりつけ医の制度としては、今後の少子高齢化とか、あるいは地域によって医療の提供体制にかなり差が出てくるという中で、国民・患者に対して安心を与えるものということが重要だと思います。 次に、かかりつけ医については、患者、国民が身近な地域、なじみのある医療機関で自己の健康管理について常に相談できるという信頼関係が非常に重要になってくると思います。
 その上で、機能として何が求められるかというと、15ページとかその近辺のところで様々な検討がなされておりますし、今の医療法施行規則等にもかなり書かれておりますけれども、少し補足しますと、これからの時代を考えると、個々のPHRをしっかり安全な形で保持して総合判断をするという機能、あるいはその判断に基づいて、必要な場合にはほかのところに連携するようなハブ機能を持つというようなことも必要になってくるのではないかなと思います。
 さらに緊急時におきましては、積極的な情報提供の発信という機能も求められていくのではないかなと思います。
 以上でございます。
○永井部会長 ありがとうございます。
 楠岡委員、どうぞ。
○楠岡委員 楠岡です。
 このかかりつけ医あるいはかかりつけ医機能は、まさに医療制度あるいは診療体系に密接に結びついているものですし、それぞれの国の文化と切り離せないものなので、ある程度日本独自のものを考えていかざるを得ないかと思います。
 イギリスとかフランスでは登録医制度が当たり前の話で、その中でかかりつけ医機能が発揮されている。アメリカの場合は無保険者もいるような状況ではありますけれども、例えばHealth maintenance organization、HMOとかに登録されている人の場合においては、そこがHMOとしてかかりつけ医機能を発揮している。このHMOの中には、単に診療情報のみではなく、予防的な健診情報なども保有していることによって、個人の状況を把握するというような機能を持っていると考えられます。
 翻って、日本における状況を考えますと、まずは、今までは地域において家族ぐるみでかかっていたクリニックの先生が全ての情報を把握してきてくれたわけでありますけれども、今、クリニックもどんどん減っておりますし、そうなってくると、地域の中核病院がその役割を担わなければならない。しかしながら、中核病院の場合においては、診察時の医師がいつも同じ人とは限らないので、その中で、今までも幾つか指摘がございましたけれども、情報の共有化が図らなければならないというのがあります。また、予防とか過去の病歴の情報等も一緒に把握できていないと、結果的にはそのときそのときの寸断された診療の中で話をすることになってしまう。そうしますと、結局、予防あるいは健診情報とか、それまでの診療情報、例えばこれはレセの請求情報でも十分だと思いますし、さらに今、電子カルテ情報の標準化として考えられている6情報3文書のようなものを一元化して、どこかにあり、それをいつでもどの医師でも見られるようであれば、どの医師もある意味かかりつけ医機能を発揮することが可能になってくる。要するに、一つの病院とか一つの組織で担うのではなくて、国全体としてそういうような制度をつくることによって、どの場合においてもかかりつけ医機能がある程度発揮できるような状況をつくるべきではないかと考えます。
 そうなりますと、当然のことながら、フリーアクセスの問題もありますけれども、そういう意味では、別の病院に行っても同じような情報の下に同じような手当てが受けられるということもありますので、そういう意味で、日本版かかりつけ医機能としては、むしろ今までの人に頼るのではなく、IoTとかIT、あるいはそういう技術による情報一元化をベースにしたかかりつけ医機能を構築していく。これは時間がかかるので、その間どうするかという問題もありますけれども、それをひとつ考えていくべきではないかと思っております。
 以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 小熊委員、どうぞ。
○小熊委員 ありがとうございます。小熊です。
 ただいま、いろいろな委員の方からお話がありましたし、それから、第8次医療計画に関する検討会の資料も出ておりますが、根本的には、私は将来にわたってはかかりつけ医療機能、かかりつけ医制度でもいいですけれども、それを確立して、ICTを使って情報をどこでも見られるようなものにして、初期対応すべき医療機関と機能分担して専門的ないしは中核的な医療をするところを分けるべきだと思っております。
 それはもう少し後で言わせていただきたいのですが、まず質問をさせてください。
 資料1-1、15ページと16ページ、16ページの日医四病院団体協議会の定義というものはおおよそいいと思うのですが、資料15ページの国のものは時間外のことや救急のことなどに全く触れていないのですけれども、これはいつ国から出されたものなのでしょうか。16ページは平成25年と書いています。そういった大事なところが抜けているので、まずそこを一旦確認したい。
 それから、厚労省と日医の方でも四病協の方でもいいのですけれども、こういう定義に基づいて、実際に今の診療所ないしは中小の病院がどれだけこの機能を果たしているのでしょうか。そのデータはおありでしょうか。それをもしお持ちでしたら、私どもに教えていただきたい。それが質問です。まずそれにお答えをいただいて、私の考えることは後で述べさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。
○永井部会長 今の点、事務局、いかがでしょうか。
○総務課長 ありがとうございます。
 1点目の御質問、かかりつけ医機能というので私どもが省令のほうで規定をしたのが平成30年ということでございます。この仕組みというか、この要素を記述しているということでございます。今の御指摘でこういったものが足りないのではないかということは受け止めた上で、今後に生かしていきたいと思っております。
 もう一つ、今、この仕組みに基づいてどの程度届出といいますか、報告なりがされているのかということですが、東京の事例を把握はしておるのですが、今、数字を調べていますので、少しお待ちいただければと思います。
○小熊委員 釜萢先生のほうで、日医で何かデータはお持ちでしょうか。
○釜萢委員 釜萢です。御指名をいただきましてありがとうございます。
 今、小熊先生の言われたことにしっかり合致するようなデータを日本医師会あるいは日医総研で今持っているわけではないと思いますので、すぐにお答えできる内容は残念ながらありません。
○小熊委員 ありがとうございます。
 それでは、今のような状況を踏まえて、私どもの考えをお話しさせていただきたいと思います。
 今、一番の問題点は、やはり機能分担と連携でございます。大病院志向が続いて、初診でも、それから、救急でも時間外でも、大病院の中核的病院に患者さんがフリーアクセスだと言って受診される。これは直さなくてはいけないと私は思っています。
 それを直す前に、患者さんが安全と安心の気持ちでかかれる場所というのは、やはりファーストコンタクトとしてはかかりつけ医機能を発揮するかかりつけ医だと思います。そこを経て、さらに専門性が高いところが要求されるのであれば、そちらへICTを使って情報を共有した上でやっていくような体制をこれからつくるべきではないかと私は考えております。非常に難しいこともたくさんあると思います。地域によっては、私ども自治体病院が担当している田舎では、開業医さんもいない、病院もないというところもございます。では、そういうところはどうするかというと、自治体病院の者が担当して、かかりつけ医機能を発揮して、そして、基幹病院と常に先ほど言ったような状況でつなぐという体制を見つけなくてはいけないのだろうと思っております。
 ですから、今後の医療を考える上では、このかかりつけ医とかかりつけ医機能というものは、きちんと問題を整理して構築していく姿を国としては持っていただきたい。
 先ほどのように、こういう機能を発揮している人がどれぐらいいるのだろうかとか、それも分からないような状況では、もっと前に進めないのではないかと思いますので、よろしくお願いいたしたいと思います。
 私からは以上でございます。
○永井部会長 では、事務局から補足をお願いします。
○総務課長 先生、失礼しました。
 今、私どもの手元で、東京都でありますけれども、医療機能情報提供制度の中で、東京の病院、診療所は全体で大体1万5000ぐらいあるということでございますが、その中でこの情報提供制度でかかりつけ医機能ということで該当しますのが、報告を受けているのが2,000ぐらいという形になります。もちろん各項目によって違いがあるわけでございまして、全体としては2,000ぐらいということであります。
 先ほど御紹介しました診療報酬の算定に関するところは、それぞれの機関が何を算定されるのかということで違ってくる面がございますが、かかりつけ医機能ということで報告をされているのがさっき申し上げた2,000ぐらい。その中で、包括診療加算であれば300程度ということでありますし、機能強化加算であれば700程度ということで報告を受け、これを閲覧に供している。一自治体の事例ではありますけれども、そういう状況になっているということでございます。
○小熊委員 ありがとうございます。
 1万5000のうちの2,000円がかかりつけ医として一応報告していると受け止めたいと思います。果たしてそれで先ほど言ったような今後の体制ができるのかどうか、それから、実際にかかりつけ医として報告している人は、例えば一人一人で全部できるわけはございませんから、チーム医療をやって分担をして、そして、いろいろな面での医療に貢献いただくという方向性をもっときちんと出さなくてはいけないのではないかと私どもは考えております。そして、在宅も含めて、日、祝日、夜間といったもの診療も含めて、救急のファーストコンタクトも含めて、きちんと方向性を出すべきではないかと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 以上でございます。
○永井部会長 ありがとうございます。
 島崎委員、どうぞ。
○島崎委員 幾つか申し上げたいと思います。第1は全体的な認識についてです。先ほど楠岡委員もおっしゃいましたけれども、医療制度で各国の相違が最も端的に現れ、かつ難しいのは、患者が医療提供システムに最初にコンタクトする部分と、一次医療から二次医療のつなぎの部分だと思います。したがって、かかりつけ医機能の問題は、我が国の医療制度あるいは医療政策の急所に当たるのだろうと思います。急所はツボを押さえますと全体のシステムに波及しうまく改善・機能しますけれども、急所を外すと痛いだけの結果にしばしば陥りがちてす。決して議論をゆっくりすべきだということを申し上げているわけではありませんが、それだけに丁寧な議論の積み重ねが必要だと思います。
 それから、率直に申し上げて、かかりつけ医機能の問題は、厚生労働省、以前は厚生省だったわけですけれども、何度もいろいろチャレンジしながら失敗してきた歴史だと思います。過去のトライアルや失敗の原因分析とか教訓をよく踏まえることも重要だと思います。やや各論にわたりますけれども、一例だけ申し上げますと、1996年に包括点数であります老人慢性疾患総合診療料、いわゆる外総診と呼ばれたものですが、それが鳴り物入りで導入されたのですけれども、2002年9月に廃止されたわけです。その原因は何だったのか、そこから得られる教訓は何なのか。これはおそらく医療関係者側の認識と役所側の認識もちょっと違いがあるのではないかと思いますけれども、そういう分析をしっかりすることが必要だと思います。
 第2に、かかりつけ医機能の必須要素は何かということです。閣議決定あるいは岸田総理の発言の中にも、国民目線ということが盛んに出てきまです。そういう視点で、例えば資料を見ると、非常に気になることがあります。つまり、医療提供側と患者のギャップがあるということです。今申し上げた資料の18ページを見ると、患者はどんな病気でもまずは診療できるということを望んでいます。もちろん、どんな病気もというのは無理ですので、これはいわゆるコモンディジーズ、何がコモンディジーズ(一般的な疾病)かはともかく、コモンディジーズを診療してほしいと思っているのだとすると、これにきちんと応えていくということはやはり必要なのだと思います。今日提示された資料では必ずしも明確でありませんけれども、別の資料を見てみますと、医療提供側はこのことが必ずしもクリティカルな要素だとは思っていない節が見受けられます。
 この議論のポイントは何かというと、例えばかかりつけ医機能の定義のところもそうなのですけれども、必要なときには専門医、専門医療機関を紹介できということになっているのですが、コモンディジーズ(一般的な疾病)を診療できるということが必ずしも明確になっていないように思います。かかりつけ医機能のところでは多少そういうようなニュアンスが感じられますけれども、かかりつけ医機能が、かかりつけ医の個々の機能の集積だと考えれば、まずはコモンディジーズをしっかり診療できることを必要な機能として明示することが必要だと思います。そして、それをリカレント教育の充実・改善を通じて、クオリティー、アシュアランスをしっかりしていくということが、かかりつけ医機能に対する国民の信頼を勝ち得る本道なのではないかと思います。
 第3に目、最後なのですけれども、今後の進め方なのです。今日の議論を聞いていても百家争鳴だと思います。それから、検討会の議論を読みましても、いろいろな方がいろいろなことをおっしゃっており、こういう形で進めていきますと、いわばフリーディスカッションの繰り返しになってしまうのだろうと思います。
 私は、まずはかかりつけ医あるいはかかりつけ医機能に求められるものは何なのかということについての大方のコンセンサスを得ることが必要なのではないと思います。私見になりますけれども、私はかかりつけ医機能に求められるもの、必須の要素は何かというと、1つ目は初期診療、先ほど申し上げたコモンディジーズをきちんと診られるということも含めてですけれども、初期の診療。2つ目は全人的なケア。それから、3つ目として24時間対応とか連携ということになってくるのではないかと思っています。
 それが決まりませんと、その後、何が方策として重要なのかということが議論できません。例えば、もし全人的ケアを強調するのであれば、情報の一元化ということは必須の要素になってくると思います。それから、24時間対応ということを強調すれば、これはソロプラクティスでは十分に対応できないのは明らかであり、グループプラクティスでやるか、もしくはその部分については病院でそれを補完していくということが必要になります。こういう議論の順番なのではないかと思います。
 さらに、かかりつけ医機能の制度整備については、高齢者や子供のところから進めるのかとか、あるいは届出制とか登録制をどうするか、あるいは包括点数をつけるかといった診療報酬の議論もありますが、これらは今申し上げた何がかかりつけ医機能として重要なのかということをはっきりさせないと議論できません。したがって、結論として申し上げたいことは、議論の内容をよく整理するとともに、どういう順番で議論をしていけばよいのかということを事務局のほうでよく考えていただきたいということです。また、もちろん、この医療部会で直接議論するのもいいのでしょうけれども、回数も限られていますので、一体どういう場所でどういうメンバーで議論するのかということもお考えいただいたほうがよろしいのではないかというのが私の意見です。
 以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 では、釜萢委員。
○釜萢委員 釜萢です。ありがとうございます。
 今回、このかかりつけ医機能あるいはかかりつけ医の問題が非常にクローズアップされてきた背景については、事務局からも説明がありました。いろいろな要素があって今議論されているわけですけれども、今回の検討の結果、国民の皆さんが医療を教授するのに、持続可能性を持って享受しやすくなるよい方向に向かわないと駄目なので、検討の結果、新たな方向に踏み出したらば、国民が大きな不利益をこうむることのないように常によく考えてやっていかなければならないと思います。
 神野委員が言われた、かかりつけ医は患者さん、受診される方が決めるのだというのは、まさにそのとおりでありまして、それは患者さん、受診される方がお決めいただくことであって、ほかに誰かが決めるというものではないだろうなと思います。
 既にお話がいろいろ出ていますが、かかりつけ医機能として、今後、皆さんの合意を得て整理されてくる内容は、それぞれの地域においてぜひ必要な医療の要素であって、そして、これは決して一人の医師が全て担えるというものではないけれども、地域においてそれらの機能がしっかり確保されているべきものであろうと思います。ですから、その形で整理をされて、それが続いてその地域に何とか維持できるようにするということが必要だと思います。
 もう一点は、受診される側の医療機関に対して、受診される側はかかりつけと思っていたのに、医療機関のほうはかかりつけ医とは思っていないというようなことが指摘される面がありましたが、これはゆゆしきことであって、いろいろな背景があってそういうことがたまたまクローズアップされたのかもしれませんけれども、例えば診療検査医療機関の一覧を見てみると、随分少なくはなってきましたけれども、かかりつけに対しては対応するけれども、そうでない人には対応しないというような選択をしておられる医療機関がまだあります。ただ、やはり医療機関としてはできるだけ幅広く受け入れるという努力の下で体制を取らなければならない。やむを得ずそれができないという場合もあるけれども、そこは改善をどんどん図っていかなければ国民の信頼は得られないだろうなと感じております。
 私からは以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 角田委員、どうぞ。
○角田委員 ありがとうございます。日本医師会の角田でございます。
 私ども日本医師会は、以前からかかりつけ医の重要性を述べております。どんなときでもかかりつけ医を持ちましょうということでお話ししております。
 今回お示しいただいた21ページの資料が、ちょうど今回コロナのことで、非常にかかりつけ医が議論に上がっていますが、やはりかかりつけ医を持っている方々は持っていてよかったという意見が9割近くあります。また、持っていない方でも、ぜひ持ちたいというのが6割、まさにかかりつけ医の有効性が認められているのだと思います。
 今回のコロナは、今までの想像を絶するような規模で起こったパンデミックですので、私どもが用意していた医療提供体制をはるかに超えております。今まで国民皆保険制度で皆さんいつでもどこでも医療機関にアクセスすることができました。ところが、今回は想像を絶するような量の感染が起こったために、キャパシティーがオーバーしたわけでございます。ただ、今後のことを考えて、ぜひこのかかりつけ医の全体像を示す。今までのいろいろな御意見といいますか、アンケートを見ても、簡単に言うと身近にいて頼りになるということです。身近にいてということは、フリーアクセスを保障するということ。あと、頼りになるということは、適切に連携も取れるし、必要であれば高次医療機関へ紹介できる、つまり、言うなればトリアージの役をできることを国民を求めていると思います。
 ですから、今後、いろいろな形で進むと思いますけれども、例えば英国のような人頭割りであったり登録制度は、日本にはそぐわないと思います。やはり国民目線でかかりつけ医を設定する。そして、かかりつけ医機能として、私どもは地域としてその機能を担いますから、複数の医師が協力してその機能を担うということにもなります。ぜひその辺をしっかりと押さえながら進めていただきたいと思います。
 特に今回重要なのは、国民にこのかかりつけ医の重要性をしっかりと認識してもらって、そして、あまりにも細かい具体的な要件は要りませんから、全体像としてかかりつけ医というのはこういうものなのですよということを、しっかりと理解していただくということが重要ではないかと思います。
 私からは以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 伊藤参考人、どうぞ。
○伊藤参考人 ありがとうございます。
 私からは、地域医療体制という観点から申し上げますが、地域医療は人口減少や高齢化の課題に加えて、新興感染症等への平時からの備えといった課題に直面しており、その中で、かかりつけ医機能の強化は重要な課題の一つと認識しております。
 かかりつけ医の議論に際しては、地域ごとに年代構成や医療アクセス、医療資源が異なっていることを十分に踏まえるとともに、医療提供側と患者側、双方の意見をよく聞いていただくことが必要と考えます。また、かかりつけ医機能を担う医師の育成や、かかりつけ医機能に関する国民の理解を深めることが重要です。
かかりつけ医機能を医療計画に反映するに際しては、第8次医療計画策定に向けた時間的な余地が少ないことから、各都道府県の計画策定にかかる負担が重くなることが懸念されます。ぜひ都道府県に配慮した取組内容等の検討をお願いします。
 私からは以上でございます。
○永井部会長 ありがとうございます。
 相澤委員、どうぞ。
○相澤委員 どうもありがとうございます。
 まず最初に、我が国はかかりつけ医機能あるいはかかりつけ制度というものに関して、イギリスのような家庭医制度ではいかない。あるいは、診療所は一般医療を行い、病院は専門医療を行うという分け方をしない。そういう中でこのかかりつけ制度を育てていくのだということがまずないと、やはり私は議論が進まないのではないかと思います。
 その上で、私は日本の大切な医療文化であるかかりつけ医機能制度と言っていいのか、あるいは従来の医療提供制度を堅持していくという点でお話をさせていただきたいと思います。
 神野委員から、外来機能だけではなくて、入院機能在宅医療も含めてお話をしたらどうかという提案があったのですが、それまで含めますとかなり複雑になりますので、まず、外来機能ということに絞ってお話をさせていただきたいと思います。
 これまで出てきましたように、最初に受診をするときにしっかりと門戸を開いている医療機関であるべきだと私は思っています。そうしますと、門戸を開いているということはどういうことかというと、先ほど話がありましたように、幅広くどんな患者さんでも一応受け入れる。受け入れた後は、自分で診るのか、あるいは専門医を紹介するのかは構いませんが、それがあるということは極めて大事なことではないかと私は思います。このときに、急病あるいは病状、体調の急変時ということに対しても対応する。しかし、自らの医療機関でなくても、他院と連携する、あるいは共同するということで対応するということをつくってもいいのではないかと思っております。
 もう一つは、継続して通院する患者さんを管理できるかということになるのだろうと思います。これはかかりつけ医機能として極めて大事な機能でありまして、こういうかかりつけ医機能がある医療機関あるいは診療所、中小病院があるからこそ、専門医療を行っている病院はそこへ患者さんを逆紹介できるわけですので、これも極めて重要な機能ではないかなと思います。
 そして、神野先生がおっしゃっていましたように、かかりつけ医というのは患者さんが選ぶということでございますが、今、かかりつけ医として選ぶのか、あるいは特定の領域、特定の疾患について、その病気をずっと診続けるいわゆる主治医いうものかという判断は、極めて曖昧になっているような気がします。そこで起こってくるのが、ある特定の領域だけ診てもらっていたのに急病になった。そして、その先生に相談しても断られるということが起こっていますので、こういう点では、主治医としてずっと継続して通院患者さんを診るのか、それともかかりつけ医機能を発揮して診ていくのかということはしっかりと分けて考えなければいけないのだろうと思うのです。
 そうなったときに、かかりつけ医機能を発揮していますから、ここの医療機関に来ても大丈夫ですよということは、神野先生も言っておられたように明示をしなければ患者さんに分からないわけです。ですから、これはしっかりと明示をするということが必要になると私は思います。しかし、それは上からの強制とかというものではなくて、各医療機関が私たちはそういう機能を果たしたい、そういう機能を持っているということで明示をしてもらえばいいのではないかと思います。
 その上で、地域でかかりつけ医機能が十分あるのかないのか、それを話しつつ、協議の場でどういうしていくのかということを話し合っていくということが極めて大事ではないかなと思っています。
 日本病院会では、かかりつけ医機能はどういうものかということについて議論を何回も重ねました。その結果として、日常的な医学管理と重症化予防している。それから、医学的管理を行っている。地域の医療機関との十分な連携で地域を守っている。在宅療養支援、介護の支援を行う。急病や病状、体調の急変時には自院で対応できる、あるいは他の医療機関と連携して対応すると機能を持っている。特定の領域に偏らない広範囲にわたる全人的が診療を行う機能を有している。そして、地域包括ケアシステムを推進する機能を持っている。こういう機能があったらいいのではないかと挙げさせていただきましたので、病院会の考え方としてお話をさせていただきました。どうもありがとうございました。
○永井部会長 ありがとうございます。
 安部委員、どうぞ。
○安部委員 日本薬剤師会の安部でございます。
 私からは、かかりつけ医機能が発揮される制度整備という論点に関して、日本はフリーアクセスの原則の中で、これまでいわゆる大病院のアクセスへの抑制、それから、これからは外来医療における紹介重点医療機関や今日のテーマであるかかりつけ医機能などの位置づけを踏まえて、例えば資料の38ページ、39ページに示されているような受診する上での基本的なアクセスの考え方やイメージというものを、住民や患者の方々に対して丁寧に周知啓発することがまず大切ではないかと思います。
 その際、あわせて、16ページに整理されている、かかりつけ医機能というものを理解してもらうこと、そのアクセスを確保するために、地域住民、患者の皆さんに身近な医療機関の医療機能に関する情報を提供するということが求められると考えております。
 ただし、かかりつけ医や、我々であればかかりつけ薬剤師というものでありますけれども、住民や患者さんの関係というのは、住民や患者さん側の主観的な思いでありますとか、その関係性の総合的なファクトとして、ある意味漠然と存在するものでありますので、それをデータで表すことは非常に難しいところがあろうかと思います。
 本日の資料の42ページから45ページに医療機能情報、薬局機能情報提供を公開する新たな仕組みや取組が示されておりますけれども、かかりつけ医機能というものを選択する観点で、これらのデータの項目でその意味合いが十分に理解されるようになるということが非常に重要でありますし、特に今日の資料でもあります、かかりつけ医がいない方々の目線から、住民、患者の目線でこういったデータを構築することが必要なのではないかと考えております。
 そういった意味では、この15ページの項目についても、先ほど様々な委員の先生の意見がございましたけれども、しっかりと患者目線での見直しが必要かと考えております。
 私からは以上であります。
○永井部会長 ありがとうございます。
 松田委員、どうぞ。
○松田委員 松田でございます。
 今までの先生が言われたことと重なるのですけれども、基本的にかかりつけ医機能の在り方というのは、日本のこれまでの医療システムの在り方を踏まえて考えなければいけないだろうと思います。
 今の日本の医療システムでかかりつけ医機能が発揮されていないのかというと、僕は発揮されている部分がかなりあると思います。例えばその一番典型的な例が母子保健です。要するに、お母さんと子供は母子健康手帳に基づいて、近くの小児科医のところで入学するまでは健康管理を受けるわけであります。それは定期的な予防接種だったり、定期的な検診だったり、また、そこで何か異常が見つかれば専門医療機関に送っていただいて、そこで診療を受けて、逆紹介を受けるという形でやられているわけです。これをほかの領域にもいかに普遍化していくというか、応用していくということが議論の一つになるのかなと思っています。
 健康に関する情報、医療に関する情報というのは一般の方々には難しいですので、やはり解釈を手伝ってくれる人、アドバイスをしてくれる人が必要です。それを今の日本の小児科医はやっているのだろうと思います。
 そういう目で見てみると、例えば難病を持っている方は既にかかりつけ医を持っていますし、高齢者も多くの場合はかかりつけを持っていて、内科に関して言えば、私たちの分析結果をみると大体1か所ぐらいの医療機関しか関わっていません。
 そのときに母子健康手帳に相当するものなのかというと、恐らく高齢者の場合には、主治医意見書で、かかりつけ医はそれを書いてくれることができるドクターということになるのだろうと思います。そうしますと、現行のシステムの中で、主治医意見書をかかりつけ医機能という視点でどういうふうに位置づけていくのかというのが一つの鍵になると思います。
 もう一つは、40代からの働いている人たちに関しては、多くの場合、日本の開業医の先生たちが嘱託産業医という形で安衛法に基づく健診結果の管理を行っています。そのときに異常がある人については、専門医療機関に紹介することをやっている。そうすると、これは労働者についてはまさにかかりつけ医機能を嘱託産業医の先生たちがやられているわけです。こういうものをどういう体系化していくかということがかかりつけ医機能を考えるもう一つの鍵になるのではないかと思います。
 そうなってくると、一番問題になってくるのが、安衛法でカバーされていない自営業の人たち、あるいは無職の人たちで、その健康管理をどうするのかです。現行制度では、そのために特定健診・特定保健指導というものがあるわけです。そうすると、それをいわゆるかかりつけ医機能の中に位置づけてやっていくということが一つの議論の方向性だろうと思います。
 そのときに多分必要になってくるのが、母子健康手帳に相当するもので、恐らくそれがPHRみたいなものになってくるのだろうと思います。そういう形で、既存のものをどういうふうにうまく組み合わせて、日本的なかかりつけ医制度みたいなものをつくっていくかということが大きな課題、これからの方向性ではないかなと思います。
 以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 それでは、角田委員、加納委員、手短にお願いいたします。
○角田委員 手短に。実は私は東京都医師会の副会長をしておりますので、先ほどの小熊先生の御質問に対しての事務局からの御返答についてお話しいたします。
 15ページの下段の5から8までの保険診療上の取扱いについての総数が述べられました。東京には1万5000円件の医療機関がございまして、これらの診療項目を届出をしているが2,000か所ということですけれども、これは実数を表しておりません。例えば診療検査医療機関でも4,600ございますし、ワクチン接種なども5000件以上が協力しています。かかりつけ医であってもこれらの診療料を取らないことは非常に多いのでございます。私自身も取っておりません。ですから、それぐらいの数が実はかかりつけ医として機能してということを追加させていただきます。
 以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 加納委員、最後に。
○加納委員 私からも、先ほど小熊先生から御質問がありましたので、日医、四病協のこれに沿ってという趣旨に関してですが、一応日本病院会と全日病のほうでこれ以来病院総合医というものの研修制度をつくっていただいておりまして、これがイコールかかりつけ医という話ではないのでしょうけれども、総合医の育成という病院における総合医という形での研修が始まっていることを御報告させていただきます。よろしくお願いします。
○永井部会長 ありがとうございました。
 最後に私から一言発言させてください。
 このかかりつけ医のコンセプトは、今日お聞きしていてもばらつきがあるように思いました。初期診療、24時間対応、全人的ケアという役割と、相澤委員が最後に言われたように、重症化予防や大病院との連携など、違う意味の部分があるのではないかと思います。
 大学病院の初診の問題から始まったということもあるのですが、大学病院の外来がなぜ混雑しているかというと、圧倒的に再来患者が多いわけです。科によっては9割以上再来患者なのです。ですから、専門医が診断、治療したとしても、落ち着いたら地域で診るという仕組みがまだ十分ではない。その意味でのかかりつけ医の議論が必要ではないかと思いました。
 そのためには、診療情報の共有ということと、もちろん総合医の養成が大事なのですが、逆に総合医が、多少専門的な疾患であっても、症例数の多い疾患については、地域でフォローアップできるような再教育もまた大事ではないかと思いました。以上でございますが、全体を通じて何か御意見、御発言はございますでしょうか。
 ありがとうございます。
 それでは、本日の議題はこれまでとさせていただきます。
 事務局から連絡事項等をお願いします。
○医療政策企画官 本日はありがとうございました。
 本日、一般の傍聴を制限させていただいておりますので、議事録につきましては、可能な限り、速やかに公表させていただきたいと思ってございます。
 事務局としても校正作業を進めてまいりますので、委員の皆様方におかれましても、御多忙中とは御存じ上げますが、御協力いただけますようお願いいたします。
 次回の医療部会の詳細につきましては、決まり次第、改めて御連絡させていただきたいと思います。
○永井部会長 ありがとうございました。
 それでは、本日はこれで終了いたします。長時間ありがとうございました。

(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(医療部会)> 第91回社会保障審議会医療部会(2022年9月29日)

ページの先頭へ戻る